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特許7160740無線通信装置、無線通信システム、及び無線通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信システム、及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/06 20060101AFI20221018BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20221018BHJP
【FI】
H04B7/06 042
H04W16/28 151
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019062163
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020162071
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】309042071
【氏名又は名称】東光東芝メーターシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】星野 充紀
(72)【発明者】
【氏名】畠内 孝明
(72)【発明者】
【氏名】横山 睦人
(72)【発明者】
【氏名】土屋 創太
(72)【発明者】
【氏名】安元 啓人
(72)【発明者】
【氏名】田村 至
(72)【発明者】
【氏名】安井 昌広
(72)【発明者】
【氏名】坂野 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】福島 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】坂田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】猪子 照恵
(72)【発明者】
【氏名】山下 真純
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 尚利
(72)【発明者】
【氏名】小野 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】田井 貴久
【審査官】谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-21713(JP,A)
【文献】特開2005-341344(JP,A)
【文献】国際公開第2013/125070(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/02-7/12
H04L1/02-1/06
H04W16/28
H04J99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナと、
前記複数のアンテナの中から、無線通信に用いるアンテナを選択する選択部と、
前記選択部によって選択されたアンテナを用いて、無線通信を行う無線通信部とを備え、
前記無線通信部は、前記複数のアンテナのうち第1アンテナを用いて、通信相手の無線通信装置から同期要求を受信し、前記第1アンテナを用いて、前記通信相手の無線通信装置へ送信要求を送信し、
前記選択部は、前記送信要求が送信された後に、前記複数のアンテナの中から第2アンテナを選択し、
前記無線通信部は、前記第2アンテナを用いて、前記通信相手の無線通信装置から前記送信要求に対する送信要求応答を受信し、
前記選択部は、前記第1アンテナを用いて受信した前記同期要求の受信電波の強度と、前記第2アンテナを用いて受信した前記送信要求応答の受信電波の強度のうち、大きい方の強度を有するアンテナを、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナの中から選択し、
前記無線通信部は、前記大きい方の強度を有するアンテナを用いて、前記通信相手の無線通信装置へデータを送信することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記選択部と前記無線通信部とを制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記同期要求を受信した場合、前記同期要求の受信電波の強度を記録し、前記通信相手の無線通信装置へ前記送信要求を送信するように、前記無線通信部を制御するとともに、前記第2アンテナを選択するように、前記選択部を制御し、前記送信要求応答を受信した場合、前記送信要求応答の受信電波の強度を記録し、前記同期要求の受信電波の強度と前記送信要求応答の受信電波の強度とを比較し、前記大きい方の強度を有するアンテナを選択するように、前記選択部を制御するとともに、前記通信相手の無線通信装置へ前記データを送信するように、前記無線通信部を制御することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記同期要求は、間欠通信における同期要求であり、前記通信相手の無線通信装置は、前記同期要求を送信した後、受信待ち状態に移行することを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信装置。
【請求項4】
第1無線通信装置と第2無線通信装置とを備える無線通信システムであって、
前記第2無線通信装置は、前記第1無線通信装置へ同期要求を送信し、
前記第1無線通信装置は、複数のアンテナのうち第1アンテナを用いて前記同期要求を受信し、
前記第1無線通信装置は、前記第1アンテナを用いて、前記第2無線通信装置へ送信要求を送信し、
前記第1無線通信装置は、前記送信要求が送信された後に、前記複数のアンテナの中から第2アンテナを選択し、
前記第2無線通信装置は、前記第1無線通信装置へ前記送信要求に対する送信要求応答を送信し、
前記第1無線通信装置は、前記第2アンテナを用いて前記送信要求応答を受信し、
前記第1無線通信装置は、前記第1アンテナを用いて受信した前記同期要求の受信電波の強度と、前記第2アンテナを用いて受信した前記送信要求応答の受信電波の強度のうち、大きい方の強度を有するアンテナを、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナの中から選択し、
前記第1無線通信装置は、前記大きい方の強度を有するアンテナを用いて、前記第2無線通信装置へデータを送信する、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
第1無線通信装置と第2無線通信装置との間で無線通信を行う無線通信方法であって、
前記第2無線通信装置は、前記第1無線通信装置へ同期要求を送信し、
前記第1無線通信装置は、複数のアンテナのうち第1アンテナを用いて前記同期要求を受信し、
前記第1無線通信装置は、前記第1アンテナを用いて、前記第2無線通信装置へ送信要求を送信し、
前記第1無線通信装置は、前記送信要求が送信された後に、前記複数のアンテナの中から第2アンテナを選択し、
前記第2無線通信装置は、前記第1無線通信装置へ前記送信要求に対する送信要求応答を送信し、
前記第1無線通信装置は、前記第2アンテナを用いて前記送信要求応答を受信し、
前記第1無線通信装置は、前記第1アンテナを用いて受信した前記同期要求の受信電波の強度と、前記第2アンテナを用いて受信した前記送信要求応答の受信電波の強度のうち、大きい方の強度を有するアンテナを、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナの中から選択し、
前記第1無線通信装置は、前記大きい方の強度を有するアンテナを用いて、前記第2無線通信装置へデータを送信する、
ことを特徴とする無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、無線通信システム、及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のアンテナを有する無線通信装置には、アンテナダイバシティ機能が設けられていることが多い。アンテナダイバシティ機能によれば、無線通信装置は、無線通信パケットの受信を開始したとき、プリアンブル信号を受信している間に複数のアンテナを切り替え、最大の受信電力を有するアンテナを選択して、無線通信を行う。
【0003】
アンテナダイバシティ機能に関連して、移動無線通信システムの基地局装置に用いられるアンテナ切替装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このアンテナ切替装置は、ユーザ毎に各ユーザの受信スロットにおける受信電力をアンテナ毎に測定し、測定した各ユーザの受信電力の一部又は全部を用いて、全送信ユーザ共通の送信アンテナを選択し、選択した送信アンテナから全ユーザ信号を送信する。
【0004】
電池により駆動される無線端末を含む無線通信ネットワークシステムも知られている(例えば、特許文献2及び特許文献3を参照)。電池により駆動される無線端末では、電池の消耗を抑えて、電池の交換頻度を減らすことが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-23379号公報
【文献】特許第5097633号明細書
【文献】特許第5571008号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では言及されていないが、従来のアンテナダイバシティ機能を無線通信に適用するためには、無線通信パケットにおいて、10バイト以上の長さのプリアンブル信号を用いることが望ましい。
【0007】
しかしながら、電池により駆動される無線通信装置では、省電力等の観点から、10バイトよりも短いプリアンブル信号が用いられることがある。この場合、プリアンブル信号の受信時間が短くなるため、アンテナを切り替えて受信電力を測定するための時間が不足し、アンテナダイバシティ機能を適用することが困難になる。
【0008】
なお、かかる問題は、電池により駆動される無線通信装置に限らず、短いプリアンブル信号を用いる様々な無線通信システムにおいて生ずるものである。
【0009】
1つの側面において、本発明は、複数のアンテナを有する無線通信装置において、無線通信パケットのプリアンブル信号の長さにかかわらず、無線通信に用いる適切なアンテナを選択することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの実施形態によれば、無線通信装置は、複数のアンテナ、選択部、及び無線通信部を含む。選択部は、複数のアンテナの中から、無線通信に用いるアンテナを選択し、無線通信部は、選択部によって選択されたアンテナを用いて、無線通信を行う。
【0011】
無線通信部は、複数のアンテナのうち第1アンテナを用いて、通信相手の無線通信装置から同期要求を受信し、第1アンテナを用いて、通信相手の無線通信装置へ送信要求を送信する。そして、選択部は、送信要求が送信された後に、複数のアンテナの中から第2アンテナを選択する。
【0012】
次に、無線通信部は、第2アンテナを用いて、通信相手の無線通信装置から送信要求に対する送信要求応答を受信する。そして、選択部は、第1アンテナを用いて受信した同期要求の受信電波の強度と、第2アンテナを用いて受信した送信要求応答の受信電波の強度のうち、大きい方の強度を有するアンテナを、第1アンテナ及び第2アンテナの中から選択する。
【0013】
次に、無線通信部は、大きい方の強度を有するアンテナを用いて、通信相手の無線通信装置へデータを送信する。
【発明の効果】
【0014】
1つの側面において、複数のアンテナを有する無線通信装置において、無線通信パケットのプリアンブル信号の長さにかかわらず、無線通信に用いる適切なアンテナを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】無線通信装置の構成図である。
図2】無線通信システムの構成図である。
図3】無線通信システムにおける無線通信装置の構成図である。
図4】無線通信パケットのフォーマットを示す図である。
図5】無線通信シーケンスを示す図である。
図6】データ送信処理のフローチャートである。
図7】データ処理を要求する無線通信シーケンスを示す図である。
図8】情報処理装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。
図1は、実施形態の無線通信装置の構成例を示している。図1の無線通信装置101は、アンテナ111-1~アンテナ111-N(Nは2以上の整数)、選択部112、及び無線通信部113を含む。選択部112は、アンテナ111-1~アンテナ111-Nの中から、無線通信に用いるアンテナを選択し、無線通信部113は、選択部112によって選択されたアンテナを用いて、無線通信を行う。
【0017】
無線通信部113は、アンテナ111-1~アンテナ111-Nのうち第1アンテナを用いて、通信相手の無線通信装置から同期要求を受信し、第1アンテナを用いて、通信相手の無線通信装置へ送信要求を送信する。そして、選択部112は、送信要求が送信された後に、アンテナ111-1~アンテナ111-Nの中から第2アンテナを選択する。
【0018】
次に、無線通信部113は、第2アンテナを用いて、通信相手の無線通信装置から送信要求に対する送信要求応答を受信する。そして、選択部112は、第1アンテナを用いて受信した同期要求の受信電波の強度と、第2アンテナを用いて受信した送信要求応答の受信電波の強度のうち、大きい方の強度を有するアンテナを、第1アンテナ及び第2アンテナの中から選択する。
【0019】
次に、無線通信部113は、大きい方の強度を有するアンテナを用いて、通信相手の無線通信装置へデータを送信する。
【0020】
図1の無線通信装置101によれば、複数のアンテナを有する無線通信装置において、無線通信パケットのプリアンブル信号の長さにかかわらず、無線通信に用いる適切なアンテナを選択することができる。
【0021】
図2は、図1の無線通信装置101を含む無線通信システムの構成例を示している。図2の無線通信システムは、無線通信装置201-1~無線通信装置201-M(Mは2以上の整数)を含む。各無線通信装置201-i(i=1~M)は、図1の無線通信装置101に対応し、無線通信ネットワーク202を介して、他の無線通信装置201-j(j≠i)へ無線通信パケットを送信し、無線通信装置201-jから無線通信パケットを受信する。
【0022】
例えば、無線通信ネットワーク202は、複数の需要家宅を含む無線検針用ネットワークであってもよい。この場合、無線通信装置201-1は、監視センタに設置された無線親機として動作し、無線通信装置201-2~無線通信装置201-Mは、無線子機として動作する。
【0023】
各無線子機は、各需要家宅の計測器によって計測された計測データを、無線通信ネットワーク202を介して、無線親機へ送信する。計測器は、ガスメータ、水道メータ、電気メータ等であってもよい。ガスメータは、ガスの使用量を計測し、水道メータは、水道の使用量を計測し、電気メータは、電気の使用量を計測する。
【0024】
図3は、図2の無線通信装置201-iの構成例を示している。図2の無線通信装置201-iは、アンテナ311-1、アンテナ311-2、アンテナ切替回路312、無線通信回路313、及び制御部314を含む。この構成例では、N=2である。アンテナ311-1及びアンテナ311-2は、アンテナ切替回路312に接続されており、アンテナ切替回路312は、無線通信回路313及び制御部314に接続されており、無線通信回路313は、制御部314に接続されている。
【0025】
アンテナ311-1及びアンテナ311-2は、図1のアンテナ111-1及びアンテナ111-2にそれぞれ対応し、アンテナ切替回路312及び無線通信回路313は、図1の選択部112及び無線通信部113にそれぞれ対応する。
【0026】
アンテナ切替回路312は、アンテナ311-1及びアンテナ311-2の中から、無線通信に用いるアンテナを選択し、無線通信回路313は、アンテナ切替回路312によって選択されたアンテナを用いて、無線通信パケットの送受信を行う。制御部314は、アンテナ切替回路312及び無線通信回路313を制御する。
【0027】
制御部314は、アンテナ311-1又はアンテナ311-2のうち一方のアンテナを用いて、通信相手である他の無線通信装置201-jから同期要求を受信した場合、その同期要求の受信電波の強度を記録する。そして、制御部314は、無線通信装置201-jへ送信要求を送信するように、無線通信回路313を制御し、無線通信回路313は、無線通信装置201-jへ送信要求を送信する。
【0028】
次に、制御部314は、アンテナ311-1又はアンテナ311-2のうち他方のアンテナを選択するように、アンテナ切替回路312を制御し、アンテナ切替回路312は、無線通信に用いるアンテナを、一方のアンテナから他方のアンテナへ切り替える。
【0029】
次に、制御部314は、切り替え後のアンテナを用いて無線通信装置201-jから送信要求応答を受信した場合、送信要求応答の受信電波の強度を記録する。そして、制御部314は、同期要求の受信電波の強度と送信要求応答の受信電波の強度とを比較し、大きい方の強度を有するアンテナを選択するように、アンテナ切替回路312を制御する。これにより、アンテナ切替回路312は、アンテナ311-1又はアンテナ311-2のうち、大きい方の強度を有するアンテナを選択する。
【0030】
次に、制御部314は、選択されたアンテナを用いて無線通信装置201-jへデータを送信するように、無線通信回路313を制御し、無線通信回路313は、無線通信装置201-jへデータを送信する。
【0031】
図4は、図2の無線通信ネットワーク202内で送受信される無線通信パケットのフォーマットの例を示している。図4の無線通信パケットは、プリアンブル信号、SFD(Start Frame Delimiter)、物理層ヘッダ、及び物理層データを含む。物理層データは、MAC(Media Access Control)ヘッダ、MACデータ、及びFCS(Frame Check Sequence)を含み、MACデータは、パケット識別情報及び送信データを含む。
【0032】
プリアンブル信号のサイズ(ビット数)は、4バイトであり、SFD及び物理層ヘッダのサイズは、2バイトであり、物理層データのサイズは、可変長である。この例では、1バイト=8ビットである。MACヘッダ及びMACデータのサイズは、可変長であり、FCSのサイズは、2バイトである。パケット識別情報のサイズは、1バイトであり、送信データのサイズは、可変長である。
【0033】
MACヘッダは、宛先無線通信装置の識別情報、送信元無線通信装置の識別情報、無線通信ネットワーク202の識別情報等を含む。パケット識別情報は、無線通信パケットの種類を表す。無線通信パケットの種類としては、同期要求、送信要求、送信要求応答、データ、データ応答等が用いられる。
【0034】
図2の無線通信ネットワーク202は、RIT(Receiver Initiated Transmission)方式で間欠通信を行う無線通信ネットワークであってもよい。また、無線通信装置201-iは、電池から供給される電力によって動作する無線通信装置であってもよい。無線通信装置201-iは、無線通信パケットを受信する度にアンテナを選択するのではなく、データ送信側の無線通信装置201-iがMAC層の手順の中でアンテナを選択する。
【0035】
図5は、図2の無線通信ネットワーク202においてRIT方式で間欠通信を行う場合の無線通信シーケンスの例を示している。無線通信装置201-1は、データ送信側の無線通信装置であり、無線通信装置201-2は、データ受信側の無線通信装置である。
【0036】
まず、無線通信装置201-2は、アンテナ311-1を用いて、無線通信装置201-1へRIT Data Requestを送信し、受信待ち状態に移行する(手順511)。RIT Data Requestは、間欠通信における同期要求(ビーコン)を表す無線通信パケットであり、そのパケット識別情報には、RIT Data Requestを示す識別子が記述される。無線通信装置201-1は、アンテナ311-2を用いて、RIT Data Requestを受信する。
【0037】
次に、無線通信装置201-1は、アンテナ311-2を用いて、無線通信装置201-2へSREQを送信する(手順512)。SREQは、送信要求を表す無線通信パケットであり、そのパケット識別情報には、SREQを示す識別子が記述される。無線通信装置201-1は、SREQを送信した後、アンテナ311-1を選択して、受信待ち状態に移行し、無線通信装置201-2は、アンテナ311-1を用いてSREQを受信する。
【0038】
次に、無線通信装置201-2は、アンテナ311-1を用いて、無線通信装置201-1へRACKを送信し、受信待ち状態に移行する(手順513)。RACKは、送信要求に対する送信要求応答を表す無線通信パケットであり、そのパケット識別情報には、RACKを示す識別子が記述される。無線通信装置201-1は、アンテナ311-1を用いてRACKを受信する。
【0039】
無線通信装置201-1は、アンテナ311-2を用いて受信したRIT Data Requestの受信電波の強度と、アンテナ311-1を用いて受信したRACKの受信電波の強度とを比較する。受信電波の強度としては、受信電波の電界強度、受信電波の電力等が用いられる。RACKの受信電波の強度がRIT Data Requestの受信電波の強度よりも大きい場合、無線通信装置201-1は、大きい方の強度を有するアンテナ311-1を選択する。
【0040】
そして、無線通信装置201-1は、アンテナ311-1を用いて、無線通信装置201-2へDATA-tを送信し、受信待ち状態に移行する(手順514)。DATA-tは、無線通信装置201-1から無線通信装置201-2へ送信されるデータを表す無線通信パケットであり、そのパケット識別情報には、DATA-tを示す識別子が記述される。無線通信装置201-2は、アンテナ311-1を用いてDATA-tを受信する。
【0041】
次に、無線通信装置201-2は、アンテナ311-1を用いて、無線通信装置201-1へDACKを送信する(手順515)。DACKは、送信されたデータに対するデータ応答を表す無線通信パケットであり、そのパケット識別情報には、DACKを示す識別子が記述される。無線通信装置201-1は、アンテナ311-1を用いてDACKを受信する。
【0042】
図5の無線通信シーケンスによれば、RIT Data Requestの無線通信パケットを用いて、アンテナ311-2の受信電波の強度が測定され、RACKの無線通信パケットを用いて、アンテナ311-1の受信電波の強度が測定される。そして、大きい方の強度を有するアンテナ311-1が選択されて、DATA-tの送信に用いられる。したがって、各無線通信パケットのプリアンブル信号が4バイトであっても、受信電波の強度を測定することが可能になり、測定された受信電波の強度に基づいてアンテナダイバシティ機能が実現される。
【0043】
例えば、無線通信装置201-1が無線親機であり、無線通信装置201-2~無線通信装置201-Nが無線子機である場合、無線親機から各無線子機へ最適なアンテナを用いてデータを送信することができる。この場合、無線通信装置201-3~無線通信装置201-Nも、無線通信装置201-2と同様にして、無線通信装置201-1からデータを受信する。
【0044】
図6は、図5の無線通信装置201-1が行うデータ送信処理の例を示すフローチャートである。まず、無線通信装置201-1の制御部314は、不図示の上位装置から送信要求を受信したか否かをチェックし(ステップ601)、送信要求を受信していない場合(ステップ601,NO)、ステップ601の処理を繰り返す。
【0045】
上位装置から送信要求を受信した場合(ステップ601,YES)、無線通信装置201-1のアンテナ切替回路312は、アンテナ311-2を選択し、無線通信回路313は、受信待ち状態に移行して、無線信号の受信を開始する(ステップ602)。そして、制御部314は、無線通信装置201-2からRIT Data Requestを受信したか否かをチェックする(ステップ603)。
【0046】
RIT Data Requestを受信していない場合(ステップ603,NO)、制御部314は、受信待ち状態のタイムアウトが発生したか否かをチェックする(ステップ604)。受信待ち状態において所定時間内に無線通信パケットを受信しない場合、タイムアウトが発生する。タイムアウトが発生していない場合(ステップ604,NO)、無線通信装置201-1は、ステップ602以降の処理を繰り返す。
【0047】
タイムアウトが発生した場合(ステップ604,YES)、無線通信回路313は、無線信号の受信を停止し(ステップ605)、待機状態に移行する(ステップ606)。そして、無線通信装置201-1は、ステップ601以降の処理を繰り返す。
【0048】
RIT Data Requestを受信した場合(ステップ603,YES)、制御部314は、RIT Data Requestの受信電波の強度を測定し、測定された強度を記録する(ステップ607)。
【0049】
次に、制御部314は、無線通信装置201-2を宛先とするSREQを生成して、無線通信回路313へ出力し、無線通信回路313は、アンテナ311-2を用いて無線通信装置201-2へSREQを送信する(ステップ608)。そして、無線通信回路313は、受信待ち状態に移行し、無線信号の受信を開始する(ステップ609)。
【0050】
次に、制御部314は、アンテナ切替回路312に対して、アンテナ311-2からアンテナ311-1へ切り替えるように指示し、アンテナ切替回路312は、アンテナ311-1を選択する(ステップ610)。そして、制御部314は、無線通信装置201-2から、SREQに対するRACKを受信したか否かをチェックする(ステップ611)。
【0051】
RACKを受信していない場合(ステップ611,NO)、制御部314は、受信待ち状態のタイムアウトが発生したか否かをチェックする(ステップ612)。タイムアウトが発生していない場合(ステップ612,NO)、無線通信装置201-1は、ステップ611以降の処理を繰り返し、タイムアウトが発生した場合(ステップ612,YES)、無線通信装置201-1は、ステップ605以降の処理を行う。
【0052】
RACKを受信した場合(ステップ611,YES)、制御部314は、RACKの受信電波の強度を測定し、測定された強度を記録する(ステップ613)。次に、制御部314は、RIT Data Requestの受信電波の強度と、RACKの受信電波の強度とを比較し、大きい方の強度を有するアンテナを特定する(ステップ614)。そして、制御部314は、アンテナ切替回路312に対して、特定されたアンテナを選択するように指示し、アンテナ切替回路312は、指示されたアンテナを選択する。
【0053】
図5の例では、RACKの受信電波の強度がRIT Data Requestの受信電波の強度よりも大きいため、アンテナ311-1が選択される。
【0054】
次に、制御部314は、無線通信装置201-2を宛先とするDATA-tを生成して、無線通信回路313へ出力し、無線通信回路313は、選択されたアンテナを用いて無線通信装置201-2へDATA-tを送信する(ステップ615)。そして、無線通信装置201-1は、DATA-tに対するDACKの受信等の後続処理を行う(ステップ616)。
【0055】
図7は、図2の無線通信ネットワーク202において、無線通信装置201-1から無線通信装置201-2へデータ処理を要求する無線通信シーケンスの例を示している。この例では、無線通信装置201-1及び無線通信装置201-2の各々が、データ送信側の無線通信装置及びデータ受信側の無線通信装置の両方の役割を果たす。無線通信装置201-1は、無線親機として動作し、無線通信装置201-2は、無線子機として動作する。
【0056】
無線通信装置201-2には、データ処理装置701が接続されている。無線通信ネットワーク202が無線検針用ネットワークである場合、データ処理装置701には、不図示の計測器が接続される。
【0057】
手順711~手順713の動作は、図5の手順511~手順513の動作と同様である。無線通信装置201-2からRACKを受信すると、無線通信装置201-1は、RIT Data Request及びRACKの受信電波の強度に基づいて、大きい方の強度を有するアンテナ311-1を選択する。
【0058】
そして、無線通信装置201-1は、アンテナ311-1を用いて、無線通信装置201-2へDATA-tを送信し、受信待ち状態に移行する(手順714)。DATA-tの送信データには、不図示の上位装置から出力された要求電文が記述される。無線通信装置201-2は、アンテナ311-1を用いてDATA-tを受信し、DATA-tに記述された要求電文をデータ処理装置701へ出力する。
【0059】
例えば、要求電文は、無線子機の状態を読み出す読み出し要求であってもよく、データ処理装置701に接続された計測器の指針値を読み出す読み出し要求であってもよい。
【0060】
次に、無線通信装置201-2は、アンテナ311-1を用いて、無線通信装置201-1へDACKを送信し、無線通信装置201-1は、アンテナ311-1を用いてDACKを受信する(手順715)。そして、データ処理装置701は、要求電文に従ってデータ処理を行い、応答電文を生成する(手順716)。
【0061】
例えば、要求電文が無線子機の状態を読み出す読み出し要求である場合、データ処理装置701は、無線通信装置201-2の状態を記述した応答電文を生成する。また、要求電文が計測器の指針値を読み出す読み出し要求である場合、データ処理装置701は、指針値を要求する要求電文を計測器へ出力し、計測器は、指針値をデータ処理装置701へ出力する。そして、データ処理装置701は、計測器から出力された指針値を記述した応答電文を生成する。
【0062】
次に、無線通信装置201-1は、アンテナ311-1を用いて、無線通信装置201-2へRIT Data Requestを送信し、受信待ち状態に移行する(手順717)。無線通信装置201-2は、アンテナ311-1を用いて、RIT Data Requestを受信する。
【0063】
次に、無線通信装置201-2は、アンテナ311-1を用いて、無線通信装置201-1へSREQを送信する(手順718)。無線通信装置201-2は、SREQを送信した後、アンテナ311-2を選択して、受信待ち状態に移行し、無線通信装置201-1は、アンテナ311-1を用いてSREQを受信する。
【0064】
次に、無線通信装置201-1は、アンテナ311-1を用いて、無線通信装置201-2へRACKを送信し、受信待ち状態に移行する(手順719)。無線通信装置201-2は、アンテナ311-2を用いてRACKを受信する。
【0065】
無線通信装置201-2は、アンテナ311-1を用いて受信したRIT Data Requestの受信電波の強度と、アンテナ311-2を用いて受信したRACKの受信電波の強度とを比較する。RACKの受信電波の強度がRIT Data Requestの受信電波の強度よりも大きい場合、無線通信装置201-2は、大きい方の強度を有するアンテナ311-2を選択する。
【0066】
次に、データ処理装置701は、応答電文を無線通信装置201-2へ出力し、無線通信装置201-2は、アンテナ311-2を用いて、無線通信装置201-1へDATA-tを送信し、受信待ち状態に移行する(手順720)。DATA-tの送信データには、データ処理装置701から出力された応答電文が記述される。無線通信装置201-1は、アンテナ311-1を用いてDATA-tを受信し、DATA-tに記述された応答電文を上位装置へ出力する。
【0067】
次に、無線通信装置201-1は、アンテナ311-1を用いて、無線通信装置201-2へDACKを送信する(手順721)。無線通信装置201-2は、アンテナ311-2を用いてDACKを受信する。
【0068】
図8は、図3の制御部314として用いられる情報処理装置(コンピュータ)の構成例を示している。図8の情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)801及びメモリ802を含む。
【0069】
メモリ802は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリであり、処理に用いられるプログラム及びデータを記憶する。
【0070】
例えば、メモリ802は、無線通信ネットワーク202の識別情報、無線通信装置201-iの識別情報、通信相手の無線通信装置の識別情報、パケット識別情報、送信データ等を記憶することができる。
【0071】
CPU801(プロセッサ)は、例えば、メモリ802を利用してプログラムを実行することにより、図3の制御部314として動作する。
【0072】
図1の無線通信装置101の構成は一例に過ぎず、無線通信装置101の用途又は条件に応じて、一部の構成要素を省略又は変更してもよい。図2の無線通信システムの構成は一例に過ぎず、無線通信システムの用途又は条件に応じて、一部の構成要素を省略又は変更してもよい。無線端末は、電池以外の外部電源から供給される電力によって動作しても構わない。
【0073】
図3の無線通信装置201-iの構成は一例に過ぎず、無線通信システムの用途又は条件に応じて、一部の構成要素を省略又は変更してもよい。例えば、無線通信装置201-iは、3本以上のアンテナを含んでいてもよい。無線通信装置201-iは、電池以外の外部電源から供給される電力によって動作しても構わない。
【0074】
図4に示した無線通信パケットのフォーマットは一例に過ぎず、プリアンブル信号、SFD、物理層ヘッダ、FCS、及びパケット識別情報のサイズは、別のサイズであってもよい。例えば、4バイトよりも短いプリアンブル信号、又は4バイトよりも長いプリアンブル信号を用いることも可能である。
【0075】
図5及び図7に示した動作シーケンスは一例に過ぎず、無線通信システムの構成又は条件に応じて、一部の手順を省略又は変更してもよい。図6に示したフローチャートは一例に過ぎず、無線通信システムの構成又は条件に応じて、一部の処理を省略又は変更してもよい。
【0076】
図8の情報処理装置の構成は一例に過ぎず、無線通信装置201-iの用途又は条件に応じて、一部の構成要素を省略又は変更してもよい。図3の制御部314は、集積回路等のハードウェア回路として実装することも可能である。
【0077】
開示の実施形態とその利点について詳しく説明したが、当業者は、特許請求の範囲に明確に記載した本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、追加、省略をすることができるであろう。
【符号の説明】
【0078】
101、201-1~201-M 無線通信装置
111-1~111-N、311-1、311-2 アンテナ
112 選択部
113 無線通信部
202 無線通信ネットワーク
312 アンテナ切替回路
313 無線通信回路
314 制御部
701 データ処理装置
801 CPU
802 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8