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特許7161051供給原料のガス化及び/又は溶融のための反応炉及びプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】供給原料のガス化及び/又は溶融のための反応炉及びプロセス
(51)【国際特許分類】
   C10J 3/08 20060101AFI20221018BHJP
   C10J 3/66 20060101ALI20221018BHJP
   C10J 3/26 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
C10J3/08
C10J3/66
C10J3/26
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021529119
(86)(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 IB2019060279
(87)【国際公開番号】W WO2020110061
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-07-27
(31)【優先権主張番号】2018/08023
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ZA
(73)【特許権者】
【識別番号】521221342
【氏名又は名称】アフリカン レインボー ミネラルズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AFRICAN RAINBOW MINERALS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】ウェグナー アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】バウアー ペトリュス ヘンドリック フェレイラ
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-508526(JP,A)
【文献】国際公開第2015/079563(WO,A1)
【文献】米国特許第04309195(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0086994(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0095866(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0036777(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10J 3/08
C10J 3/66
C10J 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応炉を用いて炭素質供給原料をガス化して高温還元ガスを生じさせる方法であって、
スルースを介して炭素質供給原料をチョーク供給して前記反応炉の熱分解ゾーンに排出床を形成するステップと、
前記熱分解ゾーンにおける前記排出床を加熱して前記炭素質供給原料における熱分解を開始し、熱分解生成物を形成するステップと、
酸素源を少なくとも800℃の温度で前記熱分解ゾーンの下の場所で前記反応炉に供給することによって高温上部酸化ゾーンを前記反応炉に提供するステップと、
前記熱分解生成物及び残りの未熱分解炭素質供給原料を前記高温上部酸化ゾーンでガス化して前記反応炉の上部還元ゾーンにチャー床を形成するステップであって、前記上部還元ゾーンは前記上部酸化ゾーンの下に位置する、ステップと、
前記上部還元ゾーンで熱エネルギーを化学エネルギーに変換するステップと、
酸素源を少なくとも800℃の温度で前記反応炉の下部還元ゾーンの下の場所で前記反応炉に供給することによって高温下部酸化ゾーンを前記反応炉に提供するステップと、
前記下部酸化ゾーンに存在する金属及び/又はスラグ溶融物を収集するステップと、
前記下部酸化ゾーンに存在する前記金属及び/又はスラグ溶融物を除去するステップと、
前記上部還元ゾーンで生じた少なくとも1300℃の温度を有するCO/CO比≧5の高温還元ガスを前記反応炉のガス出口セクションに位置するガス出口を通して排出するステップであって、前記ガス出口セクションは、前記反応炉の前記上部還元ゾーンと前記下部還元ゾーンとの間に位置する、ステップと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
排出される高温還元ガスがCO/CO比≧15である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
熱分解ゾーンにおける排出床の加熱が少なくとも700℃の温度まで徐々に行われ、前記温度が、炭素質供給原料及び熱分解生成物の分裂を防止するために徐々に上昇される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
高温ガスを熱分解ゾーンに提供して熱分解ゾーンにおける排出床を加熱し、炭素質供給原料における熱分解を開始して熱分解生成物を形成するステップを含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
熱分解ゾーンにおける排出床を少なくとも700℃の温度まで徐々に加熱するように、前記熱分解ゾーンへ供給されている高温ガスの体積流量を制御するステップを含み、前記温度が、炭素質供給原料及び熱分解生成物の分裂を防止するために徐々に上昇される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
炭素質供給原料を反応炉にチョーク供給する前に前記炭素質供給原料を乾燥させるステップを含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
反応炉の緩衝ゾーンにおいて炭素質供給原料を予熱及び予備乾燥するステップを含み、前記緩衝ゾーンが前記反応炉の熱分解ゾーンの上方に位置する、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
炭素質供給原料を熱分解ゾーンに供給することによって、排出円錐を有する排出床が形成され、前記熱分解ゾーンの断面が緩衝ゾーンの断面に対して拡大されている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
反応炉の中間ゾーンにおいて炭素質供給原料を熱分解及び乾燥するステップを含み、前記中間ゾーンが熱分解ゾーンの下に位置する、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
反応炉の直流セクション(co-current section)で生じた少なくとも1300℃の温度を有する高温還元ガスを前記反応炉の少なくとも1つのガス出口から排出するステップを含み、前記直流セクションが、
前記反応炉のプレナムゾーンであって、プレナムゾーンは、
前記反応炉の供給ゾーンと、
前記反応炉の緩衝ゾーンと、
前記反応炉の熱分解ゾーンと、
前記反応炉の中間ゾーンと
を含む、プレナムゾーンと、
前記反応炉の上部酸化ゾーンと、
前記反応炉の上部還元ゾーンと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
反応炉の向流セクションで生じた少なくとも1300℃の温度を有する高温還元ガスを前記反応炉のガス出口セクションに位置するガス出口を通して排出するステップを含み、前記向流セクションが前記反応炉の下部酸化ゾーン及び下部還元ゾーンを含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質をガス化及び/又は溶融するための方法及び反応炉に関する。特に、本発明は、廃棄物、例えば、排他的ではないが、家庭廃棄物、使用済みタイヤ、有害廃棄物、アスベスト、病院廃棄物、石炭又は石炭粉塵の原料及び/又はエネルギー回収に関する。この反応炉及び方法はまた、任意の組成の供給原料のガス化及び溶融、又は廃棄物及び/又は石炭の使用を通じたエネルギーの生成に適している。
【背景技術】
【0002】
ここしばらくの間、様々な種類の廃棄物及び他の原料を熱処分するための解決策が求められてきた。燃焼プロセスに加えて、様々なガス化プロセスが知られており、その主な目的は、環境への汚染物質の負荷が少ない結果を達成すること、及び供給原料を処理するコスト削減に加え、このプロセスにおいて生成されるガスも削減することである。しかしながら、既知のプロセスは、習得が難しい複雑な技術及び処理されるべき供給原料又は廃棄物のための関連する高い処分コストによって特徴付けられている。
【0003】
例えば、欧州特許公開第1261827B1号明細書は、供給原料のガス化及び/又は溶融のための反応炉を開示している。この反応炉は、これまで頻繁に用いられていた循環ガスプロセスのアプローチに従っていない。対照的に、開示された反応炉は直流原理(co-current principle)に従って動作する。従来の再循環ガス管理を完全に廃止することにより、熱分解生成物の凝縮及び不要な堆積物の形成に関連する問題の多くが回避される。さらに、欧州特許公開第1261827B1号明細書は、既に反応炉の上部においてバルク原料(バルクカラム)の衝撃様の加熱により供給原料の部分的な集塊が起こり、これによって反応炉の内壁への付着が大きく排除されることを開示している。欧州特許公開第1261827B1号明細書において、還元セクションが2つの注入手段間に形成され、これらを通ってすべてのガスが抽出前に流れ、これによってガスを大幅に削減することが開示されている。
【0004】
欧州特許公開第1261827B1号明細書に開示された反応炉は供給原料を大きく削減するが、反応炉から排出されるガスは、反応炉からの出口温度のため、還元溶融用の冶金反応炉に用いるためにはさらに加熱することなく用いることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許公開第1261827B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の目的は、少なくとも部分的に、上記の欠点を克服する、及び/又は物質をガス化及び/又は溶融するための既存の反応炉及び方法に対する有用な代替手段となる、物質をガス化及び/又は溶融するための新規な反応炉及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、反応炉を用いて炭素質供給原料をガス化して高温還元ガスを生じさせる方法が提供され、この方法は、
スルースを介して炭素質供給原料を供給して反応炉の熱分解ゾーンに排出床を形成するステップと、
熱分解ゾーンにおける排出床を加熱して炭素質供給原料における熱分解を開始し、熱分解生成物を形成するステップと、
酸素源を少なくとも800℃の温度で熱分解ゾーンの下の場所で反応炉に供給することによって下部位置高温上部酸化ゾーンを反応炉に提供するステップと、
熱分解生成物、及びもし残っていれば、残りの未熱分解炭素質原料を高温上部酸化ゾーンでガス化して反応炉の上部還元ゾーンにチャー床を形成するステップであって、上部還元ゾーンは高温上部酸化ゾーンの下に位置する、ステップと、
上部還元ゾーンで熱エネルギーを化学エネルギーに変換するステップと、
酸素源を少なくとも800℃の温度で反応炉の下部還元ゾーンの下の場所で反応炉に供給することによって下部位置高温下部酸化ゾーンを反応炉に提供するステップと、
下部酸化ゾーンに存在する金属及び/又はスラグ溶融物を収集するステップと、
下部酸化ゾーンに存在する金属及び/又はスラグ溶融物を除去するステップと、
上部還元ゾーンで生じた少なくとも1300℃の温度を有するCO/CO比≧5の高温還元ガスを反応炉のガス出口セクションに位置するガス出口を通して排出するステップであって、ガス出口セクションは、反応炉の上部還元ゾーンと下部還元ゾーンとの間に位置する、ステップと
を含む。
【0008】
酸素源は空気又は純酸素とすることができる。
【0009】
下部酸化ゾーンに存在する金属及び/又はスラグ溶融物は、金属及び/又はスラグ溶融物を叩くことによって下部酸化ゾーンから除去することができる。
【0010】
排出される高温還元ガスがCO/CO比≧15であることが提供される。
【0011】
本方法は、高温ガス(例えば予熱空気又は燃焼ガス、これらはバーナー又はノズルを介して供給される)を熱分解ゾーンに提供して炭素質供給原料における熱分解を開始し、熱分解生成物を形成する追加のステップを含むことができる。
【0012】
熱分解ゾーンにおける排出床の加熱が少なくとも700℃の温度まで徐々に行われることが提供され、この温度は、炭素質供給原料及び熱分解生成物の分裂を防止するために徐々に上昇される。有利なことに、これにより、反応炉を詰まらせることがある微細又は粉末炭素質供給原料、熱分解生成物及びチャーの形成が防止される。したがって、本方法及び反応炉は、微細又は粉末炭素質供給原料、熱分解生成物及びチャーが形成される場合より低い圧力で運用することができる。一例として、本方法及び反応炉は、50kPaの圧力で実施及び/又は運用することができる。
【0013】
高温ガスの体積流量は、熱分解ゾーンにおける排出床を徐々に加熱するように制御することができる。
【0014】
本方法は、炭素質原料を反応炉にチョーク供給する前に炭素質原料を乾燥させる追加のステップを含むことができる。
【0015】
酸素源の下部酸化ゾーンへの体積流量は、下部酸化ゾーンにおけるチャー微粉の蓄積を防止するように制御することができる。下部酸化ゾーンにおけるチャー微粉の消費率を高めるため、酸素源の下部酸化ゾーンへの体積流量を増加させることができる。
【0016】
本方法は、さらに、反応炉の緩衝ゾーンにおいて炭素質供給原料を予熱及び予備乾燥するステップを含むことができ、緩衝ゾーンは反応炉の熱分解ゾーンの上方に位置する。
【0017】
炭素質供給原料を熱分解ゾーンに供給することによって、排出コーンを有する排出床を形成することができ、熱分解ゾーンの断面を緩衝ゾーンの断面に対して拡大することができる。
【0018】
本方法により反応炉の中間ゾーンにおいて炭素質供給原料を熱分解及び乾燥する追加のステップを含むことが提供され、中間ゾーンは熱分解ゾーンの下に位置する。
【0019】
本方法は、反応炉の直流セクション(co-current section)で生じた少なくとも1300℃の温度を有する高温還元ガスを反応炉の少なくとも1つのガス出口から排出するさらなるステップを含むことができ、直流セクションは、
-反応炉のプレナムゾーンであって、プレナムゾーンは、
○反応炉の供給ゾーンと、
○反応炉の緩衝ゾーンと、
○反応炉の熱分解ゾーンと、
○反応炉の中間ゾーンと
を含む、プレナムゾーンと、
-反応炉の上部酸化ゾーンと、
-反応炉の上部還元ゾーンと、
を含むことができる。
【0020】
本方法では、反応炉の向流セクション(countercurrent section)で生じた少なくとも1300℃の温度を有する高温還元ガスを反応炉のガス出口セクションに位置するガス出口を通して排出するステップを含むことが提供され、向流セクションは、反応炉の下部酸化ゾーン及び下部還元ゾーンを含むことができる。
【0021】
上部酸化ゾーン容積のプレナムゾーン容積に対する容積比は、1:N容積単位の比とすることができ、4≦N≦20である。
【0022】
上部酸化ゾーン容積の上部還元ゾーン及びプレナムゾーンの総容積に対する容積比は、1:N容積単位の比とすることができ、7≦N≦25である。
【0023】
向流セクション容積の反応炉の総容積に対する容積比は、1:N容積単位の比とすることができ、1≦N≦10である。
【0024】
少なくとも800℃の高温の酸素及び/又は空気を中間ゾーンの下方に供給することによって、ライニングの特定の領域において1800℃を上回る温度及び床において2000℃と4000℃との間の温度を有する高温上部酸化ゾーンが作成される。熱分解生成物及び供給原料の一部は、この高温上部酸化ゾーンにおいて燃焼、分解及び/又は溶融し、その後まだ変換されていない供給原料のさらなるコーキングが起こる。後続の上部還元ゾーンにおいて、熱エネルギーが次いで化学エネルギーに変換される。化学エネルギーの熱エネルギーへの変換は、COをCOに還元することによって部分的に達成される。ここで、ガス出口でのCO/COガス体積比を10より大きく、さらには15より大きくすることができる。例えば、CO/COガス体積比を、10と1000との間、15と10000との間、さらには15と10との間(本質的にCOがない)とすることができる。
【0025】
ガスは、直流セクションにおいて供給ゾーンからガス出口まで直流で流れることができる。
【0026】
1800℃と4000℃との間の温度を有する高温ゾーンを、少なくとも1000℃の高温の酸素及び/又は空気を提供することによって円錐状下部酸化ゾーンに作成することもできる。金属及び/又はスラグ溶融物も、この下部配置高温下部酸化ゾーンにおいて収集することができる。これらのスラグ溶融物及び/又は金属溶融物は、必要に応じてタッピングを介して叩き落とすこと(例えばモールドにおいて)又は連続的に(例えばスラグ粒状化まで)追い出すことができる。円錐状下部酸化ゾーン及び円錐状下部還元ゾーンにおいて、1000℃を上回る2000℃までの温度を有する高温ガスを生じさせることもでき、これはガス出口の方向に上向きに(向流で)流れる。熱エネルギーはまた、下部還元ゾーンにおいて、一部はCOをCOに還元することによって、化学エネルギーに変換することができる。これにより確実に、CO/COガス体積比は、ガス出口に到達したとき10より大きく、さらには15より大きくなる。例えば、CO/COガス体積比は、10と1000との間、好ましくは15と10000との間、特に好ましくは15と10との間(本質的にCOがない)にある。直流セクションから(頂部から底部へ)のガス及び向流セクションから(底部から頂部へ)のガスは、ガス出口セクションから少なくとも1つのガス出口を通って排出される。直流セクションからのガス及び向流セクションからのガスは、1500℃と1750℃との間、好ましくは1600℃と1750℃との間の温度を有する。
【0027】
本発明に必須の方法ステップは有利なことに、直流セクションで生成されたガス及び向流セクションで生成されたガスを吸引によって排気することによってさらに発展させることができる。この目的のため、ガス吸引手段を用いることができる。吸引により、反応炉を負圧にすることができる。反応炉において負圧を用いると、ガス化装置が開いたときに空気を吸い込むことができるが、ガスが逃げることはできないため、反応炉の運用中の維持を可能にすることができる。
【0028】
本発明の第2の態様によれば、炭素質供給原料をガス化する方法に用いるための反応炉が提供され、反応炉は、
-直流セクションであって、
○プレナムゾーンであって、
■スルースを備えた供給ゾーンであって、供給原料が反応炉内へ上から供給ゾーンを介して導入される、供給ゾーンと、
■緩衝ゾーンと、
■緩衝ゾーンの底部に隣接しながら断面拡大部を提供する耐火性ライニング熱分解ゾーンと、
■熱分解ゾーンの底部に隣接する耐火性ライニング中間ゾーンと、
を含む、プレナムゾーンと、
○中間ゾーンの底部に隣接し、少なくとも1つの平面に羽口を含む、耐火性ライニング上部酸化ゾーンと、
○上部酸化ゾーンの底部に隣接する耐火性ライニング上部還元ゾーンと、
を含む、直流セクションと、
-少なくとも1つのガス出口を含む耐火性ライニングガス出口セクションと、
-耐火性ライニング向流セクションであって、
○上記ガス出口セクションに隣接する円錐状下部還元ゾーンと、
○円錐状下部還元ゾーンに隣接し、少なくとも1つの羽口及びタッピングを含む、円錐状下部酸化ゾーンと、
を含む、耐火性ライニング向流セクションと、
を含み、
耐火性ライニング上部酸化ゾーン容積のプレナムゾーン容積に対する容積比は、1:N容積単位の比であり、4≦N≦20である。
【0029】
耐火性ライニング上部酸化ゾーン容積の耐火性ライニング上部還元ゾーン容積及びプレナムゾーン容積の総容積に対する容積比は、1:N容積単位の比とすることができ、7≦N≦25である。
【0030】
耐火性ライニング向流セクション容積の反応炉の総容積に対する容積比は、1:N容積単位の比とすることができ、1≦N≦10である。
【0031】
反応炉の少なくとも1つの耐火性ライニング部分が、一方が他方の上方に配置された少なくとも2つのライニングセクションからなることが提供され、一方が他方の上方に配置されたライニングセクション間にさねはぎ接続が形成され、ライニングセクションの一方は反応炉内部に面する側に溝を有し、他方のライニングセクションは反応炉内部に面する側に舌部を有し、さねはぎ接続は、溝と舌部との間に温度依存ギャップ開口を有する。
【0032】
少なくとも2つのライニングセクション間に円周状水冷コンソールを配置することができる。
【0033】
上部ライニングセクションは溝を有することができ、下部ライニングセクションは舌部を有することができる。
【0034】
少なくとも2つのライニングセクションは、1つの耐火性内側ライニング及び内側耐火性ライニングを包む外側ライニングを有することができる。
【0035】
内側耐火性ライニングは焼成レンガ製ライニング又はモノリシックライニングとすることができる。
【0036】
円周状水冷コンソールは黒色鋼又はステンレス鋼からなることができる。
【0037】
耐火性ライニング上部酸化ゾーン及び/又は耐火性ライニング円錐状下部酸化ゾーンの羽口はセラミックで構成することができる。
【0038】
別の一実施形態において、耐火性ライニング上部酸化ゾーン及び/又は耐火性ライニング円錐状下部酸化ゾーンの羽口は銅又は鋼で構成することができ、羽口のそれぞれに内側セラミックパイプが配置され、セラミック内側パイプとそれぞれの羽口との間に圧縮可能かつ耐熱性の層が配置されている。
【0039】
耐火性ライニング上部酸化ゾーンは5°と30°との間の円錐角を有することができる。
【0040】
耐火性ライニング上部還元ゾーンは、耐火性ライニングガス出口セクションが耐火性ライニング上部還元ゾーンの底部に隣接しながら断面拡大部を提供するように、耐火性ライニングガス出口セクションの上方に配置することができる。
【0041】
耐火性ライニング上部還元ゾーンの一部を耐火性ライニングガス出口セクションに配置することができ、耐火性ライニングガス出口セクションは、耐火性ライニング上部還元ゾーンに対して断面拡大部を有することができる。
【0042】
耐火性ライニング円錐状下部還元ゾーン及び耐火性ライニング円錐状下部酸化ゾーンは、50°と70°との間の円錐角を有することができる。
【0043】
耐火性ライニング熱分解ゾーンの断面拡大領域にガス供給手段を配置することができる。
【0044】
耐火性ライニング上部酸化ゾーンの羽口は複数の平面に配置することができる。
【0045】
少なくとも1つのさらなる羽口を耐火性ライニング円錐状下部還元ゾーンのさらなる平面に配置すること、又は1つのさらなる羽口を耐火性ライニング円錐状下部還元ゾーンのさらなる平面に配置して少なくとも1つの追加の羽口を耐火性ライニング上部還元ゾーンに配置することが提供される。
【0046】
少なくとも1つのさらなる羽口を耐火性ライニング円錐状下部酸化ゾーンのさらなる平面に配置することができる。
【0047】
1500℃より高い、例えば1600℃と1750℃との間の温度の高温ガスをガス出口から排出することができるよう、バルク原料(又は床)の周辺領域において1800℃を上回り、バルク原料(又は床)の中心において2000℃と4000℃との間にある温度に、少なくとも耐火性ライニング上部酸化ゾーンにおいて到達できるように反応炉が設計されていることが提供される。これらの高温により、耐火性ライニング(例えばレンガライニング)は、ライニングメートルあたり20mmまで軸方向、接線方向及び径方向に膨張し、ライニングに応力を生み、これがひいては反応炉の外側鋼製シェルに径方向に影響を及ぼす。
【0048】
反応炉の安定性がこれらの高温及び結果として生じるライニングにおける応力によって損なわれないよう、本発明によれば、反応炉の少なくとも1つの耐火性ライニング部分が、一方が他方の上方に配置された少なくとも2つのライニングセクションからなることが提供される。少なくとも1つの耐火性ライニング部分は、耐火性ライニング熱分解ゾーン、耐火性ライニング緩衝ゾーン、耐火性ライニング上部酸化ゾーン、耐火性ライニング上部還元ゾーン、耐火性ライニングガス出口セクション、耐火性ライニング向流セクション、又はこれらの組み合わせとすることができる。
【0049】
ここで反応炉の耐火性ライニングは、2~4メートルの高さごとにさらなるライニングセクションを有すると考えられる。
【0050】
1500℃~1600℃のガス出口温度を有する反応炉について、耐火性ライニングが3~4メートルの高さごとにさらなるライニングセクションを有することを提供することができる。1600℃~1750℃のガス出口温度を有する反応炉について、耐火性ライニングが2~3メートルの高さごとに追加のライニングセクションを有することを提供することができる。
【0051】
ライニング上部酸化ゾーン及びライニング下部酸化ゾーンにおいて特に高温(1800℃と4000℃との間の温度)が生じさせられるため、一方が他方の上方に配置されたライニングセクションが、ライニング上部酸化ゾーン及びライニング下部酸化ゾーンのそれぞれに正確に1つのライニングセクションが配置されるように配置されることを提供することができる。さらに、酸化ゾーンの下方及び上方にさらなるライニングセクションが配置されることを提供することができる。これにより、高温酸化ゾーンがそれぞれ1つのライニングセクションのみで構成されることが保証され、ライニングセクションのそれぞれがそれぞれのさらなるライニングセクションの方向に膨張することができ、そのためこれらのゾーンにおいて、これらの高温で損傷する可能性がある、さらなるコンソール又は他の固定具の必要性がなくなる。
【0052】
少なくとも2つのライニングセクション間の領域を介して高温ガス又は高温が外側へ逃げ続けないよう、一方が他方の上方に配置された耐火性ライニングセクション間にさねはぎ接続が形成されることも提供され、耐火性ライニングセクションの一方は反応炉内部に面する側に溝を有し、他方のライニングセクションは反応炉内部に面する側に舌部を有する。さねはぎ接続は、反応炉が停止しているときでも、溝内の舌部がポジティブロッキング方式で配置されるように設計され、これによって舌部の垂直外壁は溝の垂直壁に接続されているが、溝と舌部との間に垂直ギャップ開口が残る。これは、ギャップ開口にもかかわらず、反応炉の始動又は高加熱中にガスが逃げられないことを保証する上での利点である。さらに、溝と舌部との間のギャップ開口が温度依存ギャップ開口であることを提供することができる。溝と舌部との間の温度依存ギャップ開口は例えば50mmとすることができる。上述のように、ライニングは高温で膨張する可能性があり、舌部はさねはぎ接続のため溝内へ膨張することができる。
【0053】
さらに、反応炉の加熱及び冷却中に耐火性ライニングを保持してライニングを安定させるための円周状水冷コンソールが、一方が他方の上方に配置された少なくとも2つのライニングセクション間に配置されることが提供される。この円周状水冷コンソールは、断面が正方形又は長方形で溶接継ぎ目がない中空円筒パイプを曲げることによって製造することができる。有利なことにここで、水冷コンソールが高熱流を有し、これは2m/s~25m/sの冷却水の流速によって達成され、これは接続フランジを介して供給されることができる。冷却水のこれらの高流速は、円周状コンソールが高温(>1500℃)の領域に配置されているときにその熱的及び機械的安定性を維持するのに有利である。
【0054】
少なくとも2つの重ね合わされたさねはぎ耐火性ライニングセクション及び円周状水冷コンソールの上述の配置は、直流セクション及び/又はガス出口セクション及び/又は向流セクションに配置することができる。各セクションはまた、一方が他方の上方にさねはぎ接続で配置された2つの耐火性ライニングセクション及び円周状水冷コンソールのいくつかの配置を有することができる。
【0055】
本発明による反応炉の直流セクションは、部分ライニングプレナムゾーン、ライニング上部酸化ゾーン、及びライニング上部還元ゾーンを含む。
【0056】
部分ライニングプレナムゾーンは、少なくとも1つのスルースを備えた供給ゾーン、緩衝ゾーン、ライニング熱分解ゾーン、及びライニング中間ゾーンを含む。
【0057】
スルースを備えた供給ゾーンを介して、廃棄物、有毒又は生物学的廃棄物、水、使用済みタイヤ、バイオマス、木材、石炭、自動車用シュレッダ残留物、凝集物などの供給原料を反応炉内へ上から供給することができる。スルースにより、周囲空気の制御されない侵入及びガスの反応炉からの排出を可能な限り回避することが保証される。スルースとしては、油圧式、空気圧式又は電動式ハッチを有することができるということが意図されている。これらのハッチは好ましくは、反応炉における意図しない過圧の場合にハッチが追加で閉じられてガスが意図せずに逃げられないように設計することができる。
【0058】
プレナムゾーンはまた、供給原料の容量を緩衝し及び予備乾燥するための緩衝ゾーンを含む。緩衝ゾーンの温度は好ましくは調整可能である。例えば、約100℃~200℃の設定温度を廃棄物の予備乾燥のために提供することができる。
【0059】
加えて、耐火性ライニング熱分解ゾーンがプレナムゾーンに設けられ、これは、好ましくは急激な断面拡大部を作成することによって緩衝ゾーンの底部に接続されている。好ましくは、断面は少なくとも2倍増加する。断面の拡大により、供給原料の沈下速度が低下すること、及びバルク原料で作製されたコーン形状排出領域(排出コーン)が反応炉のガス空間内に形成されることが保証される。排出コーンには、予備乾燥された供給原料が中央に(緩衝ゾーンから)供給される。
【0060】
高温ガス(例えば燃焼ガス、一時的に貯蔵又は再循環された過剰ガス、又は燃焼によって提供された不活性燃焼ガス)を、耐火性ライニング熱分解ゾーンにおける排出コーンに、バーナー、ノズル、壁の開口又は他の装置を介して供給することができる。床は高温ガスによって表面で衝撃加熱され、これによって供給原料がライニング(例えばレンガライニング又はキャスタブルライニング)に固着することが可能な限り防止される。衝撃様の加熱は、例えば、床で放射状に向けられたバーナーによって達成することができる。あるいは、又は加えて、衝撃様の加熱は、火炎が回転するリング形状チャネルによって達成することもできる。この回転は、高温ガスを接線方向に排出コーンに吹き付けてこれを燃焼させることによって建設的に達成することができる。
【0061】
プレナムゾーンはまた、耐火性ライニング熱分解ゾーンの下方及び近傍に位置する耐火性ライニング中間ゾーンを含む。中間ゾーンにおいて、熱分解ゾーンからの熱及び下方の耐火性ライニング上部酸化ゾーンからの廃熱が、供給原料の最終乾燥及び完全熱分解に用いられる。有利なことに中間ゾーンがライニング(例えばレンガライニング又はキャスタブルライニング)鋼製シェルを含むことを提供することができ、ライナーは他のゾーンと同様の厚さとすることができる。この実施形態では、中間ゾーンにおいても高温が発生する可能性があるため、反応炉の試運転(始動)が簡素化される。中間ゾーンの下部領域にテーパ状断面を提供し、これにより供給原料が沈む速度を変化させることが有利であり得る。
【0062】
帯状耐火性ライニング直流セクションにおける耐火性ライニング中間ゾーンの下方に、羽口が配置されているライニング上部酸化ゾーンがある。これらの羽口は、少なくとも1つのレベル(高さ又は反応炉底部からの垂直距離)に配置されている。上述のように、反応炉は円周状水冷コンソール及び一方が他方の上方に配置されてさねはぎ接続を有する2つのライニングセクションを有するため、少なくとも1000℃の高温酸素及び/又は空気を提供することによって反応炉の安定性を損なうことなく、耐火性ライニングの領域における上部酸化ゾーンにおける温度を1800℃より高くまで上げることができ、バルク原料(床)の中心における温度を2000℃と4000℃との間の値に上げることができる。
【0063】
すべての原料を、一酸化炭素(CO)、水素(H)、水(HO)、二酸化炭素(CO)、硫化水素(HS)、アンモニア(NH)、二酸化窒素(NO)又は二酸化硫黄(SO)のような無機ガス、液体金属又は液体スラグ、コーク又は炭素(C)中でこれらの高温によって変換することができる。
【0064】
上部酸化ゾーンの下方で、ライニング上部還元ゾーンがライニング直流セクションに配置され、この中には本質的に有機成分が入らない。
【0065】
有利なことにライニング上部還元ゾーンが上部酸化ゾーンと比較して断面拡大部を有し、これにより供給原料の沈下速度が変化して同じレベルでの滞留時間が増加することを提供することができる。ライニング上部還元ゾーンにおいて、ガスはコーク化固定床を直流で流れ、熱エネルギーが化学エネルギーに変換され、一酸化炭素(CO)及び水素(H)を生成する。特に、二酸化炭素(CO)が一酸化炭素(CO)に、水(HO)が水素(H)に変換され、これによって床にまだ含まれている炭素がさらにガス化される。COのCOへの還元は、反応炉においてCO/COガス体積比が10より大きく、又はさらには15より大きくなるように達成することができる。例えば、CO/COガス体積比は10と1000との間、好ましくは15と10000との間、特に好ましくは15と10との間(本質的にCOがない)にある。
【0066】
ガスは、上部還元ゾーンを通過するにつれて、同時に、例えば約1000℃と約1600℃との間の温度に冷却される。すべての原料の流れが必然的に上部酸化ゾーンを流れて戻ることができないため、上部還元ゾーンを通過した後、酸化ゾーンの上方での未反応原料との接触がなくなる。このように、すべてのきれいに分解及び/又は溶融した、まったくの無機物質が、新たな汚染なしにガス出口セクションに到達する。
【0067】
すべての原料の流れが必然的に上部酸化ゾーンを流れて戻ることができないため、上部還元ゾーンを通過した後、酸化ゾーンの上方での未反応原料との接触がなくなる。このように、すべてのきれいに分解及び/又は溶融した、まったくの無機物質が、ライニングガス出口セクションにおける新たな汚染なしにガス出口セクションに到達する。上部酸化ゾーンのガスは、ライニング上部還元ゾーンを通過するにつれて冷却される。ライニング上部酸化ゾーンで生成されたガスは非常に高温であるため、上部還元ゾーンを通過することが、1500℃と1750℃との間の温度への冷却につながり、冷却後、これらの高温ガスがガス出口に到達することを提供することができる。
【0068】
ガス出口セクションが少なくとも1つのガス出口を含むことが提供される。いくつか(例えば4つ)のガス出口が全周に配置され、好ましくは放射状に分配されることも考えられる。
【0069】
ライニングガス出口セクションの下方に、実質的に円錐状のライニング向流セクションがある。これは、円錐状下部酸化ゾーンからのガスの熱エネルギーを化学エネルギー(主にCO)に変換して向流を生じさせる円錐状下部還元ゾーンを含む。この円錐状下部還元ゾーンはライニングガス出口セクションに接続されている。円錐状下部還元ゾーンの下方に、円錐状下部酸化ゾーンが配置され、円錐の切られた先端が下を向いている。円錐状下部酸化ゾーンにおいて、残留コーク化原料がガスに変換される。円錐状下部酸化ゾーンにおいて少なくとも1つの羽口が少なくとも1つの平面に配置され、これを介して少なくとも1000℃の高温空気及び/又は酸素を導入することができ、これがひいては下部酸化ゾーンの床に1800℃と4000℃との間の温度を引き起こす。これらの高温により、スラグ及び金属は、収集及び排出のための少なくとも1つのタッピングを介して液体の形で漏れ出すことが可能になる。
【0070】
生じたガスは、向流で円錐状下部還元ゾーンを通ってガス出口セクションへ流れ、ここでガスは約1500℃と約1750℃との間の温度に冷える。ここで、下部酸化ゾーンで生じたガスは非常に高温であるため、下部還元ゾーンを通過することでガスは1500℃と1750℃との間又は1600℃と1750℃との間の温度への冷却につながり、これが次いでガス出口還元ゾーンを通じて排出されることを提供することができる。
【0071】
本発明によれば、反応炉は向流セクションにおける還元ゾーン及び直流セクションにおける上部還元ゾーンの両方を有するため、総還元ゾーン容積(上部及び円錐状下部還元ゾーンの容積の合計)を既知の反応炉の1つの還元ゾーンよりかなり大きくすることができる。一例として、欧州特許公開第1261827B1号明細書が参照され、1つの還元ゾーンのみがガス出口セクションの領域に配置されている。
【0072】
したがって、本発明によれば、この反応炉は、簡素で、安価な環境に優しい原料及び/又は供給原料のエネルギー利用を達成する。加えて、本明細書に記載の反応炉を採用することにより、化学及び熱エネルギーの容量及び収率を高めることが可能になる。
【0073】
反応炉の一実施形態において上部ライニングセクションが溝を有し、下部ライニングセクションが舌部を有することが提供される。
【0074】
これにより、高温にさらされたときライニングを上向きに膨張させることができる。
【0075】
反応炉のさらなる一実施形態が、少なくとも2つのライニングセクションのそれぞれが少なくとも1つの耐火性内側ライニング及び耐火性内側ライニングを包む外側ライニングを含むことを提供し、耐火性内側ライニングは、焼成レンガ製レンガライニング又はモノリシック(例えばキャスタブル)ライニングである。
【0076】
さらに、耐火性内側ライニング及び外側ライニングを含むライニングセクションが、安定化鋼製シェルに配置されていることを提供することができる。
【0077】
少なくとも1つのさらなる断熱層が外側ライニングと鋼製シェルとの間に配置されることも有利であり得る。追加の断熱層は、厚紙、高温フェルト、又は高温発泡体からなることができる。
【0078】
この実施形態により、鋼製シェルがより良好に断熱されることが保証される。例えば、追加の断熱層は、鋼製シェルを通した熱損失が追加の断熱層のない反応炉と比較して2%より多く改善され、その結果として鋼製シェルの外側温度も低下するように設計することができる。例えば、この設計により、反応炉の運用中に鋼製シェルの外側温度を60℃未満に保つことが可能になり、これは接触保護が要求されないことを意味する。さらに、断熱層は、内側ライニング及び/又は外側ライニングの径方向への可能な熱膨張を補償するために用いることができる。
【0079】
耐火性内側ライニングの摩耗を減らすため、内側ライニングがスピネルコランダム、クロムコランダム、又は炭化物からなるレンガからなることを提供することもできる。これらの石の熱伝導率が>3W/mKであることを提供することができる。
【0080】
さらに、反応炉のより高温の領域(温度>1500℃)におけるレンガは、スラグ凍結によって化学的及び/又は熱的条件に対して保護されることを提供することができる。
【0081】
このスラグ凍結を可能にするため、外側ライニングは熱伝導性材料からなることができ、これによって冷却媒体(例えば冷却水入りパイプコイル)の内側ライニングへの十分な熱伝達を達成することができる。
【0082】
ここで、外側ライニングが気泡耐火物(例えば気泡アルミナ)から形成され、これによって気泡耐火物を鋳造することができ、これによって冷却媒体(例えば冷却水入りパイプコイル)と内側ライニングとの間の積極的な接続を達成することができると考えられる。反応炉のより高温の領域(温度>1500℃)では、気泡耐火物がスピネルコランダム又はアルミニウムコランダムからなることを提供することもできる。あるいは、外側ライニングが安定性のより高い、しかしこのため、断熱特性が低い、自由に流れる鋳造塊からなることを提供することができる。
【0083】
あまり高温でない領域(温度<1500℃)では、外側ライニングは、熱損失を減らすために熱伝導率が<1W/mKの鋳造断熱気泡耐火物で作製することができる。この設計により確実に、より高温の領域においてより熱伝導率の高い材料によってスラグファー形成が促進され、あまり高温でない領域においてより熱伝導率の低い材料によって熱損失が減少する。これが特に有利であるのは、あまり高温でない領域がより高温の領域より反応炉のはるかに広い領域をカバーするためである。
【0084】
本発明の他の有利な一実施形態は、円周状水冷コンソールが黒色鋼又はステンレス鋼で作製されていることである。
【0085】
黒色鋼又はステンレス鋼のどちらを用いるかは、反応炉の用途及び運用に依存する。黒色鋼はステンレス鋼より安価で熱伝導率が高い。しかしながら、ステンレス鋼は黒色鋼より熱的及び化学的に安定している。意図された用途にどちらの材料を用いるべきかを決定するのに有限要素熱シミュレーションが役立つことができる。
【0086】
本発明の一実施形態は、羽口(上部及び円錐状下部酸化ゾーンの)が銅又は鋼で作製されていることを提供する。加えて、羽口の1つがセラミック内側パイプを有する、又は羽口のいくつかのそれぞれがそれぞれのセラミック内側パイプを有する、又は羽口のそれぞれがそれぞれのセラミック内側パイプを有することを提供することができる。羽口のこの実施形態(セラミック内側パイプを備える)により、酸素及び/又は空気を加えることによって羽口を金属の溶融に対して保護することが可能になり、これによって酸素及び/又は空気を予熱することもできる(例えば>1000℃の温度に)。セラミック内側パイプと羽口との間に圧縮可能かつ耐熱性の層を配置し、これによって熱誘起される機械的応力を補償することができることも有利であり得る。この圧縮可能かつ耐熱性の層は、例えば、高温フェルト、高温厚紙又は高温発泡体からなる。
【0087】
本発明の別の一実施形態は、羽口(上部及び円錐状下部酸化ゾーンの)を完全にセラミックで作製することができることを提供する。この実施形態を通じて、例えば、セラミックは金属より高い温度に耐えることができるため、1000℃より高い温度を有する高温空気及び/又は酸素を供給して、したがって2000℃より高い床温度で酸化ゾーンを運用させることができることを達成することができる。
【0088】
全体がセラミック製の羽口では必然的に必要な金属の羽口の冷却が不要になり、これによって熱損失を5%より多く削減することができる。冷却なしでの溶融によって引き起こされる化学的負荷及び高い熱応力は、熱伝導率の良好なセラミック(例えば85W/mKの例えば炭化ケイ素)とスラグ凍結、これに続く断熱セラミック(例えば4W/mK未満のスピネルコランダム)の組み合わせによってこれらの羽口について達成することができる。
【0089】
ライニング上部酸化ゾーンの円錐角(α)が5°と30°との間にあることも反応炉にとって有利であり得る。
【0090】
上部酸化ゾーンのこの円錐形状により、スラグの一部がライニングの表面上に残ることが有利に達成されることが可能になり、これによってこの領域でのスラグファーの形成が達成される。
【0091】
反応炉のさらなる一実施形態では、ライニング上部還元ゾーンがガス出口セクションの上方に配置され、ガス出口セクションが断面拡大部を作成することによってライニング上部還元ゾーンの下部に隣接することが意図される。ここで、断面の拡大は急激であると考えられる。
【0092】
好ましくは、ガス出口セクションの断面積は、上部還元ゾーンの断面積の少なくとも2倍増加する。
【0093】
この実施形態により床が円錐状に広がることが保証され、これによって床の表面積又は排出面積が増加する。床の表面又は排出面積は本質的に切頭円錐形状のための外面に対応している。
【0094】
一実施形態が、床の排出面積が上部還元ゾーンの断面積より少なくとも3倍大きくなるような断面拡大部を提供する。さらに、断面拡大部は、床の排出面積が上部還元ゾーンの断面積より少なくとも7倍、又はさらには少なくとも9倍大きくなるような大きさにすることができる。
【0095】
この又はさらなる一実施形態では、床の排出面積が上部酸化ゾーンの断面積の少なくとも5倍増加するようなガス出口セクションの断面拡大部を提供することもできる。さらに、断面拡大部は、床の排出面積が上部酸化ゾーンの断面積より少なくとも9倍大きくなるような大きさにすることができる。
【0096】
上記実施形態の利点は、ガス流速(ガス出口を通る)が床の排出面積の増加に比例して減少すること(既知の反応炉と比較して)であり、このため床からの粉塵の混入を最小まで減少させることができる。
【0097】
あるいは、直流セクションに配置されたライニング上部還元ゾーンの少なくとも一部がガス出口セクションに配置又は挿入されている反応炉を提供することができる。
【0098】
この実施形態は、上部還元ゾーンより大きな断面を有するガス出口セクションを提供することもできる。
【0099】
この実施形態で、上部還元ゾーンの一部を備えた直流セクションは、ガス出口セクション内へ導入又は部分的に挿入されている。例えば、上部還元ゾーンのライニング(例えばレンガライニング又はキャスタブルライニング)はガス出口セクション内へ突き出ている。ガス出口セクションは上部還元ゾーンより大きな断面積を有し、少なくとも1つのガス出口はガス出口セクションの縁部に位置するため、直流セクションで生成されたガスは、ガス出口に到達するためにガス出口セクション内へ延在するライニング(例えばレンガライニング又はキャスタブルライニング)を迂回せねばならず、これによってダスト分離部に入るダストが少なくなる。この実施形態により反応炉の全高を下げることが可能になり、同時に、少なくとも1つのガス出口を達成するためにガス及び同伴ダストは追加で上向きに流れねばならないため、ダストの分離を改善することができる。
【0100】
ガス出口セクション内へ延在する上部還元ゾーンのライニング(例えばレンガライニング又はキャスタブルライニング)が中空円筒形状として形成されることを提供することもできる。中空円筒形状は鋼製ホルダー構造として作製することができ、これは両側でライニングされ、水冷によって高熱及びしたがって機械的応力に対して保護されている。
【0101】
本発明のさらなる一実施形態では、上部酸化ゾーン容積のプレナムゾーン容積に対する容積比は、1:N容積単位の比であり、Nは4以上(≧)かつ20以下(≦)の数である。
【0102】
このように、上部酸化ゾーン容積は、すでに知られている反応炉と比較して何倍も大きく、これによってかなり高い能力を達成することができる。ここでさらに、5≦N≦15又はさらには6≦N≦11であると考えられる。
【0103】
反応炉の一実施形態において、上部酸化ゾーン容積の上部還元ゾーン容積及びプレナムゾーン容積の総容積に対する容積比は、1:N容積単位の比であり、Nは7以上(≧)かつ25以下(≦)の数である。
【0104】
さらなる一実施形態は、上部酸化ゾーン容積の上部還元ゾーン容積及びプレナムゾーン容積の総容積に対する容積比が、1:N容積単位の比であり、8≦N≦15又はさらには9≦N≦14であることを提供する。
【0105】
反応炉のこの実施形態は、架空の同じ高さの反応炉より大きな能力が達成されるという点で有利である。これが可能であるのは、酸化容積と比較したプレナムゾーン容積が既知の反応炉より小さな比を有するからである。
【0106】
反応炉のさらなる一実施形態は、向流セクション容積の反応炉の総容積に対する容積比が1:N容積単位の比であり、Nは1と10との間の数である(1≦N≦10)ことを提供する。ここでさらに、2≦N≦7又はさらには3≦N≦5も考えられる。
【0107】
ガス出口ゾーン及び向流セクションの断面拡大のため、円錐状下部還元ゾーンにおける排出円錐面積も拡大され、これによって床から流出するガス流速が小さくなり、巻き込まれるダストが少なくなる。
【0108】
反応炉の他の有利な一実施形態は、円錐状下部還元ゾーンの円錐角及び円錐状下部酸化ゾーンの円錐角が50°と70°との間にあることである。この実施形態により、円錐状下部酸化ゾーン及び円錐状下部還元ゾーンにおいて十分に高い温度で液体に保たれるスラグは、壁が水平から約50°~70°、好ましくは約60℃の角度で、又は鉛直から20°~40°の角度で走っているため、より良好に排出される。
【0109】
反応炉のさらなる一実施形態は、ガス供給手段が熱分解ゾーンにおける断面拡大領域に配置されることを提供する。この実施形態により、高温ガス(例えば予熱空気又は燃焼ガス)が排出コーンに供給されることが保証される。
【0110】
本発明の一実施形態において、上部酸化ゾーンの羽口がいくつかのレベル(高さ)に配置されることも提供される。これが特に有利であるのは、床の均一な加熱でガスのより良好な分配が達成されるからである。加えて、この実施形態により確実に、ライニング(例えばレンガライニング又はキャスタブルライニング)の局所的過熱が可能な限り回避される。
【0111】
反応炉の他の有利な一実施形態は、少なくとも1つの羽口が円錐状下部還元ゾーンのレベル(高さ)に配置されていることである。
【0112】
さらなる羽口は空気及び/又は酸素を規定の方法で追加的に供給し、そのためCOではなく、ほぼ完全にCOが生成される。さらに、この実施形態を通じてスループット(throughput)を増加させることができることを達成することができる。さらに、この実施形態により、ガスの品質を損なうことなく、スループットの増加及び1500℃を上回るガス出口でのガス出口温度の上昇が可能になる。
【0113】
化学エネルギーより熱エネルギーを好む用途では、少なくとも1つの追加の羽口が上部還元ゾーンに配置されることがさらに有利であり得る。この実施形態を通じて、化学エネルギー(CO、H)は、COをCOに、HをHOに酸化することによって熱エネルギーに戻すことを有利に達成することができる。
【0114】
さらなる一実施形態は、少なくとも1つの他の羽口が円錐状下部酸化ゾーンのさらなるレベル(高さ)に配置されることを提供する。次のレベルでの羽口は、好ましくはタッピングの上方に位置する。
【0115】
羽口をタッピングの上方に配置することによって、溶融物が液体から流れ落ちる領域で熱が生じるため、タッピングの領域で溶融を促進することができる。同時に、羽口をタッピングの上方に配置することにより確実に、タッピングの反対側で所望される凝固した溶融物(いわゆるスラグ凍結、これはライニング、例えばレンガライニングを保護する)が液化されず、したがって流れ落ちない。
【0116】
本発明の第3の態様によれば、1500℃と1750℃との間の温度を有するCO/CO比が≧15のガスを提供するための本発明の第2の態様による反応炉の使用が提供され、ガスは還元溶融のために冶金反応炉内へ導入される。ガスは好ましくは、1600℃と1750℃との間の温度を有する。さらに、還元溶融のためにガスを冶金反応炉内へ導入することができることが提供される。還元溶融のために冶金反応炉内へ導入されるガスのCO/COガス体積比は、10より大きく、又はさらには15より大きくすることができる。例えば、CO/COガス体積比は、10と1000との間、好ましくは15と10000との間、特に好ましくは15と10との間(本質的にCOがない)である。
【0117】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第2の態様による反応炉と、還元溶融のために反応炉に接続された冶金反応炉とを含むシステムが提供される。ここで、反応炉を上述のプロセスで運用し、そのため反応炉と還元溶融のための冶金反応炉との間の領域(接続セクション)におけるCO/COガス体積比が10より大きく、又はさらには15より大きくなることが考えられる。例えば、CO/COガス体積比は、10と1000との間、好ましくは15と10000との間、特に好ましくは15と10との間(本質的にCOがない)にある。
【0118】
還元溶融のための冶金反応炉は、鉱石から金属を還元することができる任意の反応炉又は高炉とすることができる。
【0119】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第2の態様による反応炉を用いて金属含有供給原料の製錬のためのプロセスのための高温ガスを提供することである。金属含有供給原料の製錬のためのプロセスは、African Rainbow Minerals社の名義の「Process for the smelting of a metalliferous feedstock material」という名称のオランダ優先権基礎特許出願番号2023109に記載されたプロセスとすることができる。
【0120】
本発明の第6の態様によれば、本発明の第1の態様による方法での本発明の第2の態様による反応炉の使用が提供される。
【0121】
添付の図面を参照して、さらなる利点、詳細及び発展が本発明の次の説明から生じる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
図1】本発明による反応炉の簡略断面図を示す。
図2】2つのライニングセクション及びさねはぎ接続を備えた本発明による反応炉の簡略断面図の切り抜きを示す。
図3】2つのライニングセクション間及びさねはぎ接続の領域に置くことができる円周状水冷コンソールの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0123】
これらの図における同じ番号の要素は、同一であるか、同じ機能を果たす。機能が同等であれば、先に議論した要素は、以降の図で必ずしも議論するとは限らない。
【0124】
次において、図1は、本発明による実質的に円筒形の反応炉100を説明する。反応炉の詳細の説明に関連して、供給原料の処理中に起こる方法ステップ及びガス出口での1500℃を上回るガス温度の生成も特定される。
【0125】
他の供給原料を用いることによって、反応炉及び/又は方法の変更が有用であり得る。一般に、例えば非有機供給原料のガス化/溶融中にエネルギー値の高い供給原料(例えば有機廃棄物、汚染廃木材、車のタイヤなど)を追加することによって、異なる供給原料(例えば低グレード石炭)を組み合わせることもできる。
【0126】
図1に示す反応炉100は、部分ライニング直流セクション110、耐火性ライニングガス出口セクション120及び耐火性ライニング向流セクション130の3つのセクションを有する。直流セクション110、ガス出口セクション120及び向流セクション130は、互いに実質的に同心に配置されている(実質的に反応炉の中心を通る垂直の一点鎖線によって表す)。図示のように、いくつかの円周状水冷コンソール400が直流セクション110及び向流セクション130に示されている。円周状水冷コンソール400は、さねはぎ接続の領域(図示せず)において一方が他方の上方に配置された少なくとも2つの耐火性ライニングセクション(図示せず)間に配置されている。直流セクションにおいて非ライニングプレナムゾーン111、耐火性ライニング上部酸化ゾーン116及び耐火性ライニング上部還元ゾーン118が配置されている。プレナムゾーン111は、スルース112を備えた供給ゾーンを含み、これによって廃棄物、水、自動車タイヤ、添加剤又は他の供給原料のような供給原料が供給ゾーンを介して上から反応炉内へ供給される。固体の原料の流れは、頂部から底部への破線矢印として示されている。供給原料の緩衝及び予備乾燥するため容量である下流緩衝ゾーンが熱分解ゾーン114の下方に配置され、これは緩衝ゾーンの底部に隣接し、これによって断面拡大部を作成する。熱分解ゾーン114において、供給原料から排出円錐を形成することができる(斜めの破線によって表す、114と119との間)。熱分解はしたがって床の表面上で起こることができる。熱分解ゾーンはまた、燃焼ガス又は任意の他の低酸素ガス(例えばN又はCO)で不活性にすることができ、したがってスルース112に移動する可燃性ガスが安全に燃焼する。熱分解ゾーン114の下方に最終乾燥及び完全熱分解のために装備されたライニング中間ゾーン115がある。耐火性ライニング上部酸化ゾーン116が耐火性ライニング中間ゾーン115に隣接し、上部酸化ゾーン116において羽口が図示のように複数の平面において円周状に配置されている。少なくとも1000℃の高温酸素及び/又は空気が羽口117を介して供給され、これにより温度が1800℃を上回って4000℃まで上昇してすべての物質が無機ガス、液体金属、コーク、炭素及び/又は鉱物スラグに変換される。ライニング上部酸化ゾーン116に隣接し、後続のライニングガス出口セクション120の実質的に上方に配置されている耐火性ライニング上部還元ゾーン118において、熱エネルギーの化学エネルギーへの吸熱変換が起こる。同時に、プレナムゾーンから上部耐火性ライニング還元ゾーン118へ頂部から底部へと生じさせられるガス直流(頂部から底部へ走る点線矢印によって表す)がここで生じさせられ、耐火性ライニングガス出口セクション120内へ導入される。
【0127】
図示のように、耐火性ライニングガス出口セクション120は耐火性ライニング上部還元ゾーン118に接続され、これによって断面拡大部を作成する。生成されたガスは、床に対してほぼクロスフローで、ガス出口セクション120において少なくとも1つのガス出口121を通って排出される(左から右へ走る点線矢印によって示す)。例えば、4又は5以上のガス出口121を円周(図示せず)の周りに放射状に分配して、直流セクション及び向流セクションで生成されたガスをクロスフローで放射状に転換できるようにすることを提供することができる。排出ガスは、10と1000との間、好ましくは15と10000との間、特に好ましくは15と10との間(本質的にCOがない)のCO/COガス体積比を有する。
【0128】
ガス出口セクションの下方に耐火性ライニング円錐状下部還元ゾーン138がある。耐火性ライニング円錐状下部還元ゾーン138においても熱エネルギーの化学エネルギーへの変換が起こる。
【0129】
ライニング円錐状下部還元ゾーンの下方に、図示のように、少なくとも1つの羽口137及びタッピング131が配置されているライニング円錐状下部酸化ゾーン136がある。羽口137は少なくとも1000℃の高温空気及び/又は酸素を導入して残りのコーク化原料を酸化し、溶融物の固化を防止する。金属溶融物及びスラグ溶融物の収集及び排出は、タッピング131で行われる。
【0130】
円錐状下部酸化ゾーン及び円錐状下部還元ゾーンで生じたガスはまた、床を通る固体の流れと逆流して(底部から頂部に走る点線矢印によって表す)耐火性ライニングガス出口セクション120へ流れ、少なくとも1つのガス出口121を介して排出される。
【0131】
本発明による反応炉は、例えば、次の内部容積を有することができる。
【0132】
【表1】
【0133】
図2は、2つのライニングセクション200、300及び円周状さねはぎ接続部を備えた本発明による反応炉の耐火性ライニング中間ゾーン115の簡略断面図の切り抜きを示す。ライニング中間ゾーン115のための一例として示すように、それぞれの他のライニング部分も円周状さねはぎ接続を備えた少なくとも2つのライニングセクション200、300を有することができ、反応炉のこのライニング部分は、一方が他方の上方に配置された少なくとも2つのライニングセクション200、300を有する。少なくとも2つのライニングセクション200、300のそれぞれは、少なくとも1つの内側耐火性ライナー202、302及び内側耐火性ライナーを囲む外側ライナー203、303を含む。内側耐火性ライナー202、302は、焼成レンガ製ライナー又はモノリシック(例えば鋳造)ライナーであると考えられる。さらに図2に示すように、一方が他方の上方に配置されたライニングセクション200、300間にさねはぎ接続が形成され、ライニングセクションの一方200は、反応炉内部に面する側に溝201を有し、他方のライニングセクション300は、反応炉内部に面する側に舌部301を有する。ここに示すように、上部ライニングセクション200が溝201を有し、下部ライニングセクション300が舌部301を有することを提供することができる。さらに、さねはぎ接続は、溝201と舌部301との間に(垂直)温度依存ギャップ開口400を有する。さらに示すように、一方が他方の上方に配置された少なくとも2つのライニングセクション200、300間に円周状水冷コンソール400が配置されている。
【0134】
反応炉の高加熱及び冷却中にレンガライニングを保持し、レンガライニングを安定させるための円周状水冷コンソール400が図3に斜視図で示されている。この円周状水冷コンソール400は、断面が正方形又は長方形の中空円筒状パイプを溶接継ぎ目なしで曲げることによって製造され、黒色鋼で作製される。図示のように接続フランジ401によって冷却水を水冷コンソール400に供給し、ここから排出することができる。
図1
図2
図3