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特許7160928三次元コンポーネントの付加製造における製造精度を監視するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】三次元コンポーネントの付加製造における製造精度を監視するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20221018BHJP
   B22F 10/20 20210101ALI20221018BHJP
   B22F 10/31 20210101ALI20221018BHJP
   B22F 10/85 20210101ALI20221018BHJP
   B22F 12/41 20210101ALI20221018BHJP
   B22F 12/45 20210101ALI20221018BHJP
   B22F 12/47 20210101ALI20221018BHJP
   B22F 12/50 20210101ALI20221018BHJP
   B22F 12/60 20210101ALI20221018BHJP
   B22F 12/90 20210101ALI20221018BHJP
   B29C 64/135 20170101ALI20221018BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20221018BHJP
   B29C 64/165 20170101ALI20221018BHJP
   B29C 64/188 20170101ALI20221018BHJP
   B29C 64/20 20170101ALI20221018BHJP
   B29C 64/205 20170101ALI20221018BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20221018BHJP
   B29C 64/277 20170101ALI20221018BHJP
   B29C 64/286 20170101ALI20221018BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20221018BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20221018BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20221018BHJP
【FI】
B29C64/393
B22F10/20
B22F10/31
B22F10/85
B22F12/41
B22F12/45
B22F12/47
B22F12/50
B22F12/60
B22F12/90
B29C64/135
B29C64/153
B29C64/165
B29C64/188
B29C64/20
B29C64/205
B29C64/268
B29C64/277
B29C64/286
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020538902
(86)(22)【出願日】2019-01-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 EP2019050637
(87)【国際公開番号】W WO2019138038
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】102018200566.4
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515230084
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト ツゥア フェアデルング デア アンゲヴァンドテン フォァシュング エー.ファウ.
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ベントユス ベアトリス
(72)【発明者】
【氏名】スィカローヴァ ウラナ
(72)【発明者】
【氏名】レリグ マイク
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0219444(US,A1)
【文献】国際公開第2017/008789(WO,A1)
【文献】特表平06-503764(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014202020(DE,A1)
【文献】特表2020-533481(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0262152(US,A1)
【文献】国際公開第2017/212619(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0263978(US,A1)
【文献】特表平06-504009(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0039302(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B22F 1/00-12/90
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元コンポーネントの付加製造における製造精度を監視するためのシステムであって、
二次元検出器アレイ(1)及び少なくとも1つのレーザー放射源(4)で形成され、エネルギービームが粉末材料又はペースト状で存在する材料の領域に向けられ、局所的に規定されたエネルギー流入の結果として三次元コンポーネントの少なくとも1つの領域が生成される複合照明検出素子(12)と、
レーザー放射源(4)によって照射される面内/上に発生するスペックルを空間的に分解された態様で検出可能に構成されている検出器アレイ(1)と、
を備え、
検出器アレイ(1)によって空間的に分解された態様で捕捉されたスペックル信号は、電子評価制御回路(3)に供給可能であり、
電子評価制御回路(3)は、製造プロセスに影響を及ぼすように実装された電子開ループ及び閉ループ制御装置に接続されており、
熱スペックル励起は、別個のエネルギービーム(10)又は三次元付加製造のための粉末材料又はペースト状で存在する材料に局所的に規定された態様でエネルギーを導入するために使用されるエネルギービームを使用して達成可能である、
システム。
【請求項2】
前記システムは、粉末材料又はペースト状で存在する材料(7)の供給又は平滑化装置(8)に直接取り付けられ、前記供給又は平滑化装置(8)と共に移動可能であることを特徴とする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記二次元検出器アレイ(1)と、少なくとも1つの前記レーザー放射源(4)と、前記電子評価制御回路(3)とが、1つの回路キャリア上に一緒に配置されていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
別個のエネルギービーム(10)が反射素子(11)に入射し、それによって反射されたエネルギービーム(10)が粉末材料又はペースト状で存在する材料(7)の領域に入射し、
前記領域は、前記レーザー放射源(4)によって照射されない及び/又は検出器アレイ(1)によって検出されないことを特徴とする、
請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記反射素子(11)は、粉末材料又はペースト状で存在する材料(7)用の供給又は平滑化装置(8)に取り付けられ、
前記供給又は平滑化装置(8)とともに移動可能に構成されていることを特徴とする、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記レーザー放射源(4)は、レーザーダイオード又はレーザダイオードアレイであり、及び/又は、前記検出器アレイ(1)がCCD又はCMOSアレイであることを特徴とする、
請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
材料の供給は、液滴塗布装置、レーザクラッディング用の装置、又は付加製造プロセス用の粉末供給であり、前記平滑化装置(8)はドクターブレードである、
請求項2又は5に記載のシステム。
【請求項8】
前記液滴塗布装置は、印刷装置である、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
材料(7)と前記レーザー放射源(4)及び/又は前記検出器アレイ(1)との間に、光学フィルタ(1a)及び/又は光ビーム整形素子(1b)が配置されていることを特徴とする、
請求項1~のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1項に記載の装置を用いた三次元コンポーネントの付加的な製造中の製造精度を監視する方法であって、
前記レーザー放射源(4)を用いて、粉末材料又はペースト状で存在する材料の領域にエネルギービームを照射することにより、局所的に規定されたエネルギー流入の結果として三次元コンポーネントの少なくとも1つの領域を生成し、
前記レーザー放射源(4)によって照射された表面に発生するスペックルが空間的に分解された態様で検出されるように、前記検出器アレイ(1)を配置、実装し、
前記検出器アレイ(1)によって空間的に分解された態様で捕捉されたスペックル信号を、前記電子評価制御回路(3)に供給し、
前記電子評価制御回路(3)によって評価されたスペックル信号を、製造プロセスに影響を及ぼすように実装された電子開ループ及び閉ループ制御装置に送信し、
熱スペックル励起を、別個のエネルギービーム(10)又は三次元付加製造のための粉末材料又はペースト状で存在する材料に局所的に規定された態様でエネルギーを導入するために使用されるエネルギービームを使用して達成し、
電子開ループ及び閉ループ制御装置を使用して、製造プロセスが終了するか、又は、捕捉及び評価されたスペックル信号を考慮して、製造不良、特に材料(7)の供給中のエラーが、事前に確認された正確に供給された材料(7)のスペックル信号からの逸脱が決定された場合に補償されるように続いて影響される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元コンポーネントの付加製造中に製造精度を監視するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
付加製造(additive manufacturing)、あるいはジェネレーティブ製造(generative manufacturing)と呼ばれる方法は、事実上無限の設計と構造の自由度を持つコンポーネントの時間と資源効率の良い生産を容易にする。特に、機能的製造における利点のために評価され、促進されている。特に、製造ツールのインサート(manufacturing tool inserts)、航空宇宙、医療工学、及び軽量構造の分野において、そして一般的にはプロトタイピングにおいて、それは、例えば、輪郭の近くで冷却される特注のインプラント又はタービンブレードを製造する場合に、大きな革新及び適用可能性を提供する。
【0003】
製造プロセスの継続的な更なる発展と、主に「3Dプリント」という用語によって特徴付けられるメディアにおける存在感の増大にもかかわらず、品質保証とプロセス安定性におけるアクションに対する大きなニーズが依然として存在する。プロセスパラメータを不適切に設定したり、プロセス条件を変更すると、機械-技術コンポーネントのプロパティが悪化したり、プロセスが終了する可能性がある。コンポーネントのその後の不良処理は、一部のケースでのみ可能であり、付加製造(AM)の利点を打ち消してしまう。従って、欠陥が発生した瞬間に検出することを可能にし、材料を節約するために、とりわけ、さらなる組立及び加工の場合に発生するであろう時間及びコストを節約するために、コンポーネントの組立を停止することを可能にする、工場統合プロセス監視のための解決策が明らかに必要とされている。製造工程を制御し、工程を終了させることなくパラメトリック閉ループ制御を行うためには、異常検出も可能である必要がある。
【0004】
この目的のための従来のアプローチには、溶融池監視が含まれ、この場合、構築プロセスは、非常に狭い空間における高速プロセスを制御するのに適していないサーモグラフィ及び画像ベースの方法によって監視される。
【0005】
プロセス監視と製品文書化の目的のための適切な解決策に対する要求の増加を背景として、近年、様々なアプローチが行われている。従って、レーザー溶接の分野で既に使用されているものと同様の、溶融池の範囲を監視するシステムが知られている。ここで、ビームスプリッタを用いて、フォトダイオードによって溶融池から放出された放射線を捕捉する。溶融池の範囲を捕捉することができ、放射強度及びさらなるCMOSカメラの使用に基づいて、閉ループ制御を受けることができる。粉末の供給(powder application)を光学的に監視するために、別個に取り付けられたCCDカメラが使用される。粉末層の画像は、粉末に存在する可能性のあるストライプ状の痕跡によって、コーティング機構の摩耗及び損傷を検出するために使用される。
【0006】
拡張アプローチでは、高時間分解能で記録を実現するために、追加の照明がシステムに統合された。溶融池放射の強度をx座標及びy座標のレーザービーム位置の関数としてマッピングアルゴリズムによって表す方法も、この点で知られている。この手順により、画像記録の印象を与える溶融池温度の合成画像を作成できる。ここで、記録中の暗いスポットは、逸脱したプロセス熱流の徴候として解釈されるため、オーバーハング形状の場合、内部応力及び熱蓄積による局所的なコンポーネントの過剰な高さを示すことができる。
【0007】
先行技術はまた、同様にレーザービーム内に同軸的に結合され得る二色高温計の使用を開示している。
【0008】
サーモグラフィを用いて、ビーム融解プロセスにおける熱影響部の空間的及び時間的発達を記録できる。個々の層のサーモグラムの構成を通じて、3Dレポートを生成でき、これにより、オーバーハング形状で熱の蓄積を表示できる。ただし、視野は160mm×120mmの領域に限定されており、構築領域の一部しかカバーできない。
【0009】
また、粉末の供給及び溶融層を監視するためにイメージングシステムを使用することも試みられている。この目的のために、高解像度の画像記録が構築プロセス中に自動的に記録され、コンテナファイル形式で文書化される。局所的なコンポーネントの過剰高さは記録された画像データ中で検出でき、画像解析プロセスによりプロセス安定性を評価するために使用できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、簡単で費用対効果の高い実施形態を有し、改善された精度でかつ小型化された態様で監視を行うことを可能にする、三次元コンポーネントの付加製造中の製造精度のオンライン監視のためのオプションを特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有するシステムによって達成される。請求項9は、方法を規定する。本発明の有利な実施形態及び展開は、従属請求項に記載された特徴によって実現することができる。
【0012】
本発明によるシステムには、複合照明検出素子(combined illumination and detection element)が存在する。複合照明検出素子は、二次元検出器アレイと少なくとも1つのレーザー放射源とを備え、それにより、電磁放射線が粉末材料又はペースト状で存在する材料の領域に向けられ、局所的に規定されたエネルギー流入の結果として、三次元コンポーネントの少なくとも1つの領域が生成される。
【0013】
検出器アレイは、レーザー放射源によって照射された表面領域内/上に生じるスペックルが空間的に分解された態様で検出可能であるように配置、実装される。
【0014】
検出器アレイによって空間分解能で捕捉されたスペックル信号は、電子評価回路に供給される。電子評価回路は、製造プロセスに影響を及ぼすように実装された電子開ループ及び閉ループ制御装置に接続される。
【0015】
熱スペックル励起は、三次元付加製造のために粉末材料又はペースト状で存在する材料に局所的に規定された態様でエネルギーを導入するために用いられる別個のエネルギービーム(a separate energy beam)又はエネルギービーム(an energy beam)を用いて達成される。
【0016】
本発明で用いられ得る検出器アレイの場合、供給されたエネルギーでの励起によって得られるスペックルを空間的に分解し、同時に捕捉するために、個々の検出器又はセンサは行及び列配置で配置する必要がある。ここでは、特定可能な時間間隔で分離された同時刻と後続時刻に捕捉された空間分解スペックルを評価することが可能である。各センサに衝突する電磁放射線の強度を捕捉することができる光学センサを使用することができる。これは、光検出器又はセンサに入射する電磁放射線の単一波長又は波長範囲の場合、又は波長分解された(スペクトル的に分解された)態様の場合であり得る。製造精度の所望の監視は、空間的に分解された態様で、また、適用可能な場合には、有利には時間分解された態様で捕捉された、検出器又はセンサからの測定信号を用いて達成され得る。
【0017】
従って、レーザスペックル測光(LSP)の原理を本発明の範囲内で適用することができる。
【0018】
LSPは実時間監視に適しており、面外及び面内シフトの両方に対して高感度である。全スペックルパターン又は干渉パターン(フリンジ)の歪みに集中する他の技術とは対照的に、LSPは検出器アレイの個々の画素の強度の変化に起因するスペックルの時空間ダイナミクスを測定する。
【0019】
粗面をコヒーレント光源で照射すると、スペックル励起後にスペックルパターンが形成される。照明領域の異なる点からの散乱波は観測面の粗面上で干渉し、検出器アレイとしてのCCD/CMOSチップにより検出できるランダムに分布した強度最小と最大をもつ空間構造としてスペックルパターンを生成する。スペックルパターンは、表面の3Dの性質に関する特徴情報を保持する。原則として、散乱物体に関するこの情報を導き出すことができるように、作業は近接場の範囲で実行される。構造情報は、主に、スペックル強度及びスペックル位相又は振幅の順序統計から得ることができる。構造情報に加えて、検出器アレイによって空間的に分解された態様で捕捉されたスペックル画像は、例えば、検査される物体における拡散プロセスに関する重要な情報を経時的に送達することができる。同様に、それは、スペックル画像に捕捉された材料の動きに基づいて可能であり、その活動は、動的に、時間的に連続して捕捉されたスペックル画像の適切なアルゴリズムによって確認される。一例として、特定の相関関数(自己相関差)を使用して、スペックルダイナミクスと、サンプルの、又はプロセス中のそれぞれの表面の状態との間の相互作用を確認することができる。基本的なLSPアルゴリズムは、熱伝導方程式の解を用いた熱拡散率の計算に基づいている。
【0020】
この手順は、1つのビーム経路のみが使用されるので、実質的によりロバストである。測定構造が簡単で、効率的に小型化できる。
【0021】
このシステムは、粉末材料又はペースト状で存在する材料の供給又は平滑化装置(a feed or a smoothing device)に直接取り付けることができ、供給又は平滑化装置とともに移動することができる。その結果、材料の供給(material application)中又は供給された材料の平滑化中に前進移動に同期して追従することもでき、この目的のために専用の駆動を必要としない。ここで、システムは、材料を凝固させるためのエネルギービームで予め処理された層におけるスペックル信号の捕捉が、材料の供給又は平滑化のための移動と同時に検出が行われるように構成することができる。
【0022】
材料の供給は、液滴塗布装置、特に印刷装置、レーザクラッディング用の装置、又は付加製造プロセス用の粉末供給とすることができ、平滑化装置はドクターブレードとすることができる。
【0023】
付加製造のための材料として、合金又はセラミック材料を有する多種多様な金属を用いることができる。少なくとも2つの異なる材料を用いて製造されるべきコンポーネントも、追加的に製造することができる。
【0024】
有利には、二次元検出器アレイ、少なくとも1つのレーザー放射源、及び電子評価回路、ならびに任意に、さらに必要な要素、例えば、電力供給ユニット及び反射素子を、回路キャリア上に一緒に配置することができる。これにより、さらに小型化を図ることができる。回路キャリアは多層にすることができる。導電性接続部は、印刷された導電体トラック及びビアによって形成することができる。ここで、少なくとも1つのレーザー放射源及び検出器アレイは、コンポーネント又はコンポーネントが製造される材料に対向する回路キャリアの表面上に配置される必要がある。
【0025】
別個のエネルギービームが反射素子に入射し、それによって反射されたエネルギービームは、好ましくは、粉末材料又はペースト状で存在する材料の領域に入射する必要がある。該領域はレーザー放射源によって照射されず、及び/又は検出器アレイによって検出されない。別個のエネルギービームも同様にレーザービームとすることができる。
【0026】
既に示したように、反射素子は、同様に、粉末材料又はペースト状で存在する材料の供給又は平滑化装置に取り付けられ、供給又は平滑化装置と共に移動することができる必要がある。これが達成できることは、スペックル信号の検出に都合のよい位置で追加の手段なしに熱励起を達成できることである。
【0027】
本発明において、レーザー放射源は、レーザーダイオード又はレーザダイオードアレイであってもよく、及び/又は検出器アレイは、CCD又はCMOSアレイであってもよい。
【0028】
光学フィルタ及び/又は光学ビーム成形要素、特に光学レンズを、材料とレーザー放射源及び/又は検出器アレイとの間に配置することができる。光学フィルタを使用して、例えば反射又は散乱放射線のような電磁放射線の煩わしい成分を、検出及び評価中に回避又は少なくとも抑制することができる。さらに、光学フィルタが少なくとも1つのレーザー放射源の上流に配置される場合には、単色化された電磁放射線を照射に、よりうまく使用することができる。少なくとも1つの光学素子を使用して、それぞれ照射及び/又は検出される領域のサイズ及び形状は、適用される又は分配される材料に影響を及ぼすことができる。
【0029】
この方法では、手順は、レーザー放射源を使用して、電磁放射線を粉末材料又はペースト状で存在する材料の領域に向け、それによって、局所的に規定されたエネルギー流入の結果として三次元コンポーネントの少なくとも1つの領域が付加的に製造される。
【0030】
ここで、検出器アレイは、レーザー放射源によって照射される表面領域に発生するスペックルを空間的に分解した態様で検出するように、配置、実装されている。
【0031】
検出器アレイによって空間分解能で捕捉されたスペックル信号は、電子評価回路に供給される。電子評価回路は、製造プロセスに影響を及ぼすように実装された電子開ループ及び閉ループ制御装置に接続され、評価されたスペックル信号は電子開ループ及び閉ループ制御装置に送信される。
【0032】
熱スペックル励起は、三次元付加製造のために粉末材料又はペースト状で存在する材料に局所的に規定された態様でエネルギーを導入するために使用される別個のエネルギービーム又はエネルギービームを用いて達成される。
【0033】
電子開ループ及び閉ループ制御装置を使用して、製造プロセスが終了するか、又は、捕捉及び評価されたスペックル信号を考慮して、製造不良、特に材料の供給中のエラーが、事前に確認された正確に供給された材料のスペックル信号からの逸脱が決定された場合に補償されるような方法で、評価後に影響される。
【0034】
これにより、不要な材料やエネルギーの消費を伴う不良品を回避することができる。
【0035】
供給された材料を固化するために、特に焼結又は溶融のために使用されるエネルギービームは、特に電子又はレーザービームであり得る。このようなエネルギービームは、スペックルを生成するために使用され得る熱励起のためにさらに利用され得る。ここで、この励起のための別個のエネルギービームは、適用可能な場合には、省略することができる。
【0036】
上述のアプローチ(サーモグラフィと溶融池監視)とは対照的に、スペックルセンサシステムに基づく小型化された監視システムは、付加的な3D製造プロセス中に特定の材料パラメータ(例えば、細孔(porosity)であるが、さらにパラメータが追加される可能性もある。)及び表面開放欠陥(surface-open defects)を検出することができる。さらに、従来知られている技術的解決策と比較して、本発明によるシステムの個々のコンポーネントは、非常に小さなスペースに統合することができ、特に、付加製造のために既に利用可能な装置の改造を容易にする。複数の小型化されたLSPセンサユニットからセンサアレイを構築することも、材料パラメータの同時マッピングに使用することができる。
【0037】
これにより、迅速に実行される製造プロセスを監視できる。
【0038】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。図に示され、その説明において説明される特徴は、それぞれの図及びそれぞれの実施例とは無関係に、互いに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、本発明によるシステムの例の2つの図を示す。
図2図2は、選択的レーザー焼結又は選択的レーザー溶融のために実施される装置に使用される本発明によるシステムの例を示す。
図3図3は、例の異なる視点での2つの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
LSP用には、革新的な複合照明検出素子12を用いることができる。ここでは、検出器アレイ1としての高解像度画像変換器(CMOS/CCD)に加えて、本例では、光学フィルタ1a及び光学レンズ/対物レンズ1bと組み合わせて、エネルギー効率の良い電子評価制御回路3、例えば、測定レジームを制御し、検出器に近い画像処理を行うチップセット/エレクトロニクスユニットと、スペックルパターンを励起するためのレーザー放射源4としてのレーザダイオードアレイとが、回路キャリア5、例えばプリント回路基板に取り付けられている。これらの要素は、ここでは図示されていないが、回路キャリア5上に印刷された導電体トラック及びビアを介して、無干渉かつ低電流の電気的インターフェースによって相互接続することができる。また、回路キャリア5には、それぞれの使用場所に柔軟に対応した電源ユニット6を設けることもできる。
【0041】
回路キャリア5の多層構造(multi-layer)又は多層構造(multi-ply)は、この例を通した下部側断面図において特に識別可能である。
【0042】
個々のコンポーネントのサイズ、特に検出器アレイ1及びレーザー放射源4としてのレーザダイオードアレイのサイズは、最適化されたライン/スペース条件及び小型化されたボア(bore)を備えた多層回路キャリア5の場合に有利に使用することができる。ここで、構造はz軸方向に任意に拡張することができる。これにより、より厚い回路キャリア5や、2層以上の回路キャリア5を用いることができる。
【0043】
複合照明検出素子12は、パウダーベッド上に層状に供給され、エネルギービームによって処理される粉末材料7を供給して平滑化するように実装された、機械ユニットに固定される。これは、粉末材料7のある層厚を平滑化し維持するために使用されるドクターブレード8上で行うことができ、これは図2に示されている。ドクターブレード8は、粉末材料7を均一に分布させるために、すなわち、特に、層領域全体にわたって一定の層厚で材料を均一に分布させるために、パウダーベッドの層を形成するように移動される。
【0044】
複合照明検出素子12を用いることにより、付加的に製造されるコンポーネント9の各層を、その製造中に一点又はラインごとに測定することができる。ここで、例えば、層内の粉末材料7の不均一な分布や、各層に存在する、粒子サイズが規格値や不純物から逸脱した粒子を検出し、これらを考慮に入れることができる。
【0045】
しかしながら、複合照明検出素子12及び場合によってはシステムに属する他のコンポーネントを、粉末材料7からなる各層を、それぞれの材料7を固化させるためのエネルギービームで処理した後又は処理中に使用して、LSPによる検出を行い、その過程で、少なくとも一層を形成する際に付加製造中に生じた不良を識別することも可能である。不良が特定された場合、説明の一般的な部分で説明したように、製造プロセスに影響を及ぼすように実装された図示しない電子開ループ及び閉ループ制御装置を使用して、製造プロセスに介入することができる。
【0046】
この例では、フォトダイオード/レーザーダイオード10.1から放射され、エネルギービーム10を反する素子11に向けられる、別個のエネルギービーム10を用いて熱励起が行われる。ここで、エネルギービーム10と反射素子11とは、エネルギービーム10の焦点が粉末材料7の表面に当たり、熱励起をもたらすように互いに整列配置される。ここで、焦点は、検出器アレイ1によって捕捉され得る検出領域内に直接位置しない位置に向けられる必要がある。
【0047】
図3の左側の図は、スペックルを励起するために、レーザービーム10がどのようにして付加的に製造されるコンポーネント9の表面に導かれるかを概略的に示している。ここで、検出器アレイ1は、ドクターブレード8上に配置され、それと共に移動する。ドクターブレード8は、選択的レーザー溶接又はレーザー焼結における従来のように、層毎の粉末分布をもたらすために使用される。
【0048】
右側の図は、検出器アレイ1が複数の光学センサで形成され、それらが行及び列の配置で配置されていることを明らかにしている。検出器アレイ1上には反射素子11が存在し、これによりスペックルを励起するためのレーザービーム10が、コンポーネント9を付加的に製造するために使用されるパウダーベッドの最上層の表面に向けられる。
【0049】
光学センサは、レーザービーム10によって励起されたスペックルを空間的に分解して捕捉する。
図1
図2
図3