(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/49 20060101AFI20221018BHJP
A61F 13/56 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
A61F13/49 311Z
A61F13/49 315Z
A61F13/56 211
A61F13/56 213
A61F13/49 312Z
(21)【出願番号】P 2020051439
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2020-11-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】福元 淳生
(72)【発明者】
【氏名】受川 和雄
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嶺
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-062616(JP,A)
【文献】特開2018-089014(JP,A)
【文献】特開2017-051349(JP,A)
【文献】特開平09-122176(JP,A)
【文献】特開2004-024304(JP,A)
【文献】特開2004-329386(JP,A)
【文献】特開2019-118576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/49
A61F 13/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品であって、
吸収コアが設けられた、長手方向に延びるシート部材であり、前方部、股下部および後方部を前記長手方向に順に有する本体部と、
前記本体部上において、前記長手方向に略垂直な幅方向に離れて設けられる一対のサイドシートと、
前記一対のサイドシートの間にて前記本体部
の着用者側に固定され、前記長手方向に延びる中央補助シートと、
前記後方部において前記本体部の後端エッジに沿って設けられ、前記幅方向に延び
、前記本体部を平面視した場合に、前記吸収コアと重ならない後ウエスト弾性部材と、
少なくとも前記股下部から前記後方部に亘って前記中央補助シートに設けられ、前記本体部を平面視した場合に、前記股下部において前記吸収コアと重なり、前記後方部において前記後ウエスト弾性部材と交差する中央弾性部材と、
を備え、
前記中央補助シートが、
前記長手方向に延び、前記幅方向における前記本体部の中央部に固定される固定部と、
前記幅方向における前記固定部の両外側に連続し、前記固定部と共に前記長手方向に延びる一対のフラップ部と、
を備え、
各フラップ部に前記中央弾性部材の弾性要素が設けられ、前記中央弾性部材が収縮することにより、前記各フラップ部が着用者側に向かって立ち上がり、中央ギャザーが形成され、
前記本体部を前記長手方向に伸張した状態において、前記後方部に位置する前記吸収コアの後端エッジと前記後ウエスト弾性部材との間の隙間の距離が、25mm以下であ
り、
前記後ウエスト弾性部材が、前記幅方向に延びる複数の弾性要素を含み、
前記複数の弾性要素が、
前記中央弾性部材と交差する第1弾性要素と、
前記第1弾性要素と前記本体部の前記後端エッジとの間に配置され、前記中央弾性部材と交差しない第2弾性要素と、
を含むことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
吸収性物品であって、
吸収コアが設けられた、長手方向に延びるシート部材であり、前方部、股下部および後方部を前記長手方向に順に有する本体部と、
前記本体部上において、前記長手方向に略垂直な幅方向に離れて設けられる一対のサイドシートと、
前記一対のサイドシートの間にて前記本体部の着用者側に固定され、前記長手方向に延びる中央補助シートと、
前記後方部において前記本体部の後端エッジに沿って設けられ、前記幅方向に延び、前記本体部を平面視した場合に、前記吸収コアと重ならない後ウエスト弾性部材と、
前記前方部において前記本体部の前端エッジに沿って設けられ、前記幅方向に延びる前ウエスト弾性部材と、
前記前方部から前記後方部に亘って前記中央補助シートに設けられ、前記本体部を平面視した場合に、前記股下部において前記吸収コアと重なり、前記後方部において前記後ウエスト弾性部材と交差し、前記前方部において前記前ウエスト弾性部材と交差しない中央弾性部材と、
を備え、
前記中央補助シートが、
前記長手方向に延び、前記幅方向における前記本体部の中央部に固定される固定部と、
前記幅方向における前記固定部の両外側に連続し、前記固定部と共に前記長手方向に延びる一対のフラップ部と、
を備え、
各フラップ部に前記中央弾性部材の弾性要素が設けられ、前記中央弾性部材が収縮することにより、前記各フラップ部が着用者側に向かって立ち上がり、中央ギャザーが形成され、
前記本体部を前記長手方向に伸張した状態において、前記後方部に位置する前記吸収コアの後端エッジと前記後ウエスト弾性部材との間の隙間の距離が、25mm以下であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の吸収性物品であって、
前記後方部の両側部に取り付けられ、前記前方部の外面に止着されることにより、前記後方部の前記両側部を前記前方部に接続する一対の接続部をさらに備えることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項
3に記載の吸収性物品であって、
各接続部が、
前記幅方向に伸びる第1止着テープと、
前記第1止着テープと前記本体部の前記後端エッジとの間に配置され、前記幅方向に伸びる第2止着テープと、
を備えることを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項
4に記載の吸収性物品であって、
前記長手方向に関して、前記吸収コアの前記後端エッジが、前記第2止着テープの前記幅方向に延びる中心線と、前記本体部の前記後端エッジとの間に位置することを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項1ないし
5のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、
前記本体部に接合する際における前記中央弾性部材の伸長率が、1.7倍以下であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項1ないし
6のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、
前記吸収コアにおいて、前記後方部における前記幅方向の幅が、前記股下部における幅よりも大きいことを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項1ないし
7のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、
前記幅方向に関して、前記後ウエスト弾性部材の両端が、前記吸収コアの前記後端エッジの両端よりも内側に位置することを特徴とする吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつ等の吸収性物品が利用されている。例えば、特許文献1の吸収性物品では、吸液構造体の横方向の両外側にレッグ弾性体が設けられ、吸液構造体の横方向の中央部に縦方向へ延びる吸液弾性体が設けられる。これにより、当該中央部に大きなシワが発生することが防止される。また、当該吸収性物品では、後ウエスト域にレッグ弾性体および吸液弾性体を配置しない非弾性領域を設けることにより、後ウエスト域に大きなシワが発生することが防止される。特許文献2の吸収性物品では、吸収コアの幅方向中央部に、前後方向に延びる開口が形成され、当該開口の両側の外縁に沿って、吸収コアと重なって前後方向に延びる中央弾性部材が設けられる。当該吸収性物品では、上記開口により着用者の股間において吸収コアが幅方向に窪んだ形状が形成される。また、中央弾性部材の存在により、吸収コアに尿等が吸収されても、吸収コアが大きく窪むことが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-79292号公報
【文献】特開2017-51349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献2の吸収性物品において、本体部の後端エッジに沿って設けられる後ウエスト弾性部材に対して、前後方向に延びる中央弾性部材を交差させることが考えられる。これにより、吸収性物品の後方部を着用者の肌に密着させることが可能となる。しかしながら、この場合、後ウエスト弾性部材の収縮により、本体部における後端エッジ近傍の部位が幅方向中央に引き寄せられ、さらに、中央弾性部材の収縮により当該部位が吸収コア側に引き寄せられる。これにより、吸収性物品が収縮した状態において、本体部の後端エッジが、吸収コア側に向かって大きく湾曲し、吸収性物品の見栄えが悪くなってしまう。また、吸収性物品がテープタイプの使い捨ておむつである場合、吸収性物品を着用者に装着する際に、本体部の後方部が着用者の腰周りに対して位置合わせされるが、後端エッジが大きく湾曲した吸収性物品では、装着時における吸収性物品の位置合わせがしにくくなる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、吸収性物品が収縮した状態において、本体部の後端エッジが過度に湾曲した状態となることを抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、吸収性物品であって、吸収コアが設けられた、長手方向に延びるシート部材であり、前方部、股下部および後方部を前記長手方向に順に有する本体部と、前記本体部上において、前記長手方向に略垂直な幅方向に離れて設けられる一対のサイドシートと、前記一対のサイドシートの間にて前記本体部の着用者側に固定され、前記長手方向に延びる中央補助シートと、前記後方部において前記本体部の後端エッジに沿って設けられ、前記幅方向に延び、前記本体部を平面視した場合に、前記吸収コアと重ならない後ウエスト弾性部材と、少なくとも前記股下部から前記後方部に亘って前記中央補助シートに設けられ、前記本体部を平面視した場合に、前記股下部において前記吸収コアと重なり、前記後方部において前記後ウエスト弾性部材と交差する中央弾性部材とを備え、前記中央補助シートが、前記長手方向に延び、前記幅方向における前記本体部の中央部に固定される固定部と、前記幅方向における前記固定部の両外側に連続し、前記固定部と共に前記長手方向に延びる一対のフラップ部とを備え、各フラップ部に前記中央弾性部材の弾性要素が設けられ、前記中央弾性部材が収縮することにより、前記各フラップ部が着用者側に向かって立ち上がり、中央ギャザーが形成され、前記本体部を前記長手方向に伸張した状態において、前記後方部に位置する前記吸収コアの後端エッジと前記後ウエスト弾性部材との間の隙間の距離が、25mm以下であり、前記後ウエスト弾性部材が、前記幅方向に延びる複数の弾性要素を含み、前記複数の弾性要素が、前記中央弾性部材と交差する第1弾性要素と、前記第1弾性要素と前記本体部の前記後端エッジとの間に配置され、前記中央弾性部材と交差しない第2弾性要素とを含む。
請求項2に記載の発明は、吸収性物品であって、吸収コアが設けられた、長手方向に延びるシート部材であり、前方部、股下部および後方部を前記長手方向に順に有する本体部と、前記本体部上において、前記長手方向に略垂直な幅方向に離れて設けられる一対のサイドシートと、前記一対のサイドシートの間にて前記本体部の着用者側に固定され、前記長手方向に延びる中央補助シートと、前記後方部において前記本体部の後端エッジに沿って設けられ、前記幅方向に延び、前記本体部を平面視した場合に、前記吸収コアと重ならない後ウエスト弾性部材と、前記前方部において前記本体部の前端エッジに沿って設けられ、前記幅方向に延びる前ウエスト弾性部材と、前記前方部から前記後方部に亘って前記中央補助シートに設けられ、前記本体部を平面視した場合に、前記股下部において前記吸収コアと重なり、前記後方部において前記後ウエスト弾性部材と交差し、前記前方部において前記前ウエスト弾性部材と交差しない中央弾性部材とを備え、前記中央補助シートが、前記長手方向に延び、前記幅方向における前記本体部の中央部に固定される固定部と、前記幅方向における前記固定部の両外側に連続し、前記固定部と共に前記長手方向に延びる一対のフラップ部とを備え、各フラップ部に前記中央弾性部材の弾性要素が設けられ、前記中央弾性部材が収縮することにより、前記各フラップ部が着用者側に向かって立ち上がり、中央ギャザーが形成され、前記本体部を前記長手方向に伸張した状態において、前記後方部に位置する前記吸収コアの後端エッジと前記後ウエスト弾性部材との間の隙間の距離が、25mm以下である。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の吸収性物品であって、前記後方部の両側部に取り付けられ、前記前方部の外面に止着されることにより、前記後方部の前記両側部を前記前方部に接続する一対の接続部をさらに備える。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の吸収性物品であって、各接続部が、前記幅方向に伸びる第1止着テープと、前記第1止着テープと前記本体部の前記後端エッジとの間に配置され、前記幅方向に伸びる第2止着テープとを備える。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の吸収性物品であって、前記長手方向に関して、前記吸収コアの前記後端エッジが、前記第2止着テープの前記幅方向に延びる中心線と、前記本体部の前記後端エッジとの間に位置する。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、前記本体部に接合する際における前記中央弾性部材の伸長率が、1.7倍以下である。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、前記吸収コアにおいて、前記後方部における前記幅方向の幅が、前記股下部における幅よりも大きい。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、前記幅方向に関して、前記後ウエスト弾性部材の両端が、前記吸収コアの前記後端エッジの両端よりも内側に位置する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、吸収性物品が収縮した状態において、本体部の後端エッジが過度に湾曲した状態となることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図5】吸収性物品を折り畳んだ状態を説明するための図である。
【
図6】吸収性物品を折り畳んだ状態を説明するための図である。
【
図7】本体部の後端エッジの湾曲を説明するための図である。
【
図9】比較例の吸収性物品における本体部の後端エッジの湾曲を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る吸収性物品1を広げた状態にて示す平面図である。吸収性物品1は、着用者の腹側に接触する部位と背側に接触する部位とを、一対の接続部4により腰周りで接続するテープタイプの使い捨ておむつである。吸収性物品1は、着用者からの排泄物を受ける。
図1では、着用時に着用者に接触する側(すなわち、着用者側)の面を手前にして吸収性物品1を描いている。
【0018】
図2は、吸収性物品1を
図1中に示すII-IIの位置で長手方向(すなわち、
図1中の縦方向)に垂直な面で切断した断面図である。
図2では、図示の都合上、吸収性物品1の各構成を簡略化するとともに、厚さ方向(
図2中の縦方向)に離して描いている。
【0019】
図1および
図2に示すように、吸収性物品1は、長手方向に延びるシート部材である本体部2と、一対のサイドシート3と、中央補助シート5とを備える。一対のサイドシート3は、本体部2の両側部(すなわち、長手方向に略垂直な幅方向の両側の端部)上において本体部2の長手方向に延びる。中央補助シート5は、本体部2上において一対のサイドシート3の間にて長手方向に延びる。
図1に示す例では、一対のサイドシート3および中央補助シート5は、長手方向における本体部2のおよそ全長に亘って設けられる。サイドシート3および中央補助シート5の詳細については後述する。以下の説明では、
図1に示す本体部2において一対のサイドシート3の間の部位を「中央部」という。本体部2の中央部は、幅方向の中央において本体部2のおよそ全長に亘って長手方向に延びる帯状の部位である。
【0020】
本体部2の
図1中における下側の部位201および上側の部位203はそれぞれ、着用者の腹側および背側の肌に接触する。以下の説明では、当該部位201,203をそれぞれ、「前方部201」および「後方部203」と呼ぶ。また、前方部201と後方部203との間において前方部201および後方部203から連続する部位202を「股下部202」と呼ぶ。股下部202は、着用者の股間部に対向する。吸収性物品1では、本体部2が、前方部201、股下部202および後方部203を長手方向に順に有する。
図1に示す例では、前方部201および後方部203の幅方向の幅(以下、単に「幅」ともいう。)は、股下部202の幅よりも大きい。すなわち、平面視において、吸収性物品1は、いわゆる砂時計型である。
【0021】
前方部201における着用者とは反対側の外面には、被止着部29(
図3参照)が設けられる。被止着部29は、面ファスナのループ部材であり、前方部201の外面上にホットメルト接着剤等により接合される。
図1に示すように、吸収性物品1は、一対の接続部4をさらに備える。一対の接続部4は、後方部203の両側部に取り付けられる。一対の接続部4の内面(着用者側の面)には、後述の止着部410が設けられる。止着部410は、被止着部29に対して止着可能な面ファスナのフック部材である。接続部4の詳細については後述する。
【0022】
吸収性物品1を着用者に装着する際には、本体部2の前方部201および後方部203をそれぞれ着用者の腹側および背側に接触させた状態で、
図3に示すように、一対の接続部4が、前方部201の外面、詳細には、被止着部29に止着される。これにより、後方部203の両側部が前方部201(典型的には、前方部201の両側部)に接続される。
【0023】
図1および
図2に示すように、本体部2は、トップシート21と、吸収コア22と、バックシート23とを備える。トップシート21は、透液性のシート部材である。バックシート23は、撥液性または不透液性のシート部材である。吸収コア22は、長手方向に延びる略シート状であり、トップシート21とバックシート23との間に配置される。吸収コア22の着用者側の主面がトップシート21により覆われる。吸収コア22の他方の主面、すなわち、着用者とは反対側の主面がバックシート23により覆われる。
図1では、図の理解を容易にするために、吸収コア22の輪郭を太い破線にて描いている。
【0024】
図1に示す例では、長手方向における吸収コア22の両端のエッジは、本体部2の両端のエッジに沿って幅方向にほぼ真っ直ぐに延びる。以下の説明では、これらのエッジのうち、前方部201に位置するエッジを「前端エッジ」といい、後方部203に位置するエッジを「後端エッジ」という。長手方向において、吸収コア22の前端エッジ226は本体部2の前端エッジ206から離れており、吸収コア22の後端エッジ227も本体部2の後端エッジ207から離れている。
【0025】
前方部201および後方部203における吸収コア22の幅は、股下部202における吸収コア22の幅よりも大きい。換言すれば、吸収コア22は、平面視において、いわゆる砂時計型である。また、吸収コア22には、中央部において長手方向に延びる開口221(凹部であってもよい。)が設けられる。開口221は、吸収コア22の前端エッジ226と後端エッジ227との間にて、両者から離れた位置に配置される。吸収コア22の形状は任意に変更されてよく、開口221が省略されてもよい。
【0026】
トップシート21は、吸収コア22の周りにおいてバックシート23に固定される。トップシート21とバックシート23との固定は、例えば、ホットメルト接着剤を介して行われる。トップシート21とバックシート23との固定は、熱融着接合や超音波接合等により行われてもよい。
図2に示す例では、トップシート21の幅は、バックシート23の幅よりも小さく、バックシート23の両側部は、トップシート21の両側エッジから幅方向外側に延出している。
【0027】
トップシート21は、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉し、当該水分を吸収コア22へと移動させる。吸収コア22は、トップシート21を透過した水分(すなわち、着用者からの排泄物の水分)を吸収して固定する。バックシート23は、バックシート23に到達した排泄物の水分等が、本体部2の外部にしみ出すことを防止する。
【0028】
図1に示すように、前方部201には、幅方向に延びる前ウエスト弾性部材24が前端エッジ206に沿って設けられる。前ウエスト弾性部材24は、例えばトップシート21とバックシート23との間にホットメルト接着剤等により伸張状態にて接合される。前ウエスト弾性部材24は、幅方向に延びる少なくとも1本の弾性要素241を含む。
図1の例では、前ウエスト弾性部材24は、複数の弾性要素241を含む。また、前ウエスト弾性部材24の長さは、吸収コア22の前端エッジ226の長さよりも短い。幅方向に関して、前ウエスト弾性部材24の両端が、吸収コア22の前端エッジ226の両端よりも内側に位置する。なお、前ウエスト弾性部材24の両端は、本体部2に対して収縮力を作用させる部分の両端である。後述の後ウエスト弾性部材25において同様である。
【0029】
後方部203には、幅方向に延びる後ウエスト弾性部材25が後端エッジ207に沿って設けられる。後ウエスト弾性部材25は、例えばトップシート21とバックシート23との間にホットメルト接着剤等により伸張状態にて接合される。後ウエスト弾性部材25は、幅方向に延びる少なくとも1本の弾性要素251を含む。
図1の例では、後ウエスト弾性部材25は、複数の弾性要素251を含む。また、後ウエスト弾性部材25の長さは、吸収コア22の後端エッジ227の長さよりも短い。幅方向に関して、後ウエスト弾性部材25の両端が、吸収コア22の後端エッジ227の両端よりも内側に位置する。吸収性物品1では、前ウエスト弾性部材24および後ウエスト弾性部材25が収縮することによりウエストギャザーが形成され、吸収性物品1の着用時に本体部2が着用者の腰周りに密着する。
【0030】
本体部2において、幅方向における中央部(すなわち、一対のサイドシート3の間の部位)の両外側近傍には、長手方向に延びる一対のコア側部弾性部材26が設けられる。一対のコア側部弾性部材26は、吸収コア22の両側部近傍に配置され、ホットメルト接着剤等により伸張状態にて本体部2に接合される。各コア側部弾性部材26は、長手方向に延びる少なくとも1本の弾性要素を含む。
図1の例では、長手方向におけるコア側部弾性部材26の一端は、前方部201と股下部202との境界近傍に位置する。コア側部弾性部材26の他端は、後方部203において吸収コア22と重なるとともに、吸収コア22の後端エッジ227から股下部202側に離れた位置に配置される。吸収性物品1では、一対のコア側部弾性部材26が収縮することにより、吸収コア22の両側部が着用者側に持ち上げられる。本明細書では、2つの部材が重なるという表現は、吸収性物品1を平面視した場合に(すなわち、
図1のように長手方向および幅方向に広げた状態の吸収性物品1を厚さ方向に沿って見た場合に)、両部材が重なることを意味する。2つの部材が交差するという表現において同様である。
【0031】
本体部2の両側部には、長手方向に延びる一対の脚周り弾性部材27が設けられる。一対の脚周り弾性部材27は、幅方向において吸収コア22よりも外側に配置され、ホットメルト接着剤等により伸張状態にて本体部2に接合される。各脚周り弾性部材27は、長手方向に延びる少なくとも1本の弾性要素を含む。
図1の例では、長手方向における脚周り弾性部材27の一端は、前方部201と股下部202との境界近傍に位置する。脚周り弾性部材27の他端は、長手方向に関して、吸収コア22の後端エッジ227から股下部202側に離れた位置に配置される。典型的には、脚周り弾性部材27は、吸収コア22と重ならない。脚周り弾性部材27が収縮することにより、サイドシート3の後述の固定部33およびバックシート23が着用者側に向かって立ち上がり、着用者の脚の付け根近傍に密着するレッグギャザーが形成される。
【0032】
図2の例では、バックシート23が、複数のシートの積層体であり(もちろん、単層のシートであってもよい。)、コア側部弾性部材26および脚周り弾性部材27が、バックシート23の互いに隣接するシート間に配置される。コア側部弾性部材26および脚周り弾性部材27は、他のシート間に配置されてもよい。
【0033】
一対のサイドシート3のそれぞれは、撥液性または不透液性のサイドシート本体31と、側壁弾性部材35とを備える。サイドシート本体31は、固定部33と、側壁部34とを備える。固定部33は、トップシート21の側部上、および、バックシート23のトップシート21から幅方向外側に延出する側部上に固定される。固定部33とトップシート21およびバックシート23との固定は、ホットメルト接着剤等の接着剤を介して行われる。固定部33とトップシート21およびバックシート23との固定は、熱融着接合や超音波接合等により行われてもよい。
【0034】
側壁部34は、固定部33の幅方向内側に連続し、固定部33と共に長手方向に延びる。吸収性物品1では、一対の側壁部34が、吸収コア22の両側部近傍においてトップシート21側に設けられる。各側壁部34の端部、すなわち、自由端には、長手方向に延びる側壁弾性部材35がホットメルト接着剤等により伸張状態にて接合される。側壁弾性部材35は、長手方向に延びる少なくとも1本の弾性要素を含む。側壁弾性部材35が収縮することにより、側壁部34が着用者に向かって立ち上がり、立体ギャザーが形成される。なお、
図2では、単層のサイドシート本体31に対して側壁弾性部材35が接合されているが、サイドシート本体31が複数のシートの積層体とされ、サイドシート本体31の互いに隣接するシート間に側壁弾性部材35が配置されてもよい。中央補助シート5における後述の補助シート本体51および中央弾性部材52において同様である。
【0035】
図2に示すように、中央補助シート5は、撥液性または不透液性の補助シート本体51と、中央弾性部材52とを備える。補助シート本体51は、1つの固定部53と、一対のフラップ部54とを備える。固定部53は、長手方向に延びており、本体部2の中央部においてトップシート21に固定される。固定部53とトップシート21との固定は、ホットメルト接着剤等の接着剤を介して行われる。固定部53とトップシート21との固定は、熱融着接合や超音波接合等により行われてもよい。一対のフラップ部54は、幅方向における固定部53の両外側に連続し、固定部53と共に長手方向に延びる。各フラップ部54は、固定部53とサイドシート3との間に設けられる。
図1に示すフラップ部54において、長手方向における両端部は、固定部53と同様にしてトップシート21に固定され、当該両端部間の部位は、トップシート21に固定されない。フラップ部54においてトップシート21に固定される各端部は、吸収コア22の端部、および、前ウエスト弾性部材24または後ウエスト弾性部材25と重なることが好ましい。
【0036】
中央弾性部材52は、長手方向に延びる少なくとも1本の弾性要素521を含み、ホットメルト接着剤等により伸張状態にて補助シート本体51に接合される。
図1の例では、中央弾性部材52は、複数の弾性要素521を含む。本体部2に接合する際における中央弾性部材52の伸長率は、例えば1.7倍以下であり、好ましくは1.6倍以下であり、より好ましくは1.5倍以下である。中央弾性部材52の伸長率は、例えば1.1倍以上である。
図1の例では、中央弾性部材52の収縮力(弾性部材の長手方向に垂直な方向における単位幅当たりの収縮力)は、前ウエスト弾性部材24、後ウエスト弾性部材25、コア側部弾性部材26、脚周り弾性部材27および側壁弾性部材35のいずれの収縮力よりも小さい。
【0037】
中央弾性部材52は、前方部201から後方部203に亘って設けられる。吸収性物品1を平面視した場合に、中央弾性部材52は、前方部201、股下部202および後方部203のそれぞれにおいて吸収コア22と重なる。
図1の例では、長手方向における中央弾性部材52の一端(前端)は、吸収コア22の前端エッジ226の近傍に位置する。中央弾性部材52は、前ウエスト弾性部材24と交差しない。中央弾性部材52の他端(後端)は、吸収コア22の後端エッジ227と本体部2の後端エッジ207との間に位置する。
図4に示すように、中央弾性部材52は、後ウエスト弾性部材25における最も吸収コア22側の弾性要素251と交差し、最も本体部2の後端エッジ207側の弾性要素251と交差しない。吸収性物品1の設計によっては、中央弾性部材52が後ウエスト弾性部材25の全ての弾性要素251と交差してもよい。
【0038】
図2に示すように、複数の弾性要素521のうち一部の弾性要素521は、固定部53に配置され、残りの弾性要素521は、フラップ部54に配置される。固定部53に配置される弾性要素521は、吸収コア22の開口221の幅方向両外側に配置され、開口221と重ならないことが好ましい。また、各フラップ部54には、2以上の弾性要素521が設けられることが好ましい。吸収性物品1では、中央弾性部材52が収縮することにより、フラップ部54が着用者側に向かって立ち上がり、中央ギャザーが形成される。また、中央弾性部材52が後ウエスト弾性部材25と交差することにより、本体部2の後方部203を着用者の肌に密着させることが可能となる。
【0039】
例えば、補助吸収具(インナーパッド)を吸収性物品1の内面上に取り付け、吸収性物品1を外装物品(いわゆるアウター)として用いる場合、中央ギャザーにより補助吸収具を着用者側に持ち上げることが可能となる。また、補助吸収具を用いない場合でも、着用者から排泄された尿等の水分が吸収コア22に吸収された状態において、吸収コア22がその重みにより着用者の股間部から離れるように大きく窪むことを、中央弾性部材52(特に、固定部53に設けられる弾性要素521)により抑制することができる。
【0040】
ここで、
図4に示す吸収コア22の後端エッジ227と後ウエスト弾性部材25との間の隙間G1に注目する。吸収性物品1では、本体部2を長手方向に伸張した状態において、長手方向における隙間G1の距離D1(中央弾性部材52の位置における距離D1)は、25mm以下である。好ましい吸収性物品1では、隙間G1の距離D1は、吸収コア22の前端エッジ226と前ウエスト弾性部材24との間の隙間(
図1参照)の距離よりも小さく、例えば当該隙間の距離の3/4以下である。後述するように、隙間G1の距離D1が小さいことにより、本体部2の後端エッジ207が過度に湾曲した状態となることが抑制される。後端エッジ207の湾曲をさらに抑制するには、当該隙間G1の距離D1は、好ましくは22mm以下であり、より好ましくは18mm以下である。
【0041】
吸収コア22は、例えば、粒状または繊維状の高吸収性材料、および、親水性繊維の集合体のうち、少なくとも一方を吸収材として含む。当該高吸収性材料としては、例えば、粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))、または、繊維状の高吸収性ファイバー(SAF(Super Absorbent Fiber))が利用される。当該親水性繊維の集合体は、例えば、粉砕されたパルプ繊維またはセルロース繊維により形成される。本実施の形態では、吸収コア22は、上述の親水性繊維の集合体に粒状のSAPを混合したものを、ティッシュペーパーまたは透液性不織布等により包み込むことにより形成される。これにより、親水性繊維の集合体の型崩れ、および、SAPの脱落(特に、吸液後における脱落)を防止することができる。なお、吸収コア22における既述の前端エッジ226および後端エッジ227は、高吸収性材料の存在領域のエッジ、または、親水性繊維の集合体のエッジであり、高吸収性材料または親水性繊維の集合体を包み込む不織布等のエッジではない。
【0042】
トップシート21は、例えば、透液性の不織布により形成される。当該不織布は、例えば、表面が界面活性剤により親水処理された疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)により形成される。当該不織布は、セルロース、レーヨンまたはコットン等の親水性繊維により形成されてもよい。当該不織布は、例えば、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布またはスパンレース不織布等である。
【0043】
バックシート23は、例えば、疎水性繊維により形成された不透液性もしくは撥液性の不織布(スパンボンド不織布、メルトブロー不織布またはSMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布等)、または、不透液性もしくは撥液性のプラスチックフィルムにより形成される。バックシート23は、当該不織布と当該プラスチックフィルムとの積層体であってもよい。バックシート23にプラスチックフィルムが利用される場合、吸収性物品1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(すなわち、通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
【0044】
サイドシート本体31および補助シート本体51は、例えば、疎水性繊維にて形成された不透液性または撥液性の不織布(エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布またはSMS不織布等)により形成される。弾性部材24~27,35,52の弾性要素としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、または、糸状もしくは帯状の天然ゴム等が利用される。本実施の形態では、ポリウレタン糸が弾性要素として利用される。
【0045】
図4に示すように、各接続部4は、2つの止着テープ41と、1つの共通基部42とを備える。2つの止着テープ41は、本体部2の長手方向(
図4中の縦方向)に配列される。各止着テープ41は、本体部2の幅方向(
図4中の横方向)に伸びる。共通基部42は、略矩形であり、2つの止着テープ41の本体部2側に位置する。2つの止着テープ41の構造および形状はほぼ同じである。
【0046】
各止着テープ41は、テープ基部413と、止着部410とを備える。テープ基部413は、幅方向に伸びるテープ状(帯状)である。止着部410は、第1止着部411と、第2止着部412とを備える。
図1および
図4では、図の理解を容易にするために、第1止着部411および第2止着部412に平行斜線を付している。第1止着部411および第2止着部412のそれぞれは、テープ基部413の内面(
図4中の手前側の面)上に設けられ、テープ基部413を本体部2の長手方向に横断する。第1止着部411は、テープ基部413の先端側(本体部2とは反対側)に設けられ、第2止着部412は、テープ基部413の根元側に設けられる。テープ基部413の内面において、第1止着部411と第2止着部412との間には、止着部が存在しない中間領域416が設けられる。第1止着部411および第2止着部412のそれぞれは、面ファスナのフック部材であり、多数の微細なフック要素の集合である微細フック構造を有する。
【0047】
図4の吸収性物品1では、2つの止着テープ41の2つのテープ基部413、および、共通基部42は1つの接続部シートの一部であり、2つのテープ基部413はそれぞれ、共通基部42から本体幅方向外側に向かって突出する。また、共通基部42の内端部は、本体部2のサイドシート3とバックシート23との間に挟まれて接合される。共通基部42の内端部以外の部位は、本体部2から本体幅方向外側に向かって突出する。
【0048】
既述のように、前方部201の被止着部29(
図3参照)は、面ファスナのループ部材であり、多数の微細なループ要素の集合である微細ループ構造を備える。第1止着部411および第2止着部412の微細フック構造は、被止着部29の微細ループ構造と互いに係合可能である。すなわち、止着テープ41の止着部410は、被止着部29に対して止着可能である。既述のように、吸収性物品1では、各止着テープ41の止着部410が、被止着部29に止着されることにより、後方部203の両側部が前方部201に接続される。
【0049】
ここで、各接続部4において、
図4中の下側の止着テープ41を「第1止着テープ41」と呼び、上側の止着テープ41を「第2止着テープ41」と呼ぶ。長手方向に関して、第2止着テープ41は、第1止着テープ41と本体部2の後端エッジ207との間に配置される。第1止着テープ41および第2止着テープ41において、幅方向に延びる中心線C1,C2を想定すると、中心線C1,C2は共に吸収コア22と交差する。また、長手方向に関して、吸収コア22の後端エッジ227が、第2止着テープ41の中心線C2と、本体部2の後端エッジ207との間に位置する。したがって、一対の接続部4を被止着部29に止着した際に、吸収コア22における後端エッジ227近傍の部位を着用者の背側の肌にしっかりと接触させて、背側からの排泄物の漏れを抑制することができる。
【0050】
また、吸収性物品1では、吸収コア22の後端エッジ227と後ウエスト弾性部材25との間の隙間G1の距離D1を小さくする(25mm以下とする)のに伴って、第2止着テープ41の中心線C2と、本体部2の後端エッジ207との間の距離も比較的小さくされる。これにより、股上が深くなるように、吸収性物品1を着用者に装着することが可能となる。
【0051】
次に、吸収性物品1を折り畳んだ状態について説明する。吸収性物品1は、折り畳んだ状態で所定の包装袋に収容される。一例では、第2止着部412の第1止着部411側のエッジを折曲線として、
図5に示すように、各止着テープ41が内面側に折り曲げられる。好ましい吸収性物品1では、第1止着部411および第2止着部412が、接続部シートにも止着可能である。この場合、第1止着部411が共通基部42に止着され、第2止着部412が中間領域416に止着される。なお、吸収性物品1の製造時において、
図5のように各止着テープ41が内面側に予め折り曲げられた状態で、接続部4が本体部2に接合されてもよい。
【0052】
続いて、長手方向に沿う本体部2の側方エッジを折曲線として、
図6に示すように、接続部4の共通基部42がサイドシート3側に折り曲げられる。
図6に示す状態では、テープ基部413の大部分が、共通基部42とサイドシート3との間に挟まれ、接続部4の全体が本体部2の側部に重ねられる。このとき、後方部203における吸収コア22の幅が広く、幅方向における接続部4の内側近傍における本体部2の剛性が吸収コア22の存在により高くなるため、接続部4の折り曲げを容易に行うことが可能となる。
【0053】
次に、各脚周り弾性部材27と中央補助シート5との間において長手方向に延びる縦折曲線F1(
図6中に一点鎖線にて示す。)が設定され、縦折曲線F1にて本体部2の側部が中央補助シート5側に折り曲げられる。これにより、テープ基部413および共通基部42が、本体部2の側部と中央部との間に挟まれる。縦折曲線F1は、例えば前方部201および後方部203において吸収コア22と重なり、股下部202では吸収コア22と重ならない。吸収性物品1の製造の一例では、複数の吸収性物品1が
図1中の縦方向に連続し、かつ、伸張した状態で、縦折曲線F1(
図6参照)にて本体部2が折り曲げられ、その後、切断されて、個別の吸収性物品1に分離される。
【0054】
その後、
図1中に一点鎖線にて示すように、前方部201と股下部202との境界近傍、および、股下部202と後方部203との境界近傍において、幅方向に延びる2つの横折曲線F2がそれぞれ設定され、各横折曲線F2にて吸収性物品1が内面(トップシート21)側に折り曲げられる。すなわち、吸収性物品1が、2つの横折曲線F2にて三つ折りされる。これにより、吸収性物品1が折り畳んだ状態となる。なお、横折曲線F2は、接続部4と重ならない。
【0055】
図7は、弾性部材24~27,35,52が収縮した状態の吸収性物品1の一部を示す図であり、図示の便宜上、本体部2の外形および接続部4のみを示している(後述の
図9において同様)。実際の吸収性物品1では、中央弾性部材52および後ウエスト弾性部材25(
図1参照)の収縮により、本体部2の後端エッジ207が、
図7中の下側(吸収コア22側)に向かって湾曲した状態となる。これに伴い、
図7中の上側(後端エッジ207側)の第2止着テープ41が、下側の第1止着テープ41に対して幅方向内側にずれた位置に配置される。
【0056】
ここで、比較例の吸収性物品について述べる。
図8は、比較例の吸収性物品9を示す図である。比較例の吸収性物品9は、吸収コア22の後端エッジ227と後ウエスト弾性部材25との間の隙間G2の距離D2が25mmよりも十分に大きい点で、吸収性物品1と相違する。比較例の吸収性物品9では、吸収コア22の後端エッジ227から突出する中央弾性部材52の長さが比較的大きくなり、
図9に示すように、吸収性物品9が収縮した状態において、本体部2の後端エッジ207が過度に湾曲してしまう。吸収性物品を着用者に装着する際に、本体部2の後方部203が着用者の腰周りに対して位置合わせされるが、本体部2の後端エッジ207が大きく湾曲した比較例の吸収性物品9では、装着時における吸収性物品9の位置合わせがしにくくなる。
【0057】
これに対し、
図4の吸収性物品1では、吸収コア22の後端エッジ227と後ウエスト弾性部材25との間の隙間G1の距離D1が25mm以下とされ、吸収コア22の後端エッジ227から突出する中央弾性部材52の長さも比較的小さくなる。これにより、吸収性物品1が収縮した状態において、本体部2の後端エッジ207が過度に湾曲した状態となることを抑制することができる。その結果、装着時における吸収性物品1の位置合わせが容易となる。なお、
図7では、比較例の吸収性物品9の外形を二点鎖線にて示している。
【0058】
また、本体部2の後端エッジ207が過度に湾曲する比較例の吸収性物品9では、
図9に示すように、上側の第2止着テープ41が、下側の第1止着テープ41に対して幅方向内側に大きくずれた位置に配置される。その結果、吸収性物品9を折り畳んだ状態において、長手方向に延びる縦折曲線F1が接続部4の一部、詳細には、第2止着テープ41の第2止着部412と重なり、第2止着部412と中間領域416とが重なる部分に、不要な折り目が形成されてしまう。
【0059】
吸収性物品を着用者に装着する際には、第1止着部411が共通基部42から剥がされ、第2止着部412が中間領域416から剥がされる(
図8参照)。しかしながら、上記の不要な折り目が形成される比較例の吸収性物品9では、当該折り目の影響により、当該第2止着部412の全体が被止着部29との止着に利用されない場合があり、この場合、接続部4と被止着部29との止着力が低下してしまう。
【0060】
これに対し、
図7の吸収性物品1では、本体部2の後端エッジ207の湾曲が軽減されるため、第1止着テープ41に対する第2止着テープ41の幅方向内側へのずれ量が、比較例の吸収性物品9に比べて小さくなる。これにより、吸収性物品1を折り畳んだ状態において、長手方向に延びる縦折曲線F1が接続部4の一部と重なる(すなわち、第2止着テープ41に不要な折り目が形成される)ことが抑制される。その結果、比較例の吸収性物品9のように接続部4と被止着部29との止着力の低下を招くことを抑制することができる。
【0061】
ところで、幅方向に関して、後ウエスト弾性部材25の両端が、吸収コア22の後端エッジ227の両端よりも外側に位置する場合、本体部2において吸収コア22よりも外側の部分が収縮するため、第1止着テープ41に対する第2止着テープ41の幅方向内側へのずれ量が大きくなる。この場合、第2止着テープ41に不要な折り目が形成されやすくなる。したがって、第2止着テープ41に不要な折り目が形成されることをさらに抑制するには、後ウエスト弾性部材25の両端が、吸収コア22の後端エッジ227の両端よりも内側に位置することが好ましい。なお、吸収性物品1の設計によっては、後ウエスト弾性部材25の両端が、吸収コア22の後端エッジ227の両端よりも外側に位置してもよい。
【0062】
吸収性物品1では、後ウエスト弾性部材25における複数の弾性要素251が、中央弾性部材52と交差する第1弾性要素251と、当該第1弾性要素251と本体部2の後端エッジ207との間に配置され、中央弾性部材52と交差しない第2弾性要素251とを含む。これにより、中央弾性部材52の後端と吸収コア22の後端エッジ227との間の長さ(すなわち、吸収コア22の後端エッジ227の後方にて本体部2が長手方向に収縮する範囲)を小さくし、本体部2の後端エッジ207が過度に湾曲した状態となることをさらに抑制することができる。
【0063】
図6に示すように、長手方向に延びる縦折曲線F1に対して、幅方向外側に脚周り弾性部材27が設けられる。脚周り弾性部材27により本体部2の両側部も長手方向に収縮するため、本体部2の後端エッジ207の湾曲をさらに抑制することができる。
図1の吸収性物品1では、コア側部弾性部材26も同様の理由により、後端エッジ207の湾曲の抑制に寄与している。
【0064】
吸収性物品1では、本体部2を平面視した場合に、中央弾性部材52が前ウエスト弾性部材24と交差しない。これにより、本体部2の前端エッジ206が過度に湾曲した状態となることを抑制することができる。
【0065】
上記吸収性物品1では様々な変形が可能である。
【0066】
吸収性物品1の設計によっては、吸収コア22と後ウエスト弾性部材25の一部とが重なり、吸収コア22の後端エッジ227と後ウエスト弾性部材25との間の隙間G1の距離D1(
図4参照)が0とされてもよい(すなわち、上記隙間G1がなくてもよい。)。一方、後ウエスト弾性部材25の収縮力を適切に利用するという観点では、吸収コア22と後ウエスト弾性部材25とが重ならない、すなわち、上記隙間G1の距離D1が0よりも大きいことが好ましい。
【0067】
吸収性物品1では、中央補助シート5が省略され、中央弾性部材52が本体部2に設けられてもよい。この場合、中央弾性部材52は、例えばトップシート21と吸収コア22との間、または、吸収コア22とバックシート23との間に設けられる。また、前方部201において中央弾性部材52が省略され、中央弾性部材52が、股下部202から後方部203に亘って設けられてもよい。この場合も、中央弾性部材52が後ウエスト弾性部材25と交差することにより、後方部203を着用者の肌に密着させることが可能となる。以上のように、本体部2では、少なくとも股下部202から後方部203に亘って、中央弾性部材52が設けられていればよい。
【0068】
吸収性物品1では、前ウエスト弾性部材24および後ウエスト弾性部材25と股下部202との間に、幅方向に延びる胴回り弾性部材が設けられ(後述の
図10の胴回り弾性部材28参照)、いわゆるボディフィットギャザーが形成されてもよい。原則として、胴回り弾性部材の収縮力(弾性部材の長手方向に垂直な方向における単位幅当たりの収縮力)は、前ウエスト弾性部材24および後ウエスト弾性部材25の収縮力よりも小さい。
【0069】
第1止着部411および第2止着部412が、不織布製のテープ基部413上に粘着材料により形成された粘着層であり、被止着部29、または、被止着部29を省略した前方部201の外面が、当該粘着層が粘着可能なプラスチックフィルム等であってもよい。この場合も、各接続部4が前方部201の外面に対して着脱可能となる。また、各接続部4において1つの止着テープ41のみが設けられてもよく、各止着テープ41において1つの止着部のみが設けられてもよい。
【0070】
本体部2の後端エッジ207が過度に湾曲した状態となることを抑制する上記手法は、前方部201の両側部と後方部203の両側部とが予め接合されたパンツタイプの使い捨ておむつにおいて採用されてもよい。
図10では、パンツタイプの吸収性物品1aを展開した状態を示している。吸収性物品1aでは、本体部2が、外装シート20と、略シート状の吸収体220とを備える。吸収体220は吸収コア22を含み、外装シート20の着用者側の面上に設けられる。パンツタイプの吸収性物品1aでは、展開した状態を示す
図10の上下方向が本体部2の長手方向となり、外装シート20および吸収体220は共に長手方向に延びる。吸収性物品1aの本体部2も、
図1の吸収性物品1の本体部2と同様に、吸収コア22が設けられた、長手方向に延びるシート部材であり、前方部201、股下部202および後方部203を長手方向に順に有する。吸収性物品1aでは、前方部201における外装シート20の両側部と後方部203における外装シート20の両側部とが接合されており、上端に胴部開口が設けられ、下部に一対の脚部開口が設けられる。
【0071】
前方部201では、長手方向に略垂直な幅方向に延びる前ウエスト弾性部材24が本体部2の前端エッジ206に沿って設けられる。後方部203では、幅方向に延びる後ウエスト弾性部材25が本体部2の後端エッジ207に沿って設けられる。股下部202では、一対の脚周り弾性部材27が本体部2の両側方エッジに沿って設けられる。長手方向において前ウエスト弾性部材24と脚周り弾性部材27との間、および、後ウエスト弾性部材25と脚周り弾性部材27との間には、幅方向に延びる胴回り弾性部材28が設けられる。
【0072】
吸収体220の両側部上には、長手方向に延びる一対のサイドシート3が設けられ、一対のサイドシート3の間には、長手方向に延びる中央補助シート5が設けられる。中央補助シート5の中央弾性部材52は、前方部201から後方部203に亘って設けられる。吸収性物品1aを平面視した場合に(すなわち、
図10のように展開した状態の吸収性物品1aを厚さ方向に沿って見た場合に)、中央弾性部材52は、股下部202において吸収コア22と重なり、後方部203において後ウエスト弾性部材25と交差する。吸収性物品1aにおいても、本体部2を長手方向に伸張した状態において、後方部203に位置する吸収コア22の後端エッジ227と後ウエスト弾性部材25との間の隙間の距離が、25mm以下である。これにより、吸収性物品1aが収縮した状態において、本体部2の後端エッジ207が過度に湾曲した状態となることを抑制することができる。
【0073】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0074】
1,1a 吸収性物品
2 本体部
4 接続部
22 吸収コア
24 前ウエスト弾性部材
25 後ウエスト弾性部材
41 止着テープ
52 中央弾性部材
201 前方部
202 股下部
203 後方部
206 (本体部の)前端エッジ
207 (本体部の)後端エッジ
227 (吸収コアの)後端エッジ
251 (後ウエスト弾性部材の)弾性要素
C1,C2 (止着テープの)中心線
G1 隙間