(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】作業機械のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20221018BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20221018BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20221018BHJP
G03B 37/00 20210101ALI20221018BHJP
G06T 3/00 20060101ALI20221018BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
H04N7/18 J
E02F9/26 B
G03B15/00 W
G03B37/00
G03B15/00 H
G06T3/00 710
B60R11/02 Z
(21)【出願番号】P 2019008906
(22)【出願日】2019-01-23
【審査請求日】2021-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中沢 浩一
(72)【発明者】
【氏名】矢津田 修
【審査官】梅本 章子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-134001(JP,A)
【文献】特開2013-121056(JP,A)
【文献】特開2014-069629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
E02F 9/26
G03B 15/00
G03B 37/00
G06T 3/00
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機を含む作業機械と、
前記作業機械の周辺画像を撮影する複数のカメラと、
前記周辺画像を示す画像データを取得し、前記周辺画像を合成して、前記作業機械の周りを移動する視点からのパノラマ動画を生成するプロセッサと、
前記プロセッサからの信号に基づき、前記作業機械の周りを移動する視点からの前記パノラマ動画を表示するディスプレイと、
を備え
、
前記視点は、前記作業機械に向かって、前記作業機械の左右の一側方を通る向きに配置され、
前記パノラマ動画において、前記作業機械は、画面の中心よりも右方、又は左方に表示される、
システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記視点を前記作業機械の回りに少なくとも360度回転させて、前記パノラマ動画を生成する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記作業機械の上面視で、前記作業機械を囲む円状の軌跡に沿って前記視点を移動させて、前記パノラマ動画を生成する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記作業機械の上面視で、前記作業機械を囲む楕円状の軌跡に沿って前記視点を移動させて、前記パノラマ動画を生成する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記パノラマ動画は、前記作業機械の全周囲における前記作業機械の周辺を示す、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記作業機械の始動信号を受信したときに、前記パノラマ動画を生成して前記ディスプレイに表示させる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
データを記憶する記憶装置をさらに備え、
前記プロセッサは、前記パノラマ動画を示すデータを前記記憶装置に保存する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
作業機を含む作業機械の周辺をディスプレイに表示するためにプロセッサによって実行される方法であって、
前記作業機械の周辺画像を示す画像データを取得することと、
前記周辺画像を合成して、前記作業機械の周りを移動する視点からのパノラマ動画を生成することと、
前記作業機械の周りを移動する視点からの前記パノラマ動画を前記ディスプレイに表示すること、
を備え
、
前記視点は、前記作業機械に向かって、前記作業機械の左右の一側方を通る向きに配置され、
前記パノラマ動画において、前記作業機械は、画面の中心よりも右方、又は左方に表示される、
方法。
【請求項9】
前記パノラマ動画を生成することは、前記視点を前記作業機械の回りに少なくとも360度回転させることを含む、
請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記パノラマ動画を生成することは、前記作業機械の上面視で、前記作業機械を囲む円状の軌跡に沿って前記視点を移動させることを含む、
請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記パノラマ動画を生成することは、前記作業機械の上面視で、前記作業機械を囲む楕円状の軌跡に沿って前記視点を移動させることを含む、
請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
前記パノラマ動画は、前記作業機械の全周囲における前記作業機械の周辺を示す、
請求項
8に記載の方法。
【請求項13】
前記作業機械の始動信号を受信したときに、前記パノラマ動画が生成されて前記ディスプレイに表示される、
請求項
8に記載の方法。
【請求項14】
前記パノラマ動画を示すデータを記憶装置に保存することをさらに備える、
請求項
8に記載の方法。
【請求項15】
作業機械の周辺画像を示す画像データを取得し、前記周辺画像を合成して、前記作業機械の周りを移動する視点からのパノラマ動画を生成するプロセッサと、
前記プロセッサからの信号に基づき、前記作業機械の周りを移動する視点からの前記パノラマ動画を表示するディスプレイと、
を備え
、
前記視点は、前記作業機械に向かって、前記作業機械の左右の一側方を通る向きに配置され、
前記パノラマ動画において、前記作業機械は、画面の中心よりも右方、又は左方に表示される、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械のシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機械とその周辺を示す画像をディスプレイに表示するシステムが知られている。例えば、特許文献1では、システムは、作業機械に取り付けられる複数のカメラとコントローラとを含む。複数のカメラは、作業機械及びその周辺を撮影する。コントローラは、複数のカメラによって撮影された画像から、俯瞰画像を合成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、コントローラは、カメラが撮影した複数の画像を合成することで、作業機械及びその周辺を示す画像を生成する。従って、コントローラは、様々な視点からの画像を生成することができる。
【0005】
オペレータが作業機械の周辺の広い範囲をディスプレイによって見渡すことができれば、作業機械の周辺の状況を容易に確認することができる。しかし、ディスプレイに表示できる範囲には限界がある。そのため、広い範囲を確認するためには、オペレータが視点を切り換える操作を行う必要があり、煩雑である。本開示の目的は、オペレータがディスプレイによって作業機械の周辺の広い範囲を容易に見渡すことができるシステム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係るシステムは、作業機械と、複数のカメラと、プロセッサと、ディスプレイとを備える。作業機械は、作業機を含む。複数のカメラは、作業機械の周辺画像を撮影する。プロセッサは、周辺画像を示す画像データを取得する。プロセッサは、周辺画像を合成して、作業機械の周りを移動する視点からのパノラマ動画を生成する。ディスプレイは、プロセッサからの信号に基づき、作業機械の周りを移動する視点からのパノラマ動画を表示する。
【0007】
第2の態様に係る方法は、作業機を含む作業機械の周辺をディスプレイに表示するためにプロセッサによって実行される方法である。当該方法は以下の処理を含む。第1の処理は、作業機械の周辺画像を示す画像データを取得することである。第2の処理は、周辺画像を合成して、作業機械の周りを移動する視点からのパノラマ動画を生成することである。第3の処理は、作業機械の周りを移動する視点からのパノラマ動画をディスプレイに表示することである。
【0008】
第3の態様に係るシステムは、プロセッサとディスプレイとを備える。プロセッサは、作業機械の周辺画像を示す画像データを取得する。プロセッサは、周辺画像を合成して、作業機械の周りを移動する視点からのパノラマ動画を生成する。ディスプレイは、プロセッサからの信号に基づき、作業機械の周りを移動する視点からのパノラマ動画を表示する。
【発明の効果】
【0009】
本開示では、作業機械の周りを移動する視点からのパノラマ動画がディスプレイに表示される。そのため、オペレータは、ディスプレイによって作業機械の周辺の広い範囲を容易に見渡すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る作業機械を示す側面図である。
【
図2】実施形態に係るシステムの構成を示す図である。
【
図3】システムの構成、及び、システムによる処理の流れを示すブロック図である。
【
図5】パノラマ動画における視点の移動を示す図である。
【
図6】パノラマ動画のフレームの一部を示す図である。
【
図7】パノラマ動画のフレームの一部を示す図である。
【
図8】他の実施形態に係るシステムの構成を示す図である。
【
図9】変形例に係るパノラマ動画における視点の移動を示す図である。
【
図10】変形例に係るパノラマ動画のフレームの一部を示す図である。
【
図11】変形例に係るパノラマ動画のフレームの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態に係る作業機械のシステムについて説明する。
図1は、実施形態に係る作業機械1を示す側面図である。本実施形態において、作業機械1はブルドーザである。作業機械1は、車体2と、作業機3と、走行装置4とを含む。
【0012】
車体2は、エンジン室11を含む。エンジン室11の後方には、運転室12が配置されている。車体2の後部には、リッパ装置5が取り付けられている。走行装置4は、作業機械1を走行させるための装置である。走行装置4は、車体2の左右の側方に配置される一対の履帯13を含む。履帯13が駆動されることにより作業機械1が走行する。
【0013】
作業機3は、車体2の前方に配置されている。作業機3は、掘削、運土、或いは整地などの作業に用いられる。作業機3は、ブレード14と、リフトシリンダ15と、チルトシリンダ16と、アーム17とを有する。ブレード14は、アーム17を介して車体2に支持されている。ブレード14は、上下方向に動作可能に設けられている。リフトシリンダ15とチルトシリンダ16とは、後述する油圧ポンプ22から吐出された作動油によって駆動され、ブレード14の姿勢を変更する。
【0014】
図2は、作業機械1を制御するためのシステム100の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、作業機械1は、エンジン21と、油圧ポンプ22と、動力伝達装置23と、制御弁24とを含む。エンジン21と、油圧ポンプ22と、動力伝達装置23とは、エンジン室11に配置されている。油圧ポンプ22は、エンジン21によって駆動され、作動油を吐出する。油圧ポンプ22から吐出された作動油は、リフトシリンダ15及びチルトシリンダ16に供給される。なお、
図2では、1つの油圧ポンプ22が図示されているが、複数の油圧ポンプが設けられてもよい。
【0015】
動力伝達装置23は、エンジン21の駆動力を走行装置4に伝達する。動力伝達装置23は、例えば、HST(Hydro Static Transmission)であってもよい。或いは、動力伝達装置23は、例えば、トルクコンバーター、或いは複数の変速ギアを有するトランスミッションであってもよい。
【0016】
制御弁24は、比例制御弁であり、入力される指令信号に応じて制御される。制御弁24は、リフトシリンダ15及びチルトシリンダ16などの油圧アクチュエータと、油圧ポンプ22との間に配置される。制御弁24は、油圧ポンプ22からリフトシリンダ15及びチルトシリンダ16に供給される作動油の流量を制御する。なお、制御弁24は、圧力比例制御弁であってもよい。或いは、制御弁24は、電磁比例制御弁であってもよい。
【0017】
システム100は、第1コントローラ31と、第2コントローラ32と、入力装置33と、通信装置34,35とを含む。第1コントローラ31と通信装置34とは、作業機械1に搭載されている。第2コントローラ32と、入力装置33と、通信装置35とは、作業機械1の外部に配置されている。例えば、第2コントローラ32と、入力装置33と、通信装置35とは、作業現場から離れたコントロールセンタ内に配置される。作業機械1は、入力装置33によって遠隔操縦可能である。
【0018】
第1コントローラ31と第2コントローラ32とは、作業機械1を制御するようにプログラムされている。第1コントローラ31は、メモリ311とプロセッサ312とを含む。メモリ311は、例えばRAMなどの揮発性メモリと、ROM等の不揮発性メモリとを含む。メモリ311は、作業機械1を制御するためのプログラム及びデータを記憶している。プロセッサ312は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、プログラムに従って、作業機械1を制御するための処理を実行する。第1コントローラ31は、走行装置4、或いは動力伝達装置23を制御することで、作業機械1を走行させる。第1コントローラ31は、制御弁24を制御することで、作業機3を動作させる。
【0019】
第2コントローラ32は、メモリ321とプロセッサ322とを含む。メモリ321は、例えばRAMなどの揮発性メモリと、ROM等の不揮発性メモリとを含む。メモリ321は、作業機械1を制御するためのプログラム及びデータを記憶している。プロセッサ322は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、プログラムに従って、作業機械1を制御するための処理を実行する。第2コントローラ32は、入力装置33から操作信号を受信する。
【0020】
入力装置33は、オペレータによる操作を受け付け、操作に応じた操作信号を出力する。入力装置33は、第2コントローラ32に操作信号を出力する。入力装置33は、走行装置4と作業機3とを操作するための操作レバー、ペダル、或いはスイッチ等の操作子を含む。入力装置33は、タッチパネルを含んでもよい。入力装置33の操作に応じて、作業機械1の前進及び後進などの走行が制御される。また、入力装置33の操作に応じて、作業機3の上昇及び下降などの動作が制御される。
【0021】
第2コントローラ32は、第1コントローラ31と、通信装置34,35を介して無線により通信可能である。第2コントローラ32は、入力装置33から操作信号から操作データD4を取得し、操作データD4を第1コントローラ31に送信する。操作データD4は、走行装置4と作業機3とを操作するための入力装置33の操作を示す。第1コントローラ31は、操作データD4に応じて、走行装置4及び作業機3を制御する。
【0022】
図3は、作業機械1及びその周辺の画像を表示するためのシステム100の構成、及び、システムによる処理の流れを示すブロック図である。
図3に示すように、システム100は、複数のカメラC1-C4を含む。複数のカメラC1-C4は、車体2に取り付けられている。複数のカメラC1-C4は、魚眼カメラである。複数のカメラC1-C4のそれぞれの画角は180度である。ただし、複数のカメラC1-C4のそれぞれの画角は180度より小さくてもよい。或いは、複数のカメラC1-C4のそれぞれの画角は180度より大きくてもよい。複数のカメラC1-C4は、前カメラC1と、第1サイドカメラC2と、後カメラC3と、第2サイドカメラC4とを有する。
【0023】
図1に示すように、前カメラC1は、車体2の前部に取り付けられる。詳細には、
図1に示すように、車体2は支持部材18を含む。支持部材18は、車体2の前部から上方、且つ、前方に延びている。前カメラC1は、支持部材18に取り付けられている。後カメラC3は、車体2の後部に取り付けられる。
【0024】
第1サイドカメラC2は、車体2の一方の側部に取り付けられている。第2サイドカメラC4は、車体2の他方の側部に取り付けられている。本実施形態では、第1サイドカメラC2は、車体2の左側部に取り付けられ、第2サイドカメラC4は、車体2の右側部に取り付けられている。ただし、第1サイドカメラC2が、車体2の右側部に取り付けられ、第2サイドカメラC4が、車体2の左側部に取り付けられてもよい。
【0025】
前カメラC1は、車体2の前方の画像を取得する。後カメラC3は、作業機械1の後方の画像を取得する。第1サイドカメラC2は、車体2の左方の画像を取得する。第2サイドカメラC4は、車体2の右方の画像を取得する。カメラC1-C4は、取得した画像を示す画像データを出力する。
【0026】
システム100は、形状センサ36と、姿勢センサ37と、位置センサ38とを含む。形状センサ36は、作業機械1の周辺の3次元形状を測定し、3次元形状を示す形状データD1を出力する。形状センサ36は、例えばライダー(LIDAR:Laser Imaging Detection and Ranging)である。形状センサ36は、レーザーを照射して、その反射光を計測することで、計測点までの距離を測定する。
【0027】
姿勢センサ37は、作業機械1の姿勢を検出し、姿勢を示す姿勢データD2を出力する。姿勢センサ37は、例えばIMU(慣性計測装置:Inertial Measurement Unit)を含む。姿勢データD2は、車両前後方向の水平に対する角度(ピッチ角)と、車両横方向の水平に対する角度(ロール角)とを含む。姿勢センサは、姿勢データD2を出力する。
【0028】
位置センサ38は、例えばGPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)レシーバを含む。位置センサは、衛星より測位信号を受信し、測位信号により作業機械1の位置座標を示す位置データD3を取得する。位置センサは、位置データD3を出力する。
【0029】
形状センサ36は、例えば支持部材18に取り付けられる。或いは、形状センサ36は、車体2の他の部分に取り付けられてもよい。姿勢センサ37と位置センサ38とは、車体2に取り付けられる。或いは、姿勢センサ37と位置センサ38とは、作業機3に取り付けられてもよい。
【0030】
システム100は、画像コントローラ41とディスプレイ42とを含む。画像コントローラ41は、作業機械1及びその周辺を示す画像ISを生成してディスプレイ42に表示するようにプログラムされている。画像コントローラ41は、記憶装置411とプロセッサ412とを含む。記憶装置411は、例えばRAMなどの揮発性メモリと、ROM等の不揮発性メモリとを含む。記憶装置411は、HDD或いはSSDなどの補助記憶装置を含んでもよい。記憶装置411は、画像ISを生成するためのプログラム及びデータを記憶している。プロセッサ412は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、プログラムに従って、画像ISを生成してディスプレイ42に表示させるための処理を実行する。
【0031】
画像コントローラ41は、第1コントローラ31と、有線、或いは無線により通信可能に接続されている。画像コントローラ41は、第2コントローラ32と、有線、或いは無線により通信可能に接続されている。画像コントローラ41は、作業機械1に搭載されてもよい。画像コントローラ41は、第1コントローラ31と一体であってもよく、別体であってもよい。
【0032】
或いは、画像コントローラ41は、作業機械1の外部に配置されてもよい。例えば、画像コントローラ41は、コントロールセンタ内に配置されてもよい。画像コントローラ41は、第2コントローラ32と一体であってもよく、別体であってもよい。
【0033】
画像コントローラ41は、カメラC1-C4と有線、或いは無線により通信可能に接続されている。画像コントローラ41は、カメラC1-C4から画像データを受信する。或いは、画像コントローラ41は、第1コントローラ31、及び/又は、第2コントローラ32を介して、画像データを受信してもよい。
【0034】
画像コントローラ41は、形状センサ36、姿勢センサ37、及び位置センサ38と有線、或いは無線により通信可能に接続されている。画像コントローラ41は、形状センサ36から形状データD1を受信する。画像コントローラ41は、姿勢センサ37から姿勢データD2を受信する。画像コントローラ41は、位置センサ38から位置データD3を受信する。或いは、画像コントローラ41は、第1コントローラ31、及び/又は、第2コントローラ32を介して、形状データD1、姿勢データD2、及び位置データD3を受信してもよい。
【0035】
画像コントローラ41は、入力装置33から操作データD4を受信する。画像コントローラ41は、第1コントローラ31、及び/又は、第2コントローラ32を介して、操作データD4を受信してもよい。
【0036】
ディスプレイ42は、例えばCRT、LCD或いはOELDである。ただし、ディスプレイ42はこれらのディスプレイに限らず、他の種類のディスプレイであってもよい。ディスプレイ42は、画像コントローラ41からの信号に基づいて画像を表示する。ディスプレイ42は、第1コントローラ31、及び/又は、第2コントローラ32を介して、画像コントローラ41からの信号を受信してもよい。
【0037】
画像コントローラ41は、上述した画像データと、形状データD1と、姿勢データD2と、位置データD3とに基づいて、画像ISを生成する。
図4は、画像ISの一例を示す図である。画像ISは、作業機械1及びその周辺の対象を含む。作業機械1の周辺の対象は、作業機械1の周辺の地形を含む。作業機械1の周辺の対象は、他の作業機械、建物、或いは人を含んでもよい。以下、画像ISの生成について説明する。
【0038】
まず、カメラC1-C4が作業機械1及びその周辺を撮影する。それにより、
図3に示すように、画像コントローラ41は、カメラC1-C4から、前方画像Im1と、左方画像Im2と、後方画像Im3と、右方画像Im4とを取得する。前方画像Im1は、車体2の前方の画像である。左方画像Im2は、車体2の左方の画像である。後方画像Im3は、車体2の後方の画像である。右方画像Im4は、車体2の右方の画像である。
【0039】
画像コントローラ41は、カメラC1-C4が取得した画像Im1-Im4から周辺画像IS1を生成する。周辺画像IS1は、作業機械1の周辺を俯瞰的に示す合成画像である。
図4に示すように、画像コントローラ41は、3次元投影モデルM1に、カメラC1-C4が取得した画像Im1-Im4をテクスチャマッピングにより投影することで、周辺画像IS1を生成する。3次元投影モデルM1は、作業機械1の周辺の対象の形状を示すポリゴンメッシュで構成される。画像コントローラ41は、予め保存された3次元投影モデルM1を使用してもよい。或いは、画像コントローラ41は、形状センサ36から取得した形状データD1に基づいて、3次元投影モデルM1を生成してもよい。
【0040】
次に、画像コントローラ41は、作業機械1を示す機械画像IS2と周辺画像IS1とを合成する。機械画像IS2は、作業機械1自体を3次元的に示す画像である。画像コントローラ41は、姿勢データD2から画像IS上の機械画像IS2の姿勢を決定する。画像コントローラ41は、位置データD3から画像IS上の機械画像IS2の向きを決定する。画像コントローラ41は、画像IS上の機械画像IS2の姿勢と向きとが、作業機械1の実際の姿勢及び向きと一致するように、画像ISに機械画像IS2を合成する。
【0041】
なお、画像コントローラ41は、カメラC1-C4が取得した画像Im1-Im4から機械画像IS2を生成してもよい。例えば、カメラC1-C4が取得した画像中に作業機械1の部分がそれぞれ含まれており、画像コントローラ41は、機械モデルM2に、画像中の各部分を投影することで機械画像IS2を生成してもよい。或いは、機械モデルM2は、作業機械1の形状を有する投影モデルであり、記憶装置411に保存されていてもよい。機械画像IS2は、予め撮影された既定の画像、或いは予め作成された3次元のコンピュータグラフィックスであってもよい。
【0042】
ディスプレイ42は、画像ISを表示する。画像ISは、リアルタイムに更新され、動画としてディスプレイ42に表示される。従って、作業機械1が走行しているときには、周辺の対象、作業機械1の姿勢、向き、位置の実際の変化に応じて、画像IS中の周辺画像IS1、機械画像IS2の姿勢、向き、及び位置も、リアルタイムに変化して表示される。
【0043】
作業機械1の姿勢、向き、及び位置の変化を表現するためには、3次元投影モデルM1及び機械モデルM2を、作業機械1が走行を開始したときの姿勢、向き、及び位置からの変化を表す回転行列に従って回転させ、並進ベクトルに従って並進させる。回転ベクトルと並進ベクトルとは、上述した姿勢データD2及び位置データD3から取得される。
【0044】
画像ISの合成のための具体的な手法については、例えば“Spatio-temporal bird’s-eye view images using multiple fish- eye cameras,”(Proceedings of the 2013 IEEE/SICE International Symposium on System Integration, pp. 753-758, 2013.)において示されている手法が用いられてもよい。“Visualization of the surrounding environment and operational part in a 3DCG model for the teleoperation of construction machines,” (Proceedings of the 2015 IEEE/SICE International Symposium on System Integration, pp. 81-87, 2015.)において示されている手法が用いられてもよい。
【0045】
図4では、画像ISは、作業機械1及びその周辺を左方から見た画像である。しかし、画像コントローラ41は、前方、後方、右方、上方、或いは、各方向の斜め方向の視点から、作業機械1及びその周辺を見た画像に、画像ISを切り換えることができる。
【0046】
また、画像コントローラ41は、作業機械1の周りを移動する視点VPからのパノラマ動画を生成して、ディスプレイ42に表示する。
図5Aは、視点VPの移動を示す側面図である。
図5Aは、視点VPの移動を示す上面図である。
図5Aに示すように、視点VPは、作業機械1の斜め上方に位置する。
図5Bに示すように、画像コントローラ41は、視点VPを作業機械1の周りに360度回転させる。画像コントローラ41は、作業機械1の上面視で、作業機械1を中心とする円状の軌跡に沿って、視点VPを1回転させる。視点VPは、常に作業機械1を向くように配置される。
【0047】
図6及び
図7は、パノラマ動画PVのフレームの一部を示す。
図6及び
図7に示すように、パノラマ動画PVにおいて、作業機械1は、画面の中心に表示される。パノラマ動画PVは、作業機械1、及び作業機械1の全周囲の周辺を示す。
【0048】
詳細には、作業機械1は、パノラマ動画PVにおいて、画面の左右方向の中心に表示される。作業機械1は、パノラマ動画PVにおいて、画面の上下方向の中心に表示される。ただし、作業機械1は、画面の左右方向又は上下方向の中心から偏心して表示されてもよい。
【0049】
図6に示すフレームF1は、
図5Bに示す視点VP1から作業機械1及びその周辺を見た画像である。視点VP1は、作業機械1の前方且つ上方に位置している。
図6に示すフレームF2は、
図5Bに示す視点VP2から作業機械1及びその周辺を見た画像である。視点VP2は、作業機械1の前斜め右方、且つ上方に位置している。
図6に示すフレームF3は、
図5Bに示す視点VP3から作業機械1及びその周辺を見た画像である。視点VP3は、作業機械1の右方且つ上方に位置している。
【0050】
図6に示すフレームF4は、
図5Bに示す視点VP4から作業機械1及びその周辺を見た画像である。視点VP4は、作業機械1の後斜め右方、且つ上方に位置している。
図6に示すフレームF5は、
図5Bに示す視点VP5から作業機械1及びその周辺を見た画像である。視点VP5は、作業機械1の後方且つ上方に位置している。
【0051】
図7に示すフレームF6は、
図5Bに示す視点VP6から作業機械1及びその周辺を見た画像である。視点VP6は、作業機械1の後斜め左方、且つ、上方に位置している。
図7に示すフレームF7は、
図5Bに示す視点VP7から作業機械1及びその周辺を見た画像である。視点VP7は、作業機械1の前斜め左方、且つ上方に位置している。
図7に示すフレームF9は、
図5Bに示す視点VP1から作業機械1及びその周辺を見た画像である。
【0052】
以上のように、視点VPは、視点VP1から移動を開始し、視点VP2-VP8を経て、視点VP1に戻る。パノラマ動画PVは、視点VP1-VP9及びそれらの間の位置を移動しながら、連続的に生成される。なお、視点VPの移動の開始位置は、視点PV1に限らず、他の位置であってもよい。
【0053】
画像コントローラ41は、作業機械1の始動信号を受信したときに、パノラマ動画PVを生成してディスプレイ42に表示させる。また、画像コントローラ41は、パノラマ動画PVを示すデータを記憶装置411に保存する。画像コントローラ41は、例えば、上述した入力装置33から、操作データD4として作業機械1の始動信号を受信する。作業機械1の始動信号は、例えばエンジン21を始動させるための信号である。或いは、作業機械1の始動信号は、作業機械1のシステムを起動する信号であってもよい。
【0054】
以上説明した本実施形態に係るシステム100では、作業機械1の周りを移動する視点VPからのパノラマ動画PVがディスプレイ42に表示される。そのため、オペレータは、ディスプレイ42によって作業機械1の周辺の広い範囲を容易に見渡すことができる。
【0055】
パノラマ動画PVは、作業機械1の始動時に生成されて、ディスプレイ42に表示される。そのため、オペレータは、作業機械1による作業の開始時に、作業機械1の周囲の状況を確認することができる。
【0056】
パノラマ動画PVは、記憶装置411に保存される。それにより、作業現場の安全記録として、パノラマ動画PVを保存しておくことができる。
【0057】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、作業機械は、ブルドーザに限らず、ホイールローダ、或いは油圧ショベルなどの他の種類のものであってもよい。
【0058】
作業機械1は、遠隔操作ではなく、運転室内で操作されてもよい。
図8は、他の実施形態に係る作業機械1の構成を示す図である。
図8に示すように、作業機械1は、作業機械1に搭載されたコントローラ30を含んでもよい。この場合、入力装置33は、運転室内に配置されてもよい。コントローラ30は、上述した画像IS及びパノラマ動画PVを生成する処理を実行してもよい。コントローラ30は、上述した第1コントローラ31及び第2コントローラ32と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0059】
第1コントローラ31は、一体に限らず、複数のコントローラに分かれていてもよい。第2コントローラ32は、一体に限らず、複数のコントローラに分かれていてもよい。コントローラ30は、一体に限らず、複数のコントローラに分かれていてもよい。画像コントローラ41は、一体に限らず、複数のコントローラに分かれていてもよい。
【0060】
上述した画像ISを生成する処理の全部、或いは一部は、画像コントローラ41ではなく、他のコントローラによって実行されてもよい。上述したパノラマ動画PVを生成する処理の全部、或いは一部は、画像コントローラ41ではなく、他のコントローラによって実行されてもよい。
【0061】
カメラの数は、4つに限らず、3つ以下、或いは5つ以上であってもよい。カメラは、魚眼カメラに限らず、他の種類のカメラであってもよい。カメラの配置は、上記の実施形態の配置に限らず、異なる配置であってもよい。
【0062】
姿勢センサ37は、IMUに限らず、他のセンサであってもよい。位置センサ38は、GNSSレシーバに限らず、他のセンサであってもよい。形状センサ36は、ライダーに限らず、レーダー等の他の測定装置であってもよい。
【0063】
パノラマ動画PVは、作業機械の始動信号の受信時に限らず、他のタイミングで生成され、ディスプレイ42に表示されてもよい。例えば、オペレータが入力装置33を操作することで、任意のタイミングでパノラマ動画PVが生成され、ディスプレイ42に表示されてもよい。
【0064】
パノラマ動画PVにおける視点VPの位置及び向きは、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、視点VPは、作業機械1と同じ高さであってもよい。或いは、作業機械1が画面の中心から偏心した位置に表示されるように、視点VPが移動してもよい。
【0065】
図8Aは、変形例に係る視点VPの移動を示す側面図である。
図8Bは、変形例に係る視点VPの移動を示す側面図である。
図8Aに示すように、変形例では、上記の実施形態と同様に、視点VPは、作業機械1の斜め上方に位置している。
図8Bに示すように、変形例では、コントローラ30は、作業機械1の上面視で、作業機械1を囲む楕円状の軌跡に沿って視点VPを移動させて、パノラマ動画PVを生成する。
【0066】
視点VPは、作業機械1を通らない向きに配置される。視点VPは、作業機械1に向かって、作業機械1の左右の一側方を通る向きに配置される。本変形例では、視点VPは、作業機械1に向かって、作業機械1の左側方を通る向きに配置される。ただし、視点VPは、作業機械1に向かって、作業機械1の右側方を通る向きに配置されてもよい。
【0067】
図9及び
図10は、変形例に係るパノラマ動画PVのフレームの一部を示す。
図9及び
図10に示すように、パノラマ動画PVにおいて、作業機械1は、画面の中心よりも右方に表示される。ただし、作業機械1は、画面の中心よりも左方に表示されてもよい。
【0068】
図10に示すフレームF1は、
図9Bに示す視点VP1から作業機械1及びその周辺を見た画像である。
図10に示すフレームF2は、
図9Bに示す視点VP2から作業機械1及びその周辺を見た画像である。
図10に示すフレームF3は、
図9Bに示す視点VP3から作業機械1及びその周辺を見た画像である。
図10に示すフレームF4は、
図9Bに示す視点VP4から作業機械1及びその周辺を見た画像である。
図10に示すフレームF5は、
図9Bに示す視点VP5から作業機械1及びその周辺を見た画像である。
【0069】
図11に示すフレームF6は、
図9Bに示す視点VP6から作業機械1及びその周辺を見た画像である。
図11に示すフレームF7は、
図9Bに示す視点VP7から作業機械1及びその周辺を見た画像である。
図11に示すフレームF9は、
図9Bに示す視点VP1から作業機械1及びその周辺を見た画像である。
【0070】
以上のように、視点VPは、視点VP1から移動を開始し、視点VP2-VP8を経て、視点VP1に戻る。パノラマ動画PVは、視点VP1-VP9及びそれらの間の位置を移動しながら、連続的に生成される。なお、移動の開始位置は、視点PV1に限らず、他の位置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本開示では、作業機械の周りを移動する視点からのパノラマ動画がディスプレイに表示される。そのため、オペレータは、ディスプレイによって作業機械の周辺の広い範囲を容易に見渡すことができる。
【符号の説明】
【0072】
1 作業機械
3 作業機
42 ディスプレイ
411 記憶装置
412 プロセッサ
C1-C4 カメラ