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特許7160847光学要素、このような光学要素を含むアセンブリ、及び光学要素の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】光学要素、このような光学要素を含むアセンブリ、及び光学要素の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02C 13/00 20060101AFI20221018BHJP
   G02C 7/02 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
G02C13/00
G02C7/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019570113
(86)(22)【出願日】2018-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 EP2018066298
(87)【国際公開番号】W WO2018234326
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-04-02
(31)【優先権主張番号】17305750.6
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18305102.8
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518007555
【氏名又は名称】エシロール・アンテルナシオナル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・シャビン
(72)【発明者】
【氏名】グザヴィエ・ビュルテズ
(72)【発明者】
【氏名】ギー・ショット
【審査官】渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-525967(JP,A)
【文献】特開2003-104478(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0113439(US,A1)
【文献】特開2009-083326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 13/00
G02C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学レンズ(4;34;54;74)と前記光学レンズ(4;34;54;74)と一緒に形成されるホルダ(6;36;56;76)の少なくとも一部を付加製造により製作するステップを含む光学要素(2;32;52;72)の製造方法において、前記ホルダ(6;36;56;76)は製造機械(20;24;28;66)と協働し、それによって前記光学レンズ(4;34;54;74)を前記製造機械(20;24;28;66)の中の所定の位置に位置付けるようになされており、前記ホルダ(6;76)は、脆弱部分(14;16;88)により相互に接続された少なくとも第一の部分および第二の部分(8、10、12;78、80、82、84)を含み、
前記製造方法は、
前記ホルダの第一の部分が協働する製造機械による製造プロセスのステップを実行するステップと、
脆弱部分に沿って前記ホルダの第二の部分から前記ホルダの第一の部分を切り離すステップと、
前記製造機械とは他の製造機械であって、前記ホルダの第二の部分が協働する他の製造機械によって、前記製造プロセスの他のステップを実行するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記光学要素(2;32;52;72)を前記製造機械(20;24;28;66)の中に前記ホルダ(6;36;56;76)を介して取り付け、それによって前記光学レンズ(4;34;54;74)を前記所定の位置に位置付けるステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記部分(8、10、12;78、80、82、84)の各々を、それぞれ、関係する前記部分(8;10;12;78;80;82;84)がそれと協働することになる製造機械(20;24;28;66)に応じて設計する予備ステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記光学レンズ(4;34;54;74)は、光学中心(O)を有し、
第二の製造機械(24)は、保持要素(26)を有し、
前記ホルダ(6)の第二の部分(10)は、前記保持要素(26)と協働して、前記光学中心(O)を前記第二の製造機械(24)に関する所定の位置に位置付けする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法
【請求項5】
前記ホルダ(6;36;56;76)は、前記光学レンズ(4;34;54;74)に関連するコードを表すマーキングを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法
【請求項6】
前記ホルダ(56;76)は前記光学レンズ(54;74)を取り囲む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法
【請求項7】
前記ホルダ(56)は追加部分(60)を含み、前記追加部分(60)は前記製造機械(66)と協働するようになされる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法
【請求項8】
前記追加部分は外部リング(60)である、請求項7に記載の方法
【請求項9】
前記ホルダ(56)は少なくとも位置参照要素(64)を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法
【請求項10】
前記ホルダ(6;36;56;76)は、少なくとも1つの軸に沿って前記光学レンズを方向付けるようになされる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法
【請求項11】
前記光学レンズ(4;34;54;74)は眼鏡レンズである、請求項1~10の何れか一項に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学製品に関する。
【0002】
より詳しくは、本発明は光学要素と、このような光学要素を含むアセンブリと、光学要素の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
光学レンズ、特に眼鏡レンズの製造には一般に、幾つかの連続する加工ステップ(例えば、研磨、刻印、モニタ、輸送)の実行が必要となる。
【0004】
製作中の光学レンズは、これらの加工ステップの各々のための特定の製造機械に関して保持され、及び/又は位置付けられなければならない。
【0005】
これは、各々が一方で光学レンズと、他方で特定の製造機械と協働するように設計された幾つものツールを使用することを示唆している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
これに関して、本発明は、付加製造方法により製作された光学レンズと、前記付加製造方法により少なくとも部分的に光学レンズと一緒に形成されるホルダと、を含む光学要素を提供し、ホルダは製造機械と協働し、それによって光学レンズを製造機械の中の所定の位置に位置付けるようになされている。
【0007】
それゆえ、付加製造プロセスを活用してホルダの少なくとも一部が光学レンズと一体に製作される。光学要素を製造機械に関して位置付ける(おそらく、ホルダの他の部分を仲介させることによる)ことは、付加製造により製作されるホルダの部分をこの目的のために設計できるため、大幅に簡単になる。
【0008】
付加製造は、国際標準ASTM 2792-12において定義される製造技術であり、デジタル3次元モデル(典型的にCADファイルのデータにより表現され、CASは、「コンピュータ支援設計」の略語である)に基づいて材料の要素を組み立てて、中実の3次元物体を得るプロセスを指す。
【0009】
このようなプロセスは、ときに3-Dプリンティング又は材料プリンティングと呼ばれ、これは、材料の連続的な要素(例えば、層)が次々に連続して堆積され得るからである。3次元モデルから抽出される仮想の断面に対応する層が組み立てられ、溶着されて、中実の3次元物体が形成され、ここで、光学部品は、眼鏡レンズとホルダとを含む。
【0010】
「付加製造」という表現は、特に3次元モデル(典型的に、前述のようにCADファイルにおける)により画定される事前に決められた形状を有する体積要素、すなわちボクセルを並置することにより、中実の物体を作るプロセスを指す。「並置する」という用語は、逐次的な作業、例えば特に層を前のものの上に堆積させること、又はボクセルを、それ以前に堆積させたボクセルと接触させて若しくはその付近に堆積させることを意味すると理解されたい。
【0011】
さらに、「ボクセル」という用語は、他のボクセルと組み合わせて中間要素、例えば層を画定する個々の要素を意味すると理解されたい。「ボクセル」という用語は、特にステレオリソグラフィ技術が使用される場合、中間要素、例えば層にも適用され得る。
【0012】
したがって、使用される付加製造技術に応じて、眼鏡レンズは、ボクセルごと、ラインごと又は層ごとに製作することができる。
【0013】
使用される付加製造方法は、インクジェット印刷、ステレオリソグラフィ、マスクステレオリソグラフィ又はマスク投射ステレオリソグラフィ、ポリマージェッティング、スキャニングレーザシンタリング(SLS)、スキャニングレーザメルティング(SLM)及び熱溶解積層法(FDM)からなるリストから選択され得るが、これらに限定されない。
【0014】
後でさらに説明するような考え得る実施形態によれば、ホルダは、脆弱部分により相互に接続される少なくとも2つの部分を含む。
【0015】
前記部分の一方は、例えば、前記製造機械と協働するように設計されてよく、前記部分の他方はすると、他の製造機械と協働するように設計されてよい。
【0016】
考え得る実施形態において、ホルダは光学レンズに関連するコードを表すマーキングを含んでいてよい。このマーキングはそれゆえ、製造プロセス中に光学レンズを識別するために使用されてよい。
【0017】
幾つかの例において、後でさらに説明するように、ホルダは光学レンズを取り囲む。これは特に、光学要素の機械的構造を強化し、及び/又は所望の外形を有し、及び/又は光学レンズの寸法より大きい外寸の光学要素を提供するために興味深い。
【0018】
幾つかの実施形態において、ホルダは追加の部分を含み、追加の部分はすると、製造機械と協働するようになされる。追加の部分は例えば、外側リングであってよい。
【0019】
ホルダはまた、少なくとも位置参照要素も含んでいてよい。
【0020】
ホルダはまた、少なくとも1つの軸に沿って光学レンズを方向付けるようになされていてもよい。
【0021】
光学レンズは例えば、眼鏡レンズであってよい。
【0022】
後でさらに説明するように、光学レンズは光学中心を有し、ホルダは光学レンズの光学中心を製造機械の所定の位置に位置付けるようになされていてよい。変形型において、ホルダは光学レンズの幾何学中心を製造機械の所定の位置に、又は光学レンズの少なくとも一端を製造機械の所定の位置に位置付けるようになされる。
【0023】
本発明はまた、上述の光学要素と前記製造機械を含むアセンブリも提供する。
【0024】
最後に、本発明は光学要素の製造方法を提供し、これは、光学レンズ及び光学レンズと一緒に形成されるホルダの少なくとも一部を付加製造によって製作するステップを含み、ホルダは、製造機械と協働して、それによって光学レンズを製造機械の中の所定の位置に位置付けるようになされる。
【0025】
この方法は光学要素を製造機械に前記ホルダを介して取り付け、それによって光学レンズを前記所定の位置に位置付けるステップをさらに含んでいてよい。
【0026】
前述のように、ホルダは脆弱部分により相互に接続された少なくとも2つの部分を含んでいてよく、前記方法はすると、前記部分の各々を、それぞれ、関係する部分をそれと協働させようとする製造機械に応じて設計する予備ステップをさらに含んでいてよい。
【0027】
例の詳細な説明
本発明の例示的な実施形態を、下記のような添付の図面を参照しながら以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明による光学要素の第一の例を示す。
図2】第一の製造ステップにおける図1の光学要素を概略的に示す。
図3】第二の製造ステップにおける図1の光学要素を概略的に示す。
図4】第三の製造ステップにおける図1の光学要素を概略的に示す。
図5】本発明による光学要素の第二の例を示す。
図6】本発明による光学要素の第三の例を示す。
図7】モニタ装置による試験が行われる図6の光学要素を示す。
図8】本発明による光学要素の第四の例を表す断面図である。
図9図8の光学要素の上面図である。
図10図8の光学要素の斜視図である。
図11】第一の製造ステップ中の図8の光学要素を示す。
図12】第二の製造ステップ中の図8の光学要素を示す。
図13図12に示される状況の断面の詳細図である。
図14図8の光学要素に使用されることになる、考え得る追加部分を示す。
図15図14の追加部分への図8の光学要素の取付を示す。
図16】他の追加要素への図8の光学要素の取付を示す。
図17】本発明による光学要素を製作するために使用可能な例示的な付加製造機械を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、光学レンズ4とホルダ6を含む光学要素を示す。この例では、ホルダ6は光学要素2の縁の一部から延びる。
【0030】
光学レンズ4とホルダ6はどちらも、例えば図17に関して後述する付加製造機械を使って、付加製造方法により形成される。
【0031】
この例では、ホルダ6は全体が付加製造方法により製作される。しかしながら、さらに詳しく後述するように、ホルダは幾つかの実施形態では、一部のみ付加製造により製作されてもよい。
【0032】
光学レンズ4はここでは眼鏡レンズであり、したがって、眼鏡レンズの装用者に対して特定の矯正を提供することになる光学表面を有する。
【0033】
この例では、光学要素2は、その周辺の最大部分において、光学レンズ4の外形(及びそれゆえ、光学レンズ4を担持することになるフレームのリムの形状)に対応する外形を有する。
【0034】
ホルダ6は、複数の部分8、10、12を含む。ホルダ6の隣接部分8、10、12は脆弱部分14、16によって相互に接続される。
【0035】
図1に示される例において、ホルダ6は第一の部分8、第二の部分10、及び第三の部分12を含む。第一の部分8と第二の部分10は、第一の脆弱部分14により接続される。第二の部分10と第三の部分12は、第二の脆弱部分16により接続される。
【0036】
ホルダ6はまた、光学レンズ4に脆弱部分18(図1では破線で表される)によって接続されてもよく、ここで、脆弱部分18は第三の部分12と光学レンズ4を接続する。
【0037】
脆弱部分は、所定の線に沿って、おそらくはこの線に沿って、(ホルダ4の他の領域と比較して)厚さが薄くされること及び/又は(部分的に)事前にカットされることによって、破断点を示す接続領域である。
【0038】
(光学レンズ4と共に)付加製造により作られるホルダ6の部分8、10、12は、光学レンズ4と同じ材料からでも、又は考え得る変形型によれば、光学レンズ4の材料とは異なる材料でも作ることができる(同じ付加製造機械により数種類の材料を製作する可能性については、図17を参照しながら後述する)。
【0039】
ホルダ6の第三の部分12は、光学レンズ6に関連するコード、例えば光学レンズ6をデータベースの中で識別するコードを表す(及び/又は、光学特性及び/又は物理的特性等の光学レンズ6の特性を示す)マーキングを含んでいてもよい。このマーキングは、後述の製造プロセス中に(後述のように、第三の部分12が光学レンズ6から切り離されないかぎり)製造機械によって、特に関係する製造機械により加工されている光学レンズ6を識別するためにスキャンされてもよい。
【0040】
図2に示されるように、ホルダ6の第一の部分8は、光学レンズ4の製造プロセスの第一のステップを実行する第一の製造機械20と協働するように設計される。
【0041】
詳しくは、ホルダ6の第一の部分8は第一の製造機械20の保持要素22と協働して、例えば光学レンズ4の光学中心Oを第一の製造機械20に関する所定の位置に位置付ける。
【0042】
ホルダ6の第一の部分8はすると、ホルダ6の第二の部分10から第一の脆弱部分14に沿って切り離されてよい。第一の部分8を切り離すことによって、例えば、第二の部分10がアクセス可能となることができ(特に、後述のように製造プロセスの第二のステップで使用するため)、及び/又は製造プロセスのその後のステップのために光学要素2の全体的な体積が小さくなるかもしれない。
【0043】
図3に示されるように、ホルダ6の第二の部分10は、第一の製造機械20とは異なり、製造プロセスの第二のステップを行う第二の製造機械24と協働するように設計される。
【0044】
詳しくは、ホルダ6の第二の部分10は、第二の製造機械24の保持要素26と協働して、光学中心Oを第二の製造機械24に関する所定の位置に位置付け、及び/又は光学レンズ4を軸Xに沿って方向付ける(図3では概略的に示される)。
【0045】
図3に示される実施形態において、第二の製造機械26はモニタ装置、例えばフロントフォコメータ(frontofocometer)であり、ホルダ6(ここではその第二の部分10)は光学レンズ4をモニタ装置の軸Xに関して所定の方法で方向付けるように設計され、詳しくは、ここでは光学レンズ4の光軸がフロントフォコメータ(frontofocometer)の軸Xに平行となるようにされる。
【0046】
ホルダ6の第二の部分10はすると、ホルダ6の第三の部分12から第二の脆弱部分16に沿って切り離されてよい。第二の部分10を切り離すことによって、例えば、第三の部分12がアクセス可能となることができ(特に、後述のように製造プロセスの第三のステップで使用するため)、及び/又は製造プロセスのその後のステップのために光学要素2の全体的な体積が小さくなるかもしれない。
【0047】
図4に示されるように、ホルダ6の第三の部分12は、製造プロセスの第三のステップを実行する第三の製造機械28と協働し、それによって光学レンズ4を第三の製造機械28の中の所定の位置に位置付けるように設計される。
【0048】
ホルダ6の第三の部分12はすると、光学レンズ4から、ここでは第三の部分12と光学レンズ4を脆弱部分18に沿って分離することによって切り離されてよい。
【0049】
この実施形態では、ホルダ6の最後の部分(ここでは、第三の部分12)を光学レンズ4から切り離した後、光学レンズ4(正確には、光学レンズ4の縁)の外形は光学レンズ4を担持することになるフレームのリムに対応する。
【0050】
このようにして得られた光学レンズ4はそれゆえ、何れのエッジングステップも行わずに供給できる。
【0051】
上述の製造プロセスのステップの各々は、実際には、以下のステップ、すなわち研磨、刻印、モニタ、(ハード)コーティング、着色、反射防止コーティング、輸送、包装のうちの1つであってよい。
【0052】
このリストから明らかであるように、各ステップで使用される製造機械は必ずしも加工中の光学レンズ4の物理的変化を生じさせるとはかぎらない。
【0053】
図5は、本発明による他の例の光学要素32を示す。
【0054】
光学要素32は、光学レンズ34と2つのホルダ36、38を含む。ホルダ36、38は、例えば光学レンズ34の縁の、相互に反対のそれぞれの部分から延びる。
【0055】
この場合、光学レンズ34とホルダ36、38は、例えば図17に関して後述する付加製造機械を使って付加製造方法により製作される。
【0056】
各ホルダ36、38は、製造機械40、ここでは光学レンズ34を研磨又は刻印するための機械と協働して、光学レンズ4を製造機械40に関して所定の位置に位置付けるように設計される。
【0057】
図5においてわかるように、各ホルダ36、38は、主として光学レンズ34の光学表面に沿って延びる第一の部分と、主として光学レンズ34の光学表面に垂直に延びる第二の部分を含む。この例では、各ホルダ36、38の第二の部分の開放端が製造機械40と協働する。
【0058】
図5に示されるように、製造機械40の支持要素42は光学レンズ4と(ここでは、光学レンズ4の、加工、すなわちここでは研磨又は刻印の対象となる表面と反対の表面)と接触して、製造機械40による加工中(すなわち、研磨ステップ又は刻印ステップ中)に光学レンズ4を支持する対向力を提供するように位置付けられてよい。
【0059】
図6は、本発明による別の例の光学要素52を示す。
【0060】
光学要素52は、光学レンズ54とホルダ56を含む。
【0061】
ホルダ56は第一の部分58を含み、これは例えば図17に関して後述する付加製造機械を使って付加製造方法により光学レンズ54と一緒に製作される。
【0062】
ホルダ56はまた、追加部分(ここでは、第二の部分60)も含み、これはホルダ56の第一の部分58に、例えばスナップフィット式に取り付けられる。
【0063】
図6においてわかるように、ホルダ56はこの例では光学レンズ54を取り囲む。
【0064】
特に、第一の部分58(光学レンズ54と同じ付加製造方法により製作される)は、光学レンズ54を(ここでは、光学レンズ54の周縁全体に沿って)取り囲む。
【0065】
光学レンズ54とホルダ56(詳しくは、ホルダ56の第一の部分58)は、脆弱部分62により分離される。図6においてわかるように、光学レンズ54(及び光学レンズ54を取り囲む薄い脆弱部分62)は、装用者に矯正を提供するために使用される際、光学レンズ54を担持することになるフレームのリムの形状に合わせて設計される。
【0066】
この例において、追加部分(第二の部分60)は、例えば環状スナップフィットにより第一の部分58の周囲に取り付けられるリングである。
【0067】
ホルダ56の第一の部分58はそれゆえ、脆弱部分62に(及びそれゆえ、光学レンズ54の外縁に)対応する内縁と、(リング60の直径に対応する直径を有する)円形の外縁を有する。
【0068】
考え得る実施形態によれば、複数の考え得る(一定の)直径のリストに含まれる直径を有するリングが提供される。光学レンズ54を製造する場合、光学レンズ54を取り囲むのに適した最小のリングが選択され、光学レンズ54は(前述のように)付加製造方法で製作され、第一の部分58は選択されたリングの直径に対応する外径を有する。
【0069】
この解決策により、所定の直径の限定的な集合に含まれる直径を有する光学要素(光学レンズ54とホルダ56を含む)を扱うことが可能となり、それと同時に、ホルダ56の第一の部分58に使用される材料の量を限定できる。
【0070】
図6の破線で示されているように、ホルダ56は位置参照要素64(ここでは、3つの位置参照要素64)を含んでいてもよい。考え得る実施形態によれば、位置参照要素64の各々の位置は、光学レンズ54の光学中心Oに関して(及び、おそらくは光学レンズ54の参照軸Yに関して事前に設定される。
【0071】
図7においてわかるように、光学要素52(特に、光学要素52の光学レンズ54の光学中心O)はそれゆえ、製造機械66(ここでは、フロントフォコメータ(frontofocometer)等のモニタ装置)において、位置参照要素64が製造機械66の保持部分68に設けられた、それに対応する要素と協働するように設置されると、所定の位置に設置可能である。
【0072】
次に、本発明による第四の例の光学要素72について図8~10を参照しながら説明する。
【0073】
光学要素72は光学レンズ74とホルダ76を含み、これらはどちらも、例えば図17に関して後述する付加製造機械を使って付加製造方法により製作される。
【0074】
補強部分78及び割出部分80、82、84を含む複数の部分を含むホルダ76。
【0075】
これらの部分78、80、82、84は、光学レンズ74の周縁から延びる。この場合、補強及び割出部分78、80、82、84は光学レンズ74の周縁全体に沿って延び、それによってホルダ76は光学レンズ74を取り囲んでいる。
【0076】
特に図9においてわかるように、補強及び割出部分78、80、82、84は光学レンズ74に脆弱部分86によって接続される。補強及び割出部分78、80、82、84の各々はまた、脆弱部分88によってそれぞれの隣接部分78、80、82、84に接続される。
【0077】
この例において、第一の割出部分80は第二の割出部分82に2つの補強部分78を介して接続され、第一の割出部分80は第三の割出部分84に2つの補強部分78を介して接続され、第二の割出部分82と第三の割出部分84は3つの補強部分78を介して相互に接続されている。
【0078】
この例において、各補強部分78は光学レンズ74とホルダ76の円形の外縁との間の領域全体にわたって延びている。しかしながら、考え得る変形型によれば、補強部分78の少なくとも1つは、ホルダ56の2つの部分を接続する、例えば割出部分80、82、84を光学レンズ74に接続するか、2つの割出部分80、82、84を相互に接続する補強アームとして設計されてよい。
【0079】
図9においてわかるように、各割出部分80、82、84は、光学レンズ74の反対側にあり、ホルダ76の円形の外縁を越えて延びる端領域を含む。
【0080】
各端領域は、製造機械の、それに対応する要素と協働して、光学レンズを製造機械の中の所定の位置に位置付けるように設計され、これについては後でさらに説明する。
【0081】
図11は、第一の製造ステップ、例えば研磨ステップ中の光学要素72を示す。
【0082】
光学要素72は、支持要素90、ここでは研磨機械の支持要素の上に載せられる。
【0083】
支持要素90は光学要素72と、特に補強部分78の高さで接触する。言い換えれば、少なくとも補強部分78の1つが支持要素90により支持され、したがって、対応する製造機械(ここでは研磨機械)の中に光学要素72(光学レンズ74を含む)を保持するのに参加する。光学レンズ74自体も、それに加えて、支持要素90によって支持されてよい。
【0084】
それゆえ、ホルダ76の部分78、80、82、84(特に、補強部分78)により、たとえ光学レンズ74の形状が支持要素90とマッチしていなくても(特に、光学レンズ74が支持要素90の直径より小さくても)、光学要素72(光学レンズ74を含む)が光学要素72の周縁全体で支持要素90により保持(支持)されることが可能となる。
【0085】
光学レンズ74を取り囲むホルダ76を使用することで、様々な光学要素72(光学レンズ74の形状を問わない)に同じ支持要素90を使用できる。
【0086】
さらに、光学要素72の機械抵抗が改善され、光学レンズ74は変形や破損することなく加工ステップ(ここでは研磨ステップ)に耐えることができる。
【0087】
図12は、第二の製造ステップ、例えばコーティングステップ中の光学要素72を示す。
【0088】
このステップでは、第一の割出部分80は製造機械(ここでは、コーティング機械)の支持手段92と、光学要素72(光学レンズ74を含む)が製造機械の中で吊り下げられる(したがって、この例ではコーティングできる)ような方法で協働する。
【0089】
詳しくは、ここで説明する例において、第一の割出部分80の端領域は、ホルダ76の円形の外縁を越えて外側に延びる半径方向部分79と、半径方向部分79から延びて第一の割出部分80の外端を形成する横方向部分81を含む。
【0090】
製造機械の支持手段92は、長さ方向の溝91(その幅は半径方向部分79の幅より大きいが、横方向部分81の横方向の範囲より小さい)と、複数のペアのスロット93(各々の幅は第一の割出部分80の厚さよりわずかに大きい)を含む。
【0091】
図13においてわかるように、光学要素72は、横方向部分81をあるペアのスロット93の中に係合させて、横方向部分81の一部が支持手段92の上に載り、半径方向部分79が長さ方向の溝91にはまるようにすることによって、支持手段92に吊り下げることができる。
【0092】
横方向部分81の位置は関係するペアのスロット93の中で固定されるため、光学要素72(及び光学要素72に含まれる光学レンズ74)は、製造機械の中の所定の位置に位置付けられる。
【0093】
図14は、これから説明するように、第三の製造ステップで使用される製造機械の支持手段として使用されるリング94を示している。
【0094】
図15は、この第三の製造ステップ、ここでは刻印における光学要素を示す。
【0095】
図15においてわかるように、ホルダ76の補強部分78は前のステップ(第二の製造ステップ)と現在のステップ(第三の製造ステップ)との間で光学要素72から(脆弱部分88に沿って)切り離されている。
【0096】
しかしながら、ホルダ76の割出部分80、82、84は(脆弱部分86の残っている部分を介して)光学レンズ74に接続されたままである。
【0097】
製造機械(ここでは、刻印機械)に設けられたリング94は複数の凹部95を含み、その各々は図15においてわかるように、ホルダ76の割出部分80、82、84の1つに対応する。各凹部95は、対応する割出部分80、82、84を受けて、それと係合するようになされ、それによって光学レンズ74は製造機械(ここでは刻印機械)において、複数の割出部分80、82、84の各々が対応する凹部94と協働すると所定の位置に位置付けられる。
【0098】
特に図8及び15においてわかるように、光学要素72は平坦ではなく湾曲している。それに対して、各割出部分80、82、84は延長部を有し、これは光学レンズ74の光軸に関して傾斜しており、割出部分80、82、84が対応する凹部95に取り付けられたときに光学レンズ74はリング94から離れている。
【0099】
それゆえ、光学レンズ74はリング94の上方に位置付けられ、この刻印ステップ中に刻印機械によってアクセス可能となり、加工される。
【0100】
割出部分80、82、84をリング94と(特に、リング94の凹部95と)協働するように設計することにより、様々な光学要素に(各光学要素は特定の形状の光学レンズを含んでいるかもしれないが、)標準リングを使用することが可能となる。
【0101】
図16は、第四の製造ステップ、ここでは反射防止コーティング中の光学要素72を示す。
【0102】
この第四の製造ステップ中で使用される支持手段96は複数のスロット98を含み、これらはそれぞれホルダ76の割出部分80、82、84の少なくとも一部に対応する。
【0103】
詳しくは、この例では、スロットの1つは第一の割出部分80の半径方向部分79に対応し、他の2つのスロットはそれぞれ、ホルダ76の第二及び第三の割出部分82、84に対応する。
【0104】
前のステップと同様に、光学レンズ74は、製造機械(ここでは、反射コーティング機械)の中で、ホルダ76の割出部分80、82、84がそれぞれのスロット98の中に設置されたときに所定の位置に位置付けられる。
【0105】
この例において、支持手段96はリング形であり、したがって空洞99(スロット98が形成される壁によって囲まれる)を画定する。
【0106】
光学要素72の湾曲形状(及び特に、割出部分80、82、84の光学レンズ74の光軸に関する傾斜した向き)を考え、光学レンズ74は、この例において、空洞99の中にはまる。
【0107】
支持手段96(例えば標準的な円形の外形を有する)によって、光学要素72は反射防止コーティング機械の中の所望の位置に容易に位置付けることができる(光学要素72に含められる光学レンズ74の形状を考慮する必要がない)。
【0108】
図17は、本発明に関して使用可能な例示的な付加製造機械101を示す。
【0109】
この付加製造機械101、制御ユニット102と、ノズル113(又は場合によりこのようなノズルの列)と、その上で光学要素110が付加製造方法によって製造される製造支持部材112とを含む。
【0110】
付加製造機械101は、ここで、製造段階中に取外し可能なシールドにより覆われている穴106も含み、それにより、付加製造方法により製造された後に製造支持部材112上の光学要素110に到達できる。
【0111】
製造支持部材112は、全体的な形状を有する製造面が設けられた本体を含み、その全部又は一部は、付加製造によって製作しようとする物体の少なくとも1つの表面の形状に依存しないか又は依存する。本明細書で説明する例において、製造面は、平坦であるが、変形形態として、それは、例えば、凸面又は凹面であり得る。
【0112】
ノズル113(又はノズルの列中のノズル)は、(それぞれ)制御ユニット102により、アクチュエータによって移動され、任意選択の追加の処理(光重合ステップ等)後に光学要素110の基本部分を形成する材料の要素体積(すなわちボクセル)を送達するように制御される。
【0113】
制御ユニット102にはデータ処理システムが設けられ、これは、特にマイクロプロセッサ103と、(例えば、不揮発性)メモリ104(ここではマイクロプロセッサ103に内蔵されたリードオンリーメモリ、すなわちROM)を含む。このようなメモリ104には、マイクロプロセッサ103により実行されると、付加製造機械101が制御され、したがって付加製造方法が実行されて、例えば前述の光学要素の1つを製作することができるようにするコンピュータプログラム命令(ソフトウェアを形成する)が保存される。
【0114】
制御ユニット102は、変更可能なメモリ105、ここでは揮発性ランダムアクセスメモリ(RAM)をさらに含み、その中に、ソフトウェアの実行及び付加製造方法の実行中に使用されるデータが保存される。
【0115】
変形形態として、不揮発性メモリ104及び/又は変更可能メモリ105は、書き換え可能不揮発性メモリ、例えば電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)であり得る。
【0116】
変更可能メモリ105は、特に製造しようとする光学要素110を画定するための要素を保存する。これらの画定要素は、例えば、コンピュータネットワークにより製造機械101に接続された他のデータ処理システム(図示せず)から事前に受信されている。
【0117】
これらの画定要素は、例えば、少なくとも部分的に光学要素110の(3次元)形状を画定するデータ(典型的に変更可能メモリ105に保存されるファイルの形態を取る)である。
【0118】
画定要素は、後述のように、製造しようとする光学要素に含められる光学(ここでは眼鏡)レンズに処方された単純な光学機能を画定するデータも含み得る。1つの考え得る実施形態によれば、画定要素は、この光学レンズを備える眼鏡の将来の装用者の個人化パラメータ及び/又はこの光学レンズを担持するフレームの形状のパラメータを含み得る。
【0119】
具体的には、光学要素110に含められる光学レンズの形状は、光学機能と、任意選択により個人化及び/又はフレームパラメータとの知識を表す画定要素から推測され得る。画定要素は、したがって、光学要素110に含められる光学鏡レンズの縁の形状の定義を含み得る。
【0120】
「光学レンズの光学機能」という表現は、入ってくる光ビームの入射がどのようなものかにかかわらず及び入射光ビームにより照明される入射ディオプトリの幾何学的範囲がどの程度であるかにかかわらず、このレンズの光学反応、すなわちそのレンズを通じた光ビームの伝搬及び透過の何らかの変更を画定する機能を意味すると理解されたい。
【0121】
より正確には、眼科分野では、光学機能は、装用者の屈折力及び乱視特性の分布、このレンズの装用者のすべての注視方向についてのレンズにかかわる屈折後の光のフレ及びより高次の収差の分布と定義される。当然のことながら、これは、装用者の眼に関するレンズの幾何学的位置がすでに分かっていることを前提とする。
【0122】
また、装用者の屈折力は、眼鏡レンズの屈折力を計算及び調節するための1つの方法であり、他の方法は、レンズメータの屈折力を使用することである点にも留意されたい。装用者の屈折力の計算により、装用者が認識する屈折力(すなわち眼に入る光のビームのパワー)は、レンズがフレームに嵌められ、装用者により装用されたとき、処方された屈折力に確実に対応することになる。単焦点レンズの光学中心において、装用者の屈折力は、一般に、この地点に位置付けられたレンズメータで観察される屈折力に近い。
【0123】
変更可能メモリ105(又は変形形態としてリードオンリーメモリ104)は、例えば、ノズル113(又はノズルの列)により送達される材料から形成され得る(例えば、光重合後の)材料の特性をさらに保存する。これらの特性は、任意選択により、製造しようとする部分の形状を(マイクロプロセッサ103により)決定する際に考慮され得る。
【0124】
同様に、変更可能メモリ105(又は変形形態として不揮発性メモリ104)は、特にこの表面が平坦でない(例えば、前述のように凹面又は凸面である)場合に製造支持部材112の製造領域を画定するデータ及び/又は付加製造の特徴的パラメータ、例えばノズル113の前進速度、その後の処理(例えば、光重合)で使用されるパワー及びパワー源、例えば紫外線(又は変形形態としてステレオリソグラフィ機械の場合等のレーザ又は緊張フィラメントの積層若しくは熱可塑性フィラメントの押出し加工の場合の加熱パワー)の発生源を表す他のデータを保存し得る。
【0125】
光学要素110を付加製造によって製作することは、複数の重ねられたボクセル又は層を形成することに加えて、光重合の1つ又は複数のステップを含み得る。光重合のステップは、各ボクセルの生成時、又は全体的にノズル113(若しくはノズルの列)による材料の送達後、又は材料の各層の堆積後に行われ得る。
【0126】
さらに、光学要素10の重合は、光学要素110を製作する付加製造方法の終了時に完了していなくてもよい点にも留意されたい。
【0127】
考え得る実施形態によれば、付加製造機械は、複数のノズルを含み得、各ノズルが特定の組成物又は材料を送達する。複数のノズルの使用により、空間にわたり徐々に変化する組成物を有する傾斜機能材料(FGM)を得ることが可能となる。
【0128】
考え得る実施形態によれば、
- 並置され、重ねられた複数のボクセル(すなわち体積要素)は、各々がその長さにわたって一定又は可変の厚さを有し、且つ/又はすべてが同じ厚さを有するか又は有さない、重ねられた層を形成し;
- 材料は、1つ若しくは複数のアクリル、メタクリル、アクリレート若しくはメタクリレート機能を有する分子の1つ若しくは複数のファミリ、1つ若しくは複数のエポキシ、チオエポキシ若しくはチオールエン機能を有する分子のファミリ、1つ若しくは複数のチオール、スルフィド若しくはエピスルフィド機能を有する分子のファミリ、1つ若しくは複数のビニルエーテル、ビニルカプロラクタム若しくはビニルピロリドン機能を有する分子のファミリ、高分岐若しくはハイブリッド有機/無機材料のファミリ又はこれらの機能の組合せを含むフォトポリマーであり、上記の化学的機能は、モノマー若しくはオリゴマー又はモノマーとオリゴマーとの組合せにより担持される可能性があり;
- 材料は、少なくとも1種の光重合開始剤を含み得;
- 材料は、コロイド粒子又はナノ粒子、特に例えば可視波長より小さい粒径を有するコロイド粒子又はナノ粒子、例えば、
・例えば炭化カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩のナノ粒子、
・例えば硫化バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩のナノ粒子、
・例えばアルミナ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム又は二酸化チタン等の金属酸化物のナノ粒子、
・半金属酸化物、例えば二酸化シリカのナノ粒子、
・金属硫化物、特に硫化亜鉛のナノ粒子、
・例えばシルセスキオキサン等のシロキサン、及び
・重合可能な有機基で機能化可能なナノ粒子
を含み得、このようなナノ粒子がモノマーに含められ、特にその屈折力を高めることができ;
- 材料は、少なくとも特定の事前決定された体積要素において、顔料又は染料、例えばアゾ、又はローダミン、又はシアニン、又はポリメチン、又はメロシアニン、又はフルオレセイン、又はピリリウム、又はフタロシアニン、又はペリレン、又はベンズアントロン、又はアントラピリミジン、又はアントラピリドンファミリに属する染料であるか、又はさらに希土類クリプタート又はキレート等の金属錯体染料を含み得、これらの材料が初期のモノマー調合に含められ、特にカラーレンズ又はさらにグラディエントカラーレンズを得ることができ;
- 製造プロセスは、追加の熱照射ステップ及び/又は例えばスペクトルの紫外線波長の追加の化学線照射ステップを含むか、又はさらに照射ステップを含まず;
- 製造プロセスは、眼鏡レンズの材料の屈折率変化が考慮されるステップを含み得、既知の最適化手順による反復最適化ループの形態を取り;
- 眼鏡レンズの材料は任意選択により、1種又は複数の染料、並びに/又はその光透過率及び/若しくはその外観を変化させるように構成されたナノ粒子、並びに/又はその機械的特性を変化させるように構成されたナノ粒子若しくは添加剤を含み;
- 付加製造機械は、3次元プリンティングマシンではなく、ステレオリソグラフィマシン(すなわち「ステレオリソグラフィ装置」の省略形SLA)又は緊張フィラメント積層機械(すなわち「熱溶融堆積法」の省略形のFDM)とも呼ばれる熱可塑性フィラメント押出し機であり;
- 制御ユニットは、マイクロプロセッサの代わりにマイクロコントローラを含む。
【0129】
留意すべき点として、付加製造機械ではない製造機械と協働するようになされる以外に、本発明のホルダはまた、光学要素の付加製造のあるステップ中に付加製造機械の中で使用されてもよい。したがって、ホルダは光学要素の付加製造中であってもホルダとして機能するかもしれない。例えばこれは、付加製造中に光学要素の部分を支持し、又は安定させるために利用されてよい。
【0130】
非限定的な例において、図1のホルダ及びそれに結合される光学要素は、付加製造により、光学要素が縦に構築される状態で、すなわち図1の画像の平面内の構築方向で形成されてよい。その場合、光学要素とホルダの向きは、有利な点として、ホルダが光学要素の支持を助けるように選択される。例えば、製造指示は、光学要素とホルダからなるアセンブリが、光学要素の少なくとも1点とホルダの少なくとも1点に基づいて付加製造機械と接触して載せられるように決定されてよい。
【0131】
代替的に、図6のホルダは、製造ステップ中、付加製造ステップの製造方向がリング60により形成される平面に対して垂直な向きである場合に、光学要素54の側面を支持するのを助ける部分を有していてもよい。このような支持手段はそれゆえ、図8に示される断面と同様の断面を有する(図6の軸OYに垂直な平面の断面において、図8の参照番号74の光学要素はすると、図6の光学要素54を表し、部分82及び84はすると、ホルダ58の、及びリング60の部分を表す)が、図8図9、10、及び11に関して上述した他の実施形態に関するものである。ホルダのこのような利用はまた、代替的に、ホルダの形状がリングではない場合であっても得られ得る。
【0132】
さらに、光学要素は縦軸に沿って、すなわち光学要素の縁を使って定められる光学要素の参照平面が縦か縦に近い状態で付加製造される場合、光学要素が製造プロセス中に光学要素が倒れる危険が高く、これは、その質量中心がアセンブリの、付加製造機械と接触する部分のトレース間にないからであることに留意されたい。実際に、レンズ等の光学要素は凸面及び/又は凹面を有し、それゆえその重力中心は上述の参照平面から平衡状態にない。レンズが付加製造によって縦方向に構築される場合、質量中心の位置は、付加製造中、参照平面に垂直な水平面に沿って移動する。したがって、光学要素がその縁の1つにおいて縦方向に構築され、光学要素の縁の1つの一部が製造の開始層として使用される場合、製造が進むにつれて、質量中心は前記開始層から離れてゆき、前記開始層、又は前記開始層により画定されるトレースゾーンの縦方向の上方にはなくなることも多い。したがって、アセンブリはアンバランスとなり、製造中に転倒し、又は揺れ動き得る。
【0133】
しかしながら、付加製造の技術分野における製造された物体の倒壊又は転倒を防止するための通常の解決策は、光学要素の製造には望ましくない。実際に、何れの支持構造も、それが表面粗さの品質に対して、及びそれゆえ光学品質に対して与える影響から、レンズの光学表面と直接接触するように構築しないことが好ましい。
【0134】
本発明の実施形態によれば、本発明のホルダは、製造中の光学要素のこのようなアンバランスを考慮に入れ、それを補償し、その転倒を防止するように設計されてよい。したがって、ホルダは、付加製造機械に取り付けられることになる、参照平面又は光学要素の縁若しくはホルダの縁から予定されている質量中心の方向に向かって延びる部分をより厚くなるように設計されてよい。それゆえ、ホルダのその部分が確実に質量中心より遠くまで延び、支持構造として機能し、それによって前記質量中心をホルダと光学要素からなる製造されたアセンブリの設置面積により画定されるゾーンより上に位置付けることが可能となる。このようにして、取付中、ホルダを通じて支持構造の効果は光学要素の縁に対してのみ得られる。さらに、前記厚さは、ホルダの上部において厚さが減少してよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17