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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】積層剥離容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20221019BHJP
   B65D 1/42 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
B65D1/02 111
B65D1/02 220
B65D1/42
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018185623
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020055546
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】樽野 真輔
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/139355(WO,A1)
【文献】特開2017-114555(JP,A)
【文献】特開2016-104644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
B65D 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻と内袋とを有する容器本体を備える積層剥離容器であって、
前記容器本体は、胴部と肩部と口部とを有し、
前記胴部は、有底筒状に形成され、且つ、前記胴部は、前記肩部に接続され、
前記肩部は、平坦面部と補強凹部とを有し、且つ、前記平坦面部は、前記口部に接続され、
前記口部は、根本部を有し、且つ、前記根本部は、前記平坦面部に接続され、
前記補強凹部は、前記外殻側から前記内袋側へ向かう方向に凹んでおり、且つ、前記補強凹部は、前記平坦面部側から、前記容器本体を上面視したときにおいて前記口部に隠れる位置へ延びており、且つ、前記補強凹部は、前記根本部に到達している、積層剥離容器。
【請求項2】
請求項1に記載の積層剥離容器であって、
記根本部は、前記平坦面部上に盛り上がるように形成されている
積層剥離容器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の積層剥離容器であって、
前記肩部は、前記容器本体の内部空間側から前記容器本体の外部空間側に向かう方向に凸なるように突出している、積層剥離容器。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の積層剥離容器であって、
前記肩部には、前記補強凹部に対応する第1及び第2補強凹部が形成され、
第1及び第2補強凹部は、前記肩部の中心軸を基準としたときに180度をなすように配置されている、積層剥離容器。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の積層剥離容器であって、
前記補強凹部は、底面壁部と第1及び第2側壁部とを有し、
第1及び第2側壁部は、前記底面壁部の一方の側端及び他方の側端にそれぞれ設けられ、
前記底面壁部と第1及び第2側壁部は、前記根本部に到達している、積層剥離容器。
【請求項6】
請求項5に記載の積層剥離容器であって、
前記底面壁部の傾斜角度は、前記平坦面部側から前記根本部にかけて一定である、積層剥離容器。
【請求項7】
請求項1~請求項4の何れか1つに記載の積層剥離容器であって、
前記肩部は、曲面部を更に有し、
前記曲面部は、筒状に形成され、且つ、前記曲面部は、前記平坦面部及び前記胴部に接続されている、積層剥離容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層剥離容器に関する。
【背景技術】
【0002】
積層剥離容器の容器本体には、有底筒状の胴部と、胴部に接続される筒状の肩部と、肩部に接続される円筒状の口部と、を備えるものが各種提案されている(例えば、特許文献1参照)。積層剥離容器の容器本体は、パリソンが金型で筒状に成形されることで、製造される。積層剥離容器の容器本体には、外殻と、外殻の内側に設けられている内袋とが形成されている。この内袋内には内容物が収容され、ユーザーが積層剥離容器を圧縮して内袋の内容物を流出させると、外殻と内袋内には空気が入りこみ、内袋は外殻の内面から剥離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-117507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
口部は肩部から突き出ており、口部の径は肩部の径よりも小さいので、口部と肩部との接続部分は変形してしまう場合がある。例えば外力が口部に加わると、口部が肩部側に座屈してしまう場合がある。外力が口部に加わる状況としては、例えば、積層剥離容器の運搬時に積層剥離容器上に物品が配置される状況、及び、積層剥離容器が落下して口部が床面に衝突する状況等がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、口部が肩部側に座屈してしまうことが抑制される積層剥離容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、外殻と内袋とを有する容器本体を備える積層剥離容器であって、前記容器本体は、胴部と肩部と口部とを有し、前記胴部は、有底筒状に形成され、且つ、前記胴部は、前記肩部に接続され、前記肩部は、平坦面部と補強凹部とを有し、且つ、前記平坦面部は、前記口部に接続され、前記補強凹部は、前記外殻側から前記内袋側へ向かう方向に凹んでおり、且つ、前記補強凹部は、前記平坦面部側から、前記容器本体を上面視したときにおいて前記口部に隠れる位置へ延びている、積層剥離容器が提供される。
【0007】
本発明に係る積層剥離容器によれば、補強凹部は、平坦面部側から、容器本体を上面視したときにおいて口部に隠れる位置へ延びており、その結果、補強凹部が、口部と肩部との接続部分により近接することとなり、口部が肩部側に座屈してしまうことが抑制される。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記口部は、根本部を有し、且つ、前記根本部は、前記平坦面部上に盛り上がるように形成され、前記補強凹部は、前記平坦面部側から前記根本部に到達している、積層剥離容器が提供される。
好ましくは、前記肩部は、前記容器本体の内部空間側から前記容器本体の外部空間側に向かう方向に凸なるように突出している、積層剥離容器が提供される。
好ましくは、前記肩部には、前記補強凹部に対応する第1及び第2補強凹部が形成され、第1及び第2補強凹部は、前記肩部の中心軸を基準としたときに180度をなすように配置されている、積層剥離容器が提供される。
好ましくは、前記補強凹部は、底面壁部と第1及び第2側壁部とを有し、第1及び第2側壁部は、前記底面壁部の一方の側端及び他方の側端にそれぞれ設けられ、前記底面壁部と第1及び第2側壁部は、前記根本部に到達している、積層剥離容器が提供される。
好ましくは、前記底面壁部の傾斜角度は、前記平坦面部側から前記根本部にかけて一定である、積層剥離容器が提供される。
好ましくは、前記肩部は、曲面部を更に有し、前記曲面部は、筒状に形成され、且つ、前記曲面部は、前記平坦面部及び前記胴部に接続されている、積層剥離容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1Aは実施形態に係る積層剥離容器1の正面図であり、図1Bは実施形態に係る積層剥離容器1の正面斜視図であり、図1Cは実施形態に係る積層剥離容器1の上面図である。
図2図1Bに示す積層剥離容器1の拡大図である。
図3図3Aは実施形態に係る積層剥離容器1の背面図であり、図3Bは実施形態に係る積層剥離容器1の背面斜視図である。
図4図3Bに示す積層剥離容器1の拡大図である。
図5図5A図1Cに示すA-A断面図であり、図5B図5Aに示す口部9及びその周辺の拡大図であって口部9に打栓キャップCpが装着される様子を示している。
図6図1Cに示すB-B断面図である。
図7図7A図5Aに示すC-C断面図であり、図7B図7Aに示す四角領域Bの拡大図である。
図8図8A図5Aに示すA-A端面図であり、図8B図5Aに示すB-B端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.積層剥離容器1の構成説明
図1A図2に示すように、積層剥離容器1は、容器本体3と、弁部材4と、を備える。容器本体3は、内容物を収容する胴部7と、内容物を収容する肩部8と、容器本体3内の内容物を容器本体3外へ流出させる口部9と、を備える。図5Bに示すように、口部9には打栓キャップCpが取り付けられる。つまり、口部9は打栓式の構成の口部であり、打栓キャップCpが口部9に打栓されることで、打栓キャップCpが口部9に装着される。なお、図5Bにおいて、打栓キャップCpは破線で模式的に示されている。
【0011】
1-1.容器本体3
1-1-1.外殻12及び内袋14
容器本体3は、胴部7、肩部8及び口部9において、外殻12と内袋14を備える。内容物の減少に伴って内袋14が外殻12の内面から剥離することによって、内袋14が外殻12の内面から離れて収縮する。外殻12は、復元性が高くなるように、内袋14よりも肉厚に形成されている。外殻12は、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などで構成される。外殻12は、複数層構成であってもよい。内袋14は、複数の層から構成することが好ましい。例えば、外殻12と接触する層にエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂からなるEVOH層を用い、内容物に接触する層に、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などのポリオレフィンからなる内面層を用いることができる。そして、上記EVOH層と内面層との間には、接着層を用いることが好ましい。
【0012】
1-1-2.胴部7
図1A及び図1Bに示すように、胴部7は有底筒状部材である。胴部7は上部7Aと縮径部7Bと底部7Cとを備える。縮径部7Bの外径は上部7Aの外径よりも小さくなっているので、ユーザーが縮径部7Bを把持しやすくなっている。上部7Aは肩部8に接続されている。
【0013】
1-1-2.肩部8
図2及び図4に示すように、肩部8の上端部が口部9に接続され、肩部8の下端部が胴部7に接続されている。図6に示すように、肩部8は、容器本体3の内部空間S2側から容器本体3の外部空間S1側に向かう方向に凸となるように突出しており、容器本体3は内容積を確保しやすい形状となっている。具体的には、図6に示すように、後述する根本部9Aの内側面の位置を位置P1とし、曲面部8Bと上部7Aとが接続する部分の内側面の位置を位置P2とし、位置P1と位置P2とを通る直線を仮想線Fとする。肩部8は、仮想線F側から外部空間S1側に向かう方向Drに凸となるように突出している。つまり、肩部8の全体が、方向Drに凸となるように突出している。
【0014】
肩部8は、平坦面部8Aと曲面部8Bとを有する。平坦面部8Aは曲面部8Bよりも上側に設けられている。平坦面部8Aは環状部材であり、また、平坦面部8Aは平板状に形成されている。平坦面部8Aの内側縁は口部9に接続され、平坦面部8Aの外側縁は曲面部8Bに接続されている。平坦面部8Aは、口部9側から曲面部8B側にかけて下側に傾斜している。曲面部8Bは筒状に形成されている。曲面部8Bの上端部は平坦面部8Aに接続され、曲面部8Bの下端部は胴部7に接続されている。曲面部8Bは平坦面部8A側から胴部7側にかけて下側に傾斜しており、曲面部8Bの外表面の傾斜角度は、平坦面部8Aの外表面の傾斜角度よりも大きい。
【0015】
図1A図1B図3A及び図3Bに示すように、肩部8には、補強凹部Rf、Rrが形成されている。補強凹部Rf及び補強凹部Rrのうちの一方が第1補強凹部に対応し、他方が第2補強凹部に対応する。補強凹部Rf、Rrは口部9の根本部9Aを補強している。つまり、補強凹部Rf、Rrが肩部8に形成されていることで、根本部9Aが補強凹部Rf、Rrによって補強され、口部9が肩部8側に座屈してしまうことが抑制される。補強凹部Rfは容器本体3の正面側に形成され、補強凹部Rfは容器本体3の背面側に形成されている。補強凹部Rf、Rrは、肩部8の中心軸を基準としたときに180度をなすように配置されている。つまり、補強凹部Rfと、肩部8の中心軸上の点と、補強凹部Rrとは、直線状に並ぶ。補強凹部Rf、Rrが肩部8の中心軸を基準としたときに180度をなすように配置されていることで、補強凹部Rf、Rrの補強領域が偏ることが抑制され、口部9が肩部8側に座屈してしまうことがより確実に抑制される。
【0016】
1-1-3.口部9
口部9は胴部7の上部に接続されている。口部9は円筒状部材である。図5A及び図5Bに示すように、口部9は、根本部9Aと立設部9Bと拡径部9Dと壁部9Eと装着凸部9Cと先細り壁部9Fと口上端部9Gとを有する。根本部9Aは、口部9が肩部8に接続される部分、すなわち口部9の根本の部分に設けられている。根本部9Aは平坦面部8A上に盛り上がるように形成されている。根本部9Aの高さ寸法、すなわち根本部9Aの盛上がり量は、例えば0.5mm~2.0mmである。また、根本部9Aの内外径の差の寸法は、例えば0.5mm~2.0mmである。根本部9Aの外表面は立設部9Bから平坦面部8Aにかけて傾斜している。つまり、根本部9Aの外表面はテーパー状になっている。立設部9Bは鉛直方向に延びている。つまり、立設部9Bは直線状の筒部である。立設部9Bの径は根本部9Aの径より小さい。図2図5A及び図5Bに示すように、口部9は、根本部9A、立設部9B及び拡径部9Dにかけてくびれ形状9Hが形成されている。拡径部9Dは容器本体3の中心軸に対して略直交する方向に延びている。拡径部9Dの内側部は立設部9Bに接続され、拡径部9Dの外側部は壁部9Eに接続されている。壁部9Eは上方に立ち上がるように延びている。壁部9Eの上端部は装着凸部9Cに接続されている。装着凸部9Cは打栓キャップCpが装着される部分であり、装着凸部9Cの外径は、口部9の外径の中で、最も大きくなっている。先細り壁部9Fは装着凸部9C側から口上端部9G側にかけて先細るように形成された壁部である。口上端部9Gは容器本体3内の内容物の流出口に対応し、口上端部9Gは口部9の最上部に位置している。
【0017】
1-2.弁部材4
図5Aに示すように、弁部材4は、胴部7に形成された外気導入孔15に装着され、外殻12と内袋14の間の中間空間21と外部空間S1との間の空気の出入りを調節する。外気導入孔15は、外殻12にのみ設けられた貫通孔であり、内袋14には到達していない。弁部材4は、中間空間21と外部空間S1を連通させるように構成された筒体5と、筒体5内に移動可能に収容された移動体6とを備える。筒体5及び移動体6は、射出成形などによって形成されている。移動体6は、球状であることが好ましい。
【0018】
2.補強凹部の詳細説明
2-1.補強凹部Rf
図2図7A及び図7Bに示すように、補強凹部Rfの形成範囲は、口部9の根本部9Aと、平坦面部8Aと、曲面部8Bとに及んでいる。つまり、補強凹部Rfは曲面部8B及び平坦面部8Aに形成されているだけでなく、補強凹部Rfは、曲面部8B側から根本部9Aに到達している。換言すると、補強凹部Rfは、曲面部8Bから根本部9Aにまで延びるように、形成されている。補強凹部Rfは、第1凹部R1と第2凹部R2とを有する。第1凹部R1は第2凹部R2に繋がっており、第1凹部R1は、第2凹部R2に繋がる部分から直線状に延び、根本部9Aに到達している。第2凹部R2は略円状であり、第2凹部R2には弁部材4が配置されている。
【0019】
図2図5A図8A及び図8Bに示すように、肩部8は、底面壁部8a1と、一対の側壁部8a2と、円状壁部8a3と、弧状壁部8a4とを有する。一対の側壁部8a2のうちの一方の側壁部8a2が第1側壁部に対応し、他方の側壁部8a2が第2側壁部に対応する。第1凹部R1は、底面壁部8a1と一対の側壁部8a2とによって形成され、第2凹部R2は、円状壁部8a3と弧状壁部8a4とによって形成されている。底面壁部8a1は、根本部9Aと、平坦面部8Aと、曲面部8Bとに跨るように設けられている。同様に、一対の側壁部8a2も、根本部9Aと、平坦面部8Aと、曲面部8Bとに跨るように設けられている。図8Aに示すように、一方の側壁部8a2は底面壁部8a1の一方の側端に接続され、他方の側壁部8a2は底面壁部8a1の他方の側端に接続されている。底面壁部8a1と各側壁部8a2とがなす角度は、90度より大きい。図5Aに示すように、底面壁部8a1の外表面及び円状壁部8a3の外表面は傾斜面となっており、円状壁部8a3の外表面の傾斜角度の方が、底面壁部8a1の外表面の傾斜角度よりも、大きくなっている。
【0020】
図2に示すように、底面壁部8a1は、上端部a1と、中間部a2と、下端部a3とを有する。上端部a1の外表面の傾斜角度と、中間部a2の外表面の傾斜角度と、下端部a3の外表面の傾斜角度とは、同じである。つまり、底面壁部8a1の外表面の傾斜角度は一定である。ここで、底面壁部8a1の傾斜角度は中間部a2から上端部a1にかけて小さくなっておらず、底面壁部8a1の傾斜角度は、平坦面部8A側から根本部9Aにかけて一定である。換言すると、底面壁部8a1は、傾斜角度を保ったまま、平坦面部8A側から根本部9Aまで延びている。仮に上端部a1の傾斜角度が中間部a2の傾斜角度よりも小さくなっていると、底面壁部8a1が口部9の側方側に位置することとなり、底面壁部8a1が口部9を支持しにくくなる。しかし、実施形態において、底面壁部8a1は、中間部a2から上端部a1にかけて傾斜角度を保ったまま根本部9Aまで到達しているので、底面壁部8a1が口部9の直下により近い位置に位置することとなり、底面壁部8a1が口部9をより確実に支持することができる。円状壁部8a3には外気導入孔15が形成され、円状壁部8a3には弁部材4が装着されている。円状壁部8a3の周縁には弧状壁部8a4が接続されている。
【0021】
また、図2に示すように、底面壁部8a1は、下端部a3から上端部a1にかけて幅が一定である。ここでいう幅は、一方の側壁部8a2から他方の側壁部8a2に向かう方向に平行な方向の幅である。仮に、上端部a1の幅が根本部9Aに向かうにしたがって狭くなっていると、底面壁部8a1が口部9を支持しにくくなる。しかし、実施形態において、下端部a3から上端部a1にかけて底面壁部8a1の幅は一定であるので、底面壁部8a1が口部9をより確実に支持することができる。
【0022】
2-2.補強凹部Rr
図4図7A及び図7Bに示すように、補強凹部Rrの形成範囲も、補強凹部Rfと同様に、口部9の根本部9Aと、平坦面部8Aと、曲面部8Bとに及んでいる。つまり、補強凹部Rrは曲面部8B及び平坦面部8Aに形成されているだけでなく、補強凹部Rrは、曲面部8B側から根本部9Aに到達している。換言すると、補強凹部Rrは、曲面部8Bから根本部9Aにまで延びるように、形成されている。
【0023】
図4図5A及び図8Aに示すように、肩部8は、底面壁部8b1と、一対の側壁部8b2とを有する。一対の側壁部8b2のうちの一方の側壁部8b2が第1側壁部に対応し、他方の側壁部8b2が第2側壁部に対応する。補強凹部Rrは底面壁部8b1と一対の側壁部8b2とによって形成されている。底面壁部8b1は、根本部9Aと、平坦面部8Aと、曲面部8Bとに跨るように設けられている。同様に、一対の側壁部8b2も、根本部9Aと、平坦面部8Aと、曲面部8Bとに跨るように設けられている。図8Aに示すように、一方の側壁部8b2は底面壁部8b1の一方の側端に接続され、他方の側壁部8b2は底面壁部8b1の他方の側端に接続されている。底面壁部8b1と各側壁部8b2とがなす角度は、90度より大きい。図5Aに示すように、底面壁部8b1の外表面は傾斜面となっている。
【0024】
図4に示すように、底面壁部8b1は、上端部b1と、中間部b2と、下端部b3とを有する。上端部b1の外表面の傾斜角度と、中間部b2の外表面の傾斜角度とは、同じである。なお、下端部b3の外表面の傾斜角度は、上端部b1の外表面の傾斜角度よりも小さくなっている。また、底面壁部8b1の傾斜角度は中間部b2から上端部b1にかけて小さくなっておらず、底面壁部8b1は、平坦面部8A側から根本部9Aにかけて一定である。換言すると、底面壁部8b1は、傾斜角度を保ったまま、平坦面部8A側から根本部9Aまで延びている。このように、底面壁部8b1は、中間部b2から上端部b1にかけて傾斜角度を保ったまま根本部9Aまで到達しているので、底面壁部8b1が口部9の直下により近い位置に位置することとなり、底面壁部8b1が口部9をより確実に支持することができる。
【0025】
また、図4に示すように、底面壁部8b1は、下端部b3から上端部b1にかけて幅が一定である。ここでいう幅は、一方の側壁部8b2から他方の側壁部8b2に向かう方向に平行な方向の幅である。このため、底面壁部8b1が口部9をより確実に支持することができる。
【0026】
3.積層剥離容器の製造方法
次に、積層剥離容器1の製造方法の一例を説明する。溶融状態の積層パリソンを押出機から押出し、この溶融状態の積層パリソンをブロー成形用の分割金型にセットし、分割金型を閉じる。次に、容器本体3の口部9側の開口部にブローノズルを挿入し、型締めを行った状態で分割金型のキャビティー内にエアーを吹き込む。その後、分割金型を開いて、ブロー成形品を取り出す。更に、積層剥離容器1の容器本体3の外殻12に外気導入孔15を形成する。なお、外気導入孔15を形成するときには、容器本体3を保持冶具に取り付けた状態で、容器本体3に剥離具を当接させる。ここで、容器本体3を保持冶具に取り付けた状態では、補強凹部Rrが保持冶具に係合する。つまり、補強凹部Rrは、口部9の根本部9Aを補強する機能だけでなく、外気導入孔15を形成するときに容器本体3を周方向に位置決めする機能も有する。
【0027】
4.実施形態の効果
積層剥離容器1の容器本体3には大容積化(例えば、600ml以上)のニーズがある。容器本体3の容積を大きくする場合には、通常、口部9の形状変更の必要はない。口部9の径を大きくしてしまうと、既存のキャップを流用することができなくなるし、また、口部9の径を大きくしたとしても、容器本体3の容積はほとんど増大しないからである。このため、容器本体3の容積を大きくする場合には、例えば肩部8の径や胴部7の径は大きく設定される。容器本体3を1つ製造するときに用いる積層パリソンの量が一定である場合には、肩部8の径や胴部7の径が大きく設定されていると、その分、分割金型内の積層パリソンが延ばされる。つまり、本来的に、口部9の肉厚と比較すると肩部8の肉厚や胴部7の肉厚は薄くなりやすいが、肩部8の径や胴部7の径が大きく設定されていると、更に、口部9の肉厚と比較すると肩部8の肉厚や胴部7の肉厚が薄くなってしまう。特に、肩部8の肉厚が薄くなると、口部9が肩部8側により座屈してしまいやすくなる。つまり、容器本体3を大容積化すると、肩部8の肉厚が薄くなりやすくなり、口部9(根本部9A)が肩部8側により座屈してしまいやすくなる。そこで、実施形態に係る積層剥離容器1の容器本体3の肩部8には補強凹部Rf、Rrが形成されている。補強凹部Rf、Rrは口部9を支持するリブとしての機能を有する。
【0028】
具体的には、補強凹部Rf、Rrが肩部8に形成されることで、補強凹部Rf、Rrには、壁部(底面壁部8a1、8b1及び側壁部8a2、8b2)が形成されることになる。この壁部は、立ち上がるように形成されているので、平坦面部8Aや曲面部8Bと比較すると、上下方向(容器本体3の中心軸に平行な方向)の外力に強い。つまり、この壁部は、口部9に対して上下方向の外力が作用としたときに、口部9(根本部9A)を補強するリブとして機能する。ここで、実施形態において、補強凹部Rf、Rrは根本部9Aに到達しているので、リブとして機能する壁部も根本部9Aに到達している。これにより、根本部9Aが、根本部9Aの直下位置に近い位置から、この壁部によって支持されることになる。その結果、実施形態に係る積層剥離容器1の容器本体3は、根本部9Aが肩部8側にめり込もうとする作用に対する抵抗力が増大している。したがって、容器本体3が大容積化されることで、肩部8の肉厚が口部9の肉厚と比較して更に薄くなったとしても、実施形態に係る積層剥離容器1の容器本体3の口部9(根本部9A)は、肩部8側に座屈することが抑制されている。
【0029】
また、実施形態に係る積層剥離容器1の容器本体3の肩部8は、容器本体3の内部空間S2側から容器本体3の外部空間S1側に向かう方向に凸となるように突出している。このため、容器本体3は大容積化のニーズに応える形状である。しかし、肩部8が、容器本体3の内部空間S2側から容器本体3の外部空間S1側に向かう方向に凸となるように突出していると、その分、肩部8が口部9の直下の位置から口部9を支持しにくくなる。その結果、口部9に外力が加わると、口部9(根本部9A)が肩部8側に座屈しやすくなる。実施形態に係る積層剥離容器1の容器本体3の肩部8には上述のようにリブとして機能する補強凹部Rf、Rrが形成されている。実施形態において、補強凹部Rf、Rrは根本部9Aに到達しているので、リブとして機能する壁部も根本部9Aに到達している。これにより、根本部9Aが、根本部9Aの直下位置に近い位置から、この壁部によって支持されることになる。その結果、根本部9Aが肩部8側にめり込もうとする作用に対する抵抗力が増大し、口部9(根本部9A)が肩部8側に座屈することが抑制される。
【0030】
なお、壁部(底面壁部8a1、8b1及び側壁部8a2、8b2)は鉛直方向に延びていてもよい。これにより、根本部9Aが、根本部9Aの直下位置から、壁部によって支持されることになり、口部9(根本部9A)が肩部8側に座屈することが更に抑制される。
【0031】
また、実施形態において、補強凹部Rf、Rrは根本部9Aに到達しているので、肩部8に必要以上に肉厚をつけなくても、容器本体3には、根本部9Aが肩部8側にめり込もうとする作用に対する抵抗力が確保されている。
【0032】
実施形態において、打栓キャップCpが口部9に打栓されることで、打栓キャップCpが口部9に装着されるので、図5Bに示すように、打栓キャップCpが口部9に打栓されるときにおいて、口部9には肩部8側に座屈する力Fcが作用することになる。ここで、図5Bに示すように、打栓キャップCpの下端部Cp1は、口部9の立設部9Bよりも上方に配置されており、口部9には、打栓キャップCpの下端部Cp1と容器本体3の肩部8との間に比較的広い間隔Spが設けられている。口部9に間隔Spが設けられているのは、打栓キャップCpを口部9に打栓するときに、口部9を支持するため、支持冶具Tを拡径部9Dに配置する必要があるからである。このように、口部9には間隔Spが設けられていることにより、口部9の下部がくびれ形状9Hとなるので、仮に補強凹部Rf、Rrが肩部8に形成されていないと、容器本体3(積層剥離容器1)が落下等したときに、口部9が肩部8側に座屈する可能性が高まる。なお、くびれ形状9Hは、打栓キャップCpが口部9に装着された状態においても外部に露わになっている。このため、たとえ打栓キャップCpが口部9に装着されていたとしても、仮に補強凹部Rf、Rrが肩部8に形成されていないと、容器本体3(積層剥離容器1)が落下等したときに、口部9が肩部8側に座屈する可能性が高まる。それに対し、実施形態に係る積層剥離容器1の容器本体3の肩部8には、上述のように補強凹部Rf、Rrが形成されているので、口部9の下部がくびれ形状9Hとなっていても、口部9が肩部8側に座屈することが抑制される。口部9が肩部8側に座屈することが抑制される効果は、打栓キャップCpが口部9に装着されていても、装着されていなくても、発揮される。
【0033】
5.補強凹部Rf、Rrの形成範囲について
実施形態では、補強凹部Rf、Rrが曲面部8B側から根本部9Aに到達しているものとして説明したが、その形態に限定されるものではない。具体的には、図1A図1Cに示すように、補強凹部Rf、Rrが、平坦面部8A側から、容器本体3を上面視したときにおいて口部9(装着凸部9C)に隠れる位置へ、延びていればよい。言い換えると、図5Bに示すように、補強凹部Rf、Rrの上端部が、装着凸部9Cから鉛直方向に延びる仮想線Lよりも、容器本体3の中心軸よりに位置していればよい。このような構成を備える容器本体3は、上述の実施形態の効果と同様の効果を奏する。なお、実施形態に係る積層剥離容器1は打栓キャップCpが装着される口部9を備える形態であったが、その形態に限定されるものではない。積層剥離容器1のキャップには打栓キャップCpの代わりにスクリュータイプのキャップが採用され、そして、口部9には、装着凸部9Cの代わりに、スクリュータイプのキャップと螺合するネジ部が形成されていてもよい。このような構成を備える容器本体3であっても、上述の実施形態の効果と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0034】
1 :積層剥離容器
3 :容器本体
4 :弁部材
5 :筒体
6 :移動体
7 :胴部
7A :上部
7B :縮径部
7C :底部
8 :肩部
8A :平坦面部
8B :曲面部
8a1 :底面壁部
8a2 :側壁部
8a3 :円状壁部
8a4 :弧状壁部
8b1 :底面壁部
8b2 :側壁部
9 :口部
9A :根本部
9B :立設部
9C :装着凸部
9D :拡径部
9E :壁部
9F :壁部
9G :口上端部
9H :くびれ形状
12 :外殻
14 :内袋
15 :外気導入孔
21 :中間空間
B :四角領域
Cp :打栓キャップ
Cp1 :下端部
Dr :方向
F :仮想線
Fc :力
L :仮想線
R1 :第1凹部
R2 :第2凹部
Rf :補強凹部
Rr :補強凹部
S1 :外部空間
S2 :内部空間
T :支持冶具
a1 :上端部
a2 :中間部
a3 :下端部
b1 :上端部
b2 :中間部
b3 :下端部
図1
図2
図3
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図6
図7
図8