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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】被覆粒子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 5/00 20060101AFI20221018BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20221018BHJP
   H01B 5/16 20060101ALI20221018BHJP
   H01R 11/01 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
H01B5/00 M
H01B5/00 C
H01B13/00 501P
H01B5/16
H01R11/01 501E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019517556
(86)(22)【出願日】2018-04-25
(86)【国際出願番号】 JP2018016879
(87)【国際公開番号】W WO2018207627
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2017092627
(32)【優先日】2017-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017163388
(32)【優先日】2017-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000230593
【氏名又は名称】日本化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成橋 智真
(72)【発明者】
【氏名】佐野 夏博
(72)【発明者】
【氏名】古井 恵里
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特許第6458204(JP,B1)
【文献】国際公開第2002/035555(WO,A1)
【文献】国際公開第2003/025955(WO,A1)
【文献】特開2005-149764(JP,A)
【文献】特表2007-537572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 5/00
H01B 13/00
H01B 5/16
H01R 11/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材粒子表面に金属皮膜が形成された導電性の金属被覆粒子と、該金属被覆粒子を被覆するポリマーからなる絶縁層と、を有する被覆粒子であって、
前記絶縁層が、ホスホニウム基を有しており、且つガラス転移温度Tgが40℃以上100℃以下であり、
前記芯材粒子が、ガラス転移温度を有しないか、ガラス転移温度が100℃超である、被覆粒子。
【請求項2】
前記絶縁層が、絶縁性微粒子からなり、該微粒子がその表面にホスホニウム基を有するか、或いは、前記絶縁層がホスホニウム基を有する皮膜である、請求項1に記載の被覆粒子。
【請求項3】
前記芯材粒子が、樹脂材料からなる請求項1又は2に記載の被覆粒子。
【請求項4】
前記金属が、ニッケル、金、ニッケル合金及び金合金から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~3の何れか1項に記載の被覆粒子。
【請求項5】
前記絶縁性微粒子の平均粒子径が10nm以上3,000nm以下である請求項2に記載の被覆粒子。
【請求項6】
前記絶縁性微粒子の変動係数(C.V.)が0.1%以上10%以下である請求項2又はに記載の被覆粒子。
【請求項7】
芯材粒子表面に金属が形成された金属被覆粒子が、ポリマーからなる絶縁層に被覆された被覆粒子の製造方法であって、
ホスホニウム基を有する重合性化合物と、エステル結合を有する重合性化合物とを含む重合性組成物を重合させて、表面にホスホニウム基を有し且つガラス転移温度Tgが40℃以上100℃以下である絶縁性微粒子を得る工程と、
絶縁性微粒子を含む分散液と金属被覆粒子とをTg-30℃以上Tg+30℃以下の温度条件下において混合して、金属被覆粒子表面に絶縁性微粒子を付着させる工程、とを有する被覆粒子の製造方法(但し、Tgは絶縁性微粒子のガラス転移温度である)。
【請求項8】
金属被覆粒子表面に絶縁性微粒子を付着させた被覆粒子を、更に加熱して絶縁性微粒子を膜状にする工程を有する請求項7に記載の被覆粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性粒子が絶縁層に被覆された被覆粒子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂粒子の表面にニッケルや金などの金属を形成させた導電性粒子は、導電性接着剤、異方性導電膜、異方性導電接着剤等の導電性材料として使用されている。
近年、電子機器類の一層の小型化に伴い、電子回路の回路幅やピッチはますます小さくなっている。それに伴い、上述の導電性接着剤、異方性導電膜、異方性導電接着剤等に用いられる導電性粒子として、その粒径が小さいものが求められている。このような小さい粒径の導電性粒子を使用した場合、その接続性を高めるためには導電性粒子の配合量を増加させなければならない。しかしながら、導電性粒子の配合量を増加させると、意図しない方向への導通、すなわち対向電極間とは異なる方向への導通により短絡が生じてしまい、該方向における絶縁性が得難いことが問題となっている。この問題を解決するために、導電性粒子の表面を絶縁性の物質で被覆して、導電性粒子の金属層同士の接触を防止した絶縁被覆導電性粒子が使用されている。
【0003】
例えば特許文献1には、導電性の金属からなる表面を有する粒子を核とし、その表面を、該金属に対して結合性を有する官能基を含有する有機化合物からなる有機粒子により部分的に修飾してなる被覆粒子が記載されており、前記有機化合物は正又は負の電荷を有していることが記載されている。
また特許文献2では、特許文献1と同様の被覆粒子が記載されている。同文献には、該被覆粒子が、絶縁粒子が金属に対して結合性を有する官能基を介して導電性の金属からなる表面を有する粒子に化学結合することにより、単層の被覆層を形成していると記載されている。同文献には、このような構成の被覆粒子は、該被覆粒子を電極間で熱圧着することで絶縁性微粒子が溶融、変形又は剥離することにより金属被覆粒子の金属表面が露出することで有機粒子電極間での導通を可能とし接続性が得られる旨が記載されている。
【0004】
また特許文献3には、金属との結合力を有するヘテロ元素又は官能基を表面に含む絶縁性樹脂微粒子を金属被覆粒子の表面に塗布した後、これを加熱することにより、金属被覆粒子の表面に粒子形状を有しない絶縁層を有する異方性絶縁導電性粒子が得られることが記載されている。
【0005】
また特許文献4には、絶縁性の物質からなる樹脂粒子のガラス転移温度を考慮することにより該樹脂粒子の導電性粒子との密着性を高めることが記載されている。また特許文献5及び6には、絶縁性粒子としてコアシェル粒子をコア粒子のガラス転移温度よりもシェル層のガラス転移温度を高くすることで被覆粒子が変形・溶融しやすくなり、電極と導電被覆粒子間の導電接続しやすくなる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】US2004109995 A1
【文献】US2006154070 A1
【文献】国際公開第2005/109448号パンフレット
【文献】特開2012-72324号公報
【文献】特開2005-149764号公報
【文献】特開2012-155958号公報
【発明の概要】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の従来の絶縁性微粒子に被覆された被覆粒子では、絶縁性微粒子と金属被覆粒子との密着性が十分なものとはいえず、このため、絶縁性の物質を被覆しても、導電性材料の製造時やデバイス製造の熱圧着時などに導電性粒子の表面から剥落する場合があり、結局、短絡が生じてしまう問題があった。
また、特許文献3に記載の被覆導電性粒子は、加熱前の中間体である絶縁性微粒子で被覆された状態の金属被覆粒子における絶縁性微粒子の官能基、及び、該絶縁性微粒子を加熱してなる皮膜が電荷を有するものではないため、金属被覆粒子との密着性が得がたいものであった。また仮に金属被覆粒子表面に絶縁性粒子を付着させることができたとしても、官能基が電荷を有するものではないため絶縁性微粒子が金属被覆粒子表面において単層となりにくかった。これらの点より、この絶縁性微粒子を加熱して得られる被覆粒子には、接続信頼性の点で改善の余地があった。
特許文献4に記載の樹脂粒子も、表面に電荷を有するものではないため、特許文献3と同様の課題を有するものであった。
【0008】
また、特許文献5及び6に記載のように絶縁性微粒子を、比較的ガラス転移温度が高いシェルからなるコアシェル粒子で構成した場合、コア粒子のガラス転移温度が低くても、シェル粒子がコア粒子と金属被覆粒子との接触を阻害する存在となりうるため、絶縁性微粒子と金属被覆粒子との密着性が十分なものとなるとは考えにくい。
【0009】
そこで本発明の目的は、絶縁性微粒子が単層で金属被覆粒子に付着しやすいのみならず、従来よりも絶縁性物質と導電性粒子との密着性に優れ、導電性接着剤、異方性導電膜、異方性導電接着剤等の導電性材料として今まで以上に接続信頼性に優れた絶縁被覆導電性粒子を提供することにある。
【0010】
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、絶縁性の物質として電荷を表面に有し、且つ、特定のガラス転移点を有する絶縁層は、従来の絶縁層と比べて金属被覆粒子からより剥離しにくく、これにより、被覆導電性材料として今までにない優れた接続信頼性を有しうることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち本発明は、芯材粒子表面に金属皮膜が形成された導電性の金属被覆粒子と、該金属被覆粒子を被覆するポリマーからなる絶縁層と、を有する被覆粒子であって、
前記絶縁層が、電荷を有しており、且つガラス転移温度Tgが40℃以上100℃以下である、被覆粒子を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、芯材粒子表面に金属が形成された金属被覆粒子が、ポリマーからなる絶縁層に被覆された被覆粒子の製造方法であって、
電荷を有する重合性化合物と、エステル結合を有する重合性化合物とを含む重合性組成物を重合させて、表面に電荷を有し且つガラス転移温度Tgが40℃以上100℃以下である絶縁性微粒子を得る工程と、
絶縁性微粒子を含む分散液と金属被覆粒子とをTg-30℃以上Tg+30℃以下の温度条件下において混合して、金属被覆粒子表面に絶縁性微粒子を付着させる工程、とを有する被覆粒子の製造方法(但し、Tgは絶縁性微粒子のガラス転移温度である)を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、製造例1で得られた絶縁性微粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真である。
図2図2は、製造例2で得られた絶縁性微粒子をSEMで観察した写真である。
図3図3は、実施例1で得られた被覆粒子をSEMで観察した写真である。
図4図4は、実施例2で得られた被覆粒子をSEMで観察した写真である。
図5図5は、実施例3で得られた被覆粒子をSEMで観察した写真である。
図6図6は、比較例1で得られた被覆粒子をSEMで観察した写真である。
図7図7は、比較例2で得られた被覆粒子をSEMで観察した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を好ましい実施形態に基づき説明する。
本実施形態の被覆粒子は、芯材粒子表面に金属皮膜が形成された導電性の金属被覆粒子が、ポリマーからなる絶縁層に被覆された被覆粒子であって、
前記絶縁層が、電荷を有しており、且つガラス転移温度Tgが前記芯材粒子のガラス転移温度よりも低い。
【0015】
金属被覆粒子としては、導電性接着剤、異方性導電膜、異方性導電接着剤に従来用いている公知のものを用いることができる。
金属被覆粒子における芯材としては、粒子状であり、無機物であっても有機物であっても特に制限なく用いることができる。無機物の芯材粒子としては、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、ハンダ等の金属粒子、合金、ガラス、セラミック、シリカ、金属または非金属の酸化物(含水物も含む)、アルミノ珪酸塩を含む金属珪酸塩、金属炭化物、金属窒化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属リン酸塩、金属硫化物、金属酸塩、金属ハロゲン化物及び炭素等が挙げられる。一方、有機物の芯材粒子としては、例えば、天然繊維、天然樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブテン、ポリアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルニトリル、ポリアセタール、アイオノマー、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、金属からなる芯材粒子に比べて比重が小さくて沈降し難く、分散安定性に優れ、樹脂の弾性により電気接続を維持し易いという点で、樹脂材料からなる芯材粒子が好ましい。
【0016】
芯材粒子として有機物を用いる場合、ガラス転移温度を有しないか、或いは、そのガラス転移温度は100℃超であることが、異方導電接続工程において芯材粒子の形状が維持されやすいことや金属皮膜を形成する工程において芯材粒子の形状を維持しやすい点から好ましい。また芯材粒子がガラス転移温度を有する場合、ガラス転移温度は、200℃以下であることが、異方導電接続において導電性粒子が軟化しやすく接触面積が大きくなることで導通が取りやすくなる点から好ましい。この観点から、芯材粒子がガラス転移温度を有する場合、ガラス転移温度は、100℃超180℃以下であることがより好ましく、100℃超160℃以下であることが特に好ましい。ガラス転移温度は、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
【0017】
芯材粒子として有機物を用いる場合において、その有機物が高度に架橋した樹脂であるときは、ガラス転移温度は下記実施例に記載の方法にて200℃まで測定を試みても、ほとんど観測されない。本明細書中ではこのような粒子をガラス転移温度を有しない粒子ともいい、本発明においては、このような芯材粒子を用いてもよい。前記のこのようなガラス転移温度を有しない芯材粒子材料としては、前記で例示した有機物を構成する単量体に、架橋性の単量体を併用して共重合させることにより得ることができる。架橋性の単量体としては、テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシドジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンオキシド(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメテロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の多官能ビニル系単量体、ビニルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン含有系単量体、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル等の単量体が挙げられる。特にCOG(Chip on Glass)実装向けではこのような硬質な有機材料による芯材粒子が多く使用される。
【0018】
芯材粒子の形状は、特に制限はない。一般に、芯材粒子は球状である。しかし、芯材粒子は球状以外の形状、例えば、繊維状、中空状、板状又は針状であってもよく、その表面に多数の突起を有するもの又は不定形のものであってもよい。本発明においては、充填性に優れるという点で、球状の芯材粒子が好ましい。
金属被覆粒子の形状は、芯材粒子の形状にもよるが、特に制限はない。例えば、繊維状、中空状、板状又は針状であってもよく、その表面に多数の突起を有するもの又は不定形のものであってもよい。本発明においては、充填性、接続性に優れるという点で、球状又は多数の突起を有する形状であることが好ましい。
【0019】
金属被覆粒子における金属皮膜は、導電性を有するものであり、その構成金属としては、例えば、金、白金、銀、銅、鉄、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、コバルト、インジウム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、アルミニウム、クロム、パラジウム、タングステン、モリブデン等の金属又はこれらの合金のほか、ITO、ハンダ等の金属化合物等が挙げられる。なかでも金、銀、銅、ニッケル、パラジウム又はハンダが抵抗が少ないため好ましく、とりわけ、ニッケル、金、ニッケル合金又は金合金が、抵抗が少なく絶縁性微粒子との結合性が高いために好適に用いられる。金属被覆粒子における金属は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
金属皮膜は、単層構造であっても、複数層からなる積層構造であってもよい。複数層からなる積層構造である場合には、最表層が、ニッケル、金、ニッケル合金又は金合金であることが好ましい。
【0021】
また金属皮膜は、芯材粒子の表面全体を被覆していなくてもよく、その一部のみを被覆していてもよい。芯材粒子の表面の一部のみを被覆している場合は、被覆部位が連続していてもよく、例えばアイランド状に不連続に被覆していてもよい。金属皮膜の厚さは0.001μm以上2μm以下が好ましく挙げられる。
【0022】
金属被覆粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上50μm以下、より好ましくは1μm以上30μm以下である。金属被覆粒子の平均粒子径が上記範囲内であることで、得られる被覆粒子が対向電極間とは異なる方向での短絡を発生させることなく、対向電極間での導通を確保しやすい。なお、本発明において、金属被覆粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて測定した値である。具体的には、金属被覆粒子の平均粒子径は実施例に記載の方法にて測定される。なお、粒子径は、円形の金属被覆粒子像の径である。金属被覆粒子が球状でない場合、粒子径は、金属被覆粒子像を横断する線分のうち最も大きい長さ(最大長さ)をいう。
【0023】
芯材粒子の表面に金属皮膜を形成する方法としては、蒸着法、スパッタ法、メカノケミカル法、ハイブリダイゼーション法等を利用する乾式法、電解めっき法、無電解めっき法等を利用する湿式法が挙げられる。また、これらの方法を組み合わせて芯材粒子の表面に金属皮膜を形成してもよい。
【0024】
金属被覆粒子を被覆する絶縁層はポリマーから構成され、且つ、電荷を有している。絶縁層としては、複数の絶縁性微粒子からなり、該微粒子がその表面に電荷を有するか、或いは、前記絶縁層が電荷を有する連続皮膜であるものが挙げられる。連続皮膜とは、絶縁層を構成する材料が散点状に存在することを除く趣旨である。連続皮膜は、完全被覆であることを要せず、金属被覆粒子の表面の一部を被覆している場合には、該皮膜の被覆部位が連続していてもよく、例えばアイランド状に不連続に被覆していてもよい。
【0025】
絶縁層がポリマーからなる絶縁性微粒子である場合、被覆粒子を電極間で熱圧着することで絶縁性微粒子が溶融、変形、剥離又は金属被覆粒子表面を移動することにより熱圧着された部分における金属被覆粒子の金属表面が露出し、これにより電極間での導通を可能として接続性が得られる。一方、被覆粒子における熱圧着方向以外の方向を向く表面部分は、絶縁性微粒子による金属表面の被覆状態が概ね維持されているため、熱圧着方向以外の方向における導通が防止される。
【0026】
絶縁層が皮膜である場合、被覆粒子を電極間で熱圧着することで皮膜が溶融、変形又は剥離することにより金属被覆粒子の金属表面が露出し、これにより電極間での導通を可能とし接続性が得られる。特に、被覆粒子を電極間で熱圧着することで皮膜が破けることにより金属表面が露出する場合が多い。一方、被覆粒子における熱圧着方向とは異なる方向を向く表面部分では、皮膜による金属表面の被覆状態が概ね維持されているため、熱圧着方向以外の方向における導通が防止される。
【0027】
絶縁層が微粒子である場合も皮膜である場合も、そのガラス転移温度Tgは、100℃以下である。このため絶縁性の微粒子及び皮膜と金属被覆粒子との密着性を容易に高めることができる。特に絶縁層が絶縁性微粒子である場合は、従来は点と点との接触であった絶縁性微粒子と金属被覆粒子との接触面積を高め、面と面との接触として両者の密着性を容易に高めることができる上、一の金属被覆粒子の表面上において微粒子同士の付着性を容易に高めることができる。このため本発明により、絶縁性の微粒子及び皮膜を金属被覆粒子から剥離しにくいものとすることができる。また、絶縁性微粒子及び皮膜のガラス転移温度Tgは40℃以上であることで、被覆粒子の保存時等の形状安定性や絶縁性微粒子及び皮膜の合成の容易性が得られる。絶縁性微粒子及び皮膜のガラス転移温度Tgは金属被覆粒子の芯材のガラス転移温度よりも低いことが一層接続信頼性の高い被覆粒子を得る点で好ましい。
特に本実施形態では絶縁性の微粒子又は皮膜である絶縁層として、電荷を有するものを用いることにより、微粒子又は皮膜である絶縁層と、金属被覆粒子との密着性を更に高めることができる。特に、絶縁層が微粒子である場合は、当該微粒子が表面に電荷を有することにより、凝集を防止しながら、絶縁性微粒子の金属被覆粒子へ単層で密着させることが可能である。このために、本発明では単層且つ高い被覆率の絶縁性微粒子の層により金属被覆粒子を被覆することができる。
以上の理由から、本発明の被覆粒子によれば、好適な横方向での絶縁性と対向電極間での確実な導電接続性が得やすく、接続信頼性を高めることができる。
【0028】
前述した点から、微粒子又は皮膜である絶縁層のガラス転移温度Tgは、95℃以下であることがより好ましく、90℃以下であることが特に好ましい。
絶縁層のガラス転移温度Tgは、45℃以上であることが、より好ましく、50℃以上であることが特に好ましい。ガラス転移温度は、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
【0029】
前記と同様の点から、芯材がガラス転移温度を有する場合、絶縁層のガラス転移温度Tgは、金属被覆粒子の芯材のガラス転移温度との差が160℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることが特に好ましい。また絶縁層のガラス転移温度と金属被覆粒子の芯材のガラス転移温度との差は、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましい。
【0030】
ガラス転移温度の測定方法は、例えば以下の方法が挙げられる。
示差走査熱量測定装置「STAR SYSTEM」(METTLER TOLEDO社製)を用いて、試料0.04~0.06gを、120℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで25℃まで冷却した。次いで試料を昇温速度5℃/minで昇温し、熱量を測定した。ピークが観測されるときはそのピークの温度を、ピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度をガラス転移温度とした。
【0031】
絶縁層のガラス転移温度Tgを前述した範囲内とする方法としては、絶縁性微粒子を構成するポリマーとして、構成単位の少なくとも一種が構造中にエステル結合を有するものを用いることが好ましい。これにより、ポリマーのガラス転移温度を好適に低いものとしやすいほか、所望の物性にコントロールし易い利点がある。
【0032】
前記のエステル結合を有する構成単位としては、エチレン性不飽和結合及びエステル結合を有する重合性化合物に由来するものが挙げられる。そのような重合性化合物としてはエステル類が挙げられる。エステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルベンゾエート等のビニルエステルや、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2-フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸3-フェニルプロピル、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のエステル等が挙げられる。
これらは更に置換されていてもよく、置換基としては、後述する電荷を有する官能基が挙げられる。これらのモノマーは、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0033】
エチレン性不飽和結合及びエステル結合を有する重合性化合物としては、その構造中にエステル結合を1つのみ有していても、2つ以上有していてもよい。構造中にエチレン性不飽和結合及びエステル結合を併せ持つ重合性化合物としては、その構造中に、-COOR又は-OCOR(R及びRはアルキル基、-は結合手である)で表される基を有するものが好ましく、とりわけ、これらの基がHC=CH*、又はHC=C(CH)*(*は、上記の-COOR又は-OCORで表される基における結合手の結合先である)に結合した化合物が好ましい。R及びRとしては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素原子数が1以上12以下であることが好ましく、2以上10以下であることがより好ましい。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
絶縁層を構成するポリマーは、構造中にエステル結合を有する構成単位に加えて、エステル結合を有しない構成単位を有することが好ましい。
エステル結合を有しない構成単位としては、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物に由来するものとして、スチレン類、オレフィン類、α,β不飽和カルボン酸類、アミド類、ニトリル類などが挙げられる。スチレン類としては、スチレン、o,m,p-メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン等の核置換スチレンやα-メチルスチレン、α-クロロスチレン、β-クロロスチレンなどのスチレン誘導体などが挙げられる。オレフィン類としては、エチレン、プロピレン等などが挙げられる。α,β不飽和カルボン酸類、としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられる。これらα,β不飽和カルボン酸の塩もα,β不飽和カルボン酸類に含まれる。アミド類としては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。ニトリル類としては、アクリロニトリル等が挙げられる。
これらは更に置換されていてもよく、置換基としては、後述する電荷を有する官能基が挙げられる。絶縁層を構成するポリマーとしては、とりわけ、スチレン類及びニトリル類から選ばれる少なくとも1種の重合体であることが、重合率が高い点、容易に球状にできる点で好ましい。これらのモノマーは、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0035】
絶縁層を構成するポリマーが、複数種の構成単位を有する場合、ポリマーにおけるそれらの構成単位の存在態様はランダムであっても交互であってもブロックであってもよい。絶縁層を構成するポリマーは架橋されていてもよく、非架橋であってもよい。
【0036】
絶縁層を構成するポリマーにおいて、全構成単位中、構造中にエステル結合を有する構成単位の割合は、0.1モル%以上であることが、ガラス転移温度Tgを好適に低下させる観点から好ましく、30モル%以下であることが絶縁性の微粒子や皮膜が被覆粒子の保管時に変形してしまうことなどを防止する点から好ましい。この観点から、全構成単位中、構造中にエステル結合を有する構成単位の割合は、0.2モル%以上28モル%以下であることがより好ましく、0.3モル%以上25モル%以下であることが特に好ましい。ここで、ポリマー中の構成単位の数は、1つの不飽和結合に由来する構造を1の構成単位としてカウントする。
【0037】
絶縁性微粒子の形状は、特に制限はなく、球状であってもよく、或いは球状以外の形状であってもよい。球状以外の形状としては例えば、繊維状、中空状、板状又は針状が挙げられる。また絶縁性微粒子はその表面に多数の突起を有するもの又は不定形のものであってもよい。金属被覆粒子への付着性の点や合成の容易性の点で球状の絶縁性微粒子が好ましい。絶縁性微粒子それ自体は、コア粒子表面にシェル粒子が付着したコアシェル構造を有しないものであることが好ましい。
【0038】
絶縁性微粒子は表面に電荷を有するものである。これにより本発明の被覆粒子は、表面に電荷を有さない絶縁性微粒子を有する被覆粒子に比べて、金属被覆粒子との密着性が高い。また上述したように、同じ電荷を表面に有する絶縁性微粒子同士は、互いに反発するため、絶縁性微粒子の凝集体が生じにくく、金属被覆粒子表面に単層の絶縁性微粒子の層を形成しやすい。本明細書中、絶縁性微粒子が電荷を有し、且つ走査型電子顕微鏡観察により絶縁性微粒子が金属被覆粒子表面に付着していることが確認できれば、「絶縁性微粒子が表面に電荷を有する」ことに該当するとする。またここでいう「絶縁性微粒子が電荷を有する」とは、金属被覆粒子に付着させる前の絶縁性微粒子それ自体が電荷を有することをいう。
【0039】
絶縁性微粒子は、表面に電荷を有する形態の一例として、電荷を有する官能基を表面に有することが好ましい。
絶縁性微粒子において前記の官能基は、絶縁性微粒子を構成する物質の一部として、該物質の化学構造の一部をなしていることが好ましい。絶縁性微粒子において官能基は、絶縁性微粒子を構成するポリマーの構成単位の少なくとも一種の構造中に含有されていることが好ましい。官能基は、絶縁性微粒子を構成するポリマーに化学結合していることが好ましく、より好ましくはポリマーの側鎖に結合している。本明細書中、絶縁性微粒子が電荷を有する官能基を有し、且つ走査型電子顕微鏡観察により絶縁性微粒子が金属被覆粒子表面に付着していることが確認できれば、「絶縁性微粒子が電荷を有する官能基を表面に有する」ことに該当するとする。
【0040】
官能基としては、正の電荷を有する官能基として、ホスホニウム基、アンモニウム基、スルホニウム基、アミノ基等が好適に挙げられる。また負の電荷を有する官能基として、カルボキシル基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、リン酸基等が好適に挙げられる。
【0041】
官能基としては、特にホスホニウム基、アンモニウム基、スルホニウム基等のオニウム系の官能基であることが、金属被覆粒子表面との結合性をより一層高める点で好ましい。
【0042】
オニウム系官能基は、下記一般式(1)で表されるものが好ましく、とりわけ、下記一般式(1)においてXがPであるものが好ましい。
【化1】
(式中、Xは窒素原子、リン原子又は硫黄原子であり、Rは互いに同じであっても異なっていてもよく、水素原子、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、又はアリール基である。nは、Xが窒素原子、リン原子の場合は1であり、Xが硫黄原子の場合は0である。*は結合手である。)
【0043】
Rで表される直鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基等が挙げられる。
【0044】
Rで表される分岐鎖状のアルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソペンチル基、s-ペンチル基、t-ペンチル基、イソヘキシル基、s-ヘキシル基、t-ヘキシル基、エチルヘキシル基等が挙げられる。
【0045】
Rで表される環状のアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基といったシクロアルキル基等が挙げられる。
【0046】
Rで表されるアリール基としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o-キシリル基等が挙げられる。
【0047】
Rで表されるアルキル基は、金属被覆粒子と絶縁性微粒子との密着性を高める点や、異方性導電膜の内部で熱圧着されたときに、絶縁性微粒子が金属被覆粒子から脱離して導通が確保されやすくなる点から、炭素数1以上12以下であることが好ましく、炭素数1以上10以下であることがより好ましく、炭素数1以上8以下であることが最も好ましい。また絶縁性微粒子が金属被覆粒子に近接し密着することが容易になる点から、Rで表されるアルキル基が直鎖状であることも好ましい。
【0048】
絶縁性微粒子の表面に電荷を有する官能基を有させる手法としては、絶縁性微粒子を、官能基を有するエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物を含む重合性組成物の重合体から構成することが好ましい。
【0049】
官能基を有するエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物としては、例えばオニウム系の官能基を有するエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物としてはN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N,N-トリメチル-N-2-メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド等のアンモニウム基含有モノマー;メタクリル酸フェニルジメチルスルホニウムメチル硫酸塩等のスルホニウム基を有するモノマー;4-(ビニルベンジル)トリエチルホスホニウムクロライド、4-(ビニルベンジル)トリメチルホスホニウムクロライド、4-(ビニルベンジル)トリブチルホスホニウムクロライド、4-(ビニルベンジル)トリオクチルホスホニウムクロライド、4-(ビニルベンジル)トリフェニルホスホニウムクロライド、2-(メタクリロイルオキシエチル)トリメチルホスホニウムクロライド、2-(メタクリロイルオキシエチル)トリエチルホスホニウムクロライド、2-(メタクリロイルオキシエチル)トリブチルホスホニウムクロライド、2-(メタクリロイルオキシエチル)トリオクチルホスホニウムクロライド、2-(メタクリロイルオキシエチル)トリフェニルホスホニウムクロライド等のホスホニウム基を有するモノマーなどが挙げられる。
【0050】
とりわけ、絶縁性微粒子を構成するポリマーは、スチレン類(スチレン系モノマー)からなる構成単位を有することがポリマーの入手容易性やポリマー合成の容易性の点から好ましく、とりわけ、スチレン類におけるベンゼン環に官能基が結合したモノマーを有することが好ましい。官能基はスチレン類のベンゼン環のCH基に対しパラ位、オルト位、メタ位の何れに結合していてもよく、パラ位に結合することが好ましい。とりわけスチレン類のベンゼン環に、上記一般式(1)の官能基が結合したもの(スチレン類のベンゼン環の炭素原子に、上記一般式(1)の官能基で表される結合手が結合したもの)が好ましい。例えば正の荷電を有する官能基に対する対イオンとしては、ハロゲン化物イオンが好適に挙げられる。ハロゲン化物イオンの例としては、Cl、F、Br、Iが挙げられる。
【0051】
また上述した通り、絶縁層が皮膜からなる場合も、皮膜が電荷を有することにより、皮膜が金属被覆粒子に密着させやすい。また後述するように皮膜が絶縁性微粒子を加熱してなる場合は、絶縁層の前駆体となる絶縁性微粒子を芯材粒子上に均一に配列することができるため、絶縁性微粒子の溶融によって得られる皮膜の膜厚を均一にできる効果がある。これらの理由によって、絶縁層が皮膜からなる場合も、皮膜が電荷を有することにより、対向電極間と異なる方向における短絡防止効果が発揮されやすく、当該方向での絶縁性が向上し、接続信頼性が高いものとなる。絶縁層が皮膜である場合、皮膜は金属被覆粒子の表面全体を被覆するものであってもよく、表面の一部を被覆するものであってもよい。
【0052】
皮膜の厚さとしては、10nm以上であることが、対向電極間と異なる方向における絶縁性の向上の点から好ましく、3,000nm以下であることが、対向電極間での導通しやすさの点で好ましい。この観点から、皮膜の厚さは、10nm以上3,000nm以下であることが好ましく、15nm以上2,000nm以下であることがより好ましい。
【0053】
絶縁性微粒子と同様、皮膜において電荷は、皮膜を構成する物質の一部として、該物質の化学構造の一部をなしていることが好ましい。皮膜において電荷は、皮膜を構成するポリマーの構成単位の少なくとも一種の構造中に含有されていることが好ましい。電荷は、皮膜を構成するポリマーに化学結合していることが好ましく、より好ましくはポリマーの側鎖に結合している。
皮膜が有する電荷の種類及び電荷を皮膜に有させる方法としては、上記絶縁性微粒子が有する上記の電荷の種類及び電荷を絶縁性微粒子に有させる方法と同様のものが挙げられる。
【0054】
絶縁層が皮膜である場合、金属被覆粒子を、その表面に電荷を有する絶縁性微粒子で被覆した後、該絶縁性微粒子を加熱させて得られた皮膜であることが好ましい。この場合、上述したように、金属被覆粒子に対し絶縁性微粒子が、金属被覆粒子に密着しやすく、これによって金属被覆粒子表面における絶縁性微粒子に被覆される割合が十分なものになるとともに金属被覆粒子からの絶縁性微粒子の剥離が防止されやすい。また、上述したように、電荷を有する絶縁性微粒子は、単層で金属被覆粒子を被覆しやすい。これらの理由から、金属被覆粒子を被覆する絶縁性微粒子を加熱して得られた皮膜を、厚みが均一で且つ金属被覆粒子表面における被覆割合の高いものとすることができる。
【0055】
なお、本来ならば、特定の絶縁性微粒子に加熱処理を施すことにより得られる皮膜の構造や特性については全て、何らかの手段を用いて測定した上で、本願明細書において直接明記することが望ましい。
しかしながら、少なくとも出願時においては、出願人の技術レベルでは本発明の効果と関係するその他の皮膜の構造又は特性を確認することができなかった。
また仮に全ての要因を突き止めたとしても、それら要因に係る皮膜の構造や特性を、新たな測定方法を確立して特定する必要があり、そのためには、著しく過大な経済的支出及び時間を要する。
以上の事情より、特許出願の性質上、迅速性等を必要とすることに鑑みて、出願人は、本発明の皮膜の好ましい特徴の一つとして、上記の製造方法にて製造されるものであることを記載した。
【0056】
絶縁性の微粒子又は皮膜を構成するポリマーにおいて、全構成単位中、官能基が結合した構成単位の割合は、0.01モル%以上5.0モル%以下であることが好ましく、0.02モル%以上2.0モル%以下であることがより好ましい。ここで、ポリマー中の構成単位の数は、1つのエチレン性不飽和結合に由来する構造を1の構成単位としてカウントする。
【0057】
絶縁性微粒子の平均粒子径(D)は、好ましくは10nm以上3,000nm以下、より好ましくは15nm以上2,000nm以下である。絶縁性微粒子の平均粒子径が上記範囲内であることで、得られる被覆粒子が対向電極間とは異なる方向での短絡を発生させることなく、対向電極間での導通を確保しやすい。なお、本発明において、絶縁性微粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡を用いた観察において測定した値であり、具体的には後述する実施例に記載の方法にて測定される。なお走査型電子顕微鏡画像において絶縁性微粒子が球状である場合は、粒子径は、円形の絶縁性微粒子像の径である。絶縁性微粒子が球状でない場合、粒子径は、絶縁性微粒子像を横断する線分のうち最も大きい長さ(最大長さ)をいう。
【0058】
前述の方法によって測定された絶縁性微粒子の粒度分布には幅がある。一般に、粉体の粒度分布の幅は、下記計算式(1)で示される変動係数(Coefficient of Variation、以下「C.V.」とも記載する)により表わされる。
C.V.(%)=(標準偏差/平均粒子径)×100・・・(1)
このC.V.が大きいということは粒度分布に幅があることを示し、一方、C.V.が小さいということは粒度分布がシャープであることを示す。本実施形態の被覆粒子は、C.V.が好ましくは0.1%以上10%以下、より好ましくは0.5%以上8%以下、最も好ましくは1%以上6%以下の絶縁性微粒子を用いることが望ましい。C.V.がこの範囲であることにより、絶縁性微粒子による被覆層の厚みを均一にできる利点がある。
【0059】
次いで本実施形態の被覆粒子の好適な製造方法について説明する。
本製造方法は、電荷を有する重合性化合物と、エステル結合を有する重合性化合物とを含む重合性組成物を重合させて、表面に電荷を有し且つガラス転移温度Tgが40℃以上100℃以下である絶縁性微粒子を得る第1工程と、
絶縁性微粒子を含む分散液と金属被覆粒子とをTg-30℃以上Tg+30℃以下の温度条件下において混合して、金属被覆粒子表面に絶縁性微粒子を付着させる第2工程(但し、Tgは絶縁性微粒子のガラス転移温度である)、とを有する。
【0060】
(第1工程)
電荷を有する重合性化合物と、エステル結合を有する重合性化合物とは、同一であってもよく、或いは異なっていてもよい。つまり上記重合性組成物は電荷を有する重合性化合物及びエステル結合を有する重合性化合物として、電荷を有し且つエステル結合を有する化合物のみを含有していてもよい。電荷を有する重合性化合物及びエステル結合を有する重合性化合物としては上述したものが挙げられる。またエチレン性重合性化合物全体中における電荷を有する重合性化合物及びエステル結合を有する重合性化合物についての構成比は、上記の構成単位の好ましい構成比を与えるものが挙げられる。
【0061】
重合方法としては、乳化重合、ソープフリー乳化重合、分散重合、懸濁重合等が挙げられ、何れであってもよいが、ソープフリー乳化重合であると、単分散な微粒子を界面活性剤を使用せずに製造できる利点があることから好ましい。ソープフリー乳化重合の場合、重合開始剤としては、水溶性開始剤が用いられる。重合は窒素やアルゴン等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。以上のようにしてガラス転移温度Tgが40℃以上100℃以下であり、表面に官能基を有する絶縁性微粒子が得られる。
【0062】
(第2工程)
次いで、絶縁性微粒子を含む分散液と金属被覆粒子とをTg-30℃以上Tg+30℃以下の温度条件下において混合して、金属被覆粒子表面に絶縁性微粒子を付着させる(但し、Tgは絶縁性微粒子のガラス転移温度である)。
分散液の液媒としては、水及び有機溶媒並びにその混合物が挙げられ、水が好ましい。
【0063】
分散液は無機塩又は有機塩を含有することが、被覆率が一定以上の被覆粒子を得やすい点から好ましい。無機塩および有機塩としては、陰イオンを解離するものが好適に用いられ、この陰イオンとしては、Cl、F、Br、I、SO 2-、CO 2-、NO 、COO等が好適である。無機塩としては、例えばNaCl、KCl、LiCl、MgCl、BaCl、NaF、KF、LiF、MgF、BaF、NaBr、KBr、LiBr、MgBr、BaBr、NaI、KI、LiI、MgI、BaI、NaSO、KSO、LiSO、MgSO、NaCO、NaHCO、KCO、KHCO、LiCO、LiHCO、MgCO、NaNO、KNO、LiNO、MgNO、BaNO等を用いることができる。また有機塩としては、シュウ酸Na、酢酸Na、クエン酸Na、酒石酸Na等を用いることができる。
【0064】
好ましい無機塩および有機塩の濃度は、金属被覆粒子表面積において絶縁性微粒子が占める被覆面積としてどの程度とするかにより異なるが、金属被覆粒子混合後の分散液中において、例えば、5mmol/L以上100mmol/L以下となる濃度であると、好適な被覆率を有し、また絶縁性微粒子が単層である被覆粒子を得やすいために好ましい。この観点から、当該分散液中の無機塩および有機塩の濃度は5mmol/L以上100mmol/L以下であることがより好ましく、10mmol/L以上80mmol/L以下であることが特に好ましい。
【0065】
分散液と混合する金属被覆粒子としては金属被覆粒子そのものであってもよく、金属被覆粒子の分散液であってもよい。金属被覆粒子混合後の分散液中に、絶縁性微粒子は質量基準で10ppm以上50,000ppm以下含有されていることが好ましく、250ppm以上10,000ppm以下含有されていることがより好ましい。金属被覆粒子混合後の分散液中に、金属被覆粒子は質量基準で100ppm以上100,000ppm以下含有されていることが好ましく、500ppm以上80,000ppm以下含有されていることがより好ましい。
【0066】
金属被覆粒子と混合する時点における分散液の温度は、ガラス転移温度Tgに対して30℃低い温度以上であることで、金属被覆粒子への絶縁性微粒子の付着性及び絶縁性微粒子同士の付着性を高める点ことができる。また分散液の温度はTg+30℃以下であることで絶縁性微粒子の形状を維持して、絶縁性微粒子と金属被覆粒子との間に好適な接触面積を得やすい。これらの観点から、金属被覆粒子と混合する時点における分散液の温度は、Tg-25℃以上Tg+25℃以下であることがより好ましく、Tg-15℃以上Tg+15℃以下であることが特に好ましい。
【0067】
金属被覆粒子混合後の分散液において、絶縁性微粒子の金属被覆粒子への付着に供する時間は、好ましくは0.1時間以上24時間以下である。この間、分散液を撹拌することが好ましい。次いで、分散液の固形分を必要に応じ、洗浄、乾燥し、官能基を有する絶縁性微粒子が金属被覆粒子表面に付着した被覆粒子が得られる。
【0068】
上述したように、絶縁性微粒子が金属被覆粒子表面に付着した被覆粒子を加熱することにより、絶縁性微粒子を溶融状態として、金属被覆粒子表面を膜状に被覆することができる。絶縁性微粒子を膜状にすることにより、絶縁性がより強固なものとなる。加熱する方法としては、絶縁性微粒子を金属被覆粒子表面に付着させた後の分散液を加温する方法、被覆粒子を水などの溶媒中で加温する方法、被覆粒子を空気などの気相中で加温する方法等が挙げられる。加熱温度としては、絶縁性微粒子が脱落することなく均一な膜状を形成しやすい点から、絶縁性微粒子を構成するポリマーのガラス転移温度をTgとしたときにTg+1℃以上Tg+60℃以下が好ましく、Tg+5℃以上Tg+50℃以下がより好ましい。また、被覆粒子を気相中で加温する場合、その圧力条件は大気圧下、減圧下又は加圧下で行うことができる。
【0069】
金属被覆粒子表面を膜状に被覆した被覆粒子は、皮膜をより安定化させるために、アニーリング処理を行ってもよい。アニーリング処理の方法としては、被覆粒子を不活性ガスなどの気相中で加温する方法等が挙げられる。加熱温度としては、絶縁性微粒子を構成するポリマーのガラス転移温度をTgとしたときにTg+1℃以上Tg+60℃以下が好ましく、Tg+5℃以上Tg+50℃以下がより好ましい。加熱雰囲気としては特に制限されず、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気又は空気等の酸化性雰囲気において、大気圧下、減圧下又は加圧下の何れの条件で行うこともできる。
【0070】
以上、好ましい製造方法を説明したが、本発明の被覆粒子は他の製造方法によっても製造することができる。例えば、電荷を有しない絶縁性微粒子を予め重合反応により製造し、得られた絶縁性微粒子に電荷を有する化合物と反応させる等して、絶縁性微粒子表面に電荷を導入してもよい。
【0071】
以上のようにして得られた被覆粒子は、電荷を有する絶縁性微粒子や絶縁性皮膜を用いた利点による被覆粒子間の絶縁性及び対向電極間での接続性を活かして、導電性接着剤、異方性導電膜、異方性導電接着剤等の導電性材料として好適に使用される。
【実施例
【0072】
以下、本発明を実施例により説明する。しかしながら本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。例中の特性は下記の方法により測定した。
【0073】
(1)平均粒子径
測定対象の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率100,000倍)から、任意に200個の粒子を抽出して、それらの粒子径を測定し、その平均値を平均粒子径とした。
【0074】
(2)C.V.(変動係数)
前記平均粒子径の測定から、下記式により求めた。
C.V.(%)=(標準偏差/平均粒子径)×100
【0075】
(3)ガラス転移温度
示差走査熱量測定装置(METTLER TOLEDO社製、STAR SYSTEM)にて昇降温速度5℃/min、窒素雰囲気下、測定温度25℃から200℃までの熱量変化を上記の手順で測定した。
【0076】
(製造例1)
長さ60mmの撹拌羽根を取り付けた200mLの4つ口フラスコに、純水を100mL投入した。その後、スチレンモノマー(関東化学(株)社製)30.00mmol、n-ブチルアクリレート(関東化学(株)社製)5.3mmol、4-(ビニルベンジル)トリエチルホスホニウムクロライド(日本化学工業(株)社製)0.03mmol、及び重合開始剤として2、2′-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業社製、V-50)0.50mmolを投入した。窒素を15分間通気し、溶存酸素を追い出した後、60℃に昇温し、6時間保持して重合反応を進行させた。重合後の微粒子の分散液を目開き150μmのSUS篩を通過させ、凝集物を除去した。凝集物を除去した分散液を、遠心分離機(日立工機(株)社製、CR-21N)にて20,000rpm、20分間の条件にて微粒子を沈降させ、上澄み液を除去した。得られた固形物に純水を加えて洗浄して、ポリ(スチレン/n-ブチルアクリレート/4-(ビニルベンジル)トリエチルホスホニウムクロライド)の球状の微粒子を得た。得られた微粒子の平均粒子径は245nmであり、C.V.が3.6%であった。またガラス転移温度は約62℃であった。得られた絶縁性微粒子のSEM写真を図1に示す。
【0077】
(製造例2)
製造例1と同じ反応装置を用いて、スチレンモノマー(関東化学(株)社製)30.00mmol、4-(ビニルベンジル)トリエチルホスホニウムクロライド(日本化学工業(株)社製)0.03mmol、及び重合開始剤として2、2′-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業社製、V-50)0.50mmolを投入し、製造例1と同じ条件で重合及び後処理を行い、ポリ(スチレン/4-(ビニルベンジル)トリエチルホスホニウムクロライド)の球状の微粒子を得た。得られた微粒子の平均粒子径は270nmであり、C.V.が3.9%であった。またガラス転移温度は約105℃であった。得られた絶縁性微粒子のSEM写真を図2に示す。
【0078】
(実施例1)
製造例1にて得られた微粒子の固形分濃度が質量基準で10,000ppmとなり、NaCl濃度が25mmol/Lとなり、全体が20mLとなるよう純水及びNaClを加えて微粒子分散液を調製した。この分散液に、粒子径が20μmのNiめっき粒子(日本化学工業株式会社製)を50mg投入し、70℃で15時間撹拌した。このNiめっき粒子は、架橋性のアクリル樹脂からなるガラス転移温度が120℃の球状の樹脂粒子の表面をニッケル皮膜の厚さが上記好ましい金属皮膜の厚さとして述べた範囲内の厚さとなるようにニッケルめっきした球状のものであった。撹拌後の分散液から目開きが10μmのメンブレンフィルターにより固形物を分離後、純水で洗浄、乾燥し、表面がポリ(スチレン/n-ブチルアクリレート/4-(ビニルベンジル)トリエチルホスホニウムクロライド)の微粒子により単層で被覆された被覆粒子を得た。得られた被覆粒子のSEM写真を図3に示す。
【0079】
(実施例2)
製造例1にて得られた微粒子の固形分濃度が質量基準で10,000ppmとなり、NaCl濃度が25mmol/Lとなり、全体が20mLとなるよう純水及びNaClを加えて微粒子分散液を調製した。この分散液に、粒子径が20μmのAuめっき粒子(日本化学工業株式会社製)を50mg投入し、70℃で15時間撹拌した。このAuめっき粒子は、架橋性のアクリル樹脂からなるガラス転移温度が120℃の球状の樹脂粒子の表面を金皮膜が上記好ましい金属皮膜の厚さとして述べた範囲内の厚さとなるように金めっきした球状のものであった。撹拌後の分散液から目開きが10μmのメンブレンフィルターにより固形物を分離後、純水で洗浄、乾燥し、表面がポリ(スチレン/n-ブチルアクリレート/4-(ビニルベンジル)トリエチルホスホニウムクロライド)の微粒子により単層で被覆された被覆粒子を得た。得られた被覆粒子のSEM写真を図4に示す。
【0080】
(実施例3)
実施例1で得られた被覆粒子50mgを、純水20mL中に投入し、80℃で6時間撹拌した。撹拌終了後、目開きが10μmのメンブレンフィルターにより固形物を分離後、乾燥して、金属被覆粒子の表面全体が厚さ150nmの皮膜に被覆された被覆粒子を得た。得られた被覆粒子のSEM写真を図5に示す。
なお、皮膜の厚さは下記方法で測定した。
【0081】
<皮膜の厚さの測定方法>
皮膜形成後の金属被覆粒子の直径を、SEMにより200個測長し、その平均値を算出した。同じく絶縁性微粒子を付着させる前の金属被覆粒子の直径を、SEMにより200個測長し、その平均値を算出した。これらの直径の平均値の差の半分を、皮膜の厚みとした。
【0082】
(比較例1)
製造例2にて得られた微粒子の固形分濃度が質量基準で10,000ppmとなり、NaCl濃度が25mmol/Lとなり、全体が20mLとなるよう純水及びNaClを加えて微粒子分散液を調製した。この分散液に、粒子径が20μmのNiめっき粒子(日本化学工業株式会社製)を50mg投入し、室温で15時間撹拌した。このNiめっき粒子は、実施例1で用いたものと同様のものであった。撹拌後の分散液から目開きが10μmのメンブレンフィルターにより固形物を分離後、純水で洗浄、乾燥し、表面がポリ(スチレン/4-(ビニルベンジル)トリエチルホスホニウムクロライド)の微粒子で被覆された被覆粒子を得た。得られた被覆粒子のSEM写真を図6に示す。
【0083】
(比較例2)
製造例2にて得られた微粒子の固形分濃度が質量基準で10,000ppmとなり、NaCl濃度が25mmol/Lとなり、全体が20mLとなるよう純水及びNaClを加えて微粒子分散液を調製した。この分散液に、粒子径が20μmのAuめっき粒子(日本化学工業株式会社製)を50mg投入し、室温で15時間撹拌した。このAuめっき粒子は、実施例2で用いたものと同様のものであった。撹拌後の分散液から目開きが10μmのメンブレンフィルターにより固形物を分離後、純水で洗浄、乾燥し、表面がポリ(スチレン/4-(ビニルベンジル)トリエチルホスホニウムクロライド)の微粒子で被覆された被覆粒子を得た。得られた被覆粒子のSEM写真を図7に示す。
【0084】
実施例1及び2並びに比較例1及び2で得られた被覆粒子の走査型電子顕微鏡画像をそれぞれ図3及び4並びに図6及び7に示す。これらの図から明らかな通り、実施例1及び2では、比較例1及び2に比べて金属被覆粒子への絶縁性微粒子との密着性が高く、金属被覆粒子表面における絶縁性微粒子の被覆率が高い。以上より、本発明の被覆粒子は、絶縁層が金属被覆粒子から剥離しにくく、優れた接続信頼性を有するものであり、また該被覆粒子を工業的に有利に製造できる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の被覆粒子は、絶縁層が有する電荷に起因して金属被覆粒子を単層で被覆することが可能であるのみならず、絶縁層のガラス転移温度の低さに起因して、絶縁層が金属被覆粒子からより剥離しにくく、優れた接続信頼性を有する。また本発明の被覆粒子の製造方法は、本発明の被覆粒子を工業的に有利な方法で製造できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7