(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】在宅血液透析における情報の記録を支援するための端末装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/14 20060101AFI20221019BHJP
G16H 10/60 20180101ALI20221019BHJP
【FI】
A61M1/14 110
A61M1/14 100
G16H10/60
(21)【出願番号】P 2021010851
(22)【出願日】2021-01-27
【審査請求日】2021-03-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 Google Play ストア ウェブサイト https://play.google.com/store(掲載日:令和2年10月2日) https://play.google.com/store/apps(掲載日:令和2年10月2日) https://play.google.com/store/apps/developer?id=tomare(掲載日:令和2年10月2日) https://play.google.com/store/apps/details?id=com.companyname.StayHome(掲載日:令和2年10月2日)
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513260579
【氏名又は名称】株式会社トマーレ
(74)【代理人】
【識別番号】110003074
【氏名又は名称】特許業務法人須磨特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野間口 敬
(72)【発明者】
【氏名】大林 淳子
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸一
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-000314(JP,A)
【文献】特開平08-066473(JP,A)
【文献】特開2017-063974(JP,A)
【文献】特表平11-506674(JP,A)
【文献】特開2020-014851(JP,A)
【文献】特開2017-010165(JP,A)
【文献】特開2016-129646(JP,A)
【文献】特開2014-000307(JP,A)
【文献】特開2008-284229(JP,A)
【文献】国際公開第2019/118929(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/14
G16H 10/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
在宅血液透析における情報の記録を支援するための端末装置であって、
次の手段(A)~(M)を備える端末装置:
(A)透析患者を識別する識別情報を含む認証情報を取得する手段、
(B)取得した前記認証情報をサーバに送信する手段、
(C)取得した前記認証情報が予め記憶された認証情報と一致すると前記サーバが判定した場合に、透析前記録項目として透析前体重を表示する画面であって、表示された前記透析前記録項目についての情報の入力を受け付ける第1の透析前情報入力画面を生成・表示する手段、
(D)前記第1の透析前情報入力画面において、透析前体重についての情報が入力されたか否かを判定する第1の判定手段、
(E)透析前体重についての情報が入力されたと前記第1の判定手段が判定した場合に、透析前記録項目として透析後目標体重又は目標除水量を表示する画面であって、表示された前記透析前記録項目についての情報の入力を受け付ける第
2の透析前情報入力画面を生成・表示する手段、
(F)前記第2の透析前情報入力画面において、透析後目標体重又は目標除水量についての情報が入力されたか否かを判定する第2の判定手段、
(G)透析後目標体重又は目標除水量についての情報が入力されたと前記第2の判定手段が判定した場合に、透析前記録項目として透析前血圧及び透析前脈拍を表示する画面であって、表示された前記透析前記録項目についての情報の入力を受け付ける第3の透析前情報入力画面を生成・表示する手段、
(H)前記第3の透析前情報入力画面において、透析前血圧及び透析前脈拍についての情報が入力されたか否かを判定する第3の判定手段、
(I)透析前血圧及び透析前脈拍についての情報が入力されたと前記第3の判定手段が判定した場合に、透析前記録項目として穿刺に関する問診事項を表示する画面であって、表示された前記透析前記録項目についての情報の入力を受け付ける第4の透析前情報入力画面を生成・表示する手段、
(J)前記第4の透析前情報入力画面において、穿刺に関する問診事項についての情報が入力されたか否かを判定する第4の判定手段、
(K)穿刺に関する問診事項についての情報が入力されたと前記第4の判定手段が判定した場合に、透析装置から透析患者の生体情報及び/又は血液透析の進行状況についての情報を血液透析の進行中、所定の時間毎に取得する手段、
(L)1又は複数の透析後記録項目を表示する画面であって、表示された前記透析後記録項目についての情報の入力を受け付ける1又は複数の透析後情報入力画面を生成する手段、及び、
(M)前記透析前記録項目及び前記透析後記録項目について入力された前記情報、及び、透析装置から取得した透析患者の前記生体情報及び/又は血液透析の進行状況についての前記情報を、前記識別情報と関連付けて記録する手段
。
【請求項2】
透析後情報入力画面を生成する前記手段が、複数の前記透析後情報入力画面を生成する手段であって、さらに、
生成される複数の前記透析後情報入力画面を予め定められた所定の順番で表示する手段、
を備える請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記所定の順番にしたがって既に表示された前記透析後情報入力画面において、予め定められた所定の透析後記録項目についての情報が入力された場合に、次の透析後情報入力画面の表示要求を受け付ける手段、
を備える請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記透析後記録項目が透析後体重を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の端末装置。
【請求項5】
前記透析後記録項目のうち予め定められた所定の透析後記録項目についての情報が入力された場合に、記録の終了を受け付ける手段、及び、
記録の終了を受け付けた場合に、予め指定した1又は複数の端末装置に血液透析の終了を通知する手段、
を備える請求項1乃至4のいずれかに記載の端末装置。
【請求項6】
記録された前記透析前記録項目及び前記透析後記録項目について入力された前記情報、透析患者の前記生体情報、及び/又は血液透析の進行状況についての前記情報を任意の形式で表示する手段、
を備える請求項1乃至5のいずれかに記載の端末装置。
【請求項7】
コンピュータを請求項1乃至6のいずれかに記載の端末装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在宅血液透析おける情報の記録を支援するための端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液透析治療は、主として腎不全の患者に対して行われる血液浄化療法の一つであり、血液中に含まれる老廃物や水分を透析装置(ダイアライザー)にて除去した後、患者体内に戻す治療法である。血液透析治療は、謂わば、血液中に溜まった老廃物や水分を尿として排出することの代わりであり、血液透析治療を受けず、血液中に老廃物や水分が蓄積すると尿毒症、心不全、肺水腫などを発症してしまう。したがって、透析患者は定期的に血液透析治療を受けなければならず、週3回程度医療機関へと通院し、一回当たり平均して約4~6時間もの時間を掛けて血液透析治療を受けているのが通常である。しかしながら、通院治療を受けるためには、その都度、通院時間を確保し医療機関を予約しなければならず、また、血液透析治療を受けている間は、透析患者は透析装置とつながれた状態にあるため殆ど動くことができない。このように、従来の通院による血液透析治療は透析患者にとって多大なる時間的な拘束を強いるものである。
【0003】
一方、近年、在宅血液透析が、透析患者の生活の質の向上と予後の改善が期待できる画期的な透析方法として注目を集めている。すなわち、透析患者が自宅において透析装置と必要な器具を使用して自ら血液透析治療を行うことができれば、透析患者は自らの都合が良い時間に血液透析すれば良いため、より多様なライフスタイルを選択することができるようになる。また、在宅血液透析によれば、透析患者は、通院治療を受けるよりも透析時間を確保しやすくなるため、より頻繁に血液透析をしたり、より長い時間を掛けてゆっくりと血液透析をすることもできる。より頻繁な血液透析又はより長い時間をかけた血液透析は、身体への負担が小さく、また、十分な透析が行えるため、予後が改善するとともに、食事制限が緩和されるという利点が得られる。
【0004】
以上のように在宅血液透析は透析患者に対して高い利便性を提供するにもかかわらず、未だ一般的に普及しているとは言い難い。その原因の一つとして、医師、看護師、及び臨床工学技士等の医療スタッフにとって、在宅血液透析患者の健康状態や血液透析の実施状況を把握することが難しいという点が挙げられる。すなわち、都度、患者に対する問診を行い、かつ、血圧等の生体情報や透析装置の装置データを確認しながら治療を行う通院治療の場合とは対照的に、在宅血液透析の場合には、医療スタッフは、月に一回程度の通院診察時に行う問診事項への回答や血液検査の結果から在宅血液透析患者の健康状態及び血液透析の実施状況を推測しなければならないが、これは容易なことではない。また、月に一回の通院診察の間に透析患者の容態が変化していた場合であっても、次回の通院診察時までは容態変化に気が付くことができず、また容態変化の原因を特定することも難しい。このように在宅血液透析を導入すると、透析患者の状態に関する情報を即時に取得できなくなることが在宅血液透析を導入する際の大きな障壁となっている。
【0005】
このような状況のもと、透析患者自身が透析データの記録用紙を用いて血液透析を実施するたびに透析データを記録しようとするという試みが為されているものの、記録すべきデータは多岐にわたるため必要なデータを漏れなく記録することは容易ではない。また、多忙な生活を送る在宅血液透析患者にとって、比較的時間を作りやすい就寝中に血液透析を行うことが最も便利であるが、就寝中に透析患者自身がデータを記録することは不可能である。たとえデータの記録を補助する同居者がいたとしても、夜間から翌朝にかけての時間帯に絶えずデータを記録し続けることはおよそ現実的ではない。通院透析治療を支援するシステムに関しては数多くのシステム(例えば、特許文献1乃至3)が開発されているが、本発明者らの知る限りにおいて、透析患者による在宅血液透析を支援するシステムは知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5921011号公報
【文献】特開2014-217528号公報
【文献】特開2018-175282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような従来技術の課題に鑑みて為されたものであり、在宅血液透析における透析患者等による情報の記録を支援し、在宅血液透析患者の健康状態や透析実施状況の把握を容易とするための端末装置、又は、そのような端末装置を実現するためのコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究努力を重ねる過程において、在宅血液透析を行う透析患者が有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置を、透析装置から出力される血液透析中の透析患者の生体情報及び血液透析の進行状況を表す情報を自動的に取得する端末装置として用いることができれば、血液透析中における情報の記録が極めて容易になるのではないかという着想を得るに至った。しかしながら、血液透析において記録されるべき情報には、透析装置から出力される情報のみならず、透析患者自身の手による記録が必要な情報が、特に血液透析の開始前に数多く含まれるため、これらの情報を漏れなく記録するための工夫が必要であった。そこで、本発明者らは、更なる研究努力を重ねた結果、透析患者による記録が必要な情報項目を表示する画面であって、表示された記録項目についての情報の入力を受け付ける情報入力画面を表示するとともに、透析前に記録が必要な所定の透析前記録項目についての情報の入力があったことを条件として、透析装置から透析情報を取得する端末装置によれば、在宅血液透析を行う透析患者が容易に漏れなく必要な情報の記録を行えることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、
在宅血液透析における情報の記録を支援するための端末装置であって、
1又は複数の透析前記録項目を表示する画面であって、表示された前記透析前記録項目についての情報の入力を受け付ける1又は複数の透析前情報入力画面を生成する手段、
前記透析前記録項目のうち予め定められた所定の透析前記録項目についての情報が入力された場合に、透析装置から透析患者の生体情報及び/又は血液透析の進行状況についての情報を取得する手段、
1又は複数の透析後記録項目を表示する画面であって、表示された前記透析後記録項目についての情報の入力を受け付ける1又は複数の透析後情報入力画面を生成する手段、及び、
前記透析前記録項目及び前記透析後記録項目について入力された前記情報、及び、透析装置から取得した透析患者の前記生体情報及び/又は血液透析の進行状況についての前記情報を記録する手段、
を備える端末装置を提供することにより上記課題を解決するものである。
【0010】
ここで透析前記録項目とは、血液透析を開始する前に記録が必要な情報項目であり、透析患者により記録されるべき情報項目である。透析患者又は透析患者を担当する医師、看護師、及び、臨床工学技士等の医療スタッフが必要と考える限りにおいて、透析前記録項目の種類又は数に特段の制限はないが、例えば、透析前体重が含まれることが好ましく、より好適には、血液透析の目標体重又は目標除水量、透析前の血圧、透析前の脈拍、穿刺に関する問診事項が含まれる。一方、透析後記録項目とは、透析装置による血液透析が完了した後において記録が必要な情報項目であり、透析患者により記録されるべき情報項目である。透析患者又は透析患者を担当する医療スタッフが必要と考える限りにおいて、透析後記録項目の種類又は数に特段の制限はないが、例えば、透析後体重が含まれることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、その好適な一態様において、さらに、
透析前情報入力画面を生成する前記手段が、複数の前記透析前情報入力画面を生成する手段であって、さらに、
生成される複数の前記透析前情報入力画面を予め定められた所定の順番で表示する手段、
を備える端末装置を提供することにより上記課題を解決するものである。
【0012】
上記のとおり、本発明の好適な一態様に係る端末装置によれば、透析前記録項目の入力を受け付ける透析前情報入力画面が複数生成されるので、一つの透析前情報入力画面あたりの透析前記録項目の数が少なくなるため、透析患者は容易にどの情報を記録すべきかを把握することができる。また、好適な一態様において、複数の透析前情報入力画面は、予め定められた所定の順番で表示される。ここで所定の順番とは、例えば、血液透析の手順に沿った順番であり、複数の透析前情報入力画面が血液透析の手順に沿った順番で表示される場合には、透析患者は自己が実施する血液透析の手順に沿った順番で透析前情報入力画面を閲覧することができるので極めて便利である。
【0013】
ちなみに、本発明は、その好適な一態様において、さらに
前記所定の順番にしたがって表示された前記透析前情報入力画面において、予め定められた所定の透析前記録項目についての情報が入力された場合に、次の透析前情報入力画面の表示要求を受け付ける手段、
を備える端末装置を提供することにより上記課題を解決するものである。
【0014】
上記のとおり、本発明の好適な一態様に係る端末装置によれば、複数生成された透析前情報入力画面が、予め定められた所定の順番で表示されるとともに、さらに、所定の順番で表示される複数の透析前情報入力画面のそれぞれにおいて、次の透析前情報入力画面に進むためには、既に表示された透析前情報入力画面において記録が必要な所定の透析前記録項目についての情報が入力されたことが条件となる。このような端末装置によれば、透析患者は各透析前情報入力画面において記録が必要な所定の透析前記録項目が記録されたか否かを容易に把握することができ、また、必要な透析前記録項目を漏れなく記録することができる。
【0015】
また、本発明は、その好適な一態様において、さらに
透析後情報入力画面を生成する前記手段が、複数の前記透析後情報入力画面を生成する手段であって、さらに、
生成される複数の前記透析後情報入力画面を予め定められた所定の順番で表示する手段、
を備える上記いずれかの端末装置を提供することにより上記課題を解決するものである。このような構成を備える端末装置は、より好適な一態様において、さらに、
前記所定の順番にしたがって既に表示された前記透析後情報入力画面において、予め定められた所定の透析後記録項目についての情報が入力された場合に、次の透析後情報入力画面の表示要求を受け付ける手段、
を備えている。
【0016】
このような構成を備える本発明の好適な一態様に係る端末装置によれば、透析後記録項目の記録を極めて容易かつ漏れなく記録することができるという利点が得られる。
【0017】
また、本発明は、その好適な一態様において、さらに、
前記透析後記録項目のうち予め定められた所定の透析後記録項目についての情報が入力された場合に、記録の終了を受け付ける手段、及び、
記録の終了を受け付けた場合に、予め指定した1又は複数の端末装置に血液透析の終了を通知する手段、
を備える上記いずれかの端末装置を提供することによって上記課題を解決するものである。
【0018】
このような構成を備える本発明の一態様に係る端末装置によれば、例えば透析患者を担当する医療スタッフが使用する端末装置に、透析患者が血液透析を終了したことが通知されるため、医療スタッフは自分が担当している透析患者が血液透析を完了したことを知ることができる。透析患者が端末装置を用いて記録した情報は、本発明の好適な一態様において、予め指定した1又は複数の端末装置がアクセス可能な記憶装置に記録されるので、血液透析の完了の通知を受けた医療スタッフは当該記憶装置にアクセスし、自分が担当している透析患者の血液透析の実施状況、血液透析中の生体情報を速やかに閲覧することができる。
【0019】
また、本発明は、その好適な一態様において、さらに、
記録された前記透析前記録項目及び前記透析後記録項目について入力された前記情報、透析患者の前記生体情報、及び/又は血液透析の進行状況についての前記情報を任意の形式で表示する手段、
を備える上記いずれかの端末装置を提供することにより上記課題を解決するものである。
【0020】
このように本発明の一態様に係る端末装置によれば、血液透析を実施する際の情報の記録が容易になるのみならず、記録された情報を任意の形式で閲覧することができるため透析患者は自己の健康状態を容易に把握することができ、一方、透析患者から情報の提示を受けた医療スタッフも透析患者の健康状態や血液透析の実施状況をより正確かつ容易に把握することができるという利点が得られる。
【0021】
また、本発明は、その好適な一態様において、1又は複数のコンピュータを、上記いずれかの端末装置として機能させるためのコンピュータプログラムを提供することにより上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る端末装置又はコンピュータプログラムによれば、在宅血液透析において透析患者による情報の記録が容易となるので、透析患者及び医療スタッフは、在宅血液透析治療を受ける透析患者の健康状態や血液透析の実施状況を適切に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一態様に係る端末装置を含んで構成される在宅血液透析支援システムの一例の全体構成を示す概念図である。
【
図2】本発明の一態様に係る端末装置の機能概念的構成を表す図である。
【
図3】メインメニュー画面、及び、そこに表示される情報の一例を示す図である。
【
図4】メインメニュー画面、及び、そこに表示される情報の他の一例を示す図である。
【
図5】透析前体重入力画面、及び、そこに表示される情報の一例を示す図である。
【
図6】除水量計算画面、及び、そこに表示される情報の一例を示す図である。
【
図7】血圧受信画面、及び、そこに表示される情報の一例を示す図である。
【
図8】問診票画面、及び、そこに表示される情報の一例を示す図である。
【
図9】透析情報記録画面、及び、そこに表示される情報の一例を示す図である。
【
図10】愁訴事項記録画面、及び、そこに表示される情報の一例を示す図である。
【
図11】透析後体重入力画面、及び、そこに表示される情報の一例を示す図である。
【
図12】透析情報閲覧メニュー画面、及び、そこに表示される情報の一例を示す図である。
【
図13】生体情報閲覧画面、及び、そこに表示される情報の一例を示す図である。
【
図14】愁訴事項閲覧画面、及び、そこに表示される情報の一例を示す図である。
【
図15】体重経過記録閲覧画面、及び、そこに表示される情報の一例を示す図である。
【
図16】通知事項閲覧画面、及び、そこに表示される情報の一例を示す図である。
【
図17】透析指示閲覧画面、及び、そこに表示される情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明を説明するが、本発明が図示されたものに限られないことは勿論である。
【0025】
<1 在宅血液透析支援システム>
図1は、本発明に係る端末装置の一例である端末装置1を含んで構成される在宅血液透析支援システム100の一例の全体構成を示す概念図である。
図1に示すとおり在宅血液透析支援システム100は、透析患者P1が使用する端末装置1、透析患者P1の血液透析を行う透析装置2、透析情報管理サーバ3、透析情報管理サーバ3が備える透析情報データベース4、及び、透析患者P1が通院する医療機関の医療スタッフS1が使用する端末装置5を備えている。ここで、端末装置1及び端末装置5は透析情報管理サーバ3とインターネット6を含むネットワークNを介して通信可能に接続されている。また、端末装置1は透析装置2と通信可能に接続されている。端末装置1と透析装置2の通信手段は、有線・無線を問わない。
【0026】
<1.1 端末装置-その1>
端末装置1は、透析患者が使用する端末装置であり、換言すれば、患者端末ともいえる。端末装置1は、例えば、パーソナルコンピュータ端末、PDA(Personal Data Assistant)、又は、スマートフォン端末・携帯電話端末・タブレット端末などのモバイル端末である。端末装置1は、
図2に示すとおり機能概念的に入力部11、表示部12、通信部13、記憶部14、及び制御部15を備えている。
【0027】
入力部11は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等を含んで構成されており、端末装置1に対する各種の情報の入力を受け付ける手段である。入力部11は、端末装置1の操作者の入力を受け付ける。
【0028】
表示部12は、例えば、液晶モニター、有機ELディスプレイ等を含んで構成される、制御部15から出力される各種の情報や画面を表示する手段である。これらの各種情報及び画面は、表示部12が表示可能な任意の形式で、制御部15から出力される。例えば、表示部12がブラウザ機能を搭載している場合には、HTML(Hyper Text Markup Language)等の形式で出力されても良い。
【0029】
通信部13は、例えば、LAN(Local Area Network)カード、ネットワークカード等を含んで構成される、透析装置2や透析情報管理サーバ3と各種の情報の送信又は受信を行う手段である。
【0030】
記憶部14は、例えば、ハードディスクやソリッドステートドライブ等により構成される各種処理に必要な情報を記憶する手段である。好適な一態様において、記憶部14は、後述する透析前情報入力画面を表示する順番、及び、透析後情報入力画面を表示する順番を記憶している。また、好適な一態様において、記憶部14は、所定の記録項目についての情報の記録の終了を受け付けた際に血液透析の終了を通知する1又は複数の端末装置の宛先情報を記憶している。当該宛先情報には、例えば、当該端末から閲覧可能なEメールアドレス、又はSNSアカウント等が含まれる。
【0031】
なお、これらの情報は必ずしも端末装置1が備えている記憶部4に記憶されている必要はなく、端末装置1が適宜利用可能である限りにおいて、端末装置1とは独立して存在する単体の又は2つ以上の記憶装置に記憶されていても良い。また、当該記憶装置はインターネットを含むネットワーク上に存在していても良く、例えば、透析情報データベース4を記憶装置として用いても良い。また、上記の情報は、データベース等に格納されたものであってもよいし、プログラム等のソースコードとして記載されたものであってもよい。
【0032】
制御部15は、例えば、一つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory),RAM(Ramdom Access Memory)等を含んで構成されており、端末装置1の各手段を制御する制御手段である。制御部15は、記憶部14等に記憶されているプログラムを適宜読み出して以下説明する各種の処理を実行する。
【0033】
制御部15は、機能概念的に、判定部15a及び出力部15bを備えている。判定部15aは、情報の入力を受け付けた透析前記録項目又は透析後記録項目と、予め定められた所定の透析前記録項目又は透析後記録項目とを比較して、記録が必要な前記所定の透析前記録項目又は透析後記録項目についての情報が入力されたか否かを判定する手段である。一方、出力部15bは、判定部15aによる判定結果を含む情報を所定の形式で所定の出力先に出力する手段である。
【0034】
<1.2 端末装置-その2>
一方、本例において、透析患者P1が通院する医療機関には、透析患者P1の診察・治療を担当する医師、看護師、及び臨床工学技士などの医療スタッフS1が使用する端末装置5が存在する。端末装置5は、例えば、パーソナルコンピュータ端末、PDA(Personal Data Assistant)、又は、スマートフォン端末・携帯電話端末・タブレット端末などのモバイル端末であり、1台であっても複数台であっても良い。端末装置5は、インターネット6を含むネットワークNを介して透析情報管理サーバ3との間で情報を送信及び/又は受信する手段を備えている。
【0035】
<1.3 透析装置>
透析装置2は、透析患者P1の血液透析を行う透析装置であり、例えば、透析患者P1のベッドの横に設置される。透析装置2は、透析条件の入力を受け付ける手段を備えている。また、透析装置2は、血液透析の進行中において、端末装置1から透析患者の生体情報及び/又は血液透析の進行状況についての情報の送信要求を受け付ける手段、及び、当該送信要求の送信元である端末装置1に透析患者の生体情報及び/又は血液透析の進行状況についての情報を送信する手段を備えている。
【0036】
なお、透析装置2が端末装置1に送信する血液透析の進行状況についての情報とは、透析装置が血液透析の進行中に出力する血液透析の進行状況を表す装置データであり、例えば、透析日、透析開始時間、透析終了時間、現在除水量、除水速度、シリンジポンプ速度、透析液温度、透析液濃度、透析液流量、透析膜間の圧力差、現在補液量、補液速度、補液温度、治療経過時間などが含まれるが、これらに限られるものではない。一方、透析装置2が端末装置1に送信する血液透析中の透析患者の生体情報とは、例えば、透析患者の静脈圧、血液流量、最高血圧、最低血圧、脈拍などが含まれるが、これらに限られるものではない。なお、透析装置2が端末装置1に送信する生体情報は、透析装置2に備え付けられた測定機器により取得された透析患者の生体情報であっても良く、透析装置2と随時接続される透析装置とは別に設けられた測定機器によって取得された透析患者の生体情報であっても良い。
【0037】
<1.4 透析情報管理サーバ>
透析情報管理サーバ3は、各透析患者の血液透析に関する情報を管理するサーバであり、透析患者が使用する端末装置1及び医療機関の医療スタッフが使用する端末装置5とインターネット6を含むネットワークNを介して通信可能である。透析情報管理サーバ3は、各端末装置から情報を取得して、取得した情報を透析情報データベース4に記録する手段として機能し、また、透析情報データベース4に記録されている情報を読み出し、読み出した情報を各端末装置へ送信する手段として機能する。なお、図示の例では、透析情報管理サーバ3はインターネット6を含むネットワークN上に存在するサーバ(例えば、クラウドサーバ)であるが、透析患者が使用する端末装置1及び医療機関の医療スタッフが使用する端末装置5の双方がアクセス可能である限りにおいて、どのようなネットワーク上に存在するサーバであっても良く、例えば、医療機関内のネットワーク上に存在するサーバであっても良い。
【0038】
<1.5 透析情報データベース>
透析情報データベース4は透析情報管理サーバ3が備える記憶装置であり、各透析患者の血液透析に関する情報、例えば、血液透析中の生体情報、血液透析の進行状況を表す情報、透析前記録事項及び透析後記録事項についての入力された情報、ドライウェイトを含む透析指示情報、血液透析に関する通知事項等を記憶する手段として機能する。なお、透析情報データベース4において、各透析患者の血液透析に関する情報は透析患者の識別情報と対応づけて記憶されていることは言うまでもない。透析情報データベース4は、必ずしも透析情報管理サーバ3が備える記憶装置である必要はなく、透析情報管理サーバ3がアクセス可能である限りにおいて、透析情報管理サーバ3とは独立して存在する記憶装置であっても良いし、インターネットを含むネットワーク上に存在する記憶装置であっても良い。
【0039】
以下、本発明の一態様に係る端末装置1を用いて、透析患者P1が自宅において在宅血液透析を行う手順について説明する。
【0040】
<2.1 在宅血液透析支援アプリケーションの起動>
これから自宅にて血液透析を行おうとしている透析患者P1は、まず、自己が所持する端末装置1にインストールした在宅血液透析支援アプリケーションを起動する。端末装置1としては、例えば、透析患者P1のスマートフォンが挙げられるが、スマートフォンに限られるものではないことは前述したとおりである。在宅血液透析支援アプリケーションが起動すると、端末装置1の画面上に
図3に示すようなメインメニュー画面101が表示される。ここでメインメニュー画面101は、透析患者P1が初めて在宅血液透析支援アプリケーションを起動した際に表示される画面であり、「透析をはじめる」ボタン、「透析中の状態を記録する」ボタン、「透析を終了する」ボタン、「透析情報を見る」ボタン、「設定」ボタン、及び「アプリの終了」ボタンが表示されているが、当該メインメニュー画面101においては、透析患者P1は「設定」ボタンと「アプリの終了」ボタンのみをクリックすることが可能であり、その他のボタンはクリックすることができないようにされている。
【0041】
すなわち、透析患者P1は、在宅血液透析支援アプリケーションを使用するために、識別情報及びパスワードを入力することによって、自己が正当なユーザであることを認証しなければならない。ユーザ認証をしようとする透析患者P1は、メインメニュー画面101において「設定」ボタンをクリックし、表示される設定画面にしたがって、識別情報及びパスワードを入力すれば良い。入力された識別情報及びパスワードは、インターネット6を含むネットワークNを介して透析情報管理サーバ3へと送信され、透析情報管理サーバ3により、透析情報データベース4に記憶された識別情報及びパスワードの組み合わせと一致するか否かが判定される。その結果、一致すると判定された場合には、透析患者P1は正当なユーザであると認証され、在宅血液透析支援アプリケーションを使用することが可能となる。
【0042】
なお、端末装置1の認証に使用される透析患者P1の識別情報は、透析患者P1を特定できるものであれば基本的にどのようなものであっても良いが、例えば、透析患者P1の医療機関により発行された識別情報である。このように各医療機関によって発行された透析患者の識別情報とそのパスワードは、例えば、医療スタッフS1が端末装置5を用いて透析情報管理サーバ3へアクセスすることにより、透析情報データベース4に記録される。透析患者P1が通院する医療機関が複数ある場合には、透析患者P1が使用する識別情報は、各医療機関にて発行された複数の識別情報であっても良いし、複数の医療機関が共通して使用する識別情報であっても良い。
【0043】
透析患者P1が正当なユーザであると認証された場合、すなわち、透析情報管理サーバ3において、透析患者P1が入力した識別情報及びパスワードの組み合わせが透析情報データベース4に記憶された識別情報及びパスワードの組み合わせと一致すると判定された場合には、
図4に示すメインメニュー画面102が表示される。
図4に示すとおり、メインメニュー画面102においては、「設定」ボタン及び「アプリの終了」ボタンに加えて、「透析をはじめる」ボタン及び「透析情報を見る」ボタンをクリックすることができる。ここで、透析患者P1が血液透析における必要な情報の記録を開始するためには、メインメニュー画面102に表示されている「透析をはじめる」ボタンをクリックすれば良い。「透析をはじめる」ボタンをクリックすると、本例においては、第1の透析前情報入力画面として透析前体重入力画面が表示される。
【0044】
<2.2 透析前体重入力画面>
図5Aに透析前体重入力画面とそこに表示される情報の一例を示す。
図5Aに示すとおり透析前体重入力画面103は、透析前記録項目である透析患者の透析前の体重の測定値及び風袋重量の入力を受け付ける透析前情報入力画面であり、画面上部には「透析前の体重を測定しましょう。」というメッセージとともに、測定時刻として現在時刻である「22:00」が表示され、その下に、透析前の体重の測定値及び風袋重量の入力欄が設けられている。透析患者P1は、自宅にある適宜の体重計を用いて自己の体重を測定し、得られた測定値と、風袋重量を、それぞれ透析前体重入力画面103の「体重」及び「風袋」の横の欄に、
図5Bの透析前体重入力画面104に示すように入力すれば良い。ここで、風袋重量とは、透析患者P1の衣服に由来する重量であり、体重の測定時に着用した衣服に応じて適宜の重量を入力すれば良い。なお、透析患者P1の実際の透析前体重は、体重計により得られた透析前の体重の測定値から風袋重量を減じた値となる。例えば、図示の例では、衣服を含む透析患者P1の透析前の体重の測定値は63.0kgであるが、衣服の重量(風袋)が0.5kgであるので、透析患者P1の実際の透析前体重は、63.0kgから0.5kgを減じた62.5kgということになる。
【0045】
ちなみに、
図5Aに示すように、透析前の体重の測定値及び風袋重量を入力していない状態にある透析前体重入力画面103においては、次の透析前情報入力画面へ進むためのボタンである「除水量計算画面へ」ボタンをクリックすることができない。本例において、端末装置1は、透析前体重入力画面において記録が必要な所定の透析前記録項目である、透析前の体重の測定値、及び、風袋重量についての情報が入力されたか否かを判定する手段を備えており、その双方についての情報が入力されたと判定した場合には、
図5Bの透析前体重入力画面104に示すように、次の透析前情報入力画面に進むためのボタンである「除水量計算画面へ」ボタンをクリックすることが可能となる。このように端末装置1は、透析前体重入力画面において、予め定められた所定の透析前記録項目についての情報が入力された場合に、次の透析前情報入力画面である除水量計算画面の出力要求を受け付ける手段を備えている。
【0046】
なお、透析前体重は、血液透析の開始前に、どの程度の水分が血液中に蓄積しているかを把握し、適切な除水量を決定するため、また、透析後体重と比較することにより、血液透析により実際どの程度の水分が除水されたのかを決定するために必要な情報であり、透析前に記録が必要な透析前記録項目である。本発明の一態様に係る端末装置においては、以上のように透析前体重入力画面が表示されるので、透析患者P1は、忘れずに透析前体重の測定を行うことができ、より適切な除水量を設定することが可能となる。
【0047】
透析前の体重の測定値及び風袋重量についての情報を入力した状態で、透析前体重入力画面104において「除水量計算画面へ」ボタンをクリックすると、入力された情報である透析前の体重の測定値及び風袋重量、並びにこれらの測定値から得られる実際の透析前体重が透析情報管理サーバ3へ送信され、透析情報データベース4に記録される。それとともに、本例においては、予め定められた所定の順番に従って、第2の透析前情報入力画面である除水量計算画面が表示される。
【0048】
<2.3 除水量計算画面>
図6Aに除水量計算画面とそこに表示される情報の一例を示す。
図6Aに示すとおり、除水量計算画面105は、透析前記録項目である、その日実施する血液透析後の目標体重及び透析中の飲食量の入力を受け付ける情報入力画面であり、「本日の除水量を計算しましょう。」というメッセージとともに、先に入力した透析前の体重の測定値及び風袋重量に基づいて計算された透析患者P1の実際の透析前体重である「62.5kg」と透析患者P1のドライウェイト(DW)「60.5kg」が表示され、その下に、血液透析後の目標体重及び透析中の飲食量の入力欄が設けられている。
【0049】
ここで、ドライウェイトとは、透析患者の本来の体重の目安となる体重であり、一般的には、レントゲン画像に基づいて得られる胸郭(肺の幅)に対する心臓の幅の割合(心胸比)や血圧の変化などを参考にして設定されるものである。透析患者の健康状態の維持には血液中の水分量の適切な管理が肝要であり、例えば、血液中の水分量が過剰であると心不全などの原因となる。したがって、血液透析を行う際には、ドライウェイトを目安として目標体重又は目標除水量を設定することが一般的に行われている。
【0050】
なお、本例において、透析患者P1のドライウェイトは、透析情報データベース4に記憶されている。端末装置1は、透析情報管理サーバ3を介して透析情報透析情報データベース4に記憶されている透析患者P1のドライウェイトを取得し、取得したドライウェイトを除水量計算画面105に表示する手段を備えている。
【0051】
図6Aに示すとおり除水量計算画面105には、透析患者P1の透析前体重と併せて、透析患者P1のドライウェイトが表示されているので、除水量計算画面105を見た透析患者P1は、どれ位の体重を目標として血液透析の条件を設定すれば良いかを容易に知ることができる。例えば、図示の例において、透析患者P1のドライウェイトは60.5kgであるため、この体重を透析後の体重の目標値として血液透析を行えば良いことが分かる。しかしながら、ドライウェイトはあくまで目安であり、透析患者P1は必ずしも毎回透析後の体重がドライウェイトとなるように血液透析を行う必要はない。例えば、スケジュール的に十分な透析時間を確保することが難しい場合には、ドライウェイトより重い体重を目標体重として血液透析を実行し、次回の血液透析を早目に行うようなスケジュールを設定しても良い。すなわち、透析患者P1は、表示された自己の透析前体重及びドライウェイトに加えて、自己のスケジュールや体調を考慮して、血液透析後の目標体重及び透析中の飲食量についての情報を入力することができる。例えば、就寝中に血液透析を行うため、十分な透析時間を確保することができると考えている透析患者P1は、ドライウェイトである60.5kgを目標体重として、
図6Bの除水量計算画面106に示すとおり、「目標体重」の欄に「60.5kg」と入力すれば良い。
【0052】
また、本例において、除水量計算画面105には、血液透析後の目標体重に加えて、透析中の飲食物の摂取量を入力する欄が「透析中飲食」という表示の横に設けられている。透析中に飲食物を摂取すると、その飲食物に含まれる水分量に相当する分だけ血液中の水分量が増加するため、透析中の飲食物の摂取量は、適切な除水量を達成するために考慮されるべき値である。例えば、透析患者P1が、透析中にペットボトル一本の水(500mL)を飲もうと考えている場合には、除水量計算画面105の「透析中飲食」という表示の横の欄に、
図6Bの除水量計算画面106に示すとおり「500mL」と入力すれば良い。
【0053】
以上のようにして、目標体重と透析中の飲食物の摂取量が入力された場合、除水量計算画面上には、
図6Bに示すとおり目標除水量が表示される。当該目標除水量は、透析前体重(本例において62.5kg)と目標体重(本例において60.5kg)の差に、透析中の飲食物の摂取量(本例において500mL)を加えた値であり、本例においては2.5Lである。なお、目標除水量の算出は、通常、端末装置1が行うが、端末装置1から送られてくる情報に基づいて、透析情報管理サーバ3が算出して端末装置1に送信するようにしても良い。
【0054】
ちなみに、
図6Aに示すように、目標体重及び透析中の飲食物の摂取量を入力していない状態にある除水量計算画面105においては、次の透析前情報入力画面へ進むためのボタンである「透析前血圧受信へ」ボタンをクリックすることができない。本例において、端末装置1は、除水量計算画面において記録が必要な所定の透析前記録項目である、目標体重及び透析中の飲食物の摂取量についての情報が入力されたか否かを判定する手段を備えており、その双方についての情報が入力されたと判定した場合には、
図6Bの透析前体重入力画面106に示すように、次の透析前情報入力画面に進むためのボタンである、「透析前血圧受信へ」ボタンをクリックすることが可能となる。このように端末装置1は、除水量計算画面において、予め定められた所定の透析前記録項目についての情報が入力された場合に、次の透析前情報入力画面である血圧受信画面の出力要求を受け付ける手段を備えている。
【0055】
血液透析後の目標体重及び透析中の飲食物の摂取量の双方が入力された状態で、
図6Bに示す除水量計算画面106において「透析前血圧受信へ」ボタンをクリックすると、入力された情報である血液透析後の目標体重、透析中の飲食物の摂取量、及び、これらの入力値から得られた目標除水量が透析情報管理サーバ3へ送信され、透析情報データベース4に記録されるとともに、本例においては、予め定められた所定の順番に従って、第3の透析前情報入力画面である血圧受信画面が表示される。
【0056】
<2.4 透析前血圧受信画面>
図7Aに血圧受信画面とそこに表示される情報の一例を示す。
図7Aに示すとおり、血圧受信画面107は、透析前記録項目である、透析前の血圧及び脈拍についての情報の入力を受け付ける透析前情報入力画面であり、「透析前の血圧を測定してから血圧取得を押してください。」という簡単な指示メッセージとともに、透析前の血圧及び脈拍の入力欄が設けられている。
【0057】
透析患者P1は、透析装置2に付属している血圧計を用いて自己の血圧及び脈拍を測定し、その後、血圧受信画面107に表示されている「血圧取得」ボタンをクリックすれば良い。「血圧取得」ボタンがクリックされると、端末装置1は、透析装置2に血圧及び脈拍に関する情報の配信要求を送信し、その一方で、端末装置1からの配信要求を受信した透析装置2は端末装置1に血圧及び脈拍に関する情報を送信する。端末装置1が、透析装置2から送信されてきた血圧及び脈拍に関する情報を受信すると、
図7Bに示すとおり、受信された血圧及び脈拍の測定値が血圧受信画面108の「血圧」及び「脈拍」の欄に表示される。なお、
図7Bにおいて「130/70」とは最高血圧が「130」、最低血圧が「70」であったことを意味する。以上のように、透析前記録項目についての情報の入力は、必ずしも透析患者の手により端末装置に直接入力される必要はなく、透析装置を含む測定機器から当該情報を受信することにより行っても良い。また、「血圧」及び「脈拍」の測定は、透析装置2とは別に備えられている測定装置を用いて行っても良いことは勿論であり、透析患者が自ら端末装置1の血圧受信画面107に入力するようにしても良いことは勿論である。
【0058】
透析前の血圧及び脈拍の双方についての情報が入力された状態で、血圧受信画面108において「問診票画面へ」ボタンをクリックすると、入力された情報である血圧及び脈拍が透析情報管理サーバ3へ送信され、透析情報データベース4に記録されるとともに、本例においては、予め定められた所定の順番に従って、第4の透析前情報入力画面である問診票画面が表示される。
【0059】
ちなみに、
図7Aに示すように、血圧及び脈拍を入力していない状態にある血圧受信画面107においては、次の透析前情報入力画面へ進むためのボタンである「問診票画面へ」ボタンをクリックすることができない。本例において、端末装置1は、血圧受信画面において記録が必要な所定の透析前記録項目である、血圧及び脈拍についての情報が入力されたか否かを判定する手段を備えており、その双方についての情報が入力されたと判定した場合に、
図7Bの血圧受信画面108に示すように、次の透析前情報入力画面に進むためのボタンである、「問診票画面へ」ボタンをクリックすることが可能となる。このように端末装置1は、除水量計算画面において、予め定められた所定の透析前記録項目についての情報が入力された場合に、次の透析前情報入力画面である問診票画面の出力要求を受け付ける手段を備えている。
【0060】
<2.5 問診票入力画面>
図8Aに問診票画面とそこに表示される情報の一例を示す。
図8Aに示すとおり、問診票画面109は、透析前記録項目である、所定の問診事項についての回答の入力を受け付ける透析前情報入力画面であり、「シャント音を選択してください。」、「穿刺の状態を選択してください。」、「透析液量を選択してください。」という問診事項が表示されるとともに、各問診事項への回答を所定の選択肢から選択する形式で入力するためのラジオボタンが設けられている。
【0061】
図8Aに示すとおり、本例において、問診票画面109は、主に穿刺やシャントに関する問診事項についての回答の入力を受け付ける。透析患者P1は、シャントの状態確認、穿刺を行った後に、問診票画面109に表示されている問診事項についての回答を所定の選択肢から選択する形式で入力すれば良い。例えば、本例において、シャント音が正常であり、穿刺も通常どおり行えた場合には、問診事項「シャント音を選択してください。」の下に表示されているラジオボタンのうち「正常」に対応するラジオボタンと、問診事項「穿刺の状態を選択してください。」の下に表示されている「いつも通り」に対応するラジオボタンを選択すれば良い。
【0062】
ちなみに、自己のライフスタイルに応じて適宜のタイミングで血液透析を行うことができる在宅血液透析患者は、通院して血液透析治療を受ける透析患者と比較して、透析回数が多くなる傾向にある。透析回数が多くなると穿刺の回数も多くなるので、その分、皮膚の状態やシャントの状態が悪化するリスクが大きくなる。そこで、本発明に係る端末装置1は、好適な一態様において、
図8Aに示すとおり、穿刺に関する問診事項を設けることで、透析患者の皮膚状態やシャント状態に関する情報を把握し易いような設計となっている。
【0063】
なお、問診事項は、穿刺に関する問診事項に限られず、透析患者及び医療スタッフが必要であると思う適宜の問診事項を設けることができる。例えば、
図8Aに示す問診票画面109においては、穿刺に関する問診事項に加えて、透析液量に関する問診事項が表示されている。
【0064】
問診事項についての回答が入力された状態で、端末装置1の画面上に表示されている問診票画面110において「透析情報記録画面へ」ボタンをクリックすると、入力された情報である問診事項についての回答が透析情報管理サーバ3へ送信され、透析患者P1の識別情報と関連づけられて透析情報データベース4に記録されるとともに、本例においては、透析情報記録画面が表示される。
【0065】
なお、
図8Aに示すように、問診事項への回答を入力していない状態にある問診票画面109においては、次の画面である透析情報記録画面へ進むためのボタンである「透析情報記録画面へ」ボタンをクリックすることができないようになっている。本例において、端末装置1は、問診票画面において記録が必要な所定の透析前記録項目である問診事項への回答が入力されたか否かを判定する手段を備えており、所定の問診事項への回答が入力されたと判定した場合に、
図8Bの問診票画面110に示すように、次の画面である透析情報記録画面に進むためのボタンである、「透析情報記録画面へ」ボタンをクリックすることが可能となる。このように端末装置1は、問診票画面において、表示された記録項目の全て、すなわち、所定の問診事項の全てについての回答が入力された場合に、次の画面である透析情報記録画面の出力要求を受け付ける手段を備えている。
【0066】
以上のように、本例において、端末装置1は、1又は複数の透析前記録項目を表示する画面であって、表示された透析前記録項目についての情報の入力を受け付ける画面である4つの透析前情報入力画面、すなわち、透析前体重入力画面、除水量計算画面、血圧受信画面、及び問診票画面を生成する手段を備えている。そして、本例において、これらの透析前情報入力画面は、予め定められた所定の順番、すなわち、透析患者P1が血液透析を実施する際の実施手順に沿った順番で表示されるので、透析患者P1は、自己が記録すべき透析前記録項目を適切なタイミングで知ることができる。しかしながら、複数の透析前情報入力画面は必ずしも予め定められた所定の順番にしたがって表示されるものである必要はなく、例えば、透析前情報入力画面の一覧を表示して、透析患者P1が表示された一覧の中から適宜の透析前情報入力画面を選択できるようにしても良い。
【0067】
また、以上説明した例においては、それぞれの透析前情報入力画面において入力を受け付ける透析前記録項目として表示された項目の全てを、それぞれの透析前情報入力画面における所定の透析前記録項目とし、それら所定の透析前記録項目の全てが入力された場合に、次の透析前情報入力画面の表示要求を受け付ける設計となっている。しかしながら、それぞれの透析前情報入力画面において入力を受け付ける透析前記録項目として表示された項目の全てを、それぞれの透析前情報入力画面における所定の透析前記録項目とする必要はなく、それぞれの透析前情報入力画面において入力を受け付ける透析前記録項目の一部を、それぞれの透析前情報入力画面における所定の透析前記録項目として、当該所定の透析前記録項目についての情報が入力された場合に、次の透析前情報入力画面の表示要求を受け付けるようにしても良い。
【0068】
同様に、以上説明した例においては、それぞれの透析前情報入力画面において、入力を受け付ける透析前記録項目として表示された項目の全てを所定の透析前記録項目とし、それら所定の前記透析前記録項目についての情報が入力された場合に、端末装置1が、透析装置2から透析患者P1の生体情報及び/又は血液透析の進行状況についての情報を取得するようにされているが、それぞれの透析前情報入力画面において入力を受け付ける透析前記録項目として表示された項目の全てを所定の透析前記録項目とする必要はなく、それぞれの透析前情報入力画面において入力を受け付ける透析前記録項目として表示された項目の一部を所定の透析前記録項目として、当該所定の透析前記録項目についての情報が入力された場合に、端末装置1が透析装置2から透析患者P1の生体情報及び/又は血液透析の進行状況についての情報を取得するようにしても良い。
【0069】
なお、本例において、端末装置1は、所定の透析前記録項目ごとに、複数の透析前情報入力画面を生成するが、必ずしも複数の透析前情報入力画面を生成する必要はなく、1つの透析前情報入力画面であっても良いが、透析患者が記録すべき情報を把握し易くするという観点からは、画面ごとに表示される透析前記録項目の数をなるべく少なくすることが好ましいため、透析前情報入力画面は複数であることが好ましい。また、透析前情報入力画面に表示される透析前記録項目は、予め定められた所定の順番で表示されることが好ましい。
【0070】
<2.6 透析情報記録画面>
図9に透析情報記録画面とそこに表示される情報の一例を示す。
図9に示すとおり、透析情報記録画面111は、「透析をはじめる」ボタンに代えて「透析中の状態を記録する」ボタンと「透析を終了する」ボタンがクリック可能となっている以外は、メインメニュー画面101と同様の表示画面である。このように「透析中の状態を記録する」ボタンと「透析を終了する」ボタンがクリック可能な透析情報記録画面111が表示されることにより、透析患者P1は透析開始の準備が整ったことを知ることができる。よって、透析患者P1は、透析装置2に対して所定の操作を行い、血液透析を開始すれば良い。
【0071】
透析情報記録画面111が表示された状態において、端末装置1は、所定の時間毎に、透析装置2に透析患者P1の生体情報及び血液透析の進行状況についての情報の配信要求を送信する。当該配信要求を受信した透析装置2は、端末装置1に対して配信要求があった透析患者P1の生体情報及び血液透析の進行状況についての情報を送信する。このようにして端末装置1は、透析装置2から、透析中の透析患者P1の生体情報及び血液透析の進行状況についての情報を所定の時間毎に取得することができる。端末装置1が取得した透析患者P1の生体情報及び血液透析の進行状況についての情報は、インターネット6を含むネットワークNを介して透析情報管理サーバ3に送信され、透析情報データベース4に記録される。このように本発明の一態様に係る端末装置1によれば、透析装置2が取得した透析患者P1の生体情報及び血液透析の進行状況についての情報が所定の時間毎に自動的に透析情報データベース4に記録されるので、透析患者P1は確実に漏れなく血液透析に関する情報を記録することができる。
【0072】
さらに、本例の端末装置1においては、透析患者P1は透析中に自己の状態について感じた又は観察したこと、すなわち愁訴事項を記録することができる。愁訴事項を記録するためには、透析患者P1は、
図9に示す透析情報記録画面111において、「透析中の状態を記録する」ボタンをクリックすれば良い。「透析中の状態を記録する」ボタンがクリックされると、例えば、
図10Aに示すような愁訴事項記録画面112が表示される。愁訴事項記録画面112には、「透析中の状態を記録してください。状態を選択するか、フリー入力で記載してください。」という簡単な指示メッセージとともに、愁訴事項の記録時刻として愁訴事項記録画面112の表示時刻と、愁訴事項を記録するための「状態選択」及び「フリー入力」の欄が表示されている。「状態選択」の横の欄をクリックすると、予め定められている複数の選択肢が例えばプルダウン形式で表示されるので、その中から、透析患者P1は現在の自己の状態を選択すれば良い。例えば、穿刺部に出血を発見した透析患者P1は、「穿刺部に出血あり」という選択肢を選択すれば良い。一方、表示された選択肢の中に適当なものが見当たらない場合には、「フリー入力」の横の欄をクリックすることにより、現在の自己の状態を自由に入力することができる。以上のようにして愁訴事項を選択または入力すると愁訴事項記録画面112は、
図10Bに示す愁訴事項記録画面113に切り替わり、クリック可能となる「保存」ボタンをクリックすると、入力された透析患者P1の愁訴事項とその記録時刻が透析情報管理サーバ3に送信され、透析情報データベース4に記録されるとともに、透析情報記録画面111が再度表示される。なお、「保存」ボタンをクリックせずに、愁訴事項記録画面112又は113に表示されている「前画面に戻る」ボタンをクリックしても、透析情報記録画面111が再度表示されるが、入力された透析患者P1お愁訴事項とその記録時刻は透析情報管理サーバに送信されず、透析情報データベース4に記録されることはない。
【0073】
このように本発明の一態様に係る端末装置1によれば、透析患者の生体情報及び血液透析の進行状況についての情報のみならず、透析患者P1が気付いた自己の状態の変化に関する情報、すなわち愁訴事項を容易に記録することができる。医療スタッフは、透析患者の生体情報及び血液透析の進行状況についての情報等の客観的な情報と、透析患者P1が感じた又は観察した自己の状態に関する主観的な情報を併せて参照することができるので、透析患者P1の状態をより的確に把握することができ、透析患者P1の状態に適した助言及び指導をすることが可能となる。
【0074】
<2.7 透析の終了>
所定の透析が終了した場合、透析患者P1は、
図9に示す透析情報記録画面111に表示されている「透析を終了する」ボタンをクリックすれば良い。「透析を終了する」ボタンがクリックされると、本例においては、透析後情報入力画面である透析後体重入力画面が表示される。なお、本例において、「透析を終了するボタン」は、端末装置1が透析装置2から取得する血液透析の進行状況についての情報に血液透析を終了した旨の信号が含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合に、クリック可能となる。このような場合には、透析装置2からの透析終了信号を待って「透析を終了する」ボタンがクリック可能となるので、透析患者P1は血液透析が終了したことを容易に把握することができるので便利である。
【0075】
<2.8 透析後体重入力画面>
図11Aに透析後体重入力画面及びそこに表示される情報の一例を示す。
図11Aに示すとおり透析前体重入力画面114は、透析後記録項目である透析患者の透析後の体重の測定値及び風袋重量の入力を受け付ける透析後情報入力画面であり、画面上部には「透析後の体重を測定しましょう。」というメッセージとともに、測定時刻として現在時刻である「6:10」が表示され、その下に、透析後の体重の測定値及び風袋重量の入力欄が設けられている。透析患者P1は、自宅にある適宜の体重計を用いて自己の体重を測定し、得られた測定値と、風袋重量を、
図11Bに示すように、それぞれ透析後体重入力画面114の「体重」及び「風袋」の横の欄に入力すれば良い。なお、透析前体重について述べたと同様に、透析患者P1の実際の透析後体重は、体重計により得られた透析後の体重の測定値から風袋重量を減じた値となる。例えば、図示の例では、衣服を含む透析患者P1の透析後の体重の測定値は61.1kgであるが、衣服の重量が0.5kgであるので、透析患者P1の実際の透析後の体重は、61.1kgから0.5kgを減じた60.6kgということになる。
【0076】
透析後の体重の測定値及び風袋重量についての情報を入力した状態で、
図11Bに示す透析後体重入力画面115において「透析記録を終了する」ボタンをクリックすると、入力された情報である透析後の体重の測定値及び風袋重量、並びにこれらの測定値から得られる実際の透析後体重が透析情報管理サーバ3へ送信され、透析情報データベース4に記録される。それとともに、本例においては、血液透析の記録の全工程が終了したため、再度メインメニュー画面102が表示される。血液透析を終えた透析患者P1はメインメニュー画面102から「アプリの終了」ボタンをクリックして、在宅血液透析支援アプリケーションを終了すれば良い。
【0077】
なお、以上説明した例においては、端末装置1が表示する透析後情報入力画面は透析後体重入力画面のみであるが、例えば、より多くの透析後記録項目についての情報を記録するため、複数の透析後情報入力画面が表示されるようにしても良いことは勿論である。また、複数の透析後情報入力画面を表示する場合には、予め定められた所定の順番で表示するようにしても良いことは言うまでもない。
【0078】
ちなみに、
図11Aに示すように、透析後の体重の測定値及び風袋重量を入力していない状態にある透析後体重入力画面114においては、血液透析の記録を終了するためのボタンである「透析記録を終了する」ボタンをクリックすることができない。本例において、端末装置1は、透析後体重入力画面において記録が必要な所定の透析後記録項目である、透析後の体重の測定値、及び、風袋重量が入力されたか否かを判定する手段を備えており、その双方についての情報が入力されたと判定した場合に、
図11Bに示す透析後体重入力画面115のように「透析記録を終了する」ボタンをクリックすることが可能となる。このように端末装置1は、透析後体重入力画面において、予め定められた所定の透析後記録項目についての情報が入力された場合に、記録の終了を受け付ける手段を備えている。ちなみに、透析後情報入力画面が複数ある場合には、記録の終了を受け付ける代わりに、次の透析後情報入力画面の表示要求を受け付けるようにしても良いことは言うまでもない。
【0079】
また、以上説明した例においては、透析後情報入力画面において入力を受け付ける透析後記録項目として表示された項目の全てを、透析後情報入力画面における所定の透析後記録項目としている。しかしながら、透析後記録項目が複数ある場合には、それぞれの透析後情報入力画面において入力を受け付ける透析後記録項目として表示された項目の全てを、それぞれの透析後情報入力画面における所定の透析後記録項目とする必要はなく、それぞれの透析後情報入力画面において入力を受け付ける透析後記録項目の一部を、それぞれの透析後情報入力画面における所定の透析後記録項目としても良いことは透析前記録項目について述べたと同様である。
【0080】
<2.9 血液透析終了の通知>
一方、本例において、透析後体重入力画面115において「透析記録を終了する」ボタンがクリックされ、端末装置1が記録の終了を受け付けた場合には、透析患者P1が血液透析を終了したことが、予め指定した1又は複数の他の端末装置に通知される。端末装置1は、記憶部14に、予め指定した1又は複数の前記他の端末装置のユーザが閲覧可能なメールアドレスまたはSNSアカウントを記憶しており、端末装置1は、当該メールアドレスまたはSNSアカウントを宛先としてEメールまたはメッセージを送信することによりこれらの他の端末装置に透析患者P1が血液透析を終了したことを通知する。
【0081】
ちなみに、端末装置1からの通知を受信する端末装置の宛先情報は、メールアドレスやSNSアカウントに限られず、当該端末装置1に対して通知の送信が可能である限りにおいて、どのようなものであってもよい。なお、宛先情報は必ずしも端末装置1の記憶部14に記憶されている必要はなく、透析情報データベース4に記憶されていても良い。この場合、端末装置1は、透析情報管理サーバ3を介して、透析情報データベース4に登録された前記メールアドレス等を取得する。
【0082】
<2.10 過去の透析情報の閲覧>
次に、本発明の一態様に係る端末装置を用いて、透析患者P1が自己の血液透析に関する情報を閲覧する手順について説明する。透析患者P1は、前述した
図3に示すメインメニュー画面102から「透析情報を見る」ボタンをクリックすれば良く、「透析情報を見る」ボタンがクリックされると、本例において、端末装置1には
図12に示す透析情報閲覧メニュー画面116が表示される。透析情報閲覧メニュー画面116には、閲覧できる情報の種類に応じて、「日々の透析記録」ボタン、「体重経過記録」ボタン、「お知らせ」ボタン、及び「透析指示」ボタンが設けられている。
【0083】
<2.11 日々の透析記録画面>
以前に行った血液透析の経過情報を閲覧したいと考えている透析患者P1が、透析情報閲覧メニュー画面116において、「日々の透析記録」ボタンをクリックすると、
図13Aに示すような生体情報閲覧画面117が表示される。図示のとおり、生体情報閲覧画面117においては「透析日」の横に、透析中の生体情報を閲覧したい血液透析を行った日付を入力する欄が表示されている。当該欄をクリックするとカレンダー形式の日付選択画面がポップアップ形式で表示されるので、その中から、透析患者P1は、透析中の生体情報を閲覧したい血液透析を行った日付を選択すれば良い。すなわち、本例において、2020年12月1日に行った血液透析について透析中の生体情報を閲覧したいと考えている透析患者P1は、「2020/12/01」を選択し、当該日付が「透析日」の横の欄に入力された状態で、その横に表示されている「表示」ボタンをクリックすれば良い。このようにして、「表示」ボタンがクリックされると、生体情報閲覧画面上に指定された日付についての生体情報記録が表示される。本例においては、端末装置1の画面上には、
図13Bに示すように、2020年12月1日に行った血液透析における透析中の透析患者P1の生体情報である最高血圧(
図13において血圧(上))、最低血圧(
図13において血圧(下))、及び脈拍を経時的に表示する生体情報閲覧画面118が表示される。このように端末装置1によれば、透析患者P1は自己が行った過去の血液透析について透析中の生体情報を閲覧することができるので、自己の体調の変化を適切に把握することができる。
【0084】
ちなみに、生体情報閲覧画面118に表示される生体情報は、透析患者P1が2020年12月1日に行った血液透析中に端末装置1が透析装置2から取得した生体情報であり、透析情報データベース4に記録されているものである。端末装置1は透析情報管理サーバ3を介して、透析情報データベース4に記録された透析患者P1の生体情報を取得する手段を備えており、取得した生体情報を任意の形式で出力することができる。その出力形式に制限はないが、例えば、図示の例のように、取得した生体情報を経時変化情報として表示すれば、透析患者P1の状態の変化を容易に把握できるので便利である。
【0085】
<2.12 愁訴事項閲覧画面>
次に、
図13Bに示す生体情報閲覧画面118において、透析日「2020/12/01」が選択された状態で、画面下部に表示されている「愁訴一覧」ボタンをクリックすると、愁訴事項閲覧画面が端末装置1の画面上に表示される。このようにして表示される愁訴事項閲覧画面及びそこに表示されている情報の一例を
図14に示す。
図14に示す愁訴事項閲覧画面119においては、「透析日」の横に、表示される愁訴事項を記録した血液透析を行った日付である「2020/12/01」が表示されており、その下に、指定した日付についての愁訴事項の一覧が表示されている。例えば、透析患者P1は、2020年12月1日に行った血液透析中において、「14:25」に、「手が腫れる」という旨の愁訴事項を記録したことが分かる。
【0086】
ちなみに、
図14に示す愁訴事項閲覧画面119に表示されている愁訴事項は、透析患者P1が、2020年12月1日に行った血液透析中、前述した愁訴事項記録画面において入力したものであり、当該愁訴事項は、その記録時刻とともに透析情報データベース4に記録されている。端末装置1は、透析情報管理サーバ3を介して透析情報データベース4に記録された透析患者P1についての愁訴事項及びその記録時刻を取得する手段を備えており、取得した愁訴事項及び記録時刻を任意の形式で出力することができる。
【0087】
<2.13 体重経過記録閲覧画面>
次に、体重の変化を確認したいと考えている透析患者P1が
図12に示す透析情報閲覧メニュー画面116において「体重経過記録」ボタンをクリックすると、本例においては、
図15Aに示すような体重経過記録閲覧画面120が表示される。図示のとおり、体重経過記録閲覧画面120においては「開始日」及び「終了日」の横に日付を入力する欄が設けられている。当該欄をクリックするとカレンダー形式の日付選択画面がポップアップ形式で表示されるので、透析患者P1は、その中から、体重経過記録を閲覧したい期間の開始日と終了日を適宜選択すれば良い。本例において、2020年10月1日から2020年12月1日の期間における体重経過記録を確認したいと考えている透析患者P1は、「開始日」として「2020/10/01」を選択し、「終了日」として「2020/12/01」を選択し、両日付が入力された状態で「終了日」の横の欄に表示されている「表示」ボタンをクリックすれば良い。「表示」ボタンがクリックされると体重経過記録閲覧画面上に指定した期間についての体重経過記録が表示される。
【0088】
図15Bに、このようにして表示される体重経過記録閲覧画面121及びそこに表示される情報の一例を示す。図示のとおり、体重経過記録画面121には2020年10月1日から2020年12月1日の期間についての透析前体重、透析後体重、及び、ドライウェイト(DW)が経時変化情報として表示されている。このように端末装置1によれば、透析患者P1は自己が行った過去の血液透析による自己の体重の経過記録を閲覧することができるので、血液透析の実施状況を適切に把握することができる。
【0089】
ちなみに、体重経過記録閲覧画面121に表示される体重経過記録は、透析情報データベース4に記録されている透析前体重、透析後体重、及びドライウェイトに基づいて生成されたものである。端末装置1は透析情報管理サーバ3を介して、透析情報データベース4に記録された透析患者P1の透析前体重、透析後体重、及びドライウェイト等の情報を取得する手段を備えており、取得した情報を任意の形式で出力することができる。その出力形式に制限はないが、例えば、図示の例のように、取得した情報を体重の経時変化を表す体重経過記録情報として表示すれば、透析患者P1の体重の変化、血液透析の実施状況を容易に把握できるので便利である。
【0090】
<2.14 通知事項閲覧画面>
次に、透析患者P1が透析情報閲覧メニュー画面116において「お知らせ」ボタンをクリックすると、端末装置1の画面上に通知事項閲覧画面が表示される。このようにして表示される通知事項閲覧画面122及びそこに表示される情報の一例を
図16に示す。
図16に示すとおり、通知事項閲覧画面122には、「お知らせ一覧」という表示の下に、透析患者P1に対する通知事項が、その内容と日付を併記する形式で表示されている。図示の例では、例えば、透析患者P1に対して、「2020/12/1」の日付で「来院して下さい。」という内容の通知事項と「在庫をチェックして下さい。」という内容の通知事項が表示されている。「来院して下さい。」という内容の通知事項を見た透析患者P1は、月に一度の通院日が近づいていることが分かる。一方、「在庫をチェックして下さい。」という内容の通知事項を見た透析患者P1は、血液透析に用いる部材(消耗品)の在庫がなくなる時期が近づいており、透析液などの部材の在庫量をチェックすべきであることが分かる。
【0091】
なお、本例において、以上の通知事項及びその日付は、透析患者P1の識別情報と関連づけられて透析情報データベース4に記録されているので、端末装置1は、透析情報管理サーバ3を介して、透析情報データベース4に記録されているこれらの通知事項及びその日付を取得することができる。これらの通知事項は、透析患者P1を担当する医療スタッフS1が、透析情報管理サーバ3にアクセスして、所定の通知事項を透析情報データベース4に記録するようにしても良いし、透析情報管理サーバ3が、所定の情報に基づいて自動的に生成するようにしても良い。
【0092】
例えば、透析患者の来院を促す「来院して下さい。」という内容の通知事項及び、部材の在庫チェックを促す「在庫をチェックして下さい。」という内容の通知事項は、透析情報管理サーバ3が、透析情報データベース4に記録されている前回の通院日又は前回の在庫発注日から所定の期間が経過した後に自動的に生成するようにすることができる。透析情報管理サーバ3は、現在の日付と、透析情報データベース4に記録されている前回の通院日又は前回の在庫発注日とを比較して、前回の通院日又は前回の在庫発注日から予め定められた所定の期間が経過したか否かを判定し、所定の期間が経過したと判定した場合には、透析患者の来院を促す通知事項又は部材の在庫チェックを促す通知事項を透析情報データベース4に記録する。ちなみに、以上の例において、透析患者の前回の通院日又は前回の在庫発注日は、通院時又は在庫発注時に、透析患者P1を担当する医療スタッフS1が、透析情報管理サーバ3にアクセスして透析情報データベース4に記録するようにすれば良い。
【0093】
また、部材の在庫チェックを促す「在庫をチェックして下さい。」という内容の通知事項は、透析情報管理サーバ3が、透析情報データベース4に記録されている前回の在庫発注日から所定の回数の血液透析が行われた後に自動的に生成するようにすることができる。透析情報データベース4には、透析患者が透析を行った日付が記録されているので、透析情報管理サーバ3は、所定の期間内に透析患者が血液透析を行った回数をカウントすることができる。
【0094】
以上のように本発明の一態様に係る端末装置1又は本発明の一態様に係る端末装置1を含んで構成された在宅血液透析支援システム100によれば、適切なタイミングで、通院すべきことや、血液透析に必要な部材の在庫をチェックすべきことが通知されるので、透析患者P1は通院日の予約や必要な部材の発注をスムーズに行うことができる。
【0095】
<2.15 透析指示閲覧画面>
次に、透析患者P1が
図12に示す透析情報閲覧メニュー画面116において「透析指示」ボタンをクリックすると、端末装置1の画面上には、透析指示閲覧画面が表示される。このようにして表示される透析指示閲覧画面123及びそこに表示されている情報の一例を
図17に示す。
図17に示すとおり、透析指示閲覧画面123には、透析患者P1に対する透析指示の内容が表示されている。例えば、透析指示閲覧画面123において、「指示開始日」の右横に表示されている日付を見れば、当該透析指示がなされた日付は「2020/11/12」であること、「指示終了日」の右横に表示されている日付を見れば、当該透析指示の終了日は「2020/12/12」であることが分かる。また、「ドライウェイト」の右横に表示されている数値を見れば、現在透析患者P1について設定されているドライウェイトは60.5kgであることが分かる。本例において、これらの透析指示情報は透析情報データベース4に記録されている。端末装置1は透析情報管理サーバ3を介して透析情報データベース4に記録されている透析指示情報を取得することができる。
【0096】
<3 医療スタッフ端末>
本発明の一態様に係る端末装置1を含んで構成される在宅血液透析支援システムは、医療スタッフが使用する医療スタッフ端末である端末装置5を備えている。端末装置5は、主に、医療スタッフが、自己が担当する透析患者について、透析情報データベース4に記録された情報の閲覧を行うための端末装置であり、また、透析情報データベース4に透析患者への透析指示や通知事項を記録することもできる。
【0097】
端末装置5は、医療機関IDと対応するパスワードを入力することによるユーザ認証を経ることで、透析情報管理データベース3にアクセスし、透析情報データベース4に記録されている情報の閲覧、及び、透析情報データベース4への情報の記録が可能となる。すなわち、端末装置5から、医療機関IDの入力と対応するパスワードの入力があった場合、透析情報管理サーバ3は、入力された医療機関IDとパスワードの組み合わせが透析情報データベース4に予め記録されている医療機関IDとパスワードの組み合わせと一致しているか否かを判定し、一致していると判定した場合には、その入力があった端末装置5の使用者を正当なユーザであると認証する。このようなユーザ認証を経ることで、端末装置5は透析情報管理サーバ3を介して、透析情報データベース4に記録された情報を取得すること、または透析情報データベース4へ情報を記録することが可能となる。なお、複数の医療機関が透析情報データベース4を共用する場合には、端末装置5からは、当該端末装置の認証に用いられた医療機関IDで特定される医療機関の透析患者についての情報のみを透析情報データベース4から取得又は透析情報データベース4に記録可能であることが好ましいことは勿論である。
【0098】
本例において、端末装置5は、透析患者P1を含む透析患者についての透析記録を表示する機能を備えている。例えば、端末装置1と同じように、血液透析中の生体情報を
図13Bに示すような経時変化情報として表示することができ、また、血液透析中の愁訴事項を
図14に示すような表形式で表示することもできる。また、所定の期間における透析患者の体重経過記録を
図15Bに示すような経時変化情報として表示することもできる。このように端末装置5によれば、在宅血液透析を行う透析患者が端末装置を用いて記録した血液透析中の生体情報、血液透析の進行状況についての情報、並びに、透析前及び透析後の記録事項等を閲覧することができるので、在宅血液透析患者の健康状態や血液透析の実施状況を容易に把握することができる。
【0099】
また、本例において、端末装置5は、各患者に対する透析指示や通知事項についての情報を透析情報データベース4に登録、又は登録された情報を変更する機能を備えている。前述したとおり、透析患者P1は端末装置1を用いて、透析情報データベース4に登録された透析指示や通知事項についての情報を閲覧することができる。したがって、端末装置1及び透析情報管理サーバ3に加えて、このような機能を備える端末装置5を含む在宅血液透析支援システムによれば、透析患者と医療スタッフの間での情報の円滑なやり取りが可能となるという利点が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の端末装置及びコンピュータプログラムによれば、在宅血液透析における情報の記録が容易となり、透析患者及び医療スタッフは、在宅血液透析を行う透析患者の健康状態や血液透析の実施状況を適切に把握することが可能となる。本発明によれば、的確かつ安全な在宅血液透析治療を実施することが可能となり、より利便性が高く且つ予後の改善が期待できる在宅血液透析という新たな透析治療の選択肢を透析患者に提供することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 端末装置
2 透析装置
3 透析情報管理サーバ
4 透析情報データベース
5 端末装置
6 インターネット
11 入力部
12 表示部
13 通信部
14 記憶部
15 制御部
100 在宅血液透析支援システム
101、102 メインメニュー画面
103、104 透析前体重入力画面
105、106 除水量計算画面
107、108 血圧受信画面
109、110 問診票画面
111 透析情報記録画面
112、113 愁訴事項記録画面
114、115 透析後体重記録画面
116 透析情報閲覧メニュー画面
117、118 生体情報閲覧画面
119 愁訴事項閲覧画面
120、121 体重経過記録閲覧画面
122 通知事項閲覧画面
123 透析指示閲覧画面
N ネットワーク
P1 透析患者
S1 医療スタッフ