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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】撮像レンズ系及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/04 20060101AFI20221018BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
G02B13/04 D
G02B13/18
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018175764
(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公開番号】P2020046565
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】宇野 勝也
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09103962(US,B2)
【文献】特開2018-136476(JP,A)
【文献】特開2017-173807(JP,A)
【文献】特開昭61-162021(JP,A)
【文献】特開2014-197129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
CODE V
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側に向かって順に、負のパワーを有し、物体側が凸形状である第1レンズ、
物体側が凹形状である第2レンズ、
正のパワーを有し、物体側が凸形状であり、像側が凸形状である第3レンズ、
絞り、
正のパワーを有し、物体側が凸形状であり、像側が凸形状である第4レンズ、
負のパワーを有する第5レンズ、
物体側が凸形状である第6レンズ、からなる撮像レンズ系であって、
前記第1レンズの物体側レンズ面が、径方向断面で変曲点を有し、
レンズ系全体の焦点距離をF、前記第1レンズの物体側レンズ面の頂点から前記絞りまでの距離をL1-STOP、前記第1レンズの焦点距離をF1、前記第4レンズのアッベ数をν4、前記第5レンズのアッベ数をν5と定義したときに、下記の条件式(1)、(2)、(4)、(5)を満たす撮像レンズ系。
0.3<F/(L1-STOP)<0.45 (1)
-2.0<F1/F<-1.3 (2)
ν4≧70 (4)
ν5≦21 (5)
【請求項2】
物体側から像側に向かって順に、負のパワーを有し、物体側が凸形状である第1レンズ、
物体側が凹形状である第2レンズ、
正のパワーを有し、物体側が凸形状であり、像側が凸形状である第3レンズ、
絞り、
正のパワーを有し、物体側が凸形状であり、像側が凸形状である第4レンズ、
負のパワーを有する第5レンズ、
物体側が凸形状である第6レンズ、からなる撮像レンズ系であって、
前記第1レンズの物体側レンズ面が、径方向断面で変曲点を有し、
レンズ系全体の焦点距離をF、前記第1レンズの物体側レンズ面の頂点から前記絞りまでの距離をL1-STOP、前記第1レンズの焦点距離をF1、前記第6レンズのアッベ数をν6と定義したときに、下記の条件式(1)、(2)、(6)を満たす撮像レンズ系。
0.3<F/(L1-STOP)<0.45 (1)
-2.0<F1/F<-1.3 (2)
ν6≧65 (6)
【請求項3】
物体側から像側に向かって順に、負のパワーを有し、物体側が凸形状である第1レンズ、
物体側が凹形状である第2レンズ、
正のパワーを有し、物体側が凸形状であり、像側が凸形状である第3レンズ、
絞り、
正のパワーを有し、物体側が凸形状であり、像側が凸形状である第4レンズ、
負のパワーを有する第5レンズ、
物体側が凸形状である第6レンズ、からなる撮像レンズ系であって、
前記第1レンズの物体側レンズ面が、径方向断面で変曲点を有し、
レンズ系全体の焦点距離をF、前記第1レンズの物体側レンズ面の頂点から前記絞りまでの距離をL1-STOP、前記第1レンズの焦点距離をF1定義したときに、下記の条件式(1)、(2)を満たし、
0.3<F/(L1-STOP)<0.45 (1)
-2.0<F1/F<-1.3 (2)
前記第4レンズと前記第5レンズは接合レンズである撮像レンズ系。
【請求項4】
前記第1レンズの有効径をφ1とし、前記撮像レンズ系の光学全長をLと定義したときに、下記の条件式(3)を満たす請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像レンズ系。
φ1/L<0.5 ・・・(3)
【請求項5】
前記第6レンズの像側レンズ面が、径方向断面で変曲点を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像レンズ系。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像レンズ系と、
前記撮像レンズ系の像側に配置された撮像素子と、を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像レンズ系及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車に搭載される広角レンズの用途は、ビューからセンシングへと変化してきている。センシングでは画像解析に必要な解像度が必要になるため、メガピクセル対応の高解像度の画像が求められている。また、広い画角も求められている。
【0003】
このように、車載用の撮像装置では、進行方向の遠方を高解像度で撮像すること及び広角で近傍を撮像することが求められている。さらに、明るい光学系であることが求められる。また、特に車載カメラ用の撮像レンズ系では、コンパクトさも求められる。
【0004】
例えば、特許文献1には、光軸が互いに直交するように配置した広角光学系と望遠光学系とをミラーで切り替えて、いずれかの光学系による光学像を共通の撮像素子上に結像させる撮像装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-122379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の撮像装置では、遠距離撮像用の望遠光学系と、近距離撮像用の広角光学系の2種類のレンズを用いるためユニットのサイズが大きくなり、またコストも上昇していた。
また、広角光学系として画角を広くすると、最も物体側のレンズ(第1レンズ)の径が大きくなっていた。
【0007】
このように、従来の撮像レンズ系では、望遠レンズと広角レンズの特徴を兼ね備え、第1レンズの径が小さい撮像レンズ系及び撮像装置を実現できないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮像レンズ系は、物体側から像側に向かって順に、負のパワーを有し、物体側が凸形状である第1レンズ、物体側が凹形状である第2レンズ、正のパワーを有し、物体側が凸形状であり、像側が凸形状である第3レンズ、絞り、正のパワーを有し、物体側が凸形状であり、像側が凸形状である第4レンズ、負のパワーを有する第5レンズ、物体側が凸形状である第6レンズ、からなる撮像レンズ系であって、第1レンズの物体側レンズ面が、径方向断面で変曲点を有し、レンズ系全体の焦点距離をF、第1レンズの物体側レンズ面頂点から絞りまでの距離をL1-STOP、第1レンズの焦点距離をF1と定義したときに、下記の条件式(1)(2)を満たすようにした。
0.3<F/(L1-STOP)<0.45 (1)
-2.0<F1/F<-1.3 (2)
【0009】
この構成によれば、条件式(1)(2)を満たすことにより、望遠レンズとして高い解像度を有し、広角レンズとして広い画角を有し、望遠レンズと広角レンズの特徴を兼ね備えるとともに、第1レンズの径が小さい撮像レンズ系を実現することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、望遠レンズと広角レンズの特徴を兼ね備え、第1レンズの径が小さい撮像レンズ系及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1に係る撮像レンズ系の断面図である。
図2】実施例1の撮像レンズ系における球面収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。
図3】有効径及び画角を説明するための図である。
図4】実施例2に係る撮像レンズ系の断面図である。
図5】実施例2の撮像レンズ系における球面収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。
図6】実施例3に係る撮像レンズ系の断面図である。
図7】実施例3の撮像レンズ系における球面収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。
図8】実施例4に係る撮像レンズ系の断面図である。
図9】実施例4の撮像レンズ系における球面収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。
図10】実施例5に係る撮像レンズ系の断面図である。
図11】実施例5の撮像レンズ系における球面収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。
図12】実施例6に係る撮像レンズ系の断面図である。
図13】実施例6の撮像レンズ系における球面収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。
図14】実施の形態2に係る撮像装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態に係る光学レンズ及び撮像装置を説明する。
(実施の形態1:撮像レンズ系)
実施の形態1の撮像レンズ系は、物体側から像側に向かって順に、負のパワーを有し、物体側が凸形状である第1レンズ、物体側が凹形状である第2レンズ、正のパワーを有し、物体側が凸形状であり、像側が凸形状である第3レンズ、絞り、正のパワーを有し、物体側が凸形状であり、像側が凸形状である第4レンズ、負のパワーを有する第5レンズ、物体側が凸形状である第6レンズ、からなる撮像レンズ系であって、第1レンズの物体側レンズ面が、径方向断面で変曲点を有し、レンズ系全体の焦点距離をF、第1レンズの物体側レンズ面頂点から絞りまでの距離をL1-STOP、第1レンズの焦点距離をF1と定義したときに、下記の条件式(1)(2)を満たす。
0.3<F/(L1-STOP)<0.45 (1)
-2.0<F1/F<-1.3 (2)
【0013】
このように、実施の形態1の撮像レンズ系によれば、条件式(1)(2)を満たすことにより、望遠レンズとして高い解像度を有し、広角レンズとして広い画角を有し、望遠レンズと広角レンズの特徴を兼ね備えるとともに、第1レンズの径が小さい撮像レンズ系を実現することができる。
【0014】
例えば、条件式(1)及び条件式(2)の下限を満たすことにより、第1レンズの外径を小さくするために必要な第1レンズの屈折力を有することができる。また、条件式(1)及び条件式(2)の上限を満たすことにより、像面の補正に必要な第1レンズの屈折力を有することができる。
【0015】
そして、第1レンズの外径(すなわち前玉径)が小さくなることにより、車載時に石はねまたは飛び石等の衝突(stone attack)による第1レンズの損傷の発生確率を低減することができる。また、上述の広い画角は、例えば、矩形の撮像領域をもつ撮像素子の長辺が水平となるように配置したときの、当該撮像領域の水平端における画角、いわゆる水平画角が110度以上を実現できる。さらに、Fnoが1.6の明るい撮像レンズ系を実現できる。
【0016】
上記実施の形態1の撮像レンズ系は、第1レンズの有効径をφ1とし、撮像レンズ系の光学全長をLとするとき、以下の式(3)を満たすようにしてもよい。
φ1/L<0.5 ・・・(3)
【0017】
上記実施の形態1の撮像レンズ系は、第4レンズのアッベ数をν4、第5レンズのアッベ数をν5と定義したときに、下記の条件式(4)、(5)を満たすようにしてもよい。
ν4≧70 (4)
ν5≦21 (5)
【0018】
この構成によれば、条件式(4)、(5)を満たすことにより、色収差を低減することができる。
【0019】
上記実施の形態1の撮像レンズ系は、第6レンズのアッベ数をν6と定義したときに、下記の条件式(6)を満たすようにしてもよい。
ν6≧65 (6)
【0020】
この構成によれば、条件式(6)を満たすことにより、倍率色収差を低減することができる。
【0021】
上記実施の形態1の撮像レンズ系は、第4レンズと第5レンズは接合レンズであるようにしてもよい。
【0022】
この構成によれば、第4レンズと第5レンズとを分離配置する場合と比較して、色収差の抑制、および高次収差の制御において優位である。また、第4レンズ、第5レンズの偏心敏感度が高い場合に、配置誤差を抑制することができるため、第4レンズと第5レンズとを接合することは、製造容易性の向上に効果がある。
【0023】
上記実施の形態1の撮像レンズ系は、第6レンズの像側面が、径方向断面で変曲点を有するようにしてもよい。
【0024】
この構成によれば、像面湾曲の補正において、変曲点を有することにより、解像度を高くすることができる、
【0025】
次に、実施の形態1の撮像レンズ系に対応する実施例について、図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1は、実施例1の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。図1において、撮像レンズ系11は、物体側から像側に向かって順に、負のパワーを有する第1レンズL1、第2レンズL2、正のパワーを有する第3レンズL3、絞りSTOP、正のパワーを有する第4レンズL4、負のパワーを有する第5レンズL5、第6レンズL6からなる。撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。また、撮像レンズ系11は、IRカットフィルタ12を備える。
【0026】
第1レンズL1は、負のパワーを有する非球面レンズである。第1レンズL1の物体側レンズ面S1は、物体側に凸形状の曲面部分を有している。第1レンズL1の像側レンズ面S2は像側に凹形状の曲面部分を有している。
【0027】
第2レンズL2は、負のパワーを有するレンズである。第2レンズL2の物体側レンズ面S3は、物体側に凹形状の曲面部分を有している。また、第2レンズL2の像側レンズ面S4は像側に凸形状の曲面部分を有している。
【0028】
第3レンズL3は、正のパワーを有する非球面レンズである。また、物体側レンズ面S5は、物体側に凸面を向けており、像側レンズ面S6は、像側に凸面を向けている。
【0029】
絞りSTOPは、レンズ系のF値(Fno)を決める絞りである。絞りSTOPは、第3レンズL3と第4レンズL4との間に配置される。
【0030】
第4レンズL4は、正のパワーを有するレンズである。物体側レンズ面S8は、物体側に凸面を向けており、像側レンズ面S9は、像側に凸面を向けている。
【0031】
第5レンズL5は、負のパワーを有するレンズである。物体側レンズ面S10は、物体側に凹面を向けており、像側レンズ面S11は、像側に凸面を向けている。
【0032】
第4レンズL4と第5レンズL5は、第4レンズL4の像側レンズ面S9と第5レンズL5の物体側レンズ面S10とを接合した接合レンズを構成している。
【0033】
第6レンズL6は、正のパワーを有する非球面レンズである。物体側レンズ面S12は、物体側に凸面を向けており、像側レンズ面S13は、像側に凹面を向けている。
【0034】
IRカットフィルタ12は、赤外領域の光をカットするためのフィルタである。IRカットフィルタ12は、撮像レンズ系11の設計時には、撮像レンズ系11と一体として扱われる。しかし、IRカットフィルタ12は、撮像レンズ系11の必須の構成要素ではない。
【0035】
表1に、実施例1の撮像レンズ系11における、各レンズ面のレンズデータを示す。表1では、レンズデータとして、各面の曲率半径(mm)、面間隔(mm)、d線における屈折率、及びd線におけるアッベ数を提示している。d線における屈折率及びd線におけるアッベ数は、撮像レンズ系11の周囲の温度である環境温度t(℃)が25(℃)のときの値である。「*印」がついた面は、非球面であることを示している。
【表1】
【0036】
レンズ面に採用される非球面形状は、Zをサグ量、cを曲率半径の逆数、kを円錐係数、rを光軸Zからの光線高さとして、4次、6次、8次、10次、12次、14次、16次の非球面係数をそれぞれα、α、α、α10、α12、α14、α16としたときに、次式により表わされる。
【数1】
【0037】
表2に、実施例1の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表2において、例えば「-6.522528E-03」は、「-6.522528×10-3」を意味する。
【表2】
【0038】
図2は、実施例1の撮像レンズ系における球面収差図、像面湾曲図、歪曲収差図を示す。図2Aは球面収差図を示し、図2Bは像面湾曲図を示し、そして図2Cは歪曲収差図を示す。図2A~2Cに示すように、実施例1の撮像レンズ系11では、半画角ωが67.5°、Fナンバが1.6である。図2Aの球面収差図では、横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し、縦軸は瞳径での光線の相対高さを示す。図2Bの像面湾曲図では、横軸は光軸Z方向の結像点の距離を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図2Bにおいて、Sagはサジタル面における像面湾曲を示し、Tanはタンジェンシャル面における像面湾曲を示す。図2Cの歪曲収差図では、横軸は像の歪み量(%)を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図2A~2Cでは、波長486.1nm、587.6nm及び656.3nmの光線によるシミュレーション結果を示している。
【0039】
表3に、実施例1の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表3において、撮像レンズ系11における、FナンバをFno、水平画角をH_FoV、光学長をL、第1レンズの物体側レンズ面頂点から絞りまでの距離(中心光軸における第1レンズの物体側レンズ面S1から絞りまでの距離)をL1-STOP、レンズ系全体の焦点距離をF、第1レンズL1の焦点距離をF1、第2レンズL2の焦点距離をF2、第3レンズL3の焦点距離をF3、第4レンズL4の焦点距離をF4、第5レンズL5の焦点距離をF5、第6レンズL6の焦点距離をF6、第1レンズL1の有効径をφ1、第1レンズL1の焦点距離をレンズ系全体の焦点距離で除算した値をF1/F、第2レンズL2の焦点距離をレンズ系全体の焦点距離で除算した値をF2/F、第3レンズL3の焦点距離をレンズ系全体の焦点距離で除算した値をF3/F、第4レンズL4の焦点距離をレンズ系全体の焦点距離で除算した値をF4/F、第5レンズL5の焦点距離をレンズ系全体の焦点距離で除算した値をF5/F、第6レンズL6の焦点距離をレンズ系全体の焦点距離で除算した値をF6/F、レンズ系全体の焦点距離を第1レンズの物体側レンズ面頂点から絞りまでの距離で除算した値をF/(L1-STOP)、第1レンズL1の有効径を光学長で除算した値をφ/L1としたときの、各特性値を示している。
【0040】
なお、本明細書中において、第1レンズL1の有効径(いわゆる前玉有効径)は、光束が第1レンズL1を通過できる物体側レンズ面の幅を意味する。具体的には図3のφに対応する。また、本明細書中において、画角は、光軸に沿う断面図において、第1レンズL1を実際に通過できる最軸外の光束について、物体側レンズ面に入射光を延長した線同士が互いに交わる角度を意味する。具体的には図の「画角」に対応する。
【0041】
また、表3の各種の焦点距離は、555nmの波長の光線を用いて計算した。
【表3】
【0042】
(実施例2)
図4は、実施例2の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。図4において、撮像レンズ系11は、物体側から像側に向かって順に、負のパワーを有する第1レンズL1、第2レンズL2、正のパワーを有する第3レンズL3、絞りSTOP、正のパワーを有する第4レンズL4、負のパワーを有する第5レンズL5、第6レンズL6からなる。撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。また、撮像レンズ系11は、IRカットフィルタ12を備える。
【0043】
図4において、図1と同一の構成は、同じ符号を付して説明を省略する。言い換えれば、実施例1の撮像レンズ系11は、第4レンズL4と第5レンズL5とが接合していたのに対して、図4の撮像レンズ系11は、第4レンズL4と第5レンズL5とが所定の間隔で配置されている点が異なる。
【0044】
表4に、実施例2の撮像レンズ系11における各レンズ面のレンズデータを示す。表4では、レンズデータとして、各面の曲率半径(mm)、面間隔(mm)、d線における屈折率、及びd線におけるアッベ数を提示している。d線における屈折率及びd線におけるアッベ数は、撮像レンズ系11の周囲の温度である環境温度t(℃)が25(℃)のときの値である。「*印」がついた面は、非球面であることを示している。
【表4】
【0045】
表5に、実施例2の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表5において、レンズ面に採用される非球面形状は、実施例1と同様の式にて表される。
【表5】
【0046】
図5は、実施例2の撮像レンズ系における球面収差図、像面湾曲図、歪曲収差図を示す。図5Aは球面収差図を示し、図5Bは像面湾曲図を示し、そして図5Cは歪曲収差図を示す。図5A~5Cに示すように、実施例2の撮像レンズ系11では、半画角ωが67.5°、Fナンバが1.6である。図5Aの球面収差図では、横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し、縦軸は瞳径での光線の相対高さを示す。図5Bの像面湾曲図では、横軸は光軸Z方向の結像点の距離を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図5Bにおいて、Sagはサジタル面における像面湾曲を示し、Tanはタンジェンシャル面における像面湾曲を示す。図5Cの歪曲収差図では、横軸は像の歪み量(%)を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図5A~5Cでは、波長486.1nm、587.6nm及び656.3nmの光線によるシミュレーション結果を示している。
【0047】
表6に、実施例2の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表6における各特性値の定義は、表3と同じである。表6の各種の焦点距離は、555nmの波長の光線を用いて計算した。
【表6】
【0048】
(実施例3)
図6は、実施例3に係る撮像レンズ系の断面図である。実施例3は、実施例1と同様に第4レンズL4と第5レンズL5とが接合している例である。したがって、実施例3は、実施例1と同様のレンズ構成を有するので、レンズ構成の説明を省略する。
【0049】
表7に、実施例3の撮像レンズ系11における各レンズ面のレンズデータを示す。表7では、レンズデータとして、各面の曲率半径(mm)、面間隔(mm)、d線における屈折率、及びd線におけるアッベ数を提示している。d線における屈折率及びd線におけるアッベ数は、撮像レンズ系11の周囲の温度である環境温度t(℃)が25(℃)のときの値である。「*印」がついた面は、非球面であることを示している。
【表7】
【0050】
表8に、実施例3の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表8において、レンズ面に採用される非球面形状は、実施例1と同様の式にて表される。
【表8】
【0051】
図7は、実施例3の撮像レンズ系における球面収差図、像面湾曲図、歪曲収差図を示す。図7Aは球面収差図を示し、図7Bは像面湾曲図を示し、そして図7Cは歪曲収差図を示す。図7A~7Cに示すように、実施例3の撮像レンズ系11では、半画角ωが67.5°、Fナンバが1.6である。図7Aの球面収差図では、横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し、縦軸は瞳径での光線の相対高さを示す。図7の像面湾曲図では、横軸は光軸Z方向の結像点の距離を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図7Bにおいて、Sagはサジタル面における像面湾曲を示し、Tanはタンジェンシャル面における像面湾曲を示す。図7Cの歪曲収差図では、横軸は像の歪み量(%)を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図7A~7Cでは、波長486.1nm、587.6nm及び656.3nmの光線によるシミュレーション結果を示している。
【0052】
表9に、実施例3の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表9における各特性値の定義は、表3と同じである。表9の各種の焦点距離は、555nmの波長の光線を用いて計算した。
【表9】
【0053】
(実施例4)
図8は、実施例4に係る撮像レンズ系の断面図である。実施例4は、実施例2と同様に第4レンズL4と第5レンズL5とが接合していない例である。したがって、実施例4は、実施例2と同様のレンズ構成を有するので、レンズ構成の説明を省略する。
【0054】
表10に、実施例4の撮像レンズ系11における各レンズ面のレンズデータを示す。表10では、レンズデータとして、各面の曲率半径(mm)、面間隔(mm)、d線における屈折率、及びd線におけるアッベ数を提示している。d線における屈折率及びd線におけるアッベ数は、撮像レンズ系11の周囲の温度である環境温度t(℃)が25(℃)のときの値である。「*印」がついた面は、非球面であることを示している。
【表10】
【0055】
表11に、実施例4の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表11において、レンズ面に採用される非球面形状は、実施例1と同様の式にて表される。
【表11】
【0056】
図9は、実施例4の撮像レンズ系における球面収差図、像面湾曲図、歪曲収差図を示す。図9Aは球面収差図を示し、図9Bは像面湾曲図を示し、そして図9Cは歪曲収差図を示す。図9A~9Cに示すように、実施例4の撮像レンズ系11では、半画角ωが67.5°、Fナンバが1.6である。図9Aの球面収差図では、横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し、縦軸は瞳径での光線の相対高さを示す。図9の像面湾曲図では、横軸は光軸Z方向の結像点の距離を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図9Bにおいて、Sagはサジタル面における像面湾曲を示し、Tanはタンジェンシャル面における像面湾曲を示す。図9Cの歪曲収差図では、横軸は像の歪み量(%)を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図9A~9Cでは、波長486.1nm、587.6nm及び656.3nmの光線によるシミュレーション結果を示している。
【0057】
表12に、実施例4の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表12における各特性値の定義は、表3と同じである。表12の各種の焦点距離は、555nmの波長の光線を用いて計算した。
【表12】
【0058】
(実施例5)
図10は、実施例5に係る撮像レンズ系の断面図である。実施例5は、実施例2と同様に第4レンズL4と第5レンズL5とが接合していない例である。したがって、実施例5は、実施例2と同様のレンズ構成を有するので、レンズ構成の説明を省略する。
【0059】
表13に、実施例5の撮像レンズ系11における各レンズ面のレンズデータを示す。表13では、レンズデータとして、各面の曲率半径(mm)、面間隔(mm)、d線における屈折率、及びd線におけるアッベ数を提示している。d線における屈折率及びd線におけるアッベ数は、撮像レンズ系11の周囲の温度である環境温度t(℃)が25(℃)のときの値である。「*印」がついた面は、非球面であることを示している。
【表13】
【0060】
表14に、実施例5の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表14において、レンズ面に採用される非球面形状は、実施例1と同様の式にて表される。
【表14】
【0061】
図11は、実施例5の撮像レンズ系における球面収差図、像面湾曲図、歪曲収差図を示す。図11Aは球面収差図を示し、図11Bは像面湾曲図を示し、そして図11Cは歪曲収差図を示す。図11A~11Cに示すように、実施例5の撮像レンズ系11では、半画角ωが67.5°、Fナンバが1.6である。図11Aの球面収差図では、横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し、縦軸は瞳径での光線の相対高さを示す。図11の像面湾曲図では、横軸は光軸Z方向の結像点の距離を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図11Bにおいて、Sagはサジタル面における像面湾曲を示し、Tanはタンジェンシャル面における像面湾曲を示す。図11Cの歪曲収差図では、横軸は像の歪み量(%)を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図11A~11Cでは、波長486.1nm、587.6nm及び656.3nmの光線によるシミュレーション結果を示している。
【0062】
表15に、実施例5の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表15における各特性値の定義は、表3と同じである。表15の各種の焦点距離は、555nmの波長の光線を用いて計算した。
【表15】
【0063】
(実施例6)
図12は、実施例6に係る撮像レンズ系の断面図である。実施例6は、実施例2と同様に第4レンズL4と第5レンズL5とが接合していない例である。したがって、実施例6は、実施例2と同様のレンズ構成を有するので、レンズ構成の説明を省略する。
【0064】
表16に、実施例6の撮像レンズ系11における各レンズ面のレンズデータを示す。表16では、レンズデータとして、各面の曲率半径(mm)、面間隔(mm)、d線における屈折率、及びd線におけるアッベ数を提示している。d線における屈折率及びd線におけるアッベ数は、撮像レンズ系11の周囲の温度である環境温度t(℃)が25(℃)のときの値である。「*印」がついた面は、非球面であることを示している。
【表16】
【0065】
表17に、実施例6の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表17において、レンズ面に採用される非球面形状は、実施例1と同様の式にて表される。
【表17】
【0066】
図13は、実施例6の撮像レンズ系における球面収差図、像面湾曲図、歪曲収差図を示す。図13Aは球面収差図を示し、図13Bは像面湾曲図を示し、そして図13Cは歪曲収差図を示す。図13A~13Cに示すように、実施例6の撮像レンズ系11では、半画角ωが67.5°、Fナンバが1.6である。図13Aの球面収差図では、横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し、縦軸は瞳径での光線の相対高さを示す。図13の像面湾曲図では、横軸は光軸Z方向の結像点の距離を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図13Bにおいて、Sagはサジタル面における像面湾曲を示し、Tanはタンジェンシャル面における像面湾曲を示す。図13Cの歪曲収差図では、横軸は像の歪み量(%)を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図13A~13Cでは、波長486.1nm、587.6nm及び656.3nmの光線によるシミュレーション結果を示している。
【0067】
表18に、実施例6の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表18における各特性値の定義は、表3と同じである。表18の各種の焦点距離は、555nmの波長の光線を用いて計算した。
【表18】
【0068】
(実施の形態2:撮像装置への適用例)
図14は、実施の形態2に係る撮像装置の断面図である。撮像装置21は、撮像レンズ系11と、カバーガラス22と、撮像素子23と、を備える。撮像レンズ系11と、カバーガラス22と、撮像素子23と、は筐体(不図示)に収容されている。
【0069】
撮像素子23は、受光した光を電気信号に変換する素子であり、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが用いられる。撮像素子23は、撮像レンズ系11の結像位置に配置されている。なお、水平画角は、撮像素子23の水平方向に対応する画角である。
【0070】
カバーガラス22は、撮像素子23を異物から保護するために、撮像素子23上に設けられている。
【0071】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本発明の撮像レンズ系の用途は、車載カメラや監視カメラに限定されるものではなく、携帯電話等の小型電子機器に搭載する等の他の用途にも用いることができる。
【符号の説明】
【0072】
11 撮像レンズ系
12 カットフィルタ
21 撮像装置
22 カバーガラス
23 撮像素子
L1、L2、L3、L4、L5、L6 レンズ
STOP 絞り
IMG 結像面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14