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  • 特許-タペンタドールの非経口投与用安定製剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】タペンタドールの非経口投与用安定製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/137 20060101AFI20221018BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221018BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20221018BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
A61K31/137
A61K9/08
A61K47/12
A61P25/04
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019515433
(86)(22)【出願日】2017-09-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2017073983
(87)【国際公開番号】W WO2018055070
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-08
(31)【優先権主張番号】16190255.6
(32)【優先日】2016-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390035404
【氏名又は名称】グリュネンタール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】エラーマン・アンゲーリカ
(72)【発明者】
【氏名】ラインホルト・ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラム・ウルリケ
【審査官】金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103735500(CN,A)
【文献】特表2016-512210(JP,A)
【文献】特開2010-163462(JP,A)
【文献】特表2014-506900(JP,A)
【文献】特表2015-535274(JP,A)
【文献】特表2014-510067(JP,A)
【文献】特表2014-506899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/137
A61K 9/08
A61K 47/12
A61P 25/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧滅菌した際に安定であり、タペンタドールまたはその生理学的に許容される塩を含む、非経口投与用の水性医薬組成物であって、
- 前記タペンタドールの濃度が、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び前記組成物の総容量を基準にして8.00mg/mL超であり、
- 前記組成物が緩衝系を含み、
- 前記緩衝系が少なくとも1つの共役塩基と少なくとも1つの共役酸とを含み、前記少なくとも1つの共役塩基及び前記少なくとも1つの共役酸が、クエン酸塩、クエン酸水素塩、クエン酸二水素塩及びクエン酸からなる群から選択され、
- 前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総含有量を基準にしてならびに前記組成物の総容量を基準にして少なくとも1.0mmol/Lであり、且つ
- 前記組成物のpH値が、4.5~5.4の範囲内にある、前記組成物。
【請求項2】
高圧滅菌した際にpH値に変化が見られない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
121℃且つ2barにて20分間高圧滅菌した際に安定である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総含有量を基準にしてならびに前記組成物の総容量を基準にして少なくとも3.0mmol/Lである、請求項1~のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総含有量を基準にしてならびに前記組成物の総容量を基準にして45mmol/L以下である、請求項1~のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総含有量を基準にしてならびに前記組成物の総容量を基準にして3.0~45mmol/Lの範囲内にある、請求項1~のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項7】
タペンタドールがタペンタドール塩酸塩として存在する、請求項1~のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項8】
前記タペンタドールの濃度が、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び前記組成物の総容量を基準にして10±1.5mg/mL;または12.5±4.0mg/mL;または15±6.5mg/mL;または17.5±9.0mg/mL;または20±11.5mg/mL;または25±16.5mg/mL;30±21.5mg/mL;または40±31.5mg/mL;または50±41.5mg/mL;または60±51.5mg/mLの範囲内にある、請求項1~のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項9】
保存料がいっさい含有されていない、請求項1~のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項10】
等張化剤を含む、請求項1~のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載の医薬組成物を含む容器。
【請求項12】
1.0~3.0mLの前記組成物を含む、請求項11に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タペンタドールまたはその生理学的に許容される塩を含む、非経口投与用の水性医薬組成物に関する。本組成物におけるタペンタドールの濃度は、本タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして8.00mg/mL超であり、本組成物に緩衝系が含まれ、且つ本組成物のpH値は3.0超~6.7未満の範囲内にある。本発明はまた、本発明による組成物をパッケージング中に具備するキットに関する。本発明による医薬組成物は、疼痛を治療する用途に特に有用であり、とりわけ急性疼痛、好ましくは成人患者において有用である。
【0002】
先行技術から公知である非経口投与用製剤には、様々な種類がある。
【0003】
WO01/22998号には、溶液の抗酸化成分に変色を生ずることなく医薬バイアル中にパッケージするのに適した、治療用カルシトリオール溶液が開示されている。
【0004】
WO01/93830号は、易酸化性活性成分、特にフェノールを含む水性製剤を長期間安定して得るための方法に関する。本方法は、不活性ガスをバブリングして及び/または真空下に置くことによって、易酸化性成分を極度の脱酸素に供することと、不活性ガス下で、予め空気を除去したボトル中に不活性ガスを吹送して充填し、易酸化性成分を不活性ガス雰囲気下に維持することにより、易酸化性成分に酸素が再吸収される可能性から保護することと、続いて、それらの易酸化性成分を、ストッパーで塞ぎながらボトル内で得られるような最大65,000Paの低圧に曝露させることと、このようにして、溶液中の残留酸素濃度が2ppm未満、好ましくはおよそ1ppm、更には0.5ppmの水溶液を得ること、からなる。
【0005】
WO02/072080号は、貯蔵安定性で、粒子及び変色のない、非経口投与可能な、特に注入可能なパラセタモール水溶液に関する。前記溶液は、a)パラセタモール1~17グラム/溶液1リットルと、b)アスコルビン酸、N-アセチル-L-システイン及びN-アセチル-L-システインとは異なるSH基を含有する安定剤化合物からなる群から選択される少なくとも1種の生理的に適合する酸化防止剤0.01~0.17グラム/溶液1リットルと、の混合物を含む。本水溶液は有機溶媒フリーで、pH値が5.5~6.5であり、酸素含有量が0.5mg/L未満である。
【0006】
WO03/041687号、すなわち、フェノール系物質を主成分とし、安定化された、酸化防止剤フリーの溶液を製造する方法は、不活性ガスで溶液を脱酸素化することと、製造管の容器のガスホールドアップを脱酸素化することと、低温にて3.0超5.0未満に調整されたpHで、アンプル及び溶質含有のフラスコをアルゴンのような高密度の不活性希ガスを用いて不活性化することと、溶液中に0.02ppm以下の酸素を含有するフェノール性物質の安定な溶液を得て二重滅菌濾過により濾過することと、を含む。
【0007】
WO2004/062689号には、可溶化剤と抗酸化剤と緩衝系とを含む、組織因子経路阻害剤(TFPI)またはTFPI変種の安定化水性組成物が開示されている。可溶化剤と抗酸化剤とを化合させることによって、TFPIまたはTFPI変種組成物の貯蔵寿命が有意に改善される可能性がある。可溶化剤及び抗酸化剤は、TFPIまたはTFPI変種が凝集及び酸化によって劣化される影響に対し実質的に対抗する。
【0008】
WO2008/135601号は、主成分とするパラセタモールなどの易酸化性フェノール性活性成分を水性溶媒中に溶解した、酸化に対して安定な液体製剤、及びそのような製剤を調製するための方法に関する。本製剤及び本方法は、温度60℃~105℃、pH5.0~6.0、且つ酸素濃度0.0002%未満の水性溶媒中に、活性成分を混合することを特徴とする。
【0009】
WO2009/124586号は、水溶性メタンスルホン酸塩の形態の5-[(2RS)-2-シクロプロピル-7,8-ジメトキシ-2H-1-ベンゾピラン-5-イルメチル]-ピリミジン-2,4-ジアミンと、生理的ナトリウム塩化物溶液と、エタノールと、ポビドン12PFとを含む、安定な水性医薬組成物に関する。本液体は、pHが4.8以上5.2以下であり、酸素量が0.8ppm以下に制御されており、濾過及び/または加熱処理によって滅菌することで貯蔵期間の延長を可能にし、ボーラス注射用に使用することも、あるいは静脈内注入用に希釈することもできる。
【0010】
WO2011/071400号は、医薬用途の安定なパラセタモール液体製剤、及び安定なパラセタモール溶液の調製方法に関する。
【0011】
WO2013/144814号には、ペメトレキセドまたはその薬学的に許容される塩を含み、酸化防止剤フリー、アミノ酸フリー且つキレート剤フリーで、すぐに使える安定な医薬組成物が開示されている。また、i)不活性ガスを、溶媒の溶存酸素含有量が7mg/L未満、好ましくは3mg/L未満になるまで非経口的に許容される水性溶媒にパージする工程と、ii)攪拌しながらペメトレキセド二ナトリウムを加える工程と、iii)結果として得られた溶液をpH4~9に調整する工程と、iv)任意に、追加的な水性溶媒を加える工程と、を含み、組成物は全工程において不活性ガスでパージされる、すぐ使用できる安定な医薬組成物を調製するためのプロセスも提供されている。
【0012】
タペンタドールの医薬剤形もまた、例えば、WO02/67651号、WO03/035053号、WO2006/002886号、WO2007/128412号、WO2007/128413号、WO2008/110323号、WO2009/067703号、WO2009/092601号、US2010/272815号、及びT.M.Tzschentke et al.,Drugs of the future,31(12),2006,1053-1061などの先行技術から公知である。
【0013】
WO2012/119727号は、タペンタドールまたはその生理学的に許容される塩を含有し、且つ経口投与に適した水性医薬組成物に関する。本組成物は、大量の保存料の存在に頼ることなしに貯蔵安定性に優れる。
【0014】
WO2012/119728号には、タペンタドールを投与するための非経口製剤が開示されている。これらの製剤中のタペンタドールの濃度は、好ましくは100mg/mL未満である。WO2012/119728号による、例示されている製剤中のタペンタドールの濃度はそれぞれ、15mg/mL、及び20mg/mLである。WO2012/119728号によれば、タペンタドールは抗菌特性を呈する。これらの抗菌特性は、pH値が高いほど顕著になる。結果として、製剤の保存料を省略しても差し支えないし、あるいは少なくとも製剤中の保存料含有量を減量することも可能である。タペンタドール含有量が十分に高く、その貯蔵特性により、所望の貯蔵寿命または使用中の安定性をタペンタドール自体の存在により達成できる場合、保存料を完全に不含とすることが好ましい。その目的が達成されるように、タペンタドールの濃度は、本組成物の総容量を基準にして好ましくは少なくとも10mg/mLとされる。
【0015】
CN 103 735 500A号には、タペンタドール塩酸塩注射剤、特に小容量注射剤、及びその調製方法が開示されている。注射剤は、有効成分を含むタペンタドール塩酸塩またはタペンタドールアルカリと、医薬担体と、から構成されている。タペンタドール塩酸塩注射は、多様なサイズの小容量注射に好適である。タペンタドール塩酸塩注射剤は、従来の経口調製物と比較して、生物学的利用能が高い、薬物の吸収効果が良好である、分散が迅速である、治療効果が良好であるなどのメリットを有する。タペンタドール塩酸塩の服薬機会が拡大しつつあると共に、タペンタドール塩酸塩の臨床投薬レベルも向上している。
【0016】
しかしながら、溶液中に溶解されたタペンタドールは分解(化学的劣化)を経る傾向があり、非経口製剤の貯蔵安定性に対し悪影響を及ぼす可能性のあることが判明されてきた。
【0017】
本発明の目的は、先行技術のタペンタドール非経口製剤と比較してメリットがある、タペンタドール非経口製剤を提供することにある。非経口製剤は、タペンタドールまたはその生理学的に許容される塩の含有濃度が十分に高くなければならない一方、同時に貯蔵安定性が良好で、しかも貯蔵寿命が十分長くなければならない。
【0018】
この目的は、特許請求の範囲の主題によって達成されてきた。
【0019】
調整して堅牢に維持されたpH値を提供することによって、タペンタドールの化学的安定性を実質的に向上させることが可能であることが、本発明者らによって予期せず見出されてきた。従来のタペンタドール希釈溶液が不安定で、高圧滅菌及び長期間の貯蔵後にpH値が連続的な増加を示したのに対して、本発明による組成物のpH値は実質的に不変な状態のままに維持される。
【0020】
したがって、非経口投与用医薬組成物のpH値を調整すること、特にpH値を下げることによって安定化効果が得られ、結果として、高圧滅菌を繰り返した後、ストレス条件下においても同様に、タペンタドールの分解(劣化)が著しく低減される場合もあればあるいは抑制される場合さえある。このことは驚くべき発見であった。或る条件下にて、一方ではタペンタドールの抗菌効果(WO2012/119728号を参照)、他方ではタペンタドールの化学的安定性が認められており、これらは両方ともpH値と相関するとはいえ、反対方向にあるものと見られている。
【0021】
更に、驚くべきことに、3.0未満の低いpH値では、タペンタドールの安定性が緩衝液濃度と相関する一方、緩衝液が相対的な安定化効果を発揮する(緩衝液の濃度が高いほど劣化が少ない)ことが見出されてきた。しかしながら、対照的に、7.0という高いpH値では、すなわち本発明によるpH範囲を外れた場合にはまた、タペンタドールの安定性が緩衝液濃度と相関する一方、緩衝液が相対的な不安定化効果を招来する(緩衝液の濃度が高いほど劣化が多い)ことが見出されてきた。予期せぬことに、タペンタドールは、本発明によるpH範囲内では、多様な緩衝剤濃度にて化学分解に対し安定である。
【0022】
更に、本組成物のpH値が4.0~6.0の範囲内である場合でさえも、保存料も酸化防止剤も必要としないにもかかわらず長期間にわたって貯蔵安定性を有する、安定な非経口投与用医薬組成物を提供できる、という驚くべき発見も為されてきた。
【0023】
尚更に、本組成物は、過酷な高圧滅菌条件下、例えば2bar且つ121℃で少なくとも20分間にわたって化学的に安定な状態のままに維持される。それゆえ、本発明による組成物の貯蔵安定性はタペンタドール単独の抗菌効果に依存する必要がない、という驚くべき発見も為されてきた。高圧滅菌を行うことによって、保存料を必要とすることなしに抗菌汚染除去に対し十分な貯蔵安定性が達成される。
【0024】
そのうえ、例えば、窒素パージで脱ガスすることによって不活性ガス雰囲気下で本組成物をそれぞれ脱気して提供することによって、タペンタドールを化学分解に対し十分に安定化させることができるという驚くべき点も見出されてきた。このようにして、酸化防止剤の使用を回避することが可能である。
【0025】
本発明の第1の態様は、タペンタドールまたはその生理学的に許容される塩を含む、安定な非経口投与用水性医薬組成物に関し、本組成物においてタペンタドールの濃度は、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして8.00mg/mL超、好ましくは少なくとも9.00mg/mL、より好ましくは少なくとも10mg/mLであり、本組成物が緩衝系を含み、且つ本組成物のpH値は、3.0超~6.7未満の範囲内、好ましくは3.5~6.5の範囲内、より好ましくは4.0~6.0の範囲内、及び最も好ましくは4.5~6.0の範囲内、または4.5~5.5の範囲内にある。
【0026】
本発明による組成物は、少なくとも20分間、少なくとも2bar且つ少なくとも121℃で高圧滅菌を経たものであるのが好ましく、高圧滅菌前のpH値、ならびに高圧滅菌後のpH値は独立に3.0超~6.7未満の範囲内、好ましくは4.5~6.0の範囲内、または4.5~5.5の範囲内にあることが好ましい。
【0027】
「医薬組成物」という用語は、ヒトもしくは動物への投与に対応するようにカスタマイズされた任意の医薬調製物または製剤を含む。本組成物は、水溶液であることが好ましい。
【0028】
別途指定しない限り、全ての百分率は、本発明による医薬組成物の総重量を基準にした重量パーセントである。
【0029】
別途明記しない限り、mL及びLで表記された全ての値は、本発明による医薬組成物の総容量を指す。
【0030】
別途明記しない限り、パラメータ及び条件(例えば、温度、圧力、相対湿度、容量、重量、濃度、pH値、滴定酸性度、緩衝系の容量、浸透圧モル濃度、分子酸素含有量、貯蔵安定性、色など)は、欧州薬局方(Ph.Eur.)に規定されている要件及び推奨事項に従って算定され、測定される。別途明記しない限り、Ph.Eur.に関して言及した場合は、常に2016年9月に公式に有効になったバージョンを指す。一般条件とされるのは通例、周囲条件である。
【0031】
本明細書の目的に合わせて、「タペンタドール」という用語は、遊離塩基((1R,2R)-3-(3-ジメチルアミノ-1-エチル-2-メチル-プロピル)-フェノール)、及びその任意の生理学的に許容される塩、特に塩酸塩((1R,2R)-3-(3-ジメチルアミノ-1-エチル-2-メチル-プロピル)-フェノール塩酸塩)を含む。
【0032】
それゆえ、別途明記しない限り、「タペンタドール」という用語は、遊離塩基だけでなく、生理学的に許容される任意の塩も指す。更に、別途明記しない限り、全ての量、含有量及び濃度は、タペンタドール遊離塩基に関連する等価物である。
【0033】
タペンタドールは、本発明による組成物中にタペンタドール塩酸塩として存在することが好ましい。好ましい実施形態において、タペンタドールは可溶化したタペンタドール塩酸塩形態Aとして存在する。タペンタドール塩酸塩の多形形態Aは先行技術から公知である。これに関しては、例えば、US2007/0213405号を参照することができる。形態Aは、15.1±0.2、16.0±0.2、18.9±0.2、20.4±0.2、22.5±0.2、27.3±0.2、29.3±0.2及び30.4±0.2を含むリストから選択されるCu Kα放射線を使用して測定されたときに粉末回折パターンで少なくとも1つ以上のX線ライン(2θ値)を示すことを特徴とするものであることが好ましい。
【0034】
本発明による組成物中のタペンタドールの濃度は、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして8.00mg/mLを超える。
【0035】
本発明による組成物中のタペンタドールの濃度は、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして少なくとも8.50mg/mLまたは少なくとも9.00mg/mLであり、より好ましくは少なくとも9.50mg/mLまたは少なくとも10.00mg/mLであり、尚より好ましくは少なくとも11.00mg/mL、または少なくとも12.00mg/mLであり、更により好ましくは少なくとも13.00mg/mLまたは少なくとも14.00mg/mLであり、いっそうより好ましくは少なくとも15.00mg/mLまたは少なくとも16.00mg/mLであり、最も好ましくは少なくとも17.00mg/mLまたは少なくとも18.00mg/mLであり、特に少なくとも19.00mg/mLまたは少なくとも20.00mg/mLであることが好ましい。
【0036】
本発明による好ましい実施形態において、本発明による組成物中のタペンタドールの濃度は、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして少なくとも21mg/mLまたは少なくとも22mg/mL、より好ましくは少なくとも23mg/mLまたは少なくとも24mg/mL、尚より好ましくは少なくとも25mg/mLまたは少なくとも27.5mg/mL、更により好ましくは少なくとも30mg/mLまたは少なくとも35mg/mL、いっそうより好ましくは少なくとも40mg/mLまたは少なくとも45mg/mL、最も好ましくは少なくとも50mg/mLまたは少なくとも60mg/mLまたは少なくとも70mg/mL、及び特に少なくとも80mg/mLまたは少なくとも90mg/mLまたは少なくとも100mg/mLである。
【0037】
本発明による組成物中のタペンタドールの濃度は、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして多くて100mg/mLまたは多くて97.5mg/mL、より好ましくは多くて95mg/mLまたは多くて92.5mg/mL、尚より好ましくは多くて90mg/mLまたは多くて87.5mg/mL、更により好ましくは多くて85mg/mLまたは多くて82.5mg/mL、いっそうより好ましくは多くて80mg/mLまたは多くて77.5mg/mL、最も好ましくは多くて75mg/mLまたは多くて72.5mg/mL、及び特に多くて70mg/mLまたは多くて67.5mg/mLであることが好ましい。
【0038】
本発明による好ましい実施形態において、本発明による組成物中のタペンタドールの濃度は、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして多くて65.00mg/mLまたは多くて60.00mg/mL、より好ましくは多くて57.50mg/mLまたは多くて55.00mg/mL、尚より好ましくは多くて52.50mg/mLまたは多くて50.00mg/mL、更により好ましくは多くて47.50mg/mLまたは多くて45.00mg/mL、いっそうより好ましくは多くて42.50mg/mLまたは多くて40.00mg/mL、最も好ましくは多くて37.50mg/mLまたは多くて35.00mg/mL、及び特に多くて32.50mg/mLまたは多くて30.00mg/mLである。
【0039】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物中のタペンタドールの濃度は、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして10.0±1.5mg/mL、より好ましくは10.0±1.4mg/mL、尚より好ましくは10.0±1.3mg/mL、更により好ましくは10.0±1.2mg/mL、いっそうより好ましくは10.0±1.1mg/mL、最も好ましくは10.0±1.0mg/mL、及び特に10.0±0.9mg/mLの範囲内にある。
【0040】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物中のタペンタドールの濃度は、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして12.5±4.0mg/mL、より好ましくは12.5±3.5mg/mL、尚より好ましくは12.5±3.0mg/mL、更により好ましくは12.5±2.5mg/mL、いっそうより好ましくは12.5±2.0mg/mL、最も好ましくは12.5±1.5mg/mL、及び特に12.5±1.0mg/mLの範囲内にある。
【0041】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物中のタペンタドールの濃度は、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして15±6.5mg/mL、より好ましくは15±6.0mg/mL、尚より好ましくは15±5.0mg/mL、更により好ましくは15±4.0mg/mL、いっそうより好ましくは15±3.0mg/mL、最も好ましくは15±2.0mg/mL、及び特に15±1.9mg/mLの範囲内にある。
【0042】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物中のタペンタドールの濃度は、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして17.5±9.0mg/mL、より好ましくは17.5±8.0mg/mL、尚より好ましくは17.5±7.0mg/mL、更により好ましくは17.5±6.0mg/mL、いっそうより好ましくは17.5±5.0mg/mL、最も好ましくは17.5±4.0mg/mL、及び特に17.5±3.0mg/mLの範囲内にある。
【0043】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物中のタペンタドールの濃度は、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして20±11.5mg/mL、より好ましくは20±10mg/mL、尚より好ましくは20±9mg/mL、更により好ましくは20±8mg/mL、いっそうより好ましくは20±7mg/mL、最も好ましくは20±6mg/mL、及び特に20±5mg/mLの範囲内にある。
【0044】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物中のタペンタドールの濃度は、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして25±16.5mg/mL、より好ましくは25±15mg/mL、尚より好ましくは25±13mg/mL、更により好ましくは25±11mg/mL、いっそうより好ましくは25±9mg/mL、最も好ましくは25±7mg/mL、及び特に25±5mg/mLの範囲内にある。
【0045】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物中のタペンタドールの濃度は、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして30±21.5mg/mL、より好ましくは30±21mg/mL、尚より好ましくは30±18mg/mL、更により好ましくは30±15mg/mL、いっそうより好ましくは30±12mg/mL、最も好ましくは30±9mg/mL、及び特に30±6mg/mLの範囲内にある。
【0046】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物中のタペンタドールの濃度は、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして40±31.5mg/mL、より好ましくは40±28mg/mL、尚より好ましくは40±24mg/mL、更により好ましくは40±20mg/mL、いっそうより好ましくは40±16mg/mL、最も好ましくは40±12mg/mL、及び特に40±8mg/mLの範囲内にある。
【0047】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物中のタペンタドールの濃度は、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして50±41.5mg/mL、より好ましくは50±40mg/mL、尚より好ましくは50±35mg/mL、更により好ましくは50±30mg/mL、いっそうより好ましくは50±25mg/mL、最も好ましくは50±20mg/mL、及び特に50±15mg/mLの範囲内にある。
【0048】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物中のタペンタドールの濃度は、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして60±51.5mg/mL、より好ましくは60±48mg/mL、尚より好ましくは60±42mg/mL、更により好ましくは60±36mg/mL、いっそうより好ましくは60±30mg/mL、最も好ましくは60±24mg/mL、及び特に60±18mg/mLの範囲内にある。
【0049】
本発明による組成物は水性である。つまり、本組成物は水、典型的には注射用途 の水、すなわち高純度の滅菌水を含む。
【0050】
含水量は、本組成物の総重量を基準にして少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、尚より好ましくは少なくとも70重量%、更により好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも85重量%、及び特に少なくとも90重量%であることが好ましい。
【0051】
含水量は、本組成物の総重量を基準にして少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも96重量%、尚より好ましくは少なくとも97重量%、更により好ましくは少なくとも98重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%、及び特に少なくとも99.5重量%であることが好ましい。
【0052】
本発明による組成物は、水以外に、更なる溶媒を含む可能性がある。
【0053】
更なる適切な溶媒としては、好ましくはエタノール、グリセロール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール及びマクロゴール300からなる群から選択されるあらゆる種類の生理学的に許容される親水性溶媒が挙げられる。
【0054】
しかしながら、本発明による組成物は、水以外の他の溶媒を含有していないことが、好ましい。
【0055】
本発明による組成物のpH値は緩衝化されている、すなわち組成物は緩衝系(すなわち、少なくとも1つの共役酸と少なくとも1つの共役塩基との対)を含む。
【0056】
本発明による組成物は、少なくとも1つの共役塩基と少なくとも1つの共役酸とを含む緩衝系を具備し、前記少なくとも1つの共役塩基、及び前記少なくとも1つの共役酸が、互いに独立に、カルボン酸塩(-C(=O)OH)、硫酸塩(-OS(=O)OH)、スルホン酸塩(-S(=O)OH)、リン酸塩(-OP(=O)(OH))、及びホスホン酸塩(-P(=O)(OH))からなる群から選択される互いに独立した1つ以上のプロトン化または脱プロトン化酸性官能基を含むことが好ましい。酸性官能基(プロトン化-C(=O)OH、脱プロトン化-C(=O)O-)で最も好ましいのは、カルボン酸塩である。
【0057】
好ましい緩衝系は、以下の酸類から誘導される:酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、マロン酸、リンゴ酸、マンデル酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸などの有機酸;またはリン酸などの無機酸。
【0058】
本緩衝系は、上記酸類のいずれかから誘導されたものである場合、前記酸及びその共役塩基(複数可)からなる。特に好ましい緩衝系は、酢酸、クエン酸、乳酸、コハク酸またはリン酸から誘導された緩衝系である。
【0059】
マルチプロトン酸は1を超える共役酸及び共役塩基を対形成しうる。このことは、当業者に十分に認識されている。例えば、クエン酸はトリプロトン酸であることから、以下の共役酸及び共役塩基を対形成する:(i)クエン酸と二水素クエン酸塩、(ii)二水素クエン酸塩とクエン酸水素塩、(iii)及びクエン酸水素塩とクエン酸塩。言い換えれば、クエン酸、クエン酸二水素塩及びクエン酸水素塩はいずれも、共役塩基を含む緩衝系の酸でありうる。また、共役酸及び共役塩基が互いに平衡状態にあること、ならびにクエン酸、クエン酸水素塩、二水素クエン酸塩及びクエン酸の混合物中に存在する優勢な種を、組成物のpK値及びpH値に基づいて判別できることは、当業者に十分に認識されている。
【0060】
本明細書の目的に合わせて、「緩衝系」という表現は、共役酸及び共役塩基の総量を指す。例えば、緩衝系がクエン酸に由来する場合、すなわちクエン酸緩衝系である場合、「緩衝系」という表現は、クエン酸、クエン酸水素塩、二水素クエン酸塩及びクエン酸の総量を指す。更に、当業者に十分に認識されているように、緩衝剤系、例えば、共役酸としてのクエン酸及び共役塩基としての二水素化クエン酸ナトリウムは、クエン酸及び適量の水酸化ナトリウム、またはクエン酸ナトリウム及び適量の塩酸またはクエン酸、ならびに二水素性クエン酸ナトリウムそれ自体を添加することによって確立できる。別途明記しない限り、「クエン酸ナトリウム」は「クエン酸三ナトリウム」と同義である。それゆえ、クエン酸ナトリウム二水和物(=トリクエン酸ナトリウム二水和物)は、一次式HOC(COONa)(CH2EOONa) 2HOを有し、且つ相対分子量が294.10g/molである。
【0061】
したがって、組成物中に適量のタペンタドールが塩酸塩の形態で含有されている場合、緩衝系をクエン酸ナトリウム、例えばクエン酸ナトリウム二水和物の形態で確立することが可能である。にもかかわらず、タペンタドール及びその生理学的に許容される塩を、緩衝系の共役酸または共役塩基と見なすべきではない。
【0062】
緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の濃度を、十分な緩衝系容量が提供されるように調整することが好ましい。
【0063】
本発明による組成物は、クエン酸塩、クエン酸水素塩、クエン酸二水素塩及びクエン酸からなる群から選択される少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸を含んだ緩衝系を含むことが好ましい。
【0064】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は、少なくとも1つの共役塩基と少なくとも1つの共役酸とを含む緩衝系を具備し、且つ合計濃度(すなわち、緩衝系の全ての共役塩基と全ての共役酸との全体的な濃度)が、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして少なくとも0.03重量%、または少なくとも0.04重量%、または少なくとも0.05重量%、または少なくとも0.06重量%、または少なくとも0.07重量%、または少なくとも0.08重量%、または少なくとも0.09重量%、または少なくとも0.10重量%;より好ましくは少なくとも0.11重量%、または少なくとも0.12重量%、または少なくとも0.13重量%、または少なくとも0.14重量%、または少なくとも0.15重量%;尚より好ましくは少なくとも0.16重量%、または少なくとも0.17重量%、または少なくとも0.18重量%、または少なくとも0.19重量%、または少なくとも0.20重量%;更により好ましくは少なくとも0.21重量%、または少なくとも0.22重量%、または少なくとも0.23重量%、または少なくとも0.24重量%、または少なくとも0.25重量%;いっそうより好ましくは少なくとも0.26重量%、または少なくとも0.27重量%、または少なくとも0.28重量%、または少なくとも0.29重量%、または少なくとも0.30重量%;最も好ましくは少なくとも0.35重量%、または少なくとも0.40重量%、または少なくとも0.45重量%、または少なくとも0.50重量%、または少なくとも0.55重量%;及び特に少なくとも0.60重量%、または少なくとも0.65重量%、または少なくとも0.70重量%、または少なくとも0.75重量%、または少なくとも0.80重量%、または少なくとも0.85重量%、または少なくとも0.90重量%、または少なくとも0.95重量%、または少なくとも1.00重量%、または少なくとも1.50重量%、または少なくとも2.00重量%、または少なくとも2.50重量%、または少なくとも3.00重量%、または少なくとも3.50重量%、または少なくとも4.00重量%、または少なくとも4.50重量%、または少なくとも5.00重量%である。
【0065】
前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして少なくとも0.03重量%、より好ましくは少なくとも0.08重量%、尚より好ましくは少なくとも0.13重量%、更により好ましくは少なくとも0.18重量%、及び特に少なくとも0.23重量%であることが好ましい。
【0066】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は少なくとも1つの共役塩基と少なくとも1つの共役酸とを含む緩衝系を具備し、且つ合計濃度が、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして多くて5.0重量%、または多くて4.5重量%、または多くて4.0重量%、または多くて3.5重量%、または多くて3.0重量%、または多くて2.5重量%、または多くて2.0重量%、または多くて1.5重量%、または多くて1.45重量%、または多くて1.40重量%、または多くて1.35重量%、または多くて1.30重量%;より好ましくは多くて1.25重量%、または多くて1.20重量%、または多くて1.15重量%、または多くて1.20重量%、または多くて1.15重量%;尚より好ましくは多くて1.10重量%、または多くて1.05重量%、または多くて1.00重量%、または多くて0.95重量%、または多くて0.90重量%;更により好ましくは多くて0.85重量%、または多くて0.80重量%、または多くて0.75重量%、または多くて0.70重量%、または多くて0.65重量%;いっそうより好ましくは多くて0.60重量%、または多くて0.55重量%、または多くて0.50重量%、または多くて0.49重量%、または多くて0.48重量%;最も好ましくは多くて0.47重量%、または多くて0.45重量%、または多くて0.45重量%、または多くて0.44重量%、または多くて0.43重量%;及び特に多くて0.42重量%、または多くて0.41重量%、または多くて0.40重量%、または多くて0.39重量%、または多くて0.38重量%、または多くて0.37重量%、または多くて0.36重量%、または多くて0.35重量%、または多くて0.34重量%、または多くて0.33重量%、または多くて0.32重量%、または多くて0.31重量%、または多くて0.30重量%、または多くて0.29重量%、または多くて0.28重量%、または多くて0.27重量%、または多くて0.26重量%、または多くて0.25重量%、または多くて0.24重量%、または多くて0.23重量%、または多くて0.22重量%、または多くて0.21重量%、または多くて0.20重量%、または多くて0.19重量%、または多くて0.18重量%、または多くて0.17重量%、または多くて0.16重量%、または多くて0.15重量%、または多くて0.14重量%、または多くて0.13重量%、または多くて0.12重量%、または多くて0.11重量%、または多くて0.10重量%である。
【0067】
前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして1.16重量%以下、より好ましくは1.03重量%以下、尚より好ましくは0.90重量%以下、更により好ましくは0.77重量%以下、及び最も好ましくは0.65重量%以下であることが好ましい。
【0068】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は少なくとも1つの共役塩基と少なくとも1つの共役酸とを含む緩衝系を具備し、且つ合計濃度が、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.001~5.00重量%の範囲内、または0.001~4.00重量%の範囲内、または0.001~3.00重量%の範囲内、または0.001~2.00重量%の範囲内、または0.001~1.00重量%の範囲内、より好ましくは0.005~0.90重量%の範囲内、尚より好ましくは0.010~0.80重量%の範囲内、更により好ましくは0.015~0.70重量%の範囲内、いっそうより好ましくは0.020~0.65重量%の範囲内、最も好ましくは0.025~0.60重量%の範囲内、及び特に0.030~0.55重量%の範囲内にある。
【0069】
前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.03~1.16重量%の範囲内、より好ましくは0.08~1.03重量%の範囲内、尚より好ましくは0.13~0.90重量%の範囲内、及び最も好ましくは0.18~0.77重量%の範囲内にあることが好ましい。
【0070】
緩衝剤系は、組成物の調整済みpH値に応じてクエン酸ナトリウム、クエン酸水素塩、クエン酸二水素塩及びクエン酸が互いに平衡状態になるように、クエン酸ナトリウムまたはその二水和物を含むことが好ましい。
【0071】
好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.020±0.018重量%の範囲内、または0.020±0.016重量%の範囲内、または0.020±0.014重量%の範囲内、または0.020±0.012重量%の範囲内、または0.020±0.010重量%の範囲内、または0.020±0.008重量%の範囲内、または0.020±0.006重量%の範囲内、または0.020±0.004重量%の範囲内にある。
【0072】
別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.030±0.018重量%の範囲内、または0.030±0.016重量%の範囲内、または0.030±0.014重量%の範囲内、または0.030±0.012重量%の範囲内、または0.030±0.010重量%の範囲内、または0.030±0.008重量%の範囲内、または0.030±0.006重量%の範囲内、または0.030±0.004重量%の範囲内にある。
【0073】
尚別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.040±0.035重量%の範囲内、または0.040±0.030重量%の範囲内、または0.040±0.025重量%の範囲内、または0.040±0.020重量%の範囲内、または0.040±0.015重量%の範囲内、または0.040±0.010重量%の範囲内、または0.040±0.005重量%の範囲内にある。
【0074】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.050±0.035重量%の範囲内、または0.050±0.030重量%の範囲内、または0.050±0.025重量%の範囲内、または0.050±0.020重量%の範囲内、または0.050±0.015重量%の範囲内、または0.050±0.010重量%の範囲内、または0.050±0.005重量%の範囲内にある。
【0075】
更にもう1つの好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.060±0.035重量%の範囲内、または0.060±0.030重量%の範囲内、または0.060±0.025重量%の範囲内、または0.060±0.020重量%の範囲内、または0.060±0.015重量%の範囲内、または0.060±0.010重量%の範囲内、または0.060±0.005重量%の範囲内にある。
【0076】
更なる好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.070±0.035重量%の範囲内、または0.070±0.030重量%の範囲内、または0.070±0.025重量%の範囲内、または0.070±0.020重量%の範囲内、または0.070±0.015重量%の範囲内、または0.070±0.010重量%の範囲内、または0.070±0.005重量%の範囲内にある。
【0077】
別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.080±0.035重量%の範囲内、または0.080±0.030重量%の範囲内、または0.080±0.025重量%の範囲内、または0.080±0.020重量%の範囲内、または0.080±0.015重量%の範囲内、または0.080±0.010重量%の範囲内、または0.080±0.005重量%の範囲内にある。
【0078】
尚別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.090±0.035重量%の範囲内、または0.090±0.030重量%の範囲内、または0.090±0.025重量%の範囲内、または0.090±0.020重量%の範囲内、または0.090±0.015重量%の範囲内、または0.090±0.010重量%の範囲内、または0.090±0.005重量%の範囲内にある。
【0079】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.100±0.070重量%の範囲内、または0.100±0.060重量%の範囲内、または0.100±0.050重量%の範囲内、または0.100±0.040重量%の範囲内、または0.100±0.030重量%の範囲内、または0.100±0.020重量%の範囲内、または0.100±0.010重量%の範囲内にある。
【0080】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.120±0.070重量%の範囲内、または0.120±0.060重量%の範囲内、または0.120±0.050重量%の範囲内、または0.120±0.040重量%の範囲内、または0.120±0.030重量%の範囲内、または0.120±0.020重量%の範囲内、または0.120±0.010重量%の範囲内にある。
【0081】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.140±0.070重量%の範囲内、または0.140±0.060重量%の範囲内、または0.140±0.050重量%の範囲内、または0.140±0.040重量%の範囲内、または0.140±0.030重量%の範囲内、または0.140±0.020重量%の範囲内、または0.140±0.010重量%の範囲内にある。
【0082】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.160±0.070重量%の範囲内、または0.160±0.060重量%の範囲内、または0.160±0.050重量%の範囲内、または0.160±0.040重量%の範囲内、または0.160±0.030重量%の範囲内、または0.160±0.020重量%の範囲内、または0.160±0.010重量%の範囲内にある。
【0083】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.180±0.070重量%の範囲内、または0.180±0.060重量%の範囲内、または0.180±0.050重量%の範囲内、または0.180±0.040重量%の範囲内、または0.180±0.030重量%の範囲内、または0.180±0.020重量%の範囲内、または0.180±0.010重量%の範囲内にある。
【0084】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.200±0.070重量%の範囲内、または0.200±0.060重量%の範囲内、または0.200±0.050重量%の範囲内、または0.200±0.040重量%の範囲内、または0.200±0.030重量%の範囲内、または0.200±0.020重量%の範囲内、または0.200±0.010重量%の範囲内にある。
【0085】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.220±0.070重量%の範囲内、または0.220±0.060重量%の範囲内、または0.220±0.050重量%の範囲内、または0.220±0.040重量%の範囲内、または0.220±0.030重量%の範囲内、または0.220±0.020重量%の範囲内、または0.220±0.010重量%の範囲内にある。
【0086】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.240±0.070重量%の範囲内、または0.240±0.060重量%の範囲内、または0.240±0.050重量%の範囲内、または0.240±0.040重量%の範囲内、または0.240±0.030重量%の範囲内、または0.240±0.020重量%の範囲内、または0.240±0.010重量%の範囲内にある。
【0087】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.260±0.070重量%の範囲内、または0.260±0.060重量%の範囲内、または0.260±0.050重量%の範囲内、または0.260±0.040重量%の範囲内、または0.260±0.030重量%の範囲内、または0.260±0.020重量%の範囲内、または0.260±0.010重量%の範囲内にある。
【0088】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.280±0.070重量%の範囲内、または0.280±0.060重量%の範囲内、または0.280±0.050重量%の範囲内、または0.280±0.040重量%の範囲内、または0.280±0.030重量%の範囲内、または0.280±0.020重量%の範囲内、または0.280±0.010重量%の範囲内にある。
【0089】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.300±0.070重量%の範囲内、または0.300±0.060重量%の範囲内、または0.300±0.050重量%の範囲内、または0.300±0.040重量%の範囲内、または0.300±0.030重量%の範囲内、または0.300±0.020重量%の範囲内、または0.300±0.010重量%の範囲内にある。
【0090】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.350±0.070重量%の範囲内、または0.350±0.060重量%の範囲内、または0.350±0.050重量%の範囲内、または0.350±0.040重量%の範囲内、または0.350±0.030重量%の範囲内、または0.350±0.020重量%の範囲内、または0.350±0.010重量%の範囲内にある。
【0091】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.400±0.070重量%の範囲内、または0.400±0.060重量%の範囲内、または0.400±0.050重量%の範囲内、または0.400±0.040重量%の範囲内、または0.400±0.030重量%の範囲内、または0.400±0.020重量%の範囲内、または0.400±0.010重量%の範囲内にある。
【0092】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.450±0.070重量%の範囲内、または0.450±0.060重量%の範囲内、または0.450±0.050重量%の範囲内、または0.450±0.040重量%の範囲内、または0.450±0.030重量%の範囲内、または0.450±0.020重量%の範囲内、または0.450±0.010重量%の範囲内にある。
【0093】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.500±0.070重量%の範囲内、または0.500±0.060重量%の範囲内、または0.500±0.050重量%の範囲内、または0.500±0.040重量%の範囲内、または0.500±0.030重量%の範囲内、または0.500±0.020重量%の範囲内、または0.500±0.010重量%の範囲内にある。
【0094】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.550±0.070重量%の範囲内、または0.550±0.060重量%の範囲内、または0.550±0.050重量%の範囲内、または0.550±0.040重量%の範囲内、または0.550±0.030重量%の範囲内、または0.550±0.020重量%の範囲内、または0.550±0.010重量%の範囲内にある。
【0095】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.600±0.070重量%の範囲内、または0.600±0.060重量%の範囲内、または0.600±0.050重量%の範囲内、または0.600±0.040重量%の範囲内、または0.600±0.030重量%の範囲内、または0.600±0.020重量%の範囲内、または0.600±0.010重量%の範囲内にある。
【0096】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.650±0.070重量%の範囲内、または0.650±0.060重量%の範囲内、または0.650±0.050重量%の範囲内、または0.650±0.040重量%の範囲内、または0.650±0.030重量%の範囲内、または0.650±0.020重量%の範囲内、または0.650±0.010重量%の範囲内にある。
【0097】
更に別の好ましい実施形態において、緩衝系、好ましくはクエン酸ナトリウムまたはその二水和物の含有量は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総重量を基準にしてならびに本組成物の総重量を基準にして0.700±0.070重量%の範囲内、または0.700±0.060重量%の範囲内、または0.700±0.050重量%の範囲内、または0.700±0.040重量%の範囲内、または0.700±0.030重量%の範囲内、または0.700±0.020重量%の範囲内、または0.700±0.010重量%の範囲内にある。
【0098】
緩衝系がクエン酸ナトリウムでもその二水和物でもなく、ただし、別の緩衝系である場合、前記別の緩衝系の含有量は、あたかも緩衝剤が重量%で表される上記含有量のクエン酸ナトリウムまたはその二水和物であるかのように、所与のpH値にて同じ緩衝系容量を達成するのに必要な等価含有量に匹敵することが好ましい。
【0099】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は少なくとも1つの共役塩基と少なくとも1つの共役酸とを含む緩衝系を具備し、且つ合計濃度が少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総含有量を基準にしてならびに本組成物の総容量を基準にして少なくとも0.1mmol/L、または少なくとも0.2mmol/L、または少なくとも0.3mmol/L、または少なくとも0.4mmol/L、または少なくとも0.5mmol/L;より好ましくは少なくとも0.6mmol/L、または少なくとも0.7mmol/L、または少なくとも0.8mmol/L、または少なくとも0.9mmol/L、または少なくとも1.0mmol/L;尚より好ましくは少なくとも1.2mmol/L、または少なくとも1.4mmol/L、または少なくとも1.6mmol/L、または少なくとも1.8mmol/L、または少なくとも2.0mmol/L;更により好ましくは少なくとも2.2mmol/L、または少なくとも2.4mmol/L、または少なくとも2.6mmol/L、または少なくとも2.8mmol/L、または少なくとも3.0mmol/L;いっそうより好ましくは少なくとも3.2mmol/L、または少なくとも3.4mmol/L、または少なくとも3.6mmol/L、または少なくとも3.8mmol/L、または少なくとも4.0mmol/L;最も好ましくは少なくとも4.2mmol/L、または少なくとも4.4mmsol/L、または少なくとも4.6mmol/L、または少なくとも4.8mmol/L、または少なくとも5.0mmol/L;及び特に少なくとも5.2mmol/L、または少なくとも5.4mmol/L、または少なくとも5.6mmol/L、または少なくとも5.8mmol/L、または少なくとも6.0mmol/Lである。
【0100】
前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総含有量を基準にしてならびに本組成物の総容量を基準にして少なくとも1.0mmol/L、より好ましくは少なくとも3.0mmol/L、尚より好ましくは少なくとも5.0mmol/L、更により好ましくは少なくとも7.0mmol/L、及び最も好ましくは少なくとも9.0mmol/Lであることが好ましい。
【0101】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は、少なくとも1つの共役塩基と少なくとも1つの共役酸とを含む緩衝系を具備し、前記少なくとも1つの共役塩基、及び前記少なくとも1つの共役酸は互いに独立に、カルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩及びホスホン酸塩からなる群から選択される互いに独立に1つ以上のプロトン化もしくは脱プロトン化酸性官能基を含み、前記プロトン化もしくは脱プロトン化酸性官能基の合計濃度(当量)は、前記プロトン化もしくは脱プロトン化酸性官能基の総量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして少なくとも0.3mmol-eq/L、または少なくとも0.6mmol-eq/L、または少なくとも0.9mmol-eq/L、または少なくとも1.2mmol-eq/L、または少なくとも1.5mmol-eq/L;より好ましくは少なくとも1.8mmol-eq/L、または少なくとも2.1mmol-eq/L、または少なくとも2.4mmol-eq/L、または少なくとも2.7mmol-eq/L、または少なくとも3.0mmol-eq/L;尚より好ましくは少なくとも3.6mmol-eq/L、または少なくとも4.2mmol-eq/L、または少なくとも4.8mmol-eq/L、または少なくとも5.4mmol-eq/L、または少なくとも6.0mmol-eq/L;更により好ましくは少なくとも6.6mmol-eq/L、または少なくとも7.2mmol-eq/L、または少なくとも7.8mmol-eq/L、または少なくとも8.4mmol-eq/L、または少なくとも9.0mmol-eq/L;いっそうより好ましくは少なくとも9.6mmol-eq/L、または少なくとも10.2mmol-eq/L、または少なくとも10.8mmol-eq/L、または少なくとも11.4mmol-eq/L、または少なくとも12.0mmol-eq/L;最も好ましくは少なくとも12.6mmol-eq/L、または少なくとも13.2mmol-eq/L、または少なくとも13.8mmol-eq/L、または少なくとも14.4mmol-eq/L、または少なくとも15.0mmol-eq/L;及び特に少なくとも15.6mmol-eq/L、または少なくとも16.2mmol-eq/L、または少なくとも16.8mmol-eq/L、または少なくとも17.4mmol-eq/L、または少なくとも18.0mmol-eq/Lである。
【0102】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は少なくとも1つの共役塩基と少なくとも1つの共役酸とを含む緩衝系を具備し、且つ合計濃度が、多くて1つの共役塩基及び多くて1つの共役酸の総含有量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして多くて100mmol/L、または多くて95mmol/L、または多くて90mmol/L、または多くて85mmol/L、または多くて80mmol/L;より好ましくは多くて78mmol/L、または多くて76mmol/L、または多くて74mmol/L、または多くて72mmol/L、または多くて70mmol/L;尚より好ましくは多くて68mmol/L、または多くて66mmol/L、または多くて64mmol/L、または多くて62mmol/L、または多くて60mmol/L;更により好ましくは多くて58mmol/L、または多くて56mmol/L、または多くて54mmol/L、または多くて52mmol/L、または多くて50mmol/L;いっそうより好ましくは多くて48mmol/L、または多くて46mmol/L、または多くて44mmol/L、または多くて42mmol/L、または多くて40mmol/L;最も好ましくは多くて38mmol/L、または多くて36mmol/L、または多くて34mmol/L、または多くて32mmol/L、または多くて30mmol/L;及び特に多くて28mmol/L、または多くて26mmol/L、または多くて24mmol/L、または多くて22mmol/L、または多くて20mmol/Lである。
【0103】
前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度は、少なくとも1つの共役塩基の総含有量を基準にして及び少なくとも1つの共役酸及び本組成物の総容量を基準にして200mmol/L以下、より好ましくは150mmol/L以下、尚より好ましくは100mmol/L以下、更により好ましくは75mmol/L以下、及び最も好ましくは50mmol/L以下であることが好ましい。
【0104】
前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総含有量を基準にしてならびに本組成物の総容量を基準にして45mmol/L以下、より好ましくは40mmol/L以下、尚より好ましくは35mmol/L以下、更により好ましくは30mmol/L以下、及び最も好ましくは25mmol/L以下であることが好ましい。
【0105】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は、少なくとも1つの共役塩基と少なくとも1つの共役酸とを含む緩衝系を具備し、前記少なくとも1つの共役塩基、及び前記少なくとも1つの共役酸は互いに独立にカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩及びホスホン酸塩からなる群から選択される互いに独立に1つ以上のプロトン化もしくは脱プロトン化酸性官能基を含み、前記プロトン化または脱プロトン化酸性官能基の合計濃度(当量)は、前記プロトン化もしくは脱プロトン化酸性官能基の総量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして多くて300mmol-eq/L、または多くて285mmol-eq/L、または多くて270mmol-eq/L、または多くて255mmol-eq/L、または多くて240mmol-eq/L;より好ましくは多くて234mmol-eq/L、または多くて228mmol-eq/L、または多くて222mmol-eq/L、または多くて216mmol-eq/L、または多くて210mmol-eq/L;尚より好ましくは多くて204mmol-eq/L、または多くて198mmol-eq/L、または多くて192mmol-eq/L、または多くて186mmol-eq/L、または多くて180mmol-eq/L;更により好ましくは多くて174mmol-eq/L、または多くて168mmol-eq/L、または多くて162mmol-eq/L、または多くて156mmol-eq/L、または多くて150mmol-eq/L;いっそうより好ましくは多くて144mmol-eq/L、または多くて138mmol-eq/L、または多くて132mmol-eq/L、または多くて126mmol-eq/L、または多くて120mmol-eq/L;最も好ましくは多くて114mmol-eq/L、または多くて108mmol-eq/L、または多くて102mmol-eq/L、または多くて96mmol-eq/L、または多くて90mmol-eq/L;及び特に多くて84mmol-eq/L、または多くて78mmol-eq/L、または多くて72mmol-eq/L、または多くて66mmol-eq/L、または多くて60mmol-eq/Lである。
【0106】
好ましい実施形態において、本発明による組成物少なくとも1つの共役塩基と少なくとも1つの共役酸とを含む緩衝系を具備し、且つ合計濃度が、多くて1つの共役塩基及び多くて1つの共役酸の総含有量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして1.0±0.9mmol/L、または1.0±0.8mmol/L、または1.0±0.7mmol/L、または1.0±0.6mmol/L、または1.0±0.5mmol/L、または1.0±0.4mmol/L、または1.0±0.3mmol/L;または1.5±0.9mmol/L、または1.5±0.8mmol/L、または1.5±0.7mmol/L、または1.5±0.6mmol/L、または1.5±0.5mmol/L、または1.5±0.4mmol/L、または1.5±0.3mmol/L;または2.0±0.9mmol/L、または2.0±0.8mmol/L、または2.0±0.7mmol/L、または2.0±0.6mmol/L、または2.0±0.5mmol/L、または2.0±0.4mmol/L、または2.0±0.3mmol/L;または2.5±0.9mmol/L、または2.5±0.8mmol/L、または2.5±0.7mmol/L、または2.5±0.6mmol/L、または2.5±0.5mmol/L、または2.5±0.4mmol/L、または2.5±0.3mmol/L;または3.0±0.9mmol/L、または3.0±0.8mmol/L、または3.0±0.7mmol/L、または3.0±0.6mmol/L、または3.0±0.5mmol/L、または3.0±0.4mmol/L、または3.0±0.3mmol/L;または3.5±0.9mmol/L、または3.5±0.8mmol/L、または3.5±0.7mmol/L、または3.5±0.6mmol/L、または3.5±0.5mmol/L、または3.5±0.4mmol/L、または3.5±0.3mmol/L;または4.0±0.9mmol/L、または4.0±0.8mmol/L、または4.0±0.7mmol/L、または4.0±0.6mmol/L、または4.0±0.5mmol/L、または4.0±0.4mmol/L、または4.0±0.3mmol/L;または4.5±0.9mmol/L、または4.5±0.8mmol/L、または4.5±0.7mmol/L、または4.5±0.6mmol/L、または4.5±0.5mmol/L、または4.5±0.4mmol/L、または4.5±0.3mmol/L;または5.0±0.9mmol/L、または5.0±0.8mmol/L、または5.0±0.7mmol/L、または5.0±0.6mmol/L、または5.0±0.5mmol/L、または5.0±0.4mmol/L、または5.0±0.3mmol/L;または7.5±5.0mmol/L、または7.5±4.5mmol/L、または7.5±4.0mmol/L、または7.5±3.5mmol/L、または7.5±3.0mmol/L、または7.5±2.5mmol/L、または7.5±2.0mmol/L、または7.5±1.5mmol/L、または7.5±1.0mmol/L;または10±5.0mmol/L、または10±4.5mmol/L、または10±4.0mmol/L、または10±3.5mmol/L、または10±3.0mmol/L、または10±2.5mmol/L、または10±2.0mmol/L、または10±1.5mmol/L、または10±1.0mmol/L;または12.5±5.0mmol/L、または12.5±4.5mmol/L、または12.5±4.0mmol/L、または12.5±3.5mmol/L、または12.5±3.0mmol/L、または12.5±2.5mmol/L、または12.5±2.0mmol/L、または12.5±1.5mmol/L、または12.5±1.0mmol/L;または15±5.0mmol/L、または15±4.5mmol/L、または15±4.0mmol/L、または15±3.5mmol/L、または15±3.0mmol/L、または15±2.5mmol/L、または15±2.0mmol/L、または15±1.5mmol/L、または15±1.0mmol/L;または17.5±5.0mmol/L、または17.5±4.5mmol/L、または17.5±4.0mmol/L、または17.5±3.5mmol/L、または17.5±3.0mmol/L、または17.5±2.5mmol/L、または17.5±2.0mmol/L、または17.5±1.5mmol/L、または17.5±1.0mmol/L;または20±5.0mmol/L、または20±4.5mmol/L、または20±4.0mmol/L、または20±3.5mmol/L、または20±3.0mmol/L、または20±2.5mmol/L、または20±2.0mmol/L、または20±1.5mmol/L、または20±1.0mmol/L;または22.5±5.0mmol/L、または22.5±4.5mmol/L、または22.5±4.0mmol/L、または22.5±3.5mmol/L、または22.5±3.0mmol/L、または22.5±2.5mmol/L、または22.5±2.0mmol/L、または22.5±1.5mmol/L、または22.5±1.0mmol/L;または25±5.0mmol/L、または25±4.5mmol/L、または25±4.0mmol/L、または25±3.5mmol/L、または25±3.0mmol/L、または25±2.5mmol/L、または25±2.0mmol/L、または25±1.5mmol/L、または25±1.0mmol/Lの範囲内にある。
【0107】
前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度は、少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸の総含有量を基準にしてならびに本組成物の総容量を基準にして1.0~45mmol/Lの範囲内にあり、より好ましくは3.0~40mmol/Lの範囲内にあり、尚より好ましくは5.0~35mmol/Lの範囲内にあり、更により好ましくは7.0~30mmol/Lの範囲内にあり、及び最も好ましくは9.0~25mmol/Lの範囲内にあることが好ましい。
【0108】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は、少なくとも1つの共役塩基と少なくとも1つの共役酸とを含む緩衝系を具備し、前記少なくとも1つの共役塩基、及び前記少なくとも1つの共役酸は互いに独立にカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩及びホスホン酸塩からなる群から選択される互いに独立に1つ以上のプロトン化もしくは脱プロトン化酸性官能基を含み、前記プロトン化または脱プロトン化酸性官能基の合計濃度(当量)は、前記プロトン化もしくは脱プロトン化酸性官能基の総量を基準にして及び本組成物の総容量を基準にして3.0±2.7mmol-eq/L、または3.0±2.4mmol-eq/L、または3.0±2.1mmol-eq/L、または3.0±1.8mmol-eq/L、または3.0±1.5mmol-eq/L、または3.0±1.2mmol-eq/L、または3.0±0.9mmol-eq/L;または4.5±2.7mmol-eq/L、または4.5±2.4mmol-eq/L、または4.5±2.1mmol-eq/L、または4.5±1.8mmol-eq/L、または4.5±1.5mmol-eq/L、または4.5±1.2mmol-eq/L、または4.5±0.9mmol-eq/L;または6.0±2.7mmol-eq/L、または6.0±2.4mmol-eq/L、または6.0±2.1mmol-eq/L、または6.0±1.8mmol-eq/L、または6.0±1.5mmol-eq/L、または6.0±1.2mmol-eq/L、または6.0±0.9mmol-eq/L;または7.5±2.7mmol-eq/L、または7.5±2.4mmol-eq/L、または7.5±2.1mmol-eq/L、または7.5±1.8mmol-eq/L、または7.5±1.5mmol-eq/L、または7.5±1.2mmol-eq/L、または7.5±0.9mmol-eq/L;または9.0±2.7mmol-eq/L、または9.0±2.4mmol-eq/L、または9.0±2.1mmol-eq/L、または9.0±1.8mmol-eq/L、または9.0±1.5mmol-eq/L、または9.0±1.2mmol-eq/L、または9.0±0.9mmol-eq/L;または10.5±2.7mmol-eq/L、または10.5±2.4mmol-eq/L、または10.5±2.1mmol-eq/L、または10.5±1.8mmol-eq/L、または10.5±1.5mmol-eq/L、または10.5±1.2mmol-eq/L、または10.5±0.9mmol-eq/L;または12±2.7mmol-eq/L、または12±2.4mmol-eq/L、または12±2.1mmol-eq/L、または12±1.8mmol-eq/L、または12±1.5mmol-eq/L、または12±1.2mmol-eq/L、または12±0.9mmol-eq/L;または13.5±2.7mmol-eq/L、または13.5±2.4mmol-eq/L、または13.5±2.1mmol-eq/L、または13.5±1.8mmol-eq/L、または13.5±1.5mmol-eq/L、または13.5±1.2mmol-eq/L、または13.5±0.9mmol-eq/L;または15±2.7mmol-eq/L、または15±2.4mmol-eq/L、または15±2.1mmol-eq/L、または15±1.8mmol-eq/L、または15±1.5mmol-eq/L、または15±1.2mmol-eq/L、または15±0.9mmol-eq/L;または22.5±15mmol-eq/L、または22.5±13.5mmol-eq/L、または22.5±12mmol-eq/L、または22.5±10.5mmol-eq/L、または22.5±9.0mmol-eq/L、または22.5±7.5mmol-eq/L、または22.5±6.0mmol-eq/L、または22.5±4.5mmol-eq/L、または22.5±3.0mmol-eq/L;または30±15mmol-eq/L、または30±13.5mmol-eq/L、または30±12mmol-eq/L、または30±10.5mmol-eq/L、または30±9.0mmol-eq/L、または30±7.5mmol-eq/L、または30±6.0mmol-eq/L、または30±4.5mmol-eq/L、または30±3.0mmol-eq/L;または37.5±15mmol-eq/L、または37.5±13.5mmol-eq/L、または37.5±12mmol-eq/L、または37.5±10.5mmol-eq/L、または37.5±9.0mmol-eq/L、または37.5±7.5mmol-eq/L、または37.5±6.0mmol-eq/L、または37.5±4.5mmol-eq/L、または37.5±3.0mmol-eq/L;または45±15mmol-eq/L、または45±13.5mmol-eq/L、または45±12mmol-eq/L、または45±10.5mmol-eq/L、または45±9.0mmol-eq/L、または45±7.5mmol-eq/L、または45±6.0mmol-eq/L、または45±4.5mmol-eq/L、または45±3.0mmol-eq/L;または52.5±15mmol-eq/L、または52.5±13.5mmol-eq/L、または52.5±12mmol-eq/L、または52.5±10.5mmol-eq/L、または52.5±9.0mmol-eq/L、または52.5±7.5mmol-eq/L、または52.5±6.0mmol-eq/L、または52.5±4.5mmol-eq/L、または52.5±3.0mmol-eq/L;または60±15mmol-eq/L、または60±13.5mmol-eq/L、または60±12mmol-eq/L、または60±10.5mmol-eq/L、または60±9.0mmol-eq/L、または60±7.5mmol-eq/L、または60±6.0mmol-eq/L、または60±4.5mmol-eq/L、または60±3.0mmol-eq/L;または67.5±15mmol-eq/L、または67.5±13.5mmol-eq/L、または67.5±12mmol-eq/L、または67.5±10.5mmol-eq/L、または67.5±9.0mmol-eq/L、または67.5±7.5mmol-eq/L、または67.5±6.0mmol-eq/L、または67.5±4.5mmol-eq/L、または67.5±3.0mmol-eq/L;または75±15mmol-eq/L、または75±13.5mmol-eq/L、または75±12mmol-eq/L、または75±10.5mmol-eq/L、または75±9.0mmol-eq/L、または75±7.5mmol-eq/L、または75±6.0mmol-eq/L、または75±4.5mmol-eq/L、または75±3.0mmol-eq/Lの範囲内にある。
【0109】
本発明による組成物の緩衝化pH値は、3.0超~6.7未満の範囲内にある。
【0110】
上記の定義によれば、pH値3.0は、そのpH範囲に包含されない。しかしながら、本発明による好ましい実施形態によれば、pH値3.0が包含されうる。これらの実施形態によれば、本発明による組成物の緩衝化pH値は、好ましくは2.0超~6.7未満、より好ましくは少なくとも2.1、または少なくとも2.2、または少なくとも2.3、または少なくとも2.4、または少なくとも2.5、または少なくとも2.6、または少なくとも2.7、または少なくとも2.8、または少なくとも2.9、または少なくとも3.0の範囲内にある。
【0111】
好ましい実施形態において、本発明による組成物の緩衝化pH値は、6.6以下、または6.5以下、より好ましくは6.4以下、または6.3以下、尚より好ましくは6.2以下、または6.1以下、更により好ましくは6.0以下、または5.9以下、いっそうより好ましくは5.8以下、または5.7以下、最も好ましくは5.6以下、または5.5以下、及び特に5.4以下、または5.3以下である。
【0112】
好ましい実施形態において、本発明による組成物の緩衝化pH値は、少なくとも3.1または少なくとも3.2、より好ましくは少なくとも3.3または少なくとも3.4、尚より好ましくは少なくとも3.5または少なくとも3.6、更により好ましくは少なくとも3.7または少なくとも3.8、いっそうより好ましくは少なくとも3.9または少なくとも4.0、最も好ましくは少なくとも4.1または少なくとも4.2、及び特に少なくとも4.3または少なくとも4.4である。
【0113】
本発明による組成物の緩衝化pH値は、3.0~6.5、または3.1~6.5、または3.5~6.5、または4.0~6.5、または4.5~6.5、または5.0~6.5の範囲内にあることが好ましい。
【0114】
本発明による組成物の緩衝化pH値は、3.0~6.0、または3.1~6.0、または3.5~6.0、または4.0~6.0、または4.5~6.0、または5.0~6.0の範囲内にあることが好ましい。
【0115】
本発明による組成物の緩衝化pH値は、3.0~5.5、または3.1~5.5、または3.5~5.5、または4.0~5.5、または4.5~5.5、または5.0~5.5の範囲内にあることが好ましい。
【0116】
本発明による組成物の緩衝化pH値は、3.0~5.0、または3.1~5.0、または3.5~5.0、または4.0~5.0、または4.5~5.0の範囲内にあることが好ましい。
【0117】
好ましい実施形態において、本組成物の緩衝化pH値は、2.5±0.5、より好ましくは2.5±0.4、尚より好ましくは2.5±0.3、更により好ましくは2.5±0.2、及び特に2.5±0.1の範囲内にある。
【0118】
別の好ましい実施形態において、本組成物の緩衝化pH値は、2.75±0.50、より好ましくは2.75±0.40、尚より好ましくは2.75±0.30、更により好ましくは2.75±0.20、及び特に2.75±0.10の範囲内にある。
【0119】
尚別の好ましい実施形態において、本組成物の緩衝化pH値は、3.0±1.0、より好ましくは3.0±0.9、尚より好ましくは3.0±0.8、更により好ましくは3.0±0.7、いっそうより好ましくは3.0±0.6または3.0±0.5、最も好ましくは3.0±0.4または3.0±0.3、及び特に5.0±0.2または5.0±0.1の範囲内にある。
【0120】
更に別の好ましい実施形態において、本組成物の緩衝化pH値は、3.25±0.50、より好ましくは3.25±0.40、尚より好ましくは3.25±0.30、更により好ましくは3.25±0.20、及び特に3.25±0.10の範囲内にある。
【0121】
別の好ましい実施形態において、本組成物の緩衝化pH値は、3.5±0.5、より好ましくは3.5±0.4、尚より好ましくは3.5±0.3、更により好ましくは3.5±0.2、及び特に3.5±0.1の範囲内にある。
【0122】
尚別の好ましい実施形態において、本組成物の緩衝化pH値は、3.75±0.50、より好ましくは3.75±0.40、尚より好ましくは3.75±0.30、更により好ましくは3.75±0.20、及び特に3.75±0.10の範囲内にある。
【0123】
更に別の好ましい実施形態において、本組成物の緩衝化pH値は、4.0±1.0、より好ましくは4.0±0.9、尚より好ましくは4.0±0.8、更により好ましくは4.0±0.7、いっそうより好ましくは4.0±0.6または4.0±0.5、最も好ましくは4.0±0.4または4.0±0.3、及び特に4.0±0.2または4.0±0.1の範囲内にある。
【0124】
好ましい実施形態において、本組成物の緩衝化pH値は、4.25±0.50、より好ましくは4.25±0.40、尚より好ましくは4.25±0.30、更により好ましくは4.25±0.20、及び特に4.25±0.10の範囲内にある。
【0125】
別の好ましい実施形態において、本組成物の緩衝化pH値は、4.5±0.5、より好ましくは4.5±0.4、尚より好ましくは4.5±0.3、更により好ましくは4.5±0.2、及び特に4.5±0.1の範囲内にある。
【0126】
尚別の好ましい実施形態において、本組成物の緩衝化pH値は、4.75±0.50、より好ましくは4.75±0.40、尚より好ましくは4.75±0.30、更により好ましくは4.75±0.20、及び特に4.75±0.10の範囲内にある。
【0127】
更に別の好ましい実施形態において、本組成物の緩衝化pH値は、5.0±1.0、より好ましくは5.0±0.9、尚より好ましくは5.0±0.8、更により好ましくは5.0±0.7、いっそうより好ましくは5.0±0.6または5.0±0.5、最も好ましくは5.0±0.4または5.0±0.3、及び特に5.0±0.2または5.0±0.1の範囲内にある。
【0128】
別の好ましい実施形態において、本組成物の緩衝化pH値は、5.25±0.50、より好ましくは5.25±0.40、尚より好ましくは5.25±0.30、更により好ましくは5.25±0.20、及び特に5.25±0.10の範囲内にある。
【0129】
尚別の好ましい実施形態において、本組成物の緩衝化pH値は、5.5±0.5、より好ましくは5.5±0.4、尚より好ましくは5.5±0.3、更により好ましくは5.5±0.2、及び特に5.5±0.1の範囲内にある。
【0130】
好ましい実施形態において、本組成物の緩衝化pH値は、4.25±0.50、より好ましくは5.75±0.40、尚より好ましくは5.75±0.30、更により好ましくは5.75±0.20、及び特に5.75±0.10の範囲内にある。
【0131】
本組成物中の分子状酸素の含有量、すなわち溶解されている分子状酸素の含有量は、本組成物の総容量を基準にして9.0mg/L以下、より好ましくは7.0mg/L以下、尚より好ましくは5.0mg/L以下、更により好ましくは3.0mg/L以下、及び最も好ましくは1.0mg/L以下であることが好ましい。
【0132】
本組成物中の分子状酸素の含有量は、本組成物の総容量を基準にして0.2mg/L、より好ましくは0.1mg/L以下、尚より好ましくは0.05mg/L以下であることが好ましい。
【0133】
好ましい実施形態において、本組成物中の分子状酸素の含有量は、0.20mg/L以下、または0.18mg/L以下、または0.16mg/L以下、または0.14mg/L以下、または0.12mg/L以下、または0.10mg/L以下、または0.09mg/L以下、または0.08mg/L以下、または0.07mg/L以下、または0.006mg/L以下、または0.05mg/L以下、または0.04mg/L以下、または0.03mg/L以下、または0.02mg/L以下である。
【0134】
好ましい実施形態において、本組成物中の分子状酸素の含有量は、0.048mg/L以下、または0.046mg/L以下、または0.044mg/L以下、または0.042mg/L以下、または0.040mg/L以下、または0.038mg/L以下、または0.036mg/L以下、または0.034mg/L以下、または0.032mg/L以下、または0.030mg/L以下、または0.028mg/L以下、または0.026mg/L以下、または0.024mg/L以下、または0.022mg/L以下、または0.020mg/L以下、または0.018mg/L以下、または0.016mg/L以下、または0.014mg/L以下、または0.012mg/L以下、または0.010mg/L以下である。
【0135】
本発明による組成物は、ガラス製アンプルなどの容器内にパッケージされていることが好ましい。容器の内部空間は通常、少なくとも2つの相、すなわち液相と気相(ヘッドスペース)とを含む。分子状酸素の含有量に関する限り、液相中の酸素含有量とヘッドスペース中の酸素含有量は通常、平衡化されている。ゆえに、ヘッドスペースの気相中の分子状酸素含有量を測定することで、液相の溶解分子状酸素含有量、すなわち水性組成物それ自体に関してもまた結論を導くことが可能となる。
【0136】
好ましい実施形態において、純窒素ガスを含有する内容積3.0mlの密閉ガラス製アンプルに2.0mlの組成物を充填した際、充填アンプルが、本組成物を液相として含むほか、液相より上部のヘッドスペース中に気相として含み、且つ本液相中に溶解しているガスと前記気相中のガスとを平衡化させたときに、この気相中の分子状酸素含有量が2.5%Vbar以下、より好ましくは2.4%Vbar以下、尚より好ましくは2.3%Vbar以下、更により好ましくは2.2%Vbar以下、いっそうより好ましくは2.1%Vbar以下、及び最も好ましくは2.0%Vbar以下である。好ましい実施形態において、所与の条件下で、気相の分子状酸素の含有量は、好ましくは1.8%Vbar以下、より好ましくは、1.6%Vbar以下、尚より好ましくは1.4%Vbar以下、更により好ましくは1.2%Vbar以下、いっそうより好ましくは1.0%Vbar以下、及び最も好ましくは0.8%Vbar以下である。
【0137】
水性医薬組成物の酸素含有量を調整及び測定するのに適した方法は、当業者に公知であり、好適な測定装置も市販されている。酸素含有量の低減は、組成物を窒素などの不活性ガスでパージすること、及び/または組成物を減圧に曝露させること、及び/または組成物のヘッドスペースを窒素などの不活性ガスでパージすることにより、可能である。ヘッドスペース中の酸素含有量は、Head Space Analyzer Orbisphere 510,Hach Langeのような電気化学的酸素センサーで測定することが好ましい。
【0138】
医薬組成物の酸素含有量を低減することによって、保存寿命、とりわけ組成物中のタペンタドールの化学的安定性を、実質的に向上させることが可能である。これは、驚異的な発見であった。
【0139】
本組成物の浸透圧モル濃度は、その成分の含有量に依存するものであり、本組成物の製造中に適切な量の等張化剤、好ましくは塩化ナトリウムを加えることによって調整するのが好ましい。また、代替的にまたは追加的に、マンニトールもしくはソルビトールなどの他の等張化剤を加えても差し支えない。等張化剤は、イオン性のものが好ましい。
【0140】
ゆえに、本発明による組成物は、好ましくは等張化剤、より好ましくは塩化ナトリウムを含む。
【0141】
塩化ナトリウムの含有量は、本組成物の総重量を基準にして1.0重量%以下、より好ましくは0.8重量%以下、尚より好ましくは0.6重量%以下、更により好ましくは0.4重量%以下、最も好ましくは0.2重量%以下、及び特に0.1重量%以下であることが好ましい。
【0142】
好ましい実施形態において、塩化ナトリウムの含有量は、本組成物の総重量を基準にして0.848±0.800重量%の範囲内、または0.848±0.700重量%の範囲内、または0.848±0.600重量%の範囲内、または0.848±0.500重量%の範囲内、または0.848±0.400重量%の範囲内、または0.848±0.300重量%の範囲内、または0.848±0.200重量%の範囲内、または0.848±0.100重量%の範囲内にある。
【0143】
本発明による組成物は、保存料がいっさい含有されていないことが好ましい。本明細書の目的に合わせて、「保存料」とは、好ましくは、医薬組成物を微生物劣化または微生物増殖から保護することを目的として医薬組成物に通常添加される任意の物質を指す。この点に関して、微生物の増殖は、不可欠な役割、すなわち保存料が微生物汚染を回避するという主目的を果たすのが、通例である。側面として、活性成分及び賦形剤のそれぞれに対して微生物が及ぼす影響を回避すること、すなわち微生物劣化を回避することも、所望される場合がある。しかしながら、本発明による組成物は、クエン酸緩衝系を含有してもよく、これらの状況下では、クエン酸とその塩にも或る程度の保存力があることが公知であるが、保存料と見なすべきではなく、寧ろクエン酸及びその塩は緩衝系と見なすべきである。
【0144】
保存料の代表例としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロルブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、プロピオン酸ナトリウム、チメロサール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、ベンジルパラベン、ソルビン酸、及びソルビン酸カリウムが挙げられる。
【0145】
本発明による組成物は、EDTAまたはそのナトリウムもしくはカルシウム塩などのキレート剤を全く含有しないことが好ましい。しかしながら、本発明による組成物は、クエン酸緩衝系を含有する場合があり、これらの状況下では、クエン酸及びその塩を緩衝系と見なすべきである。また、クエン酸及びその塩は或る程度のキレート化能を有することが公知であるが、キレート剤と見なすべきではない。
【0146】
本発明による組成物は、酸化防止剤がいっさい含有されていないことが好ましい。本発明による組成物中に含有されていないことが好ましい酸化防止剤の例としては、限定されないが、以下のものが挙げられる。
- 没食子酸のプロピル、オクチル及びドデシルエステル、
- ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、
- アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、
- モノチオグリセロール、
- メタ重亜硫酸カリウムまたはナトリウム、
- プロピオン酸、
- 没食子酸プロピル、
- 亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、及び
- トコフェロールまたはビタミンE。
【0147】
本発明による組成物は、保存料も酸化防止剤もいっさい含有されていないことが好ましい。
【0148】
下表は、本発明による組成物の特に好ましい実施形態A~A10の要約である。
【0149】
【表1】
【0150】
下表は、本発明による組成物の特に好ましい実施形態B~B25の要約である。
【0151】
【表2】
【0152】
下表は、本発明による組成物の特に好ましい実施形態C~C25の要約である。
【0153】
【表3】
【0154】
本発明による組成物の滴定酸性度は、1.8mmol/L以下、より好ましくは1.7mmol/L以下、尚より好ましくは1.6mmol/L以下、更により好ましくは1.5mmol/L以下、及び最も好ましくは1.4mmol/L以下であることが好ましい。
【0155】
本発明による組成物の滴定酸性度は、1.0~1.8mmol/L、より好ましくは1.4~1.8mmol/Lの範囲内にあることが好ましい。
【0156】
これらの条件下で0.01MのNaOHを用い、本発明による組成物をpH7.4の終点まで滴定する場合、アルゴン下、37℃、0mmHgのCO分圧で滴定酸度を測定することが好ましい。
【0157】
好ましい実施形態において、特に本組成物のpH値が5.0±0.5の範囲内にある場合、滴定酸性度が、好ましくは1.20±0.20mmol/L、より好ましくは1.20±0.10mmol/Lの範囲内にある。
【0158】
別の好ましい実施形態において、特に本組成物のpH値が4.5±0.5の範囲内にある場合、滴定酸性度が、好ましくは1.60±0.20mmol/L、より好ましくは1.60±0.10mmol/Lの範囲内にある。
【0159】
注入溶液及び注射溶液の各高品質要件を満たすためには、本組成物は生理学的に許容される浸透圧モル濃度及び生理学的に許容されるpHを呈するものでならない。
【0160】
例えば、等張塩化ナトリウム溶液(食塩水)は、0.9重量%の塩化ナトリウムを含み、血液の浸透圧モル濃度に近似する0.308osmol/Lの浸透圧モル濃度を呈する。
【0161】
本組成物の浸透圧モル濃度は、少なくとも0.20または少なくとも0.22osmol/L、より好ましくは少なくとも0.23osmol/L、尚より好ましくは少なくとも0.24osmol/L、更により好ましくは少なくとも0.25osmol/L、最も好ましくは少なくとも0.26osmol/L、及び特に少なくとも0.27osmol/Lであることが好ましい。
【0162】
本組成物の浸透圧モル濃度は、0.36osmol/L、より好ましくは0.34osmol/L以下、尚より好ましくは0.32osmol/L以下、更により好ましくは0.31osmol/L以下、最も好ましくは0.30osmol/L以下、及び特に0.29osmol/L以下であることが好ましい。
【0163】
好ましい実施形態において、本組成物の浸透圧モル濃度は、0.28±0.08osmol/L、より好ましくは0.28±0.06osmol/L、尚より好ましくは0.28±0.04osmol/L、更により好ましくは0.28±0.03osmol/L、最も好ましくは0.28±0.02osmol/L、及び特に0.28±0.01osmol/Lである。
【0164】
本発明の別の態様は、本発明による医薬組成物を含む容器に関する。本容器は、密閉された気密容器であることが好ましい。本発明による組成物に関して上記に定義されている好ましい全ての実施形態はまた、本発明による容器にも適用される。
【0165】
本発明による容器は、患者への非経口投与に適した本発明による組成物の個別容量を含む。本発明による水性組成物は通例液体であるため、容器中に収容して提供されるのが好ましい。次いで、非経口投与に先立ち、容器から本発明による組成物を完全に(投薬量を単回にて)または部分的に(投薬量を多回に分けて)取り出す。
【0166】
本容器はガラス製アンプルであることが好ましい。本容器は、非経口製剤に関するPh.Eur.の要件を満たす、品質タイプIのガラス製であることが好ましい。
【0167】
この容器が前記組成物を液相として含むほか、液相より上部のヘッドスペース中に気相として含み、この気相中の分子状酸素含有量が2.5%Vbar以下、より好ましくは2.4%Vbar以下、尚より好ましくは2.3%Vbar以下、更により好ましくは2.2%Vbar以下、いっそうより好ましくは2.1%Vbar以下、及び最も好ましくは2.0%Vbar以下であることが好ましい。好ましい実施形態において、所与の条件下で、気相の分子状酸素の含有量は、好ましくは1.8%Vbar以下、より好ましくは1.6%Vbar以下、尚より好ましくは1.4%Vbar以下、更により好ましくは1.2%Vbar以下、いっそうより好ましくは1.0%Vbar以下、及び最も好ましくは0.8%Vbar以下である。
【0168】
単回用量のタペンタドールを、本発明による容器中に含めてもよいし、または多回に分けて投薬してもよい。本明細書の目的に合わせて、「多回に分けて投薬する」は、好ましくは、容器中に複数の投薬単位が包含されていることを意味する。
【0169】
好ましい実施形態において、本容器には、単回投与用量(投薬単位)を超える量の、本発明による組成物が収容される。これらの状況下にて、本容器中に含まれるのは複数の投薬単位であり、すなわち、好ましくは注射による多回投与に対応するように、カスタマイズされる。
【0170】
例えば、本容器中に含まれる注射溶液が分割使用を目的としたものである場合、その全容量は、一度に投与すべき容量を上回るのが通例である。代わりに、分割使用を目的とした注射溶液を、典型的には数日間を包含する治療間隔にわたって投与すべき複数の投薬単位に分割されるようにカスタマイズする。個々の投薬単位は、好ましくは複数の投薬単位からシリンジで分割することができる。複数の投薬単位を含む本発明による容器の典型的な例は、セプタムで密封された滅菌済みのガラス製容器であることが好ましい。前記ガラス製容器は、患者への一度の投与を意図している個々の投薬単位の個々の容量を十分に超える容量の医薬組成物を含む。例えば、容器の総容量を250mLとし、処方済み投薬単位を毎日1回25mLとした場合、治療期間の1日目に患者が25mLを服用すると容器中に残存する量は225mL、治療期間の2日目に患者が更に25mLを摂取すると容器中に残存する量は200mL、といったようになり、10日目までには全量が患者に投与されることになる。
【0171】
本容器には少なくとも2、より好ましくは少なくとも3、いっそうより好ましくは少なくとも5、更により好ましくは少なくとも10、最も好ましくは少なくとも12、及び特に少なくとも15の個別投薬単位が含有されることが好ましい。
【0172】
別の好ましい実施形態において、本容器は単一の投薬単位、すなわち個別投薬単位を1つだけ含む。このような状況下で、好ましい実施形態によれば、本容器は1.0~3.0mLの組成物を含むことが好ましい。別の好ましい実施形態によれば、本容器は、1.0~500mL、好ましくは5.0~500mLの組成物、例えば、10±5mL、または15±10mL、または20±10mL、または25±10mL、または30±10mL、または35±10mL、または40±10mL、または45±10mL、または50±25mL、または75±25mL、または100±25mL、または150±50mL、または200±50mL、または250±50mL、または300±100mL、または400±100mL、または500±100mLを含むことが好ましい。
【0173】
個々の投薬単位の容量は、0.25mL~3.0mL、より好ましくは0.5mL~2.75mL、尚より好ましくは0.75mL~2.5mL、及び最も好ましくは1.0mL~2.0mLであることが好ましい。
【0174】
好ましい実施形態において、個々の投薬単位の容量は、1.0±0.9mL、より好ましくは1.0±0.75mL、尚より好ましくは1.0±0.5mL、更により好ましくは1.0±0.4mL、いっそうより好ましくは1.0±0.2mL、最も好ましくは1.0±0.15mL、及び特に1.0±0.1mLである。
【0175】
別の好ましい実施形態において、個々の投薬単位の容量は、2.0±0.9mL、より好ましくは2.0±0.75mL、尚より好ましくは2.0±0.5mL、更により好ましくは2.0±0.4mL、いっそうより好ましくは2.0±0.2mL、最も好ましくは2.0±0.15mL、及び特に2.0±0.1mLである。
【0176】
尚別の好ましい実施形態において、個々の投薬単位の容量は、3.0±0.9mL、より好ましくは3.0±0.75mL、尚より好ましくは3.0±0.5mL、更により好ましくは3.0±0.4mL、いっそうより好ましくは3.0±0.2mL、最も好ましくは3.0±0.15mL、及び特に3.0±0.1mLである。
【0177】
別の好ましい実施形態によれば、個々の投薬単位は、5.0~500mL、例えば、10±5mL、または15±10mL、または20±10mL、または25±10mL、または30±10mL、または35±10mL、または40±10mL、または45±10mL、または50±25mL、または75±25mL、または100±25mL、または150±50mL、または200±50mL、または250±50mL、または300±100mL、または400±100mL、または500±100mLの組成物を含むことが好ましい。
【0178】
本容器に含有される1つ以上の個々の投薬単位は、1回、2回、3回、4回、5回、6回または更に頻繁に、任意選択的に、規則的な時間間隔での投与に対応するようにカスタマイズすることができる。
【0179】
また、本容器中に含有されている組成物を、好ましくは注入による連続投与用にカスタマイズしてもよい。本容器中に収容されている組成物は、少なくとも30分間または45分間、より好ましくは少なくとも1時間または2時間、尚より好ましくは少なくとも3時間または4時間、更により好ましくは少なくとも6時間または8時間、最も好ましくは少なくとも10時間、及び特に少なくとも12時間の連続投与に適していることが好ましい。
【0180】
タペンタドールは、治療有効量で投与される。治療有効量を構成する量は、治療の対象となる病態、前記病態の重篤度、及び治療を受けている患者に応じて異なる。
【0181】
個々の投薬単位中のタペンタドール含有量は、体重1kg当り0.2~0.6mgの範囲内にあることが好ましい。タペンタドールの1日投薬量は、25mg~600mg、例えば25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、400mg、500mg、または600mgの範囲内にあるのが通例である。非経口投与時の生物学的利用能は、経口投与時の生物学的利用能を上回る場合がある。
【0182】
タペンタドールの1日用量は、250mg以下、より好ましくは225mg以下、尚より好ましくは200mg以下、更により好ましくは175mg以下、及び特に150mg以下であることが好ましい。
【0183】
タペンタドールの1日用量は、少なくとも15mg、より好ましくは少なくとも20mg、尚より好ましくは少なくとも25mg、更により好ましくは少なくとも30mg、最も好ましくは少なくとも35mg、及び特に少なくとも40mgであることが好ましい。
【0184】
好ましい実施形態において、個々の投薬単位中のタペンタドール含有量は、好ましくは10mg~250mgの範囲内、より好ましくは15mg~200mgの範囲内、尚より好ましくは20mg~150mgの範囲内、更により好ましくは30mg~130mgの範囲内、及び最も好ましくは40mg~115mgの範囲内、及び特に50mg~100mgの範囲内にある。
【0185】
別の好ましい実施形態において、個々の投薬単位中のタペンタドール含有量は、好ましくは0.1mg~60mgの範囲内、より好ましくは0.1mg~55mgの範囲内、尚より好ましくは0.2mg~50mgの範囲内にある。
【0186】
本発明による容器は、タペンタドールを、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして5.0mg~6g、好ましくは5.0mg~3g、より好ましくは5.0mg~600mgまたは10mg~600mgの範囲内にある量にて含むことが好ましい。
【0187】
好ましい実施形態において、本発明による容器は、タペンタドールを、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして少なくとも10mg、または少なくとも15mg、または少なくとも20mg、または少なくとも25mg、または少なくとも30mg、または少なくとも40mg、または少なくとも50mg、または少なくとも75mg、または少なくとも100mg、または少なくとも150mg、または少なくとも200mg、または少なくとも250mg、または少なくとも300mg、または少なくとも400mg、または少なくとも500mg、または少なくとも600mg、または少なくとも700mg、または少なくとも800mg、または少なくとも900mg、または少なくとも1g、または少なくとも1.5g、または少なくとも2g、または少なくとも2.5g、または少なくとも3g、または少なくとも3.5g、または少なくとも4g、または少なくとも4.5g、または少なくとも5g、または少なくとも5.5g、または少なくとも6gの量にて含む。
【0188】
好ましい実施形態において、本発明による容器は、タペンタドールを、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして多くて600mg、または多くて550mg、または多くて500mg、または多くて450mg、または多くて400mg、または多くて350mg、または多くて300mg、または多くて250mg、または多くて200mg、または多くて175mg、または多くて150mg、または多くて100mgの量にて含む。
【0189】
好ましい実施形態において、本発明による容器は、タペンタドールを、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして25±15mg、または50±15mg、または75±15mg、または100±15mg、または150±15mg、または200±15mg、または250±15mgの量にて含む。
【0190】
本発明による組成物は、本発明による容器中に収容されている場合、貯蔵寿命が十分長くなり、しかも貯蔵安定性が良好となる。それゆえ、本発明による組成物は貯蔵された際に安定であることが好ましい。
【0191】
本発明による組成物は、貯蔵された際に加速貯蔵条件下40℃且つ相対湿度75%にて、好ましくは少なくとも3か月間、より好ましくは少なくとも6か月間にわたって安定である。安定性基準はPh.Eur.及びEMAのガイドラインにそれぞれ準拠していることが好ましく、2016年9月に有効なエディションに準拠していることが好ましい。
【0192】
好ましい実施形態において、40℃にて且つ相対湿度75%で少なくとも3か月間、より好ましくは少なくとも6か月間にわたって加速貯蔵条件下で貯蔵した後の、本組成物のpH値は、貯蔵前の組成物の初期pH値から、±0.4pH単位以下、より好ましくは±0.3pH単位以下、より好ましくは±0.2pH単位以下であり、比較的に変化がない。
【0193】
本組成物は、貯蔵前及び貯蔵後に加速貯蔵条件下40℃且つ相対湿度75%にて、好ましくは少なくとも3か月間、より好ましくは少なくとも6か月間にわたって安定であることが好ましい。本組成物は、貯蔵前及び貯蔵中/貯蔵後に、特に3か月を超える貯蔵期間中/貯蔵後に、好ましくは6か月を超える貯蔵期間中/貯蔵後に、より好ましくは12か月を超える貯蔵期間中/貯蔵後に、最も好ましくは少なくとも24か月間にわたる貯蔵期間中/貯蔵後に無色であることが好ましい。
【0194】
好ましい実施形態において、本組成物を40℃にて且つ相対湿度75%で少なくとも3か月間、より好ましくは少なくとも6か月間にわたって加速貯蔵条件下で貯蔵した後の、タペンタドールの分解生成物の含有量は、貯蔵前の本組成物中に元々含有されていたタペンタドールの総含有量に対して、及びタペンタドール遊離塩基の重量を基準にして1.0重量%以下、より好ましくは0.9重量%以下、尚より好ましくは0.8重量%以下、更により好ましくは0.7重量%以下、いっそうより好ましくは0.6重量%以下、及び最も好ましくは0.5重量%以下である。タペンタドールの分解生成物はHPLCで分析することが好ましい。
【0195】
本明細書の目的に合わせて、追加的に貯蔵寿命と使用中の安定性とを区別することができる。貯蔵寿命とは、好ましくは密閉容器の貯蔵安定性を指す。使用中の安定性は、好ましくは、初めて利用された複数の投薬単位調製物を収容する貯蔵容器を指す。複数の投薬単位調製物の貯蔵寿命は通例、その使用中の安定性をはるかに上回る。安定性基準はPh.Eur.及びEMAのガイドラインにそれぞれ準拠していることが好ましく、2016年9月に有効なエディションに準拠していることが好ましい。
【0196】
本発明による組成物は、特に本発明による容器中に収容されている場合、周囲条件下にて少なくとも6か月、より好ましくは少なくとも12か月、尚より好ましくは少なくとも15か月、更により好ましくは少なくとも18か月、最も好ましくは少なくとも21か月、及び特に少なくとも24か月の貯蔵寿命を呈することが好ましい。
【0197】
本発明による組成物は、特に本発明による容器中に収容されている場合、多回投薬単位調製物として提供されたときに、周囲条件下にて少なくとも1週間、より好ましくは少なくとも2週間、尚より好ましくは少なくとも3週間、更により好ましくは少なくとも4週間、最も好ましくは少なくとも5週間、及び特に少なくとも6週間の使用時安定性を呈することが好ましい。
【0198】
pH値及び分子状酸素含有量を制御することによってタペンタドールの所望されない分解反応を低減させることが可能である、という驚くべき発見が為されてきた。安定化用の賦形剤を加える必要がない。
【0199】
本発明による組成物は、好ましくはその2010年バージョンにおいて、Ph.Eur.の要件に適合する抗菌堅牢性を呈することが好ましい。S.aureus,Ps.Aeruginosa,S.spp.,C.albicans、及び/またはA.nigerに対して抗菌堅牢性を達成し、好ましくは7日後に1、好ましくは3の対数減少の要件を満たし、28日後には増加がゼロとなることが好ましい。特に好ましい実施形態では、14日後に3の対数減少の要件を満たす細菌に対して、及び14日後に1の対数減少のカビ及び酵母に対して、抗菌耐性が達成される。
【0200】
本発明による組成物は、とりわけ本発明による容器中に収容されている場合、高圧滅菌性に優れる。すなわち、通例は過酷な高圧滅菌条件下で、タペンタドールを著しく劣化させることなしに好適な期間にわたって好適な条件下で、高圧滅菌に供することができる。本組成物は、高圧滅菌した際に安定であるのが好ましく、高圧滅菌した際にpH値に変化が見られないのが好ましい。
【0201】
本組成物は、121℃且つ2barにて20分間高圧滅菌した際に安定であることが好ましい。121℃且つ2barにて20分間高圧滅菌した際に安定であるのが好ましく、これらの条件下にて高圧滅菌した際にpH値に変化が見られないことが好ましい。
【0202】
安定性基準はPh.Eur.及びEMAのガイドラインにそれぞれ準拠していることが好ましく、2016年9月に有効なエディションに準拠していることが好ましい。
【0203】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は、特に本発明による容器中に収容されている場合、高圧滅菌後のタペンタドールの分解生成物の含有量は、高圧滅菌前の本組成物中に元々含有されていたタペンタドールの総含有量に対して、及びタペンタドール遊離塩基の重量を基準にして0.80重量%以下、または0.75重量%以下、または0.70重量%以下、または0.65重量%以下、または0.55重量%以下、または0.50重量%以下、または0.45重量%以下、または0.40重量%以下、または0.35重量%以下、または0.30重量%以下、または0.25重量%以下、または0.20重量%以下、または0.15重量%以下、または0.10重量%以下、または0.75重量%以下、または0.05重量%以下、より好ましくは0.04重量%以下、及び最も好ましくは0.03重量%以下である。
【0204】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は、特に本発明による容器中に収容されている場合、10回の高圧滅菌後のタペンタドールの分解生成物の含有量は、好ましくはそれぞれの場合において121℃、2barで20分間、初回高圧滅菌前の前記組成物中に元々含有されていたタペンタドールの総含有量に対して、及びタペンタドール遊離塩基の重量を基準にして4.0重量%以下、または3.9重量%以下、または3.8重量%以下、または3.7重量%以下、または3.6重量%以下、または3.5重量%以下、または3.2重量%以下、または3.1重量%以下、より好ましくは3.0重量%以下、または2.9重量%以下、または2.8重量%以下、または2.7重量%以下、または2.6重量%以下、または2.5重量%以下、または2.4重量%以下、または2.3重量%以下、または2.2重量%以下、または2.15重量%以下、または2.1重量%以下、尚より好ましくは2.0重量%以下、または1.9重量%以下、または1.8重量%以下、または1.7重量%以下、または1.6重量%以下、または1.50重量%以下、または1.4重量%以下、または1.3重量%以下、または1.2重量%以下、または1.1重量%以下、最もより好ましくは1.0重量%以下、または0.9重量%以下、または0.8重量%以下、または0.75重量%以下、または0.7重量%以下、または0.6重量%以下である。
【0205】
本発明による医薬組成物は、疼痛の治療における使用に対応したものであることが好ましい。
【0206】
したがって、本発明の更なる態様は、治療有効量の上記の本発明による医薬組成物を非経口投与することを含む、疼痛の治療方法に関する。本医薬組成物は、それを必要とする被験者に対して、上記のように本発明による容器内に提供しうる。
【0207】
更にそのうえ、本発明はまた、上記のような本発明による医薬組成物製造用のタペンタドールもしくはその生理学的に許容される塩の使用、または上記のような疼痛治療用の本発明による医薬組成物を含有する容器にも関する。タペンタドールは、タペンタドール塩酸塩の多形形態Aとして使用されることが好ましく、タペンタドール塩酸塩の多形形態Aは、先行技術から公知である。これに関しては、例えば、US2007/0213405号を参照することができる。形態Aは、15.1±0.2、16.0±0.2、18.9±0.2、20.4±0.2、22.5±0.2、27.3±0.2、29.3±0.2及び30.4±0.2を含むリストから選択されるCu Kα放射線を使用して測定されたときに粉末回折パターンで少なくとも1つ以上のX線ライン(2θ値)を示すことを特徴とするものであることが好ましい。
【0208】
疼痛は慢性疼痛または急性疼痛のいずれかでありうるが、急性疼痛の方が好ましい。
【0209】
疼痛は、炎症性疼痛、神経因性疼痛、内臓痛、陣痛、癌性疼痛、周術期疼痛、及び術後疼痛からなる群より選択されるものであることが好ましい。
【0210】
好ましい実施形態において、疼痛は癌性疼痛、好ましくは、癌によって引き起こされる神経障害性疼痛である。この神経障害性疼痛には、末梢神経に対する癌の直接的結果としての、または化学療法、外科手術もしくは放射線傷害の副作用としての、神経障害性疼痛が包含される。
【0211】
別の好ましい実施形態において、疼痛は周術期疼痛、または術後(外科手術後)疼痛である。
【0212】
尚別の好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は疼痛の応急処置における使用に対応したものである。
【0213】
本発明による組成物は、哺乳類における疼痛の治療における使用に対応したものであることが好ましい。哺乳類をヒトとするのが好ましく、ヒトを成人とするのが好ましい。
【0214】
本発明による組成物は、とりわけ本発明による容器中に収容されている場合、注射溶液、注射懸濁液、注入溶液、注入懸濁液、及びデポ製剤、例えば、デポ注射溶液、デポ注射懸濁液、インプラント及び注入ポンプからなる群から選択される非経口製剤とされることが好ましい。
【0215】
非経口製剤は、とりわけ患者が若年である場合または嚥下困難の問題がある場合に、経口製剤と比較して幾つかの利点を有し、例えば患者の体重に準じた厳密な量にて投薬することができる。更に、長期間(例えば、24時間)にわたる、例えば注入ポンプを介した継続的注入によって投与できる。
【0216】
好ましい実施形態において、本発明による非経口製剤は、輸液または輸液懸濁液である。
【0217】
別の好ましい実施形態において、非経口製剤は、注射溶液または注射懸濁液であり、好ましくは単回投薬単位形態または多回投薬単位形態である。多回投薬単位注射溶液は、注射バイアルに収容されたものが好ましく、一方、単回投薬単位形態は、単回使用シリンジに収容されたものが好ましい。
【0218】
尚別の好ましい実施形態において、非経口製剤は、埋め込み型注入ポンプのような、埋め込み型デバイスである。
【0219】
好ましい実施形態において、本発明による非経口製剤は、デポ製剤(徐放性製剤)である。
【0220】
例えば、デポ製剤は注入溶液または注入懸濁液であり、好ましくは筋肉内または皮下投与用にカスタマイズされたものであることが好ましい。
【0221】
デポ製剤は、メチルセルロース、ゼラチン、及び好ましくは分子量40,000g/mol以下のポリビドン(ポリビニルピロリドン)などの増粘賦形剤を更に含有するものであることが好ましい。増粘性賦形剤の種類及び量を好適に選択することにより、デポ製剤のデポ効果に対し影響を与えうる。
【0222】
デポ製剤は、少なくとも12時間または14時間、より好ましくは少なくとも16時間または18時間、尚より好ましくは少なくとも20時間、更により好ましくは少なくとも24時間、最も好ましくは少なくとも36時間、及び特に少なくとも48時間にわたって薬物を放出する機能を有することが好ましい。
【0223】
本デポ製剤は、急性疼痛及び/または手術後疼痛の治療用途に投与するのが好ましい。
【0224】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は、特に本発明による容器中に収容されている場合、局所投与に適している。この点に関して、局所投与には、障害部位と同一の部位、及び/または少なくともその付近に位置する部位に対する、本組成物の如何なる投与も包含される。とりわけ局所投与は、タペンタドールを所望される作用部位に対し直接的に送達することを目的とし、そのようにして全身的な副作用を回避する。このような状況下では、タペンタドールの全身濃度を治療量以下の濃度に維持すること、すなわち、治療中に薬物を全身投与するだけの場合、タペンタドールの全身濃度を、治療効果が見られるのに必要とされるレベルに達することがないようにすることが、好ましい。
【0225】
別の好ましい実施形態において、本発明による組成物は、とりわけ本発明による容器中に収容されている場合に、全身投与に適している。本実施形態において、組成物の投与は、タペンタドールの全身作用を誘発するという意義を有するものであることが好ましい。
【0226】
本発明による組成物は、注射または注入による非経口投与用に適合されていることが好ましい。
【0227】
本発明による組成物は、タペンタドールの非経口投与用に適合されている。非経口投与は、注入または注射により進行させうる。
【0228】
注入溶液または懸濁液は、連続的に、間欠的に、もしくは自己調節にて投与することができる。投与を目的とする場合、埋め込み型注入ポンプ、非埋め込み型注入ポンプ、及び脊椎ポンプなどの注入デバイスを使用できる。
【0229】
組成物の投与は、筋肉内投与、静脈内投与、皮下投与、硬膜外投与、髄腔内投与、脊髄内投与及び/または脳室内投与にて進展しうる。特に好ましいのは、静脈内投与である。
【0230】
好ましい実施形態では、髄腔内投与または硬膜外投与のいずれかで、好ましくは注入により脊髄内投与にて、投与を進展させうる。脊髄内投与は、周術期疼痛、術後疼痛、陣痛及び癌性疼痛から選択される疼痛を治療するのに特に好適である。脊髄内投与の投薬量は、患者によるか、または適切な定常もしくは間欠注入速度を選択するかのいずれかによって、注入ポンプによって制御することが可能である。
【0231】
別の好ましい実施形態では、筋肉内投与、静脈内投与または皮下投与にて、投与を進展させうる。この種の投与は、遠位端における疼痛の局所治療または領域治療に、特に好適である。
【0232】
デポ製剤は、筋肉内投与または皮下投与するのが好ましい。
【0233】
本発明の別の態様は、それぞれ本発明による医薬組成物、または本発明による容器の調製プロセスに関し、本プロセスは以下の工程を含む。
(a) タペンタドールまたはその生理学的に許容される塩と、水と、緩衝剤系と、を含む混合物を調製する工程。
【0234】
好ましい実施形態において、タペンタドールは、15.1±0.2、16.0±0.2、18.9±0.2、20.4±0.2、22.5±0.2、27.3±0.2、29.3±0.2及び30.4±0.2を含むリストから選択されるCu Kα放射線を使用して測定されたときに粉末回折パターンで少なくとも1つ以上のX線ライン(2θ値)を示すことを特徴とするものであることが好ましい、タペンタドール塩酸塩の多形形態Aとして使用される。
【0235】
本発明による組成物及び本発明による容器をそれぞれ製造する過程では、プロセス工程後に得られる中間混合物を不活性ガス、好ましくは窒素でパージすることによって、溶存酸素を放出し、組成物上部のガス雰囲気からの酸素の混入を回避することが好ましい。
【0236】
本発明によるプロセスの工程(a)は、本組成物へのあらゆる成分の添加に関する副工程を含む。この副工程は、添加、溶解/混合のほか、不活性ガス、好ましくは窒素でのパージを含むことが好ましい。
【0237】
ゆえに、本発明によるプロセスの工程(a)は、以下の副工程を含むことが好ましい。 - 注射用水を供給し、不活性ガスでパージする、副工程(a);
- 緩衝液系、好ましくはクエン酸ナトリウム二水和物を添加する、副工程(a); - タペンタドール、好ましくはタペンタドール塩酸塩を添加し、溶解させて、不活性ガスでパージする、副工程(a);
- 等張化剤、好ましくは塩化ナトリウムを加えて溶解させて、不活性ガスでパージする、副工程(a);
- 酸、好ましくは塩酸を添加し、混合し、不活性ガスでパージする副工程(a);ならびに
- 注射用水を更に加え、混合し、不活性ガスをパージする、副工程(a)。
【0238】
副工程(a)~(a)は、番号順に実行してもよいし、または他の任意の順序で実行してもよい。
【0239】
本発明によるプロセスは、以下の工程からなる群から選択される1つ以上の追加的な工程を含むことが好ましい。
(b) 混合物を不活性ガスでパージする工程;及び/または
(c) 好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.5μm以下、尚より好ましくは0.2μm以下の平均孔径のフィルターで混合物を濾過する工程;及び/または
(d) 混合物を適切な容器、好ましくはガラス製アンプル中に充填する工程;及び/または
(e) 混合物を高温高圧にて、好ましくは121℃、2barで少なくとも20分間高圧滅菌する工程。
【0240】
工程(b)、(c)、(d)及び/または(e)は、アルファベット順に実行することが好ましい。
【0241】
本発明はまた、上記の本発明によるプロセスで得られる組成物または容器に関する。
【0242】
本発明の別の態様は、上記の本発明による容器とパッケージングとを具備し、本容器がパッケージングによってパッケージされている、キットに関する。本容器は組成物の一次パッケージングと見なしうる。一方、本パッケージングは前記一次パッケージングの二次パッケージングと見なしうる。
【0243】
それゆえ、本発明による組成物がガラス製アンプルのような容器中に収容されている場合、前記容器はパッケージングによって更にパッケージされることが好ましい。パッケージングは、それは印刷された情報を含み、及び/または光に対する障壁として供するものであることが好ましい。
【0244】
本パッケージングは、可視光に対して不透明な材料で作られていることが好ましい。
【0245】
本パッケージングは使い捨て式であることが好ましい。好適なパッケージング材料は当業者に公知であり、限定されるものではないが、紙、ボール紙、プラスチック、及び金属箔が挙げられる。本パッケージングはボール紙を含むか、または本質的にボール紙からなることが好ましい。
【0246】
本容器中に収容され且つ本パッケージングによってパッケージされている本組成物は、光安定性であることが好ましい。
【0247】
好ましい実施形態において、本キットを24時間540Wh/m2のUV照射、及び1320kL×hの照射に曝露させた後の、前記組成物中のタペンタドールの分解生成物の含有量は、本組成物をUV照射に曝露させる前に本組成物中に元々含有されていたタペンタドールの総含有量に対して、及びタペンタドール遊離塩基の重量を基準にして0.05重量%以下、より好ましくは0.04重量%以下、及び最も好ましくは0.03重量%以下である。
【0248】
本発明の別の態様は、上記のような本発明の医薬組成物の調製を用途とするタペンタドールもしくはその生理学的に許容される塩の使用、または上記のような本発明の容器の使用に関する。
【0249】
タペンタドールは、15.1±0.2、16.0±0.2、18.9±0.2、20.4±0.2、22.5±0.2、27.3±0.2、29.3±0.2及び30.4±0.2を含むリストから選択されるCu Kα放射線を使用して測定されたときに粉末回折パターンで少なくとも1つ以上のX線ライン(2θ値)を示すことを特徴とするものであることが好ましい、タペンタドール塩酸塩の多形形態Aとして使用される。
【0250】
以下の実施例は、本発明を更に例証するものであるが、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
【0251】
基準溶液
15mg/mLのタペンタドールを含有する基準溶液を、下表に従って調合した。
【0252】
【表4】
【0253】
この溶液はpH値が6.7であると測定された。ゆえに、本溶液は、pH値が高すぎるという点で、本発明には適さない。
【0254】
注射溶液
タペンタドール濃度を20mg/mLとする様々な静脈内投与用の注射溶液を調製した。それぞれの場合において、塩酸1モル適量を、pH値2.0(比較例)、3.0(比較例)、5.0(本発明)、5.5(本発明)及び7.0(比較例)の調整に必要とされる各々の量にて加えた。1モル適量の水酸化ナトリウムを加えることによって、緩衝剤濃度0.10重量%及び0.05重量%でpH値を調整した。
【0255】
バッチサイズは1000mL、1500mL、3000mL及び50000mLであった。容量2.00mLがガラス製アンプルに充填された。
【0256】
【表5】
【0257】
【表6】
【0258】
【表7】
【0259】
【表8】
【0260】
【表9】
【0261】
pH2にて比較組成物(すなわち組成物1A、2A、3A、4A及び5A)、pH3にて比較組成物(すなわち組成物1B、2B、3B、4B及び5B)、pH5にて本発明の組成物(すなわち組成物1C、2C、3C、4C及び5C)、pH5.5にて本発明の組成物(すなわち組成物1D、2D、3D、4D及び5D)、ならびにpH7にて比較組成物(すなわち組成物1E、2E、3E、4E及び5E)をそれぞれ2bar且つ121℃で20分間1回高圧滅菌し(「1x高圧滅菌」)、2bar且つ121℃で20分間10回高圧滅菌した(「10x高圧滅菌」)。
【0262】
a)高圧滅菌した際のpH値変化
【0263】
それぞれの場合において、高圧滅菌前(「IPC pH」)、高圧滅菌1回後(「1x高圧滅菌」)及び高圧滅菌10回後(「10x高圧滅菌」)の組成物のpH値をpH3、5及び7にて測定した。実験結果は、下表に要約されている。「ΔpH 1x-10x」に、10回の高圧滅菌後のpH値の相対的変化を、高圧滅菌を1回行った場合と比較して示す。「ΔpH IPC-10x」に、10回の高圧滅菌後のpH値の相対的な変化を、高圧滅菌前の初期pH値と比較して示す。
【0264】
【表10】
【0265】
【表11】
【0266】
【表12】
【0267】
上記の実験データから、pH値7.0にて0.05~0.63重量%の範囲の全ての緩衝剤濃度で高圧滅菌した際に全ての組成物のpH値が低下したことを、結論付けることができる。更にそのうえ、pH値3.0ではpH値の微増が観察された一方、pH値5.0では全ての組成物のpH値が高圧滅菌に対して堅牢であったように思われる。
【0268】
概括すると、全ての緩衝剤濃度にて、pH値5.0の組成物が、過酷な貯蔵条件下でのpH安定性に最も優れていた。
【0269】
b)高圧滅菌した際の外観変化
【0270】
それぞれの場合において、1回の高圧滅菌後(「1x高圧滅菌」)及び10回の高圧滅菌後(「10x高圧滅菌」)に、pH3、5、及び7で組成物の外観を視覚的に評価した。実験結果は、下表に要約されている。
【0271】
【表13】
【0272】
【表14】
【0273】
【表15】
【0274】
上記の実験データから、pH7.0にて0.05~0.63重量%の範囲の全ての緩衝液濃度で10回高圧滅菌した後に帯黄色の不純物が形成されたことを、結論付けることができる。pH3.0及びpH5.0では、そのような形成を視覚的に観察できなかった。
【0275】
概括すると、全ての緩衝剤濃度にて、pH値3.0及びpH値5.0の組成物は、pH値7.0の組成物に比べて、過酷な貯蔵条件下でのpH安定性に優れていた。
【0276】
c)高圧滅菌した際のアッセイ(%LS)の変化
【0277】
pH3、pH5、及びpH7の組成物については、それぞれの場合においてタペンタドールの残留濃度をアッセイにより算定した。1回の高圧滅菌後(「1x高圧滅菌」)及び10回の高圧滅菌後(「10x高圧滅菌」)のタペンタドールの測定残留濃度を、初期調整濃度20mg/mLを基準にして算定した。実験結果は、下表に要約されている。「Δアッセイ」に、10回の高圧滅菌後の相対的変化を、高圧滅菌を1回行った場合と比較して示す。
【0278】
【表16】
【0279】
【表17】
【0280】
【表18】
【0281】
上記の実験データから、pH7.0にて0.05~0.63重量%の範囲の全ての緩衝液濃度で高圧滅菌した際にタペンタドールの残留濃度が低下したことを、結論付けることができる。更にそのうえ、pH値7.0以下では、緩衝液濃度を上昇させることによってタペンタドールの安定性を向上させることが可能であると思われる。この安定性向上は、pH3.0にて特に顕著であり、緩衝剤濃度を0.05重量%とした場合にタペンタドールの残留濃度は相対的に1.5%低下した。一方、緩衝剤濃度を0.20重量%以上に上昇させると、相対的な減少はそれぞれ僅か0.4%及び0.5%となった。
【0282】
概括すると、全ての緩衝剤濃度にて、pH値3.0及び5.0の組成物は、pH値7.0の組成物に比べて、過酷な貯蔵条件下での安定性に優れていた。更にそのうえ、緩衝液濃度を上昇させると安定化効果が得られる。
【0283】
d)高圧滅菌した際の劣化(面積%)
【0284】
全ての組成物、すなわちpH2、pH3、pH5、pH5.5及びpH7にて、それぞれの場合におけるタペンタドールの劣化生成物をHPLCで分析した。1回の高圧滅菌後(「1x高圧滅菌」)及び10回の高圧滅菌後(「10x高圧滅菌」)のタペンタドールの、多様な既知または未知の分解生成物の総量を測定した。実験結果は、下表に要約されている。
【0285】
【表19】
【0286】
【表20】
【0287】
【表21】
【0288】
【表22】
【0289】
【表23】
【0290】
下表に、10回の高圧滅菌後の結果を、試験された全てのpH値及び試験された全ての緩衝液濃度における全ての劣化生成物の総数と対照して要約してある。
【0291】
【表24】
【0292】
また、図1にも、結果が視覚化されている(◆0.63重量%緩衝液、■0.40重量%緩衝液、▲0.20重量%緩衝液、△0.10重量%緩衝液、○0.05重量%緩衝液)。
【0293】
上記の実験データから、本発明のタペンタドールによるpH範囲内では、予期せず化学的分解に対して安定化されると結論付けることができる。更にそのうえ、比較pH2.0及び比較pH7.0では、化学分解の程度も同様に、緩衝液濃度と相関すると思われる。pH2.0では緩衝剤が相対的安定化効果を発揮する(緩衝剤濃度が高いほど形成される劣化生成物が少ない)のに対して、pH7.0では緩衝剤が逆の相対的不安定化効果を発揮する(緩衝剤濃度が高いほど、形成される劣化生成物が多い)と思われる。これは予期しないことであった。一方、本発明のpH5.0及び5.5では化学分解に対するタペンタドールの安定性が実質的に向上し、緩衝液濃度と相関しなくなる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.タペンタドールまたはその生理学的に許容される塩を含む、非経口投与用の水性医薬組成物であって、前記タペンタドールの濃度が、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び前記組成物の総容量を基準にして8.00mg/mL超であり、前記組成物が緩衝系を含み、且つ前記組成物のpH値が3.0超~6.7未満の範囲内にある、前記組成物。
2.貯蔵された際に安定である、上記1に記載の組成物。
3.貯蔵された際に加速貯蔵条件下40℃且つ相対湿度75%にて、少なくとも3か月間にわたって安定である、上記2に記載の組成物。
4.貯蔵後の前記組成物のpH値が、貯蔵前の前記組成物の初期pH値から0.4pH単位を超えて相対的に変化することのない、上記3に記載の組成物。
5.貯蔵前及び貯蔵中/貯蔵後に、特に3か月を超える貯蔵期間中/貯蔵後に、好ましくは6か月を超える貯蔵期間中/貯蔵後に、より好ましくは12か月を超える貯蔵期間中/貯蔵後に、最も好ましくは少なくとも24か月間にわたる貯蔵期間中/貯蔵後に無色である、上記3または4に記載の組成物。
6.貯蔵前の前記組成物中に元々含有されていたタペンタドールの総含有量に対して、及びタペンタドール遊離塩基の重量を基準にして、貯蔵後のタペンタドールの分解生成物の含有量が1.0重量%以下である、上記3~5のいずれかに記載の組成物。
7.高圧滅菌した際に安定であり、好ましくは高圧滅菌した際にpH値に変化が見られない、上記のいずれかに記載の組成物。
8.121℃且つ2barにて20分間高圧滅菌した際に安定であり、好ましくはこれらの条件下にて高圧滅菌した際にpH値に変化が見られない、上記7に記載の組成物。
9.10回の高圧滅菌後のタペンタドールの分解生成物の含有量が、初回高圧滅菌前の前記組成物中に元々含有されていたタペンタドールの総含有量に対して、及びペンタドール遊離塩基の重量を基準にして2.15重量%以下、好ましくは1.50重量%以下、より好ましくは0.75重量%以下である、上記8に記載の組成物。
10.前記組成物中の分子状酸素含有量が、前記組成物の総容量を基準にして9.0mg/L以下である、上記のいずれかに記載の組成物。
11.前記組成物中の分子状酸素含有量が、前記組成物の総容量を基準にして0.2mg/L以下である、上記10に記載の組成物。
12.前記組成物2.0mlを内容積3.0mlで純粋な窒素ガスを含有する密閉ガラス製アンプル中に充填したときに、前記充填されたアンプルが、前記組成物を液相として含むほか、前記液相より上部のヘッドスペースにて気相として含み、且つ前記液相中に溶解しているガスと前記気相中のガスとを平衡化させたときに、前記気相中の分子状酸素含有量が2.5%Vbar以下である、上記のいずれかに記載の組成物。
13.前記pH値が、好ましくは高圧滅菌の前及び後に、3.0~6.5、または3.1~6.5、または3.5~6.5の範囲内にある、上記のいずれかに記載の組成物。
14.前記pH値が、好ましくは高圧滅菌の前及び後に、3.5~6.0または4.0~6.0の範囲内にある、上記13に記載の組成物。
15.前記pH値が、好ましくは高圧滅菌の前及び後に、4.5~5.5の範囲内にある、上記14に記載の組成物。
16.前記緩衝系が少なくとも1つの共役塩基と少なくとも1つの共役酸とを含み、前記少なくとも1つの共役塩基及び前記少なくとも1つの共役酸が、互いに独立に、カルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、及びホスホン酸塩からなる群から選択される、互いに独立した1つ以上のプロトン化または脱プロトン化酸性官能基を含む、上記のいずれかに記載の組成物。
17.前記少なくとも1つの共役塩基及び少なくとも1つの共役酸が、クエン酸塩、クエン酸水素塩、クエン酸二水素塩及びクエン酸からなる群から選択される、上記のいずれかに記載の組成物。
18.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総重量を基準にしてならびに前記組成物の総重量を基準にして少なくとも0.03重量%である、上記16または17に記載の組成物。
19.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総重量を基準にしてならびに前記組成物の総重量を基準にして少なくとも0.08重量%である、上記18に記載の組成物。
20.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総重量を基準にしてならびに前記組成物の総重量を基準にして少なくとも0.13重量%である、上記19に記載の組成物。
21.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総重量を基準にしてならびに前記組成物の総重量を基準にして少なくとも0.18重量%である、上記20に記載の組成物。
22.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総重量を基準にしてならびに前記組成物の総重量を基準にして少なくとも0.23重量%である、上記21に記載の組成物。
23.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総重量を基準にしてならびに前記組成物の総重量を基準にして1.16重量%以下である、上記16~22のいずれかに記載の組成物。
24.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総重量を基準にしてならびに前記組成物の総重量を基準にして1.03重量%以下である、上記23に記載の組成物。
25.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総重量を基準にしてならびに前記組成物の総重量を基準にして0.90重量%以下である、上記24に記載の組成物。
26.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総重量を基準にしてならびに前記組成物の総重量を基準にして0.77重量%以下である、上記25に記載の組成物。
27.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総重量を基準にしてならびに前記組成物の総重量を基準にして0.65重量%以下である、上記26に記載の組成物。
28.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総重量を基準にしてならびに前記組成物の総重量を基準にして0.03~1.16重量%の範囲内にある、上記16~27のいずれかに記載の組成物。
29.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総重量を基準にしてならびに前記組成物の総重量を基準にして0.08~1.03重量%の範囲内にある、上記28に記載の組成物。
30.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総重量を基準にしてならびに前記組成物の総重量を基準にして0.13~0.90重量%の範囲内にある、上記29に記載の組成物。
31.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総重量を基準にしてならびに前記組成物の総重量を基準にして0.18~0.77重量%の範囲内にある、上記30に記載の組成物。
32.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総含有量を基準にしてならびに前記組成物の総容量を基準にして少なくとも1.0mmol/Lである、上記16~31のいずれかに記載の組成物。
33.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総含有量を基準にしてならびに前記組成物の総容量を基準にして少なくとも3.0mmol/Lである、上記32に記載の組成物。
34.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総含有量を基準にしてならびに前記組成物の総容量を基準にして少なくとも5.0mmol/Lである、上記33に記載の組成物。
35.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総含有量を基準にしてならびに前記組成物の総容量を基準にして少なくとも7.0mmol/Lである、上記34に記載の組成物。
36.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総含有量を基準にしてならびに前記組成物の総容量を基準にして少なくとも9.0mmol/Lである、上記35に記載の組成物。
37.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総含有量を基準にしてならびに前記組成物の総容量を基準にして45mmol/L以下である、上記16~36のいずれかに記載の組成物。
38.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総含有量を基準にしてならびに前記組成物の総容量を基準にして40mmol/L以下である、上記37に記載の組成物。
39.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総含有量を基準にしてならびに前記組成物の総容量を基準にして35mmol/L以下である、上記38に記載の組成物。
40.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総含有量を基準にしてならびに前記組成物の総容量を基準にして30mmol/L以下である、上記39に記載の組成物。
41.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総含有量を基準にしてならびに前記組成物の総容量を基準にして25mmol/L以下である、上記40に記載の組成物。
42.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総含有量を基準にしてならびに前記組成物の総容量を基準にして1.0~45mmol/Lの範囲内にある、上記16~39のいずれかに記載の組成物。
43.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総含有量を基準にしてならびに前記組成物の総容量を基準にして3.0~40mmol/Lの範囲内にある、上記42に記載の組成物。
44.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総含有量を基準にしてならびに前記組成物の総容量を基準にして5.0~35mmol/Lの範囲内にある、上記43に記載の組成物。
45.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総含有量を基準にしてならびに前記組成物の総容量を基準にして7.0~30mmol/Lの範囲内にある、上記44に記載の組成物。
46.前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との合計濃度が、前記少なくとも1つの共役塩基と前記少なくとも1つの共役酸との総含有量を基準にしてならびに前記組成物の総容量を基準にして9.0~25mmol/Lの範囲内にある、上記45に記載の組成物。
47.タペンタドールがタペンタドール塩酸塩として存在する、上記のいずれかに記載の組成物。
48.タペンタドールが、15.1±0.2、16.0±0.2、18.9±0.2、20.4±0.2、22.5±0.2、27.3±0.2、29.3±0.2及び30.4±0.2を含むリストから選択されるCu Kα放射線を使用して測定されたときに粉末回折パターンで少なくとも1つ以上のX線ライン(2θ値)を示すことを特徴とする、可溶化タペンタドール塩酸塩形態Aとして存在する、上記のいずれかに記載の組成物。
49.前記タペンタドールの濃度が、前記タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び前記組成物の総容量を基準にして10±1.5mg/mLの範囲内にある、上記のいずれかに記載の組成物。
50.前記タペンタドールの濃度が、前記タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び前記組成物の総容量を基準にして12.5±4.0mg/mLの範囲内にある、上記1~48のいずれかに記載の組成物。
51.前記タペンタドールの濃度が、前記タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び前記組成物の総容量を基準として15±6.5mg/mLの範囲内にある、上記1~48のいずれかに記載の組成物。
52.前記タペンタドールの濃度が、前記タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び前記組成物の総容量を基準にして17.5±9.0mg/mLの範囲内にある、上記1~48のいずれかに記載の組成物。
53.前記タペンタドールの濃度が、前記タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び前記組成物の総容量を基準にして20±11.5mg/mLの範囲内にある、上記1~48のいずれかに記載の組成物。
54.前記タペンタドールの濃度が、前記タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び前記組成物の総容量を基準として25±16.5mg/mLの範囲内にある、上記1~48のいずれかに記載の組成物。
55.前記タペンタドールの濃度が、前記タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び前記組成物の総容量を基準にして30±21.5mg/mLの範囲内にある、上記1~48のいずれかに記載の組成物。
56.前記タペンタドールの濃度が、前記タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び前記組成物の総容量を基準として40±31.5mg/mLの範囲内にある、上記1~48のいずれかに記載の組成物。
57.前記タペンタドールの濃度が、前記タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び前記組成物の総容量を基準として50±41.5mg/mLの範囲内にある、上記1~48のいずれかに記載の組成物。
58.前記タペンタドールの濃度が、前記タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして及び前記組成物の総容量を基準にして60±51.5mg/mLの範囲内にある、上記1~48のいずれかに記載の組成物。
59.等張化剤を含む、上記のいずれかに記載の組成物。
60.前記等張化剤が塩化ナトリウムである、上記59に記載の組成物。
61.浸透圧モル濃度が少なくとも0.20osmol/Lである、上記のいずれかに記載の組成物。
62.浸透圧モル濃度が0.36osmol/L以下である、上記のいずれかに記載の組成物。
63.浸透圧モル濃度が0.28±0.08osmol/Lの範囲内にある、上記のいずれかに記載の組成物。
64.滴定酸性度が1.8mmol/L以下である、上記のいずれかに記載の組成物。
65.滴定酸性度が1.0~1.8mmol/Lの範囲内にある、上記のいずれかに記載の組成物。
66.酸化防止剤及び/またはキレート剤がいっさい含有されていない、上記のいずれかに記載の組成物。
67.保存料がいっさい含有されていない、上記のいずれかに記載の組成物。
68.容量が1.0~3.0mLの範囲内にある、上記のいずれかに記載の組成物。
69.タペンタドール含有量が、前記タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして5.0mg~600mgの範囲内にある、上記のいずれかに記載の組成物。
70.タペンタドール含有量が、前記タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして25±15mg、または50±15mg、または75±15mg、または100±15mg、または150±15mg、または200±15mg、または250±15mgの範囲内にある、上記69に記載の組成物。
71.疼痛の治療における使用に対応したものである、上記のいずれかに記載の組成物。72.前記疼痛が哺乳動物において治療の対象とされる、上記71に記載の使用のための組成物。
73.前記哺乳動物がヒトである、上記72に記載の使用のための組成物。
74.前記ヒトが成人患者である、上記73に記載の使用のための組成物。
75.前記疼痛が急性疼痛である、上記71~74のいずれかに記載の使用のための組成物。
76.前記組成物が注射または注入により投与される、上記71~75のいずれかに記載の使用のための組成物。
77.前記組成物が静脈内投与される、上記71~76のいずれかに記載の使用のための組成物。
78.上記のいずれかに記載の医薬組成物を含む容器。
79.ガラス製アンプルである、上記78に記載の容器。
80.前記ガラスが、欧州薬局方によるI型ガラスである、上記79に記載の容器。
81.前記組成物を1.0~500mL、好ましくは10±5mL、または15±10mL、または20±10mL、または25±10mL、または30±10mL、または35±10mL、または40±10mL、または45±10mL、または50±25mL、または75±25mL、または100±25mL、または150±50mL、または200±50mL、または250±50mL、または300±100mL、または400±100mL、または500±100mLの量で含む、上記78~80のいずれかに記載の容器。
82.前記組成物を液相として含むほか、前記液相より上部のヘッドスペース中に気相として含み、前記気相の分子状酸素含有量が2.5%Vbar以下である、上記78~81のいずれかに記載の容器。
83.タペンタドールを、タペンタドール遊離塩基の重量を基準にして5.0mg~600mg、好ましくは25±15mg、または50±15mg、または75±15mg、または100±15mg、または150±15mg、または200±15mg、または250±15mgの量で含む、上記78~82のいずれかに記載の容器。
84.(a)タペンタドールもしくはその生理学的に許容される塩と水と緩衝剤系とを含む混合物を調製する工程を含む、上記1~77のいずれかに記載の医薬組成物、または上記78~83のいずれかに記載の容器の調製プロセス。
85.タペンタドールが、15.1±0.2、16.0±0.2、18.9±0.2、20.4±0.2、22.5±0.2、27.3±0.2、29.3±0.2及び30.4±0.2を含むリストから選択されるCu Kα放射線を使用して測定されたときに粉末回折パターンで少なくとも1つ以上のX線ライン(2θ値)を示すことを特徴とする、タペンタドール塩酸塩の多形形態Aとして使用される、上記84に記載のプロセス。
86.(b)前記混合物を不活性ガスでパージする工程と、(c)前記混合物をフィルターに通して濾過する工程と、(d)前記混合物を適切な容器に充填する工程と、(e)前記混合物を高温高圧下で高圧滅菌する工程と、からなる群から選択される1つ以上の追加的な工程を含む、上記84または85に記載のプロセス。
87.上記84~86のいずれかに記載のプロセスによって得られる、医薬組成物または容器。
88.上記1~上記77のいずれかに記載の医薬組成物、もしくは上記78~83のいずれかに記載の容器の調製に対応したものである、タペンタドールまたはその生理学的に許容される塩の使用。
89.タペンタドールをタペンタドール塩酸塩の多形形態Aとして用いる、上記88に記載の使用。
90.上記78~83のいずれかに記載の容器とパッケージングとを具備するキットであって、前記容器が前記パッケージングによってパッケージされている、前記キット。
91.前記パッケージングが、可視光に対して不透明な材料で作られている、上記90に記載のキット。
92.前記パッケージングがボール紙を含む、上記90または91に記載のキット。
93.前記容器中に収容され且つ前記パッケージングによってパッケージされている前記組成物が、光安定性である、上記90~92のいずれかに記載のキット。
94.前記キットを24時間540Wh/mのUV照射、及び1320kL×hの照射に曝露させた後の、前記組成物中のタペンタドールの分解生成物の含有量が、前記組成物をUV照射に曝露させる前の前記組成物中に元々含まれていた前記タペンタドールの総含有量に対して、及びタペンタドール遊離塩基の重量を基準にして0.05重量%以下である、上記93に記載のキット。
【図面の簡単な説明】
【0294】
図1】また、図1にも、結果が視覚化されている(◆0.63重量%緩衝液、■0.40重量%緩衝液、▲0.20重量%緩衝液、△0.10重量%緩衝液、○0.05重量%緩衝液)。
図1