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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】穀稈搬送装置
(51)【国際特許分類】
   A01F 17/02 20060101AFI20221018BHJP
   A01D 57/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
A01F17/02
A01D57/00 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019046821
(22)【出願日】2019-03-14
(65)【公開番号】P2020145976
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(74)【代理人】
【識別番号】100206106
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】森広 忠光
(72)【発明者】
【氏名】舟木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】穂積 由理加
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-000035(JP,A)
【文献】特開平04-084823(JP,A)
【文献】実開昭55-018961(JP,U)
【文献】特開昭54-060156(JP,A)
【文献】特開2010-178638(JP,A)
【文献】実開昭61-115029(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0303037(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 57/00 - 57/22
A01D 61/00 - 61/04
A01F 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ケースと、
前記搬送ケース内に軸支される駆動回転体及び従動回転体と、
複数の搬送爪が枢着され、前記駆動回転体及び前記従動回転体に巻回される爪付きチェーンと、を備え、
少なくとも搬送作用側で前記搬送ケースから突出する前記搬送爪が、前記駆動回転体の回転駆動に応じて穀稈を搬送する穀稈搬送装置であって、
前記搬送ケースは、
前記駆動回転体及び前記従動回転体の一側方に配置される第1ケース部と、
前記駆動回転体及び前記従動回転体の他側方に配置され、非搬送作用側が開放された第2ケース部と、
前記爪付きチェーンの回転軌跡内で、且つ前記駆動回転体と前記従動回転体との間に配置され、前記第1ケース部と前記第2ケース部との間の開口を覆う覆い部と、
前記第1ケース部の搬送作用側端部と前記第2ケース部の搬送作用側端部との間で、且つ両搬送作用側端部の搬送方向下流側に配置される屑排出口と、を備え、
前記第1ケース部の搬送作用側端部及び前記第2ケース部の搬送作用側端部は、前記爪付きチェーンの外周側で前記搬送爪をガイドする第1ガイド部を備え、
前記屑排出口は、前記第1ガイド部の搬送方向下流側を省くことにより形成され、
前記第1ガイド部の搬送方向下流端は、搬送方向において、搬送方向下流側に配置される前記駆動回転体又は前記従動回転体の支軸位置を超えないことを特徴とする穀稈搬送装置。
【請求項2】
前記覆い部は、前記第2ケース部の一部を曲げ加工して形成されることを特徴とする請求項に記載の穀稈搬送装置。
【請求項3】
前記覆い部は、前記駆動回転体及び前記従動回転体の少なくとも一方に近接し、前記駆動回転体及び前記従動回転体の少なくとも一方に付着した屑を除去するスクレーパ部を一体に備えることを特徴とする請求項1または2記載の穀稈搬送装置。
【請求項4】
前記搬送ケースは、前記爪付きチェーンの内周側又は側方で前記搬送爪をガイドする一対の第2ガイド部を備え、
一対の前記第2ガイド部は、前記第1ケース部の搬送作用側端部及び前記第2ケース部の搬送作用側端部から互いに近づく方向に延出し、
一対の前記第2ガイド部間には、屑の排出経路となる隙間が設けられることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の穀稈搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインなどに設けられる穀稈搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインは、穀稈を刈り取る刈取部や、脱穀済みの排稈を搬送する排稈搬送部に穀稈搬送装置を備える。例えば、特許文献1には、排稈搬送部において排稈の穂先側を搬送する穀稈搬送装置が開示されている。特許文献1の穀稈搬送装置は、搬送ケースと、搬送ケース内に軸支される駆動回転体及び従動回転体と、複数の搬送爪が枢着され、駆動回転体及び従動回転体に巻回される爪付きチェーンと、を備えており、少なくとも搬送作用側で搬送ケースから突出する搬送爪が、駆動回転体の回転駆動に応じて穀稈を搬送するように構成されている。また、搬送ケースは、駆動回転体及び従動回転体の一側方に配置される第1ケース部と、駆動回転体及び従動回転体の他側方に配置される第2ケース部と、を備えており、第2ケース部は、非搬送作用側が開放されている。このような穀稈搬送装置によれば、爪付きチェーン(搬送爪)に引っ掛かった屑や堆積した屑を第2ケース部の開放部で落下させることができるので、爪付きチェーンに対する屑の引っ掛かりや堆積を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-35号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の穀稈搬送装置では、第2ケース部の開放部で落下した屑が搬送ケース内の搬送作用側に侵入して堆積し、穀稈搬送装置の動作を阻害する虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、搬送ケースと、前記搬送ケース内に軸支される駆動回転体及び従動回転体と、複数の搬送爪が枢着され、前記駆動回転体及び前記従動回転体に巻回される爪付きチェーンと、を備え、少なくとも搬送作用側で前記搬送ケースから突出する前記搬送爪が、前記駆動回転体の回転駆動に応じて穀稈を搬送する穀稈搬送装置であって、前記搬送ケースは、前記駆動回転体及び前記従動回転体の一側方に配置される第1ケース部と、前記駆動回転体及び前記従動回転体の他側方に配置され、非搬送作用側が開放された第2ケース部と、前記爪付きチェーンの回転軌跡内で、且つ前記駆動回転体と前記従動回転体との間に配置され、前記第1ケース部と前記第2ケース部との間の開口を覆う覆い部と、前記第1ケース部の搬送作用側端部と前記第2ケース部の搬送作用側端部との間で、且つ両搬送作用側端部の搬送方向下流側に配置される屑排出口と、を備え、前記第1ケース部の搬送作用側端部及び前記第2ケース部の搬送作用側端部は、前記爪付きチェーンの外周側で前記搬送爪をガイドする第1ガイド部を備え、前記屑排出口は、前記第1ガイド部の搬送方向下流側を省くことにより形成され、前記第1ガイド部の搬送方向下流端は、搬送方向において、搬送方向下流側に配置される前記駆動回転体又は前記従動回転体の支軸位置を超えないことを特徴とする穀稈搬送装置である。
請求項2の発明は、前記覆い部は、前記第2ケース部の一部を曲げ加工して形成されることを特徴とする請求項に記載の穀稈搬送装置である。
請求項3の発明は、前記覆い部は、前記駆動回転体及び前記従動回転体の少なくとも一方に近接し、前記駆動回転体及び前記従動回転体の少なくとも一方に付着した屑を除去するスクレーパ部を一体に備えることを特徴とする請求項1または2記載の穀稈搬送装置である。
請求項4の発明は、前記搬送ケースは、前記爪付きチェーンの内周側又は側方で前記搬送爪をガイドする一対の第2ガイド部を備え、一対の前記第2ガイド部は、前記第1ケース部の搬送作用側端部及び前記第2ケース部の搬送作用側端部から互いに近づく方向に延出し、一対の前記第2ガイド部間には、屑の排出経路となる隙間が設けられることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の穀稈搬送装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、第2ケース部は、非搬送作用側が開放されているので、爪付きチェーン(搬送爪)に引っ掛かった屑や堆積した屑を第2ケース部の開放部で落下させることにより、爪付きチェーンに対する屑の引っ掛かりや堆積を抑制できる。また、爪付きチェーンの回転軌跡内で、且つ駆動回転体と従動回転体との間には、第1ケース部と第2ケース部との間の開口を覆う覆い部が配置されているので、第2ケース部の開放部で落下した屑が搬送ケース内の搬送作用側に侵入することを阻止できる。また、第1ケース部の搬送作用側端部と第2ケース部の搬送作用側端部との間で、且つ両搬送作用側端部の搬送方向下流側には、屑排出口が配置されているので、仮に搬送ケース内の搬送作用側に屑が侵入しても、その屑を爪付きチェーンの回転に応じて屑排出口から排出することができる。
しかも屑排出口は、第1ガイド部の搬送方向下流側を省くことにより形成されるので、コストアップを抑制できる。また、第1ガイド部の搬送方向下流端は、搬送方向において、搬送方向下流側に配置される駆動回転体又は従動回転体の支軸位置を超えないので、必要なガイド範囲を確保しつつ、屑排出口を広く形成できる。
また、請求項の発明によれば、覆い部は、第2ケース部の一部を曲げ加工して形成されるので、構造の簡略化及びコストダウンが図れる。
また、請求項の発明によれば、覆い部は、駆動回転体及び従動回転体の少なくとも一方に近接し、駆動回転体及び従動回転体の少なくとも一方に付着した屑を除去するスクレーパ部を一体に備えるので、コストアップを抑制しつつ、駆動回転体及び従動回転体に付着した屑を除去することができる。
また、請求項の発明によれば、一対の第2ガイド部間には、屑の排出経路となる隙間が設けられるので、仮に搬送ケース内の搬送作用側に屑が侵入しても、その屑を一対の第2ガイド部間の屑排出経路を介して屑排出口に導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係るコンバインの全体側面図である。
図2】コンバインの全体平面図である。
図3】排稈搬送装置の正面図である。
図4】排稈搬送装置の側面図である。
図5】排稈搬送装置の平面図である。
図6】穂先搬送体の斜視図である。
図7】穂先搬送体の側面図である。
図8】穂先搬送体の内部側面図である。
図9図7のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1及び図2において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、穀稈を刈り取る前処理部2と、刈り取った穀稈から穀粒を脱穀して選別する脱穀部3と、選別済みの穀粒を貯溜する穀粒タンク4と、脱穀済みの排稈を処理する後処理部5と、左右一対のクローラ走行体を備える走行部6と、各種の操作具が配置される操縦部7と、を備える。
【0009】
前記脱穀部3は、側面部に沿って設けられる脱穀フィードチェーン8を備える。脱穀フィードチェーン8は、前処理部2の終端部まで搬送された穀稈を受け継ぎ、受け継いだ穀稈の株元側を上方に並設される挟扼レール9との間で挟持しながら後方に搬送する。このとき、搬送穀稈の穂先側は、脱穀部3の扱室(図示せず)内を通過する際に扱胴(図示せず)の回転脱穀作用を受ける。
【0010】
前記脱穀部3の後方には、排稈搬送装置11が平面視傾斜状に配置されている。図3図5に示すように、排稈搬送装置11は、脱穀フィードチェーン8の終端部まで搬送された排稈(脱穀済み穀稈)の株元側を後方に搬送する株元搬送体13と、排稈の穂先側を後方に搬送する穂先搬送体14(穀稈搬送装置)とを、稈長方向に所定の間隔を存して並列状に組付けて構成されている。
【0011】
株元搬送体13は、脱穀部3から取出した動力で駆動する搬送始端側の駆動スプロケット(図示せず)と、搬送終端側に設けられる従動スプロケット(図示せず)との間に、排稈フィードチェーン17を巻回するとともに、排稈フィードチェーン17の下方に挟扼レール18を並設して構成されている。そして、排稈フィードチェーン17は、脱穀フィードチェーン8の終端部まで搬送された排稈の株元側を挟扼レール18との間で挟持しながら後方の後処理部5に向けて搬送するが、さらに株元搬送体13には、排稈フィードチェーン17の中間部に噛合して穂先搬送体14の動力を取り出す中間スプロケット19(図9参照)が設けられている。
【0012】
図3図9に示すように、穂先搬送体14は、搬送ケース20と、該搬送ケース20内の搬送始端側に内装される従動スプロケット21(従動回転体)と、該従動スプロケット21を回転自在に支持する従動スプロケット軸21aと、搬送ケース20内の搬送終端側に内装される駆動スプロケット22(駆動回転体)と、該駆動スプロケット22を一体回転自在に支持し、かつ中間スプロケット19に連動連結される駆動スプロケット軸22aと、両スプロケット21、22間に巻回される爪付きチェーン23と、該爪付きチェーン23に起倒自在に枢着される複数の搬送爪23aと、該搬送爪23aを爪付きチェーン23の搬送作用側で起立ガイドする第1ガイド部24及び第2ガイド部25と、搬送ケース20内のの中間部に設けられるテンションローラ26と、を備える。
【0013】
搬送作用側で起立した搬送爪23aは、搬送ケース20の下部に形成される突出口20cから下方に突出し、搬送ガイド27との間で排稈の穂先側を後方に搬送する。また、搬送作用側の終端まで達した搬送爪23aは、爪付きチェーン23に沿う倒伏姿勢で非搬送作用側を循環する。
【0014】
搬送ケース20は、駆動スプロケット22及び従動スプロケット21の一側方に配置される第1ケース部28と、駆動スプロケット22及び従動スプロケット21の他側方に配置される第2ケース部29と、を備える。具体的に説明すると、第1ケース部28は、搬送ケース20の株元搬送体13と対向する一方側の側面を構成し、第2ケース部29は、搬送ケース20の他方側の側面を構成している。
【0015】
第1ケース部28は、爪付きチェーン23のチェーン本体23b、駆動スプロケット22及び従動スプロケット21の一側方を覆う一方、第2ケース部29は、爪付きチェーン23のチェーン本体23b、駆動スプロケット22及び従動スプロケット21の他側方のうち、搬送作用側のみを覆い、非搬送作用側を開放している。このような搬送ケース20によれば、爪付きチェーン23のチェーン本体23bや搬送爪23aに引っ掛かった屑や堆積した屑を第2ケース部29の開放部29aで落下させることにより、爪付きチェーン23に対する屑の引っ掛かりや堆積を抑制できる。
【0016】
搬送ケース20は、爪付きチェーン23の回転軌跡内で、且つ駆動スプロケット22と従動スプロケット21との間に配置され、第1ケース部28と第2ケース部29との間の開口を覆う覆い部29bを備える。このような搬送ケース20によれば、第2ケース部29の非搬送作用側を開放したことによって生じる第1ケース部28と第2ケース部29との間の開口が覆い部29bによって覆われるので、第2ケース部29の開放部29aで落下した屑が搬送ケース20内の搬送作用側に侵入することを阻止できる。
【0017】
覆い部29bは、第2ケース部29の一部を曲げ加工して形成される。具体的には、金属板材からなる第2ケース部29の上端側を内側に折り曲げることで覆い部29bが形成される。このような搬送ケース20によれば、覆い部29bを別部材で形成する場合に比べ、構造の簡略化及びコストダウンが図れる。
【0018】
図9に示すように、覆い部29bは、正面視において、第1ケース部28から離れるほど低くなるように傾斜している。このような搬送ケース20によれば、覆い部29b上に落下した屑を傾斜に沿ってケース外側方に排出することができる。また、本実施形態の穂先搬送体14は、図3及び図9に示すように、正面視において、上側が株元搬送体13から離間し、下側が株元搬送体13に近づくように傾斜して配置されるので、覆い部29bの実質的に傾斜角度を大きくし、覆い部29b上に落下した屑の排出を促進できる。
【0019】
図6に示すように、覆い部29bは、駆動スプロケット22及び従動スプロケット21に近接し、駆動スプロケット22及び従動スプロケット21に付着した屑を除去するスクレーパ部29c、29d、29eを一体に備える。具体的に説明すると、スクレーパ部29c、29dは、駆動スプロケット22の側面部及び外周部に近接することで、駆動スプロケット22に付着した屑を除去し、スクレーパ部29eは、従動スプロケット21の外周部に近接することで、従動スプロケット21に付着した屑を除去する。このような搬送ケース20によれば、コストアップを抑制しつつ、駆動スプロケット22及び従動スプロケット21に付着した屑を除去することができる。
【0020】
また、搬送ケース20は、第1ケース部28の搬送作用側端部と第2ケース部29の搬送作用側端部との間で、且つ両搬送作用側端部の搬送方向下流側に配置される屑排出口30を備える。このような搬送ケース20によれば、仮に搬送ケース20内の搬送作用側に屑が侵入しても、その屑を爪付きチェーン23の回転に応じて屑排出口30から排出することができる。
【0021】
図8及び図9に示すように、第1ガイド部24は、第1ケース部28の搬送作用側端部及び第2ケース部29の搬送作用側端部から互いに近づく方向に延出し、爪付きチェーン23の外周側で搬送爪23aを起立ガイドする一対のガイド部材24aを備える。屑排出口30は、第1ガイド部24の搬送方向下流側を省くことにより形成されている。このような搬送ケース20によれば、第1ガイド部の搬送方向下流側を省くことにより屑排出口30が形成されるので、コストアップを抑制できる。
【0022】
また、第1ガイド部24の搬送方向下流端は、搬送方向において、搬送方向下流側に配置される駆動スプロケット22の支軸位置(駆動スプロケット軸22a位置)を超えないようにしてある。このようにすると、第1ガイド部24の必要なガイド範囲を確保しつつ、屑排出口30を広く形成できる。
【0023】
図8及び図9に示すように、第2ガイド部25は、第1ケース部28の搬送作用側端部及び第2ケース部29の搬送作用側端部から互いに近づく方向に延出し、爪付きチェーン23の内周側又は側方で搬送爪23aを起立ガイドする一対のガイド部材25aを備える。一対のガイド部材25a間には、屑の排出経路となる隙間Sが設けられる。このような搬送ケース20によれば、仮に搬送ケース20内の搬送作用側に屑が侵入しても、その屑を一対のガイド部材25a間の屑排出経路を介して屑排出口30に導くことができる。
【0024】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、搬送ケース20と、搬送ケース20内に軸支される駆動スプロケット22及び従動スプロケット21と、複数の搬送爪23aが枢着され、駆動スプロケット22及び従動スプロケット21に巻回される爪付きチェーン23と、を備え、少なくとも搬送作用側で搬送ケース20から突出する搬送爪23aが、駆動スプロケット22の回転駆動に応じて穀稈を搬送する穂先搬送体14であって、搬送ケース20は、駆動スプロケット22及び従動スプロケット21の一側方に配置される第1ケース部28と、駆動スプロケット22及び従動スプロケット21の他側方に配置され、非搬送作用側が開放された第2ケース部29と、を備えるので、爪付きチェーン23に引っ掛かった屑や堆積した屑を第2ケース部29の開放部29aで落下させることにより、爪付きチェーン23に対する屑の引っ掛かりや堆積を抑制できる。
【0025】
また、搬送ケース20は、爪付きチェーン23の回転軌跡内で、且つ駆動スプロケット22と従動スプロケット21との間に配置され、第1ケース部28と第2ケース部29との間の開口を覆う覆い部29bを備えるので、第2ケース部29の開放部29aで落下した屑が搬送ケース20内の搬送作用側に侵入することを阻止できる。
【0026】
また、搬送ケース20は、第1ケース部28の搬送作用側端部と第2ケース部29の搬送作用側端部との間で、且つ両搬送作用側端部の搬送方向下流側に配置される屑排出口30を備えるので、仮に搬送ケース20内の搬送作用側に屑が侵入しても、その屑を爪付きチェーン23の回転に応じて屑排出口30から排出することができる。
【0027】
また、第1ケース部28の搬送作用側端部及び第2ケース部29の搬送作用側端部は、爪付きチェーン23の外周側で搬送爪23aをガイドする第1ガイド部24を備え、屑排出口30は、第1ガイド部24の搬送方向下流側を省くことにより形成されるので、コストアップを抑制できる。
【0028】
また、第1ガイド部24の搬送方向下流端は、搬送方向において、搬送方向下流側に配置される駆動スプロケット22の支軸位置を超えないので、必要なガイド範囲を確保しつつ、屑排出口30を広く形成できる。
【0029】
また、覆い部29bは、第2ケース部29の一部を曲げ加工して形成されるので、構造の簡略化及びコストダウンが図れる。
【0030】
また、覆い部29bは、駆動スプロケット22及び従動スプロケット21に近接し、前記駆動回転体及び前記従動回転体に付着した屑を除去するスクレーパ部29c、29d、29eを一体に備えるので、コストアップを抑制しつつ、駆動スプロケット22及び従動スプロケット21に付着した屑を除去することができる。
【0031】
また、搬送ケース20は、爪付きチェーン23の内周側又は側方で搬送爪23aをガイドする一対の第2ガイド部25(ガイド部材25a)を備え、一対の第2ガイド部25は、第1ケース部28の搬送作用側端部及び第2ケース部29の搬送作用側端部から互いに近づく方向に延出し、一対の第2ガイド部25間には、屑の排出経路となる隙間Sが設けられるので、仮に搬送ケース20内の搬送作用側に屑が侵入しても、その屑を一対の第2ガイド部25間の屑排出経路を介して屑排出口30に導くことができる。
【0032】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。例えば、前記実施形態では、本発明の穀稈搬送装置として排稈搬送装置の穂先搬送体を例示したが、本発明は前処理部の穀稈搬送装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0033】
1 コンバイン
11 排稈搬送装置
13 株元搬送体
14 穂先搬送体
20 搬送ケース
21 従動スプロケット
22 駆動スプロケット
23 爪付きチェーン
23a 搬送爪
24 第1ガイド部
25 第2ガイド部
28 第1ケース部
29 第2ケース部
29a 開放部
29b 覆い部
29c、29d、29e スクレーパ部
30 屑排出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9