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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】医薬用コロイド粒子
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/127 20060101AFI20221018BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20221018BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20221018BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20221018BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20221018BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20221018BHJP
   B82Y 5/00 20110101ALI20221018BHJP
【FI】
A61K9/127 ZNM
A61K47/24
A61K47/60
A61P7/00
A61K9/10
A61P7/04
B82Y5/00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2018519423
(86)(22)【出願日】2016-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-12-06
(86)【国際出願番号】 EP2016074759
(87)【国際公開番号】W WO2017064276
(87)【国際公開日】2017-04-20
【審査請求日】2019-10-11
(31)【優先権主張番号】1518172.0
(32)【優先日】2015-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512279958
【氏名又は名称】カンタブ バイオファーマシューティカルズ パテンツ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフ-ギャラウェイ,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】メイヨ,ジョン
【審査官】辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0167359(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0232075(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0141135(US,A1)
【文献】The AAPS Journal,2012年,Vol.14, No.1,p.35-42
【文献】Thromb. Haemost.,2005年,Vol.93,p.1061-1068
【文献】International Journal of Nanomedicine,2010年,Vol.5,p.581-591
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K47/00-47/69
A61K38/00-38/58
A61P 1/00-43/00
B82Y 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体適合性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を0.5~20モル%含有するコロイド粒子を含む、血友病の治療に用いられる組成物であって、
緩衝化した水性製剤として製剤化され、
前記生体適合性親水性ポリマーがポリエチレングリコールであり、
薬学的に活性な薬剤を含まない、組成物。
【請求項2】
生体適合性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を0.5~20モル%含有するコロイド粒子を含む、血友病の治療に用いられる組成物であって、
ポリオキシエチレンソルビタン、ポリヒドロキシエチレンステアレートおよびポリヒドロキシエチレンラウリルエーテルからなる群から選択される非イオン性界面活性剤で製剤化され、
前記生体適合性親水性ポリマーがポリエチレングリコールであり、
薬学的に活性な薬剤を含まない、組成物。
【請求項3】
前記コロイド粒子が実質的に中性であり、および前記ポリマーが実質的に正味電荷を有さない、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記コロイド粒子が、0.03~0.4ミクロン(μm)の平均粒径を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
前記コロイド粒子が、0.1ミクロン(μm)の平均粒径を有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記両親媒性脂質が天然または合成源由来のリン脂質である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記両親媒性脂質がホスファチジルエタノールアミン(PE)である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記両親媒性脂質がカルバメート結合非荷電性リポポリマー(carbamate-linked uncharged lipopolymer)である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記両親媒性脂質がアミノプロパンジオールジステアロイル(DS)である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記コロイド粒子が、天然または合成源のいずれかから得られた第2の両親媒性脂質をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記第2の両親媒性脂質がホスファチジルコリンである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記コロイド粒子が、パルミトイル-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)および1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノール-アミン(DSPE)を、(POPC:DSPE)=85:15~99:1の比で含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記POPC:DSPEの比が90:10~99:1である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記POPC:DSPEの比が97:3である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
コレステロールが補充されてなる、請求項10に記載の組成物。
【請求項16】
前記ポリエチレングリコールが、500~5000ダルトンの分子量を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記ポリエチレングリコールが、2000ダルトンの分子量を有する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記誘導体化された両親媒性脂質が、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノール-アミン-N-[ポリ-(エチレングリコール)]である、請求項16または17に記載の組成物。
【請求項19】
前記誘導体化された両親媒性脂質が、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノール-アミン-N-[ポリ-(エチレングリコール)-2000](DSPE-PEG 2000)である、請求項16または17に記載の組成物。
【請求項20】
皮下投与または静脈内投与用として製剤化されている、請求項1~19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
局所投与、皮下投与または静脈内投与用として製剤化されている、請求項2~19のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬用コロイド粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の多くの疾患は、血液または細胞外環境における内因性因子またはホルモンの欠乏を特徴とする。患者は循環する内因性因子またはホルモンのレベルが低く、内因性因子またはホルモンが、細胞、組織または器官に対して必要なレベルの生物学的作用またはシグナル伝達を提供するには不十分である。患者は、問題の疾患の軽度な形態に罹患していると位置づけられうる。
【0003】
例えば、1%未満の活性第VIII因子を有する個体は、重度の血友病Aであると分類され、1~5%の活性第VIII因子を有する個体は、中程度の血友病Aであると分類され、正常なレベルの5~40%の活性凝固第VIII因子を有する固体は、軽度の血友病Aであると分類される。
【0004】
内因性因子またはホルモンが欠乏しているか、または不十分な量であることを特徴とする疾患は、従来、患者がその因子またはホルモンの定期的な投与量を摂取する補充療法によって治療される。しかしながら、軽度から中等度の形態の疾患に罹患している被験者は、問題の内因性因子またはホルモンがないかまたはほとんどない患者のために、そのような障害を治療するために使用される治療用組成物を同じ用量で必要としない。
【0005】
どのような疾患の治療においても、多くの治療薬が重大な毒性を引き起こす可能性があるため、多すぎる用量を患者に処方するのを避けることは重要である。補充療法の他の問題としては、患者における置換因子またはホルモンに対する自己抗体の形成による「抵抗性」の発生が挙げられる。
【0006】
置換療法は、化学合成、組換えDNA技術、同種のドナーからのドネーション(donation)、または死後の身体からの単離といった様々な手段によって調製されうる外因性(exogenous)バージョンの因子またはホルモンを投与することによって、内因性因子またはホルモンの生物学的機能を回復させることを目標とする。例えば、血友病の治療は血液因子の投与に依存し、糖尿病の治療はインスリンを使用する。このような療法は、種々の異なる製剤および投与経路を伴う、問題の薬剤のための様々な供給源を用いてきた。しかし、ドナー源から得られる因子およびホルモンは、汚染のリスクを伴い、調製の合成経路が高価である。
【0007】
このアプローチの例としては、外因性血液因子を伴う血友病の治療において見られる。典型的には、血液因子は、静脈内投与のための医薬組成物として調製されている。この組成物は、多くの場合、循環の半減期を改善するためにポリエチレングリコール(PEG)のようなポリマーに接合している活性タンパク質に基づいている。治療薬としてのPEG化血液因子(PEGylated blood factors)の静脈内投与は、十分に理解され広く受け入れられている。第VIII因子および第IX因子物質のような裸の(すなわち接合されていない、および修飾なしの)血液因子のリポソーム製剤もまた知られており、例えば国際公開第95/04524号を参照されたい。
【0008】
第VIII因子およびポリエチレングリコールの存在によって修飾されたリポソームを含む医薬組成物は、国際公開第99/55306号に記載されており、これは血液因子がリポソームに封入されていない。しかしながら、製剤は、静脈内投与のために調製されている。他のタンパク質のさらなる製剤は、国際公開第2004/091723号に記載されており、これはタンパク質が血液凝固因子を含んでいる。タンパク質は、リポソームの表面に存在するポリエチレングリコールとの相互作用を介して非共有結合的にリポソームに結合するといわれている。しかし、この明細書の実施例に従って調製された血液凝固因子の製剤は静脈内投与のためのものでもある。
【0009】
PEGとの複合体として存在する血液因子、第VIII因子および第VIIa因子の製剤の他の例は、それぞれ、国際公開第2011/135307および国際公開第2011/135308号に示されており、実際の調製製剤は静脈内投与用である。国際公開第2013/156488号はまた、皮下投与のための第VIII因子(FVIII)および第VIIa因子(FVIIa)のような血液因子を含む、改変された治療薬の剤形を記載している。
【0010】
血液因子第VIII因子は、PEG化リポソームとの会合が可能であること、すなわち、血液因子が当該リポソームの内部に封入されないことも見出されている(Baru等、Thromb Haemost、93、1061~1068ページ(2005))。しかし、FVIIIの組成物は、静脈内投与のための製剤としてのみ調製された。
【0011】
Peng等のThe AAPS Journal、14(1)、25-42ページ(2011)におけるさらなる研究は、調製後にPEGを受動的にリポソームに添加することによってその後PEG化されたリポソーム内に封入されたFVIIIに基づく他のアプローチを開示している。Peng等の1つの実験では、免疫原性を調べるためにリポソーム製剤を皮下(SC)投与するが、この投与に治療目的の示唆はない。Peng等には、Baru等(2005)の論文、およびBaru等の「プロテアーゼやIgGなどの血漿成分に曝露したFVIII」というアプローチの記述への具体的な言及も記載されている。組換え第VIII因子を含有するBaru等(2005)の方法に従って調製したリポソームは、被験者に静脈内投与された(Spira等、Blood、108(12)、3668~3673ページ(2012))。
【0012】
したがって、そのような疾患の軽度から中等度の形態に罹患している患者にとっては、因子またはホルモンの外部供給源を必ずしも必要としない方法において、問題の因子またはホルモンの内因性レベルを補う手段を有することが好ましい。
【発明の概要】
【0013】
本発明によれば、生体適合性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を約0.5~20モル%含有するコロイド粒子を含む医薬用組成物が提供される。この組成物は、他の薬学的に活性な薬剤が存在しないコロイド粒子からなる。このような薬学的に活性な薬剤は、被験者の身体に薬理作用を有する薬物、物質、分子または化合物として定義される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のコロイド粒子を含む組成物は、その被験者における内因性因子またはホルモンのレベルが不十分であることを特徴とする被験者における疾患の治療に使用されうる。この疾患は、内因性因子またはホルモンの産生に関連する一つの遺伝子または複数の遺伝子の機能の欠損またはその機能の部分的な欠損に起因しうる。
【0015】
したがって、本発明の組成物は、内因性の生物学的に活性なポリペプチドまたはタンパク質の活性の保護および延長をもたらす。本発明は、さらなる誘導体化の有無にかかわらず、外因性タンパク質の投与を必要としない疾患または症状(condition)の治療を提供する。組成物が局所的に投与される場合、本発明はまた、生物学的に活性なポリペプチドまたはタンパク質の治療的に有効な循環レベルを維持するために、被験者が従来の療法におけるように任意の注射を受ける必要がないことを意味する。被験者が生物学的に活性なポリペプチドまたはタンパク質の外因性注入(injection)を既に定期的に受けている場合、組成物は体内のそのようなポリペプチドまたはタンパク質の寿命を延ばすことになり、そのようなポリペプチドまたはタンパク質の投与量を減少させること、投与間隔を長くさせること、またはこれらの両方の利点の組み合わせを可能にする。
【0016】
疾患は、血液因子疾患、内分泌障害またはホルモン欠乏症からなる群から選択されてもよい。
【0017】
上記血液因子疾患は、血友病(血友病A、BまたはC)、フォン・ウィルブランド病(von Willebrand Disease)、第V因子欠乏症、第X因子欠乏症、第XII因子欠乏症であってもよい。
【0018】
内分泌障害は、先端巨大症、アジソン病(Addison’s Disease)、クッシング症候群(Cushing’s Syndrome)、デクヴェール甲状腺炎(De Quervain’s Thyroiditis)、肥満症、糖尿病(1型糖尿病または2型糖尿病)、尿崩症、甲状腺腫、グレーブス病(Graves’ Disease)、成長障害、成長ホルモン欠乏症、橋本甲状腺炎、高血糖症、副甲状腺機能亢進症、低血糖症、副甲状腺機能低下症、低テストステロン、閉経、骨粗鬆症、副甲状腺疾患、下垂体疾患、多嚢胞性卵巣症候群、前糖尿病、ターナー症候群であってもよい。
【0019】
コロイド粒子は、実質的に中性であってもよく、ポリマーは実質的に正味電荷を有していなくてもよい。コロイド粒子は、約0.03~約0.4ミクロン(μm)の平均粒径を有していてもよく、例えば約0.1ミクロン(μm)の平均粒径を有する。この範囲の平均粒径は、in vivoでの粒子の循環時間を増加させ、細網内皮系(RES)によるそれらの吸着を抑制しうる。
【0020】
本発明のコロイド粒子は、当該分野で周知のように、典型的には脂質ベシクルまたはリポソームの形態である。本明細書中のコロイド粒子への言及は、文脈上他に明記しない限り、リポソームおよび脂質ベシクルを含む。
【0021】
コロイド粒子において、両親媒性脂質は、天然または合成源由来のリン脂質でありうる。両親媒性脂質は、約0.5~約20モル%、例えば、約1~20%、または約1~6%または約3%の粒子を含むことができる。
【0022】
「両親媒性脂質」とは、リン脂質などの親水性領域および疎水性領域を含む物質をいう。両親媒性脂質は、双性イオン性リン脂質、双性イオン性脂質、正味負電荷を有する脂質、正味正電荷を有する脂質でありうる。例えば、両親媒性脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、大豆レシチン(soya lecithin)、卵レシチン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、カルジオリピン、アシルトリメチルアンモニウムプロパン、ジアシルジメチルアンモニウムプロパン、ステアリルアミン、エチルホスファチジルコリン等が挙げられるが、これらに限定されない。大豆レシチンは、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)およびホスファチジルイノシトール(PI)といった、主に天然起源のリン脂質の組み合わせである。
【0023】
このような両親媒性脂質の好適な例としては、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、カルバメート結合非荷電性リポポリマーまたはアミノプロパンジオールジステアロイル(DS)、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
ホスファチジルエタノールアミンリン脂質の例としては、1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンが挙げられる。ホスファチジルエタノールアミン(PE)の好適な例としては、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)であってもよい。生体適合性親水性ポリマーの目的は、SUVを立体的に安定化させて、in vitroで小胞の融合を防止し、in vivoでベシクルがRESによる吸着を逃れることを可能にすることである。
【0025】
コロイド粒子は、天然または合成源のいずれかから得られた第2の両親媒性脂質をさらに含んでいてもよい。第2の両親媒性脂質は、ホスファチジルコリン(PC)であってもよい。ホスファチジルコリンリン脂質の例としては、1,2-ジデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ミリストイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ミリストイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ステアロイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ステアロイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンなどが挙げられる。ホスファチジルコリン(PC)の好適な例としては、パルミトイル-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)または大豆ホスファチジルコリンであってもよい。ホスファチジルコリンの他の天然源としては、卵ホスファチジルコリンが挙げられる。ホスファチジルコリンは、水素化されていてもよいし、水素化されていなくてもよい。
【0026】
一実施形態では、医薬組成物は、パルミトイル-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)と1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノール-アミン(DSPE)とを85:15~99:のモル比(POPC:DSPE)で含むコロイド粒子からなりうる。ある場合では、POPC:DSPEのモル比は、90:10~99:であってもよい。一実施形態では、POPC:DSPEのモル比は、97:3であってもよい。これらの脂質の97:3のモル比は、97:10の重量比に相当する。
【0027】
他の実施形態では、本発明の医薬組成物は、コレステロールを補充されてもよい。
【0028】
生体適合性ポリマーは、約500~約5000ダルトンの間、例えば約2000ダルトンの分子量を有していてもよい。
【0029】
本発明に従って使用される生体適合性親水性ポリマーは、ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸およびポリグリコール酸からなる群より選択されうる。生体適合性親水性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)であってもよい。本発明の組成物に使用されるポリエチレングリコールは、約500~約5000ダルトンの間の分子量を有していてもよく、例えば約1000ダルトン、2000ダルトンまたは3000ダルトンの分子量を有していてもよい。一実施形態では、PEGの分子量は2000ダルトンであってもよい。ポリエチレングリコールは、分枝状であっても非分枝状であってもよい。
【0030】
好適な誘導体化された両親媒性脂質の例としては、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノール-アミン-N-[ポリ-(エチレングリコール)]であってもよい。PEGが2000ダルトンの分子量を有する場合、誘導体化された両親媒性脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノール-アミン-N-[ポリ-(エチレングリコール)-2000](DSPE-PEG 2000)と記載されうる。
【0031】
コロイド粒子の最終製剤中における誘導体化された両親媒性脂質の濃度は、組成物の所期の特性に適合するように調節してもよい。しかしながら、好適な濃度は、5.0mg/mL~15mg/mLであってもよく、例えば7.5mg/mL~12.5mg/mL、または7.6mg/mL~9.0mg/mLでありうる。最終製剤中における脂質の全含有量は、4%~12%の範囲であってもよく、例えば4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%または12%でありうる。
【0032】
組成物は、任意の適切な賦形剤、緩衝剤および/またはアジュバントを含んでいてもよく、医薬組成物として調合されてもよい。そのような賦形剤、緩衝剤および/またはアジュバントの例としては、リン酸緩衝食塩水(PBS)、リン酸カリウム、リン酸ナトリウムおよび/またはクエン酸ナトリウムが挙げられる。他の生物学的緩衝剤としては、PIPES、MOPSなどが挙げられる。
【0033】
組成物に好適なpH値としては、in vivo投与のために一般的に許容されるあらゆるpH値が含まれ、例えばpH5.0~pH9.0、好ましくはpH6.8~pH7.2、またはpH7.0である。
【0034】
驚くべきことに、本発明者らは、生体適合性ポリマーで誘導体化されたコロイド粒子(リポソーム)の製剤をうまく投与することができ、被験者に治療上有効な投与量を達成できることを見いたした。好適には、生体適合性ポリマーはポリエチレングリコールである。
【0035】
したがって、本発明のこの実施態様は、上記のように定義されたコロイド粒子を含む組成物を被験者に投与することを含む、上記のように定義される疾患または症状に罹患している被験者の治療方法に及ぶ。本発明は、そのような疾患または症状の治療のための医薬品の製造におけるそのようなコロイド粒子の使用を含む。
【0036】
理論に縛られることを望むものではないが、本発明に従って使用されるコロイド粒子は、被験者における因子またはホルモンの活性を増強し得ると考えられる。多くの疾患において、被験者が因子またはホルモンを欠乏している場合、病気の症状が現れる可能性がある。
【0037】
因子が血液因子である場合、それは、第VII因子、第VIIa因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第Xa因子、第XI因子、第VIIa因子、第V因子、第XIII因子、フォン・ウィルブランド因子およびプロテインCからなる群から選択されうる。ある実施形態において、血液凝固因子は、適切には第VII因子、第VIII因子または第IX因子でありうる。
【0038】
他の因子またはホルモンとしては、カルシトニン、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、トロンボポエチン(TPO)、α-1プロテイナーゼ阻害剤、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)、成長ホルモン、ヘパリン、ヒト成長ホルモン(HGH)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン-1受容体、インターロイキン-2、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-6、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、インスリン、プロインスリン、アミリン、C-ペプチド、ソマトスタチン、バソプレッシン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、インスリン様成長因子(IGF)、インスリントロピン、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、神経成長因子(NGF)、組織成長因子、ケラチノサイト成長因子(KGF)、グリア成長因子(GGF)、腫瘍壊死因子(TNF)、内皮増殖因子、副甲状腺ホルモン(PTH)、グルカゴン様ペプチド(GLP)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
この因子は、例えば、抗体または抗体断片であってもよく、例えば、単一ドメイン抗体、V、V、Fab、F(ab’)、Fab’、Fab3、scFv、di-scFv、sdAb、Fcおよび/またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0040】
親水性ポリマーで誘導体化されたベシクル形成脂質を調製するために、種々の公知のカップリング反応を使用することができる。例えば、ポリマー(PEGなど)は、塩化シアヌル基を介してホスファチジルエタノールアミン(PE)などの脂質に誘導体化されてもよい。あるいは、キャップされたPEGを、カルボニルジイミダゾールカップリング試薬で活性化して、活性化されたイミダゾール化合物を形成することができる。カルバメート結合化合物は、MPEG(メトキシPEG)の末端ヒドロキシルをp-ニトロフェニルクロロホルメートと反応させてp-ニトロフェニルカーボネートを生成することによって調製してもよい。次いで、この生成物を1-アミノ-2,3-プロパンジオールと反応させて中間カルバメートを得る。ジオールのヒドロキシル基をアシル化して最終生成物を得る。国際公開第01/05873号に記載されているように、1-アミノ-2,3-プロパンジオールの代わりにグリセロールを用いた同様の合成を用いてカーボネート結合生成物を製造することができる。他の反応はよく知られており、例えば米国特許第5,013,556号などに記載されている。
【0041】
コロイド粒子(リポソーム)は、様々なパラメータに従って分類することができる。例えば、サイズおよび層(構造パラメータ)の数をパラメータとして使用する場合、3つの主要タイプのリポソームとして多重層ベシクル(MLV)、小さな一枚膜ベシクル(SUV)および大きな一枚膜ベシクル(LW)と記述することができる。
【0042】
MLVは、ゲル-液晶相転移温度(cm)以上の温度で乾燥したリン脂質の水和において自発的に形成する種である。MLVのサイズは不均一であり、それらの構造は、同心の水層および脂質層が交互となっており、タマネギの皮に似ている。
【0043】
SUVは、超音波処理または押出し、高圧ホモジナイゼーションまたは高せん断混合などの他の方法によってMLVから形成され、単層である。それらは、大きい表面対体積比(surface-to-volume ratio)を有する最小の種であり、従って、脂質の重量に対する水性空間の占有体積(capture volume)が最も小さい。
【0044】
第3のタイプのリポソームLUVは、大きな水性区画および単一の(単層状)脂質層または少数の(オリゴラメラ状)脂質層を有する。さらなる詳細は、D.LichtenbergおよびY.Barenholz、“Liposomes:Preparation、Characterization and Preservation、in Biochemical Analysis”、Vol.33、337~462頁(1988)に記載されている。
【0045】
本明細書で使用される「導入(loading)」という用語は、導入される生体高分子物質のあらゆる種類の相互作用を意味し、例えば、生体高分子物質の押出しの有無に関わらない、封入(encapsulation)、接着(ベシクルの内壁または外壁への接着)または壁内への組み込みなどのような相互作用を意味する。
【0046】
本明細書中で使用され、上で示されたように、「リポソーム」という用語は、コロイド粒子を指し、自発的にまたは非自発的に小胞化するあらゆる両親媒性化合物(例えば少なくともひとつのアシル基が複雑なリン酸エステルで置換されたリン脂質など)のすべての球体またはベシクルを含むことを意図している。リポソームは、ガラス状態から液晶までの任意の物理的状態で存在しうる。大部分のトリアシルグリセリドが好適であり、本発明での使用に適した最も一般的なリン脂質はレシチン(ホスファチジルコリン(PC)とも呼ばれる)であり、リン酸のコリンエステルに結合したステアリン酸、パルミチン酸およびオレイン酸のジグリセリドの混合物である。レシチンは、卵、大豆、および動物組織(脳、心臓など)などのすべての動物および植物において見出され、また合成的に製造することもできる。リン脂質の供給源またはその合成方法は重要ではなく、任意の天然由来または合成のホスファチドを使用することができる。
【0047】
特定のリン脂質の例としては、L-a-(ジステアロイル)レシチン、L-a-(ジパルミトイル)レシチン、L-a-ホスファチジド酸、L-a-(ジラウロイル)-ホスファチジン酸、L-a(ジミリストイル)ホスファチジン酸、L-a(ジオレオイル)ホスファチジン酸、DL-a(ジパルミトイル)ホスファチジン酸、L-a(ジステアロイル)ホスファチジン酸、および脳、肝臓、卵黄、心臓、大豆などから調製されたまたは合成的に調製された様々なタイプのL-a-ホスファチジルコリン、ならびにそれらの塩である。他の好適な修飾としては、ホスファチジルコリン(PC)、および、それ自身が単独で、またはPCのアルキル類縁体のようなPCと混合したときにミセルを形成する双性イオン両親媒性物質(amphipathate)中における脂肪アシル残基架橋剤の制御された過酸化が挙げられる。
【0048】
リン脂質は、純度が異なり、完全または部分的に水素化することもできる。水素化は、望ましくない過酸化のレベルを低下させ、パッキングおよび漏れに影響するゲル-液体/結晶相転移温度(try)を変更および制御する。
【0049】
リポソームは、種々の生物学的液体を含むあらゆる特定のリザーバの要件に合わせて「調整する(tailored)」ことができ、凝集またはクロマトグラフィーによる分離を伴わずに安定性を維持し、注入された液体中に十分に分散し懸濁する。系内(in situ)での流動性は、組成、温度、塩分、二価イオンおよびタンパク質の存在により変化する。リポソームは、他の溶媒または界面活性剤の有無にかかわらず使用することができる。
【0050】
一般的に、好適な脂質は、少なくとも卵または大豆PCのアシル鎖成分の転移温度(Tm)に関連して特徴的なアシル鎖組成を有していてもよく、すなわち、1つは飽和の鎖であり1つは不飽和の鎖である、または2つともが不飽和の鎖であるといったようなアシル鎖組成を有していてもよい。しかしながら、2つともが飽和鎖のものを使用する可能性は排除されない。
【0051】
リポソームは、不安定性および/または凝集および/またはクロマトグラフィー分離を誘導しないのであれば、他の脂質成分を含みうる。これは、日常的な実験によって決定することができる。
【0052】
生体適合性親水性ポリマーは、物理的にリポソームの表面に付着していてもよく、またはリポソームの膜に挿入されていてもよい。したがって、ポリマーは、リポソームに共有結合していてもよい。
【0053】
コロイド粒子または生物学的に活性なポリペプチドもしくはタンパク質のいずれかまたは両方は、コロイド粒子とポリペプチドまたはタンパク質との間の会合の動態を調節するために改変(modified)されうる。このような調節は、コロイド粒子または生物学的に活性なポリペプチドもしくはタンパク質上の領域または結合配列をカスタマイズすることによって達成されうる。
【0054】
単層または多重層である修飾リポソームを製造するための様々な方法が知られており、利用可能である(LichtenbergおよびBarenholz、(1988)参照):
1.リン脂質の薄膜を水性媒体で水和させた後、機械的に振とうおよび/もしくは超音波照射および/もしくは適当なフィルターを通して押し出しを行う;
2.リン脂質を適切な有機溶媒に溶解し、水性媒体と混合した後、溶媒を除去する。
3.その気体の臨界点以上の気体を使用する(すなわち、フレオンおよびCOもしくはCOと他のガス状炭化水素との混合物などの他のガス)または
4.脂質と界面活性剤との混合ミセルを調製し、次いで、界面活性剤の濃度を、リポソームが形成されるその臨界濃度よりも低いレベルまで低下させる。
【0055】
一般に、このような方法は、約0.02~10μmまたはそれ以上の不均一なサイズを有するリポソームを生成する。比較的小さくサイズが明確なリポソームが本発明における使用に好ましいため、「リポソームダウンサイジング」と定義される第2の処理工程が、リポソーム懸濁液のサイズおよびサイズの不均一性を低減するために使用されうる。
【0056】
リポソーム懸濁液は、ベシクルの選択的サイズ分布が約5μm未満、例えば、<0.4μmのサイズ範囲を達成するように製造されうる。本発明の一実施形態では、コロイド粒子は、約0.03~0.4ミクロン(μm)、好適には約0.1ミクロン(μm)の平均粒径を有する。
【0057】
この範囲のリポソームは、適切なフィルターによるろ過によって容易に滅菌することができる。より小さいベシクルはまた、保管時に凝集する傾向が少なく、したがって、リポソームが静脈内または皮下に注入されるときに重大な閉塞(blockage)または閉塞(plugging)の問題を潜在的に減少させる。最終的に、サブミクロン範囲までサイズダウンされたリポソームは、より均一な分布を示す。
【0058】
本発明に適した方法で、リポソームのサイズおよびサイズの不均一性を減少させるためのいくつかの技術が利用可能である。標準的なバスまたはプローブでの音波処理のいずれかによるリポソーム懸濁液の超音波照射により、サイズが0.02~0.08μmの間の小さな単層ベシクル(SUV)まで斬新的にサイズが縮小される。
【0059】
ホモジナイゼーションは、大きなリポソームをより小さなものにフラグメント化するためにエネルギーをせん断することに依存する別の方法である。典型的なホモジナイゼーション手順では、選択されたリポソームサイズ、典型的には約0.1~0.5μmが観察されるまで、リポソーム懸濁液を標準エマルジョンホモジナイザーに再循環させる。両方の方法において、粒度分布は、従来のレーザービーム粒径測定によってモニターすることができる。
【0060】
孔径の小さいポリカーボネートフィルターまたは同等の膜を通すリポソームの押出しもまた、リポソームのサイズを、比較的よく規定されたサイズ分布に減少させるのに有効な方法であり、その平均は、膜の孔径によるが、約0.02~5μmの範囲内である。
【0061】
典型的には、懸濁液は、所望のリポソームサイズ分布が達成されるまで、1枚または2枚の積み重ねられた膜を通して数回循環される。リポソームのサイズを徐々に減少させるため、リポソームは連続的により小さな孔径の膜を通して押し出されてもよい。
【0062】
遠心分離およびモレキュラーシーブクロマトグラフィーは、1μm未満の選択された閾値未満の粒径を有するリポソーム懸濁液を製造するために利用可能な他の方法である。これらの2つのそれぞれの方法は、大きな粒子をより小さな粒子に変換するというよりむしろ、大きなリポソームを優先的に除去することを伴う。それに対応して、リポソーム収率も低下する。
【0063】
サイズ処理されたリポソーム懸濁液は、厚みが0.45μmの従来のメンブランフィルターのような約0.4μmの粒子識別サイズを有する滅菌膜を通すことによって容易に滅菌されうる。リポソームは凍結乾燥形態で安定であり、使用直前に水に溶解することによって簡単に再構成することができる。
【0064】
リポソームを形成するために好適な脂質は上記に記載されている。好適な例としては、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)および/またはジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)などのリン脂質、部分的または完全な精製後に直接得られるかまたは部分的または完全な水素添加後に得られる卵および大豆由来のリン脂質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
以下の4つの方法が国際特許出願公開第95/04524号に記載されており、一般に、本発明に従って使用されるコロイド粒子(リポソーム)の調製に適している。
【0066】
方法A
a)水と混和しない有機溶媒中にベシクルを形成するのに適した脂質などの両親媒性物質を混合する
b)固体支持体の存在下で溶媒を除去するか、あるいは乾燥した両親媒性物質またはその混合物が、任意の形態(粉末、顆粒など)で直接用いられうる
c)生理学的に適合する溶液中で工程b)の生成物を生体高分子物質の溶液に取り込む
d)可溶化または分散性を有する有機溶媒を加え、そして
e)工程d)で得られた画分を生体高分子物質の機能を保持する条件下で乾燥する。
【0067】
方法Aの工程a)によれば、上述のようにベシクルを形成するのに適した両親媒性物質は水と混和しない有機溶媒中で混合される。水と混和しない有機溶媒としては、フッ素化炭化水素、塩素化炭化水素などの極性プロトン性溶媒でありうる。
【0068】
本発明の方法の工程b)では、固体支持体の存在下で溶媒を除去する。固体支持体は、ビーズ様構造を有する不活性有機または無機材料であってもよい。無機支持体材料の材料はガラスであってもよく、有機材料はテフロン(登録商標)または他の同様のポリマーであってもよい。
【0069】
本発明の方法Aの工程c)は、生理学的に適合する溶液中で、工程b)の生成物を内包されるための物質の溶液に取り込むためのものである。
【0070】
生理学的に適合する溶液は、約1.5重量%以下の塩化ナトリウム溶液と同等でありうる。生理学的に適合性である限り、他の塩を使用することも可能であり、例えば砂糖および/またはアミノ酸のような凍結保護物質としてのものが挙げられる。例えば、ラクトース、スクロースまたはトレハロースを凍結保護物質として使用することができる。
【0071】
場合により、工程a)とb)との間に、工程a)のウイルス不活性化、滅菌、発熱物質除去(depyrogenating)、画分のろ過などの工程をおこなってもよい。これは、調製の初期段階で薬学的に許容される溶液を得るために有利でありうる。
【0072】
方法Aの工程d)は、可溶化特性または分散特性を有する有機溶媒を添加することである。
【0073】
有機溶媒は、水と混和する有機極性プロトン性溶媒であってもよい。tertiary-ブタノール(tert-ブタノール)のような、アルキル鎖中に1~5個の炭素原子を有する低級脂肪族アルコールも使用することができる。
【0074】
必要に応じて、工程d)に続いて、工程d)を行った後に得られた画分のウイルス不活性化、滅菌および/または分割を行うことができる。
【0075】
本発明の工程e)は、導入される物質の機能を保持する条件下で、工程d)で得られた画分を乾燥することである。混合物を乾燥させる1つの方法は、凍結乾燥である。凍結乾燥は、例えば乳糖もしくは他の糖類またはアミノ酸などの凍結保護物質の存在下で行ってもよい。あるいは、蒸発または噴霧乾燥が使用されうる。
【0076】
次いで、乾燥残渣を使用前に水性媒体中に取り込むことができる。固体を取り込んだ後、それはそれぞれのリポソームの分散液を形成する。水性媒体は生理食塩水を含有してもよく、形成された分散液は、必要に応じてリポソームのサイズを小さくするために、場合により適切なフィルターを通過させてもよい。好適には、リポソームは0.02~5μm、例えば<0.4μmの範囲のサイズを有しうる。
【0077】
本発明の組成物はまた、方法Aの工程c)またはd)のいずれかの画分を単離することによって得ることができる中間生成物でありうる。したがって、本発明の製剤はまた、方法Aの工程e)の生成物を水中で分散の形態で取り込んだ後に得られる水分散液を含む(水性媒体中のリポソーム)。
【0078】
あるいは、本発明の医薬組成物は、方法B、C、DおよびEと呼ばれる以下の方法によっても得ることができる。
【0079】
方法B
この方法は、方法Aの工程a)、b)およびc)も含む。しかし、方法Aの工程d)およびe)は省略される。
【0080】
方法C
方法Cにおいて、方法Aの工程d)は、少なくとも2回繰り返さなければならない凍結融解サイクルに置き換えられる。この工程は、リポソームを製造するための先行技術において周知である。
【0081】
方法D
方法Dは浸透性成分の使用を除外する。方法Dでは、ベシクルの調製、導入される物質の実質的に塩を含まない溶液と混合、および得られたフラクションの共乾燥の工程が含まれる。
【0082】
方法E
方法Eは、上記の方法A~Dよりも簡単である。それは、リポソーム調製に使用される化合物(脂質酸化防止剤など)を、tert-ブタノールなどの極性プロトン性水混和性溶媒中に溶解する必要がある。次いで、この溶液を、血液因子を含有する水溶液または分散液と混合する。混合は、活性を維持するために必要な最適な体積比で行われる。
【0083】
次いで、混合物を凍結保護物質の存在下または非存在下で凍結乾燥させる。リポソーム製剤の使用前には再水和が必要である。これらのリポソームは多重層であり、それらのサイズ縮小は国際公開第95/04524号に記載されている方法の1つによって達成することができる。
【0084】
本明細書中で使用される場合、「治療(treatment)」という用語は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物に利益をもたらすことができるあらゆる形態を含む。「非ヒト哺乳動物(non-human mammal)」の治療は、ウマおよびコンパニオンアニマル(例えば、ネコおよびイヌ)ならびにヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ亜科およびウマ科のメンバーを含む農場/農業動物を含む家畜哺乳類の治療に及ぶ。この治療は、あらゆる存在する症状または疾患に関して行われてもよく、または予防的(予防的治療)であってもよい。治療は遺伝性疾患または後天性疾患であってもよい。治療は、急性または慢性の症状でありうる。
【0085】
血液凝固カスケードにおける活性レベルは、任意の適切なアッセイ、例えば、全血凝固時間(WBCT)試験または活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)によって測定してもよい。
【0086】
全血凝固時間(WBCT)試験は、全血が外部環境(通常はガラス管または皿)で血栓を形成するのにかかる時間を測定する。
【0087】
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)試験は、血液凝固経路部分のパラメータを測定する。それは血友病および静脈内ヘパリン療法によって異常に上昇する。APTTには静脈からの数ミリリットルの血液が必要である。APTT時間は、「内因性経路(intrinsic pathway)」として知られる凝固系の一部分の尺度である。APTT値は実験室試験で起こる、特定の凝固プロセスのための時間(秒)である。この結果は、常に正常血液の「対照(control)」サンプルと比較される。試験サンプルが対照サンプルよりも長い時間を要する場合、それは内因性経路における凝固機能の低下を示す。一般的な医学療法は、通常、45~70秒程度のAPTTの範囲を目標とするが、その値は、試験対正常の比、例えば正常の1.5倍として表されてもよい。ヘパリン治療を行わない場合の高APTTは血友病によるものであり、さらなる検査を必要としうる。
【0088】
本発明はまた、本発明の組成物および投与のための注射用溶液を含有する投与用ビヒクルを含む、パーツのキットを提供し、該キットは、好適には、その使用説明書を含む。
【0089】
したがって、本発明はまた、本発明の組成物の剤形を適切に提供することができる。そのような剤形は、患者にとって適切な用量を含む適切な容器またはバイアルとして提供されうる。
【0090】
体重1kgあたりリポソーム脂質2.000mgまでの用量で患者に投与することができる。
【0091】
したがって、本発明の他の態様において、患者への送達のための製剤の容量は、2mL以下でありうる。好適には、送達容量は、5μL、10μL、25μL、50μL、100μL、250μL、500μL、750μL、または1mLであってもよい。他の実施形態では、送達のための製剤の容量は、1.5mL以下、2mL以下、2.5mL以下、3.0mL以下または3.5mL以下であってもよい。
【0092】
本発明の製剤は、少なくとも1日に1回、少なくとも1日に2回、1週間に約1回、1週間に約2回、2週間に約1回、または1ヶ月に約1回投与してもよい。
【0093】
本発明による使用のためのコロイド粒子を含む組成物は、皮下、静脈内または局所投与のような任意の利便性の高い経路による投与のために製剤化してもよい。したがって、コロイド粒子は、薬学的に活性な薬剤を含有しない医薬組成物として処方されてもよい。
【0094】
局所投与、皮下投与または静脈内投与に適した製剤は、水性または実質的に水性の製剤として適切に調製することができる。製剤は、必要に応じて、そのような追加の塩、保存剤および安定剤、および/または賦形剤もしくはアジュバントを含みうる。本発明の剤形は、適切な水性媒体中で即時製剤化の準備ができている無水粉末として提供されうる。
【0095】
好ましくは、このような剤形は、緩衝化した水性製剤として製剤化することができる。好ましい緩衝溶液としては、アミノ酸(例えば、ヒスチジン)、無機酸およびアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩(例えば、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、リチウム塩またはカルシウム塩-塩化ナトリウム、リン酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムとして例示される)が挙げられるが、これらに限定されない。界面活性剤または乳化剤(例えば、Tween 80(登録商標)または他の任意の形態のTween(登録商標))などの他の成分が存在してもよく、安定剤(例えば、ベンズアミジンまたはベンズアミジン誘導体)が存在してもよい。糖(例えば、スクロース)などの賦形剤もまた存在しうる。pHの好適な値は、生理学的pHであり、例えばpH6.8~7.4またはpH7.0である。pHは、それに応じて適切な酸またはアルカリ、例えば塩酸で調整することができる。液体剤形は、例えば3.5mLまたは7.0mLのバイアルのような投与ビヒクルに用いられるために準備された状態で調製されうる。
【0096】
1つの特定の実施形態において、以下のような、本発明に従って使用するための静脈内または皮下投与のための組成物が提供される:
-50mMクエン酸ナトリウム
-pH 7.0
-100mMリン脂質 97:3のモル比のパルミトイル-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)および1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ポリ(エチレングリコール)-2000](DSPE-PEG 2000)。
【0097】
局所投与のための製剤は、界面活性剤、防腐剤、増粘剤、緩衝剤、および水からなる群から選択される一つまたは複数の成分を含む局所ゲルを用いて調合されうる。一実施形態では、界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン、ポリヒドロキシエチレンステアレートまたはポリヒドロキシエチレンラウリルエーテルからなる群から選択される非イオン性界面活性剤であってもよく、任意に界面活性剤はポリソルベート80(Tween 80)である。リン脂質対界面活性剤の比は、30:1から15:1、10:1、好適には15:1、8:1または2:1であってもよい。界面活性剤の濃度は、0.25重量%~5重量%、例えば1重量%~3重量%、1重量%~2重量%であってもよく、いくつかの例示的な値は0.47%、0.85%、または3.5%でありうる。このような局所投与のための製剤の例は、国際公開第2010/140061号および国際公開第2011/022707号に記載されている。
【実施例
【0098】
以下の実施例を参照して本発明をさらに説明するが、これらは説明のためのみに提示されており、本発明を限定するものではない:
実施例1:リポソームの合成
パルミトイル-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)およびPEG-2000(PEGの分子量 2000ダルトン)で誘導体化された1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ポリ(エチレングリコール)-2000](DSPE-PEG 2000)から以下のようにして混合脂質を調製した:
POPCの分子量:760.08g/mol
DSPE-2kPEGの分子量:2789.5g/mol
最終調製物は、100mMのリン脂質の濃度を有していた。POPC:DSPE-2kPEGのモル比97:3で脂質の15%w/v混合物を作製した。以下のものを計量し、混合した:
2.04g POPC
0.232g DSPE-2kPEG
14.9mL tert-ブタノール(35℃の水浴中で融解)を、全て100mLのSchottボトルに入れた。
【0099】
混合物を水浴中で35℃に維持し、すべての固体が溶解/分散するまで断続的に攪拌した。最終物質は透明な無色の混合物であった。混合物を-80℃で一晩凍結させた。
【0100】
乾燥/濃縮した溶媒の使用後の洗浄の間、封じ込めるために操作はヒュームフード内で維持された。Christ Alpha 1-2LD凍結乾燥機および真空ポンプを20分間温め、凍結脂質/溶媒混合物を-80℃保存から移し、一晩乾燥させた。
【0101】
翌朝乾燥した脂質を乾燥機から回収した。それらは乾燥した結晶の固まりのように見えた。さらなる処理には100mMの脂質溶液が必要であった。存在する脂質の量は、約82μmolのDSPE-2kPEGおよび2.69mmolのPOPCとして計算され、したがって脂質は約2.77mmolである。よって、27.7mLの希釈剤が必要であった。乾燥した脂質に27.7mLの50mMクエン酸ナトリウム緩衝液を添加し、得られた混合物を撹拌し、約35℃に加熱した。約120分後、明らかな大きな固形物を伴わない白色のエマルションが得られた。これを以下のように押し出した。
【0102】
サルトリウス(Sartorius)47mmステンレス鋼製加圧ろ過ハウジングを組み立て、35℃に維持されたウォータージャケット(熱サーキュレーターを介して供給される包装チューブ)で包んだ。ハウジングには、ポリカーボネートのトラックエッチングされた膜(詳細は下記参照)を取り付け、ガラス繊維のプレフィルター(Whatman GF/D)で覆った。エマルジョンをハウジングに注ぎ、4バールの窒素ガス下で押出し、ろ液を50mL管に集めた。各押し出しの継続時間を計測し、記録した。
【0103】
ろ過順序は、0.8μm、0.4μm、0.2μm、0.2μm、0.1μmおよび0.1μmであり(すなわち、より大きいフィルターは1回のパスで、より小さい0.2および0.1μmフィルターは2回のパス)、パス間、ろ液を35℃に温めなおした。リポソームを押し出した。集計データを以下に示す。
【0104】
【表1】
【0105】
得られた押出脂質を+5℃で保存した。冷却されたストックから15mLの「押し出されたリポソーム(Extruded Liposome)」を取り出し、MicroBiological Safety Cabinet内の滅菌の50mL管に分注した。押し出されたリポソームのサイズを、ALV5000光子相関分光計を用いて分析した。平均半径は75.40±0.86nmであり、平均ピーク幅は22.21±3.86nmであり、150.80nmの平均直径および0.087の多分散指数が得られた。
【0106】
実施例2:局所投与用PEG化リポソーム製剤
クエン酸緩衝液中において、PEG化リポソームを、Baru等(2005)の方法による上記実施例1に従って製造した。リポソーム製剤は以下の組成を有していた;パルミトイル-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)および1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノール-アミン-N-[ポリ(エチレングリコール)-2000](DSPE-PEG2000)の97:3のモル比の混合物を含有するリン脂質100mMを含む、pH7.0の50mMクエン酸ナトリウム。
【0107】
例示的な局所製剤は、以下に従って調製することができる:
【0108】
【表2】
【0109】
実施例3:軽度から中等度の血友病Aの局所投与および治療のためのPEG化リポソーム
被験者に、軽度から中等度の血友病Aにおける内因性第VIII因子の効果を増強するために投与する。
【0110】
PEG化リポソームを被験者に投与した後、当該被者を臨床徴候について観察する。予想外の毒性は、投与後48時間および5日目にCBCおよび血清化学試験を実施することによってスクリーニングされる。フィブリノーゲン、FDPおよびトロンビン時間(TT)を評価して、血栓症リスクの増加を試験する。
【0111】
投与後の以下の時点で、SQを投与した被験者から血液試料(5mL)を採取する:
投与後0.5、1、2、4、8、12、24、36、48、60、72、84、96、108および120時間。
【0112】
全血凝固アッセイおよび活性化凝固時間アッセイのために、全血(非クエン酸処理;1mL)を使用する。残りの4mL血液サンプルを、0.109Mクエン酸三ナトリウム抗凝固剤(9:1 v/v)を含む試験管に氷上で移す。
【0113】
活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)、活性化凝固時間(ACT)およびトロンボエラストグラム(TEG)アッセイを、クエン酸処理した全血(citrated whole blood)に対して行う。
【0114】
血漿は残りのクエン酸処理血液の遠心分離によって調製し、得られた血漿試料を約100μLの一定分量で、-80℃で保存する。
【0115】
アッセイ
(i)非クエン酸処理全血:全血凝固アッセイ
血液試料を2つの真空管(2×0.5mL)の間で分割し、完全に水平な位置での流れの中断によって血栓が認められるまで、チューブの定期的かつ慎重なレベリングにより注意深く観察する。血栓の質は、チューブを完全に反転した位置に保持することによって観察される。全血液凝固時間を、サンプル抽出から両方のサンプルの血栓の目視観察までの総時間の平均として記録し、逆位の血栓の質を記録した。
【0116】
(ii)クエン酸処理全血:トロンボエラストグラム(TEG)アッセイ
製造者の推奨に従って、止血分析装置モデル5000(Haemoscope Corporation)トロンボエラストグラフを用いて、再石灰化したクエン酸処理全血を用いてTEGを実施する。簡潔には、カオリンを含有する市販の(Teg(登録商標)造血システムカオリン、Haemonetics)バイアルに1mLのクエン酸処理全血を入れる。混合は、カオリン含有バイアルを5回穏やかに反転させることによって確実に行う。ピンおよびカップは、製造者によって推奨される標準的な手順に従ってTEG分析器に配置される。各標準TEGカップを37℃の予熱した器具ホルダーに置き、20μLの塩化カルシウム(0.2M)で満たす。次いで、340μLのカオリン活性化クエン酸処理全血を、360μLの全容量となるように添加する。
【0117】
(iii)活性化凝固時間(ACT)および活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)
Haemachron Jr凝固分析器(International Technidyne Corps.)を製造者の使用説明書に従って使用して、ACTおよびaPTT試験を行う。
【0118】
(iv)血漿:FVIII活性アッセイ(発色性)
FVIII血漿活性は、Coatest Assay(Dia Pharma、West Chester、OH)を用いて決定される。血漿サンプルをアッセイ希釈剤で1:20から1:80に希釈し、製造者の使用説明書に従ってアッセイする。正常な止血参照血漿(american diagnostica inc、Stamford、CT)および精製FVIIIタンパク質を用いて標準曲線を確立する。
【0119】
(v)血漿:FVIII ELISA
血漿サンプル中のFVIII抗原の濃度は、Affinity Biologicals(Ancaster、Ontario、Canada)のVisulize FVIII抗原キットを製造者の使用説明書に従って使用してELISAによって測定する。
【0120】
(vi)血漿:免疫原性
ベセスダ(Bethesda)アッセイを、FVIII欠損ヒト血漿中への試験血漿の1:4、1:10および1:20希釈で行う。等量の希釈試験血漿および正常ヒト参照血漿を37℃で2時間インキュベートし、上述のようにaPTTアッセイおよび正常ヒト血漿標準曲線を用いてベセスダ力価を決定した。
【0121】
実施例4:静脈内(IV)または皮下(SQ)投与用PEG化リポソーム製剤
クエン酸緩衝液中において、パルミトイル-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)および1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノール-アミン-N-[ポリ(エチレングリコール)-2000](DSPE-PEG2000)の混合物を含有するPEG化リポソームを、Baru等(2005)の方法による上記実施例1に従って製造した。
【0122】
例示的なSQまたはIV製剤は、以下に従って調製することができる:
【0123】
【表3】
【0124】
実施例5:レベルを変更した界面活性剤を伴う局所投与用PEG化リポソームのゲルおよびスプレー製剤
クエン酸緩衝液中において、大豆ホスファチジルコリン(SPC)および1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノール-アミン-N-[ポリ-(エチレングリコール)-2000](DSPE-MPEG 2000)の混合物を含むPEG化リポソームを、Baru等(2005)の方法による上記実施例1に従って製造した。製剤を、局所投与のためのゲルまたはスプレーとして異なる物理的形態を試験するために調製した。
【0125】
【表4】