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特許7161225プログラム、ゲーム制御方法、ゲーム装置及びゲームシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】プログラム、ゲーム制御方法、ゲーム装置及びゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/525 20140101AFI20221019BHJP
   A63F 13/812 20140101ALI20221019BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20221019BHJP
【FI】
A63F13/525
A63F13/812 A
G06T19/00 300B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020082418
(22)【出願日】2020-05-08
(65)【公開番号】P2021176421
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2021-02-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年10月24日、ウェブサイトアドレスhttps://asc.s.konaminet.jp/asc/pawasma/webpage/news/news_detail.php?id=6662&env=stg_allを通じて発表 令和1年10月25日、ウェブサイトアドレスhttps://asc.s.konaminet.jp/asc/pawasma/webpage/news/event_championroad/2019_autumn/rule_QuickRusher_kL4fVd9z.php?set_user_id=0を通じて発表 令和1年10月31日、ウェブサイトアドレスhttps://asc.s.konaminet.jp/asc/pawasma/webpage/news/news_detail.php?id=6838&env=stg_allを通じて発表 令和1年11月1日、ウェブサイトアドレスhttps://apps.apple.com/jp/app/id938506958、https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.konami.pawapuroappを通じて発表 令和1年12月24日、ウェブサイトアドレスhttps://asc.s.konaminet.jp/asc/pawasma/webpage/news/event_championroad/2019_final/rule_QuickRusher_PleqSdf6.php?set_user_id=0を通じて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年1月8日、ウェブサイトアドレスhttps://apps.apple.com/jp/app/id938506958、https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.konami.pawapuroappを通じて発表 令和2年1月14日、ウェブサイトアドレスhttps://asc.s.konaminet.jp/asc/pawasma/webpage/news/event_minibattle/01/rule_QuickRusher_pHW0UmcX.php?set_user_id=0を通じて発表 令和2年1月14日、ウェブサイトアドレスhttps://apps.apple.com/jp/app/id938506958、https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.konami.pawapuroappを通じて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】506113602
【氏名又は名称】株式会社コナミデジタルエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(74)【代理人】
【識別番号】100117857
【弁理士】
【氏名又は名称】南林 薫
(72)【発明者】
【氏名】木村 和久
(72)【発明者】
【氏名】山崎 弘靖
(72)【発明者】
【氏名】大木 賢二
(72)【発明者】
【氏名】椋橋 創
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-040348(JP,A)
【文献】特開2001-228854(JP,A)
【文献】KOYAMA, tatsuya,現代のモバイルゲーム開発者が向き合うべき ディスプレイ事情と、その対応方法[online],2019年11月29日,URL:<https://tatsuya-koyama.com/articles/gamedev/mobile-game-displays/>,[令和4年3月10日検索日]
【文献】横方向の視界を揃えて公平なゲームを作るぞ、という話,Qiita[online],2019年12月06日,URL:<https://qiita.com/flankids/items/c59acc2d1901dbecca72>,[令和4年3月10日検索日]
【文献】[パワプロアプリ]ターゲットヒッターの攻略と報酬まとめ[パワプロ],ゲームウィズ[online],2020年03月25日,URL:<https://xn--odkm0eg.gamewith.jp/article/show/192455>,[令和4年3月10日検索日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98、9/24
G06T 19/00-19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームに利用される仮想空間を仮想カメラで撮像した画像を表示部に表示するためのプログラムであって、
前記表示部の画面サイズに関する情報を取得する取得処理と、
前記取得処理により取得した前記画面サイズに関する情報に基づいて前記仮想カメラのパラメータを設定する設定処理とを、
コンピュータに実行させ、
前記設定処理は、
前記仮想空間における、複数列にわたって、所定の方向に複数のオブジェクトが並べられている所定の領域の前記所定の方向の略一定の範囲を撮像し、
かつ、
前記表示部に表示する画像において、
前記表示部に表示する画像を上部、中央部、下部の範囲に分けた場合の前記中央部の範囲内に、前記所定の方向を左右方向として、前記所定の領域の前記所定の方向の略一定の範囲を配置して、左右方向に所定の数の前記オブジェクトが表示されるようにし、
前記下部の範囲内に、別のオブジェクトを配置し、
前記所定の領域の前記オブジェクトの、前記所定の方向に直交する方向での重なりの程度を略等しくする
ように前記仮想カメラのパラメータを設定する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記設定処理は、
記憶部に予め記憶された基準情報と、
前記取得処理により取得した前記画面サイズに関する情報とに基づいて、
前記仮想カメラのパラメータを設定する
ことを特徴とする請求項に記載のプログラム。
【請求項3】
前記記憶部に予め記憶された前記基準情報は、
画面サイズに関する情報と、前記所定の領域の前記所定の方向の略一定の範囲を撮像するように設定された仮想カメラのパラメータとの組であり、
前記設定処理は、
前記取得処理により取得した前記画面サイズに関する情報と、前記記憶部に予め記憶された画面サイズに関する情報との比較結果に基づいて、
前記記憶部に予め記憶された仮想カメラのパラメータを用いて、前記仮想カメラのパラメータを設定する
ことを特徴とする請求項に記載のプログラム。
【請求項4】
前記記憶部には、3組以上の前記基準情報が予め記憶されており、
前記設定処理は、
前記取得処理により取得した前記画面サイズに関する情報に基づいて、前記3組以上の前記基準情報から2組の前記基準情報を特定し、当該特定した2組の仮想カメラのパラメータを用いて、前記仮想カメラに設定するためのパラメータを算出する
ことを特徴とする請求項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記所定の領域の前記オブジェクトが、前記所定の方向の一方向又は両方向に移動することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
ゲームに利用される仮想空間を仮想カメラで撮像した画像を表示部に表示するゲーム制御方法であって、
前記表示部の画面サイズに関する情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得した前記画面サイズに関する情報に基づいて前記仮想カメラのパラメータを設定する設定ステップとを、有し、
前記設定ステップは、
前記仮想空間における、複数列にわたって、所定の方向に複数のオブジェクトが並べられている所定の領域の前記所定の方向の略一定の範囲を撮像し、
かつ、
前記表示部に表示する画像において、
前記表示部に表示する画像を上部、中央部、下部の範囲に分けた場合の前記中央部の範囲内に、前記所定の方向を左右方向として、前記所定の領域の前記所定の方向の略一定の範囲を配置して、左右方向に所定の数の前記オブジェクトが表示されるようにし、
前記下部の範囲内に、別のオブジェクトを配置し、
前記所定の領域の前記オブジェクトの、前記所定の方向に直交する方向での重なりの程度を略等しくする
ように前記仮想カメラのパラメータを設定する
ことを特徴とするゲーム制御方法。
【請求項7】
ゲームに利用される仮想空間を仮想カメラで撮像した画像を表示部に表示するゲーム装置であって、
前記表示部の画面サイズに関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した前記画面サイズに関する情報に基づいて前記仮想カメラのパラメータを設定する設定手段とを、備え、
前記設定手段は、
前記仮想空間における、複数列にわたって、所定の方向に複数のオブジェクトが並べられている所定の領域の前記所定の方向の略一定の範囲を撮像し、
かつ、
前記表示部に表示する画像において、
前記表示部に表示する画像を上部、中央部、下部の範囲に分けた場合の前記中央部の範囲内に、前記所定の方向を左右方向として、前記所定の領域の前記所定の方向の略一定の範囲を配置して、左右方向に所定の数の前記オブジェクトが表示されるようにし、
前記下部の範囲内に、別のオブジェクトを配置し、
前記所定の領域の前記オブジェクトの、前記所定の方向に直交する方向での重なりの程度を略等しくする ように前記仮想カメラのパラメータを設定する
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項8】
ゲームに利用される仮想空間を仮想カメラで撮像した画像を表示部に表示するゲームシステムであって、
前記表示部の画面サイズに関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した前記画面サイズに関する情報に基づいて前記仮想カメラのパラメータを設定する設定手段とを、備え、
前記設定手段は、
前記仮想空間における、複数列にわたって、所定の方向に複数のオブジェクトが並べられている所定の領域の前記所定の方向の略一定の範囲を撮像し、
かつ、
前記表示部に表示する画像において、
前記表示部に表示する画像を上部、中央部、下部の範囲に分けた場合の前記中央部の範囲内に、前記所定の方向を左右方向として、前記所定の領域の前記所定の方向の略一定の範囲を配置して、左右方向に所定の数の前記オブジェクトが表示されるようにし、
前記下部の範囲内に、別のオブジェクトを配置し、
前記所定の領域の前記オブジェクトの、前記所定の方向に直交する方向での重なりの程度を略等しくする ように前記仮想カメラのパラメータを設定する
ことを特徴とするゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、ゲーム制御方法、ゲーム装置及びゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
仮想空間を仮想カメラで撮像した画像を表示部に表示するゲームがある。例えば特許文献1には、仮想三次元空間のプレイヤオブジェクトを仮想カメラで撮像して二次元画像を生成する場合に、プレイヤオブジェクトの位置に基づいて、仮想カメラの角度や位置を決定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5969531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゲーム装置として使用される端末装置は多岐にわたり、表示部のアスペクト比も多種多様である。
アスペクト比が異なる端末装置間で、表示部に表示する画像上で、ゲームに影響を与える範囲の見え方に差異が生じると、ゲームに有利、不利が生じて、ゲームの趣向性が悪くなってしまうことがある。特許文献1は、このようにアスペクト比が異なる端末装置間での見え方の差異に着目したものではない。
【0005】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、仮想空間を仮想カメラで撮像した画像を表示部に表示するゲームにおいて、ゲームの趣向性が悪くならないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るプログラムは、ゲームに利用される仮想空間を仮想カメラで撮像した画像を表示部に表示するためのプログラムであって、前記表示部の画面サイズに関する情報を取得する取得処理と、前記取得処理により取得した前記画面サイズに関する情報に基づいて前記仮想カメラのパラメータを設定する設定処理とを、コンピュータに実行させ、前記設定処理は、前記仮想空間における所定の領域の所定の方向の略一定の範囲を撮像するように前記仮想カメラのパラメータを設定することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ゲームの画面の一例を示す図である。
図2】ゲームの画面の一例を示す図である。
図3】ゲームの画面の一例を示す図である。
図4】実施形態に係るゲームシステムの構成例を示す図である。
図5】実施形態に係るゲーム装置の機能構成例を示す図である。
図6】実施形態に係るゲーム装置が実行する処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[1.ゲームの説明]
以下、本発明を適用するのに好適なゲームの概要について説明する。ゲームの概要については、図1乃至図3を参照して、ゲーム装置の表示部に表示されるゲームの画面を用いて説明する。
本実施形態のゲームは主に野球ゲームに関するものであり、メインゲームと、オプションゲームとがある。ユーザは、メインゲームとオプションゲームとを任意に選択して実行することができる。以下では、メインゲームについては簡単に説明し、オプションゲームについて詳細に説明する。
【0009】
メインゲームは、投手又は野手(捕手も含む)の主人公キャラクタを育成する育成パートと、育成パートで育成した主人公キャラクタを用いて対戦を行う対戦パートとを有している。
育成パートでは、主人公キャラクタを、練習やイベントを経て投手又は野手として育成する。例えば野手の主人公キャラクタであれば、練習やイベント等のゲームの進行に応じて、主人公キャラクタが「筋力」、「敏捷」、「技術」、「精神」といった経験点を取得する。この経験点を用いて、基本能力の能力値を上げたり、特殊能力を取得したりする。野手の場合、基本能力として、「弾道」、「ミート」、「パワー」、「走力」、「肩力」、「守備力」、「捕球」が設定されている。
対戦パートでは、育成パートで育成した主人公キャラクタを含むユーザチームと他のチームとで野球の試合を行う。
【0010】
次に、図1乃至図3を参照して、オプションゲームの一つを説明する。なお、図1乃至図3は、詳細は後述するが、アスペクト比が異なるゲーム装置でオプションゲームを実行している状態を示す。
本実施形態のオプションゲームでは、ゲーム装置の表示部に、ゲームに利用される仮想空間を仮想カメラで撮像した画像G10が表示される。仮想空間は、野球のグラウンドを表現したものであり、仮想カメラは、ホームベースHBよりも捕手側の位置の上方に配置されて、グラウンドを俯瞰するように撮像する。このようにした仮想カメラで撮像した画像では、中央部に投手キャラクタC10が表示され、下部に打者キャラクタC20が表示される。すなわち、ユーザから見て奥側に投手キャラクタC10が表示され、手前側に打者キャラクタC20が表示される。
【0011】
本実施形態のオプションゲームは、投手キャラクタC10が投球するボールオブジェクトB(図3を参照)を、ユーザが打者キャラクタC20の打撃を操作して(以下、打撃操作と呼ぶ)打ち返すことにより、ボールオブジェクトBをパネルオブジェクトPに当てて破壊するゲームである。詳細は後述するが、パネルオブジェクトPには複数の種類があり、破壊したパネルオブジェクトPの数や種類に応じた得点が付与される。なお、ボールオブジェクト、パネルオブジェクトとは、それぞれ仮想空間を移動するボール、仮想空間に配置されたパネルのことであり、以下では単にボール、パネルと称する。
【0012】
画像において投手キャラクタC10よりも奥側では、一塁と三塁を結ぶ線に平行になるように、左右方向に複数枚のパネルPが並べられている。パネルPは、3列にわたって、すなわちユーザから見て手前側(1列目)、その奥側(2列目)、さらにその奥側(3列目)で、左右方向に複数枚並べられている。各列において、パネルPの大きさは同じである。
1列目のパネルP群は、ユーザから見て左から右(三塁側から一塁側に向かって)に移動し、これにより画像に出現するパネルPが順次変更されていく。また、2列目のパネルP群は、1列目のパネルP群とは逆方向に、すなわちユーザから見て右から左(一塁側から三塁側に向かって)に移動し、これにより画像に出現するパネルPが順次変更されていく。また、3列目のパネルP群は、2列目のパネルP群とは逆方向に、すなわちユーザから見て左から右(三塁側から一塁側に向かって)に移動し、これにより画像に出現するパネルPが順次変更されていく。また、各列によってパネルPの移動速度が異なっている。例えば1列目から2列目、3列目に向かうに従って、パネルPの移動速度が高速になっている。
【0013】
ユーザから見て画像左上の表示領域A10には、投手キャラクタC10の情報、例えばキャラクタ名、球速、コントロールのランク、スタミナのランクが表示される。
また、ユーザから見て画像右上の表示領域A20には、現在の合計得点、残りの球数が表示される。
また、ユーザから見て画像右下隅の表示領域A30には、パネルP別にそれを破壊したときに得られる得点を示すスコア表が表示される。表示領域A30は、図示例のように右打ちの打者キャラクタである場合は右下隅に配置されるが、左打ちの打者キャラクタである場合は左下隅に配置される。
【0014】
ユーザがオプションゲームを行うときは、使用する打者キャラクタC20を選択する。例えば所定のイベントキャラクタの中から、1人の打者キャラクタC20を選択する仕様とする。所定のイベントキャラクタには、「弾道」、「ミート」、「パワー」、「走力」、「肩力」、「守備力」、「捕球」それぞれの能力値や、取得している特殊能力が設定されている。なお、本実施形態では、所定のイベントキャラクタの中から打者キャラクタC20を選択するようにしたが、育成パートで育成した野手の主人公キャラクタを打者キャラクタC20として選択できるようにしてもよい。
【0015】
打者キャラクタC20が選択、決定された後、不図示のゲーム開始ボタンが操作されることで、投手キャラクタC10は投球を開始する。
投手キャラクタC10が投球するボールBを、ユーザが打撃操作して打ち返すことにより、ボールBをパネルPに当てて破壊する。パネルPを破壊することにより、その数や種類に応じた得点が付与される。なお、打撃操作の操作方式はどのようなものでもよく、ここではその説明を省略する。
【0016】
打者キャラクタにより打ち返されたボールBは、1列目のパネルP群のうちのいずれかのパネルPに当たると、このパネルPを撃ち抜くように破壊する。ただし、一定以上の速度で当たらないと、パネルPを破壊できないものとする。すなわち、ライナー性の打球であればパネルを破壊できるが、フライ性の打球ではパネルを破壊できない。パネルPを撃ち抜いたボールBの速度は低下せず、破壊したパネルPの奥でボールBの軌道上に別のパネルPがある場合、当該別のパネルPを撃ち抜いて破壊することができる。このように1列目のパネルP、2列目のパネルP、3列目のパネルPを連続して撃ち抜いて破壊することが可能である。なお、破壊したパネルPは消去されて、その位置にはパネルPがない状態になる。
【0017】
なお、相手投手キャラクタC10は、一定のテンポで15球続けて投球を行うものとする。タイムボタンB10を操作することにより、一時停止することができる。
また、投手キャラクタC10は、例えばストレート系速球をストライクゾーンの中央に向かって投球するものとする。このように相手投手キャラクタC10が投球する球種として、ストレートが設定されているが、これに限定されるものではない。例えばユーザが好みの球種を選択できるようにしてもよい。
【0018】
パネルPには、複数の種類があり、本実施形態では、6種類の得点パネルP1~P6と、1種類の妨害パネルP7とが用意されている。パネルPは、種類に応じて色及び図柄が定められており、視認可能になっている。
【0019】
得点パネルP1~P6は、打者キャラクタC20が打ち返したボールBが当たって破壊することで、得点を得ることができるパネルである。得点パネルP1~P6は、打者キャラクタC20の所定のパラメータに応じて得点が設定される5種類のパネル(筋力パネルP1、敏捷パネルP2、技術パネルP3、精神パネルP4、特能パネルP5)と、所定のパラメータによらず規定の高得点が得られるスペシャルパネルP6とがある。
【0020】
本実施形態では、打者キャラクタC20の所定のパラメータとして、「ミート」の能力値、「パワー」の能力値、「走力」の能力値、「肩力」の能力値、「守備力」の能力値、「捕球」の能力値、「特殊能力」の有無の7種類があり、得点パネルP1~P6を破壊したときの得点は、所定のパラメータの値に応じてそれぞれ設定される。この得点が、表示領域A30のスコア表に表示されている。
【0021】
筋力パネルP1は、赤色のパネルでダンベルの図柄が記載されているパネルである。筋力パネルP1は、「筋力」の経験点に関連するパラメータの値が高いほど、破壊したときの得点が高くなる。本実施形態では、打者キャラクタC20の「ミート」の能力値、「パワー」の能力値、「走力」の能力値、「肩力」の能力値に応じて、筋力パネルP1の得点が設定される。
【0022】
敏捷パネルP2は、青色のパネルでシューズの図柄が記載されているパネルである。敏捷パネルP2は、「敏捷」の経験点に関連するパラメータの値が高いほど、破壊したときの得点が高くなる。本実施形態では、打者キャラクタC20の「走力」の能力値、「肩力」の能力値、「走力」の能力値、「守備力」の能力値、「捕球」の能力値に応じて、敏捷パネルP2の得点が設定される。
【0023】
技術パネルP3は、緑色のパネルでバットの図柄が記載されているパネルである。技術パネルP3は、「技術」の経験点に関連するパラメータの値が高いほど、破壊したときの得点が高くなる。本実施形態では、打者キャラクタC20の「ミート」の能力値、「パワー」の能力値、「肩力」の能力値、「守備力」の能力値に応じて、技術パネルP3の得点が設定される。
【0024】
精神パネルP4は、水色のパネルで魂の図柄が記載されているパネルである。精神パネルP4は、「精神」の経験点に関連するパラメータの値が高いほど、破壊したときの得点が高くなる。本実施形態では、打者キャラクタC20の「ミート」の能力値、「守備力」の能力値、「捕球」の能力値に応じて、精神パネルP4の得点が設定される。
【0025】
特能パネルP5は、金色のパネルで星の図柄が記載されているパネルである。特能パネルP5は、打者キャラクタC20が保有する特殊能力の数が多いほど、破壊したときの得点が高くなる。
【0026】
スペシャルパネルP6は、虹色ホログラフのパネルで王冠の図柄が記載されているパネルである。スペシャルパネルP6は、破壊したときの得点が固定されており、規定の高得点が得られるようになっている。
【0027】
妨害パネルP7は、鋼鉄色で中央に×印が記載されているパネルである。妨害パネルP7は、得点パネルP1~P6と違い、ボールBが当たったとしても撃ち抜けず、ボールBは妨害パネルP7で止まる。
【0028】
なお、オプションゲームは、パネルPを破壊して得点を競うゲームであるので、公平性を担保するため、所定のアルゴリズムによってパネルPの出現を制御する。
例えばスペシャルパネルP6や妨害パネルP7は、出現する列やタイミングが予め定められているようにする。スペシャルパネルP6であれば、1列目にしか出現せず、かつ、投手キャラクタC10が4、8、12球目を投げたときに左端に出現する等である。
また、筋力パネルP1、敏捷パネルP2、技術パネルP3、精神パネルP4、特能パネルP5は、その5種類を1セットとして、その中でランダムな順番で出現するようにする。例えばある列において、最初に筋力パネルP1が出現した場合、次のパネルとしては筋力パネルP1以外からランダムに選ばれたパネルPが出現し(例えば技術パネルP3が出現したとする)、その次のパネルとしては筋力パネルP1及び敏捷パネルP3以外からランダムに選ばれたパネルPが出現する。ただし、スペシャルパネルP6や妨害パネルP7の出現タイミングでは、そちらの出現を優先させ、割り込みが入るようにする。
【0029】
投手キャラクタC10が15球目を投球し、打者キャラクタC20の打撃が終了したならば、結果表示画面を表示する。結果表示画面では、オプションゲームの結果、つまり破壊したパネルPの枚数が種類別に表示されるとともに、合計得点が表示され、オプションゲームが完了する。
【0030】
[2.ゲームシステムの構成]
次に、以上に説明したゲームを実現するためのゲームシステムの概要について説明する。
図4は、本実施形態に係るゲームシステム1の構成例を示す図である。本実施形態に係るゲームシステム1では、サーバ装置30とゲーム装置10とが、ネットワーク20を介して無線により接続されている。
【0031】
ゲーム装置10は、上述したゲームを操作するための装置であり、例えば、スマートフォン等の携帯型通信装置や、携帯型ゲーム専用機器、タブレット、据え置き型ゲーム機器等である。ゲーム装置10は、CPU101と、ROM102と、RAM103と、通信部104と、操作部105と、表示部106と、記憶装置107とを有している。
【0032】
CPU101は、ROM102に記憶された制御プログラムをRAM103に読み出して各種処理を実行する。ROM102は、ゲーム装置10を動作させるために必要な制御プログラム(OS等)を記憶する。ROM102に替えてフラッシュメモリ(NVRAM)を用いてもよい。RAM103は、CPU101の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。通信部104は、ネットワーク20を介してサーバ装置30やその他の外部装置との通信処理を行う。操作部105は、ユーザによる各種操作を受け付ける。なお、表示部106がタッチパネルを搭載した液晶表示パネルである場合には、タッチパネルが操作部105である。表示部106は、上述したゲームの画面等各種情報を表示する。記憶装置107は、主にゲームに関するゲームプログラムや、ゲームに関連する各種データ等を記憶する。
【0033】
なお、ゲーム装置10の機能や処理は、CPU101がROM102又は記憶装置107に格納されているプログラムを読み出し、このプログラムを実行することによって実現されるものである。また、他の例としては、CPU101は、ROM102等に記憶されたプログラムを読み出すのではなく、SDカード等の着脱可能な記録媒体に格納されているプログラムを読み出してもよい。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段は、プログラムを記録したCD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体やプログラムを伝送するインターネット等の伝送媒体であってもよい。
【0034】
サーバ装置30は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、通信部304と、記憶装置305とを有している。
【0035】
CPU301は、ROM302に記憶された制御プログラムを読み出して各種処理を実行する。RAM303は、CPU301の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。通信部304は、ネットワーク20を介してゲーム装置10やその他の外部装置との通信処理を行う。記憶装置305には、ゲームに関するプログラムや、ゲーム装置10を操作するユーザのID等の識別情報や、その他ゲームに必要なユーザ毎の各種情報が記憶されている。なお、不図示のデータベース等にこれらの一部の情報を記憶するようにしてもよい。
【0036】
図5は、ゲーム装置10の機能構成例を示す図であり、本実施形態のオプションゲームを実行するための機能構成を示す。
ゲーム装置10の記憶装置107には、オプションゲームを実行するためのプログラムが記憶されている。また、記憶装置107は、オプションゲームのゲーム処理に必要な各種データ、例えばキャラクタデータDT1、ゲームデータDT2等が記憶されている。また、記憶装置107には、仮想カメラのパラメータを設定するときに用いられる基準情報DT3が記憶されている。また、記憶装置107には、自機10の機種情報DT4が記憶されている。
【0037】
キャラクタデータDT1は、キャラクタに関する情報等からなる。キャラクタデータDT1には、打者キャラクタC20として選択可能な所定のイベントキャラクタに関する情報(例えばイベントキャラクタの名前、ポジション等の基本情報や、イベントキャラクタの基本能力及び特殊能力の情報等)が含まれる。
【0038】
ゲームデータDT2は、オプションゲームに関する情報等からなる。ゲームデータDT2には、オプションゲームの進行に伴って更新される情報が含まれる。オプションゲームに関する情報とは、例えば仮想カメラのパラメータ、投手キャラクタC10の情報、ユーザにより選択された打者キャラクタC20の情報、パネルPの出現や破壊に関する情報、パネルPを破壊したときに得られる得点の情報、現在の投球数、現在の合計得点等が含まれる。
【0039】
基準情報DT3は、アスペクト比と仮想カメラのパラメータとの組である。仮想カメラのパラメータとは、仮想カメラの画角、位置、及び角度である。上述したように仮想カメラは、ホームベースHBよりも捕手側の位置の上方に配置されて、グラウンドを俯瞰するように撮像する。仮想カメラの画角とは、仮想空間における撮像範囲を表す値である。また、仮想カメラの位置とは、仮想空間における前後、左右、上下の位置である。また、仮想カメラの角度とは、俯角である。
【0040】
本実施形態では、図1に示すようなアスペクト比4:3、図2に示すようなアスペクト比21:9、及び図3に示すようなアスペクト比16:9それぞれに、仮想カメラのパラメータが関連付けられている。アスペクト比4:3は、ゲーム装置10として使用される一般的な端末装置において最も横長と考えられる比率である。一方、アスペクト比21:9は、ゲーム装置10として使用される一般的な端末装置において最も縦長と考えられる比率である。そして、アスペクト比16:9は、アスペクト比4:3とアスペクト比21:9との間にあり、多くの端末装置で採用されている比率である。
【0041】
これら3つのアスペクト比4:3、21:9、16:9それぞれで、仮想空間における所定の領域Rの所定の方向の略一定の範囲を撮像するように仮想カメラのパラメータが設定されている。本実施形態では、図1乃至図3に示すように、3列のパネルP群が存在する領域Rにおいて、左右方向(複数枚のパネルPが並べられている方向)の略一定の範囲を撮像するように仮想カメラのパラメータが設定されている。したがって、3つのアスペクト比4:3、21:9、16:9のいずれでも、表示部に表示する画像上で、左右方向に並べられているパネルPの枚数を同じにすることができる。図1乃至図3の例では、3つのアスペクト比4:3、21:9、16:9のいずれでも、表示部に表示する画像上で、各列で4枚のパネルPが現れるようになっている。
【0042】
なお、略一定の範囲とは、厳密に同一の範囲にするとの意味ではなく、アスペクト比が異なる端末装置間で、表示部に表示する画像上で、所定の領域Rの所定の方向の見え方に差異が生じない程度(所定の領域Rの所定の方向を見て得られる情報に差異が生じない程度)に一致させた範囲とすることを意味する。本実施形態では、アスペクト比が異なる端末装置間で、表示部に表示する画像上で、各列で4枚のパネルPが現れるようになっており、左右方向を見て得られる情報に差異が生じないようになっている。
【0043】
また、3つのアスペクト比4:3、21:9、16:9それぞれで、仮想カメラのパラメータは、上述した仮想空間における所定の領域Rの所定の方向の略一定の範囲を撮像する条件(以下、第1条件と称する)に加えて、予め定められた別の条件を満たすように設定されている。第1条件を満たす仮想カメラのパラメータの組み合わせは複数通り存在し、一意に定まらないことから、別の条件を課して仮想カメラのパラメータを定める。
【0044】
例えば第1条件を満たすことを前提とし、別の条件として、アスペクト比によらず、表示部に表示する画像の所定の範囲内に所定のオブジェクトを配置する条件が設定されていてもよい。本実施形態では、表示部に表示する画像を上部、中央部、下部等の範囲に分けて、中央の範囲内に3列のパネルP群を配置する条件が設定されている。また、中央の範囲内に投手キャラクタC10を配置し、下部の範囲内に打者キャラクタC20を配置する条件が設定されている。
【0045】
また、第1条件を満たすことを前提とし、別の条件として、アスペクト比によらず、表示部に表示する画像において、所定の領域Rに表示するオブジェクトの、所定の方向に直交する方向での重なりの程度を略等しくする条件が設定されていてもよい。本実施形態では、3列のパネルP群が存在する領域Rにおいて、前後のパネルPの重なりの程度を略等しくする条件が設定されている。図1乃至図3に示すように、3つのアスペクト比4:3、21:9、16:9のいずれでも、表示部に表示する画像上で、手前にパネルPが位置する状態で、その次列のパネルPの上部1/4程度が現れるようになっている。なお、略等しくするとは、上述した「略一定の範囲」の場合と同様、アスペクト比が異なる端末装置間で、表示部に表示する画像上で、所定の領域を見て得られる情報に差異が生じない程度に等しくすることを意味する。
【0046】
なお、別の条件は、ここで述べたものに限定されるものではなく、ゲームの画面の見栄えを良くする観点から適宜が設定されていてもよい。
【0047】
機種情報DT4は、自機10の表示部106の画面の縦横サイズを含む。
【0048】
また、ゲーム装置10は、ゲーム制御部120を備えている。ゲーム制御部120は、ゲーム装置10でオプションゲームに必要な処理を実行するものであり、取得部1201と、設定部1202と、表示制御部1203とを備えている。ゲーム制御部120の機能は、記憶装置107に記憶されているプログラムをCPU101が実行することにより実現される。
【0049】
取得部1201は、自機10の表示部106のアスペクト比(以下、自機アスペクト比と呼ぶ)を取得する。取得部1201は、機種情報DT4に含まれている画面の縦横サイズを読み出して、自機アスペクト比を算出する。なお、機種情報DT4に、画面の縦横サイズでなく、自機アスペクト比そのものが含まれるようにしてもよい。
【0050】
設定部1202は、取得部1201により取得した自機アスペクト比に基づいて、仮想空間における所定の領域Rの所定の方向(3列のパネルP群が存在する領域Rの左右方向)の略一定の範囲を撮像するように、自機10の表示部106に表示する画像を撮像する仮想カメラのパラメータ(以下、自機用パラメータと呼ぶ)を設定する。
具体的には、設定部1202は、基準情報DT3と、取得部1201により取得した自機アスペクト比とに基づいて、次のようにして自機用パラメータを設定する。
【0051】
設定部1202は、自機アスペクト比が、記憶装置107に記憶された3組の基準情報DT3のアスペクト比4:3、21:9、16:9のいずれかに一致する場合、当該一致するアスペクト比に関連付けられた仮想カメラのパラメータを読み出し、これを自機用パラメータとして設定する。設定部1201は、自機用パラメータをゲームデータDT2に記憶する。
【0052】
また、設定部1202は、自機アスペクト比が、記憶装置107に記憶された3組の基準情報DT3のアスペクト比4:3、21:9、16:9のいずれにも一致しない場合、自機アスペクト比と、3つのアスペクト比4:3、21:9、16:9との比較結果に基づいて、記憶装置107に記憶された仮想カメラのパラメータを用いて、自機用パラメータを算出して設定する。自機用パラメータを算出する際には、自機アスペクト比に基づいて、3組の基準情報DT3から2組の基準情報DT3を特定し、当該特定した2組の仮想カメラのパラメータを用いる。設定部1201は、自機用パラメータを、ゲームデータDT2に記憶する。
【0053】
表示制御部1203は、オプションゲームの進行に伴って、ゲームデータDT2に記憶された自機用パラメータに従って仮想カメラを用いて仮想空間を撮像し、その画像を自機10の表示部106に表示する。
【0054】
[3.ゲームシステムでの処理の流れ]
以下、本実施形態に係るゲーム装置10による処理の流れについて説明する。ここでは、ゲーム制御部120が自機用パラメータを設定する処理を説明する。
図6は、本実施形態に係るゲーム装置10が実行する、自機用パラメータを設定する処理例を示すフローチャートである。図6のフローチャートは、例えば自機10においてオプションゲームを実行するためのプログラムをインストールしたときや、自機10においてユーザがオプションゲームを最初に行うときに実行される。
【0055】
S100において、取得部1201は、機種情報DT4に含まれている画面の縦横サイズを読み出して、自機アスペクト比を算出する。
【0056】
S102において、設定部1202は、S100で取得した自機アスペクト比が、記憶装置107に記憶された3組の基準情報DT3のアスペクト比4:3、21:9、16:9のいずれかに一致するか否かを判定する。アスペクト比が一致する場合、S104に進み、アスペクト比が一致しない場合、S106に進む。
【0057】
S104において、設定部1202は、記憶装置107を参照して、自機アスペクト比に一致するアスペクト比に関連付けられた仮想カメラのパラメータを読み出し、これを自機用パラメータとして設定する。設定部1201は、自機用パラメータを、ゲームデータDT2に記憶する。
【0058】
S106において、設定部1202は、自機アスペクト比に基づいて、記憶装置107に記憶された3組の基準情報DT3から2組の基準情報DT3を特定する。設定部1201は、自機アスペクト比が、最も横長のアスペクト比4:3とアスペクト比16:9との間のアスペクト比であるか、最も縦長のアスペクト比21:9とアスペクト比16:9との間のアスペクト比であるかを判定する。その結果、自機アスペクト比が、アスペクト比4:3とアスペクト比16:9との間のアスペクト比であれば、アスペクト比4:3、16:9の基準情報DT3を利用するものとする。また、自機アスペクト比が、アスペクト比21:9とアスペクト比16:9との間のアスペクト比であれば、アスペクト比21:9、16:9の基準情報DT3を利用するものとする。
【0059】
S108において、設定部1202は、記憶装置107を参照して、S106で特定した2組の基準情報DT3のアスペクト比に関連付けられた仮想カメラのパラメータを読み出す。そして、設定部1202は、これら2組の基準情報DT3のアスペクト比に関連付けられた仮想カメラのパラメータを用いて、自機用パラメータを算出して設定する。設定部1201は、自機用パラメータを、ゲームデータDT2に記憶する。
自機用パラメータの算出は、次のようにして行われる。例えば2組の基準情報DT3として、アスペクト比4:3、16:9の基準情報DT3が特定されたとする。そして、アスペクト比4:3での仮想カメラの画角がX、アスペクト比16:9での仮想カメラの画角がYであるとする。自機アスペクト比が、アスペクト比4:3、16:9に対してどういった割合になっているかを求め、その割合に基づいて、画角X、Yを用いて線形補間計算を行って、算出された画角を自機用パラメータとする。仮想カメラの位置及び角度に関しても同様である。
【0060】
このようにして自機アスペクト比と基準情報DT3とに基づいて算出される仮想カメラのパラメータは、仮想空間における所定の領域の所定の方向の略一定の範囲を撮像するものとなる。本実施形態では、3列のパネルP群が存在する領域Rにおいて、左右方向の略一定の範囲を撮像するように仮想カメラのパラメータが設定され、図1乃至図3と同様、表示部106に表示する画像上で、各列で4枚のパネルPが現れる。
また、自機アスペクト比と基準情報DT3とに基づいて算出される仮想カメラのパラメータは、上述した別の条件を満たすものとなる。
【0061】
以上のようにして自機用パラメータが設定されて、ゲームデータDT2に記憶される。表示制御部1203は、オプションゲームの進行に伴って、ゲームデータDT2に記憶された自機用パラメータに従って仮想カメラを用いて仮想空間を撮像し、その画像を自機10の表示部106に表示する。
【0062】
以上のように、アスペクト比が異なる端末装置間で、表示部に表示する画像上で、3列のパネルP群が存在する領域Rにおいて、左右方向の範囲の見え方に差異が生じないようにすることができ、アスペクト比によらず、表示部に表示する画像上で、左右方向に並べられているパネルの数を同じにすることができる。オプションゲームでは、左右方向に見えるパネルPの数が多いと、ターゲットにするパネルPが増えて有利になる一方、逆に左右方向に見えるパネルPの数が少ないと、ターゲットにするパネルPが減って不利になるが、こういったゲームの有利、不利が生じず、アスペクト比が異なる端末装置間で公平性を担保することができる。このように、仮想空間を仮想カメラで撮像した画像を表示部に表示するゲームにおいて、ゲームの趣向性が悪くならないようにすることができる。
【0063】
また、アスペクト比によらず、表示部に表示する画像の中央の範囲内に3列のパネルP群を配置する条件が設定されている。また、表示部に表示する画像の中央の範囲内に投手キャラクタC10を配置し、下部の範囲内に打者キャラクタC20を配置する条件が設定されている。これにより、アスペクト比が異なる端末装置間で、表示部に表示する画像上で、パネルPや、投手キャラクタC10、打者キャラクタC20の配置にばらつきが生じないようにすることができる。
【0064】
また、アスペクト比によらず、3列のパネルP群が存在する領域Rにおいて、前後のパネルPの重なりの程度を略等しくする条件が設定されている。これにより、前後のパネルPの重なりの見え方の点でゲームの有利、不利が生じず、アスペクト比が異なる端末装置間で公平性を担保することができる。
【0065】
また、記憶装置107に予め記憶された基準情報DT3を用いることにより、自機用パラメータを容易に設定することができる。
【0066】
[4.変形例]
本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述した実施形態では、本発明でいう画面サイズに関する情報として、アスペクト比を例にしたが、これに限定されるものではない。例えば画面が矩形以外の形状を有する場合、アスペクト比とは異なる画面サイズに関する情報を使用するようにしてもよい。
【0067】
上述した実施形態では、記憶装置107に、3組の基準情報DT3が記憶されているとしたが、その数は限定されるものではない。例えば2組の基準情報DT3でもよいし、4組以上の基準情報でもよい。いずれの場合でも、両極端のアスペクト比4:3(最も横長)、21:9(最も縦長)の基準情報DT3を含むようにするのが好ましい。
【0068】
上述した実施形態では、投手キャラクタC10が投球するボールBを、ユーザが打撃操作して打ち返すことにより、ボールBをパネルPに当てて破壊するゲームを例にして説明したが、これに限られるものではない。例えば的オブジェクトに向けて移動体オブジェクトを移動させるゲームにおいて、所定の領域の所定の方向に的オブジェクトが並べられているようにした場合に本発明は適用可能である。さらにいえば、ゲームの種類は問わず、表示部に表示する画像上で、所定の方向を見て得られる情報に差異が生じると、有利、不利が生じるようなゲームに対して本発明は適用可能である。
【0069】
上述した実施形態では、ゲーム装置10で行う処理として説明したが、一部の処理をサーバ装置30で実行するようにしてもよい。例えばゲーム制御部120の処理のうち、表示部106に表示する処理をゲーム装置10で行い、その他の全ての処理又は一部の処理をゲーム装置10又はサーバ装置30で行うようにしてもよい。
また、ゲーム装置10の記憶装置107にキャラクタデータDT1、ゲームデータDT2、基準情報DT3、機種情報DT4が保持されると説明したが、そのうち少なくともいずれかのデータをサーバ装置30側で保持し、ゲーム装置10がサーバ装置30と通信を行いながら上述の処理を実現するようにしてもよい。
【0070】
[5.付記]
以上のような記載から、本発明は例えば以下のように把握される。
(1)
本発明の一態様に係るプログラムは、ゲームに利用される仮想空間を仮想カメラで撮像した画像を表示部(106)に表示するためのプログラムであって、前記表示部(106)の画面サイズに関する情報を取得する取得処理(1201)と、前記取得処理(1201)により取得した前記画面サイズに関する情報に基づいて前記仮想カメラのパラメータを設定する設定処理(1202)とを、コンピュータに実行させ、前記設定処理(1202)は、前記仮想空間における所定の領域の所定の方向の略一定の範囲を撮像するように前記仮想カメラのパラメータを設定することを特徴とするプログラムである。
【0071】
(11)
本発明の一態様に係るゲーム制御方法は、ゲームに利用される仮想空間を仮想カメラで撮像した画像を表示部(106)に表示するゲーム制御方法であって、前記表示部(106)の画面サイズに関する情報を取得する取得ステップ(1201)と、前記取得ステップ(1201)により取得した前記画面サイズに関する情報に基づいて前記仮想カメラのパラメータを設定する設定ステップ(1202)とを、有し、前記設定ステップ(1202)は、前記仮想空間における所定の領域の所定の方向の略一定の範囲を撮像するように前記仮想カメラのパラメータを設定することを特徴とするゲーム制御方法である。
【0072】
(12)
本発明の一態様に係るゲーム装置は、ゲームに利用される仮想空間を仮想カメラで撮像した画像を表示部(106)に表示するゲーム装置であって、前記表示部(106)の画面サイズに関する情報を取得する取得手段(1201)と、前記取得手段(1201)により取得した前記画面サイズに関する情報に基づいて前記仮想カメラのパラメータを設定する設定手段(1202)とを、備え、前記設定手段(1202)は、前記仮想空間における所定の領域の所定の方向の略一定の範囲を撮像するように前記仮想カメラのパラメータを設定することを特徴とするゲーム装置である。
【0073】
(13)
本発明の一態様に係るゲームシステムは、ゲームに利用される仮想空間を仮想カメラで撮像した画像を表示部(106)に表示するゲームシステムであって、前記表示部(106)の画面サイズに関する情報を取得する取得手段(1201)と、前記取得手段(1201)により取得した前記画面サイズに関する情報に基づいて前記仮想カメラのパラメータを設定する設定手段(1202)とを、備え、前記設定手段(1202)は、前記仮想空間における所定の領域の所定の方向の略一定の範囲を撮像するように前記仮想カメラのパラメータを設定することを特徴とするゲームシステムである。
【0074】
上記(1)、(11)、(12)又は(13)の態様によれば、画面サイズが異なる端末装置間で、表示部に表示する画像上で、所定の領域の所定の方向の範囲の見え方に差異が生じないようにすることができる。これにより、所定の領域の所定の方向の範囲の見え方に差異があることによるゲームの有利、不利が生じず、画面サイズが異なる端末装置間で公平性を担保することができる。このように、仮想空間を仮想カメラで撮像した画像を表示部に表示するゲームにおいて、ゲームの趣向性が悪くならないようにすることができる。
【0075】
(2)
本発明の一態様では、上記(1)の態様において、前記設定処理(1202)は、前記所定の領域の前記所定の方向の略一定の範囲を撮像する条件に加えて、予め定められた別の条件を満たすように前記仮想カメラのパラメータを設定するようにしてもよい。
上記(2)の態様によれば、仮想空間における所定の領域の所定の方向の略一定の範囲を撮像する条件を満たす仮想カメラのパラメータの組み合わせが複数通り存在し、それだけでは一意に定まらないときに、別の条件を課して仮想カメラのパラメータを定めることができる。
【0076】
(3)
本発明の一態様では、上記(2)の態様において、前記別の条件は、画面サイズによらず、前記表示部(106)に表示する画像の所定の範囲内に所定のオブジェクトを配置する条件であるようにしてもよい。
上記(3)の態様によれば、画面サイズが異なる端末装置間で、表示部に表示する画像上で、所定のオブジェクトの配置にばらつきが生じないようにすることができる。
【0077】
(4)
本発明の一態様では、上記(2)又は(3)の態様において、前記別の条件は、画面サイズによらず、前記表示部(106)に表示する画像において、前記所定の領域に表示するオブジェクトの、前記所定の方向に直交する方向での重なりの程度を略等しくする条件であるようにしてもよい。
上記(4)の態様によれば、画面サイズが異なる端末装置間で、表示部に表示する画像上で、所定の領域に表示するオブジェクトの、所定の方向に直交する方向での重なりの程度を略等しくすることができ、その点でゲームの有利、不利が生じず、画面サイズが異なる端末装置間で公平性を担保することができる。
【0078】
(5)
本発明の一態様では、上記(1)乃至(4)のいずれかの態様において、前記設定処理(1202)は、記憶部に予め記憶された基準情報(DT3)と、前記取得処理(1201)により取得した前記画面サイズに関する情報とに基づいて、前記仮想カメラのパラメータを設定するようにしてもよい。
【0079】
(6)
本発明の一態様では、上記(5)の態様において、前記記憶部に予め記憶された前記基準情報DT3は、画面サイズに関する情報と、前記所定の領域の前記所定の方向の略一定の範囲を撮像するように設定された仮想カメラのパラメータとの組であり、前記設定処理(1202)は、前記取得処理(1201)により取得した前記画面サイズに関する情報と、前記記憶部に予め記憶された画面サイズに関する情報との比較結果に基づいて、前記記憶部に予め記憶された仮想カメラのパラメータを用いて、前記仮想カメラのパラメータを設定するようにしてもよい。
【0080】
(7)
本発明の一態様では、上記(6)の態様において、前記記憶部には、3組以上の前記基準情報(DT3)が予め記憶されており、前記設定手処理(1202)は、前記取得処理(1201)により取得した前記画面サイズに関する情報に基づいて、前記3組以上の前記基準情報(DT3)から2組の前記基準情報(DT3)を特定し、当該特定した2組の仮想カメラのパラメータを用いて、前記仮想カメラに設定するためのパラメータを算出するようにしてもよい。
【0081】
上記(5)、(6)又は(7)の態様によれば、記憶部に予め記憶された基準情報を用いることにより、仮想空間における所定の領域の所定の方向の略一定の範囲を撮像するように仮想カメラのパラメータを容易に設定することができる。
【0082】
(8)
本発明の一態様では、上記(1)乃至(7)のいずれかの態様において、前記所定の領域の前記所定の方向には、複数のオブジェクトが並べられているようにしてもよい。
【0083】
(9)
本発明の一態様では、上記(8)の態様において、前記所定の領域では、複数列にわたって、前記所定の方向に複数のオブジェクトが並べられているようにしてもよい。
【0084】
(10)
本発明の一態様では、上記(8)又は(9)の態様において、前記所定の方向に並べられている前記オブジェクトが、前記所定の方向の一方向又は両方向に移動するようにしてもよい。
【0085】
上記(8)、(9)又は(10)に係る発明によれば、画面サイズが異なる端末装置間で、表示部に表示する画像上で、所定の領域の所定の方向に並べられているオブジェクトの数を同じにすることができ、その点でゲームの有利、不利が生じず、画面サイズが異なる端末装置間で公平性を担保することができる。
【符号の説明】
【0086】
1:ゲームシステム 10:ゲーム装置 30:サーバ装置 101、301:CPU 102、302:ROM 103、303:RAM 104、304:通信部 105:操作部 106:表示部 107、305:記憶装置 120:ゲーム制御部 1201:取得部 1202:設定部 1203:表示制御部 C10:投手キャラクタ C20:打者キャラクタ P:パネルオブジェクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6