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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】露光装置の検査方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018210973
(22)【出願日】2018-11-08
(65)【公開番号】P2020076899
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】302003244
【氏名又は名称】株式会社エスケーエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌典
【審査官】菅原 拓路
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-205312(JP,A)
【文献】特開2009-244831(JP,A)
【文献】特開2006-276696(JP,A)
【文献】特開2008-276168(JP,A)
【文献】特開2014-052403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光ヘッド及びステージの相対位置を変化させて主走査及び副走査を行うことで被露光材を露光する露光装置の検査方法であって、
前記ステージに検査用の被露光材を配置する配置工程と、
第1のスケールパターン及び第2のスケールパターンを、前記露光ヘッド及び前記ステージの相対位置を異ならせて、別々に露光すること、前記第2のスケールパターン及び第3のスケールパターンを、同時に露光すること、及び、前記第1のスケールパターン及び第4のスケールパターンを、前記露光ヘッド及び前記ステージの相対位置を副走査方向において異ならせて、別々に露光することを含む露光工程と、
前記被露光材に形成された像が潜像である場合に該潜像を顕像化する顕像工程と、
前記第1のスケールパターン及び前記第2のスケールパターンの位置相関性、及び、前記第3のスケールパターン及び前記第4のスケールパターンの位置相関性のそれぞれを確認することを含む確認工程とを備え、
前記露光装置の副走査方向ピッチ精度を検査する
光装置の検査方法。
【請求項2】
露光ヘッド及びステージの相対位置を変化させて主走査及び副走査を行うことで被露光材を露光する露光装置の検査方法であって、
前記ステージに検査用の被露光材を配置する配置工程と、
第1のスケールパターン及び第2のスケールパターンを、前記露光ヘッド及び前記ステージの相対位置を異ならせて、別々に露光すること、前記第2のスケールパターン及び第3のスケールパターンを、同時に露光すること、及び、前記第1のスケールパターン及び第4のスケールパターンを、前記露光ヘッド及び前記ステージの相対位置を主走査方向において異ならせて、別々に露光することを含む露光工程と、
前記被露光材に形成された像が潜像である場合に該潜像を顕像化する顕像工程と、
前記第1のスケールパターン及び前記第2のスケールパターンの位置相関性、及び、前記第3のスケールパターン及び前記第4のスケールパターンの位置相関性のそれぞれを確認することを含む確認工程とを備え、
前記露光装置の主走査方向ピッチ精度を検査する
光装置の検査方法。
【請求項3】
前記位置相関性は、本尺と副尺の関係によるものである
請求項1又は請求項2に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置の露光位置精度を検査する露光装置の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device、DMD)を始めとする空間変調素子は、解像度が高く、微細なパターンの形成が可能であるため、画像形成素子として普及してきており、その一例として、空間変調素子を露光エンジンに搭載した露光装置がフォトリソグラフィーの分野で既に実用化されている。この種の露光装置は、半導体素子、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル等の回路パターンをフォトマスクを用いることなくフォトレジストに直接露光して形成することができるため、マスクレス露光装置と呼ばれる。また、フォトマスクの製造工程において、パターンの焼き付けを露光装置で行うことも行われている。
【0003】
この種の露光装置は、例えば特許文献1に記載されており、図14に示す如く、露光エンジンを内蔵した露光ヘッド(DMDタイプであれば、光源、DMD及び光学系で構成される)10と、露光ヘッド10からの出力が投射されるステージ11とを備える。ステージ11は、互いに直交するx方向とy方向とに可動なxyテーブルであり、ステージ11上に、表面にフォトレジスト層が積層された被露光材としての基板12が載置される。
【0004】
基板12は、ステージ11が駆動して、y方向の主走査(スキャン)と、x方向の副走査(ステップ)とを繰り返すことにより、全面が露光され、所定のパターンが形成される。露光ヘッド10には、空間変調素子を一つ備えるシングル露光ヘッド(図14(a))と、空間変調素子をx方向に複数並べたマルチ露光ヘッド(同図(b))とがあるが、両者は、スキャン一回当たりの露光面積が違うだけで、いずれも、主走査(スキャン)と副走査(ステップ)とを繰り返して基板12の全面を露光するという点で同じである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-73916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ステージ11の駆動機構は、ボールねじ、ガイドレール、モータ等を用いて構成される。そのため、露光装置1は必然的にこれらの要素の機械的誤差を含んでいる。そして、この機械的誤差が許容値を超えると、露光装置の露光位置精度が不良となり、製品の品質に問題が生じる。そのため、露光装置の露光位置精度を定期的に検査することは、製品の品質管理上、重要である。
【0007】
検査方法の一つとして、図15(a)に示す如く、隣り合う主走査ラインに跨るように所定形状のパターンを出力して露光した後、基板を現像して顕像化したパターンを目視で確認する方法がある。もし、x方向の露光位置精度(副走査方向ピッチ精度)が悪いと、パターンは、分割されて形成されたり(同図(b))、あるいは、一部が重なって幅が狭くなって形成される。また、y方向の露光位置精度(主走査方向ピッチ精度や主走査方向送り精度)が悪いと、パターンは、y方向にずれて形成される(同図(c))。
【0008】
しかし、これら像の歪みは、その箇所を特定して拡大観察しなければ確認することができないが、拡大観察すると、全体におけるその箇所の特定が困難となる。逆に、全体における箇所の特定がしやすくなるように拡大率を下げると、像の歪みを確認できなくなる。したがって、かかる検査方法は、検査に時間がかかるとともに、不正確である。
【0009】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、比較的簡単な方法で露光装置の露光位置精度を精度良く検査することができる露光装置の検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明に係る露光装置の検査方法
露光ヘッド及びステージの相対位置を変化させて主走査及び副走査を行うことで被露光材を露光する露光装置の検査方法であって、
ステージに検査用の被露光材を配置する配置工程と、
第1のスケールパターン及び第2のスケールパターンを、露光ヘッド及びステージの相対位置を異ならせて、別々に露光すること、第2のスケールパターン及び第3のスケールパターンを、同時に露光すること、及び、第1のスケールパターン及び第4のスケールパターンを、露光ヘッド及びステージの相対位置を副走査方向において異ならせて、別々に露光することを含む露光工程と、
被露光材に形成された像が潜像である場合に該潜像を顕像化する顕像工程と、
第1のスケールパターン及び第2のスケールパターンの位置相関性、及び、第3のスケールパターン及び第4のスケールパターンの位置相関性のそれぞれを確認することを含む確認工程とを備え、
露光装置の副走査方向ピッチ精度を検査する
ものである。
【0014】
また、別の本発明に係る露光装置の検査方法
露光ヘッド及びステージの相対位置を変化させて主走査及び副走査を行うことで被露光材を露光する露光装置の検査方法であって、
ステージに検査用の被露光材を配置する配置工程と、
第1のスケールパターン及び第2のスケールパターンを、露光ヘッド及びステージの相対位置を異ならせて、別々に露光すること、第2のスケールパターン及び第3のスケールパターンを、同時に露光すること、及び、第1のスケールパターン及び第4のスケールパターンを、露光ヘッド及びステージの相対位置を主走査方向において異ならせて、別々に露光することを含む露光工程と、
被露光材に形成された像が潜像である場合に該潜像を顕像化する顕像工程と、
第1のスケールパターン及び第2のスケールパターンの位置相関性、及び、第3のスケールパターン及び第4のスケールパターンの位置相関性のそれぞれを確認することを含む確認工程とを備え、
露光装置の主走査方向ピッチ精度を検査する
ものである。
【0015】
これらの構成によれば、確認工程において、第1のスケールパターン及び第2のスケールパターンがあるべき位置相関性を示し、かつ、第3のスケールパターン及び第4のスケールパターンがあるべき位置相関性を示している場合は、露光ヘッド及びステージの相対位置を異ならせる両位置関係において、露光位置精度が良好であると判断し、他方、両スケールパターンがあるべき位置相関性を示していない場合は、露光ヘッド及びステージの相対位置を異ならせる前後の位置関係において、露光位置精度が良好でない可能性があると判断する。そして、この露光工程及び確認工程を少なくとも被露光材の露光面全体に行うことで、露光装置の露光位置精度を検査する。
【0016】
これらの態様において、
位置相関性は、本尺と副尺の関係によるものである
との構成を採用することができる。
【0017】
かかる構成によれば、露光位置精度の良/不良を確認することができるのみならず、不良である場合にどの程度不良であるのかを定量的に確認することができ、露光装置の露光位置精度を精度良く検査することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上の如く、本発明に係る露光装置の検査方法によれば、スケールパターンを露光するという比較的簡単な方法で露光装置の露光位置精度を精度良く検査することができることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、シングル露光ヘッドの露光装置の副走査方向ピッチ精度を検査する検査方法Aの露光工程の説明図である。
図2図2は、同検査方法Aの確認工程の説明図である。
図3図3は、シングル露光ヘッドの露光装置の副走査方向ピッチ精度を検査する検査方法Bの確認工程の説明図である。
図4図4は、マルチ露光ヘッドの露光装置の副走査方向ピッチ精度を検査する検査方法Cの露光工程の説明図である。
図5図5は、同検査方法Cの確認工程の説明図である。
図6図6は、マルチ露光ヘッドの露光装置の副走査方向ピッチ精度を検査する検査方法Dの確認工程の説明図である。
図7図7は、シングル露光ヘッド及びマルチ露光ヘッドの各露光装置の主走査方向ピッチ精度を検査する検査方法Eの露光工程の説明図である。
図8図8は、同検査方法Eの確認工程の説明図である。
図9図9は、シングル露光ヘッド及びマルチ露光ヘッドの各露光装置の主走査方向ピッチ精度を検査する検査方法Fの露光工程の説明図である。
図10図10は、シングル露光ヘッド及びマルチ露光ヘッドの各露光装置の主走査方向送り精度を検査する検査方法Gの露光工程の説明図である。
図11図11は、同検査方法Gの確認工程の説明図である。
図12図12(a)は、シングル露光ヘッド及びマルチ露光ヘッドの各露光装置の副走査方向ピッチ精度を検査する検査方法Hの確認工程の説明図であり、同図(b)は、シングル露光ヘッド及びマルチ露光ヘッドの各露光装置の主走査方向ピッチ精度を検査する検査方法Iの確認工程の説明図である。
図13図13(a)は、シングル露光ヘッド及びマルチ露光ヘッドの各露光装置の副走査方向ピッチ精度を検査する検査方法Jの確認工程の説明図であり、同図(b)は、シングル露光ヘッド及びマルチ露光ヘッドの各露光装置の主走査方向ピッチ精度を検査する検査方法Kの確認工程の説明図である。
図14図14(a)は、一般的なシングル露光ヘッドの露光装置の概要図であり、同図(b)は、一般的なマルチ露光ヘッドの露光装置の概要図である。
図15図15は、露光装置の露光位置精度を検査する検査方法の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る露光装置の検査方法及び露光装置の一実施形態について、図面を参酌しつつ説明する。なお、本実施形態に係る露光装置の基本構成は、従来の露光装置(図15参照)と同様なので、その説明は割愛する。
【0022】
本実施形態に係る露光装置の検査方法、すなわち、露光ヘッド10及びステージ11の相対位置を変化させて主走査及び副走査を行うことで被露光材12を露光する露光装置の露光位置精度の検査方法は、大きく分けると、四つある。
【0023】
<第1の検査方法>
第1の検査方法は、
ステージ11に検査用の被露光材12を配置する配置工程と、
第1のスケールパターン及び第2のスケールパターンを、露光ヘッド10及びステージ11の相対位置を異ならせて、別々に露光すること、第2のスケールパターン及び第3のスケールパターンを、同時に露光すること、及び、第1のスケールパターン及び第4のスケールパターンを、露光ヘッド10及びステージ11の相対位置を副走査方向において異ならせて、別々に露光することを含む露光工程と、
被露光材12を現像して第1のパターンないし第4のパターンを顕像化する現像工程と、
第1のスケールパターン及び第2のスケールパターンの位置相関性、及び、第3のスケールパターン及び第4のスケールパターンの位置相関性のそれぞれを確認することを含む確認工程とを備え、
露光装置の副走査方向ピッチ精度を検査する方法である。
【0024】
<第2の検査方法>
第2の検査方法は、
ステージ11に検査用の被露光材12を配置する配置工程と、
第1のスケールパターン及び第2のスケールパターンを、露光ヘッド10及びステージ11の相対位置を主走査方向において異ならせた後、露光ヘッド10及びステージ11の相対位置を副走査方向において異ならせて、別々に露光することを含む露光工程と、
被露光材12を現像して第1のパターン及び第2のパターンを顕像化する現像工程と、
第1のスケールパターン及び第2のスケールパターンの位置相関性を確認することを含む確認工程とを備え、
露光装置の主走査方向ピッチ精度を検査する方法である。
【0025】
<第3の検査方法>
第3の検査方法は、
ステージ11に検査用の被露光材12を配置する配置工程と、
第1のスケールパターン及び第2のスケールパターンを、露光ヘッド10及びステージ11の相対位置を異ならせて、別々に露光すること、第2のスケールパターン及び第3のスケールパターンを、同時に露光すること、及び、第1のスケールパターン及び第4のスケールパターンを、露光ヘッド10及びステージ11の相対位置を主走査方向において異ならせて、別々に露光することを含む露光工程と、
被露光材12を現像して第1のパターンないし第4のパターンを顕像化する現像工程と、
第1のスケールパターン及び第2のスケールパターンの位置相関性、及び、第3のスケールパターン及び第4のスケールパターンの位置相関性のそれぞれを確認することを含む確認工程とを備え、
露光装置の主走査方向ピッチ精度を検査する方法である。
【0026】
<第4の検査方法>
第4の検査方法は、
ステージ11に検査用の被露光材12を配置する配置工程と、
第1のスケールパターン及び第2のスケールパターンを、露光ヘッド10及びステージ11の相対位置を異ならせて、別々に露光すること、及び、第1のスケールパターンを、主走査しながら露光することを含む露光工程と、
被露光材12を現像して第1のパターン及び第2のパターンを顕像化する現像工程と、
第1のスケールパターン及び第2のスケールパターンの位置相関性を確認することを含む確認工程とを備え、
露光装置の主走査方向送り精度を検査する方法である。
【0027】
<検査方法A>
図1及び図2に示す検査方法Aは、シングル露光ヘッドの露光装置の副走査方向ピッチ精度を検査するものであり、第1の検査方法に該当するものである。
【0028】
露光工程においては、まず最初の主走査ラインの所定位置でステージ11の動作を停止させて、当該位置で面露光(ショット露光)を行う(第1の露光、図1(a))。図1では、主走査ラインの先頭位置で面露光を行うが、主走査ラインの途中位置であってもよい。次に、ステージ11を+y方向に移動させて、通常の露光処理と同じ主走査の動作を行った後、ステージ11を+x方向に移動させながら-y方向に原点復帰させて、通常の露光処理と同じ副走査の動作を行い、第1の露光位置から副走査方向に1ピッチずれた位置でステージ11の動作を停止させて、当該位置で面露光(ショット露光)を行う(第2の露光、図1(b))。そして、最後に、ステージ11を-x方向に半ピッチ戻すとともに、+y方向に1ピッチ移動させて、第1の露光位置及び第2の露光位置から主走査方向に1ピッチ、副走査方向に半ピッチずれた位置でステージ11の動作を停止させて、当該位置で面露光(ショット露光)を行う(第3の露光、図1(c))。これにより、第2の露光領域21は、第1の露光領域20と副走査方向において隣接し、第3の露光領域22は、第1の露光領域20及び第2の露光領域21に跨るとともに、第1の露光領域20及び第2の露光領域21と主走査方向において隣接する。
【0029】
図2(a)に示す如く、第1の露光では、本尺目盛からなるスケールパターン30が露光され、第2の露光では、同じく本尺目盛からなるスケールパターン30が露光され、第3の露光では、副尺(バーニア)目盛からなる一対のスケールパターン31,31が、第1の露光領域20及び第2の露光領域21の各スケールパターン30に対応して露光される。第2の露光領域21の右下のスケールパターン30は、第1の検査方法の第1のスケールパターンに該当し、第1の露光領域20の左下のスケールパターン30は、第1の検査方法の第4のスケールパターンに該当し、第3の露光領域22の左上のスケールパターン31は、第1の検査方法の第2のスケールパターンに該当し、第3の露光領域22の右上のスケールパターン31は、第1の検査方法の第3のスケールパターンに該当する。
【0030】
スケールパターン30,31は、JIS B7507:2016(ISO13385-1:2011)に準拠しており、副尺目盛は、本尺目盛19mmを20等分した目盛とし、最小読取値を0.05mmとする。また、副尺目盛値は、上段の、「→」、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」、「9」、「10」の昇順の目盛値と、下段の、「←」、「9」、「8」、「7」、「6」、「5」、「4」、「3」、「2」、「1」、「0」の降順の目盛値とある。「→」と「←」の意味は、副尺スケールパターン31の基準目盛31aが本尺スケールパターン30の0(ゼロ)の目盛よりも右側にずれていれば、「→」の段の目盛値を用い、反対に、副尺スケールパターン31の基準目盛31aが本尺スケールパターン30の0(ゼロ)の目盛よりも左側にずれていれば、「←」の段の目盛値を用いるという意味である。
【0031】
たとえば、図2(b)の例では、右側のスケールパターン30,31においては、副尺スケールパターン31の基準目盛31aが本尺スケールパターン30の0の目盛と一致しているので、読取値は0であり、他方、左側のスケールパターン30,31においては、副尺スケールパターン31の基準目盛31aが本尺スケールパターン30の0の目盛よりも左側にずれているので、上段の目盛値を用いるとし、そして、副尺スケールパターン31の0.5の目盛が本尺スケールパターン30の目盛と一致しているので、読取値は0.05である。よって、第1の露光に係る主走査ラインと第2の露光に係る主走査ライン(隣り合う主走査ライン)には、副走査方向ピッチに-0.05mmのピッチ誤差があるということになる。
【0032】
また、図2(c)の例では、右側のスケールパターン30,31においては、副尺スケールパターン31の基準目盛31aが本尺スケールパターン30の0の目盛よりも左側にずれているので、下段の目盛値を用いるとし、そして、副尺スケールパターン31の0.5の目盛が本尺スケールパターン30の目盛と一致しているので、読取値は0.05であり、他方、左側のスケールパターン30,31においては、副尺スケールパターン31の基準目盛31aが本尺スケールパターン30の0の目盛よりも左側にずれているので、上段の目盛値を用いるとし、そして、副尺スケールパターン31の1の目盛が本尺スケールパターン30の目盛と一致しているので、読取値は0.10であり、よって、第1の露光に係る主走査ラインと第2の露光に係る主走査ライン(隣り合う主走査ライン)には、副走査方向ピッチに-0.05mmのピッチ誤差があるということになる。
【0033】
なお、第1の露光領域20の右上及び第2の露光領域21の左上にもスケールパターン30が露光されているが、これは、それぞれさらに隣の主走査ラインとの副走査方向ピッチを確認するためのものである。これを、少なくとも被露光材12を全面露光するための全主走査ライン、好ましくは、露光装置の全主走査ラインに対して行うことで、露光装置の必要範囲ないし全体の副走査方向ピッチ精度を検査することができる。
【0034】
このように、検査方法Aによれば、本尺スケールパターン30と副尺スケールパターン31を露光し、これを顕像化させて読み取ることで、比較的簡単な方法で露光装置の副走査方向ピッチ精度を精度良く検査することができる。
【0035】
なお、右側のスケールパターン30,31を露光せず、あるいは露光しても用いずに、左側のスケールパターン30,31だけを用いて、副走査方向ピッチ精度を検査することもできる。
【0036】
<検査方法B>
図3に示す検査方法Bは、検査方法Aと同じく、シングル露光ヘッドの露光装置の副走査方向ピッチ精度を検査するものであり、第1の検査方法に該当するものである。
【0037】
露光工程の手順は、検査方法Aと同じであるが、異なる点は、検査方法Bでは、検査方法Aのスケールパターン30,31を逆に露光する。
【0038】
図3(a)に示す如く、第1の露光では、副尺スケールパターン31が露光され、第2の露光では、同じく副尺スケールパターン31が露光され、第3の露光では、一対の本尺スケールパターン30,30が、第1の露光領域20及び第2の露光領域21の各スケールパターン31に対応して露光される。第2の露光領域21の右下のスケールパターン31は、第1の検査方法の第1のスケールパターンに該当し、第1の露光領域20の左下のスケールパターン31は、第1の検査方法の第4のスケールパターンに該当し、第3の露光領域22の左上のスケールパターン30は、第1の検査方法の第2のスケールパターンに該当し、第3の露光領域22の右上のスケールパターン30は、第1の検査方法の第3のスケールパターンに該当する。
【0039】
たとえば、図3(b)の例では、右側のスケールパターン30,31においては、副尺スケールパターン31の基準目盛31aが本尺スケールパターン30の0の目盛と一致しているので、読取値は0であり、他方、左側のスケールパターン30,31においては、副尺スケールパターン31の基準目盛31aが本尺スケールパターン30の0の目盛よりも右側にずれているので、上段の目盛値を用いるとし、そして、副尺スケールパターン31の0.5の目盛が本尺スケールパターン30の目盛と一致しているので、読取値は0.05である。よって、第1の露光に係る主走査ラインと第2の露光に係る主走査ライン(隣り合う主走査ライン)には、副走査方向ピッチに-0.05mmのピッチ誤差があるということになる。
【0040】
また、図3(c)の例では、右側のスケールパターン30,31においては、副尺スケールパターン31の基準目盛31aが本尺スケールパターン30の0の目盛よりも右側にずれているので、下段の目盛値を用いるとし、そして、副尺スケールパターン31の0.5の目盛が本尺スケールパターン30の目盛と一致しているので、読取値は0.05であり、他方、左側のスケールパターン30,31においては、副尺スケールパターン31の基準目盛31aが本尺スケールパターン30の0の目盛よりも右側にずれているので、上段の目盛値を用いるとし、そして、副尺スケールパターン31の1の目盛が本尺スケールパターン30の目盛と一致しているので、読取値は0.10である。よって、第1の露光に係る主走査ラインと第2の露光に係る主走査ライン(隣り合う主走査ライン)には、副走査方向ピッチに-0.05mmのピッチ誤差があるということになる。
【0041】
このように、検査方法Bによっても、本尺スケールパターン30と副尺スケールパターン31を露光し、これを顕像化させて読み取ることで、比較的簡単な方法で露光装置の副走査方向ピッチ精度を精度良く検査することができる。
【0042】
なお、右側のスケールパターン30,31を露光せず、あるいは露光しても用いずに、左側のスケールパターン30,31だけを用いて、副走査方向ピッチ精度を検査することもできる。
【0043】
また、第3の露光領域22の一対のスケールパターン30,30は、連続した一体的なスケールパターンとしてもよい。この場合、第3の露光領域22のスケールパターンは、第1の検査方法の第2のスケールパターン及び第3のスケールパターンに該当する。
【0044】
また、右側のスケールパターン30,31は、検査方法Bによる露光パターンとし、左側のスケールパターン30,31は、検査方法Aによる露光パターンとしたり、その逆に、右側のスケールパターン30,31は、検査方法Aによる露光パターンとし、左側のスケールパターン30,31は、検査方法Bによる露光パターンとすることもできる。
【0045】
<検査方法C>
図4及び図5に示す検査方法Cは、マルチ露光ヘッドの露光装置の副走査方向ピッチ精度を検査するものであり、第1の検査方法に該当するものである。検査方法Cは、マルチ露光ヘッド用であるか、シングル露光ヘッド用であるかの違いがある以外は、基本的には、検査方法Aと同じである。
【0046】
露光工程においては、まず最初の主走査ラインの所定位置でステージ11の動作を停止させて、当該位置で面露光(ショット露光)を行う(第1の露光、図4(a))。図4では、主走査ラインの先頭位置で面露光を行うが、主走査ラインの途中位置であってもよい。次に、ステージ11を+y方向に移動させて、通常の露光処理と同じ主走査の動作を行った後、ステージ11を+x方向に移動させながら-y方向に原点復帰させて、通常の露光処理と同じ副走査の動作を行い、第1の露光位置から副走査方向に1ピッチずれた位置でステージ11の動作を停止させて、当該位置で面露光(ショット露光)を行う(第2の露光、図4(b))。そして、最後に、ステージ11を-x方向に半ピッチ戻すとともに、+y方向に1ピッチ移動させて、第1の露光位置及び第2の露光位置から主走査方向に1ピッチ、副走査方向に半ピッチずれた位置でステージ11の動作を停止させて、当該位置で面露光(ショット露光)を行う(第3の露光、図4(c))。これにより、第2の露光領域21は、第1の露光領域20と副走査方向において隣接し、第3の露光領域22は、第1の露光領域20及び第2の露光領域21に跨るとともに、第1の露光領域20及び第2の露光領域21と主走査方向において隣接する。
【0047】
図5に示す如く、第1の露光では、本尺スケールパターン30が露光され、第2の露光では、同じく本尺スケールパターン30が露光され、第3の露光では、副尺スケールパターン31,31が、第1の露光領域20及び第2の露光領域21の各スケールパターン30に対応して露光される。第2の露光領域21の右下のスケールパターン30は、第1の検査方法の第1のスケールパターンに該当し、第1の露光領域20の左下のスケールパターン30は、第1の検査方法の第4のスケールパターンに該当し、第3の露光領域22の左上のスケールパターン31は、第1の検査方法の第2のスケールパターンに該当し、第3の露光領域22の右上のスケールパターン31は、第1の検査方法の第3のスケールパターンに該当する。
【0048】
スケールパターン30,31は、JIS B7507:2016(ISO13385-1:2011)に準拠しており、副尺目盛は、本尺目盛49mmを50等分した目盛とし、最小読取値を0.02mmとする。目盛の見方は、検査方法Aと同じである。
【0049】
このように、検査方法Cによっても、本尺スケールパターン30と副尺スケールパターン31を露光し、これを顕像化させて読み取ることで、比較的簡単な方法で露光装置の副走査方向ピッチ精度を精度良く検査することができる。
【0050】
なお、右側のスケールパターン30,31を露光せず、あるいは露光しても用いずに、左側のスケールパターン30,31だけを用いて、副走査方向ピッチ精度を検査することもできる。
【0051】
<検査方法D>
図6に示す検査方法Dは、検査方法Cと同じく、マルチ露光ヘッドの露光装置の副走査方向ピッチ精度を検査するものであり、第1の検査方法に該当するものである。検査方法Dは、マルチ露光ヘッド用であるか、シングル露光ヘッド用であるかの違いがある以外は、基本的には、検査方法Bと同じである。
【0052】
露光工程の手順は、検査方法Cと同じであるが、異なる点は、検査方法Dでは、検査方法Cのスケールパターン30,31を逆に露光する。
【0053】
第1の露光では、副尺スケールパターン31が露光され、第2の露光では、同じく副尺スケールパターン31が露光され、第3の露光では、一対の本尺スケールパターン30,30が、第1の露光領域20及び第2の露光領域21の各スケールパターン31に対応して露光される。第2の露光領域21の右下のスケールパターン31は、第1の検査方法の第1のスケールパターンに該当し、第1の露光領域20の左下のスケールパターン31は、第1の検査方法の第4のスケールパターンに該当し、第3の露光領域22の左上のスケールパターン30は、第1の検査方法の第2のスケールパターンに該当し、第3の露光領域22の右上のスケールパターン30は、第1の検査方法の第3のスケールパターンに該当する。
【0054】
このように、検査方法Dによっても、本尺スケールパターン30と副尺スケールパターン31を露光し、これを顕像化させて読み取ることで、比較的簡単な方法で露光装置の副走査方向ピッチ精度を精度良く検査することができる。
【0055】
なお、右側のスケールパターン30,31を露光せず、あるいは露光しても用いずに、左側のスケールパターン30,31だけを用いて、副走査方向ピッチ精度を検査することもできる。
【0056】
また、第3の露光領域22の一対のスケールパターン30,30は、連続した一体的なスケールパターンとしてもよい。この場合、第3の露光領域22のスケールパターンは、第1の検査方法の第2のスケールパターン及び第3のスケールパターンに該当する。
【0057】
また、右側のスケールパターン30,31は、検査方法Dによる露光パターンとし、左側のスケールパターン30,31は、検査方法Cによる露光パターンとしたり、その逆に、右側のスケールパターン30,31は、検査方法Cによる露光パターンとし、左側のスケールパターン30,31は、検査方法Dによる露光パターンとすることもできる。
【0058】
<検査方法E>
図7及び図8に示す検査方法Eは、シングル露光ヘッド及びマルチ露光ヘッドの各露光装置の主走査方向ピッチ精度を検査するものであり、第2の検査方法に該当するものである。
【0059】
露光工程においては、まず最初の主走査ラインの所定位置でステージ11の動作を停止させて、当該位置で面露光(ショット露光)を行う(第1の露光、図7(a))。図7では、主走査ラインの先頭位置で面露光を行うが、主走査ラインの途中位置であってもよい。次に、ステージ11を+y方向に移動させて、通常の露光処理と同じ主走査の動作を行った後、ステージ11を+x方向に移動させながら-y方向に原点復帰させて、通常の露光処理と同じ副走査の動作を行い、第1の露光位置から副走査方向に1ピッチずれた位置でステージ11の動作を停止させて、当該位置で面露光(ショット露光)を行う(第2の露光、図7(b))。これにより、第2の露光領域21は、第1の露光領域20と副走査方向において隣接する。
【0060】
図8(a)に示す如く、第1の露光では、副尺スケールパターン31が露光され、第2の露光では、本尺スケールパターン30が、第1の露光領域20のスケールパターン31に対応して露光される。第1の露光領域20のスケールパターン31は、第2の検査方法の第1のスケールパターンに該当し、第2の露光領域23のスケールパターン30は、第2の検査方法の第2のスケールパターンに該当する。
【0061】
たとえば、図8(b)の例では、副尺スケールパターン31の基準目盛31aが本尺スケールパターン30の0の目盛よりも下側にずれているので、右列の目盛値を用いるとし、そして、副尺スケールパターン31の0.5の目盛が本尺スケールパターン30の目盛と一致しているので、読取値は0.05である。よって、第1の露光に係る主走査ライン又は第2の露光に係る主走査ラインには、主走査方向ピッチに0.05mmのピッチ誤差があるということになる。
【0062】
また、図8(c)の例では、副尺スケールパターン31の基準目盛31aが本尺スケールパターン30の0の目盛よりも上側にずれているので、左列の目盛値を用いるとし、そして、副尺スケールパターン31の0.5の目盛が本尺スケールパターン30の目盛と一致しているので、読取値は0.05である。よって、第1の露光に係る主走査ライン又は第2の露光に係る主走査ラインには、主走査方向ピッチに0.05mmのピッチ誤差があるということになる。
【0063】
このように、検査方法Eによれば、本尺スケールパターン30と副尺スケールパターン31を露光し、これを顕像化させて読み取ることで、比較的簡単な方法で露光装置の主走査方向ピッチ精度を精度良く検査することができる。
【0064】
<検査方法F>
図9に示す検査方法Fは、シングル露光ヘッド及びマルチ露光ヘッドの各露光装置の主走査方向ピッチ精度を検査するものであり、第3の検査方法に該当するものである。検査方法Fは、主走査方向ピッチ精度の検査であるか、副走査方向ピッチ精度の検査であるかの違いがある以外は、基本的には、検査方法AないしDと考え方は同じである。
【0065】
露光工程においては、まず最初の主走査ラインの所定位置でステージ11の動作を停止させて、当該位置で面露光(ショット露光)を行う(第1の露光、図9(a))。図9では、主走査ラインの先頭位置で面露光を行うが、主走査ラインの途中位置であってもよい。次に、ステージ11を+y方向に1ピッチ移動させて、第1の露光位置から主走査方向に1ピッチずれた位置でステージ11の動作を停止させて、当該位置で面露光(ショット露光)を行う(第2の露光、図9(b))。そして、最後に、ステージ11を+y方向に移動させて、通常の露光処理と同じ主走査の動作を行った後、ステージ11を+x方向に移動させながら-y方向に原点復帰させて、通常の露光処理と同じ副走査の動作を行い、ステージ11を+y方向に半ピッチ移動させて、第1の露光位置及び第2の露光位置から副走査方向に1ピッチ、主走査方向に半ピッチずれた位置でステージ11の動作を停止させて、当該位置で面露光(ショット露光)を行う(第3の露光、図9(c))。これにより、第2の露光領域21は、第1の露光領域20と主走査方向において隣接し、第3の露光領域22は、第1の露光領域20及び第2の露光領域21に跨るとともに、第1の露光領域20及び第2の露光領域21と副走査方向において隣接する。
【0066】
スケールパターンは、図示しないが、検査方法Aや検査方法Bで説明したのと同じように露光される。第2の露光領域24のスケールパターン30又は31は、第3の検査方法の第1のスケールパターンに該当し、第1の露光領域20のスケールパターン30又は31は、第3の検査方法の第4のスケールパターンに該当し、第3の露光領域25の一対のスケールパターン30,30又は31,31のうち、第2の露光領域24のスケールパターン30又は31に対応するスケールパターン30又は31は、第3の検査方法の第2のスケールパターンに該当し、第1の露光領域20のスケールパターン30又は31に対応するスケールパターン30又は31は、第3の検査方法の第3のスケールパターンに該当する。
【0067】
このように、検査方法Fによっても、本尺スケールパターン30と副尺スケールパターン31を露光し、これを顕像化させて読み取ることで、比較的簡単な方法で露光装置の主走査方向ピッチ精度を精度良く検査することができる。
【0068】
なお、第1の露光領域20のスケールパターン30又は31及びこれに対応する第3の露光領域25のスケールパターン30又は31を露光せず、あるいは露光しても用いずに、第2の露光領域24のスケールパターン30又は31及びこれに対応する第3の露光領域25のスケールパターン30又は31だけを用いて、主走査方向ピッチ精度を検査することもできる。
【0069】
<検査方法G>
図10及び図11に示す検査方法Gは、シングル露光ヘッド及びマルチ露光ヘッドの各露光装置の主走査方向送り精度を検査するものであり、第4の検査方法に該当するものである。
【0070】
露光工程においては、まず最初の主走査ラインの所定位置からステージ11を+y方向に2ピッチ分移動させながら、露光(スキャン露光)を行う(第1の露光、図10(a))。図10では、主走査ラインの先頭位置から露光を行うが、主走査ラインの途中位置からであってもよい。次に、ステージ11を+y方向に移動させて、通常の露光処理と同じ主走査の動作を行った後、ステージ11を+x方向に移動させながら-y方向に原点復帰させて、通常の露光処理と同じ副走査の動作を行い、第1の露光位置の最初の1ピッチ分から副走査方向に1ピッチずれた位置でステージ11の動作を停止させて、当該位置で面露光(ショット露光)を行う(第2の露光、図10(b))。そして、最後に、ステージ11を+y方向に1ピッチ移動させて、第2の露光位置から主走査方向に1ピッチずれた位置でステージ11の動作を停止させて、当該位置で面露光(ショット露光)を行う(第3の露光、図10(c))。これにより、第2の露光領域27及び第3の露光領域28は、第1の露光領域26と副走査方向において隣接する。
【0071】
図11(a)に示す如く、第1の露光では、通常のスケールパターン32が露光され、第2の露光では、同じく通常のスケールパターン33が、第1の露光領域26のスケールパターンの半分に対応して露光され、第3の露光では、同じく通常のスケールパターン33が、第1の露光領域26のスケールパターン30のもう半分に対応して露光される。第1の露光領域26のスケールパターン32は、第4の検査方法の第1のスケールパターンに該当し、第2の露光領域27のスケールパターン33及び第3の露光領域28のスケールパターン33は、第4の検査方法の第2のスケールパターンに該当する。
【0072】
たとえば、図11(b)の例では、第1の露光領域26のスケールパターン32は、第2の露光領域27のスケールパターン33及び第3の露光領域28のスケールパターン33よりも目盛の間隔が狭くなっている。また、図11(c)の例では、第1の露光領域26のスケールパターン32は、第2の露光領域27のスケールパターン33及び第3の露光領域28のスケールパターン33よりも目盛の間隔が広くなっている。よって、これらのいずれかの場合でも、第1の露光に係る主走査ラインには、主走査方向送り精度の不良があるということになる。
【0073】
このように、検査方法Gによれば、スケールパターン32とスケールパターン33を露光し、これを顕像化させて読み取ることで、比較的簡単な方法で露光装置の主走査方向送り精度を精度良く検査することができる。
【0074】
なお、第2の露光領域27のスケールパターン33を露光せず、あるいは露光しても用いずに、第3の露光領域28のスケールパターン33だけを用いて、主走査方向送り精度を検査することもできる。あるいはその逆に、第3の露光領域28のスケールパターン33を露光せず、あるいは露光しても用いずに、第2の露光領域27のスケールパターン33だけを用いて、主走査方向送り精度を検査することもできる。
【0075】
また、第1の露光領域26のスケールパターン32は、分割して、第2の露光領域27のスケールパターン33及び第3の露光領域28のスケールパターン33のそれぞれに対応する一対のスケールパターンとしてもよい。この場合、いずれのスケールパターン32も、第4の検査方法の第1のスケールパターンに該当する。
【0076】
<検査方法H>
図12(a)に示す検査方法Hは、シングル露光ヘッド及びマルチ露光ヘッドの各露光装置の副走査方向ピッチ精度を検査するものであり、第1の検査方法に該当するものである。
【0077】
露光工程の手順は、検査方法AないしDと同じであるが、異なる点は、検査方法Hでは、副尺スケールパターンを用いず、通常のスケールパターン34,35を用いる。
【0078】
このように、検査方法Hによっても、スケールパターン34とスケールパターン35を露光し、これを顕像化させて読み取ることで、比較的簡単な方法で露光装置の副走査方向ピッチ精度を精度良く検査することができる。
【0079】
<検査方法I>
図12(b)に示す検査方法Hは、シングル露光ヘッド及びマルチ露光ヘッドの各露光装置の主走査方向ピッチ精度を検査するものであり、第2の検査方法に該当するものである。
【0080】
露光工程の手順は、検査方法Eと同じであるが、異なる点は、検査方法Iでは、副尺スケールパターンを用いず、通常のスケールパターン34,35を用いる。
【0081】
このように、検査方法Iによっても、スケールパターン34とスケールパターン35を露光し、これを顕像化させて読み取ることで、比較的簡単な方法で露光装置の主走査方向ピッチ精度を精度良く検査することができる。
【0082】
<検査方法J>
図13(a)に示す検査方法Jは、シングル露光ヘッド及びマルチ露光ヘッドの各露光装置の副走査方向ピッチ精度を検査するものであり、第1の検査方法に該当するものである。
【0083】
露光工程の手順は、検査方法AないしDと同じであるが、異なる点は、検査方法Jでは、通常のスケールパターン35と、スケールパターン35の所定の目盛に対応した配置のマーク36との組み合わせを用いる。
【0084】
このように、検査方法Jによっても、スケールパターン35とマーク36を露光し、これを顕像化させて読み取ることで、比較的簡単な方法で露光装置の副走査方向ピッチ精度を精度良く検査することができる。
【0085】
<検査方法K>
図13(b)に示す検査方法Hは、シングル露光ヘッド及びマルチ露光ヘッドの各露光装置の主走査方向ピッチ精度を検査するものであり、第2の検査方法に該当するものである。
【0086】
露光工程の手順は、検査方法Eと同じであるが、異なる点は、検査方法Kでは、通常のスケールパターン34と、スケールパターン34の所定の目盛に対応した配置のマーク36との組み合わせを用いる。
【0087】
このように、検査方法Kによっても、スケールパターン34とマーク36を露光し、これを顕像化させて読み取ることで、比較的簡単な方法で露光装置の主走査方向ピッチ精度を精度良く検査することができる。
【0088】
なお、本発明に係る露光装置の検査方法及び露光装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0089】
たとえば、上記実施形態においては、空間変調素子として、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプの空間変調素子であるDMDタイプの露光装置を対象とした。しかし、本発明において、電気光学効果により透過光を変調する光学素子(PLZT素子)、液晶光シャッタ(FLC)等、MEMSタイプ以外の空間変調素子を用いた露光装置であってもよく、また、MEMSタイプであっても、DMD以外に、反射回折格子型(GLV)、干渉型の露光装置であってもよい。
【0090】
また、上記実施形態においては、ステージ11が可動することで、主走査及び副走査を行うものであった。しかし、本発明はこれに限定されず、露光ヘッドが動くタイプ、主走査は露光ヘッドが動き、副走査はステージが動くタイプ、主走査はステージが動き、副走査は露光ヘッドが動くタイプでもよい。
【0091】
また、上記実施形態においては、露光ヘッドが隣の主走査に移る場合、原点復帰して、同じ方向に主走査するものであった。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば、主走査方向が交互に切り替わるようにしてもよい。
【0092】
また、上記実施形態においては、被露光材として、表面にフォトレジスト層が積層された基板が用いられた。しかし、本発明はこれに限定されず、たとえば、感光材料を用いるようにしてもよい。
【0093】
このように、本発明においては、露光装置及び被露光材は、これまでに開示したものに限らず、公知の構成のもの全てが対象となる。
【0094】
また、上記実施形態においては、本尺スケールパターン及び副尺スケールパターンの尺度は、JIS(ISO)に準拠するものを用いた。しかし、本発明はこれに限定されず、目盛及び最小読取値は、自由に設定可能である。
【符号の説明】
【0095】
1…露光装置、10…露光ヘッド、11…露光ステージ、12…基板(被露光材)、20…第1の露光領域、21…第2の露光領域、22…第3の露光領域、23…第2の露光領域、24…第2の露光領域、25…第3の露光領域、26…第1の露光領域、27…第2の露光領域、28…第3の露光領域、30…本尺スケールパターン、31…副尺スケールパターン、31a…基準目盛、32~35…スケールパターン、36…マーク
図1
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図10
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