(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 1/26 20060101AFI20221019BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
G06F1/26 303
H04M1/00 R
(21)【出願番号】P 2020132856
(22)【出願日】2020-08-05
【審査請求日】2021-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 光正
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-298733(JP,A)
【文献】特開2010-154348(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125434(WO,A1)
【文献】特開2011-160543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/26-1/3296
H04M1/00;1/24-1/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置を制御する制御部と、
前記自装置に対して電力を供給可能な第1のバッテリーと、
前記自装置から取り外せないよう設置された第2のバッテリーと、
他の情報処理装置との間で通信制御を行う通信モジュールと、
前記第1のバッテリーの残容量が所定の閾値より小さい場合に、前記第2のバッテリーから前記通信モジュールに対して電力を供給すると共に、前記第2のバッテリーから前記制御部には電力を供給しないよう制御し、
前記第1のバッテリーの残容量が所定の閾値以上の場合に、前記第1のバッテリーから前記制御部と、前記通信モジュールと、に対して電力を供給すると共に、前記第2のバッテリーには電力を供給しないよう制御する電力制御モジュールと、
を備え
、
前記通信モジュールは、不揮発性の記憶部を備え、前記第2のバッテリーから電力を供給されている間に、受信した情報を、前記記憶部に記憶させる、
情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部及び前記第1のバッテリーと、前記通信モジュールと、の間に設けられた第1のスイッチ回路と、
前記第2のバッテリーと、前記通信モジュールと、の間に設けられた第2のスイッチ回路と、を備え、
前記電力制御モジュールは、前記第1のバッテリーの残容量が所定の閾値より小さい場合に、前記第1のスイッチ回路に対して開制御を行うと共に、前記第2のスイッチ回路に対して閉制御を行う、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
コンピュータで実行されるプログラムであって、
前記コンピュータを制御する制御部と、
前記コンピュータに対して電力を供給可能な第1のバッテリーと、
前記コンピュータから取り外せないよう設置された第2のバッテリーと、
他の情報処理装置との間で通信制御を行う
と共に、不揮発性の記憶部を備える通信モジュールと、を備えたコンピュータに、
前記第1のバッテリーの残容量が所定の閾値より小さい場合に、前記第2のバッテリーから、前記通信モジュールに対して電力を供給すると共に、前記第2のバッテリーから前記制御部には電力を供給しないよう制御させ、
前記第1のバッテリーの残容量が所定の閾値以上の場合に、前記第1のバッテリーから前記制御部と、前記通信モジュールと、に対して電力を供給すると共に、前記第2のバッテリーには電力を供給しないよう制御させ
、
前記第2のバッテリーから電力を供給されている間に、受信した情報を、前記記憶部に記憶させ
るプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理装置におけるセキュリティ機能の向上させる要望が高くなる傾向にある。
【0003】
そこで、情報処理装置のセキュリティ機能として、情報処理装置が紛失や盗難に遭った場合に、遠隔操作によって情報処理装置のロックや、データを消去することで、情報漏えいを防止するソリューションが提案されている。
【0004】
当該ソリューションにおいては、情報処理端末の電源がオフの場合でも、例えば、3G/LTE回線等の公衆ネットワークを利用して、情報処理端末のロックやデータを消去できる。さらには、情報処理端末の内蔵ドライブのデータを消去できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、情報処理装置の電源がオフの状態で、当該情報処理装置のバッテリーが無くなった場合や、情報処理装置に搭載されたバッテリーを取り外された場合、遠隔操作であるリモート指示メッセージの受信ができなくなる。これにより、情報処理装置のロック、データ消去ができなくなる可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様にかかる情報処理装置は、自装置を制御する制御部と、自装置に対して電力を供給可能な第1のバッテリーと、自装置から取り外せないよう設置された第2のバッテリーと、他の情報処理装置との間で通信制御を行う通信モジュールと、第1のバッテリーの残容量が所定の閾値より小さい場合に、第2のバッテリーから通信モジュールに対して電力を供給すると共に、第2のバッテリーから制御部には電力を供給しないよう制御し、第1のバッテリーの残容量が所定の閾値以上の場合に、第1のバッテリーから制御部と、通信モジュールと、に対して電力を供給すると共に、第2のバッテリーには電力を供給しないよう制御する電力制御モジュールと、を備え、通信モジュールは、不揮発性の記憶部を備え、第2のバッテリーから電力を供給されている間に、受信した情報を、記憶部に記憶させる。
【0008】
本発明の第2態様にかかるプログラムは、コンピュータで実行されるプログラムであって、コンピュータを制御する制御部と、コンピュータに対して電力を供給可能な第1のバッテリーと、コンピュータから取り外せないよう設置された第2のバッテリーと、他の情報処理装置との間で通信制御を行うと共に、不揮発性の記憶部を備える通信モジュールと、を備えたコンピュータに、第1のバッテリーの残容量が所定の閾値より小さい場合に、第2のバッテリーから、通信モジュールに対して電力を供給すると共に、第2のバッテリーから制御部には電力を供給しないよう制御させ、第1のバッテリーの残容量が所定の閾値以上の場合に、第1のバッテリーから制御部と、通信モジュールと、に対して電力を供給すると共に、第2のバッテリーには電力を供給しないよう制御させ、第2のバッテリーから電力を供給されている間に、受信した情報を、記憶部に記憶させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる情報処理装置の全体構成を例示した図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる電力制御部のハードウェア構成を例示した図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかる情報処理装置にACアダプタから電力を供給されている場合の、スイッチ回路の接続例を示した図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかる情報処理装置にACアダプタから電力を供給されず、メインバッテリーの残容量が所定の閾値以上の場合の、スイッチ回路の接続例を示した図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかる情報処理装置にACアダプタから電力を供給されず、メインバッテリーの残容量が所定の閾値より小さい場合の、スイッチ回路の接続例を示した図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかる情報処理装置における充電処理の切り替え制御を示したフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態にかかる情報処理装置におけるBIOS起動時におけるリモートメッセージの確認制御を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の一実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態にかかる情報処理装置100の全体構成を例示した図である。
【0011】
図1に示されるように、情報処理装置100は、装置回路101と、バッテリー切替機構102と、メインバッテリー103と、補助バッテリー104と、ACアダプタ105と、充電制御部106と、太陽電池107と、WWAN(Wireless Wide Area Network)通信モジュール108と、SIMカード109と、アンテナ110と、を備えている。
【0012】
装置回路101は、CPU(Central Processing Unit)121と、HDD122と、USB(Universal Serial Bus)123と、メモリ124と、LCD(Liquid Crystal Monitor)125と、PCH(プラットフォーム・コントローラー・ハブ)126と、を備えている。
【0013】
CPU121は、情報処理装置100全体を制御する。HDD122は、情報処理装置100で用いるデータやプログラムを記憶する。USB123は、外部の機器等と接続するためのインタフェースとする。メモリ124は、CPU121で実行されたプログラムの作業領域となる。LCD125は、情報処理装置100で実行されたプログラムの実行結果等を表示する表示部として機能する。PCH126は、装置回路101内部のバスを管理する。
【0014】
WWAN通信モジュール108は、SIMカード109を参照して、アンテナ110を介して広域データ通信ネットワークに対する無線通信を行う。WWAN通信モジュール108は、他の情報処理装置との間で通信制御を行う通信モジュールとして機能する。
【0015】
また、WWAN通信モジュール108は、不揮発性メモリ131を備え、無線通信によって受信した、リモートメッセージを不揮発性メモリ131に格納する。そして、不揮発性メモリ131に格納されたリモートメッセージは、CPU121から読み出される。
【0016】
ACアダプタ105は、外部から供給される電力を、情報処理装置100全体に供給する。
【0017】
メインバッテリー103は、ACアダプタ105から電力が供給されていない場合に、情報処理装置100に対して電力を供給可能なバッテリーとする。
【0018】
補助バッテリー104は、情報処理装置100から取り外せないよう設置されたバッテリーとする。情報処理装置100から取り外せないようにする手段は、どのような手法でも良く、例えば、情報処理装置100内部の基板に補助バッテリー104を半田付けしたり、情報処理装置100内に設けられたケース内に補助バッテリー104を設けたりすることが考えられる。補助バッテリー104は、常に太陽電池107等の発電システムやACアダプタ105から充電されている。
【0019】
充電制御部106は、メインバッテリー103及び補助バッテリー104に対して充電する制御を行う。例えば、充電制御部106は、補助バッテリー104に対する電力供給するために、太陽電池107を利用する。なお、本実施形態は、補助バッテリー104に対する電力供給は、太陽電池107に制限するものでなく、補助発電システムを用いたものであればよく、例えば振動を用いた発電等を用いても良い。
【0020】
バッテリー切替機構102は、電力制御部141と、第1のスイッチ回路142と、第2のスイッチ回路143と、を備え、メインバッテリー103及び補助バッテリー104から電力の供給を切り替えるための機構とする。
【0021】
第1のスイッチ回路142は、装置回路101及びメインバッテリー103と、WWAN通信モジュール108と、の間に設けられている。
【0022】
第2のスイッチ回路143は、補助バッテリー104と、WWAN通信モジュール108と、の間に設けられている。
【0023】
電力制御部141は、メインバッテリー103及び補助バッテリー104を制御するための回路とする。
図2は、本実施形態にかかる電力制御部141のハードウェア構成を例示した図である。電力制御部141は、PMU(Power Management Unit)とも称する。
【0024】
図2に示されるように、電力制御部141は、LPC(Low Pin Count)インタフェース201と、MPU202と、ROM203と、RAM204と、バススイッチ制御部205と、USBホストコントローラ206と、を備える。USBホストコントローラ206は、USBを介して接続されている機器を制御する。バススイッチ制御部205は、USBバスの接続を切り替えるスイッチとする。LPCインタフェース201は、LPCバスに接続するためのインタフェースとする。
【0025】
MPU202は、ROM203に格納されたプログラムを実行し、RAM204を作業領域として、以下に示す処理を実現する。
【0026】
図1に戻り、電力制御部141は、ACアダプタ105によって外部電源と接続されている場合には、情報処理装置100全体に電力を供給する。
【0027】
電力制御部141は、メインバッテリー103の残容量が所定の閾値より小さい場合に、補助バッテリー104からWWAN通信モジュール108に対して電力を供給し、補助バッテリー104からCPU121を含む装置回路101には電力を供給しないよう制御をする。残容量は、例えば、SOC(States Of Charge)とも称する。所定の閾値は、実施態様に応じて設定される値とし、例えば、情報処理装置100のOSがシャットダウンできずに電源が切れる可能性のあるメインバッテリー103の残容量などが考えられる。
【0028】
具体的には、電力制御部141は、メインバッテリー103の残量を監視している。そして、電力制御部141は、ACアダプタ105から電力が供給されず、メインバッテリー103の残容量が所定の閾値より小さい場合に、第1のスイッチ回路142に対して開制御を行うと共に、第2のスイッチ回路143に対して閉制御を行う。その際、情報処理装置100上で動作しているプログラム(例えばOS)のシャットダウン処理も行われる。これにより、CPU121やPCH126を含む装置回路101の電源供給が停止され、WWAN通信モジュール108、SIMカード109にのみ電力供給を行う。
【0029】
そして、WWAN通信モジュール108は、補助バッテリー104から電力を供給されている間に、装置回路101に電力が供給されていなくとも、受信した情報(例えばリモートメッセージ)を、不揮発性メモリ131に記憶させる。これにより、メインバッテリー103の残量が無くなり、情報処理装置100の電源が切れた場合でも、WWAN通信モジュール108、SIMカード109に電力供給されるため、リモートメッセージを受信し、保存できる。しかしながら、装置回路101に電力が供給されていないため、リモートロックやデータの消去の制御はできない。その後、装置回路101の起動時に、不揮発性メモリ131に記憶されているリモートメッセージが読み出され、当該リモートメッセージに従ってリモートロックや、データの消去が実行される。これにより、セキュリティを向上させることができる。なお、データの消去は、例えば、HDD122に記憶されているデータに対して行われる。
【0030】
図3は、本実施形態にかかる情報処理装置100にACアダプタ105から電力を供給されている場合の、スイッチ回路の接続例を示した図である。
図3に示されるように、電力制御部141は、ACアダプタ105から電力が供給されていると判定した場合に、第1のスイッチ回路142の閉制御を行い、第2のスイッチ回路143の開制御を行う。これにより、ACアダプタ105から、装置回路101と、WWAN通信モジュール108と、に電力が供給される。さらに、充電制御部106が、ACアダプタ105からの電力で、メインバッテリー103や補助バッテリー104の充電制御を行う。
【0031】
図4は、本実施形態にかかる情報処理装置100にACアダプタ105から電力を供給されず、メインバッテリー103の残容量が所定の閾値以上の場合の、スイッチ回路の接続例を示した図である。
図4に示されるように、電力制御部141は、ACアダプタ105から電力を供給されず、メインバッテリー103の残容量が所定の閾値以上の場合に、第1のスイッチ回路142の閉制御を行い、第2のスイッチ回路143の開制御を行う。これにより、メインバッテリー103から、装置回路101と、WWAN通信モジュール108と、に電力が供給される。この場合、充電制御部106は、太陽電池107等によって生成された電力で、補助バッテリー104の充電制御を行う。
【0032】
図4に示される制御は、情報処理装置100が起動している場合だけではなく、情報処理装置100がスリープしている場合や、情報処理装置100がシャットダウンしている場合も同様に行われるものとする。
【0033】
つまり、情報処理装置100が起動している場合には、装置回路101は、WWAN通信モジュール108が受信したリモートメッセージを読み出して、当該リモートメッセージに応じて、リモートロックや、データの消去を実現できる。また、情報処理装置100がシャットダウンしている場合には、情報処理装置100が起動した後に、不揮発性メモリ131に格納されているリモートメッセージを読み出して、リモートロックや、データの消去を実現できる。
【0034】
図5は、本実施形態にかかる情報処理装置100にACアダプタ105から電力を供給されず、メインバッテリー103の残容量が所定の閾値より小さい場合の、スイッチ回路の接続例を示した図である。
図5に示されるように、電力制御部141は、ACアダプタ105から電力を供給されず、メインバッテリー103の残容量が所定の閾値より小さい場合に、第1のスイッチ回路142の開制御を行い、第2のスイッチ回路143の閉制御を行う。これにより、補助バッテリー104から、WWAN通信モジュール108に電力が供給される。なお、メインバッテリー103が取り外されている場合の同様の制御を行う。
【0035】
つまり、メインバッテリー103から電力の供給が難しい場合には、補助バッテリー104から供給される電力で、WWAN通信モジュール108を動作させる。これにより、メインバッテリー103の電力が低下した場合や、メインバッテリー103に異常が生じた場合でも、リモートメッセージを受信可能とすることでリモートロックやデータの消去を行うためのリモートメッセージの取り逃しを抑止できる。その際に、装置回路101に電力供給を行わないため、WWAN通信モジュール108の長時間起動を実現できる。
【0036】
図6は、本実施形態にかかる情報処理装置100における充電処理の切り替え制御を示したフローチャートである。
【0037】
まず、電力制御部141は、メインバッテリー103の残容量が、所定の閾値より小さいか否かを判定する(S601)。
【0038】
電力制御部141は、メインバッテリー103の残容量が所定の閾値以上と判定した場合(S601:No)、メインバッテリー103から情報処理装置100に対する電力の供給を維持する(S609)。
【0039】
一方、電力制御部141は、メインバッテリー103の残容量が所定の閾値より小さいと判定した場合(S601:Yes)、CPU121と通信して、CPU121上でOSが動作しているか否かを判定する(S602)。例えば、CPU121に現在の状況を問い合わせる信号を送信する。当該信号からの返信があった場合には、現在の状況を認識できるので、OSが起動しているか否かを判定できる。また、電力制御部141が信号をCPU121に送信した際に、CPU121から返信がない場合には、OSが停止しているものとみなす。
【0040】
電力制御部141は、OSが動作していないと判定した場合(S602:No)、特に処理を行わず、S604の処理に進む。
【0041】
一方、電力制御部141は、OSが動作していると判定した場合(S602:Yes)、CPU121に対してシャットダウン要求を送信する(S603)。これにより、情報処理装置100のシャットダウンが行われる。
【0042】
その後、電力制御部141は、補助バッテリー104への切り替え処理を開始する(S604)。電力制御部141は、補助バッテリー104が発電可能か否かを判定する(S605)。電力制御部141は、発電できないと判定した場合(S605:No)、太陽電池107から補助バッテリー104への充電が行われる(S606)。その後、再びS605から処理が行われる。
【0043】
一方、電力制御部141は、補助バッテリー104が発電可能と判定した場合(S605:Yes)、第1のスイッチ回路142を開制御することで、装置回路101への電力供給が遮断制御される(S607)。さらに、電力制御部141は、第2のスイッチ回路143を閉制御することで、補助バッテリー104からWWAN通信モジュール108に対する通電を維持する(S608)。
【0044】
上述した制御を行うことで、メインバッテリー103の残容量がない場合やメインバッテリー103が取り外された場合であっても、補助バッテリー104からWWAN通信モジュール108に対する電力供給が維持されるため、リモートロックやデータの消去を指示するリモートメッセージの取り逃しを抑止できる。
【0045】
そして、補助バッテリー104から、WWAN通信モジュール108に電力を供給している間に、リモートメッセージを受信した場合、その後のBIOS起動時に、処理が行われることになる。
【0046】
図7は、本実施形態にかかる情報処理装置100におけるBIOS起動時におけるリモートメッセージの確認制御を示したフローチャートである。
図7で示されるフローチャートでは、電力制御部141と、CPU121と、の処理について説明する。
【0047】
まず、電力制御部141は、ACアダプタ105又はメインバッテリー103から、電力供給か否かを判定する(S701)。例えば、ACアダプタ105が接続されて外部電源から電力を供給可能か、メインバッテリー103が電力を供給可能な程度に残容量を有しているか否かを判定する。電力供給可能ではないと判定した場合(S701:No)、電力が供給可能になるまでS701の処理を繰り返す。
【0048】
一方、電力制御部141は、ACアダプタ105又はメインバッテリー103から、電力供給と判定した場合(S701:Yes)、ACアダプタ105又はメインバッテリー103から装置回路101に対して電力供給可能になるようにスイッチ回路を切り替える(S702)。当該スイッチ回路の例としては、
図3や
図4で示した構成が考えられる。
【0049】
その後、電力制御部141は、CPU121に対して、BIOS起動要求を送信する(S703)。
【0050】
CPU121は、BIOSの起動要求を受信する(S711)。そして、CPU121は、BIOSを起動させる(S712)。
【0051】
CPU121のBIOSは、起動した後、WWAN通信モジュール108の不揮発性メモリ131を参照する(S713)。そして、CPU121のBIOSは、リモートメッセージを受信しているか否かを判定する(S714)。受信していないと判定した場合(S714:No)、処理を終了する。
【0052】
一方、CPU121のBIOSは、リモートメッセージを受信していると判定した(S714:Yes)、リモートメッセージに記載されている指示メッセージに従って、処理を開始する。そして、CPU121のBIOSは、指示メッセージにリモートロック及びデータの消去のうちいずれか一つ以上が含まれているか否かを判定する(S715)。リモートロック及びデータの消去が含まれていないと判定した場合(S715:No)、指示メッセージに従って処理を行った後、終了する。
【0053】
一方、指示メッセージにリモートロック及びデータの消去のうちいずれか一つ以上が含まれていると判定した場合(S715:Yes)、当該指示に従って、リモートロック及びデータの消去のいずれか一つ以上を行う(S716)。
【0054】
本実施形態においては、上述した制御を行うことで、メインバッテリー103の残容量が少ないときに受信したリモートメッセージに応じて、リモートロック及びデータの消去のいずれか一つ以上を行うことができる。
【0055】
このように上述した実施形態における情報処理装置100においては、意図的にメインバッテリー103が外された場合や、メインバッテリー103の残容量が無くなった場合であっても、セキュリティ機能を動作させるためのリモートメッセージを受信可能となった。
【0056】
具体的には、メインバッテリー103の残容量が少ない場合や、メインバッテリー103が取り外された場合でも、取り外しできないよう設けられた補助バッテリー104から供給される電力で、WWAN通信モジュール108が、リモートメッセージを受信可能としている。
【0057】
補助バッテリー104は、装置回路101に電力供給を行わず、WWAN通信モジュール108等にのみ電力供給する。これにより補助バッテリー104の動作時間を延長できる。したがって、外部装置からのリモートメッセージの長時間受信可能な状態を維持できるので、当該リモートメッセージの取り逃しを抑止できる。
【0058】
そして、情報処理装置100においてメインバッテリー103やACアダプタ105から電力が供給可能な段階で、BIOSがWWAN通信モジュール108の不揮発性メモリ131に保存されたリモートメッセージを確認し、リモートメッセージに、リモートロックやデータの消去を指示したメッセージを確認できた場合に、リモートロックや、データの消去を開始する。これにより、セキュリティを向上させることができる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
100…情報処理装置、101…装置回路、102…バッテリー切替機構、103…メインバッテリー、104…補助バッテリー、105…ACアダプタ、106…充電制御部、107…太陽電池、108…WWAN通信モジュール、109…SIMカード、110…アンテナ、121…CPU、122…HDD、123…USB、124…メモリ、125…LCD、131…不揮発性メモリ、141…電力制御部、142…第1のスイッチ回路、143…第2のスイッチ回路