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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】コアパネルおよび緩衝材
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/02 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
B65D81/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018160214
(22)【出願日】2018-08-29
(65)【公開番号】P2019043676
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2017166169
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】521284624
【氏名又は名称】株式会社インターローカス
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(72)【発明者】
【氏名】萩原 一郎
(72)【発明者】
【氏名】寺田 耕輔
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00631023(EP,A1)
【文献】実開昭53-159611(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/00-81/17
B65D 5/00- 5/76
E04C 2/00- 2/54
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正三角形状の複数の側壁部と、前記各側壁部の正三角形の一辺が接続された正三角形または正方形状の底面部と、前記底面部に接続されていない前記正三角形の辺を下底とする等脚台形状に形成されたフランジ部と、を有する多面体であって、前記多面体の展開図において、前記側壁部から外方に張り出して形成され、前記等脚台形の脚辺と前記下底とのなす角を45°とし、前記底面部の重心と前記側壁部の正三角形の頂点とを結ぶ仮想線を斜辺とし且つ前記脚辺を一辺とし、前記脚辺の上底側の頂点が直角となる直角三角形となるように前記脚辺の長さが設定された前記フランジ部、を有する前記多面体と、
前記多面体の底面部が平面充填された状態で、複数の前記多面体を支持する板体であって、対向して配置された一対の板体と、
を備えたことを特徴とするコアパネル。
【請求項2】
正三角形の頂部が除かれた等脚台形状の複数の側壁部と、前記側壁部の除かれた頂部の部分により構成された正三角形状の第1のフランジ部と、前記側壁部の等脚台形の下底を下底とする等脚台形状に形成され且つ外方に張り出して形成された第2のフランジ部と、を有する多面体であって、前記多面体の展開図において、前記複数の側壁部の正三角形が1つの頂点を共有し、前記第2のフランジ部の脚辺と下底とのなす角を45°とし、前記側壁部の正三角形の一辺の長さをaとした場合に、前記共有された頂点を中心とする半径0.17aの位置に配置されて前記第1のフランジ部に形成された第1の取付部と、前記共有された頂点を中心とする半径aの円弧上に配置されて、前記第2のフランジ部に形成された第2の取付部と、を有する前記多面体と、
対向して配置された一対の板体と、
を備え、
一方の板体には前記第1の取付部で前記多面体が接合され且つ他方の板体には前記第2の取付部で前記多面体が接合される
ことを特徴とするコアパネル。
【請求項3】
正三角形状の複数の側壁部と、前記各側壁部の正三角形の一辺が接続された正三角形または正方形状の底面部と、前記底面部に接続されていない前記正三角形の辺を下底とする等脚台形状に形成されたフランジ部と、を有する多面体であって、前記多面体の展開図において、前記側壁部から外方に張り出して形成され、前記等脚台形の脚辺と前記下底とのなす角を45°とし、前記底面部の重心と前記側壁部の正三角形の頂点とを結ぶ仮想線を斜辺とし且つ前記脚辺を一辺とし、前記脚辺の上底側の頂点が直角となる直角三角形となるように前記脚辺の長さが設定された前記フランジ部、を有する前記多面体と、
前記多面体の底面部が外側に面するように複数配置された状態で、前記底面部を保持する筒体と、
を備えたことを特徴とする緩衝材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の板体の間に1つまたは複数のコアが挟まれたコアパネルや前記複数のコアを有する緩衝材に関し、特に、多面体状のコアが使用されたコアパネルおよび緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
軽量で高剛性なパネルを組み立てる技術に関して、下記の非特許文献1に記載の技術が公知である。
非特許文献1には、三角錐状のセルの頂点に正三角形状の上フランジ部を設け、三角錐の底部に台形状の下フランジ部を設けて、上下一対の板に対して溶接、ボルトナット、リベットなどで固定してトラスコアパネルを組み立て、作成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】“組立式軽量高剛性構造パネルの曲げ剛性評価”、日本機械学会論文集、Vol.81,No.828、(2015)、1-15頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(従来技術の問題点)
非特許文献1に記載の技術では、フランジ部の形状や大きさについては考慮がされていない。三角錐または四角錐状のセル(コア)を一対の板に接合する際に、フランジの大きさが過剰になると無駄な部分が多くなり、材料費が高くなる問題がある。また、フランジの大きさが小さいと、板への固定が不十分になり、パネル全体の剛性が低下する問題もある。
また、フランジ形状寸法および接合用フランジ孔寸法と位置等の設計方法をその都度検討し設計するのは効率的でないことに加えて、たとえどんなに長時間検討しても理論的に設計できるものでない。
【0005】
本発明は、適切な大きさのフランジ部を有するコアからなるパネルや緩衝材を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明のコアパネルは、
正三角形状の複数の側壁部と、前記各側壁部の正三角形の一辺が接続された正三角形または正方形状の底面部と、前記底面部に接続されていない前記正三角形の辺を下底とする等脚台形状に形成されたフランジ部と、を有する多面体であって、前記多面体の展開図において、前記側壁部から外方に張り出して形成され、前記等脚台形の脚辺と前記下底とのなす角を45°とし、前記底面部の重心と前記側壁部の正三角形の頂点とを結ぶ仮想線を斜辺とし且つ前記脚辺を一辺とし、前記脚辺の上底側の頂点が直角となる直角三角形となるように前記脚辺の長さが設定された前記フランジ部、を有する前記多面体と、
前記多面体の底面部が平面充填された状態で、複数の前記多面体を支持する板体であって、対向して配置された一対の板体と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
前記技術的課題を解決するために、請求項2に記載の発明のコアパネルは、
正三角形の頂部が除かれた等脚台形状の複数の側壁部と、前記側壁部の除かれた頂部の部分により構成された正三角形状の第1のフランジ部と、前記側壁部の等脚台形の下底を下底とする等脚台形状に形成され且つ外方に張り出して形成された第2のフランジ部と、を有する多面体であって、前記多面体の展開図において、前記複数の側壁部の正三角形が1つの頂点を共有し、前記第2のフランジ部の脚辺と下底とのなす角を45°とし、前記側壁部の正三角形の一辺の長さをaとした場合に、前記共有された頂点を中心とする半径0.17aの位置に配置されて前記第1のフランジ部に形成された第1の取付部と、前記共有された頂点を中心とする半径aの円弧上に配置されて、前記第2のフランジ部に形成された第2の取付部と、を有する前記多面体と、
対向して配置された一対の板体と、
を備え、
一方の板体には前記第1の取付部で前記多面体が接合され且つ他方の板体には前記第2の取付部で前記多面体が接合される
ことを特徴とする。
【0008】
前記技術的課題を解決するために、請求項3に記載の発明の緩衝材は、
正三角形状の複数の側壁部と、前記各側壁部の正三角形の一辺が接続された正三角形または正方形状の底面部と、前記底面部に接続されていない前記正三角形の辺を下底とする等脚台形状に形成されたフランジ部と、を有する多面体であって、前記多面体の展開図において、前記側壁部から外方に張り出して形成され、前記等脚台形の脚辺と前記下底とのなす角を45°とし、前記底面部の重心と前記側壁部の正三角形の頂点とを結ぶ仮想線を斜辺とし且つ前記脚辺を一辺とし、前記脚辺の上底側の頂点が直角となる直角三角形となるように前記脚辺の長さが設定された前記フランジ部、を有する前記多面体と、
前記多面体の底面部が外側に面するように複数配置された状態で、前記底面部を保持する筒体と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1,2に記載の発明によれば、適切な大きさのフランジ部を有するコアからなるパネルを提供することができ、軽量で剛性が高く材料の無駄の少ないコアパネルを提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、適切な大きさのフランジ部を有するコアからなる緩衝材を提供することができ、軽量で剛性が高く材料の無駄の少ない緩衝材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本発明の実施例1のコアパネルの説明図である。
図2図2図1のコアパネルを分解した説明図であり、図2Aは上側パネルの説明図、図2Bは下側パネルの説明図である。
図3図3図1のコアパネルを構成する四角錐コア(正八面体ハーフコア)の説明図であり、図3Aは斜視図、図3Bは展開図である。
図4図4図1のコアパネルを構成する正三角錐(正四面体)コアの説明図であり、図4Aは斜視図、図4Bは展開図である。
図5図5は下側ボードに支持される四角錐コアと正四面体コアとの位置関係の説明図である。
図6図6は実施例1の四角錐コアのフランジの設計方法の説明図である。
図7図7は実施例1の四角錐コアのフランジの形状を変化させた場合の説明図であり、図7Aはフランジの長さが短い場合の比較例の説明図、図7Bは実施例1の四角錐コアの説明図、図7Cはフランジの長さが長い場合の比較例の説明図である。
図8図8は実施例1の四角錐コアのフランジの形状を変化させた場合の比較例の説明図である。
図9図9は実施例1の三角錐コアのフランジの設計方法の説明図である。
図10図10は実施例2のコアパネルの説明図であり、図10Aは斜視図、図10B図10Aの矢印XB方向から見た図、図10C図10Aの矢印XC方向から見た図である。
図11図11図10から上側ボードを外した状態のコアの説明図である。
図12図12は実施例2のコアの展開図である。
図13図13は実施例2の有孔ボードの孔の間隔の説明図である。
図14図14は実施例2のコアが取り付けられる有孔ボード上の孔の位置の説明図である。
図15図15は実施例3の緩衝材の説明図である。
図16図16図15の緩衝材の分解図である。
図17図17図15の緩衝材を上方から見た図である。
図18図18は実施例3の緩衝材に卵を収容する場合の説明図である。
図19図19は筒体の別の形態の展開図の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例である実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明の実施例1のコアパネルの説明図である。
図2図1のコアパネルを分解した説明図であり、図2Aは上側パネルの説明図、図2Bは下側パネルの説明図である。
図1において、本発明の実施例1のコアパネル1は、板体の一例としての上下一対のボード2,3を有する。ボード2,3の間には、コア4が配置されている。
【0013】
図3図1のコアパネルを構成する四角錐コア(正八面体ハーフコア)の説明図であり、図3Aは斜視図、図3Bは展開図である。
図2において、上側ボード2には、多面体の一例としての四角錐コア11が支持されている。図3において、実施例1の四角錐コア11は、正方形状の底面部12と、底面部12の各辺を底辺とする三角形状の側壁部13と、側壁部13から外方に張り出して形成されたフランジ部14とを有する。なお、四角錐コア11は、正八面体を半分にカットした形状に相当するため、本願明細書や図面において、四角錐のことを「正八面体ハーフ」と呼ぶこともある。
【0014】
図3Bにおいて、フランジ部14は、底面部12に接続されていない側壁部13の正三角形の辺を下底とする等脚台形状に形成されている。実施例1の四角錐コア11は、図3Bに示す展開図に沿って切り出して、底面部12と側壁部13との境界線(折線)や、側壁部13とフランジ部14との境界線(折線)で折り曲げることで、作成可能である。なお、フランジ部14を折り曲げて隣接する側壁部13に接触させることで、接着剤を使用しなくても、四角錐コア11の形状を保持することが可能である。
図2において、実施例1の上側ボード2には、四角錐コア11の底面部12が平面充填された状態で、6行6列で合計36個配置されている。なお、底面部12と上側ボード2とは接着剤や両面テープ等の接合部材で接合されている。
【0015】
図2において、下側ボード3には、四角錐コア11と多面体の一例としての正三角錐コア21が支持されている。実施例1の正三角錐コア21は、正三角形状の底面部22と、底面部22の各辺を底辺とする正三角形状の側壁部23と、側壁部23から外方に張り出して形成されたフランジ部24とを有する。なお、正三角錐コア21は、正四面体形状に相当するため、本願明細書や図面において、正三角錐のことを正四面体と呼ぶこともある。
【0016】
図4図1のコアパネルを構成する正三角錐(正四面体)コアの説明図であり、図4Aは斜視図、図4Bは展開図である。
図4Bにおいて、フランジ部24は、四角錐コア11のフランジ部14と同様に、底面部22に接続されていない側壁部23の正三角形の辺を下底とする等脚台形状に形成されている。実施例1の正三角錐コア21は、正四角錐コア11と同様に、図4Bに示す展開図に沿って切り出して、境界線(折線)で折り曲げることで作成可能であり、接着剤を使用しなくても形状を保持可能である。
【0017】
図5は下側ボードに支持される四角錐コアと正四面体コアとの位置関係の説明図である。
図2B図5において、実施例1の下側ボード3には、7行7列の合計49個の四角錐コア11が底面部12が平面充填された状態で配置されている。そして、各四角錐コア11どうしの間には横方向および縦方向に正四面体コア21が収容されている。したがって、図2Bに示すように、正四面体コア21で囲まれた凹みが正四角錐状となり、上側ボード2に支持された正四角錐コア11が嵌るように構成される。なお、実施例1の構成では、正四面体コア21は、合計で84個となる。
前記四角錐コア11と正三角錐コア21とにより実施例1のコア4が構成されている。
【0018】
(フランジの設計方法の説明)
(四角錐コアのフランジの設計方法)
図6は実施例1の四角錐コアのフランジの設計方法の説明図である。
図6において、各点をA~Hを振る。側壁部13の正三角形の一辺の長さをaとする。等脚台形の脚辺ADと下底DHとの成す角(フランジ角)を45度とする。フランジの高さ(上底と下底の高さ)をhとして、フランジ先長さ(上底の長さ)をfとすると、以下の式(1)が成立する。
f=a-2h …式(1)
また、フランジ斜辺(脚辺AD)の長さは、h×21/2である。
底面部12の重心Cと正三角形の頂点Dとの辺CDの長さは、a×(31/2/2+1/2)=1.366aとなる。
【0019】
ここで、三角形DACが直角三角形とすると、角FAEは45度、角GABは15度である。したがって、角CABは60度となり、角ACBは30度となる。角DCBが45度であるから、角DCAは15度となる。
したがって、長さADは、以下の式(2)となる。
(長さAD)=(長さCD)×sin(15°)=1.366×0.2586×a
=0.3532a …式(2)
また、フランジの高さは、h×21/2=0.3532aより、以下の式(3)となる。
h=0.250a …式(3)
【0020】
図7は実施例1の四角錐コアのフランジの形状を変化させた場合の説明図であり、図7Aはフランジの長さが短い場合の比較例の説明図、図7Bは実施例1の四角錐コアの説明図、図7Cはフランジの長さが長い場合の比較例の説明図である。
図7Aに示すように、フランジの長さhが短い構成(h=0.1a)の場合は、フランジの幅が十分でないため構造的に弱かった。すなわち、四角錐の頂点から底面部12に向かう荷重がかかった場合に、側壁部13を包んでいるフランジ部14がはなれやすく、四角錐コアが崩れやすかった。
【0021】
図7Cにおいて、フランジの長さhが長い(h=0.3a)場合は、組み立て時に作りにくく、且つ材料の無駄を招く問題がある。すなわち、フランジが長いと、組み立て時に、フランジの長さが短い場合に比べて、側壁部13に引っかかりやすく(干渉しやすく)なって、組み立て時に作りにくかった。
これらに対して、図7Bに示す構成では、接着剤なしでも四角錐コアが堅固であり、組み立て性にも問題がなく、材料の無駄も発生しなかった。
【0022】
図8は実施例1の四角錐コアのフランジの形状を変化させた場合の比較例の説明図である。
図8において、フランジ角(角ADH)を60°にした構成では、展開図からの切り出し時の誤差や、折り曲げ時の誤差で、フランジ部14が側壁部13の稜線からはみ出す場合があった。すなわち、四角錐コア11の作成がしづらいとともに、上側ボード2と下側ボード3とを嵌め合わせる際に、はみ出した部分が引っかかって嵌め合わせられなくなる恐れがある。したがって、フランジ角は側壁部13の正三角形の角(60°)未満にすることが望ましい。
【0023】
(三角錐コアのフランジの設計方法)
図9は実施例1の三角錐コアのフランジの設計方法の説明図である。
図9において、各点をA~Eを振る。側壁部13の正三角形の一辺の長さをaとする。等脚台形の脚辺ADと下底DEとの成す角(フランジ角)を45度とする。フランジの高さ(上底と下底の高さ)をhとすると、フランジ斜辺(脚辺AD)の長さは、h×21/2である。
三角形CDEは、角CEDが90°の直角三角形であり、角DCEは60°であるので、底面部12の重心Cと正三角形の頂点Dとの辺CDの長さは、a×(2/(31/2))=1.154aとなる。
【0024】
ここで、三角形DACを直角三角形とすると、角CDAは75度、角DCAは15度となる。
したがって、長さADは、以下の式(4)となる。
(長さAD)=(長さCD)×sin(15°)=1.154×0.2586×a
=0.2987a …式(4)
また、フランジの高さは、h×21/2=0.2987aより、以下の式(5)となる。
h=0.211a …式(5)
したがって、h=0.211aのフランジ部24を形成することで、接着剤がなくても、堅固で組み立て性にも問題がなく、材料の無駄も少ない正三角錐コア21を作成可能である。
【0025】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1のコアパネル1では、コア11,21を作成してボード2,3に並べて配置し、ボード2,3どうしを嵌め合わせるように重ねることで、作成可能である。作成されたコアパネル1は、正四面体と正八面体ハーフのコアが空間充填された形状となり、いわゆる、オクテットトラス構造を形作る。また、実施例1では、各コア11,21は中空の多面体であるので、コアパネル1も軽量化される。したがって、軽量で剛性が高く堅固なコアパネル1を提供することが可能である。
【0026】
特に、実施例1では、各コア11,21は、フランジ部14,24を適切に設定することで、接着剤を使用せずに組み立てることが可能であるとともに、ボード2,3どうしを嵌め合わせるように重ねる際にも接着剤は必要ない。したがって、接着剤や溶接、リベット止め等が必要な従来技術に比べて、製造費用の削減が可能である。
【0027】
また、ボード2,3に替えて、段ボール箱のような箱を使用することも可能である。この場合、箱の底面に下側ボード3に配置されたコア11,21を並べ、その上から上側ボード2に配置された四角錐コア11を並べて、箱のふたをすることで、コアパネルを作成することが可能である。そして、箱の蓋が閉められた状態では、各コア11,21は上下が底面と蓋で押さえられ、側方も箱の側壁で移動不能な状態となる。したがって、コアパネルは、コアがボードに対してボードの面方向に移動すると、剛性がなくなってしまうが、箱に収容した構成では各コア11,21は底面に対して面方向にも移動できない。よって、コア11,21は、箱に対して、接着剤を使用しなくても並べて収容して蓋をするだけで剛性をだすことが可能である。すなわち、接着剤を一切使用しないコアパネルを実現することも可能である。
【0028】
たとえば、ダンボール製コアを閉じた容器の空間内にコア充填率100%にすれば、隣接するコア群が面を押し付け合うことで接着剤がなくても強固な構造体を形成することが実験からも検証されている。他方、市販ハニカムパネルは正6角形状の柱が多数上下パネル間に嵌入された構造であるが、これらの接着剤を使用しないといろいろな方向から荷重が作用したり接着剤の効果がなくなるような温度域にまで温度が上昇すると柱がかたよったりして構造的に崩壊に至る。また、接着剤を使用するハニカムパネルは欠損が生じた場合は、もはや修復できない。
【0029】
この点、実施例1では、接着剤がなくてもこのような欠陥は生じないが、接着剤を使用することも可能である。もちろん、接着剤を多用すれば構造的にさらに強固となる。両者の使い分けとしては、用途に応じた構造強度を選定すること、接着剤を使用しない場合は、もしも損耗したとしても容器を開放してコアを再度折り畳みなおしたり、一部のコアを新しいコアに取り換えたりして何度でも再利用ができる大きな利点がある。接着剤を使用した場合は、欠損が生じればハニカムパネル同様に再利用は困難となる。
【0030】
したがって、実施例1において、接着剤を一切使用しない構成では、接着剤が溶けてしまうような高温環境下でも使用することが可能になる。したがって、従来の接着剤を使用するパネルでは使用できなかった環境でも使用することが可能になる。
また、接着剤を一切使用しない構成では、保管時は、コア11,21と箱を分解して片付けておき、使用時に箱にコア11,21を並べるだけで、速やかにコアパネル1を組み立てることが可能である。そして、使用後は、再び分解して保管することが可能であり、保管時も省スペースである。
【0031】
また、箱にコア11,21を収容したパネルを、厚さ方向に重ねたり、面方向に並べたりすることで、任意の厚さや高さ、広さのパネルとすることが可能である。また、コア11,21は、紙や段ボール、布、樹脂、金属等、任意の材料で構成することが可能であり、ボード2,3や箱は任意の材料で構成することが可能である。したがって、軽量のベッドや座布団としたり、商品を保護するための緩衝材としたり、建物の床材や壁材、畳代わり等にも使用することが可能である。
【実施例2】
【0032】
次に本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
図10は実施例2のコアパネルの説明図であり、図10Aは斜視図、図10B図10Aの矢印XB方向から見た図、図10C図10Aの矢印XC方向から見た図である。
図11図10から上側ボードを外した状態のコアの説明図である。
図12は実施例2のコアの展開図である。
【0033】
図10図11において、実施例2のパネル51では、板体の一例としての上下一対の有孔ボード52,53を有する。実施例2の有孔ボード52,53は、板に複数の孔が予め設定された間隔で形成された有孔ボードにより構成されている。有孔ボードは、市販のいわゆるパンチングメタルを使用可能である。一例として、Φ5×P8のパンチングメタル、すなわち、孔径Φが5mm、ピッチ(孔の間隔)Pが8mmのパンチングメタルを使用可能である。
【0034】
図11において、実施例2のパネル51では、多面体の一例としての四角錐コア61が支持されている。図11図12において、実施例2の四角錐コア61は、実施例1の四角錐コア11と異なり、底面部12を有さず、4つの側壁部63を有する。実施例2の側壁部63は、正三角形の頂部が除かれた等脚台形状に形成されている。また、側壁部63の除かれた頂部の部分には、正三角形状の第1のフランジ部64が形成されている。側壁部63には、第2のフランジ部65が外方に張り出すように形成されている。第2のフランジ部65は、等脚台形の下底63aを下底とする等脚台形状に形成されている。また、側壁部63には、展開図において、側壁部63の端63b,63cどうしを接合するために、第3のフランジ部66が設けられている。
【0035】
第1のフランジ部64には、有孔ボード52,53の孔に対応して、第1の取付部の一例としての第1の取付孔64aが形成されている。実施例2では、第1のフランジ部64の1つずつに、第1の取付孔64aが1つずつ形成されている。
また、第2のフランジ部65にも、有孔ボード52,53の孔に対応して、第2の取付部の一例としての第2の取付孔65aが形成されている。実施例2では、第2のフランジ部65の1つずつに、第2の取付孔65aが2つずつ形成されている。
さらに、第3のフランジ部66にも、第3の取付部の一例としての第3の取付孔66aが形成されている。実施例2では、側壁部63の端63bに沿って2つ形成されている。なお、第3のフランジ部66が接続される側壁部63の端63cにも、第3の取付孔66aに対応して、接合孔63dが形成されている。
【0036】
したがって、実施例2の四角錐コア61は、第3の取付孔66aと接合孔63dとがリベットで固定される。そして、各フランジ部64,65が外側に折り曲げられた状態で、第1のフランジ部64の第1の取付孔64aと上側の有孔ボード52の孔とを貫通するボルトおよびナットで、四角錐コア61の上部(頂部)と上側の有孔ボード52とを接合される。また、第2のフランジ部65の第2の取付孔65aと下側ボード53の孔とを貫通するボルトおよびナットで、四角錐コア61の下部(底部)と下側ボード53とを接合される。このようにして、図10図11に示すパネル51が作成される。
【0037】
(実施例2のフランジの設計方法の説明)
図11において、実施例2の四角錐コア61において、側壁部63の正三角形の一辺の長さをa(一例として、a=65.5mm)とすると、実施例1のデザイン法により第1のフランジ部64のフランジ幅h1も、第2のフランジ部65のフランジ幅h2も、h1=h2=0.25aとなる。すなわち、コア底面側の第2のフランジ部65の幅寸法とフランジ孔(第2の取付孔65a)寸法(有孔パネルの孔寸法と同じ)の関係と同様に、コア頂点側の第1のフランジ部64の幅寸法と孔(第1の取付孔64a)寸法も設計する。フランジ幅寸法を0.25aとるとすれば、頂点から高さ0.25aの正3角形をした第1のフランジ部64が4個設計される。また、フランジ孔(第1の取付孔64a)の位置は正3角形の重心位置とするのが荷重を受ける際に安定していると考えて、頂点から半径0.17aの円上に4個のフランジ孔(第1の取付孔64a)を設計している。
【0038】
図13は実施例2の有孔ボードの孔の間隔の説明図である。
図13において、実施例2の有孔ボード52,53ではφ5mmピッチ8mmで孔が規則的に配列されている。ここで、孔どうしは格子状に配列されておらず、1つの孔の周囲に6つの孔が8mmの間隔をあけて配置されている。したがって、図13における横方向では8mmの間隔となるが、縦方向では14mmの間隔で有孔ボード52,53には孔が形成されている。
したがって、第1のフランジ部64の側では、フランジ孔(第1の取付孔64a)の位置は、横方向では32mm間隔(3つ跳び)、縦方向では、28mm間隔(1つ跳び)となる。したがって、平均は30mmとなる。なお、有孔ボード52,53の孔径や第1の取付孔64aの孔径の5mmに対して、直径4mmのボルトを使用すれば、半径誤差1mm以内であれば取り付けることが可能である。
【0039】
また、底面側フランジ(第2のフランジ部65)にある2つ孔(第2の取付孔65a)の孔間隔は、1つ跳びの孔に取り付けられるとすれば、16mmまたは28mmとなり、合計で8つの孔(第2の取付孔65a)がある。なお、16mm間隔の第2の取付孔65aと、28mm間隔の第2の取付孔65a′の位置は、展開図において交互に登場し、四角錐コア61となった状態では、互いに対面する側壁部63に設けられることとなる。
【0040】
図11において、実施例2では、これらの8つの孔を近似的に頂点Aを中心とする円上に設計する。頂点Aからフランジにある2つの孔位置の中心B,Cを結ぶ直線BCに垂線ADをひくと、その長さは0.866a+0.125a=0.991aとなる。2つ孔の孔間隔が16mmの場合、2つの孔位置の中心位置Dと1つの孔(第1の取付孔64a)中心Eまでの長さは0.125aである。よって、頂点Aとフランジ孔(第2の取付孔65a)中心位置B,Cまでの長さ=SQRT(0.991+0.125)*a=0.999aとなる。
【0041】
また、2つ孔(第2の取付孔65a)の孔間隔が28mmの場合、2つの孔位置B,Cの中心位置Dと1つの孔中心Eまでの長さは0.21875aである。よって、頂点Aとフランジ孔(第2の取付孔65a)中心位置までの長さ=SQRT(0.991+0.21875)*a=1.015aとなる。近似的に両ケースの平均をとり、半径1.007aの円上に8つのフランジ孔位置を設計される。長さaに対して曲げ加工精度を考慮すると7/1000の差異は、ほとんど無視してもよく実用的に半径aの円上に設計できる。このように、有孔パネルの孔位置に対応する様にフランジ孔位置を設計することは難しいが、本発明では明快にわかりやすくフランジ孔と孔位置を設計できる効果がある。
なお、長さaは、使用する有孔ボード52,53の孔の位置(孔の間隔)に応じて変更することで対応可能である。
【0042】
図14は実施例2のコアが取り付けられる有孔ボード上の孔の位置の説明図である。
実施例2の設計方法において、一例として、a=65.5mmで設計し、市販のΦ5×P8のパンチングメタルの有孔ボード52,53を使用する構成について説明する。図14において、四角錐コア61の頂点に対応する点をA1とする。16mmの間隔の第2の取付孔65aが取り付けられる孔をA2とすると、図14から、直線A1A2の長さは、SQRT(42+8)=42.7mmとなる。また、28mmの間隔の第2の取付孔65a′が取り付けられる孔をA3とすると、図14から、直線A1A3の長さは、SQRT(40+14)=42.3mmとなる。このように、四角錐コア61の底側の第2の取付孔65a,65a′の8つの位置で有孔ボード52,53に取り付けると、平均半径42.5mmの円周上に設置されることとなる。したがって、各孔の位置A2,A3は、平均半径からのずれが±0.2mmと非常に小さく、市販の有孔ボード52,53を有効活用して、正四角錐状の四角錐コア61を設置可能である。
【0043】
したがって、実施例2では、フランジ形状寸法については四角錐コア61を構成する正三角形の側壁部63および四角錐コア61の底面部に相当する面における幾何学的特性を利用して設計すること、そして取付孔64a,65a寸法と位置等については市販の有孔ボード52,53の孔を活用することで解決する。有孔ボード52,53の孔はすべて利用しても良いし一部の必要な孔だけを利用することもメーカに依頼することで選択可能である。
【0044】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2のパネル51では、有孔ボード52,53に対して、接着剤を一切使用せずに四角錐コア61を取り付けてパネル51を組み立てることが可能である。また、特に、実施例2でも、実施例1と同様に、フランジ部64,65が適切に設定されているので、有孔ボード52,53に固定される際に、フランジ部64,65の長さが不足して固定が不十分になったり、フランジ部64,65の長さが過剰になって材料の無駄が発生することが抑制される。
すなわち、フランジ部64,65の幅が長すぎると材料が無駄になって重たくなると共に、遮音効果として必要な孔(有孔ボードの孔)を塞いでしまう損失がある。また、フランジ部64,65の幅が短すぎると、取付孔64a,65aを形成する位置が制限されてしまい、有孔ボード52,53の孔の位置を対応させて形成することが困難になり、四角錐コア61を有孔ボード52,53に孔の位置を合わせて接合できなくなる恐れがある。実施例2では、これらの問題を解決可能である。
【0045】
特に、有孔ボード52,53には、複数の孔が開いており、下側ボード53側から見た状態では、四角錐コア61の内部空間に対して複数の孔が貫通している。パンチングメタル(有孔ボード)52,53には、元々防音(吸音、遮音)効果があることが知られており、これに、四角錐コア61を接合して、パンチングメタルの孔を通過した音を四角錐コア61の壁面等で減衰させることで、さらに防音(吸音、遮音)効果の高いパネル51を提供することが期待できる。したがって、家庭用の防音壁、防音床、高速道路等の防音壁等に使用することも期待される。
さらに、例えば、有孔ボードを3枚以上準備して、それらの間に四角錐コア61を設置することで、多層のパネルを構成することも可能であり、防音効果等も向上することが期待される。
【0046】
また、有孔ボードは、面方向の端部どうしの孔の一部を重ねて、ボルトとナットで固定することが可能であり、面積の広いパネル51を作成することも容易である。
さらに、実施例2では、下側ボード53に四角錐コア61の底部を固定し、上側の有孔ボード52に四角錐コア61の頂部を固定する構成を例示したが、四角錐コア61の天地(頂部と底部)を逆に配置したものを交互に配置して、四角錐コア61の設置密度を高くすることも可能である。四角錐コア61の密度を高くすることで、剛性の向上も期待される。
【実施例3】
【0047】
次に本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
【0048】
図15は実施例3の緩衝材の説明図である。
図16図15の緩衝材の分解図である。
図17図15の緩衝材を上方から見た図である。
図15図16において、実施例3の緩衝材80では、5つの四角錐(正八面体ハーフ)コア11が周方向に5つ並んで配置されている。四角錐(正八面体ハーフ)コア11の底面部12が上下方向に沿った外面となるように設置して、四角錐コア11の頂点(側壁部13の角が集中する点)が中心になるように、なお、四角錐コア11の側壁部13は、正三角形状で各角は60度であるが、図15図16のように、配置した場合、図17のように上方から見た角(開き角)θは、θ=70.6度となる。板厚を考慮しない幾何学的な角度計算だけでは、四角錐コア11が5つ並ぶと70.6度×5=353度となり、7度(=360-353)分不足することになる。
【0049】
ここで、図17において正八面体ハーフコアの一辺の長さをaとすると、半径は、以下の式(6)であらわされる。
r=0.5a/sin(70.6°/2) =0.866a …式(6)
したがって、5つの四角錐コア11(上方から見ると五角形)に外接する円の円周の長さは、2×π×0.866a=5.44aとなる。
また、四角錐コア11の板厚をtとすると、五角形を構成する三角形の両側に、側面とフランジ面があるため、合計4t分の板厚が加算される。5つの三角形の板厚分合計は20tとなる。よって、板厚による角度α=360×(20t/5.44a)となる。
例として、a=100mm、t=0.5mmの場合、α=6.6°となる。
また、a=65mm、t=0.3mmの場合、α=6.1°となる。
したがって、板厚tを考慮すると、α=6.6°の場合、353°+6.6°=359.6°≒360°となる。なお、有効数字等の誤差や製造誤差等も考慮すると、実施例3の緩衝材80では、板厚tを含めて空間充填(上方から見た状態では平面充填)が実現されるとしてよい。あるいは、板厚tを調整して、360°ちょうどにすることも可能である。
【0050】
図15図16において、5つの四角錐コア11は、筒体の一例としての5角筒状のアウターケース81の内部に収容される。すなわち、アウターケース81の内面に、5つの四角錐コア11の各底面部12が対向、接触するように収容される。よって、5つの四角錐コア11は、アウターケース81の内部に収容された状態で、互いにばらばらにならず、持ち運び等が容易になる。
また、アウターケース81の上下には、5角形状の板体である上蓋82と底蓋83とが支持されており、アウターケース81に対して四角錐コア11を出し入れする際に、着脱あるいは開閉することが可能である。
【0051】
そして、実施例3では、各四角錐コア11の内部に、被緩衝物を収容することで、被緩衝物を四角錐コア11で保護しながら運搬や保管することが可能である。被緩衝物は、例えば、お菓子や豆類のようなおつまみ、密閉袋に小分けされた漬物や保存食品、液体等、任意のものを対象とすることが可能である。また、緩衝材80で運搬、販売した後、取り出した各四角錐コア11を小分けの容器として利用することも可能である。
【0052】
図18は実施例3の緩衝材に卵を収容する場合の説明図である。
他にも、図18に示すように、内部に卵84を収容することも可能である。ただし、卵84を収容する場合は、緩衝材80で運搬する際に、卵84が四角錐コア11内で動いて側壁部13等に衝突して割れる恐れがあるため、図18に示すように、卵84が四角錐コア11内で動かないように、円筒状のフィルム(移動防止材)86で卵84を巻くことで、卵84を保護することが可能である。
なお、各四角錐コア11に卵84をフィルム86で巻いて入れた状態で、1mの高さから緩衝材80を落下させる実験を行ったところ、5つの卵84に割れやひびがないことが確認された。
【0053】
図19は筒体の別の形態の展開図の説明図である。
なお、上蓋82と底蓋83は、アウターケース81に5角形の一辺を共有する形で開閉可能に形成したり、2辺以上を供給して開閉不能に形成することも可能である。また、開閉不能な場合も、切れ込み線や折り線を形成して折り畳み可能に構成することが好ましい。図19に示すように、上蓋82はアウターケース81に一辺を共有させて開閉可能にすると共に、底蓋83は、3つのピース83-1~83-3で構成して、いわゆる観音開き可能な構成とすることも可能である。
また、5つの四角錐コア11(1層分の四角錐コア11)の下方に、実施例1と同様に、正三角錐(四面体)コア21を1層分並べれば、そのさらに下に四角錐コア11の層、正三角錐コア21の層、四角錐コア11の層、…と、積層することも可能である。この場合、アウターケース81の上下方向の長さを伸ばすことで、多層のコア11,21を収容することが可能である。
【0054】
なお、正三角錐コア21の層を設けず、四角錐コア11の層の下に、次の四角錐コア11を収容しても、外周がアウターケース81で押さえられており、四角錐コア11どうしや四角錐コア11とアウターケース81との接触で形状が保持、均衡されるので、緩衝材として成立する。すなわち、四角錐コア11と三角錐状の空間、すなわち、四角錐と三角錐とで3次元の空間が充填されている状況は変わらない(空間充填は成立している)。他にも、正三角錐コア21の層について、全てを設けない形でなく、一部の空間に正三角錐コア21を配置し、残りの空間には正三角錐コア21を配置しない構成とすることも可能である。すなわち、実施例3の緩衝材80において、いくつかのコア11,21を欠落させても構造物としては、成立可能である。なお、実施例1のコアパネルにおいても同様に、一部のコア11,21を欠落させても構造物としては成立する。そして、コア11,21が欠落した空間に緩衝の対象物を収容することも可能である。
なお、実施例3の緩衝材における空間充填率を、
空間充填率=(構成する各コア11,21の体積(板厚tも考慮))
×(各コア11,21の数分の総和)
/(アウターケース81の内部体積)
と定義すると、欠落がないと100%となり、コア11,21の欠落があるとそれに応じて空間充填率は低下することとなる。空間充填率は、緩衝の対象物の形状や大きさ、どの程度の緩衝が必要かなど、設計や仕様等に応じて、ケースバイケースで変更可能である。
【0055】
また、実施例3では、五角筒状のアウターケース81を利用する構成を例示したが、これに限定されない。5つのコア11,21がバラバラにならないように押さえることが可能な任意の構成を採用可能である。例えば、ゴムや紐、バンド(帯)のようなもので外周を巻くように押さえることも可能である。
さらに、実施例3では、四角錐コア11やアウターケース81が半透明の樹脂で構成されている。したがって、外から内部の被緩衝物の状態を簡易的に確認することも可能である。なお、四角錐コア11やアウターケース81を半透明の材料で構成する場合に限定されず、不透明(有色)の材料や透明の材料で構成することも可能である。また、アウターケース81の材料も、樹脂に限定されず、段ボール等の紙で構成することも可能である。
また、実施例3では、五角筒状(五角柱状)の緩衝材80で構成することで、パネルタイプの緩衝材に比べて、設置面積の点で有利になる。
【0056】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。
例えば、実施例で有孔ボードの孔径等、例示した具体的な数値は適宜変更可能である。
【0057】
また、実施例2において、パンチングメタルを使用する構成を例示したが、これに限定されない。四角錐コア61を取り付ける位置にのみ孔が形成されたボードを使用することも可能である。また、実施例1で例示したように底面と蓋(頂面)に加えて側面を有する箱状の部材を使用することも可能である。
さらに、実施例2において、第3のフランジ部66は、溶接や接着剤等の別の方法で接合する場合は設けない構成とすることも可能である。
【0058】
また、実施例2において、市販有孔パネルの材質、板厚、孔寸法、位置、孔数等はいろいろなタイプのものがある。用途に応じて選択が可能である。孔はすべて利用しても良いし一部の必要な孔だけを利用することなどメーカに相談して選択可能である。
【符号の説明】
【0059】
1,51…コアパネル、
2,3,52,53…板体、
11,21,61…多面体、
12…底面部、
13,23,63…側壁部、
14…フランジ部、
64…第1のフランジ部、
64a…第1の取付部、
65…第2のフランジ部、
65a…第2の取付部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図19