(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】電気掃除機およびその吸込口体
(51)【国際特許分類】
A47L 9/02 20060101AFI20221018BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
A47L9/02 Z
A47L9/28 E
(21)【出願番号】P 2019045164
(22)【出願日】2019-03-12
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】中田 一輝
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204520524(CN,U)
【文献】特開2003-265372(JP,A)
【文献】中国実用新案第207101220(CN,U)
【文献】特開2013-247986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/02
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機の吸込側に連通することで前記電動送風機の駆動により塵埃を吸い込む吸込口体であって、
前記電動送風機の吸込側に連通する風路を備える本体と、
この本体の被掃除面に対向する位置に開口された吸込口をそれぞれ備え、前記本体に形成された複数の吸込室と
、
進行方向に対して交差する方向に長手状で、相対的に前側に位置する前記吸込口に回転可能に設けられ、回転によって被掃除面を掃除する回転清掃体と、を具備し、
これら吸込室の吸込口は、前記本体の前後に並んで位置し、
前記風路は、
相対的に前側に位置する前記吸込口を備える前記吸込室と連通する第1の連通路と、
相対的に後側に位置する前記吸込口を備える前記吸込室と連通し前記第1の連通路と区画された第2の連通路と、を備え、
前記第2の連通路の下流側の風路断面積が前記第1の連通路の下流側の風路断面積よりも大きく、相対的に前側に位置する前記吸込口よりも相対的に後側に位置する前記吸込口の真空度が高い
ことを特徴とした吸込口体。
【請求項2】
本体は、相対的に前側に位置する吸込口よりも相対的に後側に位置する吸込口が被掃除面側に接近して位置している
ことを特徴とした請求項1記載の吸込口体。
【請求項3】
本体は、相対的に前側に位置する吸込口と相対的に後側に位置する吸込口との間に、被掃除面側に向けて突出してこれら吸込口を区画する遮蔽部を備えている
ことを特徴とした請求項1又は2記載の吸込口体。
【請求項4】
本体は、
相対的に前側に位置する吸込口の前方に位置する前側遮蔽部と、
相対的に前側に位置する吸込口の後方に位置し、前記前側遮蔽部よりも被掃除面側に向けて突出する後側遮蔽部とを備えている
ことを特徴とした請求項2又は3記載の吸込口体。
【請求項5】
後側遮蔽部は、相対的に後側に位置する吸込口の前方でかつ相対的に前側に位置する吸込口の後方に位置する
ことを特徴とした請求項4記載の吸込口体
。
【請求項6】
相対的に後側に位置する吸込口は、進行方向に対して交差する方向に複数に分割されている
ことを特徴とした請求項1ないし
5いずれか一記載の吸込口体。
【請求項7】
相対的に後側に位置する吸込口を備える吸込室は、進行方向に対して交差する方向の中央側より両端側の天面が低い
ことを特徴とした請求項1ないし
6いずれか一記載の吸込口体。
【請求項8】
相対的に後側に位置する吸込口の近傍に車輪を備えている
ことを特徴とした請求項1ないし
7いずれか一記載の吸込口体。
【請求項9】
相対的に後側に位置する吸込口は、相対的に前側に位置する吸込口よりも開口面積が小さい
ことを特徴とした請求項1ないし
8いずれか一記載の吸込口体。
【請求項10】
電動送風機と、
この電動送風機の吸込側と連通する請求項1ないし
9いずれか一記載の吸込口体とを具備した
ことを特徴とした電気掃除機。
【請求項11】
電動送風機と、
この電動送風機を収容し請求項1ないし
9いずれか一記載の吸込口体の本体が一体に設けられた、自律走行可能な掃除機本体と
を具備したことを特徴とした電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、本体の前後に複数開口された吸込口を有する電気掃除機の吸込口体およびこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気掃除機の延長管や掃除機本体に接続されて用いられる吸込口体としての床ブラシとして、吸込口を前後に複数備えるものがある。
【0003】
しかしながら、これら複数の吸込口は、真空度に差がないため、これら複数の吸込口を用いて床ブラシにより吸い込むことができる塵埃の種類が限定され、ごみ取れが充分であるとはいえない。
【0004】
特に、大きい塵埃を吸い込むためには、前側の吸込口の前部を区画するリブを被掃除面に対して充分に離間する必要があり、この結果として前側の吸込口の真空度が低下し、細塵の除去能力が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭59-230523号公報
【文献】特開昭59-230528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ごみ取れを向上した電気掃除機の吸込口体およびこれを備えた電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の電気掃除機の吸込口体は、電動送風機の吸込側に連通することで電動送風機の駆動により塵埃を吸い込む吸込口体である。この吸込口体は、電動送風機の吸込側に連通する風路を備える本体と、本体に形成された複数の吸込室と、進行方向に対して交差する方向に長手状で、相対的に前側に位置する吸込口に回転可能に設けられ、回転によって被掃除面を掃除する回転清掃体と、を有する。複数の吸込室は、本体の被掃除面に対向する位置に開口された吸込口をそれぞれ備える。これら吸込室の吸込口は、本体の前後に並んで位置する。風路は、相対的に前側に位置する吸込口を備える吸込室と連通する第1の連通路と、相対的に後側に位置する吸込口を備える吸込室と連通し第1の連通路と区画された第2の連通路と、を備える。第2の連通路の下流側の風路断面積が第1の連通路の下流側の風路断面積よりも大きく、相対的に前側に位置する吸込口よりも相対的に後側に位置する吸込口の真空度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態の電気掃除機の吸込口体を下方から示す平面図である。
【
図2】(a)は同上吸込口体の側方の位置での縦断面図、(b)は同上吸込口体の中央縦断面図である。
【
図4】同上吸込口体の一部を切り欠いて前方から示す斜視図である。
【
図6】同上吸込口体を備えた電気掃除機を示す斜視図である。
【
図7】第2の実施形態の電気掃除機の吸込口体を備えた電気掃除機の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1の実施形態の構成を
図1ないし
図6を参照して説明する。
【0010】
図6において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、掃除機本体12と、この掃除機本体12に対して着脱可能に接続される風路形成体である管部13とを有している。
【0011】
掃除機本体12は、被掃除面としての床面上を旋回および走行可能であり、電動送風機15、この電動送風機15の動作を制御する図示しない本体制御部、および、これら電動送風機15および本体制御部などに給電するためのコードリール装置、あるいは二次電池などの電源部などを収容しているとともに、電動送風機15の吸込側に連通する集塵部18を備えている。また、掃除機本体12の前部には、集塵部18に連通するとともに管部13の基端側が接続される本体吸込口19が開口形成されている。なお、本実施形態では、集塵部18として例えばサイクロン分離式の集塵部を用いるが、例えば紙パックやフィルタなど、任意の集塵部を用いることもできる。
【0012】
管部13は、ホース体21と、このホース体21に対して着脱可能な例えば合成樹脂製の延長管22と、この延長管22に対して着脱可能な吸込口体としての床ブラシ24とを備えている。
【0013】
ホース体21は、可撓性を有するホース部25と、このホース部25の基端側(下流側)に設けられ本体吸込口19に接続される接続管部26と、ホース部25の先端側(上流側)に設けられた手元操作部27とを有している。
【0014】
手元操作部27には、延長管22の基端側(下流側)が着脱可能に接続される。また、この手元操作部27には、使用者が把持する把持部28が基端側に突出して形成されており、この把持部28には電動送風機15の動作モードなどを設定するための設定ボタン29が配置されている。
【0015】
そして、
図1ないし
図5に示す床ブラシ24は、床面上を走行させることにより床面上の塵埃を吸い込むものである。なお、以下、前後方向および左右方向(両側方向、幅方向)はこの床ブラシ24の走行方向を基準とし、上下方向は床ブラシ24を平坦な床面上に載置した状態での反重力方向および重力方向とする。この床ブラシ24は、左右方向に延びる長手状、すなわち横長に形成された本体であるケース体31と、このケース体31の後部に回転可能に接続される接続管32(
図6)とを備えている。また、この床ブラシ24には、回転清掃体としての回転ブラシ33が回転可能に取り付けられている。さらに、この床ブラシ24には、この床ブラシ24を前後方向に走行可能とする車輪34が回転可能に取り付けられている。
【0016】
ケース体31には、吸込室35が複数区画されている。また、このケース体31には、吸込室35と連通する風路36が設けられている。さらに、このケース体31には、床面に対向する下部に、前側遮蔽部37と、遮蔽部である後側遮蔽部38と、後方遮蔽部39とが設けられている。
【0017】
吸込室35は、それぞれケース体31の床面に対向する下部に開口された吸込口41を備え、本実施形態では、床ブラシ24又はケース体31の走行方向である前後方向に複数設定されている。具体的に、ケース体31には、相対的に前側に位置する一の吸込室である前側吸込室43と、相対的に後側に位置する他の吸込室である後側吸込室44とが設定されている。このため、吸込口41には、前側吸込室43に備えられる前側吸込口46と、後側吸込室44に備えられる後側吸込口47とが設定されている。すなわち、吸込室35および吸込口41は、前後一対設定されている。吸込室35および吸込口41の数は、これに限定されず、前後に3以上並んで設定されていてもよい。
【0018】
前側吸込室43は、ケース体31内の前端側に配置されている。この前側吸込室43は、後側吸込室44よりも上下方向に大きく形成され、後側吸込室44よりも容積が大きく設定されている。また、この前側吸込室43は、後部すなわち下流側が後側吸込室44の上方に延びて位置している。さらに、この前側吸込室43の天面部(上面部)43aは、ケース体31の前面の背面側に位置し、後側に向かって徐々に上方に傾斜するように構成されている。
【0019】
また、この前側吸込室43に備えられる前側吸込口46は、ケース体31の前端側に配置され、比較的大きい塵埃を吸い込むものである。この前側吸込口46は、ケース体31の左右方向に沿って長手状に形成されている。また、この前側吸込口46は、前後方向の寸法が後側吸込口47よりも大きく設定されている。
【0020】
一方、後側吸込室44は、ケース体31内の前後方向の略中央部、あるいはこの中央部よりも後側よりに配置されている。
【0021】
また、この後側吸込室44に備えられる後側吸込口47は、前側吸込口46よりも後方で、かつ、ケース体31の前後方向の略中央部あるいはこの中央部よりも後側寄りに配置されている。すなわち、これら前側吸込口46と後側吸込口47とは、前後に並んで配置されている。この後側吸込口47は、ケース体31の左右方向に沿って長手状に形成されているとともに、前後方向の寸法が狭く、左右方向に長いスリット状となっている。また、この後側吸込口47は、前側吸込口46と略等しい幅寸法に形成されている。したがって、この後側吸込口47は、前側吸込口46よりも開口面積が小さく設定されている。さらに、この後側吸込口47は、前側吸込口46よりも真空度が高く設定され、比較的小さい塵埃を吸い込むものである。また、この後側吸込口47は、進行方向である前後方向に対して交差又は直交する左右方向に複数に分割されている。具体的に、本実施形態では、この後側吸込口47は、左右3つに分割され、互いに区画されている。すなわち、後側吸込口47には、(一および他の)区画壁部48,49が形成されており、これら区画壁部48,49によって、左右方向の中央部に位置する第1の後側吸込口である中央吸込口47aと、この中央吸込口47aの左右両側に位置する第2および第3の後側吸込口である(一および他の)側部吸込口47b,47cとが設定されている。このため、後側吸込室44も、中央吸込口47aおよび側部吸込口47b,47cのそれぞれに対応して左右に複数、本実施形態では3つに分割されている。
【0022】
中央吸込口47aと、側部吸込口47b,47cとは、互いに略等しい幅寸法、又は、中央吸込口47aが側部吸込口47b,47cより大きい幅寸法に設定されている。これら中央吸込口47aに対応する後側吸込室44の天面44a,44aは、中央吸込口47aの左右両側から左右方向の中央部側に向かって傾斜状に立ち上げられており、床ブラシ24又はケース体31の進行方向である前後方向と交差又は直交する左右方向の中央側より両端である左右両側の方が低く設定されている。すなわち、この天面44a,44aは、左右方向の両側から中央部に向かって徐々に高くなる山状に形成され、正面から見てハ字状となっている。また、側部吸込口47b,47cに対応する後側吸込室44の天面44b,44cは、側部吸込口47b,47cの中央吸込口47aと反対側の端部、すなわち区画壁部48,49から左右方向の中央部側に向かってそれぞれ傾斜状に立ち上げられている。すなわち、これら天面44b,44cは、互いに略左右対称に形成されており、後側吸込口47の左右方向の中央部に向かって徐々に高くなるように略直線状に傾斜している。このため、天面44bと天面44cとは、正面から見てハ字状をなすように配置されている。さらに、これら天面44b,44cの上端部は、後側吸込口47の左右方向の中央部において、天面44a,44aよりも上方に位置している。
【0023】
区画壁部48,49は、前後方向に沿ってリブ状に形成されている。これら区画壁部48,49は、中央吸込口47aと、左右の側部吸込口47b,47cとの間に位置している。
【0024】
風路36は、各吸込室35又は吸込口41と接続管32(
図6)とを接続し、吸込室35の吸込口41から吸い込んだ塵埃を接続管32(
図6)へと運ぶように形成されている。すなわち、この風路36には、前側吸込口46を備える前側吸込室43と連通する第1の連通路51と、後側吸込口47を備える後側吸込室44と連通する第2の連通路52とが区画されている。これら第1の連通路51と第2の連通路52とは、例えば上下に並んで位置している。すなわち、これら第1の連通路51と第2の連通路52とは、天面44b,44cと連続し前後方向に沿って設けられた壁部54を介して上下に区画されている。
【0025】
第1の連通路51は、前側すなわち上流側から後側すなわち下流側に向かって下部である壁部54が徐々に上方に向かって傾斜するように形成されている。このため、第1の連通路51は、下流側ほど風路断面積が小さくなるように形成されている。
【0026】
第2の連通路52の下流端の風路断面積は、第1の連通路51の下流端の風路断面積よりも大きく設定されている。この第2の連通路52は、後側吸込室44又は後側吸込口47の分割に対応して複数に区画されている。具体的に、本実施形態では、第2の連通路52は、中央吸込口47aと連通する中央連通路52aと、側部吸込口47b,47cと連通する(一および他の)側部連通路52b,52cとに区画されている。中央連通路52aは、天面44a,44a間を連結して壁部54の下部から水平状に後方へと延びる連結壁部56により区画されている。また、側部連通路52b,52cは、連結壁部56と、壁部54と、これら連結壁部56の上部と壁部54の下部とを上下方向に沿って連結する隔壁部57とにより区画されている。このため、中央連通路52aの上部の左右に側部連通路52b,52cが区画され、これら側部連通路52b,52cの上部に第1の連通路51が区画されている。
【0027】
前側遮蔽部37は、前側吸込口46の前方に位置し、この前側吸込口46の前縁部を区画するものである。この前側遮蔽部37は、左右方向に沿って長手状で、かつ、床面側である下方に向かって突出するリブ状に形成されている。また、この前側遮蔽部37の先端部である下端部には、前側の塵埃を前側吸込口46へと導くガイド部37aが形成されている。このガイド部37aは、前側吸込口46と反対側である前側が後方に向かって湾曲するように面取りされた面取り部である。
【0028】
後側遮蔽部38は、前側吸込口46と後側吸込口47との間に介在されている。すなわち、この後側遮蔽部38は、前側吸込口46の後方で、かつ、後側吸込口47の前方に位置し、前側吸込口46の後縁部および後側吸込口47の前縁部を区画するものである。この後側遮蔽部38は、左右方向に沿って長手状に形成され、床面側である下方に突出している。また、この後側遮蔽部38は、下端部が前側遮蔽部37の下端部よりも下方、すなわち床面に接近して位置している。この後側遮蔽部38の下端部は、前後左右に面状に広がる平面状に形成されている。
【0029】
後方遮蔽部39は、後側吸込口47の後方に位置し、この後側吸込口47の後縁部を区画するものである。この後方遮蔽部39は、左右方向に沿って長手状に形成され、床面側である下方に突出している。また、この後方遮蔽部39は、下端部が前側遮蔽部37の下端部よりも下方、すなわち床面に接近して位置し、かつ、後側遮蔽部38と略等しい高さとなっている。そして、この後方遮蔽部39の下端部は、前後左右に面状に広がる平面状に形成されている。そのため、この後方遮蔽部39は、後側遮蔽部38と略面一に形成されている。また、これら後方遮蔽部39と後側遮蔽部38との間に区画壁部48,49が橋架されている。
【0030】
この結果、前側吸込口46よりも後側吸込口47が床面側に接近して位置している。
【0031】
なお、本実施形態では、後側遮蔽部38、後方遮蔽部39、天面44a,44b,44c、区画壁部48,49、壁部54、連結壁部56、および、隔壁部57は、例えばケース体31の一部を構成する中ケース59により一体に形成されている。
【0032】
図6に示す接続管32は、床ブラシ24を延長管22の先端などの接続部に接続する部分である。この接続管32は、ケース体31に対して回動可能に設けられている。また、この接続管32は、上流端である前端部がケース体31の後部に挿入されており、
図2(a)および
図2(b)に示す第1の連通路51および第2の連通路52の下流端である後端と対向するように配置されている。したがって、これら第1の連通路51と第2の連通路52とは、接続管32(
図6)において合流するように構成されている。
【0033】
図1に示す回転ブラシ33は、絨毯などの床面に入り込んだ塵埃を回転によって掻き出すものである。この回転ブラシ33は、吸込口41の前側吸込口46の長手方向である左右方向に沿って軸方向を有するように配置されており、両端がそれぞれケース体31に軸支されている。また、この回転ブラシ33は、例えば合成樹脂製などのブラシ毛や軟質の合成樹脂製のブレードなどの清掃部材を外周面の周方向に複数有している。そして、この回転ブラシ33は、掃除の際に使用者が必要に応じて設定ボタン29(
図6)などを操作することにより図示しないモータなどの駆動源によって高速で回転駆動される。
【0034】
車輪34は、床面上で使用者が床ブラシ24又はケース体31を前後に走行させる際に床面と接触して回転することで摩擦を低減して床ブラシ24又はケース体31を床面上で走行させる従動輪である。この車輪34は、本実施形態では、吸込口41(後側吸込口47)の後部近傍に位置する対をなす、本実施形態では一対の前側車輪61,61と、これら前側車輪61,61のさらに後方でケース体31の後端近傍に位置する対をなす、本実施形態では一対の後側車輪62,62とが設定されている。
【0035】
前側車輪61,61は、ケース体31の下部にて、吸込口41の後方、本実施形態では後側吸込口47の後部近傍に配置されている。より具体的に、前側車輪61,61は、後方遮蔽部39の後部に隣接して配置されている。これら前側車輪61,61は、左右方向に沿って回動軸をそれぞれ有しており、左右に離間されて配置されている。また、これら前側車輪61,61は、区画壁部48,49の後方に位置している。すなわち、これら前側車輪61,61は、後側吸込口47の中央吸込口47aと、側部吸込口47b,47cとの間の位置の後方に配置されている。さらに、これら前側車輪61,61は、接続管32(
図6)の前端側の下部に位置している。
【0036】
後側車輪62,62は、ケース体31の下部にて、前側車輪61,61のさらに後方に位置している。すなわち、これら後側車輪62,62は、左右方向に沿って回動軸をそれぞれ有しており、左右に離間されて配置されている。
【0037】
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
【0038】
掃除の際には、まず、使用者は、掃除機本体12の本体吸込口19に、接続管部26を介してホース体21を連通接続し、このホース体21の先端側の手元操作部27に、延長管22および床ブラシ24を順次連通接続する。したがって、床ブラシ24の吸込室35(吸込口41)が電動送風機15の吸込側と連通する。
【0039】
次いで、床ブラシ24を床面上に載置し、電源部から本体制御部および電動送風機15へと給電可能な状態として、把持部28を把持した使用者が所定の設定ボタン29を操作すると、この設定ボタン29により設定された動作モードに応じて本体制御部が電動送風機15の入力を制御して、電動送風機15が駆動される。
【0040】
さらに、使用者は、床ブラシ24を床面上で前後に走行させることで、電動送風機15の駆動により生じる負圧の作用によって、床ブラシ24の吸込口41から塵埃を空気とともに吸い込む。
【0041】
吸い込まれた含塵空気は、集塵部18に吸い込まれて塵埃が除去され、この塵埃が除去された吸込風は電動送風機15へと吸い込まれ、この電動送風機15を通過して排気風となり、掃除機本体12の後部などに設けられた図示しない排気口から掃除機本体12の外部へと排気される。掃除が終了すると、使用者が設定ボタン29を操作することで、本体制御部が電動送風機15を停止させる。このとき、回転ブラシ33が動作している場合には、この回転ブラシ33も停止させる。
【0042】
そして、上記の塵埃の吸い込みの際、吸込口41は、前側吸込口46の真空度が相対的に大きく、後側吸込口47の真空度が相対的に小さいことにより、前側吸込口46で吸い込む塵埃よりも細かい塵埃を後側吸込口47で吸い込む。
【0043】
このように、相対的に前側に位置する吸込口である前側吸込口46よりも相対的に後側に位置する吸込口である後側吸込口47の真空度が高いので、後側吸込口47で相対的に小さい塵埃(細塵)を吸い上げる能力を向上でき、相対的に大きい塵埃を前側吸込口46から吸い込み、相対的に小さい塵埃を後側吸込口47から吸い込むことができ、すなわち、前側吸込口46で大きな塵埃を吸い込み、残った塵埃を後側吸込口47で吸い込むことができるので、ごみ取れを向上できる。
【0044】
また、前側吸込口46よりも後側吸込口47が床面側に接近して位置しているので、後側吸込口47の真空度を前側吸込口46の真空度よりも容易に高くすることができる。
【0045】
さらに、ケース体31の前側吸込口46と後側吸込口47との間に、床面側に向けて突出してこれら前側吸込口46と後側吸込口47を区画する後側遮蔽部38を備えているので、後側吸込口47の真空度を前側吸込口46の真空度よりも容易に高くすることができる。
【0046】
また、ケース体31の前側吸込口46の前方に前側遮蔽部37を備え、後側吸込口47の前方でかつ前側吸込口46の後方に前側遮蔽部37よりも床面側に向けて突出する後側遮蔽部38を備えているので、後側吸込口47の真空度を前側吸込口46の真空度よりも容易に高くすることができる。
【0047】
さらに、ケース体31の前側吸込口46の前方の前側遮蔽部37よりも床面側に向けて突出する後側遮蔽部38を後側吸込口47の前方に備えているので、床ブラシ24の進行によって前側遮蔽部37の下部から前側吸込口46へと入り込んだ比較的大きい塵埃が後側遮蔽部38を越えにくくなり、この塵埃を前側吸込口46においてより確実に吸い込むことができる。
【0048】
また、ケース体31の電動送風機15の吸込側に連通する風路36が、前側吸込口46を備える前側吸込室43と連通する第1の連通路51と、後側吸込口47を備える後側吸込室44と連通し第1の連通路51と区画された第2の連通路52とを備えているので、前側吸込口46から吸い込んだ塵埃と後側吸込口47から吸い込んだ塵埃とを合流させて同一の集塵部18に捕集できる。しかも、前側吸込口46と後側吸込口47との真空度を、単に前側吸込口46と後側吸込口47との開口面積や形状だけでなく、これら第1の連通路51と第2の連通路52との下流側の風路断面積などによって容易に設定できる。
【0049】
具体的に、後側吸込口47は、狭く吸込風が流れにくいので圧損が大きいため、第2の連通路52の下流側の風路断面積を第1の連通路51の下流側の風路断面積よりも大きくすることで、後側吸込口47での充分な真空度を確保し易くなる。
【0050】
また、後側吸込口47を左右に長手状に形成する場合、主として接続管32と直接対向する中央部に真空度が作用し、左右両端で塵埃を吸い込みにくくなるため、後側吸込口47を進行方向である前後方向に対して交差又は直交する左右方向に複数に分割することで、後側吸込口47の左右両端まで充分な真空度を確保できる。
【0051】
さらに、後側吸込口47を備える後側吸込室44の天面44a,44b,44cが、進行方向である前後方向に対して交差する左右方向の中央側より両端側が低いので、後側吸込口47の左右両端の部分まで充分な真空度を容易に確保できる。
【0052】
また、後側吸込口47の近傍に前側車輪61,61を備えているので、前側車輪61,61によって床ブラシ24の走行性を向上できるとともに、後側吸込口47を床面に接触しない限界の位置まで床面に近づけることができ、後側吸込口47からより効果的に塵埃を吸い込むことができる。しかも、前側車輪61,61は、接続管32の下部に位置しているので、使用者が手元操作部27などを介して床ブラシ24を床面に押し付けるように力を加えた状態でも、前側車輪61,61が接続管32の下部の位置でケース体31を支持し、ケース体31を撓ませることなく後側吸込口47を床面に近づけ易くなる。
【0053】
さらに、後側吸込口47の開口面積を前側吸込口46の開口面積よりも小さくしているので、相対的に真空度が大きい後側吸込口47での床面への吸い付きを抑制して、床ブラシ24の走行性を損なうことなく確実に塵埃を吸い込むことができる。
【0054】
そして、回転によって床面を掃除する回転ブラシ33を前側吸込口46に備えているので、使用者が床面の種類に応じて、回転ブラシ33を適宜回転させたときに、相対的に真空度が低い前側吸込口46であっても、回転ブラシ33が床面の塵埃を掻き出すことで、充分に塵埃を前側吸込口46から吸い込むことができる。
【0055】
次に、第2の実施形態を
図7および
図8を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0056】
図8において、71は電気掃除機を示し、この電気掃除機71は、床面上を自律走行する自律走行型のロボットクリーナである。
【0057】
この電気掃除機71は、
図7に示すように、上記の第1の実施形態の床ブラシ24のケース体31と同様の構成を一体に設けた本体である掃除機本体73を備え、この掃除機本体73に電動送風機74、本体制御部(図示せず)、集塵部76、および、電池(二次電池)77などが配置されている。
【0058】
すなわち、掃除機本体73には、上記各実施形態と同様の回転ブラシ33、吸込室35、前側遮蔽部37、遮蔽部である後側遮蔽部38、吸込口41などが形成されている。
【0059】
また、掃除機本体73の床面に対向する下部には、走行駆動部としての駆動輪78,78が設けられており、この駆動輪78,78がモータ79,79を介して本体制御部により駆動されることで電気掃除機71又は掃除機本体73が床面上を自律走行可能となっている。さらに、掃除機本体73の前部両側には、旋回清掃部としてのサイドブラシ81,81が設けられている。これらサイドブラシ81,81は、図示しないサイドブラシモータにより旋回される。
【0060】
本体制御部は、例えばセンサにより検出した障害物や、記憶されたマップに記された障害物などを回避するようにモータ79,79を介して駆動輪78,78を駆動させる。
【0061】
各駆動輪78は、電気掃除機71又は掃除機本体73を床面上で前進方向および後退方向に自律走行させる、すなわち走行用のものであり、左右幅方向に沿って図示しない回転軸を有し、幅方向に対称に配置されている。なお、これら駆動輪78は、例えば無限軌道などでもよい。
【0062】
そして、電気掃除機71は、例えば予め設定された掃除開始時刻となったときや、リモコン又は外部装置によって送信された掃除開始の指令信号を受信したときなどに、本体制御部がモータ79,79又は駆動輪78,78の駆動を制御して所定のスタート位置、例えば電池77の充電用の充電装置から出発して掃除を開始する。電気掃除機71は、センサにより検出した周囲の障害物や凹段差を回避したり、予め記憶されたマップに沿ったりしながら掃除領域内の床面上を自律走行しつつ、回転ブラシ33により塵埃を掻き上げたり、サイドブラシ81,81によって塵埃を掻き集めたりしながら、吸込口41から塵埃を吸い込んで集塵部76へと捕集する。
【0063】
このとき、相対的に前側に位置する吸込口である前側吸込口46よりも相対的に後側に位置する吸込口である後側吸込口47の真空度が高いなど、上記各実施形態と同様の構成を有することにより、同様の作用効果を奏することができる。
【0064】
なお、上記各実施形態において、後側遮蔽部38は、前側遮蔽部37よりも床面側に向けて突出していれば、後方遮蔽部39と面一でなくてもよく、例えば後方遮蔽部39よりも床面側に向けて突出していてもよい。
【0065】
また、後側遮蔽部38が前側吸込口46と後側吸込口47との間を区画している構成としたが、例えば前側吸込口46の後部に、後側遮蔽部38の前方に位置する遮蔽部を別途備えていてもよい。
【0066】
さらに、各遮蔽部は、壁状やリブ状のものに限らず、例えばシールやリップなども含む。
【0067】
また、後側吸込口47は、左右に2つ、あるいは4つ以上に分割されていてもよい。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲をこれらの実施形態に限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
11,71 電気掃除機
15,74 電動送風機
24 吸込口体としての床ブラシ
31 本体であるケース体
33 回転清掃体である回転ブラシ
34 車輪
35 吸込室
36 風路
37 前側遮蔽部
38 遮蔽部である後側遮蔽部
41 吸込口
44a,44b,44c 天面
51 第1の連通路
52 第2の連通路
73 本体である掃除機本体