(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】計時器のためのインジケーターの変更防止システム
(51)【国際特許分類】
G04B 19/253 20060101AFI20221018BHJP
G04B 27/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
G04B19/253 D
G04B27/00 G
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021071580
(22)【出願日】2021-04-21
【審査請求日】2021-04-21
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・バッハマン
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-219240(JP,A)
【文献】特開2014-041124(JP,A)
【文献】特開2003-240875(JP,A)
【文献】特開昭63-313089(JP,A)
【文献】米国特許第04240249(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/24-257
G04B 27/00-27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器(1)のためのインジケーター(6)の変更防止システム(4)であって、
前記変更防止システム(4)は、前記インジケーター(6)の変更機構(8)と、及び前記インジケーター(6)と噛み合うように構成している変更ギヤ(10)とを備え、
前記変更機構(8)は、手動変更アクチュエートシステムに接続され第1の変更位置にある前記変更ギヤ(10)と噛み合うように構成しており、
前記変更機構(8)は、前記第1の変更位置と第2の非変更位置の間にて運動可能なように取り付けられ、
前記変更防止システム(4)は、さらに、軸(22)のまわりに回転するように動くことができるように取り付けられた可動コンポーネント(14)を備え、
前記可動コンポーネント(14)の第1の端(14a)は、前記
インジケーター(6)に設けられた少なくとも1つの隆起部(24)と連係するように構成しており、
前記可動コンポーネント(14)の第2の端(14b)は、前記可動コンポーネント(14)の前記第1の端(14a)が前記少なくとも1つの隆起部(24)と連係して、変更防止位置となっている前記変更機構(8)をブロックするように前記変更機構(8)と連係するように構成している
ことを特徴とする変更防止システム(4)。
【請求項2】
前記可動コンポーネント(14)は、前記軸(22)のまわりに自由に回転するように取り付けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の変更防止システム(4)。
【請求項3】
前記可動コンポーネント(14)を
所定位置の方に押すように取り付けられるばねを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の変更防止システム(4)。
【請求項4】
前記可動コンポーネント(14)は、前記計時器(1)のプレート(26)に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の変更防止システム(4)。
【請求項5】
前記変更機構(8)の角変位を第1の変更位置と第2の非変更位置の間に制限するように構成している少なくとも1つのストッパーを備える
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の変更防止システム(4)。
【請求項6】
前記可動コンポーネント(14)は、レバーの形をしており、
前記レバーには、第1の幅広部分(21)と第2のアーム状部分(23)があり、前記第1の幅広部分(21)の角は、前記可動コンポーネント(14)の前記第1の端(14a)を形成し、
前記アーム状部分(23)にある自由端は、前記可動コンポーネント(14)の前記第2の端(14b)を形成する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の変更防止システム(4)。
【請求項7】
前記可動コンポーネント(14)は、プラスチック材料、又は
金属材料によって作られる
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の変更防止システム(4)。
【請求項8】
前記インジケーター(6)として、月インジケータと日付インジケータがあり、
前記変更機構(8)は、
前記月インジケーターを変更しない位置に対応する前記変更機構(8)の前記第2の非変更位置が
前記日付インジケーターを変更する位置に対応するように構成している
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の変更防止システム(4)。
【請求項9】
前記変更機構(8)は、
その変更防止位置が
前記インジケーター(6)の第2の非変更位置に対応するように構成している
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の変更防止システム(4)。
【請求項10】
前記変更機構(8)は、少なくとも1つの
駆動フィンガー(18)を備え、
前記少なくとも1つの駆動フィンガー(18)は、軸(18a)のまわりに回転可能なように取り付けられ、前記軸(18a)は、前記変更機構(8)に取り付けられ、
前記少なくとも1つの駆動フィンガー(18)は、前記変更機構(8)の前記第1の変更位置において前記変更ギヤ(10)と噛み合うように構成している
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の変更防止システム(4)。
【請求項11】
前記隆起部(24)の一部又はすべては、前記
インジケーターの下側部分(25)に設けられ、前記
インジケーターの前記下側部分(25)によって定められる平面内に延在している
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の変更防止システム(4)。
【請求項12】
前記インジケーター(6)として、月インジケータと日付インジケータがあり、
前記変更防止システム(4)は、
前記月インジケーターの変更防止システムであり、
前記日付インジケーターには、少なくとも
2つの隆起部(24)があり、
前記
日付インジケーター上の
各隆起部(24)の
位置は、所定の日付に対応し、
前記隆起部(24)
が、前記可動コンポーネント(14)の前記第1の端(14a)と連係して、変更防止位置となっている前記変更機構(8)をブロックする
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の変更防止システム(4)。
【請求項13】
前記インジケーター(6)として、日付インジケータがあり、
前記変更防止システム(4)は、
前記日付インジケーターの変更防止システムであり、
前記
日付インジケーターには、少なくとも1つの隆起部があり、
前記隆起部の位置は、所定の時間に対応しており、
前記隆起部が前記可動コンポーネント(14)の前記第1の端(14a)と連係して、変更防止位置となっている前記変更機構(8)をブロックする
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の変更防止システム(4)。
【請求項14】
インジケーター(6)の変更防止システム(4)を備える計時器用ムーブメント(2)であって、
前記変更防止システム(4)は、請求項1~13のいずれか一項に記載の変更防止システムである
ことを特徴とする計時器用ムーブメント(2)。
【請求項15】
請求項14に記載の計時器用ムーブメント(2)、及び/又は
請求項1~13のいずれか一項に記載の変更防止システム
を備えることを特徴とする計時器(1)。
【請求項16】
機械式の携行型時計である
ことを特徴とする請求項15に記載の計時器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計時器のためのインジケーターの変更防止システムに関する。本発明の特定の応用分野として、年間カレンダー機構タイプの計時器用複雑機構の分野が挙げられるが、これに限定されるものではない。インジケーターは、例えば、日付インジケーター、月インジケーター、曜日や年のインジケーター、週インジケーターである。
【0002】
本発明は、さらに、このような変更防止システムを備える計時器に関する。このような計時器は、例えば、機械式の携行型時計(例、腕時計、懐中時計)である。
【背景技術】
【0003】
年間カレンダー機構は、月の日数が1年の12ヶ月の間ですべて同じではないということに対応した計時器の複雑機構である。このような年間カレンダー機構は、30日からなる月の後に月の1日を正確に表示することができる。しかし、このような機構においては、2月(30日又は31日からなる月であるとみなされる)に対応しておらず、また、うるう年に対応していない。月の間の持続時間の差は、典型的には、固体部分とノッチがあるカムを用いて対応されている。
【0004】
しかし、年間カレンダー機構が適切に機能することを確実にするために、該当月の30日における月の更新をシステム内で機械的にブロックする必要がある。実際に、そのようにしないと、表示がずれるというリスクが発生する。このような機械的ブロックは、例えば、日付インジケーターの上側部分に設けられたラグによって達成される。このような日付インジケーターに設けられるラグの位置は、該当月の30日にラグが駆動ギヤの回転をブロックするように選択され、この駆動ギヤは、変更機構の作用の下で月インジケーターと噛み合うように構成している変更ギヤと一体化されている。実際に、このような変更機構は、変更位置にあるときに変更ギヤと噛み合うように構成しており、この変更位置と非変更位置の間にて動くように取り付けられている。
【0005】
しかし、この種の機械的なブロックにおいては、ラグが駆動ギヤの回転をブロックしているときにユーザーが手動で月を変更しようとした場合に、ユーザーがシステムを強引に変更してしまって、変更ギヤのような特定のコンポーネントを劣化させたり破損させたりしてしまうという重大なリスクがある。この問題に対処するために、月インジケーターの変更機構において、摩擦によって保持され軸を中心に回転することができる摩擦ボードタイプの部品を設けることを伴う手法が知られている。このようにすることで、日付インジケーターに設けられたラグによって駆動列の回転がブロックされている間に、ユーザーが月を手動で変更しようとしても、摩擦の影響によって、変更ギヤに他の影響は及ぼさずに、変更機構のボードをその軸のまわりに回転させることができる。これによって、手動による変更を防ぎつつ、コンポーネントの損傷を防ぐことができる。しかし、この手法には、その実装と制御が最適ではないという課題がある。実際に、部品の取り付け時、潤滑時(潤滑剤の量又はタイプに応じて)又は寿命全体の間に(ラップ又は摩耗の現象による)、部品の加工公差に応じて、摩擦の品質や精度が容易にばらついてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような状況で、本発明は、摩擦によって保持されるコンポーネントを用いることなく、変更が禁止されている期間に曜日や時に対する手動変更の試みがあった場合にコンポーネントのいずれの劣化をも単純に防ぐことができるような、計時器のためのインジケーターの変更防止システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的のために、本発明は、独立請求項1に記載された特徴を有する計時器のためのインジケーターの変更防止システムに関する。
【0008】
従属請求項2~13に、この変更防止システムの特定の形態が定められている。
【0009】
本発明によると、この変更防止システムは、軸を中心に回転運動可能に取り付けられた可動コンポーネントを備える。この可動コンポーネントの第1の端は、日付インジケーター又は時車に設けられた少なくとも1つの隆起部と連係するように構成しており、第2の端は、可動コンポーネントの第1の端が前記少なくとも1つの隆起部と連係しているときに変更防止位置となっている変更機構をブロックするように構成している。したがって、この運動によって、可動コンポーネントはその軸を中心に回転し、変更防止位置にある変更機構をブロックする。そして、変更機構は、日付又は月の変更のためにそのトラベルの終わりの前に止められ、そして、自由に回転する。当該月の(禁止されていない)他の日、又は当該日の(禁止されていない)他の時には、可動コンポーネントは、自由であり、変更機構がその非変更位置から変更ギヤと噛み合う変更位置へと自由に切り替わることを可能にする。本発明に係るこのような手法は、部品を摩擦によって保持するような従来技術の手法と比べて、特に、単純であり、変更防止システムの性能と安定性を制御することを可能にする。また、本発明に係る変更防止システムは、日付機構の挙動が良好であることを確実にし、表示がずれるリスクをいずれも避けつつ、変更が禁止されている日又は時に手動変更の試みがあった場合にコンポーネントの劣化をいずれも防ぐことを可能にする。
【0010】
好ましい実施形態において、前記可動コンポーネントは、軸を中心に自由に回転するように取り付けられる。この実施形態は、システム内の機械的トルクの消費を減少させることを可能にする。また、システムコンポーネントの間の機械的摩耗を減少させ、したがって、システムの寿命を延ばすことを可能にする。
【0011】
好ましいことに、この変更防止システムは、変更機構の角変位を変更位置と非変更位置の間に制限するように構成している少なくとも1つのストッパーを備える。
【0012】
好ましいことに、この変更機構は、インジケーターを変更しない変更機構の第2の非変更位置が、日付インジケーター又は時車の変更位置に対応するように構成している。
【0013】
好ましいことに、この変更機構は、その変更防止位置がインジケーターの第2の非変更位置に対応するように構成している。
【0014】
本発明の特定の技術的特徴によると、前記隆起部の一部又はすべては、日付インジケーター又は時車の下側部分に設けられ、前記日付インジケーター又は前記時車の前記下側部分によって定められる平面内にて延在している。
【0015】
本発明の第1の実施形態において、前記変更防止システムは、月インジケーターの変更防止システムであり、前記日付インジケーターには、少なくとも1つの隆起部がある。前記日付インジケーターにある前記隆起部の一部又はすべての位置は、所定の日付に対応しており、この間に、前記隆起部が前記可動コンポーネントの第1の端と連係して、変更防止位置となっている前記変更機構をブロックする。
【0016】
本発明の第2の実施形態において、前記変更防止システムは、日付インジケーターの変更防止システムであり、前記時車には少なくとも1つの隆起部が設けられ、時車にある前記隆起部の一部又はすべては、所定の時間に対応しており、この間に、前記隆起部が前記可動コンポーネントの第1の端と連係して、変更防止位置となっている前記変更機構をブロックする。
【0017】
前記目的のために、本発明は、さらに、上述した変更防止システムを備え、従属請求項14に記載した特徴を有する計時器用ムーブメントに関する。
【0018】
前記目的のために、本発明は、さらに、上述した計時器用ムーブメント、及び/又は上述した変更防止システムを備え、従属請求項15に記載した特徴を有する計時器に関する。
【0019】
従属請求項16に、前記計時器の特定の形態が定められている。
【0020】
図示している少なくとも1つの実施形態に基づく以下の説明を読むことによって、本発明に係る日付又は月のインジケーターの変更防止システムの目的、利点及び特徴を明確に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の特定の実施形態に係る月インジケーターの変更防止システムを備える携行型時計の計時器用ムーブメントの一部の斜視図である。
【
図2】
図1の変更防止システムの斜視図であり、この変更防止システムは、軸を中心に回転運動可能な可動コンポーネントを備え、この可動コンポーネントは、変更許可位置にある。
【
図3】
図2と同様な形態の図であり、可動コンポーネントは変更禁止位置にある。
【
図4】
図3と同様な形態の図であり、異なる方向から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下においては、日付機構、典型的には、年間カレンダー機構、を備える計時器用ムーブメントに基づいて説明する。この技術分野における当業者によく知られている計時器用ムーブメントの通常のコンポーネントについては、単純化された形態でのみ説明し、又はまったく説明しない。当業者であれば、実際に、これらの様々なコンポーネントを適応させて、それらのコンポーネントどうしを連係させて計時器用ムーブメントを動作させることができる。特に、日付機構に関連するものについては以下においてまったく説明しない。
【0023】
図1~4は、計時器用ムーブメント2を備える計時器1の一部を示している。計時器1は、典型的には、機械式の携行型時計である。計時器用ムーブメント2は、インジケーター6の変更防止システム4を備える。インジケーター6は、例えば、日付インジケーター、月インジケーター、又は曜日又は年のインジケーター、又は週インジケーターであり、本発明に関連して制限されるものではない。
図1~4に示している特定の実施形態において、変更防止システム4は、月インジケーター6の変更防止システムである。この場合、計時器用ムーブメント2は、さらに、日付インジケーター5及び年間カレンダー機構(年間カレンダー機構は図示していない)を備える。
図1に、月インジケーター6を示している。この図(月の数字が記載されている上側のワッシャーを省略している)において、月インジケーター6は、軸6aのまわりに回転可能なように取り付けられている。30日からなる月に、30日の終わりにおいて月の値を変えるように、年間カレンダー機構に属する別のシステム(図示せず)によって月インジケーター6が駆動される。図示していない代替形態において、変更防止システム4は、日付インジケーターの変更防止システムである。
【0024】
この変更防止システム4は、月インジケーター6の変更機構8と、変更ギヤ10と、駆動ギヤ12と、及び可動コンポーネント14(簡明性のために
図1には示していない)とを備える。好ましくは、変更防止システム4は、さらに、少なくとも1つのストッパー(図においては見えない)を備える。図示していない特定の代替的実施形態において、変更防止システム4は、さらに、可動コンポーネント14を押して弾性戻し位置の方にするように取り付けられるばねを備える。
【0025】
変更機構8は、ワインド用リュウズに接続されたアクチュエート用ロッドのような手動変更のアクチュエートシステム(図示せず)に接続されている。変更機構8は、変更機構8が変更ギヤ10と噛み合っている
図1及び2に示している第1の変更位置と、変更機構8が変更ギヤ10と噛み合っていない第2の非変更位置(図示せず)の間を運動可能に取り付けられている。好ましくは、変更機構8は、月インジケーター6を変更しない位置に対応する変更機構8の第2の非変更位置が日付インジケーター5を変更する位置に対応するように構成している。より好ましくは、変更機構8は、少なくとも1つの駆動フィンガー18を備える。
図1~4に示している特定の例示的な実施形態において、変更機構8は、3つの駆動フィンガー18を備え、これらの3つの駆動フィンガー18は、この変更機構8に取り付けられた軸18aのまわりにて360度にわたって規則的に分布している。これらの駆動フィンガー18は互いに一体化されており、軸18aのまわりに回転可能なように取り付けられている。駆動フィンガー18は、機構8の第1の変更位置において変更ギヤ10と噛み合うように構成している。
【0026】
変更ギヤ10は、駆動ギヤ12と一体化されている。
図1に示しているように、変更ギヤ10は、月インジケーター6と噛み合うように構成している。
【0027】
駆動ギヤ12は、変更ギヤ10に取り付けられ、例えば、日付インジケーター5の上側部分20に設けられた少なくとも1つのラグ19と連係するように構成している。
図1に示している特定の例示的な実施形態において、日付インジケーター5の上側部分20には、単一のラグ19が設けられる。このラグ19は、長い月(31日からなる月)には、駆動列12を介して月インジケーター6を駆動する。逆に、短い月(31未満の日からなる月)には、ラグ19は、駆動ギヤ12を介して月インジケーター6によって駆動される。好ましくは、
図1に示しているように、ラグ19は、日付インジケーター5の上側部分20によって定められる平面内にて、日付インジケーター5の半径方向内側の方に延在している。
【0028】
代わりに、日付インジケーター5の上側部分20に、いずれのラグも設けないようにすることもできる。これは、例えば、計時器用ムーブメント2が、年間カレンダー機構ではない単純な日付機構を備える場合である。
【0029】
図2~4に示している可動コンポーネント14は、軸22を中心に回転運動をすることができるように取り付けられている。
図1~4に示している好ましい実施形態において、可動コンポーネント14は、軸22を中心に自由に回転するように取り付けられる。可動コンポーネント14は、典型的にはほぞ又はピンを用いて、軸22に接するようにされ高さが維持される。可動コンポーネント14には、第1の端14aと第2の端14bがある。
図2~4に示している好ましい例示的な実施形態において、可動コンポーネント14はレバーの形となっている。この場合、第1の端14aは、レバーの第1の幅広部分21の角に対応し、第2の端14bは、レバーの第2のアーム状部分23の自由端に対応する。第1の端14aは、日付インジケーター5の下側部分25に設けられた少なくとも1つの隆起部24と連係するように構成している。
図2~4に示している特定の例示的な実施形態において、日付インジケーター5の下側部分25には、単一の隆起部24がある。好ましくは、
図2~4に示しているように、隆起部24は、日付インジケーター5の下側部分25によって定められる平面内にて、日付インジケーター5の内側の方に半径方向に延在している。図示していない代替形態において、日付インジケーター5の下側部分25には、日付インジケーター5の周部に間隔を置いて分布する少なくとも2つの隆起部が設けられており、この間隔は、規則的であることができ、また、規則的でないことができる。可動コンポーネント14は、例えば、プラスチック材料、又は金属性材料、特に、鋼、によって作られる。可動コンポーネント14は、スタンピングを用いて、又はプラスチック又は金属の注入を行って、又はバンド又はネックラインの形にて、製造することが有利である。
【0030】
図3及び4に示しているように、可動コンポーネント14の第2の端14bは、可動コンポーネント14の第1の端14aが隆起部24と連係する変更防止位置にあるときに変更機構8をブロックするように、変更機構8と連係するように構成している。この運動によって、可動コンポーネント14はその軸22を中心に回転して、変更防止位置となっている変更機構8をブロックする。そして、変更機構8は、月の変更のためにそのトラベルの終わりの前に止められ、そして、自由に回転する。
図3及び4に示している変更機構8の変更防止位置は、月インジケーター6の変更禁止位置である。
図1~4に示している特定の実施形態において、変更機構8の変更防止位置は、インジケーター6の第1の変更位置と第2の非変更位置の間の中間位置である。図示していない代替形態において、変更機構8は、その変更防止位置が月インジケーター6の第2の非変更位置に対応するように構成している。隆起部24は、例えば、変更機構8の変更防止位置が該当月の30日にアクティベートされるように配置される。可動コンポーネント14の第1の端14aが隆起部24と連係していないときには、可動コンポーネント14は、
図2に示している変更許可位置にある。可動コンポーネント14がこの変更許可位置にあるときには、変更機構8は、その非変更位置からその変更位置へと自由に切り替わることができ、その逆も可能である。この状況は、例えば、月の30日ではない日に発生する。
【0031】
月インジケーター6、変更機構8、変更ギヤ10、可動コンポーネント14、及びストッパーは、例えば、計時器1のプレート26に取り付けられる。
【0032】
前記ストッパーの少なくとも1つは、変更機構8の角変位を制限して変更機構8の第1の変更位置と第2の非変更位置の間にするように構成している。可動コンポーネント14の角変位を制限するように少なくとも1つの他のストッパーを構成することができる。
【0033】
変更防止システム4が月インジケーター6の変更防止システムであり日付インジケーター5の下側部分25に単一の隆起部24が設けられているような特定の実施形態に基づいて本発明を説明した。図示していない別の実施形態において、日付インジケーター5の下側部分25には、少なくとも2つの隆起部が設けられる。そして、日付インジケーター5にある各隆起部の位置は、所定の日付に対応し、この間には、前記隆起部が可動コンポーネント14の第1の端14aと連係して、変更防止位置にある機構8をブロックする。この特定の実施形態において、月の手動変更は、各月の少なくとも2日間は禁止される。図示していない別の実施形態において、変更防止システム4は、日付インジケーターの変更防止システムである。時車の下側部分には、少なくとも1つ、好ましくは、少なくとも2つ、の隆起部がある。そして、時車における各隆起部の位置は、所定の時間に対応しており、この間には、隆起部が可動コンポーネント14の第1の端14aと連係して、変更防止位置となっている変更機構8をブロックする。この特定の実施形態において、日付の手動変更は、当該日の少なくとも1つの所定の時間の間、好ましくは、当該日の少なくとも2つの所定の時間の間、に禁止される。
【符号の説明】
【0034】
1 計時器
2 計時器用ムーブメント
4 変更防止システム
5 日付インジケーター
6 インジケーター
8 変更機構
10 変更ギヤ
14 可動コンポーネント
14a 第1の端
14b 第2の端
18 駆動フィンガー
18a 軸
21 第1の幅広部分
22 軸
23 第2のアーム状部分
24 隆起部
25 下側部分
26 プレート