(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】ロボット手術システム用高精度機器制御モード
(51)【国際特許分類】
A61B 34/30 20160101AFI20221018BHJP
【FI】
A61B34/30
(21)【出願番号】P 2020513707
(86)(22)【出願日】2018-09-06
(86)【国際出願番号】 US2018049634
(87)【国際公開番号】W WO2019051005
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-09-03
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ペイン, ウィリアム
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0136159(US,A1)
【文献】特表2017-525401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00 ― 34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット手術システムであって、
前記ロボット手術システムは、
ツールおよびカメラを含む手術ロボットと、
前記手術ロボットと通信するユーザコンソール
と
を備え
、
前記ユーザコンソールは、
入力ハンドルと、
フットペダル
と
を含み
、
前記フットペダルは、
ベースプレート
と、
前記ベースプレートに枢動可能に連結されたフットプレートであって、
前記フットプレートは、前記入力ハンドルの動きが前記ツールの動きに対して第1のスケーリング係数でスケーリングされる非圧縮位置と、前記入力ハンドルの動きが前記ツールの動きに対して前記第1のスケーリング係数とは異なる第2のスケーリング係数でスケーリングされる第1の圧縮位置と、前記入力ハンドルの動きが前記カメラの動きに対してスケーリングされる完全圧縮位置とを有する
、フットプレート
と
を含む、ロボット手術システム。
【請求項2】
前記フットペダルは、前記フットプレートが前記完全圧縮位置と前記非圧縮位置との間にあるとき、前記フットプレートを前記非圧縮位置に向かって付勢するように構成された第1の付勢部材を含む、請求項
1に記載のロボット手術システム。
【請求項3】
前記フットペダルは、前記フットプレートが前記完全圧縮位置と前記部分的圧縮位置との間にあるとき、前記フットプレートを前記非圧縮位置に向かって付勢するように構成された第2の付勢部材を含む、請求項
2に記載のロボット手術システム。
【請求項4】
前記フットペダルが前記非圧縮位置と前記第1の圧縮位置との間にあるとき、前記カメラは、前記入力ハンドルの動きに応答して静止したままである、請求項
1に記載のロボット手術システム。
【請求項5】
前記第1の圧縮位置と前記完全圧縮位置との間で、前記入力ハンドルはホールドモードにあり、前記ユーザコンソールは、前記入力ハンドルをホールドポーズに維持するかまたはそれに移行するかの少なくとも一方を行うための力を前記入力ハンドルに加える、請求項
1に記載のロボット手術システム。
【請求項6】
前記ホールドポーズは、前記フットペダルが前記第1の圧縮位置まで圧縮されたときの前記入力ハンドルのポーズによって規定される、請求項
5に記載のロボット手術システム。
【請求項7】
前記ホールドポーズは、前記フットペダルが前記第1の圧縮位置から前記非圧縮位置に向かって動かされ、そして前記第1の圧縮位置に戻されたときに再規定される、請求項
6に記載のロボット手術システム。
【請求項8】
前記手術ロボットは、前記フットペダルが前記完全圧縮位置にあるとき、前記入力ハンドルが前記ホールドポーズから動かされた距離に基づいて
前記カメラを動かすように構成されている、請求項
5に記載のロボット手術システム。
【請求項9】
前記フットペダルは、前記第1の圧縮位置と前記完全圧縮位置との間に第2の圧縮位置を有し、前記フットペダルが前記第2の圧縮位置と前記完全圧縮位置との間にあるとき、前記入力ハンドルの動きが前記カメラを動かす、請求項
1に記載のロボット手術システム。
【請求項10】
前記フットペダルが前記非圧縮位置と前記第2の圧縮位置との間にあるとき、前記カメラは、前記入力ハンドルの動きに応答して静止したままである、請求項
9に記載のロボット手術システム。
【請求項11】
前記入力ハンドルの動きは、前記フットペダルが前記第2の圧縮位置にあるとき、前記ツールの動きに対して前記第1および第2のスケーリング係数とは異なる第3のスケーリング係数でスケーリングされる、請求項
9に記載のロボット手術システム。
【請求項12】
前記入力ハンドルの動きは、前記フットペダルが前記完全圧縮位置にあるとき、前記ツールの動きに対して前記第1
のスケーリング係数および前記第2
のスケーリング係数および
前記第3のスケーリング係数とは異なる第4のスケーリング係数でスケーリングされる、請求項
11に記載のロボット手術システム。
【請求項13】
前記第1のスケーリング係数は
、3であり、
かつ、前記第2のスケーリング係数は
、10である、請求項
12に記載のロボット手術システム。
【請求項14】
前記第3のスケーリング係数は
、11~500の範囲にあり、
かつ、前記第4のスケーリング係数は
、100~1000の範囲にある、請求項
12に記載のロボット手術システム。
【請求項15】
ロボット手術システムの処理ユニットを用いて
手術ロボットを制御する方法であって、
前記ロボット手術システムのユーザコンソールのフットペダルの位置を受け取ることと、
前記ユーザコンソールから入力信号を受信することであって、前記入力信号は、前記ユーザコンソールの入力ハンドルの動きを含む
、ことと、
前記入力信号を受信したことに応答して、前記手術ロボットに制御信号を送信
することにより、前記手術ロボットのツールまたは前記手術ロボットのカメラの少なくとも一方を動かすこと
と
を含み、
前記処理ユニットは、前記フットペダルが非圧縮位置にあるとき、前記入力信号を前記ツールの動きに対して第1のスケーリング係数でスケーリングし、前記処理ユニットは、前記フットペダルが第1の圧縮位置にあるとき、前記入力信号を前記ツールの動きに対して前記第1のスケーリング係数とは異なる第2のスケーリング係数でスケーリングし、前記処理ユニットは、前記フットペダルが完全圧縮位置にあるとき、前記入力信号を前記カメラの動きに対してスケーリングする、方法。
【請求項16】
前記処理ユニットは、前記フットペダルが前記非圧縮位置と、前記第1の圧縮位置と前記完全圧縮位置との間の第2の圧縮位置との間にあるとき、前記カメラの位置を維持する、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記手術ロボットに制御信号を送信することは、前記フットペダルが前記第2の圧縮位置と前記完全圧縮位置との間にあるときに前記カメラの動きを
制御する制御信号を送信することを含む、請求項
16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ロボット手術システムは、低侵襲医療処置で使用されている。医療処置中、ロボット手術システムは、ユーザインターフェースとインターフェースする外科医によって制御される。ユーザインターフェースは、外科医が、患者に作用する手術機器のエンドエフェクタを操作することを可能にする。ユーザインターフェースは、ロボット手術システムを制御するために外科医によって可動な入力コントローラまたはハンドルを含む。
【0002】
ロボット手術システムは、通常、スケーリング係数を使用して、患者内でのエンドエフェクタの所望の位置を決定するための外科医の手の動きを縮小し、それによって、外科医は患者内でエンドエフェクタをより正確に動かすことができる。
【0003】
外科手術中、患者内のエンドエフェクタの動きの精度を高めることが望ましい場合がある。通常、スケーリングを調整するため、またはエンドエフェクタの動きの精度を高めるために、外科医は入力ハンドルを放して、エンドエフェクタの動きのスケーリングを調整する必要がある。
【0004】
外科医が外科手術中に入力ハンドルを放す必要なく、ロボット手術システムのスケーリングを調整して、エンドエフェクタの動きの精度を選択的に高めるための装置および方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様では、ロボット手術システム用フットペダルは、ベースプレートと、フットプレートと、第1の付勢部材と、第2の付勢部材とを含む。フットプレートは、ベースプレートに枢動可能に連結されており、非圧縮位置、部分的圧縮位置、および完全圧縮位置を有する。第1の付勢部材は、フットプレートが完全圧縮位置と非圧縮位置との間にあるとき、フットプレートを非圧縮位置に向かって付勢するように構成されている。第2の付勢部材は、フットプレートが完全圧縮位置と部分的圧縮位置との間にあるとき、フットプレートを非圧縮位置に向かって付勢するように構成されている。
【0006】
態様において、第2の付勢部材は、第1の付勢部材からオフセットしている。第2の付勢部材は、ベースプレートに固定され得、フットプレートが部分的圧縮位置に到達するとフットプレートに係合し得る。
【0007】
本開示の別の態様では、ロボット手術システムは、手術ロボットとユーザコンソールとを含む。手術ロボットは、ツールとカメラとを含む。ユーザコンソールは、手術ロボットと通信し、入力ハンドルとフットペダルとを含む。フットペダルは、ベースプレートと、ベースプレートに枢動可能に連結されたフットプレートとを含む。フットプレートは、入力ハンドルの動きがツールの動きに対して第1のスケーリング係数でスケーリングされる非圧縮位置と、入力ハンドルの動きがツールの動きに対して第1のスケーリング係数とは異なる第2のスケーリング係数でスケーリングされる第1の圧縮位置と、入力ハンドルの動きがカメラの動きに対してスケーリングされる完全圧縮位置とを有する。
【0008】
態様において、フットペダルは、フットプレートが完全圧縮位置と非圧縮位置との間にあるとき、フットプレートを非圧縮位置に向かって付勢するように構成された第1の付勢部材を含む。フットペダルは、フットプレートが完全圧縮位置と部分的圧縮位置との間にあるとき、フットプレートを非圧縮位置に向かって付勢するように構成された第2の付勢部材を含み得る。
【0009】
いくつかの態様では、フットペダルが非圧縮位置と第1の圧縮位置との間にあるとき、カメラは、入力ハンドルの動きに応答して静止したままである。第1の圧縮位置と完全圧縮位置との間で、入力ハンドルはホールドモードにあり得、ユーザコンソールは、入力ハンドルをホールドポーズに維持するかまたはそれに移行するかの少なくとも一方を行うための力を入力ハンドルに加える。ホールドポーズは、フットペダルが第1の圧縮位置まで圧縮されたときの入力ハンドルのポーズによって規定され得る。ホールドポーズは、フットペダルが第1の圧縮位置から非圧縮位置に向かって動かされ、そして第1の圧縮位置に戻されたときに再規定され得る。カメラは、フットペダルが完全圧縮位置にあるとき、入力ハンドルがホールドポーズから動かされた距離に基づいてスロットル操縦され得る。
【0010】
特定の態様では、フットペダルは、第1の圧縮位置と完全圧縮位置との間に第2の圧縮位置を有する。フットペダルが第2の圧縮位置と完全圧縮位置との間にあるとき、入力ハンドルの動きにより、カメラを動かし得る。フットペダルが非圧縮位置と第2の圧縮位置との間にあるとき、カメラは、入力ハンドルの動きに応答して静止したままであり得る。入力ハンドルの動きは、フットペダルが第2の圧縮位置にあるとき、ツールの動きに対して第1および第2のスケーリング係数とは異なる第3のスケーリング係数でスケーリングされ得る。入力ハンドルの動きは、フットペダルが完全圧縮位置にあるとき、ツールの動きに対して第1、第2、および第3のスケーリング係数とは異なる第4のスケーリング係数でスケーリングされ得る。
【0011】
特定の態様では、第1のスケーリング係数は約3であり、第2のスケーリング係数は約10である。第3のスケーリング係数は、約11~約500の範囲であり得、第4のスケーリング係数は、約100~約1000の範囲であり得る。
【0012】
本開示の別の態様では、手術ロボットをロボット手術システムの処理ユニットを用いて制御する方法は、ロボット手術システムのユーザコンソールのフットペダルの位置を受け取ることと、ユーザコンソールから入力信号を受信することと、入力信号を受信したことに応答して、手術ロボットに制御信号を送信して、手術ロボットのツールまたは手術ロボットのカメラの少なくとも一方を動かすこととを含む。入力信号は、ユーザコンソールの入力ハンドルの動きを含む。処理ユニットは、フットペダルが非圧縮位置にあるとき、入力信号をツールの動きに対して第1のスケーリング係数でスケーリングし、フットペダルが第1の圧縮位置にあるとき、入力信号をツールの動きに対して第1のスケーリング係数とは異なる第2のスケーリング係数でスケーリングし、フットペダルが完全圧縮位置にあるとき、入力信号をカメラの動きに対してスケーリングする。
【0013】
態様において、処理ユニットは、フットペダルが、非圧縮位置と、第1の圧縮位置と完全圧縮位置との間にある第2の圧縮位置との間にあるとき、カメラの位置を維持する。手術ロボットに制御信号を送信することは、フットペダルが第2の圧縮位置と完全圧縮位置との間にあるときにカメラの動きをスロットル操縦する制御信号を送信することを含み得る。
【0014】
本開示の例示的な実施形態のさらなる詳細および態様が、添付の図面を参照して以下により詳細に説明される。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
ロボット手術システム用フットペダルであって、
ベースプレートと、
前記ベースプレートに枢動可能に連結されたフットプレートであって、非圧縮位置、部分的圧縮位置、および完全圧縮位置を有する前記フットプレートと、
前記フットプレートが前記完全圧縮位置と前記非圧縮位置との間にあるとき、前記フットプレートを前記非圧縮位置に向かって付勢するように構成された第1の付勢部材と、
前記フットプレートが前記完全圧縮位置と前記部分的圧縮位置との間にあるとき、前記フットプレートを前記非圧縮位置に向かって付勢するように構成された第2の付勢部材と、を備えるフットペダル。
(項目2)
前記第2の付勢部材は、前記第1の付勢部材からオフセットされている、項目1に記載のフットペダル。
(項目3)
前記第2の付勢部材は、前記ベースプレートに固定され、前記フットプレートが前記部分的圧縮位置に到達すると、前記フットプレートと係合する、項目1に記載のフットペダル。
(項目4)
ロボット手術システムであって、
ツールおよびカメラを含む手術ロボットと、
前記手術ロボットと通信するユーザコンソールとを備え、前記ユーザコンソールは、
入力ハンドルと、
フットペダルとを含み、前記フットペダルは、
ベースプレート、および
前記ベースプレートに枢動可能に連結されたフットプレートであって、前記入力ハンドルの動きが前記ツールの動きに対して第1のスケーリング係数でスケーリングされる非圧縮位置と、前記入力ハンドルの動きが前記ツールの動きに対して前記第1のスケーリング係数とは異なる第2のスケーリング係数でスケーリングされる第1の圧縮位置と、前記入力ハンドルの動きが前記カメラの動きに対してスケーリングされる完全圧縮位置とを有するフットプレートを含む、ロボット手術システム。
(項目5)
前記フットペダルは、前記フットプレートが前記完全圧縮位置と前記非圧縮位置との間にあるとき、前記フットプレートを前記非圧縮位置に向かって付勢するように構成された第1の付勢部材を含む、項目4に記載のロボット手術システム。
(項目6)
前記フットペダルは、前記フットプレートが前記完全圧縮位置と前記部分的圧縮位置との間にあるとき、前記フットプレートを前記非圧縮位置に向かって付勢するように構成された第2の付勢部材を含む、項目5に記載のロボット手術システム。
(項目7)
前記フットペダルが前記非圧縮位置と前記第1の圧縮位置との間にあるとき、前記カメラは、前記入力ハンドルの動きに応答して静止したままである、項目4に記載のロボット手術システム。
(項目8)
前記第1の圧縮位置と前記完全圧縮位置との間で、前記入力ハンドルはホールドモードにあり、前記ユーザコンソールは、前記入力ハンドルをホールドポーズに維持するかまたはそれに移行するかの少なくとも一方を行うための力を前記入力ハンドルに加える、項目4に記載のロボット手術システム。
(項目9)
前記ホールドポーズは、前記フットペダルが前記第1の圧縮位置まで圧縮されたときの前記入力ハンドルのポーズによって規定される、項目8に記載のロボット手術システム。
(項目10)
前記ホールドポーズは、前記フットペダルが前記第1の圧縮位置から前記非圧縮位置に向かって動かされ、そして前記第1の圧縮位置に戻されたときに再規定される、項目9に記載のロボット手術システム。
(項目11)
前記カメラは、前記フットペダルが前記完全圧縮位置にあるとき、前記入力ハンドルが前記ホールドポーズから動かされた距離に基づいてスロットル操縦される、項目8に記載のロボット手術システム。
(項目12)
前記フットペダルは、前記第1の圧縮位置と前記完全圧縮位置との間に第2の圧縮位置を有し、前記フットペダルが前記第2の圧縮位置と前記完全圧縮位置との間にあるとき、前記入力ハンドルの動きが前記カメラを動かす、項目4に記載のロボット手術システム。
(項目13)
前記フットペダルが前記非圧縮位置と前記第2の圧縮位置との間にあるとき、前記カメラは、前記入力ハンドルの動きに応答して静止したままである、項目12に記載のロボット手術システム。
(項目14)
前記入力ハンドルの動きは、前記フットペダルが前記第2の圧縮位置にあるとき、前記ツールの動きに対して前記第1および第2のスケーリング係数とは異なる第3のスケーリング係数でスケーリングされる、項目12に記載のロボット手術システム。
(項目15)
前記入力ハンドルの動きは、前記フットペダルが前記完全圧縮位置にあるとき、前記ツールの動きに対して前記第1、第2、および第3のスケーリング係数とは異なる第4のスケーリング係数でスケーリングされる、項目14に記載のロボット手術システム。
(項目16)
前記第1のスケーリング係数は3であり、前記第2のスケーリング係数は10である、項目15に記載のロボット手術システム。
(項目17)
前記第3のスケーリング係数は11~500の範囲にあり、前記第4のスケーリング係数は100~1000の範囲にある、項目15に記載のロボット手術システム。
(項目18)
手術ロボットをロボット手術システムの処理ユニットを用いて制御する方法であって、
前記ロボット手術システムのユーザコンソールのフットペダルの位置を受け取ることと、
前記ユーザコンソールから入力信号を受信することであって、前記入力信号は、前記ユーザコンソールの入力ハンドルの動きを含む、受信することと、
前記入力信号を受信したことに応答して、前記手術ロボットに制御信号を送信して、前記手術ロボットのツールまたは前記手術ロボットのカメラの少なくとも一方を動かすことと、を含み、
前記処理ユニットは、前記フットペダルが非圧縮位置にあるとき、前記入力信号を前記ツールの動きに対して第1のスケーリング係数でスケーリングし、前記処理ユニットは、前記フットペダルが第1の圧縮位置にあるとき、前記入力信号を前記ツールの動きに対して前記第1のスケーリング係数とは異なる第2のスケーリング係数でスケーリングし、前記処理ユニットは、前記フットペダルが完全圧縮位置にあるとき、前記入力信号を前記カメラの動きに対してスケーリングする、方法。
(項目19)
前記処理ユニットは、前記フットペダルが前記非圧縮位置と、前記第1の圧縮位置と前記完全圧縮位置との間の第2の圧縮位置との間にあるとき、前記カメラの位置を維持する、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記手術ロボットに制御信号を送信することは、前記フットペダルが前記第2の圧縮位置と前記完全圧縮位置との間にあるときに前記カメラの動きをスロットル操縦する制御信号を送信することを含む、項目18に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示の様々な態様を、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する図面を参照して本明細書において以下に説明する。
【0016】
【
図1】本開示に従うロボット手術システムのユーザコンソールおよび手術ロボットの概略図である。
【
図2A】非圧縮位置にある
図1のユーザコンソールのフットペダルの概略図である。
【
図2B】第1の圧縮位置にある
図2のフットペダルの概略図である。
【
図2C】第2の圧縮位置にある
図2のフットペダルの概略図である。
【
図2D】完全圧縮位置にある
図2のフットペダルの概略図である。
【
図3】
図2のフットペダルの位置に基づいて、
図1の手術ロボットのツールに対する
図1のユーザコンソールの入力ハンドルのスケーリング係数と、
図1の手術ロボットのカメラに対する入力ハンドルのスケーリング係数とを変える方法を示すグラフである。
【
図4】
図2のフットペダルの位置に基づいて、
図1の手術ロボットのツールに対する
図1のユーザコンソールの入力ハンドルのスケーリング係数と、
図1の手術ロボットのカメラに対する入力ハンドルのスケーリング係数とを変える別の方法を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで本開示の実施形態が図面を参照して詳細に記載され、図面の中で同様の参照番号は、いくつかの図の各々において同一のまたは対応する要素を示す。本明細書に使用される際、「臨床医」という用語は、医師、看護師、または任意の他の医療提供者を指し、医療支援従事者を含み得る。この説明の全体を通して、「近位」という用語は、臨床医に最も近い装置またはその構成要素の一部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から最も遠い装置またはその構成要素の一部分を指す。加えて、本明細書で使用される「ポーズ」という用語は、空間内の対象物の位置および配向を意味すると理解される。さらに、本明細書で使用される「ニュートラル」という用語は、スケーリングなしを意味すると理解される。
【0018】
本開示は、概して、臨床医が手術ロボットのツールの動きに対するユーザコンソールの入力ハンドルの動きのスケーリングを変えることと、カメラの動きに対する入力ハンドルの動きのスケーリングを変えることとを可能にする、ロボット手術システムで使用するためのフットペダルに関する。フットペダルは、入力ハンドルの動きがツールの動きに対して第1のスケーリング係数でスケーリングされる非圧縮位置と、入力ハンドルの動きがツールの動きに対して第2のスケーリング係数でスケーリングされる第1の圧縮位置と、入力ハンドルの動きがカメラの動きをもたらす完全圧縮位置とを有する。
【0019】
図1を参照すると、本開示に従うロボット手術システム1は、概して、手術ロボット10、処理ユニット30、およびユーザインターフェース40として示されている。手術ロボット10は、概して、リンク機構12およびロボットベース18を含む。リンク機構12は、組織に作用するように構成されたエンドエフェクタまたはツール20を可動に支持する。リンク機構12は、各々が組織に作用するように構成されたエンドエフェクタまたはツール20を支持する端部14を有するアームの形態であり得る。さらに、リンク機構12の端部14は、手術部位「S」を撮像するための撮像装置16を含むことができる。ユーザコンソール40は、処理ユニット30を介してロボットベース18と通信する。
【0020】
ユーザコンソール40は、3次元画像を表示するように構成された表示装置44を含む。表示装置44は、手術部位「S」の3次元画像を表示し、これは、リンク機構12の端部14に配置された撮像装置16によってキャプチャされたデータを含み、かつ/または手術現場の周りに配置された撮像装置(例えば、手術部位「S」内に配置された撮像装置、患者「P」に隣接して配置された撮像装置、撮像アーム52の遠位端に配置された撮像装置56)によってキャプチャされたデータを含み得る。撮像装置(例えば、撮像装置16、56)は、手術部位「S」の視覚画像、赤外線画像、超音波画像、X線画像、熱画像、および/または任意の他の既知のリアルタイム画像をキャプチャしてもよい。撮像装置は、キャプチャした撮像データを処理ユニット30に送信し、処理ユニット30は、撮像データからリアルタイムで手術部位「S」の3次元画像を作成し、その3次元画像を表示するために表示装置44に送信する。
【0021】
ユーザコンソール40はまた、臨床医が手術ロボット10を操作する(例えば、リンク機構12、リンク機構12の端部14、および/またはツール20を動かす)ことを可能にする制御アーム43上に支持された入力ハンドル42も含む。入力ハンドル42の各々は、処理ユニット30と通信し、そこに制御信号を送信し、そこからフィードバック信号を受信する。追加的または代替的に、入力ハンドル42の各々は、外科医がリンク機構12の端部14に支持されたツール20を操作すること(例えば、挟持する、把持する、発射する、開く、閉じる、回転させる、突き出す、スライスするなど)を可能にする入力装置(明示的には図示せず)を含み得る。
【0022】
入力ハンドル42の各々は、手術部位「S」内でリンク機構12端部14、例えば、ツール20を動かすために、所定の作業空間を通して可動である。表示装置44上の3次元画像は、入力ハンドル42の動きにより、表示装置44上で見られるようにリンク機構12の端部14を動かせるように向けられている。入力ハンドル42の動きが、3次元画像内のリンク機構12の端部14の動きに合わせてスケーリングされている間、3次元画像は静止したままである。3次元画像の向きを維持するために、入力ハンドル42の運動学的マッピングは、リンク機構12の端部14の向きに対するカメラの向きに基づいている。表示装置44上の3次元画像の向きは、撮像装置16、56によってキャプチャされた視界に対して反映または回転され得る。加えて、表示装置44上の3次元画像のサイズは、臨床医が手術部位「S」内の構造をよりよく見ることができるように、手術部位の実際の構造よりも大きくまたは小さくスケーリングされ得る。入力ハンドル42が動かされると、ツール20は、以下に詳述するように手術部位「S」内で動かされる。ツール20の動きは、ツール20を支持するリンク機構12の端部14の動きも含むことができる。
【0023】
ロボット手術システム1の構成および動作の詳細な考察については、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,828,023号を参照することができる。
【0024】
ユーザコンソール40は、ロボット手術システム1の様々な態様を制御するために使用することができるフットペダル60をさらに含む。例えば、フットペダル60を、入力ハンドル、例えば、入力ハンドル42に選択的に関連付けて、それぞれの入力ハンドルに関連付けられたツール20を作動させることができる。追加的または代替的に、フットペダル60をカメラ、例えば、カメラ56に関連付けて、カメラを手術部位「S」の周りで動かすことができる。好適なフットペダルの詳細な考察については、2017年5月24日に出願され「PEDAL CONTROL FOR ROBOTIC SURGICAL SYSTEMS」と題された米国仮特許出願第62/510,502号を参照することができ、この出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0025】
図2A~
図2Dを参照すると、フットペダル60は、一平面を規定するベースプレート62と、一平面を規定するフットプレート64と、第1の付勢部材66とを含む。フットプレート64は、ピボット63の周りで枢動可能にベースプレート62に連結され、それぞれの平面間に角度θを画定する。フットプレート64は、角度θが約90°である初期位置または非圧縮位置(
図2A)と、角度θが約80°である第1の押下位置(
図2B)と、角度θが約70°である第2の押下位置(
図2C)と、角度θが約65°である完全押下位置(
図2D)との間で枢動可能である。上記位置の各々における角度θは、約30°から約110°までに変わり得ることが想定される。
【0026】
第1の付勢部材66は、フットプレート64を非圧縮位置に向かって付勢するように構成されている。第1の付勢部材66は、非圧縮位置と完全圧縮位置の間でフットプレート64およびベースプレート62と実質的に接触し、第1の付勢力でフットプレート64をベースプレート62から遠ざける。第1の付勢部材66は、フットプレート64が圧縮されるときに、一定のばね力または漸進的ばね力を有し得る。図示したように、第1の付勢部材66は、フットプレート64とベースプレート62との間に配置された圧縮ばねである。しかしながら、第1の付勢部材66は、ピボット63の周りに配置されたねじりばねであってもよい。
【0027】
フットペダル60はまた、フットプレート64をベースプレート62から遠ざけるように構成されている第2の付勢部材68も有し得る。第2の付勢部材68は、フットプレート64が非圧縮位置と完全圧縮位置との間の所定の位置に到達すると、フットプレート64に第2の付勢力を加えるように構成されている。図示したように、第2の付勢部材68は、フットペダル64が第2の圧縮位置と完全圧縮位置との間にあるときに第2の付勢力を加えるように配置されている。いくつかの実施形態では、第2の付勢部材68は、非圧縮位置と第2の圧縮位置との間ではフットプレート64と接触しない。加えて、第2の付勢部材68は、ベースプレート62と選択的に係合するようにフットプレート64に取り付けられてもよい。図示したように、第2の付勢部材68は、第1の付勢部材66からオフセットされた圧縮ばねである。しかしながら、第2の付勢部材68は、第1の付勢部材66と同軸であって、第2の付勢部材68が第1の付勢部材66の内部または周囲に配置されるようにしてもよい。さらに、第2の付勢部材68は、ピボット63の周りに配置されたねじりばねであってもよい。第2の付勢部材68は、第2の付勢部材68が圧縮されるときに、一定のばね定数または漸進的ばね定数を有し得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、フットペダル60は、以下により詳細に説明するように、フットペダル60に係わる臨床医にフィードバックを提供する適度な力を提供する、第1および第2の付勢部材66、68と同様の追加付勢部材を含む。
【0029】
図1~
図3を参照すると、フットペダル60は、ツール20に対する入力ハンドル42のスケーリングを変えるように、かつ入力ハンドル42の動きに応答してカメラ、例えばカメラ56の位置を変えるように構成されている。特に
図3を参照すると、フットペダル60が非圧縮位置(
図3に示す位置「A」)にあるとき、入力ハンドル42の動き対ツール20の動きは比3:1に縮小され、入力ハンドル42の3インチの動きはツール20の1インチの動きをもたらし、フットペダル60が非圧縮状態と第1の圧縮状態との間にあるとき、入力ハンドル42の動きは、カメラ56の動きに影響を及ぼさない。
【0030】
フットペダル60が第1の圧縮位置(
図3に示す位置「B」)に向かって圧縮されると、入力ハンドル42の動き対ツール20の動きのスケーリングは、フットペダル60が圧縮されるにつれて、位置「A」での比3:1から位置「B」での比10:1に変わる。スケーリングの比を変えることは、
図3に示されるようになだらかでもよいし、適度に段階的でもよい。入力ハンドル42の動き対ツール20の動きを縮小することにより、臨床医は手術部位「S」内のツール20の動きをより正確に制御することができ得る。
【0031】
フットペダル60が第1の圧縮位置、例えば位置「B」に到達すると、入力ハンドル42は「ホールドモード」に入り得る。具体的には、フットペダルが第1の圧縮位置に到達すると、入力ハンドル42は、フットペダル60が第1の圧縮位置に最初に到達したときの入力ハンドル42のポーズである「ホールドポーズ」を規定する。「ホールドポーズ」は、フットペダル60が第1の圧縮位置と非圧縮位置との間のある位置に戻され、次いで第1の圧縮位置に戻されると、再規定される。ホールドモードでは、制御アーム43および/または入力ハンドル42は、入力ハンドル42をホールドポーズに維持および/またはそれに戻す。例えば、制御アーム43に関連付けられたモータ(図示せず)は、力フィードバックアルゴリズムを入力ハンドル42および/または制御アーム43に適用して、入力ハンドル42をホールドポーズに維持および/またはそれに戻し得る。
【0032】
フットペダル60が第1の圧縮位置から完全圧縮位置まで枢動されると、入力ハンドル42の動き対ツール20の動きはさらに比10:1から比1000:1まで縮小され、入力ハンドル42の動きは、ツール20の非常に小さな動きをもたらす。加えて、フットペダル60が第1の圧縮位置と第2の圧縮位置との間にあるとき、入力ハンドル42の動きはカメラ56の動きに影響を及ぼさない。
【0033】
フットペダル60が第2の圧縮位置(
図3に示す位置「C」)に到達すると、入力ハンドル42のホールド位置からの動きは、ツール20の動きにほとんど影響を及ぼさず、カメラ56を手術部位「S」内で動かして、ディスプレイ44上の手術部位「S」の視界を調整する。具体的には、フットペダル60が第2の圧縮位置に到達すると、入力ハンドル42の動きにより、カメラ56が手術部位「S」内で比1:1で動く。入力ハンドル42の動きは、カメラ56の動きに対してスケーリングされ得ることが考えられる。例えば、フットペダル60が第2の圧縮位置と完全圧縮位置との間にあるとき、上記で詳述したようなツール20の動きに対する入力ハンドル42の動きと同様に、入力ハンドル42の動きをカメラ56の動きに対してスケーリングし得る。追加的または代替的に、入力ハンドル42の動きをカメラ56の動きに対してスロットル操縦し、入力ハンドル42がホールドポーズから動かされると、カメラ56が、同じ方向に、入力ハンドル42がホールドポーズから動かされた距離に関連する速度で、入力ハンドル42がホールドポーズに戻されるまで動くようにし得る。カメラ56が動く速度は、入力ハンドル42がホールドポーズから動かされる距離に対して、比例的、二次関数的、指数関数的、または高次多項式的であり得る。加えて、上記で詳述したように、フットペダル60が第2の圧縮位置と完全圧縮位置との間にあるとき、入力ハンドル42の動き対ツール20の動きは、約100:1~約1000:1の範囲の比であり、入力ハンドル42のホールド位置からの動きはツール20の位置にほとんど影響を及ぼさない。第2の圧縮位置において、入力ハンドル42は、ペダル60が第2の圧縮位置と完全圧縮位置との間にあるときにツール20が静止したままであるように、ツール20の動きから「クラッチ」することが考えられる。
【0034】
フットペダル60が非圧縮位置から完全圧縮位置まで圧縮されるとき、フットペダル60は、第1の圧縮位置、第2の圧縮位置、および完全圧縮位置の各々に到達したときに、各位置での入力ハンドルの操作の変更を示すフィードバックを臨床医に提供し得る。例えば、フットペダル60が非圧縮位置から第1の圧縮位置まで圧縮されるとき、フットペダル60を圧縮し続けるための力の増大は、第1の付勢部材66を圧縮するための第1の付勢力である。上記で詳述したように、第1の付勢部材のばね定数は一定でもよいし、漸進的でもよい。
【0035】
フットペダル60が第1の圧縮位置に到達すると、入力ハンドル42は「ホールドモード」に入り、臨床医は、入力ハンドル42を動かしたときに、第1の圧縮位置に到達したことを臨床医に示す力フィードバックを感じる。加えて、フットペダル60は、第1の圧縮位置に到達したという触知性フィードバックをフットペダル60を介して提供するために、第1の圧縮位置で係合される第3の付勢部材を有してもよい。
【0036】
フットペダル60が第1の圧縮位置から第2の圧縮位置まで圧縮されるとき、フットペダル60を圧縮し続けるための力の増大は、第1の付勢部材66を圧縮するための第1の付勢力である。第3の付勢部材を含む実施形態では、フットペダル60を圧縮し続けるための力の増大は、第1の付勢力と第3の付勢部材を圧縮するための付勢力との合計である。第3の付勢部材に起因する力の増大は、フットペダル60が第1の圧縮位置と第2の圧縮位置との間にあるという触知性フィードバックをフットペダル60を介して提供し得る。
【0037】
フットペダル60が第2の圧縮位置に到達すると、第2の付勢部材68が係合して、フットペダル60に、第1の付勢部材66によって加えられる第1の付勢力に加えて、第2の付勢力を加える。第2の付勢力の追加は、上記で詳述したように、第2の圧縮位置に到達したので、入力ハンドル42のホールド位置からの動きがカメラ56の動きに影響を及ぼすという触知性フィードバックをフットペダル60を介して提供する。
【0038】
フットペダル60が第2の圧縮位置から完全圧縮位置まで圧縮されるとき、フットペダル60を圧縮し続けるための力の増大は、第1および第2の付勢部材66、68をそれぞれ圧縮するための第1および第2の付勢力の合計である。第3の付勢部材を含む実施形態では、フットペダル60を圧縮し続けるための力の増大は、第1および第2の付勢力と第3の付勢部材を圧縮するための付勢力との合計である。
【0039】
フットペダル60が完全圧縮位置に到達すると、フットプレート64がベースプレート62に接触して、フットプレート64がさらに圧縮されるのを防ぎ得る。ベースプレート62またはフットプレート64は、それぞれのプレートの表面から対向するプレートに向かって延在し、完全圧縮位置において対向プレートに接触するストップ部材を含み得ると考えられる。
【0040】
フットペダル60が解放されたとき、非圧縮位置と完全圧縮位置との間の任意の位置にあるとき、フットペダル60の付勢部材、例えば第1および第2の付勢部材66、68は、フットペダルを非圧縮位置まで動かすことが理解されよう。
【0041】
図1~
図3を参照し、入力ハンドルおよびフットペダルを用いてツールおよびカメラを操作する方法を、
図1のロボット手術システム1を利用し、本開示に従って説明する。まず、ツール20を操作するために、臨床医は、フットペダル60は非圧縮位置とし、入力ハンドル42をワークスペース「W」の周りで動かす。臨床医がツール20の動きにさらなる精度を必要とするとき、臨床医はフットペダル60を完全圧縮位置に向かって圧縮して、入力ハンドル42の動きに応答するツール20の動きを縮小する。臨床医は、
図2Bに示すようにフットペダル60を第1の圧縮位置まで圧縮して、ツール20の動きの精度を高め得ると考えられる。上記で詳述したように、フットペダル60が第1の圧縮位置に到達すると、臨床医は、入力ハンドル42がホールドモードに入り、フットペダル60をさらに圧縮すると第2の圧縮位置に到達し、したがってカメラ56の動きをもたらし得ることを示すフィードバックを感じ得る。さらなる精度がもはや必要でなくなると、臨床医はフットペダル60を解放して、フットペダル60が非圧縮位置に戻ることを可能にし、次いで、入力ハンドル42を操作して手術部位「S」内でツール20を動かし続ける。
【0042】
外科手術中の任意の時点で、臨床医がカメラ56を動かしたいとき、臨床医はフットペダル60を第2の圧縮位置を超えて圧縮する。フットペダル60が第2の圧縮位置を超えると、上記で詳述したように、入力ハンドル42のホールドポーズからの動きにより、手術部位「S」内でカメラ56が動く。上記で詳述したように、フットペダル60が第2の圧縮位置と完全圧縮位置との間にあるとき、第2の付勢部材68の圧縮からの第2の付勢力が、フットペダル60が第2の圧縮位置と完全圧縮位置との間にあるというフィードバックを臨床医に提供する。さらなるカメラの動きがもはや必要でなくなると、臨床医はフットペダル60を解放して、フットペダル60が第2の圧縮位置と非圧縮位置との間のある位置に戻ることを可能にする。
【0043】
上記で詳述した方法は、処理ユニット30(
図1)内のアルゴリズムとして実行され得る。例えば、入力ハンドル42の動きに応答して、ユーザコンソール40は入力信号を処理ユニット30に送信し得る。処理ユニット30は、入力信号を受信し、制御信号を生成し、それが手術ロボット10に送信され、上記で詳述したようにツール20および/またはカメラ56を動かす。
【0044】
上記で詳述したように、フットペダル60は、臨床医が入力ハンドルを放したり、または外科手術から注意をそらす必要なしに、単一の入力ハンドル、例えば入力ハンドル42が、手術ロボットのツール、例えばツール20とカメラ、例えばカメラ56との動きを制御することを可能にする。加えて、フットペダル60はまた、臨床医がツールの動きに対する入力ハンドルの動きのスケーリングを変えることを可能にする。個々にまたは一緒に、これらの利点の各々により、臨床医は手術ロボットの認識と制御を高めることができ、外科手術の実行に必要な時間を短縮し、手術結果を改善し、回復時間を短縮し、外科手術のコストを削減し得る。
【0045】
図4を参照し、フットペダル60を使用して、ツール20に対する入力ハンドル42のスケーリングを変え、かつ入力ハンドル42の動きに応答して、カメラ、例えばカメラ56の位置を変える別の方法を、
図1~
図2Dのロボット手術システム10およびフットペダル60を参照して開示する。まず、フットペダル60が第1の圧縮位置、例えば位置「B」に向かって圧縮されると、入力ハンドル42の動き対ツール20の動きのスケーリングが、フットペダル60が圧縮されるにつれて、位置「A」での比3:1から、より大きい比、例えば1000:1または無限大(∞):1に変化し、入力ハンドル42は、フットペダル60が第1の圧縮位置になるかまたはそれを超えると、ツールの動きから「クラッチされる」または実質的に「クラッチされる」。また、これにより、フットペダル60が第1の圧縮位置に近づくにつれて、高精度モードが可能になる。
【0046】
フットペダル60が第1の圧縮位置を超えて圧縮されると、フットペダル60は第2の付勢部材68と係合する。フットペダル60が「C1」で表された第1の圧縮位置と第2の圧縮位置との間で圧縮されているとき、入力ハンドル42は、依然として自由に動き得る。フットペダル60が第2の圧縮位置に到達すると、入力ハンドル42は「ホールドモード」に入り、入力ハンドル42の「ホールドポーズ」を規定する。入力ハンドル42が「ホールドモード」にあるとき、制御アーム43は、入力ハンドル42および/または制御アーム43に力フィードバックアルゴリズムを適用して、入力ハンドル42をホールドポーズに維持および/またはそれに戻し得る。
【0047】
フットペダル60が第2の圧縮位置を超えて圧縮されると、入力ハンドル42は、フットペダル60が「C2」で表された第3の圧縮位置に到達するまで、「ホールドモード」のままである。フットペダル60が第3の圧縮位置に到達すると、入力ハンドル42の動きはツール20の動きにほとんどまたは全く影響を及ぼさないが、手術部位「S」内でカメラ23を動かしてディスプレイ上での手術部位「S」の視界を調整する。フットペダル60は、フットペダル60が第3の圧縮位置にあるというフィードバックをユーザに提供するために、フットペダル60が第3の圧縮位置に到達したときに係合する第3の付勢部材(図示せず)を含み得る。
【0048】
上記で詳述したように、フットペダル60は、クラッチ制御ペダルおよびカメラ制御ペダルの両方として使用することができる。クラッチ制御ペダルおよびカメラ制御ペダルの両方として作用する単一のフットペダルを提供することで、ロボット手術システムのユーザインターフェースを改善し得る。具体的には、ユーザインターフェースの直感性を高め、ペダルの数を減らし、かつ/またはユーザインターフェースに必要とされるスペースを縮小することにより、ユーザインターフェースを改善し得る。ユーザインターフェースを改善すると、ロボット外科手術の時間および/またはコストを削減し得る。
【0049】
本開示のいくつかの実施形態が図面に示されているが、本開示は当該技術分野が許容する広い範囲として捉えられるべきであり、本明細書も同様に読み取られるべきと考えられるので、本開示はこれらの実施形態に限定されるものではないことが意図される。上記の実施形態の任意の組み合わせもまた想定され、これらは、添付の特許請求の範囲内である。したがって、上記の説明は、限定として解釈されるべきではなく、特定の実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。当業者は本明細書に添付される特許請求の範囲内での他の修正を想定するであろう。