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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】二相製品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20221018BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20221018BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20221018BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20221018BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20221018BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/365
A61K8/67
A61K8/73
A61K8/81
A61Q19/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020570131
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 US2019039676
(87)【国際公開番号】W WO2020006328
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】62/691,656
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ マイケル ズコウスキ
(72)【発明者】
【氏名】スディープ チャクラバーティ
(72)【発明者】
【氏名】ユー ワン
(72)【発明者】
【氏名】スーシュエン ゴン
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-006374(JP,A)
【文献】特開2005-089337(JP,A)
【文献】特開2017-190291(JP,A)
【文献】特開2011-068600(JP,A)
【文献】特開2002-068925(JP,A)
【文献】特開2017-119698(JP,A)
【文献】特開2017-095452(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0041788(US,A1)
【文献】特開2002-047135(JP,A)
【文献】特開2005-239600(JP,A)
【文献】特開2011-032181(JP,A)
【文献】特開2012-148990(JP,A)
【文献】特開2005-035631(JP,A)
【文献】特開2004-002207(JP,A)
【文献】特開2003-306412(JP,A)
【文献】特開平09-327501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A45D 33/00-40/30
B01J 4/00- 4/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離状被分配製品であって、そのパーソナルケア用途に対してディスペンサから分配された後に半球形状を有し、第1の部分と、前記第1の部分を少なくとも部分的に取り囲む第2の部分と、を含み、
前記第2の部分は、本明細書に記載されるような部分振動レオメトリー試験方法(「PORTM」)によって評価されるクロスオーバー応力を含み、前記第2の部分の前記クロスオーバー応力は、15~80パスカル(Pa)であ
第1の部分が前記PORTMによって評価されるクロスオーバー応力を含み、前記第1の部分のクロスオーバー応力が10~80Paであり、
前記第2の部分と前記第1の部分の間の、前記クロスオーバー応力の比が3:1~1:3であり、
前記第2の部分が、本明細書に記載されるような分離状被分配製品流動性試験方法(「DDPFTM」)によって評価される速度を含み、前記第2の部分の前記速度が0.25~4cm/分であり、
前記第1の部分が、本明細書に記載されるようなDDPFTMによって評価される速度を含み、前記第1の部分の前記速度が0.25~4cm/分であり、
前記第2の部分と前記第1の部分の間の速度比が3:1~1:3である、
分離状被分配製品。
【請求項2】
前記第1の部分及び前記第2の部分は、それぞれ独立して、構造化剤、ゲルネットワーク、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の分離状被分配製品。
【請求項3】
前記第1の部分及び前記第2の部分のいずれか一方又は両方が、それぞれの前記第1及び第2の部分の重量に対し、0.01%~30%の構造化剤、ゲルネットワーク、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の分離状被分配製品。
【請求項4】
前記第1及び第2の部分はそれぞれ、構造化剤を含み、前記構造化剤は、アルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテル、架橋ポリアクリレート、アクリロイルジメチルタウレートをモノマーとして含む架橋ポリマー、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の分離状被分配製品。
【請求項5】
(i)前記第1の部分が、スキンケア活性物質を含み、前記スキンケア活性物質が、ビタミン若しくはプロビタミンであり、前記第2の部分が、前記第1の組成物よりも低いpHを含むか、又は
(ii)前記第2の部分が、スキンケア活性物質を含み、前記スキンケア活性物質が、ビタミン若しくはプロビタミンであり、前記第1の部分が、前記第2の部分よりも低いpHを含むかのいずれか一方であり、
前記ビタミン又はプロビタミンは、ナイアシンアミドを含み、
前記ビタミン又はプロビタミンを含む前記第1又は第2の部分は、5より大きいpHを含み、
それぞれ第1及び第2の部分よりも低いpHを含む前記第2又は第1の部分は、5以下のpHを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の分離状被分配製品。
【請求項6】
(i)前記第1の部分が、1種以上の塩感受性ポリマー若しくは酸感受性ポリマーを含み、前記第2の部分が、1種以上の塩若しくは酸を含むか、又は
(ii)前記第2の部分が、1種以上の塩感受性ポリマー若しくは酸感受性ポリマーを含み、前記第1の部分が、1種以上の塩若しくは酸を含むかのいずれか一方であり、
前記1種以上の塩感受性ポリマー又は酸感受性ポリマーは、アルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテル、架橋ポリアクリレート、モノマーとしてアクリロイルジメチルタウレートを含む架橋ポリマー、及びこれらの組み合わせを含む群から選択され、
前記1種以上の塩は、α-ヒドロキシ酸及びポリヒドロキシ酸のナトリウム塩、カリウム塩、及び亜鉛塩、サリチル酸のナトリウム塩、ポリヒドロキシ酸のラクトン、並びにこれらの組み合わせを含む群からから選択され、
前記1種以上の酸は、クエン酸、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、グルコン酸、フィチン酸、サリチル酸、n-アセチルグルタミン酸、塩酸、アスコルビン酸、及びこれらの組み合わせを含む群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の分離状被分配製品。
【請求項7】
(i)前記第1の部分が、1種以上の酸性成分を含み、前記第2の部分が、1種以上の塩基性成分を含むか、又は
(ii)前記第2の部分が、1種以上の酸性成分を含み、前記第1の部分が、1種以上の塩基性成分を含むかのいずれか一方であり、
前記1種以上の酸性成分は、クエン酸、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、ヒドロキシ酪酸、グルコン酸、フィチン酸、サリチル酸、n-アセチルグルタミン酸、塩酸、アスコルビン酸、及びこれらの組み合わせを含む群から選択され、
前記1種以上の塩基性成分は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、及びこれらの組み合わせを含む群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の分離状被分配製品。
【請求項8】
前記第1の部分は、DDPFTMによって評価される速度を含み、前記速度は、0.9cm/分~3cm/分未満であり、
任意に、前記第2の部分と前記第1の部分の間の速度比は、2:1~1:2である、請求項1~7のいずれか一項に記載の分離状被分配製品。
【請求項9】
前記第2の部分の前記クロスオーバー応力は、15~50Paであり、
前記第1の部分の前記クロスオーバー応力は、10~50Paであり、
任意に、前記第2の部分と前記第1の部分の間の、前記クロスオーバー応力の比は、2:1~1:2である、請求項1~8のいずれか一項に記載の分離状被分配製品。
【請求項10】
前記第2の部分は、前記第1の部分の最大外周部の55%~100%前記第1の部分を少なくとも部分的に取り囲み、前記最大外周部は、前記第1の部分の最大断面積の周囲に画定された外周部であり、前記最大断面積は、前記分離状被分配製品の平面状接触面と平行な平面内か、又は前記平面状接触面と同一平面内のいずれか一方に存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の分離状被分配製品。
【請求項11】
前記分離状被分配製品の長さは、0.5cm~2.5cmであり、前記長さは、前記分離状被分配製品の平面状接触面に沿って測定された最長寸法であり、
前記分離状被分配製品は、0.2cm~2cmの高さを含み、前記高さは、前記分離状被分配製品の前記平面状接触面に直交する平面において測定され、
任意に、前記分離状被分配製品は、0.5cm~2.5cmの幅を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の分離状被分配製品。
【請求項12】
前記分離状被分配製品の前記長さ対前記高さの比は、5:1~1:2である、請求項11に記載の分離状被分配製品。
【請求項13】
前記第1の部分は、本明細書に記載されるような部分不透明度試験方法(「POTM」)によって評価されるパーセント不透明度を含み、前記パーセント不透明度は、90%~0%であり、
前記第2の部分は、POTMによって評価される前記パーセント不透明度を含み、前記パーセント不透明度は、3%超~100%未満であり、
任意に、前記第1の部分と前記第2の部分との間の前記パーセント不透明度の差は、1%~100%である、請求項1~12のいずれか一項に記載の分離状被分配製品。
【請求項14】
本明細書に記載されるような部分ΔE*試験方法(「PDETM」)によって評価される、前記第1の部分と前記第2の部分との間のΔE*値を更に含み、前記ΔE*値は、35より大きい、請求項1~13のいずれか一項に記載の分離状被分配製品。
【請求項15】
前記第2の部分は、少なくとも部分的に透明であり、前記製品は、パーソナルケア製品である、請求項1~14のいずれか一項に記載の分離状被分配製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には二相製品に関し、特に、パーソナルケアに好適な二相製品に関する。
【背景技術】
【0002】
二相製品は、一般的に知られている。このような製品を分配するための1つの方法は、並列型デュアルディスペンサによるものである。このような製品は、歯科ケア及びスキンケアを含む少なくともいくつかの消費財カテゴリにおいて入手可能である。しかしながら、今日の消費者は、より優れた識別力を有し、特に、市場で入手可能な無数の選択肢が与えられている。これは、消費者が高級な体験を期待している美容ケアなどのカテゴリにおいて特に当てはまる。これらの高級な体験の多くは、自然界を模倣している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、消費者が期待する製品カテゴリの有益な特徴を送達し続けるだけでなく、自然界を模倣する高級な体験をも提供する製品に対する継続的なニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、消費者が期待する利益も提供しながら、自然界を模倣する二相製品を提供することによって、少なくとも部分的にこのニーズに対処する。本発明の一態様は、第1の部分と、第1の部分を少なくとも部分的に取り囲む第2の部分と、を含む、分離状被分配製品を提供する。いくつかの例では、分離状被分配製品は、魚卵(例えば、キャビア、サケの卵など)を模倣し、その結果、高級な、かつ他とは違う提供物のイメージを想起させる。ある例では、第2の透明部分は、非透明な第1の部分を部分的に囲む。別の例では、非透明な第1の部分は赤橙色であり、その結果、サケの卵を模倣している。
【0005】
別の態様は、第1の部分と、第1の部分の最大外周部の少なくとも50%より多く、第1の部分を少なくとも部分的に取り囲む第2の部分と、を含む、分離状被分配製品を提供し、最大外周部は、第1の部分の最大断面積の周囲に画定された外周部であり、最大断面積は、分離状被分配製品の平面状接触面と平行な平面内か、又は平面状接触面と同一平面内のいずれか一方に存在する。
【0006】
別の態様は、第1の部分と、第1の部分を少なくとも部分的に取り囲む第2の部分と、を含む、分離状被分配製品を提供し、第2の部分は、本明細書に記載されるような部分振動レオメトリー試験方法(「PORTM」)によって評価されるクロスオーバー応力を含み、第2の部分のクロスオーバー応力は、10パスカル(Pa)以上である。
【0007】
別の態様は、第1の部分と、第1の部分を少なくとも部分的に取り囲む第2の部分と、を含む、分離状被分配製品を提供し、第2の部分は、少なくとも部分的に透明であり、好ましくは透明である。
【0008】
別の態様は、ディスペンサを提供する。ディスペンサは、第1のリザーバ及び第2のリザーバを含む。第1のリザーバは、第1の組成物を収容し、第2のリザーバは、第2の組成物を収容し、第2の組成物は少なくとも部分的に透明である。第1のリザーバは、第1の出口オリフィスを含む第1の流体チャネルと流体連通している。第2のリザーバは、第2の出口オリフィスを含む第2の流体チャネルと流体連通している。第2の出口オリフィスは、第1の出口オリフィスの周縁部を少なくとも部分的に取り囲む。
【0009】
本明細書に記載される1つの利点は、2つの相の間で非相溶性成分を分離することである。ある例では、ナイアシンアミドなどのスキンケア活性物質を含む第1の組成物であって、第1の組成物は、相対的に中性のpHである、第1の組成物。中性のpHは、活性物質の貯蔵安定性に役立つ。第2の組成物は、相対的に酸性のpHである。第1及び第2の組成物が分配されると、その後、2つの組成物が混合され、結果として、全体的なpHが低下し、その結果、皮膚内及び皮膚上でのナイアシンアミドの有効性を改善するpHを提供する。
【0010】
本明細書は、本発明を特定して指摘し、かつ明確に特許請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は以下の説明によってより深く理解されると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書は、本発明を特定して定義し、かつ明確に特許請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、添付図面の以下の説明からより深く理解されると考えられる。添付の図面において、
図1A】分離状被分配製品の様々な例の上面図である。
図1B】分離状被分配製品の様々な例の上面図である。
図1C】分離状被分配製品の様々な例の上面図である。
図1D】分離状被分配製品の様々な例の上面図である。
図1E】分離状被分配製品の様々な例の上面図である。
図1F】分離状被分配製品の様々な例の上面図である(1Fは比較例である)。
図2A】分離状被分配製品の様々な例の側面図である。
図2B】分離状被分配製品の様々な例の側面図である。
図2C】分離状被分配製品の様々な例の側面図である。
図2D】分離状被分配製品の様々な例の側面図である。
図2E】分離状被分配製品の様々な例の側面図である。
図2F】分離状被分配製品の様々な例の側面図である。
図3】被分配製品の中心軸と第1の部分の中心軸との間の距離を測定する上面図である。
図4】分離状被分配製品を分配することができるノズルを備えるディスペンサの正面図である。
図5A図4のディスペンサと共に使用され得るノズルの例の断面図である。
図5B図4のディスペンサと共に使用され得るノズルの例の断面図である。
図5C図4のディスペンサと共に使用され得るノズルの例の断面図である。
図5D図4のディスペンサと共に使用され得るノズルの例の断面図である。
図6】第2のオリフィスが第1のオリフィスを取り囲んでいる割合を示すノズルの断面図である。
図7A】比較例Iの配合及びデータの表1である。
図7B】比較例Iの配合及びデータの表1である。
図7C】比較例Iの配合及びデータの表1である。
図7D】比較例Iの配合及びデータの表1である。
図7E】比較例Iの配合及びデータの表1である。
図8A】本発明の実施例II及びIIの配合及びデータの表2である。
図8B】本発明の実施例II及びIIの配合及びデータの表2である。
図8C】本発明の実施例II及びIIの配合及びデータの表2である。
図8D】本発明の実施例II及びIIの配合及びデータの表2である。
図8E】本発明の実施例II及びIIの配合及びデータの表2である。
図9A】本発明の実施例IV及びVの配合及びデータの表3である。
図9B】本発明の実施例IV及びVの配合及びデータの表3である。
図9C】本発明の実施例IV及びVの配合及びデータの表3である。
図9D】本発明の実施例IV及びVの配合及びデータの表3である。
図9E】本発明の実施例IV及びVの配合及びデータの表3である。
図10A】消費者選好調査からのサンプルを示す図であり、図10Aは本発明である。
図10B】消費者選好調査からのサンプルを示す図であり、図10Bは比較例である。
図11】第2の部分が図10Bの比較用サンプルの第1の部分の最大外周部を取り囲む割合を示す図である。
図12図10Bの比較用サンプルを製造するために使用される並列型ノズルの断面図である。
図13A】第2の部分が第1の部分の最大外周部を取り囲む割合について評価された分離状被分配製品の図である。
図13B】第2の部分が第1の部分の最大外周部を取り囲む割合について評価された分離状被分配製品の図である。
図14図13Bの分離状被分配製品の割合を算出する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
全ての百分率、部及び比率は、別途指定されない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。列挙されている成分に関するとき、こうした重量は全て、活性レベルに基づき、このため、特に指定されない限り、市販の材料に含まれている可能性のある溶媒又は副生成物を含まない。「重量パーセント」という用語は、本明細書では「重量%」として表示される場合がある。本明細書で使用するとき、全ての分子量は、別途記載のない限り、グラム/モルとして表される重量平均分子量である。
【0013】
本明細書で使用するとき、「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求の範囲において使用されるときは、特許請求されている又は記載されるもののうちの1つ以上を意味するものと理解される。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprise、comprises、comprising)」、「包含する(Include、Includes、Including)」、「含有する(contain、contains、containing)」は、非限定的である、即ち、最終結果に影響を及ぼすことのない他の工程及び他のセクションを加えることができることを意図している。上記用語には、「からなる」及び「から本質的になる」という用語が包含される。
【0015】
本明細書で使用するとき、単語「好ましい」、「好ましくは」、及びその変形は、一定の条件下において一定の利益をもたらす本発明の実施形態に関する。しかしながら、同じ、又は他の状況下においては、他の実施形態が好ましい場合もある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、本発明の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものでもない。
【0016】
本明細書で使用するとき、「口腔ケア」とは、通常の使用過程において、特定の治療剤を全身投与する目的で意図的に嚥下されるものではなく、むしろ、歯の表面又は口腔組織と接触させるように十分な時間にわたって口腔内に保持される組成物を意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、「パーソナルケア」は、哺乳動物の角質組織(例えば、皮膚、毛髪、指爪)の状態を調節するための局所組成物を意味する。
【0018】
本明細書で使用するとき、「スキンケア」は、皮膚の状態を調節すること及び/又は改善することを意味する。いくつかの非限定的な例としては、より滑らかで、より均一な外観及び/又は感触を提供することによって皮膚の外観及び/又は感触を改善すること、皮膚の1つ以上の層の厚さを増加させること;皮膚の弾性又は弾力性を改善すること;皮膚のハリを改善すること;並びに皮膚の脂っぽい、てかてかした、及び/若しくはくすんだ外観を低減し、皮膚の水和状態若しくは保湿を改善し、小皺及び/若しくは皺の外観を改善し、皮膚剥脱若しくは落屑を改善し、皮膚を膨化させ、皮膚バリア特性を改善し、皮膚の色合いを改善し、赤み若しくは皮膚のしみの外観を低減させ、かつ/又は皮膚の明るさ、つや、若しくは透明感を改善することが挙げられる。
【0019】
本明細書で使用するとき、「スキンケア活性物質」は、皮膚に塗布すると、皮膚又は皮膚の中に通常見られる細胞の一種に急性効果及び/又は慢性効果をもたらす化合物又は化合物の組み合わせを意味する。スキンケア活性物質は、肌又はそれに関連する細胞を調節及び/又は改善する(例えば、肌の弾性、肌水分量、肌のバリア機能、及び/又は細胞代謝を改善する)ことができる。
【0020】
分離状被分配製品
本発明の一態様は、分離状被分配製品(又は「分離状被分配製品」と互換的に本明細書において使用される、単に「被分配製品」)を提供する。分離状被分配製品は、第1の部分と、第1の部分を少なくとも部分的に取り囲む第2の部分と、を含む。被分配製品は、美容ケア製品カテゴリ、身だしなみ製品カテゴリ、パーソナルクレンジング製品カテゴリ、布地ケア製品カテゴリ、ホームケア製品カテゴリ、スキンケア製品カテゴリ、口腔ケア製品カテゴリ、食器ケア製品カテゴリ、ヘルスケア製品カテゴリ、ベビーケア製品カテゴリ、女性用ケア製品カテゴリ、及びヘアケア製品カテゴリに適用可能であるが、これらに限定されない。好ましくは、被分配製品は、それぞれの製品カテゴリに利益を提供する1種以上の活性物質を含む。例えば、被分配布地ケア製品は、布地ケア活性物質を含み得る。このような活性物質は、布地洗浄用の界面活性剤を含んでもよい。別の例では、被分配ヘアケア製品は、ヘアケア活性物質を含んでもよい。このような活性物質は、ヘアコンディショニング活性物質を含んでもよい。更に別の例は、スキンケア活性物質を含む被分配スキンケア製品を含んでもよい。更に別の例では、被分配製品は、スキンケア保湿クリームのようなリーブオン製品として、又は洗顔料若しくはシャンプーのようなリンスオフ製品として配合されてもよく、あるいはヘアコンディショナー若しくはスキンマスクのようなリーブオン及びリンスオフの組み合わせとして配合されてもよい。
【0021】
被分配製品は、第1の部分を少なくとも部分的に取り囲む第2の部分を含む。好ましくは、第2の部分は、第1の部分の最大外周部の少なくとも50%より多くを取り囲み、最大外周部は、第1の部分の最大断面積の周囲に画定された外周部であり、最大断面積は、被分配製品の平面状接触面と平行な平面内か、又は平面状接触面と同一平面内のいずれか一方に存在する。次に、被分配製品の平面状接触表面積は、平面状標的表面に接触する部分である。例えば、スキンケア用途のために製造される場合、分離状被分配製品は、スキンケア活性物質を含むことができ、平面状標的表面は、ヒトの手のひら、手のひらの裏側、指又は親指のうちの一方、手首、前腕、前腕の裏側、顔の皮膚などのうちの1つ以上であり得る。分析試験のために、例えば、平面状のLentaカードが、平面状標的表面として機能してもよい。より好ましくは、第2の部分は、第1の部分の最大外周部の55%~100%、更により好ましくは60%~100%、なお更により好ましくは70%~100%を取り囲む。あるいは、第2の部分は、第1の部分の最大外周部の60%~95%、又は70%~80%、又は51%~65%、又は85%~100%、又は90%~98%を取り囲む。非限定的な百分率の例としては、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%、98%、99%、又は100%が挙げられる。これらの百分率はまた、第2の部分が第3の部分及びそれ以降の部分を少なくとも部分的に取り囲む例にも概ね適用可能であり得る。第1の部分を取り囲む第2の部分の割合を評価する1つの方法は、以下の実施例のセクションに記載されている。
【0022】
図1A図1Eは、分離状被分配製品(それぞれ1、201、301、401、501)の様々な例の上面概略図である。図1A図1Eでは、第2の部分(3、203、303、403、503)は、第1の部分(それぞれ5、205、305、405、505、605)の最大外周部の少なくとも50%より多くを取り囲んでいる。図1A図1Eに示すように、第1の部分のサイズ及び場所は、(第2の部分に対して)多様であってもよい。図1Fは、分離状被分配製品(601)の比較例の上面概略図である。第2の部分(603)及び第1の部分(605)は、古典的な並列型ディスペンサから分配されるように本質的に互いに隣り合っている。
【0023】
分離状被分配製品の全体形状
好ましくは、被分配製品は、略半球形状、好ましくは圧縮された略半球形状を含む。ある例では、第1の部分は、概ね略球形状、好ましくは、概ね細長い略球形状を含む。別の例では、第1の部分(又は第3の部分及びそれ以降の部分)は、少なくとも部分的に、好ましくは第2の部分の中で完全に浮いている。
【0024】
分離状被分配製品の寸法
被分配製品の全体寸法、体積、及び質量は、製品カテゴリ及び提供される利益に依拠することとなる。明確さのために、以下は、リーブオンスキンケア用途のための被分配製品の例の全体寸法、体積、及び質量の説明である。しかしながら、当業者であれば、用途及び被分配製品によって提供される利益に応じて、被分配製品を適切により大きく又はより小さくすることができる。好ましくは、スキンケア用途では、被分配製品の長さは、0.5cm~2.5cm、好ましくは1cm~2cmであり、長さは、被分配製品の平面状接触面に沿って測定される最長寸法である。長さの非限定的な例としては、0.75cm、1.5cm、又は2cmが挙げられる。平面状接触面という用語は、被分配製品が平面状標的表面と接触する部分である。ある例では、平面状標的表面は、分離状被分配製品の塗布の処理を必要とする表面である。ほとんどの技術的評価のために、平坦なLenetaカード(Opacity Card Form 2A,Leneta Company,Inc(Mahwah,NJ,USA)、以下、「Lenetaカード」又は等価物と称する)を平面状標的表面として使用してもよい。好ましくは、被分配製品は、0.2cm~2cm、好ましくは0.5cm~1cmの高さを含み、高さは、被分配製品の平面状接触面に直交する平面で測定される。高さの非限定的な例としては、0.3cm、0.5cm、又は0.7cmが挙げられる。好ましくは、被分配製品は、幅0.5cm~2.5cm、好ましくは幅1cm~2cmを含み、幅は、長さに対して90度で測定される。幅の非限定的な例としては、0.8cm、1.5cm、又は1.7cmが挙げられる。好ましくは、被分配製品は、4:1~1:1、好ましくは3:1~1:1、より好ましくは2:1~1:1の長さと幅の比を有する。好ましくは、被分配製品は、5:1~1:2、好ましくは3.75:1~0.9:1、より好ましくは3:1~0.9:1の長さ対高さの比を有する。
【0025】
図2A図2Fは、分離状被分配製品(それぞれ11、211、311、411、511、611)の様々な例の側面概略図である。図2A図2Fでは、第2の部分(それぞれ13、213、313、413、513、613)は、第1の部分(15、215、315、415、515、615)の最大外周部の少なくとも50%より多くを取り囲んでいる。これらの図に示されるように、第1の部分のサイズ及び場所は、(第2の部分に対して)多様であってもよい。図2Eは、比較的大きい高さに対する長さの比を有する被分配製品(511)の一例であり、図2Fは、比較的小さい高さに対する長さの比を有する被分配製品(611)である。
【0026】
第1の部分の寸法について説明する。第1の部分の長さは、0.1cm~2cm、好ましくは0.2cm~1cmである。この長さの非限定的な例は、0.1、0.2、0.5又は0.7cmである。第1の部分の長さは、第1の部分の最大断面積の最長寸法として測定され、最大断面積は、被分配製品の平面状接触面と平行な平面内か、又は平面状接触面と同一平面内のいずれか一方に存在する。好ましくは、第1の部分の高さは、0.1cm~1.25cm、好ましくは0.2cm~1cmであり、第1の部分の高さは、被分配製品の平面状接触面に直交する平面において測定される。この高さの非限定的な例は、0.1、0.2、0.5又は0.7cmである。好ましくは、第1の部分の幅は、0.1cm~1.25cm、好ましくは0.2cm~1cmであり、第1の部分の幅は、第1の部分の長さ及び第1の部分の最大断面積の長さに対して90度で測定される。この幅の非限定的な例は、0.1、0.2、0.5、又は0.7cmである。
【0027】
図3は、分離状被分配製品(21)の上面概略図であり、被分配製品の中心軸(29)と第1の部分の中心軸(28)との間の距離「D」(27)は、分離状被分配製品の長さの50%未満である(「長さ」は上記で定義されている)。第2の部分(25)は、第1の部分(23)の最大外周部の少なくとも50%より多くを取り囲んでいる。被分配製品の中心軸が定義される。被分配製品は、被分配製品の平面状接触面に被分配製品の重心を含む。被分配製品の中心軸は、被分配製品の重心を通って延在し、被分配ケア製品の平面状接触面に直交する。第1の部分の中心軸が定義される。第1の部分は、第1の部分の最大断面積上の第1の部分の重心及び第1の部分の中心軸を含む。最大断面積は、被分配製品の平面状接触面と平行な平面内か、又は平面状接触面と同一平面内のいずれか一方に存在する。第1の部分の中心軸は、第1の部分の重心を通って延在し、被分配製品の平面状接触面に直交する。好ましくは、被分配製品の中心軸と第1の部分の中心軸との間の距離は、分離状被分配製品の長さの40%未満から、好ましくは長さの30%未満、より好ましくは長さの15%未満である。非限定的な例は、長さの40%未満、30%未満又は15%未満である。
【0028】
分離状被分配製品の体積及び質量、並びに第1及び第2の部分について説明する。第1の部分と第2の部分の体積比は、1:10~2:1、好ましくは1:5~1:1、より好ましくは1:4~1:2、更により好ましくは1:3である。好ましくは、第1の部分及び第2の部分の体積は、それぞれ独立して、0.05mL~1.5mL、より好ましくは0.075mL~1.0mL、更により好ましくは0.1mL~0.5mLから選択される。この体積の非限定的な例は、0.08mL、0.1mL、0.15mL、0.2mLである。好ましくは、被分配製品の総体積は、0.1mL~3mL、より好ましくは0.15mL~2mL、更により好ましくは0.2mL~1mLである。この総体積の非限定的な例は、0.1mL、0.2mL、0.3mL、0.4mL、0.5mL、1.5mL、2mL、又は2.5mLである。第1の部分と第2の部分の質量比は、1:10~2:1、好ましくは1:5~1:1、より好ましくは1:4~1:2、更により好ましくは1:3である。好ましくは、第1の部分及び第2の部分の質量は、それぞれ独立して、0.05g~1.5g、より好ましくは0.075g~1g、更により好ましくは0.1g~0.5gから選択される。この質量の非限定的な例は、0.08g、0.1g、0.15g、0.2g、又は0.3gである。好ましくは、被分配製品の総質量は、0.1g~3g、より好ましくは0.15g~2g、更により好ましくは0.2g~1gである。この総質量の非限定的な例は、0.1g、0.2g、0.3g、0.4g、0.5g、0.7g、1g、1.5g、1.7g、又は1.9gである。
【0029】
ある例では、分離状被分配製品はシャンプーであり、合計質量は3g~15g、好ましくは9g~13gである。別の例では、分離状被分配製品は、スキンケアマスクであり、総質量は5g~15g、好ましくは8g~12gである。別の例では、分離状被分配製品は、口腔ケア製品であり、総質量は1g~3gであり、好ましくは、口腔ケア製品は歯磨剤である。
【0030】
成分
第1及び第2の組成物の配合成分について説明する。例の多くは、スキンケア用途に関するものである。しかしながら、当業者は、製品が重点を置く分野に応じて、第1及び第2の組成物を適切に配合してもよい。これらの成分としては、構造化剤、ゲルネットワーク、着色剤、乳白剤、及び好ましい活性物質が挙げられる。用語「第1の組成物」及び「第2の組成物」が使用されているが、用語「第1の部分」及び「第2の部分」がそれぞれ互換可能である。
【0031】
構造化剤
本発明の第1及び第2の組成物は、粘度を高める、濃化する、凝固するために、又は組成物に固体構造若しくは結晶構造をもたらすために使用され得る構造化剤を含んでもよい。構造化剤は典型的には、溶解性、分散性、又は相適合性に基づきグループ化される。水性構造化剤又は水構造化剤の例としては、高分子剤、天然又は合成ゴム、多糖類等が挙げられる。好適な部類の構造化剤としては、カルボン酸ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、スルホン化ポリマー、これらのコポリマー、これらの疎水変性誘導体、ゴム、セルロース、超吸収性ポリマー、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、各組成物は、それぞれの組成物の重量に対し、0.0001%、0.001%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、5%~25%、20%、10%、7%、5%、4%、又は2%の1種以上の構造化剤を含んでもよい。好適な多糖類としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテルなどのアルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテルが挙げられる。この材料は、Daido Chemical Corp製の商標名Sangelose 60L及びSangelose 90Lで販売されている。好適なポリマーとしては、例えば、Seppic製の商標名Sepimax Zenで販売されている、ポリアクリレート6クロスポリマーなどの架橋ポリアクリレートが挙げられる。別のポリマーとしては、モノマーが、例えば、Clariant製の商標名Aristoflex Silkで販売されている、例えば、ポリアクリロイルジメチルタウリンナトリウムなどのアクリロイルジメチルタウレートモノマーから少なくとも部分になる架橋ポリマーが挙げられる。
【0032】
用語「超吸収性ポリマー」は、乾燥状態において、自重の少なくとも20倍の水性流体、具体的には水、特に蒸留水を自発的に吸収することができるポリマーを意味すると理解される。
【0033】
油性構造化剤の例としては、シリコーン及び有機系材料が挙げられる。油性構造化剤の好適な範囲は、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2.5%、5%、又は10%~30%、25%、20%、15%、10%、又は5%である。好適な油相構造化剤は、シリコーンエラストマー、シリコーンガム、シリコーンワックス、シリコーンの油相の粘度を増加させる重合度を有する直鎖状シリコーンなどのシリコーン系であってもよい。シリコーン構造化剤の例としては、シリコーンエラストマー、シリコーンガム、及びシリコーンワックスが挙げられるがこれらに限定されない。
【0034】
いくつかの例では、第1の組成物又は第2の組成物はそれぞれ、比較的高い度合の水を有してもよい。このような例では、第2の組成物は、第2の組成物の重量に対して、少なくとも60%、好ましくは70%~90%、より好ましくは75%~85%の水を含んでもよい。別の例では、第1の組成物は、第2の組成物の重量に対して、少なくとも60%、好ましくは70%~90%、より好ましくは75%~85%の水を含んでもよい。更に別の例では、第1及び第2の組成物の両方がこのような比較的高い度合の水を有する。
【0035】
構造化剤の更なる詳細は、米国特許第9,271,912(B2)号において、コラム47、28行~コラム51、49行に記載されている。
【0036】
ゲルネットワーク
本明細書における組成物は、それぞれ独立してゲルネットワークを含んでもよい。「ゲルネットワーク」は、疎水性構造化剤及び非イオン性親水性界面活性剤から構成される。これらの個々の成分の好ましい濃度は以下に指定されるが、組成物の総ゲルネットワーク部分は、その個々の成分とは別に制限される。好ましい組成物は、それぞれの組成物の重量に対して、1%~20%、より好ましくは1%~10%、最も好ましくは2%~9%の合計1種以上の構造化剤及び非イオン性親水性界面活性剤を含む。
【0037】
好ましくは、各組成物は、飽和C16~C30脂肪族アルコール、約1~約5モルのエチレンオキシドを含有する飽和C16~C30脂肪族アルコール、飽和C16~C30ジオール、飽和C16~C30モノグリセロールエーテル、飽和C16~C30ヒドロキシ脂肪酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される、10重量パーセント以下、より好ましくは5重量パーセント以下の、疎水性構造化剤を含み、疎水性構造化剤は、少なくとも約40℃の融点を有する。好ましくは、各組成物は、飽和C16~C30脂肪族アルコール、約1~約5モルのエチレンオキシドを含有する飽和C16~C30脂肪族アルコール、飽和C16~C30ジオール、飽和C16~C30モノグリセロールエーテル、飽和C16~C30ヒドロキシ脂肪酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも1重量%、更により好ましくは少なくとも2重量%、なおより好ましくは少なくとも3重量%の、疎水性構造化剤を含み、疎水性構造化剤は、少なくとも約40℃の融点を有する。理論に束縛されるものではないが、これらの構造化剤は、本発明の組成物の加水分解安定性に寄与する組成物のレオロジー特性の形成を補助するのに有用であると考えられる。特に、構造化剤は、液晶ゲルネットワーク構造の形成を補助する。
【0038】
本発明の好ましい構造化剤は、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアリン酸、パルミチン酸、平均1~5個のエチレンオキシド単位を有するステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、平均1~5個のエチレンオキシド単位を有するセチルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。本発明のより好ましい構造化剤は、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、平均約2個のエチレンオキシド単位を有するステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル(ステアレス-2)、平均約2個のエチレンオキシド単位を有するセチルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、及びこれらの混合物から選択される。更により好ましい構造化剤は、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアレス-2、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0039】
親水性界面活性剤について説明する。本発明の組成物は、2重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5%以下の少なくとも1種の親水性界面活性剤を含む。理論に束縛されるものではないが、親水性界面活性剤は、水相中に疎水性材料、即ち、構造化剤を分散させると考えられる。界面活性剤は、少なくとも、水に分散するのに十分に親水性でなければならない。
【0040】
選択される正しい界面活性剤は、組成物のpH及び存在する他の成分に依拠することとなる。本明細書で使用するのに好ましい界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。本明細書で有用な非イオン性界面活性剤には、長鎖アルコール、例えば、C8~C30アルコールと、糖又はデンプンポリマーとの縮合生成物、即ち、グルコシドとして広く定義され得るものがある。これらの界面活性剤の市販の例としては、デシルポリグルコシド(HenkelからAPG 325 CSとして入手可能)及びラウリルポリグルコシド(HenkelからAPG 600 CS及び625 CS)として入手可能)が挙げられる。他の有用な非イオン性界面活性剤としては、ソルビトールと脂肪酸との縮合生成物が挙げられ得る。非限定的な例としては、Tween、Span、及びポリソルベートが挙げられる。他の有用な非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(即ち、脂肪酸のアルキレンオキシドエステル)、アルキレンオキシドと2モルの脂肪酸との縮合生成物(即ち、脂肪酸のアルキレンオキシドジエステル)、アルキレンオキシドと脂肪族アルコールとの縮合生成物(即ち、脂肪族アルコールのアルキレンオキシドエーテル)、アルキレンオキシドと脂肪酸及び脂肪族アルコール両方の縮合生成物[即ち、ポリアルキレンオキシド部分は、その一端で脂肪酸でエステル化され、もう一方の端で脂肪族アルコールでエーテル化(即ちエーテル結合を介して結合)される]、及びポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤が挙げられ得る。他の非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、ステアレス-21、セテアレス-20、セテアレス-12、Tween-60、Tween-80、ヤシ脂肪酸スクロース、ステアレス-100、PEG-100ステアレート、PEG-1000ステアレート及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0041】
ある例では、第1の組成物及び第2の組成物はそれぞれ独立して、構造化剤、ゲルネットワーク、及びこれらの組み合わせを含み、好ましくは構造化剤を含み、より好ましくは、第1及び第2の組成物はそれぞれ構造化剤を含む。好ましくは、構造化剤は、アルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテル、架橋ポリアクリレート、モノマーとしてアクリロイルジメチルタウレートを含む架橋ポリマー、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0042】
視覚的に区別可能な部分
好ましくは、第1及び第2の組成物は、互いに視覚的に区別可能なそれぞれの第1及び第2の部分を提供する。着色剤及び乳白剤の使用は、この効果を提供するように説明される。好ましくは、少なくとも第1の組成物は、そのような着色剤又は乳白剤を含む(より好ましくは、第2の組成物は、少なくとも部分的に透明であり、更により好ましくは透明である)。ある例では、第2の組成物は、着色剤及び乳白剤を含まない。
【0043】
色及び不透明度は、1種以上の不透明化粒子材料及び/又は1種以上の着色剤によって提供されてもよい。例示的な不透明化粒子材料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウムなどが挙げられる。二酸化チタンは、特に好適な不透明化粒子材料である。
【0044】
好適な着色剤の非限定的な部類としては、有機及び/又は無機顔料、雲母、真珠光沢剤干渉顔料、天然及び/又は合成染料(例えば、水溶性、非可溶性、油溶性を含む)、カルミン、天然着色剤、FD&Cレーキ及び/又はD&Cレーキ並びにブレンドを含むレーキ、並びにこれらのいずれかの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
好適な着色剤の更なる非限定的な例としては、酸化鉄、フェロシアン化第二鉄アンモニウム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、並びに酸化クロム、フタロシアニンブルー及びグリーン顔料、カプセル化染料、並びにこれらの混合物が挙げられる。好ましい染料としては、赤色40号及び33号、並びに黄色5号が挙げられる。雲母の存在もまた好ましい。
【0046】
スキンケア製品
好ましい例では、分離状被分配製品は、被分配スキンケア製品である。したがって、本明細書における第1又は第2の組成物は、研磨剤、吸収剤、芳香剤、抗にきび剤、抗ケーキング剤、消泡剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗酸化剤、結合剤、緩衝剤、嵩高剤、キレート剤、着色剤、化粧料収れん剤、化粧品殺生物剤、変性剤、薬物収れん剤、外用鎮痛剤、被膜形成剤、乳白剤、pH調整剤、植物誘導体、植物エキス、植物組織抽出物、植物種子抽出物、植物油、植物、植物抽出物、防腐剤、噴射剤、還元剤、皮脂制御剤、封鎖剤、皮膚漂白剤、皮膚コンディショニング剤(例えば、保湿剤及び閉塞剤)、及び皮膚保護剤を含むこれらの機能性部類からの成分のうちの1種以上を含み得る。特に好ましいスキンケア活性物質としては、ビタミンB3化合物(例えば、ナイアシンアミド)及びガラクトミセス発酵濾液(INCI:ガラクトミセス培養液、例えば、PITERA(登録商標)が挙げられる。Kashiwayamaから入手可能なSK-IIPitera。スキンケア活性物質は、米国特許出願公開第2016/0374933(A1)号段落81~104に記載されている。例えば、各組成物は、それぞれの組成物の重量に対し、0.0001%、0.001%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、5%、50%、80%、95%~50%、25%、20%、10%、7%、5%、4%、又は2%の1種以上の成分を独立して含んでもよい。
【0047】
非相溶性成分
例は、安定性に役立つように、非相溶性成分を、それぞれの第1及び第2の組成物に分離することを含んでもよいが、投与時に組み合わされて、利益がもたらされる。一般に、これらの反応は、メイラード反応、酸化還元反応、塩及びポリマー反応からの不要な粘度の変化、触媒、pH依存性活性物質、吸熱反応、発熱反応、親水性相対親水性相の相互作用、色シフトなどに関わる反応物質を分離することを含んでもよい。非相溶性成分を分離する好ましい例としては、より低いpH条件から特定のビタミン及びプロビタミン(例えば、ナイアシンアミド)を分離して、劣化を止めさせることを含む。したがって、一方の組成物は、比較的中性のpH下でビタミン/プロビタミンを含む一方で、他方の組成物は比較的低いpHである。これは、ビタミン/プロビタミンの貯蔵安定性に役立つこととなる。組成物を投与して分離状被分配組成物を形成すると、ビタミン/プロビタミンは、低めのpHの組成物と相互作用することができる。例えば、ナイアシンアミドの技術的な恩恵は、低めのpHで送達されると劇的に増加することが報告されている。ある例では、一方の組成物は、pH5以下である一方、他方の組成物はpH5を超える。好ましくは、一方の組成物は、2.5~5、又は3~4のpHを有する一方、他方の組成物は、5より大きく8以下、又は5.5~7のpHを有する。別の例では、2つの組成物のpHの差は、少なくとも1pH値、又は少なくとも2pH値、又は少なくとも3pH値である。
【0048】
ある例では、分離状被分配製品は、(i)第1の部分がビタミン若しくはプロビタミンを含み、第2の部分が第1の組成物よりも低いpHを含むか、又は(ii)第2の部分がビタミン若しくはプロビタミンを含み、第1の部分が第2の部分よりも低いpHを含むかのいずれか一方である。好ましくは、ビタミン又はプロビタミンはナイアシンアミドを含む。より好ましくはビタミン又はプロビタミンを含む第1又は第2の部分は、5より大きいpH、好ましくは5より大きく8以下のpHを含む。更により好ましくは、それぞれ第1及び第2の部分よりも低いpHを含む第2の部分又は第1の部分は、5以下のpH、好ましくは2.5~5のpHを含む。
【0049】
スキンケア製剤を製造する当業者は、第1及び第2の組成物の所望のpHを達成するために、好適なpH調整剤が使用され得ることを理解するであろう。例えば、pHを低下させる(即ち、組成物をより酸性にする)ために、ヒドロキシ酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、β-ヒドロ酸、サリチル酸、ラクトビオン酸、グルコン酸、アセチル及び無機酸などの酸性pH調整剤を使用してもよい。好ましい酸性pH調整剤としては、乳酸、グルコン酸、又はこれらの組み合わせが挙げられ得る。例えば、pHを上昇させる(即ち、組成物をより塩基性にする)ために、TEA(トリメチルアミン)、NaOH、又はこれらの組み合わせのような塩基性pH調整剤を使用してもよい。
【0050】
レオロジー特性
分離状被分配製品の第1の部分及び第2の部分の流動性及びクロスオーバー応力のレオロジー特性を説明する。第1の部分及び第2の部分の速度は、以下の実施例のセクションに記載されるように、分離状被分配製品流動性試験方法(「DDPFTM」)によって評価される。好ましくは、第2の製品又は第1の製品のいずれか一方のこの速度は、0cm/分~4cm/分、好ましくは0~3cm/分、より好ましくは0~2.25cm/分、更により好ましくは0~1cm/分(cm/min)である。速度の非限定的な例は、0.5、0.8、1、1.5、2、又は2.25cm/minである。このような低速である第1及び第2の部分を含む分離状被分配製品の1つの利点は、被分配製品が分配された後に、その分配された形状を実質的に保持するのに役立つことである。ある例では、第2の部分と第1の部分との間の速度比は、4:1~1:4、好ましくは3:1~1:3、より好ましくは2:1~1:2である。この速度比の非限定的な例としては、3:1、2:1、1:1、又は1:2が挙げられる。
【0051】
クロスオーバー応力について説明する。分離状被分配製品のそれぞれの部分(第1の部分又は第2の部分)は、以下の実施例のセクションに記載されるように、部分振動レオメトリー試験方法(「PORTM」)によって評価されるクロスオーバー応力を含む。好ましくは、第2の部分は、10パスカル(Pa)以上、好ましくは10Pa~120Pa、より好ましくは10~80Pa、更により好ましくは15~50Paのクロスオーバー応力を含む。第2の部分のクロスオーバー応力の非限定的な例は、15、25、又は40Paである。好ましくは、第1の部分は、5Pa以上、好ましくは5~120Pa、より好ましくは5~80Pa、更により好ましくは10~50Paの、PORTMによって評価されるクロスオーバー応力を含む。第1の部分のクロスオーバー応力の非限定的な例は、15、25、又は40Paである。このようなクロスオーバー応力を有する第2の部分の1つの利点は、分離状被分配製品が分配された後に、その分配された形状を実質的に保持することである。このようなクロスオーバー応力を有する第2の部分の別の利点は、第1の部分が被分配製品内で区別可能であることである。このようなクロスオーバー応力を有する第1の部分の1つの利点は、分離状被分配製品が分配された後に、その分配された形状を実質的に保持することである。
【0052】
ある例では、第2の部分と第1の部分の間のクロスオーバー応力の比は、4:1~1:4、好ましくは3:1~1:3、より好ましくは2:1~1:2である。このクロスオーバー応力の比の非限定的な例としては、1:3、1:2、1:1、又は2:1が挙げられる。第1及び第2の部分が説明されているが、本方法はまた、当然のことながら、第1及び第2の組成物にも適用されるであろう。
【0053】
コントラスト
パーセント不透明度及びΔE値のコントラスト特性を説明する。分離状被分配製品のそれぞれの部分は、以下の実施例のセクションに記載されるように、部分不透明度試験方法(「POTM」)によって評価されるパーセント不透明度を有す。好ましくは、第1の部分は、100%~0%、好ましくは90%~0%、より好ましくは60%~0%のパーセント不透明度を有す。第1の部分のこのパーセント不透明度の非限定的な例は、50%、60%、70%、又は80%である。好ましくは、第2の部分は、POTMによって評価されるパーセント不透明度を有し、0%~90%、好ましくは0%~80%、より好ましくは0%~60%、更により好ましくは0%~10%である。第2の部分のこのパーセント不透明度の非限定的な例は、5%、10%、15%、20%、25%である。記載されるパーセント不透明度値の1つの利点は、第1の部分が部分的に透明な第2の部分と視覚的に区別可能であることである。したがって、更に他とは違い、かつ高級な被分配製品の外観をもたらす。
【0054】
ある例では、第1の部分は、第2の部分よりも高いパーセント不透明度を有し、第1の部分と第2の部分との間の差は、15%~100%、好ましくは25%~100%、より好ましくは50%~100%である。第1の部分と第2の部分との間のこのパーセント不透明度の差の非限定的な例は、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%である。第1の部分と第2の部分との間の高いパーセント不透明度の差の1つの利点は、部分間の大きなΔEがなかったとしても、それらの部分が区別可能であることである。
【0055】
分離状被分配製品の第1の部分及び第2の部分は、以下の実施例のセクションに記載されるように、部分ΔE試験方法(「PDETM」)によって評価されるΔE値を含む。好ましくは、このΔE値は、5より大きい、好ましくは35より大きい、より好ましくは35~200、更により好ましくは35~150、なお更に好ましくは50~120である。このΔE値の非限定的な例は、30、50、60、70、80、90、100、110である。記載されるΔE値の1つの利点は、第1の部分と第2の部分との間の顕著性を増大させることである。
【0056】
ある例では、被分配製品の第2の部分は、少なくとも部分的に透明であり、好ましくは透明である。本明細書で使用するとき、「透明」は、認識可能な散乱を伴わずに光を透過する特性を有するので、背後に位置する物体が明瞭に見えることを意味する。好ましくは、第1の部分は、透明ではなく、好ましくは、第1の部分は、不透明であり、より好ましくは不透明であり、着色剤を有する。好ましくは、着色剤は、赤色、黄色、オレンジ色、ピンク色、又はこれらの組み合わせから選択される。この例の1つの利点は、一部の消費者にとって高級なイクラに似ていることである。
【0057】
ディスペンサ
本発明と適合性のある分配システム、好ましくは二重分配システムの例としては、(限定するものではないが)デュアルチャンバチューブ若しくはボトル又は折り畳み式壁(デラミボトル若しくはピストンのいずれか一方)を用いる折り畳み式リザーバを有するエアレスチャンバ又は製品を引き出すために浸漬チューブを用いるチャンバ又はこれらの組み合わせが挙げられる。図4を参照すると、ディスペンサ(31)は、第1のリザーバ(37)及び第2のリザーバ(39)を備える。第1のリザーバ(37)は、第1の組成物(図示せず)を収容し、第2のリザーバ(39)は、第2の組成物(図示せず)を収容する。好ましくは、第1及び第2の組成物は、少なくとも部分的に透明であり、より好ましくは透明である。第1のリザーバは、第1の出口オリフィスを備える第1の流体チャネルと流体連通し、第2のリザーバは、第2の出口オリフィスを備える第2の流体チャネルと流体連通している。第2の出口オリフィスは、第1の出口オリフィスの外周部を少なくとも部分的に取り囲む。第1及び第2の出口オリフィスは、ノズル(41)内に位置付けられている。図4を参照すると、ディスペンサ(31)は、ノズル(41)を介して分離状被分配製品を分配するように構成されている。様々なノズルの断面図は、(以下で更に詳細に論じられる)図5A図5Dにおいて提供される。
【0058】
第1の組成物を分配することは、第1の部分をもたらし、第2の組成物を分配することは、第2の部分をもたらす。これらの組成物は、ディスペンサから同時に、又は略同時に分配されて、分離状被分配製品をもたらす。ディスペンサは、第1のリザーバに関連付けられた第1のポンプと、第2のリザーバに関連付けられた第2のポンプと、を有してもよい。両方のポンプは、好ましくは単一の押しボタンによって一緒に作動可能である。図4を参照すると、この押しボタン(35)の例が、ディスペンサ(31)の上部に示されている。プッシュボタンは、作動ロッドに動作可能に接続している。ディスペンサが1回作動する手の動作で分配可能である総体積/総質量は、分離状被分配製品について前述したような総体積/総質量を含んでもよい。ポンプは、互いに対して異なる開始時間/終了時間、流量、又は押しのけ容積を有することにより、ストローク終端まで作動させたときに、それぞれの第1及び第2の組成物の異なる体積を分配するように構成されてもよい。それにもかかわらず、好ましくは、2つの作動ロッドの作動力は、実質的に同一又は完全に同一である。ある例では、国際公開第2017/042492(A1)号は、第1及び第2のポンプが、異なる長さのストロークで軸方向に移動可能であるそれぞれの作動ロッド、即ち、長いストロークを有する第1の作動ロッドと、短いストロークを有する第2の作動ロッドと、を備えることを特徴とする、デュアルディスペンサについて記載している。したがって、異なる量のそれぞれの組成物が分配される。ある例では、第1のポンプは、浸漬チューブ型ポンプであり、第2のポンプは、エアレス型ポンプである。別の例では、第1及び第2のポンプの両方は、浸漬チューブ型ポンプ又はエアレス型ポンプのいずれか一方である。更に別の例では、第1のポンプは、エアレス型ポンプであり、第2のポンプは、浸漬チューブ型ポンプである。好ましい例では、ポンプは、それぞれのリザーバから第1及び第2の組成物を排出するために必要なエネルギーを提供する押しボタンによって作動可能である。即ち、デュアルディスペンサは、手で駆動される。ユーザは、最良の結果のために、ポンプを完全なストロークで分配するように促されるべきである。これは、フィードバック機構(視覚、音、触覚など)を用い、かつ作動させる力を十分に小さく保つ使用方法によって達成されてもよい。好ましくは、ポンプ(複数可)を作動させるピーク力は、45N未満、より好ましくは35N未満、更により好ましくは25N未満、あるいは、45N~10Nであるべきである。ピーク力の非限定的な例としては、15N、17N、20N、23N、25N、又は27Nが挙げられる。
【0059】
出口チャネルは、単一のノズル内に一緒に位置付けられている。ノズルは、収束出口チャネルの外側部分である。第1の組成物及び第2の組成物は、互いにそれぞれの第1及び第2の出口オリフィスを出た後になって初めて接触することが非常に好ましい。したがって、第1の出口オリフィス及び第2の出口オリフィスは、同一平面上にあることが好ましい。これは、投与中の第1及び第2の組成物の早期のクロスコンタミネーションのリスクを最小限に抑えるのに役立つ。
【0060】
図5A図5Dを参照すると、様々なノズル(それぞれ41、141、241、341)の断面図である。図5A図5Dの第1の出口オリフィス(それぞれ43、143、243、343)は、中央に位置する。図5A図5Dの第2の出口オリフィス(それぞれ44、144、244、344)は、第1の出口オリフィスの外周部を少なくとも部分的に取り囲む。図5Aでは、第2の出口オリフィスは、第1の出口オリフィスの外周部を完全に取り囲む。即ち、第2の出口オリフィスは、第1の出口オリフィスを同心円状に取り囲む。図5Bでは、第2の出口オリフィスは、第1の出口を完全に取り囲んではいない。図6は、図5Bのノズルの同じ断面図であるが、第2の出口オリフィス(54)が第1の出口オリフィス(53)の外周部を取り囲む割合を説明するための角度θ(57)を示す。中心軸(56)は、第1の出口オリフィスの重心と交差し、断面平面に垂直である。角度θは、中心軸(56)を中心として測定される。図6では(それ故に、図5Bと同様に)、第2の出口オリフィス(54)は、第1の出口オリフィス(53)の外周部の88%を取り囲む。この同じアプローチを図5Cに適用すると、第2の出口オリフィス(244)は、第1の出口オリフィス(243)の外周部の50%を取り囲む。ある例では、第2の出口オリフィスは、第1の出口オリフィスの外周部の25%、好ましくは少なくとも40%を部分的に取り囲む。この割合の非限定的な例としては、10%、25%、40%、60%、80%、又は90%が挙げられ得る。
【0061】
図5Dは、隔壁(345、347A、347B)の存在を除いて、図5Aと類似のノズル(341)の断面図である。外側上部隔壁(347A)及び外側下部隔壁(347B)は、第2の出口オリフィスを、等しく寸法設定された左の第2の出口オリフィス(344A)及び右の第2の出口オリフィス(344B)に分割する。左右の第2の出口オリフィス(344A、344B)は、(隔壁(347)の存在を除いて)第1の出口オリフィス(343A、343B)の外周部を完全に取り囲む。第1の出口オリフィスはまた、内側隔壁(345)によって、等しく寸法設定された左の第1の出口オリフィス(343A)及び右の第1の出口オリフィス(343B)に分割される。隔壁は、特に、より大量の被分配製品を分配するときに、第1の出口オリフィスへの安定性が高いこと、又は分離状被分配製品に固有の構造/形状をもたらすこと、を含む利点を提供することができる。ある例では、隔壁は、第1の出口オリフィス、又は少なくとも部分的に第2の出口オリフィス、あるいは第1の出口オリフィス及び少なくとも部分的に第2の出口オリフィスの両方を分割する。
【0062】
内側の第1のオリフィス(複数可)及び取り囲む第2のオリフィス(複数可)の横断面積を変化させることは、分配後ドローリングのレベル及び作動する力に影響を及ぼす場合がある。1つのチャネルの横断面積が小さすぎる場合、作動する力が、過度に増大する場合がある。反対に、横断面積が大きすぎる場合、製品の外観は、一貫性が小さくなるように開始する場合があり、また、ユーザは、かなりの量の分配後ドローリングを経験する場合がある。分配の他の変数を制御する(例えば、実施例のセクションに記載される制御された投与方法を使用すると、内側のオリフィス(複数可)の総横断面積は、1mm~5mm、又は2~3.5mmである。外側の取り囲むオリフィス(複数可)の総横断面積は、10mm~50mm、又は20mm~40mm、又は25mm~37mm、又は29mm~35mmである。ある例では、参照図5Aでは、内側のオフィス(43)の総横断面積は、2.78mmであり、外側の取り囲むオリフィス(44)の総横断面積は、31.72mmである。
【0063】
理論に束縛されるものではないが、それぞれの出口オリフィスからの流量が類似するように、第1の出口オリフィス及び第2の出口オリフィスの横断面が最適化されるときに、最良の分配結果をもたらすことを見出した。これは、第1及び第2の組成物の同時分配を確実にする。例えば、それぞれの出口オリフィスが同様の断面を有することが好ましいのは、分配される第1及び第2の組成物が、同等の流動粘度を有する場合、分配流体チャネルが同様の抵抗を提供する場合、及びディスペンサが同様のストローク/投与量の弁に作用する場合である。しかしながら、例に記載される審美性のうちの一部を達成するために、それぞれの出口の横断面積の異なる比率を使用することが有利であり得る。これは、それぞれの分配チャネルから出る流れを段階的に減らすことが好ましく、更に場合によっては、異なるポンプ比を使用しても、好ましい場合があるためである。ある例では、第1の出口オリフィスの横断面積と第2の出口オリフィスの横断面積の比は、1:5~1:20、好ましくは1:8~1:15、より好ましくは1:9~1:13である。好ましくは、デュアルディスペンサは、スキンケア用デュアルディスペンサである。
【実施例
【0064】
配合例
図7A図7Eは、比較例I1の配合及びデータの表1である。図8A図8Eは、本発明の実施例II及びIIの配合及びデータの表2である。図9A図9Eは、本発明の実施例IV及びVの配合及びデータの表3である。全ての部分の成分は、均質かつ均一な(可視塊を含まない)組成物が得られるまで共に混合される。アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマーを含有するこれらの第1又は第2の部分では、アミノメチルプロパノールで中和した後、均質かつ均一な組成物が得られるまで混合しながら他の全ての成分を添加する。全ての測定は、Mettler Toledo New Classic MF(モデル:MS4002S/01)によって計量された、0.30gの分離状被分配製品に対して行われる。測定を3回行い、算術平均を報告する。
【0065】
消費者選好
30名の消費者パネルを使用して、比較用「並列型」被分配製品と本発明の実施例との間の視覚的選好を評価する。図10Aは、本発明の実施例Aの被分配製品(61)の上面概略図である。第2の部分(63)は、第1の部分(65)を取り囲む。本発明の実施例Aを分配するために使用されるノズルの断面図は、図5Aに既に記載されている。本発明の実施例Aでは、Aptarサプライヤから入手可能な同心ノズル設計を有するNeomixパッケージを使用し、これは、1:3の第1の部分と第2の部分との間の体積比(即ち、第1の部分の1部及び第2の部分の3部)で、総体積0.3mL(約0.3グラム)を分配する。特に、肉眼で見ることができるように、本発明の実施例Aでは、第2の部分は、第1の部分を完全に取り囲む。
【0066】
図10Bは、比較例Bの被分配製品(66)の上面概略図である。第2の部分(67)は、第1の部分(69)に当接している。図11はまた、比較例Bの被分配製品(166)の上面概略図であり、図10Bの被分配製品と類似している。しかしながら、第1の部分(169)と第2の部分(167)との間の当接部(168)の長さ(L)が示されている。当接部(168)の長さ(L)を使用して、「取り囲む割合」法で以下に定義されるように、第2の部分(167)が第1の部分(169)の最大外周部を取り囲む割合を計算する。図12を参照すると、「並列型」ノズル(71)を使用して、比較例Bの被分配製品を分配する。ノズル(71)は、第1の出口オリフィス(79)を有する第1の流体チャネル(77)と、第2の出口オリフィス(75)を有する第2の流体チャネル(73)と、を有する。第1及び第2の流体チャネル(73、77)は、互いに並んでいる。比較例Bでは、Yonwoo(韓国)サプライヤから入手可能なデュアルチャンバ並列型分配パッケージを使用し、これは、1:1の第1の部分と第2の部分との間の体積比で、総体積0.3mL(約0.3グラム)の分離状被分配製品を分配する。それぞれの被分配製品の第1及び第2の部分の配合は、同一である。比較例Bの配合及びデータは、表1、図7A図7Eの比較例Iとして提供される。そして、本発明の実施例Aの配合及びデータは、表2、図8A図8Eの実施例IIとして提供される。
【0067】
この評価において、パネリストは、0~10スケールで等級付けするように要請される。より高い数は、提示された質問との一致がより高いことを示している。確率<0.1のときに有意に異なると判定される、両側スチューデントt検定を使用して統計分析を実施した。結果を表4に示す。本発明の実施例Aは、提示された両方の質問について比較例Bと比較して有意に良好である。
【0068】
【表1】
【0069】
要約すると、消費者パネルは、比較例Bと比較して本発明の実施例Aを高級であり、かつ他とは違うという両方であると見なした。
【0070】
取り囲む割合
第2の部分が第1の部分の最大外周部を取り囲む割合を評価するために試験方法を説明する。図13A及び図13Bに示される2つの例からの結果を提示する。図13A及び図13Bの両方は、それぞれ、被分配製品の上面概略図である。図13Aは、分離状被分配製品(81)を示し、第2の部分(83)は、第1の部分(85)を完全に取り囲む。図13Bは、分離状被分配製品(181)を示し、第2の部分(183)は、第1の部分(185)を完全に取り囲んでいない(むしろ、少なくとも部分的に取り囲む)。この方法は、第2の部分が第1の部分の最大外周部を取り囲む割合を評価する。
【0071】
本方法では、対象の被分配製品は、平面状標的表面としての平坦なLenetaカード上に分配される。分配後、カラーデジタル画像をすぐに(好ましくは5秒以内に)撮影し、カメラのカメラレンズは、Lenetaカードから垂直に20~30cm離して位置付けられる。画像解析により、被分配製品に対応する画像の部分が単離される。色差に基づく閾値が確立され、画像は、第1の部分に対応する領域(又は、第2の部分によって少なくとも部分的に取り囲まれた2つ以上の部分が存在する場合には、他の部分)及び被分配製品全体に対応する領域に分割される。次いで、第1の部分の最大外周部を取り囲む第2の部分の割合を決定する。
【0072】
被分配製品は、被分配製品のディスペンサから分配され、ディスペンサのノズルは、Lenetaカードに対して垂直に向けられ、分配中、静止したままである。本明細書の実施例では、標準化ディスペンサ(後述する「電子シリンジポンプ」)が使用される。ノズルの動き、ノズル角度、及び分配流量からの変動は、評価されたサンプルにおいて標準化される。本発明の配合実施例V(表3、図9A図9Eに提供)は、図5A及び図5Bによって表される異なる構成を有する2つのノズルで評価される。第1の部分は、実施例Vの第1の組成物として記載され、第2の部分は実施例Vの第2の組成物として記載されている。第1のシリンジは、第1の組成物を収容し、第2のシリンジは、第2の組成物を収容する。シリンジは、可撓性チューブを介してノズルに流体接続されている。簡潔に述べると、図13Aの被分配製品を分配するために使用されるノズルは、図5Aに図示されており、第1の部分の分配横断面積(即ち、第1の出口オリフィス)は、3mmであり、第2の部分の分配横断面積(即ち、第2の出口オリフィス)は、32mmである。簡潔に述べると、図13Bの被分配製品を分配するために使用されるノズルは、図5Bに図示されており、第1の部分の分配横断面積(即ち、第1の出口オリフィス)は、3mmであり、第2の部分の分配横断面積(即ち、第2の出口オリフィス)は、24mmである。ノズルは、Lenetaカードから2mm離して配置され、ノズルの中心軸は、Lenetaカードに対して垂直である。分配される第1及び第2の組成物の速度及び量は、電子シリンジポンプ(Chemyx Inc.製のFusion200シリンジポンプ又は等価物)及びシリンジ(第1の部分のシリンジ:直径13mmのTerumo 5mL、及び第2の部分のシリンジ:直径23.1mmのTerumo 30mL)によって制御される。シリンジポンプは、第2の部分のシリンジTerumo 30mLに対して15mL/分の標準分配速度で、合計0.3mLの分離状被分配製品(第1及び第2の部分の組み合わせ体積)を分配するように調整される。様々なサイズのシリンジを適切に使用して、分離状被分配製品の所望の体積及び比率を得ることができる。次いで、分離状被分配製品を撮像する。
【0073】
撮像システムは、周囲の4つの全側面上に黒色不透明背景を有する光ブースを含む。光ブースは、2つのLEDスポットライト(例えば、直径8cmのSolax-iO LED人工太陽光源、Edmund Optics製の偏光フィルム100mm SQ TS #86187を備えたモデルLE-9ND65)を用いて照明される。スポットライトは、被分配製品の両側に45度で存在する。分離状被分配製品までのスポットライトの距離は、18cmである。デジタルカラーカメラ(カメラ情報:Canon EOS 600D、レンズ:Vitacon professional PL 67mm偏光フィルタを備えたCanonレンズEF 35mm 1:2 IS USM)は、頭上にあり、カメラレンズは、分離状被分配製品の中心かつ頭上に位置付けられる。撮像された画像内の分離状被分配製品の最小面積は、4000画素である。カメラレンズ及びスポットライトの両方の偏光子は、鏡面反射を低減するように調整される。色較正のための24標準カラーチェッカーチャート(例えば、X-rite Corporation Inc(Grand Rapids,MI,USA)の「Color Cheker Passport」チャート又は等価物)。Lenetaカード及びカラーチェッカーチャートは、同じ視野内にあるように配置される。カメラ露光は、デジタル画像のヒストグラムが、上限に到達することなく、デジタル画像のダイナミックレンジの上半分内にある画像強度を示すように設定される。これにより確実に、飽和(即ち、クリッピング)が存在せず、画像は、十分に露光される(ただし、過剰露光されない)。分離状被分配製品は、所定の位置でLenetaカード上に分配される。画像は、分配後3秒以内に撮影される。分離状被分配製品の画像の概略上面図は、図13A及び図13Bに提供されている。第2の部分は、透明であるが、第1の部分は、有色である。更に、第1の分離状被分配製品(配合実施例V)は、透明な第2の部分を通って明確に見ることができるオレンジ色染料を含み、被分配製品は、肉眼に対して透明なシェル(第2の部分)内に封入されたオレンジ色の色のコア(第1の部分)として現れ、これは美しく、かつ高級な見た目の分離状被分配製品の画像を与える。得られた画像は、第2の部分が第1の部分の最大外周部を取り囲む割合を最終的に決定するために、画像解析が行われる。
【0074】
第1に、背景を撮像する。視野を満たす白色の紙のシートの写真を撮影する。明確化のために、これは、Lenetaカード又はカラーチェッカーチャートを含まない。画像からのノイズが除去され、得られた画像は、「割合画像」に変換され、それぞれの画素は、画像内の最大強度の割合を表す。Lenetaカード上の被分配製品及び被分配製品に隣接するカラーチェッカーチャートを伴う画像が取得される。「フラットフィールド」背景補正画像は、被分配製品の画像を被分配製品に隣接するカラーチェッカーチャートと共に撮影し、この画像を「割合画像」で除することによって作成される。
【0075】
第2に、背景補正画像は、較正されたCIELAB色空間画像に変換される。それぞれのチップのRGB値は、カラーチェッカーチャートで測定される。カメラRGB値を、較正された三刺激XYZ値に変換する変換が展開される。次いで、変換を背景補正画像内の全ての画素に適用して、較正されたXYZ画像を生成する。次に、XYZ画像は、D65照明、ASTM規格E308-01につき10度の観察者に対して分析CIE式を使用することによって、較正CIELAB色空間画像に変換される。「LAB」及び「XYZ」は、国際照明委員会(「CIE」)によって規定された一般に認められている色空間を指す。
【0076】
第3に、ΔE画像を計算する。白色のLenetaカードの色は、基準色として定義されている。色差は、画素ごとにCIEΔE2000の式(ASTM規格No.D2244-16)を使用して、較正CIELAB色空間画像を色差画像に変換して、基準色と比較して算出される。本発明のいくつかの好ましい例では、第2の部分は、少なくとも部分的に透明又は透明であり、第1の部分は、不透明であり、好ましくは不透明であり、より好ましくは不透明であり、有色である。このような例では、第2の部分は、白色のLenetaカードよりもわずかに暗く、したがってある程度の色を有してもよい。この目的のために、第2の部分は、(基準色と比較して)5~20の範囲内のΔEを有してもよい。第1の部分は、これらの好ましい例では、典型的には、白色のLenetaカード及び第2の部分とははるかに異なる色を有する。即ち、第1の部分のΔEは、通常、第2の部分のΔEよりも高く、例えば、10を超えるように設計される。
【0077】
第4に、分離状被分配製品全体に対応する画像の部分は、残りの画像のみのコンテンツが被分配製品に対応する、即ち、「被分配製品のマスク」画像に対応するように、(例えば、白色のLenetaカード基材背景及びカラーチェッカーに対応する)較正されたΔE画像の残部から分離される。デジタル画像解析ソフトウェアパッケージを使用して解析が実行される場合、例えば、被分配製品のマスクを画定するために適切な閾値を使用することによって、又は被分配製品のマスクを手動で構築することによって解析が行われ、被分配製品に対応する領域のみが残り、他の全ての画素が値を有さなくてもよい。
【0078】
場合によっては、例えば、第2の部分が透明である場合、被分配製品の周囲に「ハロー効果」が生成される光学効果が存在し得る。このハロー効果は、第1の部分から反射/屈折する光が、漏出する前に第2の部分の内側で相互作用して、被分配製品の外周部に隣接して光学効果を生じさせる光学効果である。このような状況では、画像内のいかなるハロー効果アーチファクトも除去するのに十分なだけ外側被分配製品のマスクを(画素ごとの画像「浸食」などにより)均一に低減するが、そのような浸食は、被分配製品領域を、被分配製品領域の8%を超えるだけ、好ましくは5%以下だけ減少させるべきではない。
【0079】
第5に、第1の部分のマスク画像が生成される。被分配製品のマスク内のそれぞれの画素のΔE値を(上記工程3のように)抽出する。Otsu閾値法を使用して、ΔE閾値を使用して第1の部分のマスクを画定する。ハロー効果が観察され、被分配製品のマスクが浸食されている場合、この浸食された被分配製品のマスクは、第1の部分のマスク生成に使用される。
【0080】
第6に、それぞれの内側の第1の部分のマスク及び被分配製品のマスクの外周部マスクが形成される。これらのマスクは、外周部のみであり、好ましくは単一の画素幅のみである。
【0081】
第7に、被分配製品の外周部長、第1の部分の外周部長、及び重複外周部長(存在する場合)が、外周部マスクから計算される。第1の部分の外周部長は、第1の部分の外周部マスクから測定される。被分配製品の外周部長は、被分配製品の外周部マスクから測定される。第2の部分によって取り囲まれた第1の部分のその部分は、存在する場合、特定され、測定されて、図11に概略的に表され、168として参照される「重複外周部長」(L)をもたらす。「重複外周部長」及び「第1の部分の最大外周部」という用語は、互換的に使用される。
【0082】
最後に、第2の部分が第1の部分の最大外周部を取り囲む割合が決定される。重複外周部長(L)を、第1の部分の外周部長(P)によって除し、100%を乗じて、最も近い整数パーセントで報告する。図14は、第1の部分(95)が第2の部分(93)によって部分的に囲まれている、分離状被分配製品(91)の上面図を図示する。第1の部分の外周部(97)は、第1の部分(95)の外周部全体の長さであり、この長さは、取り囲む割合を計算するためにPと称される。分離状被分配製品の外周部(92)は、被分配製品(91)の外周部全体の長さである。重複外周部長(98)は、第2の部分(93)によって取り囲まれた第1の部分の外周部(97)の長さであり、この長さは、取り囲む割合を計算するためにLと呼ばれる。
【0083】
第1の部分及び第2の部分が70以下の「ΔE試験方法」(「PDETM」)値を有する状況では、上述の第5の工程におけるOtsu閾値は、彩度閾値を利用して第1の部分のマスク画像を決定する。この場合、彩度画像が必要である。彩度画像は、それぞれの画素を彩度値に変換することによって、CIELAB色空間からA値及びB値を使用して、「CIELAB色空間画像」から計算される。式、この変換は、彩度=sqrt(A^2+B^2)である。
【0084】
図13A及び図13Bを再び参照すると、それぞれの被分配製品の第1の部分の外周部及び重複外周部長は、上記の方法によって識別される。上記のような電子シリンジポンプを使用して、図13A及び図13Bに図示した分離状被分配製品を分配した。図13Aの分離状被分配製品の第1の部分の外周部は、1.94cmであり、重複外周部長もまた1.94cmである。重複外周部長及び第1の部分の外周部は同じであるため、第2の部分は、完全に(即ち、100%)、図13Aに表される分離状被分配製品内の第1の部分を取り囲む。そして、図13Bの分離状被分配製品について、(ハロー効果に対して)7.8%面積の浸食を考慮した後、第1の部分の外周部は、1.99cmであり、重複外周部長は、1.17cmである。図13Bのように、第2の部分は、第1の部分の最大外周部の59%を取り囲む[(1.17÷1.99)100]。
【0085】
【表2】
【0086】
要約すると、図13Aの分離状被分配製品は、上記の方法で使用される。第1の工程では背景補正画像が得られ、その背景補正画像は、第2の工程においてCIELAB色空間画像に較正される。第3の工程では、ΔE画像が計算される。次いで、(ハロー効果に対する浸食を伴う工程4で生成された)被分配製品のマスク画像及び(第5の工程で生成された)第1の部分のマスク画像を第6の工程で使用して、被分配製品の外周部マスク及び第1の部分の外周部マスクをそれぞれ作成する。最後に、第7の工程では、第6の工程で作成された外周部マスクを使用して、(5.72cmである)分離状被分配製品の外周部の長さ、(1.94cmである)第1の部分の外周部の長さ、及び(1.94cmであると算出される)重複外周部長を特定する。上記データから、重複外周部長(L)を第1の部分の外周部(P)で除し、100を乗じて[(1.94÷1.94)100]、第2の部分が第1の部分の最大外周部を取り囲む割合を得る。
【0087】
同様に、この方法は、図10Bの分離状被分配製品66によって表される消費者調査における比較例Bと類似の、図11の分離状被分配製品(166)に適用することができる。本明細書では、当接部(168)の長さは、重複外周部長(L)又は第1の部分の最大外周部である。当接部のこの長さを使用して、第2の部分(167)が第1の部分(169)の最大外周部を取り囲む割合を計算し、その割合は、(表1、図7Eの比較例Iのデータセクションにも示した)25.6%であると決定される。
【0088】
長さ:高さの比
分離状被分配製品の長さ及び高さを測定し、これらの比を記載する。被分配製品が分配され、ディスペンサのノズルは、平坦かつ水平なLenetaカード上で垂直に向けられ、分配中に静止したままであり、被分配製品は、3秒以内に、寸法が得られる側から撮像される。分配ノズルは、分配中にLenetaカードから2mm離して配置されている。カメラは、Lenetaカード表面から離れる向きの被分配製品の突出距離が最大化されるように位置付けられる。カードは、被分配製品の平面状接触面の突出長さが最大化されるように回転される。カメラ及びカメラレンズ(カメラ情報:Canon EOS 600D、レンズ:CanonレンズEF 35mm 1:2 IS USM)は、被分配製品の長さに垂直であり、同一平面状接触面内に存在するように位置付けられる。被分配製品の上方に位置する照明源は、被分配製品と背景との間に十分なコントラストをもたらすように、被分配製品を照らす。撮像された画像は、350画素/cm以上の空間解像度を有するべきである。画像は、好ましくは被分配製品と同じ焦点距離に位置する定規又は空間較正ターゲットと共に撮像される。
【0089】
被分配製品の画像は、記載した撮像設定を使用して撮像される。被分配製品の最大長を、被分配製品の平面状接触面において、即ち、分配された製品がLenetaカードと接触する面において評価し、長さ(L)として測定し、cm単位で記録し、小数第2位まで報告する。Lenetaカードの平面から離れる方向に垂直である被分配製品の最大突出距離を、被分配製品の高さ(H)として測定し、cm単位で記録し、小数第2位まで報告する。無次元商L/Hを計算し、小数第2位まで報告する。
【0090】
流動性
分離状被分配製品流動性試験方法(「DDPFTM」)が本明細書に記載され、25℃において平坦表面上45度の角度で第1の部分又は第2の部分(本明細書では、集合的に「部分」と称される)の移動速度(cm/minとして報告)を決定する。シリンジ(Terumo 1ccシリンジ又は等価物)を、対象部分に対応する0.3mLの組成物で充填し、0.3mLの充填組成物を、水平に配置されたLenetaカード(Opacity Card Form 2A,Leneta Company,Inc(Mahwah,NJ,USA)、又は等価物)上に2秒以内に分配すし、Lenetaカード上に部分の液滴を形成する。分配シリンジは、分配中にLenetaカードから2mm離して配置され、分配中に静止したままである。その直後に(3秒以内に)、Lenetaカードを傾斜テーブル上で45度に傾斜させる(0.5秒以内)。1分間に液滴の前縁部によって横断される距離を、0.5mm単位で測定する。流動性は、単位がcm/分の速度として定義され、小数第2位まで報告される。液滴がLenetaカードの縁部に1分未満で到達した場合には、液滴の前縁がLenetaカード上で10cm移動するのにかかる時間を記録して速度を計算する。
【0091】
振動レオメトリー
部分振動レオメトリー試験方法(PORTM)を使用して、本明細書に記載されるような部分(例えば、分離状被分配製品の第1又は第2の部分)の、Pa単位で報告される「クロスオーバー応力」を決定する。この試験には、(ペルチェ冷却器及び抵抗加熱器の組み合わせを使用する)部分のサンプル温度制御が可能な、制御された歪み回転式レオメータ(Discovery HR-2、TA Instruments(New Castle,DE,USA)、又は等価物など)を使用する。試験前に、それぞれの部分のサンプルを分離された容器に保管し、温度制御された実験室(23±2℃)に一晩置いた。試験中、実験室温度は、23±2℃で制御される。40mm網目状のステンレス鋼平行板工具を用いて平行板構成でレオメータを操作する。レオメータを25℃に設定する。部分のサンプルの構造における変化を防ぐように、スパチュラを使用してサンプル容器から、およそ2mLの部分のサンプルをペルチェプレート上に静かに載せ、サンプルを載せた後に間隙が1000μmに達したときに、余分な突出サンプルを全てトリミングする。次いで、測定が開始される前に、部分のサンプルを25℃で少なくとも120秒間平衡化する。異なるレオメータが使用される場合、試験前に部分のサンプル温度が確実に25℃に達するように平衡時間を適宜延長する。試験は、25℃において1Hz(即ち、毎秒1サイクル)に固定された振動周波数で、対数モードで歪み振幅0.1%から1000%まで増加させたレオメータで開始する。サンプリングされたそれぞれの歪み振幅について、得られた時間依存応力を、当業者に既知の従来の対数振動歪み形式に従って分析して、それぞれの工程において貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)を得る。プロットは、G’及びG”(両方ともパスカル単位で表示、縦軸)を歪み振幅(歪パーセント、横軸)に対してプロットして作成される。G’及びG”の軌跡の交差(即ち、tan(δ)=G”/G’=1の場合)が記録される最小歪み振幅。この点は、クロスオーバー点として定義され、この点での振動応力は、「クロスオーバー応力」として定義され、Paの単位で最も近い整数で報告される。本開示によって提供されるレオメータによって測定されるレオロジー特性としては、貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”、損失係数tan(δ)が挙げられるが、これらに限定されない。クロスオーバー点は、(TA instrumentによって提供される)TRIOSソフトウェアを使用して抽出され、他の同等のレオロジーソフトウェアに適用可能である。
【0092】
不透明度の測定
部分不透明度試験方法(「POTM」)を使用して、(分離状被分配製品の)第1の部分又は第2の部分の不透明度を判定する。結果は百分率として報告され、百分率が高い程、サンプルの不透明度がより大きい。一般に、不透明度は、光を通過させない材料の品質である。百分率の値が高い程、より高い隠蔽力を意味し、それ故に、透明度が低いことを意味する。可視スペクトルにわたってCIE D65照明条件下で三刺激値CIE XYZをもたらすことができる分光光度計(分光光度計CM-3600A、コニカミノルタ(日本)、又は等価物など)が本方法に使用される。分光光度計は、2°の観察者及びD65光源を用いて1931 CIEにより定義された三刺激XYZ値をもたらす条件下で操作される。部分のサンプルは、プラスチックセル(CM-A131、コニカミノルタ(日本)又は等価物など)における10mm光路長、反射率測定、標本表面での25.4mmの絞り開口、正反射成分を含まない測色を用いて評価される。不透明度を計算するために2組の三刺激値が必要であり、1つは、白色背景の前での製品の10mmサンプルセルの値であり、もう1つは、黒色背景の前での値である。許容可能な白色背景としては、不透明カード(Opacity Card Form 2A,Leneta Company,Inc(Mahwah,NJ,USA)、又は等価物など)の白色部分が挙げられ、許容可能な黒色背景は、不透明カード(Opacity Card Form 2A,Leneta Company,Inc(Mahwah,NJ,USA)、又は等価物など)の黒色部分である。不透明度は、黒色背景を使用するY三刺激値を白色背景を用いるY三刺激値で除した商に100%を乗じて計算することによって決定される。不透明度は、最も近い整数百分率で報告される。
【0093】
ΔE
部分ΔE試験方法(「PDETM」)を使用して、第1の部分と第2の部分との間の色差を決定し、ΔE値を得る。ΔEは、CIELAB色空間における2つの色刺激の間の計算されたユークリッド距離である。CIELAB値がL 、a 、b であるサンプル製品について、CIELAB値L 、a 、b を有する第2の製品との間の色差、即ち、デルタE(ΔE)は、下式で与えられる。
【0094】
【数1】
【0095】
可視スペクトルにわたってCIE D65照明条件下でCIELABをもたらすことができる分光光度計(分光光度計CM-3600A、コニカミノルタ(日本)、又は等価物など)が本方法に使用される。分光光度計は、2°の観察者及びD65光源を用いてCIELAB値をもたらす条件下で操作される。部分のサンプルは、プラスチックセル(CM-A131、コニカミノルタ(日本)、又は等価物など)における10mm光路長、反射率測定、標本表面での25.4mmの絞り開口、及び正反射成分を含まない測色を用いて評価される。白色背景(Opacity Card Form 2A,Leneta Company,Inc(Mahwah,NJ,USA)、又は等価物の白色部分など)を、10mmの製品サンプルの背後で使用する。L値、a値、及びb値は、第1の部分及び第2の部分の両方について連続して決定され、小数第2位まで記録される。上記式を用いてΔEを計算し、これを最も近い整数で報告する。
【0096】
結果を、図7A図7Eの表1、図8A図8Eの表2、及び図9A図9Eの表3においてそれぞれ報告する。
【0097】
本明細書中で「実施形態(複数可)」等と言った場合、その実施形態と関連付けて説明される特定の材料、特徴、構造及び/又は特性が少なくとも1つの実施形態、場合によりいくつかの実施形態に含まれることを意味するが、全ての実施形態が記載される材料、特徴、構造、及び/又は特性を含むことを意味するものではない点は理解されよう。更に、材料、特徴、構造、及び/又は特性は、異なる実施形態にわたって、任意の好適な方法で組み合わされてもよく、材料、特徴、構造、及び/又は特性は、説明されるものから除外されてもよいし、代用されてもよい。したがって、本明細書に記載されている実施形態及び態様は、別段明記しない限り又は不適合性が明示されてされない限り、組み合わせて明示的に例示されていなくても、他の実施態様及び/又は態様の要素又は構成成分を含むか又はこれらと組み合わされることが可能である。
【0098】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。本明細書に記載される全ての数値範囲はより狭い範囲を包含する。区切られた上下の範囲制限は、明示的に区切られていない更なる範囲を作る上で互換性がある。本明細書に記載する実施形態は、本明細書に記載の必須構成要素並びに任意成分を含み得る、それらから本質的になり得る、又はそれらからなり得る。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他の意味を示さない限り、複数形も含むものとする。
【0099】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0100】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲に網羅することが意図されている。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図14