(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】酸素測定デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20221018BHJP
A61B 5/20 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
A61B5/00 B
A61B5/00 N
A61B5/20
(21)【出願番号】P 2021070070
(22)【出願日】2021-04-19
(62)【分割の表示】P 2018521782の分割
【原出願日】2017-06-08
【審査請求日】2021-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2016116590
(32)【優先日】2016-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016116592
(32)【優先日】2016-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016116593
(32)【優先日】2016-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016116598
(32)【優先日】2016-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017067392
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】末原 達
(72)【発明者】
【氏名】硲 セイエドリヤー
(72)【発明者】
【氏名】澤田 賢志
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 昭宏
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/105916(WO,A1)
【文献】特許第2739880(JP,B2)
【文献】特開平08-033646(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0366498(US,A1)
【文献】国際公開第2014/210453(WO,A2)
【文献】特開2013-118915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/398
A61M 1/00 - 1/38
A61M 60/00 -60/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する中空状のシャフトを含む尿道カテーテルと、
尿中の酸素を検出可能な酸素センサ本体を有する酸素センサと、を備え、
前記シャフトには、
膀胱内の尿を流入させる導尿口と、
前記導尿口に連通して前記尿が流通する尿路と、が設けられ、
前記酸素センサは、前記尿道カテーテルに設けられ、前記酸素センサ本体が前記尿路内を流通する尿に接触するように構成され、
前記尿道カテーテルは、前記シャフトの先端側に設けられて拡張用流体により拡張及び収縮が可能なバルーンを有し、
前記酸素センサ本体は、前記シャフトの軸線方向において前記バルーンよりも先端側に位置し
、
前記シャフトには、当該シャフトの軸線方向に沿って延在して前記酸素センサが配設されるセンサルーメンが設けられ、
前記導尿口は、前記シャフトの軸線よりも前記センサルーメンが位置する側にずれて位置するように設けられ、
前記酸素センサを前記シャフトに対して固定する固定部を備え、
前記固定部は、前記酸素センサ本体が前記尿路内を流通する前記尿に接触するように前記酸素センサ本体を前記尿路内に保持し、
前記シャフトには、当該シャフトの軸線方向に沿って延在し、前記導尿口に連通する導尿ルーメンが設けられ、
前記導尿ルーメンと前記センサルーメンとの間には、前記導尿ルーメンに沿って延在する仕切壁が設けられ、
前記仕切壁の先端に、前記導尿ルーメンと前記センサルーメンとを互いに連通させる貫通孔が設けられる、酸素測定デバイス。
【請求項2】
可撓性を有する中空状のシャフトを含む尿道カテーテルと、
尿中の酸素を検出可能な酸素センサ本体を有する酸素センサと、を備え、
前記シャフトには、
膀胱内の尿を流入させる導尿口と、
前記導尿口に連通して前記尿が流通する尿路と、が設けられ、
前記酸素センサは、前記尿道カテーテルに設けられ、前記酸素センサ本体が前記尿路内を流通する尿に接触するように構成され、
前記尿道カテーテルは、前記シャフトの先端側に設けられて拡張用流体により拡張及び収縮が可能なバルーンを有し、
前記酸素センサ本体は、前記シャフトの軸線方向において前記バルーンよりも先端側に位置し、
前記酸素センサを前記シャフトに対して固定する固定部を備え、
前記固定部は、前記酸素センサ本体が前記尿路内を流通する前記尿に接触するように前記酸素センサ本体を前記尿路内に保持し、
前記固定部のうち前記尿路に露出する面には、凹部が設けられ、前記酸素センサ本体は、前記凹部内に位置している、酸素測定デバイス。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の酸素測定デバイスであって、
前記酸素センサ本体は、前記尿路内において前記導尿口の先端側又は基端側に隣接している、酸素測定デバイス。
【請求項4】
請求項1
~3のいずれか1項に記載の酸素測定デバイスであって、
前記酸素センサ本体は、前記導尿口に対して前記シャフトの軸線方向と直交する方向に位置する、酸素測定デバイス。
【請求項5】
請求項
2記載の酸素測定デバイスであって、
前記シャフトには、当該シャフトの軸線方向に沿って延在して前記酸素センサが配設されるセンサルーメンが設けられ、
前記導尿口は、前記シャフトの軸線よりも前記センサルーメンが位置する側にずれて位置するように設けられている、酸素測定デバイス。
【請求項6】
請求項
1又は5に記載の酸素測定デバイスであって、
前記導尿口における前記シャフトの軸線方向の中心は、前記シャフトのうち前記センサルーメンよりも先端側に位置する部位に設けられている、酸素測定デバイス。
【請求項7】
請求項
1~6
のいずれか1項に記載の酸素測定デバイスであって、
前記固定部は、
前記シャフトに設けられた支持部と、
前記酸素センサに固着された状態で前記支持部に係合する係合部と、を有する、酸素測定デバイス。
【請求項8】
請求項
1~7
のいずれか1項に記載の酸素測定デバイスであって、
前記酸素センサは、前記酸素センサ本体に電気的及び/又は光学的に接続された伝送部を有し、
前記シャフトには、前記伝送部が配設されたセンサルーメンが設けられ、
前記固定部は、前記センサルーメンを構成する内面に対して前記伝送部を固定する、酸素測定デバイス。
【請求項9】
請求項
1記載の酸素測定デバイスであって、
前記固定部のうち前記尿路に露出する面には、凹部が設けられ、前記酸素センサ本体は、前記凹部内に位置している、酸素測定デバイス。
【請求項10】
請求項8記載の酸素測定デバイスであって、
前記固定部は、前記尿路から前記センサルーメンにおける前記固定部よりも基端側への前記尿の流入が阻止されるように前記センサルーメンを構成する内面に液密に接触している、酸素測定デバイス。
【請求項11】
請求項
2記載の酸素測定デバイスであって、
前記酸素センサは、前記酸素センサ本体に電気的及び/又は光学的に接続された伝送部を有し、前記固定部は、前記尿路を構成する内面に対して前記伝送部を固定する、酸素測定デバイス。
【請求項12】
請求項11記載の酸素測定デバイスであって、
前記固定部は、前記尿路のうち前記固定部と対向する内面から離間している、酸素測定デバイス。
【請求項13】
請求項12記載の酸素測定デバイスであって、
前記固定部は、前記尿路内において前記伝送部を被覆している、酸素測定デバイス。
【請求項14】
請求項1
又は2に記載の酸素測定デバイスであって、
前記シャフトには、前記酸素センサが配設されたセンサルーメンが設けられ、
前記センサルーメンは、前記尿路よりも前記シャフトの軸線方向に短い、酸素測定デバイス。
【請求項15】
請求項14記載の酸素測定デバイスであって、
前記センサルーメンは、前記酸素センサ本体を前記尿路内に位置させるための開口部を有している、酸素測定デバイス。
【請求項16】
請求項14記載の酸素測定デバイスであって、
前記酸素センサは、前記酸素センサ本体に電気的に接続された伝送部を有し、
前記酸素センサ本体は、前記尿路内に位置し、
前記伝送部は、センサルーメン内に位置し、
前記固定部は、前記センサルーメンを構成する内面に対して前記伝送部を固定
し、
前記固定部には、前記酸素センサが挿通する挿通孔が設けられ、
前記挿通孔の先端は、前記導尿口の近傍に位置している、酸素測定デバイス。
【請求項17】
請求項16記載の酸素測定デバイスであって、
前記尿路は、前記センサルーメンに並設された導尿ルーメンを有し、前記挿通孔は、前記導尿ルーメン側に位置している、酸素測定デバイス。
【請求項18】
請求項15記載の酸素測定デバイスであって、
前記開口部の開口面積は、前記導尿口の開口面積よりも小さい、酸素測定デバイス。
【請求項19】
請求項1
又は2に記載の酸素測定デバイスであって、
前記尿路は、前記シャフトの軸線方向に沿って延在しており、
前記導尿口が位置する第1尿路部と、
前記第1尿路部から基端側に延出した第2尿路部と、を有し、
前記第1尿路部の流路断面積は、前記第2尿路部の流路断面積よりも大きい、酸素測定デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腎臓から排出された尿中の酸素を検出する酸素測定デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許第2739880号公報には、尿道カテーテルの尿路を通じて酸素センサを膀胱内に挿入して留置する酸素測定デバイスが開示されている。この酸素測定デバイスは、酸素センサの酸素センサ本体を尿道カテーテルの先端部に形成された導尿口から導出させて膀胱の上皮壁に接触させることにより、上皮壁の酸素を検出するものである。
【発明の概要】
【0003】
ところで、尿中の酸素状況が腎臓の組織酸素状況を反映していると仮定し、尿中の酸素を測定することにより腎臓の状態を予測する研究が行われている。上述した特許第2739880号公報のような酸素測定デバイスは、膀胱の上皮壁の酸素を検出するものであるため、尿中の酸素を検出しているとは限らない。
【0004】
仮に、前記酸素センサを用いて尿中の酸素を検出しようとした場合、膀胱内において酸素センサの酸素センサ本体が尿道カテーテルの導尿口から露出しているため酸素センサ本体が変位して膀胱壁に当接することがある。そして、酸素センサ本体が膀胱壁に当接するとノイズとして検出されるため、尿中の酸素を精度よく測定することは容易ではない。
【0005】
さらに、膀胱内において尿が排出されずに残留している箇所に酸素センサ本体が位置すると、腎臓から排出された尿中の酸素を確実に測定することができないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、腎臓から膀胱内を経由して体外に排出される新しい尿中の酸素を精度よく且つ確実に測定することができる酸素測定デバイスを提供することを目的とする。
【0007】
本発明の一態様は、可撓性を有する中空状のシャフトを含む尿道カテーテルと、尿中の酸素を検出可能な酸素センサ本体を有する酸素センサと、を備え、前記シャフトには、膀胱内の尿を流入させる導尿口と、前記導尿口に連通して前記尿が流通する尿路と、が設けられ、前記酸素センサは、前記尿道カテーテルに設けられ、前記酸素センサ本体が前記尿路内を流通する尿に接触するように構成され、前記尿道カテーテルは、前記シャフトの先端側に設けられて拡張用流体により拡張及び収縮が可能なバルーンを有し、前記酸素センサ本体は、前記シャフトの軸線方向において前記バルーンよりも先端側に位置している、酸素測定デバイスである。
【0008】
このような構成によれば、尿路を流通する尿に酸素センサ本体を接触させることができるため、腎臓から膀胱内を経由して体外に排出される新しい尿中の酸素を精度よく且つ確実に測定することができる。また、酸素センサ本体を膀胱内に位置させることができるため、比較的安定した環境(温度変化等が比較的少ない環境)で尿中の酸素を検出することができる。さらに、バルーンによってシャフトを膀胱に対して保持することができるため、酸素センサ本体が膀胱内で変位することを一層抑えることができる。
【0009】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記酸素センサは、蛍光体と前記蛍光体が設けられた基部とを有する前記酸素センサ本体と、前記酸素センサ本体とは別体に形成された光ファイバと、を有し、前記酸素センサ本体は、前記蛍光体の少なくとも一部が前記尿路内の尿に接触するように前記尿道カテーテルに固定され、前記光ファイバは、前記蛍光体に励起光を照射可能且つ前記蛍光体からの蛍光を受光可能なように前記光ファイバの先端面が前記蛍光体に対して位置決めされた状態で前記尿道カテーテルに固定されていてもよい。
【0010】
このような構成によれば、蛍光体を有する酸素センサ本体と光ファイバとを別々に製造して尿道カテーテルに組み込み、尿中の酸素を測定することができる。
【0011】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記シャフトの先端には、前記尿路を構成する内腔の先端開口部が形成され、前記尿道カテーテルは、前記先端開口部に嵌合された閉塞部を有し、前記酸素センサ本体は、前記閉塞部に固定されていてもよい。
【0012】
このような構成によれば、酸素センサ本体が固定された閉塞部をシャフトの先端側から先端開口部に嵌合することにより、酸素センサ本体をシャフトに対して精度よく容易且つ確実に組み込むことができる。
【0013】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記光ファイバは、前記光ファイバの先端面が前記尿路内に位置するとともに前記蛍光体に対向するように前記シャフトに固定されていてもよい。
【0014】
このような構成によれば、光ファイバからの励起光を蛍光体に効率的に照射することができるとともに蛍光体からの蛍光を光ファイバで効率的に受光することができる。
【0015】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記光ファイバは、前記光ファイバの先端面が前記酸素センサ本体を挟んだ前記尿路とは反対側に位置するように前記尿路よりも先端側で折り返された状態で前記尿道カテーテルに固定され、前記基部は、前記光ファイバからの励起光と前記蛍光体からの蛍光とが透過可能に構成されていてもよい。
【0016】
このような構成によれば、組立性と精度を向上させるとともに、光ファイバの先端面が尿に接触して汚染されることを抑えつつ尿中の酸素を測定することができる。
【0017】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記光ファイバの先端面は、前記基部の前記蛍光体が塗布された面とは反対側の面に接触又は近接していてもよい。
【0018】
このような構成によれば、前記蛍光体を尿により確実に触れさせることができ、また光ファイバからの光を蛍光体に効率的に照射することができるとともに蛍光体からの蛍光を光ファイバで効率的に受光することができる。
【0019】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記閉塞部には、前記光ファイバの折り返された部分が配設された配置孔が形成されていてもよい。
【0020】
このような構成によれば、光ファイバを尿路の先端側で容易に折り返した状態で配置することができる。
【0021】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記光ファイバは、前記配置孔に配置された状態で前記閉塞部に保持されていてもよい。
【0022】
このような構成によれば、閉塞部をシャフトの先端開口部に嵌合する際に、光ファイバをシャフトに対して精度よく組み付けるとともにより確実に配置状態を維持することができる。
【0023】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記酸素センサ本体は、前記閉塞部に固定された支持部を有し、前記支持部には、前記基部が固定されるとともに前記光ファイバの先端を位置決めする位置決め部が設けられていてもよい。
【0024】
このような構成によれば、光ファイバの先端面を蛍光体に対して精度よく位置決めすることができる。また、支持部を把持して酸素センサ本体を閉塞部に固定することができる。
【0025】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記蛍光体は、前記導尿口よりも先端側に位置し、前記導尿口は、前記シャフトの先端方向に向かって周方向に沿った開口幅が広くなるように形成されていてもよい。
【0026】
このような構成によれば、尿路内の尿の流通が蛍光体により阻害されることを抑えることで尿をより効率的にシャフトの基端方向に流通させることができるとともに、導尿口から尿路内に導かれた尿を導尿口よりも先端側に位置する蛍光体に効率的に導くことができる。
【0027】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記蛍光体は、前記尿路における前記導尿口よりも基端側に位置していてもよい。
【0028】
このような構成によれば、尿路を流通する尿に蛍光体を確実且つ効率的に接触させることができる。
【0029】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記基部は、前記光ファイバからの励起光と前記蛍光体からの蛍光とが透過可能に構成され、且つ前記蛍光体が前記基部よりも先端側に位置するように前記シャフトの軸線と直交する方向に延在し、前記光ファイバは、前記光ファイバの先端面が前記基部の前記蛍光体が塗布された面とは反対側の面に対向するように前記基部よりも基端側に設けられていてもよい。
【0030】
このような構成によれば、尿路内の尿を蛍光体に確実且つ効率的に接触させることができる。また、光ファイバからの励起光を蛍光体に効率的に照射することができるとともに蛍光体からの蛍光を光ファイバで効率的に受光することができる。
【0031】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記基部は、環状に構成されていてもよい。
【0032】
このような構成によれば、基部の内孔を介して尿路内の尿をシャフトの基端方向に円滑に流通させることができる。
【0033】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記尿路を構成する壁面には、前記基部の外縁部が挿入された保持孔が形成されていてもよい。
【0034】
このような構成によれば、簡易な構成により、基部をシャフトの軸線と直交する方向に延在した状態で保持することができる。
【0035】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記保持孔は、前記シャフトの外面に開口するとともに前記酸素センサ本体が前記シャフトの外側から前記尿路内に挿入可能な大きさのスリットを含み、前記酸素センサ本体は、前記スリットを封止するように充填された接着剤によって前記シャフトに固定されていてもよい。
【0036】
このような構成によれば、酸素センサ本体をシャフトの外側から簡単且つ精度よく組み付けることができる。
【0037】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記酸素センサ本体は、前記シャフトに固定された支持部を有し、前記支持部には、前記基部が固定されるとともに前記光ファイバの先端を位置決めする位置決め部が設けられていてもよい。
【0038】
このような構成によれば、光ファイバの先端面を蛍光体に対して精度よく位置決めすることができる。また、支持部を把持して尿路内に酸素センサ本体を組み込むことができる。
【0039】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記尿路を構成する壁面には、第1係合部が設けられ、前記支持部には、前記第1係合部に係合することにより前記シャフトに位置決めされる第2係合部が設けられていてもよい。
【0040】
このような構成によれば、酸素センサ本体を尿路内に精度よく組み込むことができる。
【0041】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記支持部は、環状に構成され、前記蛍光体は、前記支持部の内孔に位置していてもよい。
【0042】
このような構成によれば、尿路内の尿を支持部の内孔に流通させつつ蛍光体に接触させることができる。
【0043】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記基部は、前記シャフトの軸線方向に沿って延在していてもよい。
【0044】
このような構成によれば、基部をシャフトの軸線と直交する方向に沿って延在させた場合と比較して、支持部の内孔の尿の流通が基部によって阻害されることを抑えることができる。
【0045】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記蛍光体は、前記光ファイバの先端面の指向する方向に対して交差する方向に位置し、前記支持部には、前記光ファイバからの励起光を前記蛍光体に導くとともに前記蛍光体からの蛍光を前記光ファイバ内に導く反射部が設けられていてもよい。
【0046】
このような構成によれば、例えば、光ファイバを屈曲させることなく、反射部によって光ファイバからの励起光を蛍光体に照射することができるとともに蛍光体からの蛍光を光ファイバで受光することができる。
【0047】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記蛍光体は、前記シャフトの基端方向に向かって前記シャフトの内方に傾斜するように延在していてもよい。
【0048】
このような構成によれば、尿路内の尿を蛍光体に効率的に接触させることができる。
【0049】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記酸素センサは、光ファイバを有し、前記光ファイバは、前記シャフトの外面に形成された貫通孔を封止する接着剤によって前記尿道カテーテルに対して固定されていてもよい。
【0050】
このような構成によれば、光ファイバを尿道カテーテルに位置決め固定する際に、組立性を向上させるとともに、光ファイバの先端面が接着剤で汚損されることを抑えることができる。
【0051】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記シャフトの壁部には、前記光ファイバが配設されたセンサルーメンが形成されていてもよい。
【0052】
このような構成によれば、光ファイバがセンサルーメンに配設されているため、光ファイバによって尿路内の尿の流通が阻害されることを抑えることができる。これにより、尿路内の尿を円滑に流通させることができる。
【0053】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記シャフトには、前記シャフトを構成する材質よりも硬い材質で構成された硬質部材が設けられていてもよい。
【0054】
このような構成によれば、例えば、シャフトを尿道に挿入する際に、シャフトの変形(伸縮等)を硬質部材で抑えることができるため、蛍光体と光ファイバとの間の位置ずれを抑えることができる。
【0055】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記酸素センサは、先端に前記酸素センサ本体が一体的に設けられて前記シャフトに沿って延在した伝送部を有していてもよい。
【0056】
このような構成によれば、伝送部の先端に酸素センサ本体が一体的に設けられているため、酸素センサをシャフトに対して容易に組み付けることができる。
【0057】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記酸素センサ本体は、前記導尿口内に位置していてもよい。
【0058】
このような構成によれば、導尿口から流入する尿に酸素センサ本体を接触させることができる。
【0059】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記シャフトには、前記伝送部が配設されるセンサルーメンが形成され、前記尿路は、前記シャフトの軸線方向に延在した導尿ルーメンと、前記導尿ルーメンに連通してセンサルーメンの先端方向に設けられた側方導尿ルーメンと、を有し、前記酸素センサは、前記酸素センサ本体が前記導尿ルーメン内に位置するように前記側方導尿ルーメン内に延在していてもよい。
【0060】
このような構成によれば、伝送部がセンサルーメンに配設されているため、伝送部によって導尿ルーメン内の尿の流通が阻害されることを抑えることができる。これにより、尿路内の尿を円滑に流通させることができる。また、酸素センサ本体を導尿ルーメン内の尿に効率的に接触させることができる。
【0061】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記酸素センサ本体は、前記伝送部が前記側方導尿ルーメンから前記導尿ルーメンに向かって基端側に折り返されることによって前記導尿口の基端側に位置し、前記シャフトの先端には、前記尿路を構成する内腔の先端開口部が形成され、前記尿道カテーテルは、前記先端開口部に嵌合された閉塞部を有し、前記閉塞部は、前記伝送部のうち折り返された部位を保持してもよい。
【0062】
このような構成によれば、酸素センサ本体を導尿口から導尿ルーメン内に導入した尿に効率的に接触させることができる。また、閉塞部で伝送部を保持することができるため、酸素センサ本体が導尿ルーメン内で位置ずれすることを抑えることができる。
【0063】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記酸素センサを前記シャフトに対して固定する固定部を備え、前記固定部は、前記酸素センサ本体が前記尿路内を流通する前記尿に接触するように前記酸素センサ本体を前記尿路内に保持してもよい。
【0064】
このような構成によれば、固定部によりシャフトに対する酸素センサ本体の変位を抑えることができるため、酸素センサの測定精度を向上させることができる。
【0065】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記固定部は、前記尿路内又は前記尿路外に位置していてもよい。
【0066】
このような構成によれば、固定部が尿路内に位置する場合には酸素センサ本体を尿路内に容易に保持させることができる。また、固定部が尿路外に位置する場合には固定部により尿路内の尿の流通が阻害されることを抑えることができる。
【0067】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記固定部は、前記尿路内の先端側に位置していてもよい。
【0068】
このような構成によれば、固定部によりシャフトに対する酸素センサ本体の変位を抑えることができるため、酸素センサの測定精度を向上させることができる。
【0069】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記固定部は、前記シャフトに設けられた支持部と、前記酸素センサに固着された状態で前記支持部に係合する係合部と、を有していてもよい。
【0070】
このような構成によれば、簡易な構成で酸素センサをシャフトに対して固定することができる。
【0071】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記酸素センサは、前記酸素センサ本体に電気的及び/又は光学的に接続された伝送部を有し、前記シャフトには、前記伝送部が配設されたセンサルーメンが設けられ、前記固定部は、前記センサルーメンを構成する内面に対して前記伝送部を固定してもよい。
【0072】
このような構成によれば、伝送部によって尿路内の尿の流通が阻害されることを抑えることができるため、膀胱内の尿を尿路内に円滑に流通させることができる。
【0073】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記固定部のうち前記尿路に露出する面には、凹部が設けられ、前記酸素センサ本体は、前記凹部内に位置していてもよい。
【0074】
このような構成によれば、尿路内を流通する尿を酸素センサ本体により確実に接触させることができる。
【0075】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記固定部は、前記尿路から前記センサルーメンにおける前記固定部よりも基端側への前記尿の流入が阻止されるように前記センサルーメンを構成する内面に液密に接触していてもよい。
【0076】
このような構成によれば、尿路内に尿を効率的に流通させることができる。
【0077】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記酸素センサは、前記酸素センサ本体に電気的及び/又は光学的に接続された伝送部を有し、前記固定部は、前記尿路を構成する内面に対して前記伝送部を固定してもよい。
【0078】
このような構成によれば、簡易な構成で酸素センサをシャフトに対して固定することができる。
【0079】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記固定部は、前記尿路のうち前記固定部と対向する内面から離間していてもよい。
【0080】
このような構成によれば、尿路内の尿を円滑に流通させることができる。
【0081】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記固定部は、前記尿路内において前記伝送部を被覆していてもよい。
【0082】
このような構成によれば、尿路内に尿を一層円滑に流通させることができる。
【0083】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記シャフトには、前記酸素センサが配設されたセンサルーメンが設けられていてもよい。
【0084】
このような構成によれば、酸素センサによって尿路内の尿の流通が阻害されることを抑えることができるため、尿路内の尿を円滑に流通させることができる。
【0085】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記酸素センサは、前記酸素センサ本体に電気的に接続された伝送部を有し、前記酸素センサ本体は、前記尿路内に位置し、前記伝送部は、前記センサルーメン内に位置していてもよい。
【0086】
このような構成によれば、尿路内を流通する尿を酸素センサ本体に確実に接触させることができるとともに伝送部によって尿路内の尿の流通が阻害されることを抑えることができる。
【0087】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記センサルーメンを構成する内面に対して前記伝送部を固定する固定部が設けられ、前記センサルーメンは、前記シャフトの軸線方向に沿って延在し、前記固定部は、前記センサルーメンの先端部に前記酸素センサを挿通させた状態で当該先端部が封止されるように設けられていてもよい。
【0088】
このような構成によれば、酸素センサ本体のシャフトに対する位置ずれを抑えることができる。また、固定部によって尿路内の尿の流通が阻害されることを抑えることができる。さらに、酸素センサ本体の周囲を尿で満たすことができるため、尿路内を流通する尿を酸素センサ本体により確実に接触させることができる。
【0089】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記センサルーメンは、前記尿路よりも前記シャフトの軸線方向に短くてもよい。
【0090】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記センサルーメンは、前記酸素センサ本体を前記尿路内に位置させるための開口部を有していてもよい。
【0091】
このような構成によれば、伝送部をセンサルーメンに配設させつつ酸素センサ本体を尿路内に配設させることができる。
【0092】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記固定部には、前記酸素センサが挿通する挿通孔が設けられ、前記挿通孔の先端は、前記導尿口の近傍に位置していてもよい。
【0093】
このような構成によれば、酸素センサ本体を導尿口の近傍に容易に位置させることができる。
【0094】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記尿路は、前記センサルーメンに並設された導尿ルーメンを有し、前記挿通孔は、前記導尿ルーメン側に位置していてもよい。
【0095】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記挿通孔は、前記固定部のうち前記導尿ルーメン側の外面に設けられていてもよい。
【0096】
このような構成によれば、酸素センサ本体を導尿ルーメン側に位置させることができる。
【0097】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記開口部の開口面積は、前記導尿口の開口面積よりも小さくてもよい。
【0098】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記開口部は、前記導尿口よりも基端側に位置していてもよい。
【0099】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記尿路は、前記シャフトの軸線方向に沿って延在しており、前記導尿口が位置する第1尿路部と、前記第1尿路部から基端側に延出した第2尿路部と、を有し、前記第1尿路部の流路断面積は、前記第2尿路部の流路断面積よりも大きくてもよい。
【0100】
このような構成によれば、膀胱内の尿を導尿口から第1尿路部内へ効率的に流入させることができる。
【0101】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記酸素センサ本体は、前記第1尿路部内に位置していてもよい。
【0102】
このような構成によれば、膀胱内から導尿口を介して第1尿路部内に流入した尿を酸素センサ本体に確実に接触させることができる。
【0103】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記酸素センサ本体は、前記第2尿路部内に位置していてもよい。
【0104】
このような構成によれば、排尿量が比較的少ない場合であっても第2尿路部内を流通する尿を酸素センサ本体に確実に接触させることができる。
【0105】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記シャフトの先端部の前記第2尿路部の流路断面積は、前記シャフトの基端部の第2尿路部の流路断面積より小さくてもよい。
【0106】
このような構成によれば、第2尿路部内の尿をシャフトの基端に向かって円滑に流通させることができる。
【0107】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記シャフトには、前記第2尿路部に並行に設けられ、且つ前記酸素センサが配設されたセンサルーメンが設けられていてもよい。
【0108】
このような構成によれば、酸素センサによって尿路内の尿の流通が阻害されることを抑えることができるため、膀胱内の尿を尿路内に円滑に流通させることができる。
【0109】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記酸素センサ本体は、前記尿路内において前記導尿口の先端側又は基端側に隣接していてもよい。
【0110】
このような構成によれば、導尿口から尿路内に流入した尿を酸素センサ本体に確実に接触させることができる上、導尿口の位置でシャフトが座屈した場合であっても酸素センサ本体が破損することを抑えることができる。
【0111】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記酸素センサ本体は、前記導尿口に対して前記シャフトの軸線方向と直交する方向に位置していてもよい。
【0112】
このような構成によれば、導尿口から尿路に流入した尿を酸素センサ本体に効率的に接触させることができる。
【0113】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記シャフトには、当該シャフトの軸線方向に沿って延在して前記酸素センサが配設されるセンサルーメンが設けられ、前記導尿口は、前記シャフトの軸線よりも前記センサルーメンが位置する側にずれて位置するように設けられていてもよい。
【0114】
このような構成によれば、酸素センサ本体を導尿口に対して容易に隣接させることができる。
【0115】
上記の酸素測定デバイスにおいて、前記導尿口における前記シャフトの軸線方向の中心は、前記シャフトのうち前記センサルーメンよりも先端側に位置する部位に設けられていてもよい。
【0116】
このような構成によれば、膀胱内から導尿口を介して尿路に流入した尿を酸素センサ本体に確実に接触させることができる。
【0117】
本発明によれば、尿路を流通する尿に酸素センサ本体を接触させることができるため、腎臓から膀胱内を経由して体外に排出される新しい尿中の酸素を精度よく且つ確実に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る酸素測定デバイスを備えた酸素測定システムの概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図1に示す酸素測定デバイスの一部省略縦断面図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿った一部省略縦断面図である。
【
図4】
図2に示す閉塞部及び酸素センサ本体の斜視図である。
【
図6】
図1に示すモニタ本体部を説明するブロック図である。
【
図7】酸素測定システムの使用方法を説明する模式図である。
【
図8】酸素測定システムの使用方法を説明する第1のフローチャートである。
【
図9】酸素測定システムの使用方法を説明する第2のフローチャートである。
【
図10】モニタに表示される酸素測定システムの測定結果を示した第1の図である。
【
図11】
図11Aは、モニタに表示される酸素測定システムの測定結果を示した第2の図であり、
図11Bは、モニタに表示される酸素測定システムの測定結果を示した第3の図である。
【
図12】閉塞部及び酸素センサ本体の他の構成を示す斜視図である。
【
図13】
図13Aは、第1変形例に係る酸素測定デバイスの一部省略縦断面図であり、
図13Bは、
図13AのXIIIB-XIIIB線に沿った横断面図である。
【
図14】
図14Aは、第2変形例に係る酸素測定デバイスの一部省略縦断面図であり、
図14Bは、第3変形例に係る酸素測定デバイスの一部省略縦断面図である。
【
図15】
図15Aは、
図14Bに示す酸素測定デバイスを構成する閉塞部及び酸素センサ本体の斜視図であり、
図15Bは、当該閉塞部の別の角度からの斜視図である。
【
図17】
図17Aは、第5変形例に係る酸素測定デバイスの一部省略縦断面図であり、
図17Bは、
図17AのXVIIB-XVIIB線に沿った横断面図である。
【
図18】
図18Aは、第6変形例に係る酸素測定デバイスの一部省略縦断面図であり、
図18Bは、
図18AのXVIIIB-XVIIIB線に沿った横断面図である。
【
図22】
図22Aは、第9変形例に係る酸素測定デバイスの一部省略縦断面図であり、
図22Bは、
図22AのXXIIB-XXIIB線に沿った縦断面図である。
【
図24】
図24Aは、第10変形例に係る酸素測定デバイスの一部省略縦断面図であり、
図24Bは、当該酸素測定デバイスの構成例を示す縦断面図である。
【
図25】
図24Aに示す酸素測定デバイスの他の構成例を示す縦断面図である。
【
図26】本発明の第2実施形態に係る酸素測定デバイスを備えた酸素測定システムの概略構成を示す模式図である。
【
図27】
図26に示す酸素測定デバイスの一部省略縦断面図である。
【
図28】
図27のXXVIII-XXVIII線に沿った縦断面図である。
【
図30】
図27の酸素測定デバイスの第1構成例を説明する断面図である。
【
図31】
図27の酸素測定デバイスの第2構成例を説明する断面図である。
【
図32】
図27の酸素測定デバイスの第3構成例を説明する断面図である。
【
図33】
図32のXXXIII-XXXIII線に沿った縦断面図である。
【
図34】
図27の酸素測定デバイスの第4構成例を説明する断面図である。
【
図35】
図27の酸素測定デバイスの第5構成例を説明する断面図である。
【
図45】
図45Aはシャフトの第1構成例を説明する断面図であり、
図45Bはシャフトの第2構成例を説明する断面図であり、
図45Cはシャフトの第3構成例を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0119】
以下、本発明に係る酸素測定デバイスについて酸素測定システムとの関係で好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0120】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る酸素測定システム12は、腎臓の状態を予測するために、腎臓から膀胱140内に排出された尿中の酸素分圧(酸素濃度)を測定するためのものである。
【0121】
図1に示すように、酸素測定システム12は、尿道カテーテル18aを有する酸素測定デバイス10A、蓄尿バッグ14(蓄尿容器)及びモニタリングシステム16を備えている。なお、以下の説明において、
図2における尿道カテーテル18aの右側を「基端側」、尿道カテーテル18aの左側を「先端側」と呼び、他の各図についても同様とする。
【0122】
図1及び
図2に示すように、酸素測定デバイス10Aは、尿道カテーテル18a及び酸素センサ20aを備える。尿道カテーテル18aは、使用時に生体内に留置され、膀胱140(
図7参照)内の尿を体外に配置した蓄尿バッグ14へと排尿するための医療機器である。尿道カテーテル18aは、可撓性を有する中空状のシャフト22aと、シャフト22aの最先端に設けられた閉塞部23a(先端キャップ)と、シャフト22aの先端部に設けられたバルーン24と、シャフト22aの基端部に設けられたハブ26とを備えている。
【0123】
シャフト22aは、細径で長尺なチューブである。シャフト22aは、尿道144(
図7参照)を通じて尿道カテーテル18aの先端部を膀胱140内まで円滑に挿通させることを可能にするため、適度な可撓性と適度な剛性を有する。シャフト22aの構成材料としては、例えば、シリコーン又はラテックス等のゴム、その他エラストマー、塩化ビニル、ポリウレタン、プラスチックチューブ等が挙げられる。
【0124】
図2及び
図3に示すように、シャフト22aには、膀胱140内の尿をシャフト22a内に流入させる2つの導尿口28aと、導尿口28aに連通してシャフト22aの全長に亘って延在した内腔30と、バルーン24の拡張用流体を流通させるための拡張用ルーメン32とが形成されている。
【0125】
各導尿口28aは、シャフト22aの外周面のうちバルーン24よりも先端側の部位に開口している。2つの導尿口28aは、互いに対向する位置に設けられている。導尿口28aは、シャフト22aの長手方向に延在した長孔である。具体的には、導尿口28aは、長方形の各短辺を円弧状に外側に突出させた形状(楕円に近い形状)に形成されている(
図2参照)。導尿口28aの形状、大きさ、位置、数は、任意に設定可能である。
【0126】
シャフト22aの先端面には、内腔30の先端開口部34が形成されている。内腔30の先端開口部34は、閉塞部23aによって閉塞されている。閉塞部23aは、シャフト22aと同様の材料で構成されている。
図2~
図4に示すように、閉塞部23aは、シャフト22aよりも先端側に膨出した先端膨出部36と、先端膨出部36の基端面36aから基端方向に突出して内腔30の先端開口部34に液密に嵌合した突出部38とを有する。先端膨出部36の外面は、回転楕円体の部分曲面として構成されている。先端膨出部36の基端面36aは、平坦に形成されている。突出部38は、直方体状に形成されている。
【0127】
図2及び
図3において、閉塞部23aは、接着剤40によってシャフト22aに対して固定されている。接着剤40は、先端膨出部36の基端面36aとシャフト22aの先端面58aとの間と、突出部38と内腔30の先端開口部34を構成する壁面との間に注入されている。なお、接着剤40は、拡張用ルーメン32の先端を封止している。突出部38の突出端面38aの高さ方向(短手方向)の両側に位置する2つの側面38bのそれぞれには、係止溝41が全幅に亘って形成されている(
図4参照)。
【0128】
シャフト22aの内腔30のうち閉塞部23aよりも基端側は、導尿ルーメン42として機能する。導尿ルーメン42は、シャフト22aの軸線Axが導尿ルーメン42内に位置するように設けられている。導尿ルーメン42は、横断面が四角形状に形成されている(
図5参照)。ただし、導尿ルーメン42の横断面は、任意の形状を採用し得る。
【0129】
図3に示すように、シャフト22aの壁部内には、温度センサ44が埋設されている。温度センサ44は、膀胱140(
図7参照)内の温度を検出するための温度センサ本体46(温度プローブ)と、温度センサ本体46に電気的に接続された温度用伝送部48とを有している。温度センサ本体46は、シャフト22aの軸線方向において導尿口28aと同じ位置にある。温度センサ本体46は、熱電対、測温抵抗体又はサーミスタを含んでいる。温度センサ44は、膀胱140(
図7参照)内の尿の温度を検出することができる。なお、温度センサ本体46は、導尿ルーメン42内に配置されていてもよい。この場合、尿路74内を流通する尿中の温度を精度よく検出することができる。
【0130】
導尿ルーメン42内には、酸素センサ20aが設けられている。酸素センサ20aは、いわゆる蛍光式(光学式)の酸素センサとして構成されており、尿中の酸素を検出可能な酸素センサ本体50aと、酸素センサ本体50aとは別体に形成されて導尿ルーメン42内に配設された伝送部52(光ファイバ58)とを有している。酸素センサ20aは、酸素センサ本体50aが導尿ルーメン内を流通する尿に接触するように尿道カテーテル18aに固定されている。
【0131】
酸素センサ本体50aは、基板54a(基部)と、基板54aの片方の面の略全体に塗布された蛍光体56とを有する。基板54aは、光ファイバ58からの励起光と蛍光体56からの蛍光とが透過可能な材料で構成されている。このような基板54aは、例えば、ガラス又はポリエチレン等で構成されている。基板54aは、突出部38の幅寸法と同じ幅寸法を有しており、蛍光体56の少なくとも一部が導尿ルーメン42内に位置するように突出部38に設けられている。具体的には、基板54aは、略U字状に折り曲げられた状態で突出部38の突出端面38aと2つの側面38bとを覆っている。基板54aの延在方向の各端部は、折り曲げられて各係止溝41に嵌合されている。
【0132】
蛍光体56は、光ファイバ58からの励起光が照射されることによって蛍光を発する材料で構成されている。具体的には、蛍光体56を構成する材料としては、白金ポルフィリン、ルテニウム錯体、ピレン誘導体、等が挙げられる。蛍光体56には、外乱光を遮断するコーティングが施されている。ただし、蛍光体56には、このようなコーティングを施さなくてもよい。
【0133】
伝送部52は、光ファイバ58であって、蛍光体56に励起光を照射可能且つ蛍光体56からの蛍光を受光可能であって、光ファイバ58の先端面58aが蛍光体56に対して位置決めされた状態で尿道カテーテル18aに固定されている。光ファイバ58としては、ガラス製光ファイバ又はプラスチック製光ファイバが用いられる。光ファイバ58は、コアが露出している先端面58aが蛍光体56に離間して対向するように固定部60によってシャフト22aに固定されている。
【0134】
固定部60は、導尿ルーメン42を構成する壁面に設けられて光ファイバ58の先端部が挿入された挿入孔62が形成されたファイバ支持部64と、導尿ルーメン42を構成する壁面に光ファイバ58を固定する接着剤66とを有する。接着剤66は、シャフト22aの外面に形成された貫通孔68を封止する。接着剤66は、光ファイバ58からの光と蛍光体56からの蛍光とを透過可能な材料で構成されている。そのため、接着剤66が光ファイバ58の先端面58aと基板54aとの間に入り込んだ場合であっても、光ファイバ58からの励起光を蛍光体56に照射するとともに蛍光体56からの蛍光を光ファイバ58で受光することができる。シャフト22aの軸線方向において、光ファイバ58の先端面58aの位置は、導尿口28aの先端方向の端部の位置と略同じである。
【0135】
バルーン24は、内圧の変化により拡張及び収縮が可能である。つまり、バルーン24は、バルーン24内に拡張用流体が導入されることにより拡張し、バルーン24内から拡張用流体が導出されることにより収縮する。なお、
図1では、拡張状態のバルーン24が示されている。
【0136】
ハブ26は、シャフト22aと同様の材料もしくは樹脂材料により中空状に一体的に成形されている。ハブ26には、導尿ルーメン42に連通する排尿ポート70と、拡張用ルーメン32に連通するバルーン拡張用ポート72とが設けられている。導尿ルーメン42及び排尿ポート70は、尿道カテーテル18aの尿の排出流路としての尿路74を構成する。排尿ポート70を構成する壁面には、排尿ポート70を流通する尿の流量を検出可能な流速センサ76が設けられている。すなわち、流速センサ76は、排尿ポート70内を流通する尿に接触するように、もしくは壁面内近傍に設けられている。バルーン拡張用ポート72は、拡張用ルーメン32を介して拡張用流体をバルーン24内に圧送するための図示しない圧力印加装置が接続可能に構成されている。またバルーン拡張用ポート72は、圧力印加装置が接続されると開通し、分離されると閉塞する図示しないバルブ構造を含んでいる。ハブ26は、モニタリングシステム16のケーブルコネクタ90が着脱可能に構成されている。
【0137】
図1に示すように、蓄尿バッグ14は、いわゆる閉鎖式の蓄尿バッグとして構成されており、バッグ本体78と、尿道カテーテル18a内の尿をバッグ本体78内に導くための導尿チューブ80と、バッグ本体78内の尿を排出するための排尿部82とを有している。このような蓄尿バッグ14は、樹脂材料等によって一体的に構成されている。ただし、蓄尿バッグ14は、分離式のバッグでもよい。
【0138】
図1及び
図2に示すように、モニタリングシステム16は、ハブ26に着脱可能なケーブルコネクタ90と、ケーブルコネクタ90に連結された長尺な伝送ケーブル92と、伝送ケーブル92に連結されたモニタ本体部94とを有する。ケーブルコネクタ90には、伝送部52に光学的に接続された酸素用ケーブル96と、温度用伝送部48に電気的に接続された温度用ケーブル98と、流速センサ76に電気的に接続された流量用ケーブル100とが設けられている。酸素用ケーブル96は、光ファイバであって、温度用ケーブル98及び流量用ケーブル100は電線である。酸素用ケーブル96、温度用ケーブル98及び流量用ケーブル100は、伝送ケーブル92で1つにまとめられてモニタ本体部94まで延在している。
【0139】
伝送ケーブル92は、導尿チューブ80に沿うように配設され、複数の係止部材102(結束バンド)によって導尿チューブ80に対して係止されている。これにより、酸素測定デバイス10Aの使用時に導尿チューブ80及び伝送ケーブル92が邪魔になることを抑えることができる。
【0140】
図6に示すように、モニタ本体部94は、発光部104、受光部106、A/D変換器108、開始ボタン110、停止ボタン112、モニタ114及び制御部116を備える。
【0141】
発光部104は、例えば、発光ダイオードであって、酸素用ケーブル96に所定波長の励起光を発光する。受光部106は、例えば、フォトダイオードであって、酸素用ケーブル96から伝送された蛍光が入射される。A/D変換器108は、受光部106の受光信号をデジタル値に変換して制御部116に出力する。
【0142】
開始ボタン110は、尿中の酸素分圧の測定を開始するためのボタンである。停止ボタン112は、尿中の酸素分圧の測定を停止するボタンである。また、モニタ本体部94には、図示しない電源ボタン等も設けられている。
【0143】
モニタ114は、制御部116で算出された尿中の酸素分圧を表示可能に構成されている。モニタ114は、いわゆるフルドット液晶タイプのディスプレイであって、所定の情報をカラーで表示することができる。モニタ114は、タッチパネル機能を備えており、所定の情報を入力する入力部としても機能する。モニタ114による入力形式は、タッチパネル式以外にもマウスカーソール式、タッチペン式、タッチパッド式等のポインティングデバイスが利用可能である。なお、モニタ本体部94に対する情報の入力は、モニタ114による入力に限定されず、入力ボタン等によって入力してもよい。
【0144】
制御部116は、記憶部118と各種機能実現部とを備える。なお、機能実現部は、CPU(中央処理ユニット)が記憶部118に記憶されているプログラムを実行することにより機能が実現されるソフトウエア機能部であるが、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路からなるハードウエア機能部により実現することもできる。記憶部118は、書き込み可能な不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ)を備えており、モニタ114を介して入力された情報や制御部116で算出された情報等を記憶することができる。
【0145】
制御部116は、記憶部118、酸素分圧算出部120、尿量算出部122、流速算出部123、流速判定部124、尿量条件設定部126、尿量判定部128及び表示制御部130を有する。また、制御部116は、温度センサ44の出力信号が入力される図示しない温度入力部と、流速センサ76の出力信号が入力される図示しない流速入力部を備える。
【0146】
酸素分圧算出部120は、酸素センサ20aの出力信号と温度センサ44の出力信号とに基づいて尿中の酸素分圧を算出する。尿量算出部122は、流速センサ76の出力信号に基づいて尿量を算出する。流速算出部123は、流速センサ76からの出力信号に基づいて尿路74内の尿の流速を算出する。
【0147】
尿量条件設定部126は、所定の尿量条件を設定する。具体的に、尿量条件設定部126は、第1尿量判定値及び第2尿量判定値を設定する。第1尿量判定値は、例えば、急性腎障害(AKI)の第1ステージ及び第2ステージの判定に用いられる第1尿量基準値(0.5ml/kg/h)に患者の体重を乗算することによって算出される。第2尿量判定値は、急性腎障害の第3ステージの判定に用いられる第2尿量基準値(0.3ml/kg/h)に患者の体重を乗算することによって算出される。ただし、尿量条件設定部126は、任意の条件を設定することができる。尿量判定部128は、尿量算出部122によって算出された尿量が所定の尿量条件に合致するか否かを判定する。
【0148】
表示制御部130は、流速センサ76の出力信号に基づいて取得された尿の流速に応じてモニタ114に表示される酸素分圧の表示形式を変化させる。具体的に、表示制御部130は、流速判定部124にて尿の流速が所定値以上(基準流速V0以上)であると判定された場合にモニタ114に酸素分圧を第1表示形式で表示させ、流速判定部124にて尿の流速が所定値未満(基準流速V0未満)であると判定された場合にモニタ114に酸素分圧を第1表示形式とは異なる第2表示形式で表示させる。表示制御部130は、酸素分圧の時間変化を示すグラフをモニタ114に表示させる。表示制御部130は、尿量判定部128にて尿量が尿量条件に合致すると判定された場合にその旨をモニタ114に表示させる。
【0149】
次に、尿道カテーテル18aに対する酸素センサ20aの組み付けについて説明する。
図2~
図5に示すように、本実施形態では、光ファイバ58を導尿ルーメン42内に配設し、その先端をファイバ支持部64の挿入孔62に挿入する。そして、貫通孔68を介してシャフト22aの外側から接着剤66を注入することにより、光ファイバ58をシャフト22aに対して固定する。また、酸素センサ本体50aの基板54aをU字状に折り曲げた状態でその両端部を突出部38の各係止溝41に係止させる。そして、シャフト22aの先端面58a及び先端開口部34を構成する壁面に接着剤66を塗布した状態で、酸素センサ本体50aが保持された閉塞部23aをシャフト22aの先端開口部34に嵌合する。そうすると、閉塞部23aがシャフト22aに対して固定され、酸素センサ本体50aがシャフト22aに対して固定される。これにより、蛍光体56と光ファイバ58の先端面58aとを精度よく位置決めすることができる。
【0150】
次に、酸素測定デバイス10Aの使用について説明する。
【0151】
図7及び
図8に示すように、まず準備工程を行う(
図8のステップS1)。準備工程では、尿道カテーテル18aの先端部を膀胱140内に留置する。具体的には、潤滑ゼリーを塗布したシャフト22aの先端を患者の尿道口142から尿道144へ挿入し、導尿口28a及びバルーン24が膀胱140内に配置された状態とする。なお、図示しないスタイレットをシャフト22aの導尿ルーメン42に挿入して、シャフト22aに十分な剛性を付与することで、尿道カテーテル18aを膀胱140内に挿入しやすくしてもよい。
【0152】
その後、バルーン拡張用ポート72から拡張用ルーメン32(
図2参照)へ図示しない圧力印加装置から拡張用流体を圧送することにより、バルーン24を拡張させる。これにより、尿道カテーテル18aの体内からの抜け止めがなされ、シャフト22aにおけるバルーン24よりも先端側が膀胱140内に留置される。なお、
図7中の参照符号146は恥骨であり、参照符号148は前立腺であり、参照符号150は外尿道括約筋である。
【0153】
尿道カテーテル18aの先端部が膀胱140内に留置されると、尿道カテーテル18aを介して蓄尿バッグ14へと膀胱140内の尿を排尿させることができる。この際、尿道カテーテル18aでは、膀胱140内の尿は、導尿口28aから尿路74に流入する。
【0154】
また、ユーザは、患者の体重をモニタ本体部94に入力する(ステップS2)。そうすると、尿量条件設定部126は、入力された患者の体重に基づいて第1尿量判定値及び第2尿量判定値を算出する(ステップS3)。
【0155】
その後、ユーザは、開始ボタン110を操作する(ステップS4)。これにより、尿中の酸素分圧の測定が開始される。開始ボタン110が操作されると、停止ボタン112が操作されるまで尿中の酸素分圧の測定が連続的又は間欠的(例えば、5分毎)に行われる。
【0156】
具体的に、制御部116は、各種データを取得する(ステップS5)。すなわち、制御部116は、温度センサ44の出力信号と流速センサ76の出力信号を取得する。また、制御部116は、発光部104を制御して所定波長の励起光を発光させる。そうすると、発光部104から発光された励起光は、酸素用ケーブル96を介して光ファイバ58に伝送され、光ファイバ58の先端面58aから酸素センサ本体50aの蛍光体56に照射される。励起光が照射された蛍光体56は、基底状態から励起状態に遷移し、蛍光を放射しながら基底状態に戻る。この際、蛍光体56の周囲に酸素分子が存在すると、相互作用により励起エネルギーが酸素分子に奪われ、蛍光発光の強度が減少する。この現象は、消光現象と呼ばれ、蛍光発光の強度は酸素分子濃度に反比例する。蛍光体56の蛍光は、光ファイバ58の先端面58aから入射され、光ファイバ58及び酸素用ケーブル96を介して受光部106に導かれる。受光部106の受光信号は、A/D変換器108によってデジタル信号に変換されて制御部116に入力される。これにより、酸素センサ20aの出力信号が取得される。
【0157】
その後、酸素分圧算出部120は、酸素センサ20aの出力信号(A/D変換器108の出力信号)と温度センサ44の出力信号とに基づいて尿中の酸素分圧を算出する(ステップS6)。また、流速判定部124は、流速センサ76の出力信号に基づいて取得された尿の流速Vが所定値(基準流速V0)以上であるか否かを判定する(ステップS7)。基準流速V0は、予め記憶部118に記憶されていている。
【0158】
流速判定部124にて流速Vが基準流速V0以上であると判定された場合(ステップS7:YES)、表示制御部130は、算出された酸素分圧が第1表示形式でモニタ114に表示されるように設定する(ステップS8)。一方、流速判定部124にて流速Vが基準流速V0未満であると判定された場合(ステップS7:NO)、表示制御部130は、算出された酸素分圧が第2表示形式でモニタ114に表示されるように設定する(ステップS9)。
【0159】
続いて、尿量判定制御(ステップS10)が行われる。
図9に示すように、この尿量判定制御(ステップS10)では、まず、尿量算出部122は、尿量及びその積算値を算出する(ステップS20)。すなわち、尿量算出部122は、流速センサ76の出力信号に基づいて尿量を算出する。算出された尿量は、記憶部118に記憶される。そして、尿量算出部122は、記憶部118に記憶されている尿量に今回の測定で算出された尿量を加算することにより尿量の積算値を算出する。尿量の積算値は、記憶部118に記憶される。
【0160】
その後、尿量算出部122は、尿量の積算値に基づいて単位時間当たり(例えば、1時間当たり)の尿量を算出する(ステップS21)。続いて、尿量判定部128は、単位時間当たりの尿量が尿量条件に合致するか否かを判定する(ステップS22)。
【0161】
具体的に、尿量判定部128は、AKIの第1~第3ステージのいずれかに該当するか否かを判定する。すなわち、尿量判定部128は、単位時間当たりの尿量が第1尿量判定値未満である状態が6時間以上継続している場合には第1ステージに合致すると判定する。また、尿量判定部128は、単位時間当たりの尿量が第1尿量判定値未満である状態が12時間以上継続している場合には第2ステージに合致すると判定する。さらに、尿量判定部128は、単位時間当たりの尿量が第2尿量判定値未満である状態が24時間以上継続しているか又は尿量が無い状態が12時間以上継続している場合には第3ステージに合致すると判定する。
【0162】
表示制御部130は、尿量判定部128がAKIの第1~第3ステージのいずれかに合致すると判定した場合(ステップS22:YES)、尿量条件に合致する旨(第1~第3ステージである旨)がモニタ114に表示されるよう設定し(ステップS23)、
図8のステップS11の処理に進む。一方、表示制御部130は、尿量判定部128がAKIの第1~第3ステージのいずれにも合致しないと判定した場合(ステップS22:NO)、
図8のステップS11の処理に進む。
【0163】
その後、ステップS11において、表示制御部130は、各種情報をモニタ114に表示させる。具体的に、
図10に示すように、表示制御部130は、例えば、酸素分圧、膀胱内温度、尿量、尿量の積算値を数値でモニタ114に表示させるとともに酸素分圧の時間変化及び膀胱内温度の時間変化をグラフでモニタ114に表示させる。また、表示制御部130は、尿量判定制御においてAKIの第1~第3ステージのいずれかに該当すると判定されている場合(ステップS22:YES)にはその旨をモニタ114に表示させる。なお、表示制御部130は、尿量判定制御において、AKIの第1~第3ステージのいずれにも該当しないと判定されている場合(ステップS22:NO)にはAKIをモニタ114に表示させない。
【0164】
図10の例では、酸素分圧は、38mmHg、膀胱内温度は37.4℃、単位時間当たりの尿量は25.1mL/h、積算尿量は532ml、AKIは第1ステージと表示されている。また、酸素分圧の時間変化は棒グラフで表示され、膀胱内温度の時間変化は折れ線グラフで表示されている。つまり、横軸は時間、一方の縦軸は酸素分圧(mmHg)、他方の縦軸は温度(℃)となっている。また、棒グラフにおいて、塗り潰されている部分が酸素分圧を第1表示形式で表示した部分であり、塗り潰されていない部分が酸素分圧を第2表示形式で表示した部分である。つまり、棒グラフにおいて、塗り潰されている部分の酸素分圧は尿の流速Vが基準流速V0以上である時の尿中の酸素分圧であり、塗り潰されていない部分の酸素分圧は尿の流速Vが基準流速V0未満である時の尿中の酸素分圧である。
【0165】
酸素分圧の第1表示形式及び第2表示形式は、
図10の例に限定されない。例えば、棒グラフにおいて、第1表示形式を塗り潰されていない状態で表示し、第2表示形式を塗り潰されている状態で表示してもよい。
【0166】
また、
図11Aに示すように、表示制御部130は、酸素分圧の時間変化を折れ線グラフでモニタ114に表示させてもよい。この場合、折れ線グラフにおいて、太線部分が酸素分圧を第1表示形式で表示した部分であり、細線部分が酸素分圧を第2表示形式で表示した部分である。ただし、第1表示形式を細線で表示し、第2表示形式を太線で表示してもよい。
【0167】
さらに、
図11Bに示すように、折れ線グラフにおいて、酸素分圧の値を示す線分よりも下側が塗り潰されている部分を酸素分圧の第1表示形式とし、下側が塗り潰されていない部分を酸素分圧の第2表示形式としてもよい。ただし、第1表示形式を下側が塗り潰されていない状態で表示し、第2表示形式を下側が塗り潰されている状態で表示してもよい。
【0168】
その後、制御部116は、停止ボタン112が操作されたか否かを判定する(ステップS12)。停止ボタン112が操作されていない場合(ステップS12:NO)、ステップS5以降の処理を行う。一方、停止ボタン112が操作された場合(ステップS12:YES)、制御部116は、酸素測定の動作を停止する(ステップS13)。すなわち、発光部104の励起光の発光を停止させる。この段階で、今回のフローチャートの酸素測定処理が終了する。
【0169】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0170】
酸素測定デバイス10Aは、可撓性を有する中空状のシャフト22aを含む尿道カテーテル18aと、尿中の酸素を検出可能な酸素センサ本体50aを有する酸素センサ20aと、を備える。シャフト22aには、膀胱140内の尿を流入させる導尿口28aと、導尿口28aに連通して尿が流通する尿路74と、が設けられている。酸素センサ20aは、酸素センサ本体50aが尿路74内を流通する尿に接触するように尿道カテーテル18aに設けられている。
【0171】
これにより、尿路74を流通する尿に酸素センサ本体50aを接触させることができるため、腎臓から膀胱140内を経由して体外に排出される新しい尿中の酸素を精度よく且つ確実に測定することができる。
【0172】
酸素センサ20aは、蛍光体56と蛍光体56が塗布された基板54aとを有する酸素センサ本体50aと、酸素センサ本体50aとは別体に形成された光ファイバ58と、を有する。酸素センサ本体50aは、蛍光体56の少なくとも一部が尿路74内の尿に接触するように尿道カテーテル18aに固定され、光ファイバ58は、蛍光体56に励起光を照射可能且つ蛍光体56からの蛍光を受光可能なように光ファイバ58の先端面58aが蛍光体56に対して位置決めされた状態で尿道カテーテル18aに固定されている。これにより、蛍光体56を有する酸素センサ本体50aと光ファイバ58とを別々に製造して尿道カテーテル18aに組み込み、尿中の酸素を測定することができる。
【0173】
シャフト22aの先端には、尿路74を構成する内腔30の先端開口部34が形成されている。尿道カテーテル18aは、先端開口部34に嵌合された閉塞部23aを有し、酸素センサ本体50aは、閉塞部23aに固定されている。この場合、酸素センサ本体50aが固定された閉塞部23aをシャフト22aの先端側から先端開口部34に嵌合することにより、酸素センサ本体50aをシャフト22aに対して精度よく容易且つ確実に組み込むことができる。
【0174】
光ファイバ58は、光ファイバ58の先端面58aが尿路74内に位置するとともに蛍光体56に対向するようにシャフト22aに固定されている。これにより、光ファイバ58からの励起光を蛍光体56に効率的に照射することができるとともに蛍光体56からの蛍光を光ファイバ58で効率的に受光することができる。
【0175】
本実施形態では、蛍光体56が突出部38の突出端面38aの略全体を覆っているため、蛍光体56に対する光ファイバ58の位置決めを容易に行うことができる。また、光ファイバ58を固定する際に、シャフト22aの外面に形成された貫通孔68から接着剤66を注入することができるため、組立性を向上させるとともに、光ファイバ58の先端面58aが接着剤66で汚損されることを抑えることができる。
【0176】
図12に示すように、酸素センサ本体50aの基板54aは、突出部38の幅寸法よりも狭い幅寸法を有し、閉塞部23bの突出部38には、略U字状に折り曲げられた基板54aが嵌合する係止溝200が形成されていてもよい。基板54aは、帯状に形成されている。係止溝200は、突出部38の幅方向中央に位置しており、各側面38bを突出部38の突出方向に延在するとともに突出端面38aを高さ方向の全長に亘って延在している。このような構成によれば、基板54a及び蛍光体56の材料を少なくすることができるため、酸素センサ本体50aの製造コストを低減することができる。
【0177】
次に、第1~第10変形例に係る酸素測定デバイス10B~10Kについて説明する。
【0178】
(第1変形例)
次に、第1変形例に係る酸素測定デバイス10Bについて説明する。なお、第1変形例に係る酸素測定デバイス10Bにおいて、上述した酸素測定デバイス10Aと同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0179】
図13A及び
図13Bに示すように、第1変形例に係る酸素測定デバイス10Bでは、尿道カテーテル18bを備える。尿道カテーテル18bのシャフト22bの壁部には、光ファイバ58が配設されたセンサルーメン202が形成されている。すなわち、導尿ルーメン42とセンサルーメン202との間には、仕切壁204が設けられている。仕切壁204の先端面と蛍光体56との間には、尿が流通可能な隙間Sが設けられている。光ファイバ58は、シャフト22bの先端部の外面に形成された貫通孔68を封止するようにセンサルーメン202内に充填された接着剤66によってシャフト22bに対して固定されている。貫通孔68は、シャフト22bの外周面のうち2つの導尿口28aの間に位置する部位に形成されている。
【0180】
本変形例によれば、光ファイバ58がセンサルーメン202に配設されているため、光ファイバ58によって尿路74内の尿の流通が阻害されることを抑えることができる。これにより、尿路74内の尿を円滑に流通させることができる。
【0181】
本変形例において、上述した酸素測定デバイス10Aと同様の構成については、同様の効果を奏する。
【0182】
(第2変形例)
次に、第2変形例に係る酸素測定デバイス10Cについて説明する。なお、第2変形例に係る酸素測定デバイス10Cにおいて、第1変形例に係る酸素測定デバイス10Bの構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。なお、後述する第4変形例、第5変形例、第9変形例、第10変形例についても同様である。
【0183】
図14Aに示すように、第2変形例に係る酸素測定デバイス10Cは、尿道カテーテル18c及び酸素センサ20bを備える。尿道カテーテル18cは、シャフト22c及び閉塞部23cを備える。閉塞部23cの突出部38には、光ファイバ58が配設される配置孔206が形成されている。仕切壁204は、突出部38の突出端面38aの位置まで延出している。
【0184】
酸素センサ本体50bの基板54bは、配置孔206を基端側から覆うととともに蛍光体56が尿路74内の尿に接触するように突出部38の突出端面38aに対して固着されている。基板54bは、光ファイバ58からの励起光と蛍光体56からの蛍光とが透過可能に構成されている。蛍光体56は、導尿口28aよりも先端側に位置している。
【0185】
光ファイバ58は、光ファイバ58の先端面58aが酸素センサ本体50bを挟んだ尿路74とは反対側に位置するように尿路74よりも先端側で基端側に180°折り返された状態で尿道カテーテル18cに固定されている。すなわち、突出部38の配置孔206には、光ファイバ58の折り返された部分が配置されている。光ファイバ58は、シャフト22cの外面に形成された貫通孔68を介してシャフト22cの外側から配置孔206内に接着剤66が注入されることによりシャフト22c及び閉塞部23cに対して固定されている。光ファイバ58の先端面58aは、基板54bの蛍光体56が塗布された面とは反対側の裏面に接触している。ただし、光ファイバ58の先端面58aは、基板54bの裏面に近接していてもよい。
【0186】
次に、尿道カテーテル18cに対する酸素センサ20bの組み付けについて説明する。なお、初期状態で、蛍光体56が塗布された基板54bは、突出部38の突出端面38aに図示しない接着剤等によって固定されているものとする。本変形例では、センサルーメン202内に光ファイバ58を挿通させた状態で、光ファイバ58の先端をシャフト22cの先端開口部34から先端方向に引き出しておく。そして、突出部38の配置孔206内に光ファイバ58の先端部を180°折り返した状態で配置する。この際、光ファイバ58の先端面58aを基板54bの裏面に接触又は近接させておく。続いて、シャフト22cの先端面58a及び先端開口部34を構成する壁面に接着剤40を塗布して突出部38を先端開口部34に嵌合する。この際、光ファイバ58のうち先端方向に引き出されていた部分は、閉塞部23cに押されて基端方向に押し戻される。その後、貫通孔68を介してシャフト22cの外側から配置孔206内に接着剤66を注入することにより、光ファイバ58がシャフト22c及び閉塞部23cに対して固定する。これにより、蛍光体56と光ファイバ58の先端面58aとを精度よく位置決めすることができる。
【0187】
本変形例によれば、光ファイバ58は、光ファイバ58の先端面58aが酸素センサ本体50bを挟んだ尿路74とは反対側に位置するように尿路74よりも先端側で折り返された状態で尿道カテーテル18cに固定されている。基部は、光ファイバ58からの励起光と蛍光体56からの蛍光とが透過可能に構成されている。そのため、組立性と精度を向上させるとともに、光ファイバ58の先端面58aが尿に接触して汚染されることを抑えつつ尿中の酸素を測定することができる。
【0188】
また、光ファイバ58の先端面58aは、基板54b(基部)の蛍光体56が塗布された面とは反対側の面に接触している。これにより、蛍光体56を尿により確実に触れさせることができ、また光ファイバ58からの励起光を蛍光体56に効率的に照射することができるとともに蛍光体56からの蛍光を光ファイバ58で効率的に受光することができる。
【0189】
さらに、閉塞部23cには、光ファイバ58の折り返された部分が配設された配置孔206が形成されている。これにより、光ファイバ58を尿路74の先端側で容易に折り返した状態で配置することができる。
【0190】
本変形例において、上述した酸素測定デバイス10A、10Bと同様の構成については、同様の効果を奏する。
【0191】
(第3変形例)
次に、第3変形例に係る酸素測定デバイス10Dについて説明する。なお、第3変形例に係る酸素測定デバイス10Dにおいて、第2変形例に係る酸素測定デバイス10Cの構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0192】
図14B~
図15Bに示すように、第3変形例に係る酸素測定デバイス10Dは、尿道カテーテル18d及び酸素センサ20cを備える。尿道カテーテル18dは、シャフト22d及び閉塞部23dを備える。閉塞部23dには、先端膨出部208及び突出部210を有する。先端膨出部208には、光ファイバ58が配設可能な第1孔部212と、第1孔部212に連通して先端膨出部208の外面に開口したスリット214とが形成されている。第1孔部212は、先端膨出部208の基端面208aに開口した第1開口部212a及び第2開口部212bと、先端膨出部208の最先端に開口した第3開口部212cとを有する。第1開口部212aは、センサルーメン202に連通する。第2開口部212bは、基端面の略中心に位置している。スリット214は、第1開口部212aから第3開口部212cまで軸線方向に沿って延在している。
【0193】
突出部210の突出端面210aには、酸素センサ本体50cが配設可能な矩形状の凹部215が設けられている。突出部210の側面210bには、第2開口部212bに連通する第2孔部216が形成されている。第2孔部216は、第2開口部212bから凹部215の底面まで直線状に延在している。第1孔部212と第2孔部216とは、互いに連通して光ファイバ58が配置される配置孔217として機能する。
【0194】
酸素センサ本体50cは、閉塞部23dに固定された支持部218を有する。支持部218には、基板54bが固定されている。支持部218は、矩形の板状に形成され、凹部215に配設された状態で突出部210に対して固定されている。支持部218には、光ファイバ58の先端を位置決めする位置決め孔220(位置決め部)が設けられている。蛍光体56は、導尿口28bよりも先端側に位置している。
【0195】
光ファイバ58は、配置孔217に配置された状態で閉塞部23dに保持されている。すなわち、光ファイバ58は、第1開口部212a、第1孔部212、第2開口部212b及び第2孔部216に配置された状態で閉塞部23dに保持されている。光ファイバ58は、尿路74よりも先端側の第1孔部212内で基端側に180°折り返されている。本変形例では、閉塞部23dにスリット214及び第3開口部212cが形成されているため、光ファイバ58を第1孔部212内で折り返す際に閉塞部23dを容易に撓ませることができる。光ファイバ58の先端面58aは、基板54bの裏面に接触している。ただし、光ファイバ58の先端面58aは、基板54bに対して近接していてもよい。
【0196】
導尿口28bは、シャフト22dの先端方向に向かって周方向に沿った開口幅が広くなるように形成されている。
【0197】
次に、尿道カテーテル18dに対する酸素センサ20cの組み付けについて説明する。なお、初期状態で、蛍光体56が塗布された基板54bが支持部218に固定されるとともにその支持部218が突出部210の凹部215内に図示しない接着剤等によって固定されているものとする。本変形例では、センサルーメン202内に光ファイバ58を挿通させた状態で、光ファイバ58の先端をシャフト22dの先端開口部34から先端方向に引き出しておく。
【0198】
そして閉塞部23dを、第3開口部212cが光ファイバ58の先端に向くように保持し、光ファイバ58の先端を第3開口部212cから閉塞部23dに挿入し、第2開口部212bを通じて第2孔部216まで到達させ、光ファイバ58の先端が位置決め孔220に嵌合して先端面58aが基板54bの裏面に接触するようにもしくはその近傍に配置させ、第2孔部216を構成する壁面と光ファイバ58との間に図示しない接着剤を塗布して固定させる。その後、閉塞部23dを保持し、光ファイバ58がスリット214を押し広げながら配置孔217に配置されていくことを確認しつつ180°反転させ、光ファイバ58を、第1孔部212を通じて第1開口部212a内に配置させるとともに、閉塞部23dの基端面208aをシャフト22dの先端面58aと対向させる。
【0199】
その後、シャフト22dの先端面58a及び先端開口部34を構成する壁面に接着剤40を塗布して突出部210を先端開口部34に嵌合する。これにより、閉塞部23dがシャフト22dに対して固定されるため、閉塞部23dに固定されている酸素センサ本体50cがシャフト22dに対して固定される。この際、光ファイバ58のうち先端方向に引き出されていた部分は、シャフト22dに押されて先端方向に押し戻され、配置孔217内に収納される。そして、貫通孔68を介してシャフト22dの外側からセンサルーメン202内に接着剤66を注入することにより、光ファイバ58がシャフト22dに対して固定する。また第3開口部212cから配置孔217内に図示しない接着剤を、第3開口部212c及びスリット214まで満たすように注入し、光ファイバ58を閉塞部23dに対して固定する。これにより、組立性を向上させるとともに、蛍光体56と光ファイバ58の先端面58aとを精度よく位置決めすることができる。
【0200】
別の組み付け方法として、光ファイバ58を180°折り返した状態で光ファイバ58の先端を第3開口部212cから第1孔部212、第2開口部212b、第2孔部216を通して支持部218の位置決め孔220に嵌合させる。続いて、光ファイバ58のうち先端膨出部208の外側の部分をスリット214に沿わせた状態でスリット214に向かって押し込む。そうすると、スリット214の幅が広がり、光ファイバ58が第1孔部212と第1開口部212a内に配置される。
【0201】
その後、シャフト22dの先端面58a及び先端開口部34を構成する壁面に接着剤40を塗布して突出部210を先端開口部34に嵌合する。これにより、閉塞部23dがシャフト22dに対して固定されるため、閉塞部23dに固定されている酸素センサ本体50cがシャフト22dに対して固定される。この際、光ファイバ58のうち先端方向に引き出されていた部分は、閉塞部23dに押されて基端方向に押し戻される。そして、貫通孔68を介してシャフト22dの外側からセンサルーメン202内に接着剤66を注入することにより、光ファイバ58がシャフト22dに対して固定する。また第3開口部212cから配置孔217内に図示しない接着剤を第3開口部212c及びスリット214まで満たすように注入し、光ファイバ58を閉塞部23dに対して固定する。これにより、蛍光体56と光ファイバ58の先端面58aとを精度よく位置決めすることができる。
【0202】
本変形例によれば、光ファイバ58は、配置孔217に配置された状態で閉塞部23dに保持されている。これにより、閉塞部23dをシャフト22dの先端開口部34に嵌合する際に、光ファイバ58をシャフト22dに対して精度よく組み付けることができる。
【0203】
本変形例において、酸素センサ本体50cは、閉塞部23dに固定された支持部218を有する。支持部218には、基板54bが固定されている。支持部218には、光ファイバ58の先端を位置決めする位置決め孔220が設けられている。そのため、光ファイバ58の先端面58aと蛍光体56との位置関係を精度よく保持することができる。また、支持部218を把持して酸素センサ本体50cを閉塞部23dに固定することができる。
【0204】
さらに、蛍光体56は、導尿口28bよりも先端側に位置し、導尿口28bは、シャフト22dの先端方向に向かって周方向に沿った開口幅が広くなるように形成されている。これにより、導尿口28bから尿路74内に導かれた尿を導尿口28bよりも先端側に位置する蛍光体56に効率的に導くことができる。
【0205】
本変形例において、上述した酸素測定デバイス10A~10Cと同様の構成については、同様の効果を奏する。本変形例の導尿口28bは、上述した酸素測定デバイス10A~10Cに設けられていてもよい。
【0206】
(第4変形例)
次に、第4変形例に係る酸素測定デバイス10Eについて説明する。
図16A及び
図16Bに示すように、第4変形例に係る酸素測定デバイス10Eは、尿道カテーテル18e及び酸素センサ20dを備える。尿道カテーテル18eは、シャフト22e及び閉塞部23eを備える。
【0207】
酸素センサ20dの酸素センサ本体50dは、蛍光体56が導尿ルーメン42(尿路74)における導尿口28aよりも基端側に位置するようにシャフト22eに固定されている。酸素センサ本体50dの基板54c(基部)は、光ファイバ58からの光と蛍光体56からの蛍光とが透過可能に構成されている。基板54cは、円環状に構成されるとともに蛍光体56が基板54cよりも先端側に位置するようにシャフト22eの軸線と直交する方向に延在している。すなわち、基板54cは、尿が流通する内孔228を有する。ただし、基板54cは、環状であれば、例えば、四角環状に形成されていてもよい。
【0208】
導尿ルーメン42を構成する壁面には、基板54cの外縁部が挿入された保持孔230が形成されている。保持孔230は、シャフト22eの外面に開口するとともに酸素センサ本体50dがシャフト22eの外側から尿路74内に挿入可能な大きさの第1スリット230aと、拡張用ルーメン32と導尿ルーメン42との間の壁部232に形成された第2スリット230bとを含む。第1スリット230aは、シャフト22eの周方向に約180°延在している。第2スリット230bは、拡張用ルーメン32まで延在している。すなわち、基板54cの外縁部の一部は、拡張用ルーメン32内に位置している。なお、基板54cは、バルーン24よりも先端側に位置している。また、仕切壁204の先端面58aは、基板54cのうち蛍光体56が位置する面とは反対側の裏面に接触している。
【0209】
基板54cは、第1スリット230a及び第2スリット230bに注入された接着剤66によってシャフト22eに対して固定されている。接着剤66は、拡張用ルーメン32の一部、第1スリット230a及び第2スリット230bを封止するとともにセンサルーメン202内に流入して光ファイバ58をシャフト22eに固定する。
【0210】
光ファイバ58は、光ファイバ58の先端面58aが基板54cの裏面に対向するように基部よりも基端側に設けられている。光ファイバ58の先端面58aは、基板54cの裏面に接触している。ただし、光ファイバ58の先端面58aは、基板54cの裏面に対して近接していてもよい。
【0211】
次に、尿道カテーテル18eに対する酸素センサ20dの組み付けについて説明する。本変形例では、センサルーメン202内に光ファイバ58を挿通させる。その後、基板54cの外縁部に接着剤66を塗布した状態で酸素センサ本体50dをシャフト22eの外側から第1スリット230aに押し込む。そうすると、酸素センサ本体50dが第2スリット230bに挿入されて酸素センサ本体50dが保持孔230に保持される。そして、シャフト22eの外側から貫通孔としての第1スリット230aに接着剤66を注入することにより、酸素センサ本体50dと光ファイバ58をシャフト22eに対して固定する。これにより、蛍光体56と光ファイバ58の先端面58aとを精度よく位置決めすることができる。
【0212】
本変形例によれば、蛍光体56は、尿路74における導尿口28aよりも基端側に位置している。これにより、導尿ルーメン42を流通する尿に蛍光体56を効率的に接触させることができる。
【0213】
本変形例において、基板54cは、光ファイバ58からの励起光と蛍光体56からの蛍光とが透過可能に構成され、且つ蛍光体56が基板54cよりも先端側に位置するようにシャフト22eの軸線と直交する方向に延在している。光ファイバ58は、光ファイバ58の先端面58aが基部の蛍光体56が塗布された面とは反対側の裏面に対向するように基部よりも基端側に設けられている。これにより、尿路74内の尿を蛍光体56に効率的に接触させることができる。また、光ファイバ58からの励起光を蛍光体56に効率的に照射することができるとともに蛍光体56からの蛍光を光ファイバ58で効率的に受光することができる。
【0214】
さらに、基板54cは、環状に構成されている。そのため、基板54cの内孔を介して導尿ルーメン内の尿をシャフト22eの基端方向に円滑に流通させることができる。
【0215】
本変形例によれば、導尿ルーメン42を構成する壁面には、基部の外縁部が挿入された保持孔230が形成されている。これにより、簡易な構成により、基板54cをシャフト22eの軸線と直交する方向に延在した状態で保持することができる。
【0216】
また、保持孔230は、シャフト22eの外面に開口するとともに酸素センサ本体50dがシャフト22eの外側から尿路74内に挿入可能な大きさの第1スリット230aを含み、酸素センサ本体50dは、第1スリット230aを封止するように充填された接着剤66によってシャフト22eに固定されている。この場合、酸素センサ本体50dをシャフト22eの外側から簡単且つ精度よく組み付けることができる。
【0217】
本変形例において、酸素測定デバイス10A~10Dと同様の構成については、同様の効果を奏する。
【0218】
(第5変形例)
次に、第5変形例に係る酸素測定デバイス10Fについて説明する。
図17A及び
図17Bに示すように、第5変形例に係る酸素測定デバイス10Fは、尿道カテーテル18f及び酸素センサ20eを備える。尿道カテーテル18fは、シャフト22f及び閉塞部23eを備える。
【0219】
酸素センサ20eの酸素センサ本体50eは、蛍光体56が導尿ルーメン42(尿路74)における導尿口28aよりも基端側に位置するようにシャフト22fに固定されている。酸素センサ本体50eの基板54d(基部)は、光ファイバ58からの励起光と蛍光体56からの蛍光とが透過可能にガラス又はポリエチレン等で構成されている。基板54dは、平板状に構成されている。酸素センサ本体50eは、シャフト22fに固定された支持部240aを有する。支持部240aには、基板54dが固定されている。支持部240aは、シャフト22fと同様の材料又はガラスや樹脂材料等によって四角環状に構成されており、導尿ルーメン42の断面形状に対応した形状を有する。つまり、支持部240aの外面は、導尿ルーメン42を構成する壁面に接触している。支持部240aは、導尿ルーメン42における導尿口28aよりも基端側に設けられている。支持部240aの内孔241aを構成する壁面には、基板54dがシャフト22fの軸線方向に延在した状態で固定されている。すなわち、蛍光体56は、支持部240aの内孔241aに位置している。
【0220】
支持部240aは、導尿ルーメン42を構成する壁面に設けられた貫通孔としての2つの支持孔242、244(第1係合部)に嵌合することによりシャフト22fに位置決めされる2つの凸部246、248(第2係合部)を有する。2つの支持孔242、244は、支持部240aを挟んで互いに反対側に位置している。支持孔242は、センサルーメン202を横切るようにシャフト22fの外面まで延在した貫通孔である。支持孔244は、拡張用ルーメン32を横切るようにシャフト22fの外面まで延在した貫通孔である。
【0221】
凸部246、248は、支持部本体245の外面から外方に突出した半球状の突起である。支持部本体245及び凸部246には、光ファイバ58の先端が嵌合する位置決め孔250(位置決め部)が設けられている。位置決め孔250は、支持部240aの内孔241aを構成する壁面のうち基板54dが固定される面に開口している。
【0222】
光ファイバ58は、センサルーメン202、支持孔242及び位置決め孔250に配設されている。光ファイバ58の先端面58aは、基板54dの裏面に接触している。ただし、光ファイバ58の先端面58aは、基板54dの裏面に対して近接していてもよい。支持部240a及び光ファイバ58は、支持孔242、244を封止するように充填された接着剤252によってシャフト22fに対して固定されている。
【0223】
次に、尿道カテーテル18fに対する酸素センサ20eの組み付けについて説明する。なお、初期状態で、蛍光体56が塗布された基板54dは、支持部240aに対して図示しない接着剤等によって固定されているものとする。本変形例では、センサルーメン202内に光ファイバ58を挿通させた状態で、光ファイバ58の先端をシャフト22fの先端開口部34から先端方向に引き出しておく。この状態で光ファイバ58は支持孔242に挿通している。そして、光ファイバ58の先端を支持部240aの位置決め孔250に嵌合させた状態で、支持部240aをシャフト22fの先端開口部34から挿入し、凸部246を支持孔242に嵌合させるとともに凸部248を支持孔244に嵌合させる。この際、光ファイバ58のうち先端方向に引き出されていた部分は、支持部240aに押されて基端方向に押し戻される。そして、シャフト22fの外側から各支持孔242、244に接着剤252を注入することにより、支持部240a及び光ファイバ58をシャフト22fに対して固定する。これにより、蛍光体56と光ファイバ58の先端面58aとを精度よく位置決めされる。その後、閉塞部23eの突出部38をシャフト22fの先端開口部34に嵌合する。
【0224】
なお、別の組み付け方法として、光ファイバ58はセンサルーメン202を通じ、支持孔242から引き出した状態としておき、支持部240aをシャフト22fの先端開口部34から挿入し、凸部246を支持孔242に嵌合させるとともに凸部248を支持孔244に嵌合させた後、光ファイバ58の先端を支持部240aの位置決め孔250に嵌合させ、光ファイバ58のうち支持孔242から引き出されていた部分を基端方向に押し戻してもよい。
【0225】
本変形例によれば、酸素センサ本体50eは、シャフト22fに固定された支持部240aを有している。支持部240aには、基板54dが固定されるとともに光ファイバ58の先端を位置決めする位置決め孔250が設けられている。これにより、光ファイバ58の先端面58aと蛍光体56との位置関係を精度よく保持することができる。また、支持部240aを把持して尿路74内に酸素センサ本体50eを組み込むことができる。
【0226】
本変形例において、尿路74を構成する壁面には、支持孔242、244が設けられ、支持部240aには、支持孔242、244に嵌合(係合)することによりシャフト22fに位置決めされる凸部246、248が設けられている。これにより、酸素センサ本体50eを尿路74内に精度よく組み込むことができる。
【0227】
また、支持部240aは、環状に構成され、蛍光体56は、支持部240aの内孔241aに位置している。そのため、尿路74内の尿を支持部240aの内孔241aに流通させつつ蛍光体56に接触させることができる。
【0228】
さらに、基板54dは、シャフト22fの軸線方向に沿って延在している。これにより、基板54dをシャフト22fの軸線と直交する方向に沿って延在させた場合と比較して、支持部240aの内孔241aの尿の流通が基板54dによって阻害されることを抑えることができる。
【0229】
本変形例において、上述した酸素測定デバイス10A~10Eと同様の構成については、同様の効果を奏する。
【0230】
本変形例では、第1係合部は、導尿ルーメン42を構成する壁面に形成された凸部であり、第2係合部は、支持部240aに形成されて前記凸部が嵌合する孔部であってもよい。
【0231】
(第6変形例)
次に、第6変形例に係る酸素測定デバイス10Gについて説明する。なお、第6変形例に係る酸素測定デバイス10Gにおいて、第5変形例に係る酸素測定デバイス10Fの構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。後述する第7及び第8変形例についても同様である。
【0232】
図18A及び
図18Bに示すように、第6変形例に係る酸素測定デバイス10Gは、酸素センサ20fを備える。酸素センサ20fを構成する酸素センサ本体50fの基板54e(基部)は、四角環状に構成されており、シャフト22fの軸線方向に対して直交する方向に延在するとともに蛍光体56が先端側に位置するように支持部240bの内孔241bに配置されている。支持部240bの内孔241bを構成する壁面には、内方に突出して基板54eの裏面を支持する支持突起260が設けられている。支持部240bには、基板54eの裏面側に光ファイバ58の先端が嵌合される位置決め孔250が形成されている。光ファイバ58の先端面58aは、基板54eの裏面に接触している。ただし、光ファイバ58の先端面58aは、基板54eの裏面に対して近接していてもよい。
【0233】
このような酸素センサ20fを用いた場合、蛍光体56がシャフト22fの軸線と直交する方向に延在しているため、導尿口28aから導尿ルーメン42内に導入された尿を蛍光体56に効率的に接触させることができる。
【0234】
本変形例において、上述した酸素測定デバイス10A~10Fと同様の構成については、同様の効果を奏する。
【0235】
(第7変形例)
次に、第7変形例に係る酸素測定デバイス10Hについて説明する。
図19A及び
図19Bに示すように、第7変形例に係る酸素測定デバイス10Hは、酸素センサ20gを備える。酸素センサ20gを構成する酸素センサ本体50gの支持部240cは、光ファイバ58からの励起光と蛍光体56からの蛍光とを透過可能な材料で構成されている。このような材料としては、例えば、基板54dの構成材料と同様のものが挙げられる。支持部240cの内孔241cを構成する壁面には、基板54dがシャフト22fの軸線方向に延在した状態で固定されている。支持部240cには、センサルーメン202内に突出する凸部246aが設けられ、この凸部246aには、光ファイバ58の先端が嵌合する位置決め孔250が形成されている。光ファイバ58の先端面58aは、光ファイバ58の先端が位置決め孔250に嵌合された状態で先端方向を指向する。つまり、光ファイバ58は、センサルーメン202から直線状に延出した状態で位置決め孔250に嵌合されている。すなわち、蛍光体56は、光ファイバ58の先端面58aの指向する方向に対して交差する方向(直交する方向)に位置している。
【0236】
凸部246aには、光ファイバ58からの励起光を蛍光体56に導くとともに蛍光体56からの蛍光を光ファイバ58内に導く反射部270が形成されている。反射部270は、例えば、凸部246aの一部を斜めに切り欠いた平面に金属膜をコーティングしたミラーとして構成することができる。ただし、反射部270は、光ファイバ58からの励起光と蛍光体56からの蛍光とを反射することができればどのような構成であってもよい。
【0237】
このような酸素センサ20gを用いた場合、例えば、光ファイバ58を屈曲させることなく、反射部270によって光ファイバ58からの励起光を蛍光体56に照射することができるとともに蛍光体56からの蛍光を光ファイバ58で受光することができる。
【0238】
本変形例において、上述した酸素測定デバイス10A~10Gと同様の構成については、同様の効果を奏する。
【0239】
(第8変形例)
次に、第8変形例に係る酸素測定デバイス10Iについて説明する。
図20A及び
図20Bに示すように、第8変形例に係る酸素測定デバイス10Iは、尿道カテーテル18g及び酸素センサ20hを備える。尿道カテーテル18gは、シャフト22g及び閉塞部23eを備える。
【0240】
酸素センサ20hの酸素センサ本体50hは、蛍光体56が導尿ルーメン42における導尿口28aよりも基端側に位置するようにシャフト22gに固定されている。酸素センサ本体50hの基板54dは、平板状に構成されており、シャフト22gの軸線方向に延在するとともに蛍光体56が導尿ルーメン42の内方を指向するように平板状の支持部240dに固定されている。支持部240dには、光ファイバ58の先端が嵌合する位置決め孔250(位置決め部)が形成されている。位置決め孔250は、基板54dの裏面側に位置している。
【0241】
光ファイバ58の先端は、光ファイバ58が仕切壁204に形成された挿通孔280に挿通された状態で位置決め孔250に嵌合している。挿通孔280を構成する壁面280aは、センサルーメン202側から導尿ルーメン42側に向かって先端方向に傾斜している。光ファイバ58の先端面58aは、光ファイバ58の先端が位置決め孔250に嵌合された状態で基板54dの裏面に接触している。ただし、光ファイバ58の先端面58aは、基板54dの裏面に近接していてもよい。支持部240d及び光ファイバ58は、シャフト22gの外面に形成された貫通孔68及び挿通孔280を封止するように充填された接着剤252によってシャフト22gに対して固定されている。
【0242】
次に、尿道カテーテル18gに対する酸素センサ20hの組み付けについて説明する。なお、初期状態で、蛍光体56が塗布された基板54dは、支持部240dに対して図示しない接着剤等によって固定されているものとする。本変形例では、センサルーメン202内に光ファイバ58を挿通させた状態で、光ファイバ58の先端をシャフト22gの先端開口部34から先端方向に引き出しておく。この状態で光ファイバ58は挿通孔280に挿通している。そして、光ファイバ58の先端を支持部240dの位置決め孔250に嵌合させるとともに支持部240dの裏面に接着剤を塗布した状態で、光ファイバ58を基端方向に引き戻しながら支持部240dをシャフト22gの先端開口部34から挿入し、挿通孔280が導尿ルーメン42側から覆われるように導尿ルーメン42を構成する壁面に接触させる。そして、シャフト22gの外側から貫通孔68を介してセンサルーメン202及び挿通孔280に接着剤252を注入することにより、支持部240d及び光ファイバ58をシャフト22gに対して固定する。これにより、蛍光体56と光ファイバ58の先端面58aとを精度よく位置決めすることができる。その後、閉塞部23eの突出部38をシャフト22gの先端開口部34に嵌合する。
【0243】
本変形例において、酸素測定デバイス10A~10Hと同様の構成については、同様の効果を奏する。
【0244】
本変形例では、酸素センサ20hは、
図21Aに示す酸素センサ本体50haを備えていてもよい。酸素センサ本体50haの基板54fには、シャフト22gの軸線方向の先端に傾斜面282が形成され、支持部240eには、シャフト22gの軸線方向の先端に傾斜面284が形成されている。各傾斜面282、284は、シャフト22gの基端方向に向かってセンサルーメン202とは反対方向(シャフト22gの内方)に傾斜している。傾斜面282及び傾斜面284は、互いに面一に連なっている。蛍光体56は、傾斜面282と、傾斜面282から基端方向に連なる面とに塗布されている。基板54fの裏面には、支持部240eの位置決め孔250に連なる凹部286が形成されている。光ファイバ58の先端は、凹部286及び位置決め孔250に嵌合される。また、光ファイバ58の先端面58aは、光ファイバ58の先端が凹部286及び位置決め孔250に嵌合された状態で傾斜面282(傾斜面282の塗布された蛍光体56)に対して平行になる。なお、センサルーメン202は、シャフト22gの先端まで延在している。
【0245】
このような酸素センサ20hを用いた場合、傾斜面282に塗布された蛍光体56がシャフト22gの基端方向に向かってシャフト22gの内方に傾斜するように延在しているため、導尿ルーメン内の尿を蛍光体56に効率的に接触させることができる。
【0246】
また、酸素センサ20hは、
図21Bに示す酸素センサ本体50hbを備えていてもよい。酸素センサ本体50hbの支持部240fには、挿通孔280に嵌合する突出部288が設けられている。この場合、支持部240fを挿通孔280に容易且つ精度よく位置決めすることができる。
【0247】
本変形例において、尿道カテーテル18gは、貫通孔68が省略されていてもよい。この場合、導尿ルーメン42を構成する壁面に支持部240d~240fを位置決めした状態で、センサルーメン202の先端開口部から接着剤252を注入する。これにより、センサルーメン202及び挿通孔280に接着剤252が充填されるため、支持部240d~240f及び光ファイバ58をシャフト22gに対して固定することができる。
【0248】
(第9変形例)
次に、第9変形例に係る酸素測定デバイス10Jについて説明する。
図22A及び
図22Bに示すように、第9変形例に係る酸素測定デバイス10Jは、尿道カテーテル18h及び酸素センサ300を備える。
【0249】
尿道カテーテル18hのシャフト22hには、導尿口28cを構成する壁面のうちシャフト22hの基端方向に位置する部位に開口したセンサルーメン202が形成されている。酸素センサ300は、蛍光式の酸素センサとして構成されており、尿中の酸素を検出可能な酸素センサ本体302と、先端に酸素センサ本体302が一体的に設けられてシャフト22hに沿って延在した伝送部304とを有する。つまり、酸素センサ本体302は、伝送部304の先端に一体的に設けられている。伝送部304は光ファイバとして構成され、酸素センサ本体302は蛍光体を含んで構成されている。ただし、酸素センサ300は、電極式の酸素センサとして構成されていてもよい。この場合、伝送部304は、酸素センサ本体302に対して電気的に接続される。
【0250】
酸素センサ本体302の先端面302aは、導尿口28c内に位置している。導尿口28cは、先端の周方向に沿った開口幅が基端の周方向の開口幅よりも大きい。換言すれば、導尿口28cは、周方向に沿った開口幅がシャフト22hの先端方向に向かって大きくなるように形成されている。
【0251】
本変形例によれば、伝送部304の先端に酸素センサ本体302が一体的に設けられている(固定されている)ため、酸素センサ300をシャフト22hに対して容易に組み付けることができる。
【0252】
また、酸素センサ本体302は、導尿口28c内に位置している。そのため、導尿口28cから流入する尿に酸素センサ本体302を接触させることができる。
【0253】
さらに、伝送部304がセンサルーメン202に配設されているため、伝送部304によって尿路74内の尿の流通が阻害されることを抑えることができる。
【0254】
本変形例では、酸素センサ本体302は、導尿口28cの基端、すなわち開口幅の狭い部分に位置している。そのため、導尿口28cのうち外力を受けても形状が変形しにくい箇所において安定して尿中の酸素を測定することができ、また変形によるセンサの破損を防ぐことができる。なお、酸素センサ本体302と伝送部304とを予め分離された状態でセンサルーメン202に組み付けし、センサルーメン202内において位置決め又は嵌合させた上で図示しない貫通孔を通じて接着剤を注入し、固定してもよい。
【0255】
図23に示すように、酸素測定デバイス10Jは、酸素センサ300に代えて酸素センサ20iを備えていてもよい。酸素センサ20iは、酸素センサ本体50iと、伝送部52(光ファイバ58)と、酸素センサ本体50iを支持する支持部240dとを有する。酸素センサ本体50iは、平板上の基板54dの表面に蛍光体56が塗布されることによって形成されている。支持部240dは、励起光及び蛍光が透過可能なように透明性を有する材料で構成されており、導尿ルーメン42に配置される中空状の支持部本体290と、支持部本体290から互いに反対方向に延出して各導尿口28c内に配置された一組の中空状の突出部291とを有する。支持部本体290の内腔は、シャフト22hの軸線方向に沿って支持部本体290の全長に亘って延在しており、各突出部291の内腔に連通している。突出部291の外面は、センサルーメン202の先端側の開口部を覆うように導尿口28cを構成する壁面に接触している。突出部291の突出長は、シャフト22hの径方向に沿った導尿口28cの長さ寸法(シャフト22hの厚さ寸法)と略同じに設定されている。そのため、突出部291は、導尿口28cから外側に突出していない。
【0256】
突出部291の内面のうちセンサルーメン202の先端側には、凹部292が形成されている。凹部292には、突出部291の内腔を流通する尿に蛍光体56が接触するように基板54dが嵌め込まれた状態で図示しない接着剤等によって固定されている。突出部291の外面のうちセンサルーメン202を覆う部位(凹部292の反対側)には、光ファイバ58の先端が嵌合する位置決め凹部293が形成されている。
【0257】
次に、尿道カテーテル18hに対する酸素センサ20iの組み付けについて説明する。なお、初期状態で、蛍光体56が塗布された基板54dは、支持部240dに対して図示しない接着剤等によって固定されているものとする。この場合、センサルーメン202内に光ファイバ58を挿通させた状態で、光ファイバ58の先端をセンサルーメン202の先端側の開口部から先端方向に嵌合する長さだけ引き出しておく。そして、支持部240dをシャフト22hの先端開口部34から挿入し、突出部291を導尿口28c内に嵌合させる。その際、光ファイバ58の先端が支持部240dの位置決め凹部293に嵌合される。その後、支持部240dと光ファイバ58とセンサルーメン202とを図示しない接着剤を用いて接着する。必要に応じて、光ファイバ58のうち先端方向に引き出されていた部分は、支持部240dに押されて基端方向に押し戻される。また支持部240dとシャフト22hとは必要に応じて図示しない接着剤を用いて接着する。このような構成によれば、上述した実施形態と同様の効果を奏する。なお、光ファイバ58の先端を予め支持部240dの位置決め凹部293に嵌合させた状態でシャフト22hの先端開口部34から挿入してもよい。
【0258】
(第10変形例)
次に、第10変形例に係る酸素測定デバイス10Kについて説明する。
図24Aに示すように、第10変形例に係る酸素測定デバイス10Kは、尿道カテーテル18i及び酸素センサ300を備える。酸素センサ300は、第9変形例で説明したものと同一である。
【0259】
尿道カテーテル18iのシャフト22iには、シャフト22iの軸方向に延在した導尿ルーメン42と、酸素センサ300の伝送部304が配設されるセンサルーメン202と、導尿ルーメン42に連通してセンサルーメン202の先端側に設けられた側方導尿ルーメン310とが形成されている。側方導尿ルーメン310は、導尿口28aよりも基端側に位置している。酸素センサ300は、酸素センサ本体302が導尿ルーメン42内に位置するように側方導尿ルーメン310内を延在している。酸素センサ本体302の先端は、導尿口28aの基端側の近傍に位置している。なお、センサルーメン202の先端には、センサルーメン202内を封止するとともに伝送部304をシャフト22iに固定する図示しない接着剤が充填されている。
【0260】
本変形例によれば、伝送部304がセンサルーメン202に配設されているため、伝送部304によって導尿ルーメン42内の尿の流通が阻害されることを抑えることができる。これにより、導尿ルーメン42内の尿を円滑に流通させることができる。また、酸素センサ本体302を導尿ルーメン42内の尿に効率的に接触させることができる。
【0261】
この酸素測定デバイス10Kでは、
図24Bに示すように、側方導尿ルーメン310は、導尿ルーメン42の先端に連通していてもよい。つまり、側方導尿ルーメン310は、シャフト22iの軸線方向において、導尿口28aの先端の位置と同じ位置にある。この場合、酸素センサ本体302は、伝送部304が側方導尿ルーメン310から導尿ルーメン42に向かって基端側に180°折り返されることによって導尿口28aの基端側に位置している。これにより、酸素センサ本体302を導尿口28aから導尿ルーメン42内に導入した尿に効率的に接触させることができる。
【0262】
また、
図25に示すように、閉塞部23eの突出部38には、伝送部304の折り返された部位が配置される配置孔312が形成されていてもよい。この場合、突出部38は、伝送部304の折り返された部位を保持している。これにより、酸素センサ本体302が導尿ルーメン42内で位置ずれすることを抑えることができる。
【0263】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る酸素測定システム12Aについて説明する。なお、本実施形態に係る酸素測定システム12Aにおいて、上述した酸素測定システム12と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0264】
図26に示す酸素測定システム12Aは、腎臓の状態を予測するために、腎臓から膀胱140内に排出された尿中の酸素分圧(酸素濃度)を測定するためのものであって、酸素測定デバイス10L、蓄尿バッグ14(蓄尿容器)及びモニタリングシステム16を備えている。
【0265】
図26及び
図27に示すように、酸素測定デバイス10Lは、尿道カテーテル18j及び酸素センサ400aを備えている。尿道カテーテル18jは、使用時に生体内に留置され、膀胱140内の尿を体外に配置した蓄尿バッグ14へと排尿するための医療機器である。尿道カテーテル18jは、細径で長尺な中空状のシャフト22jと、シャフト22jの先端部に設けられたバルーン24と、シャフト22jの基端部に設けられたハブ26aとを備えている。
【0266】
シャフト22jは、最先端が半球状の長尺なチューブである。シャフト22jは、尿道144を通じて尿道カテーテル18jの先端部を膀胱140内まで円滑に挿通させることを可能にするため、適度な可撓性と適度な剛性を有する。シャフト22jの構成材料としては、上述したシャフト22aと同様の材料が挙げられる。
【0267】
図27に示すように、シャフト22jには、膀胱140内の尿をシャフト22j内に流入させる2つの導尿口28aと、シャフト22jの軸線方向に沿って延在して排尿用流路として機能する導尿ルーメン402と、酸素センサ400a及び温度センサ404が配設された側方ルーメン406と、バルーン24の拡張用流体を流通させるための拡張用ルーメン32とを有している。
【0268】
各導尿口28aは、シャフト22jの外周面のうちバルーン24よりも先端側の部位に開口している。図示例では、2つの導尿口28aは、互いに対向する位置に設けられている(
図27及び
図28B参照)。導尿口28aの形状、大きさ、位置、数は、任意に設定可能である。
【0269】
導尿ルーメン402は、シャフト22jの軸線Axが導尿ルーメン402内に位置するように設けられている。導尿ルーメン402の先端はシャフト22j内における導尿口28aよりも先端側に位置し、導尿ルーメン402の基端はシャフト22jの基端に開口している。導尿ルーメン402は、導尿口28aに連通している。
【0270】
側方ルーメン406は、導尿ルーメン402に対して並行にシャフト22jの軸線方向に沿って延在している。側方ルーメン406の先端はシャフト22jの先端面(半球面)に開口し、側方ルーメン406の基端はシャフト22jの基端に開口している。なお、側方ルーメン406の先端の開口部426は、閉塞部材407によって閉塞されている。側方ルーメン406の横断面積は、導尿ルーメン402の流路断面積よりも小さい。
【0271】
導尿ルーメン402と側方ルーメン406との間には、導尿ルーメン402に沿って延在した仕切壁408が設けられている。仕切壁408の先端部には、導尿ルーメン402と側方ルーメン406とを互いに連通させる貫通孔410が設けられている。
【0272】
側方ルーメン406の先端部の内面には、導尿口28aが開口している。つまり、側方ルーメン406は、導尿ルーメン402を介すことなく導尿口28aに連通している。換言すれば、導尿口28aは、導尿ルーメン402及び側方ルーメン406の両方に跨るように位置している。すなわち、導尿口28aは、その中心Pがシャフト22jの軸線Axよりも側方ルーメン406側に位置するように設けられている。このように、導尿口28aを導尿ルーメン402及び側方ルーメン406の両方に跨らせた場合、導尿口28aを形成する工程と貫通孔410を形成する工程とを同時に行うことができるため、尿道カテーテル18jの製造工数の削減を図ることができる。
【0273】
側方ルーメン406のうち貫通孔410よりも基端側は、酸素センサ400a及び温度センサ404が配設されるセンサルーメン412として機能する。側方ルーメン406のうちセンサルーメン412よりも先端側は導尿口28aから流入した尿が流通する側方導尿ルーメン414として機能する。以下の説明では、導尿ルーメン402、貫通孔410、及び側方導尿ルーメン414を合せて尿路416と称することがある。すなわち、尿路416には、導尿口28aから流入した尿が流通する。また、尿路416のうち導尿口28aが位置する領域(導尿ルーメン402の先端部、貫通孔410及び側方導尿ルーメン414)を第1尿路部418と称し、尿路416のうち貫通孔410よりも基端側の領域を第2尿路部420と称することがある。
【0274】
図27及び
図28に示すように、センサルーメン412は、導尿ルーメン402よりも短い。センサルーメン412に配設された酸素センサ400aは、いわゆる蛍光式の酸素センサとして構成されており、尿中の酸素を検出可能な酸素センサ本体422a(酸素プローブ)と、酸素センサ本体422aに光学的に接続された伝送部424(酸素用伝送部)とを有している。酸素センサ本体422aは、ガラス光ファイバ又はプラスチック光ファイバを含んでいる。この場合、光ファイバのコアは、酸素センサ本体422aの先端面に露出している。ただし、酸素センサ400aは、電極式の酸素センサ400aとして構成されていてもよい。この場合、伝送部424は、酸素センサ本体422aに対して電気的に接続される。ただし、伝送部424は、光学的、電気的なものだけに留まらず、磁気的もしくは力学的なものであってもよい。
【0275】
酸素センサ本体422aは、側方導尿ルーメン414(尿路416)に位置している。具体的には、酸素センサ本体422aは、導尿口28aの中心よりも基端側に位置するとともに導尿口28aに対してシャフト22jの軸線方向と直交する方向に隣接している。つまり、酸素センサ本体422aは、導尿口28aの基端側に隣接している。換言すれば、酸素センサ本体422aは、シャフト22jの軸線方向と直交する方向に貫通孔410に対して隣接している。すなわち、酸素センサ本体422aは、シャフト22jの外側に露出していない。
【0276】
伝送部424は、酸素センサ本体422aとモニタリングシステム16とを光学的に接続するためのケーブルである。伝送部424は、センサルーメン412の先端側の開口部426を介して酸素センサ本体422aに光学的に接続している。図示例では、センサルーメン412の開口部426は、シャフト22jの軸線方向(先端側)を指向している。また、センサルーメン412の開口部426の開口面積は、導尿口28aの開口面積よりも小さい。さらに、センサルーメン412の開口部426は、導尿口28aに対してシャフト22jの軸線方向と直交する方向に位置する。
【0277】
センサルーメン412に配設された温度センサ404は、尿路416内を流通する尿の温度を検出するための温度センサ本体428(温度プローブ)と、温度センサ本体428に電気的に接続された伝送部430(温度用伝送部)とを有している。
【0278】
温度センサ本体428は、酸素センサ本体422aとバルーン24との間に位置している。すなわち、尿道カテーテル18jの使用時に、温度センサ本体428は、膀胱140内に位置する。伝送部430は、温度センサ本体428とモニタリングシステム16とを電気的に接続するためのケーブルである。伝送部430は、センサルーメン412内において、伝送部424と並設されている。
【0279】
温度センサ本体428の位置は任意に設定可能である。例えば、温度センサ本体428は、シャフト22jの軸線方向と直交する方向に酸素センサ本体422aと隣接していてもよい。すなわち、温度センサ本体428は、尿路416内に位置していてもよい。また、伝送部424と伝送部430は、センサルーメン412の内部又は外部において、1つのケーブルにまとめられていてもよい。この場合、伝送部424及び伝送部430の配線を簡素化することができる。
【0280】
センサルーメン412内には、センサルーメン412を構成する内面に酸素センサ400a及び温度センサ404を固定するための固定部432a(先端側固定部)が設けられている。固定部432aは、センサルーメン412の先端部に設けられている。固定部432aは、尿路416からセンサルーメン412における固定部432aよりも基端側への尿の流入が阻止されるようにセンサルーメン412の内面に液密に接触している。
【0281】
具体的には、固定部432aは、可撓性を有する材料で構成されており、固定部432aの挿通孔434に伝送部424の先端部を液密に挿入させるとともに固定部432aの穴436に温度センサ本体428及び伝送部430の先端部を挿入させた状態でセンサルーメン412の先端部に液密に嵌入されている。挿通孔434の先端は、導尿口28a及び酸素センサ本体422aの近傍に位置している。
【0282】
固定部432aは、シャフト22jと同一の材料又は同質の材料で構成されている。同質の材料は、シリコーンやシリコーンを含有する接着剤を指す。また、固定部432aは、接着剤によってセンサルーメン412を構成する内面に固定されていてもよい。第1尿路部418の流路断面積(シャフト22jの軸線方向と直交する横断面積)は、第2尿路部420の流路断面積(横断面積)よりも大きい(
図29A及び
図29B参照)。
【0283】
図27において、拡張用ルーメン32は、導尿ルーメン402に対して側方ルーメン406とは反対側の壁部内に設けられている。拡張用ルーメン32の先端側はバルーン24内に連通し、拡張用ルーメン32の基端はシャフト22jの基端に開口している。
【0284】
ハブ26aは、樹脂材料により中空状に一体的に成形されている。ハブ26aには、排尿ポート70、バルーン拡張用ポート72及びセンサ配置用ポート438が設けられている。センサ配置用ポート438には、伝送部424及び伝送部430が挿通されている。酸素用伝送部424及び伝送部430は、ハブ26aの外側でコネクタ439を介して伝送ケーブル441に電気的及び/又は光学的に接続されている(
図26参照)。なお、伝送ケーブル441は、モニタ本体部94に電気的及び/又は光学的に接続されている。
【0285】
上記の酸素測定デバイス10Lでは、酸素センサ本体422aが尿路416内に位置している。そのため、尿路416内を流通する尿に酸素センサ本体422aを接触させることができる。これにより、膀胱140内に残留し続ける尿でなく、腎臓から膀胱140を経由して尿道カテーテル18jを通じて体外に排出される新しい尿中の酸素を精度良く且つ確実に測定することができる。また、固定部432aによりシャフト22jに対する酸素センサ本体422aの変位を抑えることができるため、酸素センサ400aの測定精度を向上させることができる。
【0286】
さらに、伝送部424及び伝送部430がセンサルーメン412に配設されているため、伝送部424及び伝送部430によって尿路416内の尿の流通が阻害されることを抑えることができる。よって、尿路416内の尿を円滑に流通(排尿)させることができる。
【0287】
さらにまた、酸素センサ400aの先端部(伝送部424の酸素センサ本体422a側の端部)が固定部432aによってセンサルーメン412を構成する内面に固定されているため、酸素センサ本体422aのシャフト22jに対する変位を効率的に抑えることができる。よって、酸素センサ400aの測定精度を向上させることができる。
【0288】
また、温度センサ404の先端部が固定部432aによってセンサルーメン412を構成する内面に固定されているため、シャフト22jに対する温度センサ本体428の変位を効率的に抑えることができる。よって、温度センサ404の測定精度を向上させることができる。
【0289】
さらに、固定部432aは、尿路416からセンサルーメン412における固定部432aよりも基端側への尿の流入を阻止している。換言すれば、固定部432aは、伝送部424を挿通させた状態でセンサルーメン412の先端部が封止されるように設けられている。これにより、尿路416内に尿を効率的に流通させることができる。また、酸素センサ本体422aの周囲を尿で満たすことができるため、尿路416内を流通する尿を酸素センサ本体422aに確実に接触させることができる。
【0290】
酸素測定デバイス10Lによれば、固定部432aは、可撓性を有する材料で構成されているため、シャフト22jを膀胱140内に円滑に挿入させることができる。酸素測定デバイス10Lにおいて、固定部432aは、センサルーメン412内に位置しているため、固定部432aによって尿路416内の尿の流通が阻害されることを抑えることができる。
【0291】
酸素測定デバイス10Lにおいて、尿路416の流路断面積は、センサルーメン412の横断面積よりも大きいため、尿路416内の尿を一層円滑に流通させることができる。
【0292】
また、尿路416の少なくとも一部がセンサルーメン412と並行するようにシャフト22jの軸線方向に沿って延在しているため、シャフト22jの長手方向での形状変化及び剛性変化を比較的少なくすることができる。これにより、シャフト22jを膀胱140内に挿入する際に、シャフト22jが座屈したり尿路416が閉塞されたりすることを抑えることができるため、尿路416内の尿を安定して流通させることができる。
【0293】
酸素測定デバイス10Lによれば、センサルーメン412は、酸素センサ本体422aを尿路416内に露出させるための開口部426を有している。そのため、伝送部424をセンサルーメン412に配設させつつ酸素センサ本体422aを尿路416内に配設させることができる。
【0294】
また、センサルーメン412の先端側の開口部426がシャフト22jの軸線方向に指向しているため、伝送部424を屈曲させることなく酸素センサ本体422aを尿路416内に位置させることができる。
【0295】
酸素測定デバイス10Lでは、第1尿路部418の流路断面積が第2尿路部420の流路断面積よりも大きいため、膀胱140内の尿を導尿口28aから第1尿路部418内へ効率的に流入させることができる。また、酸素センサ本体422aが第1尿路部418内に位置しているため、膀胱140内から導尿口28aを介して第1尿路部418内に流入した尿を酸素センサ本体422aに確実に接触させることができる。
【0296】
また、固定部432aの挿通孔434の先端が導尿口28aの近傍に位置しているため、酸素センサ本体422aを導尿口28aの近傍に容易に位置させることができる。
【0297】
酸素測定デバイス10Lによれば、酸素センサ本体422aが導尿口28aに隣接しているため、導尿口28aから尿路416内に流入した尿を酸素センサ本体422aに確実に接触させることができる。また、酸素センサ本体422aが導尿口28aの基端側に隣接しているため(導尿口28aの内部に位置していないため)、導尿口28aの位置でシャフト22jが座屈した場合であっても酸素センサ本体422aが破損することを抑えることができる。
【0298】
さらに、酸素センサ本体422aが導尿口28aに対してシャフト22jの軸線方向と直交する方向に位置しているため、導尿口28aから尿路416に流入した尿を酸素センサ本体422aに効率的に接触させることができる。
【0299】
酸素測定デバイス10Lによれば、酸素センサ本体422aがバルーン24よりも先端側に位置しているため、酸素センサ本体422aを膀胱140内に位置させることができる。これにより、比較的安定した環境(温度変化等が比較的少ない環境)で尿中の酸素を検出することができる。また、バルーン24によってシャフト22jを膀胱140に対して保持することができるため、酸素センサ本体422aが膀胱140内で変位することを抑えることができる。
【0300】
酸素測定デバイス10Lによれば、導尿口28aの中心Pは、シャフト22jの軸線Axよりもセンサルーメン412側に位置しているため、酸素センサ本体422aを導尿口28aに対して容易に隣接させることができる。また、導尿口28aは、シャフト22jのうちセンサルーメン412よりも先端側に位置する部位に設けられているため、膀胱140内から導尿口28aを介して尿路416に流入した尿を酸素センサ本体422aに確実に接触させることができる。
【0301】
酸素測定システム12Aは、酸素測定デバイス10Lに代えて以下に説明する酸素測定デバイス10La~10Ltを備えていてもよい。なお、酸素測定デバイス10La~10Ltにおいて、上述した酸素測定デバイス10Lと同一の構成要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、酸素測定デバイス10La~10Ltにおいて、酸素測定デバイス10Lと共通する部分については、酸素測定デバイス10Laと同一又は同様の作用及び効果が得られる。
【0302】
図30に示す酸素測定デバイス10Laを構成する尿道カテーテル18jaのシャフト22jaでは、センサルーメン412の基端部に固定部440(基端側固定部)が設けられている。固定部440は、可撓性を有する材料で構成されており、固定部440の挿通孔442に伝送部424の基端部を挿入させるとともに固定部440の挿通孔444に伝送部430の基端部を挿入させた状態でセンサルーメン412の基端部に嵌入されている。この場合、伝送部424及び伝送部430に外力が作用した場合であっても酸素センサ本体422a及び温度センサ本体428がシャフト22jaに対して変位することを抑えることができる。これにより、酸素センサ本体422a及び温度センサ本体428の測定精度を向上させることができる。固定部440は、先端側に位置する固定部432aよりも柔軟に構成されていてもよい。尿道カテーテル18jaの伸縮を吸収し、酸素センサ400aの破壊を防ぐことができる。
【0303】
図31に示す酸素測定デバイス10Lbを構成する尿道カテーテル18jbのシャフト22jbでは、固定部432aに代えて固定部432bが設けられている。固定部432bは、センサルーメン412の全体を封止するようにその全長に亘って延在している。固定部432bは、可撓性を有する材料で構成されており、固定部432bの挿通孔448に伝送部424を挿入させるとともに固定部432bの穴450に伝送部430を挿入させた状態でセンサルーメン412を構成する壁面に固定されている。このような構成によれば、酸素センサ本体422a及び温度センサ本体428のシャフト22jbに対する変位を効果的に抑えることができる。
【0304】
図32及び
図33に示す酸素測定デバイス10Lcを構成する尿道カテーテル18jcのシャフト22jcでは、上述した仕切壁408(
図27参照)が省略されている。すなわち、シャフト22jcには、
図27のような側方ルーメン406が設けられず、導尿ルーメン452が設けられる。この場合、導尿ルーメン452が尿路454として機能する。酸素センサ400a及び温度センサ404は、尿路454内に配設されている。尿路454には、尿路454を構成する壁面に伝送部424の先端部と温度センサ404の先端部(温度センサ本体428及び伝送部430の先端部)を固定する固定部432cが設けられている。なお、尿道カテーテル18jcでは、尿路454内の尿がセンサ配置用ポート438を介して外部に漏出することを防止するためのシール部材458がセンサ配置用ポート438内に配設されている。
【0305】
また、固定部432cは、尿路454のうち固定部432cと対向する内面から離間している。換言すれば、固定部432cは、尿路454を構成する内面のうち固定部432cが接触している部位と対向する部位から離間している。これにより、固定部432cによって尿路454内の尿の流通が阻害されることを抑えることができるため、尿路454内の尿を円滑に流通させることができる。
【0306】
図34に示す酸素測定デバイス10Ldを構成する尿道カテーテル18jdのシャフト22jdでは、
図32に示す尿道カテーテル18jcの固定部432cに代えて固定部432dが設けられている。固定部432dは、尿路454内において伝送部424及び温度センサ404を被覆するように設けられている。この場合、尿路454内の尿を一層円滑に流通させることができる。
【0307】
図35に示す酸素測定デバイス10Leを構成する尿道カテーテル18jeのシャフト22jeでは、第2尿路部420の流路断面積が基端側に向かって徐々に大きくなっている。このような構成によれば、第2尿路部420内の尿をシャフト22jeの基端に向かって円滑に流通させることができる。尿道カテーテル18jeでは、第2尿路部420の流路断面積が基端側に向かって段階的に大きくなっていてもよい。すなわち。第2尿路部420は、基端側の流路断面積が先端側の流路断面積よりも大きければよい。
【0308】
図36Aに示す酸素測定デバイス10Lfを構成する尿道カテーテル18jfのシャフト22jfでは、固定部432aのうち尿路416側に露出している面に凹部462が設けられ、酸素センサ本体422aが凹部462内に位置している。また、尿道カテーテル18jfでは、上述した閉塞部材407(
図27参照)が省略されている。そのため、側方ルーメン406の先端側の開口部464からも膀胱140内の尿が流入することとなる。
【0309】
このような構成によれば、尿路416内を流通する尿を酸素センサ本体422aに確実に接触させることができる。この尿道カテーテル18jfにおいて、酸素センサ本体422aは、尿路416内における凹部462の外側に位置していてもよい。
【0310】
図36Bに示す酸素測定デバイス10Lgを構成する尿道カテーテル18jgのシャフト22jgでは、
図36Aに示す酸素センサ400a及び導尿口28aに代えて酸素センサ400b及び導尿口28dが設けられている。酸素センサ400bの酸素センサ本体422bは、導尿口28dよりも先端側まで延在している。
【0311】
また、側方ルーメン406内には、酸素センサ本体422bの先端部を側方ルーメン406の先端部を構成する内面に固定する固定部432eが設けられている。固定部432eは、側方ルーメン406の先端部を封止する。導尿口28dは、矩形状である点が上記の導尿口28aと異なる。このような構成によれば、酸素センサ本体422bのシャフト22jgに対する変位を効果的に抑えることができる。
【0312】
図37Aに示す酸素測定デバイス10Lhを構成する尿道カテーテル18jhのシャフト22jhでは、
図36Aに示す導尿口28aに代えて導尿口28eが設けられている。導尿口28eは、導尿ルーメン402にのみ連通し、側方ルーメン406にまで跨っていない。また、導尿ルーメン402と側方ルーメン406とは互いに連通しない。そのため、導尿ルーメン402の全体が尿路474として機能し、側方ルーメン406のうちセンサルーメン412よりも先端側には尿は流入しない。
【0313】
また、仕切壁408には、酸素センサ本体422aを尿路474に位置させるための開口部476が貫通されている。すなわち、開口部476は、シャフト22jhの軸線方向と直交する方向に指向している。伝送部424は、先端側で尿路474側に屈曲し、開口部476を介して尿路474内まで延出している。酸素センサ本体422aは、尿路474内において、導尿口28eよりも基端側に位置している。
【0314】
シャフト22jhでは、
図36Aに示す固定部432aに代えて固定部432fが設けられている。固定部432fは、側方ルーメン406の先端側(センサルーメン412よりも先端側)を封止するとともに開口部476を封止するように設けられている。なお、固定部432fは、センサルーメン412を構成する内面に伝送部424の先端部及び温度センサ404の先端部を固定する。
【0315】
このような構成によれば、酸素センサ本体422aが導尿口28eよりも基端側に位置しているため、導尿口28eの位置でシャフト22jhが座屈した場合であっても酸素センサ本体422aが破損することを確実に抑えることができる。また、尿路474内を導尿口28eから基端側に流通する尿を酸素センサ本体422aに確実に接触させることができる。
【0316】
図37Bに示す酸素測定デバイス10Liを構成する尿道カテーテル18jiのシャフト22jiでは、
図37Aに示す尿道カテーテル18jhと比較して、固定部432fが開口部476を閉塞しないように構成され、酸素センサ本体422aが開口部476内に位置している点のみが異なっている。このような構成によれば、
図37Aに示す尿道カテーテル18jhと同様の効果を奏する。
【0317】
図38Aに示す酸素測定デバイス10Ljを構成する尿道カテーテル18jjのシャフト22jjでは、
図36Aに示す導尿口28a及び固定部432aに代えて導尿口28f及び固定部432gが設けられている。導尿口28fは、導尿ルーメン402及び貫通孔410にのみ連通し、側方ルーメン406にまで跨っていない。
【0318】
また、固定部432gには、酸素センサ本体422aを尿路416内に露出させるための凹部482が設けられている。凹部482内は、貫通孔410を介して導尿口28fに連通している。
【0319】
このようなシャフト22jjでは、導尿ルーメン402の先端側、貫通孔410、及び凹部482が第1尿路部484として機能し、導尿ルーメン402の貫通孔410よりも基端側が第2尿路部420として機能する。そして、第1尿路部484と第2尿路部420とにより尿路486が構成される。なお、固定部432gは、センサルーメン412を構成する内面に伝送部424の先端部及び温度センサ404の先端部を固定する。このような構成によれば、尿路486内を流通する尿に酸素センサ本体422aを接触させることができる。
【0320】
図38Bに示す酸素測定デバイス10Lkを構成する尿道カテーテル18jkのシャフト22jkでは、
図27に示す導尿口28aに代えて導尿口28gが設けられている。導尿口28gは、導尿ルーメン402及び貫通孔410にまで跨っており、側方ルーメン406を構成する内面に位置していない。また、シャフト22jkの軸線方向において、側方ルーメン406の先端は、導尿ルーメン402の先端と同じ位置にある。つまり、側方ルーメン406は、シャフト22jkの先端まで貫通していない。
【0321】
伝送部424は、尿路416において導尿ルーメン402側に湾曲しており、酸素センサ本体422aが導尿ルーメン402内に位置している。具体的には、酸素センサ本体422aは、シャフト22jkの軸線方向と直交する方向に導尿口28gに対して隣接している。なお、固定部432aは、仕切壁408よりも先端側まで延出している。このような構成によれば、尿路416内を流通する尿に酸素センサ400aを接触させることができる。
【0322】
図39Aに示す酸素測定デバイス10Llを構成する尿道カテーテル18jlのシャフト22jlは、先端部の形状が上述したシャフト22jの先端部の形状と異なっている。シャフト22jlの先端面の曲率は、シャフト22jlの先端面の曲率よりも大きい。また、シャフト22jlでは、
図27に示す導尿口28aに代えて楕円形状の導尿口28hが設けられている。このような構成によれば、尿路416内を流通する尿に酸素センサ400aを接触させることができる。
【0323】
図39Bに示す酸素測定デバイス10Lmを構成する尿道カテーテル18jmのシャフト22jmでは、仕切壁408に酸素センサ本体422aを導尿ルーメン402内に位置させるための開口部488が設けられている。つまり、開口部488は、シャフト22jmの軸線方向と直交する方向に指向している。伝送部424は、先端側で尿路416側に屈曲し、開口部488を介して尿路416内まで延出している。そのため、酸素センサ本体422aは、第2尿路部420内において、導尿口28aよりも基端側に位置している。
【0324】
このような構成によれば、排尿量が比較的少ない場合であっても尿路416内を流通する尿を酸素センサ本体422aに確実に接触させることができる。
【0325】
図40Aに示す酸素測定デバイス10Lnを構成する尿道カテーテル18jnのシャフト22jnは、先端が開口するとともに先端側の外周面に孔490(貫通孔)が設けられている。シャフト22jnの先端の開口部492は、閉塞部材494によって閉塞されている。閉塞部材494は、シャフト22jnに一体的に設けられていてもよい。孔490は、貫通孔410に対向している。
【0326】
また、シャフト22jnでは、
図27に示す酸素センサ400a、導尿口28a、及び固定部432aに代えて酸素センサ400c、導尿口28i、及び固定部432h(接着剤)が設けられている。酸素センサ400cの酸素センサ本体422cは、導尿口28iの先端側までシャフト22jnの軸線方向に沿って延在している。導尿口28iは、導尿ルーメン402に連通し、貫通孔410及び側方ルーメン406に跨っていない。すなわち、導尿口28iは、導尿ルーメン402及び貫通孔410を介して側方導尿ルーメン414に連通している。なお、導尿口28iは、貫通孔410よりも先端側及び基端側に延在している。換言すれば、貫通孔410及び孔490は、導尿口28iに対してシャフト22jnの軸線方向と直交する方向に位置している。
【0327】
固定部432hは、孔490を閉塞した状態で酸素センサ400cをシャフト22jnに対して固定する。具体的には、固定部432hは、酸素センサ本体422cの先端部及び基端部並びに伝送部424に設けられている。これにより、酸素センサ本体422cを側方導尿ルーメン414内に効果的に保持することができる。酸素センサ本体422cの延在方向の中間部のうち貫通孔410に対向する部位は、側方導尿ルーメン414に露出している。なお、固定部432hは、酸素センサ本体422cの先端部及び基端部のいずれか一方にのみ設けられていてもよい。
【0328】
このような構成によれば、シャフト22jnの外周面に設けられた孔490を介して側方ルーメン406内に固定部432hを容易に設けることができる。これにより、尿道カテーテル18jnの製造工数の低減を図ることができる。また、前記孔490は、固定部432hによって閉塞されるため、導尿口28iから尿路416に流入した尿が孔490を介して尿道カテーテル18jnの外部に流出することはない。
【0329】
図40Bに示す酸素測定デバイス10Loを構成する尿道カテーテル18joのシャフト22joでは、
図40Aに示す尿道カテーテル18jnと比較して、貫通孔410及び孔490が導尿口28iよりも基端側に位置する点が異なっている。また、シャフト22joの軸線方向において、酸素センサ本体422cの先端は、導尿口28iの基端に位置している。このような構成によれば、
図40Aに示す尿道カテーテル18jnと同様の効果を奏する。
【0330】
図41Aに示す酸素測定デバイス10Lpを構成する尿道カテーテル18jpのシャフト22jpでは、
図40Aに示す尿道カテーテル18jnと比較して、導尿口28i及び固定部432hに代えて導尿口28j及び固定部432i(接着剤)が設けられている。導尿口28jは、導尿ルーメン402及び貫通孔410に跨り、側方ルーメン406に跨っていない。また、貫通孔410は、導尿口28jの基端側まで延在しており、孔490は、導尿口28jよりも基端側に位置している。また、シャフト22jpの軸線方向において、酸素センサ本体422cの先端は、導尿口28jの基端側に位置している。
【0331】
固定部432iは、孔490を閉塞するとともに酸素センサ本体422cの基端部及び伝送部424に設けられている。このような構成によれば、
図40Aに示す尿道カテーテル18jnと同様の効果を奏する。
【0332】
図41Bに示す酸素測定デバイス10Lqを構成する尿道カテーテル18jqのシャフト22jqでは、
図41Aに示す尿道カテーテル18jpと比較して、導尿口28jに代えて導尿口28kが設けられている。導尿口28kは、導尿ルーメン402、貫通孔410、及び側方導尿ルーメン414に跨っている。また、シャフト22jqの軸線方向において、酸素センサ本体422cの先端は、導尿口28kの基端に位置している。孔490は、導尿口28k及び貫通孔410よりも基端側に位置している。このような構成によれば、
図40Aに示す尿道カテーテル18jnと同様の効果を奏する。
【0333】
図42Aに示す酸素測定デバイス10Lrを構成する尿道カテーテル18jrのシャフト22jrでは、
図32に示す尿道カテーテル18jcと比較して、固定部432cに代えて固定部432jが設けられている点が異なる。固定部432jは、導尿ルーメン452の内面から突出した支持部496と、伝送部424を支持部496に対して固着するための係合部498(固着部)とを有している。支持部496には、伝送部424が挿通される挿通孔500が設けられている。
【0334】
係合部498は、伝送部424の外周面に固着するとともに挿通孔500を構成する内面に固着している。これにより、酸素センサ400aは、シャフト22jrに対して確実に固定される。すなわち、係合部498は、酸素センサ本体422aと支持部496との距離を一定に保持する。
【0335】
支持部496は、剛体であってもよいし柔軟性を有していてもよい。支持部496が柔軟性を有する場合、
図42Bに示すように、例えば、伝送部424が基端側に引っ張られた場合であっても支持部496を弾性変形させることができるため、酸素センサ400aが破損することを抑えることができる。また、この場合、支持部496及び係合部498は、シャフト22jrの軸線方向に相対的に移動してもよい。支持部496及び係合部498は、同じ材料で構成されていてもよいし、互いに異なる材料で構成されていてもよい。
【0336】
図43Aに示す酸素測定デバイス10Lsを構成する尿道カテーテル18jsのシャフト22jsでは、
図42Aに示す尿道カテーテル18jrと比較して、固定部432jに代えて固定部432kが設けられている点が異なる。固定部432kは、導尿ルーメン452の内面から突出した支持部502と、伝送部424を支持部502に対して係合するための係合部504とを有している。支持部502には、伝送部424が挿通される挿通孔506が設けられている。挿通孔506を構成する内面には、係合部504が配設される凹部508が設けられている。このような構成であっても、酸素センサ400aをシャフト22jsに対して固定することができる。なお、係合部504は、図示例では凹部508の内面に対して固着されていないが、凹部508の内面に固着されていてもよい。
【0337】
図43Bに示す酸素測定デバイス10Ltを構成する尿道カテーテル18jtのシャフト22jtでは、
図27に示す尿道カテーテル18jと比較して、固定部432aの挿通孔434が導尿ルーメン402側に位置している点が異なる。換言すれば、挿通孔434は、固定部432aのうち導尿ルーメン402側の外面に設けられている。つまり、センサルーメン412を構成する内面のうち導尿ルーメン402側の先端面(仕切壁408のセンサルーメン412側の先端面)が挿通孔434内に位置している。そのため、伝送部424は、前記先端面に接触している。これにより、酸素センサ本体422aを導尿ルーメン402側に位置させることができる。
【0338】
本発明は、上述した構成に限定されない。導尿口28a~28kは1つもしくは3つ以上で構成されてもよく、それらの開口位置は互いに対向していない、又は閉塞部23a~23eの先端部にあってもよい。酸素測定デバイス10A~10Jは、
図44に示すシャフト22kを備えていてもよい。
図44に示すように、シャフト22kには、シャフト22kを構成する材質よりも硬い材質で構成された硬質部材600が設けられていてもよい。硬質部材600は、例えば、金属、プラスチック、繊維等によって構成される。硬質部材600は、シャフト22kの壁部に埋設された埋設硬質部602a、602bと、導尿ルーメン42を構成する壁面に設けられた壁面硬質部604aと、センサルーメン202を構成する壁面に設けられた壁面硬質部604bと、拡張用ルーメン32を構成する壁面に設けられた壁面硬質部604cとを有する。埋設硬質部602a、602bは、線状に延在している。埋設硬質部602a、602b及び壁面硬質部604a~604cの外表面は、凹凸が形成されていてもよいし、凹凸が形成されていなくてもよい。また、埋設硬質部602a、602b及び壁面硬質部604a~604cは、複数の孔部が形成された帯状部材であってもよい。さらに、埋設硬質部602a、602bは、メッシュ状(網状)に構成してもいし、繊維等を密に組み合わせた編組物であってもよい。シャフト22kは、埋設硬質部602a、602b及び壁面硬質部604a~604cの少なくとも1つが設けられていてもよい。このような構成によれば、シャフト22kの伸縮を硬質部材600で抑えることができるため、シャフト22kの伸縮に伴う酸素センサ本体50a~50h、50ha、50hb、と光ファイバ58との位置ずれを抑えることができる。
【0339】
酸素測定デバイス10A~10L、10La~10Ltは、
図45Aに示すシャフト22lを備えていてもよい。
図45Aに示すように、シャフト22lの中央部には、導尿ルーメン609が設けられている。シャフト22lにおける導尿ルーメン609の一方の側には、伝送部52、伝送部304又は伝送部424が配設された第1センサルーメン610が設けられている。
【0340】
シャフト22lにおける導尿ルーメン609の他方の側(第1センサルーメン610とは反対側)には、温度センサ44又は温度センサ404が配設された第2センサルーメン612と、第2センサルーメン612に隣接した拡張用ルーメン32とが設けられている。このように、第1センサルーメン610及び第2センサルーメン612を設けると、センサ配置の自由度を向上させることができる。
【0341】
酸素測定デバイス10A~10L、10La~10Ltは、
図45Bに示すシャフト22mを備えていてもよい。
図45Bに示すように、シャフト22mでは、横断面が半円状の導尿ルーメン609がシャフト22mの中央から変位した位置に設けられている。また、導尿ルーメン609に対して同じ側に第1センサルーメン610と第2センサルーメン612とが設けられている。第1センサルーメン610と第2センサルーメン612とは、導尿ルーメン609の幅方向(導尿ルーメン609の横断面の弦の延在方向、
図27Bの左右方向)に並設されている。また、拡張用ルーメン32は、第1センサルーメン610及び第2センサルーメン612に対して導尿ルーメン609とは反対側に設けられている。
【0342】
酸素測定デバイス10A~10L、10La~10Ltは、
図45Cに示すシャフト22nを備えていてもよい。
図45Cに示すように、シャフト22nは、
図45Bに示すシャフト22mと比較して、第1センサルーメン610及び第2センサルーメン612に代えて1つのセンサルーメン614が設けられている点で異なる。この場合、センサルーメン614内には、伝送部52、伝送部304又は伝送部424と温度センサ44又は温度センサ404が並設されている。
【0343】
酸素測定デバイス10A~10L、10La~10Ltは、尿道カテーテル18a~18j、18ja~18jtの先端部に設けられた上述した温度センサ44、404に加えて尿道カテーテル18a~18j、18ja~18jtの基端側の尿の温度を検出可能な温度センサを備えていてもよい。酸素測定デバイス10A~10L、10La~10Ltは、尿道カテーテル18a~18j、18ja~18jtの先端付近の圧力を測定する圧力センサを備えていてもよい。圧力センサは、電気信号又は光信号をモニタリングシステム16に出力する。
【0344】
モニタ本体部94は、時間、モニタ本体部94の周辺の大気圧力、モニタ本体部94の周辺の湿度、モニタ本体部94の周辺の温度を取得可能に構成されていてもよい。なお、時間とは、現在時刻、あるタイミングからの経過時間を含む。モニタ本体部94は、各センサの固有の初期(製造時)のキャリブレーション値を読み取りして反映可能に構成することができる。キャリブレーション値の入力方法は、1次元又は2次元のバーコードをスキャンしてもよいし、モニタ114から直接的に入力してもよい。また、キャリブレーション値が尿道カテーテル18a~18j、18ja~18jtの信号出力部に保持されており、モニタリングシステム16が尿道カテーテル18a~18j、18ja~18jtに接続されることによって自動的に読み込まれるようにしてもよい。
【0345】
酸素測定システム12、12Aでは、使用前に動作確認を行ってもよい。この場合、酸素測定デバイス10A~10L、10La~10Ltの各センサからの出力値が正常動作範囲内であることを確認する。具体的に、モニタ本体部94の周辺の温度、湿度及び大気圧力から算出される基準値と酸素測定デバイス10A~10L、10La~10Ltの各センサからの出力値とを比較する。そして、モニタ本体部94の制御部116が酸素測定デバイス10A~10L、10La~10Ltの各センサからの出力値が正常範囲内であるか否かを判定し、その判定結果を報知する。なお、酸素測定デバイス10A~10L、10La~10Ltの各センサからの出力値が正常範囲であることの確認は、基準溶液又は基準気体を用いて各センサの出力値を取得し、その出力値と基準値とを比較してもよい。
【0346】
モニタ本体部94は、酸素測定デバイス10A~10L、10La~10Ltの各センサからの出力値に基づいて各種物理量(酸素分圧、膀胱内温度、尿量等)を報知してもよい。具体的に、モニタ本体部94は、数値、棒グラフ、ダイヤルゲージ、レベルメータ、色等によって物理量を報知することができる。また、モニタ本体部94は、上下矢印、各種グラフ(折れ線グラフ等)、色変化経過表示等によって物理量の推移をモニタ114に表示することができる。
【0347】
膀胱140内の変化が酸素測定デバイス10A~10L、10La~10Lt内の尿の流量の変化として現れるまでには時間差がある。そのため、モニタ本体部94は、膀胱140内の変化が酸素測定デバイス10A~10L、10La~10Ltの各センサの出力値として現れるまでの遅れ時間をモニタ114に表示するようにしてもよい。
【0348】
モニタ本体部94は、ユーザが所定の条件を設定することができる。モニタ本体部94は、設定条件を満たした状態を設定時間分だけ経過したか否かを判定して報知してもよい。すなわち、モニタ本体部94は、例えば、設定した尿量の排尿が得られない場合、設定条件を満たした状態(センサの低出力状態、膀胱内温度が設定温度未満の状態等)が設定時間以上継続している場合等に報知してもよい。
【0349】
モニタ本体部94は、設定した変化が発生したことを判断して報知してもよい。つまり、モニタ本体部94は、例えば、尿の流量の変化率が設定した変化率を越えた場合、尿の測定温度の変化幅が設定した変化幅を超えた場合等に報知してもよい。
【0350】
モニタ本体部94は、内部にプログラムを保持する機能を有し、外部からの更新情報を受けることでプログラムを更新可能に構成されていてもよい。この場合、モニタ本体部94は、更新情報の供給源に対して無線接続又は有線接続(USB接続)することによって更新情報を受けるようにしてもよい。また、モニタ本体部94は、メモリーカードを差し替えることによって更新情報を受けてもよい。
【0351】
モニタ本体部94は、必要な機能を簡単に操作できるように構成されていてもよい。つまり、モニタ本体部94は、物理的なファンクションキーを少なくとも1つ有し、各ファンクションキーに機能を自由に割り当てることができるように構成されていてもよい。モニタ本体部94は、例えば、ダイヤルの操作やモニタ114(画面)をスライド操作することにより、過去データへの時間遡り操作が可能に構成されていてもよい。
【0352】
モニタ本体部94は、選択した範囲のデータを外部のプリンタ等から印刷できるように構成されていてもよい。
【0353】
モニタ本体部94は、モニタ114の表示領域を分割して各表示領域に任意のデータを表示することができるように構成されていてもよい。この場合、例えば、現在データと過去データとを容易に比較することができる。モニタ本体部94は、モニタ114の表示を外部の表示装置に出力して表示できるように構成されていてもよい。
【0354】
モニタ本体部94は、輸液量から排尿量の範囲を推定するとともにその推定範囲と実際の排尿量とを比較し、推定範囲内にあるか否かを判定し、その判定結果を報知するように構成されていてもよい。なお、輸液量は、輸液ポンプから輸液データを自動的に取得してもよいし、輸液量を直接入力するようにしてもよい。