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特許7160631ボールベアリング、当該ベアリングを含んだクラッチスラストベアリングデバイス、および当該デバイスを含んだ駆動ラインシステム
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  • 特許-ボールベアリング、当該ベアリングを含んだクラッチスラストベアリングデバイス、および当該デバイスを含んだ駆動ラインシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】ボールベアリング、当該ベアリングを含んだクラッチスラストベアリングデバイス、および当該デバイスを含んだ駆動ラインシステム
(51)【国際特許分類】
   F16C 19/10 20060101AFI20221018BHJP
   B60K 17/34 20060101ALI20221018BHJP
   B60K 17/354 20060101ALI20221018BHJP
   F16C 33/64 20060101ALI20221018BHJP
   F16D 23/14 20060101ALI20221018BHJP
   F16D 25/08 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
F16C19/10
B60K17/34 B
B60K17/354
F16C33/64
F16D23/14 A
F16D25/08 H
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018203775
(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公開番号】P2019124348
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】10 2018 200 783.7
(32)【優先日】2018-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508282993
【氏名又は名称】アクティエボラゲット・エスコーエッフ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ・アルノー
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・ヴィオー
【審査官】糟谷 瑛
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-46232(JP,A)
【文献】米国特許第5993067(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 19/00
F16C 33/00
F16D 23/00
F16D 25/00
B60K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボール(18)の内側軌道を形成した外側トロイド面(21)のトロイド部(20)、および該トロイド部(20)から径方向外向きに延びた径方向部(22)であって、軸接触面(23)を備えた前記径方向部(22)が、軸方向可動ピストン(6)に対して接触することが可能である径方向部(22)、を備えた固定内側リング(16)と、
ボール(18)のための外側軌道を形成したトロイド面(25)のトロイド部(24)を備えた、回転可能な外側リング(17)と、
前記リング(16、17)間に形成された軌道チャンバ(19)内に配置された一連のボール(18)と、
を備えたボールベアリング(4)であって、
前記回転可能な外側リング(17)は、前記トロイド部(24)の外側から軸方向に延び、且つ前記外側軌道(25)に対して軸方向に反対向きに、前記トロイド部(24)の外側面(29)に向かって折り畳まれた折畳部(28)をさらに備え、該折畳部(28)には、弾性付勢部材(7)に対して接触することが可能な軸接触面(31)を備えた自由端(30)が設けられている、ボールベアリング(4)。
【請求項2】
前記回転可能な外側リング(17)は、前記トロイド部(24)の内側から径方向内向きに延びた径方向部(26)をさらに備えている、請求項1に記載のボールベアリング。
【請求項3】
前記折畳部(28)は環状である、請求項1または請求項2に記載のボールベアリング。
【請求項4】
前記折畳部(28)は不連続であり、且つ複数の折り畳まれた舌片を備え、各々の前記舌片の自由端(30)は、前記弾性付勢部材(7)に対して接触することが可能な軸接触面(31)を備えている、請求項1または請求項2に記載のボールベアリング。
【請求項5】
前記内側リング(16)および前記外側リング(17)は、鍛鋼から形成されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のボールベアリング。
【請求項6】
ハウジング(3)と、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のボールベアリング(4)と、
前記ハウジング(3)と前記ボールベアリング(4)との間のキャビティ(5)内に配置された軸方向可動ピストン(6)であって、前記ピストンキャビティ(5)は油圧流体源に接続されており、該油圧流体源は、加圧流体を可変に前記キャビティ(5)内へと供給して、前記ピストン(6)を軸方向に移動させ得る、軸方向可動ピストン(6)と、
前記ボールベアリング(4)に軸方向の予備荷重を与えた弾性付勢部材(7)であって、前記ボールベアリング(4)は、前記ピストンの移動によって軸方向に移動することが可能であり、そのとき前記弾性付勢部材(7)を圧縮して、連結部材を作動させて、プレートに係合させる、弾性付勢部材(7)と、
を備えている、クラッチスラストベアリングデバイス(1)。
【請求項7】
前記弾性付勢部材(7)は波形バネである、請求項6に記載のクラッチスラストベアリングデバイス。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のクラッチスラストベアリングデバイス(1)を備えた、自動車の駆動ラインシステムであって、選択的に、少なくとも1つの車輪を前記駆動ラインシステムに接続または前記駆動ラインシステムから接続解除する、自動車の駆動ラインシステム。
【請求項9】
前側駆動軸および前輪を含んだ前部駆動システム、ならびに後側駆動軸、後部駆動モジュール、および後輪を含んだ後部駆動システムを備え、前記後部駆動モジュールには、請求項6または請求項7に記載の、複数のクラッチスラストベアリングデバイス(1)が直列に設けられ、各クラッチスラストベアリングデバイスは、前記後輪の1つを選択的に接続または接続解除することが可能である、請求項8に記載の駆動ラインシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボールベアリング、および当該ベアリングを含んだクラッチスラストベアリングデバイスに関する。本発明は、当該デバイスを含んだ駆動ラインシステムにも関し、このシステムは、自動車の全輪駆動の駆動ラインシステムに設けられている。
【背景技術】
【0002】
自動車のための全輪駆動の駆動ラインシステムは、一般的に二次または後側駆動軸に連結された一次前側駆動軸を備えている。
【0003】
四輪自動車の二輪のみが駆動輪として動作している場合、後側駆動軸および後輪を含んだ後部駆動システムは、前側駆動軸および前輪を含んだ前部駆動システムから接続解除され得る。さらに、自動車の運転モードに依存して、後輪の1つのみまたは両方を接続解除することが望まれ得る。
【0004】
この目的のために、後部駆動システムに後部駆動モジュールを設けることが知られており、この後部駆動モジュールはクラッチスラストデバイスを含み、前側軸と後側軸との間に、および2つの車輪の間にトルクを分配している。クラッチスラストデバイスは、後部駆動システムを接続解除して、車輪を駆動ラインに非連結とすることも可能である。2つのクラッチを含み、各クラッチが駆動ラインから1つの後輪を接続解除することが可能な後部駆動モジュールも知られている。
【0005】
そのような後部駆動モジュールは、オフロード能力および高いオンロード性能を備えた、特に効果的な安定性、効果的な動的運転性、および低い燃料消費も備えた自動車を可能にしている。
【0006】
有利には、クラッチスラストデバイスは、周知の多板タイプのものであり、クラッチベアリングとハウジングとの間のキャビティ内に配置された軸方向可動ピストンを含み、ピストンキャビティは油圧流体源に接続され、油圧流体源は、キャビティ内に可変に加圧流体を提供して、このピストンを軸方向に移動させ得る。クラッチスラストデバイスは、クラッチベアリングに軸方向の予備荷重を与える弾性付勢部材をさらに含んでいる。このクラッチベアリングは、ピストンの動作によって軸方向に移動可能であり、そのとき連結部材を作動させて、プレートに係合させる。複数のニードルを備えたクラッチベアリングを使用することが知られている。
【0007】
そのような後部駆動モジュールの性能のさらなる改善、特にモジュール内、特にクラッチベアリング内の摩擦トルクの制限によって、自動車の燃料消費をさらに低減させることが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、特に自動車の駆動ラインシステムの後部駆動モジュール内に使用するためのボールベアリングを提案することによって、これらの欠点を克服することであり、軸方向可動ピストンから弾性付勢部材への軸方向力の伝達を可能にして、摩擦トルクを減少させ、製造工程を容易に且つ低コストにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明は、固定内側リング、回転可能な外側リング、およびこれらのリングの間に形成された軌道チャンバ内に配置された一連のボールを備えたボールベアリングに関する。固定内側リングは、ボールのための内側軌道を形成した外側トロイド面のトロイド部と、このトロイド部から径方向外向きに延びた径方向部であって、この径方向部は、軸方向可動ピストンに対して接触することが可能な軸接触面を備えた、径方向部と、を備えている。回転可能な外側リングは、ボールのための外側軌道を形成した内側とロイド面のトロイド部を備えている。
【0010】
本発明によれば、回転可能な外側リングは、折畳部をさらに備えている。折畳部は、トロイド部の外側から軸方向に延び、且つ外側軌道に対して軸方向に反対向きに、このトロイド部の外側面に向かって折り畳まれている。折畳部には、弾性付勢部材に対して接触することが可能な軸接触面を備えた自由端が設けられている。
【0011】
有利であるが強制的ではない、本発明のさらなる態様によれば、そのようなボールベアリングは、以下の特徴の1つまたはいくつかを統合し得る。
・ ボールベアリングは、各ボールを受容した複数のポケットを備えた環状ケージをさらに備えている。
・ 回転可能な外側リングは、トロイド部の内側から径方向内向きに延びた径方向部をさらに備えている。
・ 折畳部は環状である。
・ 折畳部は不連続であり、且つ複数の折り畳まれた舌片を備え、これらの各々の舌片の自由端は、弾性付勢部材に対して接触することが可能な軸接触面を備えている。
・ 折畳部は、外側軌道に対して軸方向に反対向きに、トロイド部の外側面上に直接接触している。
・ 内側リングおよび外側リングは、鍛鋼から形成されている。
【0012】
本発明は、クラッチスラストベアリングデバイスにも関し、このデバイスは、ハウジングと、前述の実施形態のいずれかによるボールベアリングと、に間のキャビティ内に配置された軸方向可動ピストンであって、ピストンキャビティは油圧流体源に接続されており、この油圧流体源は、加圧流体を可変にキャビティ内へと供給して、ピストンを軸方向に移動させる、軸方向可動ピストン、およびボールベアリングに軸方向の予備荷重を与えた弾性付勢部材であって、ボールベアリングは、ピストンの移動によって軸方向に移動することが可能であり、そのとき弾性付勢部材を圧縮して、連結部材を作動させて、プレートに係合させる、弾性付勢部材、を備えている。
【0013】
有利には、弾性付勢部材は波形バネである。
【0014】
本発明は、選択的に、少なくとも1つの車輪を駆動ラインシステムに接続または駆動ラインシステムから接続解除するための、本発明によるそのようなクラッチスラストベアリングデバイスを備えた、自動車の駆動ラインシステムにも関する。
【0015】
有利には、駆動ラインシステムは、前側駆動軸および前輪を含んだ前部駆動システム、ならびに後側駆動軸、後部駆動モジュール、および後輪を含んだ後部駆動システムを備え、後部駆動モジュールには、本発明による、複数のクラッチスラストベアリングデバイスが直列に設けられ、各クラッチスラストベアリングデバイスは、後輪の1つを選択的に接続または接続解除することが可能である。
【0016】
本発明は、本発明の目的を拘束することの無い、例示として添付された独特の図に応じて、ここに説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明によるボールベアリングを備えたクラッチスラストベアリングの軸方向断面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
クラッチスラストベアリングデバイス1は、図示されていない自動車の駆動ラインシステム内に、有利に統合されている。クラッチスラストベアリングデバイス1は基本的に環状であり、中心軸と中心合わせされている。
【0019】
クラッチスラストベアリングデバイス1は、固定ハウジング3、ボールベアリング4、および例えば波形バネのような、破線によって示された弾性付勢部材7を備え、これらの固定ハウジング3およびボールベアリング4は、キャビティ5を形成し、このキャビティ内に、軸方向可動ピストン6が配置されている。
【0020】
ハウジング3は固定され、有利には駆動ラインシステムに設けられた後部駆動モジュールの一部である。ハウジングは、中心軸に中心合わせされた環状キャビティ5を備えている。キャビティ5は、2つの側壁8、9、および底面10の間に形成され、このキャビティ5は、ボールベアリング4に対して軸方向に開放されている。
【0021】
ピストン6は環状であり、中心軸に中心合わせされており、ハウジング3のキャビティ5内に配置されている。ピストン6は、キャビティ5の2つの側壁8、9の間に径方向に延びた略径方向の部分11を備えている。有利には、ピストン6は、径方向の部分11の内側ボアに設けられた内部シール手段12をさらに備え、このシール手段には、キャビティ5の側壁8とスライドするように接触したシールリップが設けられている。ピストンは、径方向の部分11の外側に設けられた外部シール手段13も備え、このシール手段には、キャビティ5の側壁9とスライドするように接触したシールリップが設けられている。
【0022】
ピストン6、側壁8および9、ならびに底面10は、シールされたキャビティ14を形成している。少なくとも1つのチャネル15が、ハウジング3を通じて設けられ、これによりシールされたキャビティ14を油圧流体源(図示略)と接続しており、流体源はシールされたキャビティ14内に加圧流体を可変的に供給して、ピストン6を軸方向に移動させ得る。
【0023】
本実施形態においては、ピストン6の略径方向の部分11は、ボールベアリング4に適合された形状を備えている。それとは異なり、略径方向の部分11は、他の任意の適切な形状を備え得る。
【0024】
ボールベアリング4は環状であり、中心軸に中心合わせされている。ボールベアリング4は、ハウジング3のキャビティ5内に少なくとも部分的に配置され、ピストン6は、キャビティ5の底面10とボールベアリング4との間に軸方向に挿入されている。キャビティ5の側壁8、9は、ボールベアリング4の側方誘導を可能にしている。
【0025】
ボールベアリング4は、固定内側リング16、回転可能な外側リング17、およびリング16と17との間に形成された軌道チャンバ19内に配置された、一連のボール18を備えている。リング16、17の間に回転要素としてのボール18が設けられたボールベアリング4は、ローラまたはニードルが設けられた他のタイプの回転ベアリングと比較して、摩擦トルクが減少されている。
【0026】
固定内側リング16は、ボール18のための内側軌道を形成した外側トロイド面21のトロイド部20、およびこのトロイド部20から径方向外向きに延びた径方向部22を備えている。この径方向部22は、軸方向可動ピストン6に対して接触した軸接触面23を備えている。ボールベアリング4は、ピストン6の動作を、固定内側リング16の軸接触面23へと伝達することにより、軸方向に移動するように設定されている。
【0027】
回転可能な外側リング17は、ボール18のための外側軌道を形成した内側トロイド面25のトロイド部24を備えている。
【0028】
有利には、回転可能な外側リング17は、トロイド部24の内側から径方向外向きに延びた径方向部26をさらに備えている。この径方向部26は、軸接触面27を備えている。
【0029】
さらに、この接触面27は突当面を形成し、ボールベアリング4の最大軸方向変位を限定している。回転可能な外側リング17のそのような 径方向部26は、ボールベアリング4のキャビティ5からの脱落の防止を可能にしており、そのときシールされたキャビティ14の開口部には、加圧流体が提供されている。
【0030】
本発明によれば、回転可能な外側リング17は、折畳み部28をさらに備えている。折畳部28は、トロイド部24の外側から軸方向に延びている。本実施形態においては、この部分28は折り畳まれて、前述のトロイド部24の外側面29上に直接接触しており、外側軌道25に対して軸方向に反対向きである。代替的に、その部分28は外側面29に向かって折り畳まれて、それらの間にクリアランスを残している。
【0031】
折畳部28には、弾性付勢部材7に対して接触する軸接触面31を備えた自由端30が設けられている。ピストン6の軸方向移動は、固定内側リング16の軸接触面23、ボール18、および外側リング17の折畳部28の軸接触面31の仲介により、弾性付勢部材7の圧縮へと引き続いて伝達されることが可能である。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、折畳部28は環状である。代替的な実施形態によれば、折畳部は不連続であり、そこには複数の折り畳まれた舌片が設けられ、各舌片は、弾性付勢部材に対して接触する軸接触面を備えた端部を提供している。
【0033】
有利には、内側リング16および外側リング17は、鍛鋼から形成されている。リング16、17は、有利に金属ブランクシートから打ち抜かれ、単純且つコスト効果の高い構成である。クラッチスラストベアリングデバイスは、接続および接続解除機能を確実にするための追加の要素または複雑な形状の要素を必要としていない。クラッチスラストベアリングデバイス1は、以下のように作動する。
【0034】
ピストン6の軸方向移動はボールベアリング4に伝達され、後部駆動モジュールの駆動ラインシステムへの接続/接続解除は、シールされたチャンバ14内への加圧流体の供給によって作動される。
【0035】
加圧流体が、ハウジング3のチャネル15を通じてシールされたチャンバ14内に供給された場合、ピストン6はこの流体によって押される。ピストン6は、内側リング16の接触面23の仲介により、軸方向の前進をボールベアリング4に伝達する。外側リング17の接触面27は、プレート(図示略)に係合する連結部材(図示略)に作用して、一輪を自動車の駆動ラインシステムに接続する。弾性付勢部材7は、ボールベアリング4の軸方向の前進によって、すなわち外側リング17の折畳部28の接触面31の仲介によって、軸方向に圧縮される。
【0036】
加圧流体が、前述のシールされたチャンバ14にもはや供給されなくなった場合、弾性付勢部材7は、折畳部28の面31を仲介することにより、ボールベアリング4を押して軸方向に後退させる。外側リング17の接触面27は、もはや連結部材に作用しなくなり、一輪を前述の駆動ラインシステムから接続解除する。ピストン6は、内側リング16の接触面23の仲介によって初期位置に押し戻され、シールされたチャンバ14内の流体はチャネル15を通じて除去される。
【0037】
有利には、ボールベアリング4は、各ボール18を受容した複数のポケットを備えた環状ケージ32をさらに備えている。そのときボール18は、周方向に均等に離間されて保持されている。
【0038】
本発明の代表的且つ非限定的な例は、添付図を参照して、これまでに詳細に記述された。この詳細な記載は、単に本教示の好適な態様を実施するために、当業者にさらに詳細に教えることを目的としており、本発明の範囲を限定することを目的としていない。さらに、追加の特徴およびこれまでに開示された教示の各々は、他の特徴および教示とは別個に、または組み合わせて使用されて、改良されたボールベアリングを提供し得る。
【0039】
さらに、前述した代替的な例の多様な特徴、ならびに以下の多様な独立および従属請求項は、本教示の有用な追加の実施形態を提供するために、特別に且つ明確に列挙されていない方法において組み合わせられ得る。
【符号の説明】
【0040】
1 ・・・クラッチスラストベアリングデバイス
3 ・・・固定ハウジング
4 ・・・ボールベアリング
5 ・・・キャビティ
6 ・・・軸方向可動ピストン
7 ・・・弾性付勢部材
8、9 ・・・側壁
10 ・・・底面
11 ・・・径方向の部分
12 ・・・内部シール手段
13 ・・・外部シール手段
14 ・・・シールされたキャビティ
15 ・・・チャネル
16 ・・・固定内側リング
17 ・・・回転可能な外側リング
18 ・・・ボール
19 ・・・軌道チャンバ
20、24 ・・・トロイド部
21 ・・・外側トロイド面
22、26 ・・・径方向部
23、27 ・・・軸接触面
25 ・・・内側トロイド面
28 ・・・折畳部
29 ・・・外側面
30 ・・・自由端
31 ・・・軸接触面
32 ・・・環状ケージ
図1