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特許7161194スケートボードパークコンクリート施工方法、スケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】スケートボードパークコンクリート施工方法、スケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/02 20060101AFI20221019BHJP
   E04G 21/10 20060101ALI20221019BHJP
   E04F 21/16 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
E04G21/02 103Z
E04G21/10 Z
E04F21/16 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018247627
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020105871
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-09-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年8月1日~平成30年10月25日の期間に神奈川県藤沢市鵠沼海岸4-4-1の鵠沼海浜公園スケートパークにて、有限会社マサケンが、本発明の施工方法を本発明のスケートボードパークコンクリート施工用コテ、スケートボードパークコンクリート施工用T字型均し器具、スケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具、および、スケートボードパークコンクリート施工用弧型均し器具を用いて実施
(73)【特許権者】
【識別番号】519001578
【氏名又は名称】有限会社マサケン
(74)【代理人】
【識別番号】100168538
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 来
(72)【発明者】
【氏名】木村 將人
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-190440(JP,U)
【文献】実公昭44-006680(JP,Y1)
【文献】特開2015-140640(JP,A)
【文献】米国特許第06003192(US,A)
【文献】特開2002-356807(JP,A)
【文献】特開平09-165914(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0026907(US,A1)
【文献】特開平11-276938(JP,A)
【文献】特開2004-360233(JP,A)
【文献】特開平09-328894(JP,A)
【文献】特開平08-004297(JP,A)
【文献】特開2007-239203(JP,A)
【文献】特開2000-226831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/02
E04G 21/10
E04F 21/16
E04H 3/14
A63C 19/10
E01C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スケートボードパークのセクションのアールである表面湾曲部をコンクリートで形成するスケートボードパークコンクリート施工方法であって、
硬化前のコンクリートを表面湾曲部となる領域におけるボトムとプラットフォームとを結ぶ方向全域に配設する硬化前コンクリート配設工程と、
第3所定方向に長尺な第3板状部材であって、第3板状部材の側縁部が、第3所定方向の一端側においてセクションの表面湾曲部より上方に設置された丁張りの水平材と接触する上方基準接触部分と、第3所定方向の他端側においてセクションのボトムとなる箇所の位置決め箇所と接触する下方基準接触部分と、上方基準接触部分と下方基準接触部分との間において、第3所定方向の中央部分が端部分より突出するような第2板状部材と同じ所定曲率の湾曲した湾曲部分とを有し、第3板状部材をボトムとプラットフォームとを結ぶ方向に長尺にした姿勢で、表面湾曲部となる領域における硬化前のコンクリートに対して第3板状部材の湾曲部分を押し当てて深さ方向において表面湾曲部の表面となる基準目印溝を形成し、第3板状部材を、ボトムとプラットフォームとを結ぶ方向に対する幅方向に移動させて、表面湾曲部となる領域における硬化前のコンクリートに対して第3板状部材の湾曲部分を押し当てて前記幅方向において基準目印溝を複数形成する基準目印溝形成工程と、
第1所定方向に長尺な第1板状部材を、ボトムとプラットフォームとを結ぶ方向に対する幅方向に長尺にした姿勢でボトムとプラットフォームとを結ぶ方向へ沿って移動させて表面湾曲部の表面を均す第1均し工程と、
第2所定方向に長尺であり第2所定方向における中央部分が端部分より突出するような所定曲率の湾曲した湾曲面を有した第2板状部材を、ボトムとプラットフォームとを結ぶ方向に長尺にした姿勢でボトムとプラットフォームとを結ぶ方向および幅方向の少なくとも一方へ移動させて表面湾曲部の表面の凹凸を整えて仕上げる仕上げ工程とを具備していることを特徴とするスケートボードパークコンクリート施工方法。
【請求項2】
前記硬化前コンクリート配設工程において、硬化前のコンクリートを送るコンクリート用チューブの先端および圧縮空気を送る空気用チューブの先端に設けられたノズルから圧縮空気によって硬化前のコンクリートを噴射して表面湾曲部となる領域に配設することを特徴とする請求項1に記載のスケートボードパークコンクリート施工方法。
【請求項3】
前記第1均し工程の第1板状部材が、第1板状部材の短手方向における中央部分が端部分より突出するような第2板状部材と同じ所定曲率の湾曲した湾曲面を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスケートボードパークコンクリート施工方法。
【請求項4】
前記第1均し工程と仕上げ工程との間に、第4所定方向に長尺な第4板状部材であって、第4板状部材の側縁部が、第4所定方向における中央部分が端部分より突出するような第2板状部材と同じ所定曲率の湾曲した湾曲部分を有し、第4板状部材を、ボトムとプラットフォームとを結ぶ方向に長尺にした姿勢で、ボトムとプラットフォームとを結ぶ方向に対する幅方向へ沿って移動させて表面湾曲部の表面を均す第2均し工程をさらに具備していることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載のスケートボードパークコンクリート施工方法。
【請求項5】
板状部を備えたスケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具であって、
前記板状部が、所定方向に長尺であり、
前記板状部の側縁が、所定方向の一端側においてセクションのアールである表面湾曲部より上方に設置された丁張りの水平材と接触する上方基準接触部分と、
前記所定方向の他端側においてセクションのボトムとなる箇所の位置決め箇所と接触する下方基準接触部分と、
前記上方基準接触部分と下方基準接触部分との間において、所定方向の中央部分が端部分より突出する所定曲率の湾曲した湾曲部分とを有し、
前記所定曲率が、スケートボードパークのセクションのアールである表面湾曲部の曲率であることを特徴とするスケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スケートボードパークのセクションのアールである表面湾曲部をコンクリートで形成するスケートボードパークコンクリート施工方法、および、スケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート施工用型枠を、施工場所において所定形状に組み付けることによってコンクリート打設部の全部または一部を規制し、その後、このコンクリート打設部にコンクリートを打設し、一定時間養生させた後、コンクリート施工用型枠を除去することを特徴とするコンクリート施工用型枠を用いたコンクリート施工方法が知られている(例えば、特許文献1)。
ここで、コンクリート施工用型枠の内部にコンクリートを一気に全部打設すると、砕石とセメントの比重差による分離や大きな気泡が発生する傾向がある。
そこで、コンクリート打設部にコンクリートを一部のみ打設し、一定時間養生させた後、その上方にコンクリートを打設し、一定時間養生させた後、さらにその上方にコンクリートを打設することが知られている。
これにより、一気にコンクリートを打設した場合と比べて、砕石とセメントの比重差による分離や大きな気泡の発生を抑制していた。
このような従来のコンクリート施工方法によるスケートボードパークのランプセクションとして、例えば、図12(A)および図12(B)に示すようなランプセクション500がある。
ここで、図12(A)は、従来のコンクリート施工方法によって形成されたスケートボードパークのランプセクション500を示す斜視図であり、図12(B)は、図12(A)における符号12Bから視た側面図である。
従来のランプセクション500は、表面湾曲部であるアール510と、垂直面部であるバーチカル520と、水平面部であるボトム530と、プラットフォーム540と、パイプ部であるコーピング550とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-125005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のランプセクション500は、複数回に分けてコンクリート打設されて水平方向に所謂、コールドジョイントと呼ばれる地層の境界のような模様線が生じる構造であり、複数回に分けてアール510が形成されて、養生されたため、余分な水分が抜けてコンクリートが収縮する際に、各層の中央が、図12(B)において点線で示す設計図のアール設計表面Dから退避するように収縮するため、アール510の表面511が波打つように曲率が変化した凹凸を有し、スケートボーダーにとって安全面が十分ではないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、スケートボーダーにとって安全、かつ、曲率変化や凹凸のない滑らかなアールを形成するスケートボードパークコンクリート施工方法、スケートボードパークコンクリート施工用コテ、スケートボードパークコンクリート施工用T字型均し器具、スケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具、スケートボードパークコンクリート施工用弧型均し器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本請求項1に係る発明は、スケートボードパークのセクションのアールである表面湾曲部をコンクリートで形成するスケートボードパークコンクリート施工方法であって、硬化前のコンクリートを表面湾曲部となる領域におけるボトムとプラットフォームとを結ぶ方向全域に配設する硬化前コンクリート配設工程と、第3所定方向に長尺な第3板状部材であって、第3板状部材の側縁部が、第3所定方向の一端側においてセクションの表面湾曲部より上方に設置された丁張りの水平材と接触する上方基準接触部分と、第3所定方向の他端側においてセクションのボトムとなる箇所の位置決め箇所と接触する下方基準接触部分と、上方基準接触部分と下方基準接触部分との間において、第3所定方向の中央部分が端部分より突出するような第2板状部材と同じ所定曲率の湾曲した湾曲部分とを有し、第3板状部材をボトムとプラットフォームとを結ぶ方向に長尺にした姿勢で、表面湾曲部となる領域における硬化前のコンクリートに対して第3板状部材の湾曲部分を押し当てて深さ方向において表面湾曲部の表面となる基準目印溝を形成し、第3板状部材を、ボトムとプラットフォームとを結ぶ方向に対する幅方向に移動させて、表面湾曲部となる領域における硬化前のコンクリートに対して第3板状部材の湾曲部分を押し当てて前記幅方向において基準目印溝を複数形成する基準目印溝形成工程と、第1所定方向に長尺な第1板状部材を、ボトムとプラットフォームとを結ぶ方向に対する幅方向に長尺にした姿勢でボトムとプラットフォームとを結ぶ方向へ沿って移動させて表面湾曲部の表面を均す第1均し工程と、第2所定方向に長尺であり第2所定方向における中央部分が端部分より突出するような所定曲率の湾曲した湾曲面を有した第2板状部材を、ボトムとプラットフォームとを結ぶ方向に長尺にした姿勢でボトムとプラットフォームとを結ぶ方向および幅方向の少なくとも一方へ移動させて表面湾曲部の表面の凹凸を整えて仕上げる仕上げ工程とを具備していることにより、前述した課題を解決するものである。
【0007】
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載されたスケートボードパークコンクリート施工方法の構成に加えて、前記硬化前コンクリート配設工程において、硬化前のコンクリートを送るコンクリート用チューブの先端および圧縮空気を送る空気用チューブの先端に設けられたノズルから圧縮空気によって硬化前のコンクリートを噴射して表面湾曲部となる領域に配設することにより、前述した課題をさらに解決するものである
【0008】
本請求項に係る発明は、請求項1または請求項2に記載されたスケートボードパークコンクリート施工方法の構成に加えて、前記第1均し工程の第1板状部材が、第1板状部材の短手方向における中央部分が端部分より突出するような第2板状部材と同じ所定曲率の湾曲した湾曲面を有していることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0009】
本請求項に係る発明は、請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載されたスケートボードパークコンクリート施工方法の構成に加えて、前記第1均し工程と仕上げ工程との間に、第4所定方向に長尺な第4板状部材であって、第4板状部材の側縁部が、第4所定方向における中央部分が端部分より突出するような第2板状部材と同じ所定曲率の湾曲した湾曲部分を有し、第4板状部材を、ボトムとプラットフォームとを結ぶ方向に長尺にした姿勢で、ボトムとプラットフォームとを結ぶ方向に対する幅方向へ沿って移動させて表面湾曲部の表面を均す第2均し工程をさらに具備していることにより、前述した課題をさらに解決するものである
【0010】
本請求項に係る発明は、板状部を備えたスケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具であって、前記板状部が、所定方向に長尺であり、前記板状部の側縁が、所定方向の一端側においてセクションのアールである表面湾曲部より上方に設置された丁張りの水平材と接触する上方基準接触部分と、前記所定方向の他端側においてセクションのボトムとなる箇所の位置決め箇所と接触する下方基準接触部分と、前記上方基準接触部分と下方基準接触部分との間において、所定方向の中央部分が端部分より突出する所定曲率の湾曲した湾曲部分とを有し、前記所定曲率が、スケートボードパークのセクションのアールである表面湾曲部の曲率であることにより、前述した課題を解決するものである
【発明の効果】
【0011】
本発明のスケートボードパークコンクリート施工方法は、スケートボードパークのセクションのアールである表面湾曲部をコンクリートで形成することができるばかりでなく、以下のような特有の効果を奏することができる。
【0012】
本請求項1に係る発明のスケートボードパークコンクリート施工方法によれば、表面湾曲部の表面の全域が第2板状部材によって所定曲率の湾曲した湾曲面となるため、スケートボーダーにとって安全、かつ、曲率変化や凹凸のない滑らかなアールを形成して提供することができる。
さらに、ボトムとプラットフォームとを結ぶ方向全域に硬化前のコンクリートを配設して表面を均して整えて仕上げるため、ボトムとプラットフォームとを結ぶ方向に分割して硬化前のコンクリートを順次打設する工法と比べて、コンクリートが乾燥するに生じる収縮ムラによる波打ちのような曲率変化や凹凸をほぼ無にすることができるとともに表面の地層のような模様を無にして見栄えをよくすることができる。
また、第1均し工程の前段階において、基準目印溝が形成され、第1均し工程において基準目印溝を目印に硬化前のコンクリートを削るようにシェイピングして表面湾曲部となる領域を均せばよいため、深さ方向において深く削ってしまうことを回避することができ、設計図通りの位置に表面湾曲部を形成することができる。
さらに、基準目印溝を目印に硬化前のコンクリートを削るようにシェイピングして表面湾曲部となる領域を均せばよいため、凹凸がなく、かつ、基準目印溝に沿った表面湾曲部の表面を形成することができる。
【0013】
本請求項2に係る発明のスケートボードパークコンクリート施工方法によれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、噴射された硬化前のコンクリートが表面湾曲部となる領域に圧着して配設されるため、硬化前のコンクリートを流し込む工法の場合のように硬化前のコンクリートが垂れてしまうことを回避して、硬化前のコンクリートを表面湾曲部となる領域に簡単に定着させることができる。
さらに、硬化前のコンクリートが霧状または粒状で噴射されて表面湾曲部となる領域に着弾してコンクリートの内部に気泡であるエアーが殆ど生じないため、振動式タンピング機を用いてコンクリートの内部のエアーを逃がすタンピング工程が不要となり、その分だけ作業を軽減するとともに時間を短縮することができる
【0014】
本請求項に係る発明のスケートボードパークコンクリート施工方法によれば、請求項1または請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、第1均し工程において、表面湾曲部の表面の全域が第1板状部材によってほぼ所定曲率の湾曲した湾曲面となるため、仕上げ工程の作業を軽減することができる。
【0015】
本請求項に係る発明のスケートボードパークコンクリート施工方法によれば、請求項1乃至請求項のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、第2均し工程において、表面湾曲部の表面の全域が第4板状部材によってより精度の高い所定曲率の湾曲した湾曲面となるため、仕上げ工程の作業をより一層軽減することができる
【0016】
本請求項に係る発明のスケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具によれば、第1均し工程の前段階において、基準目印溝が形成され、第1均し工程において基準目印溝を目印に硬化前のコンクリートを削るようにシェイピングして表面湾曲部となる領域を均せばよいため、深さ方向において深く削ってしまうことを回避することができ、設計図通りの位置に表面湾曲部を形成することができる。
さらに、基準目印溝を目印に硬化前のコンクリートを削るようにシェイピングして表面湾曲部となる領域を均せばよいため、凹凸がなく、かつ、基準目印溝に沿った表面湾曲部の表面を形成することができる。
つまり、スケートボーダーにとって安全、かつ、曲率変化や凹凸のない滑らかなアールを形成して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工方法によって形成されたスケートボードパークのセクションのアールである表面湾曲部を示す斜視図。
図2】本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工方法を示すチャート図。
図3】(A)(B)は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工方法の硬化前コンクリート配設工程の様子を示す斜視図および側面図。
図4】(A)(B)は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工方法の基準目印溝形成工程の様子を示す斜視図および側面図。
図5】(A)(B)は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具を示す側面図および正面図。
図6】(A)(B)は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工方法の第1均し工程の様子を示す斜視図および側面図。
図7】(A)~(C)は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工用T字型均し器具を示す平面図、正面図および側面図。
図8】(A)(B)は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工方法の第2均し工程の様子を示す斜視図および側面図。
図9】(A)(B)は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工用弧型均し器具を示す側面図および正面図。
図10】(A)(B)は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工方法の仕上げ工程の様子を示す斜視図および側面図。
図11】(A)~(C)は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工用コテを示す平面図、正面図および側面図。
図12】(A)(B)は、従来の施工方法によって形成されたスケートボードパークのセクションのアールを示す斜視図および側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のスケートボードパークコンクリート施工方法は、硬化前のコンクリートを表面湾曲部となる領域におけるボトムとプラットフォームとを結ぶ方向全域に配設する硬化前コンクリート配設工程と、第1所定方向に長尺な第1板状部材を、ボトムとプラットフォームとを結ぶ方向に対する幅方向に長尺にした姿勢でボトムとプラットフォームとを結ぶ方向へ沿って移動させて表面湾曲部の表面を均す第1均し工程と、第2所定方向に長尺であり第2所定方向における中央部分が端部分より突出するような所定曲率の湾曲した湾曲面を有した第2板状部材を、ボトムとプラットフォームとを結ぶ方向に長尺にした姿勢でボトムとプラットフォームとを結ぶ方向および幅方向の少なくとも一方へ移動させて表面湾曲部の表面の凹凸を整えて仕上げる仕上げ工程とを具備していることにより、スケートボーダーにとって安全、かつ、曲率変化や凹凸のない滑らかなアールを形成して提供することができ、ボトムとプラットフォームとを結ぶ方向に分割して硬化前のコンクリートを順次打設する工法と比べて、コンクリートが乾燥するに生じる収縮ムラによる波打ちのような曲率変化や凹凸をほぼ無にすることができるとともに表面の地層のような模様を無にして見栄えをよくすることができるものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
例えば、硬化前コンクリート配設工程における硬化前のコンクリートの配置方法は、流し込みでもよいし、圧縮空気を利用して硬化前のコンクリートをミスト状に噴射して吹き付けてもよい。
【0019】
また、本発明のスケートボードパークコンクリート施工用コテは、板状部と、板状部に取り付けられた取手部とを備え、板状部が、所定方向に長尺であり所定方向における中央部分が端部分より突出するような所定曲率の湾曲した湾曲面を有し、所定曲率が、スケートボードパークのセクションのアールである表面湾曲部の曲率であることにより、スケートボーダーにとって安全、かつ、曲率変化や凹凸のない滑らかなアールを形成して提供することができるものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
所定曲率は、設計図面に記載されているアールの曲率と同じまたは略同じであればよい。
【0020】
さらに、本発明のスケートボードパークコンクリート施工用T字型均し器具は、板状部と、板状部に対して回動自在に連結して取り付けられた棒状部とを備え、板状部が、所定方向に長尺であり、板状部の短手方向における中央部分が端部分より突出するような所定曲率の湾曲した湾曲面を有し、所定曲率が、スケートボードパークのセクションのアールである表面湾曲部の曲率であることにより、仕上げ工程の作業を軽減することができるものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
所定曲率は、設計図面に記載されているアールの曲率と同じまたは略同じであればよい。
【0021】
また、本発明のスケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具は、板状部を備え、板状部が、所定方向に長尺であり、板状部の側縁が、所定方向の一端側においてセクションのアールである表面湾曲部より上方に設置された丁張りの水平材と接触する上方基準接触部分と、所定方向の他端側においてセクションのボトムとなる箇所の位置決め箇所と接触する下方基準接触部分と、上方基準接触部分と下方基準接触部分との間において、所定方向の中央部分が端部分より突出する所定曲率の湾曲した湾曲部分とを有し、所定曲率が、スケートボードパークのセクションのアールである表面湾曲部の曲率であることにより、スケートボーダーにとって安全、かつ、曲率変化や凹凸のない滑らかなアールを形成して提供することができるものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
さらに、本発明のスケートボードパークコンクリート施工用弧型均し器具は、板状部を備え、板状部が、所定方向に長尺であり、板状部の側縁が、所定方向の中央部分が端部分より突出する所定曲率の湾曲した湾曲部分を有し、所定曲率が、スケートボードパークのセクションのアールである表面湾曲部の曲率であることにより、スケートボーダーにとって安全、かつ、曲率変化や凹凸のない滑らかなアールを形成して提供することができるものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【実施例
【0022】
以下に、本発明の実施例であるSSHS工法:Skate Section Hand Shape工法(スケートセクションハンドシェイプ工法)であるスケートボードパークコンクリート施工方法について、図1乃至図11(C)に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工方法によって形成されたスケートボードパークのセクションの表面湾曲部であるアール110を示す斜視図であり、図2は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工方法を示すチャート図であり、図3(A)は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工方法の硬化前コンクリート配設工程の様子を示す斜視図であり、図3(B)は、図3(A)における符号3Bから視た側面図であり、図4(A)は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工方法の基準目印溝形成工程の様子を示す斜視図であり、図4(B)は、図4(A)における符号4Bから視た側面図であり、図5(A)は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具RMを示す側面図であり、図5(B)は、図5(A)における符号5Bから視た正面図であり、図6(A)は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工方法の第1均し工程の様子を示す斜視図であり、図6(B)は、図6(A)における符号6Bから視た側面図であり、図7(A)は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工用T字型均し器具STを示す平面図であり、図7(B)は、図7(A)における符号7Bから視た正面図であり、図7(C)は、図7(A)における符号7Cから視た側面図であり、図8(A)は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工方法の第2均し工程の様子を示す斜視図であり、図8(B)は、図8(A)における符号8Bから視た側面図であり、図9(A)は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工用弧型均し器具SPを示す側面図であり、図9(B)は、図9(A)における符号9Bから視た正面図であり、図10(A)は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工方法の仕上げ工程の様子を示す斜視図であり、図10(B)は、図10(A)における符号10Bから視た側面図であり、図11(A)は、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工用コテMBを示す平面図であり、図11(B)は、図11(A)における符号11Bから視た正面図であり、図11(C)は、図11(A)における符号11Cから視た側面図である。
【0023】
本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工方法によって形成されたスケートボードパークのセクションの一例であるランプセクション100は、図1に示すように、表面湾曲部であるアール110と、垂直面部であるバーチカル120と、水平面部であるボトム130と、プラットフォーム140と、パイプ部であるコーピング150とを有している。
アール110は、所定曲率(側視曲面の半径の逆数)の湾曲面を有し、ボトム130とバーチカル120とを滑らかに繋ぐように形成されている。
プラットフォーム140は、バーチカル120の上方に水平または略水平に形成されている。
コーピング150は、プラットフォーム140とから形成される角に配設されている。
なお、一例としてバーチカル120を有するランプセクション100を挙げたが、バーチカル120を有さない初心者、中級者向けのランプセクションでもよい。
【0024】
続いて、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工方法について説明する。
図2に示すように、ステップS1では、スケートボードパーク設計図面に沿って、盛り土BKや基盤を整え、盛り土BKや基盤に型枠FMを配設するとともに、鉄筋RBを敷設する(図3(A)参照)。
この際、プラットフォーム140となる箇所にコンクリート受け板BRを、コーピング150の延設予定方向に沿って立てる。
また、鉄筋RBにおけるプラットフォーム側端部は、鉄筋保持材HZによって挟むようにして保持されている。
【0025】
ステップS2では、図(A)および図3(B)に示すように、硬化前コンクリート配設工程として、硬化前のコンクリートUCをアール110となる領域におけるボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sの全域に配設する。
これにより、従来の施工方法で生じていた横方向のコールドジョイントが生じない。
また、従来の施工方法で生じていたコールドジョイントによる凹凸が生じない。
この際、アール110となる領域だけでなく、バーチカル120となる領域にも硬化前のコンクリートUCを配設する。
【0026】
さらに本実施例では、硬化前のコンクリートUCを送るコンクリート用チューブTB1の先端および圧縮空気を送る空気用チューブTB2の先端に設けられたノズルNZから圧縮空気によって硬化前のコンクリートUCを噴射してアール110となる領域に配設する。
これにより、噴射された硬化前のコンクリートUCがアール110となる領域に圧着して配設される。
その結果、硬化前のコンクリートUCを流し込む工法の場合のように硬化前のコンクリートUCが垂れてしまうことを回避して、硬化前のコンクリートUCをアール110となる領域に簡単に定着させることができる。
さらに、硬化前のコンクリートUCが霧状または粒状で噴射されてアール110となる領域に着弾してコンクリートの内部に気泡であるエアーが殆ど生じない。
その結果、振動式タンピング機を用いてコンクリートの内部のエアーを逃がすタンピング工程が不要となり、その分だけ作業を軽減するとともに時間を短縮することができる。
【0027】
なお、ボトム130側からアール110およびバーチカル120へ向かって噴射された硬化前のコンクリートUCは、コーピング150が配設される箇所から上方の領域に多少はみ出すこともあるが、コンクリート受け板BRに当たるため、噴射された硬化前のコンクリートUCの意図しないそれ以上の飛び散りを防止することができる。
そして、コンクリート受け板BRが受け止めた硬化前のコンクリートUCをプラットフォーム140の施行に用いてもよい。
コンクリート受け板BRの姿勢を垂直より急となるように傾けて設置することが望ましい。
コンクリート受け板BRに当たった硬化前のコンクリートUCがコンクリート受け板BRから自重によって落ちやすくなるからである。
【0028】
ステップS3では、図4(A)および図4(B)に示すように、基準目印溝形成工程として、例えば、アール定規とも呼ばれるスケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具RMを用いて、硬化前のコンクリートUCをアール110となる領域に基準目印溝MKを複数形成する。
ここで、ランプセクション100のアール110より上方には、丁張りの水平材としての鉄筋保持材HZが水平方向に延びて設置されている。
また、アール110の下方には、ボトム130を形成する水平な面として、位置決め箇所BTが設けられている。
【0029】
図5(A)および図5(B)に示すように、スケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具RMは、第3所定方向に長尺な第3板状部材である板状部RM1と、板状部RM1に取り付けられた取手部RM2とを備えている。
さらに、第3板状部材である板状部RM1の側縁(第3板状部材の側縁部)RM11が、第3所定方向の一端側に設けられた上方基準接触部分RM12と、第3所定方向の他端側に設けられた下方基準接触部分RM13と、上方基準接触部分RM12と下方基準接触部分RM13との間に設けられた湾曲部分RM14と、湾曲部分RM14の上方に設けられた直線部分RM15とを有している。
このうち、上方基準接触部分RM12は、第3所定方向の一端側においてランプセクション100のアール110より上方に設置された丁張りの水平材の一例である鉄筋保持材HZと接触するように構成されている。
また、下方基準接触部分RM13は、第3所定方向の他端側においてセクションのボトム130となる箇所の位置決め箇所BTと接触するように構成されている。
【0030】
さらに、湾曲部分RM14は、第3所定方向の中央部分が端部分より突出する所定曲率で湾曲して形成されている。
直線部分RM15は、バーチカル120と対向する箇所に設けられている。
第3板状部材である板状部RM1の湾曲部分RM14の所定曲率は、スケートボードパークのランプセクション100の設計図のアール110である表面湾曲部の曲率である。
そして、第3板状部材である板状部RM1をボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sに長尺にした姿勢で、上方基準接触部分RM12を鉄筋保持材HZに掛ける。
また、下方基準接触部分RM13を位置決め箇所BTに乗せるようにして位置決め箇所BTと接触させる。
これにより、高さ方向において、アール110となる領域に対してスケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具RMが位置決めされる。
さらに、上方基準接触部分RM12を、ボトム130側からプラットフォーム140側へ向かって鉄筋保持材HZに押しつけるようにして接触させる。
つまり、上方基準接触部分RM12が、鉄筋保持材HZの上側部分およびボトム側から視た手前側部分と接触する。
【0031】
これにより、深さ方向およびボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sにおいて、アール110となる領域に対してスケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具RMが位置決めされる。
これに伴い、アール110となる領域における硬化前のコンクリートUCに湾曲部分RM14がめり込み、基準目印溝MKが形成される。
言い換えると、アール110となる領域における硬化前のコンクリートUCに対して第3板状部材である板状部RM1の湾曲部分RM14を押し当てて深さ方向においてアール110の表面111となる基準目印溝MKを形成する。
さらに、スケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具RMを、ボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sに対する幅方向Tに移動させて、アール110となる領域における硬化前のコンクリートUCに対して第3板状部材である板状部RM1の湾曲部分RM14を押し当てて幅方向Tにおいて基準目印溝MKを複数形成する。
【0032】
これにより、次の第1均し工程S4の前段階において、基準目印溝MKが形成され、第1均し工程S4において基準目印溝MKを目印に硬化前のコンクリートUCを削るようにシェイピングしてアール110となる領域を均せばよい。
その結果、深さ方向において深く削ってしまうことを回避することができ、設計図通りの位置にアール110を形成することができる。
さらに、基準目印溝MKを目印に硬化前のコンクリートUCを削るようにシェイピングしてアール110となる領域を均せばよいため、凹凸がなく、かつ、基準目印溝MKに沿ったアール110の表面111を形成することができる。
つまり、スケートボーダーにとって安全、かつ、曲率変化や凹凸のない滑らかなアール110を形成して提供することができる。
なお、技術的思想としては、スケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具RMが、上方基準接触部分RM12と、下方基準接触部分RM13と、湾曲部分RM14とを有し、基準目印溝MKを形成できればよく、取手部RM2は必要でない。
【0033】
ステップS4では、図6(A)および図6(B)に示すように、第1均し工程として、例えば、スケートボードパークコンクリート施工用T字型均し器具STを用いて、アール110の表面111を均す。
図7(A)~図7(C)に示すように、スケートボードパークコンクリート施工用T字型均し器具STは、第1板状部材である板状部ST1と、棒状部ST2とを備えている。
第1板状部材である板状部ST1は、第1所定方向に長尺に設けられている。
また、棒状部ST2は、板状部ST1に対して回動自在に連結して取り付けられている。
そして、板状部ST1を、ボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sに対する幅方向Tに長尺にした姿勢でボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sへ沿って移動させてアール110の表面111を均す。
なお、第1板状部材である板状部ST1が、板状部ST1の短手方向における中央部分ST12が端部分ST13より突出するような所定曲率の湾曲した湾曲面ST11を有する構成でもよいし、真っ平らな構成でもよい。
湾曲面ST11を有する構成である場合、所定曲率が、スケートボードパークのセクションのアール110である表面湾曲部の曲率であるとよい。
これにより、第1均し工程S4において、アール110の表面111の全域が第1板状部材である板状部ST1によってほぼ所定曲率の湾曲した湾曲面となる。
その結果、後述する仕上げ工程S6の作業を軽減することができる。
技術的思想として、第1板状部材である板状部ST1があればよく、棒状部ST2は必要でない。
【0034】
さらに詳しく説明すると、スケートボードパークコンクリート施工用T字型均し器具STを用いてアール110となる領域の硬化前のコンクリートUCを削るようにシェイピングするが、基準目印溝MKを目印にして、基準目印溝MKが消えるか、消えないかのギリギリの深さにシェイピングする。
さらに、基準目印溝MKの湾曲に沿ってシェイピングする。
言い換えると、第1均し工程S4において基準目印溝MKを目印に硬化前のコンクリートUCを削るようにシェイピングしてアール110となる領域を均せばよい。
その結果、深さ方向において深く削ってしまうことを回避することができ、設計図通りの位置にアール110を形成することができる。
さらに、基準目印溝MKを目印に硬化前のコンクリートUCを削るようにシェイピングしてアール110となる領域を均せばよい。
その結果、凹凸がなく、かつ、基準目印溝MKに沿ったアール110の表面111を形成することができる。
つまり、スケートボーダーにとって安全、かつ、曲率変化や凹凸のない滑らかなアール110を形成して提供することができる。
【0035】
ステップS5では、図8(A)および図8(B)に示すように、第2均し工程として、例えば、セクションテンプレートとも呼ばれるスケートボードパークコンクリート施工用弧型均し器具SPを用いて、アール110の表面111を均す。
図9(A)および図9(B)に示すように、スケートボードパークコンクリート施工用弧型均し器具SPは、第4板状部材である板状部SP1を備えている。
第4板状部材である板状部SP1は、第4所定方向に長尺に設けられ、取手部分SP13を有している。
第4板状部材である板状部SP1の側縁(第4板状部材の側縁部)SP11が、所定曲率の湾曲した湾曲部分SP12を有している。
湾曲部分SP12は、第4所定方向における中央部分が端部分より突出するように所定曲率で湾曲して形成されている。
ここで、第4板状部材である板状部SP1の湾曲部分SP12の所定曲率が、スケートボードパークの設計図のランプセクション100のアール110の曲率である。
そして、第4板状部材である板状部SP1を、ボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sに長尺にした姿勢で、ボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sに対する幅方向Tへ沿って移動させてアール110の表面111を均す。
これにより、第2均し工程S5において、アール110の表面111の全域が第4板状部材である板状部SP1によってより精度の高い所定曲率の湾曲した湾曲面となる。
その結果、次の仕上げ工程S6の作業をより一層軽減することができる。
つまり、スケートボーダーにとって安全、かつ、曲率変化や凹凸のない滑らかなアール110を形成して提供することができる。
なお、第4板状部材である板状部SP1の側縁SP11の湾曲部分SP12全域において、縁の角(板の厚み方向における角)が丸めてあると、アール110の表面111に傷がつきにくくなってよい。
【0036】
ステップS6では、図10(A)および図10(B)に示すように、仕上げ工程として、スケートボードパークコンクリート施工用コテMBを用いて、アール110の表面111の凹凸を整えて仕上げる。
図11(A)~図11(C)に示すように、スケートボードパークコンクリート施工用コテMBは、第2板状部材である板状部MB1と、取手部MB2とを備えている。
第2板状部材である板状部MB1は、第2所定方向に長尺に設けられている。
さらに、第2板状部材である板状部MB1は、第2所定方向における中央部分MB12が端部分MB13より突出するような所定曲率の湾曲した湾曲面MB11を有している。
また、取手部MB2は、板状部MB1に取り付けられている。
ここで、第2板状部材である板状部MB1の湾曲面MB11の所定曲率が、スケートボードパークの設計図のランプセクション100のアール110の曲率である。
そして、板状部MB1を、ボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sに長尺にした姿勢でボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sおよび幅方向Tの少なくとも一方へ移動させてアール110の表面111の凹凸を整えて仕上げる。
なお、技術的思想として、第2板状部材である板状部MB1があればよく、取手部MB2は必要でない。
ステップS7では、型枠FMや鉄筋保持材HZを外し、アール110およびバーチカル120のコンクリートを養生させる。
【0037】
これにより、アール110の表面111の全域が第2板状部材である板状部MB1によって、図10(B)に示すように、所定曲率の湾曲した湾曲面となる。
その結果、スケートボーダーにとって安全、かつ、曲率変化や凹凸のない滑らかなアール110を形成して提供することができる。
さらに、ボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sの全域に硬化前のコンクリートUCを配設して表面111を均して整えて仕上げる。
その結果、ボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sに分割して硬化前のコンクリートUCを順次打設する工法と比べて、コンクリートが乾燥するに生じる収縮ムラによる波打ちのような曲率変化や凹凸をほぼ無にすることができるとともに表面111の地層のような模様を無にして見栄えをよくすることができる。
【0038】
なお、その後、アール110およびバーチカル120の施工方法と同様、プラットフォーム140の施工を実施し、コーピング150を取り付けると、ランプセクション100が完成する。
また、丁張りの水平材の一例として鉄筋保持材HZを用いたが、鉄筋保持材HZをそのままコーピング150として用いてもよい。
上述した実施例では、ランプセクション100のアール110の施工方法について説明したが、他のボールセクションでも同様である。
ボールセクションのアール110である表面湾曲部は、ボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sにおいて湾曲しているとともに、この結ぶ方向Sに対する幅方向Tにおいても湾曲している。
つまり、すり鉢状になっている。
ボールセクションを施工する場合、スケートボードパークコンクリート施工用T字型均し器具STの第1板状部材である板状部ST1が、前述した第1板状部材である板状部ST1の短手方向に加え、板状部ST1の長手方向における中央部分が端部分より突出するような第2所定曲率の湾曲した湾曲面を有しているとよい。
そして、第1板状部材である板状部ST1の湾曲面の第2所定曲率が、スケートボードパークの設計図のボールセクションの幅方向(ボール周方向)におけるアール110の曲率である。
【0039】
スケートボードパークコンクリート施工用コテMBについても、スケートボードパークコンクリート施工用T字型均し器具STと同様である。
スケートボードパークコンクリート施工用コテMBの第2板状部材である板状部MB1は、前述した板状部MB1の長手方向に加え、短手方向における中央部分が端部分より突出するような第2所定曲率の湾曲した湾曲面を有している。
そして、第2板状部材である板状部MB1の湾曲面の第2所定曲率が、スケートボードパークの設計図のボールセクションの幅方向(ボール周方向)におけるアール110の曲率である。
【0040】
このようにして得られた本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工方法は、硬化前のコンクリートUCをアール110となる領域におけるボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sの全域に配設する硬化前コンクリート配設工程S2と、第1所定方向に長尺な第1板状部材である板状部ST1を、ボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sに対する幅方向Tに長尺にした姿勢でボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sへ沿って移動させてアール110の表面111を均す第1均し工程S4と、第2所定方向に長尺であり第2所定方向における中央部分MB12が端部分MB13より突出するような第1所定曲率の湾曲した湾曲面MB11を有した第2板状部材である板状部MB1を、ボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sに長尺にした姿勢でボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sおよび幅方向Tの少なくとも一方へ移動させてアール110の表面111の凹凸を整えて仕上げる仕上げ工程S6とを具備していることにより、スケートボーダーにとって安全、かつ、曲率変化や凹凸のない滑らかなアール110を形成して提供することができ、ボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sに分割して硬化前のコンクリートUCを順次打設する工法と比べて、コンクリートが乾燥するに生じる収縮ムラによる波打ちのような曲率変化や凹凸をほぼ無にすることができるとともに表面111の地層のような模様を無にして見栄えをよくすることができる。
【0041】
さらに、硬化前コンクリート配設工程S2において、硬化前のコンクリートUCを送るコンクリート用チューブTB1の先端および圧縮空気を送る空気用チューブTB2の先端に設けられたノズルNZから圧縮空気によって硬化前のコンクリートUCを噴射してアール110となる領域に配設することにより、硬化前のコンクリートUCを流し込む工法の場合のように硬化前のコンクリートUCが垂れてしまうことを回避して、硬化前のコンクリートUCをアール110となる領域に簡単に定着させることができ、さらに、振動式タンピング機を用いてコンクリートの内部のエアーを逃がすタンピング工程が不要となり、その分だけ作業を軽減するとともに時間を短縮することができる。
【0042】
また、硬化前コンクリート配設工程S2と第1均し工程S4との間に、第3所定方向に長尺な第3板状部材である板状部RM1の側縁RM11が、第3所定方向の一端側においてセクションのアール110より上方に設置された丁張りの水平材の一例である鉄筋保持材HZと接触する上方基準接触部分RM12と、第3所定方向の他端側においてセクションのボトム130となる箇所の位置決め箇所BTと接触する下方基準接触部分RM13と、上方基準接触部分RM12と下方基準接触部分RM13との間において、第3所定方向の中央部分が端部分より突出するような第2板状部材である板状部MB1と同じ第1所定曲率の湾曲した湾曲部分RM14とを有し、第3板状部材である板状部RM1をボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sに長尺にした姿勢で、アール110となる領域における硬化前のコンクリートUCに対して第3板状部材である板状部RM1の湾曲部分RM14を押し当てて深さ方向においてアール110の表面111となる基準目印溝MKを形成し、第3板状部材である板状部RM1を、幅方向Tに移動させて、アール110となる領域における硬化前のコンクリートUCに対して第3板状部材である板状部RM1の湾曲部分RM14を押し当てて幅方向Tにおいて基準目印溝MKを複数形成する基準目印溝形成工程S3をさらに具備していることにより、設計図通りの位置にアール110を形成することができ、凹凸がなく、かつ、基準目印溝MKに沿ったアール110の表面111を形成することができる。
【0043】
さらに、第1均し工程S4の第1板状部材である板状部ST1が、第1板状部材である板状部ST1の短手方向における中央部分ST12が端部分ST13より突出するような第2板状部材である板状部MB1と同じ第1所定曲率の湾曲した湾曲面ST11を有していることにより、仕上げ工程S6の作業を軽減することができる。
【0044】
また、第1均し工程S4と仕上げ工程S6との間に、第4所定方向に長尺な第4板状部材である板状部SP1の側縁SP11が、第4所定方向における中央部分が端部分より突出するような第2板状部材である板状部MB1と同じ第1所定曲率の湾曲した湾曲部分SP12を有し、第4板状部材である板状部SP1を、ボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sに長尺にした姿勢で、ボトム130とプラットフォーム140とを結ぶ方向Sに対する幅方向Tへ沿って移動させてアール110の表面111を均す第2均し工程S5をさらに具備していることにより、仕上げ工程S6の作業をより一層軽減することができる。
【0045】
さらに、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工用コテMBは、第2板状部材である板状部MB1と、第2板状部材である板状部MB1に取り付けられた取手部MB2とを備え、第2板状部材である板状部MB1が、第2所定方向に長尺であり第2所定方向における中央部分MB12が端部分MB13より突出するような第1所定曲率の湾曲した湾曲面MB11を有し、第1所定曲率が、スケートボードパークの設計図のランプセクション100のアール110である表面湾曲部の曲率であることにより、スケートボーダーにとって安全、かつ、曲率変化や凹凸のない滑らかなアール110を形成して提供することができる。
【0046】
また、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工用T字型均し器具STは、第1板状部材である板状部ST1と、第1板状部材である板状部ST1に対して回動自在に連結して取り付けられた棒状部ST2とを備え、第1板状部材である板状部ST1が、第1所定方向に長尺であり、第1板状部材である板状部ST1の短手方向における中央部分ST12が端部分ST13より突出するような第1所定曲率の湾曲した湾曲面ST11を有し、第1所定曲率が、スケートボードパークのセクションのアール110である表面湾曲部の曲率であることにより、仕上げ工程S6の作業を軽減することができる。
【0047】
さらに、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具RMは、第3板状部材である板状部RM1を備え、第3板状部材である板状部RM1が、第3所定方向に長尺であり、第3板状部材である板状部RM1の側縁RM11が、第3所定方向の一端側においてセクションのアール110である表面湾曲部より上方に設置された丁張りの水平材と接触する上方基準接触部分RM12と、第3所定方向の他端側においてセクションのボトム130となる箇所の位置決め箇所BTと接触する下方基準接触部分RM13と、上方基準接触部分RM12と下方基準接触部分RM13との間において、第3所定方向の中央部分が端部分より突出する第1所定曲率の湾曲した湾曲部分RM14とを有し、第1所定曲率が、スケートボードパークのセクションのアール110である表面湾曲部の曲率であることにより、深さ方向において深く削ってしまうことを回避するとともに、設計図通りの位置にアール110を形成することができ、さらに、凹凸がなく、かつ、基準目印溝MKに沿ったアール110の表面111を形成することができる。
【0048】
さらに、本発明の実施例であるスケートボードパークコンクリート施工用弧型均し器具SPは、第4板状部材である板状部SP1を備え、第4板状部材である板状部SP1が、第4所定方向に長尺であり、第4板状部材である板状部SP1の側縁SP11が、第4所定方向の中央部分が端部分より突出する第1所定曲率の湾曲した湾曲部分SP12を有し、第1所定曲率が、スケートボードパークのセクションのアール110である表面湾曲部の曲率であることにより、仕上げ工程S6の作業をより一層軽減することができるなど、その効果は甚大である。
【符号の説明】
【0049】
100 ・・・ ランプセクション
110 ・・・ アール(表面湾曲部)
111 ・・・ 表面
120 ・・・ バーチカル(垂直面部)
130 ・・・ ボトム(水平面部)
140 ・・・ プラットフォーム
150 ・・・ コーピング(パイプ部)
UC ・・・ 硬化前のコンクリート
MK ・・・ 基準目印溝
TB1 ・・・ コンクリート用チューブ
TB2 ・・・ 空気用チューブ
NZ ・・・ ノズル
FM ・・・ 型枠
RB ・・・ 鉄筋
BK ・・・ 盛り土
BR ・・・ コンクリート受け板
HZ ・・・ 鉄筋保持材(丁張りの水平材)
BT ・・・ (ボトムの)位置決め箇所
MB ・・・ スケートボードパークコンクリート施工用コテ
MB1 ・・・ 板状部(第2板状部材)
MB11・・・ 湾曲面
MB12・・・ (長手方向における)中央部分
MB13・・・ (長手方向における)端部分
MB2 ・・・ 取手部
ST ・・・ スケートボードパークコンクリート施工用T字型均し器具
ST1 ・・・ 板状部(第1板状部材)
ST11・・・ 湾曲面
ST12・・・ (短手方向における)中央部分
ST13・・・ (短手方向における)端部分
ST2 ・・・ 棒状部
RM ・・・ スケートボードパークコンクリート施工用基準目印溝形成器具(アール定規)
RM1 ・・・ 板状部(第3板状部材)
RM11・・・ 側縁
RM12・・・ 上方基準接触部分
RM13・・・ 下方基準接触部分
RM14・・・ 湾曲部分
RM15・・・ 直線部分
RM2 ・・・ 取手部
SP ・・・ スケートボードパークコンクリート施工用弧型均し器具(セクションテンプレート)
SP1 ・・・ 板状部(第4板状部材)
SP11・・・ 側縁
SP12・・・ 湾曲部分
SP13・・・ 取手部分
S ・・・ ボトムとプラットフォームとを結ぶ方向
T ・・・ (ボトムとプラットフォームとを結ぶ方向に対する)幅方向
D ・・・ (設計図の)アール設計表面
500 ・・・ (従来の)ランプセクション
510 ・・・ アール(表面湾曲部)
511 ・・・ 表面
520 ・・・ バーチカル(垂直面部)
530 ・・・ ボトム(水平面部)
540 ・・・ プラットフォーム
550 ・・・ コーピング(パイプ部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12