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特許7161047少なくとも1つの折戸をガイドするための装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】少なくとも1つの折戸をガイドするための装置
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/26 20060101AFI20221018BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20221018BHJP
   A47B 77/02 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
E05D15/26
E05D15/06 119
A47B77/02
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021525868
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 AT2019060365
(87)【国際公開番号】W WO2020097643
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-07-09
(31)【優先権主張番号】A50975/2018
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミン ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】マーク モイスブアガー
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/114730(WO,A1)
【文献】実開昭61-141478(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第19618672(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00-15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの折戸(2)をガイドするための装置(1)であって、前記折戸(2)は、いに枢動自在に結合された少なくとも2つの戸(4,5)を有しており、該戸(4,5)は、前記少なくとも2つの戸(4,5)が実質的に互いに平行に整列させられた平行位置と、前記少なくとも2つの戸(4,5)が実質的に互いに同一平面を成すように整列させられた同一平面位置との間で可動であり、前記装置(1)は、固定の家具部分(6)に固定すべき少なくとも1つのガイドレール(7)と、前記少なくとも1つのガイドレール(7)に可動に支持されていて、前記少なくとも1つの折戸(2)に結合可能な少なくとも1つのガイド装置(8,34)とを有しており、前記装置(1)は、少なくとも1つの鉛直支持体(27)を有しており、該鉛直支持体(27)に、前記少なくとも1つの折戸(2)が旋回可能に支持可能である、装置(1)において、
前記少なくとも1つのガイドレール(7)および/または前記少なくとも1つのガイド装置(8,34)は、少なくとも1つの蓄力器(9,10)を有しており、該蓄力器(9,10)によって、前記少なくとも1つの折戸(2)に、使用状態で、重力(11)とは逆向きの力(12)を加えることができ
前記少なくとも1つの蓄力器(9,10)から前記少なくとも1つの折戸(2)に、重力(11)に抗して加えることができる前記力(12)は、前記少なくとも1つの折戸(2)または前記少なくとも2つの戸(4,5)が、前記少なくとも1つのガイドレール(7)に対して相対的に成す角度(13)の大きさに依存しており、
前記少なくとも1つの蓄力器(9,10)は、1つまたは複数のばね要素(14,15)を有している、
ことを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記少なくとも2つの戸(4,5)は、少なくとも1つのドアヒンジ(3)を介して互いに枢動自在に結合されている、請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
少なくとも1つの支持ヒンジ(28)が設けられている、請求項1または2記載の装置(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの蓄力器(9,10)は、め規定された最大力を提供するように形成されている、請求項1記載の装置(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの蓄力器(9,10)は、50N~150Nの予め規定された最大力を提供するように形成されている、請求項4記載の装置(1)。
【請求項6】
記力(12)は、30°~60°の角度範囲最大である、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項7】
前記力(12)は、約45°の角度(13)で最大である、請求項6記載の装置(1)。
【請求項8】
けられた前記ばね要素(14,15)のうちの少なくとも1つのばね要素が、コイルばねおよび/または圧縮ばねとして形成されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの蓄力器(9)は、複数のばね要素(14)を有していて、該ばね要素(14)は、互いに間隔を置いて、前記少なくとも1つのガイドレール(7)に配置されており、かつ/または前記少なくとも1つの蓄力器(10)は、少なくとも1つのばね要素(15)を有していて、該ばね要素(15)は、前記少なくとも1つのガイド装置(34)に配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項10】
前記ガイドレール(7)の中間領域には、その縁部領域における前記ばね要素(14)の個数よりも多数の前記ばね要素(14)が配置されている、請求項9記載の装置(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのガイドレール(7)は、少なくとも1つの支持体(16)と、該支持体(16)に対して相対的に可動に支持されたなくとも1つの走行軌道(18)とを有しており、前記少なくとも1つの蓄力器(9)は、前記少なくとも1つの走行軌道(18)に、前記少なくとも1つの支持体(16)に対して相対的に力(12)を加える、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの走行軌道(18)は、前記少なくとも1つのガイドレール(7)の長手方向(17)に延びている、請求項11記載の装置(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの走行軌道(18)は、前記少なくとも1つの支持体(16)に対して可変の間隔(19)を置いて配置されている、請求項11または12記載の装置(1)。
【請求項14】
前記少なくとも1つのガイド装置(34)は、なくとも1つの転動体(21,22,23)を介して前記少なくとも1つのガイドレール(7)に支持可能である少なくとも1つの走行キャリッジ(20)と、前記少なくとも1つの走行キャリッジ(20)に対して相対的に可動に支持された、前記少なくとも1つの折戸(2)を前記少なくとも1つのガイド装置(34)に結合するための少なくとも1つの結合装置(24)とを有しており、前記少なくとも1つの蓄力器(10)は、前記少なくとも1つの結合装置(24)に、前記少なくとも1つの走行キャリッジ(20)に対して相対的に力(12)を加える、請求項1から13までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの転動体(21,22,23)は、実質的に円筒形である、請求項14記載の装置(1)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの結合装置(24)は、前記少なくとも1つの走行キャリッジ(20)に対して可変の間隔(25)を置いて配置されている、請求項14または15記載の装置(1)。
【請求項17】
前記装置(1)は、少なくとも1つの横方向レール(26)を有していて、該横方向レール(26)は、前記少なくとも1つのガイドレール(7)に対して実質的に横方向に置されている、請求項1から16までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項18】
前記横方向レール(26)は、前記少なくとも1つのガイドレール(7)に対して実質的に直交して配置されている、請求項17記載の装置(1)。
【請求項19】
前記少なくとも1つの鉛直支持体(27)は、前記少なくとも1つのガイドレール(7)および前記ガイドレール(7)に可動に支持された前記少なくとも1つのガイド装置(8,34)よりも大きな、前記少なくとも1つの折戸(2)の荷重を受け止めるように形成されている、請求項1から18までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項20】
家具(29)であって、少なくとも1つの折戸(2)であって、前記折戸(2)は、いに枢動自在に結合された少なくとも2つの戸(4,5)を有しており、該戸(4,5)は、前記少なくとも2つの戸(4,5)が実質的に互いに平行に整列させられた平行位置と、前記少なくとも2つの戸(4,5)が実質的に互いに同一平面を成すように整列させられた同一平面位置との間で可動である、折戸(2)と、少なくとも1つの固定の家具部分(6)とを備えた、家具(29)において、
前記家具(29)は、前記少なくとも1つの固定の家具部分(6)に対して相対的に前記少なくとも1つの折戸(2)をガイドするための、請求項1から19までのいずれか1項記載の少なくとも1つの装置(1)を有しており、少なくとも1つの鉛直支持体(27)が設けられており、前記少なくとも2つの戸(4,5)のうちの1つの戸が、少なくとも1つのガイド装置(8,34)に、かつ前記少なくとも2つの戸(4,5)のうちの他の戸が、枢動自在に、記少なくとも1つの鉛直支持体(27)に結合されている、
ことを特徴とする、家具(29)。
【請求項21】
前記少なくとも2つの戸(4,5)は、少なくとも1つのドアヒンジ(3)を介して互いに枢動自在に結合されている、請求項20記載の家具(29)。
【請求項22】
前記少なくとも2つの戸(4,5)のうちの他の戸が、枢動自在に、少なくとも1つの支持ヒンジ(28)を介して、前記少なくとも1つの鉛直支持体(27)に結合されている、請求項20または21載の家具(29)。
【請求項23】
前記少なくとも1つの折戸(2)は、前記少なくとも2つの戸(4,5)が前記同一平面位置に配置されている場合に、少なくとも1つのガイドレール(7)に対して実質的に平行に配置されていて、前記少なくとも2つの戸(4,5)が前記平行位置に配置されている場合に、前記少なくとも1つのガイドレール(7)に対して実質的に約90°の角度(13)を成している、請求項20から22までのいずれか1項記載の家具(29)。
【請求項24】
- 前記少なくとも2つの戸(4,5)が実質的に前記平行位置に配置されている場合に、前記少なくとも1つの折戸(2)を少なくとも部分的に容するための、なくとも1つの側方室(30)、および/または
- キッチン家具(32,33)を収容するための少なくとも1つの内室(31)を有しており、前記少なくとも1つの内室(31)は、前記少なくとも2つの戸(4,5)が実質的に前記同一平面位置に配置されている場合に、前記少なくとも1つの折戸(2)によって少なくとも部分的に、外部に対して遮蔽可能である、請求項20から23までのいずれか1項記載の家具(29)。
【請求項25】
前記少なくとも1つの側方室(30)は、前記少なくとも1つの折戸(2)を完全に収容する、請求項24記載の家具(29)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの折戸をガイドするための装置であって、折戸は、特に少なくとも1つのドアヒンジを介して互いに枢動自在に結合された少なくとも2つの戸を有しており、戸は、少なくとも2つの戸が実質的に互いに平行に整列させられた平行位置と、少なくとも2つの戸が実質的に互いに同一平面を成すように整列させられた同一平面位置との間で可動であり、装置は、固定の家具部分に固定すべき少なくとも1つのガイドレールと、少なくとも1つのガイドレールに可動に支持されていて、少なくとも1つの折戸に結合可能な少なくとも1つのガイド装置を有しており、装置は、少なくとも1つの鉛直支持体を有しており、鉛直支持体に、少なくとも1つの折戸が旋回可能に支持可能であり、好ましくは、このために、少なくとも1つの支持ヒンジが設けられている、装置に関する。本発明は、さらに、少なくとも1つのこのような装置を備えた家具に関する。
【0002】
図1a)~図1d)には、2つの折戸2を備えた家具29が示してある。両折戸2は、ドアヒンジ3を介して互いに枢動自在に結合されたそれぞれ2つの戸4,5を有しており、これらの戸4,5は、2つの戸4,5が実質的に互いに平行に整列させられた平行位置(部分図1c)参照)と、2つの戸4,5が実質的に互いに同一平面を成すように整列させられた同一平面位置(部分図1a)参照)との間で可動である。
【0003】
家具29は、さらに、固定の家具部分6と、固定の家具部分6に対して相対的に折戸2をガイドするための装置とを有しており、この装置は、固定の家具部分6に固定されたガイドレール7と、この折戸2ごとに、ガイドレール7に可動に支持されていてそれぞれの折戸2に結合可能なそれぞれ1つのガイド装置8とを有している。
【0004】
折戸2が同一平面位置および平行位置に配置されている場合に、折戸2は、折戸2を固定の家具部分6に結合している金具部分の剛性に基づいて、比較的安定した状態にある。それに対して、折戸2が両最大位置の間の中間位置に配置されている場合には、異なった挙動が発生する。すなわち、この場合には、折戸2の沈み込み39が発生することがあり、この沈み込み39は、戸4,5の枢動自在な結合部の領域において最大である(部分図1b)参照)。
【0005】
この沈み込みは、従来技術では不都合な影響を及ぼすことがある。すなわち、角度に依存した沈み込みによって、折戸2と固定の家具部分6とを結合している金具部分で、特にガイドレール7およびガイド装置8において、摩耗現象が発生することがある。
【0006】
さらに、沈み込みによって、それどころか、折戸2が中間位置で床に接触してしまうことがあり、これによって、折戸2が引っ掛かって動かなくなったり、かつ/または折戸2の下側領域が摩耗したりすることがある。
【0007】
このような沈み込みを防止する措置としては、ガイドレール7およびガイド装置8を可能な限り安定(剛性)的に構成するということがある。しかしながら、このことは、限定的にしか可能でない。さらに、このアプローチは、特にガイドレール7の形成時に極めて高い材料需要を結果的に招き、そして、このことは、高いコストに結び付いている。
【0008】
本発明の課題は、前述した欠点を回避し、少なくとも1つの折戸をガイドするための装置であって、同一平面位置と平行位置との間の運動中における少なくとも1つの折戸の沈み込みを、過剰な材料消費を必要とすることなしに、可能な限り十分に低減することができ装置を提供することである。本発明の更なる課題は、このような改良された装置を備えた家具を提供することである。
【0009】
これらの課題は、独立請求項1および独立請求項12の特徴によって解決される。
【0010】
したがって、本発明に係る装置では、少なくとも1つのガイドレールおよび/または少なくとも1つのガイド装置は、少なくとも1つの蓄力器を有しており、蓄力器によって、少なくとも1つの折戸に、使用状態で、重力とは逆向きの力を加えることができることが特定されている。
【0011】
このように構成することによって、同一平面位置と平行位置との間の中間位置における少なくとも1つの折戸の沈み込みを的確に防止することができる。これによって、上述した欠点を十分に回避することができる許容可能な値に沈み込みを制限することができる。
【0012】
1つの好適な実施形態によれば、少なくとも1つの蓄力器は、好ましくは50N~150Nの予め規定された最大力を提供するように形成されていることが考えられる。
【0013】
代替的にまたは補足的に、少なくとも1つの蓄力器から少なくとも1つの折戸に、重力に抗して加えることができる力は、少なくとも1つの折戸または少なくとも2つの戸が、少なくとも1つのガイドレールに対して相対的に成す角度の大きさに依存しており、好ましくは、力は、30°~60°の角度範囲、好ましくは約45°の角度で最大であることが特定されていてよい。
【0014】
角度に依存した力というのは、少なくとも1つのガイドレールに対して相対的に少なくとも1つのガイド装置の位置に依存して加えられる、距離に依存した力と同じ意味である。
【0015】
技術的に簡単でしかも頑丈な解決策は、少なくとも1つの蓄力器が、1つまたは複数のばね要素を有しており、好ましくは、設けられたばね要素のうちの少なくとも1つのばね要素が、コイルばねおよび/または圧縮ばねとして形成されていることを特定している。
【0016】
これに関連して、少なくとも1つの蓄力器は、複数のばね要素を有していて、該ばね要素は、互いに間隔を置いて、少なくとも1つのガイドレールに配置されており、かつ/または少なくとも1つの蓄力器は、少なくとも1つのばね要素を有していて、該ばね要素は、少なくとも1つのガイド装置に配置されていることが考えられる。
【0017】
1つの好適な実施形態によれば、少なくとも1つのガイドレールは、少なくとも1つの支持体と、該支持体に対して相対的に可動に支持された、好ましくは、少なくとも1つのガイドレールの長手方向に延びる少なくとも1つの走行軌道とを有しており、少なくとも1つの蓄力器は、少なくとも1つの走行軌道に、少なくとも1つの支持体に対して相対的に力を加えることが特定されている。好ましくは、少なくとも1つの走行軌道は、少なくとも1つの支持体に対して可変の間隔を置いて配置されている。
【0018】
1つの代替的なまたは補足的な実施形態では、少なくとも1つのガイド装置は、好ましくは実質的に円筒形の少なくとも1つの転動体を介して少なくとも1つのガイドレールに支持可能である少なくとも1つの走行キャリッジと、少なくとも1つの走行キャリッジに対して相対的に可動に支持された、少なくとも1つの折戸を少なくとも1つのガイド装置に結合するための少なくとも1つの結合装置とを有しており、少なくとも1つの蓄力器は、少なくとも1つの結合装置に、少なくとも1つの走行キャリッジに対して相対的に力を加えるようになっている。好ましくは、少なくとも1つの結合装置は、少なくとも1つの走行キャリッジに対して可変の間隔を置いて配置されている。
【0019】
少なくとも2つの戸が実質的に平行位置に配置されている場合に、少なくとも1つの折戸を少なくとも1つの固定の家具部分内に配置できるようにするために、好適な実施形態では、装置は、少なくとも1つの横方向レールを有していて、該横方向レールは、少なくとも1つのガイドレールに対して実質的に横方向に、好ましくは実質的に垂直に配置されていることが特定されている。この実施形態では、少なくとも1つの横方向レールは、少なくとも1つのガイドレールと一体に形成されていても、または別体のレールとして形成されていてもよい。
【0020】
特に好適な実施形態では、少なくとも1つの鉛直支持体は、少なくとも1つの折戸の、少なくとも1つのガイドレールおよびガイドレールに可動に支持された少なくとも1つのガイド装置よりも大きな荷重を受け止めるように形成されていることが明らかである。このように構成されていると、少なくとも1つのガイドレールを極めて単純にかつコンパクトに構成することができる。このとき、少なくとも1つのガイドレールは、まずガイドの目的のために働き、さらに、規定された残留荷重を支持するだけでよい。荷重は、例えば90%(少なくとも1つの鉛直支持体によって支持されて)と10%(少なくとも1つのガイドレールによって支持されて)とに分配されていると理想的であることが判明している。
【0021】
冒頭で述べたように、家具であって、少なくとも1つの折戸であって、折戸は、特に少なくとも1つのドアヒンジを介して互いに枢動自在に結合された少なくとも2つの戸を有しており、戸は、少なくとも2つの戸が実質的に互いに平行に整列させられた平行位置と、少なくとも2つの戸が実質的に互いに同一平面を成すように整列させられた同一平面位置との間で可動である、折戸と、少なくとも1つの固定の家具部分と、少なくとも1つの固定の家具部分に対して相対的に少なくとも1つの折戸をガイドするための、本発明に係る少なくとも1つの装置とを有しており、少なくとも2つの戸のうちの1つの戸が、少なくとも1つのガイド装置に、かつ少なくとも2つの戸のうちの他の戸が、枢動自在に、好ましくは少なくとも1つの支持ヒンジを介して、少なくとも1つの鉛直支持体に結合されており、好ましくは、少なくとも1つの折戸は、少なくとも2つの戸が同一平面位置に配置されている場合に、少なくとも1つのガイドレールに対して実質的に平行に配置されていて、少なくとも2つの戸が平行位置に配置されている場合に、少なくとも1つのガイドレールに対して実質的に約90°の角度を成している、家具にも保護が求められる。
【0022】
本発明に係る家具では、さらに、少なくとも2つの戸が実質的に平行位置に配置されている場合に、少なくとも1つの折戸を少なくとも部分的に、好ましくは完全に収容するための、好ましくは竪穴状の、少なくとも1つの側方室、および/またはキッチン家具を収容するための少なくとも1つの内室を有しており、少なくとも1つの内室は、少なくとも2つの戸が実質的に同一平面位置に配置されている場合に、少なくとも1つの折戸によって少なくとも部分的に、外部に対して遮蔽可能であることが考えられる。
【0023】
本発明の更なる詳細および利点を、図面の説明に基づき図面を参照しながら以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1a】戸が同一平面位置に配置されている、2つの折戸を備えた家具を示す斜視図である。
図1b】戸が部分開放された中間位置に配置されている、2つの折戸を備えた家具を示す斜視図である。
図1c】戸が平行位置で固定の家具部分の外側に配置されている、2つの折戸を備えた家具を示す斜視図である。
図1d】戸が平行位置で固定の家具部分の側方室内に配置されている、2つの折戸を備えた家具を示す斜視図である。
図2】1つの事例のための開放角度に依存した折戸の沈み込みを示す線図であって、力サポートなしの状態(破線)と力サポートありの状態(実線)とを示す線図である。
図3a】本発明に係る装置の1つの実施例を概略的に示す斜視図である。
図3b図3aに示した装置を示す分解図である。
図4a図3aおよび図3bに示した実施例を概略的に示す側面図であって、ガイド装置の、荷重を伝達する転動体を、ガイドレールに対して相対的な1つの位置で示す側面図である。
図4b図3aおよび図3bに示した実施例を概略的に示す側面図であって、ガイド装置の、荷重を伝達する転動体を、ガイドレールに対して相対的な別の位置で示す側面図である。
図4c図3aおよび図3bに示した実施例を概略的に示す側面図であって、ガイド装置の、荷重を伝達する転動体を、ガイドレールに対して相対的なさらに別の位置で示す側面図である。
図5a】本発明に係る装置で使用することができるガイド装置の1つの実施例を、概略的に示す斜視図である。
図5b】本発明に係る装置で使用することができるガイド装置の1つの実施例を、概略的に示す分解図である。
図6a図5aおよび図5bに示した実施例を概略的に示す側面図であって、小さな荷重が加えられた状態を示す側面図である。
図6b図5aおよび図5bに示した実施例を概略的に示す側面図であって、大きな荷重が加えられた状態を示す側面図である。
【0025】
図1a)~図1d)については、既に部分的に明細書冒頭で述べた。明細書冒頭に加えて、下記のことを説明することができる。
【0026】
部分図1a)から判るように、両折戸2は、2つの戸もしくは扉4,5が同一平面位置に配置されている場合に、実質的にガイドレール7に対して平行に配置されている。ガイドレール7は、例えば具体的に示した例におけるように、固定の家具部分6の天井面37に固定されていてよい。
【0027】
部分図1c)から判るように、両折戸2は、2つの戸4,5が平行位置に配置されている場合に、少なくとも1つのガイドレール7に対して実質的に約90°の角度13を成している。
【0028】
ガイドレール7は、単一の部材から形成されていても、または長手方向17で互いに相前後して配置された複数の部分品から形成されていてもよい。
【0029】
家具29は、他の構成を有することもできる。例えばただ1つの折戸2だけが設けられていてよい。また、折戸2を、1枚の戸と組み合わせることも考えられる。
【0030】
具体的に示した実施形態では、固定の家具部分6に隣接して背の高いキャビネット35が配置されている。
【0031】
さらに、折戸2ごとにそれぞれ1つの鉛直支持体27が設けられており、2つの戸4,5のそれぞれ一方の戸は、ガイド装置8,34に結合されていて、2つの戸4,5の他方の戸は、支持ヒンジ28を介して鉛直支持体27に枢動自在に結合されている。鉛直支持体27は、それぞれの折戸2の、ガイドレール7およびガイドレール7に可動に支持されたそれぞれのガイド装置8,34よりも大きな荷重を受け止めるように形成されている。
【0032】
家具29は、折戸2ごとに、それぞれ1つの竪穴状の側方室30を有しており、この側方室30は、2つの戸4,5が実質的に平行位置に配置されている場合に、折戸2を、少なくとも部分的にまたは具体的に示した例(部分図1d)参照)におけるように完全に収容するために働く。側方室30は、例えば固定の家具部分6の側壁38によって規定されていてよい。
【0033】
その他に家具29は、キッチン家具32,33を収容するための内室31を有している。この内室31は、2つの戸4,5が実質的に同一平面位置に配置されている場合に、折戸2によって外部に対して遮蔽可能である。キッチン家具は、例えば引出し32または上部棚33であってよい。
【0034】
折戸2を、部分図1c)に示した位置から出発して、部分図1d)に示した位置(またはその逆に)移動させるために、横方向レール26が設けられていてよい。これらの横方向レール26は、ガイドレール7に対して実質的に横方向に、好ましくは実質的に垂直に配置されている(部分図1b)に破線で示す)。言い換えれば横方向レール26は、家具29の奥行き方向36に延在している。
【0035】
ガイド装置8を備えた戸5が、平行位置で、鉛直支持体27にまたは鉛直支持体27に結合された支持装置に配置され、次いで折り畳まれた折戸2が、設けられた横方向レール26に摺動可能に支持された鉛直支持体27を介して、側方室30内に運動させられることが考えられる。
【0036】
図1b)に示しかつ明細書冒頭で説明したように、中間位置で折戸2の沈み込み39が生じるおそれがある。
【0037】
図2には、この沈み込み39が、折戸が約70kgの重量を有している具体的な事例のために、開放角度13との依存で示されている。
【0038】
対応処置が何ら施されていない場合には、約10mmの沈み込み39が生じるおそれがある(破線参照)。このような沈み込みは、既に記載した問題を引き起こすおそれがある。
【0039】
付言しておくと、角度0°は同一平面位置に相当し、角度90°は平行位置に相当する。30°~60°の角度範囲での沈み込み39が、実質的に同じ低いレベルに留まっているということは、大きな沈み込みと発生する横力とによって、案内に引っ掛かりが生じて円滑に動かなくなっていることを示している。
【0040】
本発明によれば、少なくとも1つのガイドレール7および/または少なくとも1つのガイド装置8,34は、少なくとも1つの蓄力器9,10を有しており、この蓄力器9,10によって、少なくとも1つの折戸2に、使用状態で、重力11とは逆向きの力12を加えることができることが特定されている。
【0041】
図2の線図に示された事例では、別の曲線(実線)が示されており、この曲線では、少なくとも1つの蓄力器が100Nの最大力を提供する。対応処置なしの状況との直接的な比較が示すように、沈み込み39の有意な低減を得ることができる。少なくとも1つの蓄力器9,10によって少なくとも1つの折戸2に、重力11とは逆向きに加えることができる力12は、少なくとも1つの折戸2または少なくとも2つの戸4,5が少なくとも1つのガイドレール7に対して相対的に成す、角度13の大きさに依存している。力12は、30°~60°の角度範囲で、好ましくは約45°の角度13において最大である。
【0042】
技術的には、例えば図3a)、図3b)および図4a)~図4c)に示したように実現することができる。
【0043】
示された、少なくとも1つの折戸2をガイドするための装置1は、特に少なくとも1つのドアヒンジ3を介して、互いに枢動自在に結合された少なくとも2つの戸4,5を有しており、両戸4,5は、少なくとも2つの戸4,5が実質的に互いに平行に整列させられた平行位置と、少なくとも2つの戸4,5が実質的に互いに同一平面を成すように整列させられた同一平面位置との間で可動である。装置1は、固定の家具部分6に固定すべき少なくとも1つのガイドレール7と、ガイドレール7に可動に支持されていて少なくとも1つの折戸2に結合可能なガイド装置8とを有している。ガイドレール7は、支持面42を介して固定の家具部分6に固定可能である。
【0044】
ガイド装置8は、蓄力器9を有しており、この蓄力器9によって、少なくとも1つの折戸2に、使用状態で、重力11とは逆向きの力12を加えることができる。
【0045】
蓄力器9は、好ましくは50N~150Nの予め規定された最大力を提供するように形成されている。
【0046】
さらに、蓄力器9は、複数のばね要素14を有しており、これらのばね要素14は、コイルばねおよび圧縮ばねとして形成されている。ばね要素14は、互いに間隔を置いてガイドレール7に配置されている。
【0047】
ガイドレール7は、支持体16と、この支持体16に対して相対的に可動に支持されていてガイドレール7の長手方向17に延びる走行軌道18とを有している。蓄力器9は、走行軌道18に支持体16に対して相対的に力12を加える。ばね要素14を保持するために、支持体16および/または走行軌道18には、対応する凹部43が配置されていてよい。
【0048】
走行軌道18は、支持体16に対して可変の間隔19を置いて配置されている。
【0049】
ガイド装置8は、荷重を伝達する転動体41を有しており、この転動体41は、走行軌道18に沿って転動する。
【0050】
転動体41の他に、ガイド装置8は、ガイド装置8をガイドレール7に側方支持するための複数の転動体40を有している。
【0051】
図4a)~図4c)から看取できるように、蓄力器9は、ガイドレール7に対して相対的な転動体41もしくはガイド装置8の位置に応じて、重力11とは逆向きの力12をガイド装置8に、かつガイド装置8に結合されたまたは結合可能な折戸2に加える。力12は、位置に依存している。すなわち、ガイドレール7の縁部領域(部分図4a)および部分図4c)参照)では、力12は中間領域(部分図4b)参照)よりも小さい。それというのは、ここ中間領域では比較的多数のばね要素14が、力を加えることに関与しているからである。
【0052】
まとめると、ガイドレール7は複数部分から形成されており、走行軌道18には、ばね14によって規定された力12の予荷重が加えられている。走行軌道18の上を走行する時に、走行軌道18は沈み込む。
【0053】
図5a)、図5b)、図6a)、および図6b)には、本発明の別の技術的な変化形態が示してある。この変化形態は、図3a)、図3b)および図4a)~図4c)に示した実施形態の代わりに、またはその実施形態に加えて適用することができる。
【0054】
この例ではガイド装置34は、実質的に円筒形の転動体21,22,23を介してガイドレール7に支持可能である走行キャリッジ20と、走行キャリッジ20に対して相対的に可動に支持された、折戸2をガイド装置34に結合するための結合装置24とを有している。蓄力器10は、結合装置24に、走行キャリッジ20に対して相対的に力12を加える。結合装置24は、走行キャリッジ20に対して可変の間隔25を置いて配置されている。この間隔25は、荷重の増大とともに小さくなる(図6a)および図6b)参照)。
【0055】
この実施例では、蓄力器10は、コイルばねおよび圧縮ばねとして形成されたばね要素15を有している。ばね要素15の屈曲を回避するために、ばねガイド46が設けられている。
【0056】
結合装置24は、実質的にU字形の湾曲部材44と、この湾曲部材44に結合された連結部材45とによって構成されている。しかしながら、結合装置24は、同様に良好に一体に形成されていてもよい。
【0057】
まとめると、この実施例では走行キャリッジ20のローラ22に、ばねを介して力が加えられている。U字形の湾曲部材44は、ばね15の力12に抗して下方に向かって押圧されることになる。
図1a)】
図1b)】
図1c)】
図1d)】
図2
図3a)】
図3b)】
図4a)】
図4b)】
図4c)】
図5a)】
図5b)】
図6a)】
図6b)】