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特許7161036データ/信号評価システムの動作方法および制御ユニット、データ/信号評価システム、超音波操作支援システムならびに作業装置
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  • 特許-データ/信号評価システムの動作方法および制御ユニット、データ/信号評価システム、超音波操作支援システムならびに作業装置 図1
  • 特許-データ/信号評価システムの動作方法および制御ユニット、データ/信号評価システム、超音波操作支援システムならびに作業装置 図2
  • 特許-データ/信号評価システムの動作方法および制御ユニット、データ/信号評価システム、超音波操作支援システムならびに作業装置 図3
  • 特許-データ/信号評価システムの動作方法および制御ユニット、データ/信号評価システム、超音波操作支援システムならびに作業装置 図4
  • 特許-データ/信号評価システムの動作方法および制御ユニット、データ/信号評価システム、超音波操作支援システムならびに作業装置 図5
  • 特許-データ/信号評価システムの動作方法および制御ユニット、データ/信号評価システム、超音波操作支援システムならびに作業装置 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】データ/信号評価システムの動作方法および制御ユニット、データ/信号評価システム、超音波操作支援システムならびに作業装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/527 20060101AFI20221018BHJP
   G01S 15/931 20200101ALI20221018BHJP
【FI】
G01S7/527
G01S15/931
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021512686
(86)(22)【出願日】2019-07-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2019069806
(87)【国際公開番号】W WO2020048675
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-04-27
(31)【優先権主張番号】102018215139.3
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ベンツラー,アクセル
(72)【発明者】
【氏名】ブロックマン,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ワエルトリング,クリスティアン
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0004270(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0080566(US,A1)
【文献】特開2003-036020(JP,A)
【文献】特開平05-215840(JP,A)
【文献】国際公開第02/045998(WO,A2)
【文献】特開2015-007627(JP,A)
【文献】特開2014-219230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26-1/3296
G01S 7/00-7/64
G01S 13/00-17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ/信号評価システム(1)おいて、データおよび/または信号を評価するために、複数のデジタル信号処理プロセッサ(11、12)がシーケンシャル・パイプライン(10)で構成されている動作方法であって、
- 前記デジタル信号処理プロセッサ(11、12)によって適用される比較的高い計算能力によって、比較的高い計算コストのタスクを処理するための第1の動作モードと、
- 前記デジタル信号処理プロセッサ(11、12)によって適用される比較的低い計算能力によって、比較的低い計算コストのタスクを処理するための第2の動作モードと、を有し、
- 前記第1の動作モードにおいて、前記シーケンシャル・パイプライン(10)のデジタル信号処理プロセッサ(11、12)は時間的に並列に動作し、
- 前記第2の動作モードにおいて、前記シーケンシャル・パイプライン(10)の前記複数のデジタル信号処理プロセッサ(11、12)のうち、少なくとも一対(15)が時間的に連続して動作し、
- 動作部が前記第1の動作モードにおいて開始され、
- 第1の条件が満たされると、前記第1の動作モードの動作が開始され、
- 動作中に、前記第1の動作モードが終了するとまたは終了したらすぐに、前記第2の動作モードに切り替えられ、
- 動作中に、第2の条件が満たされると、前記第1の動作モードが終了し、および/または
- 動作中に、第3の条件が満たされると、前記第2の動作モードが終了し、
- 前記第2の条件は、前記第1の動作モードの開始から所定の第1の期間が経過した時に満たすことができ、および/または
- 前記第3の条件は、前記第2の動作モードの開始から所定の第2の期間が経過した時に満たすことができ、
- 超音波送信信号が送信されると、および/または、超音波送信信号の送信から所定の第3の期間が経過すると、前記第1の条件が満たされ、
- 前記第2の条件の前記第1の期間は、基本となる作業装置の近距離フィールドについて特徴的な期間であり、および/または
- 前記第3の条件の前記第2の期間は、超音波送信信号の送信後、基本となる作業装置の遠方フィールドについて特徴的な期間である、動作方法。
【請求項2】
前記第2の動作モードにおいて、前記一対(15)のうち時間的に後続して動作するデジタル信号処理プロセッサ(12)は、少なくとも一時的にアイドルモードで動作し、および/または少なくとも一時的に休止モードで保持され、一方で、前記一対(15)のうち時間的に先行して動作するデジタル信号処理プロセッサ(11)は、時間的に先行して通常動作する、請求項1に記載の動作方法。
【請求項3】
前記第2の動作モードにおいて、前記一対(15)のうち時間的に先行して動作するデジタル信号処理プロセッサ(11)は、少なくとも部分的にアイドルモードで動作し、および/または、少なくとも一時的に休止モードで保持され、一方で、前記一対(15)のうち時間的に後続して動作するデジタル信号処理プロセッサ(12)は、時間的に後続して通常動作する、請求項1または2に記載の動作方法。
【請求項4】
前記第2の動作モードにおいて時間的に後続して動作するデジタル信号処理プロセッサ(12)は、前記第2の動作モードにおいて先行して動作するデジタル信号処理プロセッサ(11)によって処理されたデータを処理する、請求項2または3に記載の動作方法。
【請求項5】
前記第2の動作モードにおいて時間的に後続して動作するデジタル信号処理プロセッサ(12)は、前記第2の動作モードにおいて先行して動作するデジタル信号処理プロセッサ(11)にFIFO(first-in-first-out)メモリ(13)を介して結合され、前記第2の動作モードにおいて先行して動作するジタル信号処理プロセッサ(11)の出力側データが、前記第2の動作モードにおいて時間的に後続して動作するジタル信号処理プロセッサ(12)の入力側にバッファリングして伝送される、請求項2から4のいずれか一項に記載の動作方法。
【請求項6】
前記データ/信号評価システム(1)は、超音波操作支援システムにおけるデータ/信号評価システム(1)である、請求項1から5のいずれか一項に記載の動作方法。
【請求項7】
作業装置の音波操作支援システムまたは超音波運転支援システムの動作のために設定されている、請求項1からのいずれか一項に記載の動作方法。
【請求項8】
前記作業装置は、車両を含む、請求項7に記載の動作方法。
【請求項9】
ータ/信号評価システム(1)の制御ユニットであって、基本となるデータ/信号評価システム(1)おいて、請求項1から8のいずれか一項に記載の動作方法を実行るように設定されている制御ユニット。
【請求項10】
前記データ/信号評価システム(1)は、超音波操作支援システムにおけるデータ/信号評価システム(1)である、請求項9に記載の制御ユニット。
【請求項11】
ータ/信号評価システム(1)であって、請求項1から8のいずれか一項に記載の動作方法を実施するように、またはそのような動作方法で使用されるように定されているデータ/信号評価システム(1)。
【請求項12】
超音波操作支援システムにおけるデータ/信号評価システム(1)である、請求項11に記載のデータ/信号評価システム(1)。
【請求項13】
超音波操作支援システムあって、請求項1から8のいずれか一項に記載の動作方法の実施形態を実施するように、またはそのような動作方法で使用されるように定されている超音波操作支援システム。
【請求項14】
前記超音波操作支援システムは、超音波運転支援システムを含む、請求項13に記載の超音波操作支援システム。
【請求項15】
動作機構備えた作業装置あって、動作機構を制御するための請求項13または請求項14に記載の超音波操作支援システムを備えて構成された作業装置。
【請求項16】
前記動作機構は、駆動装置であり、前記作業装置は車両を含む、請求項15に記載の作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ/信号評価システムの動作方法および制御ユニット、データ/信号評価システム、超音波操作支援システムならびに作業装置、特に車両に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの作業装置、特に自動車分野では、信号検出のためのセンサと、検出した信号を評価するための対応するデータ信号評価システムが頻繁に使用される。これは、例えば、自動車の超音波運転支援システムに関連する、作業装置の周囲の検出に関連するセンサに関するが、この使用分野に限定されるものではない。
【0003】
このような動作環境で問題となるのは、基本となる(zu Grunde liegenden)データ/信号評価システムが、そこに含まれるデジタル信号処理プロセッサの動作と、例えばデューティサイクル動作に関連して典型的に用いられる電力供給策により、干渉信号が生成され、その干渉信号が、基本となるセンサ装置や他のアナログコンポーネントに影響を与え、動作エラーにつながる可能性があることである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
これに対して、請求項1の特徴を有するデータ/信号評価システムのための本発明にかかる動作方法は、電流ピークに関連する干渉信号が減少または回避されるという利点を有する。この利点は、本発明によれば、請求項1の特徴によって、データ/信号評価システム、特に超音波操作支援システムにおいて、データおよび/または信号を評価するために、複数のデジタル信号処理プロセッサがシーケンシャル・パイプラインで構成されている動作方法を提供することにより達成される。
【0005】
本発明にかかる動作方法は、デジタル信号処理プロセッサによって適用される比較的高い計算能力によって、比較的高い計算コストのタスクを処理するための第1の動作モードと、デジタル信号処理プロセッサによって適用される比較的低い計算能力によって、比較的低い計算コストのタスクを処理するための第2の動作モードと、を有する。
【0006】
第1の動作モードにおいて、シーケンシャル・パイプラインのデジタル信号処理プロセッサが時間的に並列に動作する。第2の動作モードにおいて、シーケンシャル・パイプラインの複数のデジタル信号処理プロセッサのうち、少なくとも一対が時間的に連続して動作する。本発明によって設けられた手段により、少なくとも第2の動作モードにおいて、信号処理プロセッサによる電力消費を時間的に分離することにより、通常発生する電流ピークおよびそれによって引き起こされる干渉信号が、少なくとも低減されることが達成される。
【0007】
従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を示す。
【0008】
本発明にかかる動作方法の実施形態では、第2の動作モードにおいて、この場合一対のうち時間的に後続して動作するデジタル信号処理プロセッサは、少なくとも一時的に休止モードで保持され、一方で、一対のうち時間的に先行して動作するデジタル信号処理プロセッサは、時間的に先行して通常動作する。
【0009】
本発明にかかる動作方法の他の好ましい実施形態によれば、第2の動作モードにおいて、一対のうち時間的に後続して動作するデジタル信号処理プロセッサが少なくとも一時的にアイドルモードで動作し、一方で、一対のうち時間的に先行して動作するデジタル信号処理プロセッサが時間的に先行して通常動作すると、蓄積される電流ピーク、ひいては潜在的な干渉信号を、さらに低減することができる。
【0010】
代替的または追加的に、電流ピークおよび干渉信号をさらに低減するために、第2の動作モードにおいて、一対のうち時間的に先行して動作するデジタル信号処理プロセッサは、少なくとも部分的にアイドルモードで動作し、および/または、少なくとも一時的に休止モードで保持され、一方で、一対のうち時間的に後続して動作するデジタル信号処理プロセッサは、時間的に後続して通常動作するように構成される。
【0011】
本発明によって提案される動作法は、第2の動作モードにおいて時間的に後続して動作するデジタル信号処理プロセッサが、第2の動作モードにおいて先行して動作するデジタル信号処理プロセッサによって処理されたデータを処理する構造および動作方法において、特に有益に使用することができる。
【0012】
この際、これに関連して、第2の動作モードにおいて時間的に後続して動作するデジタル信号処理プロセッサが、第2の動作モードにおいて先行して動作するデジタル信号処理プロセッサにFIFO(first-in-first-out)メモリを介して結合され、第2の動作モードにおいて先行して動作するデジタル信号処理プロセッサの出力側データが、第2の動作モードにおいて時間的に後続して動作するデジタル信号処理プロセッサの入力側にバッファリングして伝送されると、特に有利である。
【0013】
第1の動作モードおよび/または第2の動作モードの開始および/または終了の制御は、用途固有のものであり、種々の条件に結び付けることができる。
特に、
- 方法の動作部が第1の動作モードにおいて開始され、
- 第1の条件が満たされると、第1の動作モードの動作が開始され、
- 動作中に、第1の動作モードが終了するとまたは終了したらすぐに、第2の動作モードに切り替えられ、
- 動作中に、第2の条件が満たされると、第1の動作モードが終了し、および/または
- 動作中に、第3の条件が満たされると、第2の動作モードが終了し、
- 第2の条件は、例えば、第1の動作モードの開始から所定の第1の期間が経過した時に満たすことができ、および/または
- 第3の条件は、第2の動作モードの開始から所定の第2の期間が経過した時に満たすことができる、
ことが考えられる。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、本発明にかかる動作方法は、特に、作業装置の、特に車両の超音波操作支援システムまたは超音波運転支援システムの動作のために設定されている。
【0015】
この関連で、特に第1の動作モードと第2の動作モードの制御に関して、例えば、
- 超音波送信信号が送信されると、および/または、超音波送信信号の送信から所定の第3の期間が経過すると、第1の条件が満たされ、
- 第2の条件の第1の期間は、基本となる作業装置の近距離フィールドについて特徴的な期間t1であり、特に典型的には数10msの範囲であり、および/または
- 第3の条件の第2の期間は、基本となる作業装置の遠方フィールドについて特徴的な期間t2であり、特に典型的には、超音波送信信号の送信後、約100msの範囲である
ように構成される。
【0016】
本発明の他の態様によれば、特に超音波操作支援システムにおいて、データ/信号評価システムの制御ユニットが提供される。制御ユニットは、基本となるデータ/信号評価システム、特に基本となる超音波操作支援システムにおいて、本発明にかかる動作方法の実施形態を開始、実行、および/または制御するように設定されている。
【0017】
また、本発明の主題は、特に超音波操作支援システムにおけるデータ/信号評価システムである。データ/信号評価システムは、本発明にかかる動作方法の実施形態を実施するように、または本発明にかかる動作方法の実施形態で使用されるように設定されている。
【0018】
代替的または追加的に、本発明にかかるデータ/信号評価システムは、本発明によって形成された制御ユニットが構成されていることを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明は、超音波操作支援システム自体も提供し、超音波操作支援システムは、特に超音波運転支援システムとして構成することができる。超音波操作支援システムは、本発明にかかる動作方法の実施形態を実施するように、または本発明にかかる動作方法の実施形態で使用されるように設定されている。
【0020】
代替的または追加的に、本発明にかかる超音波操作支援システムは、本発明によって構成された制御ユニット、および/または本発明によって構成されたデータ/信号評価システムを備えて構成されていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、動作機構、特に駆動装置を備えた作業装置、特に車両であって、動作機構を制御するための本発明によって構成された超音波操作支援システムを備えて構成された作業装置、特に車両も提案する。
【0022】
添付の図面を参照して、本発明の実施形態を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明にかかるデータ/信号評価システムの一実施形態を、概略ブロック図の様式に従って示した図である。
図2】様々な動作モードにおいてデジタル信号処理プロセッサにおいて消費される電流負荷をグラフで示した図である。
図3】検出される信号、その信号対雑音比、および該当のデジタル信号処理プロセッサによって消費される電流負荷に関連したその生成に関して、本発明によって達成可能な利点を、グラフを用いて示した図である。
図4】検出される信号、その信号対雑音比、および該当のデジタル信号処理プロセッサによって消費される電流負荷に関連したその生成に関して、本発明によって達成可能な利点を、グラフを用いて示した図である。
図5】検出される信号における従来の比率、その信号対雑音比、および該当のデジタル信号処理プロセッサによって消費される電流負荷に関連したその生成を、グラフを用いて示した図である。
図6】検出される信号における従来の比率、その信号対雑音比、および該当のデジタル信号処理プロセッサによって消費される電流負荷に関連したその生成を、グラフを用いて示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図1図6を参照して、本発明の実施例および技術背景を詳述する。同一および同等の、ならびに同一または同等に作用する要素およびコンポーネントは、同じ参照符号で記載する。記載された要素およびコンポーネントの詳細な説明は、繰り返さないものとする。
【0025】
示された特徴およびさらなる特性は、本発明の本質から逸脱することなく、任意の形態で互いに分離し、任意で互いに組み合わせることができる。
【0026】
図1は、本発明にかかるデータ/信号評価システム1の実施形態を、概略ブロック図の様式に従って示す。
【0027】
本発明にかかるデータ/信号評価システム1は、例えば1つ以上のセンサと、場合によって前処理ユニットと、からなるデータ源または信号源5を有する。データ源5は、例えば、時間tに依存する信号の形態のデータ6を、時間間隔7で出力する。
【0028】
このようにして提供されたデータ6は、さらなる処理のために処理パイプライン10に引き渡される。パイプライン10では、複数のデジタル信号処理プロセッサ11および12が、データフロー方向または処理方向10’に構成されており、これらのプロセッサは、互いに調整して、供給されたデータ6を処理する。
【0029】
図1に示される実施形態では、以下のグラフに関連して参照符号「A」でも記載される、データフロー方向10’において先行する第1のデジタル信号処理プロセッサ11と、以下のグラフに関連して参照符号「B」でも記載される、データフロー方向10’において後続する第2のデジタル信号処理プロセッサ12とが、例示的に構成されている。2つの信号処理プロセッサ11、12は一対15を形成し、介在接続されたFIFOメモリ13を介して互いに結合されており、FIFOメモリ13は特にバッファとして機能する。このようにして、第2のまたは後続のデジタル信号処理プロセッサは、第1のまたは先行のデジタル信号処理プロセッサ11によって処理され、その後出力されたデータを、FIFOメモリ13を介して受け取り、さらに処理することができる。
【0030】
データフロー方向10’におけるデータ6の流れ、ならびに一対15の信号処理プロセッサ11、12における処理およびFIFOメモリ13における格納は、図1に示す実施形態例では、処理用クロックユニット18のクロックに基づく。
【0031】
図2は、様々な動作段階、すなわち最大電流22-1の高消費電力演算段階22-1と、低電流Iの休止段階21-2において、デジタル信号処理プロセッサ11、12に発生する電流負荷I(t)を、時間tの関数としてグラフ20に示したものである。これに相応して、グラフ20では、横軸21に時間がプロットされ、縦軸22にプロセッサ11、12で消費される電流I(t)がプロットされている。
【0032】
上で詳述したように、本発明の中心的な態様は、FIFOメモリ13を介して互いに結合されたデジタル信号処理プロセッサ11、12のうちの一対15が、比較的少ない計算コストしか要求されない動作モードにおいて、時間的に連続して動作することである。これは、使用時には、基本となる作業装置の周辺からより遠くに位置する物体を検出し、よって発生するデータ量は少ないが、信号レベルも同様に比較的低いという遠方フィールド用超音波操作支援システムにおけるデータ処理に対応することができる。
【0033】
本発明の利点を説明する前に、図5および図6を参照して従来の状況を説明する。ここで、図5および図6は、該当のデジタル信号処理プロセッサ11、12によって消費される電流負荷I(t)に関連した、検出される信号における従来の比率、その信号対雑音比、およびその生成を、グラフ50、50’、60を用いて示す。
【0034】
従来のデータ/信号解析システムは、構造的には図1に示す構造と略同じであるが、基本的な動作方法が本発明にかかる手法とは異なる。
【0035】
従来、グラフ50’に関連して示されているように、ここでA、Bで記載されているデジタル信号処理プロセッサ11、12の動作は、2つのプロセッサA、Bが必要に応じて動作モードまたは休止モードに変わるパラレルモードで行われる。これは、横軸51に時間tがプロットされ、縦軸52’に電流負荷I(t)がプロットされたグラフ50’の2つのトレース53-1’および53-2’によって示されている。2つのトレースは、電流負荷が増加した動作モードと、電流負荷がなくなったまたは低下した休止モードを示す。
【0036】
グラフ50は、縦軸52に電流負荷I(t)がプロットされ、横軸51に時間tがプロットされトレース53に2つのプロセッサA、Bのグラフ50’からの負荷の合計を示す。重なりに対応して、ここでは参照符号55で示されている特定の箇所で、電流ピークとも呼ばれる急速に変化する電流負荷の状況が発生し、これにより、隣接する、特にアナログ回路に干渉信号が誘導され得る。
【0037】
図6とグラフ60に関連して示されているように、そのような干渉信号は、ノイズの増加をもたらす。ノイズの増加により、例えば遠距離領域での超音波使用で、バックグラウンドノイズに比べて信号レベルが低いため、もはや信号を確実に検出できなくなる状況が発生する。
【0038】
図のグラフ60では、横軸61に時間tがプロットされ、縦軸62に信号振幅S(t)がプロットされている。トレース63の曲線から、従来、特定の信号63-2、例えば超音波使用における近距離フィールドの信号61-1は、バックグラウンドノイズから明らかに突出し、良好に検出できるが、これに対して他の信号63-3、例えば超音波使用時の遠距離領域の信号61-2は、バックグラウンドノイズにほとんど埋もれてしまうため、もはや確実に検出できなくなることが分かる。
【0039】
本発明の目的は、低い信号レベルが予想される状況について、適切な動作法によってバックグラウンドノイズを低減することである。これは、図6の曲線63-1に対応するデータ量に加えて、信号レベルが伝搬時間tに比例した距離でスケールするため、超音波使用時、例えば遠距離領域では通常の状況である。
【0040】
次に、図3および図4は、これに関連して、グラフ30、30’、40、40’、40”を用いて、検出される信号S(t)、その信号対雑音比SNR、および該当のデジタル信号処理プロセッサ11、12によって消費される電流負荷I(t)に関連したその生成に関して、本発明によって達成可能な利点を示す。
【0041】
まず、横軸41に時間がプロットされ、縦軸42に電流負荷I(t)がプロットされたグラフ40”は、図5と同様に、グラフ50’は、A、Bで記載された一対15の2つの信号処理プロセッサ11、12の動作を、すなわち、トレース43-1”および43-2”の電流負荷I(t)の時間経過を再び用いて説明している。
【0042】
横軸41-1で示される第1の動作モードのための第1の段階では、従来の動作状況と同様に、シーケンシャル・パイプライン10の2つのプロセッサA、Bが並列に動作する。
【0043】
しかし、切替時間46において、第1の動作モードから第2の動作モードへの移行に伴い、2つのプロセッサA、Bの連続した動作が行われ、この場合、異なる動作段階において、まず、第1のプロセッサAが一時的に処理を開始し、その後、第2のプロセッサBが処理を引き継ぐ。さらに、プロセッサA、Bのいずれにも計算能力が要求されていない期間では、プロセッサA、Bのうち1つにアイドル段階47を追加で挿入することができる。このようにして、アイドルプロセスを考慮した電流負荷の合計についてグラフ40の領域48で示されるように、電流ピークの省略により干渉信号の割合がさらに低減され、全体として比較的一定レベルの電流負荷が達成される。
【0044】
いずれのプロセッサも計算能力をもたらす必要がない段階でアイドルプロセスを考慮しない場合、電流負荷において、電流ピークが干渉信号として発生するが、図4のグラフ40’の部分49に関連して分かるように、従来の動作方法と比較して大幅に減少する部分が発生する。
【0045】
その結果、図4に示す動作方式に基づいて、図3のグラフ30および30’に関連して示すような信号曲線が得られる。
【0046】
横軸31と31’には時間tが、縦軸32には信号の振幅S(t)が、32’には信号対雑音比SNRがプロットされている。
【0047】
A、Bで記載された2つの信号処理プロセッサ11、12について、図4に示された動作方式に基づいて、本発明によれば、図6に示された状況と比較して、近距離フィールドにおける段階31-1の比率が変化しない。これは、近距離フィールドの領域31-1のトラック33の信号33-2は、ノイズレベル32-1よりも明らかに突出しており、良好に検出することができることを意味する。
【0048】
しかし、図6に示した従来の比率とは異なり、切替時間36、46で遠方フィールドの領域31-2に移行して電流のピークがなくなることにより、低いノイズレベル32-2にまでノイズが著しく減少している。これにより、信号レベルの低い遠方フィールド領域31-2の信号33-3も比較的良好に検出することができ、信号レベルは伝搬時間tに対応する物体距離の関数として再び理論的な振幅曲線33-1に従う。
【0049】
トレース33’は、近距離フィールドの領域31-1と遠方フィールドの領域31-2について、それぞれ部分33-1’と33-2’による信号対雑音比SNRの理論的な曲線を、切替時間36、46の移行とともに記載したものである。また、確実な、あるいは十分な検出に必要な最小の信号対雑音比37を示す。
【0050】
これらの、および本発明のさらなる特徴や特性を、以下の図面を用いてさらに説明する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6