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特許7161123基地局装置、端末装置、通信方法、及び通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】基地局装置、端末装置、通信方法、及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/06 20090101AFI20221019BHJP
   H04W 80/02 20090101ALI20221019BHJP
【FI】
H04W28/06
H04W80/02
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020512141
(86)(22)【出願日】2018-04-03
(86)【国際出願番号】 JP2018014338
(87)【国際公開番号】W WO2019193663
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】太田 好明
(72)【発明者】
【氏名】大出 高義
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 義博
【審査官】中元 淳二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-026705(JP,A)
【文献】OPPO,RLC segmentation in NR[online],3GPP TSG RAN WG2 #97bis R2-1702547,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_97bis/Docs/R2-1702547.zip>,2017年04月07日
【文献】NTT DOCOMO, INC.,Email discussion report on SO segmentation[online],3GPP TSG RAN WG2 #97bis R2-1702646,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_97bis/Docs/R2-1702646.zip>,2017年04月07日
【文献】CMCC, MediaTek Inc.,Further thoughts on concatenation at PDCP[online],3GPP TSG RAN WG2 #97bis R2-1702930,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_97bis/Docs/R2-1702930.zip>,2017年04月07日
【文献】Samsung,PDCP PDU format for NR[online],3GPP TSG RAN WG2 #97bis R2-1703582,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_97bis/Docs/R2-1703582.zip>,2017年04月07日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1種別の第1データと、第2種別の第2データを送信する送信部と、
前記送信部が前記第1データと前記第2データを多重化して送信するとき、前記第2データのRLCヘッダに含まれるセグメンテーションオフセットの一部又はリザーブビットの一部を省略することができる制御部とを有する
基地局装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記RLCヘッダから、前記セグメンテーションオフセットの一部を省略し、前記第2データの分割順を示す分割情報を付与する
請求項1記載の基地局装置。
【請求項3】
前記分割情報は、複数ビットを有し、
前記制御部は、前記複数ビットのうち、前記第2データの分割順に応じたビットをONにする
請求項2記載の基地局装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2データの分割順が先頭である場合、前記セグメンテーションオフセットの一部を省略する
請求項1記載の基地局装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2データの分割順が最後尾である場合、前記セグメンテーションオフセットの一部を省略する
請求項1記載の基地局装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2データが分割されていない場合、前記セグメンテーションオフセットの一部を省略する
請求項1記載の基地局装置。
【請求項7】
前記制御部は、さらに、前記セグメンテーションオフセットの一部と前記リザーブビットの一部を省略する
請求項1記載の基地局装置。
【請求項8】
前記制御部は、さらに、RLCレイヤのシーケンス番号の格納領域の一部を省略する
請求項1記載の基地局装置。
【請求項9】
前記制御部は、さらに、PDCPレイヤのシーケンス番号の格納領域の一部を省略する
請求項1記載の基地局装置。
【請求項10】
前記制御部は、さらに、前記第2データを制御用として使用しない場合、PDCPヘッダに含まれる、前記第2データが制御プレーン用又はユーザプレーン用のいずれであるかを示す情報要素を省略する
請求項1記載の基地局装置。
【請求項11】
前記制御部は、さらに、RLCヘッダとPDCPヘッダを結合し、前記結合したヘッダの
シーケンス番号の一部を省略する
請求項1記載の基地局装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記第2データを制御用として使用しない場合、前記結合したヘッダの、前記第2データが制御プレーン用又はユーザプレーン用のいずれであるかを示す情報要素を、省略する
請求項11記載の基地局装置。
【請求項13】
前記第2データは、固定長である
請求項1記載の基地局装置。
【請求項14】
前記第2データは、前記第1データよりデータサイズが小さい
請求項1記載の基地局装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記第2データの送信に使用する前記RLCヘッダのフォーマットに関する情報を、前記第2データの送信先の装置に通知する
請求項1記載の基地局装置。
【請求項16】
第1種別の第1データと、第2種別の第2データを受信する受信部と、
前記受信部が多重化された前記第1データと前記第2データを受信するとき、前記第1データの領域に含まれる、セグメンテーションオフセットの一部又はリザーブビットの一部が省略されたRLCヘッダを有するデータを、前記第2データとして取り出す受信制御部とを有する
端末装置。
【請求項17】
第1種別の第1データと、第2種別の第2データを送信し、
前記送信において、前記第1データと前記第2データを多重化するとき、前記第2データのRLCヘッダに含まれるセグメンテーションオフセットの一部又はリザーブビットの一部を省略する
基地局装置における通信方法。
【請求項18】
第1種別の第1データと、第2種別の第2データを送信する送信部と、前記送信部が前記第1データと前記第2データを多重化して送信するとき、前記第2データのRLCヘッダに含まれるセグメンテーションオフセットの一部又はリザーブビットの一部を省略することができる制御部とを有する基地局装置と、
前記第1データ及び前記第2データを受信する受信部と、前記受信部が多重化された前
記第1データと前記第2データを受信するとき、前記第1データの領域に含まれる、前記RLCヘッダを有するデータを、前記第2データとして取り出す受信制御部とを有する端末装置と、
を有する通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置、端末装置、通信方法、及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のネットワークは、モバイル端末(スマートフォンやフューチャーホン)のトラフィックがネットワークのリソースの大半を占めている。また、モバイル端末が使うトラフィックは、今後も拡大していく傾向にある。
【0003】
一方で、IoT(Internet of Things)サービス(例えば、交通システム、スマートメータ、装置等の監視システム)の展開にあわせて、多様な要求条件を持つサービスに対応することが求められている。そのため、第5世代移動体通信(5Gまたは、NR(New Radio))の通信規格では、4G(第4世代移動体通信)の標準技術に加えて、さらなる高データレート化、大容量化、低遅延化を実現する技術が求められている。なお、第5世代通信規格については、3GPPの作業部会(例えば、TSG-RAN WG1、TSG-RAN WG2等)で技術検討が進められている。
【0004】
多種多様なサービスに対応するために、5Gでは、例えば、eMBB(Enhanced Mobile BroadBand)、Massive MTC(Machine Type Communications)、およびURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communication)に分類される多くのユースケースのサポートを想定している。特に、URLLCは、超高信頼性と低遅延の2つが要求されるため、実現が困難なユースケースの一つである。
【0005】
また、5Gでは、超高信頼低遅延通信データ(URLLCデータ)と、他のデータ(例えば、eMBBデータ等)とを同一キャリアで同時にサポートできることが求められており、その実現のために周波数利用効率を損なわないことが望ましい。
【0006】
5Gに関する技術については、以下の先行技術文献に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】3GPP TS 36.211 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 36.212 V15.0.1 (2018-01)
【文献】3GPP TS 36.213 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 36.300 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 36.321 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 36.322 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 36.323 V14.5.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 36.331 V15.0.1 (2018-01)
【文献】3GPP TS 36.413 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 36.423 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 36.425 V14.0.0 (2017-03)
【文献】3GPP TS 37.340 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 38.201 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 38.202 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 38.211 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 38.212 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 38.213 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 38.214 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 38.215 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 38.300 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 38.321 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 38.322 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 38.323 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 38.331 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 38.401 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 38.410 V 0.6.0 (2017-12)
【文献】3GPP TS 38.413 V0.5.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.420 V0.5.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.423 V0.5.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.470 V15.0.0 (2018-01)
【文献】3GPP TS 38.473 V15.0.0 (2017-12)
【文献】3GPP TR 38.801 V14.0.0(2017-04)
【文献】3GPP TR 38.802 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.803 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.804 V14.0.0 (2017-03)
【文献】3GPP TR 38.900 V14.3.1 (2017-07)
【文献】3GPP TR 38.912 V14.1.0 (2017-06)
【文献】3GPP TR 38.913 V14.3.0 (2017-06)
【文献】”New SID Proposal: Study on New Radio Access Technology”, NTT docomo, RP-160671, 3GPP TSG RAN Meeting #71, Goteborg, Sweden, 7.-10. March, 2016
【文献】”On co-existence of eMBB and URLLC ”, NTT docomo, R1-167391, 3GPP TSG RAN WG1 Meeting #86, Gothenburg, Sweden 22nd - 26th August 2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
URLLCは、例えば、小さいサイズのデータを送信することが想定される。しかし、データサイズが小さいと、送信メッセージにおけるヘッダ部の占める割合が大きくなり、ヘッダ部を送信することによるオーバヘッドが大きくなる。この場合、URLLCで求められる低遅延が実現できない場合がある。
【0009】
そこで、開示の一つの目的は、ヘッダ部を送信することによるオーバヘッドを低減する基地局装置、端末装置、通信方法、及び通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1種別の第1データと、第2種別の第2データを送信する送信部と、前記送信部が前記第1データと前記第2データを多重化して送信するとき、前記第2データのRLCヘッダに含まれるセグメンテーションオフセットの少なくとも一部又はリザーブビットの少なくとも一部を省略することができる制御部とを有する。
【発明の効果】
【0011】
一開示は、ヘッダ部を送信することによるオーバヘッドを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、通信システム10の構成例を示す図である。
図2図2は、通信システム10の構成例を示す図である。
図3図3は、eMBBにおけるURLLCの割り込み送信の例を示す図である。
図4図4は、基地局装置200の構成例を示す図である。
図5図5は、端末装置100の構成例を示す図である。
図6図6は、データ送信処理のシーケンスの例を示す図である。
図7図7は、RLCヘッダパターン1の例を示す図である。
図8図8は、RLCヘッダパターン2の例を示す図である。
図9図9は、Siパターン1におけるRLCヘッダパターン2の例を示す図である。
図10図10は、Siの一部にRビットを設定するSiパターンの例を示す図である。
図11図11は、RLCヘッダパターン2、Siパターン2において、先頭データのSiを省略するヘッダの例を示す図である。
図12図12は、RLCヘッダパターン2、Siパターン4において、先頭データ及び最後尾データのSiを省略するヘッダの例を示す図である。
図13図13は、RLCヘッダパターン3の例を示す図である。
図14図14は、RLCヘッダパターン3の、先頭データのSOを省略するヘッダの例を示す図である。
図15図15は、RLCヘッダパターン3の、先頭及び最後尾データのSOを省略するヘッダの例を示す図である。
図16図16は、分割なしPDCPヘッダパターンの例を示す図である。
図17図17は、分割ありPDCPヘッダパターンの例を示す図である。
図18図18は、PDCP SNを6ビットで規定したPDCPヘッダの例を示す図である。
図19図19は、分割あり結合ヘッダパターンの例を示す図である。
図20図20は、分割あり結合ヘッダパターンの例を示す図である。
図21図21は、AMに対応したRLCヘッダパターンの例を示す図である。
図22図22は、AMに対応したPDCPヘッダとRLCヘッダを結合したヘッダパターンの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書における課題及び実施例は一例であり、本願の権利範囲を限定するものではない。特に、記載の表現が異なっていたとしても技術的に同等であれば、異なる表現であっても本願の技術を適用可能であり、権利範囲を限定するものではない。
【0014】
[第1の実施の形態]
最初に第1の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、通信システム10の構成例を示す図である。基地局装置200は、通信相手装置(図示しない)に、第1データ及び第2データを送信する。
【0016】
基地局装置200は、送信部290及び制御部291を有する。送信部290及び制御部291は、例えば、基地局装置200が有するコンピュータやプロセッサが、プログラムをロードし、実行することで構築される。
【0017】
基地局装置200は、データを送信する装置であり、例えば、5GにおけるgNodeBである。基地局装置200は、第1種別(例えば、eMBB)の第1データ及び、第2種別(例えば、URLLC)の第2データを送信する。基地局装置200は、第1データと第2データを多重化し、送信する場合がある。
【0018】
送信部290は、第1データ及び第2データを送信する。送信部290は、例えば、第1データ送信中に第2データの送信契機が発生すると、第1データと第2データを多重化して送信する。
【0019】
制御部291は、送信部290が第1データと第2データを多重化して送信するとき、第2データのRLCヘッダに含まれるセグメンテーションオフセット(SO : Segmentation Offset)の、少なくとも一部を省略する。
【0020】
セグメンテーションオフセットは、分割(セグメント)されたデータの先頭または末尾が、分割する前のPDUのどの位置(例えば、先頭から何バイト目)に対応するかを示す情報要素である。
【0021】
なお、制御部291は、例えば、RLCヘッダに予約領域を示すリザーブ(R:Reserve)ビットが含まれる場合、リザーブビットの少なくとも一部を省略してもよい。制御部291は、リザーブビットを省略する場合、セグメンテーションオフセットを併せて省略してもよいし、省略しなくてもよい。
【0022】
制御部291は、例えば、第2データが分割されていないデータの場合、セグメンテーションオフセットの全部を省略する。また、制御部291は、例えば、第2データが分割されたデータであり、第2データが所定値より小さい場合、もしくは、セグメンテーションオフセットの一部を省略しても、分割されたデータの先頭または末尾の位置を示すことができる場合、セグメンテーションオフセットの一部を省略する。
【0023】
これにより、基地局装置200は、RLCヘッダのデータ量を抑制し、ヘッダ部送信によるオーバヘッドを低減させることができる。
【0024】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0025】
<通信システムの構成例>
図2は、通信システム10の構成例を示す図である。通信システム10は、端末装置100及び基地局装置200を有する。通信システム10は、例えば、5Gに準拠した無線通信の通信システムである。また、通信システム10は、以下に示すプロトコルスタックに準拠した通信システムである。
【0026】
無線通信システムの通信規格では、一般的に、無線通信の機能を一連の層(レイヤ)に分割したプロトコルスタック(階層型プロトコルとも称される)として、仕様が規定される。例えば、第一層として物理層が規定され、第二層としてデータリンク層が規定され、第三層としてネットワーク層が規定される。LTEなどの第四世代移動通信システムでは、第二層は複数の副層に分割されており、MAC(Medium Access Control)レイヤ、RLC(Radio Link Control)レイヤ、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤから構成される。また、第四世代移動通信システムにおいて、第一層はPHY(Physical)レイヤから構成されており、第三層はRRC(Radio Resource Control)レイヤから構成される(RRCレイヤは制御プレーンのみ)。
【0027】
無線通信システムの送信装置における各レイヤは、上位レイヤからのデータブロック(サービスデータユニット(SDU:Service Data Unit)とも称される)に対して、ヘッダを付すなどの所定のプロトコルに準拠した処理を行うことで、受信装置におけるピアプロセス間で交換される情報単位であるプロトコルデータユニット(PDU:Protocol Data Unit)を生成し、下位レイヤに転送する。例えば、LTEのRLCレイヤでは、上位レイヤであるPDCPレイヤからのデータブロックであるPDCP-PDUをRLC-SDUとし、下位レイヤから通知されるTB(Transport Block)長に収まる範囲で複数のRLC-SDUを連結するなどして、RLC-PDUを生成する。その様なRLC-PDUは、RLCレイヤにおけるシーケンス番号(SN:Sequence Number)を有するRLCヘッダが付された状態で、下位レイヤであるMACレイヤに転送される。
【0028】
無線通信システムの受信装置における各レイヤは、下位レイヤからのデータブロック(PDUとも称される)を受けて、ヘッダを除去するなどして取り出したデータブロック(SDUとも称される)を上位レイヤへ転送する。例えば、LTEのRLCでは、下位レイヤであるMACレイヤからのデータブロック(MAC-SDU、RLC-PDUとも称される)に付されたRLCヘッダを参照して、1個のRLC-PDUに格納された複数のRLC-SDUを再構成するなどの処理が行われ、上位レイヤであるPDCPレイヤにRLC-SDUを転送する。その際、上位レイヤに対してRLC-SDUの順序を補償するために、RLC-SDUの再構成において、RLCヘッダが有するRLCシーケンス番号に基づく整序処理が行われる。そして、RLCシーケンス番号に抜けが生じたことを検知した場合、送信装置に対してRLC-PDUの再送を要求するRLC再送制御が実行される。
【0029】
基地局装置200は、ネットワーク(図示しない)から端末装置100に送信されるデータを受信したとき、無線を介して端末装置100にデータを送信する。基地局装置200は、例えば、5Gに準拠したgNodeBである。
【0030】
端末装置100は、基地局装置200と、あるいは基地局装置200を介して他の通信装置と通信を行う、例えば、スマートフォンやタブレット端末などの移動体通信端末である。
【0031】
基地局装置200は、例えば、URLLCのデータを端末装置100に送信するとき、eMBBを送信するリソースの一部を使用する。
【0032】
図3は、eMBBにおけるURLLCの割り込み送信の例を示す図である。基地局装置200は、eMBBを送信するデータ領域の一部であるeMBBデータパンクチャ可能領域を使用して、URLLCを割り込み(パンクチャ)送信することができる。基地局装置200は、例えば、メッセージM1を使用してURLLCを送信する。メッセージM1において、「P」はPreemption Indicatorを示す。Preemption Indicatorは、当該データ(図3中のD)が、eMBBのデータではないことを識別するための識別子であり、例えば、メッセージヘッダの一部又は全部である。なお、割り込み送信は、eMBBデータパンクチャ可能領域の複数の領域を使用してもよいし、一部を使用してもよい。
【0033】
<基地局装置の構成例>
図4は、基地局装置200の構成例を示す図である。基地局装置200は、CPU(Central Processing Unit)210、ストレージ220、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などのメモリ230、NIC(Network Interface Card)240、及びRF(Radio Frequency)回路250を有する。基地局装置200は、例えば、URLLCのデータを端末装置100に送信する、送信装置である。
【0034】
ストレージ220は、プログラムやデータを記憶する、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置である。ストレージ220は、通信制御プログラム221を及びヘッダパターン222を記憶する。
【0035】
ヘッダパターン222は、以降に示すヘッダパターンを記憶する領域である。なお、ヘッダパターン222は、プログラムに組み込まれてもよい。
【0036】
メモリ230は、ストレージ220に記憶されているプログラムをロードする領域である。また、メモリ230は、プログラムがデータを記憶する領域としても使用される。
【0037】
NIC240は、インターネットやイントラネットなどのネットワーク(図示しない)と接続するネットワークインターフェースである。基地局装置200は、NIC240を介して、ネットワークに接続する通信装置と通信する。
【0038】
RF回路250は、端末装置100と無線接続する装置である。RF回路250は、例えば、アンテナ251を有する。
【0039】
CPU210は、ストレージ220に記憶されているプログラムを、メモリ230にロードし、ロードしたプログラムを実行し、各処理を実現するプロセッサ又はコンピュータである。
【0040】
CPU210は、通信制御プログラム221を実行することで、送信部及び制御部を構築し、通信制御処理を行う。通信制御処理は、端末装置100との無線通信を制御する処理である。基地局装置200は、通信制御処理において、端末装置100に、eMBBのデータ(以下、eMBBデータと呼ぶ場合がある)及びURLLCのデータ(以下、URLLCデータと呼ぶ場合がある)を送信する。また、基地局装置200は、通信制御処理において、eMBBデータとURLLCデータを多重化し、URLLCデータのヘッダパターンを選択し、選択したヘッダパターンを端末装置100に通知する。
【0041】
CPU210は、通信制御プログラム221が有するeMBB送信モジュール2211を実行することで、送信部を構築し、eMBB送信処理を行う。eMBB送信処理は、eMBBデータを端末装置100に送信する処理である。
【0042】
CPU210は、通信制御プログラム221が有するURLLC送信モジュール2212を実行することで、送信部を構築し、URLLC送信処理を行う。URLLC送信処理は、URLLCデータを端末装置100に送信する処理である。
【0043】
CPU210は、通信制御プログラム221が有する多重化モジュール2213を実行することで、送信部を構築し、多重化処理を行う。多重化処理は、eMBBデータとURLLCデータを多重化する処理である。基地局装置200は、多重化処理において、URLLCデータをeMBBデータパンクチャ可能領域の一部に割り込ませることで、多重化を行う。
【0044】
CPU210は、通信制御プログラム221が有するヘッダパターン選択モジュール2214を実行することで、制御部を構築し、ヘッダパターン選択処理を行う。ヘッダパターン選択処理は、例えば、URLLCデータのヘッダパターンを選択する処理である。基地局装置200は、例えば、eMBBデータとURLLCデータを多重化するとき、送信するURLLCデータの特性に応じて、ヘッダパターンを選択する。
【0045】
<端末装置の構成例>
図5は、端末装置100の構成例を示す図である。端末装置100は、CPU110、ストレージ120、DRAMなどのメモリ130、及びRF回路150を有する。端末装置100は、例えば、URLLCのデータを基地局装置200から受信する、受信装置である。
【0046】
ストレージ120は、プログラムやデータを記憶する、フラッシュメモリ、HDD、又はSSDなどの補助記憶装置である。ストレージ120は、通信プログラム121及びヘッダパターン122を記憶する。
【0047】
ヘッダパターン122は、以降に示すヘッダパターンを記憶する領域である。なお、ヘッダパターン122は、プログラムに組み込まれてもよい。また、ヘッダパターン122は、例えば、基地局装置200の有するヘッダパターン222と同じであってもよい。
【0048】
メモリ130は、ストレージ120に記憶されているプログラムをロードする領域である。また、メモリ130は、プログラムがデータを記憶する領域としても使用される。
【0049】
RF回路150は、基地局装置200と無線接続する装置である。RF回路150は、例えば、アンテナ151を有する。
【0050】
CPU110は、ストレージ120に記憶されているプログラムを、メモリ130にロードし、ロードしたプログラムを実行し、各処理を実現するプロセッサ又はコンピュータである。
【0051】
CPU110は、通信プログラム121を実行することで、受信部及び受信制御部を構築し、通信処理を行う。通信処理は、基地局装置200と無線通信をする処理である。端末装置100は、通信処理において、eMBBデータ及びURLLCデータ(多重化されたデータを含む)を受信する。また、端末装置100は、通信処理において、eMBBデータとURLLCデータを多重化したときの、URLLCデータのヘッダパターンを基地局装置200から取得する。
【0052】
CPU110は、通信プログラム121が有するeMBB受信モジュール1211を実行することで、受信部を構築し、eMBB受信処理を行う。eMBB受信処理は、eMBBデータを基地局装置200から受信する処理である。
【0053】
CPU110は、通信プログラム121が有するURLLC受信モジュール1212を実行することで、受信部を構築し、URLLC受信処理を行う。URLLC受信処理は、URLLCデータを基地局装置200から受信する処理である。
【0054】
CPU110は、通信プログラム121が有するヘッダパターン取得モジュール1213を実行することで、制御部を構築し、ヘッダパターン取得処理を行う。ヘッダパターン取得処理は、基地局装置200が選択したヘッダパターンを取得する処理である。端末装置100は、ヘッダパターン取得処理において、基地局装置200から通知されるヘッダパターンを受信することで、ヘッダパターンを取得する。なお、端末装置100は、ヘッダパターンを取得することで、eMBBデータと多重化されたURLLCデータを受信することができる。
【0055】
<データ送信処理>
図6は、データ送信処理のシーケンスの例を示す図である。基地局装置200は、データを端末装置100に送信する契機が発生すると、使用するヘッダのパターン(以降、使用ヘッダパターンと呼ぶ)を決定する(S10)。基地局装置200は、例えば、送信するデータがURLLCか否かに基づいて、使用ヘッダパターンを決定する。URLLCデータは、例えば、固定長のデータである。また、URLLCデータは、例えば、所定値より小さいデータサイズのデータであり、eMBBデータより小さいデータサイズである。
【0056】
基地局装置200は、決定した使用ヘッダパターンを、RRCシグナリングを用いて端末装置100に送信する(S11)。RRCシグナリングは、例えば、RRCメッセージ送受信のための情報を含む制御用信号である。なお、決定した使用ヘッダパターンの送信は、RRCシグナリングに限定されず、端末装置100が受信するメッセージや信号であればよい。
【0057】
端末装置100は、RRCシグナリングを受信し、使用ヘッダパターンを取得する(S12)。以降、端末装置100は、基地局装置200から使用ヘッダパターンで送信されるデータを待ち受ける。
【0058】
基地局装置200は、使用ヘッダパターンを端末装置100に通知したのち、決定した使用ヘッダパターンを用いて、データを端末装置100に送信する。
【0059】
<RLCヘッダの使用ヘッダパターン>
以下に、RLCヘッダにおける使用ヘッダパターンの例について説明する。なお、以下のフォーマットにおける1行は1オクテットを示す。また、1オクテットは、1バイト(8ビット)として、以下に説明する。また、例として示すRLCヘッダのパターンは、全てUM(Un acknowledge Mode)を想定したフォーマットであるが、全てAM(Acknowledge Mode)においても適用が可能である。
【0060】
<1.RLC基本パターン>
基本パターンは、例えば、どのようなデータの送信にも使用される、汎用的なヘッダパターンである。以下、RLC基本パターンについて説明する。
【0061】
図7は、RLCヘッダパターン1の例を示す図である。SIは、セグメントインフォメーション(Segmentation Information)である。SIは、データの分割に関する情報を示す、2ビットで構成される情報要素である。例えば、分割された先頭データである場合、SIは「01」となる。また、例えば、分割された最後尾データである場合、SIは「10」となる。さらに、例えば、分割された中間データ(先頭でも最後尾でもないデータ)である場合、SIは「11」となる。さらに、例えば、分割がないデータである場合、SIは「00」となる。
【0062】
SNは、RLCレイヤにおけるシーケンス番号(以下、RLC SNと同じ)である。SNは、データの送信順を示す数値であり、数値が上限値に達すると、再度下限値から使用される、循環数である。RLCヘッダパターン1は、SNを格納する領域として、6ビットを有する。
【0063】
SOは、セグメンテーションオフセット(Segmentation Offset)である。SOは、分割されたデータの先頭または末尾が、分割する前のPDUの先頭から何バイト目に対応するかを示す情報である。SOは、例えば、データの末尾の位置を示す。また、SOは、例えば、次に送信されるデータの先頭の位置を示してもよい。SOは、16ビットで構成される情報要素である。
【0064】
RLCヘッダパターン1は、SOが16ビット(2オクテット)であり、例えば、データの位置をバイトで示す場合、最大65536バイトのデータ位置を示すことができる。そのため、RLCヘッダパターン1は、例えば、データサイズが比較的大きいデータの送信に使用される。
【0065】
<2.URLLC用パターン>
URLLC用パターンは、例えば、URLLCデータのような、比較的サイズの小さいデータを送信するときのヘッダパターンである。URLLC用パターンについて、以下に説明する。
【0066】
<2.1 SOの代替>
図8(A)は、RLCヘッダパターン2の例を示す図である。SI及びSNは、図7と同様である。RLCヘッダパターン2では、図7のSOに代えて、Siを設定する。
【0067】
Siは、分割されたデータの分割番号を示す、例えば、8ビットで構成される分割情報である。Siは、例えば、分割したデータの何番目のデータであるかを示す。なお、Siの上位ビットから下位ビットの方向に、分割番号が大きくなってもよいし、小さくなってもよい。また、Siのビット数は8ビット以外の複数ビットであってもよい。
【0068】
図8(B)は、Siパターン1の例を示す図である。Siパターン1は、各1ビットのS1~S8でSiを構成するパターンである。Sx(xは1~8の整数)は、分割x番目のデータであることを示す。例えば、分割された先頭データである場合、S1のビットを1にする。
【0069】
図9は、Siパターン1におけるRLCヘッダパターン2の例を示す図である。図9(A)は、分割された先頭データの例を示す図である。図9(A)は、SI=01であり、当該データが分割の先頭データであることを示す。さらに、図9(A)は、S1ビットが1であり、分割の1番目のデータであることを示す。
【0070】
図9(B)は、SI=11であり、当該データが分割の中間データであることを示す。さらに、図9(B)は、S2ビットが1であり、分割の2番目のデータであることを示す。
【0071】
図9(C)は、SI=10であり、当該データが分割の最後尾データであることを示す。さらに、図9(C)は、S3ビットが1であり、分割の3番目のデータであることを示す。
【0072】
RLCヘッダパターン2では、RLCヘッダパターン1と比較して、1オクテット少ない2オクテットのヘッダを使用し、データを送信することができる。RLCヘッダパターン2は、分割数が8以内であることが条件となる。そのため、RLCヘッダパターン2は、例えば、URLLCなどのデータサイズが小さく、分割数が少ないデータを送信するのに適している。基地局装置200は、例えば、URLLCデータを送信するとき、RLCヘッダパターン2を使用することで、RLCヘッダパターン1を使用した場合と比較して、少ないヘッダ部のサイズでデータを送信することができ、ヘッダ部送信によるオーバヘッドを少なくすることができる。また、基地局装置200は、eMBBと多重化してURLLCを送信するとき、RLCヘッダパターン2を使用することで、ヘッダ部送信によるオーバヘッドを少なくすることができる。
【0073】
図10は、Siの一部にRビットを設定するSiパターンの例を示す図である。SiにR(Reserved)ビット(リザーブビット)を設定することで、例えば、将来に仕様変更に対応するなど、拡張性を担保することができる。
【0074】
図10(A)は、Siパターン2の例を示す図である。Siパターン2は、先頭にRビットを設定し、S1を設定しないSiパターンである。S1は、分割の1番目のデータであることを示すが、SI=01で先頭データであることが示せるため、省略することができる。
【0075】
図10(B)は、Siパターン3の例を示す図である。Siパターン3は、先頭にRビットを設定し、S8を設定しないSiパターンである。S8は、分割の8番目のデータであることを示すが、Siパターン3が8分割を上限としたフォーマットであると規定した場合、SI=10で最後尾データであることが示せ、端末装置100は最後尾データを8番目のデータと認識することが可能であり、省略することができる。また、基地局装置200は、分割数7までに対応すればよい場合、S8を省略することができる。
【0076】
図10(C)は、Siパターン4の例を示す図である。Siパターン4は、先頭及び末尾にRビットを設定し、S1及びS8を設定しないSiパターンである。
【0077】
図10(D)は、Siパターン5の例を示す図である。Siパターン5は、先頭及び末尾にRビットを設定し、S7及びS8を設定しないSiパターンである。基地局装置200は、分割数6までに対応すればよい場合、S7及びS8を省略することができる。
【0078】
図10(E)は、Siパターン6の例を示す図である。Siパターン6は、先頭及び2ビット目にRビットを設定し、S7及びS8を設定しないSiパターンである。基地局装置200は、分割数6までに対応すればよい場合、S7及びS8を省略することができる。
【0079】
図10は、1又は2のRビットが設定されるSiパターンである。しかし、Rビットは、3以上設定されてもよい。また、Rビットの位置は、図10に示すように、先頭、末尾、2ビット目に限定されず、どの位置に設定されてもよい。
【0080】
<2.1.1 Siの省略>
基地局装置200は、先頭データ又は最後尾データにおける、Siを省略してもよい。
【0081】
図11は、RLCヘッダパターン2、Siパターン2において、先頭データのSiを省略するヘッダの例を示す図である。図11(A)は、分割された先頭データの例を示す図である。図11(A)は、SI=01であり、当該データが分割の先頭データであることを示す。端末装置100が、当該データが1番目(先頭)のデータであることを認識することができるため、基地局装置200はSiを省略することができる。
【0082】
図11(B)は、SI=11であり、当該データが分割の中間データであることを示す。さらに、図11(B)は、S2ビットが1であり、分割の2番目のデータであることを示す。なお、Rビットは、例えば、0である。
【0083】
図11(C)は、SI=10であり、当該データが分割の最後尾データであることを示す。さらに、図11(C)は、S3ビットが1であり、分割の3番目のデータであることを示す。
【0084】
図12は、RLCヘッダパターン2、Siパターン4において、先頭データ及び最後尾データのSiを省略するヘッダの例を示す図である。図12(A)は、分割された先頭データの例を示す図である。図12(A)は、SI=01であり、当該データが分割の先頭データであることを示す。端末装置100が、当該データが1番目(先頭)のデータであることを認識することができるため、基地局装置200はSiを省略することができる。
【0085】
図12(B)は、SI=11であり、当該データが分割の中間データであることを示す。さらに、図12(B)は、S2ビットが1であり、分割の2番目のデータであることを示す。
【0086】
図12(C)は、SI=10であり、当該データが分割の最後尾データであることを示す。端末装置100は、当該データを図12(B)に示すデータの受信後の受信するため、最後尾データが3番目のデータであることを認識できるため、Siを省略する。
【0087】
なお、図11及び図12は、それぞれSiパターン2及びSiパターン4を用いて説明したが、他のSiパターンにおいても、同様に先頭データ及び最後尾データのSiを省略することができる。Siを省略することで、基地局装置200は、ヘッダ部のデータ量を減少させ、ヘッダ送信によるオーバヘッドを低減させることができる。また、基地局装置200は、eMBBと多重化してURLLCを送信するとき、Siを省略することで、ヘッダ部送信によるオーバヘッドを少なくすることができる。
【0088】
<2.2 SOの最適化>
図13は、RLCヘッダパターン3の例を示す図である。SI及びSNは、図7と同様である。RLCヘッダパターン3において、SOは1オクテット(8ビット)である。SOが8ビット(1オクテット)の場合、例えば、データの位置をバイトで示す場合、最大256バイトのデータ位置を示すことができる。RLCヘッダパターン3は、SOが16ビットであるRLCヘッダパターン1と比較すると、送信できるデータサイズは小さくなるが、1オクテット分のヘッダ部のデータを省略することができる。よって、RLCヘッダパターン3は、URLLCのような比較的小さいデータサイズのデータを送信するのに適している。
【0089】
<2.2.1 SOの省略>
図14は、RLCヘッダパターン3の、先頭データのSOを省略するヘッダの例を示す図である。図14(A)は、分割された先頭データの例を示す図である。図14(A)は、SI=01であり、当該データが分割の先頭データであることを示す。端末装置100が、当該データが1番目(先頭)のデータであることを認識することができるため、基地局装置200はSOを省略することができる。
【0090】
図14(B)は、SI=11であり、当該データが分割の中間データであることを示す。さらに、図14(B)は、SOが33であり、データの末尾が33オクテットであることを示す。
【0091】
図14(C)は、SI=10であり、当該データが分割の最後尾データであることを示す。さらに、図11(C)は、SO66であり、データの末尾が66オクテットであることを示す。
【0092】
図15は、RLCヘッダパターン3の、先頭及び最後尾データのSOを省略するヘッダの例を示す図である。図15(A)及(B)は、それぞれ図14(A)及び(B)と同様である。
【0093】
図15(C)は、SI=10であり、当該データが分割の最後尾データであることを示す。端末装置100は、例えば、分割されたデータが固定長である場合、SOがなくてもデータの位置は認識できる。そのため、基地局装置200は、SOを省略することができる。
【0094】
第2の実施の形態において、基地局装置200は、例えば,eMBBと多重化したURLLCデータを送信するとき、RLCヘッダパターン2及び3を使用し、SOを最適化したり、Siに置き換えることで、ヘッダのデータ量を減少させ、ヘッダ部送信によるオーバヘッドを低減させることができる。
【0095】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態において、基地局装置200は、PDCPヘッダのヘッダフォーマットも選択する。
【0096】
<1.分割なしパターン>
分割なし(PDCPレイヤでのセグメンテーションを実施しない)の場合の、PDCPヘッダパターンについて説明する。
【0097】
図16(A)は、分割なしPDCPヘッダパターン1のヘッダパターンの例を示す図である。SIは、セグメントインフォメーションである。SIは、データの分割に関する情報を示す、2ビットで構成される情報要素である。
【0098】
DC(Data / Control)は、当該PDUが、ユーザプレーン用または制御プレーン用の、いずれにおけるPDUであるかを示すデータコントロールである。DCは、1ビットで構成される情報要素である。
【0099】
PDCP SNは、PDCPレイヤにおけるシーケンス番号である。分割なしPDCPヘッダパターン1は、PDCP SNの格納する領域として、12ビットの格納領域を有する。
【0100】
また、分割なしPDCPヘッダパターン1は、Rビット9個を有する。
【0101】
図16(B)は、分割なしPDCPヘッダパターン2のヘッダパターンの例を示す図である。SI、DC、PDCP SNは、分割なしPDCPヘッダパターン1と同様である。
【0102】
分割なしPDCPヘッダパターン2は、Rビットを1個しているため、分割なしPDCPヘッダパターン1より8ビット(1オクテット)小さい。
【0103】
<2.分割ありパターン>
分割あり(PDCPレイヤでのセグメンテーションを実施する)の場合の、PDCPヘッダパターンについて説明する。なお、分割ありのヘッダパターンについては、PDCPヘッダと共に、RLCヘッダも定義することとし、PDCPヘッダ及びRLCヘッダの両方について説明する。また、分割ありの場合については、RLCヘッダも定義するが、便宜的に分割ありPDCPヘッダと呼ぶ場合がある。
【0104】
図17(A)は、分割ありPDCPヘッダパターン1のヘッダパターンの例を示す図である。分割ありPDCPヘッダパターン1の上位3オクテットのRLCヘッダ部は、図7に示すRLCヘッダパターン1と同様(図7のSNは、図17のRLC SNと同様)である。
【0105】
分割ありPDCPヘッダパターン1の下位2オクテットのPDCPヘッダ部は、1ビットのDC、Rビットを3個、及び12ビットのPDCP SNを有する。
【0106】
図17(B)は、分割ありPDCPヘッダパターン2のヘッダパターンの例を示す図である。分割ありPDCPヘッダパターン2の上位19ビット(上位2オクテットと3オクテット目の上位3ビット)のRLCヘッダ部は、SI、RLC SNと、11ビットのSOを有する。
【0107】
そして、分割ありPDCPヘッダパターン2の下位13ビット(3オクテット目の下位5ビットと4オクテット目)のPDCPヘッダ部は、1ビットのDC、及び12ビットのPDCP SNを有する。
【0108】
すなわち、分割ありPDCPヘッダパターン2は、分割ありPDCPヘッダパターン1のRビットと、SOの一部(5ビット)を省略することで、RLC及びPDCPヘッダの合計を4オクテットにしたものである。
【0109】
図17(C)は、分割ありPDCPヘッダパターン3のヘッダパターンの例を示す図である。分割ありPDCPヘッダパターン2の上位11ビット(上位1オクテットと2オクテット目の上位3ビット)のRLCヘッダ部は、SI、RLC SNと、3ビットのSOを有する。分割ありPDCPヘッダパターン3のPDCPヘッダ部は、分割ありPDCPヘッダパターン2のPDCPヘッダ部と同様である。
【0110】
すなわち、分割ありPDCPヘッダパターン3は、分割ありPDCPヘッダパターン2のSOの一部(8ビット)を省略することで、RLC及びPDCPヘッダの合計を3オクテットにしたものである。
【0111】
<変形例1>
図18は、PDCP SNを6ビットで規定したPDCPヘッダの例を示す図である。図18(A)は、2ビットのSIと6ビットのPDCP SNで構成されるPDCPヘッダである。
【0112】
また、図18(B)は、図18(A)に8ビットのSOを付与したPDCPヘッダの例を示す図である。
【0113】
図18(A)(B)ともに、Rビット及びDCを含まないヘッダである。DCは、例えば、ユーザプレーンでしか使用しないことを前提である場合など、省略することが可能である。
【0114】
<変形例2>
基地局装置200は、RLCとPDCPの結合ヘッダを規定してもよい。
【0115】
図19は、分割あり結合ヘッダパターンの例を示す図である。図19(A)は、分割あり結合ヘッダパターン1の例を示す図である。分割あり結合ヘッダパターン1は、2ビットのSI、Rビット1個、1ビットのDC、12ビットのPDCP SN、及び8ビットのSO又はSiを有する。
【0116】
図19(B)は、分割あり結合ヘッダパターン2の例を示す図である。分割あり結合ヘッダパターン2は、有する情報要素が分割あり結合ヘッダパターン1と同様であるが、SO又はSi、DC、及びPDCP SNの配置される位置が異なる。
【0117】
図20は、分割あり結合ヘッダパターンの例を示す図である。図20(A)は、分割あり結合ヘッダパターン3の例を示す図である。分割あり結合ヘッダパターン3は、2ビットのSI、6ビットのPDCP SN、及び8ビットのSO又はSiを有する。
【0118】
図20(B)は、分割あり結合ヘッダパターン4の例を示す図である。分割あり結合ヘッダパターン4は、有する情報要素が分割あり結合ヘッダパターン3と同様であるが、SO又はSi及びPDCP SNの配置される位置が異なる。
【0119】
分割あり結合ヘッダパターン1及び2から、DC、Rビット、及びPDCP SNの一部(6ビット)を省略したものが、分割あり結合ヘッダパターン3及び4である。分割あり結合ヘッダパターン1及び2は3オクテットで構成されるが、分割あり結合ヘッダパターン3及び4は2オクテットで構成される。
【0120】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態においては、AM(Acknowledge Mode)に対応するヘッダパターンを示す。
【0121】
図21は、AMに対応したRLCヘッダパターンの例を示す図である。図21(A)は、AM RLCヘッダパターン1の例を示す図である。AM RLCヘッダパターン1は、1ビットのDC、1ピットのPビット、2ビットのSI、12ビットのSN、及び8ビットのSO又はSiを有する。Pビットは、ポーリングビット(Pビット)を示す。Pビットは、例えば、STATUS PDUの要求をするか否かを示すビットであり、STATUS PDUを要求する場合は1である。
【0122】
図21(B)は、AM RLCヘッダパターン2の例を示す図である。AM RLCヘッダパターン1は、1ビットのDC、1ピットのPビット、2ビットのSI、Rビットを2つ、18ビットのSN、及び8ビットのSO又はSiを有する。
【0123】
図22は、AMに対応したPDCPヘッダとRLCヘッダを結合したヘッダパターンの例を示す図である。図22(A)は、AM 分割なし結合ヘッダパターンの例を示す図である。AM 分割なし結合ヘッダパターンは、1ビットのDC、1ピットのPビット、2ビットのSI、及び4ビットのPDCP SNを有する。
【0124】
図22(B)は、AM 分割あり結合ヘッダパターンの例を示す図である。AM 分割あり結合ヘッダパターンは、1ビットのDC、1ピットのPビット、2ビットのSI、4ビットのPDCP SN、及び8ビットのSO又はSiを有する。
【0125】
上記に示すように、基地局装置200は、UMと同様に、AMのヘッダにも対応することができる。
【0126】
[その他の実施の形態]
各実施の形態は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0127】
例えば、SOとSiは、分割数やデータサイズに応じて、どちらを選択してもよい。また、RCLヘッダとPDCPヘッダの組み合わせは、上述した例以外にも、組み合わせてもよい。また、各情報要素は、分割の有無や分割数、データサイズ、データが固定長であるか否かなどに応じて、省略してもよい。また、各情報要素は、基地局装置200と端末装置100との間の合意により、省略してもよい。
【符号の説明】
【0128】
10 :通信システム
100 :端末装置
110 :CPU
120 :ストレージ
121 :通信プログラム
130 :メモリ
150 :RF回路
151 :アンテナ
200 :基地局装置
210 :CPU
220 :ストレージ
221 :通信制御プログラム
230 :メモリ
250 :RF回路
251 :アンテナ
290 :送信部
291 :制御部
1211 :eMBB受信モジュール
1212 :URLLC受信モジュール
1213 :ヘッダパターン取得モジュール
2211 :eMBB送信モジュール
2212 :URLLC送信モジュール
2213 :多重化モジュール
2214 :ヘッダパターン選択モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22