(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】クッション体の製造方法
(51)【国際特許分類】
A47C 27/14 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
A47C27/14 A
A47C27/14 B
(21)【出願番号】P 2022094931
(22)【出願日】2022-06-13
【審査請求日】2022-07-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】野々村 琢人
(72)【発明者】
【氏名】和田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】茂木 秀暁
(72)【発明者】
【氏名】青木 真理
(72)【発明者】
【氏名】池田 奨
【審査官】黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-63316(JP,A)
【文献】特開2014-61126(JP,A)
【文献】国際公開第2017/210717(WO,A1)
【文献】実公昭44-13645(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向、及び前記第1方向に交差する第2方向に延在する上面と、
前記第1方向及び前記第2方向に延在すると共に、前記上面から前記第1方向及び前記第2方向の双方に交差する第3方向に離隔した下面と、を備え、
前記下面が、前記下面から窪むと共に前記第1方向に延在するスリットを有する、クッション体の製造方法であって、
前記クッション体の構成材料からなるブロック体を準備する工程と、
前記ブロック体を切断して、前記下面を有する複数の中間ブロックを取得する工程と、
複数の前記中間ブロックの前記下面に前記スリットを形成する工程と、
複数の前記中間ブロックの前記下面とは反対側の面を貼り合わせる工程と、
前記貼り合わせる工程において貼り合わされた面の上下で蛇行する切断ラインに沿って複数の前記中間ブロックを切断する工程と、
を備える、
クッション体の製造方法。
【請求項2】
前記スリットを形成する工程では、複数の前記中間ブロックのそれぞれの前記下面に前記スリットを形成し、
前記貼り合わせる工程では、前記スリットを形成した後に複数の前記中間ブロックの前記下面とは反対側の面同士を貼り合わせる、
請求項1に記載のクッション体の製造方法。
【請求項3】
複数の前記中間ブロックを取得する工程、及び前記スリットを形成する工程が同時に実行され、
複数の前記中間ブロックを取得する工程、及び前記スリットを形成する工程では、前記ブロック体を切断しながら前記スリットを形成する、
請求項1又は2に記載のクッション体の製造方法。
【請求項4】
前記スリットは、
前記下面から前記第3方向に延在する延在部と、
前記延在部の前記下面とは反対側の端部において前記延在部から前記第2方向に拡張する拡張部と、
を有し、
前記拡張部は、複数の平坦面によって画成されている、
請求項1又は2に記載のクッション体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用者の身体が載せられるクッション体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2000-166707号公報には、クッション材及びその製造方法が記載されている。クッション材は、上面に凹部及び凸部からなる凹凸形状を有する。クッション材の凸部は、最下層に位置する高通気性ウレタンフォーム、中央に位置する高密度ウレタンフォーム、及び最上層に位置する高通気性ウレタンフォームからなる3層構造を有する。
【0003】
クッション材の製造方法では、まず、高密度ウレタンフォームの上下面のそれぞれに高通気ウレタンフォームを接着剤等によって貼り合わせて三層構造体を作製する。次に、三層構造体の厚さ方向の中央に対して上下に蛇行する切断面に沿って三層構造体を切断する。この切断によって一対のクッション材が作製される。
【0004】
上記の切断は、プロファイル加工機によって行われる。プロファイル加工機は、一対のロールと、一対のロールによる送り方向の出口中央部に配置される切断刃とを備える。各ロールの表面には、クッション材の凹凸形状を形成するための凹凸セグメントが形成されている。
【0005】
一対のロールの間に三層構造体が送り込まれると、三層構造体は一対の凹凸セグメントによって厚み方向に圧縮される。このとき、三層構造体を凹凸セグメントの凹凸形状に倣わせて圧縮変形し、出口側の切断刃で厚み方向の中央部を切断すると、上下に蛇行する切断面に沿って三層構造体が切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上面に凹凸が形成され、且つ下面にスリットが形成されたクッション体が知られている。上面に凹凸が形成され、且つ下面にスリットが形成されたクッション体では、クッション体に使用者の身体が載せられたときに身体の荷重をより効果的に分散できるので、クッション性を高めることが可能である。
【0008】
しかしながら、上記のクッション体の製造方法として、上面に凹凸を形成した後に下面にスリットを形成する場合には、凹凸が形成されたクッション体の凹凸とは反対側の下面にスリットを形成しなければならないのでスリットの形成が難しいという問題が生じうる。従って、クッション体にスリットを効率よく形成できることが求められる。
【0009】
本開示は、クッション性を高めることができ、スリットを効率よく形成できるクッション体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係るクッション体の製造方法は、(1)第1方向、及び第1方向に交差する第2方向に延在する上面と、第1方向及び第2方向に延在すると共に、上面から第1方向及び第2方向の双方に交差する第3方向に離隔した下面と、を備え、下面が、下面から窪むと共に第1方向に延在するスリットを有する、クッション体の製造方法である。クッション体の製造方法は、クッション体の構成材料からなるブロック体を準備する工程と、ブロック体を切断して、下面を有する複数の中間ブロックを取得する工程と、複数の中間ブロックの下面にスリットを形成する工程と、複数の中間ブロックの下面とは反対側の面を貼り合わせる工程と、貼り合わせる工程において貼り合わされた面の上下で蛇行する切断ラインに沿って複数の中間ブロックを切断する工程と、を備える。
【0011】
この製造方法では、クッション体の構成材料からなるブロック体が準備され、ブロック体が切断されることによって複数の中間ブロックが得られる。複数の中間ブロックの下面にスリットが形成される。そして、複数のクッション体が貼り合わされた面に対して上下に蛇行する切断ラインに沿って複数の中間ブロックが切断される。この切断によって、スリットが形成された下面とは反対側の上面に凹凸を形成することができる。従って、クッション性が高いクッション体を製造できる。更に、スリットは、複数の中間ブロックが切断ラインに沿って切断される前に形成される。従って、凹凸を形成する前に中間ブロックの段階でスリットが形成されるので、スリットを容易に形成することができる。よって、クッション体へのスリットの形成を効率よく行うことができる。
【0012】
(2)上記(1)において、スリットを形成する工程では、複数の中間ブロックのそれぞれの下面にスリットを形成し、貼り合わせる工程では、スリットを形成した後に複数の中間ブロックの下面とは反対側の面同士を貼り合わせてもよい。この場合、複数の中間ブロックのそれぞれの下面にスリットが形成され、スリットが形成された後に複数の中間ブロックの下面とは反対側の面同士が貼り合わされる。そして、貼り合わされた面の上下に蛇行する切断ラインに沿って複数の中間ブロックが切断される。この切断によって、スリットが形成された下面とは反対側の上面に凹凸を形成することができる。
【0013】
(3)上記(1)又は(2)において、複数の中間ブロックを取得する工程、及びスリットを形成する工程が同時に実行されてもよく、複数の中間ブロックを取得する工程、及びスリットを形成する工程では、ブロック体を切断しながらスリットを形成してもよい。この場合、ブロック体を切断しながらスリットが形成されるので、スリットの形成を一層効率よく行うことができる。
【0014】
(4)上記(1)~(3)のいずれかにおいて、スリットは、下面から第3方向に延在する延在部と、延在部の下面とは反対側の端部において延在部から第2方向に拡張する拡張部と、を有してもよく、拡張部は、複数の平坦面によって画成されていてもよい。この場合、スリットの拡張部が複数の平坦部によって画成されるので、スリットを一層容易に形成できる。更に、スリットの拡張部が複数の平坦部によって画成される場合、クッション体のスリットが形成された部分をより凹ませやすくすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、クッション性を高めることができ、スリットを効率よく形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係るクッション体を示す斜視図である。
【
図4】
図3のクッション体のスリットの拡張部を拡大した断面図である。
【
図5】(a)及び(b)は、実施形態に係るクッション体の製造方法の工程を示す図である。
【
図6】(a)及び(b)は、実施形態に係るクッション体の製造方法の工程を示す図である。
【
図7】
図4の拡張部に荷重が付与されたときの状態を説明するための断面図である。
【
図10】(a)及び(b)は、
図9とは別の変形例に係るスリットを示す断面図である。
【
図11】(a)及び(b)は、更なる変形例に係るスリットを示す断面図である。
【
図12】変形例に係るクッション体の製造方法の工程を示す断面図である。
【
図13】変形例に係るクッション体の製造方法の工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照しながら本開示に係るクッション体、及びクッション体の製造方法の実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率及び角度等は図面に記載のものに限定されない。
【0018】
図1は、実施形態に係るクッション体1を示す斜視図である。クッション体1は、例えば、マットレス、布団又はクッション等の寝具として用いられる。本実施形態では、クッション体1がマットレスである例について説明する。クッション体1は、例えば、汚れ防止用のカバーに収容されて使用される。
【0019】
クッション体1は、柔軟性素材によって構成されている。柔軟性素材とは、身体の載置によって変形する柔らかさを備えた素材を示している。クッション体1は、例えば、発泡ウレタンによって構成されている。また、クッション体1は、バイオマスウレタン、軟質発泡性樹脂素材(低反発フォーム、ポリエチレンフォーム、無膜フォーム、若しくはラテックス(天然ゴム)、ポリエステル固綿素材、又は2次元加工機でカッティングできるもの)によって構成されていてもよい。
【0020】
クッション体1は、例えば、使用者の身体が当てられる上面2と、上面2とは反対側を向く下面3とを有する。一例として、上面2には凸部11及び凹部12を含む凹凸が形成されており、下面3は平坦状とされている。凸部11及び凹部12については後に詳述する。
【0021】
クッション体1は、平面視において第1方向D1に延びる短辺1cと、平面視において第1方向D1に交差する第2方向D2に延びる長辺1bとを有する。本実施形態において、第1方向D1はクッション体1の短手方向(幅方向)を示しており、第2方向D2はクッション体1の長手方向を示している。
【0022】
クッション体1は、第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差する方向である第3方向D3に厚みを有する。上面2は、第1方向D1及び第2方向D2の双方に延在している。下面3は、第1方向D1及び第2方向D2に延在すると共に、上面2から第3方向D3に離隔している。
【0023】
クッション体1は、例えば、第3方向D3に突出する複数の凸部11と、第3方向D3に窪む複数の凹部12とを有する。例えば、複数の凸部11は第1方向D1及び第2方向D2のそれぞれに沿って並んでおり、複数の凹部12は第1方向D1及び第2方向D2のそれぞれに沿って並んでいる。すなわち、複数の凸部11、及び複数の凹部12は、クッション体1の上面2において格子状に配列されている。
【0024】
図2は、クッション体1の下面3を示す底面図である。
図1及び
図2に示されるように、下面3は、下面3から窪むと共に第1方向D1に延在するスリット20を有する。例えば、下面3は複数のスリット20を有し、複数のスリット20は第2方向D2に沿って並んでいる。スリット20は、例えば、第1方向D1に沿って直線状に延在している。
【0025】
図3は、
図2のA-A線断面図である。
図3に示されるように、複数の凸部11、及び複数の凹部12は、上面2において波形形状を呈する。スリット20は、下面3から第3方向D3に延在する延在部21と、延在部21の下面3とは反対側の端部において第2方向D2に拡張する拡張部22とを有する。
【0026】
「拡張」とは広がっていることを示しており、「拡張部」はある箇所から広がった部位を示している。本実施形態では、拡張部は、延在部の端部から延在部の延在方向(例えば第3方向D3)とは交差する方向(例えば第2方向D2)に広がっている部位を示している。
図3に示される拡張部22は、延在部21の第3方向D3の端部(上端)から第2方向D2に拡張している。
【0027】
図4は、
図3のスリット20を拡大した断面図である。
図3及び
図4に示されるように、延在部21は、第1方向D1及び第3方向D3に延在する第1面21bと、第1方向D1及び第3方向D3に延在すると共に第1面21bに第2方向D2に沿って対向する第2面21cとによって画成されている。例えば、第1面21b及び第2面21cのそれぞれは平坦状を呈する。
【0028】
第2方向D2及び第3方向D3に延びる平面によって切断されたクッション体1の断面において、例えば、拡張部22は六角形状を呈する。拡張部22は、複数の平坦面25によって画成されている。複数の平坦面25は、延在部21(第1面21b)の下面3とは反対側の端部21dから延在部21に対して傾斜する第1平坦面25bと、第1平坦面25bの延在部21とは反対側の端部から第1平坦面25bに対して傾斜する第2平坦面25cと、延在部21と第3方向D3に沿って対向する第3平坦面25dとを含む。複数の平坦面25は、更に、第2平坦面25cに第2方向D2に沿って対向する第4平坦面25fと、第1平坦面25bに第2方向D2に沿って対向する第5平坦面25gとを含む。
【0029】
第1平坦面25b、第2平坦面25c、第3平坦面25d、第4平坦面25f、及び第5平坦面25gは、共に第1方向D1に沿って延在している。第1平坦面25b、第2平坦面25c、第3平坦面25d、第4平坦面25f及び第5平坦面25gは、第3方向D3に対して傾斜している。第1平坦面25b、第2平坦面25c、第4平坦面25f及び第5平坦面25gは、第2方向D2及び第3方向D3の双方に対して傾斜している。第3平坦面25dは、第2方向D2に沿って延在している。例えば、第1平坦面25bは、延在部21の延在方向(第3方向D3)に対して一定角度θ1だけ傾斜している。一定角度θ1は、例えば、鋭角である(0°より大きく且つ90°より小さい)。一例として、一定角度θ1は30°である。
【0030】
例えば、第1平坦面25bに対する第2平坦面25cの角度θ2、第2平坦面25cに対する第3平坦面25dの角度θ3、第3平坦面25dに対する第4平坦面25fの角度θ4、及び第4平坦面25fに対する第5平坦面25gの角度θ5は、鈍角である(90°より大きく且つ180°より小さい)。第5平坦面25gは、延在部21(第2面21c)の下面3とは反対側の端部21fから延在部21に対して傾斜している。第5平坦面25gは、延在部21の延在方向に対して一定角度θ6だけ傾斜している。一定角度θ6は、例えば、鋭角(一例として30°)である。
【0031】
例えば、拡張部22は、2つの平坦面25の間に位置する複数の角部26を有する。複数の角部26は、例えば、第1平坦面25bと第2平坦面25cの間に位置する第1角部26b、第2平坦面25cと第3平坦面25dの間に位置する第2角部26c、第3平坦面25dと第4平坦面25fの間に位置する第3角部26d、及び第4平坦面25fと第5平坦面25gの間に位置する第4角部26fを含む。
【0032】
例えば、第1角部26b及び第4角部26fは第2方向D2に沿って対向している。すなわち、第1角部26b及び第4角部26fは第2方向D2に沿って並んでいる。また、第1角部26b及び第4角部26fを通る拡張部22の対角線L1は第2方向D2に沿って延在している。
【0033】
スリット20は、延在部21及び拡張部22の間に位置する第1境界角部27bと、第1境界角部27bと第2方向D2に沿って対向する第2境界角部27cとを有する。なお、複数の角部26、第1境界角部27b及び第2境界角部27cのうちの一部は、湾曲面とされていてもよい。この場合、湾曲面とされた角部からの裂けはより確実に抑制される。
【0034】
次に、本実施形態に係るクッション体の製造方法について
図5(a)、
図5(b)、
図6(a)及び
図6(b)を参照しながら説明する。まず、
図5(a)に示されるように、クッション体1の構成材料からなるブロック体Bを準備する(ブロック体を準備する工程)。一例として、ブロック体Bは直方体状を呈する。
【0035】
次に、
図5(b)に示されるように、ブロック体Bを切断して、下面3を有する複数の中間ブロックCを取得する(中間ブロックを取得する工程)。中間ブロックCの大きさ(体積)は、例えば、クッション体1の大きさ(体積)と同程度である。また、各中間ブロックCの下面3にスリット20を形成する(スリットを形成する工程)。
【0036】
例えば、複数の中間ブロックCの取得、及びスリット20の形成は同時に行われる。すなわち、ブロック体Bを切断しながらスリット20を形成する。より具体的には、ブロック体Bをカッターによって切断すると共に当該カッターによってスリット20を形成する。例えば、当該カッターは下面3及びスリット20の各面(第1面21b、第1平坦面25b、第2平坦面25c、第3平坦面25d、第4平坦面25f、第5平坦面25g及び第2面21c)に沿って移動してブロック体Bを切断する。
【0037】
スリット20が形成された複数の中間ブロックCを作製した後には、
図6(a)に示されるように、複数の中間ブロックCの下面3とは反対側の面M同士を貼り合わせる(反対側の面同士を貼り合わせる工程)。例えば、接着剤によって面M同士が貼り合わせられる。
【0038】
面M同士が貼り合わされた2つの中間ブロックCは、
図6(b)に示されるように、貼り合わされた面Mの上下で蛇行する切断ラインXに沿って切断される(複数の中間ブロックを切断する工程)。このとき、2つの中間ブロックCがプロファイル加工によって切断されて、複数の凸部11及び複数の凹部12が形成された上面2が得られ、2枚のクッション体1が完成する。以上の工程を経てクッション体1の製造方法の各工程が完了する。
【0039】
次に、本実施形態に係るクッション体1、及びクッション体の製造方法から得られる作用効果について説明する。
図3及び
図4に示されるように、クッション体1は上面2及び下面3を有し、上面2及び下面3は第3方向D3に互いに離隔している。下面3には、下面3から窪むと共に第1方向D1に延在するスリット20が形成されている。スリット20は下面3から第3方向D3に延在する延在部21と拡張部22とを有し、拡張部22は延在部21の下面3とは反対側の端部において第2方向D2に拡張している。スリット20の拡張部22は複数の平坦面25によって画成されている。
【0040】
このように、拡張部22が複数の平坦面25を有する場合には、
図7に示されるように、2つの平坦面25を互いに接続する角部26を介してクッション体1のスリット20が形成された部分を凹ませやすくすることができる。また、拡張部22を画成する複数の平坦面25のうち少なくとも2つの平坦面25(例えば、第1平坦面25b、第2平坦面25c、第4平坦面25f及び第5平坦面25g)は、第2方向D2及び第3方向D3の双方に対して傾斜している。よって、第2方向D2又は第3方向D3への荷重を受けたときに拡張部22を凹ませやすくすることができる。従って、拡張部22によってクッション体1を潰れやすくすることができるので、クッション性をより高めることができる。
【0041】
本実施形態において、
図4に示されるように、拡張部22は、2つの平坦面25を互いに接続する複数の角部26を有し、2つの角部26同士を結ぶ対角線L1が第2方向D2に延在している。よって、当該2つの角部26(例えば、第1角部26b及び第4角部26f)を介して第2方向D2に交差する第3方向D3に拡張部22をより凹ませやすくすることができる。従って、クッション体1をより潰れやすくすることによってクッション性を一層高めることができる。
【0042】
本実施形態において、拡張部22は、六角形状を呈する。従って、拡張部22の形状を簡易な形状にできるので、複数の平坦面25によって画成された拡張部22を有するスリット20を容易に形成することができる。拡張部22が六角形状を呈する場合、例えば、多方向からの体圧を柔軟に吸収することができるため、体圧が好適に分散され、且つ、良好に身体を支えることができる。
【0043】
本実施形態に係るクッション体の製造方法では、
図5(a)、
図5(b)、
図6(a)及び
図6(b)に示されるように、クッション体1の構成材料からなるブロック体Bが準備され、ブロック体Bが切断されることによって複数の中間ブロックCを得られる。複数の中間ブロックCのそれぞれの下面3にスリット20が形成され、スリット20が形成された後に複数の中間ブロックCの下面3とは反対側の面M同士が貼り合わされる。
【0044】
そして、貼り合わされた面Mの上下に蛇行する切断ラインXに沿って複数の中間ブロックCが切断される。この切断によって、スリット20が形成された下面3とは反対側の上面2に凹凸を形成することができる。従って、クッション性が高いクッション体1を製造できる。更に、スリット20は、複数の中間ブロックCが切断ラインXに沿って切断される前に形成される。従って、凹凸を形成する前に中間ブロックCの作製の段階でスリット20が形成されるので、スリット20を容易に形成することができる。よって、クッション体1へのスリット20の形成を効率よく行うことができる。
【0045】
本実施形態において、複数の中間ブロックCを取得する工程、及びスリット20を形成する工程が同時に実行されてもよく、複数の中間ブロックCを取得する工程、及びスリット20を形成する工程では、ブロック体Bを切断しながらスリット20を形成する。従って、ブロック体Bを切断しながらスリット20が形成されるので、スリット20の形成を一層効率よく行うことができる。更に、スリット20の拡張部22が複数の平坦面25によって画成される場合、スリット20を一層容易に形成できる。
【0046】
以上、実施形態に係るクッション体1について説明した。クッション体1に対しては、更に種々の構成及び機能を付加することが可能である。例えば、クッション体1は、上面2から下面3に向かって、第1軟質層、硬質層及び第2軟質層が並ぶ3層構造を有していてもよい。更に、クッション体1は、上記3層構造を有し、且つ持ち運び可能とされた薄型のマットレスであってもよい。
【0047】
例えば、第1軟質層及び第2軟質層は無膜ウレタンによって構成されている。第1軟質層及び硬質層は凸部11のみに形成されていてもよい。このクッション体1は、例えば
図6(a)において、無膜ウレタンからなる2つの中間ブロックCの間に硬質層が接着固定される。当該クッション体1は、間に硬質層が接着固定された2つの中間ブロックCが、当該硬質層の上下で蛇行する切断ラインXに沿って切断されることによって得られる。
【0048】
また、上面2にスリット20とは異なるスリットが形成されたクッション体1であってもよい。当該スリットは、2本の線状のスリットが交わって(×状となって)形成されていてもよい。当該線状スリットの両端部は円形状に拡張されていてもよい。当該線状スリットは、直線状に延びていてもよいし、波形状となるように湾曲しながら延びていてもよい。当該スリットは、例えば、平面視においてスリット20とは重ならない位置に形成される。
【0049】
例えば、クッション体1は、上面2から下面3に向かって、第1軟質層、第1硬質層、第2軟質層及び第2硬質層が並ぶ4層構造を有していてもよい。例えば、第1硬質層及び第2硬質層は高弾性フォームによって構成されている。第2硬質層の硬度は第1硬質層の硬度より高く、第2硬質層の弾性は第1硬質層の弾性よりも低い。以上のように、クッション体1の層の数、層の材料、及び層の硬度等は適宜変更可能である。
【0050】
次に、変形例に係るクッション体1Aについて
図8を参照しながら説明する。クッション体1Aの一部の構成は、前述したクッション体1の一部の構成と同一である。よって、以下では、クッション体1の説明と重複する説明を同一の符号を付して適宜省略する。
図8に示されるように、クッション体1Aは、上面2とは異なる上面2Aと、上面2Aとは反対側を向く下面3とを有する。
【0051】
上面2Aは、上面2Aから窪むと共に第1方向D1に延在するスリット30を有する。例えば、上面2Aは複数のスリット30を有し、複数のスリット30は第2方向D2に沿って並んでいる。スリット30は、例えば、第1方向D1に沿って直線状に延在している。例えば、平面視(第3方向D3から見た場合)において、スリット30の位置は、スリット20の位置からずれている。しかしながら、スリット30の位置は、この例に限られず適宜変更可能である。更に、スリット30は、スリット20と同一の方向(第1方向D1)に延びていなくてもよく、スリット20とは交差する方向(例えば第2方向D2)に延びていてもよい。
【0052】
スリット30は、上面2から第3方向D3(例えば下方)に延在する延在部31と、延在部31の上面2とは反対側の端部において第2方向D2に拡張する拡張部32とを有する。延在部31及び拡張部32の形状は、例えば、前述した延在部21及び拡張部22の形状と同一である。この場合、延在部31は、第1面21b及び第2面21cを有する。そして、拡張部32は、複数の平坦面25を有する。
【0053】
以上、変形例に係るクッション体1Aでは、上面2Aに、上面2Aから窪むスリット30が形成されている。スリット30は上面2Aから第3方向D3に延在する延在部31と拡張部32とを有し、拡張部32は延在部31の上面2Aとは反対側の端部において第2方向D2に拡張している。このスリット30の拡張部32は複数の平坦面25によって形成されている。よって、2つの平坦面25を互いに接続する角部26を介してクッション体1Aのスリット30が形成された部分を凹ませやすくすることができる。なお、変形例に係るクッション体1Aでは、下面3に形成されたスリット20が省略されてもよい。
【0054】
以上、変形例に係るクッション体1Aについて説明した。クッション体1Aに対しても、更に種々の構成及び機能を付加することが可能である。例えば、クッション体1Aは、上面2Aから下面3に向かって互いに性状が異なる4層構造を有していてもよい。この場合、クッション体1Aは、上面2Aから下面3に向かって、互いに性状が異なる第1層、第2層、第3層及び第4層を有する。例えば、第4層は第2層よりも硬く且つ軽い素材によって構成されている。また、第1層は、第2層、第3層及び第4層より弾性が高い材料(高弾性材料)によって構成されていてもよい。
【0055】
例えば、クッション体1Aは、上記同様の4層構造を有し、第1層が最も柔らかく、第3層が2番目に柔らかく、第2層が3番目に柔らかく、第4層が最も硬くてもよい。第3層は第2層より反発弾性が高くてもよい。更に、上面2Aに、スリット30とは別に通気孔が開口されていてもよい。更に、上面2Aに形成された複数のスリット30の深さ(第3方向D3への長さ)は互いに異なっていてもよい。下面3に形成された複数のスリット20の深さについても同様である。
【0056】
続いて、別の変形例に係るクッション体1Bについて
図9を参照しながら説明する。クッション体1Bは、前述したクッション体1のスリット20とは異なるスリット40を有し、スリット40は拡張部22とは異なる形状の拡張部42を有する。拡張部42は、菱形状を呈する。
【0057】
拡張部42は、複数の平坦面45によって画成されている。複数の平坦面45は、延在部21の端部21dから延在部21に対して傾斜する第1平坦面45bと、第1平坦面45bの延在部21とは反対側の端部から第1平坦面45bに対して傾斜する第2平坦面45cとを含む。更に、複数の平坦面45は、第2平坦面45cに第2方向D2に沿って対向する第3平坦面45dと、第1平坦面45bに第2方向D2に沿って対向する第4平坦面45fとを含む。
【0058】
第1平坦面45b、第2平坦面45c、第3平坦面45d及び第4平坦面45fは、第2方向D2及び第3方向D3の双方に対して傾斜している。例えば、第1平坦面45bは、第3方向D3に対して一定角度θ11だけ傾斜している。一定角度θ11は、例えば、鋭角である(0°より大きく且つ90°より小さい)。一例として、一定角度θ11は45°である。
【0059】
例えば、第1平坦面45bに対する第2平坦面45cの角度θ12、第2平坦面45cに対する第3平坦面45dの角度θ13、及び第3平坦面45dに対する第4平坦面45fの角度θ14は、一例として、直角である。第4平坦面45fは、延在部21の端部21fから延在部21に対して傾斜している。第4平坦面45fは、第3方向D3に対して一定角度θ15だけ傾斜している。一定角度θ15は、例えば、鋭角(一例として45°)である。
【0060】
例えば、拡張部42は、2つの平坦面45の間に位置する複数の角部46を有する。複数の角部46は、例えば、第1平坦面45bと第2平坦面45cの間に位置する第1角部46b、第2平坦面45cと第3平坦面45dの間に位置する第2角部46c、及び第3平坦面45dと第4平坦面45fの間に位置する第3角部46dを含む。第1角部46b及び第3角部46dは第2方向D2に沿って対向している。すなわち、第1角部46b及び第3角部46dは第2方向D2に沿って並んでいる。第1角部46b及び第3角部46dを通る拡張部42の対角線L2は第2方向D2に沿って延在している。
【0061】
スリット40は、延在部21及び拡張部42の間に位置する第1境界角部47bと、第1境界角部47bと第2方向D2に沿って対向する第2境界角部47cとを有する。なお、複数の角部46、第1境界角部47b及び第2境界角部47cのうちの一部は、湾曲面とされていてもよい。この場合、湾曲面とされた角部からの裂けはより確実に抑制される。以上、変形例に係るクッション体1Bでは、拡張部42は、菱形状を呈する。従って、拡張部42の形状を簡易な形状にできるので、複数の平坦面45によって画成された拡張部42を有するスリット40を容易に形成することができる。
【0062】
次に、更に別の変形例に係るクッション体1Cについて
図10(a)を参照しながら説明する。クッション体1Cは、拡張部22とは異なる形状とされた拡張部52を有するスリット50を備える。拡張部52は、第1平坦面25bと延在部21(第1面21b)との間に形成された第6平坦面52bと、第5平坦面25gと延在部21(第2面21c)との間に形成された第7平坦面52cとを有する。第6平坦面52b及び第7平坦面52cは、例えば、第2方向D2に沿って延在している。第6平坦面52b及び第7平坦面52cは、例えば、同一平面上に並んでいてもよい。このクッション体1Cからもクッション体1と同様の作用効果が得られる。
【0063】
続いて、更なる別の変形例に係るクッション体1Dについて
図10(b)を参照しながら説明する。クッション体1Dは拡張部62が形成されたスリット60を有し、拡張部62は複数の平坦面65を有する。複数の平坦面65は、第1平坦面65bと、第2平坦面65cと、第3平坦面65dと、第4平坦面65fと、第5平坦面65gと、第6平坦面65hとを含む。
【0064】
拡張部62は、例えば、複数の角部66のうちの1つが上面2側に向けられた六角形状を呈する。第2平坦面65c及び第5平坦面65gは、第2方向D2に沿って並ぶと共に第3方向D3に延在している。すなわち、複数の平坦面65のうち少なくとも2つの平坦面65は、第2方向D2に沿って並ぶと共に第3方向D3に延在している。この場合、第3方向D3への荷重を受けたときに当該2つの平坦面65(第2平坦面65c及び第5平坦面65g)を潰れにくくし、当該2つの平坦面65によってスリット60の通気性を高く維持することができる。以上のように、前述した種々のクッション体1,1A,1B,1C,1Dでは、スリットの拡張部が複数の平坦面を有することによって、当該スリットが形成された部分をより凹ませることができる。従って、クッション体1,1A,1B,1C,1Dでは、一層高いクッション性を発揮する。
【0065】
以上、本開示に係るクッション体、及びクッション体の製造方法の実施形態及び種々の変形例について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態又は変形例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨を変更しない範囲において更に変形されたものであってもよい。すなわち、クッション体の各部の形状、大きさ、材料、数及び配置態様、並びに、クッション体の製造方法の工程の内容及び順序は、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0066】
例えば、前述した実施形態及び変形例では、六角形状又は菱形状の拡張部を有するスリットが形成されたクッション体について説明した。しかしながら、スリットの拡張部の形状は更に変更することが可能である。
図11(a)に示されるように、八角形状の拡張部72を有するスリット70が形成されたクッション体1Eであってもよい。
【0067】
クッション体1Eの拡張部72は複数の平坦面75を有し、複数の平坦面75のうちの2つの平坦面75は、第2方向D2に沿って並ぶと共に第3方向D3に延在している。従って、当該2つの平坦面75によってスリット70の通気性を高く維持できるので、前述したクッション体1Dと同様の効果が得られる。
【0068】
更に、
図11(b)に示されるように、三角形状の拡張部82を有するスリット80が形成されたクッション体1Fであってもよい。拡張部82は複数の平坦面85を有する。複数の平坦面85は、延在部21の第1面21bに対して傾斜する第1平坦面85bと、延在部21の第2面21cに対して傾斜する第2平坦面85cと、第1平坦面85bの延在部21とは反対側の端部、及び第2平坦面85cの延在部21とは反対側の端部を互いに接続する第3平坦面85dとを含む。
【0069】
例えば、第3平坦面85dは第1方向D1及び第2方向D2に延在している。また、第2方向D2及び第3方向D3に延びる平面で切断したときにおける断面において、拡張部82は二等辺三角形状とされており、第1平坦面85bの長さは第2平坦面85cの長さと同一である。そして、第1平坦面85bに対する第3平坦面85dの角度、及び第2平坦面85cに対する第3平坦面85dの角度は共に鋭角である。この第1平坦面85b、第2平坦面85c、及び第3平坦面85dを有する拡張部82を備えたスリット80が形成された部分は、第3方向D3に凹みやすくすることができる。従って、クッション体1Fからは、前述したクッション体1等と同様の作用効果が得られる。以上のように、スリットの拡張部及び延在部の形状は適宜変更可能である。スリットの各部の形状又は大きさが変えられることによってクッション体の沈み込み量を変化させることができ、例えば、身体の部分ごとにかかる圧力に対して適宜対応することも可能である。
【0070】
また、前述の実施形態に係るクッション体1の製造方法では、複数の平坦面25を有する拡張部22を備えたスリット20が形成される例について説明した。しかしながら、本開示に係るクッション体の製造方法では、平坦面を有しない拡張部を備えたスリットが形成されてもよく、スリットの形状は特に限定されない。また、本開示に係るクッション体、及びクッション体の製造方法では、複数の平坦面を有するスリットと、複数の平坦面を有しないスリットとの双方が形成されてもよい。更に、本開示に係るクッション体、及びクッション体の製造方法では、前述の実施形態又は実施例の一部が残部に組み合わされたものであってもよい。すなわち、前述した各スリットは適宜組み合わせることが可能である。
【0071】
クッション体1の製造方法の更なる変形例について
図12及び
図13を参照しながら説明する。
図12の例では、まず、直方体状のブロック体Bを用意する。次に、ブロック体Bをカッターによって切断して3つの中間ブロックに分割する。ここで、中間ブロックは、下面3及びスリット20に沿って分断されたブロック体Bの一部を示している。例えば、カッターは、振動式のワイヤー、又は回転式のワイヤーである。一例として、ワイヤーは、高さ40cm程度の1つのブロック体Bを順次カットして、下面3及びスリット20が形成された高さ13cm程度の3つの中間ブロックを作製する。その後、各中間ブロックに対して切断ラインXに沿ってプロファイル加工を施すことによって1つのブロック体Bから6つのクッション体1を得られる。
【0072】
図13の例では、予め性状が互いに異なる複数の中間ブロックを取得し(複数の中間ブロックを取得する工程)、複数の中間ブロックを貼り合わせる。例えば、まず、第1中間ブロックY1、第2中間ブロックY2、第3中間ブロックY3及び第4中間ブロックY4を貼り合わせる。より具体的には、第1中間ブロックY1の両側のそれぞれに第2中間ブロックY2を貼り合わせ、第2中間ブロックY2の第1中間ブロックY1とは反対側のそれぞれの部分に第3中間ブロックY3を貼り合わせる。そして、第3中間ブロックY3の第2中間ブロックY2とは反対側の部分のそれぞれに第4中間ブロックY4を貼り合わせる(貼り合わせる工程)。例えば、第1中間ブロックY1は、第2中間ブロックY2、第3中間ブロックY3及び第4中間ブロックY4より硬い層である。
【0073】
以上のように、貼り合わせを行った後に、カッターによってスリット20を形成する(スリットを形成する工程)。スリット20は、第1中間ブロックY1、第2中間ブロックY2、第3中間ブロックY3及び第4中間ブロックY4の積層方向(
図13では上下方向)の両端面(
図13では下面3)に形成される。一例として、スリット20は、第3中間ブロックY3及び第4中間ブロックY4に形成される。そして、第1中間ブロックY1及び第2中間ブロックY2において上下に蛇行する切断ラインXに沿って切断を行うことにより(中間ブロックを切断する工程)、第1中間ブロックY1、第2中間ブロックY2、第3中間ブロックY3及び第4中間ブロックY4を備えた2つのクッション体が製造される。なお、
図13の例において、層の種類の数は、4以外であってもよく、2、3、又は5以上であってもよい。
【0074】
前述の実施形態では、上面2に複数の凸部11及び複数の凹部12が形成されたクッション体1について説明した。しかしながら、本開示に係るクッション体は、凸部11及び凹部12を有しないクッション体であってもよい。すなわち、上面が平坦状とされたクッション体であってもよい。この場合もスリット20等が形成されることによって前述した実施形態又は変形例と同様の作用効果が得られる。更に、前述の実施形態では、幅方向(第1方向D1)に沿って延在するスリット20が形成されたクッション体1について説明した。しかしながら、スリットは、例えば、長手方向(第2方向D2)に沿って延在していてもよく、スリットが延在する方向は適宜変更可能である。
【0075】
前述の実施形態では、マットレスであるクッション体1について説明した。しかしながら、本開示に係るクッション体は、マットレス以外にも適用可能である。例えば、クッション体は、枕カバーに収容されるクッション体であってもよい。このクッション体は、例えば、凹凸を有する上層と、平坦な下層と、上層及び下層の間に形成された通気層とを有する。このクッション体において、上層に、前述したスリット30と同様のスリットが形成されていてもよい。このスリットは、スリット30と同様、下端に複数の平坦面を有する。この枕カバーに収容されるクッション体では、クッション体1等と同様、スリットが形成された部分を潰れやすくできるので、前述と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0076】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F…クッション体、1b…長辺、1c…短辺、2,2A…上面、3…下面、11…凸部、12…凹部、20…スリット、21…延在部、21b…第1面、21c…第2面、21d,21f…端部、22…拡張部、25…平坦面、25b…第1平坦面、25c…第2平坦面、25d…第3平坦面、25f…第4平坦面、25g…第5平坦面、26…角部、26b…第1角部、26c…第2角部、26d…第3角部、26f…第4角部、27b…第1境界角部、27c…第2境界角部、30…スリット、31…延在部、32…拡張部、40…スリット、42…拡張部、45…平坦面、45b…第1平坦面、45c…第2平坦面、45d…第3平坦面、45f…第4平坦面、46…角部、46b…第1角部、46c…第2角部、46d…第3角部、47b…第1境界角部、47c…第2境界角部、50…スリット、52…拡張部、52b…第6平坦面、52c…第7平坦面、60…スリット、62…拡張部、65…平坦面、65b…第1平坦面、65c…第2平坦面、65d…第3平坦面、65f…第4平坦面、65g…第5平坦面、65h…第6平坦面、66…角部、70…スリット、72…拡張部、75…平坦面、80…スリット、82…拡張部、85…平坦面、85b…第1平坦面、85c…第2平坦面、85d…第3平坦面、B…ブロック体、C…中間ブロック、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、L1,L2…対角線、X…切断ライン、Y1…第1中間ブロック(中間ブロック)、Y2…第2中間ブロック(中間ブロック)、Y3…第3中間ブロック(中間ブロック)、Y4…第4中間ブロック(中間ブロック)、θ1…一定角度、θ2,θ3,θ4,θ5…角度、θ6,θ11…一定角度、θ12,θ13,θ14…角度、θ15…一定角度。
【要約】
【課題】クッション性を高めることができ、スリットを効率よく形成できるクッション体の製造方法を提供する。
【解決手段】一実施形態に係るクッション体の製造方法は、クッション体の構成材料からなるブロック体Bを準備する工程と、ブロック体Bを切断して、下面3を有する複数の中間ブロックCを取得する工程と、複数の中間ブロックCの下面3にスリット20を形成する工程と、複数の中間ブロックCの下面3とは反対側の面を貼り合わせる工程と、貼り合わせる工程において貼り合わされた面の上下で蛇行する切断ラインに沿って複数の中間ブロックCを切断する工程と、を備える。
【選択図】
図5