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特許7161081ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ2阻害剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ2阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20221018BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20221018BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20221018BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61K31/506
A61P3/00
A61P3/06
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2022520162
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(86)【国際出願番号】 IB2020059145
(87)【国際公開番号】W WO2021064590
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】62/911,094
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/074,123
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】デヴィッド ジェイムズ エドモンズ
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン ジェイムズ フィリップスキ
(72)【発明者】
【氏名】二木建太郎
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル レニー ガーンジィ
(72)【発明者】
【氏名】ジャック チャン フン リー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ジョナサン スマルツ
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-524831(JP,A)
【文献】特表2017-507979(JP,A)
【文献】特表2012-524743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】
[式中、
は、Hまたはフルオロであり、
、R、RおよびRはそれぞれ独立に、H、および(C~C)フルオロアルキルから選択され、
、R、R、およびRはそれぞれ独立に、H、フルオロ、および(C~C)フルオロアルキルから選択され、
ここで、R、R、R、R、R、R、R、およびRのうちの1または2個は、H以外である]
または薬学的に許容できるその塩。
【請求項2】
、R、RおよびRがそれぞれ独立に、Hおよび(C)フルオロアルキルから選択され、R、R、R、およびRがそれぞれ独立に、H、(C)フルオロアルキル、およびフルオロから選択され、ここで、R、R、R、R、R、R、R、およびRのうちの1または2個が、H以外である、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
【請求項3】
、R、R、R、R、およびRが、Hであり、RおよびRが独立に、H、(C)フルオロアルキルおよびフルオロから選択され、R、およびRの少なくとも1個が、(C)フルオロアルキルまたはフルオロである、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
【請求項4】
、R、R、R、R、およびRが、Hであり、RおよびRがそれぞれ独立に、H、(C)フルオロアルキルおよびフルオロから選択され、ここで、RおよびRの少なくとも1個が、(C)フルオロアルキルまたはフルオロである、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
【請求項5】
、R、R、R、R、およびRが、Hであり、RおよびRがそれぞれ独立に、H、(C)フルオロアルキルおよびフルオロから選択され、ここで、RおよびRの少なくとも1個が、(C)フルオロアルキルまたはフルオロである、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
【請求項6】
、R、R、R、R、RおよびRが、Hであり、Rが、(C)フルオロアルキルまたはフルオロである、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
【請求項7】
、R、R、R、R、RおよびRが、Hであり、Rが、フルオロである、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
【請求項8】
2-(5-((3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド;
2-(5-((3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド;
2-(5-((3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド;
2-(5-((3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド;
2-(5-((3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド;および
2-(5-((3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド
からなる群から選択される化合物、
または薬学的に許容できるその塩。
【請求項9】
化合物
【化2】
または薬学的に許容できるその塩。
【請求項10】
化合物2-(5-((3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド。
【請求項11】
化合物2-(5-((3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミドヒドロクロリド。
【請求項12】
化合物2-(5-((3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミドトシレート。
【請求項13】
化合物2-(5-((3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-(5-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド。
【請求項14】
脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肝線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変を伴う非アルコール性脂肪性肝炎または肝硬変および肝細胞癌を伴う非アルコール性脂肪性肝炎を処置するための、請求項9に記載の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物
【請求項15】
非アルコール性脂肪性肝炎が処置される、請求項14に記載の医薬組成物
【請求項16】
非アルコール性脂肪肝疾患が処置される、請求項14に記載の医薬組成物
【請求項17】
肝線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎が処置される、請求項14に記載の医薬組成物
【請求項18】
高トリグリセリド血症、アテローム硬化症、心筋梗塞、脂質異常症、冠動脈性心疾患、高アポBリポタンパク質血症、虚血性脳卒中、2型真性糖尿病、2型真性糖尿病を有する患者における血糖コントロール、耐糖能障害(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、代謝症候群、X症候群、高血糖症、インスリン過剰血症、インスリン抵抗性、グルコース代謝異常を処置するための、請求項に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩を含む医薬組成物
【請求項19】
高トリグリセリド血症が処置される、請求項18に記載の医薬組成物
【請求項20】
治療有効量の、請求項に記載の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体、ビヒクルまたは賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項21】
請求項の化合物である第1の化合物、または前記化合物の薬学的に許容できる塩、
抗糖尿病剤、非アルコール性脂肪性肝炎処置剤、非アルコール性脂肪肝疾患処置剤、コレステロールもしくは脂質低下剤、または抗心不全処置剤である第2の化合物、および
医薬担体、ビヒクルまたは賦形剤
を含む治療有効量の組成物を含む医薬組合せ組成物。
【請求項22】
前記非アルコール性脂肪性肝炎処置剤または非アルコール性脂肪肝疾患処置剤が、ACC阻害剤、KHK阻害剤、BCKDK阻害剤、FXRアゴニスト、メトホルミン、インクレチン類似体、またはGLP-1受容体アゴニストである、請求項21に記載の医薬組合せ組成物。
【請求項23】
前記非アルコール性脂肪性肝炎処置剤または非アルコール性脂肪肝疾患処置剤が、4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸;[(1R,5S,6R)-3-{2-[(2S)-2-メチルアゼチジン-1-イル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル}-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ-6-イル]酢酸;2-[(1R,3R,5S)-3-({5-シクロプロピル-3-[2-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル]-4-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-6-カルボン酸;2-((4-((S)-2-(5-クロロピリジン-2-イル)-2-メチルベンゾ[d][1,3]ジオキソール-4-イル)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;もしくは2-[(4-{6-[(4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピリジン-2-イル}ピペリジン-1-イル)メチル]-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸または薬学的に許容できるその塩である、請求項21に記載の医薬組合せ組成物。
【請求項24】
前記抗糖尿病剤が、SGLT-2阻害剤、BCKDK阻害剤、メトホルミン、インクレチン類似体、インクレチン受容体モジュレーター、DPP-4阻害剤、またはPPARアゴニストである、請求項21に記載の医薬組合せ組成物。
【請求項25】
前記抗糖尿病剤が、メトホルミン、シタグリプチン、エルツグリフロジン、2-[(4-{6-[(4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピリジン-2-イル}ピペリジン-1-イル)メチル]-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸または2-((4-((S)-2-(5-クロロピリジン-2-イル)-2-メチルベンゾ[d][1,3]ジオキソール-4-イル)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸である、請求項24に記載の医薬組合せ組成物。
【請求項26】
前記抗心不全剤またはコレステロールもしくは脂質低下剤が、ACE阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、BCKDK阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬-ネプリライシン阻害剤、ベータアドレナリン作動性受容体遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、フィブラート、HMG CoAレダクターゼ阻害剤または血管拡張剤である、請求項21に記載の医薬組合せ組成物。
【請求項27】
構造:
【化3】
を有する化合物または薬学的に許容できるその塩を含む結晶。
【請求項28】
前記化合物のp-トルエンスルホン酸塩を含む、請求項27に記載の結晶。
【請求項29】
(CuKα放射線、1.54056Åの波長)7.2±0.2、14.5±0.2、15.8±0.2、および27.7±0.2の2シータ値を含む粉末X線回折パターンを有する、請求項27に記載の結晶。
【請求項30】
(CuKα放射線、1.54056Åの波長)3.8±0.2、7.7±0.2、8.8±0.2、22.4±0.2、および24.6±0.2の2シータ値を含む粉末X線回折パターンを有する、請求項28に記載の結晶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新たな医薬化合物、該化合物を含有する医薬組成物、およびジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ2(DGAT2)の活性を阻害するための、該化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)は、トリアシルグリセリド(TAG)合成において最終ステップを、特に、ジアシルグリセロールでの脂肪酸のエステル化を触媒して、TAGの形成をもたらす。哺乳動物では、2種のDGAT酵素(DGAT1およびDGAT2)が特徴付けられている。これらの酵素は、同じ酵素反応を触媒するが、それらのそれぞれのアミノ酸配列は関連がなく、それらは別個の遺伝子ファミリーを占めている。DGAT2は肝臓および脂肪において高度に発現され、DGAT1とは異なり、ジアシルグリセリド(DAG)について精妙な基質特異性を呈する。げっ歯類におけるDGAT2遺伝子の欠失は、子宮内成長不全、重篤な脂肪血症、皮膚バリア機能異常、および早期出生後死亡をもたらす。DGAT2の抑制が、ステロール調節エレメント結合タンパク質1c(SREBP1c)およびステアロイルCoA-デサチュラーゼ1(SCD1)を含む、脂質生成に関係するタンパク質をコードする複数の遺伝子の発現の下方調節をもたらすことは明らかである。平行して、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1(CPT1)等の遺伝子の発現の増大により証拠付けられる通り、酸化経路が誘導される。これらの変化の正味の結果は、肝DAGおよびTAG脂質のレベルを低下させることであり、このことが次に、肝臓におけるインスリン応答性の改善につながる。さらに、DGAT2阻害は、肝VLDL TAG分泌を抑制し、循環コレステロールレベルの低下をもたらす。最終的に、おそらく新たに合成されるAPOBタンパク質の脂質付加のためのTAGの供給が減少することにより、血漿中アポリポタンパク質B(APOB)レベルが抑制される。血糖コントロールおよび血漿中コレステロールプロファイルの両方に対するDGAT2阻害の有益効果は、この標的が代謝性疾患の処置において有用であることを示唆している(Choi,C.S.ら、2007.J Biol Chem 282:22678~22688)。
【0003】
加えて、DGAT2活性の抑制が肝脂肪蓄積量の減少をもたらすという観察は、この酵素の阻害剤が、肝臓における過剰な脂肪の沈着により特徴付けられるかなり蔓延している肝疾患である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の処置に有用性を有し得るであろうことを示唆している。
【0004】
近年では、DGAT2のいくつかの低分子阻害剤が文献および特許出願(WO2013150416、WO2013137628、US20150259323、WO2015077299、WO2016036633、WO2016036638、WO2016036636)において報告されている。最近では、本発明の譲受人に譲渡されたPCT出願PCT/IB2017/054862が、WO2018/033832として2018年2月22日に公開され、DGAT2の低分子阻害剤を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それにもかかわらず、DGAT2阻害活性を有し、本明細書において記述される病気の処置、予防または兆候の削減において有用な医薬作用物質が依然として必要である。さらに、溶解度、クリアランスおよび半減期等の薬物動態特性が改善されたDGAT2阻害剤も依然として必要である。ヒトにおけるより長い半減期は、低いクリアランスおよび/または分布容積の増加から生じ得る。
【0006】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願は式(I)の化合物
【0008】
【化1】
[式中、
は、Hまたはフルオロであり、
、R、RおよびRはそれぞれ独立に、H、(C~C)アルキル、(C~C)フルオロアルキル、(C~C)ヒドロキシアルキル、および-(C~C)アルキル-(C~C)アルコキシから選択され、
、R、R、およびRはそれぞれ独立に、H、フルオロ、ヒドロキシル、(C~C)アルキル、(C~C)フルオロアルキル、(C~C)ヒドロキシアルキル、(C~C)アルコキシ、(C~C)フルオロアルコキシ、および-(C~C)アルキル-(C~C)アルコキシから選択され、
ここで、R、R、R、R、R、R、R、およびRのうちの0、1または2個は、H以外である]
または薬学的に許容できるその塩を対象とする。
【0009】
本発明は、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肝線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変を伴う非アルコール性脂肪性肝炎または肝硬変および肝細胞癌を伴う非アルコール性脂肪性肝炎を処置する方法であって、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を投与するステップを含む方法も対象とする。
【0010】
本発明は、心不全、うっ血性心不全、冠状動脈性心疾患、末梢血管疾患、腎血管疾患、肺高血圧症、血管炎、急性冠症候群を処置し、心血管リスクを修正する方法であって、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を投与するステップを含む方法も対象とする。
【0011】
本発明は、I型糖尿病、II型真性糖尿病、特発性I型糖尿病(Ib型)、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、早期発症型2型糖尿病(EOD)、若年発症型非定型糖尿病(YOAD)、若年発生成人型糖尿病(MODY)、栄養不良関連糖尿病、妊娠性糖尿病、冠状動脈性心疾患、虚血性脳卒中、血管形成術後の再狭窄、末梢血管疾患、間欠性跛行、心筋梗塞、脂質異常症、食後脂肪血症、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、代謝性アシドーシス、ケトン症、関節炎、糖尿病性網膜症、黄斑変性、白内障、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、慢性腎不全、糖尿病性神経障害、代謝症候群、症候群X、高血糖症、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、グルコース代謝異常、皮膚および結合組織障害、足潰瘍および潰瘍性結腸炎、内皮機能不全および血管コンプライアンス異常、高アポBリポタンパク質血症、ならびにメープルシロップ尿症を処置する方法であって、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を投与するステップを含む方法も対象とする。
【0012】
本発明は、肝細胞癌、腎臓腎明細胞癌、頭頸部扁平上皮細胞癌、結腸直腸腺癌、中皮腫、胃腺癌、副腎皮質癌、乳頭状腎細胞癌、頸部および子宮頚管内の癌(cervical and endocervical carcinoma)、膀胱尿路上皮癌、または肺腺癌を処置する方法であって、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を投与するステップを含む方法も対象とする。
【0013】
本発明は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)活性スコア(NAS)の重症度をベースラインから少なくとも1または2ポイント低下させるための方法であって、ヒトにおいてベースラインNASを測定するステップと、前記ヒトに、有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を投与するステップと、前記ヒトのNASを測定するステップとを含む方法も対象とする。
【0014】
本発明は、治療有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体、ビヒクルまたは賦形剤とを有する医薬組成物も対象とする。
【0015】
本発明は、
式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩である第1の化合物、
抗糖尿病剤、非アルコール性脂肪性肝炎処置剤、非アルコール性脂肪肝疾患処置剤または抗心不全処置剤である第2の化合物、および
医薬担体、ビヒクルまたは賦形剤
を有する治療有効量の組成物を含む医薬組合せ組成物も対象とする。
【0016】
先述の概要および下記の詳細な記述はいずれも、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される通りの本発明の制限ではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例4、形態1を示す特徴的なX線粉末回折パターンの図である(縦軸:強度(CPS);横軸:2シータ(度))。
図2】実施例4、塩酸塩の形態1を示す特徴的なX線粉末回折パターンの図である(縦軸:強度(CPS);横軸:2シータ(度))。
図3】実施例4、p-トルエンスルホン酸塩、無水形態1を示す特徴的なX線粉末回折パターンの図である(縦軸:強度(CPS);横軸:2シータ(度))。
図4】ウエスタン食を給餌されたSprague-Dawleyラットにおける血漿中トリグリセリドに対する、実施例4の複数用量の効果がプロットされているグラフである(縦軸:血漿中トリグリセリド(mg/dL)、横軸:ウエスタン食BID投薬量(mg/kg))。
図5】ウエスタン食を給餌されたSprague-Dawleyラットにおける肝中トリグリセリドに対する、実施例4の複数用量の効果がプロットされているグラフである(縦軸:血漿中トリグリセリド(mg/dL)、横軸:ウエスタン食BID投薬量(mg/kg))。
図6】調製例P1、形態1を示す特徴的なX線粉末回折パターンの図である(縦軸:強度(CPS);横軸:2シータ(度))。
図7】調製例P1、形態2を示す特徴的なX線粉末回折パターンの図である(縦軸:強度(CPS);横軸:2シータ(度))。
図8】調製例P1、形態3を示す特徴的なX線粉末回折パターンの図である(縦軸:強度(CPS);横軸:2シータ(度))。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、本発明の例示的な実施形態の下記の詳細な記述およびその中に含まれる例を参照することにより、より容易に理解され得る。
【0019】
本発明は、作製のための具体的な合成方法に限定されず、それらは当然変動し得ることを理解されたい。本明細書において使用される術語は、特定の実施形態を記述することのみを目的とし、限定的であることを意図したものではないことも理解されたい。本明細書においておよびこの後の請求項において、若干数の用語を参照することになり、これらは下記の意味を有すると定義されるものとする。
【0020】
本明細書において使用される場合、「a」または「an」は、1つまたは複数を意味し得る。請求項において使用される場合、語「を含む」と併せて使用される際は、語「a」または「an」は、1つまたは1つ超を意味し得る。本明細書において使用される場合、「別の」は、少なくとも第2またはそれ以上を意味し得る。
【0021】
用語「約」は、公称値のプラスまたはマイナス10%の近似を示す相対的な用語を指し、一実施形態では、プラスまたはマイナス5%、別の実施形態では、プラスまたはマイナス2%を指す。本開示の分野では、このレベルの近似は、該値がより狭い範囲を必要とするように具体的に述べられているのでない限り、適切である。
【0022】
「化合物」は、本明細書において使用される場合、配座異性体(例えば、シスおよびトランス異性体)およびすべての光学異性体(例えば、鏡像異性体およびジアステレオマー)、そのような異性体のラセミ、ジアステレオマーおよび他の混合物、ならびに溶媒和物、水和物、同形体、多形体、互変異性体、エステル、塩形態およびプロドラッグを含む、任意の薬学的に許容できる誘導体もしくは変化物を含む。表現「プロドラッグ」は、投与後に何らかの化学的または生理的プロセスを介してインビボで薬物を放出する薬物前駆体である化合物を指す(例えば、プロドラッグが生理的pHにされてまたは酵素作用を介して所望の薬物形態に変換される)。
【0023】
用語「アルキル」は、単独でまたは組み合わせて、直鎖状または分枝鎖状であってよい、式CnH2n+1の非環式飽和炭化水素基を意味する。そのような基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチルおよびt-ブチルを含むがこれらに限定されない。アルキルおよび種々の他の炭化水素含有部分からなる炭素原子は、該部分における炭素原子の下限および上限の数字を指定する接頭辞によって指し示される、すなわち、接頭辞Ci~Cjは、境界も含めて整数「i」から整数「j」炭素原子の部分を指し示す。故に、例えば、C~Cアルキルは、境界も含めて1から3個の炭素原子のアルキルを指す。
【0024】
「フルオロアルキル」は、1、2または3個のフルオロ原子で置換されている、本明細書で定義されている通りのアルキルを意味する。例示的な(C)フルオロアルキル化合物は、フルオロメチル、ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルを含み;例示的な(C)フルオロアルキル化合物は、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、1,1-ジフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロエチル、1,1,2-トリフルオロエチル等を含む。
【0025】
「ヒドロキシアルキル」は、1個の原子で置換されている、本明細書で定義されている通りのアルキルを意味する。例示的なヒドロキシアルキル化合物は、ヒドロキシメチル、1-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシエチル等を含む。
【0026】
「アルコキシ」では、オキシを介して結合している直鎖状飽和アルキルまたは分枝鎖状飽和アルキルが意味されている。そのようなアルコキシ基の例示は(指定の長さが特定の例を包含すると仮定して)、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、第三級ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、第三級ペントキシ、ヘキソキシ、イソヘキソキシ、ヘプトキシおよびオクトキシである。
【0027】
「フルオロアルコキシ」では、1個、2個または3個のフルオロ原子で置換されている本明細書で定義されている通りのアルコキシが意味されている。例示的な(C)フルオロアルコキシ化合物は、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシおよびトリフルオロメトキシを含み;例示的な(C)フルオロアルキル化合物は、1-フルオロエトキシ、2-フルオロエトキシ、1,1-ジフルオロエトキシ、1,2-ジフルオロエトキシ、1,1,1-トリフルオロエトキシ、1,1,2-トリフルオロエトキシ等を含む。
【0028】
「患者」は、例えば、モルモット、マウス、ラット、スナネズミ、ネコ、ウサギ、イヌ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、サル、チンパンジー、およびヒト等の温血動物を指す。
【0029】
用語「薬学的に許容できる」は、患者への投与に好適である、物質(例えば、本発明の化合物)およびその任意の塩、または本発明の物質もしくは塩を含有する組成物を意味する。
【0030】
本明細書において使用される場合、表現「反応不活性溶媒」および「不活性溶媒」は、所望生成物の収量に悪影響を及ぼす方式で、出発材料、試薬、中間体または生成物と相互作用しない、溶媒またはその混合物を指す。
【0031】
本明細書において使用される場合、用語「選択性」または「選択的」は、第1のアッセイにおける化合物の効果が、第2のアッセイにおける同じ化合物の効果と比較して大きいことを指す。例えば、「腸選択的」化合物では、第1のアッセイは、小腸における化合物の半減期についてであり、第2のアッセイは、肝臓における化合物の半減期についてである。
【0032】
「治療有効量」は、(i)特定の疾患、状態もしくは障害を処置するもしくは予防する、(ii)特定の疾患、状態もしくは障害の1つもしくは複数の症状を減衰させる、向上させるもしくは排除する、または(iii)本明細書において記述される特定の疾患、状態もしくは障害の1つもしくは複数の症状の発症を予防するもしくは遅延させる、本発明の化合物の量を意味する。
【0033】
本明細書において使用される場合の用語「処置すること」、「処置する」または「処置」は、予防的、すなわち、緩和的、および防護的処置の両方を包含する、すなわち、患者の疾患(もしくは状態)または疾患に関連する何らかの組織損傷を軽減する、それを緩和する、またはその進行を減速させる。
【0034】
本出願はさらに、式(II)の化合物
【0035】
【化2】
[式中、
は、Hまたはフルオロであり、
、R、RおよびRはそれぞれ独立に、H、(C~C)アルキル、(C~C)フルオロアルキル、(C~C)ヒドロキシアルキル、および-(C~C)アルキル-(C~C)アルコキシから選択され、
、R、R、およびRはそれぞれ独立に、H、フルオロ、ヒドロキシル、(C~C)アルキル、(C~C)フルオロアルキル、(C~C)ヒドロキシアルキル、(C~C)アルコキシ、(C~C)フルオロアルコキシ、および-(C~C)アルキル-(C~C)アルコキシから選択され、
10、R11、R12、R13およびR14はそれぞれ独立に、Hおよびジュウテリウムから選択され、
ここで、R、R、R、R、R、R、R、およびRのうちの0、1または2個は、H以外である]
または薬学的に許容できるその塩を対象とする。
【0036】
本発明の一実施形態は、式(I)もしくは(II)の化合物[式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に、Hおよび(C)フルオロアルキルから選択され、R、R、R、およびRはそれぞれ独立に、H、(C)フルオロアルキル、およびフルオロから選択され、ここで、R、R、R、R、R、R、R、およびRの0、1または2個はH以外である]、または薬学的に許容できるその塩を含む。
【0037】
本発明の別の実施形態は、式(I)もしくは(II)の化合物[式中、R、R、R、R、R、およびRは、Hであり、RおよびRは独立に、H、(C)フルオロアルキルおよびフルオロから選択され、ここで、R、およびRの少なくとも1個は、(C)フルオロアルキルまたはフルオロである]、または薬学的に許容できるその塩を含む。
【0038】
本発明の別の実施形態は、式(I)もしくは(II)の化合物[式中、R、R、R、R、R、およびRは、Hであり、RおよびRはそれぞれ独立に、H、(C)フルオロアルキルおよびフルオロから選択され、ここで、RおよびRの少なくとも1個は、(C)フルオロアルキルまたはフルオロである]、または薬学的に許容できるその塩を含む。
【0039】
本発明の別の実施形態は、式(I)もしくは(II)の化合物[式中、R、R、R、R、R、およびRは、Hであり、RおよびRはそれぞれ独立に、H、(C)フルオロアルキルおよびフルオロから選択され、ここで、RおよびRの少なくとも1個は、(C)フルオロアルキルまたはフルオロである]、または薬学的に許容できるその塩を含む。
【0040】
本発明の別の実施形態は、式(I)もしくは(II)の化合物[式中、R、R、R、R、R、RおよびRは、Hであり、Rは、(C)フルオロアルキルまたはフルオロである]、または薬学的に許容できるその塩を含む。
【0041】
本発明の別の実施形態は、式(I)もしくは(II)の化合物[式中、R、R、R、R、R、RおよびRは、Hであり、Rは、フルオロである]または薬学的に許容できるその塩を含む。
【0042】
本発明の別の実施形態は、
2-(5-((3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド;
2-(5-((3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド;
2-(5-((3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド;
2-(5-((3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド;
2-(5-((3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド;および
2-(5-((3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド
から選択される化合物、
または薬学的に許容できるその塩を含む。
【0043】
別の実施形態は、構造:
【0044】
【化3】
を有する化合物または薬学的に許容できるその塩、ならびに前記化合物または薬学的に許容できるその塩を含む結晶を含む。
【0045】
別の実施形態では、化合物は、2-(5-((3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-(5-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミドである。
【0046】
各実施例または薬学的に許容できるその塩は、個別に、または本明細書において記述される任意の数のいずれもすべての実施形態との任意の組合せで一緒にグループ化されて、特許請求され得る。
【0047】
本発明の別の実施形態は、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量を投与することを含む、医薬として使用するための、特に、前記医薬が、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肝線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変を伴う非アルコール性脂肪性肝炎または肝硬変および肝細胞癌を伴う非アルコール性脂肪性肝炎を処置する際に使用するためのものである、式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩の使用を含む。
【0048】
本発明の別の実施形態は、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量を投与することを含む、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肝線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変を伴う非アルコール性脂肪性肝炎または肝硬変および肝細胞癌を伴う非アルコール性脂肪性肝炎を処置する際の医薬の製造のための、式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩の使用を含む。
【0049】
本発明の別の実施形態は、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量の式(I)もしくは(II)式Iの化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を投与することを含む、医薬として使用するための、特に、前記医薬が、心不全、うっ血性心不全、冠状動脈性心疾患、末梢血管疾患、腎血管疾患、肺高血圧症、血管炎、急性冠症候群を処置し、心血管リスクを修正する際の医薬として使用するためのものである、式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩の使用を含む。
【0050】
本発明の別の実施形態は、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を投与することを含む、心不全、うっ血性心不全、冠状動脈性心疾患、末梢血管疾患、腎血管疾患、肺高血圧症、血管炎、急性冠症候群を処置し、心血管リスクを修正する際の医薬の製造のための、式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩の使用を含む。
【0051】
本発明の別の実施形態は、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を投与することを含む、医薬として使用するための、特に、前記医薬が、I型糖尿病、II型真性糖尿病、特発性I型糖尿病(Ib型)、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、早期発症型2型糖尿病(EOD)、若年発症型非定型糖尿病(YOAD)、若年発生成人型糖尿病(MODY)、栄養不良関連糖尿病、妊娠性糖尿病、冠状動脈性心疾患、虚血性脳卒中、血管形成術後の再狭窄、末梢血管疾患、間欠性跛行、心筋梗塞、脂質異常症、食後脂肪血症、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、代謝性アシドーシス、ケトン症、関節炎、糖尿病性網膜症、黄斑変性、白内障、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、慢性腎不全、糖尿病性神経障害、代謝症候群、症候群X、高血糖症、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、グルコース代謝異常、皮膚および結合組織障害、足潰瘍および潰瘍性結腸炎、内皮機能不全および血管コンプライアンス異常、高アポBリポタンパク質血症、ならびにメープルシロップ尿症を処置する際の医薬として使用するためのものである、式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩の使用を含む。
【0052】
本発明の別の実施形態は、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を投与することを含む、I型糖尿病、II型真性糖尿病、特発性I型糖尿病(Ib型)、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、早期発症型2型糖尿病(EOD)、若年発症型非定型糖尿病(YOAD)、若年発生成人型糖尿病(MODY)、栄養不良関連糖尿病、妊娠性糖尿病、冠状動脈性心疾患、虚血性脳卒中、血管形成術後の再狭窄、末梢血管疾患、間欠性跛行、心筋梗塞、脂質異常症、食後脂肪血症、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、代謝性アシドーシス、ケトン症、関節炎、糖尿病性網膜症、黄斑変性、白内障、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、慢性腎不全、糖尿病性神経障害、代謝症候群、症候群X、高血糖症、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、グルコース代謝異常、皮膚および結合組織障害、足潰瘍および潰瘍性結腸炎、内皮機能不全および血管コンプライアンス異常、高アポBリポタンパク質血症、ならびにメープルシロップ尿症を処置する際の医薬の製造のための、式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩の使用を含む。
【0053】
本発明の別の実施形態は、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を投与することを含む、医薬として使用するための、特に、前記医薬が、肝細胞癌、腎臓腎明細胞癌、頭頸部扁平上皮細胞癌、結腸直腸腺癌、中皮腫、胃腺癌、副腎皮質癌、乳頭状腎細胞癌、頸部および子宮頚管内の癌(cervical and endocervical carcinoma)、膀胱尿路上皮癌、または肺腺癌を処置する際の医薬として使用するためのものである、式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩の使用を含む。
【0054】
本発明の別の実施形態は、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を投与することを含む、肝細胞癌、腎臓腎明細胞癌、頭頸部扁平上皮細胞癌、結腸直腸腺癌、中皮腫、胃腺癌、副腎皮質癌、乳頭状腎細胞癌、頸部および子宮頚管内の癌、膀胱尿路上皮癌、または肺腺癌を処置する際の医薬の製造のための、式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を含む組成物の使用を含む。
【0055】
本発明の化合物は、不斉またはキラル中心を含有することがあり、したがって、様々な立体異性体型で存在し得る。別段の定めがない限り、本発明の化合物のすべての立体異性体型、さらにラセミ混合物を含むその混合物は、本発明の一部を形成することが意図されている。加えて、本発明は、すべての幾何および位置異性体を包含する。例えば、本発明の化合物に二重結合または縮合環が導入されている場合、シスおよびトランス形の両方、さらに混合物が、本発明の範囲内に包含される。
【0056】
クロマトグラフィー、典型的には高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)または超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を使用して樹脂上で、不斉固定相と、イソプロパノール0から50%、典型的には2から20%およびアルキルアミン0から5%、典型的にはジエチルアミン(DEA)またはイソプロピルアミン0.1%を含有する炭化水素、典型的にはヘプタンまたはヘキサンからなる移動相とを用いることで、本発明のキラル化合物(およびそのキラル前駆体)を、鏡像異性的まで濃縮された形で得ることができる。溶離液を濃縮することで、濃縮された混合物が得られる。SFCを使用する場合には、移動相は、メタノール、エタノールまたはイソプロパノール等のアルコール2から50%を含有する超臨界流体、典型的には二酸化炭素からなってよい。
【0057】
ジアステレオ異性体混合物を、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶化等の当業者に周知の方法により、それらの物理化学的相違を基に、それらの個々のジアステレオ異性体に分離することができる。好適な光学活性な化合物(例えば、キラルアルコールまたは塩化モッシャー酸等のキラル補助剤)と反応させることにより、鏡像異性体混合物をジアステレオ異性体混合物に変換し、ジアステレオ異性体を分離し、個々のジアステレオ異性体を対応する純粋な鏡像異性体に変換する(例えば加水分解する)ことにより、鏡像異性体を分離することができる。鏡像異性体はまた、キラルHPLCカラムの使用により分離することができる。別段では、光学的に活性な出発材料を使用することにより、光学的に活性な試薬、基質、触媒、もしくは溶媒を使用する不斉合成により、または不斉変換により、ある種の立体異性体を他のものに変換することにより、特定の立体異性体を合成することができる。
【0058】
本発明の化合物が2個以上の不斉中心を持ち、かつ絶対または相対立体化学が名称において示されている場合、記号RおよびSはそれぞれ、各分子についての従来のIUPACナンバースキームに従った昇順数値(1、2、3等)で各不斉中心を指す。本発明の化合物が1個または複数の不斉中心を有し、立体化学が名称または構造式において示されていない場合、その名称または構造は、ラセミ体を含む化合物のすべての形態を包含することが意図されていることは理解される。
【0059】
本発明の化合物は、オレフィン様二重結合を含有し得る。そのような結合が存在する場合、本発明の化合物は、シスおよびトランス立体配置として、ならびにそれらの混合物として存在する。用語「シス」は、互いに対する、かつ環の平面に対する2個の置換基の配向を指す(両方とも「上」か、または両方とも「下」かのいずれか)。同様に、用語「トランス」は、互いに対する、かつ環の平面に対する2個の置換基の配向を指す(それらの置換基が、環の反対側にある)。
【0060】
本発明の中間体および化合物は、異なる互変異性型で存在することも可能であり、そのような形態のすべてが、本発明の範囲内に包含される。用語「互変異性体」または「互変異性型」は、低エネルギー障壁を介して相互変換可能である異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピック互変異性体としても公知)は、ケト-エノールおよびイミン-エナミン異性化等のプロトンの移動を介しての相互変換を含む。
【0061】
原子価互変異性体は、いくつかの結合電子の再配列による相互変換を包含する。
【0062】
1つよりも多い種類の異性を示す化合物およびその1つまたは複数の混合物を含む、式(I)または(II)の化合物のすべての立体異性体、幾何異性体、および互変異性型が、本発明の特許請求される化合物の範囲内に含まれる。対イオンが光学的に活性である酸付加塩または塩基塩、例えば、D-乳酸塩もしくはL-リシン、またはラセミ体、例えばDL-酒石酸塩もしくはDL-アルギニンも含まれる。
【0063】
本発明は、1個または複数の原子が、同じ原子数であるが自然界において通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置きかえられている、式(I)または(II)のすべての薬学的に許容できる同位体標識化合物を含む。
【0064】
本発明の化合物への包含に好適な同位体の例は、HおよびH等の水素、11C、13Cおよび14C等の炭素、36Cl等の塩素、18F等のフッ素、123I、124Iおよび125I等のヨウ素、13Nおよび15N等の窒素、15O、17Oおよび18O等の酸素、32P等のリン、ならびに35S等の硫黄の同位体を含む。
【0065】
式(I)または(II)のある特定の同位体標識化合物、例えば、放射性同位体を組み込んだものは、薬物および/または基質組織分布研究において有用である。放射性同位体トリチウム、すなわちH、および炭素-14、すなわち14Cは、それらの組み込みの容易性および即時の検出手段を考慮すると、この目的のために特に有用である。
【0066】
重水素、すなわちH等のより重い同位体による置換は、より優れた代謝安定性から生じるある特定の治療上の利点、例えば、インビボ半減期の増大または必要投薬量の低減をもたらし得、故にいくつかの状況において好ましい場合がある。
【0067】
11C、18F、15Oおよび13N等の陽電子放出同位体による置換は、基質受容体占有率を検査するための陽電子放出断層撮影(PET)研究において有用となり得る。
【0068】
式(I)または(II)の同位体標識化合物は、概して、当業者に公知である従来の技術によって、または添付の実施例および調製において記述されているものに類似のプロセスによって、先に用いた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して調製することができる。
【0069】
本発明の化合物は、そのまま、または可能な場合には、薬学的に許容できるその塩の形態で、単離し、使用することができる。用語「塩」は、本発明の化合物の無機および有機の塩を指す。化合物を最終的に単離および精製している間に、または化合物を好適な有機もしくは無機の酸もしくは塩基で別に処理し、かつそうして形成された塩を単離することによって、これらの塩をその場で調製することができる。
【0070】
用語「薬学的に許容できる塩」に包含される塩は、概して、遊離塩基を、好適な有機または無機酸と反応させて、患者に投与するために好適である本発明の化合物の塩を提供することによって調製される、本発明の化合物を指す。好適な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。例は、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、硫酸水素塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2-ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ピログルタミン酸塩、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびキシノホ酸(xinofoate)塩を含む。例えば、Bergeら、J.Pharm.Sci.66、1~19(1977);StahlおよびWermuthによるHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties, Selection, and Use(Wiley-VCH、2002)を参照されたい。
【0071】
式(I)または(II)の化合物および薬学的に許容できるその塩は、非溶媒和および溶媒和形態で存在し得る。用語「溶媒和物」は、本明細書において、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容できるその塩と、1つまたは複数の薬学的に許容できる溶媒分子、例えばエタノールを含む分子錯体を記述するために使用される。用語「水和物」は、前記溶媒が水である場合に用いられる。
【0072】
有機水和物のための現在認可されている分類システムは、単離された部位、チャネルまたは金属イオン配位水和物を定義するものである。Polymorphism in Pharmaceutical Solids、K.R.Morris著(H.G.Brittain編、Marcel Dekker、1995)を参照されたい。単離部位水和物は、有機分子を介在させることによって水分子が互いの直接接触から単離されているものである。チャネル水和物では、水分子が格子チャネルにあり、ここで水分子は他の水分子に隣接している。金属イオン配位水和物では、水分子は金属イオンと結合している。
【0073】
溶媒または水が密接に結合している場合、錯体は、湿度とは無関係な明確に定義された化学量論を有し得る。しかしながら、溶媒または水がチャネル溶媒和物および吸湿性化合物のように弱く結合している場合、水/溶媒含有量は、湿度および乾燥条件に依存し得る。そのような場合は、非化学量論が標準となる。
【0074】
本発明の範囲内には、薬物および少なくとも1つの他の成分が化学量論または非化学量論量で存在する、多成分錯体(塩および溶媒和物以外)も含まれる。この種類の錯体は、クラスレート(薬物ホスト包接錯体)および共結晶を含む。後者は、典型的には、非共有相互作用を介して互いに結合した中性分子構成要素の結晶性錯体として定義されるが、中性分子と塩との錯体であってもよい。共結晶は、融解結晶化によって、溶媒からの再結晶によって、または成分を一緒に物理的に細砕することによって調製され得る。Chem Commun、17、1889~1896、O.AlmarssonおよびM.J.Zaworotko著(2004)を参照されたい。多成分錯体の一般的総説については、J Pharm Sci、64(8)、1269~1288、Haleblian著(1975年8月)を参照されたい。
【0075】
本発明の化合物は、本明細書において前記で定義されている通りの式(I)または(II)の化合物、本明細書において後記で定義されている通りのその多形、および異性体(光学、幾何または互変異性体を含む)ならびに同位体標識されている式(I)または(II)の化合物を含む。
【0076】
本発明の化合物はプロドラッグとして投与することができる。故に、それ自体は薬理活性をほとんど、または全く有さなくてもよい式(I)または(II)の化合物のある特定の誘導体は、体内または体上に投与されると、例えば加水分解による切断により変換されて、所望の活性を有する式(I)または(II)の化合物になり得る。そのような誘導体が、「プロドラッグ」と称される。[プロドラッグの使用に関するさらなる情報は、「Pro-drugs as Novel Delivery Systems、Vol.14、ACS Symposium Series(T.HiguchiおよびW.Stella)および「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Pergamon Press、1987(E.B.Roche編、American Pharmaceutical Association)において見出すことができる。]
【0077】
例えば、式(I)または(II)の化合物中に存在する好適な官能基を、例えば、H Bundgaardによる「Design of Prodrugs」(Elsevier、1985)に記載されている通りの「プロ部分」として当業者に公知のある特定の部分に置き代えることにより、プロドラッグを製造することができる。
【0078】
そのようなプロドラッグのいくつかの例は、
(i)式(I)または(II)の化合物がアルコール官能基(-OH)を含有する場合、そのエーテル、例えば、(C~C)アルカノイルオキシメチルでの水素の置き換え;またはリン酸エステル(PO)または薬学的に許容できるその塩;および
(ii)アミノNH基の水素がそれぞれ(C~C10)アルカノイルまたは(C~C10)アルコキシカルボニルで置き換えられている、式(I)または(II)中に存在するアミノ官能基のアミドまたはカルバメート
を含む。
【0079】
式(I)または(II)の化合物(プロドラッグを含む)、すなわち、薬物の投与時に、多くの場合、酸化または脱アルキル化によってインビボで形成される化合物の活性代謝物も、本発明の範囲内に含まれる。本発明に従う代謝物のいくつかの例は:
(i)式(I)または(II)の化合物がメチル基を含有する場合、そのヒドロキシメチル誘導体(-CH→-CHOH)
および
(ii)式(I)または(II)の化合物がアルコキシ基を含有する場合、そのヒドロキシ誘導体(-OR→-OH)
を含む。
【0080】
本発明のある特定の化合物は、複数の結晶形態(概して「多形体」と称する)で存在し得る。多形体は、種々の条件下、例えば、再結晶のための異なる溶媒もしくは異なる溶媒混合物を使用する結晶化;異なる温度での結晶化;ならびに/または結晶化中の非常に速いから非常に遅い冷却に及ぶ種々の冷却モードによって調製され得る。多形体は、本発明の化合物を加熱または融解すること、続いて、徐または急速冷却によって取得してもよい。多形体の存在は、固体プローブNMRスペクトル法、IRスペクトル法、示差走査熱量測定、粉末X線回折またはそのような他の技術によって決定され得る。
【0081】
概して、本発明の化合物は、化学分野で公知のものに類似のプロセスを含むプロセスによって、特に本明細書に含有される記述を踏まえて、作製することができる。本発明の化合物の製造のためのある特定のプロセスは、本発明のさらなる特色として提供され、下記の反応スキームによって例証される。他のプロセスは、実験の項において記述され得る。式(I)または(II)の化合物の調製のための具体的な合成スキームは、以下で概説する。テトラゾールは概して、高エネルギー官能基であり、テトラゾール含有分子の合成および取り扱いの際には注意すべきであることを留意されたい。
【0082】
式(I)または(II)化合物の調製における最初の注記として、本明細書において記述される化合物の調製に有用な調製方法のいくつかは、遠隔官能基(例えば、式(I)または(II)前駆体中の第一級アミン、第二級アミン、カルボキシル)の保護を必要とし得ることに留意されたい。そのような保護の必要性は、遠隔官能基の性質および調製方法の条件に応じて変動することになる。そのような保護の必要性は、当業者によって容易に決定される。そのような保護/脱保護方法の使用も、当業者が備える技能の範囲内である。保護基の概要およびそれらの使用については、T.W.Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley&Sons、New York、1991を参照されたい。
【0083】
例えば、ある特定の化合物は、保護しないまま放置すると、分子の他の部位における反応に干渉し得る第一級アミンまたはカルボン酸官能基を含有する。したがって、そのような官能基は、その後のステップで除去され得る適切な保護基によって保護されてよい。アミンおよびカルボン酸保護のための好適な保護基は、ペプチド合成において一般的に使用される保護基(アミンにはN-tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルおよび9-フルオレニルメチレンオキシカルボニル(fluorenylmethylenoxycarbonyl)、ならびにカルボン酸には低級アルキルまたはベンジルエステル等)を含み、これらは概して、記述されている反応条件下では化学的に反応性でなく、典型的には、式(I)または(II)化合物中の他の官能基を化学的に変化させることなく除去され得る。
【0084】
本発明の化合物は、特に本明細書に含まれている説明に照らして、化学分野で周知のプロセスに類似したプロセスを含む合成経路により合成することができる。出発材料は概して、MilliporeSigma(Milwaukee、WI)等の市販品供給源から入手可能であるか、または当業者に周知の方法を使用して容易に調製される(例えば、Louis F.FieserおよびMary Fieser、Reagents for Organic Synthesis、1~19巻、Wiley、New York(1967~1999編)、または補遺を含めたBeilsteins Handbuch der organischen Chemie、第4版、Springer-Verlag、Berlin(Beilsteinオンラインデータベースを介しても入手可能である)に概して記載されている方法によって調製される)。本明細書において使用される化合物の多くは、大きな科学的関心および実需がある化合物に関連するか、またはそれに由来し、したがって、多くのそのような化合物が、市販されているか、または文献において報告されているか、または文献において報告されている方法によって他の市販されている物質から簡単に調製される。
【0085】
個別の反応ステップの詳細な記述は、以下の実施例セクションにおいて提供されている。当業者であれば、他の合成経路を使用して化合物を合成することができることは分かるであろう。特定の出発材料および試薬を以下では論じているが、他の出発材料および試薬と容易に置き換えて、種々の誘導体および/または反応条件を提供することができる。加えて、下に記述されている方法によって調製される化合物の多くは、本開示に照らして、当業者に周知の従来の化学作用を使用してさらに修飾することができる。
【0086】
組合せ剤
本発明の化合物は、単独でまたは1つもしくは複数の追加の治療剤と組み合わせて投与され得る。「組み合わせて投与される」または「併用療法」が意味するのは、本発明の化合物および1つまたは複数の追加の治療剤が、処置されている哺乳動物に同時発生的に投与されることである。組み合わせて投与される場合、各成分は、同時にまたは異なる時点にて任意の順序で順次に投与されてよい。故に、各成分は、所望の治療効果を提供するように、別個にではあるが時間的に十分に近くなるように投与されてよい。語句「同時発生的投与」、「共投与」、「同時投与」および「同時に投与される」は、化合物が組み合わせて投与されることを意味する。故に、本明細書において記述される予防および処置の方法は、組合せ剤の使用を含む。
【0087】
組合せ剤は、哺乳動物に治療有効量で投与される。「治療有効量」が意味するのは、単独でまたは追加の治療剤と組み合わせて哺乳動物に投与される場合に、所望の疾患/状態(例えば、NASH、心不全または糖尿病)を処置するために有効な、本発明の化合物の量である。
【0088】
本発明の化合物のNASH/NAFLD活性を考慮すると、それらは、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および/または非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)ならびに関連疾患/状態の処置のための他の作用物質、例を挙げると、オルリスタット、TZDおよび他のインスリン感作剤、FGF21類似体、メトホルミン、オメガ-3-酸エチルエステル(例えば、ロバザ)、フィブレート、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、エゼチミブ、プロブコール、ウルソデオキシコール酸、TGR5アゴニスト、FXRアゴニスト、ビタミンE、ベタイン、ペントキシフィリン、CB1アンタゴニスト、カルニチン、N-アセチルシステイン、還元グルタチオン、ロルカセリン、ナルトレキソンとブプロピオン(buproprion)との組合せ、SGLT2阻害剤(ダパグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジン、トフォグリフロジン、エルツグリフロジン、ASP-1941、THR1474、TS-071、ISIS388626およびLX4211ならびにWO2010023594におけるものを含む)、フェンテルミン、トピラメート、GLP-1受容体アゴニスト、GIP受容体アゴニスト、デュアルGLP-1受容体/グルカゴン受容体アゴニスト(例えば、OPK88003、MEDI0382、JNJ-64565111、NN9277、BI456906)、デュアルGLP-1受容体(receprtor)/GIP受容体アゴニスト(例えば、チルゼパチド(LY3298176)、NN9423)、アンジオテンシン受容体遮断薬アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤、BCKDK阻害剤、ケトヘキソキナーゼ(KHK)阻害剤、ASK1阻害剤、分枝鎖アルファケト酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害剤(BCKDK阻害剤)、CCR2および/またはCCR5の阻害剤、PNPLA3阻害剤、DGAT1阻害剤、FGF21類似体、FGF19類似体、PPARアゴニスト、FXRアゴニスト、AMPK活性化因子(例えば、ETC-1002(ベンペド酸))、SCD1阻害剤またはMPO阻害剤と共投与されてよい。
【0089】
例示的なGLP-1受容体アゴニストは、リラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、アルビグルチド、リキシセナチド、デュラグルチド、セマグルチド、HM15211、LY3298176、Medi-0382、NN-9924、TTP-054、TTP-273、エフェグレナタイド、下記を含む、WO2018109607において記述されているもの、2019年6月11日に出願されたPCT/IB2019/054867において記述されているもの、および2019年6月13日に出願されたPCT/IB2019/054961において記述されているもの:
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-7-フルオロ-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2S)-2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2S)-2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-7-フルオロ-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-シアノ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(5-クロロピリジン-2-イル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-3-(1,3-オキサゾール-2-イルメチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(1-エチル-1H-イミダゾール-5-イル)メチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-(1,3-オキサゾール-4-イルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-(1,3-オキサゾール-5-イルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(1-エチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-(1,3-オキサゾール-2-イルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-7-フルオロ-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-シアノ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-(1,3-オキサゾール-2-イルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2S)-2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-7-フルオロ-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2S)-2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2S)-2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-7-フルオロ-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2S)-2-(4-シアノ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2S)-2-(5-クロロピリジン-2-イル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2S)-2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(1-エチル-1H-イミダゾール-5-イル)メチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2R)-2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(1-エチル-1H-イミダゾール-5-イル)メチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(5-クロロピリジン-2-イル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2S)-2-(5-クロロピリジン-2-イル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2R)-2-(5-クロロピリジン-2-イル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(5-クロロピリジン-2-イル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸、DIAST-X2;
2-[(4-{2-[(4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピペリジン-1-イル)メチル]-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-[(4-{2-[(4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピペリジン-1-イル)メチル]-1-(1,3-オキサゾール-2-イルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-[(4-{2-[(4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピペリジン-1-イル)メチル]-1-(1,3-オキサゾール-2-イルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-[(4-{2-[(4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピペリジン-1-イル)メチル]-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-[(4-{3-[(4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピラジン-2-イル}ピペリジン-1-イル)メチル]-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-(6-{6-[(4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピリジン-2-イル}-6-アザスピロ[2.5]オクタ-1-イル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-(6-{2-[(4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ]-5-フルオロピリミジン-4-イル}-6-アザスピロ[2.5]オクタ-1-イル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-(6-{2-[(4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ]-5-フルオロピリミジン-4-イル}-6-アザスピロ[2.5]オクタ-1-イル)-1-(1,3-オキサゾール-2-イルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-(6-{6-[(4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ]-5-フルオロピリジン-2-イル}-6-アザスピロ[2.5]オクタ-1-イル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-(6-{6-[(4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ]-3-フルオロピリジン-2-イル}-6-アザスピロ[2.5]オクタ-1-イル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-[(4-{2-[(4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピリミジン-4-イル}ピペリジン-1-イル)メチル]-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-{[(2S)-4-{2-[(4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ]-5-フルオロピリミジン-4-イル}-2-メチルピペラジン-1-イル]メチル}-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-{[(2S)-4-{2-[(4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピリミジン-4-イル}-2-メチルピペラジン-1-イル]メチル}-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;および
2-[(4-{6-[(4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピリジン-2-イル}ピペリジン-1-イル)メチル]-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸、および薬学的に許容できるその塩を含む。
【0090】
例示的なACC阻害剤は、4-(4-[(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロ-1’H-スピロ[インダゾールe-5,4’-ピペリジン]-1’-イル)カルボニル]-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸、ゲムカベン、およびフィルソコスタット(GS-0976)ならびに薬学的に許容できるその塩を含む。
【0091】
例示的なFXRアゴニストは、トロピフェクサー(tropifexor)(2-[(1R,3R,5S)-3-({5-シクロプロピル-3-[2-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル]-4-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-6-カルボン酸)、シロフェクサール(cilofexor)(GS-9674)、オベチコール酸、LY2562175、Met409、TERN-101およびEDP-305ならびに薬学的に許容できるその塩を含む。
【0092】
例示的なKHK阻害剤は、[(1R,5S,6R)-3-{2-[(2S)-2-メチルアゼチジン-1-イル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル}-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ-6-イル]酢酸および薬学的に許容できるその塩を含む。
【0093】
例示的なBCKDK阻害剤は、下記を含む、2019年6月28日に出願された米国特許出願第62/868,057号、および2019年6月28日に出願された米国特許出願第62/868,542号において記述されているもの:
5-(5-クロロ-4-フルオロ3-メチルチオフェン-2-イル)-1H-テトラゾール;
5-(5-クロロ-3-ジフルオロメチルチオフェン-2-イル)-1H-テトラゾール;
5-(5-フルオロ-3-メチルチオフェン-2-イル)-1H-テトラゾール;
5-(5-クロロ-3-メチルチオフェン-2-イル)-1H-テトラゾール;
5-(3,5-ジクロロチオフェン-2-イル)-1H-テトラゾール;
5-(4-ブロモ-3-メチルチオフェン-2-イル)-1H-テトラゾール;
5-(4-ブロモ-3-エチルチオフェン-2-イル)-1H-テトラゾール;
5-(4-クロロ-3-エチルチオフェン-2-イル)-1H-テトラゾール;
3-クロロ-5-フルオロチエノ[3,2-b]チオフェン-2-カルボン酸;
3-ブロモ-5-フルオロチエノ[3,2-b]チオフェン-2-カルボン酸;
3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロチエノ[3,2-b]チオフェン-2-カルボン酸;
5,6-ジフルオロチエノ[3,2-b]チオフェン-2-カルボン酸;および
3,5-ジフルオロチエノ[3,2-b]チオフェン-2-カルボン酸;
または薬学的に許容できるその塩を含む。
【0094】
本発明の化合物の抗糖尿病活性を考慮すると、それらは、他の抗糖尿病剤と共投与されてよい。好適な抗糖尿病剤は、インスリン、メトホルミン、GLP-1受容体アゴニスト(本明細書で上述したもの)、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤(本明細書で上述したもの)、SGLT2阻害剤(本明細書で上述したもの)、モノアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ阻害剤、ホスホジエステラーゼ(PDE)-10阻害剤、AMPK活性化因子(例えば、ETC-1002(ベンペド酸))、スルホニル尿素(例えば、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、ダイアビニーズ、グリベンクラミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド、グリクラジド、グリペンチド、グリキドン、グリソラミド(glisolamide)、トラザミドおよびトルブタミド)、メグリチニド、α-アミラーゼ阻害剤(例えば、テンダミスタット、トレスタチンおよびAL-3688)、α-グルコシドヒドロラーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)、α-グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アジポシン(adiposine)、カミグリボース、エミグリテート、ミグリトール、ボグリボース、プラディマイシン-Qおよびサルボスタチン)、PPARγアゴニスト(例えば、バラグリタゾン、シグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、イサグリタゾン、ピオグリタゾンおよびロシグリタゾン)、PPARα/γアゴニスト(例えば、CLX-0940、GW-1536、GW-1929、GW-2433、KRP-297、L-796449、LR-90、MK-0767およびSB-219994)、タンパク質チロシンホスファターゼ-1B(PTP-1B)阻害剤(例えば、トロズスクエミン、ヒルチオサール(hyrtiosal)抽出物、およびZhang,S.ら、Drug Discovery Today、12(9/10)、373~381(2007)によって開示されている化合物)、SIRT-1活性化因子(例えば、レスベラトロル、GSK2245840またはGSK184072)、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)阻害剤(例えば、WO2005116014におけるもの、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、デュトグリプチン、リナグリプチンおよびサクサグリプチン)、インスリン分泌促進剤(secreatagogues)、脂肪酸酸化阻害剤、A2アンタゴニスト、c-junアミノ末端キナーゼ(JNK)阻害剤、グルコキナーゼ活性化因子(GKa)、例を挙げると、WO2010103437、WO2010103438、WO2010013161、WO2007122482において記述されているもの、TTP-399、TTP-355、TTP-547、AZD1656、ARRY403、MK-0599、TAK-329、AZD5658またはGKM-001、インスリン、インスリン模倣物質、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤(例えば、GSK1362885)、VPAC2受容体アゴニスト、グルカゴン受容体モジュレーター、例を挙げると、Demong,D.E.ら、Annual Reports in Medicinal Chemistry 2008、43、119~137において記述されているもの、GPR119モジュレーター、特にアゴニスト、例を挙げると、WO2010140092、WO2010128425、WO2010128414、WO2010106457、Jones,R.M.ら、Medicinal Chemistry 2009、44、149~170において記述されているもの(例えば、MBX-2982、GSK1292263、APD597およびPSN821)、FGF21誘導体または類似体、例を挙げると、Kharitonenkov,A.ら、Current Opinion in Investigational Drugs 2009、10(4)359~364において記述されているもの、TGR5(GPBAR1とも称される)受容体モジュレーター、特にアゴニスト、例を挙げると、Zhong,M.、Current Topics in Medicinal Chemistry、2010、10(4)、386~396において記述されているものおよびINT777、GPR40アゴニスト、例を挙げると、TAK-875を含むがこれに限定されない、Medina,J.C.、Annual Reports in Medicinal Chemistry、2008、43、75~85において記述されているもの、GPR120モジュレーター、特にアゴニスト、高親和性ニコチン酸受容体(HM74A)活性化因子、およびSGLT1阻害剤、例を挙げるとGSK1614235を含む。本発明の化合物と組み合わせることができる抗糖尿病剤のさらなる代表的な一覧は、例えば、WO2011005611の28頁35行から30頁19行において見ることができる。
【0095】
他の抗糖尿病剤は、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ酵素の阻害剤またはモジュレーター、フルクトース1,6-ジホスファターゼの阻害剤、アルドースレダクターゼの阻害剤、ミネラルコルチコイド受容体阻害剤、TORC2の阻害剤、CCR2および/またはCCR5の阻害剤、PKCアイソフォーム(例えば、PKCα、PKCβ、PKCγ)の阻害剤、脂肪酸シンターゼの阻害剤、セリンパルミトイルトランスフェラーゼの阻害剤、GPR81、GPR39、GPR43、GPR41、GPR105、Kv1.3、レチノール結合タンパク質4、グルココルチコイド受容体、ソマトスタチン(somatostain)受容体(例えば、SSTR1、SSTR2、SSTR3およびSSTR5)のモジュレーター、PDHK2またはPDHK4の阻害剤またはモジュレーター、MAP4K4の阻害剤、IL1ベータを含むIL1ファミリーのモジュレーター、RXRアルファのモジュレーターを含み得る。加えて、好適な抗糖尿病剤は、Carpino,P.A.、Goodwin,B.Expert Opin.Ther.Pat、2010、20(12)、1627~51によって収載されている機序を含む。
【0096】
本発明の化合物は、ACE阻害剤(例えば、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、トランドラプリル)、アンジオテンシンII受容体遮断薬(例えば、カンデサルタン、ロサルタン、バルサルタン)、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤(サクビトリル/バルサルタン)、Iチャネル遮断薬イバブラジン、ベータ-アドレナリン遮断剤(例えば、ビソプロロール、コハク酸メトプロロール、カルベジロール)、アルドステロンアンタゴニスト(例えば、スピロノラクトン、エプレレノン)、ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド、利尿薬(例えば、フロセミド、ブメタニド、トルセミド、クロロチアジド、アミロライド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、メトラゾン、トリアムテレン)、またはジゴキシン等の抗心不全剤と共投与されてよい。
【0097】
本発明の化合物は、次の例示的な作用物質:HMG CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、プラバスタチン 、ピタバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、NK-104(別名イタバスタチン、またはニスバスタチン(nisvastatin)もしくはニスバスタチン(nisbastatin))およびZD-4522(別名ロスバスタチン、またはアタバスタチンもしくはビサスタチン);スクアレンシンテターゼ阻害剤;フィブラート(例えば、ゲムフィブロジル、ペマフィブラート、フェノフィブラート、クロフィブラート);胆汁酸捕捉剤(クエストラン、コレスチポール、コレセベラム等);ACAT阻害剤;MTP阻害剤;リポオキシゲナーゼ阻害剤;コレステロール吸収阻害剤(例えば、エゼチミベ);ニコチン酸作用物質(例えば、ナイアシン、ナイアコール、slo-ナイアシン);オメガ-3脂肪酸(例えば、エパノバ、魚油、エイコサペンタエン酸);コレステリルエステル転送タンパク質阻害剤(例えば、オビセトラピブ)およびPCSK9モジュレーター(例えば、アリロクマブ、エボロクマブ、ボコシズマブ、ALN-PCS(インクリシラン))を含むコレステロールまたは脂質低下剤と共投与されてもよい。
【0098】
本発明の化合物は、抗高血圧剤と組み合わせて使用されてもよく、そのような抗高血圧活性は、標準的なアッセイ(例えば、血圧測定)に従って、当業者により容易に決定される。好適な抗高血圧剤の例は、アルファアドレナリン作動性遮断薬;ベータアドレナリン作動性遮断薬;カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピンおよびアムロジピン);血管拡張剤(例えば、ヒドララジン)、利尿薬(diruetics)(例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸チクリナフェン(tricrynafen)、クロルタリドン、トルセミド、フロセミド、ムソリミン(musolimine)、ブメタニド、トリアムテレン(triamtrenene)、アミロライド、スピロノラクトン);レニン阻害剤;ACE阻害剤(例えば、カプトプリル、ゾフェノプリル、フォシノプリル、エナラプリル、セラノプリル、シラザプリル(cilazopril)、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、ラミプリル、リシノプリル);AT-1受容体アンタゴニスト(例えば、ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン);ET受容体アンタゴニスト(例えば、シタクスセンタン、アトラセンタン(atrsentan)ならびに米国特許第5,612,359号および同第6,043,265号で開示されている化合物);デュアルET/AIIアンタゴニスト(例えば、WO00/01389で開示されている化合物);中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤;バソペプチダーゼ(vasopepsidase)阻害剤(デュアルNEP-ACE阻害剤)(例えば、ゲモパトリラトおよびニトレート)を含む。例示的な抗狭心症剤は、イバブラジンである。
【0099】
好適なカルシウムチャネル遮断薬(L型またはT型)の例は、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピンおよびアムロジピンならびにミベフラジル(mybefradil)を含む。
【0100】
好適な強心配糖体の例は、ジギタリスおよびウアバインを含む。
【0101】
一実施形態では、式(I)または(II)化合物は、1つまたは複数の利尿薬と共投与されてよい。好適な利尿薬の例は、(a)ループ利尿薬、例を挙げると、フロセミド(LASIX(商標)等)、トルセミド(DEMADEX(商標)等)、ブメタニド(bemetanide)(BUMEX(商標)等)およびエタクリン酸(EDECRIN(商標)等);(b)チアジド系利尿薬、例を挙げると、クロロチアジド(DIURIL(商標)、ESIDRIX(商標)またはHYDRODIURIL(商標)等)、ヒドロクロロチアジド(MICROZIDE(商標)またはORETIC(商標)等)、ベンズチアジド、ヒドロフルメチアジド(SALURON(商標)等)、ベンドロフルメチアジド、メチクロルチアジド(methychlorthiazide)、ポリチアジド、トリクロルメチアジドおよびインダパミド(LOZOL(商標)等);(c)フタルイミジン系利尿薬、例を挙げると、クロルタリドン(HYGROTON(商標)等)およびメトラゾン(ZAROXOLYN(商標)等);(d)キナゾリン系利尿薬、例を挙げると、キネタゾン;ならびに(e)カリウム保持性利尿薬、例を挙げると、トリアムテレン(DYRENIUM(商標)等)およびアミロライド(MIDAMOR(商標)またはMODURETIC(商標)等)を含む。
【0102】
別の実施形態では、式(I)または(II)の化合物は、ループ利尿薬と共投与されてよい。また別の実施形態では、ループ利尿薬は、フロセミドおよびトルセミドから選択される。また別の実施形態では、式(I)または(II)の1つまたは複数の化合物は、フロセミドと共投与されてよい。また別の実施形態では、式(I)または(II)の1つまたは複数の化合物は、トルセミドと共投与されてよく、これは、トルセミドの制御または調節放出形態であってもよい。
【0103】
別の実施形態では、式(I)または(II)の化合物は、チアジド系利尿薬と共投与されてよい。また別の実施形態では、チアジド系利尿薬は、クロロチアジドおよびヒドロクロロチアジドからなる群から選択される。また別の実施形態では、式(I)または(II)の1つまたは複数の化合物は、クロロチアジドと共投与されてよい。また別の実施形態では、式(I)または(II)の1つまたは複数の化合物は、ヒドロクロロチアジドと共投与されてよい。
【0104】
別の実施形態では、式(I)または(II)の1つまたは複数の化合物は、フタルイミジン系利尿薬と共投与されてよい。また別の実施形態では、フタルイミジン系利尿薬は、クロルタリドンである。
【0105】
好適なミネラルコルチコイド受容体アンタゴニストの例は、スピロノラクトン(sprionolactone)およびエプレレノンを含む。
【0106】
好適なホスホジエステラーゼ阻害剤の例は、PDE III阻害剤(シロスタゾール等)およびPDE V阻害剤(シルデナフィル等)を含む。
【0107】
当業者ならば、本発明の化合物が、PCI、ステント留置術、薬剤溶出ステント、幹細胞療法および植え込み型ペースメーカー、除細動器等の医療機器、または心臓再同期療法を含む、他の心血管または脳血管処置と併せて使用されてもよいことを認識するであろう。
【0108】
特に、単一の投薬量単位として提供される場合、組み合わさった活性原料間に化学的相互作用の潜在性が存在する。この理由から、式(I)または(II)化合物および第2の治療剤を単一の投薬量単位中で組み合わせる場合、それらは、活性原料を単一の投薬量単位中で組み合わせても、活性原料間の物理的接触が最小化される(すなわち、低減される)ように製剤化される。例えば、1つの活性原料は、腸溶コーティングされてよい。活性原料の1つを腸溶コーティングすることにより、組み合わさった活性原料間の接触を最小化することが可能なだけでなく、これらの成分が胃では放出されず腸で放出されるように、胃腸管内のこれらの成分のうちの1つの放出を制御することも可能である。活性原料のうちの1つを、胃腸管全体を通して持続放出を達成し、組み合わさった活性原料間の物理的接触を最小化する働きもする材料でコーティングしてもよい。さらに、この成分の放出が腸でのみ起こるように、持続放出成分を追加で腸溶コーティングすることもできる。また別のアプローチは、活性成分をさらに分離するために、1つの成分が、持続および/または腸溶放出ポリマーでコーティングされ、他の成分も、低粘度グレードのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のポリマーまたは当技術分野で公知の通りの他の適切な材料でコーティングされている、組合せ製品の製剤化を伴うであろう。ポリマーコーティングは、他の成分との相互作用に対する追加の障壁を形成する働きをする。
【0109】
本発明の組合せ製品の成分間の接触を最小化するこれらおよび他の手法は、単一剤形で投与されるか、別個の形態であるが同じ方式によって同時に投与されるかにかかわらず、本開示を理解すれば、当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0110】
併用療法処置では、本発明の化合物および他の薬物療法の両方が、従来の方法によって哺乳動物(例えば、ヒト、男性または女性)に投与される。式(I)または(II)化合物およびその塩はいずれも、哺乳動物、特にヒトにおいてジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ2を阻害する作用物質としての治療的使用に適応しており、故に、そのような作用が関係する種々の状態(例えば、本明細書において記述されるもの)の処置に有用である。
【0111】
本発明に従って処置され得る疾患/状態は、心臓血管状態、糖尿病(例えば、II型)および糖尿病合併症、血管状態、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)、NAFLD(非アルコール性脂肪肝疾患)および腎疾患を含むがこれらに限定されない。
【0112】
DGAT2阻害は、血糖コントロールおよび血漿中コレステロールプロファイルの両方に対して有益効果を示すので、この標的は代謝性疾患の処置において価値があると考えられる(Choi,C.S.ら、2007.、J Biol Chem 282:22678~22688)。DGAT2の阻害と代謝および関連疾患/状態との間の正の相関を考慮すると、式(I)または(II)化合物は、それらの薬理作用のおかげで、代謝および関連病態(例えば、II型糖尿病;NASH;NAFLD)の予防、停止および/または退縮に有用である。
【0113】
肝トリグリセリド(TG)は、3つの主要な供給源:脂質新生(DNL)、脂肪によって供給される脂肪酸(FA)の再エステル化、および食事性摂取から誘導される(Cohen J.C.ら、2011、Science、332、1519~1523)。肝TG貯留に対する最大の寄与は、脂肪細胞を起源とする脂肪分解産物に由来するようであるが、一方、脂質生成経路は、NAFLDの発生およびNASHへの進行において重要な役割を果たす。NAFLDにおける疾患進行に対するDNLの寄与は、NAFLDを有する、および有さない対象におけるTGのFA組成の分析によって裏付けられている。データは、NAFLDを有する対象における飽和FAのレベルの上昇を実証しており、このことは、飽和FAがDNLの一次産物に相当するので、DNL経路を脂肪肝に対する重要な寄与因子として関係づけている。これらの知見は、NAFLDにおいてVLDL粒子中のDNL由来TGの包含が増加し、典型的なウエスタン食を消費している正常な対象において産生されるTGの2から5%のみがDNLを起源とすることと比較して、産生されるTGの15%がDNLを起源とすることと一致する(Sanders,F.W.B.および、Griffin J.L.、2016、Biol.Rev.、91、452~468)。加えて、肝DNLの割合の上昇は、NAFLDの示差的な特徴であることが報告されている。肝臓脂肪の増大を伴うヒト対象は、肝DNLの割合において、正常な肝臓脂肪を有する対象と比較して3倍超の増大を示すが、脂肪性遊離脂肪酸(FFA)流またはFFAからのVLDLの産生において、群の間で差異は検出されなかった。その結果、VLDL TGに組み込まれるFAの絶対供給源を比較すると、増大した肝DNLが、肝臓脂肪の多い対象において有意に増大している唯一の供給源であった(Lambert J.E.およびRamos-Roman、M.A.、2014、Gastroenterology、146、726~735)。
【0114】
ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)は、TG合成における最終ステップ;特に、ジアシルグリセロール(DAG)での脂肪酸(FA)のエステル化を触媒して、TGの形成をもたらす(Yen,C.L.ら、2008、J. Lipid Res.、49、2283~2301)。哺乳動物では、2つの構造的に関連のないDGAT酵素(DGAT1およびDGAT2)が特徴付けられている。DGAT1は、小腸において高度に発現されて、脂肪吸収において中心的な役割を果たす(Buhman,K.K.ら、2002、J.Biol.Chem.、277、25474~25479)。DGAT2は、肝臓および脂肪において高度に発現される(Cases,S.ら、2001、J.Biol.Chem.、276、38870~38876)。前臨床モデルでは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用しての肝DGAT2の遮断は、脂質生成に関係するタンパク質をコードする複数の遺伝子の発現の下方調節と、平行する酸化経路の誘導との両方をもたらす。これらの変化の正味の結果は、肝DAGおよびTG脂質のレベルの低下であり、これが次いで、肝細胞脂質量を減少させ、かつ肝臓超低密度リポタンパク質(VLDL)TG分泌を減少させる(Choi,C.S.ら、2007.、J Biol Chem 282:22678~22688およびYu,X.X.ら、2005、Hepatology、42、362~371)。故に、DGAT2の薬理学的阻害は、血糖コントロール、および血漿中コレステロールを含めて、NAFLD/NASHおよび他の代謝性疾患の処置に有益効果を呈するであろうと考えられる。
【0115】
特に、DGAT2の阻害とNASH/NAFLDおよび関連疾患/状態との間の正の相関を考慮すると、式(I)または(II)化合物は、薬理学的作用のおかげで、NASH/NAFLDおよび関連病態の予防、停止および/または退縮のために有用である。
【0116】
さらに、NASHにおける第III相研究のための規制当局に認められた条件付承認は、肝生検によって取得される組織学的代理マーカーに基づく。これらの一般に許容されている代理は、i)線維症の悪化(すなわち、線維症段階における数値的増大)のないNASHの消散;ii)NASHの悪化のない線維症における1つまたは複数の段階低減である。詳細は、Ratziu、A critical review of endpoints for non-cirrhotic NASH therapeutic trials、Journal of Hepatology、2018、68.353~361およびその中の参考文献において見られ得る。
【0117】
加えて、規制当局は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)活性スコア(NAS)におけるベースラインからの変化に目を向けている。NAFLD活性スコア(NAS)は、肝生検の一元化された病理学者スコアリングからの、脂肪症グレード(0~3)、小葉炎症グレード(0~3)および肝細胞風船化グレード(0~2)の和に等しい複合スコアである。NASの全体的な規模は0~8であり、より高いスコアはより重度の疾患を指し示す。転帰尺度、NAFLD活性スコア(NAS)におけるベースラインからの変化は、-8から+8までの可能な範囲を有し、負の値はより良好な転帰(改善)を指し示し、正の値はより悪い転帰を指し示す。NASの構成要素は、次の通りにスコア付けされる:脂肪症グレード0=5%未満脂肪症、1=5~33%脂肪症、2=34~66%脂肪症、3=66%超脂肪症。小葉炎症グレード=小葉炎症の量(単核、脂肪肉芽腫および多形核(pmn)病巣を合わせたもの):0=0、1=20倍の倍率で2未満、2=20倍の倍率で2~4、3=20倍の倍率で4超。肝細胞風船化0=なし、1=軽度、2=軽度を超える。
【0118】
式(I)または(II)化合物は、それらの薬理作用のおかげで、脂肪血症、I型糖尿病、II型真性糖尿病、特発性I型糖尿病(Ib型)、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、早期発症型2型糖尿病(EOD)、若年発症型非定型糖尿病(YOAD)、若年発生成人型糖尿病(MODY)、栄養不良関連糖尿病、妊娠性糖尿病、冠状動脈性心疾患、虚血性脳卒中、血管形成術後の再狭窄、末梢血管疾患、間欠性跛行、心筋梗塞、脂質異常症、食後脂肪血症、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、代謝性アシドーシス、ケトン症、関節炎、肥満、骨粗鬆症、高血圧、鬱血性心不全、左心室肥大、末梢動脈疾患、糖尿病性網膜症、黄斑変性、白内障、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、慢性腎不全、糖尿病性神経障害、代謝症候群、症候群X、月経前症候群、狭心症、血栓症、アテローム硬化症、一過性虚血発作、脳卒中、血管再狭窄、高血糖症、高インスリン血症、高トリグリセリド血症(hypertrygliceridemia)、インスリン抵抗性、グルコース代謝異常、勃起機能不全、皮膚および結合組織障害、足潰瘍および潰瘍性結腸炎、内皮機能不全および血管コンプライアンス異常、高アポBリポタンパク質血症、アルツハイマー病、統合失調症、認知障害、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、および過敏性腸症候群、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、または非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)を処置するために有用である。
【0119】
本発明の化合物の投与は、本発明の化合物を全身におよび/または局部的に送達する任意の方法を介することができる。これらの方法は、経口ルート、非経口、十二指腸内ルート、口腔、鼻腔内等を含む。概して、本発明の化合物は、経口的に投与されるが、例えば、経口投与が標的に不適切である場合または患者が薬物を摂取することができない場合には、非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、皮下または髄内)が利用され得る。
【0120】
ヒト患者への投与では、本明細書における化合物の経口1日用量は、当然ながら、投与のモードおよび頻度、病状、ならびに患者の年齢および状態等に応じて、1mgから5000mgの範囲内であってよい。経口1日用量は、使用され得る3mgから2000mgの範囲内である。さらなる経口1日用量は、5mgから1000mgの範囲内である。便宜上、本発明の化合物は、単位剤形で投与され得る。所望ならば、1日当たり複数回用量の単位剤形を使用して、総1日用量を増大させることができる。単位剤形は、例えば、約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、250、300、500または1000mgの本発明の化合物を含有する、錠剤またはカプセル剤であってよい。総1日用量は、単回または分割用量で投与されてよく、内科医の裁量で、本明細書で記される典型的な範囲外となり得る。
【0121】
ヒト患者への投与では、本明細書における化合物の注入1日用量は、当然ながら、投与のモードおよび頻度、病状、ならびに患者の年齢および状態等に応じて、1mgから2000mgの範囲内であってよい。さらなる注入1日用量は、5mgから1000mgの範囲内である。総1日用量は、単回または分割用量で投与されてよく、内科医の裁量で、本明細書で記される典型的な範囲外となり得る。
【0122】
本発明の処置の方法に従って、本発明の化合物または本発明の化合物と少なくとも1種の追加の医薬作用物質との組合せ(「本明細書では「組合せ」と称される」)を、そのような処置を必要とする対象に、好ましくは医薬組成物の形態で投与する。本発明の組合せ態様では、本発明の化合物および少なくとも1種の他の医薬作用物質(例えば、別の抗肥満剤)は、別々に、または両方を含む医薬組成物で投与され得る。そのような投与は経口であることが概して好ましい。
【0123】
本発明の化合物と少なくとも1種の他の医薬作用物質の組合せを一緒に投与する場合、そのような投与は、時間的に連続してもよいし、または同時であってもよい。薬物組合せの同時投与が概して好ましい。連続投与では、本発明の化合物および追加の医薬作用物質を任意の順序で投与してよい。そのような投与が経口であることが概して好ましい。そのような投与が経口であり、かつ同時であることがとりわけ好ましい。本発明の化合物および追加の医薬品を順次に投与する場合、それぞれの投与は、同じ方法によっても、異なる方法によってもよい。
【0124】
本発明の方法に従って、本発明の化合物または組合せを好ましくは、医薬組成物の形態で投与する。したがって、本発明の化合物または組合せを、患者に別々に、または一緒に、任意の従来の経口、直腸、経皮、非経口(例えば、静脈内、筋肉内または皮下)、槽内、膣内、腹腔内、局所(例えば、散剤、軟膏剤、クリーム剤、噴霧剤またはローション剤)、頬側または経鼻剤形(例えば、スプレー剤、滴剤または吸入剤)で投与することができる。
【0125】
本発明の化合物または組合せは、単独で投与され得るが、概して、当技術分野において公知である1つまたは複数の好適な医薬添加剤、アジュバント、賦形剤または担体との混和物で投与され、意図されている投与ルートおよび標準的な医薬実務に関して選択されることになる。本発明の化合物または組合せは、治療必要性に見合った、所望の投与ルートおよび放出プロファイルの特異性に応じて、即時、遅延、調節、持続、パルスまたは制御放出剤形を提供するように製剤化されてよい。
【0126】
医薬組成物は、本発明の化合物または組合せを、概して組成物の約1%から約75%、80%、85%、90%またはさらには95%(重量で)の範囲内、通常は約1%、2%または3%から約50%、60%または70%の範囲内、より頻繁には約1%、2%または3%から50%未満、例を挙げると約25%、30%または35%の範囲内の量で含む。
【0127】
具体的な量の活性化合物を用いて種々の医薬組成物を調製する方法は、当業者に公知である。例えば、Remington:The Practice of Pharmacy、Lippincott Williams and Wilkins、Baltimore Md、第20版、2000を参照されたい。
【0128】
非経口注射に好適な組成物は、概して、薬学的に許容できる滅菌水溶液もしくは非水溶液、分散体、懸濁液、または乳剤、および滅菌注射用溶液または分散体への復元のための滅菌粉末を含む。好適な水性および非水性担体または賦形剤(溶媒およびビヒクルを含む)の例は、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール等)、それらの好適な混合物、オリーブ油等の植物油を含むトリグリセリド、およびオレイン酸エチル等の注射用有機エステルを含む。好ましい担体は、Condea Vista Co.、Cranford、N.J.から入手可能な、グリセリンまたはプロピレングリコールを加えたMiglyol(登録商標)ブランドカプリル/カプリン酸エステル(例えば、Miglyol(登録商標)812、Miglyol(登録商標)829、Miglyol(登録商標)840)である。妥当な流動性は、例えば、レシチン等のコーティングの使用によって、分散体の場合には必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。
【0129】
非経口注射のためのこれらの組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤等の添加剤も含有してよい。組成物の微生物汚染の予防は、種々の抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等を用いて遂行することができる。等張剤、例えば、砂糖、塩化ナトリウム等を含むことも望ましい場合がある。吸収を遅延させることができる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によって、注射用医薬組成物の持続的吸収を起こすことができる。
【0130】
経口投与のための固体剤形は、カプセル剤、錠剤、チュアブル錠、キャンディー剤、丸剤、散剤およびマルチ微粒子調製物(顆粒剤)を含む。そのような固体剤形では、本発明の化合物または組合せは、少なくとも1つの不活性添加剤、賦形剤または担体と混和される。好適な添加剤、賦形剤または担体は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム等の材料、ならびに/または(a)1つもしくは複数の充填剤もしくは増量剤(例えば、微結晶性セルロース(FMC Corp.からAvicel(商標)として入手可能)デンプン、ラクトース、スクロース、マンニトール、ケイ酸、キシリトール、ソルビトール、デキストロース、リン酸水素カルシウム、デキストリン、アルファ-シクロデキストリン、ベータ-シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、中鎖脂肪酸、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等);(b)1つもしくは複数の結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、プルラン、アルファ化デンプン、寒天、トラガカント、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、アカシア等);(c)1つもしくは複数の保湿剤(例えば、グリセロール等);(d)1つもしくは複数の崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、バレイショもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定の複合ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム(Edward Mendell Co.からExplotab(商標)として入手可能)、架橋ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウムA型(Ac-di-sol(商標)として入手可能)、ポリアクリリンカリウム(polyacrilin potassium)(イオン交換樹脂)等);(e)1つもしくは複数の溶液緩染剤(例えば、パラフィン等);(f)1つもしくは複数の吸収加速剤(例えば、第四級アンモニウム化合物等);(g)1つもしくは複数の湿潤剤(例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール等);(h)1つもしくは複数の吸着剤(例えば、カオリン、ベントナイト等);ならびに/または(i)1つもしくは複数の滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸ポリオキシル、セタノール、タルク、水素化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、微結晶性ワックス、黄蝋、白蝋、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム等)を含む。カプセル剤および錠剤の場合には、剤形は緩衝剤も含み得る。
【0131】
同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖等の添加剤および高分子量ポリエチレングリコール等を使用して、軟質または硬質充填ゼラチンカプセル剤における充填剤としても使用され得る。
【0132】
錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤および顆粒剤等の固体剤形は、腸溶コーティングおよび当技術分野において周知である他のもの等のコーティングおよび外殻を用いて調製され得る。それらは、乳白剤を含有してもよく、本発明の化合物および/または追加の医薬作用物質を遅延方式で放出するような組成のものであってもよい。使用され得る包埋組成物の例は、ポリマー性物質およびワックスである。薬物は、適切な場合、上記で言及した添加剤の1つまたは複数を加えた、マイクロカプセル形態であってもよい。
【0133】
錠剤では、活性剤は、典型的には、製剤の50%未満(重量で)、例えば、重量で5%または2.5%等の約10%未満を構成することになる。製剤の主部は、充填剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤を含み、香味剤を含んでいてもよい。これらの添加剤の組成は、当技術分野において周知である。高頻度で、充填剤/賦形剤は、下記の成分:微結晶性セルロース、マンニトール、ラクトース(全種類)、デンプンおよびリン酸二カルシウムのうちの2つ以上の混合物を含むことになる。充填剤/賦形剤混合物は、典型的には、製剤の98%未満、好ましくは95%未満、例えば93.5%を構成する。好ましい崩壊剤は、Ac-di-sol(商標)、Explotab(商標)、デンプンおよびラウリル硫酸ナトリウムを含む。存在する場合、崩壊剤は、通常、製剤の10%未満または5%未満、例えば約3%を構成することになる。好ましい滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。存在する場合、滑沢剤は、通常、製剤の5%未満または3%未満、例えば約1%を構成することになる。
【0134】
錠剤は、標準的な錠剤化プロセス、例えば、直接圧縮または湿式、乾式もしくは融解造粒、融解凝固プロセスおよび押出によって製造され得る。錠剤核は、単または多層であってよく、当技術分野において公知の適切な保護膜でコーティングされ得る。
【0135】
経口投与のための液体剤形は、薬学的に許容できる乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含む。本発明の化合物または組合せに加えて、液体剤形は、当技術分野において一般的に使用される不活性賦形剤、例を挙げると、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(例えば、綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ種子油等)、Miglyole(登録商標)(CONDEA Vista Co.、Cranford、N.J.から入手可能)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタン脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物等を含有してよい。
【0136】
そのような不活性賦形剤のほかに、組成物は、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、甘味、香味および着香剤等の添加剤も含み得る。
【0137】
本発明の化合物または組合せの経口液体形態は、活性化合物が完全に溶解する溶液を含む。溶媒の例は、経口投与に好適なすべての薬学的に先例のある溶媒、特に、本発明の化合物が良好な溶解度を示すもの、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、食用油ならびにグリセリルおよびグリセリドベースの系を含む。グリセリルおよびグリセリドベースの系は、例えば、下記のブランド製品(および対応するジェネリック製品):Captex(商標)355EP(トリカプリル酸/カプリン酸グリセリル、Abitec製、Columbus Ohio)、Crodamol(商標)GTC/C(中鎖トリグリセリド、Croda製、Cowick Hall、UK)またはLabrafac(商標)CC(中鎖トリグリセリド(triglyides)、Gattefosse製)、Captex(商標)500P(三酢酸グリセリル、すなわちトリアセチン、Abitec製)、Capmul(商標)MCM(中鎖モノおよびジグリセリド、Abitec製)、Migyol(商標)812(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、Condea製、Cranford N.J.)、Migyol(商標)829(カプリル酸/カプリン酸/コハク酸トリグリセリド、Condea製)、Migyol(商標)840(ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、Condea製)、Labrafil(商標)M1944CS(オレオイルマクロゴール-6グリセリド、Gattefosse製)、Peceol(商標)(モノオレイン酸グリセリル、Gattefosse製)およびMaisine(商標)35-1(モノオレイン酸グリセリル、Gattefosse製)を含み得る。特に興味深いのは、中鎖(約C.sub.8からC.sub.10)トリグリセリド油である。これらの溶媒は、高頻度で、組成物の主部、すなわち、約50%超、通常は、約80%、例えば約95%または99%超を構成する。アジュバントおよび添加物が、溶媒とともに、主に矯味剤、嗜好性および香味剤、酸化防止剤、安定剤、質感および粘度調整剤ならびに可溶化剤として含まれていてもよい。
【0138】
懸濁剤は、本発明の化合物または組合せに加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタ水酸化物、ベントナイト、寒天、ならびにトラガカント、またはこれらの物質の混合物等の担体をさらに含んでよい。
【0139】
直腸または膣内投与のための組成物は、好ましくは、坐剤を含み、これは、本発明の化合物または組合せを、通常の室温では固体であるが体温では液体であり、したがって、直腸または膣腔内で融解し、それにより、活性成分を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックス等の好適な非刺激性添加剤または担体と混合することによって調製され得る。
【0140】
本発明の化合物または組合せの局所投与のための剤形は、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、散剤およびスプレー剤を含む。薬物は、薬学的に許容できる添加剤、賦形剤または担体、および、必要とされ得る任意の保存剤、緩衝液または噴射剤と混和される。
【0141】
本発明の化合物のいくつかは、水への溶解度が乏しい、例えば約1μg/mL未満であることがある。したがって、上記で論じた中鎖トリグリセリド油等の可溶化非水性溶媒中の液体組成物は、これらの化合物のための好ましい剤形である。
【0142】
スプレー乾燥プロセスによって形成された分散体を含む固体非晶質分散体も、本発明の溶解度が乏しい化合物のための好ましい剤形である。「固体非晶質分散体」が意味するのは、溶解度が乏しい化合物の少なくとも一部が非晶質形態であり、水溶性ポリマー中に分散されている、固体材料である。「非晶質」が意味するのは、溶解度が乏しい化合物が結晶性ではないことである。「結晶性」が意味するのは、化合物が各次元において少なくとも100の繰り返し単位の三次元の長距離秩序を呈することである。故に、非晶質という用語は、本質的に秩序を有さない材料だけでなく、わずかな程度の秩序を有し得るがその秩序が三次元未満であるおよび/または短距離しかない材料も含むように意図されている。非晶質材料は、当技術分野において公知の技術、例を挙げると、粉末X線回折(PXRD)結晶学、固体状態NMR、または示差走査熱量測定(DSC)等の熱的技術によって特徴付けられ得る。
【0143】
好ましくは、固体非晶質分散体中の溶解度が乏しい化合物の少なくとも大部分(すなわち、少なくとも約60wt%)が非晶質である。化合物は、比較的純粋な非晶質ドメインまたは領域中の固体非晶質分散体内に、ポリマー全体に均質に分布している化合物の固溶体またはこれらの状態もしくはそれらの間の中間にある状態の任意の組合せとして、存在することができる。好ましくは、固体非晶質分散体は実質的に均質であり、そのため、非晶質化合物はポリマー全体に可能な限り均質に分散されている。本明細書において使用される場合、「実質的に均質」は、固体非晶質分散体内の比較的純粋な非晶質ドメインまたは領域中に存在する化合物の割合が比較的小さく、薬物の総量のおよそ20wt%未満、好ましくは10wt%未満であることを意味する。
【0144】
固体非晶質分散体における使用に好適な水溶性ポリマーは、溶解度が乏しい化合物と有害な方式で化学的に反応せず、薬学的に許容できるものであり、生理的に関連するpH(例えば、1~8)で水溶液への少なくともいくらかの溶解度を有するという意味で、不活性であるべきである。ポリマーは、中性またはイオン化可能であることができ、1~8のpH範囲の少なくとも一部を上回る、少なくとも0.1mg/mLの水溶解度を有するべきである。
【0145】
本発明での使用に好適な水溶性ポリマーは、セルロースであっても非セルロースであってもよい。ポリマーは、水溶液中で中性またはイオン化可能であってよい。これらのうち、イオン化可能およびセルロースポリマーが好ましく、イオン化可能セルロースポリマーがより好ましい。
【0146】
例示的な水溶性ポリマーは、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、トリメリト酸酢酸セルロース(CAT)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマー(PEO/PPO、ポロキサマーとしても公知である)、ならびにそれらの混合物を含む。とりわけ好ましいポリマーは、HPMCAS、HPMC、HPMCP、CMEC、CAP、CAT、PVP、ポロキサマー、およびそれらの混合物を含む。最も好ましいのは、HPMCASである。欧州特許出願公開第0901786A2号を参照されたく、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0147】
固体非晶質分散体は、溶解度が乏しい化合物の少なくとも大部分(少なくとも60%)が非晶質状態であるという結果をもたらす固体非晶質分散体を形成するための任意のプロセスに従って調製され得る。そのようなプロセスは、機械的、熱的および溶媒プロセスを含む。例示的な機械的プロセスは、製粉および押出;高温溶融、溶媒修飾溶融(solvent-modified fusion)および融解凝固プロセスを含む融解プロセス;ならびに非溶媒沈殿、スプレーコーティングおよびスプレー乾燥を含む溶媒プロセスを含む。例えば、下記の米国特許を参照されたく、その関連する開示は、参照により本明細書に組み込まれる:押出プロセスにより分散体を形成することを記述する第5,456,923号および第5,939,099号;製粉プロセスにより分散体を形成することを記述する第5,340,591号および第4,673,564号;ならびに融解凝固プロセスにより分散体を形成することを記述する第5,707,646号および第4,894,235号。好ましいプロセスでは、固体非晶質分散体は、欧州特許出願公開第0901786A2号で開示される通り、スプレー乾燥によって形成される。このプロセスでは、化合物およびポリマーが、アセトンまたはメタノール等の溶媒に溶解され、次いで、スプレー乾燥によって溶媒が溶液から迅速に除去されて、固体非晶質分散体を形成する。固体非晶質分散体は、化合物の最大約99wt%、例えば、所望される通りに1wt%、5wt%、10wt%、25wt%、50wt%、75wt%、95wt%、または98wt%を含有するように調製され得る。
【0148】
固体分散体は、それ自体が剤形として使用されてもよいし、またはカプセル剤、錠剤、液剤もしくは懸濁剤等の他の剤形の調製において製造使用製品(MUP)としての働きをしてもよい。水性懸濁剤の例は、2%ポリソルベート-80中に2.5mg/mLの化合物を含有する1:1(w/w)化合物/HPMCAS-HFスプレー乾燥分散体の水性懸濁剤である。錠剤またはカプセル剤において使用するための固体分散体は、概して、典型的にはそのような剤形において見られる他の添加剤またはアジュバントと混合されることになる。例えば、カプセル剤のための例示的な充填剤は、2:1(w/w)化合物/HPMCAS-MFスプレー乾燥分散体(60%)、ラクトース(高速流)(15%)、微結晶性セルロース(例えば、アビセル.sup.(R0-102)(15.8%)、ナトリウムデンプン(7%)、ラウリル硫酸ナトリウム(2%)およびステアリン酸マグネシウム(1%)を含有する。
【0149】
HPMCASポリマーは、日本、東京の信越化学工業株式会社からそれぞれAqoa(登録商標)-LF、Aqoat(登録商標)-MFおよびAqoat(登録商標)-HFとして、低、中および高グレードで入手可能である。より高いMFおよびHFグレードが概して好ましい。
【0150】
好都合なことに、本発明の化合物(または組合せ)は、治療投薬量の化合物が日常の給水とともに摂取されるように、飲用水中に担持され得る。化合物は、好ましくは液体の水溶性濃縮物(水溶性塩の水溶液等)の形態で、飲用水に直接計り入れることができる。
【0151】
これらの化合物を、例えば上記で詳述した適応症のために、ヒト以外の動物に投与してもよい。各活性原料の投与される正確な投薬量は、処置されている動物の種類および病状の種類、動物の年齢、ならびに投与ルートを含むがこれらに限定されない任意の数の要因に応じて変動することになる。
【0152】
式(I)または(II)化合物と併せて(in conjuction with)使用される組合せ医薬作用物質の投薬量は、処置されている適応症に有効なものが使用される。そのような投薬量は、上記で参照したおよび本明細書で提供されるもの等の標準的なアッセイによって決定することができる。組合せ剤は、同時にまたは任意の順序で順次に投与され得る。
【0153】
これらの投薬量は、約60kgから70kgの重量を有する平均的なヒト対象に基づく。内科医は、乳児および高齢者等、その重量がこの範囲外となる対象のための用量を決定することが容易にできるであろう。
【0154】
投薬量レジメンは、最適な所望の応答を提供するように調整され得る。例えば、単回ボーラスが投与されてよく、数回の分割用量が経時的に投与されてよく、または、用量が、治療状況の緊急事態によって指し示されるように比例的に低減もしくは増大されてよい。投与の容易さおよび投薬量の均一性のために投薬量単位形態で非経口組成物を製剤化することがとりわけ有利である。投薬量単位形態は、本明細書において使用される場合、処置される哺乳動物対象のための単位投薬量として適した物理的に不連続な単位を指し、所定分量の活性化合物を含有する各単位は、所望の治療効果を、必要とされる医薬担体と一緒に生成するように算出した。本発明の投薬量単位形態についての仕様は、(a)化学療法剤の独自の特徴および実現される特定の治療または予防効果、ならびに(b)個体における感受性の処置のためにそのような活性化合物を化合物化する技術分野に固有の限定によって決定付けられ、それらに直接依存する。
【0155】
故に、当業者ならば、本明細書で提供される開示に基づき、用量および投薬レジメンが治療技術分野において周知の方法に従って調整されることが分かるであろう。すなわち、最大耐量を容易に確立することができ、検出可能な治療的利益を患者に提供するために各作用物質を投与する一次的な要求と同様に、患者に検出可能な治療的利益を提供する有効量も決定され得る。したがって、ある特定の用量および投与レジメンが本明細書において例示されているが、これらの例は、本発明を実践する際に患者に提供され得る用量および投与レジメンを何ら限定するものではない。
【0156】
用量値は、緩和すべき状態の種類および重症度とともに変動し得、単回または複数回用量を含み得ることに留意されたい。任意の特定の対象では、個々の必要性および組成物を投与するまたはその投与を監督する人物の専門的判定に従って、具体的な投薬量レジメンが経時的に調整されるべきであること、ならびに、本明細書において明記されている投薬量範囲は例示的なものにすぎず、特許請求されている組成物の範囲も実践も制限することを意図していないことを、さらに理解されたい。例えば、用量は、薬物動態または薬力学的パラメーターに基づいて調整されてよく、該パラメーターは、毒性効果および/または検査値等の臨床効果を含み得る。故に、本発明は、当業者によって決定される通りの患者内の用量漸増を包含する。化学療法剤の投与のための好適な投薬量およびレジメン(regiments)を決定することは、関連技術分野において周知であり、本明細書において開示される教示が提供されれば、当業者により、包含されると理解されるであろう。
【0157】
本発明はさらに、医薬(単位投薬量錠剤または単位投薬量カプセル剤等)として使用するための式(I)または(II)の化合物の使用を含む。別の実施形態では、本発明は、処置方法について論じた上記の項において先に同定された状態の1つまたは複数を処置するための医薬(単位投薬量錠剤または単位投薬量カプセル剤等)の製造のための、式(I)または(II)の化合物の使用を含む。
【0158】
本発明の医薬組成物は、単回単位用量として、または複数の単回単位用量として、調製、包装またはバルク販売されてよい。本明細書において使用される場合、「単位用量」は、所定量の活性原料を含む医薬組成物の不連続な量である。活性原料の量は、概して、対象に投与されるであろう活性原料の投薬量、または、例えばそのような投薬量の2分の1もしくは3分の1等、そのような投薬量の好都合な割合に等しい。
【0159】
これらの作用物質および本発明の化合物を、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液等の薬学的に許容できるビヒクルと組み合わせることができる。特定の投薬レジメン、すなわち、用量、タイミングおよび繰り返しは、特定の個体およびその個体の病歴に依存することとなる。
【0160】
許容できる担体、添加剤、または安定剤は、用いられる投薬量および濃度で受容者に対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸等の緩衝剤;塩化ナトリウム等の塩;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド等;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、またはIg等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む単糖、二糖、および他の炭水化物;EDTA等のキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール等の糖;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);および/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含んでよい。
【0161】
これらの作用物質および/または本発明の化合物を含有するリポソームは、米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号において記述されているもの等、当技術分野において公知の方法によって調製される。循環時間が強化されたリポソームは、米国特許第5,013,556号において開示されている。特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いる逆相蒸発法によって産生され得る。リポソームは、定義された細孔径のフィルターを通して押出されて、所望の直径を持つリポソームを産出する。
【0162】
これらの作用物質および/または本発明の化合物は、例えば、コアセルベーション技術によって、または、界面重合、例えば、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルによって、それぞれコロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)もしくはマクロエマルション中に調製されたマイクロカプセルに封入されてもよい。そのような技術は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Mack Publishing(2000)で開示されている。
【0163】
持続放出調製物が使用され得る。持続放出調製物の好適な例は、本発明の化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを含み、このマトリックスは、造形品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態である。持続放出マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)または’ポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸および7L-グルタミン酸エチルのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例を挙げると、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドで構成される注射用マイクロスフェア)で使用されているもの、イソ酪酸酢酸スクロース、ならびにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。
【0164】
静脈内投与に使用される製剤は、無菌でなくてはならない。これは、例えば、滅菌濾過膜に通す濾過によって容易に遂行される。本発明の化合物は、概して、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針によって貫通可能な栓を有する静脈注射溶液バッグまたはバイアルに入れられる。
【0165】
好適な乳剤は、市販されている脂肪乳剤、例を挙げると、Intralipid(商標)、Liposyn(商標)、Infonutrol(商標)、Lipofundin(商標)およびLipiphysan(商標)を使用して調製され得る。活性原料は、予め混合されたエマルション組成物に溶解されるか、または代替として、油(例えば、大豆油、サフラワー油、綿実油、ゴマ油、コーン油またはアーモンド油)およびリン脂質(例えば、卵リン脂質、大豆リン脂質または大豆レシチン)と水との混合時に形成されたエマルションに溶解されるかのいずれかであってよい。乳剤の等張性を調整するために、他の原料、例えば、グリセロールまたはグルコースを添加してよいことが分かるであろう。好適な乳剤は、典型的には、最大20%、例えば、5から20%の間の油を含有することになる。脂肪乳剤は、0.1から1.0μm、特に0.1から0.5μmの間の脂肪小滴を含み、5.5から8.0の範囲内のpHを有することができる。
【0166】
エマルション組成物は、本発明の化合物を、Intralipid(商標)またはその成分(大豆油、卵リン脂質、グリセロールおよび水)と混合することによって調製されるものであることができる。
【0167】
吸入または吹送のための組成物は、薬学的に許容できる、水性もしくは有機溶媒またはそれらの混合物中の溶液および懸濁液、ならびに粉末を含む。液体または固体組成物は、上記で明記した通りの好適な薬学的に許容できる添加剤を含有してよい。一部の実施形態では、組成物は、局部的または全身的効果のために経口または鼻呼吸ルートによって投与される。好ましくは無菌の薬学的に許容できる溶媒中の組成物は、ガスの使用によって噴霧され得る。噴霧溶液は、噴霧デバイスから直接吸い込まれ得るか、または、噴霧デバイスを、フェイスマスク、テントもしくは間欠陽圧呼吸器に取り付けてよい。溶液、懸濁液または粉末組成物は、製剤を適切な方式で送達するデバイスから、好ましくは経口的にまたは鼻内に投与され得る。
【0168】
本明細書における化合粒は、経口、口腔、鼻腔内、非経口(例えば、静脈内、筋肉内または皮下)もしくは直腸投与のために、または吸入による投与に好適な形態で、製剤化され得る。本発明の化合物は、持続送達のために製剤化されてもよい。
【0169】
ある特定の量の活性原料を用いて種々の医薬組成物を調製する方法は、公知であるか、または、本開示を踏まえて、当業者には明らかとなるであろう。医薬組成物を調製する方法の例については、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第20版(Lippincott Williams&Wilkins、2000)を参照されたい。
【0170】
本発明に従う医薬組成物は、0.1%~95%、好ましくは1%~70%の本発明の化合物を含有してよい。いずれにせよ、投与される組成物は、ある分量の本発明に従う化合物を、処置されている対象の疾患/状態を処置するために有効な量で含有することになる。
【0171】
本発明は、別個に投与され得る活性原料の化合物を用いる本明細書において記述される疾患/状態の処置に関する態様を有することから、本発明は、別個の医薬組成物をキット形態で組み合わせることにも関する。キットは、2つの別個の医薬組成物:式(I)または(II)の化合物、そのプロドラッグまたはそのような化合物もしくはプロドラッグの塩と、上述した通りの第2の化合物とを含む。キットは、容器、分割されたボトルまたは分割されたホイル小包等の別個の組成物を含有するための手段を含む。典型的には、キットは、別個の成分の投与指示書を含む。キット形態は、別個の成分が好ましくは異なる剤形(例えば、経口および非経口)で投与され、異なる投薬間隔で投与される場合、または、組合せの個々の成分の滴定が処方医師によって所望される場合に、特に有利である。
【0172】
そのようなキットの例は、いわゆるブリスターパックである。ブリスターパックは、包装業界において周知であり、医薬単位剤形(錠剤、カプセル剤等)の包装に広く使用されている。ブリスターパックは、概して、好ましくは透明なプラスチック材料のホイルで覆われた比較的剛性の材料のシートからなる。包装プロセス中に、陥凹がプラスチックホイル中に形成される。陥凹は、錠剤またはカプセル剤が梱包されるサイズおよび形状を有する。次に、錠剤またはカプセル剤が陥凹に入れられ、比較的剛性の材料のシートが、陥凹が形成された方向とは反対のホイルの面で、プラスチックホイルに対して密封される。結果として、錠剤またはカプセル剤は、プラスチックホイルとシートとの間の陥凹内に密封される。好ましくは、シートの強さは、陥凹に圧力を手動で印加することによって錠剤またはカプセル剤をブリスターパックから除去することができ、それにより、シート内の陥凹の場所に開口部が形成されるようなものである。次いで、錠剤またはカプセル剤を、前記開口部を介して除去することができる。
【0173】
キットへの記憶補助を、例えば、錠剤またはカプセル剤の隣に、そのように指定されている錠剤またはカプセル剤を摂取すべきレジメンの日数の数字と一致する数字の形態で提供することが望ましい場合がある。そのような記憶補助の別の例は、例えば、例えば次の通りにカードに印刷されたカレンダーである:「第一週、月曜日、火曜日等・・・第二週、月曜日、火曜日、・・・」等。記憶補助の他の変形形態は容易に明らかとなるであろう。「1日用量」は、所与の日に服用される単一の錠剤もしくはカプセル剤または数個の丸剤もしくはカプセル剤であることができる。また、式(I)または(II)の化合物の1日用量は、1個の錠剤またはカプセル剤からなっていてもよく、一方、第2の化合物の1日用量は、数個の錠剤またはカプセル剤からなっていてもよく、逆も然りである。記憶補助はこれを反映すべきである。
【0174】
本発明の別の具体的な実施形態では、1日用量を一度に1回分ずつそれらの意図された使用順序で分注するように設計されたディスペンサーが提供される。好ましくは、ディスペンサーは、レジメンへのコンプライアンスをさらに容易にするように、記憶補助を装備している。そのような記憶補助の例は、分注された1日用量の数を指し示す機械的計数器である。そのような記憶補助の別の例は、液晶表示器と、または、例えば、前回の1日用量が服用された日付を読み出し、かつ/または次の用量を服用すべき日付を思い出させる、可聴リマインダーシグナルと連結された、電池式マイクロチップメモリである。
【0175】
また、本発明は、一緒に投与され得る活性原料の組合せを用いる、本明細書において記述される疾患/状態に関する態様を有するため、本発明は、別個の医薬組成物を、単一の錠剤もしくはカプセル剤、二重層もしくは多層錠剤もしくはカプセル剤等の(であるがこれらに限定されない)単一剤形で、または、錠剤もしくはカプセル剤内の隔離された成分もしくは区画の使用によって組み合わせることにも関する。
【0176】
活性原料は、薬学的に許容できる賦形剤、添加剤、ビヒクルまたは担体から選択される追加の溶媒、共溶媒、添加剤または錯体形成剤を加えてまたは加えずに、水性または非水性ビヒクル中の溶液として送達され得る。
【0177】
活性原料は、薬学的に許容できる添加剤を加えて、固体分散体としてまたは自己乳化薬物送達系(SEDDS)として製剤化され得る。
【0178】
活性原料は、即時放出または懸濁放出の錠剤またはカプセル剤として製剤化され得る。代替として、活性原料は、追加の添加剤を加えずに、カプセル殻内の活性原料として単独で送達され得る。
【実施例
【0179】
実験手順
別段の定めがない限り、出発材料は、概して、Aldrich Chemicals Co.(Milwaukee、WI)、Lancaster Synthesis、Inc.(Windham、NH)、Acros Organics(Fairlawn、NJ)、Maybridge Chemical Company,Ltd.(Cornwall、England)およびTyger Scientific(Princeton、NJ)等の商業的供給源から入手可能である。ある特定の一般的な略語および頭字語が用いられており、それらは、AcOH(酢酸)、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)、CDI(1,1’-カルボニルジイミダゾール)、DCM(ジクロロメタン)、DEA(ジエチルアミン)、DIPEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン)、DMAP(4-ジメチルアミノピリジン)、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、EDCI(1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミドヒドロクロリド)、EtO(ジエチルエーテル)、EtOAc(酢酸エチル)、EtOH(エタノール)、HATU(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、HBTU(O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、HOBT(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)、iPrOH(2-プロパノール)、KHMDS(カリウムビス(トリメチルシリル)アミド)、MeOH(メタノール)、MTBE(tert-ブチルメチルエーテル)、NaBH(OAc)(トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)、NaHMDS(ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド)、NMP(N-メチルピロリドン)、SEM([2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル)、TEA(トリエチルアミン)、TFA(トリフルオロ酢酸)、THF(テトラヒドロフラン)、およびT3P(プロパンホスホン酸無水物;2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスフィナン2,4,6-トリオキシド)を含み得る。
【0180】
反応は、空気中で、または、酸素もしくは水分に感受性の試薬もしくは中間体を用いる場合には、不活性雰囲気(窒素またはアルゴン)下で、実施した。適切な場合、反応装置は、ヒートガンを使用して動的真空下で乾燥させ、無水溶媒(Aldrich Chemical Company、Milwaukee、WisconsinのSure-Seal(商標)製品、またはEMD Chemicals、Gibbstown、NJのDriSolv(商標)製品)を用いた。一部の場合には、下記の水のQC基準に到達するまで、4Å分子篩を詰めたカラムに市販の溶媒を通過させた:a)ジクロロメタン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフランについては100ppm未満;b)メタノール、エタノール、1,4-ジオキサンおよびジイソプロピルアミンについては180ppm未満。非常に感受性が高い反応では、溶媒を、金属ナトリウム、水素化カルシウムまたは分子篩でさらに処理し、使用直前に蒸留した。他の市販の溶媒および試薬はさらに精製せずに使用した。他の実施例または方法における手順を参照する合成では、反応条件(反応時間および温度)が変わってもよい。生成物は、概して、真空下で乾燥させた後、さらなる反応に持ち越すか、または生物学的検査に送った。
【0181】
指示されている場合、BiotageイニシエーターまたはPersonal Chemistryエムリーズオプティマイザーマイクロ波を使用するマイクロ波照射によって、反応物を加熱した。反応進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、液体クロマトグラフィー-質量分析(LCMS)および/または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用してモニターした。TLCは、蛍光指示薬(254nm励起波長)を用いるプレコートシリカゲルプレートで実施し、UV光下でならびに/またはI、KMnO、CoCl、リンモリブデン酸および/もしくはモリブデン酸セリウムアンモニウム染色を用いて可視化した。LCMSデータは、Leap Technologiesオートサンプラー、ジェミニC18カラム、MeCN/水勾配、および、TFA、ギ酸もしくは水酸化アンモニウム調整剤のいずれかを用いて、アジレント1100シリーズ機器で獲得した。カラム溶離液は、Waters ZQ質量分析計走査を、100から1200Daまでの正および負イオンモード両方で使用して分析した。他の同様の機器も使用した。HPLCデータは、ジェミニまたはクロスブリッジC18カラム、MeCN/水勾配、および、TFAまたは水酸化アンモニウム調整剤のいずれかを用いて、アジレント1100シリーズ機器で獲得した。試料をHP5973質量選択検出器で、電子イオン化を用いて50から550Daまでを走査して分析した。精製は、Iscoコンビフラッシュコンパニオン、AnaLogixインテリフラッシュ280、Biotage SP1、またはBiotageアイソレラワン機器およびプレパックIscoレディセップもしくはBiotageスナップシリカカートリッジを使用する中速液体クロマトグラフィー(MPLC)によって実施した。キラル精製は、BergerまたはThar機器;キラルパック-AD、-AS、-IC、キラルセル-ODまたは-OJカラム;および、単独のまたはTFAもしくはiPrNHを使用して修飾された、MeOH、EtOH、iPrOHまたはMeCNを加えたCO混合物を使用する、キラル超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)によって実施した。UV検出を使用して、分別捕集を誘引した。他の実施例または方法における手順を参照する合成では、精製は変動し得る:概して、溶離液/勾配に使用する溶媒および溶媒比は、適切なRfSまたは保持時間を提供するように選択した。
【0182】
質量分析データは、LCMS分析により報告される。質量分析(MS)は、大気圧化学イオン化(APCI)、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、電子衝撃イオン化(EI)または電子散乱(ES)イオン化源を介して実施した。プロトン磁気共鳴スペクトル法(H NMR)化学シフトは、テトラメチルシランから低磁場のパーツパーミリオンで記され、300、400、500、または600MHzのVarian、BrukerまたはJeol分析計で記録した。化学シフトは、重水素化溶媒残留ピークを参照して、パーツパーミリオン(ppm、δ)で表現される(クロロホルム、7.26ppm;CDHOD、3.31ppm;アセトニトリル-d、1.94ppm;ジメチルスルホキシド-d、2.50ppm;DHO、4.79ppm)。ピーク形状は、次の通りに記述される:s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;quin、五重線;m、多重線;brs、広域一重線;app、見掛け。分析的SFCデータは、上述した通りにBerger分析機器で獲得した。旋光度データは、1dmセルを使用してPerkinElmerモデル343偏光計で獲得した。シリカゲルクロマトグラフィーは、BiotageおよびISCOを含む種々の商業的供給業者によって予め包装されたカラムを使用して、中圧BiotageまたはISCOシステムを主として使用し実施した。マイクロ分析は、Quantitative Technologies Inc.により実施され、算出値の0.4%以内であった。
【0183】
段の注記がない限り、化学反応は、室温(摂氏約23度)で実施した。
【0184】
別段の注記がない限り、すべての反応物を商業的にさらに精製せずに取得したか、または文献に公知の方法を使用して調製した。
【0185】
用語「濃縮した」、「蒸発させた」および「真空で濃縮した」は、60℃未満の浴温度を持つロータリーエバポレーターにおける、減圧での溶媒の除去を指す。略語「min」および「h」は、それぞれ「分」および「時間」を表す。用語「TLC」は、薄層クロマトグラフィーを指し、「室温または周囲温度」は、18℃から25℃の間の温度を意味し、「LCMS」は、液体クロマトグラフィー-質量分析法を指し、「UPLC」は、超高速液体クロマトグラフィーを指し、「HPLC」は、高速液体クロマトグラフィーを指し、「SFC」は、超臨界流体クロマトグラフィーを指す。
【0186】
水素化は、加圧水素ガス下、Parrシェーカー内で、または、完全水素および1から2mL/分の間の流速で、指定された温度にて、Thales-nano Hキューブフロー式水素化装置内で、実施され得る。
【0187】
HPLC、UPLC、LCMS、およびSFC保持時間は、手順において注記されている方法を使用して測定した。
【0188】
一部の実施例では、キラル分離を行って、ある特定の本発明の化合物の鏡像異性体を分離した(一部の実施例では、分離された鏡像異性体をそれらの溶離の順序に従って、ENT-1およびENT-2と指定し;同様に、分離されたジアステレオ異性体は、それらの溶離の順序に従って、DIAST-1およびDIAST-2と指定する)。一部の実施例では、鏡像異性体の旋光度を、旋光計を使用して測定した。その観察された回転データ(またはその特異的回転データ)に従って、時計回りの回転を伴う鏡像異性体を(+)-鏡像異性体と指定し、反時計回りの回転を伴う鏡像異性体を(-)-鏡像異性体と指定した。ラセミ化合物は、描出もしくは記述の立体化学の非存在により、または構造に隣接する(+/-)の存在によりのいずれかで指し示され;後者の場合には、指し示されている立体化学は、ラセミ混合物を構成する2つの鏡像異性体の一方のみを表している。
【0189】
下記は、本発明の種々の化合物の合成を例証する。本発明の範囲内の追加の化合物は、これらの実施例において例証される方法を使用して、単独でまたは当技術分野において概して公知である技術と組み合わせてのいずれかで調製され得る。これらの調製および実施例におけるすべての出発材料は、市販されているか、または当技術分野において公知のもしくは本明細書において記述される通りの方法によって調製できるかのいずれかである。
【0190】
後述する化合物および中間体は、ACD/ケムスケッチ2017.2.1、ファイルバージョンC40H41、ビルド99535(Advanced Chemistry Development,Inc.、Toronto、Ontario、Canada)が提供する命名規則を使用して命名した。ACD/ケムスケッチ2017.2.1が提供する命名規則は、当業者に周知であり、ACD/ケムスケッチ2017.2.1が提供する命名規則は、概して、有機化合物の命名法におけるIUPAC(国際純正応用化学連合)勧告およびCASインデックスルールに適合すると考えられる。
【0191】
調製例P1
2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-カルボン酸(P1)
【0192】
【化4】
ステップ1. 2-[(5-ブロモピリジン-3-イル)オキシ]-3-エトキシピリジン(C1)の合成。
N,N-ジメチルホルムアミド(5.4L)中の2-ブロモ-3-エトキシピリジン(841g、4.16mol)の溶液に、臭化銅(I)(538g、3.75mol)、続いて、炭酸カリウム(1.04kg、7.52mol)を添加した。得られた混合物を25℃で撹拌し、5-ブロモピリジン-3-オール(652g、3.75mol)を一度に添加し、その後すぐに、反応混合物を16時間にわたって、120℃で加熱した。次いで、これを30℃に冷却し、砕氷(9.0kg)および水中の10%アンモニア溶液(7.0L)の混合物にゆっくりと注ぎ入れた。得られた懸濁液を1時間にわたって撹拌した後に、沈澱物を濾過によって収集し、濾過ケーキを水(3×5L)で洗浄した。次いで、これを酢酸エチル(8L)中で1時間にわたって撹拌し、濾過し;濾液を飽和塩化ナトリウム水溶液(5L)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。残渣を石油エーテル(2L)中で撹拌し、固体を濾過によって収集して、C1を提供した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を石油エーテル(200mL)で粉砕して、追加のC1を得た。その2つのバッチを合わせて、C1を黄色の固体として提供した。収量:835g、2.83mol、75%。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.48 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 8.44 (d, J =
2.4 Hz, 1H), 7.71 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.69 (dd, J = 2.2, 2.1 Hz, 1H),
7.24 (dd, J = 7.9, 1.5 Hz, 1H), 7.03 (dd, J = 7.9, 4.9 Hz, 1H), 4.14 (q, J =
7.0 Hz, 2H), 1.47 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0193】
ステップ2. 5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-カルボニトリル(C2)の合成。
N,N-ジメチルホルムアミド(3.0L)中のC1(324g、1.10mol)の溶液に、フェロシアン化カリウム(II)三水和物(697g、1.65mol)を一度に、続いて、水(300mL)を添加した。得られた懸濁液を真空下で脱気し、次いで、窒素でパージし;この排気-パージサイクルを合計4回行った。次いで、酢酸パラジウム(II)(4.94g、22.0mmol)および2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(XPhos;18.7g、39.2mmol)を添加し、排気-パージサイクルを5回行い、反応混合物を18時間にわたって105℃で加熱した。反応混合物を50℃に冷却した後に、これを濾過し、濾液を氷水(3L)に注ぎ入れ、次いで、およそ1時間にわたって撹拌した。得られた固体を濾過によって収集し、酢酸エチル(1.5L)に溶解し、飽和塩化ナトリウム水溶液(1L)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、真空で濃縮して、C2(209g)を黄色の固体として提供した。上記からの水性濾液をtert-ブチルメチルエーテル(2×3L)で抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(0.5L)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、追加のC2(20g)を提供した。合わせた収量:229g、0.949mol、86%。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.71 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.68 (d, J =
1.8 Hz, 1H), 7.80 (dd, J = 2.7, 1.7 Hz, 1H), 7.70 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H),
7.29 - 7.25 (m, 1H, 推定; 溶媒ピークにより一部不明確), 7.08 (dd, J = 8.0, 4.9 Hz, 1H), 4.16 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 1.49
(t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0194】
ステップ3. 5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-カルボキシイミドアミド、塩酸塩(C3)の合成。
メタノール(1.3L)中のC2(180g、0.746mol)の0℃から5℃懸濁液に、メタノール中のナトリウムメトキシドの溶液(5M;30mL、150mmol)を添加した。メタノール(500mL)を添加して、撹拌を促進し、その後すぐに、反応混合物を室温(18℃)に加温させ、20時間にわたって撹拌した。次いで、これを-40℃に冷却し、塩化アンモニウム(48.0g、897mmol)で一度に処理し、その後すぐに、混合物を室温(18℃)に加温し、40時間にわたって撹拌した。真空で濃縮して、メタノールのおよそ半分を除去した後に、得られた白色の沈澱物(無機塩)を濾過により除去した。濾液を酢酸エチル(400mL)で希釈し、およそ400mLの体積に減圧下で濃縮した。この酢酸エチル希釈-濃縮手順を2回繰り返して、酢酸エチルでのメタノールの交換を行った。得られた懸濁液を濾過して、C3を白色の固体として得た。収量:175g、0.594mol、80%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.82 (d, J = 2 Hz, 1H), 8.77 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 8.05 (dd, J = 2,
2 Hz, 1H), 7.66 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.57 (dd, J = 7.9, 1.5 Hz, 1H), 7.18
(dd, J = 7.9, 4.9 Hz, 1H), 4.17 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 1.37 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0195】
ステップ4. メチル2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-カルボキシレート(C4)の合成。
ナトリウム2-(ジメトキシメチル)-3-メトキシ-3-オキソプロパ-1-エン-1-オレート(201g、1.01mol)を、メタノール(1.75L)中のC3(249g、0.845mol)の溶液に一度に添加した。反応混合物、濃厚な懸濁液を、18℃で、20時間にわたって撹拌し、その後すぐに、沈澱物を濾過によって収集して、C4を白色の固体として得た。収量:259g、0.735mol、87%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.40 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.35 (s, 2H), 8.67 (d, J = 2.7 Hz, 1H),
8.37 (dd, J = 2.8, 1.8 Hz, 1H), 7.69 (dd, J = 4.8, 1.5 Hz, 1H), 7.58 (dd, J =
8.0, 1.5 Hz, 1H), 7.19 (dd, J = 8.0, 4.8 Hz, 1H), 4.18 (q, J = 7.0 Hz, 2H),
3.93 (s, 3H), 1.36 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0196】
ステップ5. 2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-カルボン酸(P1)の合成。
この反応を2つの並列バッチで行った:C4(321g、0.911mol)をメタノール(1.6L)に懸濁し、氷水の浴内で冷却し、水酸化ナトリウム溶液(2M;684mL、1.37mol)で滴下方式にて処理した。添加の完了後に、反応混合物を14℃で16時間にわたって撹拌し、その後すぐに、2つのバッチを合わせた。得られた懸濁液を水(3.2L)で希釈し、氷水浴(およそ5℃から10℃)で冷却し、1M塩酸を滴下添加することによってpH3から4に調節した。混合物を14℃で2時間にわたって撹拌し、次いで、濾過し;濾過ケーキを、水(2×1L)および酢酸エチル(1L)で順次に洗浄して、P1を白色の固体として得た。合わせた収量:557g、1.65mol、91%。LCMS m/z 338.9 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 9.39 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.31 (s, 2H), 8.65 (d, J =
2.7 Hz, 1H), 8.36 (dd, J = 2.7, 1.8 Hz, 1H), 7.68 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H),
7.56 (dd, J = 8.0, 1.5 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 8.0, 4.8 Hz, 1H), 4.16 (q, J =
7.0 Hz, 2H), 1.36 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0197】
Cu放射線源(K-α平均)が装備されたBruker AXS D8エンデバー回折計で実行される粉末X線回折分析を使用して、前記と類似の手順を使用して作製された調製例P1材料をさらに分析した。発散スリットを15mm連続照明に設定した。回折される放射線を、PSD-リンクスアイ検出器によって検出し、その際、検出器PSD開口部を3.00度に設定した。X線管電圧およびアンペア数は、それぞれ40kVおよび40mAに設定した。データは、0.01度のステップ幅および1.0秒のステップ時間を使用し、3.0から40.0度2シータまでのCu波長で、シータ-シータゴニオメーターに収集した。散乱防止スクリーンを1.5mmの固定距離に設定した。試料を、収集中に15/分で回転させた。試料は、それらをシリコン低バックグラウンド試料ホルダーに入れ、収集中に回転させることによって調製した。
【0198】
データはBruker DIFFRAC Plusソフトウェアを使用して収集し、分析はEVA diffract plusソフトウェアによって実施した。PXRDデータファイルは、ピーク検索前には加工しなかった。EVAソフトウェアにおけるピーク検索アルゴリズムを使用して、1の閾値を持つ選択されたピークを使用して、予備的なピーク割り当てを行った。妥当性を確実にするために、調整を手動で行い、自動割り当ての出力を視覚的に確認し、ピーク位置をピーク最大値に調整した。3%以上の相対強度を持つピークを概して選択した。分離されなかったまたはノイズと一致するピークは選択しなかった。USPにおいて述べられているPXRDからのピーク位置に関連する典型的な誤差は、最大±0.2°2θである(USP-941)。結晶サイズおよび形態学の変化に基づき、相対ピーク高さの多少の変化が予測される。特徴的なX線粉末回折パターンを図6に提供する。この図からのPXRDデータを下記の表AAにおいてさらに記述する。同様の手順を使用して、調製例P1の結晶性材料の2つのさらなるバッチを調製し、前述の通り分析した。これらのバッチでの特徴的なX線粉末回折パターンを図7および8に提供する。
【0199】
【表1】
【0200】
【表2】
【0201】
C2の代替合成
5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-カルボニトリル(C2)
【0202】
【化5】
1,4-ジオキサン(250mL)中の2-ブロモ-3-エトキシピリジン(10.0g、49.5mmol)の溶液を2分間にわたって、窒素でフラッシュした。次いで、5-ヒドロキシピリジン-3-カルボニトリル(6.54g、54.4mmol)、酢酸パラジウム(II)(556mg、2.48mmol)、1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン(1.41g、2.97mmol)、および炭酸セシウム(32.3g、99.1mmol)を添加し、反応混合物を105℃で16時間にわたって撹拌し、その後すぐに、2-ブロモ-3-エトキシピリジン(7.00g、34.6mmol)を使用して行われた同様の反応と合わせ、室温に冷却した。酢酸エチル(200mL)で希釈した後に、合わせた反応混合物を、珪藻土を通して濾過し、真空で濃縮乾固した。残渣を酢酸エチル(200mL)で希釈し、飽和塩化ナトリウム水溶液(2×200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中0%から35%酢酸エチル)により、C2を黄色の固体として得た。合わせた収量:18.0g、74.6mmol、89%。LCMS m/z 242.1 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.70 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.66 (d, J =
1.8 Hz, 1H), 7.79 (dd, J = 2.7, 1.8 Hz, 1H), 7.69 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H),
7.26 (dd, J = 8.0, 1.5 Hz, 1H), 7.07 (dd, J = 8.0, 4.9 Hz, 1H), 4.15 (q, J =
7.0 Hz, 2H), 1.47 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0203】
調製例P2
2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-カルボン酸(P2)
【0204】
【化6】
ステップ1. 2-ブロモ-3-エトキシ-5-フルオロピリジン(C5)の合成。
炭酸カリウム(697g、5.04mol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(4L)中の2-ブロモ-5-フルオロピリジン-3-オール(745g、3.88mol)の溶液に添加し、その後すぐに、反応容器を排気し、窒素を装入した。この排気サイクルを2回繰り返し、次いで、反応混合物を35℃に加熱した。ヨードエタン(372mL、4.65mol)を30分かけて滴下添加し、反応混合物を35℃で16時間にわたって撹拌した後に、25℃に冷却し、水(6L)で希釈した。撹拌を15分間にわたって25℃で継続した;得られた固体を濾過により収集し、濾液をtert-ブチルメチルエーテル(3×1.5L)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。残渣を最初の濾過から取得した固体と合わせて、C5を茶色の固体として得た。収量:756g、3.44mol、89%。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.88 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 6.90 (dd, J
= 9.5, 2.5 Hz, 1H), 4.10 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 1.51 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0205】
ステップ2. 5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-カルボニトリル(C6)の合成。
この反応を4つの並列バッチで行った。5-ヒドロキシピリジン-3-カルボニトリル(112.6g、937.5mmol)および炭酸セシウム(389g、1.19mol)を一度に、1,4-ジオキサン(2.5L)中のC5(187.5g、852.1mmol)の溶液に添加した。反応容器を排気し、窒素を装入した。この排気サイクルを2回繰り返し、その後すぐに、酢酸パラジウム(II)(9.57g、42.6mmol)および1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン(20.2g、42.6mmol)を反応混合物に添加した。排気-窒素サイクルを上記の通り繰り返し、次いで、反応混合物を85℃で16時間にわたって撹拌した。16時間後に完了しなかったいずれの反応物も、追加の酢酸パラジウム(II)(9.57g、42.6mmol)および1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン(20.2g、42.6mmol)で処理し、85℃でさらに16時間にわたって撹拌した。この時点で、4つの反応混合物を合わせ、濾過し;濾液を真空で濃縮し、残渣を酢酸エチル(3L)に溶解し、次いで、水(6L)で希釈した。得られた混合物を25℃で15分間にわたって撹拌し、その後すぐに、層を分離し、水層を酢酸エチル(3×1L)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(2×3L)で洗浄した後に、それらを硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。残渣をtert-ブチルメチルエーテル(1L)および石油エーテル(2L)の混合物中で、25℃で20分間にわたって撹拌し、得られた固体を濾過によって収集して、C6(813g)を固体として得た。濾液を真空で濃縮し、シリカゲル上でのクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中0%から30%酢酸エチル)に掛けて、追加のC6(52g)を茶色の固体として提供した。合わせた収量:865g、3.34mol、98%。LCMS m/z 259.8 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.73 - 8.64 (m, 2H), 7.77 (br s, 1H),
7.56 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 9.0, 2.5 Hz, 1H), 4.14 (q, J = 7.0 Hz,
2H), 1.50 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0206】
ステップ3. 5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-カルボキシイミドアミド、塩酸塩(C7)の合成。
酢酸エチル(3L)中のC6(919g、3.54mol)の溶液を活性炭(およそ200g)で処理し、次いで、77℃で3時間にわたって撹拌した。得られた混合物を濾過した後に、濾液を真空で濃縮して、C6(894g、3.45mol)を提供した。次いで、次の反応を3つの並列バッチで行った。ナトリウムメトキシド(12.4g、230mmol)をメタノール(2L)中のC6(298g、1.15mol)の0℃溶液に添加した。反応混合物を25℃に加温させ、次いで、25℃で20時間にわたって撹拌し、その後、-40℃に冷却し、塩化アンモニウム(67.6g、1.26mol)で処理した。この時点で、反応混合物を25℃に加温し、25℃で40時間にわたって撹拌し、その後すぐに、3つのバッチを合わせ、真空で濃縮して、C7を茶色のゴム(1.15kg)として得た。この材料をそのまま、次のステップで使用した。LCMS m/z 276.8 [M+H]+.
【0207】
ステップ4. メチル2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-カルボキシレート(C8)の合成。
この反応を、3つの並列バッチで行った。ナトリウム2-(ジメトキシメチル)-3-メトキシ-3-オキソプロパ-1-エン-1-オレート(357g、1.80mol)を一度に、メタノール(2.5L)中のC7(先行するステップから;383g、≦1.15mol)の25℃溶液に添加した。25℃で16時間にわたって撹拌した後に、LCMS分析により評価された通り、3つの反応のうちの2つが完了した。第3の(未完の)反応を追加のナトリウム2-(ジメトキシメチル)-3-メトキシ-3-オキソプロパ-1-エン-1-オレート(54.9g、277mmol)で処理し、撹拌を25℃で6時間にわたって継続した。この時点で、3つのバッチを合わせ、水(8L)で希釈し、濾過した。濾過ケーキを水(2×2L)で洗浄した後に、これをメタノール(1L)およびtert-ブチルメチルエーテル(1L)の混合物中で、3時間にわたって25℃で撹拌し、その後すぐに、懸濁液を濾過して、C8を茶色の固体として提供した。収量:1.0kg、2.7mol、2ステップで78%。LCMS m/z 370.8 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 9.54 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.32 (s,
2H), 8.63 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.55 (dd, J = 2.7, 1.8 Hz, 1H), 7.57 (d, J = 2.5
Hz, 1H), 7.05 (dd, J = 9.2, 2.5 Hz, 1H), 4.16 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 4.00 (s,
3H), 1.51 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0208】
ステップ5. 2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-カルボン酸(P2)の合成。
メタノール(2L)中のC8(500g、1.35mol)の懸濁液を水酸化ナトリウム溶液(2M;1.01L、2.02mol)で滴下方式にて処理した。添加の完了後に、反応混合物を25℃で16時間にわたって撹拌し、その後すぐに、これを水(2L)で希釈した。次いで、pHを、塩酸(1M;およそ1.5L)の滴下添加によって3から4に調節し;得られた混合物を25℃で1時間にわたって撹拌し、固体を濾過によって収集した。濾過ケーキを水(2×1L)で洗浄して、P2をオフホワイト色の固体として提供した。収量:405g、1.14mol、84%。LCMS m/z 356.8 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 9.39 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 9.31 (s, 2H), 8.65 (d, J =
2.7 Hz, 1H), 8.37 - 8.34 (m, 1H), 7.71 (d, AB四重線の成分, J
= 2.6 Hz, 1H), 7.68 (dd, ABX系の成分, J = 9.8, 2.6 Hz, 1H),
4.19 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 1.36 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0209】
調製例P3
tert-ブチル(3S,5S)-3-アミノ-5-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(P3)
【0210】
【化7】
このシークエンス全体を大きなスケールで行った。概して、反応前に、さらに試薬の添加後にも、反応器を-0.07MPa以下に排気し、次いで、標準圧力まで窒素を充填した。このプロセスを概して3回繰り返し、次いで、酸素含有率を評価して、1.0%以下であることを確実にした。有機層のクエンチ、抽出、および洗浄のプロセスのために、混合物を概して、15から60分間にわたって撹拌し、次いで、15から60分間にわたって沈降させ、その後、層を分離した。
【0211】
ステップ1. メチル(2S,4R)-1-ベンジル-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボキシレート(D1)の合成。
トリエチルアミン(93.55kg、924.5mol)をジクロロメタン(968kg)およびメチル(2S,4R)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボキシレート、塩酸塩(56.05kg、308.6mol)の15℃から25℃混合物に、80から120kg/時の基準速度で装入した。混合物を10から20分間にわたって撹拌した後に、臭化ベンジル(79.00kg、461.9mol)を20から30kg/時の基準速度で添加した。反応混合物を15℃から25℃で撹拌し;12時間後に、出発材料の面積パーセントが2%未満になるまで、2から6時間ごとにHPLCによる分析のために試料採取した(HPLC条件。カラム:Waters XBridge BEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:0.1%ヘプタフルオロ酪酸を含有する水;移動相B:アセトニトリル;勾配:B10%を3分間にわたって、次いで、10分かけてB10%から40%へ、次いで、5分かけてB40%から90%へ;流速:1.0mL/分)。メチル(2S,4R)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボキシレートの典型的な保持時間:3.8分。
【0212】
次いで、水(280kg)を100から150kg/時の基準速度および15℃から25℃で反応器に添加した。水層をジクロロメタン(372kg、281L、5体積)で1回抽出し;合わせた有機層を水(280kg)中の塩化ナトリウム(93.0kg)の溶液で洗浄し、次いで、-0.08MPaで、100から150Lの体積まで濃縮したが、その間、温度を約35℃未満に維持した。テトラヒドロフラン(497kg)を、得られた混合物に2回で装入した。混合物を再び、-0.08MPaで100から150Lの体積まで濃縮し、その間、温度を35℃未満に維持した。カールフィッシャー分析および残留ジクロロメタンのための試料採取を行って、水含有率が0.30%以下であり、かつ残留ジクロロメタンが4%以下であることを確実にした。得られた溶液を15℃から30℃に調節して、D1を含有する黄色の溶液を得た。収量:D1(69.14kg、293.9mol、95%)を含有する溶液136.8kg。HPLC純度:90%(HPLC条件。カラム:Waters XBridge BEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:水中10mM酢酸アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分かけてB20%から95%へ;流速:1.0mL/分)。D1の保持時間:4.72分。1H NMR (401 MHz, クロロホルム-d) δ 7.34 - 7.21 (m, 5H), 4.48 - 4.39 (m,
1H), 3.90 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 3.65 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 3.65 (s, 3H), 3.59
(dd, J = 7.9, 7.8 Hz, 1H), 3.32 (dd, J = 10.1, 5.7 Hz, 1H), 2.57 (br s, 1H),
2.45 (dd, J = 10.2, 4.1 Hz, 1H), 2.24 (ddd, J = 13.2, 7.7, 6.9 Hz, 1H), 2.07
(ddd, J = 13.3, 8.0, 3.2 Hz, 1H).
【0213】
ステップ2. メチル(2S,4S)-1-ベンジル-4-フルオロピロリジン-2-カルボキシレート(D2)の合成。
テトラヒドロフラン中のD1の溶液(128.4kg、D1を64.90kg、275.8mol含有)を、テトラヒドロフラン(575kg)を含有する反応器に15℃から25℃で添加した。次いで、トリエチルアミン(114.2kg、1129mol)を35から45kg/時の基準添加速度で添加した。トリエチルアミントリヒドロフルオリド(66.70kg、413.7mol)を混合物に、続いて、ノナフルオロブタン-1-スルホニルフルオリド(128.0kg、423.7mol)を60から80kg/時の基準速度で装入し、反応を15℃から25℃で進行させた。4時間後に、D1の面積パーセントが1%未満になるまで、反応混合物をHPLCによる分析のために2から6時間ごとに試料採取した(HPLC条件。カラム:Waters XBridge BEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:水中10mM酢酸アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分かけてB20%から95%;流速:1.0mL/分)。D1の典型的な保持時間:5.0分。
【0214】
次いで、混合物を10℃から15℃に冷却し、水(325kg)を100から120kg/時の基準速度で、続いて、tert-ブチルメチルエーテル(240.5kg)を15℃から25℃で添加した。有機相を水(198kg)中の炭酸水素ナトリウム(18.2kg、217mol)の溶液で2回洗浄し、次いで、水(130kg)中の塩化ナトリウム(47.2kg)の溶液で2回洗浄した。次いで、これを-0.08MPa以下で、150から200Lの体積まで濃縮し、その間、温度を45℃未満に維持した。得られた混合物を20℃から30℃に調節した後に、tert-ブチルメチルエーテル(123kg、166L、2.5体積)およびn-ヘプタン(112kg、163L、2.5体積)を添加した。得られた混合物を、材料のほぼすべてが濾過されるまで、シリカゲルカラム(シリカゲル112kg)を通して濾過した。次いで、反応器をtert-ブチルメチルエーテル(481kg、10体積)およびn-ヘプタン(444kg、10体積)で20℃から30℃ですすぎ、このすすぎ液も、シリカゲルカラムを通して濾過した。合わせた濾液を、シリカゲル(40kg)を含有する新たなカラムを通して溶離し、溶離液を-0.08MPa以下で、80から100Lの体積まで濃縮し、その間、温度を45℃未満に維持した。得られた溶液を20℃から30℃に調節し、D2を含有する黄色の溶液を得た。収量:溶液104.3kg、D2(52.64kg、221.8mol、80%)を含有。HPLC純度:83%(HPLC条件。カラム:Waters XBridge BEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:水中10mM酢酸アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分かけてB20%から95%;流速:1.0mL/分)。D2での保持時間:7.34分。1H NMR (401 MHz, クロロホルム-d) δ 7.37 - 7.22 (m, 5H), 5.10 (br ddd, J =
54.8, 5, 5 Hz, 1H), 4.03 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 3.70 (s, 3H), 3.59 (d, J = 13.0
Hz, 1H), 3.34 - 3.21 (m, 2H), 2.65 - 2.42 (m, 2H), 2.29 (br ddd, J = 29.8,
14.8, 6.3 Hz, 1H).
【0215】
ステップ3. [(2S,4S)-1-ベンジル-4-フルオロピロリジン-2-イル]メタノール(D3)の合成。
テトラヒドロフラン(352kg)を、15℃から25℃で、窒素下で水素化アルミニウムリチウム(8.20kg、216mol)に添加した。添加の完了後に、混合物を10から15分間にわたって撹拌し、窒素を3から5分間にわたって、反応器の下部から吹き込んだ。混合物を8℃から15℃に調節し、次いで、テトラヒドロフラン中のD2(99.10kg、D2を50.02kg、210.8mol含有)の溶液を35から45kg/時の基準速度で、8℃から15℃で少量ずつ添加した。基質の1/3を添加した後に、反応混合物を0.5から1時間にわたって撹拌し、次いで、分析のために試料採取した。D2装入物の10%以下が残留するまで、追加の材料を添加しなかった。すべてのD2添加が完了したら、反応を8℃から15℃で進行させ;1時間後に、2%以下のD2が観察されるまで、1から3時間ごとに、HPLC分析のために試料採取した(HPLC条件。カラム:Waters XBridge BEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:水中10mM酢酸アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分かけてB20%から95%;流速:1.0mL/分)。D2での典型的な保持時間:7.5分。
【0216】
次いで、反応を、水(8.00kg)およびテトラヒドロフラン(44.5kg)の混合物の添加によりクエンチし;これを0℃から20℃で、6から8kg/時の基準速度で添加した。次いで、水(30.0kg)中の水酸化ナトリウム(1.40kg、35mol)の溶液を、10℃から25℃で、10から20kg/時の基準速度で混合物に装入した。この添加の後に、混合物を0.5から1時間にわたって撹拌した。次いで、4から6時間にわたって、15℃から25℃で、窒素を反応器の下部から混合物に吹き込んだ。混合物を濾過し、収集した固体をテトラヒドロフラン(317kg)と共に15℃から25℃で、1から2時間にわたって撹拌し;次いで、この混合物を濾過した。合わせた濾液を-0.08MPa以下で1から1.2体積まで濃縮し、その間、温度を45℃未満に維持した。2-メチルテトラヒドロフラン(388kg)を混合物に少しずつ装入し、その間、温度を45℃未満に維持した。各添加の後に、混合物を5から10分間にわたって撹拌し、次いで、上記の通り、1から1.2体積まで濃縮した。試料採取を行って、残留テトラヒドロフランが2%以下であること、および水含有率(カールフィッシャー分析による)が0.1%以下であることを確実にした。得られた混合物を15℃から25℃に調節し、2-メチルテトラヒドロフラン(43.0kg)で処理し;撹拌して、D3を含有する黄色の溶液を提供した。収量:溶液102.7kg、D3(41.05kg、196.2mmol、93%)を含有。HPLC純度:90%(HPLC条件。カラム:Waters XBridge BEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:水中10mM酢酸アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分かけてB20%から95%;流速:1.0mL/分)。D3での保持時間:5.38分。1H NMR (401 MHz, クロロホルム-d), 特徴的ピーク: δ 7.37
- 7.23 (m, 5H), 5.05 (br ddd, J = 54.5, 4.7, 4.5 Hz, 1H), 4.04 (d, J = 13.3 Hz,
1H), 3.54 - 3.45 (m, 1H), 3.33 (d, J = 13.3 Hz, 1H), 3.23 (br dd, J = 18.5,
11.7 Hz, 1H), 2.83 - 2.75 (m, 1H), 2.63 (br d, J = 9.2 Hz, 1H), 2.49 - 2.10 (m,
3H).
【0217】
ステップ4. (3R,5S)-1-ベンジル-5-フルオロピペリジン-3-オール(D4)の合成。
2-メチルテトラヒドロフラン中のD3の溶液(102.6kg、D3を41.03kg、196.1mol含有)を2-メチルテトラヒドロフラン(160kg)に15℃から25℃で添加した。次いで、トリフルオロ無水酢酸(42.20kg、200.9mol)を35から45kg/時の基準速度で、続いて、トリエチルアミン(61.1kg、604mol)を35から45kg/時の基準速度で添加した。反応混合物を15℃から25℃で1時間にわたって維持し、次いで、77℃から82℃に加熱した。12時間後に、D3の面積パーセントが3%以下になるまで、反応物をHPLC分析のために1から12時間ごとに試料採取した(HPLC条件。カラム:Waters XBridge BEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:水中10mM酢酸アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分かけてB20%から95%へ;流速:1.0mL/分)。D3での典型的な保持時間:5.8分。
【0218】
その時点で、反応混合物を10℃から20℃に冷却し、水(41.1kg)中の水酸化ナトリウム(3.30kg、82mol)の溶液で、34から45kg/時の基準速度で処理し、その間、温度を10℃から30℃の間に維持した。添加の完了後に、混合物を1時間にわたって撹拌し、その後すぐに、水(82.2kg)中の塩化ナトリウム(23.1kg)の溶液で15℃から30℃で洗浄した。水層をtert-ブチルメチルエーテル(150kg、203L、5体積)で15℃から30℃で1回抽出し、合わせた有機層を-0.08MPa以下で1から1.2体積まで濃縮し、その間、温度を45℃未満に維持した。混合物を水(162kg)で2回、15℃から30℃で洗浄し、有機相をトリエチルアミンのために試料採取して、トリエチルアミンレベルが3%以下であることを確実にした。次いで、これを-0.08MPa以下で1から1.2体積まで濃縮し、その間、温度を45℃未満に維持した。テトラヒドロフラン(110kg)を添加し、得られた混合物を再び、-0.08MPa以下で1から1.2体積まで濃縮し、その間、温度を45℃未満に維持した。得られた材料を20℃から30℃に冷却して、D4を含有する暗茶色の溶液を得た。収量:溶液153.5kg、D4を含有(36.50kg、174.4mmol、89%)。HPLC純度:85%(HPLC条件。カラム:Waters XBridge BEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:水中10mM酢酸アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分かけてB20%から95%;流速:1.0mL/分)。D4での保持時間:5.88分。1H NMR (401 MHz, クロロホルム-d) δ 7.36 - 7.23 (m, 5H), 4.84 - 4.66 (m,
1H), 3.90 - 3.81 (m, 1H), 3.62 - 3.59 (m, 2H), 2.92 - 2.76 (m, 2H), 2.69 (dd, J
= 11.5, 5.0 Hz, 1H), 2.54 - 2.39 (m, 2H), 2.10 - 1.98 (m, 1H), 1.95 - 1.78 (m,
1H).
【0219】
ステップ5. tert-ブチル(3S,5R)-3-フルオロ-5-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート(D5)の合成。
15℃から30℃のテトラヒドロフラン中のD4(D4を30.03kg、143.5mol含有)、テトラヒドロフラン(218kg)、および二炭酸ジ-tert-ブチル(47.10kg、215.8mol)の混合物を、表面下のパイプを介して0.2から0.3MPaまで窒素でパージし、次いで、0.02から0.05MPaまで排気した。このパージおよび排気手順を5から8回の間で繰り返した。炭上のパラジウム(10%、3.00kg)を反応器に15℃から30℃で装入し、次いで、固体添加漏斗を水(0.26kg)ですすいだ。反応混合物を、表面下のパイプを介して0.1から0.2MPaまで窒素でパージし、次いで、15℃から30℃で0.02から0.05MPaまで排気し;このパージおよび排気手順を5から8回の間で繰り返した。次いで、同一のパージ-排気プロトコールを、水素を用いて行った。最後の水素交換の後に、圧力を、水素を用いて0.1から0.2MPaまで上昇させた。次いで、反応混合物を1から3時間ごとに窒素で2回交換し、表面下のパイプを介して0.1から0.2MPaまで水素でパージし、続いて、0.02から0.05MPaまで排気した。交換の後に、水素圧力を0.1から0.2MPaに上昇させ、反応混合物を20℃から30℃に維持した。8時間後に、反応物を、D4のレベルが1.0%以下になるまで、1から12時間ごとにHPLC分析のために試料採取した(HPLC条件。カラム:Waters XSelect Phenyl-Hexyl、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水;移動相B:0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル;勾配:15分かけてB5%から35%;流速:1.0mL/分)。
【0220】
次いで、混合物を、表面下のパイプを介して0.2から0.3MPaまで窒素でパージし、次いで、15℃から30℃で0.02から0.05MPaまで排気し;このサイクルを9回以上繰り返した。反応混合物を20℃から30℃でステンレス鋼ヌッチェフィルターに通し、濾過ケーキをテトラヒドロフラン(26.6kg、29.9L、1体積)ですすぎ;合わせた濾液を、シリカゲル(15.1kg)が装填されたフィルターに通し、シリカ濾過ケーキをテトラヒドロフラン(52.7kg、59.3L、2体積)ですすいだ。これらの合わせた濾液を15℃から30℃でインラインフィルターに通し、-0.08MPa以下で1.1から1.4体積の体積まで濃縮し、その間、温度を45℃未満に維持した。得られた混合物を15℃から45℃でn-ヘプタン(102kg)で処理し、10分間にわたって撹拌し、その後すぐに、混合物を試料採取して、残留テトラヒドロフランが8%未満であることを確実にした。テトラヒドロフラン(6.90kg)およびn-ヘプタン(101kg)を15℃から45℃で添加し、混合物を50℃から55℃に加熱し、次いで、18℃から25℃に冷却し、1時間にわたって撹拌した。D5の種結晶(0.06kg;下の由来を参照されたい)を混合物に装入し、次いで、これを1から2時間にわたって撹拌し、その間、温度を18℃から25℃に維持した。撹拌を15℃から20℃で8から12時間にわたって継続して結晶化した。窒素を、反応器の下部から2から3時間ごとに吹き込み、濃縮を行った。次いで、混合物を、ステンレス鋼ヌッチェフィルターを使用して濾過し;濾過ケーキをn-ヘプタン(20.4kg)およびテトラヒドロフラン(0.81kg)の混合物ですすぎ、次いで、試料採取が残留テトラヒドロフラン720ppm以下および残留n-ヘプタン5000ppm以下であることを指し示すまで、20℃から30℃で乾燥させた。生成物D5を、オフホワイト色の固体として取得した。収量:12.15kg、アッセイによると97.5%;修正重量:11.84kg、54.00mol。母液回収からの追加の材料:5.17kg、23.6mmol。合わせた収量:54%。HPLC純度:94%(HPLC条件。カラム:Waters XSelect Phenyl-Hexyl、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水;移動相B:0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル;勾配:15分かけてB5%から35%;流速:1.0mL/分)。D5での保持時間:12.58分。1H NMR (401 MHz, クロロホルム-d) δ 4.69 (br d, JHF = 47.2 Hz,
1H), 3.86 - 3.76 (m, 1H), 3.62 - 3.35 (m, 3H), 2.64 - 2.44 (m, 1H), 2.18 - 1.92
(m, 2H), 1.46 (s, 9H).
【0221】
D5の種結晶の調製例:D4の、より小さな規模での水素化反応を前述の通りに行った;炭素上のパラジウムの除去後に、得られたテトラヒドロフラン中のD5の溶液をおよそ1から1.2体積まで濃縮した(使用されるD4の量に基づき)。得られた混合物をテトラヒドロフラン(0.2体積)およびn-ヘプタン(15体積)で処理し、50℃から55℃に加熱し、次いで、15℃から20℃に冷却させた。懸濁液を6から8時間にわたって撹拌した後に、濾過して、D5を固体として得た;この材料を種結晶として使用した。
【0222】
ステップ6. tert-ブチル(3S,5R)-3-フルオロ-5-[(メチルスルホニル)オキシ]ピペリジン-1-カルボキシレート(D6)の合成。
ジクロロメタン(229kg)を反応器に15℃から25℃で、続いて、D5(17.40kg;アッセイ結果から修正:16.96kg、77.35mol)を装入し;次いで、窒素を下部から吹き込んだ。トリエチルアミン(9.80kg、96.8mol)を15℃から25℃で添加し、その後すぐに、反応混合物を0℃から5℃に冷却した。混合物を0℃から10℃に維持しながら、塩化メタンスルホニル(10.18kg、88.88mol)を添加し、反応を0℃から10℃で進行させた。1時間後に、これを、D5の面積パーセントが1%未満になるまで1から3時間ごとに試料採取した(HPLC条件。カラム:Waters XBridge BEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:水中10mM酢酸アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分かけてB30%から95%;流速:1.0mL/分)。D5での典型的な保持時間:4.31分。
【0223】
この時点で、水(52.0kg)を混合物に0℃から5℃で、20から38kg/時の基準速度で装入した。得られた混合物の水相を0℃から10℃で、ジクロロメタン(70.4kg、53.1L、3体積)で抽出し、合わせた有機層を水(17.4kg)中の塩化ナトリウム(4.30kg)の溶液で0℃から15℃で洗浄し、続いて、-0.09MPa以下で2から3体積まで濃縮し、その間、温度を30℃未満に維持した。残渣を0℃から30℃でtert-ブチルメチルエーテル(128kg)で少しずつ希釈し、次いで、混合物を-0.09MPa以下で2から3体積まで濃縮し、その間、温度を30℃未満に維持した。tert-ブチルメチルエーテル(65.0kg)を再び、0℃から30℃で混合物に少量ずつ装入し、混合物を再び、-0.09MPa以下で2から3体積まで濃縮し、その間、温度を30℃未満に維持した。このプロトコールを、ジクロロメタンについての分析が2%以下の残留ジクロロメタンレベルを提供するまで繰り返した。次いで、混合物を35℃から40℃に加熱し、n-ヘプタン(116kg)を40から60kg/時の基準速度で添加し、その後すぐに、混合物を10℃から15℃/時の基準速度で0℃から10℃にゆっくりと冷却した。これを次いで、0℃から10℃で2時間にわたって撹拌した。濾過は、濾過ケーキを提供し、これをn-ヘプタン(22.5kg)ですすぎ、次いで、35℃から40℃で、窒素流下で乾燥させた。得られた固体をtert-ブチルメチルエーテル(59.4kg)と15℃から30℃で混合し、次いで、35℃から40℃に加熱した。n-ヘプタン(119kg)を35℃から40℃で、40から60kg/時の基準速度で添加し、得られた混合物を10℃から15℃/時の基準速度で0℃から10℃にゆっくりと冷却した。混合物を0℃から10℃で2時間にわたって撹拌した後に、これを濾過し、濾過ケーキをn-ヘプタン(23.6kg)ですすいだ。収集された固体を35℃から40℃で、残留tert-ブチルメチルエーテルが5000ppm以下になり、残留n-ヘプタンが5000ppm以下になり、カールフィッシャー分析が0.1%以下の水含有率を明らかにするまで、乾燥させた。得られた材料を15℃から30℃に冷却して、D6を白色の固体として得た。収量:19.35kg、アッセイによると98.3%;修正重量:19.02kg、63.97mol、83%。HPLC純度:99%(HPLC条件。カラム:Waters XBridge BEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:水中10mM酢酸アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分かけてB30%から95%;流速:1.0mL/分)。D6での保持時間:4.98分。1H NMR (401 MHz, クロロホルム-d) δ 4.79 - 4.52 (m, 2H), 3.72 - 3.53 (m,
4H), 3.06 (s, 3H), 2.36 - 2.11 (m, 2H), 1.46 (s, 9H).
【0224】
ステップ7. tert-ブチル(3S,5S)-3-アジド-5-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(D7)の合成。
N,N-ジメチルホルムアミド(174kg)およびD6(18.45kg;アッセイで修正、18.14kg、61.01mol)を反応器に装入し、15℃から30℃で、溶液が得られるまで撹拌し、その後すぐに、アジ化ナトリウム(6.05kg、93.1mol)を15℃から30℃で添加した。反応混合物を20℃から35℃/時の基準速度で78℃から88℃に加熱し、次いで、78℃から88℃で反応させた。6から12時間後に、反応混合物を、D6の面積パーセントが0.5%未満になるまで、HPLC分析のために2から8時間ごとに試料採取した(HPLC条件。カラム:Waters XBridge BEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:0.1%酢酸アンモニウムを含有する水;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分かけてB20%から95%;流速:1.0mL/分)。D6での典型的な保持時間:6.4分。
【0225】
混合物を10℃から20℃に冷却した後に、tert-ブチルメチルエーテル(68.7kg)および水(185kg)を35から85kg/時の基準速度で添加し、撹拌を10から20分間にわたって継続した。混合物を濾過し、濾液の水層をtert-ブチルメチルエーテル(2×69kg、93L、5体積)で抽出した。合わせた有機層を水(2×56kg、56L、3体積)で洗浄して、D7をtert-ブチルメチルエーテル中の薄黄色の溶液として得た。収量:185.4kg;tert-ブチルメチルエーテル中の溶液、D7を14.90kg、61.01mol含有すると仮定、100%。HPLC純度:80%(HPLC条件。カラム:Waters XBridge BEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:0.1%酢酸アンモニウムを含有する水;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分かけてB20%から95%;流速:1.0mL/分)。D7での保持時間:8.37分。
【0226】
ステップ8. tert-ブチル(3S,5S)-3-アミノ-5-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(P3)の合成。
メタノール(30.2kg)およびD7(先行するステップからのtert-ブチルメチルエーテル溶液185.4kg;D7を61.01mmol含有すると仮定)を反応器に15℃から30℃で装入した。混合物を、表面下のパイプを介して0.2から0.3MPaまで窒素でパージし、次いで、0.02から0.05MPaまで排気し;このパージ/排気操作を、酸素含有率が1.0%未満になるまで、5から8回行った。炭上のパラジウム(10%、0.95kg)を15℃から30℃で添加し、その後すぐに、添加漏斗を水(0.15kg)ですすいだ。得られた混合物を、表面下のパイプを介して0.2から0.3MPaまで窒素でパージし、次いで、15℃から30℃で0.02から0.05MPaまで排気した。このパージ/排気手順を9回以上繰り返した。次いで、水素を窒素の代わりに用いたことを除いて、同じ手順を5から8回行った。次いで、反応混合物を、表面下のパイプを介して0.1から0.2MPaまで水素でパージし、20℃から30℃で反応させた。水素を1から3時間ごとに2回次の方式で交換した:混合物を、表面下のパイプを介して0.1から0.2MPaまで水素でパージし、次いで、0.02から0.05MPaまで排気し、最後に、0.1から0.2MPaまで水素でパージした。20℃から30℃での6から12時間後に、反応混合物を、D7の面積パーセントが1.0%以下になるまで、HPLC分析のために3から12時間ごとに試料採取した(HPLC条件。カラム:Waters XBridge BEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:0.1%酢酸アンモニウムを含有する水;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分かけてB20%から95%;流速:1.0mL/分)。D7での典型的な保持時間:8.6分。
【0227】
次いで、反応混合物を、0.2から0.3MPaまで窒素でパージし、15℃から30℃で0.02から0.05MPaまで排気した。このパージ/排気手順を9回以上行った。20℃から30℃で濾過し、続いて、tert-ブチルメチルエーテル(30.0kg、40.5L、D6に対して2体積)で濾過ケーキをすすいで、濾液を提供し、これを、-0.08MPaで20から30Lの体積まで濃縮し、その間、温度を40℃未満に維持した。n-ヘプタン(25.0kg)を15℃から30℃で添加し、得られた混合物を同じ方式で、19から30Lの体積まで濃縮した。n-ヘプタン(25.0kg)を再び添加し、濃縮を同じ方式で、35から40Lの体積まで行い;これを40℃から50℃に加熱し、その温度で1から2時間にわたって撹拌し、48℃から53℃で濾過した。収集された固体を35℃から45℃で窒素流下で乾燥させた。6から12時間後に、残留tert-ブチルメチルエーテルが5000ppm以下になり、残留n-ヘプタンが5000ppm以下になり、かつ残留メタノールが3000ppm以下になるまで、材料を分析のために2から12時間ごとに試料採取した。次いで、固体を15℃から30℃に冷却し、生成物の外観が均一になるまで篩って、20℃から30℃でジクロロメタン(187kg)に溶解した。これを1から2時間にわたって撹拌した後に、濾過し、有機層を-0.08MPaで25から35Lの体積まで濃縮し、その間、温度を40℃未満に維持した。得られた混合物をn-ヘプタン(3体積)で希釈し、18から22L(およそ3体積)の体積まで濃縮し;この操作を合計3回繰り返し、ジクロロメタンへのn-ヘプタンの交換を行った。得られた混合物を撹拌し、20℃から30℃で結晶化し;次いで、これを濾過してP3をオフホワイト色の固体として単離した。収量:5.60kg、アッセイによると98%;修正重量:5.48kg、25.1mol、2ステップで41%。HPLC純度:99%(HPLC条件。カラム:Waters XBridge BEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:0.1%酢酸アンモニウムを含有する水;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分かけてB20%から95%;流速:1.0mL/分)。P3での保持時間:4.93分。1H NMR (401 MHz, クロロホルム-d), 特徴的ピーク: δ 4.78
(br d, JHF = 46.7 Hz, 1H), 4.27 - 3.91 (m, 2H), 3.21 - 3.11 (m, 1H),
3.02 - 2.84 (m, 1H), 2.62 - 2.35 (m, 1H), 2.29 - 2.17 (m, 1H), 1.44 (s, 9H).
【0228】
調製例P4
2-(5-((3-(エトキシ-d)ピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボン酸(P4)
【0229】
【化8】
ステップ1. 3-(エトキシ-d)ピリジンの合成。
反応を、2つの並列バッチで行い;実施例バッチの調製を続ける:トリ-n-ブチルホスフィン(8.40mL、33.6mmol、2.0当量)を、25℃でテトラヒドロフラン(60mL)中の3-ヒドロキシピリジン(1600mg、16.8mmol、1.0当量)およびエタノール-d(1.18mL、20.2mmol、1.2当量)の溶液に添加した。次いで、1,1’-(アゾジカルボニル)ジピペリジン(8490mg、33.6mmol、2.0当量)を添加し、黄色の溶液を40℃で16時間にわたって撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液に、水(50mL)を添加し、混合物を酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機層をブライン(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製の生成物を得た。粗製の生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ISCO 80g、石油エーテル中3%EtOAc)により精製して、標題化合物を黄色油として得た。合わせたバッチは3.70g(86%)をもたらした。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.29 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.19 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 7.12-7.24 (m,
2H).
【0230】
ステップ2. 3-(エトキシ-d)ピリジン-1-オキシドの合成。
m-クロロペルオキシ安息香酸(7620mg、37.5mmol、1.3当量)を、0℃でジクロロメタン(150mL)中の3-(エトキシ-d)ピリジン(3700mg、28.9mmol、1.0当量)の溶液に添加した。反応混合物を15℃で3日間、撹拌した。チオ硫酸ナトリウム水溶液(100mL)を添加した。反応混合物を15℃で0.5時間にわたって撹拌した。混合物をジクロロメタン(100mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製の生成物を得た。粗製の生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン-10:1 ジクロロメタン:メタノール)により精製して、標題化合物(2500.0mg、60.1%)を赤色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.93-8.00 (m, 1H), 7.86-7.92 (m, 1H), 7.15 (dd, J = 8.6, 6.4
Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 8.6, 2.2, 0.7 Hz, 1H).
【0231】
ステップ3. 2-((5-ブロモピリジン-3-イル)オキシ)-3-(エトキシ-d)ピリジンの合成。
ジイソプロピルエチルアミン(11.3mL、65.0mmol、3.75当量)およびブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(10.5g、22.5mmol、(1.3当量)を、0℃のテトラヒドロフラン(60mL)中の3-(エトキシ-d)ピリジン-1-オキシド(2500mg、17.3mmol、1.0当量)および3-ブロモ-5-ヒドロキシピリジン(3020mg、17.3mmol、1.0当量)の撹拌溶液に添加した。反応混合物を15℃で18時間にわたって撹拌した。反応混合物を濃縮乾固し、ジクロロメタン(150mL)に溶解した。有機層を、1N水酸化ナトリウム(150mL)、水(100mL)、およびブライン(100mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、油状物を得た。粗製の油状物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル-80:20 石油エーテル:酢酸エチル)により精製して、生成物(3600.0mg、69.2%)を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 8.48 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.44 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.65-7.74
(m, 2H), 7.19-7.29 (m, 1H), 7.03 (dd, J = 7.9, 4.9 Hz, 1H).
【0232】
ステップ4. (5-((3-(エトキシ-d)ピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)ボロン酸の合成
ビス(ピナコラト)ジボロン(3800mg、15.0mmol、1.2当量)、酢酸カリウム(3670mg、37.4mmol、3.0当量)および[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(Pd(dppf)Cl2;456mg、0.62mmol、0.05当量)を、ジオキサン(120mL)中の2-((5-ブロモピリジン-3-イル)オキシ)-3-(エトキシ-d)ピリジン(3740mg、12.5mmol、1.0当量)の溶液に添加した。得られた混合物を脱気し、窒素で3回パージし、次いで、100℃で、N下で、2時間にわたって撹拌した。得られた混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチル(200mL)で希釈し、ブライン(100mL)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固して、粗製の生成物(7000.0mg)を茶色油として得、これをそのまま、次のステップのために使用した。MS(ES+)265.8(M+H).
【0233】
ステップ5. エチル2-(5-((3-(エトキシ-d)ピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートの合成
反応を2つの並列バッチで行い;実施例バッチの調製を続ける:エチル2-クロロピリミジン-5-カルボキシレート(1000mg、5.4mmol、1.5当量)、炭酸カリウム(980mg、7.1mmol、2.0当量)および[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、ジクロロメタン錯体(130mg、0.18mmol、0.05当量)を、ジオキサン(25mL)および水(2.5mL)中の(5-((3-(エトキシ-d)ピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)ボロン酸(1880mg、3.6mmol、1.0当量)の溶液に添加した。得られた混合物を窒素でフラッシュし、次いで、90℃で2時間にわたって撹拌した。反応物を濾過し、濾液を濃縮した。残渣を酢酸エチル(200mL)で希釈し、ブライン(2×100mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製の生成物を得た。粗製の材料を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル;70:30)により精製して、生成物を黄色の固体として得た。合わせたバッチは2.3g(50%)をもたらした。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 9.57 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 9.34 (s, 2H), 8.68 (d, J = 2.7 Hz,
1H), 8.61 (dd, J = 2.6, 1.8 Hz, 1H), 7.73 (dd, J = 4.8, 1.6 Hz, 1H), 7.28-7.28
(m, 1H), 7.04 (dd, J = 8.1, 4.9 Hz, 1H), 7.00-7.08 (m, 1H), 4.48 (q, J = 7.1
Hz, 2H), 1.46 (t, J = 7.1 Hz, 4H). MS (ES+) 372.1 (M+H).
【0234】
ステップ6:2-(5-((3-(エトキシ-d)ピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボン酸(P4)
反応を2つの並列バッチで行い;実施例バッチの調製を続ける:水酸化ナトリウム(1080mg、26.9mmol、5.0当量)を、15℃のテトラヒドロフラン(70mL)および水(35mL)中のエチル2-(5-((3-(エトキシ-d)ピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(2000mg、5.4mmol、1.0当量)の溶液に添加した。得られた溶液を15℃で1時間にわたって撹拌した。混合物を濃縮して、テトラヒドロフランを除去した。水性混合物を4M塩酸で4のpHまで酸性化し、水(50mL)で希釈し、15℃で20分間にわたって撹拌した。固体を濾過し、水(3×10mL)で洗浄し、乾燥させて、2-(5-((3-(エトキシ-d)ピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボン酸を緑色の固体として得た。合わせたバッチは、1.28g(60%)をもたらした。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.41 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 9.33 (s, 2H) 8.67 (d, J = 2.7 Hz, 1
H), 8.33-8.41 (m, 1H) 7.70 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.58 (dd, J = 7.8, 1.5
Hz, 1H), 7.19 (dd, J = 7.8, 4.9 Hz, 1H). HRMS (TOF) 344.1402 (M+H).
【0235】
(実施例1)
2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、ビス(トリフルオロ酢酸)塩(1)
【0236】
【化9】
ステップ1. ベンジル(3R,4S)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(C9)の合成。
クロロギ酸ベンジル(0.116mL、0.813mmol)を、テトラヒドロフラン(8mL)中のtert-ブチル[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]カルバメート(150mg、0.69mmol)および炭酸ナトリウム(146mg、1.38mmol)の0℃混合物に添加し、反応混合物を25℃で3日間撹拌した。次いで、これを水(20mL)で処理し、酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮して、C9を無色の油状物(290mg)として得た。この材料は、H NMR分析によると不純物を含有したが、さらに精製せずに、次のステップで使用した。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d), 特徴的ピーク: δ 4.95
- 4.76 (m, 2H), 3.87 - 3.68 (m, 1H), 3.12 - 2.99 (m, 1H), 2.11 - 1.96 (m, 1H),
1.45 (s, 9H).
【0237】
ステップ2. ベンジル(3R,4S)-3-アミノ-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート、塩酸塩(C10)の合成。
C9(先行するステップから;290mg、0.69mmol以下)および塩化水素(1,4-ジオキサン中4M溶液;6.0mL)の混合物を15℃で1時間にわたって撹拌し、その後すぐに、真空で濃縮して、C10を白色の固体として得た。収量:200mg、0.69mmol、2ステップで定量的。1H NMR (400 MHz, 重水) δ 7.48 - 7.33 (m, 5H), 5.14 (s, 2H), 5.11
(br d, JHF = 48 Hz, 1H), 4.11 - 3.94 (m, 1H), 3.88 - 3.28 (m, 4H),
2.14 - 2.01 (m, 1H), 2.01 - 1.81 (m, 1H).
【0238】
ステップ3. ベンジル(3R,4S)-3-{[(2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-イル)カルボニル]アミノ}-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(C11)の合成。
N,N-ジメチルアセトアミド(3.0mL)中のP2(50.0mg、0.140mmol)の25℃溶液に、C10(48.6mg、0.168mmol)、トリエチルアミン(58.7μL、0.421mmol)、および2-クロロ-1,3-ジメチル-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-3-イウムクロリド(71.2mg、0.421mmol)を添加した。反応混合物を50℃で1時間にわたって撹拌した後に、水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を、飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。シリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶離液:9:1 酢酸エチル/石油エーテル)は、C11を黄色の固体として提供した。収量:80.0mg、0.135mmol、96%。LCMS m/z 591.2 [M+H]+.
【0239】
ステップ4. 2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、ビス(トリフルオロ酢酸)塩(1)の合成。
炭素上の10%パラジウム(60.0mg)を、テトラヒドロフラン(10mL)中のC11(60.0mg、0.102mmol)の溶液に添加し、その後すぐに、混合物を真空下で脱気し、次いで、水素でパージし;この排気-パージサイクルを合計3回行った。次いで、反応混合物を水素のバルーン下で2時間にわたって25℃で撹拌し、その時点で、C11(20.0mg、33.9μmol)を使用して行われた同様の反応と合わせ、濾過した。濾液を真空で濃縮し、逆相HPLC(カラム:Agela Durashell C18、5μm;移動相A:水中0.1%トリフルオロ酢酸;移動相B:アセトニトリル;勾配:B14%から44%を使用して精製して、2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、ビス(トリフルオロ酢酸)塩を黄色のゴムとして得た。合わせた収量:28.1mg、41.1μmol、30%。LCMS m/z 457.4 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d), 特徴的ピーク: δ 9.52
(br s, 1H), 9.16 (br s, 2H), 8.80 (s, 1H), 8.78 - 8.57 (m, 2H), 7.54 (s, 1H),
7.06 (dd, J = 9.2, 2.3 Hz, 1H), 4.99 (br d, JHF = 50 Hz, 1H), 4.91 -
4.70 (m, 1H), 4.12 (q, J = 6.9 Hz, 2H), 2.41 - 2.09 (m, 2H), 1.48 (t, J = 6.9
Hz, 3H).
【0240】
(実施例2)
2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(2)
【0241】
【化10】
ステップ1. tert-ブチル(3S,5S)-3-{[(2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-イル)カルボニル]アミノ}-5-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(C12)の合成。
N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.79mL、16.0mmol)およびP3(500mg、2.29mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中のP2(816mg、2.29mmol)の室温溶液に添加した。得られた溶液を0℃に冷却した後に、2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスフィナン2,4,6-トリオキシド(T3P;酢酸エチル中50%溶液;1.6mL、2.7mmol)を添加し、反応混合物を室温で2時間にわたって撹拌した。この時点でのLCMS分析は、C12の存在を示した:LCMS m/z 557.4 [M+H]+. 反応混合物を水と酢酸エチルとの間で分配し、水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を水で2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、および飽和塩化ナトリウム水溶液で1回洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮して、C12を黄色の固体として得た。収量:1.00g、1.80mmol、79%。
【0242】
ステップ2. 2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(2)の合成。
p-トルエンスルホン酸一水和物(684mg、3.60mmol)を、酢酸エチル(10mL)中のC12(1.00g、1.80mmol)の溶液に添加し、混合物を、溶液が得られるまで、室温で撹拌した。反応混合物を還流状態で2時間にわたって、次いで、室温で2時間にわたって撹拌した後に、溶媒を、得られたゴム状物からデカンテーションし、ゴム状物を酢酸エチルと共に4回、およびヘプタンで2回粉砕した。得られた固体を、酢酸エチルと1M水酸化ナトリウム水溶液との間で分配し、水層を酢酸エチルで4回抽出し;合わせた有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。得られた材料を酢酸エチル(およそ70mL)に還流状態で溶解し、混合物がわずかに濁るまでヘプタン(300mL)で処理し、その後すぐに、混合物を室温に冷却し、終夜撹拌した。濾過し、続いて、1:1の酢酸エチル/ヘプタンで濾過ケーキを洗浄して、2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドを白色の固体として得た。収量:580mg、1.27mmol、71%。LCMS m/z 457.2 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 9.38 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 9.26 (s, 2H), 8.63 (d, J =
2.7 Hz, 1H), 8.59 (br d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.35 (dd, J = 2.7, 1.7 Hz, 1H), 7.71
(d, AB四重線の半分, J = 2.7 Hz, 1H), 7.68 (dd, ABX系の成分, J = 9.8, 2.7 Hz, 1H), 4.82 (br d, JHF = 48 Hz, 1H),
4.20 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 4.18 - 4.08 (m, 1H), 3.02 - 2.86 (m, 2H), 2.77 - 2.62
(m, 1H), 2.5 - 2.43 (m, 1H, 推定; 溶媒ピークにより一部不明確), 2.19 - 2.08 (m, 1H), 1.91 - 1.72 (m, 1H), 1.37 (t, J = 7.0 Hz,
3H).
【0243】
(実施例3)
2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、ビス(トリフルオロ酢酸)塩(3)
【0244】
【化11】
ステップ1. ベンジル(3R,4S)-3-{[(2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-イル)カルボニル]アミノ}-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(C13)の合成。
N,N-ジメチルアセトアミド(3.0mL)中のP1(50.0mg、0.148mmol)の25℃溶液に、C10(51.2mg、0.177mmol)、2-クロロ-1,3-ジメチル-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-3-イウムクロリド(75.0mg、0.444mmol)、およびトリエチルアミン(61.8μL、0.443mmol)を添加した。反応混合物を50℃で1時間にわたって撹拌し、その後すぐに、水(20mL)を添加し、得られた混合物を酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を、飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:4:1 酢酸エチル/石油エーテル)に掛けて、C13を黄色の固体として得た。収量:80.0mg、0.140mmol、95%。LCMS m/z 573.2 [M+H]+.
【0245】
ステップ2. 2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、ビス(トリフルオロ酢酸)塩(3)の合成。
テトラヒドロフラン(10mL)中のC13(60.0mg、0.105mmol)の溶液に、炭素上の10%パラジウム(60.0mg)を添加し、その後すぐに、混合物を真空下で脱気し、次いで、水素でパージし;この排気-パージサイクルを合計3回行われた。反応混合物を水素のバルーン下で5時間にわたって25℃で撹拌し、次いで、C13(20.0mg、34.9μmol)を用いて行われた同様の反応と合わせた。この混合物を濾過した後に、濾液を真空で濃縮し、逆相HPLC(カラム:YMC-Actus Triart C18、5μm;移動相A:0.05%水酸化アンモニウムを含有する水;移動相B:アセトニトリル;勾配:B24%から64%)を使用して精製した。遊離塩基2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドを白色の固体として取得した。遊離塩基2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドの合わせた収量:12mg、27μmol、19%。LCMS m/z 439.1 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 9.52 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.17 (s,
2H), 8.65 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.58 - 8.54 (m, 1H), 7.70 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz,
1H), 7.27 - 7.23 (m, 1H, 推定; 溶媒ピークにより一部不明確), 7.02 (dd, J = 7.9, 4.9 Hz, 1H), 6.68 (br d, J = 8.8 Hz, 1H), 4.93
(br d, JHF = 49 Hz, 1H), 4.48 - 4.31 (m, 1H), 4.18 (q, J = 7.0 Hz,
2H), 3.10 (dd, J = 12.1, 4.5 Hz, 1H), 3.00 - 2.80 (m, 3H), 2.15 - 2.01 (m, 1H),
1.97 - 1.77 (m, 1H), 1.50 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0246】
遊離塩基2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(12mg、27μmol)をトリフルオロ酢酸水溶液(水中0.1%トリフルオロ酢酸;12mL)に溶解し、次いで、16時間にわたって凍結乾燥させて、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、ビス(トリフルオロ酢酸)塩を黄色のゴム状物として提供した。2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、ビス(トリフルオロ酢酸)塩の合わせた収量:12.9mg、19.4μmol、14%。LCMS m/z 439.4 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 10.56 - 10.28 (br s, 1H), 9.80 - 9.55
(br s, 1H), 9.71 (s, 1H), 9.24 (s, 2H), 9.09 (br s, 1H), 8.86 (br d, J = 7.9
Hz, 1H), 8.77 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.72 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.32 (dd, J
= 8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.14 (dd, J = 8.0, 4.9 Hz, 1H), 4.97 (br d, JHF
= 49 Hz, 1H), 4.96 - 4.78 (m, 1H), 4.18 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.83 - 3.72 (m,
1H), 3.5 - 3.2 (m, 3H), 2.42 - 2.11 (m, 2H), 1.50 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0247】
(実施例4)
2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(4)
【0248】
【化12】
ステップ1. tert-ブチル(3S,5S)-3-{[(2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-イル)カルボニル]アミノ}-5-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(C14)の合成。
N,N-ジイソプロピルエチルアミン(53.1mL、305mmol)およびP3(9.50g、43.5mmol)を、アセトニトリル(210mL)中のP1(14.7g、43.4mmol)の溶液に添加した。混合物を0℃に冷却し、次いで、2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスフィナン2,4,6-トリオキシド(T3P;酢酸エチル中50%溶液;30.5mL、51.2mmol)をシリンジによって、およそ4分かけて添加した。反応混合物を0℃で45分間にわたって撹拌した後に、氷浴を取り外し、反応混合物を室温にし、17時間にわたって撹拌した。これを次いで、真空で濃縮し、残渣を水と酢酸エチルとの間で分配し、水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で順次に洗浄し;飽和塩化ナトリウム水溶液での洗浄中に現れた沈澱物を濾過によって除去し、廃棄した。飽和塩化ナトリウム水溶液層を酢酸エチルで1回抽出し、合わせた有機層を真空で濃縮した。残渣を塩化メチレンおよびメタノールの混合物に溶解し、シリカゲル上に予め吸着させた。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中30%から100%酢酸エチル)を行うと、生成物が、酢酸エチル/ヘプタン溶離液中で限られた溶解性を有することが観察された。この精製で、C14をオフホワイト色の固体として得た。収量:19.1g、35.5mmol、82%。LCMS m/z 539.3 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 9.48 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.12 (s,
2H), 8.63 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 8.55 (dd, J = 2.7, 1.8 Hz, 1H), 7.70 (dd, J =
4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.26 (dd, J = 7.8, 1.5 Hz, 1H), 7.03 (dd, J = 7.9, 4.9 Hz,
1H), 6.97 - 6.37 (v br m, 1H), 4.78 (br d, JHF = 46.7 Hz, 1H), 4.46
- 4.33 (m, 1H), 4.18 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 4.08 - 3.05 (v br m, 4H), 2.41 - 2.11
(m, 1H), 2.02 - 1.79 (m, 1H), 1.49 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.49 (s, 9H).
【0249】
ステップ2. 2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(4)の合成。
1,4-ジオキサン中の塩化水素の溶液(4M;520mL、2.1mol)を、テトラヒドロフラン(850mL)中のC14(159g、295mmol)の室温溶液に10分かけて添加し;反応温度を35℃から40℃に上昇させ、この温度を、加熱ジャケットを使用して維持した。添加が完了した後に、反応混合物を3時間にわたって35℃から40℃で撹拌した。LCMS分析は、出発材料の20%が残留していることを指し示したので、1,4-ジオキサン中の塩化水素の溶液(4M;150mL、600mmol)を再び反応混合物に添加し、撹拌を35℃から40℃で30分間にわたって継続した。この時点で、LCMS分析によると、出発材料の5%が残留しており、反応混合物を1,4-ジオキサン中の塩化水素の溶液(4M;60mL、240mmol)で処理した。さらに35℃から40℃での45分後に、反応混合物を真空で濃縮し、得られた固体を水(1L)に溶解した。この溶液を水酸化ナトリウム水溶液(1M;900mL、900mmol)で処理し、次いで、水(400mL)で希釈して、撹拌を促進し;室温での15分後に、沈澱物を濾過によって収集し、水(4×250mL)で洗浄した。この固体を水を添加することにより800mLの総体積にし、次いで、室温で2時間にわたって、オーバーヘッド撹拌機を用いてメタノール(800mL)でスラリー化した。スラリーを濾過し、濾過ケーキを、メタノールおよび水の混合物(1:1、1L)で洗浄した。この固体を、C14(946mmol以下)を用いて行われた複数の同様の反応からの生成物と合わせ;合わせたバッチを酢酸エチル(1.1L)に懸濁し、室温で、機械攪拌機を用いて1時間にわたって撹拌した。固体を濾過によって収集した後に、これを、酢酸エチルで洗浄して、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドをオフホワイト色の固体として得た。下記でトシル酸塩形態について記述されている通り、単結晶X線結晶分析法に基づき、4の構造を確立した。収量:330g、753mmol、2ステップで61%。LCMS m/z 439.3 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 9.38 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.26 (s, 2H), 8.64 (d, J =
2.7 Hz, 1H), 8.60 (br d, J = 7.9 Hz, 1H), 8.36 (dd, J = 2.7, 1.8 Hz, 1H), 7.68
(dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.56 (dd, J = 8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 8.0,
4.8 Hz, 1H), 4.81 (br d, JHF = 48.3 Hz, 1H), 4.22 - 4.07 (m, 1H),
4.17 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.02 - 2.86 (m, 2H), 2.69 (br dd, J = 35.1, 14.2 Hz,
1H), 2.5 - 2.38 (m, 2H, 推定; 溶媒ピークにより一部不明確), 2.19 - 2.07 (m, 1H), 1.91 - 1.72 (m, 1H), 1.37 (t, J = 7.0 Hz,
3H).
【0250】
この実施例の固体で、Cu放射線源(K-α平均)が装備されたBruker AXS D8エンデバー回折計を用いて、粉末X線回折分析を実行した。発散スリットを15mm連続照明に設定した。回折される放射線を、PSD-リンクスアイ検出器によって検出し、その際、検出器PSD開口部を3.00度に設定した。X線管電圧およびアンペア数は、それぞれ40kVおよび40mAに設定した。データは、0.01度のステップ幅および1.0秒のステップ時間を使用し、3.0から40.0度2シータまでのCu波長で、シータ-シータゴニオメーターに収集した。散乱防止スクリーンを1.5mmの固定距離に設定した。試料は、収集中に15/分で回転させた。試料は、それらをシリコン低バックグラウンド試料ホルダーに入れ、収集中に回転させることによって調製した。
【0251】
データをBruker DIFFRAC Plusソフトウェアを使用して収集し、分析はEVA diffract plusソフトウェアによって実施した。PXRDデータファイルは、ピーク検索前には加工しなかった。EVAソフトウェアにおけるピーク検索アルゴリズムを使用して、1の閾値を持つ選択されたピークを使用して、予備的なピーク割り当てを行った。妥当性を確実にするために、調整を手動で行い;自動割り当ての出力を視覚的に確認し、ピーク位置をピーク最大値に調整した。3%以上の相対強度を持つピークを概して選択した。分離されなかったまたはノイズと一致するピークは選択しなかった。USPにおいて述べられているPXRDからのピーク位置に関連する典型的な誤差は、最大±0.2°2θである(USP-941)。結晶サイズおよび形態学の変化に基づき、相対ピーク高さの多少の変動が予測される。特徴的なX線粉末回折パターンを図1に提供する。この図からのPXRDデータについてさらに後述する。
【0252】
【表3】
【0253】
【表4】
【0254】
実施例4、塩酸塩
2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、塩酸塩(4、塩酸塩)
【0255】
【化13】
酢酸エチル(40mL)中の2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(4.0g、9.1mmol)の懸濁液をおよそ50℃に加温し、その後すぐに、1,4-ジオキサン中の塩化水素の溶液(4M;2.5mL、10mmol)を添加し、反応混合物を室温で4日間撹拌した。これを次いで、濾過し、濾過ケーキを温酢酸エチルで2回洗浄して、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、塩酸塩を白色の固体として得た。収量:4.1g、8.6mmol、94%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.90 (br d, J = 11 Hz, 1H), 9.39 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.35 (s, 2H),
9.26 (br d, J = 7.7 Hz, 1H), 9.24 - 9.10 (m, 1H), 8.65 (d, J = 2.7 Hz, 1H),
8.37 (dd, J = 2.7, 1.8 Hz, 1H), 7.69 (dd, J = 4.8, 1.5 Hz, 1H), 7.57 (dd, J =
8.0, 1.5 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 8.0, 4.9 Hz, 1H), 5.23 (br d, JHF =
45.3 Hz, 1H), 4.54 - 4.40 (m, 1H), 4.18 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.53 - 3.41 (m,
1H), 3.39 - 3.15 (m, 2H), 3.03 - 2.88 (m, 1H), 2.35 - 2.21 (m, 1H), 2.13 - 1.90
(m, 1H), 1.37 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
この実験の固体で、Cu放射線源が装備されたBruker AXS D4エンデバー回折計を用いて、粉末X線回折分析を行った。発散スリットを0.6mmに設定し、一方、二次光学系は可変スリットを使用した。回折される放射線をPSD-リンクスアイ検出器によって検出した。X線管電圧およびアンペア数は、それぞれ40kVおよび40mAに設定した。データは、0.020度のステップ幅および0.3秒のステップ時間を使用し、3.0から40.0度2シータまでのCu波長で、シータ-2シータゴニオメーターに収集した。試料は、それらをシリコン低バックグラウンド試料ホルダーに入れ、収集中に回転させることによって調製した。データをBruker DIFFRAC Plusソフトウェアを使用して収集し、分析はEVA diffract plusソフトウェアによって実施した。特徴的なX線粉末回折パターンを図2に提供する。
【0256】
実施例4、p-トルエンスルホン酸塩
2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、p-トルエンスルホン酸塩(4、p-トルエンスルホン酸塩)
【0257】
【化14】
酢酸エチル(40mL)中の2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(4.0g、9.1mmol)の懸濁液をおよそ50℃に加温し、その後すぐに、p-トルエンスルホン酸一水和物(1.9g、10mmol)を添加し、反応混合物を室温で3日間撹拌した。得られた塊の固体をスパチュラで破砕し、懸濁された固体を激しく、室温で1日激しく撹拌した。濾過は濾過ケーキを提供し、これを温酢酸エチルで2回洗浄して、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、p-トルエンスルホン酸塩を白色の固体として提供した。収量:5.3g、8.7mmol、96%。LCMS m/z 439.2 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 9.40 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.28 (s, 2H), 9.24 - 9.03
(br m, 2H), 8.98 (br d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.65 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.37 (dd, J
= 2.7, 1.8 Hz, 1H), 7.68 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.57 (dd, J = 8.0, 1.5 Hz,
1H), 7.48 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.18 (dd, J = 8.0, 4.8 Hz, 1H), 7.11 (d, J = 7.9
Hz, 2H), 5.24 (br d, JHF = 45.1 Hz, 1H), 4.51 - 4.38 (m, 1H), 4.18
(q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.59 - 3.47 (m, 1H), 3.43 - 3.17 (m, 2H), 2.98 - 2.85 (m,
1H), 2.36 - 2.24 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.06 - 1.85 (m, 1H), 1.37 (t, J = 7.0
Hz, 3H).
【0258】
実施例4、p-トルエンスルホン酸塩の結晶化
2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、p-トルエンスルホン酸塩(4、p-トルエンスルホン酸塩)
【0259】
【化15】
水およびエタノールの混合物(9:1、300mL)での実施例4、p-トルエンスルホン酸塩(19.1g、31.3mmol)の処理の後に、溶液が取得されるまで、ヒートガンを用いての最小限の加温を続けた。これを終夜、室温に冷却させ、次いで、さらに24時間にわたって撹拌し、その後すぐに、エタノール(35mL)を添加することにより、溶媒比をおよそ4:1 水/エタノールに調節した。得られた混合物を85℃に加熱して、溶液を得、これを3時間かけて室温に冷却し、次いで、室温で終夜撹拌した。沈澱物を濾過によって収集して、固体を得、これを、窒素ブリードを装備していて40℃に予熱されていた真空炉内で乾燥させた。2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、p-トルエンスルホン酸塩を白色の粉末として得た。収量:11.8g、19.3mmol、62%。LCMS m/z 439.2 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 9.39 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.27 (s, 2H), 9.13 (br s,
2H), 8.99 (br d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.65 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.37 (dd, J = 2.7,
1.8 Hz, 1H), 7.68 (dd, J = 4.8, 1.5 Hz, 1H), 7.57 (dd, J = 8.1, 1.5 Hz, 1H),
7.49 (br d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.18 (dd, J = 8.0, 4.8 Hz, 1H), 7.11 (br d, J =
8.0 Hz, 2H), 5.24 (br d, JHF = 45.1 Hz, 1H), 4.52 - 4.38 (m, 1H),
4.18 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.59 - 3.47 (m, 1H), 3.44 - 3.18 (m, 2H), 2.92 (dd, J
= 11.9, 11.8 Hz, 1H), 2.37 - 2.22 (m, 1H), 2.27 (s, 3H), 2.08 - 1.84 (m, 1H),
1.37 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0260】
この材料の大部分(11.6g)を、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、p-トルエンスルホン酸塩の別の試料(7.4g)と合わせたが;個々の試料は、粉末X線回折分析によると同じ回折パターンを示した。2つの試料の混合物は、ふわふわとした白色の固体(19.0g)を提供した。
【0261】
この実施例の固体で、Cu放射線源(K-α平均)が装備されたBruker AXS D8エンデバー回折計を用いて、粉末X線回折分析を実施した。発散スリットを15mm連続照明に設定した。回折される放射線を、PSD-リンクスアイ検出器によって検出し、その際、検出器PSD開口部を3.00度に設定した。X線管電圧およびアンペア数は、それぞれ40kVおよび40mAに設定した。データは、0.01度のステップ幅および1.0秒のステップ時間を使用し、3.0から40.0度2シータまでのCu波長で、シータ-シータゴニオメーターに収集した。散乱防止スクリーンを1.5mmの固定距離に設定した。試料は、収集中に15/分で回転させた。試料は、それらをシリコン低バックグラウンド試料ホルダーに入れ、収集中に回転させることによって調製した。
【0262】
データをBruker DIFFRAC Plusソフトウェアを使用して収集し、分析はEVA diffract plusソフトウェアによって実施した。PXRDデータファイルは、ピーク検索前には加工しなかった。EVAソフトウェアにおけるピーク検索アルゴリズムを使用して、1の閾値を持つ選択されたピークを使用して、予備的なピーク割り当てを行った。妥当性を確実にするために、調整を手動で行い;自動割り当ての出力を視覚的に確認し、ピーク位置をピーク最大値に調整した。3%以上の相対強度を持つピークを概して選択した。分離されなかったまたはノイズと一致するピークは選択しなかった。USPにおいて述べられているPXRDからのピーク位置に関連する典型的な誤差は、最大±0.2°2θである(USP-941)。結晶サイズおよび形態学の変化に基づき、相対ピーク高さの多少の変動が予測される。特徴的なX線粉末回折パターンを図3に提供する。この図からのPXRDデータについてさらに後述する。
【0263】
【表5】
【0264】
【表6】
【0265】
実施例4、p-トルエンスルホン酸塩の代替合成
2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、p-トルエンスルホン酸塩(4、p-トルエンスルホン酸塩)
【0266】
【化16】
アセトニトリル(90.0mL)中のC14(9.47g、17.6mmol)、p-トルエンスルホン酸一水和物(98%、3.58g、18.4mmol)、および水(4.74mL、263mmol)の溶液を10分かけて90℃に加熱した(内部反応温度76℃)。12時間後に、反応混合物を10分かけて25℃に冷却し、終夜、25℃に維持した。これを次いで、10℃に冷却し、濾過した。濾過ケーキを、10℃に冷却しておいた1体積の95:5 アセトニトリル/水混合物で2回すすいで、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、p-トルエンスルホン酸塩を黄色の固体として得た。収量:8.30g、13.6mmol、77%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.40 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.27 (s, 2H), 9.17 - 9.07 (br s, 2H),
8.97 (br d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.65 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.37 (dd, J = 2.7, 1.7
Hz, 1H), 7.68 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.57 (dd, J = 8.0, 1.5 Hz, 1H), 7.47
(br d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.18 (dd, J = 7.9, 4.9 Hz, 1H), 7.11 (br d, J = 7.9 Hz,
2H), 5.24 (br d, JHF = 45.1 Hz, 1H), 4.52 - 4.38 (m, 1H), 4.18 (q, J
= 7.0 Hz, 2H), 3.59 - 3.47 (m, 1H), 3.44 - 3.19 (m, 2H), 2.90 (dd, J = 11.8,
11.8 Hz, 1H), 2.36 - 2.25 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.06 - 1.84 (m, 1H), 1.37 (t,
J = 7.0 Hz, 3H).
【0267】
実施例4、p-トルエンスルホン酸塩の単結晶X線構造の決定
エタノール(3mL)からの実施例4、p-トルエンスルホン酸塩(10mg)の結晶化は、トルエンおよび水(1:1)のゆっくりとした拡散と共に、X線構造の決定に好適な結晶をもたらした。
【0268】
単結晶X線分析
データ収集を、Bruker D8 Venture回折計で-100℃で実施した。データ収集は、オメガおよびファイスキャンからなった。
【0269】
不斉単位当たり2つの分子としての三斜晶系空間群P1において、SHELXソフトウェアスイートを使用して、固有の位相により構造を解いた。その後、全行列最小二乗法により構造を精密化した。すべての非水素原子を見つけ出し、異方性変位パラメーターを使用して精密化した。
【0270】
窒素および酸素に配置された水素原子をフーリエの差分布から見つけ出し、制限された距離で精密化した。残存する水素原子を算出された位置に置き、それらの担体原子に乗せた。最終的な精密化は、すべての水素原子での等方性変位パラメーターを含んだ。
【0271】
トシル酸塩の結晶化が確認された。
【0272】
チャネル内にあるエタノール座位の低い占有率により、また、多重プレートとして観察された結晶性プリズム粒子の最下限の品質(PLM画像を参照されたい)により、精密化は困難であった。NMR実験により確認されたエタノールの取り込みに基づき、それぞれ0.33の占有率によって2つのエタノール実体を伴う分子モデルを精密化した。
【0273】
尤度法(Hooft 2008)を使用しての絶対構造の分析を、PLATON(Spek 2010)を使用して実施した。提出された試料がエナンチオピュアであると仮定すると、結果は、絶対構造が正確に割り当てられていることを指し示している。この方法は、構造が正確に割り当てられている確率が100%であることを算出する。Hooftパラメーターは、(4)のEsdで0.0075として報告され、Parsonパラメーターは、(5)のEsdで0.087として報告される。
【0274】
C18_C21/C40_C43での標的化絶対配置は、不斉単位あたり両方の同一分子について(-S)_(-S)/(-S)_(-S)として確認された。
【0275】
関連結晶、データ収集および精密化情報を表D1にまとめる。原子座標、結合距離、結合角度、および変位パラメーターを表D2~D4に列挙する。
ソフトウェアおよび参照文献
SHELXTL, Version 5.1, Bruker AXS, 1997.
PLATON, A. L. Spek, J. Appl. Cryst. 2003,
36, 7-13.
MERCURY, C. F. Macrae, P. R. Edington, P.
McCabe, E. Pidcock, G. P. Shields, R. Taylor, M. Towler, and J. van de Streek,
J. Appl. Cryst. 2006, 39, 453-457.
OLEX2, O. V. Dolomanov, L. J. Bourhis, R.
J. Gildea, J. A. K. Howard, and H. Puschmann, J. Appl. Cryst. 2009, 42,
339-341.
R. W. W. Hooft, L. H. Straver, and A. L.
Spek, J. Appl. Cryst. 2008, 41, 96-103.
H. D. Flack, Acta Cryst. 1983, A39,
867-881.
【0276】
【表7】
【0277】
【表8-1】
【0278】
【表8-2】
【0279】
【表8-3】
【0280】
【表8-4】
【0281】
【表9-1】
【0282】
【表9-2】
【0283】
【表9-3】
【0284】
【表9-4】
【0285】
【表9-5】
【0286】
【表9-6】
【0287】
【表9-7】
【0288】
【表9-8】
【0289】
【表9-9】
【0290】
【表9-10】
【0291】
【表9-11】
【0292】
【表9-12】
【0293】
【表9-13】
【0294】
【表9-14】
【0295】
【表9-15】
【0296】
【表9-16】
【0297】
【表9-17】
【0298】
【表9-18】
【0299】
【表9-19】
【0300】
【表10-1】
【0301】
【表10-2】
【0302】
【表10-3】
【0303】
【表10-4】
【0304】
(実施例5)
2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(5)
【0305】
【化17】
ステップ1. ベンジル(3R,4R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(C15)の合成。
クロロギ酸ベンジル(258mg、1.51mmol)を、テトラヒドロフラン(15mL)および炭酸ナトリウム水溶液(1M;2.75mL、2.75mmol)中のtert-ブチル[(3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル]カルバメート(300mg、1.37mmol)の0℃混合物に添加した。反応混合物を15℃で16時間にわたって撹拌した後に、水(20mL)を添加し、得られた混合物を酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮して、C15を白色の固体として提供した。収量:485mg、1.38mmol、定量的。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.43 - 7.28 (m, 5H), 5.14 (AB四重線, JAB = 12.3 Hz, ΔνAB = 14.2 Hz, 2H; 低磁場二重線が広がっている), 4.83 - 4.53
(m, 2H), 3.87 - 3.33 (m, 4H), 2.06 - 1.75 (m, 2H), 1.44 (s, 9H).
【0306】
ステップ2. ベンジル(3R,4R)-3-アミノ-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート、塩酸塩(C16)の合成。
メタノール(6mL)中のC15(485mg、1.38mmol)の溶液を塩化水素(酢酸エチル中の溶液;12mL)で処理した。反応混合物を20℃で1時間にわたって攪拌した後に、真空で濃縮して、C16を白色の固体として得た。収量:370mg、1.28mmol、93%。1H NMR (400 MHz, 重水) δ 7.50 - 7.39 (m, 5H), 5.17 (s, 2H), 4.93
- 4.71 (m, 1H, 推定; 溶媒ピークにより一部不明確), 4.42 - 4.27 (m, 1H), 4.24 - 3.98 (m, 1H), 3.51 - 3.39 (m, 1H),
3.21 - 2.99 (m, 2H), 2.29 - 2.16 (m, 1H), 1.86 - 1.71 (m, 1H).
【0307】
ステップ3. ベンジル(3R,4R)-3-{[(2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-イル)カルボニル]アミノ}-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(C17)の合成。
N,N-ジメチルホルムアミド(8mL)中のP1(170mg、0.502mmol)、C16(145mg、0.502mmol)、およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.263mL、1.51mmol)の混合物に、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU;287mg、0.755mmol)を添加した。反応混合物を18℃で2時間にわたって撹拌し、その後すぐに、C16(42.7mg、0.148mmolおよび171mg、0.592mmol)を使用して行われた2つの同様の反応と合わせ、水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(30mL)で抽出した。有機層を、飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中0%から100%酢酸エチル)により、C17が黄色の固体として得られた。合わせた収量:540mg、0.943mmol、76%。LCMS m/z 573.1 [M+H]+.
【0308】
ステップ4. 2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(5)の合成。
エタノール(20mL)中のC17(300mg、0.524mmol)および炭素上の10%パラジウム(300mg)の混合物を水素のバルーン下で2時間にわたって15℃で撹拌した。反応混合物をC17(200mg、0.349mmolおよび40mg、70μmol)を使用して行われた2つの同様の反応と合わせた後に、珪藻土のパッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、残渣を、逆相HPLC(カラム:Agela Durashell C18、5μm;移動相A:水中0.05%水酸化アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:B30%から50%)を使用して精製して、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドを白色の固体として得た。合わせた収量:174mg、0.397mmol、42%。LCMS m/z 439.2 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 9.52 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.20 (s,
2H), 8.65 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 8.56 (dd, J = 2.7, 1.8 Hz, 1H), 7.71 (dd, J =
4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.28 - 7.23 (m, 1H, 推定; 溶媒ピークにより一部不明確), 7.17 (br d, J = 8 Hz, 1H), 7.02 (dd, J = 7.9, 4.9 Hz, 1H), 4.86 -
4.66 (m, 1H), 4.37 - 4.26 (m, 1H), 4.18 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.36 (ddd, J =
12.3, 3.4, 3.4 Hz, 1H), 3.09 - 2.99 (m, 1H), 2.86 - 2.75 (m, 2H), 2.11 - 1.81
(m, 2H), 1.50 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0309】
(実施例6)
2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(6)
【0310】
【化18】
ステップ1. ベンジル(3R,4R)-3-{[(2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-イル)カルボニル]アミノ}-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(C18)の合成。
N,N-ジメチルホルムアミド(2mL)中のP2(50mg、0.14mmol)、C16(40.5mg、0.140mmol)、およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(73.3μL、0.421mmol)の混合物に、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU;80mg、0.21mmol)を添加した。反応混合物を18℃で、2時間にわたって攪拌した後に、C16(24.3mg、84.2μmol)で行われた同様の反応と合わせ、次いで、水(20mL)でクエンチし、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を、飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。分取薄層クロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)によって残渣を精製して、C18を黄色の固体として得た。合わせた収量:90mg、0.152mmol、68%。LCMS m/z 591.1 [M+H]+.
【0311】
ステップ2. 2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(6)の合成。
エタノール(20mL)中のC18(70mg、0.12mmol)および炭素上の10%パラジウム(100mg)の混合物を水素のバルーン下で2時間にわたって15℃で撹拌し、その後すぐに、C18(20mg、34μmol)を使用して行われた同様の反応と合わせ、珪藻土のパッドを通して濾過した。濾液を真空で濃縮した後に、残渣を、逆相HPLC(カラム:Agela Durashell C18、5μm;移動相A:水中0.05%水酸化アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:B30%から50%)を使用して精製して;これにより2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドを白色の固体として得た。収量:14.2mg、31.1μmol、20%。LCMS m/z 457.1 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 9.52 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.20 (s,
2H), 8.63 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.53 (dd, J = 2.7, 1.8 Hz, 1H), 7.58 (d, J = 2.6
Hz, 1H), 7.16 - 7.09 (br m, 1H), 7.06 (dd, J = 9.2, 2.6 Hz, 1H), 4.86 - 4.68
(m, JHF = 47.2 Hz, 1H), 4.37 - 4.27 (m, 1H), 4.16 (q, J = 7.0 Hz,
2H), 3.36 (ddd, J = 12.2, 3.5, 3.4 Hz, 1H), 3.09 - 2.99 (m, 1H), 2.87 - 2.76
(m, 2H), 2.11 - 1.82 (m, 2H), 1.51 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0312】
(実施例7~25)
【0313】
【表11-1】
【0314】
【表11-2】
【0315】
【表11-3】
【0316】
【表11-4】
【0317】
【表11-5】
【0318】
【表11-6】
【0319】
【表12-1】
【0320】
【表12-2】
【0321】
【表12-3】
【0322】
【表12-4】
【0323】
【表12-5】
【0324】
【表12-6】
【0325】
【表12-7】
【0326】
(実施例D1~D3)
表3は、重水素化エチル基を取り込む3つの仮想実施例を含む。これらの化合物の調製例では、当技術分野の普通の技能を使用する上述の方法の変形を用いることになるであろう。実施例D1は、中間体P3およびP4から、実施例4のために記述された方式と類似の方式で調製することができるであろう。実施例D2およびD3は、P2の重水素化バージョンから、それぞれ実施例2および1のために用いられた方法によって調製することができるであろう。
【0327】
【表13】
【0328】
薬理学的データ
下記のプロトコールは、当然ながら、当業者によって変動し得る。
【0329】
ヒトDGAT2(hDGAT2)構築物の生成
hDGAT2のための構築物を、N末端FLAGタグ(AspTyrLysAspAspAspAspLysのアミノ酸配列を有するオクタペプチド)を含めて生成した。FLAGタグ付きhDGAT2構築物のために、hDGAT2のためのcDNAをGenscriptでカスタム合成し、BamHI/XhoI制限酵素を使用することによりpFastBac1ベクター(Invitrogen)にクローニングして、N末端側FLAGタグ付きpFastBac1-FLAG-hDGAT2構築物(アミノ酸1から388)を生成した。その構築物をシーケンシングにより両方向で確認した。
【0330】
DGAT2発現およびDGAT2膜分画の調製
FLAGタグ付きhDGAT2のための組換えバキュロウイルスをSF9昆虫細胞において、製造者プロトコールに従ってBac-to-Bacバキュロウイルス発現系(Invitrogen)を用いて生成した。hDGAT2の発現のために、Wave Bioreactor System 20/50Pウェーブバッグ(GE Healthcare)内で、Sf900II培地中で増殖させたSF9細胞(20L)をhDGAT2バキュロウイルスに、感染多重度1で感染させた。次いで、感染から40時間後に、細胞を5,000×gでの遠心により採取した。細胞ペレットをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に再懸濁させることにより洗浄し、5,000×gでの遠心により収集した。細胞ペーストを液体N中で急速冷凍させ、必要になるまで-80℃で貯蔵した。下記の操作はすべて、別段の注記がない限り、4℃においてであった。細胞を、1mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)および完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche Diagnostics)を含む溶解緩衝液(50mMトリス-HCl、pH8.0、250mMスクロース)中に、細胞ペースト1gあたり緩衝液3mLの比で再懸濁した。細胞をダウンス型ホモジナイザーにより溶解した。細胞破片を20分間の1,000×gでの遠心により除去し、上清を100,000×gで1時間にわたって遠心した。得られたペレットを、デカンテーションする前に氷冷PBSを超遠心管の上部まで充填することにより3回すすいだ。洗浄されたペレットを1時間にわたって穏やかに撹拌しながら、8mM 3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート(CHAPS)を含有する溶解緩衝液に、元の細胞ペースト1gあたり緩衝液1mLの比で再懸濁し、100,000×gで1時間にわたって再び遠心した。得られた上清を分取し、液体N中で急速冷凍させ、使用まで-80℃で貯蔵した。
【0331】
DGAT2阻害剤でのインビトロDGAT2アッセイおよびIC50値の決定
IC50値の決定のために、反応を20μLの総体積で384ウェル白色ポリプロピレンプレート(Nunc)で行った。100%DMSOに溶解されて、各ウェルの底部にスポットされた化合物1μLに、0.04%ウシ血清アルブミン(BSA)5μL(脂肪酸非含有、Sigma Aldrich)を添加し、混合物を室温で15分間にわたってインキュベートした。hDGAT2膜分画を、200nMメチルアラキドニルフルオロホスホネート(Cayman Chemical;アルゴンガス下で酢酸エチルストック溶液から乾燥させ、5mMストックとしてDMSOに溶解した)を含有する100mM Hepes-NaOH、pH7.4、20mM MgCl中で希釈した。この酵素希釈標準溶液10μLをプレートに添加し、インキュベーションを室温で、2時間にわたって継続した。DGAT2反応を、12.5%アセトンに溶解した30μM[1-14C]デカノイル-CoA(Perkin Elmerによりカスタム合成、50mCi/mmol)および125μM 1,2-ジデカノイル-sn-グリセロール(Avanti Polar Lipids)を含有する基質4μLの添加により開始した。反応混合物を室温で40分間にわたってインキュベートし、1%HPO5μLを添加することにより反応を停止した。MicroScint-E(Perkin-Elmer)45μLの添加後に、プレートをTop Seal-Aカバー(Perkin-Elmer)で密閉し、基質および生成物の相分配を、HT-91100マイクロプレートオービタルシェーカー(Big Bear Automation、Santa Clara、CA)を使用して達成した。プレートをAllegra 6R Centrifuge(Beckman Coulter)内で1分間にわたって2,000×gで遠心し、次いで再び、新たなカバーで密閉し、その後、1450 Microbeta Wallac Trilux Scintillation Counter(Perkin Elmer)において読み取った。DGAT2活性を、上部の有機相において、生成した生成物[14C]トリデカノイルグリセロールを定量化することにより測定した。
【0332】
DGAT2の完全阻害のために50μM ((R)-1-(2-((S)-1-(4-クロロ-1H-ピラゾール-1-イル)エチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-イル)ピペリジン-3-イル)(ピロリジン-1-イル)メタノン(WO2013150416、実施例196-A)を使用して取得されたバックグラウンド活性をすべての反応から差し引いた。阻害剤を11の異なる濃度で試験して、各化合物でのIC50値を生成した。用いられる11の阻害剤濃度は典型的には、50、15.8、5、1.58、0.50、0.16、0.05、0.016、0.005、0.0016、および0.0005μMを含む。データを、阻害対阻害剤濃度のパーセンテージとしてプロットし、式:y=100/[1+(x/IC50]にフィットさせたが、ここで、IC50は、50%阻害における阻害剤濃度であり、zは、Hill傾斜(その屈曲点での曲線の傾斜)である]。
【0333】
下記の表4は、前述のアッセイによる、DGAT2の阻害についての実施例のIC50値を提示している。結果は、相乗平均IC50値として報告されており、反復試験の回数(n)が示されている。
【0334】
【表14】
【0335】
ここで、本明細書において参照されるWO2018033832の実施例を下記の表4Aに示す:
【0336】
【表15-1】
【0337】
【表15-2】
【0338】
ヒト肝細胞におけるDGAT2阻害剤のIC50値の決定
細胞ベースの設定におけるDGAT2阻害剤の効果の評価のために、凍結保存されたヒト肝細胞(Lot DOO、Celsis、Baltimore、MD)を、製造者指示に従って解凍し、I型コラーゲンをコーティングされたプレート上にプレーティングした。18時間の終夜回復期間後に、細胞を、250μg/mL Geltrex Basement Membrane Matrix(Thermo Fisher)を含有する培地で覆った。翌日、培地を吸引し、400μMドデカン酸ナトリウム(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)および2mM GlutaMAX(Thermo Fisher)を含有する血清非含有ウィリアム培地E(Thermo Fisher)に取り換えた。45分後に、選択的DGAT1阻害剤(実施例2、WO2009016462、25%DMSO中で100倍ストックとして調製、75%PBS)をすべてのウェルに最終濃度(3μM)で添加したが、これは内在性DGAT1活性を完全に抑制した。次いで、DGAT2阻害剤を所望の最終濃度まで添加した。15分間のプレインキュベーションの後に、0.2μCi[14C(U)]-グリセロール(Perkin Elmer)を各ウェルに添加し、3時間のインキュベーションを続けた。この時点で、培地を除去し、細胞を、15分間のイソプロピルアルコール:テトラヒドロフラン(9:1)中でのオービタル振盪により溶解させ、その後、10分間にわたって3000rpmで遠心した。放射標識された脂質を、溶媒系を使用して、ヘキサン:ジエチルエーテル:氷酢酸(75:23:2、v/v/v)からなる溶媒を用いる薄層クロマトグラフィーにより分解した。分離の後に、放射標識された脂質を、Typhoon 9500 phosphorimaging system(GE)を使用して可視化した。50%阻害濃度(IC50値)を、GraphPad Prism(GraphPad Software,Inc.、La Jolla、CA)を使用して%阻害用量反応曲線の非線形回帰分析により決定した。
【0339】
下記の表5は、前述のアッセイによる、ヒト肝細胞におけるDGAT2の阻害についての選択された実施例のIC50値を提供する。結果は幾何平均IC50値として報告され、反復試験の回数(n)が示されている。
【0340】
【表16】
【0341】
血漿中および肝トリグリセリドレベルに対するDGAT2阻害剤のインビボ効果
ラットウエスタン食モデルを利用して、インビボでの血漿中トリグリセリド産生および肝トリグリセリド含有量に対するDGAT2阻害剤処置の効果を評価した。雄のSprague-Dawleyラットを標準的な実験室条件下で12時間明、12時間暗サイクル(06:00に点灯)で飼育した。研究開始の2週間前に、動物を高脂肪、高スクロース、高コレステロール食(D12079b、Research Diets、New Brunswick、NJによって供給)に設置した。この食事は、約43%のキロカロリーを炭水化物から、および約41%のキロカロリーを脂肪から提供する。実施例4を、脱イオン水中0.5%メチルセルロース中の溶液、pH7.0~7.5(投薬体積10mL/kg)として経口投与した(メチルセルロースはSigma-Aldrich、St.Louis、MOから取得した)。ビヒクル処置動物には、脱イオン水中0.5%メチルセルロースの水溶液、pH7.0~7.5のみを投与した。各処置を1日2回、7日間にわたって08:00および16:00に、3、10、30および100mg/kgで、6、20、60および200mg/kg/日の全1日用量で経口投与した。8日目に、動物にビヒクルまたは実施例4を10:00に投与し、投与から2時間後に屠殺した。ラットを二酸化炭素窒息により屠殺し、血液を外側尾静脈により採取した。血漿中TGレベルを、製造者指示に従ってRoche Hitachi Chemistry分析器(Roche Diagnostics Corporation、Indianapolis、IN)を使用して決定し、データを、GraphPad Prism(GraphPad Software,Inc.、La Jolla、CA)を使用して分析した。肝臓トリグリセリドの決定のために、屠殺時に肝臓を採取し、組織を液体窒素中でただちに凍結し、分析まで-80℃に維持した。肝トリグリセリドレベルの評価のために、アルミニウムホイルに包まれた肝臓切片を、液体窒素浴中のアルミニウムヒートブロック上でハンマーで粉砕した。肝臓組織の粉砕は均一な粉末をもたらした。均質化緩衝液(Tris pH7.4、98.9ミリリットル、0.9%NaClおよび100マイクロリットルのTriton X 100)を撹拌プレート上で、使用前に10分間にわたって混合した。およそ100ミリグラムの均質な肝臓組織の試料重量を秤量し、Lysing Matrix D管(MP Biomedicals、Cat #6913-100)に、均質化緩衝液1mLと共に入れた。次いで、すべての試料をFastPrep FP120(MP Biomedicals、Cat #6001-120)に2分間にわたって、または組織が均質化するまで入れた。次いで、すべての試料を30秒間にわたって10,000gで回転させて、均質化からの泡状物を取り除いた。試料50マイクロリットルを滅菌混合プレートに、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)450マイクロリットルと共に移して、1:10希釈液を作製した。新たな試料を再懸濁したら、すべての試料をSiemens Advia XPT Clinical Analyzer用の捕集管に移した。トリグリセリドアッセイを吸光度を介して実施し、1デシリットルあたりのミリグラムとして報告した。次いで、Microsoft excelで、トリグリセリドを組織1グラムあたりで正規化した。図4および5においてまとめられている通り、実施例4を投与されたラットでは、血漿中(最高約70%)および肝(最高48%)トリグリセリドの用量依存的減少があった。循環中トリグリセリド応答の事例では、実施例4で観察された得られたレベルは、食餌を給餌されたビヒクル動物のレベルに近づいた。
【0342】
図4は、ウエスタン食を給餌されたSprague-Dawleyラットにおける血漿中トリグリセリドに対する実施例4の複数用量の効果をプロットしており、ここで、血漿中トリグリセリドレベルを、実施例4の最終投与から2時間後の外側尾静脈からの採血から決定した。データは、8匹の動物からの平均±標準偏差である。ビヒクルに対する群平均間の差異は、一元ANOVA、続いて、ダネット多重比較検定により実施した。ウエスタン食ビヒクル動物に対して****=p<0.0001。
【0343】
図5は、ウエスタン食を給餌されたSprague-Dawleyラットにおける肝トリグリセリドに対する実施例4の複数用量の効果をプロットしており、ここで、肝トリグリセリドレベルを、実施例4の最終投与から2時間後の外側尾静脈からの採血から決定した。データは、8匹の動物からの平均±標準偏差である。ウエスタン食ビヒクルに対する群平均間の差異は、一元ANOVA、続いて、ダネット多重比較検定により実施した。ウエスタン食ビヒクル動物に対して=p<0.05、***=p<0.001、****=p<0.0001。
【0344】
pKaの決定
例示された化合物を、DGAT2の塩基性阻害剤であると指定した。選択された実施例のpKaは、Shalaeva、M.ら、2008、J.Pharm.Sci.、97、2581~2606に記述のキャピラリー電気泳動法に従ってAnaliza,Inc.(Cleveland、OH)が決定した。下記の表6は、実施例で決定された最も塩基性のpKaを示しており、反復試験の回数(n)と共に平均として表されている。塩基性化合物はインビボにおいて、より高い分布容積と関連する(Obach,R.S.ら、2009、Drug Metab. Dispos.、36、1385~1405;Smith,D.A.ら、2015、J.Med.Chem.、58.5691~5698)。
【0345】
【表17】
【0346】
ヒト肝細胞における固有のクリアランスの決定(リレー法)
固有クリアランス(CLint)測定のために、肝細胞リレー法を使用した(Di,L.ら、2012、Drug Metab.Dispos.、40、1860~1865およびDi,L.ら、2013、Drug Metab.Dispos.、41、2018~2023)。凍結保存ヒト肝細胞(BioreclamationIVTからのLot DCM)を使用した。解凍したら、肝細胞を、HepesおよびNaCOを補充されたウィリアム培地E(カスタム配合番号91-5233EA;Gibco、Grand Island、NY)に再懸濁した。細胞を、トリパンブルー排除法を使用してカウントし、50万細胞/mLを含有する24ウェル肝細胞プレートに、1μMの最終濃度(ジメチルスルホキシド、最終濃度0.025%;メタノール、最終濃度0.1125%)の試験化合物を、0.50mLの最終インキュベーション体積でスパイク添加した。プレートを37℃で、空気95%/CO5%、相対湿度75%で、4時間にわたって、150rpmで、加湿インキュベーターにおいてインキュベートした。0および4時間の時点で、肝細胞懸濁液25μLをインキュベーションから取り出し、氷冷アセトニトリル50μL(メトプロロール、インドメタシン、およびテルフェナジンを内標準として含有)に添加して、反応をクエンチした。試料を3000rpm(1439×g)で10分間にわたって室温で遠心し(Eppendorf、Hauppauge、NY)、上清50μLを清潔なプレートに移し、完全に乾燥させ、液体クロマトグラフィー/タンデム型質量スペクトロメトリー(LC-MS/MS)分析の前に復元した。インキュベーションプレート中の残りの肝細胞懸濁液を遠心した(3000rpm、1439×g、10分、室温)。300μLの上清を清潔な24ウェルプレートに移し、次のリレー実験まで-80℃で貯蔵した。第2のリレー実験では、上清プレートを初めに30分間にわたって室温に、次いで30分間にわたって37℃に加温し、肝細胞を試料に添加して、50万細胞/mLの最終細胞密度を得た。プレートを37℃で4時間にわたってインキュベートし、試料採取し、前記の通りに処理した。5つのリレーを実施して総インキュベーション時間は20時間となり、(0、4、8、12、16および20時間)の時点で試料採取した。LC-MS/MS分析により各時点で決定された試験化合物の濃度を、固有クリアランスを算出するために使用した。
【0347】
下記の表7は、上述の方法により決定された通りの、選択された実施例での固有クリアランスを示している。データは、平均+/-標準偏差として表されており、反復試験の回数(n)も示されている。
【0348】
【表18】
【0349】
ヒト肝細胞における固有クリアランスのハイスループット決定
ハイスループットヒト肝細胞安定性アッセイを384ウェル形式で実施した(Di,L.ら、2012、Eur.J.Med.Chem.、57、441~448)。10人のドナーから貯留された凍結保存ヒト肝細胞をBioreclamationIVT(Baltimore、MD、Lot DCM)から購入した。凍結保存ヒト肝細胞を解凍し、HEPESおよびNaCOを補充されたウィリアムE培地(WEM GIBCO、カスタム配合# A28859EA)に再懸濁した。細胞を、トリパンブルー排除法を使用してカウントした。Multidrop(登録商標)液体ディスペンサー(Multidrop DW、Thermo Scientific、Waltham、MA)を使用して、肝細胞懸濁液を384ウェルプレートに添加した。細胞プレートにカバーをし、2つの6ポジションMecour熱交換器(6-position Mecour Heat exchanger)が装備されたSciclone(登録商標)ALH 3000ワークステーション(Caliper Life Sciences、Hopkinton、MA)に移した。試験化合物をSciclone(登録商標)で、緩衝液で希釈し、肝細胞に添加した。最終インキュベーションは、0.01%DMSOを含む15μLの総体積で50万細胞/mLおよび1μM試験化合物を含有した。インキュベーションを37℃で行った。様々な時点(0、3、10、30、60、120、240分)で、反応を、内標準(実施例39A、WO1999/57125)を含有する冷アセトニトリルでクエンチした。試料を3000rpmで5分間にわたって4℃で遠心した(Eppendorf、Hauppauge、NY)。上清を、BioMek(登録商標)FX liquid handler(Beckman Coulter,Inc.、Danvers MA)を使用して、水の添加と共に新たなプレートに移し、これをLC-MS/MS分析の前に密閉した。下記の表8は、前述されたハイスループットヒト肝細胞アッセイにおいて決定された通りの、選択された実施例での固有クリアランスを示している。データは、平均+/-標準偏差として表されており、反復試験の回数(n)も示されている。
【0350】
【表19】
【0351】
ヒト肝臓ミクロソームにおける固有クリアランスの決定
ハイスループットヒトミクロソーム安定性アッセイを384ウェル形式で実施した(Di,L.ら、2012、Eur.J.Med.Chem.、57、441~448)。すべての液体取り扱いおよびインキュベーションを、1つの3ポジションMecour加熱デッキポジション(3-position Mecour heated deck positions)が装備されたBiomek FX(Beckman Coulter,Inc.、Indianapolis、IN)で実行した。50人のドナーから貯留されたヒト肝臓ミクロソーム(Lot:HLM-103)をBD Biosciences(Bedford、MA)から購入した。各インキュベーションは、試験化合物(1μM)、ヒト肝臓ミクロソーム(0.806mg/mLのタンパク質濃度と同等の0.25μM CYPタンパク質)、NADPH 20.9mM、MgCl(3.3mM)およびリン酸カリウム緩衝液(pH7.4で100mM)を含有した。最終反応体積は、45μLであり、0.1%DMSOを含有した。インキュベーションを37℃で実行した。様々な時点(例えば、1、4、7、12、20、25、45および60分)で、質量スペクトロメトリー(MS)内標準(実施例39A、WO1999/57125)を含む冷アセトニトリルを添加して、反応をクエンチした。プレートを3000rpmで1分間にわたって4℃で遠心した(Sorvall RC 3C Plus、Thermo Scientific、Waltham、MA)。プレートを密閉し、続いて、LC-MS/MSを使用して分析した。対照プレートを同じ方式で、ただし、NADPH補因子を添加せずに調製して、何らかの非CYP/FMO触媒低下をモニターした。下記の表9は、前述されたヒト肝臓ミクロソームアッセイにおいて決定された通りの、選択された実施例での固有クリアランスを示している。データは、平均+/-標準偏差として表されており、復試験の回数(n)も示されている。
【0352】
【表20】
【0353】
様々な媒体における熱力学的溶解度の決定
医薬品活性成分の溶解度は、生物学的性能および薬物開発中の配合の容易さの決定において重要な特徴であり、高い溶解度が好ましい(Klein,S.2010、The AAPS Journal、12、397~406;Di,L.ら、2012、Drug Disc.Today、17.486~495)。熱力学的溶解度を表10に示されている通りの種々のバイオ関連媒体において測定した。結晶性固体の試験試料(約7mg)をバイアル内で関連緩衝液1mLと合わせ、混合物をボルテックス処理して合わせた。固体が完全に溶解したならば、飽和溶液が取得されるまで、追加の固体を、ボルテックス処理しながら添加した。飽和溶液/固体混合物を封止し、次の通りの温度サイクルに掛けた:25℃で1分;40℃で8時間;15℃で5時間および25℃で12時間。混合物を遠心濾過デバイス(0.22μm PVDFフィルター、MilliporeSigma、Milwaukee、WI)で13,000rpmで濾過し、濾液中の試験化合物の濃度を、3ポイント標準曲線を参照してHPLC/UPLCにより決定した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH6.8、50mMリン酸塩緩衝液、250mM NaCl)。胃酸模擬液(SGN pH1.2、USP処方)。空腹時小腸内模擬液(FaSSIF、3mMタウロコール酸ナトリウム、0.75mM大豆レシチン由来リン脂質、50mMリン酸塩緩衝液、NaClを用いて250mMに調節されたイオン強度、pH6.8)および飽食時小腸内模擬液(FeSSIF、15mMタウロコール酸ナトリウム、3.75mM大豆レシチン由来リン脂質、144mM酢酸、50mMリン酸塩緩衝液、NaClを用いて250mMに調節されたイオン強度、pH6.8)。
【0354】
【表21】
【0355】
本出願全体を通して、種々の刊行物が参照される。これらの刊行物の開示は、あらゆる目的のための参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【0356】
本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、本発明において種々の修正および変形が為され得ることが、当業者には明らかであろう。本発明の他の実施形態は、本明細書の考察および本明細書において開示される発明の実践から、当業者に明らかであろう。本明細書および例は、例示的なものにすぎないとみなされ、本発明の真の範囲および趣旨は、下記の特許請求の範囲によって指し示されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8