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特許7160836タイルを整列し平準化するための組立体及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】タイルを整列し平準化するための組立体及び方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 21/18 20060101AFI20221018BHJP
   E04F 15/00 20060101ALI20221018BHJP
   E04F 15/08 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
E04F21/18 K
E04F15/00 601A
E04F15/08 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019559261
(86)(22)【出願日】2017-12-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 US2017065788
(87)【国際公開番号】W WO2018136171
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2019-12-10
(31)【優先権主張番号】15/407,725
(32)【優先日】2017-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511129649
【氏名又は名称】ダビンチ イタリア/ユーエスエー グループ,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】エドワード エー.カフナー
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0325935(US,A1)
【文献】特表2015-515561(JP,A)
【文献】特開2016-065362(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0211282(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
E04F 15/00-15/22
E04F 21/18、21/20、21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイル整列組立体において、
底板を有するベース部材と、
回転軸線の周りで回転するように前記ベース部材と回動可能に結合されたカムツールであって、前記カムツールが、カム部材と結合されたハンドルを有し、前記カム部材が、複数の連続した線接触をする部分を持つ丸いタイル係合面を有する、カムツールであって、前記カムツールが第1の方向に回されるにつれて、前記タイル係合面と前記底板の間の距離が減少するように、前記複数の連続した線接触をする部分の各々は前記回転軸線から遠くなる、カムツールと、
前記ベース部材及び前記カムツールと結合されたロック組立体であって、前記ロック組立体により、前記カムツールが前記ベース部材に対して第1方向に回転できるが前記ベース部材に対して第2方向には回転できないようにする、ロック組立体とを備える、タイル整列組立体。
【請求項2】
前記カム部材の前記タイル係合面は円滑な曲線である、請求項1に記載のタイル整列組立体。
【請求項3】
タイル整列組立体において、
底板を有するベース部材と、
回転軸線の周りで回転するように前記ベース部材と回動可能に結合されたカムツールであって、前記カムツールがカム部材と結合したハンドルを有し、前記カム部材が、外周囲の周りに円滑で丸いタイル係合面を有し、かつ前記タイル係合面が前記回転軸線から第1距離に在り線接触する第1部分と前記回転軸線から第2距離に在り線接触する第2部分とを有する、カムツールと、
前記ベース部材及び前記カムツールと結合されて、前記カムツールが前記ベース部材に対して第1方向に回転できるが前記ベース部材に対して第2方向に回転しないようにする、ロック組立体とを備える、タイル整列組立体。
【請求項4】
前記ロック組立体がロッキングポール組立体である、請求項3に記載のタイル整列組立体。
【請求項5】
前記ロッキングポール組立体が、前記カムツールと結合された爪部材と、前記ベース部材と結合された歯と、を含む、請求項4に記載のタイル整列組立体。
【請求項6】
前記カムツールが、更に前記ハンドルと結合された第2カム部材を備え、前記第2カム部材が外周囲の周りにタイル係合面を有し、かつ前記タイル係合面が、前記回転軸線から第1距離に在る第1部分と前記回転軸線から第2距離に在る第2部分とを有する、請求項3に記載のタイル整列組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイルの敷設及び平準化の分野に関する。特に、本発明は、タイルを床、壁、調理台又はこれと同種のものに敷設する際隣り合うタイルを整列し平準化するための組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
タイルは、床、壁、調理台及びこれと同種のものに使用するための人気のある装飾的及び機能的製品となっている。タイル職人も日曜大工も、タイルを基材面に敷設するときタイルを整列し平準化するために多くの時間を費やす。各タイルの適切な整列及び平準化は、多くの理由で重要である。1つの理由は、1つのタイルの敷設が不適切である場合、その誤差は隣接するタイルへ継続され、敷設が許容できないものになり、タイルを取り換えるか又はタイルが均等又は平坦になるまで研磨しなければならなくなる。適切にタイルを敷設することの美観の理由の他に、不均等に敷設されたタイル上で躓かないように、タイルの床にとって平らな表面は基本的なことである。タイルの敷設のエラーを取り換え又はその他の方法で修正することは、時間が掛かり、敷設の総コストを増大させる。
【0003】
屋外の庭にタイルを敷設する場合地面など多くの基材は不均等なので、タイルの敷設及び平準化が困難である可能性がある。この場合、全てのタイルが平らになるようにモルタル又はその他の物体で基材の低いエリアを引き上げることは困難である可能性がある。更に、タイルは、モルタルが乾くとき動いたりモルタルの中に沈んだりする可能性がある。伝統的に、タイルが平らなままであるようにするために、モルタルが乾くとき新たに敷設されたタイルを継続的に監視する必要があった。タイル敷設者は、できる限り迅速に敷設プロセスを完了しながらタイル敷設の質を維持するための多様な装置及び方法を使用してきた。1つの基本的方法は、基材面にマーキングを使用する。敷設面のマーキングのために、マークがいつでも見えるようにモルタルを慎重に塗布する必要がある。この技法は、タイルの整列を助けるが、モルタルの中にタイルが敷設されるときタイルのレベルを維持しない。更に、このマーキング法の使用は、敷設のために必要な時間数を増大し、その結果、コストを増大する。
【0004】
タイルの敷設及び平準化のために使用される別の装置は、適切な距離でタイルを離間するように設計された枠である。このタイプの枠は、典型的に固有のタイルサイズ用に設計される固定的格子である。このタイプの装置の不利点は、固定サイズなので、様々なタイルサイズを敷設できるようにするためにタイル職人が複数の枠を運ばなければならないことである。このタイプの枠の更なる不利点は、1回に1つのタイプのタイルしか敷設できない点である。
【0005】
隣り合うタイルを敷設し整列するために使用される別の装置は、特許文献1(米国特許第8181420号明細書)に図示され説明されるような平準化装置であり、この装置において、キャップと底板との間にタイルを固定するためにキャップはシャフトに沿って下向きに滑動する。この装置の1つの欠点は、タイルに対してキャップを締め付けるために締付け具が必要である点である。締付け具の使用は、締付け具がキャップをタイルに対して締め付けるために、各平準化装置のシャフトを締付け具の開口に通さなければならないので、敷設の完了に掛かる時間を増大する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第8181420号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、先行技術の欠点を改善し細長いシャフトに締付け具を通す必要のない効果的で安価なタイル平準化及び整列装置が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの形態は、隣り合うタイルを敷設し平準化するための組立体に関する。組立体は、底板を有するベース部材とカムツールとを含む。カムツールは、カムツールが回転軸線の周りでベース部材に対して回転するように、ベース部材と回動可能に結合される。カムツールは、カム部材と結合されたハンドルを有する。カム部材は、その外周囲の周りに、回転軸線から第1距離に在る第1部分と回転軸線から第2距離に在る第2部分とを持つタイル係合面を有する。回転軸線の周りでのカムツールの回転は、タイル係合面と底板との間の距離を変化させる。カム部材のタイル係合面は、湾曲するか又は頂点によって分離された複数の別個の概ね直線の辺を備える多角形の形状とすることができる。1枚又は複数枚のタイルは、カム部材のタイル係合面とベース部材の底板との間に配置され、カムツールが所望の位置まで回されるとき圧迫される。
【0009】
本発明の別の形態は、隣り合うタイルを敷設し平準化するための組立体に関する。整列組立体は、底板と底板から上向きに延びる中間部材とを有するベース部材を備える。中間部材は、第1側面及び第2側面を持ち、中間部材の第1側面及び第2側面は、側面から外向きに延びる係合部材を有する。組立体は、更に、第1カム部材及び第2カム部材と結合されたハンドルを有するカムツールを備える。各カム部材は、その外周囲の周りにタイル係合面を有し、各タイル係合面は、回転軸線を画定する開口から第1距離に在る第1部分と、回転軸線から第2距離に在る第2部分とを有する。ベース部材から延びる係合部材は、第1カム部材が中間部材の一方の側に在り、第2カム部材が中間部材の第2の側に在るように、カム部材の開口を受けて、それによってカムツールがベース部材に対して回転できるように作られる。回転軸線の周りでのカムツールの回転は、タイル係合面と底板との間の距離を変化させる。カム部材の係合面は、円滑な曲線とするか、又は頂点で分離された複数の別個の概ね直線の辺を含む多角形とすることができる。1枚又は複数枚のタイルは、カム部材の係合面とベース部材の底板との間に配置され、カムツールが所望の位置まで回されるとき圧迫される。
【0010】
本発明の更に別の形態は隣り合うタイルを敷設し平準化するための組立体に関する。組立体は、概略的に、ベース部材に係合しこれに対して回転するように作られたカムツールを含む。カムツールは、カム部材と結合されハンドルを有し、カム部材は、その外周囲の周りに相互に傾斜した複数の概ね平坦なタイル係合面を有する。各タイル係合面は、回転軸線を画定する開口から異なる距離に在る。1つの実施形態において、複数の平坦なタイル係合面は、多角形又は多角形の一部分(即ち完成しない又は閉鎖されない多角形)を形成する。開口は、係合面を含む。ベース部材は、底板と、底板から上向きに延びる中間部材と、を有する。中間部材は、外向きに延びるハブ又はシャフトなどの少なくとも1つの係合部材を含む。カム部材の開口の係合面は、係合部材に係合してその周りで回転する。1枚又は複数枚のタイルは、カム部材のタイル係合面とベース部材の底板との間に配置される。回転軸線は中心から外れるので、各タイル係合面は、下向きのとき底板からの距離が異なり、それによって、タイルは、カム部材と底板との間で圧迫される。
【0011】
本発明の別の形態は、カムツールのカム部材が円形、半円形、楕円形又は円又は楕円形の任意の一部などの丸い形状を備えることを除いて、前の段落において説明したものと同様である。回転軸線は、回転軸線がタイル係合面上の各点から異なる距離であるように、カム部材の外側タイル係合面に対して中心が外れる。カム部材の開口は、底板の係合部材の周りでのカムツールの回転が、タイル係合面を底板に近づけるように、ベース部材から延びる係合部材を受け入れる。回転軸線は中心から外れるので、タイル係合面は、カムツールが回されるとき底板へ近づき、それによってタイルがカム部材と底板との間で圧迫されるようにできる。ロッキングポール(locking pawl)組立体は、カムツールがベース部材に対して第1方向に回転できるが、第2(反対)方向には回転しないようにする。
【0012】
本発明の更に別の形態は、隣り合うタイルを敷設し平準化するための組立体を使用する方法に関する。方法は、上で説明したように基材面上に組立体を配置することを含む。使用時に、1枚又は複数枚のタイルは、中間部材のいずれかの側の底板上に配置され、カムツールは回動可能にベース部材と結合される。張付け床(setting bed)が養生され硬化するとき隣り合うタイルを同じ高さに固定するために、カム部材の各々のタイル係合面がタイルに係合しこれを圧迫するまで、カムツールは回転軸線の周りで回される。張付け床が養生され硬化した後、中間部材は、分離点で底板から分離される。カムツールは、その後のタイル平準化作業において再使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】カムツールがベース部材と結合されている実施形態の側面図である。
図2】カムツールの側面図である。
図3】カムツールの斜視図である。
図4】ベース部材の斜視図である。
図5】ベース部材の端面図である。
図6】第1厚みを持つ隣り合うタイルに対して固定された組立体を示す側面図である。
図7】第2厚みを持つ隣り合うタイルに対して固定された組立体を示す側面図である。
図8】隣り合うタイルに対して固定された組立体を示す端面図である。
図9】カム部材が湾曲タイル係合面とロックポール手段とを有する、カムツールの別の実施形態の斜視図である。
図10】ロッキングポール手段を有するベース部材の別の実施形態の斜視図である。
図11】結合された図9及び10の構成要素を示す側面図である。
図12】結合された図9及び10の構成要素を示す斜視図である。
図13】隣り合うタイルに対して固定された図9及び10の構成要素を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、タイルを敷設、整列及び平準化するための組立体に関する。組立体は、床、壁及び調理台を含めて適切な基材上に固定されるタイル26a、26bを整列し平準化するために使用できる。本明細書において使用する上側、下側、頂部及び底部などの用語は、図1に示される装置に関するものであることが分かるはずである。
【0015】
図1は、組立体の第1実施形態の全体的構成要素である。組立体は、概略的に、ベース部材12の一部分に係合して回転軸線の周りでベース部材12に対して回転するように作られたカムツール10を含む。カムツール10は、本明細書において説明するように、回転運動を線形(下向き)運動/力へ変換する形状を持つ。図2及び3は、ベース部材12無しのカムツール10を示す。カムツール10は、カム部材13と結合されたハンドル11を有する。カム部材13は、その外周囲の周りにタイル係合面18を含み、タイル係合面18は、回転軸線から異なる設定距離を持つ複数の部分を含む。1つの実施形態において、カム部材13は、頂点又はコーナーによって分離される複数の概ね平坦な部分を有するタイル係合面18を備える。1つの実施形態において、タイル係合面18の複数の平坦な部分は、多角形又は多角形の一部分(即ち、図1に示すように完成していない又は閉鎖されていない多角形)を形成する。タイル係合面18の各部分は、同じ長さである必要又は同じ角度で分離する必要はない。別の実施形態において、タイル係合面18は、図9~13に関連して下で説明するように連続曲面である。
【0016】
ベース部材12を、図4及び5においてカムツール10無しで示す。ベース部材12は、底板14と、底板14から上向きに延びる中間部材21とを有する。中間部材21は、そこから外向きに延びるハブ又はシャフトなどの少なくとも1つの係合部材16を含む。係合部材16と底板14との間には予め設定された距離がある。カムツールは、任意の適切な手段によってベース部材12と結合される。図示する実施形態において、カムツール10は、係合面23を含むノッチなどの開口を有する。開口/ノッチは、ベース部材とカムツールが回転軸線の周りで相互に対して回転できるようにするために、ベース部材12から延びる係合部材16を受け入れるように作られる。別の実施形態において、これらの構成要素は、逆転して、開口/ノッチはベース部材12に在り、係合部材はカムツール10から延びる。いずれの場合にも、回転軸線がタイル係合面18の様々な部分から異なる距離に在るように、回転軸線は、カム部材13のタイル係合面18に対して中心から外れる。下でさらに詳しく説明するように、カムツール10は、カムツール10が回されるとき、ベース部材12に対して回転して、タイル係合面18の連続する各部分を底板14へ向かって下向きにする。回転軸線は中心から外れるので、ファイル係合面18の連続する各部分は、タイル係合面が回されて底板14へ向かって下向きになるとき底板14から異なる距離に在る。1つの実施形態において、カム部材13の一方の端部から始まって、カムツール10が回されると、タイル係合面18の連続する各部分は回転軸線から遠くなり(底板14へ近づき)、タイル係合面18と底板14との間隔を減少し、構成要素14、18の間に位置するタイルに加えられる力を増大する。タイル26に対する係合面18の圧迫は、張付け床28が乾くときタイル26の上面を同じ高さに保持されるようにするのに役立ち、タイル26間の凸凹(lippage)の減少に役立つ。
【0017】
図3及び8から分かるように、カムツール10の1つの実施形態は、スペース又は開口20によって第2カム部材17から分離された第1カム部材13を有する。各カム部材13、17は、タイル係合面18、19を有する。第1カム部材13のタイル係合面18は、ベース部材12の第1側において第1タイル26aに係合し、第2カム部材17のタイル係合面19はベース部材12の第2側において第2タイル26bに係合する。第1カム部材13と第2カム部材17との間の開口20は、カムツール10がベース部材12の周りで回されるとき少なくともベース部材12が通過できるようにするのに充分な大きさである。1つの実施形態において、タイル係合面18、19は、両方が同じ量の力で同時にそれぞれのタイル26a、26bに係合するように、相互に鏡像である。これによって、モルタル/張付け床28が養生され硬化するとき、両方のタイル26a、26bが相互に平らになることを確実にできる。
【0018】
使用時に、カム部材13は、タイル26a、26bの上面に係合してタイル26a、26bを底板14に対して押圧する位置まで回される。タイル26a、26bが取り外されるとしたら、係合面18、19と底板14との間の距離は、タイル26a、26bの厚みより小さくなる。タイル26a、26bが所定の場所にあるとき、カム部材13及びベース部材12はある程度の弾力性を持ち、第1位置から第2位置まで伸張して、カム部材とベース部材との間に位置するタイル26a、26bの厚みを収容できるようにする。構成要素12、13は、第1位置において付勢されるので、構成要素12、13がその第1位置へ戻ろうとするときタイル26a、26bへの圧迫力を生成する。圧迫力は、隣り合うタイル26a、26bを相互に対して平らに維持するのに役立つ。圧迫力は、又、カム部材13がタイル26a、26bに対して設定された後はカム部材13が回転しないようにするのに役立つ。カム部材13をどちらかに回転するために必要とされる力は、回転軸線から頂点又はコーナーまでの距離が回転軸線からそれぞれのタイル係合面18、19までの距離より大きいので、タイル係合面18、19の面に沿って加えられる力より大きい。
【0019】
1つの実施形態において、カムツール10は、タイル係合面18を係合面23から分離するスポークなどの強化部材15を含む。図1~3に示すように、第1強化部材15aは、第2強化部材15bに隣接するタイル係合面18が第1強化部材15aに隣接するタイル係合面18より回転軸線から遠くまで延びるように、第2強化部材15より短い。これによって、タイル係合面18のそれぞれの部分が回転して底板14に向いたとき、第2強化部材15bに隣接するタイル係合面18の部分を第1強化部材15aに隣接するタイル係合面18の部分より底板14に近づけることができる。
【0020】
カムツール10の1つの実施形態は、どのタイル係合面18がどのタイル厚みに使用するためのものかを使用者に知らせるために、各タイル係合面18に対応する可視マーキングを含む。使用時に、タイル26aに対して適切な量の圧迫力を加えるために、タイル26aが薄ければそれだけ、タイル係合面18は回転軸線から遠くなければならない。英国単位(インチ)及びメートル単位(ミリメートル)を含めて任意の適切なマーキングを使用できる。図示する実施形態は、インチの分数を使用する。例えば、図6において、タイル厚みD1は1インチの約3/16である。カムツール10は、ベース部材12に固定された後に、3/16インチのマーキングが下向きになりタイル26の上面に係合するまで、回される(この実施形態において右回り)。カムツール10の3/16インチのマーキングは、タイル26に係合するタイル係合面18と底板14の上面との間の距離が1インチの約3/16(即ちタイルの高さ)であることを示す。同様に、図7は、1インチの約3/8のタイル厚みD2を持つ異なるタイル26を示す。下向きのタイル係合面18と底板14の上面との間の距離は、1インチの約3/8である。いくつかの実施形態において、下向きの係合面18と底板14との間の実際の距離は、係合面がタイル26と係合しかつ/又は底板14に対してタイル26を圧迫するための力を加えるようにするために、視覚的マーキングが示す距離より小さい。
【0021】
図9~14は、係合面18a、19aが複数の平らな部分を含まない別の実施形態を示す。代わりに、係合面18a、19aは、図11に示すように円形又は楕円形の一部分などの曲線形である。この実施形態において、係合面18a、19aは、前の実施形態において説明したようにベース部分12に対してカムツール10を回すことによってタイル26a、26bに対して固定される。但し、この実施形態においては、ラチェット又はロック爪組立体などのロック組立体は、カムツール10が所望の位置まで回されてタイル26a、26bに対して所望の量の力を加えた後にベース部分12に対してカムツール10を固定する。図9は、カムツール10の各タイル係合面18a、19aから内向きに延びるフィンガ又は爪部材40を示す。図10は、回転軸線の周りでベース部材12と結合され、カムツール10が回されるとき爪部材40に干渉する歯車又は歯部材42を示す。爪部材40及び歯部材42の一方は、非対称的であり、それによって、構成要素40、42が第1方向においては相互を通過するが、第2方向においては通過しないようにできる。いくつかの実施形態において、これらの構成要素は逆転され、ベース部材12に爪部材40を持ちカムツール10に歯部材42を持つ。ロック組立体は、カムツール10がベース部材12に対して第1方向に回転できるが第2(反対)方向には回転しないようにする。図12及び13は、ロック組立体を示す構成要素の他の図である。
【0022】
図4から分かるように、底板14は、好ましくは、1つ又は複数の開口22を備える。開口22は、張付け床材料20が底板14を通過して滲み出して、底板14のすぐ上のタイル26a、26bの部分(滲み出さなければこの部分は張付け床材料28とあまり接触しない部分)と接着できるようにする。更に、滲み出しは、カムツール10がその締付け位置まで回されるとき力が底板14、張付け床材料28及び/又はタイル26a、26bに力が加えられて、タイル26a、26bが平らに維持されるようにするのに役立つ。張付け床材料28が底板14を通過して滲み出せないとしたら、張付け床材料28は、これが乾くとき底板14が隆起し、その結果タイル26a、26bのレベルに影響を及ぼすことになる。
【0023】
張付け床28が乾いて、タイル26a、26bが基材30に固定された後、使用者は、敷設されたタイル26a、26b上方に見える装置の部分即ち中間部材21を取り外す。1つの実施形態において、中間部材21は、図5に示すように中間部材21と底板14との間の接続部付近に分離点24を備える。分離点24は、使用者が、タイル26a、26b上方に延びる中間部材21の部分に力を加えて中間部材21をその分離点24で破壊できるように、中間部材21の残り部分より構造的に弱い。分離点24は、分離点24を構造的に弱くして使用者によって適切な力が加えられたとき分離できるようにする単一の開口を備えることができる。又は、分離点24は、分離点24を構造的に弱くして使用者によって適切な力が加えられたとき分離できるようにする複数の微小孔又は穿孔を備えることができる。1つの実施形態において、張付け床28の養生プロセスは、中間部材21から水分を引き出して、中間部材をより脆くする。これによって、使用者は、分離点24で中間部材21をより破壊し易くなる。分離点24において分離されたら、底板14は、タイル26a、26bの下方に残るので、再使用不能である。但し、カムツール10は、係合部材16から取り外すことができ、その後のタイル敷設作業において再使用できる。
【0024】
図5、8及び13は、底板14の少なくとも一部分がプラスチック複合材などの可撓性又はバネ状性質を持つ材料で構成される。底板14の外側縁又はコーナー(ウィング)は、可撓性であり、圧縮位置と拡張位置との間で移動できる。底板14の外側縁は、その拡張位置に付勢される。カムツール10がタイル26の上面に対して締め付けられるとき、底板14の可撓性部分は基材30へ向かって下向きに圧迫されて、その拡張位置へ戻ろうとしてタイルの底部に対して上向きの力を加える。底板14の外側縁は、装置をタイル26a、26bの下方へ容易に挿入できるようにするために、外側先端においてより薄くなるようにテーパー状とすることができる。
【0025】
底板14の可撓性部分を備える実施形態は、2つの隣り合うタイル26a、26bが異なる厚みを持つ状況において有用である。底板14の縁は、より厚い(重い)タイル26aの重量の下で圧迫され、一方、底板14の可撓性又はバネ状の性質は、より薄い(軽い)タイル26bの下において拡張位置のままであり、それによって2つの隣り合うタイル26a、26bを同じ高さに保持する。このように、タイル整列及び平準化装置は、装置がタイル26a、26bの下に配置された後は自動調節式である。装置が4枚の交差点に使用される場合、底板14の外側コーナーの各々は、各タイルを同じ高さに別個に保持するために、4枚のタイルの各々の下方に位置付け出来る。図4には4つの可撓性ウィング部分を持つものとしてこの実施形態を示すが、可撓性縁は、任意の適切な数の可撓性ウィングを持つ他の任意の形状とすることができる。
【0026】
図6~8及び13は、隣り合う26a、26bを平準化し整列するために使用される組立体を示す。単一タイル面の敷設において数十又は数百枚のタイルを整列するために、任意の数の組立体を使用できることが分かるはずである。使用時に、タイル26a、26bを敷設する際の典型的な第1ステップは、モルタル又はセメントなどの張付け床28を基材面30に塗布することである。張付け床28が塗布された後、タイル26a、26bが張付け床28の基材面30上に配置され、その後、タイル26a、26bが底板14上に配置される。使用時に、底板14は、図8に示すように中間部材21が隣り合うタイル26a、26bの間から上向きに延びるように、張付け床28の中のタイル26a、26bの下方に位置付けられる。カムツール10は、係合部材16と結合され、その後、回転軸線と係合面18との間の距離が増大するように(図6&7においては右回りに)回される。回転は、係合面18がタイル26a、26bの上面をしっかりと押圧するまで継続される。タイル26a、26bは、下に在る基材30が平らであるか否かに関係なく隣り合うタイル26a、26bが平らであるように、底板14とタイル係合面18との間に固定される。底板14は、タイル26a、26bが平らであるために、基材上に乗る必要はない。底板14は、タイル26a、26bの少なくとも一部分が張付け床28に接している限りかつタイル26a、26bが相互に対して平らである限り、基材30上方で懸架されてもよい。底板12及び係合面18は、張付け床28が養生され硬化するとき隣り合うタイル26a、26bのコーナー及び/又は縁が整列され平らであるように、タイル26a、26bを同じ高さに保持する。
【0027】
張付け床28が乾いてタイル26a、26bが基材30に固定された後に、使用者は、敷設されたタイル26a、26bの上方に見える装置の部分を取り外す。図4から分かるように、ベース部材12は、ベース部材12と底板12との接続部付近に分離点24を含む。好ましい実施形態において、分離点24は、使用者がタイル26a、26b上方でベース部材12を捻ってベース部材12を分離点24で破壊できるように、ベース部材の残り部分より構造的に弱い。分離点24は、捩じったとき破壊できるが、力がベース部材12の長さに沿って長手方向に加えられたときベース部材12が破壊しないように、充分に強い。分離点24において分離したら、底板14は、タイル26a、26bの下方に残るので、再使用不能である。但し、カムツール10は、ベース部材12から取り外せ、その後のタイル敷設において再使用できる。上述のように、ベース部材12は、半剛性プラスチックで作ることが好ましく、この材料は、ベース部材12をその分離点24でより破壊し易くする。
【0028】
本発明について好ましい実施形態に関連して説明したが、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書において説明した好ましい実施形態に様々な修正を加えることができることが、当業者には明らかであろう。これらの当業者には明白な全ての修正及び変更は、下記の請求項の範囲に含まれるものとする。更に、本発明は、本明細書においていくつかの異なる特徴を含むものとして説明され、そのすべてが本明細書において説明する実施形態のいずれにも使用できる。
図1
図2
図3
図4
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図7
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図10
図11
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図13