(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
A47J27/00 103P
A47J27/00 109A
(21)【出願番号】P 2021101810
(22)【出願日】2021-06-18
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】500201602
【氏名又は名称】シロカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一威
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲生
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-13480(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0829523(KR,B1)
【文献】中国実用新案第211242829(CN,U)
【文献】韓国登録実用新案第20-0366233(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00ー29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内鍋を加熱制御することで前記内鍋内の食材を調理する加熱調理器であって、
前記内鍋を収容可能な収容部を有し、前記収容部に収容された前記内鍋を加熱制御する本体部と、
前記本体部に取り付けられる蓋部と、
を備え、
前記蓋部は、前記収容部の内部を閉空間にするための内蓋と、前記閉空間を維持するように前記収容部に対して前記内蓋を固定するための固定機構と、を有し、
前記固定機構は、ユーザ操作により第1操作位置と第2操作位置との間で移動可能な操作部と、前記収容部と前記内蓋との重なり部分に篏合可能にそれぞれ構成された第1篏合部材および第2篏合部材と、を有し、
前記第1篏合部材および前記第2篏合部材は、
前記収容部および前記内蓋を介して対向する位置に配置され、
前記第1操作位置への前記操作部の移動に従って前記収容部に近づく方向にそれぞれ移動して前記重なり部分に篏合し、前記第2操作位置への前記操作部の移動に従って前記収容部から離れる方向にそれぞれ移動して前記重なり部分への篏合を解除するように構成されている、
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記第1篏合部材は、前記操作部に連結され、
前記第2篏合部材は、リンク機構を介して前記操作部に連結され、
前記リンク機構は、前記操作部の移動に応じて、前記第1篏合部材の移動方向と反対方向に前記第2篏合部材を移動させるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記リンク機構は、共通の軸部材に連結され、前記軸部材への連結部分で互いに交差する第1リンク部材および第2リンク部材を有し、
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材の各々は、一方の端部で前記第1篏合部材に連結され、他方の端部で前記第2篏合部材に連結されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記蓋部は、前記第2操作位置への前記操作部の移動を制限するための第1制限機構を更に有し、
前記第1制限機構は、ユーザ操作によりスライド可能なスイッチを有し、前記スイッチがスライドした状態において前記第2操作位置への前記操作部の移動の制限を解除するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記第1制限機構は、前記操作部が前記第1操作位置に位置する状態でロックするためのロック部材と、前記ロックを解除するための解除部材とを有し、
前記解除部材は、前記スイッチに連結され、前記スイッチのスライドに従って移動することにより前記ロック部材を移動させ、前記ロックを解除するように構成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記固定機構は、前記操作部に連結された連結部材を有し、
前記ロック部材は、前記連結部材に設けられた被係合部に係合することにより、前記操作部が前記第1操作位置に位置する状態でロックし、
前記解除部材は、前記スイッチのスライドに従って移動することにより前記ロック部材を移動させ、前記被係合部への前記ロック部材の係合を解除するように構成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記ロック部材は、前記解除部材が移動可能な第1軸方向と交差する第2軸方向に移動可能に構成されるとともに、傾斜面を有する突起部を含み、
前記解除部材は、前記突起部の前記傾斜面に当接する爪部を有し、前記スイッチのスライドに従って前記第1軸方向に移動する際に前記爪部で前記突起部の傾斜面を押圧して前記ロック部材を前記第2軸方向に移動させ、前記被係合部への前記ロック部材の係合を解除する、
ことを特徴とする請求項6に記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記第1制限機構は、前記スイッチのスライドに従って前記解除部材が前記第1軸方向に更に移動して前記突起部の前記傾斜面から前記爪部が抜け出した場合に、前記爪部が前記突起部に引っ掛かり、前記被係合部への前記ロック部材の係合を解除した解除状態を保持するように構成されている、ことを特徴とする請求項7に記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記第1制限機構は、前記解除状態で前記操作部が前記第1操作位置から前記第2操作位置へ移動する場合、当該操作部の移動により前記ロック部材が移動し、前記突起部への前記爪部の引っ掛かりを解除するように構成されている、ことを特徴とする請求項8に記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記蓋部は、前記第1操作位置から前記第2操作位置への前記操作部の移動を制限するための第2制限機構を更に有し、
前記第2制限機構は、前記内鍋の内部圧力が所定値以上である場合に、前記第2操作位置への前記操作部の移動を制限するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項11】
前記第2制限機構は、前記内鍋の内部圧力に応じて、前記内部圧力が前記所定値未満である場合に第1ピン位置に配置され、前記内部圧力が前記所定値以上である場合に第2ピン位置に配置されるピン部材を有し、前記ピン部材が前記第2ピン位置に配置されている状態において、前記第1操作位置から前記第2操作位置への前記操作部の移動を制限するように構成されている、ことを特徴とする請求項10に記載の加熱調理器。
【請求項12】
前記第2制限機構は、前記操作部に連結され且つ前記操作部の移動に従って移動する板部材を更に有し、
前記板部材は、前記ピン部材が貫通する開口部を有し、
前記開口部は、前記操作部が前記第1操作位置にある場合に前記ピン部材が位置する第1領域と、前記操作部が前記第2操作位置にある場合に前記ピン部材が位置する第2領域とを含み、
前記第2領域は、前記第2ピン位置にある前記ピン部材が配置されないように構成されている、
ことを特徴とする請求項11に記載の加熱調理器。
【請求項13】
前記ピン部材は、前記第1ピン位置にあるときに前記板部材の高さに位置する第1部分と、前記第2ピン位置にあるときに前記板部材の高さに位置し、前記第1部分の径より大きい径を有する第2部分と、を有し、
前記第1領域は、前記第2部分の径より大きい寸法を有し、
前記第2領域は、前記第2部分の径より小さく且つ前記第1部分の径より大きい寸法を有する、
ことを特徴とする請求項12に記載の加熱調理器。
【請求項14】
前記加熱調理器は、前記固定機構による前記本体部と前記蓋部との固定を検出する検出部と、前記内鍋の加熱処理を制御する制御部とを更に備え、
前記制御部は、前記検出部により前記本体部と前記蓋部との固定が検出されない場合に前記加熱処理を制限する、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項15】
前記検出部は、前記第1篏合部材および前記第2篏合部材の少なくとも一方の位置に基づいて前記本体部と前記蓋部との固定を検出する、ことを特徴とする請求項14に記載の加熱調理器。
【請求項16】
前記検出部は、前記第1篏合部材および前記第2篏合部材の少なくとも一方の位置に応じて互いの距離が変化するように構成された可動子および固定子を有し、前記可動子と前記固定子との距離に基づいて前記本体部と前記蓋部との固定を検出する、ことを特徴とする請求項14又は15に記載の加熱調理器。
【請求項17】
前記検出部は、前記少なくとも一方に当接し、前記収容部から離れる方向への前記少なくとも一方の移動に従って前記可動子を前記固定子から遠ざけるように構成された当接部材を有する、ことを特徴とする請求項16に記載の加熱調理器。
【請求項18】
前記検出部は、一方の端部に前記可動子を含み且つ他方の端部を中心として回動自在に構成されたアーム部材を更に有し、
前記当接部材は、前記収容部から離れる方向への前記少なくとも一方の移動に従って前記アーム部材を回動させることによって前記可動子を前記固定子から遠ざけるように構成されている、
ことを特徴とする請求項17に記載の加熱調理器。
【請求項19】
前記可動子は前記蓋部に設けられており、前記固定子は前記本体部に設けられている、ことを特徴とする請求項16乃至18のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、調理する食材を収容する食材収容部(内鍋)を有する調理器本体と、食材収容部を開閉する蓋体とを備えた加熱調理器が開示されている。当該加熱調理器では、蓋体は、ロック機構により閉状態に保持され、蓋体の前部上面に設けられた開ボタンが押されると、ロック機構が外れて開状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気圧力鍋としても知られている加熱調理器では、食材を収容する内鍋の内部圧力をより高めることが求められており、それには、内鍋が収容される本体部に対して蓋部を強固に固定する必要がある。一方で、本体部に対して蓋部を容易に開閉可能にすることもユーザの利便性の点で望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、本体部に対する蓋部の強固な固定と蓋部の容易な開閉とを両立させることが可能な加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての加熱調理器は、内鍋を加熱制御することで前記内鍋内の食材を調理する加熱調理器であって、前記内鍋を収容可能な収容部を有し、前記収容部に収容された前記内鍋を加熱制御する本体部と、前記本体部に取り付けられる蓋部と、を備え、前記蓋部は、前記収容部の内部を閉空間にするための内蓋と、前記閉空間を維持するように前記収容部に対して前記内蓋を固定するための固定機構と、を有し、前記固定機構は、ユーザ操作により第1操作位置と第2操作位置との間で移動可能な操作部と、前記収容部と前記内蓋との重なり部分に篏合可能にそれぞれ構成された第1篏合部材および第2篏合部材と、を有し、前記第1篏合部材および前記第2篏合部材は、前記収容部および前記内蓋を介して対向する位置に配置され、前記第1操作位置への前記操作部の移動に従って前記収容部に近づく方向にそれぞれ移動して前記重なり部分に篏合し、前記第2操作位置への前記操作部の移動に従って前記収容部から離れる方向にそれぞれ移動して前記重なり部分への篏合を解除するように構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば、本体部に対する蓋部の強固な固定と蓋部の容易な開閉とを両立させることが可能な加熱調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本体部に対して蓋部を取り付けた状態の加熱調理器の正面斜視図
【
図2】本体部から蓋部を取り外した状態の加熱調理器の正面斜視図
【
図4】本体部に対して蓋部を取り付けた状態の加熱調理器の断面図
【
図9A】蓋部の第2制限機構の構成を説明するための図
【
図9B】蓋部の第2制限機構の構成を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
本発明の一実施形態に係る加熱調理器100について説明する。まず、加熱調理器100の全体的な構成について、
図1~
図4を参照しながら説明する。
図1~
図2は、本実施形態の加熱調理器100全体の正面斜視図を示している。
図1は、本体部1に対して蓋部2を取り付けた状態を示しており、
図2は、本体部1から蓋部2を取り外した状態を示している。また、
図3は、蓋部2を下方から見たときの斜視図を示しており、
図4は、本体部1に対して蓋部2を取り付けた状態の加熱調理器100の断面図(
図1の線A-AにおけるYZ断面図)を示している。なお、各図では、X軸方向を加熱調理器100の左右方向、Y軸方向を加熱調理器100の前後方向、Z軸方向を加熱調理器100の上下方向としている。以下の説明において「X軸方向」と記載している場合、それは+X方向および-X方向を含むものとして定義されうる。「Y軸方向」および「Z軸方向」についても同様である。
【0011】
本実施形態の加熱調理器100は、電気圧力鍋とも呼ばれ、調理対象物としての食材が入れられた内鍋3を加熱制御することで内鍋3内の食材を調理する装置である。加熱調理器100は、
図1~
図2に示されるように、所定の加熱プログラムに従って内鍋3の加熱制御を行う本体部1と、本体部1の上部に着脱可能(取り外し可能)に取り付けられる蓋部2とを備える。本実施形態の加熱調理器100は、
図2に示されるように、本体部1から蓋部2を完全に取り外すことができるように、即ち、本体部1と蓋部2とを互いに分離できるように構成されている。
【0012】
次に、本体部1の構成について、
図1~
図2、
図4を参照しながら説明する。本体部1は、内鍋3を収容可能な収容部10と、収容部10に収容された内鍋3を加熱する加熱部(ヒータ)11と、制御部12とを含みうる。収容部10は、
図2や
図4に示されるように、上側が開放された有底円筒の形状を有し、本体部1から蓋部2が取り外された状態で、上側開放部から内鍋3を出し入れ自在に構成されている。収容部10は、外鍋とも呼ばれ、例えば金属などによって形成されうる。収容部10の周縁部にはフランジ10aが設けられている。また、加熱部11は、
図4に示されるように、例えば、収容部10に収容された内鍋3を誘導加熱するために収容部10の周囲(
図4では下部)に配置された誘導加熱コイルを有する。制御部12は、例えばCPUなどのプロセッサおよびメモリを有し、内鍋3内の食材を調理するための所定の加熱プログラムに従って加熱部11(誘導加熱コイル)への給電を制御することにより、内鍋3の加熱処理(食材の調理)を制御する。
図4では、制御部12は、本体部1の前部に配置されているが、本体部1の内部における任意の位置に配置することができる。
【0013】
また、
図1~
図2に示されるように、本体部1の外面には、ユーザインタフェース部13が設けられる。ユーザインタフェース部13は、例えばボタンやダイヤルなど、内鍋3の加熱処理の内容(即ち、内鍋3に入れられた食材の調理内容)を設定・調整するためのユーザからの入力を受け付ける入力部、および/または、加熱処理(調理内容)の設定や状態を表示する表示部(ディスプレイなど)を含みうる。
【0014】
次に、蓋部2の構成について、
図1~
図4を参照しながら説明する。蓋部2は、本体部1の上部に取り付けられ、本体部1の収容部10に対して開閉される。蓋部2は、本体部1の上部に装着される、配置される、或いは、設置されると理解されてもよい。本実施形態の場合、蓋部2は、内蓋14、ハンドル部15および排気機構20を備える。
【0015】
内蓋14は、収容部10(内鍋3)を開閉するための蓋であり、
図3に示されるように、本体部1から取り外された蓋部2を下方から見たときに確認することができる。内蓋14は、蓋部2が本体部1の上部に取り付けられた場合、
図4に示されるように、収容部10(内鍋3)の上側開放部を覆って、収容部10(内鍋3)を閉空間にするように構成され、後述する固定機構30により収容部10に固定されうる。また、ハンドル部15は、蓋部2の開閉動作を行うためにユーザが把持する部分であり、
図1~
図2に示されるように、左右方向(X軸方向)に延設するように蓋部2の上面に設けられうる。
【0016】
排気機構20は、内鍋3の内部の気体(蒸気)を、蓋部2の上面に設けられた排気孔21から機外(外部)へ排出するための機構である。排気機構20は、
図4に示されるように、内鍋3の内部に連通する連通管22と、連通管22の流路を開閉するための排気弁23とを含み、制御部12の制御のもと、不図示の駆動部(アクチュエータ)を用いて排気弁23を駆動することで連通管22の流路の開閉を行う。例えば、排気機構20は、内鍋3内の食材の調理(内鍋3の加熱処理)が終了した場合などの所定のタイミングにおいて、制御部12の制御のもとで排気弁23を駆動して連通管22の流路を開き、
図4の破線矢印で示されるように、蓋部2の上面の排気孔21から内鍋3の内部の気体を機外へ排気する(即ち、自動排気を行う)。これにより、内鍋3の内部圧力を低減させて大気圧(機外の圧力)に近づけることができるため、本体部1から蓋部2を安全に取り外すことができる。ここで、排気機構20は、
図1~
図2に示されるように、蓋部2の上面に設けられた排気ボタン16を有し、ユーザによる排気ボタン16の押下に応じて機械的に排気弁23を開き、内鍋3の内部から機外へ気体を排気(強制排気)するように構成されてもよい。
【0017】
また、蓋部2は、
図1に示すように固定機構30と、ロック機構40と、圧力通知機構50とを更に備える。
固定機構30は、本体部1と本体部1の上部に取り付けられた蓋部2とを固定するための機構である。固定機構30は、本体部1の収容部10の内部を閉空間に維持するように収容部10に対して蓋部2の内蓋14を固定するための機構として理解されてもよい。
図1~
図2では、本体部1と蓋部2とを固定する際、および/または当該固定を解除する際にユーザによって操作される第1操作部(第1操作子)としてのレバー31が図示されている。レバー31は、ユーザ操作により、本体部1と蓋部2とを固定する際に配置される固定位置P
F1(第1操作位置)と、本体部1と蓋部2との固定を解除する際に配置される解除位置P
F2(第2操作位置)との間で移動可能(スライド可能)に構成される。固定機構30の詳細な構成例については後述する。
【0018】
ロック機構40は、固定機構30による本体部1と蓋部2との固定をロックするための機構である。ロック機構40は、固定機構30のレバー31がユーザ操作によって固定位置P
F1から解除位置P
F2に移動することを制限する第1制限機構として理解されてもよい。
図1~
図2では、解除位置P
F2へのレバー31の移動の制限を解除する際にユーザによって操作される第2操作部(第2操作子)としてのスイッチ41(ノブ)が図示されている。スイッチ41は、通常時には位置P
L1に配置されているが、解除位置P
F2へのレバー31の移動の制限を解除する際には、ユーザ操作により位置P
L2へスライド可能に構成される。ロック機構40およびロック機構40を用いた第1制限機構の詳細な構成例については後述する。
【0019】
圧力通知機構50は、内鍋3の内部圧力に応じてZ軸方向に移動可能なピン部材51(圧力ピン)を有し、Z軸方向におけるピン部材51の位置によって、内鍋3の内部圧力が所定値(閾値)以上であるか否か(即ち、内鍋3の内部圧力が高い状態か否か)をユーザに通知するための機構である。本実施形態の場合、ピン部材51は、
図1~
図2に示されるように、上端部が蓋部2の上面から突出可能に配置されており、その突出量によって内鍋3の内部圧力が所定値以上か否かをユーザに通知することができる。
【0020】
ここで、圧力通知機構50の詳細な構成および動作について、
図5A~
図5Bを参照しながら説明する。
図5A~
図5Bは、圧力通知機構50のピン部材51およびその周辺の断面図(
図1の線B-BにおけるYZ断面図)を示している。
図5Aは、内鍋3の内部圧力が所定値未満である状態を示しており、
図5Bは、内鍋3の内部圧力が所定値以上である状態を示している。
【0021】
圧力通知機構50は、Z軸方向に延設されたピン部材51と、内鍋3の内部と外部とを連通するように内蓋14に設けられた連通管52とを有する。ピン部材51は、連通管52の流路を塞ぐように当該流路を貫通し、Z軸方向にスライド可能に構成される。また、連通管52は、内蓋14の開口(連通孔)を規定する部材として、および/または、ピン部材51をスライド可能に支持する支持部材として理解されてもよい。
【0022】
圧力通知機構50では、内鍋3の内部圧力が所定値未満である場合、ピン部材51は、
図5Aに示されるように、自重により第1ピン位置P
N1(以下では、低圧位置P
N1と呼ぶことがある)に配置される。一方、内鍋3の内部圧力が所定値以上である場合、ピン部材51は、内鍋3の内部圧力によって+Z方向に押圧され、
図5Bに示されるように、低圧位置P
N1より+Z方向側の第2ピン位置P
N2(以下では、高圧位置P
N2と呼ぶことがある)に配置される。このとき、蓋部2の上面からのピン部材51の突出量は、低圧位置P
N1より高圧位置P
N2の方が大きくなるため、ユーザは、その突出量に基づいて、内鍋3の内部圧力が所定値以上であることを確認できる。なお、内鍋3の内部圧力が高い状態か否かを判断するための所定値は、ピン部材51の質量(重さ)によって規定され、任意に設定されうる。
【0023】
また、本実施形態の圧力通知機構50は、固定機構30のレバー31がユーザ操作によって固定位置PF1から解除位置PF2に移動することを制限する第2制限機構の一部として用いられうる。圧力通知機構50を用いた第2制限機構の詳細な構成例については後述する。
【0024】
[固定機構]
次に、蓋部2の固定機構30の構成および動作について、
図6A~
図6Bおよび
図7A~
図7Bを参照しながら説明する。
図6A~
図6Bには、レバー31を固定位置P
F1に配置し、固定機構30により本体部1と蓋部2とを固定した状態を示している。
図6Aは、蓋部2の固定機構30を上方(+Z方向)から見た図を示しており、
図6Bは、蓋部2の固定機構30の斜視図を示している。また、
図7A~
図7Bは、レバー31を解除位置P
F2に配置し、固定機構30による本体部1と蓋部2との固定を解除した状態を示している。
図7Aは、蓋部2の固定機構30を上方(+Z方向)から見た図を示しており、
図7Bは、蓋部2の固定機構30の斜視図を示している。なお、
図6A~
図6Bおよび
図7A~
図7Bの各図では、蓋部2の固定機構30の構成を分かり易くするため、蓋部2の外装カバーなど、固定機構30の構成の説明に関係しない部品の図示を省略している。
【0025】
固定機構30は、例えば
図6A~
図6Bに示されるように、レバー31と、第1篏合部材32(第1固定部材)と、第2篏合部材33(第2固定部材)とを備えうる。レバー31は、ユーザ操作により、固定位置P
F1と解除位置P
F2との間で移動可能に構成されうる。前述したように、固定位置P
F1は、本体部1と蓋部2とを固定する際に配置されるレバー31の位置であり、解除位置P
F2は、本体部1と蓋部2との固定を解除する際に配置されるレバー31の位置である。また、第1篏合部材32および第2篏合部材33の各々は、蓋部2が本体部1に取り付けられた状態において、収容部10のフランジ10aと内蓋14との重なり部分に篏合可能に構成された部材である。そして、第1篏合部材32および第2篏合部材33は、本体部1の収容部10および内蓋14を介して対向する位置(本実施形態では、収容部10の-Y方向側および+Y方向側)に配置されうる。
【0026】
第1篏合部材32は、例えば
図6Aに示されるように、収容部10のフランジ10a(-Y方向側の一部)と内蓋14との重なり部分(第1重なり部分R1)に篏合することで本体部1と蓋部2とを固定するための部材である。第1篏合部材32は、収容部10の-Y方向側に配置され、Y軸方向へのレバー31の移動に従ってY軸方向に移動可能に構成されている。本実施形態の場合、第1篏合部材32は、第1重なり部分R1に篏合することができるようにコの字型の断面形状(
図4参照)を有しており、+Z方向側(上方)から見た場合には、収容部10のフランジ10a(-Y方向側の一部)に沿って湾曲した湾曲形状(円弧形状)を有している。
【0027】
また、第1篏合部材32は、例えば
図6A~
図6Bに示されるように、第1アーム部材34aと第1連結部材35aとを介してレバー31に連結されている。第1アーム部材34aは、内蓋14における-Y方向側の端部と中央部との間においてY軸方向に延設された板状の部材であり、内蓋14の上方に配置されうる。第1アーム部材34aの-Y方向側の端部は第1篏合部材32に接続され、第1アーム部材34aの+Y方向側の端部は第1連結部材35aに接続される。第1アーム部材34aは、例えば金属等によって構成されうる。第1連結部材35aは、第1アーム部材34aの+Y方向側の端部とレバー31とを連結するようにY軸方向に延設された部材であり、第1アーム部材34の上方に配置されうる。第1連結部材35aは、例えばプラスティックや樹脂等によって構成されうる。このような構成により、Y軸方向へのレバー31の移動に従って第1篏合部材32をY軸方向へ移動させることができる。なお、第1篏合部材32は、第1アーム部材34aを含むものとして理解されてもよく、或いは、第1アーム部材34aおよび第1連結部材35aを含むものとして理解されてもよい。
【0028】
第2篏合部材33は、例えば
図6Aに示されるように、収容部10のフランジ10a(+Y方向側の一部)と内蓋14との重なり部分(第2重なり部分R2)に篏合することで本体部1と蓋部2とを固定するための部材である。第2篏合部材33は、収容部10の+Y方向側に配置され、Y軸方向へのレバー31の移動に従ってY軸方向に移動可能に構成されている。本実施形態の場合、第2篏合部材33は、第2重なり部分R2に篏合することができるようにコの字型の断面形状(
図4参照)を有しており、+Z方向側(上方)から見た場合には、収容部10のフランジ10a(+Y方向側の一部)に沿って湾曲した湾曲形状(円弧形状)を有している。
【0029】
また、第2篏合部材33は、例えば
図6A~
図6Bに示されるように、第2アーム部材34bと第2連結部材35bとリンク機構36とを介してレバー31(第1連結部材35a)に連結されている。第2アーム部材34bは、内蓋14における+Y方向側の端部と中央部との間においてY軸方向に延設された板状の部材であり、内蓋14の上方に配置されうる。第2アーム部材34bの+Y方向側の端部は第2篏合部材33に接続され、第2アーム部材34bの-Y方向側の端部は第2連結部材35bに接続される。第2アーム部材34bは、例えば金属等によって構成されうる。第2連結部材35bは、リンク機構36を介して第2アーム部材34bの-Y方向側の端部とレバー31(第1連結部材35a)とを連結するための部材であり、第2アーム部材34bの上方に配置されうる。第2連結部材35bは、例えばプラスティックや樹脂等によって構成されうる。このような構成により、Y軸方向へのレバー31の移動に従って第2篏合部材33をY軸方向に移動させることができる。なお、第2篏合部材33は、第2アーム部材34bを含むものとして理解されてもよく、或いは、第2アーム部材34bおよび第2連結部材35bを含むものとして理解されてもよい。
【0030】
リンク機構36は、レバー31の移動に応じて、第1篏合部材32の移動方向と反対方向に第2篏合部材33を移動させるように構成されている。本実施形態のリンク機構36は、例えば
図6A~
図6Bに示されるように、第1リンク部材36aおよび第2リンク部材36bによって構成されるパンタグラフ式のリンク機構である。第1リンク部材36aおよび第2リンク部材36bは、共通の軸部材36cに連結され、軸部材36cへの連結部分(軸部材36cが貫通している部分)で互いに交差している。そして、第1リンク部材36aは、一方の端部で第1連結部材35a(第1篏合部材32)に連結され、他方の端部で第2連結部材35b(第2篏合部材33)に連結されている。また、第2リンク部材36bも同様に、一方の端部で第1連結部材35a(第1篏合部材32)に連結され、他方の端部で第2連結部材35b(第2篏合部材33)に連結されている。この構成により、軸部材36cの中心部を通り且つX軸方向に平行な線に対して対称的に、第1篏合部材32と第2篏合部材33とをY軸方向に移動させることができる。即ち、
図6A~
図6Bに示されるようにレバー31および第1篏合部材32を-Y方向に移動させた場合には、第2篏合部材33を+Y方向に移動させることができる。一方、
図7A~
図7Bに示されるようにレバー31および第1篏合部材32を+Y方向に移動させた場合には、第2篏合部材33を-Y方向に移動させることができる。なお、リンク機構36は、第1連結部材35aおよび第2連結部材35bを含むものとして理解されてもよい。
【0031】
このように構成された固定機構30では、ユーザ操作によりレバー31が解除位置P
F2から固定位置P
F1に移動した場合、そのレバー31の移動に従って、第1篏合部材32および第2篏合部材33の各々が、収容部10に近づく方向に移動する。即ち、
図6A~
図6Bに示されるように、第1篏合部材32が+Y方向に移動して第1重なり部分R1に篏合するとともに、第2篏合部材33が-Y方向に移動して第2重なり部分R2に篏合する。これにより、収容部10と内蓋14とを固定し、本体部1と蓋部2とを固定することができる。一方、ユーザ操作によりレバー31が固定位置P
F1から解除位置P
F2に移動した場合、そのレバー31の移動に従って、第1篏合部材32および第2篏合部材33の各々が、収容部10から離れる方向に移動する。即ち、
図7A~
図7Bに示されるように、第1篏合部材32が-Y方向に移動して第1重なり部分R1への第1篏合部材32の篏合が解除されるとともに、第2篏合部材33が+Y方向に移動して第2重なり部分R2への第2篏合部材33への篏合が解除される。これにより、収容部10と内蓋14との固定を解除し、本体部1と蓋部2との固定を解除することができる。
【0032】
上述したように、本実施形態の固定機構30では、収容部10のフランジ10aと内蓋14との重なり部分に篏合可能にそれぞれ構成された第1篏合部材32および第2篏合部材33が、収容部10および内蓋14を介して対向する位置に配置される。これにより、収容部10と内蓋14とを強固に固定することができる。即ち、本体部1と蓋部2とを強固に固定することができる。また、本実施形態の固定機構30では、リンク機構36を用いることにより、ユーザがレバー31を操作するだけで第1篏合部材32および第2篏合部材33の双方を同時に移動させることができる。そのため、本体部1に対する蓋部2の開閉動作を容易に行うことができ、ユーザの利便性が向上しうる。つまり、本実施形態の加熱調理器100の構成によれば、本体部1に対する蓋部2の強固な固定と、本体部1に対する蓋部2の容易な開閉とを両立させることができる。
【0033】
[第1制限機構]
次に、固定機構30のレバー31がユーザ操作によって固定位置P
F1から解除位置P
F2に移動することを制限するための第1制限機構について、
図8A~
図8Cを参照しながら説明する。前述したように、第1制限機構は、蓋部2のロック機構40によって構成されうるため、ここではロック機構40の構成について説明する。
図8A~
図8Cは、蓋部2のロック機構40の構成例を示す図であり、
図8Aには、ロック機構40の一部の拡大図が示されている。
図8A~
図8Cでは、ロック機構40の構成を分かり易くするため、ロック機構40およびそれに関連する部材(固定機構30の第1連結部材35a、第2連結部材35b、リンク機構36など)のみを図示し、ロック機構40の構成の説明に関係しない部品の図示を省略している。また、
図8A~
図8Cでは、図を分かり易くするため、固定機構30のレバー31およびロック機構40のスイッチ41の図示を省略している。各図において、レバー31は、第1連結部材35aの部分Aに取り付けられ、スイッチ41は、後述する解除部材43の部分Bに取り付けられる。
【0034】
ここで、
図8A~
図8Cでは、ロック機構40およびそれに関連する部材を収容するケース45が図示されている。ケース45は、後述するロック機構40のロック部材42および解除部材43の移動を案内(ガイド)する案内部材、および/または、固定機構30の第1連結部材35aおよび第2連結部材35bの移動を案内(ガイド)する案内部材として構成されうる。また、ケース45は、ロック機構40の一部として理解されてもよい。
【0035】
まず、ロック機構40の構成について、
図8Aを参照しながら説明する。ロック機構40は、例えば、スイッチ41と、ロック部材42と、解除部材43とを備えうる。
【0036】
スイッチ41は、前述したように、ロック機構40(ロック部材42)によるレバー31のロックを解除する際、即ち、固定位置P
F1から解除位置P
F2へのレバー31の移動の制限を解除する際にユーザによって操作される部品である。スイッチ41は、
図8Aでは不図示であるが、-Y方向に付勢された解除部材43の部分Bに取り付けられており、通常時(ロック解除状態)では位置P
L1に配置されているが、解除位置P
F2へのレバー31の移動の制限を解除する際には、ユーザ操作により位置P
L2へ+Y方向にスライド可能に構成される。ユーザ操作による位置P
L2へのスイッチ41の移動に従って、スイッチ41が取り付けられた解除部材43も+Y方向に移動しうる。
【0037】
ロック部材42は、固定機構30の第1連結部材35aに設けられた第1被係合部37に係合することにより、レバー31が固定位置PF1に位置する状態でレバー31をロックするための部材である。ロック部材42は、スイッチ41および解除部材43が移動可能な第1軸方向(本実施形態ではY軸方向)と交差する第2軸方向(本実施形態ではX軸方向)に移動可能に構成されており、バネ部材などの付勢部材(不図示)により+X方向(即ち、第1連結部材35aに向かう方向)に付勢されている。また、ロック部材42は、-X方向側の端部に、+Z方向に向かって突起した突起部42aを有する。突起部42aは、後述する解除部材43の爪部43a(傾斜面43b)が当接する傾斜面42bを有し、解除部材43の+Y方向への移動をロック部材42の-X方向への移動に変換するための変換機構の一部として機能しうる。
【0038】
解除部材43は、ロック部材42によりレバー31が固定位置PF1でロックされている状態、即ち、ロック部材42が第1連結部材35の第1被係合部37に係合している状態を解除するための部材であり、X軸方向に移動可能に構成されている。解除部材43は、バネ部材などの付勢部材(不図示)により-Y方向に付勢されており、ユーザ操作によるスイッチ41の+Y方向への移動に従って+Y方向に移動しうる。また、解除部材43は、-X方向に突出した爪部43aを有する。爪部43aは、解除部材43の+Y方向への移動をロック部材42の-X方向への移動に変換するための変換機構の一部として機能しうる。具体的には、爪部43aは、ロック部材42に設けられた突起部42aの傾斜面42bに当接する傾斜面43bを有し、+Y方向へのスイッチ41のスライド(即ち、+Y方向への解除部材43の移動)に応じて傾斜面43bで突起部42aの傾斜面42bを押圧する。これにより、ロック部材42を-X方向に移動させ(押し動かし)、第1被係合部37へのロック部材42の係合(即ち、ロック部材42によるレバー31のロック)を解除することができる。さらに、爪部43aは、-Y方向側に段差43cを有し、傾斜面43bが突起部42aの傾斜面42を抜け出した場合に突起部42aに引っ掛かるように構成されている。これにより、第1被係合部37へのロック部材42の係合を解除したロック解除状態を保持(維持)することができる。
【0039】
次に、ロック機構40の動作について、
図8A~
図8Cを参照しながら説明する。ここでは、固定位置P
F1でのレバー31のロックを解除する際のロック機構40の動作について説明する。
【0040】
図8Aは、第1連結部材35aの第1被係合部37にロック部材42が係合している状態、即ち、固定機構30のレバー31が固定位置P
F1でロックされている状態を示している。この状態では、解除部材43は-Y方向に付勢されているとともに、ロック部材42は+X方向に付勢されて第1被係合部37に係合している。
【0041】
ここで、第1被係合部37は、
図8Aに示されるように、固定機構30のレバー31が固定位置P
F1に配置されている状態でロック部材42が係合する部分であり、第1連結部材35aの-X方向側の面から+X方向に切り込まれた凹部(溝部)として構成されうる。ロック部材42は、第1被係合部37に係合した状態において、第1被係合部37の+Y方向側の面37aに当接することにより、レバー31を固定位置P
F1でロックすることができる。第1被係合部37は、後述する第2被係合部38より+X方向への切り込み量が大きくなるように構成されうる。
【0042】
ユーザ操作によりスイッチ41が+Y方向にスライドされると、
図8Bに示されるように、スイッチ41のスライドに従って解除部材43も+Y方向に移動する。このとき、解除部材43の爪部43a(傾斜面43b)によってロック部材42の突起部42a(傾斜面42b)が押されるため、ロック部材42が-X方向に移動し、第1被係合部37へのロック部材42の係合が解除される。そして、解除部材43が+Y方向に更に移動して解除部材43の爪部43a(傾斜面43b)を抜け出すと、爪部43aの段差43cがロック部材42の突起部42aに引っ掛かる。これにより、第1被係合部37へのロック部材42の係合を解除したロック解除状態を保持することができるとともに、固定機構30のレバー31を解除位置P
F2に移動させることが可能となる。
【0043】
ロック解除状態でユーザ操作により固定機構30のレバー31が解除位置P
F2に移動すると、
図8Cに示されるように、ロック部材42は、レバー31の移動に従って、第1連結部材35aのスロープ部39に沿って-X方向に移動し、第1連結部材35aの第2被係合部38に係合する(配置される)。このとき、ロック部材42の突起部42aへの解除部材43の爪部43aの引っ掛かりが解除され、スイッチ41が位置P
L1に戻る。
【0044】
ここで、第2被係合部38は、
図8Cに示されるように、固定機構30のレバー31が解除位置P
F2に配置されている状態でロック部材42が係合する部分であり、第1連結部材35aの-X方向側の面から+X方向に切り込まれた凹部(溝部)として構成されうる。ロック部材42は、第2被係合部38に係合した状態において、第2係合部38の+Y方向側の面38aに当接することにより、レバー31が解除位置P
F2から更に-Y方向に移動することを制限することができる。また、スロープ部39は、第1被係合部37と第2被係合部38との間に設けられる。スロープ部39は、解除位置P
F2へのレバー31の移動(即ち、第1連結部材35の-Y方向への移動)に応じてロック部材42を-X方向に移動させて第2被係合部38に係合(配置)させるように構成されうる。
【0045】
本実施形態の加熱調理器100は、上述したロック機構40を設け、固定機構30を操作するのに先立ってロック機構40によるロックを解除しなければならない構成とした。このような2段階の解除機構を採用することで、ユーザが誤って固定機構30に触れてしまった場合であっても、先にロック機構40によりロック状態が解除されていない限りは本体部1と蓋部2との固定は解除されることはない。この構造は内鍋3の内部圧力が高い状態において特に有効であり、一般的に内部圧力が高い状態においてはロックが外れやすくなるおそれがあるが、ロック機構40と固定機構30との両方が同時に解除されない限り蓋部2は開かないので、加熱調理器100の安全性を向上させることができる。
【0046】
[第2制限機構]
固定機構30のレバー31がユーザ操作によって固定位置P
F1から解除位置P
F2に移動することを制限するための第2制限機構について、
図9A~
図9Bを参照しながら説明する。第2制限機構は、前述したように、圧力通知機構50を用いて構成されうる。
図9A~
図9Bは、蓋部2の第2制限機構の構成を説明するための図である。これらの図では、蓋部2の第2制限機構の構成を分かり易くするため、蓋部2の外装カバーなど、第2制限機構の構成の説明に関係しない部品の図示を省略している。
図9Aは、固定機構30のレバー31が固定位置P
F1に配置されている状態を示している。
図9Aでは、内鍋3の内部圧力が所定値以上であり、圧力通知機構50のピン部材51が高圧位置P
N2に配置されている。また、
図9Bは、レバー31が解除位置P
F2に配置された状態を示している。
図9Bでは、内鍋3の内部圧力が所定値未満であり、圧力通知機構50のピン部材51が低圧位置P
N1に配置されている。
【0047】
まず、第2制限機構の構成について、
図9Aを参照しながら説明する。第2制限機構は、圧力通知機構50のピン部材51と板部材60とを備え、圧力通知機構50のピン部材51が高圧位置P
N2に配置されている状態において、ユーザ操作により固定機構30のレバー31が解除位置P
F2に移動することを制限するように構成される。圧力通知機構50のピン部材51は、前述したように、内鍋3の内部圧力が所定値未満である場合に低圧位置P
N1に配置され(
図9B参照)、内鍋3の内部圧力が所定値以上である場合に、低圧位置P
N1より+Z方向側の高圧位置P
N2に配置される(
図9A参照)。また、ピン部材51は、低圧位置P
N1に配置された状態で板部材60の高さに位置する第1部分51aと、高圧位置P
N2に配置された状態で板部材60の高さに位置し、第1部分51aの径より大きい径を有する第2部分51bとを含みうる。
【0048】
板部材60は、固定部材30のレバー31に連結され且つレバー31の移動に従って移動するように構成された板状の部材であり、例えば金属等によって構成されうる。本実施形態の場合、板部材60は、第2アーム部材34aに取り付けられている(固定されている)が、それに限られず、固定機構30を構成する他の部材(例えば、レバー31、第1篏合部材32、第2篏合部材33、第1アーム部材34a、第1連結部材35a、第2連結部材35bなど)に取り付けられていてもよい。
【0049】
また、板部材60は、ピン部材51が貫通する開口部61を有する。当該開口部61は、固定機構30のレバー31が固定位置PF1にある場合にピン部材51が位置する第1領域61aと、レバー31が解除位置PF2にある場合にピン部材51が位置する第2領域61bとを有する。開口部61の第1領域61aは、ピン部材51の第1部分51aだけでなく第2部分51bも位置(貫通)することができるように、第2部分51bの径より大きい寸法を有する。一方、開口部61の第2領域61bは、第1領域61aに連続するように第1領域61aの-Y方向側に形成された孔(溝)であり、高圧位置PN2にあるピン部材51が配置されないように構成されている。つまり、第2領域61bは、ピン部材51の第1部分51aのみが配置される(貫通する)ように、即ち、ピン部材51の第2部分51bが配置されない(貫通しない)ように、第2部分51bの径より小さく且つ第1部分51aの径より大きい寸法(幅)を有する。
【0050】
次に、第2制限機構の動作について、
図9A~
図9Bを参照しながら説明する。第2制限機構では、固定機構30のレバー31が固定位置P
F1に配置されると、ピン部材51が、板部材60の開口部61の第1領域61aに配置される。この状態において、内鍋3の内部圧力が所定値以上となってピン部材51が高圧位置P
N2に配置された場合、
図9Aに示されるように、ピン部材51の第2部分51bが板部材60の高さに配置される。前述したように、板部材60の開口部61の第2領域61bは、ピン部材51の第2部分51bの径より小さい寸法を有するため、この場合、ピン部材51は、当該第2領域61bを通過することができない。即ち、固定機構30のレバー31が解除位置P
F2に移動することを制限することができる。一方、内鍋3の内部圧力が所定値未満となってピン部材51が低圧位置P
N1に配置された場合、
図9Bに示されるように、ピン部材51の第1部分51aが板部材60の高さに配置される。前述したように、板部材60の開口部61の第2領域61bは、ピン部材51の第1部分51aの径より大きい寸法を有するため、この場合、ピン部材51は、当該第2領域61bを通過することが可能となる。即ち、レバー31を解除位置P
F2に移動させることが可能となる。
【0051】
本実施形態の加熱調理器100は、上述した第2制限機構(圧力通知機構50、板部材60)を設けることにより、仮にロック機構40が解除され、固定機構30が操作された場合であっても、内鍋3の内部圧力が高い状態においては固定機構30のロックが解除されないような構成とすることができる。これにより、ユーザが誤って固定機構30による本体部1と蓋部2との固定を解除しようとしても、内部圧力が安全なレベルにまで下がらない限りは解除ができないので、加熱調理器100の安全性を向上させることができる。ここで、本実施形態の第2制限機構は、上述したように、固定機構30を構成する部材に板部材60を取り付けて、ユーザによる固定機構30の操作を制限する機構として、即ち、固定位置PF1から解除位置PF2へのレバー31の移動を制限する機構として機能させた。しかしながら、それに限られず、ロック機構40を構成する部材に板部材60を取り付けて、ロック機構40におけるレバー31のロックの解除を制限する機構として機能させてもよい。
【0052】
[第3制限機構]
本実施形態の加熱調理器100は、固定機構30により本体部1と蓋部2とが固定されていない場合に内鍋3の加熱処理を制限する第3制限機構を更に備えうる。内鍋3の加熱処理の制限としては、例えば、加熱処理を開始させないこと、加熱処理を中止(停止)することの少なくとも一方を含みうる。以下に、第3制限機構について、
図9A~
図9Bを参照しながら説明する。
【0053】
第3制限機構は、例えば
図9Aに示されるように、固定機構30による本体部(収容部10)と蓋部2(内蓋14)との固定を検出する検出部70を含みうる。検出部70は、第1篏合部材32および第2篏合部材33の少なくとも一方のY軸方向の位置に基づいて、本体部1と蓋部2との固定を検出するように構成されうる。本実施形態の場合、検出部70は、第1篏合部材32および第2篏合部材33の少なくとも一方のY軸方向の位置に応じて互いの距離が変化するように構成された固定子71および可動子72を含み、固定子71と可動子72との距離に基づいて本体部1と蓋部2との固定を検出するように構成される。例えば、検出部70は、固定子71と、可動子72を有するアーム部材73と、アーム部材73を回動させる当接部材74とを有する。固定子71は本体部1(可動子72が接近する位置)に設けられ、アーム部材73(可動子72)および当接部材74は蓋部2に設けられる。固定子71としては、例えばホールICが用いられ、可動子72としては磁石が用いられうる。
【0054】
アーム部材73は、例えば、X軸方向に延設された部材であり、一方の端部に可動子72を含み、他方の端部を中心として回動自在に構成されうる。アーム部材73は、バネ部材などの付勢部材(不図示)により、固定子71と可動子72とが近づくように付勢されている。
【0055】
当接部材74は、第1篏合部材32および第2篏合部材33の少なくとも一方に当接し、当該少なくとも一方の移動に従ってY軸方向に移動可能に構成される。本実施形態の場合、当接部材74は、第2篏合部材33に当接し、第2篏合部材33の移動に従ってY軸方向に移動可能に構成されうる。当接部材74は、バネ部材などの付勢部材(不図示)により-Y方向に付勢されている。
【0056】
また、当接部材74は、-Y方向に向かうにつれて+Z方向に変位しているスロープ部74aを有し、第2篏合部材33によって押圧されて+Y方向に移動した場合に、スロープ部74aに沿ってアーム部材73を+Z方向に押し上げる。例えば、第2篏合部材33が収容部10から離れる方向(+Y方向)に移動した場合、
図9Bに示されるように、第2篏合部材33の移動に従って+Y方向に移動し、アーム部材73を押し上げて可動子72を固定子71から遠ざける。この場合、制御部12は、検出部70の検出結果(固定子71の出力)に基づいて、本体部1と蓋部2との固定が解除されている状態であると判断し、加熱部11による内鍋3の加熱処理を制限することができる。一方、当接部材74は、第2篏合部材33が収容部10に近づく方向(-Y方向)に移動した場合、
図9Aに示されるように、付勢部材により付勢されて-Y方向に移動する。そして、アーム部材73は、可動子72を固定子71に近づけるように回動する。この場合、制御部12は、検出部70の検出結果(固定子71に出力)に基づいて、本体部1と蓋部2とが固定されている状態であると判断し、加熱部11による内鍋3の加熱処理を実行することができる。
【0057】
本実施形態の加熱調理器100は、上述した第3制限機構(検出部70)を設けることにより、本体部1と蓋部2とが固定されていない状態で内鍋3の加熱処理を実行することを回避することができる。つまり、加熱調理器100の安全性を向上させることができる。
【0058】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1:本体部、2:蓋部、3:内鍋、10:収容部、11:加熱部、12:制御部、13:操作部、14:内蓋、30:固定機構、40:ロック機構、50:圧力通知機構、60:板部材、70:検出部
【要約】
【課題】本体部に対する蓋部の強固な固定と蓋部の容易な開閉とを両立させることが可能な加熱調理器を提供する。
【解決手段】内鍋を加熱制御する加熱調理器は、前記内鍋を収容可能な収容部を有し、前記収容部に収容された前記内鍋を加熱制御する本体部と、前記本体部に取り付けられる蓋部と、を備え、前記蓋部は、内蓋と、前記収容部に対して前記内蓋を固定するための固定機構と、を有し、前記固定機構は、ユーザ操作により第1操作位置と第2操作位置との間で移動可能な操作部と、前記収容部と前記内蓋との重なり部分に篏合可能に構成された第1篏合部材および第2篏合部材と、を有し、前記第1篏合部材および前記第2篏合部材は、前記第1操作位置への前記操作部の移動に従って前記収容部に近づく方向に移動して前記重なり部分に篏合し、前記第2操作位置への前記操作部の移動に従って前記収容部から離れる方向に移動して前記重なり部分への篏合を解除する。
【選択図】
図1