(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】可視化システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20120101AFI20221019BHJP
F24F 11/523 20180101ALI20221019BHJP
【FI】
G06Q10/10
F24F11/523
(21)【出願番号】P 2022051252
(22)【出願日】2022-03-28
【審査請求日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2021060830
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇多 全史
(72)【発明者】
【氏名】配川 知之
(72)【発明者】
【氏名】尹 永愛
(72)【発明者】
【氏名】中澤 祥映
(72)【発明者】
【氏名】矢本 勇樹
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-033684(JP,A)
【文献】特開2007-310528(JP,A)
【文献】特開2002-032701(JP,A)
【文献】特開2004-101058(JP,A)
【文献】国際公開第2020/121492(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111649433(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112149364(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-1941921(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
F24F 11/523
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象エリア(E)を示す対象エリア画像(e)上におけるオブジェクト画像の配置場所を示す配置情報の入力を受け付ける受付部(120)と、
前記オブジェクト画像と、前記オブジェクト画像が示すオブジェクトの空気状態に対する作用情報とを対応付けた対応情報(221,222,223)を記憶する記憶部(220)と、
前記オブジェクト画像の前記配置情報と、前記対応情報(221,222,223)とに基づいて、前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報を出力する制御部(230)と、
を
備え、
前記オブジェクトは、空調機(Y)
を含
み、
前記空調機(Y)の空気状態に対する前記作用情報は、前記空調機(Y)の空調能力に関する情報を含み、
前記受付部(120)は、前記対象エリア(E)の広さに関する広さ情報の入力を受け付け、
前記制御部(230)は、前記広さ情報と前記空調機(Y)の空調能力とに基づいて前記空調機(Y)の風量を出力し、前記空調機(Y)の風量に基づいて前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報を出力する
可視化システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部(230)は、前記広さ情報に基づいて前記対象エリア(E)に対して必要な前記空調能力を求めることで、前記空調能力に対応する前記空調機(Y)の風量を出力する可視化システム
。
【請求項3】
請求項1
または請求項2において、
前記オブジェクトは、換気機器(Z)を含む可視化システム。
【請求項4】
請求項
3において、
前記受付部(120)は、前記換気機器(Z)による前記対象エリア(E)の換気量に関する指標の入力を受け付け、
前記制御部(230)は、前記換気量に関する指標にさらに基づいて前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報を出力する可視化システム。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか1項において、
前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報は、前記対象エリア(E)内の空気齢を示す情報を含む可視化システム。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれか1項において、
前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報は、前記対象エリア(E)内のCO2濃度を示す情報を含む可視化システム。
【請求項7】
請求項1から請求項
6のいずれか1項において、
前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報は、前記対象エリア(E)内の空気中に存在する固形粒子の濃度を示す情報を含む可視化システム。
【請求項8】
請求項1から請求項
7のいずれか1項において、
前記オブジェクトが前記空調機(Y)又は送風機を含む場合、前記制御部(230)は、空気が前記空調機(Y)又は前記送風機を通過する直前と通過した直後とで空気状態が同じであるように処理する可視化システム。
【請求項9】
請求項1から請求項
8のいずれか1項において、
前記オブジェクトが空気清浄機を含む場合、前記制御部(230)は、空気が前記空気清浄機を通過する直前と通過した直後とで空気状態が変化するように処理する可視化システム。
【請求項10】
請求項1から請求項
9のいずれか1項において、
前記制御部(230)は、前記オブジェクト画像の前記配置情報と、前記対応情報(221,222,223)とに基づいて出力した前記対象エリア(E)の空気状態を改善するための前記オブジェクト画像の改善レイアウト画像(H2)を作成する可視化システム。
【請求項11】
請求項1から請求項
10のいずれか1項において、
前記記憶部(220)は、前記オブジェクト画像の種類を示す情報、前記オブジェクト画像のレイアウトを示す情報、及び前記オブジェクト画像が示すオブジェクトの風量を示す情報を含む入力情報と、空気状態とを対応付けた学習モデルを記憶し、
前記制御部(230)は、前記学習モデルを用いて前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報を出力する可視化システム。
【請求項12】
請求項
11において、
前記制御部(230)が前記学習モデルにおける前記オブジェクト画像及び前記オブジェクト画像のレイアウトを採用して空気状態をシミュレーションにより出力したときの出力結果を、教師データとして用いて前記学習モデルを再学習する学習部(230)を備える可視化システム。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項において、
前記対象エリア画像(e)を示す情報と前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報とのうちの少なくとも1つの情報を表示する表示部(110)を備える可視化システム。
【請求項14】
請求項
13において、
空気状態は、複数の状態を含み、
複数の状態は、それぞれ、互いに異なる複数の色と対応し、
前記表示部(110)は、前記対象エリア(E)の分布毎の前記状態を前記対応する色で表示する可視化システム。
【請求項15】
請求項
13または請求項
14において、
前記受付部(120)は、前記対象エリア画像(e)内の空気状態を示す指標の基準となる基準指標の入力を受け付け、
前記表示部(110)は、前記対象エリア画像(e)内で空気状態を示す指標が前記基準指標を上回る箇所を他の箇所と区別して表示する可視化システム。
【請求項16】
請求項
13から請求項
15のいずれか1項において、
前記表示部(110)は、前記対象エリア(E)における高さ1.0m以上、1.8m以下の水平面上の空気状態を示す情報を表示する可視化システム。
【請求項17】
コンピュータを、
対象エリア(E)を示す対象エリア画像(e)上におけるオブジェクト画像の配置場所を示す配置情報の入力を受け付ける受付部(120)、
前記配置情報をサーバ(200)へ送信する送信部(130)、
及び、
前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報を前記サーバ(200)から受信する受信部(130) として機能させ、
前記サーバ(200)は、前記オブジェクト画像と、前記オブジェクト画像が示すオブジェクトの空気状態に対する作用情報とを対応付けた対応情報(221,222,223)を記憶し、前記オブジェクト画像の前記配置情報と、前記対応情報(221,222,223)とに基づいて、前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報を出力し、
前記オブジェクトは、空調機(Y)
を含
み、
前記空調機(Y)の空気状態に対する前記作用情報は、前記空調機(Y)の空調能力に関する情報を含み、
前記受付部(120)は、前記対象エリア(E)の広さに関する広さ情報の入力を受け付け、
前記サーバ(200)は、前記広さ情報と前記空調機(Y)の空調能力とに基づいて前記空調機(Y)の風量を出力し、前記空調機(Y)の風量に基づいて前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報を出力する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可視化システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物内等の所定の対象エリア内の流体解析シミュレーションを行う技術は公知である(例えば、特許文献1)。近年、空間環境改善の観点から換気や気流に対する関心が高まっており、建物内の気流等の空気状態を解析するサービスを実施するサービス提供事業者も存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、サービス提供事業者の作業者は解析の対象となる建物へ出向き、建物の対象エリアの寸法、対象エリア内に配置される空調機の機器情報等の解析に必要な情報を収集し、収集した情報を事業所へ持ち帰って対象エリアのCAD化、空調機の機器情報(空調機の風量等)のデータ入力等の作業を行うため、時間がかかり(1~2週間程度)、煩雑であった。
【0005】
本開示の目的は、作業者が対象エリアの空気状態を容易に確認することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、可視化システムを対象とする。可視化システムは、対象エリア(E)を示す対象エリア画像(e)上におけるオブジェクト画像の配置場所を示す配置情報の入力を受け付ける受付部(120)と、前記オブジェクト画像と、前記オブジェクト画像が示すオブジェクトの空気状態に対する作用情報とを対応付けた対応情報(221,222,223)を記憶する記憶部(220)と、前記オブジェクト画像の前記配置情報と、前記対応情報(221,222,223)とに基づいて、前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報を出力する制御部(230)と、前記対象エリア画像(e)を示す情報と前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報とのうちの少なくとも1つの情報を表示する表示部(110)とを備え、前記オブジェクトは、空調機(Y)と什器(X)とを含む。
【0007】
第1の態様では、作業者が対象エリア(E)の空気状態を容易に確認できる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、前記空調機(Y)の空気状態に対する前記作用情報は、前記空調機(Y)の空調能力に関する情報を含む。
【0009】
第2の態様では、作業者が対象エリア(E)の空気状態を容易に確認できる。
【0010】
本開示の第3の態様は、第2の態様において、前記制御部(230)は、前記空調機(Y)の空調能力と対応する前記空調機(Y)の風量に基づいて前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報を出力する。
【0011】
第3の態様では、空調機(Y)の風量から対象エリア(E)の空気状態を出力できる。
【0012】
本開示の第4の態様は、第3の態様において、前記受付部(120)は、前記対象エリア(E)の広さに関する広さ情報の入力を受け付け、前記制御部(230)は、前記広さ情報に基づいて前記対象エリア(E)に対して必要な前記空調能力を求めることで、前記空調能力に対応する前記空調機(Y)の風量を出力する。
【0013】
第4の態様では、空調機(Y)の風量から対象エリア(E)の空気状態を出力できる。
【0014】
本開示の第5の態様は、第1の態様から第4の態様のうちのいずれか1つにおいて、前記オブジェクトは、換気機器(Z)を含む。
【0015】
第5の態様では、オブジェクトに換気機器(Z)をさらに含めることができる。
【0016】
本開示の第6の態様は、第5の態様において、前記受付部(120)は、前記換気機器(Z)による前記対象エリア(E)の換気量に関する指標の入力を受け付け、前記制御部(230)は、前記換気量に関する指標にさらに基づいて前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報を出力する。
【0017】
第6の態様では、換気機器(Z)の換気量を考慮して対象エリア(E)の空気状態を出力できる。
【0018】
本開示の第7の態様は、第1の態様から第6の態様のうちのいずれか1つにおいて、前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報は、前記対象エリア(E)内の空気齢を示す情報を含む。
【0019】
第7の態様では、対象エリア(E)内の空気齢を示す情報を表示部(110)に表示させることができる。
【0020】
本開示の第8の態様は、第1の態様から第7の態様のうちのいずれか1つにおいて、前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報は、前記対象エリア(E)内のCO2濃度を示す情報を含む。
【0021】
第8の態様では、対象エリア(E)内のCO2濃度を示す情報を表示部(110)に表示させることができる。
【0022】
本開示の第9の態様は、第1の態様から第8の態様のうちのいずれか1つにおいて、前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報は、前記対象エリア(E)内の空気中に存在する固形粒子の濃度を示す情報を含む。
【0023】
第9の態様では、対象エリア(E)内の空気中に存在する固形粒子の濃度を示す情報を表示部(110)に表示させることができる。
【0024】
本開示の第10の態様は、第1の態様から第9の態様のうちのいずれか1つにおいて、前記オブジェクトが前記空調機(Y)又は送風機を含む場合、前記制御部(230)は、空気が前記空調機(Y)又は前記送風機を通過する直前と通過した直後とで空気状態が同じであるように処理する。
【0025】
第10の態様では、制御部(230)はオブジェクトの種類を考慮して空気状態を出力することができる。
【0026】
本開示の第11の態様は、第1の態様から第10の態様のうちのいずれか1つにおいて、前記オブジェクトが空気清浄機を含む場合、前記制御部(230)は、空気が前記空気清浄機を通過する直前と通過した直後とで空気状態が変化するように処理する。
【0027】
第11の態様では、制御部(230)はオブジェクトの種類を考慮して空気状態を出力することができる。
【0028】
本開示の第12の態様は、第1態様から第11の態様のうちのいずれか1つにおいて、前記制御部(230)は、前記オブジェクト画像の前記配置情報と、前記対応情報(221,222,223)とに基づいて出力した前記対象エリア(E)の空気状態を改善するための前記オブジェクト画像の改善レイアウト画像(H2)を作成する。
【0029】
第12の態様では、改善レイアウト画像(H2)を考慮してオブジェクトの配置場所を変更することで、対象エリア(E)の空気状態を改善することができる。
【0030】
本開示の第13の態様は、第1の態様から第12の態様のうちのいずれか1つにおいて、前記記憶部(220)は、前記オブジェクト画像の種類を示す情報、前記オブジェクト画像のレイアウトを示す情報、及び前記オブジェクト画像が示すオブジェクトの風量を示す情報を含む入力情報と、空気状態とを対応付けた学習モデルを記憶し、前記制御部(230)は、前記学習モデルを用いて前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報を出力する。
【0031】
第13の態様では、対象エリア(E)の空気状態を出力するための制御部(230)の演算不可を軽減できる。
【0032】
本開示の第14の態様は、第13の態様において、前記制御部(230)が前記学習モデルにおける前記オブジェクト画像及び前記オブジェクト画像のレイアウトを採用して空気状態をシミュレーションにより出力したときの出力結果を、教師データとして用いて前記学習モデルを再学習する学習部(230)を備える。
【0033】
第14の態様では、学習モデルを再学習することで、対象エリア(E)の空気状態の解析精度を向上させることができる。
【0034】
本開示の第15の態様は、第1の態様から第14の態様のうちのいずれか1つにおいて、空気状態は、複数の状態を含み、複数の状態は、それぞれ、互いに異なる複数の色と対応し、前記表示部(110)は、前記対象エリア(E)の分布毎の前記状態を前記対応する色で表示する。
【0035】
第15の態様では、表示部(110)による対象エリア(E)の空気状態の表示内容の視認性を向上させることができる。
【0036】
本開示の第16の態様は、第1の態様から第15の態様のうちのいずれか1つにおいて、前記受付部(120)は、前記対象エリア画像(e)内の空気状態を示す指標の基準となる基準指標の入力を受け付け、前記表示部(110)は、前記対象エリア画像(e)内で空気状態を示す指標が前記基準指標を上回る箇所を他の箇所と区別して表示する。
【0037】
第16の態様では、対象エリア(E)内において空気状態が良好ではない箇所を表示部(110)の表示内容より容易に確認できる。
【0038】
本開示の第17の態様は、第1の態様から第16の態様のうちのいずれか1つにおいて、前記表示部(110)は、前記対象エリア(E)における高さ1.0m以上、1.8m以下の水平面上の空気状態を示す情報を表示する。
【0039】
第17の態様では、対象エリア(E)内において、一般に人の顔(呼吸部分)が位置する高さにおける空気状態を表示部(110)により表示できる。
【0040】
本開示の第18の態様は、プログラムを対象とする。プログラムは、コンピュータを、対象エリア(E)を示す対象エリア画像(e)上におけるオブジェクト画像の配置場所を示す配置情報の入力を受け付ける受付部(120)、前記配置情報をサーバ(200)へ送信する送信部(130)、前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報を前記サーバ(200)から受信する受信部(130)、及び、前記対象エリア画像(e)を示す情報と前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報とのうちの少なくとも1つの情報を表示する表示部(110)として機能させ、前記サーバ(200)は、前記オブジェクト画像と、前記オブジェクト画像が示すオブジェクトの空気状態に対する作用情報とを対応付けた対応情報(221,222,223)を記憶し、前記オブジェクト画像の前記配置情報と、前記対応情報(221,222,223)とに基づいて、前記対象エリア(E)の空気状態を示す情報を出力し、前記オブジェクトは、空調機(Y)と什器(X)とを含む。
【0041】
第18の態様では、作業者が対象エリア(E)の空気状態を容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る可視化システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、可視化システムの動作を示すフロー図である。
【
図6】
図6(a)は、什器画像(x)を示す図である。
図6(b)は、空調機画像(y)を示す図である。
図6(c)は、換気機器画像(z)を示す図である。
【
図9】
図9は、第改善前レイアウト画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付し、詳細な説明及びそれに付随する効果等の説明は繰り返さない。
【0044】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る可視化システム(1)について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る可視化システム(1)の構成を示すブロック図である。
【0045】
可視化システム(1)は、対象エリア(E)(
図3参照)の空気状態を可視化するためのシステムである。可視化システム(1)は、例えば、対象エリア(E)の空気状態を可視化して確認することで、対象エリア(E)での換気、及び空気浄化が適切に行われているか否かを判断するために用いられる。
【0046】
―全体構成―
図1に示すように、可視化システム(1)は、処理装置(100)と、サーバ(200)とを備える。
【0047】
処理装置(100)は、例えば、スマートフォン、及びPC(Personal Computer)のような端末である。本実施形態では、処理装置(100)はスマートフォン及びタブレットPCのような携帯端末である。本実施形態では、作業者は、処理装置(100)を携帯して対象エリア(E)まで赴き、処理装置(100)を操作して、対象エリア(E)の空気状態を確認するための作業を行う。なお、処理装置(100)は、デスクトップPCのような据え置き型の端末でもよい。
【0048】
処理装置(100)は、表示部(110)と、受付部(120)と、第1通信部(130)と、第1記憶部(140)と、第1制御部(150)とを含む。
【0049】
表示部(110)は、例えば、液晶パネルを含み、画像を表示する。本実施形態では、表示部(110)は、タッチパネルとして機能する。
【0050】
受付部(120)は、外部からの指示を受け付ける。本実施形態では、受付部(120)は表示部(110)を構成するタッチパネルである。なお、受付部(120)は、キーボード、マウス等の入力デバイスで構成されてもよい。
【0051】
第1通信部(130)は、サーバ(200)と有線又は無線で通信する。本実施形態では、第1通信部(130)は、例えば、LANボードのような通信モジュール(通信機器)を含み、インターネットなどのネットワーク網を介してサーバ(200)と無線通信する。
【0052】
第1通信部(130)は、本発明の送信部及び受信部の一例である。
【0053】
第1記憶部(140)は、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)のような主記憶装置(例えば、半導体メモリー)を含み、補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)をさらに含んでもよい。第1記憶部(140)は、第1制御部(150)によって実行される種々のコンピュータープログラムを記憶する。
【0054】
第1制御部(150)は、CPU(Central Processing Unit)及びMPU(Micro Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。第1制御部(150)は、第1記憶部(140)に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、処理装置(100)の各所構成要素を制御する。
【0055】
サーバ(200)は、第2通信部(210)と、第2記憶部(220)と、第2制御部(230)とを含む。
【0056】
第2通信部(210)は、処理装置(100)と有線又は無線で通信する。本実施形態では、第2通信部(210)は、例えば、LANボードのような通信モジュール(通信機器)を含み、インターネットなどのネットワーク網を介して処理装置(100)と無線通信する。
【0057】
第2記憶部(220)は、ROM、及びRAMのような主記憶装置を含み、補助記憶装置をさらに含んでもよい。第2記憶部(220)は、第2制御部(230)によって実行される種々のコンピュータープログラムを記憶する。
【0058】
第2記憶部(220)は、第1対応情報(221)と、第2対応情報(222)と、第3対応情報(223)とを記憶する。第1対応情報(221)~第3対応情報(223)の説明は後述する。
【0059】
第2制御部(230)は、CPU及びMPUのようなプロセッサーを含む。第1制御部(150)は、第2制御部(230)に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、サーバ(200)の各所構成要素を制御する。
【0060】
-対象エリア-
図3を参照して、本実施形態の対象エリア(E)について説明する。
図3は、本実施形態の対象エリア(E)を示す平面図である。
【0061】
図3に示すように、対象エリア(E)は、矩形状の床面(F)を有する。対象エリア(E)には、オブジェクトが設置される。本実施形態では、オブジェクトは、什器(X)と、空調機(空気調和機)(Y)と、換気機器(Z)とを含む。本実施形態では、対象エリア(E)に設置される什器(X)は、商品棚(XA)と、レジカウンター(XB)とで構成される。対象エリア(E)に設置される空調機(Y)は、天井カセット型の空調機(YA)で構成される。対象エリア(E)に設置される換気機器(Z)は、吸気口(ZA)と、排気口(ZB)とで構成される。
【0062】
―可視化システムの動作―
図1~
図9を参照して、可視化システム(1)の動作について説明する。
図2は、可視化システム(1)の動作を示すフロー図である。
図3は、対象エリア(E)の平面図である。
【0063】
図1~
図3に示すように、作業者は、対象エリア(E)の空気状態を調査する際、対象エリア(E)に赴く。作業者は、対象エリア(E)に到着すると、処理装置(100)を操作して、対象エリア(E)の空気状態を可視化するための作業を開始する。
【0064】
ステップS1において、作業が開始されると、処理装置(100)の表示部(110)には、第1入力画面(g1)が表示される。第1入力画面(g1)は、対象エリア(E)の床面情報を入力するための画面である。
図4は、第1入力画面(g1)を示す図である。
【0065】
ステップS2において、処理装置(100)の受付部(120)が、対象エリア(E)の広さに関する広さ情報の入力を受け付ける。広さ情報は、対象エリア(E)の床面の広さを示す床面情報と、対象エリア(E)の床面から天井までの高さを示す高さ情報とを含む。
【0066】
図4に示すように、作業者は、第1入力画面(g1)から床面情報を入力する。第1入力画面(g1)には、床面の広さを設定するための床面設定画像(e1)が表示される。作業者は、床面設定画像(e1)の角部(e11)に対してドラッグアンドドロップ操作を行い、入力画面(g1)上において床面設定画像(e1)が、実際の対象エリア(E)の床面(F)の縮尺図に近づくように変形させる変形作業を行う。以下では、床面設定画像(e1)の変形作業により形成された画像を対象エリア画像(e)(
図5参照)と記載することがある。対象エリア画像(e)は、実際の対象エリア(E)の床面(F)の縮尺図と近似した形状を有する。床面設定画像(e1)の変形作業により対象エリア画像(e)が形成されることで、対象エリア(E)の床面情報の入力作業が完了する。
【0067】
対象エリア画像(e)が形成されると、作業者は、入力画面(g1)上のアイコン(v1)をタッチ操作する。アイコン(v1)がタッチ操作されることで、対象エリア(E)の高さ情報の入力画面(不図示)が表示される。作業者は、例えば、当該高さ情報の入力画面上に表示される数字のアイコン等をタッチ操作して、対象エリア(E)の高さを示す数値を入力する。スライダータイプの数値入力フォームを用いて、対象エリア(E)の高さを示す数値が入力されてもよい。その結果、対象エリア(E)の高さ情報の入力作業が完了する。
【0068】
対象エリア(E)の床面情報の入力作業と、高さ情報の入力作業とが完了すると、処理がステップS3に移行する。
【0069】
ステップS3において、表示部(110)は、第2入力画面(g2)を表示する。第2入力画面(g2)は、対象エリア画像(e)上に、オブジェクト画像の配置場所を示す配置情報を入力するための画面である。オブジェクト画像は、什器(X)を示す什器画像(x)(
図6(a)参照)と、空調機(Y)を示す空調機画像(y)(
図6(b)参照)と、換気機器(Z)を示す換気機器画像(z)(
図6(c)参照)とを含む。
【0070】
第2入力画面(g2)の上部(g21)には、オブジェクトの種類を選択するための複数種類のアイコン(v)が表示される。本実施形態では、複数種類のアイコン(v)は、「什器」を示すアイコン(v2)と、「空調機」を示すアイコン(v3)と、「換気機器」を示すアイコン(v4)とを含む。第2入力画面(g2)の上下中央(g22)には、上記ステップS2において形成された対象エリア画像(e)が表示される。第2入力画面(g2)の下部(g23)には、上部(g21)に表示される複数種類のアイコン(v2,v3,v4)うちから選択されたアイコンと対応する物の画像が表示される。
【0071】
ステップS4において、処理装置(100)の受付部(120)が、什器配置情報の入力を受け付ける。什器配置情報は、対象エリア画像(e)上における什器画像(x)の配置場所を示す情報である。什器配置情報は、本発明の配置情報の第1例である。
【0072】
什器配置情報が入力される手順の一例について説明する。
【0073】
図5及び
図6(a)に示すように、作業者は、第2入力画面(g2)の上部(g21)のアイコン(v2)~アイコン(v4)のうち什器(X)を示すアイコン(v2)をタッチ操作する。これにより、第2入力画面(g2)の下部(g23)には、複数種類の什器画像(x)が表示される。
【0074】
第2入力画面(g2)の下部(g23)が左右にフリック操作されることで、下部(g23)に表示中の什器画像(x)がスライドして、異なる種類の什器画像(x)を下部(g23)に出現させることができる。
【0075】
第2入力画面(g2)の下部(g23)には、複数種類の什器画像(x)と、複数種類の什器名称(x1)と、複数種類の什器寸法(x2)とが、それぞれ対応付けて表示される。什器名称(x1)は、対応付けられる什器画像(x)が示す什器(X)の名称である。作業者は、什器名称(x1)を視認することで、対応付けられる什器画像(x)が示す什器(X)の種類を容易に特定できる。什器寸法(x2)は、対応付けられる什器画像(x)が示す什器(X)の寸法である。什器寸法(x2)は、デフォルト値が設定されている。なお、什器寸法(x2)は、受付部(120)によりデフォルト値から変更可能であってもよい。
【0076】
作業者は、第2入力画面(g2)の下部(g23)に表示される複数種類の什器画像(x)のうち、対象エリア(E)上に配置される什器(X)を示す什器画像(x)に対してドラッグアンドドロップ操作を行い、当該什器画像(x)を、対象エリア画像(e)上に移動させて配置することで、什器配置情報を入力する。このとき、作業者は、実際の対象エリア(E)上の什器(X)の位置に合わせるようにして、対象エリア画像(e)上に什器画像(x)を配置する。対象エリア(E)上の全ての什器(X)について、対象エリア画像(e)上に什器配置情報が入力される。その結果、処理がステップS5に移行する。
【0077】
図1及び
図2に示すように、ステップS5において、処理装置(100)の受付部(120)が、空調機配置情報の入力を受け付ける。空調機配置情報は、対象エリア画像(e)上における空調機画像(y)の配置場所を示す情報である。空調機配置情報は、本発明の配置情報の第2例である。
【0078】
空調機配置情報が入力される手順の一例について説明する。
【0079】
図5及び
図6(b)に示すように、作業者は、第2入力画面(g2)の上部(g21)のアイコン(v2)~アイコン(v4)のうち空調機(Y)を示すアイコン(v3)をタッチ操作する。これにより、第2入力画面(g2)の下部(g23)には、複数種類の空調機画像(y)が表示される。
【0080】
第2入力画面(g2)の下部(g23)には、複数種類の空調機画像(y)と、複数種類の空調機名称(y1)と、複数種類の空調機寸法(y2)とが、それぞれ対応付けて表示される。空調機名称(y1)は、対応付けられる空調機画像(y)が示す空調機(Y)の名称である。作業者は、空調機名称(y1)を視認することで、対応付けられる空調機画像(y)が示す空調機(Y)の種類を容易に特定できる。空調機寸法(y2)は、対応付けられる空調機画像(y)が示す空調機(Y)の寸法である。空調機寸法(y2)は、デフォルト値が設定されている。なお、空調機寸法(y2)は、受付部(120)によりデフォルト値から変更可能であってもよい。
【0081】
作業者は、第2入力画面(g2)の下部(g23)に表示される複数種類の空調機画像(y)のうち、対象エリア(E)上に配置される空調機(Y)を示す空調機画像(y)に対してドラッグアンドドロップ操作を行い、当該空調機画像(y)を、対象エリア画像(e)上に移動させて配置することで、空調機配置情報を入力する。このとき、作業者は、実際の対象エリア(E)上の空調機(Y)の位置に合わせるようにして、対象エリア画像(e)上に空調機画像(y)を配置する。対象エリア(E)上の全ての空調機(Y)について、対象エリア画像(e)上に空調機配置情報が入力される。その結果、処理がステップS6に移行する。
【0082】
図1及び
図2に示すように、ステップS6において、処理装置(100)の受付部(120)が、第3配置情報の入力を受け付ける。第3配置情報は、対象エリア画像(e)上における換気機器画像(z)の配置場所を示す情報である。換気機器配置情報は、本発明の配置情報の第3例である。
【0083】
換気機器配置情報が入力される手順の一例について説明する。
【0084】
図5及び
図6(c)に示すように、作業者は、第2入力画面(g2)の上部(g21)のアイコン(v2)~アイコン(v4)のうち換気機器(Z)を示すアイコン(v4)をタッチ操作する。これにより、第2入力画面(g2)の下部(g23)には、複数種類の換気機器画像(z)が表示される。
【0085】
第2入力画面(g2)の下部(g23)には、複数種類の換気機器画像(z)と、複数種類の換気機器名称(z1)と、複数種類の換気機器寸法(z2)とが、それぞれ対応付けて表示される。換気機器名称(z1)は、対応付けられる換気機器画像(z)が示す換気機器(Z)の名称である。作業者は、換気機器名称(z1)を視認することで、対応付けられる換気機器画像(z)が示す換気機器(Z)の種類を容易に特定できる。換気機器寸法(z2)は、対応付けられる換気機器画像(z)が示す換気機器(Z)の寸法である。換気機器寸法(z2)は、デフォルト値が設定されている。なお、換気機器寸法(z2)は、受付部(120)によりデフォルト値から変更可能であってもよい。
【0086】
作業者は、第2入力画面(g2)の下部(g23)に表示される複数種類の換気機器画像(z)のうち、対象エリア(E)上に配置される換気機器(Z)を示す換気機器画像(z)に対
してドラッグアンドドロップ操作を行い、当該換気機器画像(z)を、対象エリア画像(e)上に移動させて配置することで、換気機器配置情報を入力する。このとき、作業者は、
実際の対象エリア(E)上の換気機器(Z)の位置に合わせるようにして、対象エリア画像(e)上に換気機器画像(z)を配置する。対象エリア(E)上の全ての換気機器(Z)について、対象エリア画像(e)上に換気機器配置情報が入力される。
【0087】
図7は、ステップS4~ステップS6に示す処理が終了し、実際の対象エリア(E)上のオブジェクト(什器(X)、空調機(Y)、及び換気機器(Z))の位置に合わせるようにして(
図3参照)、対象エリア画像(e)上にオブジェクト画像(什器画像(x)、空調機画像(y)及び換気機器画像(z))が配置された状態の第2入力画面(g2)を示す。
【0088】
ステップS6に示す処理が終了すると、処理がステップS7に移行する。
【0089】
図1及び
図2に示すように、ステップS7において、処理装置(100)の受付部(120)が、換気機器(Z)の換気量に関する指標の入力を受け付ける。換気機器(Z)の換気量に関する指標は、詳細には、ステップS6において換気機器配置情報を設定された換気機器画像(z)が示す換気機器(Z)の換気量に関する指標を示す。換気機器(Z)の換気量に関する指標は、換気機器(Z)からの送風量を示す情報、換気機器(Z)による換気回数(単位時間当たりの換気回数)を示す情報、又は、対象エリア(E)の想定在室人数を示す情報を含む。換気量は、単位時間当たりに入れ替えられる対象エリア(E)内の空気の量を示す。
【0090】
図2に示すように、ステップS4~ステップS7に示す処理が終了すると、処理がステップS7に移行する。なお、ステップS4~ステップS7に示す処理が行われる順番は、本実施形態のように、ステップS4、ステップS5、ステップS6、及びステップS7の順番である必要はなく、特に限定されない。
【0091】
図1及び
図2に示すように、ステップS8において、処理装置(100)の第1通信部(130)がサーバ(200)に対して、解析情報を送信する。
【0092】
解析情報は、ステップS2において受付部(120)が受け付けた対象エリア(E)の広さ情報と、ステップS4~ステップS6において受付部(120)が受け付けた什器配置情報、空調機配置情報及び換気機器配置情報と、ステップS7において受付部(120)受け付けた換気機器(Z)の換気量に関する指標とを含む。
【0093】
図1及び
図2に示すように、ステップS9において、サーバ(200)の第2通信部(210)は、処理装置(100)からの解析情報を受信する。
【0094】
ステップS10において、サーバ(200)の第2制御部(230)は、解析情報に基づいて解析処理を行う。解析処理は、対象エリア(E)の空気状態を解析する処理である。
【0095】
-解析処理を行うためのサーバ(200)の装置構成-
サーバ(200)の第2記憶部(220)は、解析処理を行うための各種情報を記憶する。第2記憶部(220)に記憶される当該各種情報は、第1対応情報(221)と、第2対応情報(222)と、第3対応情報(223)とを含む。
【0096】
-什器作用情報-
第1対応情報(221)は、什器画像(x)と、什器画像(x)が示す什器(X)の空気状態に対する作用情報とを対応付けた情報である。以下では、什器画像(x)が示す什器(X)の空気状態に対する作用情報を、什器作用情報と記載することがある。什器作用情報は、例えば、空調機(Y)等から発生する気流に対して什器(X)が与える影響を示す情報(什器(X)が気流をどのように変化させるか等)を含む。
【0097】
第1対応情報(221)は、複数種類の什器画像(x)(商品棚(XA)を示す第1什器画像(xa)、レジカウンター(XB)を示す第2什器画像(xb)、間仕切り壁を示す第3什器画像(xc)等)(
図6(a)参照)の各々について設定される。
【0098】
サーバ(200)の第2制御部(230)は、ステップS4において対象エリア画像(e)上に配置される全ての什器画像(x)について、什器作用情報を出力する。
【0099】
-空調機作用情報-
第2対応情報(222)は、空調機画像(y)と、空調機画像(y)が示す空調機(Y)の空気状態に対する作用情報とを対応付けた情報である。以下では、空調機画像(y)が示す空調機(Y)の空気状態に対する作用情報を、空調機作用情報と記載することがある。空
調機作用情報は、例えば、空調機(Y)からの空気の吹き出し方向を示す情報等を含む。
【0100】
サーバ(200)の第2制御部(230)は、ステップS5において対象エリア画像(e)上に配置された全ての空調機画像(y)について、空調機作用情報を出力する。
【0101】
-空調機風量情報-
第2対応情報(222)の空調機作用情報には、第1テーブルと、第2テーブルと、第3テーブルとが含まれる。第1テーブルは、対象エリア(E)の広さ(cm3)を示す広さ情報と、対象エリア(E)の広さに応じた空調負荷(冷暖房負荷)(kW/cm3)とを対応付けた情報である。第2テーブルは、空調負荷と、空調負荷に対して必要な空調能力(kW)とを対応付けた情報である。第3テーブルは、空調能力と、空調能力に応じた空調機(Y)の風量とを対応付けた情報である。サーバ(200)の第2制御部(230)は、第1テーブル~第3テーブルを用いることで、ステップS2において受付部(120)が受け付けた対象エリア(E)の広さ情報に基づいて、空調機(Y)の風量を出力する。詳細には、サーバ(200)の第2制御部(230)は、対象エリア(E)の広さ情報と第1テーブルとを用いて対象エリア(E)の広さに応じた空調負荷を出力し、出力した空調負荷と第2テーブルとを用いて空調能力を出力し、出力した空調能力と第3テーブルとを用いて空調機(Y)の風量を出力する。なお、本実施形態のように、対象エリア(E)内に複数の空調機(Y)が存在する場合(
図3参照)、複数の空調機(Y)の各々の風量は、例えば、上記のように対象エリア(E)の広さ情報に基づいて出力された風量を等分した大きさに設定される。以下では、各空調機(Y)に設定された風量を総称して、空調機風量情報と記載することがある。
【0102】
第2対応情報(222)は、複数種類の空調機画像(y)(天井カセット型の空調機(YA)を示す第1空調機画像(ya)、壁掛け型の空調機を示す第2空調機画像(yb)、天井埋込ダクト型の空調機を示す第3空調機画像(yc)等)(
図6(b)参照)の各々について設定される。
【0103】
-換気機器作用情報-
第3対応情報(223)は、換気機器画像(z)と、換気機器画像(z)が示す換気機器(Z)の空気状態に対する作用情報とを対応付けた情報である。以下では、換気機器画像(z
)が示す換気機器(Z)の空気状態に対する作用情報を、換気機器作用情報と記載することがある。換気機器作用情報は、例えば、換気機器(Z)(排気口(ZB)、換気ファン等)からの空気の吹き出し方向を示す情報、換気機器(Z)(吸気口(ZA)等)による空気の吸い込み方向を示す情報等を含む。
【0104】
サーバ(200)の第2制御部(230)は、ステップS6において対象エリア画像(e)上に配置された全ての換気機器画像(z)について、換気機器作用情報を出力する。
【0105】
-換気量情報-
第3対応情報(223)の換気機器作用情報には、第4テーブルが含まれる。第4テーブルは、換気量に関する指標と、換気量とを対応付けた情報である。サーバ(200)の第2制御部(230)は、第4テーブルにおいて、受付部(120)が受け付けた換気量に関する指標(ステップS7参照)と対応付けられる換気量を、換気機器(Z)による対象エリア(E)の換気量として出力する。このように、第4テーブルと、受付部(120)が受け付けた換気量に関する指標(ステップS7参照)とを用いて出力された換気量を、換気量情報と記載することがある。
【0106】
第3対応情報(223)は、複数種類の換気機器画像(z)(吸気口(ZA)を示す第1換気機器画像(za)、排気口(ZB)を示す第2換気機器画像(zb)、換気ファンを示す第3換気機器画像(zc)等)(
図6(c)参照)の各々について設定される。
【0107】
-解析処理の手順-
サーバ(200)の第2制御部(230)は、什器配置情報(ステップS4参照)、什器作用情報、空調機配置情報(ステップS5参照)、空調機作用情報、空調機風量情報、換気機器配置情報(ステップS6参照)、換気機器作用情報、及び換気量情報を、流体解析シミュレーションを行う所定のプログラム(専用又は汎用の流体解析ソフト)にパラメータとして入力することで、対象エリア(E)の空気状態の解析結果を出力する。所定のプログラムは、サーバ(200)の第2記憶部(220)に記憶される。本実施形態では、解析結果として、対象エリア(E)の空気齢を示す情報が出力される。空気齢は、対象エリア(E)内に入ってきた空気が、対象エリア(E)内の所定の場所に到達するまでにかかる時間を示す。空気齢が短いほど空気が新鮮であることを表す。
【0108】
図1及び
図2に示すように、ステップS11において、サーバ(200)の第2通信部(210)は、処理装置(100)に対して解析結果を示す情報を送信する。
【0109】
ステップS12において、処理装置(100)の第1通信部(130)は、サーバ(200)からの解析結果を示す情報を受信する。
【0110】
図1、
図2及び
図8に示すように、ステップS13において、処理装置(100)の表示部(110)は、解析結果表示画面(g3)を表示する。
【0111】
解析結果表示画面(g3)は、第1画面(g31)と、第2画面(g32)とを含む。第1画面(g31)は、
図7に示す対象エリア画像(e)、すなわち、サーバ(200)が解析処理を行う際に用いた画像と同じ内容の画像を表示する。第2画面(g32)は、サーバ(200)による対象エリア(E)の空気状態の解析結果を示す情報を表示する。本実施形態では、第2画面(g32)は、対象エリア(E)の空気齢に関する情報を表示する。本実施形態では、第2画面(g32)は第1画面(g31)の下方に表示される。
【0112】
第2画面(g32)は、解析結果を示す情報を重ねるようにして表示する。本実施形態では、第2画面(g32)において、解析結果を示す情報が、色が濃い箇所程、空気齢が長く、空気が淀んでいるように表したコンター図により表示される。本実施形態では、対象エリア画像(e)のうちの右下のエリア(e1)が色が濃いので、空気齢が高く、空気が淀んでいる。作業者は、第2画面(g32)を視認することで、対象エリア(E)も対象エリア画像(e)と同様に右下のエリアの空気齢が高く、空気が淀んでいることを容易に認識できる。
【0113】
-本実施形態の効果-
以上のように、第2記憶部(220)は、オブジェクト画像(什器画像(x)、空調機画像(y)及び換気機器画像(z))と、オブジェクト画像が示すオブジェクト(什器(X)、空調機(Y)及び換気機器(Z))の空気状態に対する作用情報とを対応付けた対応情報(第1対応情報(221)~第3対応情報(223))を記憶する。第2制御部(230)は、オブジェクト画像の配置情報(什器配置情報、空調機配置情報、及び換気機器配置情報)と、対応情報とに基づいて、対象エリア(E)の空気状態を示す情報を出力する。これによると、第2記憶部(220)に記憶される対応情報において、オブジェクト画像と、オブジェクト画像が示すオブジェクトの空気状態に対する作用情報とが対応付けられているので、対象エリア(E)の空気状態を出力する際に、作業者は、対象エリア(E)に設けられるオブジェクトの空気状態に対する作用情報を確認して処理装置(100)に入力する必要がないので、作業者の負担が減り、作業者が対象エリア(E)の空気状態を容易に確認することができる。また、空調機(Y)の空気状態に対する作用情報は、空調機(Y)の空調能力に関する情報(第2テーブル)を含む。これによると、第2記憶部(220)に記憶される作用情報には空調機(Y)の空調能力に関する情報が含まれているので、対象エリア(E)の広さがわかれば、第2制御部(230)が対象エリア(E)の広さと空調能力から空調機(Y)の風量を算出して、当該風量を対象エリア(E)の空気状態を出力する際のパラメータとして用いることができる。これにより、対象エリア(E)の空気状態を出力する際に、作業者が空調能力、空調機(Y)の風量等を入力する必要がなく、第2制御部(230)による解析情報を出力するための計算範囲を大きくできるので、作業者の負担が減り、作業者が対象エリア(E)の空気状態を容易に確認することができる。
【0114】
また、作業者が、スマートフォンである処理装置(100)を対象エリア(E)まで携帯し、対象エリア(E)にいる状態で、ステップS2~ステップS6に示すデータの入力作業を行うと共に入力結果を示す情報をサーバ(200)に送信でき、さらに、サーバ(200)からの解析結果を示す情報を処理装置(100)で取得して、処理装置(100)の表示部(110)で解析結果を示す情報を確認できる。その結果、作業者が対象エリア(E)の空気状態を迅速に取得できる。
【0115】
また、空気状態は複数の状態を含み、複数の状態は、それぞれ、互いに異なる複数の色と対応し、表示部(110)は、対象エリア(E)の分布毎の前記状態を前記対応する色で表示する。本実施形態では、
図8に示すように、表示部(110)の第2画面(g32)において、対象エリア(E)の分布毎に、空気齢が長くなる程、色が濃くなるように表示される。その結果、作業者は、対象エリア(E)の分布毎の空気の淀みの程度を容易に認識できる。
【0116】
《その他の実施形態》
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう(例えば、下記(1)~(15))。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0117】
(1)本実施形態では、ステップS10において、第2制御部(230)は、対象エリア(E)の空気状態の解析結果として、対象エリア(E)内の空気齢を示す情報を出力する。しかし、本発明はこれに限定されない。第2制御部(230)は、対象エリア(E)の空気状態の解析結果として、対象エリア(E)内のCO2濃度を示す情報を示す情報を出力してもよい。この場合、例えば、
図8に示す表示部(110)の第2画面(g32)には、対象エリア(E)の分布毎に、CO2濃度が高くなる程、色が濃くなる又は薄くなるように表示される。また、第2制御部(230)は、対象エリア(E)の空気状態の解析結果として、対象エリア(E)内の空気中に存在するVOC(揮発性有機化合物)濃度を示す情報を出力してもよい。
【0118】
(2)第2制御部(230)は、対象エリア(E)の空気状態の解析結果として、対象エリア(E)内の空気中に存在する固形粒子(パーティクル)の濃度を示す情報を出力してもよい。この場合、例えば、
図8に示す表示部(110)の第2画面(g32)には、対象エリア(E)の分布毎に、空気中の固形粒子の濃度が高くなる程、色が濃くなる又は薄くなるように表示される。
【0119】
(3)可視化システム(1)により可視化する空気状態は、対象エリア(E)内での風向を含めた気流の流速分布であってもよい。
【0120】
(4)ステップS10において、第2制御部(230)は、対象エリア(E)の空気状態の解析処理を行う場合において、オブジェクトが空調機(Y)又は送風機を含むとき、第2制御部(230)は、空気が空調機(Y)又は送風機を通過する直前と通過した直後とで空気状態が同じであるように処理してもよい。
【0121】
(5)ステップS10において、第2制御部(230)は、対象エリア(E)の空気状態の解析処理を行う場合において、オブジェクトが空気清浄機を含むとき、第2制御部(230)は、空気が空気清浄機を通過する直前と通過した直後とで空気状態が変化するように処理してもよい。例えば、第2制御部(230)が対象エリア(E)の空気状態の解析結果として、対象エリア(E)内の空気中に存在する固形粒子の濃度を示す情報を出力する場合、空気が空気清浄機を通過する直前よりも通過した直後の方が空気中の固形粒子の濃度が所定値だけ低下するように構成する。
【0122】
(6)第2制御部(230)は、ステップS10において出力した対象エリア(E)の空気状態を改善するためのオブジェクト画像の改善レイアウト画像(H2)を作成してもよい。
図9は、改善前のオブジェクト画像のレイアウト画像である改善前レイアウト画像(H1)を示す。
図10は、改善後のオブジェクト画像のレイアウト画像である改善レイアウト画像(H2)を示す。
図9に示すように、改善前レイアウト画像(H1)では、対象エリア画像(e)のうちの右下のエリア(e1)が色が濃いので、空気齢が長く、空気が淀んでいる。第2制御部(230)は、例えば、右下のエリア(e1)の空気が淀む原因が、吸気口(ZA)を示す第1換気機器画像(za)と、排気口(ZB)を示す第2換気機器画像(zb)とが互いに近接しすぎており、換気が有効に行われていないことによるものと判断する。この場合は、第2制御部(230)は、配置最適化アルゴリズム、強化学習等により、右下のエリア(e1)の空気齢が所定の値よりも短くなるように、吸気口(ZA)を示す第1換気機器画像(za)と、排気口(ZB)を示す第2換気機器画像(zb)とを改善前レイアウト画像(H1)よりも互いに離間させた改善レイアウト画像(H2)を作成する。例えば、
図9に示すように、改善前レイアウト画像(H1)では、吸気口(ZA)を示す第1換気機器画像(za)と、排気口(ZB)を示す第2換気機器画像(zb)とが、対象エリア画像(e)内の左部において上下に並んでいたが、
図10に示すように、改善レイアウト画像(H2)画像では、第2制御部(230)は、吸気口(ZA)を示す第1換気機器画像(za)を右下のエリア(e1)に配置して、右下のエリア(e1)の空気の流れをよくする。改善レイアウト画像(H2)を示す情報は、サーバ(200)から処理装置(100)へ送信されて、表示部(110)に表示される。その結果、作業者は、改善レイアウト画像(H2)を考慮して、オブジェクトの配置場所を変更することで、対象エリア(E)の空気状態を改善することができる。
【0123】
(7)サーバ(200)の第2記憶部(220)は、オブジェクト画像の種類を示す情報、オブジェクト画像のレイアウトを示す情報、及びブジェクト画像が示すオブジェクトの風量を示す情報を含む入力情報と、空気状態とを対応付けた学習モデルを記憶し、第2制御部(230)は、学習モデルを用いて対象エリア(E)の空気状態を示す情報を出力してもよい。これにより、処理装置(100)の受付部(120)から上記入力情報が入力されて、当該入力情報が処理装置(100)からサーバ(200)へ送信されると、サーバ(200)の第2制御部(230)が学習モデルを用いて対象エリア(E)の空気状態を示す情報を出力できる。その結果、第2制御部(230)が流体解析シミュレーションを行う必要がないので、第2制御部(230)の演算負荷を低減できる。
【0124】
(8)サーバ(200)の第2制御部(230)が上記学習モデルを再学習する学習部として機能してもよい。この場合、学習部である第2制御部(230)は、第2制御部(230)が前記学習モデルにおけるオブジェクト画像及びオブジェクト画像のレイアウトを採用して空気状態をシミュレーションにより出力したときの出力結果を、教師データとして用いて前記学習モデルを再学習する。その結果、学習モデルを再学習することで、対象エリア(E)の空気状態の解析精度を向上させることができる。
【0125】
(9)受付部(120)は対象エリア画像(e)内の空気状態を示す指標の基準となる基準指標の入力を受け付ける。表示部(110)は対象エリア画像(e)内で空気状態を示す指標が基準指標を上回る箇所を他の箇所と区別して表示してもよい。空気状態を示す指標は、例えば、空気齢、CO2濃度、VOC濃度、又は固形粒子の濃度を示す。表示部(110)は、対象エリア画像(e)内で基準指標を上回る箇所、すなわち空気状態が良好ではない個所を、他の箇所と異なる色で表示する等して区別して表示する。その結果、作業者は、対象エリア(E)内において空気状態が良好ではない箇所を表示部(110)の表示内容より容易に確認できる。
【0126】
(10)表示部(110)は、第2画面(g32)(
図8参照)において、サーバ(200)による対象エリア(E)の空気状態の解析結果を示す情報を表示する際、対象エリア(E)における高さ1.0m以上、1.8m以下の水平面上の空気状態を示す情報を表示してもよい。その結果、対象エリア(E)内において、一般に人の顔(呼吸部分)が位置する高さにおける空気状態を表示部(110)により表示できる。
【0127】
(11)
図2に示すステップS2~ステップS7において、受付部(120)(
図1参照)から各種情報が入力される際、対象エリア(E)の温度情報がさらに入力され、ステップS10において第2制御部(230)により対象エリア(E)の空気状態の解析結果が出力される際、解析結果に対象エリア(E)の温度情報が考慮されてもよい。
【0128】
(12)本実施形態では、オブジェクトが、什器(X)と、空調機(Y)と、換気機器(Z)とで構成される。しかし、本発明はこれに限定されない。オブジェクトは少なくとも、什器(X)と、空調機(Y)とを含んでいればよい。オブジェクトが什器(X)と空調機(Y)とで構成される場合、ステップS6に示す処理及びステップS7に示す処理(
図2参照)が不要になる。
【0129】
(13)本実施形態では、サーバ(200)が解析処理を行う(ステップS10参照)。しかし、本発明はこれに限定されない。処理装置(100)が解析処理を行ってもよい。この場合、処理装置(100)の第1制御部(150)がサーバ(200)の第2制御部(230)として機能し、処理装置(100)の第1記憶部(140)がサーバ(200)の第2記憶部(220)として機能する。
【0130】
(14)本実施形態では、ステップS2~ステップS7(
図2参照)において、タッチパネルである受付部(120)から各種情報が入力される。しかし、本発明はこれに限定されない。受付部(120)をキーボード、マウス等で構成し、キーボード、マウス等から当該各種情報が入力されてもよい。
【0131】
(15)本実施形態では、ステップS2~ステップS7(
図2参照)において行われるタッチパネルからの各種情報の入力作業と、ステップS13において行われる解析結果の表示処理とが同一の表示部(110)で行われる。しかし、本発明はこれに限定されない。解析結果の表示処理が処理装置(100)とは異なる端末の表示部で行われてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0132】
以上説明したように、本開示は、可視化システム、及びプログラムについて有用である。
【符号の説明】
【0133】
1 可視化システム
100 処理装置
110 表示部
120 受付部
130 第1通信部(送信部、受信部)
200 サーバ
220 第2記憶部(記憶部)
221 第1対応情報(対応情報)
222 第2対応情報(対応情報)
223 第3対応情報(対応情報)
230 第2制御部(制御部)
e 対象エリア画像
E 対象エリア
X 什器
Y 空調機
Z 換気機器