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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】無線タグ読取装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20221018BHJP
   H04B 5/02 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
G06K7/10 128
H04B5/02
G06K7/10 276
G06K7/10 184
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018197613
(22)【出願日】2018-10-19
(65)【公開番号】P2020064561
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-08-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第20回 自動認識総合展 東京ビッグサイト 開催日 平成30年9月12日~14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 渉
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/028086(WO,A1)
【文献】特開2017-117219(JP,A)
【文献】特開2002-276245(JP,A)
【文献】特開2006-339759(JP,A)
【文献】特開2005-054411(JP,A)
【文献】特開2006-238261(JP,A)
【文献】展示会REPORT リテールテックJAPAN2018,月刊マテリアルフロー ,第59巻 第4号,日本,株式会社流通研究社,2018年04月01日,pp. 82-84,ISBN:1342-4599
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00-7/14
17/00-19/18
G07G 1/00-5/00
H04B 5/00-5/06
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグが付された物品を載置状態で搬送する搬送部と、
前記搬送部上の前記物品の出入を許容する開口部を有し、前記搬送部の載置面上の所定の領域を囲んで当該領域内で発せられる電波が前記領域の外に漏れることを抑える被覆部と、
前記領域内に設けられて、所定の周波数帯の電波により前記無線タグと通信するアンテナと、
前記被覆部の前記開口部を開閉するものであって、当該開口部から前記アンテナの電波が前記領域の外に漏れることを抑える遮蔽部と、
前記遮蔽部を上下動させることにより前記開口部を開閉させる駆動部と、
前記搬送部上の物品が搬送された位置に応じて前記遮蔽部を上下動させるように前記駆動部を制御する開閉制御部と、
前記搬送部の載置面との間に所定の間隔をあけて前記遮蔽部の下端部が位置するよう前記駆動部を制御する位置制御部と、
容器に複数まとめられた前記物品の読み取りに適する入出荷モードおよび前記搬送部上に個々に載置された前記物品の読み取りに適する個品モードの二つの動作モードのうちいずれかを選択する指示をユーザから受け付け、前記指示が前記入出荷モードを選択するものであった場合には前記開閉制御部に前記駆動部を制御させ、前記指示が前記個品モードを選択するものであった場合には前記位置制御部に前記駆動部を制御させる選択受付部と、
を備える無線タグ読取装置。
【請求項2】
前記選択受付部が前記入出荷モードを選択する指示を受け付けた場合、前記アンテナの出力を、容器に複数まとめられた前記物品に付された前記無線タグを一括読み取り可能な高出力にし、前記選択受付部が前記個品モードを選択する指示を受け付けた場合、前記アンテナの出力を、前記搬送部上に個々に載置された前記物品に付された前記無線タグを読み取り可能な低出力にする出力制御部と、
をさらに備える請求項1に記載の無線タグ読取装置。
【請求項3】
前記被覆部の内側に備えられ、上下方向に移動可能で、電波を反射する反射部材と、
前記反射部材を上下動させる第2駆動部
を備え、
前記位置制御部は、前記第2駆動部に前記反射部材を所定の位置に下げさせる
請求項2に記載の無線タグ読取装置。
【請求項4】
前記反射部材は、前記開口部から遠い側よりも前記開口部に近い側がより大きく移動可能であって、
前記位置制御部は、前記反射部材の前記開口部から遠い側よりも前記開口部に近い側が低くなるよう、前記第2駆動部に前記反射部材を下げさせる
請求項3に記載の無線タグ読取装置。
【請求項5】
無線タグが付された物品を載置状態で搬送する搬送部と、前記搬送部上の前記物品の出入を許容する開口部を有し、前記搬送部の載置面上の所定の領域を囲んで当該領域内で発せられる電波が前記領域の外に漏れることを抑える被覆部と、前記領域内に設けられて、所定の周波数帯の電波により前記無線タグと通信するアンテナと、前記被覆部の前記開口部を開閉するものであって、当該開口部から前記アンテナの電波が前記領域の外に漏れることを抑える遮蔽部と、前記遮蔽部を上下動させることにより前記開口部を開閉させる駆動部と、を備える無線タグ読取装置のコンピュータを、
前記搬送部上の物品が搬送された位置に応じて前記遮蔽部を上下動させるように前記駆動部を制御する開閉制御部と、
前記搬送部の載置面との間に所定の間隔をあけて前記遮蔽部の下端部が位置するよう前記駆動部を制御する位置制御部と、
容器に複数まとめられた前記物品の読み取りに適する入出荷モードおよび前記搬送部上に個々に載置された前記物品の読み取りに適する個品モードの二つの動作モードのうちいずれかを選択する指示をユーザから受け付け、前記指示が前記入出荷モードを選択するものであった場合には前記開閉制御部に前記駆動部を制御させ、前記指示が前記個品モードを選択するものであった場合には前記位置制御部に前記駆動部を制御させる選択受付部と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線タグ読取装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線タグが記憶するデータを読み取ることにより当該無線タグが付された物品の在庫や入出庫を管理することが行われている。無線タグは、例えば、所定の周波数帯の電波により遠隔的にデータを読み取り可能なICチップを含むタグ(ICタグ)である。データの読み取りには、例えばRFID(radio frequency identifier)、すなわち近距離無線通信を用いた自動認識技術が、用いられる。
【0003】
上述のような用途において、区切られた空間内に存在する無線タグを読み取るようにした装置がある。さらに、そのような用途において、無線タグが付された1以上の物品が箱などに収められたものを次々流して箱の中の無線タグを読み取るようにした装置が、考え出されている。
【0004】
後者の装置を使用する現場では、主には、箱に複数詰められた物品を対象とした在庫や入出庫を管理する業務が行われているが、同現場で、例えば返品受付など、箱詰めされていない個々の物品を次々流してそれぞれに付された無線タグを読み取る業務も、行われることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、箱詰めされた物品に付された無線タグの読み取りを区切られた空間内で行う装置を、箱詰めされていない個々の物品の管理にも併用可能にする無線タグ読取装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の無線タグ読取装置は、搬送部と、被覆部と、アンテナと、遮蔽部と、駆動部と、開閉制御部と、位置制御部と、選択受付部と、を備える。搬送部は、無線タグが付された物品を載置状態で搬送する。被覆部は、前記搬送部上の前記物品の出入を許容する開口部を有し、前記搬送部の載置面上の所定の領域を囲んで当該領域内で発せられる電波が前記領域の外に漏れることを抑える。アンテナは、前記領域内に設けられて、所定の周波数帯の電波により前記無線タグと通信する。遮蔽部は、前記被覆部の前記開口部を開閉するものであって、当該開口部から前記アンテナの電波が前記領域の外に漏れることを抑える。駆動部は、前記遮蔽部を上下動させることにより前記開口部を開閉させる。開閉制御部は、前記搬送部上の物品が搬送された位置に応じて前記遮蔽部を上下動させるように前記駆動部を制御する。位置制御部は、前記搬送部の載置面との間に所定の間隔をあけて前記遮蔽部の下端部が位置するよう前記駆動部を制御する。選択受付部は、容器に複数まとめられた前記物品の読み取りに適する入出荷モードおよび前記搬送部上に個々に載置された前記物品の読み取りに適する個品モードの二つの動作モードのうちいずれかを選択する指示をユーザから受け付け、前記指示が前記入出荷モードを選択するものであった場合には前記開閉制御部に前記駆動部を制御させ、前記指示が前記個品モードを選択するものであった場合には前記位置制御部に前記駆動部を制御させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態の無線タグ読取装置の外観を示す斜視図である。
図2図2は、無線タグ読取装置の内部構造を、部材の一部を取り除いて示す斜視図である。
図3図3は、無線タグ読取装置の内部構造を示す断面図である。
図4図4は、制御部の構成を概略的に示すブロック図である。
図5図5は、入出荷モードの遮蔽部の様子を示す概略断面図である。
図6図6は、個品モードの遮蔽部の様子を示す概略断面図である。
図7図7は、制御ユニットによる制御の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、第2の実施形態の制御部の構成を概略的に示すブロック図である。
図9図9は、反射部材の位置および動作を概略的に示す断面図である。
図10図10は、第3の実施形態の反射部材の位置および動作を概略的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、実施形態の無線タグ読取装置100の外観を示す斜視図である。図1における物品の流れ方向は、図中左上から右下である。また、図2は、無線タグ読取装置100の内部構造を、部材(側壁)の一部を取り除いて示す斜視図である。図2における物品の流れ方向は、図中左下から右上である。図3は、無線タグ読取装置100の内部構造を示す断面図である。図3における物品の流れ方向は、図中左から右である。
【0009】
無線タグは、所定の周波数帯の電波により遠隔的にデータを読み取り(さらには書き換え)可能な記憶媒体である。無線タグは、例えばICチップおよびアンテナを備えて構成され、ICチップにデータを記憶し、アンテナが電波を受けることで動作してICチップのデータを送信し、或いは書き換える。無線タグは、商品などの物品に付される(貼付あるいは添付される)。
【0010】
無線タグ読取装置100は、搬送部110、被覆部120、リーダ130,140(図2参照)、遮蔽部150、補助搬送部170,180、駆動部190および制御部200などを備えている。
【0011】
搬送部110は、無線タグが付された物品を載置状態で搬送するものであって、例えば、ベルトコンベアにより実現される。ベルトコンベアである搬送部110は、載置面111に載置された物品を、一方向に移動あるいは往復移動させる。
【0012】
搬送部110は、無終端ベルト112およびベース113(ともに図4参照)を主要な構成として備える。無終端ベルト112は、環状のベルトであって、載置面111を構成する。ベース113は、金属製で板状であって、無終端ベルト112の内側から無終端ベルト112を支える。
【0013】
被覆部120は、搬送部110の載置面111上の所定の領域を囲んで当該領域内で発せられる電波が領域の外に漏れることを抑える。また、被覆部120は、搬送部110上の物品の出入を許容する開口部を有する。
【0014】
本実施形態の被覆部120は、トンネル状で一対の開口部121,122を有する。したがって、物品は、被覆部120を通過する。つまり、物品は、一方の開口部121から入って他方の開口部122から出る。
また、本実施形態の被覆部120は、図1に示すような概ね直方体の形状を有し、最も面積の小さい対向する2面に開口部121,122を有し、長手方向が搬送部110の搬送方向に沿うように設置されている。
なお、図2に示す被覆部120は、側壁123(図1参照)の一部が取り除かれた状態である。本実施形態の被覆部120は、フレーム124に側壁123や天井125が取り付けられて形成されている。側壁123や天井125の内側面は、電波を反射する。
【0015】
リーダ130,140は、所定の周波数帯の電波を送受するアンテナを含み、アンテナが送受する電波を介して当該電波を受けた無線タグが記憶するデータを読み取る。なお、リーダ130,140は、無線タグのデータの読み取りに加えて書き換えも実行できるリーダライタであってよい。
【0016】
リーダ130は、フレーム124に取り付けられ、フレーム124に沿って上下に移動可能である。リーダ140は、搬送部110を構成する無終端ベルト112とベース113との間に配置され、搬送部110の幅方向に移動可能である。
【0017】
遮蔽部150は、いわゆる遮蔽扉として機能するものである。遮蔽部150は、開口部121,122を塞ぐように被覆部120に取り付けられ、開口部121,122を開閉する。遮蔽部150は、被覆部120で囲まれる領域内で発せられる電波が、開口部121,122から領域外に漏れることを抑える。
【0018】
本実施形態の遮蔽部150は、シールドメッシュ151およびバー152などにより構成されている。シールドメッシュ151は、所定の周波数帯の電波を遮蔽するメッシュ状の部材である。バー152は、一般に金属製であり、シールドメッシュ151の下端部の保護や、上下同時の錘としての機能を果たす。
【0019】
本実施形態の遮蔽部150は、開口部121,122に吊下げ状態で設けられ、上下方向に移動することで開口部121,122を開閉する。シールドメッシュ151は軽く、また、曲げや巻取りが可能である。そこで、本実施形態においては、シールドメッシュ151の巻取りによって、開口部121,122を開放するように構成する。これにより、遮蔽部150による開口部121,122の開閉が、被覆部120の周囲に余剰スペースを広く取れない場所でも可能である。
【0020】
補助搬送部170,180は、例えば、ローラコンベア(コロコンベア)などと呼ばれるもので実現される。ローラコンベアは、複数の円筒状の部材が、軸方向が搬送方向と直交するように並べられた状態で、回転自在に保持されたものである。補助搬送部170は、搬送部110の搬送方向上流側に配置され、補助搬送部180は、搬送部110の搬送方向下流側に配置される。つまり、補助搬送部170,180で搬送部110を挟む。これにより、移動する物品の搬送が、補助搬送部170から搬送部110に引き継がれ、また、搬送部110から補助搬送部180に引き継がれる。
【0021】
駆動部190は、センサ191~194やモータ195(図3参照)を備えている。さらに駆動部190は、遮蔽部150のシールドメッシュ151を上下動させるための構成として、開口部121,122の内側上部に配置されてシールドメッシュ151を巻き取る巻取軸や、当該巻取軸を回転させるモータなどを備えている。
【0022】
モータ195は、搬送部110を駆動させる。センサ191は、搬送部110の上流側の補助搬送部170を流れてくる物品を検知する。このセンサ191が物品を検知すると、制御部200は、モータ195により搬送部110を稼働させる。このとき、開口部121が閉じられていた場合には、制御部200(後述の開閉制御部211)は、駆動部190の巻取軸およびモータを制御してシールドメッシュ151を巻き上げさせる。
【0023】
センサ192,193は、開口部121,122の内側すぐの位置に物品が存在するかを検知する。センサ191による検知に応じて搬送部110が稼働された場合に、制御部200(後述の開閉制御部211)は、センサ192が、物品を検知した状態を経て物品を検知しない状態に変化したことをもって、物品の全体が被覆部120の内側に入ったとし、遮蔽部150にシールドメッシュ151を下ろさせる。
【0024】
図4は、制御部200の構成を概略的に示すブロック図である。制御部200は、制御ユニット210や表示操作部220、非常灯230、記憶部240を備えている。
【0025】
表示操作部220は、無線タグ読取装置100のオペレータに対して情報を表示するとともに、オペレータから操作指示を受け付ける。非常灯230は、例えば赤、黄、緑の3色のランプを備え、色によって無線タグ読取装置100の状態を報知する。記憶部240は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置である。記憶部240は、制御ユニット210(CPU)が実行可能な各種のプログラムや、設定情報等を記憶する。
【0026】
制御ユニット210は、表示操作部220、非常灯230の他、搬送部110、リーダ130,140、駆動部190などを、統括的に制御する。
【0027】
制御ユニット210は、コンピュータ構成であって、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などで構成されている。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムや各種データを一時的に記憶する記憶媒体である。CPUは、ROMなどに記憶されたプログラムを実行することにより機能し、無線タグ読取装置100の動作を統括的に制御する。
【0028】
また、制御ユニット210は、ROMなどに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより、図4に示す各種機能部211~214として機能する。すなわち、制御ユニット210は、開閉制御部211、位置制御部212、選択受付部213、出力制御部214を有している。
【0029】
開閉制御部211は、少なくとも、搬送部110上の物品の動きに応じて、遮蔽部150を上下動させるように、駆動部190を制御する。
位置制御部212は、搬送部110の載置面111との間に所定の間隔をあけて遮蔽部150の下端部が位置するよう、駆動部190を制御する。ここで、上述の所定の間隔は、例えば30cm程度である。
【0030】
選択受付部213は、表示操作部220を介してオペレータ(ユーザ)から入出荷モードおよび個品モードの二つの動作モードのうちいずれかを選択する指示を受け付け、当該選択指示に応じて、開閉制御部211および位置制御部212のいずれかに、駆動部190を制御させる。なお、動作モードの選択については、例えば、無線タグ読取装置100の起動時には基本的に入出荷モードが選ばれているとしてもよいし、或いは、無線タグ読取装置100の起動時に必ずいずれかの動作モードの選択が必要としてもよい。
【0031】
図5は、入出荷モードの遮蔽部150の様子を示す概略断面図である。入出荷モードは、入出庫時の検品に適する動作モードであって、容器Aに詰められた物品の各々に付された無線タグを読み取ることを想定した動作モードである。すなわち、被覆部120および遮蔽部150で区切られる空間に箱を入れた状態で、リーダ130,140のアンテナから電波を放射する。この入出荷モードにおいては、開閉制御部211が、駆動部190を制御して、遮蔽部150を、自動的に上下動させる。
【0032】
図6は、個品モードの遮蔽部150の様子を示す概略断面図である。個品モードは、返品の受付などに適する動作モードであって、箱詰めされていない個々の物品B1~B4に付された無線タグを読み取ることを想定した動作モードである。すなわち、被覆部120の開口部121,122を遮蔽部150によって途中まで閉じた状態で、リーダ130,140のアンテナから電波を放射する。この個品モードにおいては、位置制御部212が、駆動部190を制御して、搬送部110の載置面111との間に所定の間隔をあけて遮蔽部150の下端部を位置させる。
【0033】
出力制御部214は、選択受付部213が駆動部190を開閉制御部211に制御させる場合(すなわち入出荷モード時)、リーダ130,140のアンテナの出力を、容器に複数まとめられた物品に付された無線タグを一括読み取り可能な高出力にする。また、出力制御部214は、選択受付部213が駆動部190を位置制御部212に制御させる場合(すなわち個品モード時)、リーダ130,140のアンテナの出力を、搬送部110上に個々に載置された物品に付された無線タグを読み取り可能な低出力にする。
【0034】
なお、センサ192,193は、被覆部120内の物品を搬送部110によって移動させるときに、物品が遮蔽部150に当たるのを防ぐためにも用いられる。センサ192,193が物品を検知すると、制御部200は、搬送部110を停止させるか、或いは逆方向に移動させる。
【0035】
センサ194は、開口部122の外側すぐの位置に物品が存在するかを検知する。制御部200は、センサ194が、物品を検知した状態を経て物品を検知しない状態に変化したことをもって、物品の全体が被覆部120を出たと判断する。
【0036】
図7は、制御ユニット210による制御の流れを示すフローチャートである。無線タグ読取装置100の起動時、制御ユニット210は、選択受付部213として、どちらの動作モードが選択されているかを判断する(ステップS1)。入出荷モードが選択されていれば、選択受付部213としての制御ユニット210は、開閉制御部211を有効にして位置制御部212を無効にして、開閉制御部211により、遮蔽部150を自動的に上下動させる(ステップS2)。また、この入出荷モードが選択されている場合には、制御ユニット210は、出力制御部214として、アンテナの出力を高めに設定する(ステップS3)。
【0037】
ステップS1において、個品モードが選択されていれば、制御ユニット210は、選択受付部213として、位置制御部212を有効にして開閉制御部211を無効にして、位置制御部212により、遮蔽部150を所定の位置に位置させる(ステップS4)。また、この個品モードが選択されている場合には、制御ユニット210は、出力制御部214として、アンテナの出力を低めに設定する(ステップS5)。
【0038】
このような構成の無線タグ読取装置100に対して、オペレータは、入出庫時の検品を行うのであれば入出荷モードを選択して遮蔽部150を自動的に上下動させるようにし、また、返品の受付などを行うのであれば個品モードを選択して搬送部110の載置面111と遮蔽部150の下端部との間に所定の間隔をあけて遮蔽部150を停止させるようにする。
【0039】
本実施形態によれば、箱詰めされた物品に付された無線タグの読み取り時に適する状態と、箱詰めされていない個々の物品に付された無線タグの読み取りに適する状態とを、同じ無線タグ読取装置100で作り出すことができる。
【0040】
また、本実施形態では、動作モードの切り替えに伴い、リーダ130,140の出力の高低をも切り替えているが、実施にあたって必要なければ、リーダ130,140の出力を変化させなくとも構わない。
【0041】
なお、実施にあたって、個品モードの際、リーダ130をフレーム124に沿って下へ移動させてリーダ130の高さを低くしてもよい。このようにすると、リーダ130が載置面111に近づき、リーダ130と物品との距離が近くなるので、リーダ130の出力を小さくしても良好な読取性能を得ることができる。
【0042】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態の変形例であるので、第1の実施形態と同様の箇所については、詳細な説明を省略し、同じ符号で表す。
【0043】
図8は、本実施形態の制御部200の構成を概略的に示すブロック図である。無線タグ読取装置100は、第1の実施形態における構成に加えてさらに、第2駆動部290を備えている。また、無線タグ読取装置100はさらに、上下動可能な反射部材300(図9参照)を備えている。
【0044】
図9は、反射部材300の位置および動作を概略的に示す断面図である。反射部材300は、被覆部120の内側に備えられ、上下方向に移動可能で、電波を反射するものであって、例えば板状の金属製部材である。第2駆動部290は、反射部材300を上下動させるものであって、例えばモータなどを含む。位置制御部212は、個品モードのとき、第2駆動部290に、反射部材300を所定の位置まで下げさせる。このとき下げられた反射部材300の位置は、遮蔽部150の下端部と同じくらいの位置か、やや上になる位置である。
【0045】
このような実施形態によれば、個品モードのとき、反射部材300が下げられることによって、被覆部120内の容積が狭められる。これにより、リーダ130,140のアンテナが発する電波によるエネルギ密度が、高められる。よって、リーダ130,140による読取性能を良好にすることができる。
【0046】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。本実施形態は、第2の実施形態の変形例であるので、第2の実施形態と同様の箇所については、詳細な説明を省略し、同じ符号で表す。
【0047】
図10は、本実施形態の反射部材301,302の位置および動作を概略的に示す断面図である。反射部材301,302は、被覆部120の内側に備えられ、上下方向に移動可能で、電波を反射するものであって、例えば板状の金属製部材である。
【0048】
本実施形態の反射部材301,302は、対をなし、搬送方向に沿って並列に配置されている。また、反射部材301,302は、互いに近い側、つまり被覆部120の中央部側を中心として、所定角度回動するように移動する。これにより、反射部材301,302は、開口部121,122から遠い側よりも開口部121,122に近い側がより大きく移動可能に、構成されている。
【0049】
第2駆動部290は、反射部材300を上下動(回動)させる。位置制御部212は、反射部材301,302の、開口部121,122から遠い側よりも開口部121,122に近い側が低くなるよう、第2駆動部290に反射部材301,302を下げさせる。
【0050】
このような実施形態によれば、個品モードのとき、反射部材301,302が、電波を被覆部120の中心寄りに向かって反射させるので、被覆部120内の容積が狭められても電波の漏れが比較的起こりにくい状態を作ることができる。
【0051】
なお、本実施形態の無線タグ読取装置100で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0052】
本実施形態の無線タグ読取装置100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0053】
さらに、本実施形態の無線タグ読取装置100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の無線タグ読取装置100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0054】
本実施形態の無線タグ読取装置100で実行されるプログラムは、上述した各部(開閉制御部211、位置制御部212、選択受付部213、出力制御部214)を含むモジュール構成となっている。CPU(プロセッサ)は、上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、上記各部を主記憶装置上にロードする。これにより、開閉制御部211、位置制御部212、選択受付部213、出力制御部214が、主記憶装置上に生成される。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
100…無線タグ読取装置
110…搬送部、111…載置面、112…無終端ベルト、113…ベース
120…被覆部、121,122…開口部、
123…側壁、124…フレーム、125…天井
130,140…リーダ
150…遮蔽部、151…シールドメッシュ、152…バー
170,180…補助搬送部
190…駆動部、191~194…センサ、195…モータ
200…制御部
210…制御ユニット
211…開閉制御部、212…位置制御部、213…選択受付部、214…出力制御部
220…表示操作部
230…非常灯
240…記憶部
290…第2駆動部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【文献】特開2015-141657号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10