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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
H01L21/304 651B
H01L21/304 651L
H01L21/304 648G
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018196015
(22)【出願日】2018-10-17
(65)【公開番号】P2020064981
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】金松 泰範
(72)【発明者】
【氏名】中井 仁司
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 学
【審査官】綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-098295(JP,A)
【文献】特開2015-023172(JP,A)
【文献】特開2018-046205(JP,A)
【文献】特開2000-058425(JP,A)
【文献】特開2009-194034(JP,A)
【文献】特開2003-007669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
H01L 21/304
H01L 21/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面および裏面を有する基板を処理する基板処理装置であって、
前記基板の前記裏面の中央部を保持して回転させる基板保持部と、
前記基板保持部に保持された前記基板の前記上面に充填材を供給する充填材供給部と、
前記基板保持部に保持された前記基板の前記裏面に洗浄液を供給する第1洗浄液供給部と
を備え、
前記第1洗浄液供給部は、前記基板の前記裏面のうちの前記基板保持部に保持される領域に向けて前記洗浄液を供給
前記第1洗浄液供給部は、前記基板の前記裏面に到達する直前の前記洗浄液の進行方向を前記基板の前記裏面に投影した成分が所定方向に平行になるように前記基板に向いており、
前記所定方向は、前記基板の中心から前記洗浄液の到着点に向かう方向に垂直な方向に対して20°以内の範囲で前記基板の径方向内側に向く、基板処理装置。
【請求項2】
前記基板保持部は、前記基板の前記裏面の中央部に吸着する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1洗浄液供給部から前記基板の前記裏面に供給された前記洗浄液は、前記基板の前記裏面で広がり、前記基板の前記裏面のうち前記基板保持部に保持される領域に近接する、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第1洗浄液供給部は、前記洗浄液を吐出する少なくとも1つのノズルを有する、請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのノズルは、第1ノズルと第2ノズルとを含み、
前記基板の中心から前記第1ノズルによって前記洗浄液が前記基板に吐出される地点までの距離は、前記基板の中心から前記第2ノズルによって前記洗浄液が前記基板に吐出される地点までの距離とは異なる、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1ノズルから吐出される洗浄液は、前記第2ノズルから吐出される洗浄液とは異なる、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのノズルを水平方向に移動するノズル移動部をさらに備える、請求項4からのいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板の側面を洗浄するための洗浄液を供給する第2洗浄液供給部をさらに備える、請求項1からのいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記基板の中心から前記第2洗浄液供給部によって前記洗浄液が前記基板に供給される地点までの距離は、前記基板の中心から前記第1洗浄液供給部によって前記洗浄液が前記基板に供給される地点までの距離よりも長い、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記洗浄液は、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1-エトキシ-2-プロパノールおよびアセトンの少なくとも1つを含む、請求項1からのいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記基板の前記裏面に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部をさらに備える、請求項1から10のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項12】
上面および裏面を有する基板を処理する基板処理方法であって、
前記基板の前記裏面の中央部を保持して回転させる工程と、
前記基板の前記上面に充填材を供給する充填材供給工程と、
前記充填材供給工程の後、前記基板の前記裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給工程と
を包含し、
前記洗浄液供給工程は、前記基板の前記裏面のうちの前記基板の保持される領域に向けて前記洗浄液を供給する工程を含
前記洗浄液を供給する工程では、前記基板の前記裏面に到達する直前の前記洗浄液の進行方向を前記基板の前記裏面に投影した成分が所定方向に平行になるように前記洗浄液を供給し、
前記所定方向は、前記基板の中心から前記洗浄液の到着点に向かう方向に垂直な方向に対して20°以内の範囲で前記基板の径方向内側に向く、基板処理方法。
【請求項13】
前記洗浄液供給工程において、前記基板の前記裏面に供給された前記洗浄液は、前記基板の前記裏面で広がり、前記基板の前記裏面のうち前記基板の保持される領域に近接する、請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
上面および裏面を有する基板を処理する基板処理方法であって、
前記基板の前記裏面の中央部を保持して回転させる工程と、
前記基板の前記上面に充填材を供給する充填材供給工程と、
前記充填材供給工程の後、前記基板の前記裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給工程と
を包含し、
前記洗浄液供給工程は、前記基板の前記裏面のうちの前記基板の保持される領域に向けて前記洗浄液を供給する工程を含み、
前記充填材供給工程は、
前記基板の前記上面に前記充填材を吐出する工程と、
前記充填材を吐出した後、第1回転速度で前記基板を回転させる工程と、
前記第1回転速度で前記基板を回転させた後、前記第1回転速度よりも低い第2回転速度で前記基板を回転させる工程と、
前記第2回転速度で前記基板を回転させた後、前記第2回転速度よりも高い第3回転速度で前記基板を回転させる工程と
を含む、基板処理方法。
【請求項15】
前記洗浄液供給工程は、
第1洗浄液供給部が前記基板の前記裏面のうちの前記基板の保持される領域に向けて前記洗浄液を供給する工程と、
第2洗浄液供給部が前記基板の側面を洗浄するための洗浄液を供給する工程と、
前記第1洗浄液供給部が前記洗浄液を供給する間、前記第3回転速度よりも低い第4回転速度で前記基板を回転させる工程と、
前記第2洗浄液供給部が前記洗浄液を供給する間、前記第4回転速度よりも高い第5回転速度で前記基板を回転させる工程と
を含む、請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項16】
上面および裏面を有する基板を処理する基板処理方法であって、
前記基板の前記裏面の中央部を保持して回転させる工程と、
前記基板の前記上面に充填材を供給する充填材供給工程と、
前記充填材供給工程の後、前記基板の前記裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給工程と
を包含し、
前記洗浄液供給工程は、前記基板の前記裏面のうちの前記基板の保持される領域に向けて前記洗浄液を供給する工程を含み、
前記基板処理方法は、前記充填材を供給する工程を開始する前から前記洗浄液を供給する工程の終了まで前記基板の前記裏面に不活性ガスを供給する工程をさらに包含する、基板処理方法。
【請求項17】
前記不活性ガスを供給する工程において、前記充填材を供給する工程における前記不活性ガスの流量は前記洗浄液を供給する工程における前記不活性ガスの流量よりも低い、請求項16に記載の基板処理方法。
【請求項18】
上面および裏面を有する基板を処理する基板処理方法であって、
前記基板の前記裏面の中央部を保持して回転させる工程と、
前記基板の前記上面に充填材を供給する充填材供給工程と、
前記充填材供給工程の後、前記基板の前記裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給工程と
を包含し、
前記洗浄液供給工程は、前記基板の前記裏面のうちの前記基板の保持される領域に向けて前記洗浄液を供給する工程を含み、
前記洗浄液供給工程は、前記基板の前記裏面のうちの前記基板の保持される領域に向けて前記洗浄液を供給し、その後、前記基板の側面を洗浄するための洗浄液を供給する、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置および液晶表示装置などの電子部品に用いられる基板は、基板処理装置によって処理されることが知られている。基板の処理として、電子部品の製造工程において、基板の表面に成膜およびエッチングなどの処理を繰り返し施して微細パターンを形成する工程が行われる。ここで、基板表面への微細加工を良好に行うためには、基板表面を清浄に保つ必要がある。このため、典型的には、基板表面はリンス液で洗浄処理される。この場合、洗浄処理終了後に、基板表面に付着しているリンス液を除去して基板を乾燥させる必要がある。
【0003】
この乾燥処理における重要な課題の一つが、基板表面に形成されているパターンを倒壊させずに基板を乾燥させることである。この課題を解決する方法として昇華乾燥技術が注目されている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、露光処理を受けたフォトレジスト膜に現像液を供給することによって、基板の表面に塗布されたフォトレジスト膜を溶解してパターンを形成した後、基板の表面にリンス液を供給して現像液を除去し、リンス処理の終期に、リンス液が基板表面を覆っている状態でリンス液に可溶性のポリマーを基板に供給し、その後にポリマー溶液を乾燥させることが記載されている。特許文献1では、パターンの凹部(フォトレジスト膜からなる凸状部間の隙間)がポリマーにより充填され、その後、選択性のプラズマアッシングによりポリマーは除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-19161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているように、基板の上面に形成されたポリマーは、プラズマアッシングにより、除去できる。しかしながら、ポリマーを基板に供給する際に、ポリマーは、基板の上面だけでなく基板の裏面に付着することがある。基板の裏面に付着したポリマーは、プラズマアッシングを行っても充分に除去できず、露光工程でデフォーカスを引き起こすなどの不具合を生じることがあった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板の裏面に充填材が付着することを抑制可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、上面および裏面を有する基板を処理する。前記基板処理装置は、前記基板の前記裏面の中央部を保持して回転させる基板保持部と、前記基板保持部に保持された前記基板の前記上面に充填材を供給する充填材供給部と、前記基板保持部に保持された前記基板の前記裏面に洗浄液を供給する第1洗浄液供給部とを備える。前記第1洗浄液供給部は、前記基板の前記裏面のうちの前記基板保持部に保持される領域に向けて前記洗浄液を供給する。前記第1洗浄液供給部は、前記基板の前記裏面に到達する直前の前記洗浄液の進行方向を前記基板の前記裏面に投影した成分が所定方向に平行になるように前記基板に向いている。前記所定方向は、前記基板の中心から前記洗浄液の到着点に向かう方向に垂直な方向に対して20°以内の範囲で前記基板の径方向内側に向く。
【0008】
本発明の基板処理装置において、前記基板保持部は、前記基板の前記裏面の中央部に吸着する。
【0009】
本発明の基板処理装置において、前記第1洗浄液供給部から前記基板の前記裏面に供給された前記洗浄液は、前記基板の前記裏面で広がり、前記基板の前記裏面のうち前記基板保持部に保持される領域に近接する。
【0010】
本発明の基板処理装置において、前記第1洗浄液供給部は、前記洗浄液を吐出する少なくとも1つのノズルを有する。
【0012】
本発明の基板処理装置において、前記少なくとも1つのノズルは、第1ノズルと第2ノズルとを含み、前記基板の中心から前記第1ノズルによって前記洗浄液が前記基板に吐出される地点までの距離は、前記基板の中心から前記第2ノズルによって前記洗浄液が前記基板に吐出される地点までの距離とは異なる。
【0013】
本発明の基板処理装置において、前記第1ノズルから吐出される洗浄液は、前記第2ノズルから吐出される洗浄液とは異なる。
【0014】
本発明の基板処理装置において、前記基板処理装置は、前記少なくとも1つのノズルを水平方向に移動するノズル移動部をさらに備える。
【0015】
本発明の基板処理装置において、前記基板処理装置は、前記基板の側面を洗浄するための洗浄液を供給する第2洗浄液供給部をさらに備える。
【0016】
本発明の基板処理装置において、前記基板の中心から前記第2洗浄液供給部によって前記洗浄液が前記基板に供給される地点までの距離は、前記基板の中心から前記第1洗浄液供給部によって前記洗浄液が前記基板に供給される地点までの距離よりも長い。
【0017】
本発明の基板処理装置において、前記洗浄液は、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1-エトキシ-2-プロパノールおよびアセトンの少なくとも1つを含む。
【0018】
本発明の基板処理装置において、前記基板処理装置は、前記基板の前記裏面に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部をさらに備える。
【0019】
本発明の他の局面によれば、基板処理方法は、上面および裏面を有する基板を処理する方法である。前記基板処理方法は、前記基板の前記裏面の中央部を保持して回転させる工程と、前記基板の前記上面に充填材を供給する充填材供給工程と、前記充填材供給工程の後、前記基板の前記裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給工程とを包含する。前記洗浄液供給工程は、前記基板の前記裏面のうちの前記基板の保持される領域に向けて前記洗浄液を供給する工程を含む。前記洗浄液を供給する工程では、前記基板の前記裏面に到達する直前の前記洗浄液の進行方向を前記基板の前記裏面に投影した成分が所定方向に平行になるように前記洗浄液を供給する。前記所定方向は、前記基板の中心から前記洗浄液の到着点に向かう方向に垂直な方向に対して20°以内の範囲で前記基板の径方向内側に向く。
【0020】
本発明の基板処理方法において、前記洗浄液供給工程では、前記基板の前記裏面に供給された前記洗浄液は、前記基板の前記裏面で広がり、前記基板の前記裏面のうち前記基板の保持される領域に近接する。
【0022】
本発明の更に他の局面によれば、基板処理方法上面および裏面を有する基板を処理する方法である。前記基板処理方法は、前記基板の前記裏面の中央部を保持して回転させる工程と、前記基板の前記上面に充填材を供給する充填材供給工程と、前記充填材供給工程の後、前記基板の前記裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給工程とを包含する。前記洗浄液供給工程は、前記基板の前記裏面のうちの前記基板の保持される領域に向けて前記洗浄液を供給する工程を含む。前記充填材供給工程は、前記基板の前記上面に前記充填材を吐出する工程と、前記充填材を吐出した後、第1回転速度で前記基板を回転させる工程と、前記第1回転速度で前記基板を回転させた後、前記第1回転速度よりも低い第2回転速度で前記基板を回転させる工程と、前記第2回転速度で前記基板を回転させた後、前記第2回転速度よりも高い第3回転速度で前記基板を回転させる工程とを含む。
【0023】
本発明の基板処理方法において、前記洗浄液供給工程は、第1洗浄液供給部が前記基板の前記裏面のうちの前記基板の保持される領域に向けて前記洗浄液を供給する工程と、第2洗浄液供給部が前記基板の側面を洗浄するための洗浄液を供給する工程と、前記第1洗浄液供給部が前記洗浄液を供給する間、前記第3回転速度よりも低い第4回転速度で前記基板を回転させる工程と、前記第2洗浄液供給部が前記洗浄液を供給する間、前記第4回転速度よりも高い第5回転速度で前記基板を回転させる工程とを含む。
【0024】
本発明の更に他の局面によれば、基板処理方法上面および裏面を有する基板を処理する方法である。前記基板処理方法は、前記基板の前記裏面の中央部を保持して回転させる工程と、前記基板の前記上面に充填材を供給する充填材供給工程と、前記充填材供給工程の後、前記基板の前記裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給工程とを包含する。前記洗浄液供給工程は、前記基板の前記裏面のうちの前記基板の保持される領域に向けて前記洗浄液を供給する工程を含む。前記基板処理方法は、前記充填材を供給する工程を開始する前から前記洗浄液を供給する工程の終了まで前記基板の前記裏面に不活性ガスを供給する工程をさらに包含する。
【0025】
本発明の基板処理方法において、前記不活性ガスを供給する工程では、前記充填材を供給する工程における前記不活性ガスの流量は前記洗浄液を供給する工程における前記不活性ガスの流量よりも低い。
【0026】
本発明の更に他の局面によれば、基板処理方法上面および裏面を有する基板を処理する方法である。前記基板処理方法は、前記基板の前記裏面の中央部を保持して回転させる工程と、前記基板の前記上面に充填材を供給する充填材供給工程と、前記充填材供給工程の後、前記基板の前記裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給工程とを包含する。前記洗浄液供給工程は、前記基板の前記裏面のうちの前記基板の保持される領域に向けて前記洗浄液を供給する工程を含む。前記洗浄液供給工程は、前記基板の前記裏面のうちの前記基板の保持される領域に向けて前記洗浄液を供給し、その後、前記基板の側面を洗浄するための洗浄液を供給する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、基板の裏面に充填材が付着することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明による基板処理装置の実施形態を示す模式図である。
図2】裏面に充填材の付着した基板を示す図である。
図3】(a)および(b)は本実施形態の基板処理装置において基板に対する洗浄液供給部の位置を示す模式図である。
図4】(a)~(d)は本実施形態の基板処理装置において洗浄液供給部から基板に供給された洗浄液の広がる過程を示す模式図である。
図5】本実施形態の基板処理装置において洗浄液供給部から基板に供給された洗浄液の到着点を示す模式図である。
図6】(a)および(b)は本発明による基板処理装置の実施形態を示す模式図である。
図7】本実施形態の基板処理装置を示す模式図である。
図8】本実施形態の基板処理装置を示す模式図である。
図9】(a)~(c)は本実施形態の基板処理装置における洗浄液供給部の模式図である。
図10】(a)および(b)は本発明による基板処理装置の実施形態を示す模式図である。
図11】本実施形態の基板処理装置における加熱処理ユニットの模式図である。
図12】本実施形態の基板処理装置のブロック図である。
図13】本実施形態の基板処理方法を説明するためのフローチャートである。
図14】(a)~(c)は本実施形態の基板処理方法を説明するための模式図である。
図15】(a)~(c)は本実施形態の基板処理方法を説明するための模式図である。
図16】本実施形態の基板処理方法を説明するためのフローチャートである。
図17】本実施形態の基板処理方法を説明するためのフローチャートである。
図18】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図19】本実施形態の基板処理方法を説明するためのフローチャートである。
図20】本実施形態の基板処理方法を説明するためのフローチャートである。
図21】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図22】(a)~(d)は本実施形態の基板処理方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0030】
図1を参照して、本発明による基板処理装置100の実施形態を説明する。図1は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。
【0031】
基板処理装置100は、基板Wを処理する。基板処理装置100は、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去および洗浄のうちの少なくとも1つを行うように基板Wを処理する。
【0032】
基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板を含む。例えば、基板Wは略円板状である。ここでは、基板処理装置100は、基板Wを一枚ずつ処理する。
【0033】
基板処理装置100は、チャンバー110と、基板保持部120と、薬液供給部130と、リンス液供給部135と、有機溶剤供給部140と、充填材供給部150と、第1洗浄液供給部160とを備える。チャンバー110は、基板Wを収容する。基板保持部120は、基板Wを保持する。薬液供給部130は、基板Wに薬液を供給する。リンス液供給部135は、基板Wにリンス液を供給する。有機溶剤供給部140は、基板Wに有機溶剤を供給する。充填材供給部150は、基板Wに充填材を供給する。第1洗浄液供給部160は、基板Wに洗浄液を供給する。
【0034】
チャンバー110は、内部空間を有する略箱形状である。チャンバー110は基板Wを収容する。ここでは、基板処理装置100は基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型であり、チャンバー110には基板Wが1枚ずつ収容される。基板Wは、チャンバー110内に収容され、チャンバー110内で処理される。チャンバー110には、基板保持部120、薬液供給部130、リンス液供給部135、有機溶剤供給部140、充填材供給部150および洗浄液供給部160のそれぞれの少なくとも一部が収容される。
【0035】
チャンバー110の側壁には、基板Wが搬出入される出入口112が設けられる。チャンバー110には、出入口112を開閉するシャッタ114が設けられる。シャッタ114は、シャッタ開閉ユニット116によって開閉駆動される。
【0036】
基板保持部120は、基板Wを保持する。基板保持部120は、基板Wの上面を上方に向け、基板Wの裏面を鉛直下方に向くように基板Wを水平に保持する。また、基板保持部120は、基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。
【0037】
例えば、基板保持部120は、バキューム式のチャックであってもよい。この場合、基板保持部120は、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)の中央部をスピンベース121の上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持する。
【0038】
基板保持部120は、スピンベース121と、回転軸122と、電動モータ123とを含む。回転軸122は、中空軸である。回転軸122は回転軸線AXに沿って鉛直方向に延びている。回転軸122の上端には、スピンベース121が結合されている。基板Wの裏面は、スピンベース121に接触し、基板Wは、スピンベース121の上方に載置される。
【0039】
スピンベース121は、円板状であり、水平な姿勢で基板Wを支持する。スピンベース121は、円板部121Aと、筒状部121Bとを有している。基板Wは、円板部121Aの上方に載置され、基板Wの裏面は、円板部121Aに接触する。円板部121Aは、水平方向に沿った円盤状である。筒状部121Bは、回転軸122の上端に外嵌される。円板部121Aの上面の直径は、基板Wの直径よりも小さい。
【0040】
回転軸122は、スピンベース121の中央部から下方に延びる。電動モータ123は、回転軸122に回転力を与える。電動モータ123は、回転軸122を回転方向に回転させることにより、回転軸線AXを中心に基板Wおよびスピンベース121を回転させる。
【0041】
基板保持部120は、吸引ユニット127をさらに含む。吸引ユニット127は、真空ポンプを含む。吸引ユニット127により、スピンベース121の上面に配置された基板Wは吸引され、基板Wはスピンベース121に保持される。スピンベース121および回転軸122には、吸引経路125が挿通されている。吸引経路125は、スピンベース121の上面の中心から露出する吸引口124を有する。吸引経路125は、吸引管126に連結される。吸引管126は、吸引ユニット127に連結される。吸引管126には、その経路を開閉するためのバルブ128が配置される。
【0042】
上述したように、基板保持部120は、バキューム式のチャックであってもよい。ただし、基板保持部120は、バキューム式のチャックに限定されない。基板保持部120は、基板Wを裏面から保持する任意の機構を有してもよい。あるいは、基板保持部120は、複数のチャックピンを基板Wの周端面に接触させる挟持式のチャックと組み合わせて用いられてもよい。
【0043】
薬液供給部130は、基板Wの上面に薬液を供給する。薬液により、基板Wを処理できる。例えば、薬液により、基板Wには、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去および洗浄のうちの少なくとも1つが行われる。例えば、薬液は、フッ酸(フッ化水素水:HF)を含む。あるいは、薬液は、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、クエン酸、バッファードフッ酸(BHF)、希フッ酸(DHF)、アンモニア水、希アンモニア水、過酸化水素水、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等)、界面活性剤、腐食防止剤のうちの少なくとも1つを含む液であってもよい。また、薬液は、上記液を混合した混合液であってもよい。例えば、これらを混合した薬液の例としては、SPM(硫酸過酸化水素水混合液)、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)等が挙げられる。
【0044】
薬液供給部130は、ノズル131と、供給管132と、バルブ133とを含む。ノズル131は、基板Wの上面と対向し、基板Wの上面に向けて薬液を吐出する。供給管132は、ノズル131に結合される。ノズル131は、供給管132の先端に設けられる。供給管132には、薬液供給源から、薬液が供給される。バルブ133は、供給管132に設けられる。バルブ133は、供給管132内の流路を開閉する。
【0045】
リンス液供給部135は、基板Wの上面にリンス液を供給する。リンス液により、基板Wに付着した薬液等を洗い流すことができる。リンス液供給部135から供給されるリンス液は、脱イオン水(Deionized Water:DIW)、炭酸水、電解イオン水、オゾン水、アンモニア水、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水、または、還元水(水素水)であってもよい。
【0046】
リンス液供給部135は、ノズル136と、供給管137と、バルブ138とを含む。ノズル136は、基板Wの上面と対向し、基板Wの上面に向けてリンス液を吐出する。供給管137は、ノズル136に結合される。ノズル136は、供給管137の先端に設けられる。供給管137には、供給源からリンス液が供給される。バルブ138は、供給管137に設けられる。バルブ138は、供給管137内の流路を開閉する。
【0047】
有機溶剤供給部140は、基板Wの上面に有機溶剤を供給する。例えば、有機溶剤は、充填材に含有される溶媒と、リンス液に含有される水との両方と混和可能であることが好ましい。有機溶剤は、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol:IPA)であってもよい。あるいは、有機溶剤は、エタノール、アセトン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(propylene glycol ethyl ether:PGEE)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propyleneglycol monomethyl ether acetate:PGMEA)などであってもよい。
【0048】
有機溶剤供給部140は、ノズル142と、供給管144と、バルブ146とを含む。ノズル142は、基板Wの上面と対向し、基板Wの上面に向けて有機溶剤を吐出する。供給管144は、ノズル142に結合される。ノズル142は、供給管144の先端に設けられる。供給管144には、供給源から有機溶剤が供給される。バルブ146は、供給管144に設けられる。バルブ146は、供給管144内の流路を開閉する。
【0049】
充填材供給部150は、基板Wの上面に充填材を供給する。充填材の供給により、基板Wに充填膜が形成される。基板Wに微細パターンが形成されている場合、充填材は、微細パターンの隙間に充填されて充填膜を形成する。充填材供給部150が充填材を供給することにより、表面張力の高いリンス液で洗浄した後にリンス液の乾燥に伴って基板Wの微細パターンが倒壊することを抑制できる。なお、充填膜は、微細パターンの隙間に形成されるだけでなく、微細パターンの上部にブリッジ状に形成されてもよい。
【0050】
例えば、充填材によって形成される充填膜は昇華性であることが好ましい。充填材は、例えば、昇華性のアクリル系ポリマーを有機溶媒に溶解させた溶液である。昇華性のアクリル系ポリマーを溶解させる有機溶媒としては、PGEE等が挙げられる。有機溶媒は、IPA、PGMEAなどであってもよい。
【0051】
充填材供給部150は、ノズル152と、供給管154と、バルブ156とを含む。ノズル152は、基板Wの上面と対向し、基板Wの上面に向けて充填材を吐出する。供給管154は、ノズル152に結合される。ノズル152は、供給管154の先端に設けられる。供給管154には、供給源から充填材が供給される。バルブ156は、供給管154に設けられる。バルブ156は、供給管154内の流路を開閉する。
【0052】
第1洗浄液供給部160は、基板Wの裏面に洗浄液を供給する。第1洗浄液供給部160は、基板Wの裏面の内側に洗浄液を供給する。本明細書において、第1洗浄液供給部160を単に洗浄液供給部160と記載することがある。
【0053】
洗浄液供給部160は、洗浄液として有機溶媒を供給してもよい。有機溶媒は、IPA、PGMEA、PGEE、エタノールおよびアセトンの少なくとも1つを含むことが好ましい。あるいは、洗浄液供給部160は、洗浄液として水を供給してもよい。
【0054】
洗浄液供給部160は、ノズル162と、供給管164と、バルブ166とを含む。ノズル162は、基板Wの裏面と対向し、基板Wの裏面に向けて洗浄液を吐出する。供給管164は、ノズル162に結合される。ノズル162は、供給管164の先端に設けられる。供給管164には、供給源から洗浄液が供給される。バルブ166は、供給管164に設けられる。バルブ166は、供給管164内の流路を開閉する。
【0055】
基板処理装置100では、充填材供給部150が基板Wの上面に充填材を供給することにより、リンス液を乾燥する際のパターン倒壊を防ぐことができる。しかしながら、基板に充填材を供給すると、基板の裏面に充填材の一部が付着してしまうことがある。
【0056】
図2は、充填材の付着した基板Wの裏面の模式図である。図2に示すように、基板Wに充填材を供給して充填層を形成する場合、基板Wをプラズマアッシングで処理しても、基板Wの裏面に充填材が付着することがある。充填材が基板Wの裏面に付着していると、その後のフォトリソグラフィ工程で基板Wに露光する場合、基板Wの表面高さが予定からずれてしまい、適切に光をフォーカスできないことがある。この場合、露光パターンを適切に形成できず、製品の歩留まりが低下してしまう。
【0057】
図1に示したように、本実施形態の基板処理装置100では、洗浄液供給部160が基板Wの裏面に洗浄液を供給する。詳細には、洗浄液供給部160は、基板Wの裏面のうちの基板保持部120に保持される領域に向けて洗浄液を供給する。このため、本実施形態の基板処理装置100によれば、基板Wの裏面に充填材が付着することを抑制できる。
【0058】
なお、基板Wの裏面に充填材が付着したまま基板Wを加熱処理すると、充填材の重合が進み、充填材を除去しにくくなる場合がある。このため、基板Wの裏面に付着した充填材は、基板Wを加熱処理する前に除去することが好ましい。
【0059】
ここで、図3を参照して、本実施形態の基板処理装置100における基板保持部120と洗浄液供給部160と基板Wとの位置関係を説明する。図3(a)および図3(b)は、本実施形態の基板処理装置100における基板W、基板保持部120および洗浄液供給部160の模式的な上面図である。図3では、説明が過度に複雑になることを避けるために、基板W、基板保持部120の円板部121Aおよび洗浄液供給部160のノズル162以外を省略して示している。
【0060】
図1および図3(a)に示すように、基板保持部120のスピンベース121は、円板部121Aを有しており、基板Wの中心が円板部121Aの中心と一致するように基板Wは円板部121A上に配置される。円板部121Aの径方向外側には、洗浄液供給部160のノズル162が配置される。洗浄液供給部160のノズル162は、図3(a)の矢印に示す方向に向いている。図3(a)の矢印は、ノズル162から、基板保持部120の円板部121Aの境界に向かっている。このため、洗浄液供給部160のノズル162は、図3(a)の矢印の方向に向けて洗浄液を吐出できる。
【0061】
図3(b)に示すように、基板保持部120は、基板Wを保持して回転方向Rに回転させる。洗浄液供給部160は、基板保持部120が基板Wを保持して回転している状態でノズル162から基板Wの裏面に洗浄液を供給する。この場合、洗浄液供給部160は、基板Wの裏面のうちの基板保持部120に保持されている領域に向けて洗浄液を供給する。基板Wの裏面に供給された洗浄液CWは、基板Wのうちの基板保持部120の近傍だけでなく遠心力によって基板の裏面に広がる。洗浄液供給部160が洗浄液CWを供給し続けると、洗浄液CWは、基板Wの裏面全体に行き渡る。
【0062】
次に、図4を参照して、本実施形態の基板処理装置100における基板Wの裏面に洗浄液CWが広がる過程を説明する。図4(a)~図4(d)は、本実施形態の基板処理装置100において基板保持部120と洗浄液CWと基板Wとの位置関係を示す模式的な上面図である。なお、図4では、基板保持部120の円板部121Aの近傍を拡大して示している。
【0063】
図4(a)に示すように、基板Wが回転した状態で洗浄液CWの供給を開始すると、洗浄液CWは基板Wの裏面に到達する。なお、洗浄液CWの供給開始時に、ノズル162から吐出された洗浄液CWは、基板Wの裏面の地点Pに到達する。以下の説明において、ノズル162から吐出された洗浄液CWが基板Wの裏面に到達する地点Pを到着点Pと呼ぶことがある。
【0064】
本実施形態の基板処理装置100において、洗浄液供給部160のノズル162は、基板Wの回転方向に沿った方向に向いている。なお、洗浄液供給部160のノズル162は、基板Wに到達する直前の洗浄液CWの進行方向を基板Wに投影した成分が基板Wの中心を基準とした到着点Pの法線方向に平行になるように基板Wに向くことが好ましい。
【0065】
その後、図4(b)に示すように、洗浄液CWのさらなる供給および基板Wの回転に伴い、洗浄液CWは基板Wの到着点Pから広がる。このとき、洗浄液CWは、基板Wの裏面上において、洗浄液供給部160のノズル162から洗浄液CWの吐出する方向に沿って広がるとともに、基板Wの回転による遠心力によって基板Wの径方向に広がる。このため、洗浄液CWの広がりの中心は、基板Wに到達する直前の洗浄液CWの進行方向を基板Wに投影した成分よりも径方向外側に向いている。
【0066】
図4(c)に示すように、洗浄液CWのさらなる供給および基板Wの回転に伴い、洗浄液CWは基板Wの到着点Pからさらに広がる。洗浄液CWのうちの基板Wの径方向内側の成分に着目すると、洗浄液CWは、基板Wの裏面のうち基板保持部120に保持されている領域に近づく。具体的には、基板Wの裏面の中央部は、基板保持部120のスピンベース121の円板部121Aと接触しているため、洗浄液CWは、基板Wと円板部121Aとの境界に近づく。一方、洗浄液CWのうちの基板Wの径方向外側の成分に着目すると、洗浄液CWは、ノズル162から吐出されて基板Wに到達する直前の洗浄液CWの進行方向を基板Wに投影した成分に沿って広がるとともに、基板Wの回転による遠心力によって基板Wの径方向に広がる。
【0067】
図4(d)に示すように、洗浄液CWのさらなる供給および基板Wの回転に伴い、洗浄液CWは基板Wの到着点Pからさらに広がる。洗浄液CWのうちの基板Wの径方向内側の成分に着目すると、洗浄液CWは、基板Wの裏面のうち基板保持部120に保持されている領域にさらに近づくものの、基板保持部120に到達することなく、基板保持部120に保持されている領域に近接して進行する。なお、洗浄液CWと基板保持部120との距離は、3mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがさらに好ましい。具体的には、基板Wの裏面の中央部は、基板保持部120のスピンベース121の円板部121Aと接触しているため、洗浄液CWは、基板保持部120に到達することなく、基板Wと円板部121Aとの境界に近接して進行する。一方、洗浄液CWのうちの基板Wの径方向外側の成分に着目すると、洗浄液CWは、ノズル162から吐出されて基板Wに到達する直前の洗浄液CWの進行方向を基板Wに投影した成分に沿って広がるとともに、基板Wの回転による遠心力によって基板Wの径方向に広がる。
【0068】
その後、洗浄液CWのさらなる供給および基板Wの回転に伴い、洗浄液CWは基板Wの到着点Pからさらに広がる。ここでは、図示することを省略するが、洗浄液CWのうちの基板Wの径方向内側の成分に着目すると、洗浄液CWは、基板保持部120に保持されている領域に近接して進行して一周する。具体的には、基板Wの裏面の中央部は、基板保持部120のスピンベース121の円板部121Aと接触しているため、洗浄液CWは、基板Wと円板部121Aとの境界に近接して一周する。一方、洗浄液CWのうちの基板Wの径方向外側の成分に着目すると、洗浄液CWは、ノズル162から吐出されて基板Wに到達する直前の洗浄液CWの進行方向を基板Wに投影した成分に沿って広がり、基板Wの外周縁に達するとともに、基板Wの裏面の全体に行き渡る。
【0069】
本実施形態の基板処理装置100では、洗浄液供給部160が洗浄液CWを供給することにより、基板Wの裏面のうち基板保持部120に保持されない領域のほぼ全体に洗浄液CWが行き渡る。このため、充填材供給部150が基板Wに充填材を供給しても、洗浄液供給部160の洗浄液CWにより、基板Wの裏面に付着した充填材を洗浄できる。
【0070】
なお、図4(a)において、到着点Pと基板保持部120との距離は、洗浄液CWの広がりを考慮して決定されることが好ましい。例えば、到着点Pと基板保持部120との距離は、0.5mm以上5.0mm以下であってもよく、0.8mm以上4.0mm以下であってもよい。
【0071】
なお、図3および図4を参照した上述の説明では、基板Wに到達する直前の洗浄液CWの進行方向を基板Wに投影した成分は、基板Wの中心を基準とした到着点の法線方向とほぼ平行であったが、本実施形態はこれに限定されない。本明細書の以下の説明において、ノズル162から吐出されて基板Wに到達する直前の洗浄液CWの進行方向を基板Wに投影した成分を「洗浄液CWの入射方向」と記載することがある。洗浄液CWの入射方向は、基板Wの中心を基準とした到着点の法線方向と平行でなくてもよい。ノズル162の位置が同じであっても、洗浄液CWの入射方向は、洗浄液CWの吐出距離に応じて異なる。
【0072】
次に、図5を参照して、洗浄液CWの入射方向と基板Wの中心を基準とした到達点の法線方向との関係を説明する。図5は、本実施形態の基板処理装置100において洗浄液供給部160から基板Wに供給された洗浄液の到着点を示す模式図である。
【0073】
洗浄液供給部160のノズル162から吐出された洗浄液が基板W上の到着点P1に到達する場合、洗浄液CWの入射方向が基板Wの中心を基準とした到着点の法線方向と平行である。ただし、洗浄液CWの入射方向が基板Wの中心を基準とした到着点の法線方向と平行でなくてもよい。
【0074】
例えば、洗浄液CWの入射方向が基板Wの中心を基準とした到着点の法線方向に対して径方向外側を向いてもよい。例えば、洗浄液供給部160のノズル162から吐出された洗浄液が基板W上の到着点P2に到達する場合、洗浄液CWの入射方向は、基板Wの中心を基準とした到着点の法線方向に対して径方向外側を向く。この場合、洗浄液CWは、基板Wの径方向外側に向かう遠心力を受けるため、洗浄液CWが径方向内側に向かって充分に広がらないことがある。このため、洗浄液CWの入射方向と基板Wの中心を基準とした到着点の法線方向との角度θ1は大きくなりすぎないことが好ましい。例えば、角度θ1は、30°以下であることが好ましい。
【0075】
あるいは、洗浄液CWの入射方向は基板Wの中心を基準とした到着点の法線方向に対して径方向内側を向いてもよい。例えば、洗浄液供給部160のノズル162から吐出された洗浄液が基板W上の到着点P3に到達する場合、洗浄液CWの入射方向は、基板Wの中心を基準とした到着点の法線方向に対して径方向内側を向く。この場合、洗浄液CWの入射方向の成分は、遠心力と対向する成分であるため、洗浄液CWが基板Wの径方向外側に向かって充分に広がらないことがある。また、洗浄液CWの入射方向が、基板Wの中心を基準とした到着点の法線方向に対して径方向内側を向く場合、基板保持部120と基板Wとの境界に洗浄液CWが到達すると、基板保持部120と基板Wとの隙間から洗浄液CWが基板保持部120の内部に浸透し、基板保持部120による基板保持機能が低下することがある。このため、洗浄液CWの入射方向と基板Wの中心を基準とした到着点の法線方向との角度θ2は大きくなりすぎないことが好ましい。例えば、角度θ2は、20°以下であることが好ましい。
【0076】
なお、洗浄液CWの入射方向は、基板Wの中心を基準とした到着点の法線方向に対してほぼ平行である場合、ノズル162の吐出方向および洗浄液CWの入射方向および吐出距離を容易に調整できる。このため、洗浄液CWの入射方向は、基板Wの中心を基準とした到着点の法線方向に対してほぼ平行であってもよい。
【0077】
なお、図1図3図5を参照した説明では、洗浄液供給部160は、1つのノズルから洗浄液を基板Wに吐出したが、本実施形態はこれに限定されない。洗浄液供給部160は、複数のノズルから洗浄液を基板Wに吐出してもよい。
【0078】
また、図3を参照した説明では、洗浄液供給部160は、基板Wにノズルから1つの洗浄液を吐出したが、本実施形態はこれに限定されない。洗浄液供給部160は、基板Wに複数のノズルから異なる洗浄液を吐出してもよい。
【0079】
ここで、図6を参照して、本実施形態の基板処理装置100における洗浄液供給部160を説明する。図6(a)は、本実施形態の基板処理装置100の模式的な上面図である。図6(a)に示すように、洗浄液供給部160は、ノズルとしてノズル162a、162b、162c、162dを有する。
【0080】
ノズル162a、162b、162c、162dは、基板保持部120の回転軸線AXを中心として互いに等間隔に配置される。ノズル162a、162b、162c、162dから、回転軸線AXまでの距離は互いにほぼ等しい。ノズル162aおよびノズル162cは互いに対向する位置に配置され、ノズル162bおよびノズル162dは互いに対向する位置に配置される。
【0081】
図6(b)は、本実施形態の基板処理装置100の模式的な上面図である。図6(b)に示すように、ノズル162aおよびノズル162cは、基板Wの回転方向Rに沿って洗浄液を吐出する。また、ノズル162bおよびノズル162dは、基板Wの径方向に沿って洗浄液を吐出する。このため、基板Wの中心からノズル162aおよびノズル162cによって洗浄液が基板Wに吐出される地点までの距離は、基板Wの中心からノズル162bおよびノズル162dによって洗浄液が基板Wに吐出される地点までの距離とは異なる。基板Wの中心からノズル162aおよびノズル162cによって洗浄液が基板Wに吐出される地点までの距離は比較的短く、基板Wの中心からノズル162bおよびノズル162dによって洗浄液が基板Wに吐出される地点までの距離は比較的長い。
【0082】
なお、ノズル162aおよびノズル162cから吐出される洗浄液は、ノズル162bおよびノズル162dから吐出される洗浄液とは異なってもよい。例えば、ノズル162aおよびノズル162cから、洗浄液としてIPAが吐出され、ノズル162bおよびノズル162dから洗浄液としてDIWが吐出されてもよい。この場合、ノズル162aおよびノズル162cは共通の供給管に結合されてもよく、ノズル162bおよびノズル162dは、ノズル162aおよびノズル162cとは別の共通の供給管に結合されてもよい。
【0083】
なお、図1図3図6を参照して上述した説明では、基板処理装置100の洗浄液供給部160は基板Wの裏面の内側に洗浄液を供給し、基板Wの裏面全体を洗浄したが、本実施形態はこれに限定されない。基板処理装置100は、洗浄液供給部160とは別に基板Wの裏面、側面および上面の周縁部の洗浄に適した洗浄液を供給してもよい。
【0084】
次に、図7を参照して、基板Wの裏面に洗浄液を供給する第2洗浄液供給部170をさらに備えた基板処理装置100を説明する。図7は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。図7に示した基板処理装置100は、基板Wの裏面に洗浄液を供給する第2洗浄液供給部170をさらに備える点を除き、図1を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0085】
本実施形態の基板処理装置100は、チャンバー110、基板保持部120、薬液供給部130、リンス液供給部135、有機溶剤供給部140、充填材供給部150および第1洗浄液供給部160に加えて、第2洗浄液供給部170をさらに備える。第2洗浄液供給部170は、基板Wの裏面に洗浄液を供給する。
【0086】
第2洗浄液供給部170は、第1洗浄液供給部160よりも基板Wの径方向外側に洗浄液を供給する。このため、第2洗浄液供給部170から供給された洗浄液は、基板Wの側面に充分に到達し、基板Wの裏面、側面および上面の周縁部を洗浄する。なお、本明細書において、第2洗浄液供給部170を単に洗浄液供給部170と記載することがある。
【0087】
第2洗浄液供給部170は、ノズル172と、供給管174と、バルブ176とを含む。ノズル172は、基板Wの裏面と対向し、基板Wの裏面に向けて洗浄液を吐出する。供給管174は、ノズル172に結合される。ノズル172は、供給管174の先端に設けられる。供給管174には、供給源から洗浄液が供給される。バルブ176は、供給管174に設けられる。バルブ176は、供給管174内の流路を開閉する。
【0088】
なお、図7を参照した説明では、洗浄液供給部170は、1つのノズルから洗浄液を基板Wに吐出したが、本実施形態はこれに限定されない。洗浄液供給部170は、複数のノズルから洗浄液を基板Wに吐出してもよい。
【0089】
図8は、本実施形態の基板処理装置100模式的な上面図である。基板処理装置100において、第1洗浄液供給部160は、ノズルとしてノズル162a、162b、162c、162dを有する。第2洗浄液供給部170は、ノズルとしてノズル172a、172b、172c、172dを有する。
【0090】
ノズル172a、172b、172c、172dは、基板保持部120の回転軸を中心として互いに等間隔に配置される。なお、ノズル172a、172b、172c、172dから、回転軸線AXまでの距離は互いにほぼ等しい。ノズル172a、172b、172c、172dから回転軸線AXまでの距離は、また、ノズル162a、162b、162c、162dから回転軸線AXまでの距離よりも長い。
【0091】
ノズル172aおよび172cは互いに対向する位置に配置され、ノズル172bおよび172dは互いに対向する位置に配置される。ここでは、ノズル172a、172b、172c、172dは、基板Wの回転方向および径方向に沿って洗浄液を吐出する。ノズル172a、172b、172c、172dからの洗浄液の吐出方向は、基板Wの回転方向の成分と基板Wの径方向の成分との和で表される。このため、基板Wの中心から第2洗浄液供給部170によって洗浄液が基板Wに供給される地点までの距離は、基板Wの中心から第1洗浄液供給部160によって洗浄液が基板Wに供給される地点までの距離よりも長い。例えば、ノズル172a、172b、172c、172dから、洗浄液としてIPAが吐出されてもよい。あるいは、ノズル172a、172b、172c、172dから、洗浄液としてDIWが吐出されてもよい。
【0092】
なお、図7および図8に示した第2洗浄液供給部170によって供給される洗浄液は、第1洗浄液供給部160によって供給される洗浄液とは少なくとも一部異なることが好ましい。ただし、第2洗浄液供給部170によって供給される洗浄液は、第1洗浄液供給部160によって供給される洗浄液と同じであってもよい。
【0093】
次に、図9を参照して、本実施形態の基板処理装置100における洗浄液供給部160、170を説明する。図9(a)は、本実施形態の基板処理装置100における基板保持部120、洗浄液供給部160、170の模式的な斜視図である。図9(a)に示すように、洗浄液供給部160のノズル162a、162b、162c、162dは基板保持部120の近傍に配置され、洗浄液供給部170のノズル172a、172b、172c、172dは基板保持部120から離れた位置に配置される。
【0094】
図9(b)は、本実施形態の基板処理装置100における基板保持部120、洗浄液供給部160、170の一部拡大上面図である。図9(b)に示すように、ノズル162aの先端は、円周方向に沿って上方を向いている一方、ノズル172aの先端は、円周方向の成分と径方向の成分とを合わせた方向に沿って上方を向いている。
【0095】
図9(c)は、本実施形態の基板処理装置100における洗浄液供給部160の一部拡大断面側面図である。図9(c)に示すように、洗浄液供給部160の供給管164は、基板Wと直交して鉛直方向に延びている。ノズル162は、供給管164の先端に設けられる。ノズル162は、供給管164の先端において水平方向に対して所定の角度θだけ傾いて斜め上方を向くように設けられる。例えば、角度θは、5°以上25°以下であってもよく、10°以上20°以下であってもよい。また、ノズル162の吐出方向に沿ったノズル162と基板Wとの間の距離は、1mm以上20mm以下であってもよく、1mm以上15mm以下であってもよい。
【0096】
次に、図10図11を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。本実施形態の基板処理装置100は、チャンバー110(図1および図7)を複数備え、さらにチャンバー210を備える点で、図1および図7を参照して上述した基板処理装置100とは異なる。このため、冗長な説明を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0097】
図10(a)は、基板処理装置100の模式的な平面図である。図10(b)は、基板処理装置100の構成を説明するための図解的な立面図である。基板処理装置100は、半導体ウエハ等の基板W一枚ずつに対して、洗浄処理やエッチング処理等の各種の処理を施す枚葉式の装置である。
【0098】
図10(a)および図10(b)に示すように、基板処理装置100は、チャンバー110の単位で設けられた複数の液処理ユニット100Cと、チャンバー210の単位で設けられた複数の加熱処理ユニット100Hと、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御ユニット220とを備える。ロードポートLPには、複数枚の基板Wを収容するキャリヤCが載置される。制御ユニット220は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、液処理ユニット100Cおよび加熱処理ユニット100Hを制御する。図12に示すように、制御ユニット220は、プロセッサ222およびメモリ224を含む。
【0099】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと液処理ユニット100Cとの間で基板Wを搬送する。液処理ユニット100Cの各々は、基板Wに処理液を吐出して、基板Wを処理する。
【0100】
具体的には、複数の液処理ユニット100Cは、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数の処理タワーTW(図10では4つの処理タワーTW)を形成している。各処理タワーTWは、上下に積層された複数の液処理ユニット100Cおよび加熱処理ユニット100Hを含む。
【0101】
基板処理装置100は、水平方向に延びる搬送路230をさらに含む。搬送路230は、インデクサーロボットIRからセンターロボットCRに向かって直線状に延びている。複数の処理タワーTWは、搬送路230を挟んで対称に配置されている。複数の処理タワーTWは、搬送路230の両側のそれぞれにおいて、搬送路230が延びる方向に沿って並んでいる。本実施形態では、処理タワーTWは、搬送路230の両側に2つずつ配置されている。
【0102】
複数の処理タワーTWのうち、インデクサーロボットIRに近い側の2つの処理タワーTWのそれぞれを、第1処理タワーTWAおよび第2処理タワーTWBという。第1処理タワーTWAおよび第2処理タワーTWBは、搬送路230を挟んで互いに対向している。複数の処理タワーTWのうち、インデクサーロボットIRから遠い側の2つの処理タワーTWのそれぞれを、第3処理タワーTWCおよび第4処理タワーTWDという。第3処理タワーTWCおよび第4処理タワーTWDは、搬送路230を挟んで互いに対向している。
【0103】
第1処理タワーTWAおよび第3処理タワーTWCは、搬送路230に並んで配置されている。第2処理タワーTWBおよび第4処理タワーTWDは、搬送路230に並んで配置されている。
【0104】
第1処理タワーTWAは、2つの液処理ユニット100Cと、加熱処理ユニット100Hとを含む。第1処理タワーTWAと同様に、第2処理タワーTWB~第4処理タワーTWDのそれぞれも、2つの液処理ユニット100Cと、加熱処理ユニット100Hとを含む。なお、複数の液処理ユニット100Cは、それぞれ同様の構成を有している。複数の加熱処理ユニット100Hは、それぞれ同様の構成を有している。
【0105】
図10(b)に示すように、第1処理タワーTWAでは、液処理ユニット100C、加熱処理ユニット100Hおよび液処理ユニット100Cが積層されており、2つの液処理ユニット100Cの間に加熱処理ユニット100Hが配置される。第1処理タワーTWAと同様に、第2処理タワーTWB~第4処理タワーTWDにおいても、液処理ユニット100C、加熱処理ユニット100Hおよび液処理ユニット100Cが積層されており、2つの液処理ユニット100Cの間に加熱処理ユニット100Hが配置される。
【0106】
図11は、本実施形態の基板処理装置100における加熱処理ユニット100Hの模式図である。加熱処理ユニット100Hは、チャンバー210と、基板Wを保持する基板ホルダ200と、基板Wを加熱するヒータ201(基板加熱ユニット)と、基板Wを冷却する冷却ユニット202と、基板Wを上下動させる複数のリフトピン203とを含む。
【0107】
基板ホルダ200は、基板Wが水平な姿勢となるように基板Wを下方から支持する板状の部材である。基板ホルダ200は、基板Wを水平に保持する基板保持ユニットに含まれる。基板ホルダ200は、チャンバー210内に収容されている。
【0108】
ヒータ201および冷却ユニット202は、基板ホルダ200に内蔵されている。ヒータ201、冷却ユニット202および基板ホルダ200によって、温度調節プレートが構成されている。ヒータ201は、伝熱または熱輻射によって基板Wを加熱する。ヒータ201には、ヒータ201に電力を供給するヒータ通電ユニット209が接続されている。ヒータ201は、基板Wを約250℃に加熱可能である。
【0109】
ヒータ201の代わりに、電磁波(紫外線、赤外線、マイクロ波、X線、レーザ光等)を照射して基板Wを加熱する電磁波照射ユニットが用いられてもよい。冷却ユニット202は、基板ホルダ200内を通る冷却通路を有していてもよい。冷却ユニット202は、電子冷却素子を有していてもよい。
【0110】
複数のリフトピン203は、基板ホルダ200を貫通する複数の貫通穴にそれぞれ挿入されている。複数のリフトピン203が、リフトピン昇降ユニット216によって、上位置と下位置との間で昇降される。複数のリフトピン203が上位置に位置するとき、基板Wは、基板ホルダ200から上方に離間する。複数のリフトピン203が下位置に位置するとき、複数のリフトピン203の上端部が基板ホルダ200の内部に退避する。そのため、基板Wは、基板ホルダ200によって下方から支持される。
【0111】
チャンバー210は、ベース部211と、ベース部211に対して上下動する可動蓋部212とを有している。ベース部211と可動蓋部212とによって、チャンバー210の内部空間213が区画されている。可動蓋部212は、蓋部駆動ユニット214によって、上位置と下位置との間で昇降される。可動蓋部212が下位置に位置するとき、ベース部211と可動蓋部212とが接触する。これにより、チャンバー210が閉じられる。可動蓋部212が上位置に位置するとき、センターロボットCRがチャンバー210の内部空間213にアクセスできる。
【0112】
図12は、本実施形態の基板処理装置100のブロック図である。図12に示すように、制御ユニット220は、マイクロコンピュータを備えており、所定のプログラムに従って、基板処理装置100に備えられた制御対象を制御する。
【0113】
具体的には、制御ユニット220は、プロセッサ222と、プログラムが格納されたメモリ224とを含む。制御ユニット220は、プロセッサ222がプログラムを実行することによって、基板処理のための様々な制御を実行するように構成されている。特に、制御ユニット220は、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、シャッタ開閉ユニット116、蓋部駆動ユニット214、リフトピン昇降ユニット216、ヒータ通電ユニット209、第1ガード昇降ユニット193L、第2ガード昇降ユニット194L、ノズル移動ユニット158、バルブ128、133、138、146、156、166の動作を制御する。
【0114】
次に、図1図7図10図15を参照して、基板処理装置100による基板処理を説明する。図13は、基板処理装置100による基板処理を説明するためのフローチャートであり、主として、制御ユニット220がプログラムを実行することによって実現される処理が示されている。図14(a)~図14(c)および図15(a)~図15(c)は、基板処理を説明するための模式図である。
【0115】
基板処理装置100は、基板Wを連続して処理する。基板Wの連続処理中、加熱処理ユニット100Hのヒータ201は、ヒータ通電ユニット209によって通電された状態で維持される(図12参照)。
【0116】
まず、図14(a)に示すように、基板Wが、インデクサーロボットIR、センターロボットCR(図10(a)および図10(b))によってキャリヤCから液処理ユニット100Cに搬入される(第1搬入工程:S102)。センターロボットCRは、出入口112(図1および図7)を介して液処理ユニット100Cに進入する。液処理ユニット100Cに搬入された基板Wは、センターロボットCRから基板保持部120に渡される。基板Wは、上面が上方を向くようにスピンベース121に載置される。
【0117】
そして、バルブ128が開かれる。これにより、基板Wの裏面がスピンベース121の上面に接触した状態で、基板Wが基板保持部120に保持される(第1基板保持工程)。この後、基板Wは、センターロボットCRによって液処理ユニット100Cから搬出されるまでの間、水平に保持された状態で維持される。
【0118】
その後、図14(b)に示すように、電動モータ123が基板Wの回転を開始する(基板回転工程:S104)。そして、第1ガード昇降ユニット193Lおよび第2ガード昇降ユニット194Lが第1ガード193、第2ガード194を基板Wの側方にまで上昇させる。
【0119】
そして、図14(c)に示すように、バルブ133が開かれ、薬液供給部130のノズル131から基板Wの上面への薬液の供給が開始される。基板Wの上面に供給された薬液は、遠心力によって基板Wの上面の全体に行き渡る。これにより、基板Wが薬液によって処理される(薬液処理工程:S106)。遠心力によって基板W外へ排出された薬液は、第1ガード193によって受けられる。
【0120】
基板Wの上面に薬液を一定時間供給した後、バルブ133が閉じられ、有機溶剤吐出前に、第1ガード昇降ユニット193Lが第1ガード193を下位置に移動させ、バルブ146が開かれる。これにより、図15(a)に示すように、有機溶剤供給部140のノズル142から上面への有機溶剤の供給が開始される(有機溶剤供給工程:S108)。上面に供給された有機溶剤は、遠心力によって上面の全体に行き渡る。これにより、基板W上の薬液が有機溶剤に置換される。遠心力によって基板W外へ排出された薬液および有機溶剤は、第2ガード194によって受けられる。
【0121】
上面に有機溶剤が供給されている間に、ノズル移動ユニット158が、ノズル152を中央位置に移動させる。また、基板Wの上面に有機溶剤を一定時間供給した後、バルブ146が閉じられ、バルブ156が開かれる。これにより、図15(b)に示すように、充填材供給部150のノズル152から基板Wの上面に充填材の供給が開始される(充填材供給工程:S110)。基板Wの上面に供給された充填材は、遠心力によって基板Wの上面の全体に行き渡る。これにより、基板W上の有機溶剤が充填材に置換される。この結果、基板Wの上面が充填材の液膜によって覆われる。遠心力によって基板W外へ排出された有機溶剤および充填材は、第2ガード194によって受けられる。ノズル152は、充填材の吐出を終了した後すぐに、洗浄液吐出前に退避位置に移動する。
【0122】
ノズル152から基板Wの上面に供給された充填材が上面の周縁部から基板Wの裏面に回り込むことがある。また、基板Wの上面外に飛散した充填材が第1ガード193、第2ガード194から跳ね返って裏面の周縁部に付着する場合もある。このため、基板Wの上面が充填材の液膜によって覆われた後、バルブ166およびバルブ176が開かれる。これにより、図15(c)に示すように、洗浄液供給部160のノズル162および洗浄液供給部170のノズル172から基板Wの裏面に洗浄液が供給される(洗浄液供給工程:S112)。ノズル162およびノズル172から吐出された洗浄液が、基板Wの裏面に供給されることによって、基板Wの裏面が洗浄される。そのため、充填材による裏面の汚染を抑制することができる。このように、洗浄液供給部160が洗浄ユニットとして機能する。
【0123】
その後、バルブ166およびバルブ176が閉じられ、第2ガード194が下位置に移動させられる。そして、電動モータ123が基板Wの回転を停止させる。そして、バルブ128が閉じられる。
【0124】
その後、シャッタ開閉ユニット116(図1および図7)によって再びシャッタ114が開かれる。そして、センターロボットCRは、出入口112を介して液処理ユニット100Cにアクセスし、液処理ユニット100Cから基板Wを搬出する(第1搬出工程:S114)。
【0125】
そして、基板Wは、センターロボットCRによって、加熱処理ユニット100H(図11)に搬入される(第2搬入工程:S116)。このとき、蓋部駆動ユニット214が可動蓋部212を上位置に位置させることによって、センターロボットCRは、加熱処理ユニット100Hに進入することができる。そして、基板Wは、基板ホルダ200によって水平に保持される(第2基板保持工程)。具体的には、基板Wは、上位置に配置された複数のリフトピン203に受け渡された後、リフトピン203がリフトピン昇降ユニット216によって下位置に移動させられる。これにより、基板Wが基板ホルダ200の上面に載置される。そして、センターロボットCRが加熱処理ユニット100Hから退避する。その後に、蓋部駆動ユニット214が可動蓋部212を下位置に位置させる。これによって、チャンバー210が閉じられる。
【0126】
加熱処理ユニット100Hでは、基板ホルダ200に内蔵されたヒータ201によって基板Wが加熱される(基板加熱工程:S118)。これにより、基板Wの上面を覆う充填材が固化される(固化工程)。詳しくは、充填材に含有される溶媒が蒸発し、固体成分のみが上面上に残る。これにより、基板Wの上面を覆う昇華性の被覆膜が形成される。固化工程が実行されることによって、被覆膜を確実に形成することができる。
【0127】
なお、前述した周縁洗浄工程は、固化工程の開始前に行われている。そのため、固化工程によって充填材が固化される前に、裏面の周縁部が洗浄される。したがって、充填材が固化された後に裏面の周縁部を洗浄する場合と比較して、裏面の周縁部を洗浄しやすい。そして、蓋部駆動ユニット214(図12)によって可動蓋部212が上位置に位置させられ、リフトピン昇降ユニット216によって、複数のリフトピン203が上位置に移動される。そして、センターロボットCRが複数のリフトピン203から基板Wを受け取り、加熱処理ユニット100Hから基板Wを搬出する(S120:第2搬出工程)。以上のようにして基板Wを処理できる。
【0128】
なお、基板Wの回転速度は、基板Wの処理に応じて適宜変更してもよい。例えば、基板Wに充填材を供給した後、基板Wの回転速度は適宜変更してもよい。
【0129】
次に、図16を参照して、充填材を基板Wに供給した後に基板Wの回転速度を変更する実施形態を説明する。図16は、本実施形態の基板処理装置における基板処理方法を説明するためのフローチャートである。なお、本実施形態の基板処理装置における基板処理方法は、充填材供給工程(S110)および洗浄液供給工程(S112)の詳細以外は、図13に示したフローチャートと同様であるため、図16には、フローチャートにおける充填材供給工程(S110)および洗浄液供給工程(S112)のみを示している。
【0130】
図16に示すように、充填材供給工程(S110)において、電動モータ123は基板Wを回転した状態で、バルブ156を開いて充填材供給部150のノズル152から基板Wの上面に充填材の吐出を開始し、所定量の充填材を吐出する(充填材吐出工程:S110a)。その後、バルブ156を閉じてノズル152から基板Wの上面に充填材の吐出を停止する。
【0131】
その後、電動モータ123は基板Wを第1回転速度で回転させる。充填材の吐出量および第1回転速度により、充填層の厚さが決定される(膜厚決定工程:S110b)。例えば、第1回転速度は、1000rpm以上3000rpm以下である。
【0132】
その後、電動モータ123は基板Wを第2回転速度で回転させる。第2回転速度は第1回転速度より低い。比較的低速の第2回転速度で基板Wを回転させることにより、基板Wが微細構造であっても充填材を基板Wの全面に充分に行き渡らせることができる(浸透工程:S110c)。例えば、第2回転速度は10rpm以上500rpm以下である。
【0133】
その後、電動モータ123は基板Wを第3回転速度で回転させる。第3回転速度は第2回転速度より高い。比較的高速の第3回転速度で基板Wを回転させることにより、基板Wに残った充填材を吹き飛ばし、基板Wを乾燥させることができる(乾燥工程:S110d)。例えば、第3回転速度は、1000rpm以上3000rpm以下である。
【0134】
その後、洗浄液供給部160のノズル162から基板Wの裏面に洗浄液が供給される。ノズル162から吐出された洗浄液が、基板Wの裏面に供給されることによって、基板Wの裏面が洗浄される(洗浄液供給工程:112)。
【0135】
図7を参照して上述したように、基板処理装置100が第1洗浄液供給部160に加えて第2洗浄液供給部170を備える場合、まず、ノズル162から吐出された洗浄液が、基板Wの裏面の内側に供給されることによって、基板Wの裏面の内側が洗浄される(洗浄液内側供給工程:S112a)。この場合、電動モータ123は基板Wを第4回転速度で回転させる。第4回転速度は第3回転速度よりも低い。比較的低速の第4回転速度で基板Wを回転させることにより、基板Wの裏面の内側に供給された洗浄液で基板Wの裏面を確実に洗浄できる。例えば、第4回転速度は、10rpm以上200rpm以下である。
【0136】
その後、ノズル172から吐出された洗浄液が、基板Wの裏面に供給されることによって、基板Wの裏面の外側および側面を洗浄する(洗浄液外側供給工程:S112b)。この場合、電動モータ123は基板Wを第5回転速度で回転させる。第5回転速度は第4回転速度よりも高い。比較的高速の第5回転速度で基板Wを回転させることにより、基板Wの裏面の外側に供給された洗浄液で基板の裏側、側面および上面の周縁部を確実に洗浄できる。例えば、第5回転速度は、50rpm以上2000rpm以下である。
【0137】
なお、図16を参照した上述の説明では、洗浄液内側供給工程(S112a)の後、洗浄液外側供給工程(S112b)を行ったが、本実施形態はこれに限定されない。洗浄液外側供給工程(S112b)の後に、板裏面内側洗浄工程(S112a)を行ってもよい。ただし、回転する基板Wに供給された洗浄液は、基板Wの内側から外側に向かって遠心力を受ける。このため、洗浄液内側供給工程(S112a)の後に洗浄液外側供給工程(S112b)を行うことにより、基板Wの内側、外側および側面を充分に洗浄できる。
【0138】
また、図16を参照した上述の説明では、洗浄液内側供給工程(S112a)の後に洗浄液外側供給工程(S112b)を行ったが、本実施形態はこれに限定されない。洗浄液は、基板Wの内側および外側に同時に供給されてもよい。
【0139】
図17は、本実施形態の基板処理装置100における基板処理方法を説明するためのフローチャートである。本実施形態の基板処理装置における基板処理方法は、洗浄液供給工程(S112)の詳細以外は、図13および図16に示したフローチャートと同様であるため、図17には、洗浄液供給工程(S112)のみを示している。
【0140】
図17に示すように、まず、ノズル162から吐出された洗浄液が、基板Wの裏面に供給されることによって、基板Wの裏面の内側を洗浄する(洗浄液内側供給工程:S112a)。
【0141】
その後、ノズル162から洗浄液を吐出し続けるとともに、ノズル172からの洗浄液の吐出を開始する。ノズル162およびノズル172から洗浄液を基板Wの裏面に吐出することによって、基板Wの裏面の内側から外側および側面を同時に洗浄してもよい(洗浄液両側供給工程:S112b’)。
【0142】
図16および図17を参照して説明したように、洗浄液内側供給工程(S112a)の後に、基板Wの裏面の外側および側面を洗浄することが好ましい。これにより、充填材吐出工程(S110a)の後であって、チャンバー110内の汚染雰囲気の巻き込みおよび/または第1ガード193、第2ガード194からの跳ね返りが発生しやすい期間に基板Wの裏面を効率的に洗浄および保護できる。さらに、基板Wの裏面の外側および側面を洗浄するのに先立ち、基板Wの裏面の内側を洗浄することにより、基板Wの上面に回り込む洗浄液を清浄に維持できる。
【0143】
なお、図16および図17を参照した上述の説明では、洗浄液内側供給工程(S112a)は、乾燥工程(S110d)の後に行われたが、本実施形態はこれに限定されない。洗浄液内側供給工程(S112a)は、乾燥工程(S110d)と同時に行われてもよい。例えば、浸透工程(110c)の後に、乾燥工程(S110d)と同時に洗浄液内側供給工程(S112a)を行い、その後、洗浄液外側供給工程(112b)を行ってもよい。
【0144】
また、図16および図17を参照した上述の説明では、洗浄液内側供給工程(S112a)は、乾燥工程(S110d)の後に行われたが、本実施形態はこれに限定されない。洗浄液内側供給工程(S112a)は、乾燥工程(S110d)の前に行われてもよい。例えば、洗浄液内側供給工程(S112a)は、浸透工程(110c)と同時に行い、その後、乾燥工程(S110d)を行った後で、洗浄液外側供給工程(112b)を行ってもよい。
【0145】
なお、基板処理装置100では、基板Wに薬液を供給する以降に、基板Wの裏面に不活性ガスを供給することが好ましい。特に、基板処理装置100は、基板Wに充填材を供給する前から洗浄液を供給する工程の終了まで、基板Wの裏面に不活性ガスを供給することが好ましい。
【0146】
次に、図18を参照して、基板Wの裏面に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部を備えた基板処理装置100を説明する。図18は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。図18に示した基板処理装置100は、基板Wの裏面に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部180をさらに備える点を除き、図1を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0147】
不活性ガス供給部180は、基板Wの裏面に不活性ガスを供給する。例えば、不活性ガスは、窒素ガスを含む。
【0148】
不活性ガス供給部180は、ガス供給口182と、供給管184と、バルブ186とを含む。不活性ガスは、ガス供給口182から、基板Wとカバープレート129との間を通って基板Wの裏面に向けて不活性ガスが供給される。ガス供給口182は、基板保持部120の回転軸122の外周縁に沿って環状に設けられる。供給管184は、ガス供給口182に結合される。ガス供給口182は、供給管184の先端に設けられる。供給管184には、供給源から不活性ガスが供給される。バルブ186は、供給管184に設けられる。バルブ186は、供給管184内の流路を開閉する。
【0149】
図19は、不活性ガスを供給する本実施形態の基板処理方法を説明するためのフローチャートである。図19に示すように、不活性ガスは、薬液処理工程(S106)の開始から洗浄液供給工程(S112)の終了までの間、基板Wの裏面に供給される(S105:不活性ガス供給工程)。
【0150】
不活性ガスは、薬液処理工程(S106)、有機溶剤供給工程(S108)、充填材供給工程(S110)、および、洗浄液供給工程(S112)において基板Wの裏面に供給される。特に、充填材供給工程(S110)、および、洗浄液供給工程(S112)において、不活性ガスを基板Wの裏面に供給することにより、基板Wの裏面に充填材が付着することを抑制できる。
【0151】
なお、図19を参照して上述した説明では、不活性ガスは、薬液処理工程(S106)の開始から洗浄液供給工程(S112)の終了までの間、供給される。不活性ガスの流量は、薬液処理工程(S106)の開始から洗浄液供給工程(S112)の終了までの間、一定であってもよく変更してもよい。
【0152】
図20は、不活性ガスの流量を変化させた本実施形態の基板処理方法を説明するためのフローチャートである。図20に示すように、不活性ガスは、薬液処理工程(S106)および有機溶剤供給工程(S108)において、比較的弱い第1流量で供給される(S105a:不活性ガス供給工程)。
【0153】
その後、不活性ガスは、充填材供給工程(S110)において第1流量よりも多い第2流量に設定される(S105b:不活性ガス供給工程)。その後、不活性ガスは、洗浄液供給工程(S112)において、第3流量に設定される(S105c:不活性ガス供給工程)。洗浄液供給工程(S112)における不活性ガスの第3流量は、充填材供給工程(S110)における不活性ガスの第2流量よりも多くてもよい。
【0154】
充填材供給工程(S110)における不活性ガスの流量が、洗浄液供給工程(S112)における不活性ガスの流量と比べて比較的少ないことにより、充填材を適切に基板Wの上面に供給できる。また、洗浄液供給工程(S112)における不活性ガスの流量が比較的多いことにより、基板Wの裏面に充填材が付着することを抑制できる。
【0155】
ただし、充填材供給工程(S110)における不活性ガスの第2流量は、洗浄液供給工程(S112)における不活性ガスの第3流量と等しくてもよい。
【0156】
なお、図7図9および図15を参照した上述の説明では、基板処理装置100は、基板Wの裏面の内側を洗浄する洗浄液を吐出するノズル162とともに、基板Wの裏面の外側および側面を洗浄する洗浄液を吐出するノズル172を備えたが、本実施形態はこれに限定されない。基板処理装置100は、基板Wに対してノズル162が相対的に移動することにより、ノズル162から吐出された洗浄液が基板Wの内側だけでなく基板Wの外側および側面を洗浄してもよい。
【0157】
次に、図21を参照して、ノズル162の移動可能な基板処理装置100を説明する。図21は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。基板処理装置100は、第1洗浄液供給部160がノズル162を移動するノズル移動部168をさらに含む点を除き、図1を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0158】
第1洗浄液供給部160は、ノズル162と、供給管164と、バルブ166に加えてノズル移動部168をさらに含む。ノズル移動部168は、ノズル162を移動させる。ノズル移動部168は、モータまたはシリンダを含む。
【0159】
ノズル移動部168は、ノズル162を水平方向に移動させる。ノズル162は、基板Wの裏面の内側に洗浄液を吐出する。また、ノズル162は、ノズル移動部168によって基板Wに対して相対的に移動した後で、基板Wの裏面の外側に洗浄液を吐出する。
【0160】
ノズル移動部168は、洗浄液の温度を調整する温度調整部をさらに含んでもよい。例えば、ノズル移動部168は、ヒータを含む。ヒータにより、ノズル162から吐出される洗浄液の温度を上昇させてもよい。
【0161】
なお、図21を参照して、ノズル移動部168が1つのノズル162を移動させることを説明したが、本実施形態はこれに限定されない。図6図8および図9を参照して上述したように、ノズル162が複数である場合、ノズル移動部168は、複数のノズル162をそれぞれ独立に移動可能であることが好ましい。
【0162】
次に、図16図21および図22を参照して本実施形態の基板処理装置100における基板処理方法を説明する。図22(a)~図22(d)は、本実施形態の基板処理装置100における基板処理を説明するための模式図である。
【0163】
図22(a)に示すように、ノズル152は基板Wに充填材を吐出する(S110a:充填材吐出工程)。このとき、基板保持部120は基板Wを第1回転速度で回転させる。
【0164】
図22(b)に示すように、基板保持部120は、基板Wを第1回転速度で回転させて充填材の膜厚を決定し(S110b:膜厚決定工程)、基板Wを第2回転速度で回転させて充填材を浸透させ(S110c:浸透工程)、その後、基板Wを第3回転速度で回転させて基板Wを乾燥させる(S110d:乾燥工程)。なお、膜厚決定工程(S110b)、浸透工程(S110c)、乾燥工程(S110d)のいずれかを省略してもよい。
【0165】
図22(c)に示すように、ノズル162は基板Wの裏面に洗浄液を供給する(S112a:洗浄液内側供給工程)。このとき、ノズル移動部168はノズル162を基板Wの裏面の内側に移動させており、ノズル162は、基板Wの裏面の内側に向けて洗浄液を吐出する。このため、ノズル162から吐出された洗浄液が、基板Wの裏面の内側に供給されることによって、基板Wの裏面の内側が洗浄される。このとき、基板保持部120は、基板Wを第4回転速度で回転させてもよい。
【0166】
図22(d)に示すように、ノズル162は基板Wの裏面に洗浄液を供給する(S112b:洗浄液外側供給工程)。ノズル移動部168はノズル162を基板Wの裏面の内側から外側に向けて移動させており、ノズル162は、基板Wの裏面に向けて洗浄液を吐出する。このため、ノズル162から吐出された洗浄液は、基板Wの裏面に供給され、基板Wの裏面の内側から外側および側面を洗浄する。このとき、基板保持部120は、基板Wを第5回転速度で回転させてもよい。また、ノズル移動部168は、基板Wの外側にまでノズル162を移動させてもよい。
【0167】
以上、図1から図22を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明は、基板を処理する基板処理装置および基板処理方法に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0169】
100 基板処理装置
150 充填材供給部
160 洗浄液供給部
W 基板
図1
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