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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】両面電極パッド
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/04 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
A61N1/04
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2018558110
(86)(22)【出願日】2017-01-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-31
(86)【国際出願番号】 US2017015035
(87)【国際公開番号】W WO2017132314
(87)【国際公開日】2017-08-03
【審査請求日】2019-09-24
(31)【優先権主張番号】62/287,393
(32)【優先日】2016-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/415,621
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518264181
【氏名又は名称】ジェンズ・アクセルガード
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】ジェンズ・アクセルガード
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-510481(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0051821(US,A1)
【文献】特表2006-518243(JP,A)
【文献】特表2005-517511(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0278815(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0238944(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0015134(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の皮膚上に置かれるように構成された両面電極パッド・アセンブリであって、
100オーム-cmよりも大きい体積抵抗率を有する上位伝導性ゲル層と、
10オーム未満の表面抵抗率を有する中間伝導層であって、伝導性金属箔、または懸濁伝導性粒子を有するゲル層を含む、中間伝導層と、
100オーム-cmよりも大きい体積抵抗率を有する下位伝導性ゲル層と、
を含み、前記中間伝導層が、前記上位および下位の伝導性ゲル層の間に配置される、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項2】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記上位伝導性ゲル層の厚さが、5から50ミルである、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項3】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記上位伝導性ゲル層の厚さが20ミルである、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項4】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記上位伝導性ゲル層が、ヒドロゲル、シリコーン、またはヒドロコロイドを含む、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項5】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記中間伝導層の厚さが、0.1から10ミルである、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項6】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記中間伝導層の厚さが1ミルである、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項7】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記中間伝導層のゲル層内における前記懸濁伝導性粒子が、金属粒子、グラファイト粒子、またはグラフェン粒子を含む、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項8】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記下位伝導性ゲル層の厚さが、20から120ミルである、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項9】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記下位伝導性ゲル層の厚さが40ミルである、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項10】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記下位伝導性ゲル層が、ヒドロゲル、シリコーン、またはヒドロコロイドを含む、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項11】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリであって、前記上位伝導性ゲル層上に配置された除去可能な上位保護ライナを含み、前記上位保護ライナが、前記上位伝導性ゲル層、前記中間伝導層、および前記下位伝導性ゲル層と比較して、表面積が大きい、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項12】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリであって、前記下位伝導性ゲル層上に配置された除去可能な下位保護ライナを含み、前記下位保護ライナが、前記上位伝導性ゲル層、前記中間伝導層、および前記下位伝導性ゲル層と比較して、表面積が大きい、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項13】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記上位伝導性ゲル層が、前記中間伝導層と比較して、表面積が小さく、前記中間伝導層の外周縁が、前記上位伝導性ゲル層の縁を超えて配されることを可能にする、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項14】
請求項13記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記下位伝導性ゲル層が、前記中間伝導層と比較して、表面積が大きく、前記下位伝導性ゲル層の外周縁が、前記中間伝導層の外周縁を超えて配されることを可能にする、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項15】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記上位伝導性ゲル層および前記中間伝導層が、概略的に同じサイズの表面積を有し、前記下位伝導性ゲル層が、前記上位伝導性ゲル層および前記中間伝導層と比較して、表面積が大きく、前記下位伝導性ゲル層の外周縁が、前記上位伝導性ゲル層および前記中間伝導層の縁を超えて配されることを可能にする、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項16】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記中間伝導層が、前記上位および下位の伝導性ゲル層と比較して、表面積が小さく、前記上位および下位の伝導ゲル層の外周縁が、前記中間伝導層の外周縁を超えて配されることを可能にする、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項17】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記中間伝導層が指標を含む、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項18】
請求項17記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記指標が、前記中間伝導層内にエンボス加工される、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項19】
請求項17記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記指標が、前記中間伝導層上にレーザ・エッチングされる、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項20】
請求項17記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記指標が、前記中間伝導層上に印刷される、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項21】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記中間伝導層が、前記上位および下位の伝導性ゲル層の間に配置された複数の個別の中間伝導層を含む、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項22】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリであって、前記中間伝導層内に形成された少なくとも1つの切り欠きを含む、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項23】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリであって、前記上位または下位伝導性ゲル層のいずれかに形成された少なくとも1つの切り欠きを含む、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項24】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリであって、前記上位伝導性ゲル層、前記中間伝導層、および前記下位伝導性ゲル層内に同様に形成された少なくとも1つの切り欠きを含む、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項25】
請求項24記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記切り欠きが、円形、正方形、長方形、三角形、長円形、楕円形、四葉形、曲線三角形、台形、菱形、凧形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形、平行四辺形、または三日月形の形状を含む、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項26】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリであって、前記中間伝導層上に配置された少なくとも1つのインク・パターンを含み、前記少なくとも1つのインク・パターンが、前記中間伝導層と比較して、高い抵抗率を含む、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項27】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリであって、前記伝導性箔が、抵抗率が異なる少なくとも2つの材料を含む、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項28】
請求項1記載の両面電極パッド・アセンブリにおいて、前記ゲル層の前記懸濁伝導性粒子が、抵抗率が異なる少なくとも2つの材料を含む、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項29】
患者の皮膚上に置かれるように構成された両面電極パッド・アセンブリであって、
上位伝導性ゲル層であって、厚さが5から50ミルであり、100オーム-cmよりも大きな体積抵抗率を有する、上位伝導性ゲル層と、
伝導性金属箔、伝導性プラスチック膜、または懸濁伝導性粒子を有するゲル層を含む中間伝導層であって、厚さが0.1から10ミルであり、10オーム未満の表面抵抗率を有する、中間伝導層と、
下位伝導性ゲル層であって、厚さが20から120ミルであり、100オーム-cmよりも大きい体積抵抗率を有する、下位伝導性ゲル層と、
前記上位および下位の伝導性ゲル層が、ヒドロゲル、シリコーン、またはヒドロコロイドを含み、
前記上位伝導性ゲル層上に配置された除去可能な上位保護ライナであって、前記上位伝導性ゲル層、前記中間伝導層、および前記下位伝導性ゲル層と比較して、表面積が大きい、上位保護ライナと、
前記下位伝導性ゲル層上に配置された除去可能な下位保護ライナであって、前記上位伝導性ゲル層、前記中間伝導層、および前記下位伝導性ゲル層と比較して、表面積が大きい、下位保護ライナと、
を含む、両面電極パッド・アセンブリ。
【請求項30】
患者の皮膚上に置かれるように構成された両面電極パッド・アセンブリであって、
上位伝導性ゲル層であって、厚さが5から50ミルであり、100オーム-cmよりも大きな体積抵抗率を有する、上位伝導性ゲル層と、
伝導性箔、伝導性プラスチック膜、または懸濁伝導性粒子を有するゲル層を含む中間伝導層であって、厚さが0.1から10ミルである、中間伝導層と、
下位伝導性ゲル層であって、厚さが20から120ミルであり、100オーム-cmよりも大きい体積抵抗率を有する、下位伝導性ゲルと、
前記上位および下位の伝導性ゲル層が、ヒドロゲル、シリコーン、またはヒドロコロイドを含み、
前記上位伝導性ゲル層上に配置された除去可能な上位保護ライナであって、前記上位伝導性ゲル層、前記中間伝導層、および前記下位伝導性ゲル層と比較して、表面積が大きい、上位保護ライナと、
前記下位伝導性ゲル層上に配置された除去可能な下位保護ライナであって、前記上位伝導性ゲル層、前記中間伝導層、および前記下位伝導性ゲル層と比較して、表面積が大きい、下位保護ライナと、
を含み、
前記中間伝導層が、前記上位および下位の伝導性ゲル層と比較して、表面積が小さく、前記上位および下位の伝導性ゲル層の外周縁が、前記中間伝導層の外周縁を超えて配されることを可能にする、両面電極パッド・アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互引用
[0001] このPCT国際出願は、2017年1月25日に出願した米国特許出願第15/415,621号の優先権を主張する。米国特許出願第15/415,621号は、2016年1月26日に出願した米国仮特許出願第62/287,393号の優先権を主張する。これらの特許出願をここで引用したことにより、その内容が本願にも含まれるものとする。
発明の分野
[0002] 本発明は、一般的には、電極に関する。更に特定すれば、本発明は両面電極パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
[0003] 先行技術では、2002年8月20日に発行された米国特許第6,438,428号において、電気刺激電極が教示されている。この特許をここで引用したことによりその内容全体が本願にも含まれるものとする。これより図4を参照すると、電気パッド40の分解図が示されている。各導通パッド40は、導電性ゲル被覆接着層(cover electrically conductive gel adhesive layer)42、電流制御媒体50、および導電性ゲル底面接着層56を含む。図4において見られるように、これらの層の全ては同じ外周位置において終端する。これらの電極40は、’428特許において教示されているように、電極40を適所に保持するのを助ける衣類(garment)または保護帯(brace)と共に使用されるのが通例である。電極40が使用されないとき、これらは後の使用のために保管しておくことができる。この設計に伴う問題は、層50の縁が使用中にユーザ/患者の皮膚に接触する可能性があることである。次いで、これは、局所的に発生する発熱、または望ましくないホット・スポットに至るおそれがある。
【発明の概要】
【0003】
[0004] 次に、先行技術では、2003年5月27日に発行された米国特許第6,571,115号において、医療用電極を使いやすくする圧縮衣類(COMPRESS GARMENT FACILITATING THE USE OF MEDICAL ELECTRODES)が教示された。この特許をここで引用したことによって、その内容全体が本願にも含まれるものとする。これより図14を参照すると、電流制御媒体がもはや縁まで達しておらず、代わりに外周の周りに配された境界セクションを有する様子が示されている。これによって、局所発熱や望ましくないホット・スポットを解消する。何故なら、電流制御媒体層に対して低伝導率の外周境界エリアがあるからである。しかしながら、これは、伝導パターンの印刷を追加するために、電極構造が高価になる。
【0004】
[0005] したがって、先行技術の欠点を克服する電極の改良が求められている。本発明は、これらの要望を実現し、更に他の関連する利点も提供する。
[0006] 本発明の例示的な実施形態は、患者の皮膚の上に置かれるように構成された両面電極パッド・アセンブリである。両面電極パッド・アセンブリは、上位伝導性ゲル層と、金属箔層、グラファイト層、または任意の高伝導性電流分布媒体(highly conductive current distribution media)を含む中間伝導層と、下位伝導性ゲル層とを含み、中間伝導層は、上下の伝導性ゲル層の間に配置される。
【0005】
[0007] 他の例示的な実施形態では、上位伝導性ゲル層は、厚さが5から50ミルとすればよく、上位伝導性ゲル層は、通例、厚さが約20ミルとするとよい。上位伝導性ゲル層は、ヒドロゲル、シリコーン、またはヒドロコロイドを含んでもよい。
【0006】
[0008] 他の例示的な実施形態では、中間伝導層は、厚さが0.1から10ミルとすればよく、中間伝導層は、通例、厚さが約1ミルとするとよい。中間高伝導箔層は、アルミニウム、錫、グラファイト、グラフェン、または任意の高伝導性材料を含んでもよい。
【0007】
[0009] 他の例示的な実施形態では、下位伝導性ゲル層は、厚さが20から120ミルとすればよく、または下位伝導性ゲル層は、通例、厚さが40ミルとするとよい。下位伝導性ゲル層は、ヒドロゲル、シリコーン、またはヒドロコロイドを含んでもよい。
【0008】
[0010] 他の例示的な実施形態では、上位伝導性ゲル層上に、着脱可能な上位保護ライナを配してもよい。上位保護ライナは、上位伝導性ゲル層、中間伝導層、および下位伝導性ゲル層と比較して、表面積が大きい。更に、着脱自在の下位保護ライナも、下位伝導性ゲル層上に配してもよい。下位保護ライナは、上位伝導性ゲル層、中間伝導層、および下位伝導性ゲル層と比較して、表面積が大きい。
【0009】
[0011] 他の例示的な実施形態では、上位伝導性ゲル層は、中間伝導層と比較して表面積が小さく、中間伝導層の外周縁が、上位伝導性ゲル層の縁を超えて配されることを可能にするのでもよい。下位伝導性ゲル層は、中間伝導層と比較して表面積が大きく、下位伝導性ゲル層の外周縁が、中間伝導層の外周縁を超えて配されることを可能にするのでもよい。
【0010】
[0012] 他の例示的な実施形態では、上位伝導性ゲル層および中間伝導層は、概略的に同じ表面積のサイズを有してもよく、下位伝導性ゲル層は、上位伝導性ゲル層および中間伝導層と比較して、表面積が大きく、下位伝導性ゲル層の外周縁が上位伝導性ゲル層および中間伝導層の縁を超えて配されることを可能にする。
【0011】
[0013] 他の例示的な実施形態では、中間伝導層は、上位および下位伝導性ゲル層と比較して、表面積が小さく、上位および下位伝導性ゲル層の外周縁が中間伝導層の外周縁を超えて配されることを可能にするのでもよい。
【0012】
[0014] 他の例示的な実施形態では、中間伝導層は、指標を含んでも良い。この指標は、中間伝導層内にエンボス加工されてもよい。この指標は、中間伝導層上にレーザ・エッチングされてもよい。この指標は、中間伝導層上に印刷されてもよい。
【0013】
[0015] 他の例示的な実施形態では、中間伝導層は、上位および下位伝導性ゲル層の間に配された複数の個別中間伝導層を含んでもよい。
[0016] 他の例示的な実施形態では、中間伝導層に少なくとも1つの切り欠きが形成されてもよい。少なくとも1つの切り欠きは、上位または下位伝導性ゲル層のいずれに形成してもよい。少なくとも1つの切り欠きは、上位伝導性ゲル層、中間伝導層、および下位伝導性ゲル層に同様に形成されてもよい。切り欠きは、円形、正方形、矩形、三角形、長円形(oval)、楕円形(ellipse)、四葉形(quatrefoil)、曲線三角形(curvilinear triangle)、台形、菱形、凧形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形、平行四辺形、または三日月形の形状を含んでもよい。
【0014】
[0017] 他の例示的な実施形態では、電極は、中間伝導層上に配された少なくとも1つのインク・パターンを含んでもよく、この少なくとも1つのインク・パターンは、中間伝導層と比較して、高い抵抗率(resistivity)を含む。他の実施形態では、伝導性箔または伝導性プラスチック膜が、抵抗率が異なる少なくとも2つの材料を構成してもよい。あるいは、ゲル層の懸濁伝導性粒子(suspended conductive particles)が、抵抗率が異なる少なくとも2つの材料を構成してもよい。以上でわかるように、これらは全て、本発明において電流分布を制御するために使用することができる構造の実施形態である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
[0018] 添付図面は本発明を例示する。このような図面において、
図1図1は、本発明の例示的な電極全体の断面図である。
図2図2は、本発明の他の例示的な電極全体の断面図である。
図3図3は、本発明の更に他の例示的な電極全体の断面図である。
図4図4は、指標がエンボス加工された層Cの斜視図である。
図5図5は、指標がレーザ・エッチングまたは印刷された層Cの両面の斜視図である。
図6図6は、図3の例示的な電極がここでは患者の上に載せられたときの断面図である。
図7図7は、本発明の例示的な電極が患者の前腕上に載せられたときの斜視図である。
図8図8は、図7と同様であるが、ここでは患者の前腕上に載せられ、特定の電極を選択的にアクティブ化するためのプローブを有する複数の電極を示す。
図9図9は、刺激および非刺激状態における本発明の電極の斜視図である。
図10図10は、電極が複数のセクションを含み、更に切り欠きも含むことができることを示す本発明の他の実施形態の上面図である。
図11図11は、電極が複数のセクションと、種々のサイズおよび形状の切り欠きとを含むことができることを示す本発明の更に他の実施形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0030] 図1は、本発明の両面電極パッド・アセンブリ10の新たな実施形態の断面図である。図1は、同じ縮尺で描かれているのではなく、本発明の概念および教示を簡単に伝えるために、相当分厚く描かれている。
【0017】
[0031] 層Aは、電極自体が利用される前に除去される保護ライナである。層Aは、他のアクティブ層B、C、およびDを超えて延びるように、その表面積(即ち、電極の直径または幅)がかなり広く取られている。これによって、電極自体が使用されようとするときに、層Aの容易な除去が可能になる。層Aは、通例、厚さが2~3ミルの中密度ポリエチレンの半透明青色シリコーン・ライナである。
【0018】
[0032] 層Eも、電極自体が使用される前に除去される保護ライナである。層Eは、ポリエステル(マイラ)または当業者には周知の他の適したライナ材料で作られればよい。また、層Eも広く作られ、通常厚さ2~5ミルであり、電極10が使用されないとき、皮膚側ゲル上にシリコーン被覆膜を置きやすくなっている。マイラは、大抵の場合、床に落とした場合に見えるように着色されるかまたは説明文が印刷されており、こうして滑りやすいシリコーンの落下を防止する。
【0019】
[0033] 層AおよびEは、出荷および保管の間電極10を保護する。また、層AおよびEは、埃、粒子、および他の汚染物が電極10を汚すのを防ぐ。また、層AおよびEは、接着性のゲルBおよびDが他の物体に接着するのを防ぐ。層AおよびEは、電極10が乾燥するのを防止する役割を果たす。何故なら、層BおよびDは通例伝導性ヒドロゲル層であり、覆わずに放置されると乾ききってしまう可能性があるからである。したがって、電極10自体が使用された後であっても、層AおよびEは、電極の次の使用まで電極10を更に保護するために再利用することができる。
【0020】
[0034] 層BおよびDは伝導性ゲルである。この実施形態では、層Bは厚さが約20ミルであるが、5~50ミルの範囲の厚さで作ることができる。層Dは、厚さが約40ミルであるが、20~120ミルの範囲の厚さで作ることができる。層BおよびDの伝導性ゲルは、一例として、ヒドロゲル、シリコーン、ヒドロコロイド等のように、任意の伝導性接着材で作ればよい。2008年3月18日に発行された米国特許第7,346,380号に教示されているような、先行技術の医療用電極を参照のこと。この特許をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0021】
[0035] 先行技術の米国特許第6,571,115号では、電流制御媒体50は、生産に費用がかかる印刷炭素膜であった。本発明では、層Cは伝導性金属箔、グラファイト層、または任意の他の高伝導性媒体である。層Cの厚さは、約1ミル、または0.1~10ミルの範囲にすることができる。層Cに1ミルのアルミニウム箔を使用すると、電極アセンブリ10全体のコストが大幅に低下する。
【0022】
[0036] 図1において見ることができるように、層Bは、層Cと比較すると表面積(即ち、その直径または幅/電極全体の長さ)が小さく、これは超過寸法1(oversize one dimension)(O)に見ることができる。次いで、層Cは層Dと比較すると表面積が小さく、これは超過寸法2(O)に見ることができる。また、層AおよびEは、層B、C、およびDと比較すると広く作られ、これは超過寸法3(O)に見ることができる。この実施形態では、アクティブ層の表面積が異なることにより、縁の燃焼(edge burning)や望ましくない局所加熱を防止する、および/またはその可能性を低下させる。B層は、C層よりも小さい任意のサイズ(O)にすればよく、一方D層は、C層よりも1/4インチ縁に沿って長いことが好ましいが、1/8インチから5/8インチの範囲(O)の超過(oversize)であればよい。一実施形態では、AおよびE層は、D層よりも1/4インチ以上(O)長いとよいが、1/8インチ以上の最小超過であればよい。
【0023】
[0037] 図1に示すように、層Bは、層CおよびDと比較すると、表面積が小さい。しかしながら、他の実施形態では、層Bは層Cと同じサイズでもよく、この場合、層Dは層BおよびCと比較すると大きく作られる(Oだけ)。この実施形態は、図2において最良に示されている。
【0024】
[0038] あるいは、層Bが層Dと同じサイズ(表面積)であってもよく、その場合、層BおよびDが層Cと比較して大きく作られる(O)。この実施形態は、図3において最良に示されている。これらの実施形態の全てにおいて、縁の燃焼や望ましくない局所加熱の可能性はいずれも低減される、および/または解消される。
【0025】
[0039] また、図3は、電極10の使用に対する安全面における有意な利点も教示する。状況によっては、電極がユーザ/患者によって逆さまに置かれる場合もある。これは、人が疲労しているためまたは細心の注意を払うことができないために、使用中における意図しない誤りによって起こることもある。図3は、層BおよびDの双方が層Cと比較して大きく作られていることを示す。すると、この独特な構造は、図3における電極を逆さまに置くことを可能とし、しかもホット・スポットや望ましくない局所加熱を生ずることもない。
【0026】
[0040] 図1図3において理解しそして見ることができるように、境界が印刷されていない印刷炭素膜を使用することはもはや必要でない。むしろ今では、金属箔というような、伝導性の箔を代わりに使用することができ、グラファイト箔、または任意の他の高伝導性の安価な媒体を使用することができる。例えば、ここでは伝導性プラスチック膜層を本発明と共に使用することができる。更に、ヒドロゲル層を使用することもでき、ヒドロゲル層は、懸濁金属、グラファイト、グラフェン、または他の高伝導性粒子を含む。伝導性粒子は、ヒドロゲル内だけでなく、シリコーンまたはヒドロコロイド・ゲル層内にも懸濁させることができる。
【0027】
[0041] これより図4を参照すると、他の実施形態において、ユーザまたは製造業者に有用となり得る種々の指標12を層Cにエンボス加工することが可能である。例えば、層Cには、電極の製造業者を識別し易くするために、ロゴまたは商標12をエンボス加工することができる。または層Cには、ユーザが電極10を利用するのを助ける種々の指示をエンボス加工することもできる。他の実施形態では、層Cのエンボス加工は、層Cが約1ミルの厚さを有するときに行うとよいが、他の厚さでもエンボス加工することが可能である。ユーザが層C上にエンボス加工されているものを見ることができるように、通例層Bおよび/またはDは少なくとも部分的に光透過性であるので、このようなエンボス加工された構造を見ることができる。
【0028】
[0042] また、エンボス加工する工程の間、同時に層Cに切り欠き14を入れることも可能である。例えば、製造において、エンボス加工ステップ12および切り欠きステップ14は、製造プロセスを高速化するために、順次または同時に行うことができる。
【0029】
[0043] これより図5を参照すると、他の実施形態では、種々の指標16を層Cにレーザ・エッチングすることができる。レーザ・エッチングは、非常に精度が高く詳細な情報16を生成することができる。この場合も、層Cに直接種々のロゴや指示をレーザ・エッチングすることができる。
【0030】
[0044] 他の実施形態では、種々の指標18を層C上に印刷することができる。印刷も非常に精度が高く詳細な情報を生成することができる。
[0045] 本発明の一例として、0.70/LnFtドル(リニア・フット)の炭素膜から、現在では0.02/LnFtドルのアルミニウム箔に層Cを変更すると、コストの大幅な削減が達成される(要因35)。この材料の変更を、図1図3において教示した新たな拡大構成(oversized configuration)と組み合わせることにより、先行技術に対して著しい改善が得られる。
【0031】
[0046] これより図6および図7を参照すると、本発明の実施形態は、先行技術におけるように衣類または保護帯と共に使用することもできるが、このような衣類や保護帯がなくても利用できることを理解するのは重要である。例えば、本発明の電極10は、電気信号を層Bに伝える任意の電気接続手段20と共に利用することができる。次いで、電気信号は層CおよびDを貫通し、最終的にユーザ/患者の皮膚22に伝わる。したがって、本明細書において教示する本発明の実施形態を実用化するためには、衣類や保護帯の使用は必要でない。
【0032】
[0047] 図7は、ユーザ/患者の前腕24上に載せた電極10を一層現実的な斜視図で示す。
[0048] これより図8を参照すると、前腕の上位位置において見られるように、理学療法士によって皮膚上に複数の両面電極10を載せることができ、B層およびD層はC層と比較して広く作られている。また、図8に示すように、手首の近くに、非常に大きなB層およびD層が、それらよりも小さい複数のC層を、その間に収容する。図8において見ることができるように、図1~3を参照すると、種々の電極に本発明を構成するには複数の方法がある。したがって、本明細書(図1図3)において教示した電極の実施形態の内任意のものが、前述した方法で使用できることは、当業者には理解されよう。
【0033】
[0049] 通例筋肉刺激では、2つの電極位置を使用して、刺激されたときにこれらの電極位置間において筋肉の適正な筋肉縮小を誘発する。例えば、一方のプローブ26が上位前腕上の電極をアクティブ化し、一方第2プローブ26が手首近くの電極をアクティブ化することができる。したがって、2つのプローブ26を使用して、刺激のために特定の筋肉をアクティブ化することができる。2つのプローブ26を電極対間で動かすことにより、開業医は、比較によって、実際の処置用電極のための最適な永続的電極配置を素早くそして精度高く決定することができる。これは、1999年5月18日に発行された米国特許第5,904,712号の図6、および2000年3月14日に発行された米国特許第6,038,485号の図6と同様の概念である。これらの特許をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0034】
[0050] 実際に電極がどのように作用するか読み手が一層深く理解するのを助けるために、2013年6月25日に発行された米国特許第8,473,072号の図7、および2014年10月28日に発行された米国特許第8,874,231号を引用する。これらの特許をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。また、これは、本明細書において、図9として本発明にも示されている。図9は、患者の前腕24に取り付けられた電極10の斜視図である。上側の図において、電極はオフ状態にあり、電気信号を全く送信していない。患者の手は握った状態で示されている。下側の図は、アクティブ化された状態の電極を示し、したがって、患者の手は開いている。当業者には理解できるであろうが、電極10は、患者の任意の他の身体部分に沿って置かれるように構成することができる。
【0035】
[0051] また、本発明は、層B、C、またはDの内任意のものに形成することができる種々の切り欠きまたは空隙を組み込むように設計することもできる。例えば、図10は、米国特許公開第2007/0238944号における図9と同様の図を示す。この特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。図10は、本発明の電極10の他の実施形態の上面図であり、4つの別個に制御される電極間に、切り欠き28が形成されている。また、本発明の図11は、’944特許公開の図8と同様である。図11は、種々の切り欠き28を利用できることを示す。例えば、大きな矩形の切り欠き28は2つの電極部分を分離することができる。あるいは、複数の異なる形状の切り欠き28は、円形、六角形、三角形、正方形、半円形等を含むことができる。当業者には認めることができるように、本発明は、先行技術の電極を利用していた方法の多くにおいて利用することができる。しかしながら、本発明では製造コストが低くなる。
【0036】
[0052] ここでは、層B、C、またはDの内任意のものにおける切り欠き28または空隙28は、任意のこのような層の伝導性/抵抗率を制御するために使用することができる。例えば、層Cにおける電流分布を一層正確に制御するために、層Cに形成された切り欠きを使用することができる。あるいは、種々の非伝導性インク28、または層Cよりも高い抵抗率を有するインク28を、層Cにスクリーン印刷するか、またはフラッド・コーティング(flood coat)するのでもよい。切り欠き28は、電流分布を制御するための機械的メカニズムであるが、伝導性が低いインク28の使用は、どちらかと言うと電流分布を制御するための電気的メカニズムである。
【0037】
[0053] 層C全域の電流分布に対する更に優れた制御を達成する取り組みでは、抵抗率が異なる2つ(以上の)材料を使用することが可能である。例えば、層Cは、アルミニウムまたは錫の箔に隣接して選択的に切除および配置されたグラファイト箔を含むこともできる。グラファイトは、アルミニウムまたは錫のいずれと比較しても、高い抵抗率を有する。同様に、C層が、伝導性粒子が懸濁したゲル層であるときも、2つの異なる材料の伝導性粒子を使用することができる。例えば、1つの場所においてグラファイトの粒子を使用してもよく、一方アルミニウムまたは錫の粒子を他の場所に使用することもできる。このように、層C全域の電流分布を一層正確に制御しつつ、なおも先行技術の電極に対して、低価格化および簡素化した代替物を得ることができる。
【0038】
[0054] また、本発明の電極10は、種々の形状に作ることもでき、円形、正方形、長方形、三角形、長円形(oval)、楕円形(ellipses)、四葉形、曲線三角形、台形、菱形、凧形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形、平行四辺形、三日月形、および任意の他の可能な形状を含むがこれらには限定されないことも理解されよう。何故なら、本開示は本明細書において示される形状には限定されないからである。
【0039】
[0055] また、本発明では、層Cは非常に伝導性が高い層であり、一方層BおよびDは伝導性であることも理解されよう。言い換えると、層Cは、層BまたはDと比較して、高い伝導性を有する層である。また、ゲルおよび伝導性箔の抵抗率(resistivity)は異なる方法で測定される、つまり、箔は表面抵抗(surface resistance)が測定され、一方ゲルは体積抵抗率(volume resistivity)が測定されるのが通例である。一般に、B層およびD層は、100オーム-cmよりも大きな体積抵抗率を有し、C層は10オーム未満の表面抵抗率(surface resistivity)を有する。層Cは、層BおよびDと比較して、伝導性が高い層であることがわかるであろう。
【0040】
[0056] 本発明の一例として、次の測定値が適用可能である。
層B:USB35ゲル、厚さ35ミル、体積抵抗率1233オーム-cm、表面抵抗率6500、
層D:USS35ゲル、厚さ34ミル、体積抵抗率1450オーム-cm、表面抵抗率8600、
層C:グラファイト、厚さ5ミル、表面抵抗率4オーム、
層C:アルミニウム、厚さ5ミル、表面抵抗率0.22オーム、
層C:錫、厚さ2.5ミル、表面抵抗率0.08オーム。
【0041】
[0057] 更に他の情報として、2010年8月3日に発行された米国特許第7,769,473号を引用する。この特許をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0042】
[0058] 更に他の情報として、2000年3月14日に発行された米国特許第6,038,464号を引用する。この特許をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0043】
[0059] 本明細書において使用する場合、1ミルとは、1インチの千分の1、つまり0.001インチ(25.4μm)である。
[0060] 例示の目的で様々な実施形態について詳しく説明したが、本発明の範囲や趣旨から逸脱することなく、種々の変更を各々に行うことができる。したがって、本発明は、添付する特許請求の範囲による以外には、限定されないこととする。
図1
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図11