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特許7160905車両コンポーネントに接続するための流体容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】車両コンポーネントに接続するための流体容器
(51)【国際特許分類】
   B60T 11/22 20060101AFI20221018BHJP
   F16B 21/07 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
B60T11/22 B
F16B21/07 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020513846
(86)(22)【出願日】2018-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 EP2018066526
(87)【国際公開番号】W WO2019048103
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-04-12
(31)【優先権主張番号】102017215833.6
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】399023800
【氏名又は名称】コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(72)【発明者】
【氏名】リュファー・マンフレート
(72)【発明者】
【氏名】クレーマー・ホルスト
(72)【発明者】
【氏名】メルツ・ケリマ
(72)【発明者】
【氏名】ヤゴス・ミラン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーベ・パウル
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第10217682(DE,A1)
【文献】特開平09-286318(JP,A)
【文献】特開2003-335236(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105393001(CN,A)
【文献】特開2004-316637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 11/22
F16B 21/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両コンポーネント(2)に取り外し可能に接続するための流体容器(1)であって、流体容器(1)は、孔(6、7)を有する少なくとも一つの固定ラグ(4、5)を備えており、この孔は、車両コンポーネント(2)内の貫通孔(8)と一直線上に並んでおり、接続抜け止めピン(3)により保証され、この抜け止めピンは、貫通孔(8)及び、孔(6)及び/又は孔(7)内に差し込み可能であり、差し込み方向(S)における直線的な差し込み運動により最終位置においてロック可能である流体容器において、
固定ラグ(4、5)は、それぞれの孔(6、7)と一直線上に並ぶよう配置された抜け止め装置(9、10)を有しており、抜け止め装置(9、10)は、少なくとも2つの、弾性的にはね返るタブ(11、12、..)を含んでおり、これらのタブは、抜け止めピン(3)の他の部分よりも太く形成されたロック部分(18)をはめ込むようにつかみ、それにより、抜け止めピン(3)をその軸方向において固定すること、タブ(11、12)が、それぞれ凹状に形成された面部分(13、14)を有しており、この面部分は、抜け止めピン(3)の抜け止めのために、抜け止めピン(3)の、対応する凸状に形成された面部分(15)と同時に相互作用すること、及び面部分(13、14、15)が球面状に形成されていることを特徴とする流体容器。
【請求項2】
差し込み方向(S)を選択的に逆にできるように、抜け止め装置(9)が、抜け止め装置(10)に対して逆向きに向き合うように形成されてることを特徴とする請求項1に記載の流体容器(1)。
【請求項3】
流体容器(1)が、油圧式の自動車ブレーキ装置のためのブレーキフルード容器として形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体容器(1)。
【請求項4】
抜け止めピン(3)が回転対称に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体容器(1)。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載の流体容器(1)のための抜け止めピン(3)であって、抜け止めピン(3)が、前端部(17)を持つ細長い本体(16)を含んでおり、前端部は、ロックする際に車両コンポーネント(2)内の貫通孔(8)を通って差し込まれ、反対側にある後端部領域には、本体(16)よりも太くなっているロック部分(18)が形成されていることを特徴とする抜け止めピン(3)。
【請求項6】
ロック部分(18)の面部分(15)が、球面状であり、また差し込み方向に向けられて形成されていることを特徴とする請求項に記載の抜け止めピン(3)。
【請求項7】
面部分(15)が球冠又は半球として形成されていることを特徴とする請求項に記載の抜け止めピン(3)。
【請求項8】
球冠又は半球の平たい側に、本体(16)とは反対側に向けられたショルダー部(19)が設けられていることを特徴とする請求項に記載の抜け止めピン(3)。
【請求項9】
ショルダー部(19)から本体(16)とは反対側に向けて円錐状に勾配がつけられた移行部(20)形成されていることを特徴とする請求項に記載の抜け止めピン(3)。
【請求項10】
ロック部分(18)がボールヘッドとして形成されていることを特徴とする請求項に記載の抜け止めピン(3)。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の流体容器(1)及び請求項から10のいずれか一項に記載の抜け止めピン(3)を含む組立体。
【請求項12】
車両コンポーネント(2)が、油圧式自動車ブレーキ装置内で油圧式ブレーキ圧力を生成するための油圧ユニットであること、とりわけマスタブレーキシリンダであることを特徴とする請求項11に記載の組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のおいて書きに記載の特徴を備える流体容器に関する。そのような流体容器は、例えば油圧式自動車ブレーキ装置用の圧力媒体容器として導入されており、圧力媒体容器は、そこで個別のブースター段(Verstaerkerstufe)に連結された従来のマスタブレーキシリンダへも、及び、ブースター段が統合されている、組み合わされた加圧ユニットへも供給を行う。
【背景技術】
【0002】
同種の流体容器は油圧式ユニットに直接固定される。流体容器をユニットの所与の位置に固定するために抜け止めピン(Arretierungsstift)を使用することが知られており、抜け止めピンは、一直線上に並んだ(fluchtende)孔を通って容器及び車両コンポーネントに差し込まれる。取り付けを容易にするためにさらに、抜け止めピンの取り付けと固定はできるだけ特別な工具や装置を用いずに短いサイクルタイムで行えることが必要であり、また、ネジ山、クランプスリーブや同等物を用いた解決法(Loesungen)は手間がかかり手違いを起こしやすい(stoeranfaellig)ため避けるべきである。
【0003】
特許文献1より、流体容器が、直角の角度がつけられたラグを持つ金属ピンにより保持されている組立体が知られている。その欠点として挙げられることは、金属ピンをロックするために、金属ピンの、角度がつけられたラグを2つのロック要素の間に、又は、はめ込みインサート(Rasteinsatz)内にはめ込む必要があり、そのためには、特に決められた、許容誤差範囲が狭い位置へとラグを回転させる必要があることである。このような追加的な操作により、見ないで取り付ける(Blindmontage)ことが困難となり、誤取り付けを回避するためのチェックの手間が大きくなる。
【0004】
特許文献2から、補償容器及びプラスチック製固定ピンを持つ組立体が知られており、この固定ピンは、差し込み方向における簡単な軸方向の差し込み運動により抜け止めされる。固定ピンはそのためにストッパとしてのヘッドフランジ、及び、一つ又は複数のラッチ要素を有しており、ラッチ要素は、補償容器の固定ラグにある孔の一つと摩擦結合又は形状結合する(kraft- oder formschluessig zusammenwirken)。ここで欠点として挙げられているのは、ラッチ要素の摩耗という理由から、例えば保守において(im Servicefall)固定ピンを何度も繰り返し使用することが制限されることが挙げられており、また、例えば衝突(Crash)の場合など、横方向に高い負荷がかかる際に固定ピンの耐力に改善の余地があるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第10047325号明細書
【文献】欧州特許第2459425号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、本発明の課題は、高負荷においても、また、容器のつばなし接続管(kragenlose Behlterstutzen)を使用していても車両コンポーネントに確実に固定され続け、右ハンドル車及び左ハンドル車に導入でき、取り付けも、とりわけ手元を見ずに手で取り付けること(Blindmontage mit Hand)、及び、機械的な自動取り付けが1回でも無制限の複数回でも、再利用可能なコンポーネントを用いて何度でも行えるよう、改善された流体容器を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明において、この課題は、主請求項1ならびに同格の請求項7及び13に記載の特徴を組み合わせたコンポーネントにより解決される。本発明のさらなる実施形態及び発展形は従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明においては、固定ラグ(Befestigungsansatz)が、それぞれの孔と一直線上に並ぶよう(fluchtend)配置された抜け止め装置を有しており、この抜け止め装置は、少なくとも2つの、弾性的にはね返るタブ(Lasche)を有しており、これが、抜け止めピンの、太く形成されたロック部分(Verriegelungsabschnitt)をはめ込むようにつかみ(rastend angreifen)、それにより、抜け止めピンはその軸方向において固定される。それにより、頑丈な構造が可能となり、それにより取り付けが特に容易となり、取り付けの際に部材の特別な位置調整(Lagepositionierung)は不要となる。そのためには、車両コンポーネント内に簡単な貫通孔穴があれば十分である。抜け止めピンが正しくおさまっている(sitzen)かどうかを触覚的及び視覚的に明確にチェックすることにとっても有利である。
【0009】
本発明のある発展形によると、タブは、凹状で望ましくは球面状に形成された面部分を有しており、これは、対応する、凸状に形成された抜け止めピンの面部分と一緒に作用して、抜け止めピンの抜け止めを行う。それにより、部材を、低い取付力でぐらつきなしに明確に最終位置決めすることが可能となり、部材を力学的に(mechanisch)特に頑丈に構成することができる。
【0010】
保守のしやすさも高まり、取り付け及び取り外しは工具を使わずに行うことも、また、自動的に又は簡単な補助手段(Hilfsmittel)を用いて素早く、任意の回数行うこともできる。
【0011】
ある望ましい実施形態によると、流体容器には、ほぼ左右対称に向かい合って配置された2つの抜け止め装置が設けられており、それにより、差し込み方向を選択的に逆にすることができ、また、いつでも両側の取り付けが可能である。それにより、有利で標準化された解決策(Loesung)を実現することができ、これは、様々な導入分野、及び、例えば右ハンドル及び左ハンドルの態様など様々な適用において変更を加えずに導入することができる。
【0012】
本発明においてはまた、抜け止めピンは、望ましくは回転対称に構成されており、前端部を持つ細長い本体を含んでおり、この前端部は、ロックする際に、貫通孔を通って車両コンポーネント内に差し込まれ、また、主に反対側に位置する後端部領域内には、太くなっているロック部分が形成されている。それにより、抜け止めピンを特に容易かつコスト安に金属又はプラスチックから製造することができ、誤取り付けは自ずと(zwangsweise)回避され、自動化取り付け及び容易な取り外しにとっても有利であり、必要な取り付け空間も少なくて済む。
【0013】
有利な発展形によると、差し込み方向に向けられたロック部分の面部分を、球面状、望ましくは球セグメントとして、特に望ましくは半球として形成することができる。それにより、特に低い取付力で及び少ない摩耗で、遊びのない組付け(Zusammenbau)が実現可能となる。
【0014】
抜け止めピンの望ましい実施形態では、球セグメントの平たい側に、半径方向においてほぼ本体に向けられたショルダー部が設けられており、ショルダー部と本体との間の移行部には勾配がつけられており、とりわけ円錐状に形成されている。それにより、一方では抜け止めピンが不所望に失われることに対する押し出し力(Auspresskraft)が高くなり、それにより、ロック確実性が高まると同時に、段状部が減るため(durch Verringerung von Abstufungen)、成型加工を用いる製造性が改善される。
【0015】
本発明の別の実施形態によると、ロック部分をボールヘッドとして形成することができ、それにより、特に組立空間を節約して抜け止めピンを形成することができ、また、取り外し力及び摩耗しやすさ(Verschleissanfaelligkeit)を低減することができる。
【0016】
ある望ましい実施形態によると、流体容器は、ブレーキフルード容器とすることができ、また、車両コンポーネントは、油圧式自動車ブレーキ装置のために油圧式ブレーキ圧力を生成するための油圧ユニット、とりわけマスタブレーキシリンダとすることができる。
【0017】
それにより、特にコストを抑えながら、安全に関連するブレーキ組立体を、特に頑丈で衝突安全な構造にすることができる。なぜなら、それにより例えば流体容器の接続管(Anschlussstutzen)にもはや保持機能が求められなくなり、そのため、接続管を簡単につば無しに実施できるからである。それによりまた、そのような油圧インターフェースの直径も小さくすることができる。
【0018】
本発明はまた、本発明の流体容器及び、先述の利点を持つ少なくとも一つの本発明の抜け止めピンを含む、組立体に関する。
【0019】
本発明のさらなる特徴、利点、適用可能性は、本発明の実施例の以下の説明から理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】マスタブレーキシリンダ、及びそこに取り付けられた本発明の流体容器及び抜け止めピンから成る組立体の実施形態の部分の断面図である。
図2】2つの抜け止め装置を持つ、図1の流体容器の部分の断面図である。
図3図2の抜け止め装置の上面図である。
図4図3の抜け止め装置のD-Dに沿った拡大された断面図である。
図5図1の抜け止めピンの本発明の実施形態を示す図である。
図6】本発明による抜け止めピンの第2の実施形態の立体的な図である。
図7】本発明による抜け止めピンの第3の実施形態の立体的な図である。
図8】差し込み方向に向かって抜け止めピンに作用する軸方向力の荷重変位曲線の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1
本発明の流体容器1は、図示された実施形態において油圧式自動車ブレーキ装置の圧力媒体容器として構成されており、マスタブレーキシリンダ(車両コンポーネント2)に直接的に配置されている。
【0022】
車両コンポーネント2への接続は、取り外し可能に構成されているとともに、抜け止めピン7により固定されており、抜け止めピンは、無制限に何度でも取り付け(einbauen)もしくは取り外し(ausbauen)を行うことができる。そのために、車両コンポーネント2は貫通孔8を、流体容器1は2つの固定ラグ4及び5を有しており、これら固定ラグは、貫通孔8の両側に配置されていて、それぞれ貫通孔8と一直線に並ぶ孔6もしくは7を有している。孔6、7は軸方向において細長い円筒状に形成されているため、抜け止めピン3との十分な接触面がある。それにより、側方力が高い場合でも十分な強度(Festigkeit)が確保され、また、とりわけ流体容器1のプラスチック材料の表面圧(Flaechenpressung)の限界値を越えることが回避され、それにより流体容器の破損が回避される。
【0023】
抜け止めピン7は孔6、7、8に差し込まれ(durchgreifen)、それにより流体容器1は、車両コンポーネント2におけるその所定の取り付け位置に固定される。同時に、抜け止めピン7自体も、はめ込まれるようにロックされて(durch eine rastende Verriegelung)流体容器1にある抜け止め装置9内でその最終位置において固定される。各抜け止め装置9、10は、それぞれ孔6もしくは7のいずれかに割り当てられており、それぞれ一直線上に並んでいる。
【0024】
とりわけ以下の図2~4から分かるように、抜け止め装置9、10は、図示された実施形態においてはそれぞれ4つの弾性的にはね返るタブ11、12、21、22を有している。
【0025】
本発明内においては、タブの数は異なっていてもよい。しかしながら、1つの抜け止め装置につき3つ又は4つのタブが特に望ましく、それは、1つ又は2つのタブの機能が失われても(例えば破損など)、抜け止めピン3の製造コスト、取り付け力、保持力、固定の間の最適な妥協を特に容易に達成できるからである。
【0026】
各タブ11、12、21、22は、軸方向にアンダーカットを形成しつつ、それぞれ、半径方向内側に向けられた、それぞれ凹球面状に形成された面部分13、14、23、24を有している。これら面部分13、14、23、24により、抜け止めピン3の、太く形成されたロック部分18が包み込まれ、半径方向のプリテンション及び軸方向のアンダーカットにより、このロック部分が軸方向において摩擦結合的及び形状結合的に固定される。
【0027】
抜け止めピン3の、太いロック部分18は、差し込み方向Sに向けられた、凸状に形成された面部分15を有しており、この面部分15は、面部分13、14、23、24と共に、組付け部(Zusammenbau)内の軸方向のストッパ及び抜け止めピンの最終位置を規定している。
【0028】
本発明内においては、面部分13、14、23、24の凹状表面(もしくは抜け止めピン3の、対応する凸状の面部分15)は、もちろん球面状でなくてもよい。
【0029】
抜け止めピン3は、差し込み方向Sにおいて軸方向に直線的に、ストッパまで、もしくは面部分15が面部分13、14、23、24に当たるまで差し込むだけでロックされる。
【0030】
標準化を改善し、両側での取り付けを可能にするために、両方の固定ラグ4、5は、全く同じように操作可能な、望ましくは左右対称に又は同一に形成された抜け止め装置9、10を有している。それにより、同じ抜け止めピン7を、機能制限なしに、任意に両側から差し込んでロックすることができる。その際、抜け止めピンは差し込み方向Sにおいては抜け止め装置9内で、差し込み方向S´においては抜け止め装置10内でロックされる。
【0031】
図2
図2には、抜け止め装置9、10の先述の構造を明らかにするために流体容器1の対応する部分が単独で、組付け部なしで図示されている。ここで強調すべきことは、凹球面状に構成された面部分13、14、23、24により軸方向のアンダーカットが形成されることにより、抜け止めピン3を軸方向にしっかりと保持し、抜け止めピンの半径方向のセンタリングを一義的に行い、同時に抜け止めピンを容易に、損傷を与えずに取り外すことが可能となることである。取り付けをさらにしやすくするためにタブ11、12、21、22はそれぞれ導入スロープ27(Einfuhrschraege)を有している。
【0032】
図3
図3は、固定ラグ4及び固定ラグ上に形成された抜け止め装置9の上面図である(図3の差し込み方向Sに相当)。この図から、各タブが周方向において湾曲して形成されていることが分かる。少なくとも2つの、望ましくは3つ又は4つのタブを使用することにより、一つ又は複数のタブが失われても、抜け止めピン3はただ一つのタブでも抜け止めピンの軸方向の最終位置に保持できるため、危険ではない。
【0033】
図4
図3のD-Dに沿った断面図により抜け止め装置の構造が明確に図示されている。
【0034】
図5
図5には、図1の抜け止めピン3の本発明の第1の実施形態が図示されている。抜け止めピン3は、望ましくは金属材料とりわけ鋼鉄製であり、回転対称に構成されている。本発明内においては、負荷が低い場合はとりわけ繊維強化プラスチック材料製の重量節減的なプラスチック態様も可能(zulaessig)である。
【0035】
抜け止めピン3は、その前側に、勾配がつけられて先細になった前端部17を有する細長い本体16を備えており、この前端部は、ロックする際に車両コンポーネント2内の貫通孔8を通って差し込まれる。本体16には、ロック部分18が、主に前端部17の反対側の端の領域内において太く形成されており、この部分が、流体容器1の抜け止め装置9、10内で抜け止めされる。
【0036】
差し込み方向において前端部17に向いている、ロック部分18の面部分15は、タブ11、12、21、22の面部分13、14、23、24に対応して凸球面状に形成されており、図示された態様では特に球セグメントとして形成されている。
【0037】
球セグメントの平たい面には、半径方向にほぼ本体16に向けられたショルダー部19が設けられている。このショルダー部の主な役割は、それぞれの差し込み方向S、S´に対向する軸方向の抵抗力、もしくは、抜け止めピン3の不所望の損失に対する押し出し力を高め、それによりロック確実性を高めることにある。
【0038】
ショルダー部19と本体16との間の移行部20には勾配がつけられており、とりわけ円錐状に形成されているため、一種のステップコーンが生まれ、とりわけ金属態様においては例えば冷間加工による抜け止めピン3の製造性の簡易化が可能となる。
【0039】
ロック部分18の後ろ側には細長いラグ26が続いている。ラグ26の役割はとりわけ、取り付けやすくするために抜け止めピン3を指で又は自動グリッパーで保持することであり、これに加えて、組付け部内で抜け止めピン3が正しくおさまっていることを視覚的に確実にチェックできるようにすることである。
【0040】
図6
図6には、本発明の抜け止めピン3の第2の実施形態が図示されている。図5の態様とは異なり、ショルダー部19の外側の半径方向の縁25は、取り外しやすいように面取りされて形成されている。
【0041】
図7
図示された本発明の抜け止めピン3の第3の実施形態においては、図5及び図6の態様とは異なり、ロック部分18はボールヘッドとして形成されており、ラグ26は設けられていない。このような実施形態は、例えば組立空間が特に狭い場合、また、抜け止め装置のすぐ近くに配線がある場合に、ラグ26による配線の損傷を排除するために有利となり得る。
【0042】
図8
図8は、抜け止めピン3の取り付けにおける荷重変位曲線を非常に単純化して表した図である。抜け止め装置9、10において抜け止めピン3の抜け止めもしくはロックは自然に自動的に(selbsttaetig automatisch)行われ、取り付けにおける抵抗力の特徴的な推移により明確に認識可能である。ここでは、面部分15によりタブ11、12、21、22が弾性的に拡大する際に、プリテンションが形成されてまず第1の力ピークが生まれる。ロック部分18が導入スロープ27を乗り越えた後にタブ11、12、21、22がはね返るときに、第1の力ピークの後に力の低下が、そして差し込み方向における加速が続く。面部分15が面部分13、14、23、24に突き当たる(anschlagen)際、抜け止めピン3はその最終位置に到達し、その際、第2であり最後の、大幅な力の上昇がみられる。
【0043】
それにより、抜け止めピン3の取り付けは、純粋に触覚的に調整可能なブラインドオペレーションとしても、力センサーで制御された自動化操作としても実現可能である。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.車両コンポーネント(2)に取り外し可能に接続するための流体容器(1)であって、流体容器(1)は、孔(6、7)を有する少なくとも一つの固定ラグ(4、5)を備えており、この孔は、車両コンポーネント(2)内の貫通孔(8)と一直線上に並んでおり、接続部は抜け止めピン(3)により固定され、この抜け止めピンは、貫通孔(8)及び、孔(6)及び/又は孔(7)内に差し込み可能であり、差し込み方向(S)における直線的な差し込み運動により最終位置においてロック可能である流体容器において、
固定ラグ(4、5)は、それぞれの孔(6、7)と一直線上に並ぶよう配置された抜け止め装置(9、10)を有しており、抜け止め装置(9、10)は、少なくとも2つの、弾性的にはね返るタブ(11、12、..)を含んでおり、これらのタブは、抜け止めピン(3)の太く形成されたロック部分(18)をはめ込むようにつかみ、それにより、抜け止めピン(3)をその軸方向において固定することを特徴とする流体容器。
2.タブ(11、12)が、それぞれ凹状に形成された面部分(13、14)を有しており、この面部分は、抜け止めピン(3)の抜け止めのために、抜け止めピン(3)の、対応する凸状に形成された面部分(15)と同時に相互作用することを特徴とする上記1.に記載の流体容器(1)。
3.面部分(13、14、15)が球面状に形成されていることを特徴とする上記2.に記載の流体容器(1)。
4.抜け止め装置(9)が、抜け止め装置(10)に対してほぼ左右対称に向き合うように形成されており、それにより、差し込み方向(S)を選択的に逆にできることを特徴とする上記1.から3.のいずれか一つに記載の流体容器(1)。
5.流体容器(1)が、油圧式の自動車ブレーキ装置のためのブレーキフルード容器として形成されていることを特徴とする上記1.から4.のいずれか一つに記載の流体容器(1)。
6.抜け止めピン(3)が回転対称に構成されていることを特徴とする上記1.から4.のいずれか一つに記載の流体容器(1)。
7.上記1.から6.のいずれか一項に記載の流体容器(1)のための抜け止めピン(3)であって、抜け止めピン(3)が、前端部(17)を持つ細長い本体(16)を含んでおり、前端部は、ロックする際に車両コンポーネント(2)内の貫通孔(8)を通って差し込まれ、主に反対側にある後端部領域には、太くなっているロック部分(18)が形成されていることを特徴とする抜け止めピン(3)。
8.ロック部分(18)の面部分(15)が、球面状であり、また差し込み方向に向けられて形成されていることを特徴とする上記7.に記載の抜け止めピン(3)。
9.面部分(15)がほぼ球セグメントとして、とりわけ半球として形成されていることを特徴とする上記8.に記載の抜け止めピン(3)。
10.球セグメントの平たい側に、半径方向においてほぼ本体(16)に向けられたショルダー部(19)が設けられていることを特徴とする上記9.に記載の抜け止めピン(3)。
11.ショルダー部(19)と本体(16)との間の移行部(20)に勾配がつけられていること、とりわけ円錐状に形成されていることを特徴とする上記10.に記載の抜け止めピン(3)。
12.ロック部分(18)がボールヘッドとして形成されていることを特徴とする上記7.に記載の抜け止めピン(3)。
13.上記1.から4.のいずれか一つに記載の流体容器(1)及び上記7.から12.のいずれか一つに記載の抜け止めピン(3)を含む組立体。
14.車両コンポーネント(2)が、油圧式自動車ブレーキ装置内で油圧式ブレーキ圧力を生成するための油圧ユニットであること、とりわけマスタブレーキシリンダであることを特徴とする上記13.に記載の組立体。
【符号の説明】
【0044】
1 流体容器
2 車両コンポーネント
3 抜け止めピン
4 固定ラグ
5 固定ラグ
6 孔
7 孔
8 貫通孔
9 抜け止め装置
10 抜け止め装置
11 タブ
12 タブ
13 面部分
14 面部分
15 面部分
16 本体
17 前端部
18 ロック部分
19 ショルダー部
20 移行部
21 タブ
22 タブ
23 面部分
24 面部分
25 縁
26 ラグ
27 導入スロープ
S 差し込み方向
S´ 差し込み方向
M 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8