(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】貯蔵安定なグリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステル
(51)【国際特許分類】
C07C 69/54 20060101AFI20221018BHJP
C07C 67/24 20060101ALI20221018BHJP
C07C 67/62 20060101ALI20221018BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20221018BHJP
【FI】
C07C69/54 Z
C07C67/24
C07C67/62
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2019539218
(86)(22)【出願日】2017-11-14
(86)【国際出願番号】 EP2017079124
(87)【国際公開番号】W WO2018133972
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2020-11-12
(32)【優先日】2017-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】パトリーク ハルトマン
(72)【発明者】
【氏名】マリータ カウフマン
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン クリル
(72)【発明者】
【氏名】トアベン シュッツ
(72)【発明者】
【氏名】マルツェル トレスコフ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ヴィットコフスキー
【審査官】東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-098031(JP,A)
【文献】特開平06-199962(JP,A)
【文献】特開平06-287241(JP,A)
【文献】特開平07-330847(JP,A)
【文献】特開昭63-141048(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0250923(US,A1)
【文献】特開2006-232832(JP,A)
【文献】特表2013-510116(JP,A)
【文献】特開昭58-131940(JP,A)
【文献】特開2003-176318(JP,A)
【文献】特開平10-265312(JP,A)
【文献】特開平10-226692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中、
R
1=HまたはCH
3、
R
2=水素、または
場合によりヒドロキシ置換基を有するC
1~C
30の脂肪族基、またはC
4~C
8の環サイズを有する非置
換の環状脂肪族基、またはC
1~C
8のハロゲン化脂肪族基、または
5もしくは6の炭素を有する環を有しかつ場合によりヒドロキシ置換基を有する芳香族基、または
5もしくは6の炭素を有する環を有する複素芳香族基、またはC
2~C
30の不飽和脂肪族基]のグリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステルであって、
式(II):
【化2】
[式中、
R
2=水素、または
場合によりヒドロキシ置換基を有するC
1~C
30の脂肪族基、またはC
4~C
8の環サイズを有する非置
換の環状脂肪族基、またはC
1~C
8のハロゲン化脂肪族基、または
5もしくは6の炭素を有する環を有しかつ場合によりヒドロキシ置換基を有する芳香族基、または
5もしくは6の炭素を有する環を有する複素芳香族基、またはC
2~C
30の不飽和脂肪族基]
のカルボン酸
および
前記式(II)のカルボン酸とは異なる式(III):
【化3】
[式中、
R
3=水素、または
場合によりヒドロキシ置換基を有するC
1~C
30の脂肪族基、またはC
4~C
8の環サイズを有する非置
換の環状脂肪族基、またはC
1~C
8のハロゲン化脂肪族基、または
5もしくは6の炭素を有する環を有しかつ場合によりヒドロキシ置換基を有する芳香族基、または
5もしくは6の炭素を有する環を有する複素芳香族基、またはC
2~C
30の不飽和脂肪族基]のカルボン酸が、単独でまたは混合して含まれており、
過剰の前記式(II)および(III)に記載の前記カルボン酸の任意の混合物が、グリシジル(メタ)アクリラートに対して、出発材料の添加の終了時に、1.001:1~5:1のモル比で含まれており、
かつ場合により、系に対して異種の任意のさらなるブレンステッド酸が含まれており、これらが合計で、含まれているグリシジル(メタ)アクリラートに対してモル過剰で含まれていることを特徴とする、グリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステル。
【請求項2】
過剰の前記式(II)および(III)に記載の前記カルボン酸の任意の混合物が、グリシジル(メタ)アクリラートに対して、出発材料の添加の終了時に、1.01:1~2:1のモル比で含まれていることを特徴とする、請求項1記載のグリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステル。
【請求項3】
式(I):
【化4】
[式中、
R
1=HまたはCH
3、
R
2=水素、または
場合によりヒドロキシ置換基を有するC
1~C
30の脂肪族基、またはC
4~C
8の環サイズを有する非置
換の環状脂肪族基、またはC
1~C
8のハロゲン化脂肪族基、または
5もしくは6の炭素を有する環を有しかつ場合によりヒドロキシ置換基を有する芳香族基、または
5もしくは6の炭素を有する環を有する複素芳香族基、またはC
2~C
30の不飽和脂肪族基]のグリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステルであって、
式(II):
【化5】
[式中、
R
2=水素、または
場合によりヒドロキシ置換基を有するC
1~C
30の脂肪族基、またはC
4~C
8の環サイズを有する非置
換の環状脂肪族基、またはC
1~C
8のハロゲン化脂肪族基、または
5もしくは6の炭素を有する環を有しかつ場合によりヒドロキシ置換基を有する芳香族基、または
5もしくは6の炭素を有する環を有する複素芳香族基、またはC
2~C
30の不飽和脂肪族基]
のカルボン酸
および場合により
前記式(II)のカルボン酸とは異なる式(III):
【化6】
[式中、
R
3=水素、または
場合によりヒドロキシ置換基を有するC
1~C
30の脂肪族基、またはC
4~C
8の環サイズを有する非置
換の環状脂肪族基、またはC
1~C
8のハロゲン化脂肪族基、または
5もしくは6の炭素を有する環を有しかつ場合によりヒドロキシ置換基を有する芳香族基、または
5もしくは6の炭素を有する環を有する複素芳香族基、またはC
2~C
30の不飽和脂肪基]のカルボン酸が、単独でまたは混合して含まれており、
過剰の前記式(III)に記載の前記カルボン酸の任意の混合物が、貯蔵の開始時に、
残留するグリシジル(メタ)アクリラートに対して、1.001:1~5:1のモル比で
含まれており、
かつ場合により、系に対して異種の任意のさらなるブレンステッド酸が含まれており、これらが合計で、貯蔵の開始時に、含まれているグリシジル(メタ)アクリラートに対してモル過剰で含まれていることを特徴とする、グリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステル。
【請求項4】
過剰の前記式(III)に記載の前記カルボン酸の任意の混合物が、貯蔵の開始時に、残留するグリシジル(メタ)アクリラートに対して、1.01:1~2:1のモル比で含まれていることを特徴とする、請求項
3記載のグリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステル。
【請求項5】
任意の酸およびグリシジル(メタ)アクリラートが、貯蔵の開始時に、生成物中に、1.001:1~5:1のモル比で含まれていることを特徴とする、請求項1または
3記載のグリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステル。
【請求項6】
請求項1または
3記載のグリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステルの製造方法であって、前記式(II):
【化7】
[式中、
R
2=水素、または
場合によりヒドロキシ置換基を有するC
1~C
30の脂肪族基、またはC
4~C
8の環サイズを有する非置
換の環状脂肪族基、またはC
1~C
8のハロゲン化脂肪族基、または
5もしくは6の炭素を有する環を有しかつ場合によりヒドロキシ置換基を有する芳香族基、または
5もしくは6の炭素を有する環を有する複素芳香族基、またはC
2~C
30の不飽和脂肪族基]
のカルボン酸に、グリシジル(メタ)アクリラートを連続的に添加することによって、前記式(II)
のカルボン酸とグリシジル(メタ)アクリラートとを触媒の存在下で20~130℃の温度で反応させ、
かつ
前記式(II)のカルボン酸とは異なる前記式(III):
【化8】
[式中、
R
3=水素、または
場合によりヒドロキシ置換基を有するC
1~C
30の脂肪族基、またはC
4~C
8の環サイズを有する非置
換の環状脂肪族基、またはC
1~C
8のハロゲン化脂肪族基、または
5もしくは6の炭素を有する環を有しかつ場合によりヒドロキシ置換基を有する芳香族基、または
5もしくは6の炭素を有する環を有する複素芳香族基、またはC
2~C
30の不飽和脂肪族基]のカルボン酸を、単独でまたは混合して、合計で、含まれているグリシジル(メタ)アクリラートに対してモル過剰で添加し、
出発材料の添加の終了時のカルボン酸(II)および(III)とグリシジル(メタ)アクリラートとのモル比を、前記カルボン酸(II)および(III)の添加によって、1.001:1~5:1に調整し、
かつ場合により貯蔵の前に、カルボン酸(II)および/または(III)および/またはブレンステッド酸を添加することを特徴とする、方法。
【請求項7】
グリシジル(メタ)アクリラートとカルボン酸(II)とを、触媒量のハロゲン化第四級アルキルアンモニウムの存在下で反応させることを特徴とする、請求項
6記載の方法。
【請求項8】
前記ハロゲン化第四級アルキルアンモニウムが、塩化ベンジルトリエチルアンモニウムであることを特徴とする、請求項
7記載の方法。
【請求項9】
カルボン酸が、(メタ)アクリル酸であることを特徴とする、
請求項1記載のグリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵安定なグリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステルおよびこれらのエステルの製造方法を記載する。
【0002】
グリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステルの製造方法は、従来技術から公知である。
【0003】
グリセロールジメタクリラートは、触媒量の第四級アンモニウム塩(特定の場合、これは、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム)の存在下で、グリシジルメタクリラートおよびメタクリル酸から製造される。
【0004】
従来技術には、触媒の存在下でのメタクリル酸およびグリシジルメタクリラートからのグリセロールジメタクリラートの製造方法が記載されている。有利には、第四級アンモニウム塩を触媒として使用する。
【0005】
この反応の場合、2%未満の未反応グリシジルメタクリラートが、生成物混合物中に残留する。グリシジルメタクリラートは、イン・ビトロ(in vitro)試験において、遺伝毒性を有することで公知である(OECD SIDSレポート「グリシジルメタクリラート」、2000年)。
【0006】
欧州特許出願公開第0054700号明細書(EP0054700)には、グリセロールジメタクリラートの製造方法が記載されている。この場合、メタクリル酸、塩化ベンジルトリエチルアンモニウムおよびp-メトキシフェノールから構成される混合物に、80℃の温度でグリシジルメタクリラートを加える。炭酸ナトリウム溶液での後処理、相分離および乾燥の後、混合物を、分別蒸留する。収率は、わずか75%である。さらに、生成物は、蒸留による精製の際に重合する。したがって、蒸留を、少量でしか行うことができず、大工業的な実施には経済的ではない。
【0007】
国際公開第2015/124458号(WO2015/124458)には、高純度のグリセロールジメタクリラートの製造方法が開示されている。欧州特許出願公開第0054700号明細書(EP0054700)に従って製造されたグリシジルメタクリラート含有グリセロールジメタクリラートの後処理(精製)のための酸性吸着剤の使用が記載されている。
【0008】
欧州特許出願公開第1693359号明細書(EP1693359)には、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートの製造が記載されている。この場合、エポキシド基含有化合物を、それぞれ少なくとも1つの直接結合したジ(シクロ)アルキルアミノ基を有するルイス酸の存在下でカルボン酸と反応させる。実施例では、生成物がGPCにおいて最大80面積%まで検出されたことが示されている。さらに、0.2質量%を下回るエポキシド含有量をもたらす付加的な方法工程が記載されている。使用されるルイス酸は、大工業的な反応に対しては重要ではなく、それというのも、ルイス酸は、世界市場では非常に少量で、高価格でしか入手できないからである。
【0009】
チェコスロバキア国特許出願公開第200395号明細書(CS200395)には、ヒドロキノンおよびトリエチルアミンの存在下で、(メタ)アクリル酸とグリシジル(メタ)アクリレートとの反応によってモノマー混合物を製造する方法が記載されている。後続の多段階精製は、アルカリ金属炭酸塩水溶液での抽出と、後続の硫酸水溶液での抽出と、最後の水での抽出とを含む。
【0010】
国際公開第2005090281号(WO2005090281)には、(メタ)アクリル酸と、2価、3価またはそれを上回る価数の化合物と架橋されたサリチル酸構造を有する化合物とを含有する歯科材料が記載されている。4-ヒドロキシサリチル酸を、水酸化ナトリウムおよびグリシジルメタクリラートと反応させる。4-ヒドロキシサリチル酸とグリシジルメタクリラートとのp位で結合した付加生成物は、わずか20%の収率でしか生じない。
【0011】
国際公開第0059982号(WO0059982)には、ポリカルボン酸無水物をアミンの存在下で、ポリオールと反応させ、引き続いて生成された酸をグリシジル(メタ)アクリラートまたはアリルグリシジルエーテルと反応させる、高度架橋ポリエステルの製造方法が記載されている。引き続いて、この生成物を、無水物と反応させる。
【0012】
欧州特許出願公開第951896号明細書(EP951896)には、2成分および多成分のラジカル重合性歯科材料の製造方法が記載されている。アクリル酸、メルカプトエタノールおよびラジカル開始剤の反応後、得られたオリゴカルボン酸の半分を、直接グリシジルメタクリラートとさらに反応させる。酸が大過剰であることから、不均化は起こらない。
【0013】
グリセロールジメタクリラートの貯蔵の場合、生成物の不均化が生じる可能性がある。この場合、グリセロールモノメタクリラートおよびグリセロールトリメタクリラートが生じる。
【0014】
貯蔵安定なグリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステルおよび貯蔵安定なグリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステルの製造方法を提供することが課題であった。
【0015】
前記課題は、式(I):
【化1】
[式中、
R
1=HまたはCH
3、
R
2=水素、またはC
1~C
30の脂肪族炭素、またはC
4~C
8の環サイズを有する非置換もしくはN、S、OもしくはPで置換された脂肪族環状炭素化合物、またはC
1~C
8のハロゲン化脂肪族炭素化合物、または芳香族炭素化合物、またはN、S、OもしくはPで置換された複素芳香族炭素化合物、またはC
2~C
30の不飽和脂肪族炭素化合物]の貯蔵安定なグリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステルであって、
式(II):
【化2】
[式中、
R
2=水素、またはC
1~C
30の脂肪族炭素、またはC
4~C
8の環サイズを有する非置換もしくはN、S、OもしくはPで置換された脂肪族環状炭素化合物、またはC
1~C
8のハロゲン化脂肪族炭素化合物、または芳香族炭素化合物、またはN、S、OもしくはPで置換された複素芳香族炭素化合物、またはC
2~C
30の不飽和脂肪族炭素化合物]の系に内因する(systemeigen)カルボン酸
および場合により式(III):
【化3】
[式中、
R
3=水素、またはC
1~C
30の脂肪族炭素、またはC
4~C
8の環サイズを有する非置換もしくはN、S、OもしくはPで置換された脂肪族環状炭素化合物、またはC
1~C
8のハロゲン化脂肪族炭素化合物、または芳香族炭素化合物、またはN、S、OもしくはPで置換された複素芳香族炭素化合物、またはC
2~C
30の不飽和脂肪族炭素化合物]のカルボン酸が、単独でまたは混合して含まれており、
かつ場合により、系に対して異種の(systemfremd)任意のさらなるブレンステッド酸が含まれており、これらが合計で、含まれているグリシジル(メタ)アクリラートに対してモル過剰で含まれていることを特徴とする、貯蔵安定なグリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステルによって解決される。
【0016】
本発明によれば、酸という概念は、式(II)の系に内因するカルボン酸と式(III)のカルボン酸の双方、およびそれらの混合物を含むが、系に対して異種のブレンステッド酸もまた含む。系に内因するカルボン酸(II)は、グリシジル(メタ)アクリラートと反応してグリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステル(I)を生成するカルボン酸を含む。貯蔵安定なグリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステル中の酸の合計のモル過剰は、過剰の系に内因するカルボン酸(II)単独の存在と任意の酸混合物の双方を含む。
【0017】
例えば、式(III)に記載の1種のカルボン酸または様々なカルボン酸の混合物は、合計で、モル過剰で含まれていてもよい。さらなる代替的形態では、あらゆるブレンステッド酸が、単独でまたは混合して提供されるが、式(II)の系に内因するカルボン酸および/または式(III)のカルボン酸ならびにそれらの混合物と混合しても提供される。
【0018】
本発明によれば、合計した酸のモル過剰は、酸と含まれているグリシジル(メタ)アクリラートとのモル比率の場合、1.001:1~1~5:1である。
【0019】
1.01:1~2:1の、酸とグリシジル(メタ)アクリラートとのモル比を有する貯蔵安定なグリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステルが好ましく、1.02:1~1.5:1の比率であることが特に好ましい。
【0020】
酸とグリシジル(メタ)アクリラートとの本発明による比率は、有利には、出発材料である系に内因するカルボン酸(II)およびグリシジル(メタ)アクリラートの添加の終了時に存在する。
【0021】
あるいはこの比率は、合成後、つまり貯蔵前にも存在する。
【0022】
貯蔵前に、式(II)に記載の系に内因するカルボン酸と、式(III)の系に対して異種のカルボン酸または系に対して異種の無機のブレンステッド酸との双方を添加することによって、比率の調整を行うことができることが判明した。系に内因するカルボン酸が、1.01:1~2:1の(メタ)アクリル酸とグリシジル(メタ)アクリラートとのモル比を有する(メタ)アクリル酸であることを特徴とする、貯蔵安定なグリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステルが特に好ましい。
【0023】
前記課題は、貯蔵安定なグリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステルの製造方法の提供によっても解決された。本発明による方法は、式(II):
【化4】
[式中、
R
2=水素、またはC
1~C
30の脂肪族炭素、またはC
4~C
8の環サイズを有する非置換もしくはN、S、OもしくはPで置換された脂肪族環状炭素化合物、またはC
1~C
8のハロゲン化脂肪族炭素化合物、または芳香族炭素化合物、またはN、S、OもしくはPで置換された複素芳香族炭素化合物、またはC
2~C
30の不飽和脂肪族炭素化合物]の系に内因するカルボン酸を装入し、グリシジル(メタ)アクリラートを連続的に添加することによって、前記式(II)の系に内因するカルボン酸とグリシジル(メタ)アクリラートとを触媒の存在下で20~130℃の温度で反応させ、
かつ場合により式(III):
【化5】
[式中、
R
3=水素、またはC
1~C
30の脂肪族炭素、またはC
4~C
8の環サイズを有する非置換もしくはN、S、OもしくはPで置換された脂肪族環状炭素化合物、またはC
1~C
8のハロゲン化脂肪族炭素化合物、または芳香族炭素化合物、またはN、S、OもしくはPで置換された複素芳香族炭素化合物、またはC
2~C
30の不飽和脂肪族炭素化合物]のカルボン酸を、単独でまたは混合して、
かつ/または場合により系に対して異種の任意のさらなるブレンステッド酸を、合計で、含まれているグリシジル(メタ)アクリラートに対してモル過剰で添加することを特徴とする。
【0024】
最終生成物における酸およびグリシジル(メタ)アクリラートの残留含有量の比率を狙い通りに調整することによって、明らかに改善された貯蔵安定性を、不均化の抑制によって達成することができることが判明した。
【0025】
貯蔵安定性とは、生成物が、30℃以上で貯蔵した後も、所定の生成物仕様を維持している期間を言う。所定の温度、例えば30℃または50℃で貯蔵した場合、不均化生成物の含有量が、最大値を超えないことが定められている。同時に、ジエステルに関する最小値を下回ってはならない。1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月および8ヶ月の貯蔵期間が定められる。
【0026】
本発明によれば、グリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステルは、85質量%のジエステルに関する限界値を下回らないか、3質量%のトリエステルに関する限界値を上回らない場合、貯蔵安定性である。驚くべきことに、酸が過剰の場合、グリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステルは、30℃で常に8ヶ月を上回って貯蔵安定性であることが判明した。50℃での貯蔵の場合、少なくとも3ヶ月、好ましくは、6ヶ月を上回って、極めて特に好ましくは、8ヶ月を上回って貯蔵安定性を達成することができる。
【0027】
酸とグリシジル(メタ)アクリラートとのモル比を1.001:1~5:1の比率に調整することは、相応する量の、系に内因するカルボン酸を使用することによって行われる。カルボン酸とグリシジル(メタ)アクリラートとのモル比を、好ましくは、1.01:1~2:1の比率に、特に好ましくは、1.02:1~1.5:1の比率に調整する。これらのモル比は、本発明によれば、出発材料の添加の終了時に存在する。
【0028】
驚くべきことに、合成後、とりわけ貯蔵前に酸を添加して1.001:1~5:1のモル比に調整することによって、出発材料の添加の終了時のカルボン酸とグリシジル(メタ)アクリラートとのモル比とは無関係に、貯蔵安定なグリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステルを製造できることが判明した。貯蔵前に、場合によっては酸の添加によって、酸とグリシジル(メタ)アクリラートとのモル比を、好ましくは、1.01:1~2:1に、特に好ましくは、1.02:1~1.5:1に調整する。
【0029】
酸とグリシジル(メタ)アクリラートとの必要なモル比を調整するためには、系に内因するカルボン酸が適切ではあるが、系に対して異種のカルボン酸を添加してもよいし、系に対して異種のブレンステッド酸を添加してもよいことが判明した。
【0030】
最終生成物における酸のモル含有量は、貯蔵時に、グリシジル(メタ)アクリラートのモル含有量よりも多くなければならない。
【0031】
グリセロール(メタ)アクリラートカルボン酸エステルは、異性体の混合物として存在する。異性体比は、反応条件に依存する。エポキシドの開環は、反応温度に応じてシフトし、ひいては、式(I)から構成される異性体AおよびBの分布に影響する。
【0032】
出発材料として、式(II):
【化6】
[式中、
R
1=HまたはCH
3、
R
2=水素、またはC
1~C
30の脂肪族炭素、またはC
4~C
8の環サイズを有する非置換もしくはN、S、OもしくはPで置換された脂肪族環状炭素化合物、またはC
1~C
8のハロゲン化脂肪族炭素化合物、または芳香族炭素化合物、またはN、S、OもしくはPで置換された複素芳香族炭素化合物、またはC
2~C
30の不飽和脂肪族炭素化合物]のカルボン酸を使用する。
【0033】
式(II)のカルボン酸は、水酸化物、ニトリル、エステル、アミド、ケトン、チオールおよびエーテルの群から選択される官能基を有する官能化脂肪族カルボン酸も含む。
【0034】
適切なカルボン酸は、以下の群から構成されている:ヒドロキシカルボン酸、飽和カルボン酸、不飽和および多価不飽和カルボン酸、芳香族カルボン酸、環状および複素環カルボン酸、複素芳香族カルボン酸、ならびにハロゲン化カルボン酸。
【0035】
カルボン酸は、ヒドロキシイソ酪酸(HIBS)、メタクリル酸、アクリル酸、酢酸、酪酸、ステアリン酸、安息香酸、サリチル酸、ニコチン酸、プロリン、オレイン酸、乳酸およびトリクロロ酢酸の群から選択されるのが、特に好ましい。
【0036】
カルボン酸は、グリシジル(メタ)アクリラートと反応する。この表記は、グリシジルメタクリラートとグリシジルアクリラートの双方を意味する。
【0037】
この方法は、20~130℃の温度、好ましくは、85~110℃の温度で実施される。
【0038】
130℃を超える温度の場合、重合の深刻な危険性が存在する。したがって、カルボン酸を装入し、グリシジル(メタ)アクリラートを、反応温度が所定の範囲内にとどまるように計量することが有利である。
【0039】
反応温度を上回る融点を有するカルボン酸は、反応条件下で高沸点性の不活性溶媒の使用を必要とする。適切な溶媒は、トルエン、ジメチルホルムアミド、ニトロベンゼン、ジブチルエーテル、クロロベンゼン、および高沸点性の溶媒の群からのさらなる溶媒である。
【0040】
反応を、好ましくは、触媒の存在下で行う。
【0041】
適切な触媒は、ハロゲン化第四級アルキルアンモニウム、トリフェニルホスフィン、酸化トリフェニルホスフィン、ヘキサメチレンテトラミン、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、N,N-ジメチルベンジルアミンおよび活性Cr(III)錯体である。
【0042】
塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、臭化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウムまたは臭化テトラブチルアンモニウムを使用することが特に好ましい。
【0043】
例
カルボン酸、0.05gのヒドロキノンモノメチルエーテルおよび9.60gの触媒としての塩化ベンジルトリエチルアンモニウムを、油循環部、底部出口バルブ、撹拌モータ付き磁器擢型ミキサー、500mlの供給漏斗ならびに温度計および空気導入口を備えた、1Lのウィットのフラスコに装入し、90℃に加熱した。90~91℃で、300gのグリシジル(メタ)アクリラートを、60分以内に添加する。供給終了後、このバッチを97℃に加熱し、ここで温度は、短期間で最高100℃に上昇する。このバッチを、97℃で10時間保持し、引続き冷却し、排出する。このようにして得られた生成物に対して、30および50℃での貯蔵安定性試験を実施し、生成物の不均化傾向を判定した。
【0044】
製造例1
カルボン酸として179gのメタクリル酸を使用することを特徴とする方法。
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:0.985
【表1】
結論:出発材料の添加の終了時に1:0.985のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0045】
製造例2
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1
例1と同様に実施するが、カルボン酸として181.7gのメタクリル酸を使用することを特徴とする方法。
【表2】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0046】
本発明による例3
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1.02
例1と同様に実施するが、カルボン酸として185.3gのメタクリル酸を使用することを特徴とする方法。
【表3】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1.02のモル化学量論で製造された生成物は、8ヶ月を上回る貯蔵安定性を有した。
【0047】
製造例4
例1と同様に実施するが、カルボン酸として124.8gの酢酸を使用することを特徴とする方法。
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:0.985
【表4】
結論:出発材料の添加の終了時に1:0.985のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0048】
製造例5
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1
例1と同様に実施するが、カルボン酸として126.7gの酢酸を使用することを特徴とする方法。
【表5】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0049】
本発明による例6
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1.02
例1と同様に実施するが、カルボン酸として129.3gの酢酸を使用することを特徴とする方法。
【表6】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1.02のモル化学量論で製造された生成物は、6ヶ月を上回る貯蔵安定性を有した。
【0050】
製造例7
例1と同様に実施するが、カルボン酸として183.2gの酪酸を使用することを特徴とする方法。
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:0.985
【表7】
結論:出発材料の添加の終了時に1:0.985のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0051】
製造例8
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1
例1と同様に実施するが、カルボン酸として186gの酪酸を使用することを特徴とする方法。
【表8】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0052】
本発明による例9
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1.02
例1と同様に実施するが、カルボン酸として189.7gの酪酸を使用することを特徴とする方法。
【表9】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1.02のモル化学量論で製造された生成物は、6ヶ月を上回る貯蔵安定性を有した。
【0053】
製造例10
例1と同様に実施するが、カルボン酸として591.4gのステアリン酸を使用することを特徴とする方法。
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:0.985
【表10】
結論:出発材料の添加の終了時に1:0.985のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0054】
製造例11
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1
例1と同様に実施するが、カルボン酸として600.4gのステアリン酸を使用することを特徴とする方法。
【表11】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0055】
本発明による例12
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1.02
例1と同様に実施するが、カルボン酸として612.4gのステアリン酸を使用することを特徴とする方法。
【表12】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1.02のモル化学量論で製造された生成物は、6ヶ月を上回る貯蔵安定性を有した。
【0056】
製造例13
例1と同様に実施するが、カルボン酸として253.9gの安息香酸を使用することを特徴とする方法。
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:0.985
【表13】
結論:出発材料の添加の終了時に1:0.985のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0057】
製造例14
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1
例1と同様に実施するが、カルボン酸として257.7gの安息香酸を使用することを特徴とする方法。
【表14】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0058】
本発明による例15
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1.02
例1と同様に実施するが、カルボン酸として262.9gの安息香酸を使用することを特徴とする方法。
【表15】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1.02のモル化学量論で製造された生成物は、8ヶ月を上回る貯蔵安定性を有した。
【0059】
製造例16
例1と同様に実施するが、カルボン酸として287.1gのサリチル酸および溶媒を使用することを特徴とする方法。
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:0.985
【表16】
結論:出発材料の添加の終了時に1:0.985のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0060】
製造例17
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1
例1と同様に実施するが、カルボン酸として291.5gのサリチル酸および溶媒を使用することを特徴とする方法。
【表17】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0061】
本発明による例18
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1.02
例1と同様に実施するが、カルボン酸として297.3gのサリチル酸および溶媒を使用することを特徴とする方法。
【表18】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1.02のモル化学量論で製造された生成物は、8ヶ月を上回る貯蔵安定性を有した。
【0062】
製造例19
例1と同様に実施するが、カルボン酸として255.9gのニコチン酸および溶媒を使用することを特徴とする方法。
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:0.985
【表19】
結論:出発材料の添加の終了時に1:0.985のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0063】
製造例20
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1
例1と同様に実施するが、カルボン酸として259.8gのニコチン酸および溶媒を使用することを特徴とする方法。
【表20】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0064】
本発明による例21
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1.02
例1と同様に実施するが、カルボン酸として265gのニコチン酸および溶媒を使用することを特徴とする方法。
【表21】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1.02のモル化学量論で製造された生成物は、6ヶ月を上回る貯蔵安定性を有した。
【0065】
製造例22
例1と同様に実施するが、カルボン酸として239.3gのプロリンおよび溶媒を使用することを特徴とする方法。
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:0.985
【表22】
結論:出発材料の添加の終了時に1:0.985のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0066】
製造例23
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1
例1と同様に実施するが、カルボン酸として243gのプロリンおよび溶媒を使用することを特徴とする方法。
【表23】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0067】
本発明による例24
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1.02
例1と同様に実施するが、カルボン酸として247.8gのプロリンおよび溶媒を使用することを特徴とする方法。
【表24】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1.02のモル化学量論で製造された生成物は、6ヶ月を上回る貯蔵安定性を有した。
【0068】
製造例25
例1と同様に実施するが、カルボン酸として149.8gのアクリル酸を使用することを特徴とする方法。
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:0.985
【表25】
結論:出発材料の添加の終了時に1:0.985のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0069】
製造例26
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1
例1と同様に実施するが、カルボン酸として152.1gのアクリル酸を使用することを特徴とする方法。
【表26】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0070】
本発明による例27
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1.02
例1と同様に実施するが、カルボン酸として155.1gのアクリル酸を使用することを特徴とする方法。
【表27】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1.02のモル化学量論で製造された生成物は、8ヶ月を上回る貯蔵安定性を有した。
【0071】
製造例28
例1と同様に実施するが、カルボン酸として587.2gのオレイン酸を使用することを特徴とする方法。
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:0.985
【表28】
結論:出発材料の添加の終了時に1:0.985のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0072】
製造例29
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1
例1と同様に実施するが、カルボン酸として596.1gのオレイン酸を使用することを特徴とする方法。
【表29】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0073】
本発明による例30
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1.02
例1と同様に実施するが、カルボン酸として608gのオレイン酸を使用することを特徴とする方法。
【表30】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1.02のモル化学量論で製造された生成物は、8ヶ月を上回る貯蔵安定性を有した。
【0074】
製造例31
例1と同様に実施するが、カルボン酸として187.3gの乳酸を使用することを特徴とする方法。
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:0.985
【表31】
結論:出発材料の添加の終了時に1:0.985のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0075】
製造例32
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1
例1と同様に実施するが、カルボン酸として190.1gの乳酸を使用することを特徴とする方法。
【表32】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0076】
本発明による例33
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1.02
例1と同様に実施するが、カルボン酸として193.9gの乳酸を使用することを特徴とする方法。
【表33】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1.02のモル化学量論で製造された生成物は、6ヶ月を上回る貯蔵安定性を有した。
【0077】
製造例34
例1と同様に実施するが、カルボン酸として216.4gのヒドロキシイソ酪酸を使用することを特徴とする方法。
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:0.985
【表34】
結論:出発材料の添加の終了時に1:0.985のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0078】
製造例35
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1
例1と同様に実施するが、カルボン酸として219.7gのヒドロキシイソ酪酸を使用することを特徴とする方法。
【表35】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0079】
本発明による例36
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1.02
例1と同様に実施するが、カルボン酸として224.1gのヒドロキシイソ酪酸を使用することを特徴とする方法。
【表36】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1.02のモル化学量論で製造された生成物は、6ヶ月を上回る貯蔵安定性を有した。
【0080】
製造例37
例1と同様に実施するが、カルボン酸として339.7gのトリクロル酢酸を使用することを特徴とする方法。
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:0.985
【表37】
結論:出発材料の添加の終了時に1:0.985のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0081】
製造例38
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1
例1と同様に実施するが、カルボン酸として344.8gのトリクロル酢酸を使用することを特徴とする方法。
【表38】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1のモル化学量論で製造された生成物は、貯蔵安定性ではないことが判明した。
【0082】
本発明による例39
モル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸) 1:1.02
例1と同様に実施するが、カルボン酸として351.7gのトリクロル酢酸を使用することを特徴とする方法。
【表39】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1.02のモル化学量論で製造された生成物は、3ヶ月を上回る貯蔵安定性を有した。
【0083】
本発明による例40
貯蔵前の系に内因するカルボン酸の後安定化
カルボン酸として179gのメタクリル酸を使用し、出発材料の添加の終了時にモル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸)が1:0.985であることを特徴とする、例1に記載の方法。
貯蔵前に、得られた粗生成物を、1.5gのメタクリル酸でドープする。
貯蔵前のモル化学量論:グリシジルメタクリラート<カルボン酸
【表40】
結論:1:0.985のモル化学量論を有する出発材料の添加の終了時に製造されたが、後安定化された粗生成物は、6ヶ月の貯蔵安定性を有し、例1からの安定化されていない参照試料は、貯蔵安定性ではなかった。
【0084】
本発明による例41
貯蔵前の系に内因するカルボン酸での後安定化
カルボン酸として181.7gのメタクリル酸を使用し、出発材料の添加の終了時にモル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸)が1:1であることを特徴とする、例2に記載の方法。
貯蔵前に、得られた粗生成物を、1.1gのメタクリル酸でドープする。
貯蔵前のモル化学量論:グリシジルメタクリラート<カルボン酸
【表41】
結論:1:1のモル化学量論を有する出発材料の添加の終了時に製造されたが、後安定化された粗生成物は、6ヶ月の貯蔵安定性を有し、例2からの安定化されていない参照試料は、貯蔵安定性ではなかった。
【0085】
本発明による例42
貯蔵前の系に対して異種のカルボン酸での後安定化
カルボン酸として179gのメタクリル酸を使用し、出発材料の添加の終了時にモル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸)が1:0.985であることを特徴とする、例1に記載の方法。
貯蔵前に、得られた粗生成物に、0.8gの蟻酸をドープする。
貯蔵前のモル化学量論:グリシジルメタクリラート<カルボン酸
【表42】
結論:出発材料の添加の終了時に1:0.985のモル化学量論で製造されたが、系に対して異種の酸として蟻酸で後安定化された粗生成物は、6ヶ月の貯蔵安定性を有し、例1の安定化されていない参照試料は、貯蔵安定性ではなかった。
【0086】
本発明による例43
貯蔵前の系に対して異種のカルボン酸での後安定化
カルボン酸として181.7gのメタクリル酸を使用し、出発材料の添加の終了時にモル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸)が1:1であることを特徴とする、例2に記載の方法。
貯蔵前に、得られた粗生成物に、0.6gの蟻酸をドープする。
貯蔵前のモル化学量論:グリシジルメタクリラート<カルボン酸
【表43】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1のモル化学量論で製造されたが、系に対して異種の酸として蟻酸で後安定化された粗生成物は、6ヶ月の貯蔵安定性を有し、例1の安定化されていない参照試料は、貯蔵安定性ではなかった。
【0087】
本発明による例44
貯蔵前のブレンステッド酸での後安定化
カルボン酸として179gのメタクリル酸を使用し、出発材料の添加の終了時にモル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸)が1:0.985であることを特徴とする、例1に記載の方法。
貯蔵前に、得られた粗生成物に、0.55gの燐酸をドープする。
貯蔵前のモル化学量論:グリシジルメタクリラート<酸
【表44】
結論:出発材料の添加の終了時に1:0.985のモル化学量論で製造されたが、系に対して異種の無機酸として燐酸で後安定化された粗生成物は、6ヶ月の貯蔵安定性を有し、例1の安定化されていない参照試料は、貯蔵安定性ではなかった。
【0088】
本発明による例45
貯蔵前のブレンステッド酸での後安定化
カルボン酸として181.7gのメタクリル酸を使用し、出発材料の添加の終了時にモル化学量論(グリシジルメタクリラート:カルボン酸)が1:1であることを特徴とする、例2に記載の方法。
貯蔵前に、得られた粗生成物に、0.25gの燐酸をドープする。
貯蔵前のモル化学量論:グリシジルメタクリラート<酸
【表45】
結論:出発材料の添加の終了時に1:1のモル化学量論で製造されたが、系に対して異種の無機酸として蟻酸で後安定化された粗生成物は、6ヶ月の貯蔵安定性を有し、例2の安定化されていない参照試料は、貯蔵安定性ではなかった。