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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】鍋料理セット及び鍋料理の提供方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 35/00 20160101AFI20221019BHJP
   A23L 23/10 20160101ALI20221019BHJP
   A23L 29/238 20160101ALI20221019BHJP
   A23L 29/256 20160101ALI20221019BHJP
【FI】
A23L35/00
A23L23/10
A23L29/238
A23L29/256
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022116883
(22)【出願日】2022-07-22
【審査請求日】2022-07-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522293755
【氏名又は名称】株式会社YKH
(74)【代理人】
【識別番号】100187388
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 天光
(72)【発明者】
【氏名】末満 貴行
(72)【発明者】
【氏名】室津 良昭
【審査官】小路 杏
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-145671(JP,A)
【文献】特開2010-63380(JP,A)
【文献】特開平6-46804(JP,A)
【文献】特開2005-124477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 35/00
A23L 23/10
A23L 29/238
A23L 29/256
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1調味料、第1アガー及び第1寒天を含有し、且つ、鍋の底面上に配置された状態で常温でゲル化されている第1ゲル化体と、
第2調味料、第2アガー及び第2寒天を含有し、常温でゲル化されており、且つ、前記第1ゲル化体上に配置される第2ゲル化体よりなるフィギュアと、
前記鍋に入れられる第1食材と、
を有し、
前記フィギュアが前記第1ゲル化体上に配置された状態で、前記第1ゲル化体及び前記フィギュアが常温よりも高い第1温度で加熱されたとき、加熱された前記第1ゲル化体が溶解することにより、前記第1調味料、前記第1アガー及び前記第1寒天を含有する第1調味液が形成され、
前記第1ゲル化体が溶解した後、前記第1食材が前記鍋に入れられた状態で、前記第1調味液、前記フィギュア及び前記第1食材が前記第1温度で加熱されたとき、前記第1調味液中で加熱された前記フィギュアが溶解することにより、前記第1調味料、前記第2調味料、前記第1アガー、前記第2アガー、前記第1寒天及び前記第2寒天を含有する第2調味液が形成され、形成された前記第2調味液中で前記第1食材が調理され、
前記第1ゲル化体中の前記第1アガーの第1含有率が0.59~1.37重量%であり、
前記第1ゲル化体中の前記第1寒天の第2含有率が0.88~1.18重量%であり、
前記フィギュア中の前記第2アガーの第3含有率が0.59~1.37重量%であり、
前記フィギュア中の前記第2寒天の第4含有率が0.88~1.18重量%である、鍋料理セット。
【請求項2】
請求項1に記載の鍋料理セットにおいて、
前記フィギュアは、第2食材を含有し、
前記第1ゲル化体が溶解した後、前記第1食材が前記鍋に入れられた状態で、前記第1調味液、前記フィギュア及び前記第1食材が前記第1温度で加熱されたとき、前記第1調味液中で加熱された前記フィギュアが溶解することにより、前記第2食材が前記第2調味液中に出現する、鍋料理セット。
【請求項3】
請求項1に記載の鍋料理セットにおいて、
前記第4含有率が前記第2含有率よりも高いか、又は、前記第3含有率が前記第1含有率よりも低い、鍋料理セット。
【請求項4】
請求項1に記載の鍋料理セットにおいて、
前記第4含有率が、前記フィギュアが前記第1ゲル化体上に配置された時の状態で前記フィギュアの下端から上端に向かって減少しているか、又は、前記第3含有率が、前記フィギュアが前記第1ゲル化体上に配置された時の状態で前記フィギュアの下端から上端に向かって増加している、鍋料理セット。
【請求項5】
請求項1に記載の鍋料理セットにおいて、
前記鍋料理セットを用いて提供される鍋料理は、ごま豆乳鍋料理、みそとんこつ鍋料理、ゆず塩鍋料理、鶏醤油寄せ鍋料理又は鶏白湯鍋料理であり、
前記鍋料理が前記ごま豆乳鍋料理であるとき、前記第1調味料及び前記第2調味料のいずれも、豆乳、鶏だし、昆布だし、すりごま、練りごま及び米みそを含有するごま豆乳スープ、並びに、水分を含有し、
前記鍋料理が前記みそとんこつ鍋料理であるとき、前記第1調味料及び前記第2調味料のいずれも、豚又は鶏を含有する白湯スープ、米みそ、豆みそ、ごま油及び鶏脂で炒めたにんにく、並びに、水分を含有し、
前記鍋料理が前記ゆず塩鍋料理であるとき、前記第1調味料及び前記第2調味料のいずれも、鶏ガラスープ、昆布だし、柚子及び塩、並びに、水分を含有し、
前記鍋料理が前記鶏醤油寄せ鍋料理であるとき、前記第1調味料及び前記第2調味料のいずれも、醤油、魚醤、鶏ガラだし、鰹、昆布及び帆立、並びに、水分を含有し、
前記鍋料理が前記鶏白湯鍋料理であるとき、前記第1調味料及び前記第2調味料のいずれも、鶏ガラを煮込んだ白湯スープ及び鶏脂、並びに、水分を含有する、鍋料理セット。
【請求項6】
(a)第1調味料、第1アガー及び第1寒天を含有し、且つ、鍋の底面上に配置された状態で常温でゲル化されている第1ゲル化体を準備するステップ、
(b)第2調味料、第2アガー及び第2寒天を含有し、常温でゲル化されている第2ゲル化体よりなるフィギュアを前記第1ゲル化体上に配置するステップ、
(c)前記フィギュアが前記第1ゲル化体上に配置された状態で、前記第1ゲル化体及び前記フィギュアを常温よりも高い第1温度で加熱し、加熱された前記第1ゲル化体が溶解することにより、前記第1調味料、前記第1アガー及び前記第1寒天を含有する第1調味液を形成するステップ、
(d)前記鍋に食材を入れるステップ、
(e)前記(c)ステップ及び前記(d)ステップの後、前記食材が前記鍋に入れられた状態で、前記第1調味液、前記フィギュア及び前記食材を前記第1温度で加熱し、前記第1調味液中で加熱された前記フィギュアが溶解することにより、前記第1調味料、前記第2調味料、前記第1アガー、前記第2アガー、前記第1寒天及び前記第2寒天を含有する第2調味液を形成し、形成された前記第2調味液中で前記食材を調理するステップ、
を有し、
前記第1ゲル化体中の前記第1アガーの第1含有率が0.59~1.37重量%であり、
前記第1ゲル化体中の前記第1寒天の第2含有率が0.88~1.18重量%であり、
前記フィギュア中の前記第2アガーの第3含有率が0.59~1.37重量%であり、
前記フィギュア中の前記第2寒天の第4含有率が0.88~1.18重量%である、鍋料理の提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍋料理セット及び鍋料理の提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鍋料理セットは、鍋料理を提供するためのものであり、食材及び調味液即ちスープをセットとして組み合わせたものである。このような鍋料理セットを用いた鍋料理の提供方法として、飲食店で提供され、飲食店の推奨する調理方法で客が調理し飲食店内で消費されるものがある。
【0003】
特開2021-145671号公報(特許文献1)には、鍋料理セットにおいて、ゼラチン又は/及び寒天と、水分(水そのもの、スープ又は/及び調味料が溶かされた水)を、ゼラチン又は/及び寒天を固化することで常温でも型崩れせず、鍋に載置し、鍋を加熱することでこれを溶融可能としたフィギュアと、鍋にはられたスープ又は/及び調味料を用いて加熱して食するための食材と、からなる技術が開示されている。
【0004】
特開2020-58258号公報(特許文献2)には、米飯類の製造方法において、米飯類を製造する工程と、米飯類の炊飯後にアガー、ゼラチン、寒天からなる群から選択された少なくとも1種類のゲル化剤を含有するゲル化剤溶解液を添加、混合する工程と、米粒表面にゲル化剤の被膜を形成させることによりコーティング米飯類を得る工程と、を有する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-145671号公報
【文献】特開2020-58258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鍋料理は、食卓にて皿に盛りつけられた食材を加熱されたスープに入れる形をとるものであるが、最初の段階で鍋に入れられたスープを適温まで加熱する時間帯があり、食べる楽しみを一時的に中断する、ということがあった。あるいは鍋料理になれていない客の場合には、すでに十分に鍋に入れられたスープが食材を入れるに適した温度になっているにもかかわらず、それが分からず、なかなか食事をはじめられないということもあった。そのため、上記特許文献1に記載された技術では、ゲル化剤としてゼラチンと寒天とを組み合わせて用い、常温でスープがゲル化(固化)されたフィギュアと、食材と、からなる鍋料理セットが提供される。
【0007】
ところが、ゲル化剤としてゼラチンと寒天とを組み合わせて用いる上記特許文献1に記載された技術では、フィギュアが硬くなりすぎずプルンとしていてやわらかく弾力がある質感を得るために、ゼラチンの含有量を増加させた場合、スープが沸騰し始めるとフィギュアがすぐに溶けてしまうか、又は、夏季及び温かい室内では常温で溶けるおそれがあり、また、鍋料理セットを迅速に配膳することができなかった。
【0008】
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、鍋料理セットにおいて、フィギュアが硬くなりすぎずプルンとしていてやわらかく弾力がある質感を得ることができ、スープが沸騰し始めてもフィギュアがすぐに溶けてしまうことを防止又は抑制し、且つ、鍋料理セットを迅速に配膳することができる鍋料理セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0010】
本発明の一態様としての鍋料理セットは、第1調味料、第1アガー及び第1寒天を含有し、且つ、鍋の底面上に配置された状態で常温でゲル化されている第1ゲル化体と、第2調味料、第2アガー及び第2寒天を含有し、常温でゲル化されており、且つ、第1ゲル化体上に配置される第2ゲル化体よりなるフィギュアと、鍋に入れられる第1食材と、を有する。フィギュアが第1ゲル化体上に配置された状態で、第1ゲル化体及びフィギュアが常温よりも高い第1温度で加熱されたとき、加熱された第1ゲル化体が溶解することにより、第1調味料、第1アガー及び第1寒天を含有する第1調味液が形成される。また、第1ゲル化体が溶解した後、第1食材が鍋に入れられた状態で、第1調味液、フィギュア及び第1食材が第1温度で加熱されたとき、第1調味液中で加熱されたフィギュアが溶解することにより、第1調味料、第2調味料、第1アガー、第2アガー、第1寒天及び第2寒天を含有する第2調味液が形成され、形成された第2調味液中で第1食材が調理される。第1ゲル化体中の第1アガーの第1含有率が0.59~1.37重量%であり、第1ゲル化体中の第1寒天の第2含有率が0.88~1.18重量%であり、フィギュア中の第2アガーの第3含有率が0.59~1.37重量%であり、フィギュア中の第2寒天の第4含有率が0.88~1.18重量%である。
【0011】
また、他の一態様として、フィギュアは、第2食材を含有してもよい。第1ゲル化体が溶解した後、第1食材が鍋に入れられた状態で、第1調味液、フィギュア及び第1食材が第1温度で加熱されたとき、第1調味液中で加熱されたフィギュアが溶解することにより、第2食材が第2調味液中に出現してもよい。
【0012】
また、他の一態様として、第4含有率が第2含有率よりも高いか、又は、第3含有率が第1含有率よりも低くてもよい。
【0013】
また、他の一態様として、第4含有率が、フィギュアが第1ゲル化体上に配置された時の状態でフィギュアの下端から上端に向かって減少しているか、又は、第3含有率が、フィギュアが第1ゲル化体上に配置された時の状態でフィギュアの下端から上端に向かって増加していてもよい。
【0014】
また、他の一態様として、当該鍋料理セットを用いて提供される鍋料理は、ごま豆乳鍋料理、みそとんこつ鍋料理、ゆず塩鍋料理、鶏醤油寄せ鍋料理又は鶏白湯鍋料理であってもよい。鍋料理がごま豆乳鍋料理であるとき、第1調味料及び第2調味料のいずれも、豆乳、鶏だし、昆布だし、すりごま、練りごま及び米みそを含有するごま豆乳スープ、並びに、水分を含有してもよい。鍋料理がみそとんこつ鍋料理であるとき、第1調味料及び第2調味料のいずれも、豚又は鶏を含有する白湯スープ、米みそ、豆みそ、ごま油及び鶏脂で炒めたにんにく、並びに、水分を含有してもよい。鍋料理がゆず塩鍋料理であるとき、第1調味料及び第2調味料のいずれも、鶏ガラスープ、昆布だし、柚子及び塩、並びに、水分を含有してもよい。鍋料理が鶏醤油寄せ鍋料理であるとき、第1調味料及び第2調味料のいずれも、醤油、魚醤、鶏ガラだし、鰹、昆布及び帆立、並びに、水分を含有してもよい。鍋料理が鶏白湯鍋料理であるとき、第1調味料及び第2調味料のいずれも、鶏ガラを煮込んだ白湯スープ及び鶏脂、並びに、水分を含有してもよい。
【0015】
また、本発明の一態様としての鍋料理の提供方法は、第1調味料、第1アガー及び第1寒天を含有し、且つ、鍋の底面上に配置された状態で常温でゲル化されている第1ゲル化体を準備する(a)ステップと、第2調味料、第2アガー及び第2寒天を含有し、常温でゲル化されている第2ゲル化体よりなるフィギュアを第1ゲル化体上に配置する(b)ステップと、を有する。また、当該鍋料理の提供方法は、フィギュアが第1ゲル化体上に配置された状態で、第1ゲル化体及びフィギュアを常温よりも高い第1温度で加熱し、加熱された第1ゲル化体が溶解することにより、第1調味料、第1アガー及び第1寒天を含有する第1調味液を形成する(c)ステップと、鍋に食材を入れる(d)ステップと、(c)ステップ及び(d)ステップの後、食材が鍋に入れられた状態で、第1調味液、フィギュア及び食材を第1温度で加熱し、第1調味液中で加熱されたフィギュアが溶解することにより、第1調味料、第2調味料、第1アガー、第2アガー、第1寒天及び第2寒天を含有する第2調味液を形成し、形成された第2調味液中で食材を調理する(e)ステップと、を有する。第1ゲル化体中の第1アガーの第1含有率が0.59~1.37重量%であり、第1ゲル化体中の第1寒天の第2含有率が0.88~1.18重量%であり、フィギュア中の第2アガーの第3含有率が0.59~1.37重量%であり、フィギュア中の第2寒天の第4含有率が0.88~1.18重量%である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様を適用することで、鍋料理セットにおいて、フィギュアが硬くなりすぎずプルンとしていてやわらかく弾力がある質感を得ることができ、スープが沸騰し始めてもフィギュアがすぐに溶けてしまうことを防止又は抑制し、且つ、鍋料理セットを迅速に配膳することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態の鍋料理セットが有する第1ゲル化体及びフィギュアの斜視図である。
図2】実施の形態の鍋料理セットを説明するための写真である。
図3】実施の形態の鍋料理セットが有する第1ゲル化体及びフィギュアの製造工程を説明するための写真である。
図4】実施例1の鍋料理セットが有するフィギュアを説明するための写真である。
図5】比較例4の鍋料理セットが有するフィギュアを説明するための写真である。
図6】実施例1の鍋料理セットを各種の鍋料理に適用した場合の第1ゲル化体及びフィギュアを説明するための写真である。
図7】実施例1の鍋料理セットを各種の鍋料理に適用した場合の第1ゲル化体及びフィギュアを説明するための写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0020】
また本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0021】
更に、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見やすくするためにハッチング(網掛け)を省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見やすくするためにハッチングを付す場合もある。
【0022】
なお、以下の実施の形態においてA~Bとして範囲を示す場合には、特に明示した場合を除き、A以上B以下を示すものとする。
【0023】
(実施の形態)
<鍋料理セットの技術的思想>
初めに、本発明の一実施形態である実施の形態の鍋料理セットの技術的思想について、上記特許文献1及び上記特許文献2に記載された技術と比較しながら説明する。
【0024】
鍋料理は、食卓にて皿に盛りつけられた食材を加熱されたスープに入れる形をとるものであるが、最初の段階で鍋に入れられたスープを適温まで加熱する時間帯があり、食べる楽しみを一時的に中断する、ということがあった。あるいは鍋料理になれていない客の場合には、すでに十分に鍋に入れられたスープが食材を入れるに適した温度になっているにもかかわらず、それが分からず、なかなか食事をはじめられないということもあった。
【0025】
そのため、上記特許文献1に記載された技術では、鍋にスープを入れて、スープが適温になるまでの時間帯にも待つ人にある種の楽しみを提供しようとするものであり、ゼラチン又は/及び寒天と、水分(水そのもの、スープ又は/及び調味料が溶かされた水)を、ゼラチン又は/及び寒天を固化することで常温でも型崩れせず、鍋に載置し、鍋を加熱することでこれを溶融可能としたフィギュアと、鍋にはられたスープ又は/及び調味料を用いて加熱して食するための食材と、からなる鍋料理セットが提供される。
【0026】
ここで、「ゼラチン」とは、動物の皮膚や骨、腱などの結合組織の主成分であるコラーゲンに熱を加え抽出したものであり、化学的にはアミノ酸の直鎖状ポリマーを主成分とする。
【0027】
また、「寒天」とは、テングサ(天草)、オゴノリなどの紅藻類の粘液質を凍結・乾燥したものである。寒天はゼラチンよりも低い、1%以下の濃度でもゲル化が起こる。一度固まった寒天ゲルは70℃以上にならないと溶けないため、温度変化に強く、加熱されるスープの中で溶けるタイミングを調整するために固化剤として利用するゼラチンと寒天との重量比を調整することができる。寒天の重量比を大きくするほど長時間フィギュアが溶けないように作ることができる。
【0028】
上記特許文献1に記載された技術によれば、鍋に入れられたスープを加熱する時間帯でも、スープとともにフィギュアの姿や、変化の様子を見て楽しむことができるので従来は一時的に中断していた食の楽しみが中断しないで楽しい時間を持続できるという優れた効果を奏し得る、とされている。あるいは鍋料理になれていない客の場合には、フィギュアが溶けることですでに十分に鍋に入れられたスープが食材を入れるに適した温度になっていることが判別し、なかなか食事をはじめられないということを解消できる、とされている。
【0029】
上記特許文献1に記載された技術では、常温でスープがゲル化(固化)されたフィギュアを製造するためのゲル化剤として、ゼラチンと寒天とを組み合わせて用いる。しかしながら、本発明者らが検討した結果、ゲル化剤としてゼラチンと寒天とを組み合わせて用いた場合、鍋に入れられたスープ中でフィギュアを加熱したときに、スープが沸騰し始めるとすぐに溶けてしまうことが明らかになった。これは、ゼラチンが動物性のゲル化剤であり、一度固まったものが寒天(70℃以上)に比べ、低い温度(25℃以上)で溶けるためである。
【0030】
一方、ゲル化剤としてゼラチンを用いず寒天のみを用いた場合には、フィギュアが硬くなりすぎ、鍋を加熱しても容易に溶けない。また、ゲル化剤として寒天のみを用いた場合は、フィギュアがプルンとしておらず、やわらかく弾力がある質感を得ることもできない。
【0031】
ゲル化剤として寒天だけでなくゼラチンも組み合わせて用いることにより、フィギュアが柔らかくなり、フィギュアが溶けやすくなるものの、ある程度溶けやすくなる程度までゼラチンの含有量を増加させた場合、ゼラチンの味の影響を受けて、スープの味が元々のスープの味から変質するおそれがある。また、ゼラチンは、一度ゲル化(固化)したものが溶ける温度が25℃程度であるため、常温で溶けやすく、夏季や温かい室内では溶けるおそれがある。更に、ゼラチンは、寒天と異なり、消化されると、例えばゼラチン100g当たり388kcalの熱量が吸収される。
【0032】
また、鍋の中にスープに代えて水を入れ、鍋に入れられた水の中にスープの素を含有するフィギュアを入れた場合、鍋に入れられた水の中でフィギュアを加熱したときに、フィギュアが溶解してスープの素が水と混ざることによりスープができる。このような場合、鍋に入れられているのが水なので、フィギュアが溶けないと味がつかない。そのため、フィギュアに含有されるスープの素の濃度を、できあがりのスープの濃度よりも濃くしておく必要がある。
【0033】
また、鍋の中にスープ又は水を入れて客に提供する場合、鍋の中にスープ又は水及びフィギュアが入れられた状態で鍋を配膳する際に、スープ又は水がこぼれるおそれがあり、鍋料理の配膳の速度が低下するおそれがある。
【0034】
このように、ゲル化剤としてゼラチンと寒天とを組み合わせて用いる上記特許文献1に記載された技術では、フィギュアが硬くなりすぎずプルンとしていてやわらかく弾力がある質感を得るために、ゼラチンの含有量を増加させた場合、スープが沸騰し始めるとフィギュアがすぐに溶けてしまうか、又は、夏季及び温かい室内では常温で溶けるおそれがあり、また、鍋料理セットを迅速に配膳することができなかった。そのため、上記特許文献1に記載された技術では、実際には、客に鍋料理を迅速に配膳しつつ、スープが適温になるまで待つ人に迅速且つ十分な楽しみを提供することができなかった。
【0035】
そこで、本発明者らは、ゲル化剤の組成、及び、鍋の中にスープ又水を入れて配膳する方法、について検討を行った。その結果、ゼラチンと寒天とを含有するゲル化剤に代えて、アガーと寒天とを含有するゲル化剤を用い、且つ、鍋の中にスープ又は水に代えてゲル化体が入れられた状態で鍋を配膳する場合に、フィギュアが硬くなりすぎずプルンとしていてやわらかく弾力がある質感を得ることができ、スープが沸騰し始めてもフィギュアがすぐに溶けてしまうことを防止又は抑制し、且つ、鍋料理セットを迅速に配膳することができることを見出した。
【0036】
なお、上記特許文献2に記載された技術では、米飯類の炊飯後にアガー、ゼラチン、寒天からなる群から選択された少なくとも1種類のゲル化剤の被膜を米粒表面に形成させる。しかし、上記特許文献2に記載された技術では、米飯類のβ化の進行を抑制し、炊き立ての食味を維持することを目的としており、米粒表面に形成されたゲル化剤の被膜を再び溶解させることによりスープを形成することを目的とするものではない。そのため、上記特許文献2に記載された発明が属する技術分野と、上記特許文献1に記載された発明が属する技術分野とは、互いに関連しておらず、上記特許文献2に記載された発明の課題と、上記特許文献1に記載された発明の課題とは、互いに異なる。
【0037】
<鍋料理セット及び鍋料理の提供方法>
図1は、実施の形態の鍋料理セットが有する第1ゲル化体及びフィギュアの斜視図である。図2は、実施の形態の鍋料理セットを説明するための写真である。図2(a)は、鍋の底面上に配置されている第1ゲル化体及び第1ゲル化体上に配置されているフィギュアを示し、図2(b)は、鍋に入れられる第1食材を示す。なお、図2(a)は、鍋料理が鶏白湯鍋料理である場合を示している。
【0038】
図1に示すように、本実施の形態の鍋料理セットは、鍋料理を提供するための鍋料理セットであり、第1水分を含有する第1調味料、第1アガー及び第1寒天を含有し、且つ、鍋11の底面上に配置された状態で常温で第1水分がゲル化されている第1ゲル化体12と、第2水分を含有する第2調味料、第2アガー及び第2寒天を含有し、常温で第2水分がゲル化されており、且つ、第1ゲル化体12上に配置される第2ゲル化体13よりなるフィギュア14と、鍋11に入れられる第1食材と、を有する。第1食材は、例えば肉及び野菜よりなる。
【0039】
フィギュア14が第1ゲル化体12上に配置された状態で、第1ゲル化体12及びフィギュア14が常温よりも高い第1温度(一度ゲル化された第1ゲル化体12及びフィギュア14が溶解する温度)で加熱されたとき、加熱された第1ゲル化体12が溶解することにより、第1水分を含有する第1調味料、第1アガー及び第1寒天を含有する第1調味液が形成される。
【0040】
また、第1ゲル化体12が溶解した後、第1食材が鍋11に入れられた状態で、第1調味液、フィギュア14及び第1食材が第1温度で加熱されたとき、第1調味液中で加熱されたフィギュア14が溶解することにより、第1水分を含有する第1調味料、第2水分を含有する第2調味料、第1アガー、第2アガー、第1寒天及び第2寒天を含有する第2調味液が形成され、形成された第2調味液中で第1食材が調理される。
【0041】
なお、本願明細書において、「フィギュア」とは、図面から型起こしした立体物を意味する。人物のミニチュアに限らず、乗り物、建物、食べ物、植物や動物、昆虫、過去の生き物や空想の世界の物も含まれる。
【0042】
また、本実施の形態の鍋料理セットを用いた鍋料理の提供方法では、まず、第1水分を含有する第1調味料、第1アガー及び第1寒天を含有し、且つ、鍋11の底面上に配置された状態で常温で第1水分がゲル化されている第1ゲル化体12を準備する(ステップS1)。
【0043】
次に、第2水分を含有する第2調味料、第2アガー及び第2寒天を含有し、常温で第2水分がゲル化されている第2ゲル化体13よりなるフィギュア14を第1ゲル化体12上に配置する(ステップS2)。
【0044】
次に、フィギュア14が第1ゲル化体12上に配置された状態で、第1ゲル化体12及びフィギュア14を常温よりも高い第1温度で加熱し、加熱された第1ゲル化体12が溶解することにより、第1水分を含有する第1調味料、第1アガー及び第1寒天を含有する第1調味液を形成する(ステップS3)。
【0045】
次に、鍋11に第1食材を入れる(ステップS4)。
【0046】
また、ステップS3及びステップS4の後、第1食材が鍋11に入れられた状態で、第1調味液、フィギュア14及び第1食材を第1温度で加熱し、第1調味液中で加熱されたフィギュア14が溶解することにより、第1水分を含有する第1調味料、第2水分を含有する第2調味料、第1アガー、第2アガー、第1寒天及び第2寒天を含有する第2調味液を形成し、形成された第2調味液中で第1食材を調理する(ステップS5)。
【0047】
本実施の形態では、上記特許文献1に記載された技術と異なり、ゲル化剤として、ゼラチンと寒天とを組み合わせて用いることに代えて、アガーと寒天とを組み合わせて用いる。
【0048】
ここで、「アガー」とは、紅藻類のツノマタ、スギノリ由来の多糖類(食物繊維)であるカラギーナンに、マメ科の植物から抽出されたローカストビーンガムを混合して作られたゲル化剤である。見た目は白い粉末であり、常温で固まり始め、しっかりと固まると寒天とゼラチンの中間のプルッとした食感を持ち、透明度も高く、無味無臭なのでどんな素材でも邪魔をしない。
【0049】
また、アガーについては、一度固まったものが溶ける温度が50℃以上であり、寒天(70℃以上)に比べれば低いものの、ゼラチン(25℃以上)に比べれば高い。そのため、鍋に入れられたスープ中でフィギュアを加熱したときに、スープが沸騰し始めてもすぐに溶けてしまうことを防止又は抑制することができる。また、スープが沸騰して湯気が立っている状態でもフィギュア自体が姿勢を保ってくれる時間が長くなるので、鍋料理が調理される際に客を楽しませることができるという娯楽性(エンターテインメント性)を高めることができる。即ち、フィギュアが溶ける前から鍋料理を食することができるので、鍋料理を食しながらフィギュアが溶けていくのを見て楽しむことができる。
【0050】
また、アガーについては、弾力があり、プルンとしてのどごしがよい。そのため、ゲル化剤として、アガーと寒天とを組み合わせて用いることにより、フィギュアが硬くなりすぎず、フィギュアがプルンとしていてやわらかく弾力がある質感を得ることができる。
【0051】
また、アガーの味はゼラチンの味よりも薄い。そのため、本実施の形態では、ある程度フィギュアが溶けやすくなる程度までフィギュア中のアガーの含有量を増加させた場合でも、アガーの味の影響を受けて、スープの味が元々のスープの味から変質することを防止又は抑制することができる。また、前述したように、アガーは、一度ゲル化(固化)したものが溶ける温度が50℃以上であるため、常温で溶けにくく、夏季や温かい室内でも溶けるおそれがないものの、加熱したときには容易に溶けるように容易に調整することもできる。更に、アガーは、ゼラチンと異なり、消化されても、吸収される熱量が0である。
【0052】
また、本実施の形態では、鍋11の中にスープがゲル化された第1ゲル化体12が入れられ、第1ゲル化体12が加熱されたときにフィギュア14よりも先に溶解してスープ(第1調味液)が形成されるので、鍋に入れられた水の中でフィギュアが溶解してスープの素が水と混ざることによりスープができるわけではない。即ち、フィギュアが溶けないと味がつかないわけではない。そのため、フィギュアに含有されるスープの素の濃度を、できあがりのスープの濃度よりも濃くしておく必要がなく、フィギュアに含有されるスープの素の濃度を、できあがりのスープの濃度と等しくすることができる。
【0053】
また、第1ゲル化体12が溶解することにより形成されるスープ(調味液)の味、色及び匂いを、鍋料理を食する際のスープの味、色及び匂いに近づけることができるので、鍋料理が調理される際に客を楽しませることができるという娯楽性(エンターテインメント性)を高めることができる。また、フィギュアが溶解することにより形成されるスープ(調味液)の素と水とが混ざることによりスープの味を調節するわけではないので、市販のストレートタイプのスープをそのまま使うことができる。そのため、鍋料理を食する際のスープの味を容易に調整することができる。
【0054】
また、鍋11の中にスープ又は水に代えて第1ゲル化体12を入れて客に提供することができるので、鍋11の中に第1ゲル化体12が入れられた状態で鍋11を配膳する際に、スープ又は水がこぼれるおそれがなく、鍋料理の配膳の速度を向上させることができる。
【0055】
<アガー及び寒天の含有率>
次に、本実施の形態の鍋料理セットである実施例1の鍋料理セットを、比較例1乃至比較例4の鍋料理セットと比較しながら、アガー及び寒天の含有率の好適な範囲について説明する。
【0056】
図3は、実施の形態の鍋料理セットが有する第1ゲル化体及びフィギュアの製造工程を説明するための写真である。図3(a)は、スープがフィギュアの型に流し込まれた状態を示し、図3(b)は、スープが鍋に入れられた状態を示す。図4は、実施例1の鍋料理セットが有するフィギュアを説明するための写真である。図4(a)、図4(b)、図4(c)は、フィギュアをそれぞれ前、横、後ろから視た写真である。図5は、比較例4の鍋料理セットが有するフィギュアを説明するための写真である。図5(a)、図5(b)、図5(c)は、フィギュアをそれぞれ異なる方向から視た写真である。
【0057】
実施例1の鍋料理セットにおいては、第1ゲル化体12の総重量を510gとしたとき、寒天の重量は5gであり、アガーの重量は5gであった。また、第1ゲル化体12及びフィギュア14の製造工程を含めた実施例1の鍋料理セットの提供方法は、以下の通りである。
【0058】
まず、50gの鶏白湯スープの素と、450gの水と、よりなる、500gのスープ(第1調味料及び第2調味料)を、スープ調製用の鍋11に入れて加熱する。次いで、スープが沸騰する前に、5gのアガー(商品名:イナアガー)を少しずつ入れてしっかりと混ぜる。アガーが溶けたら、5gの寒天(商品名:寒天クック)を少しずつ入れてしっかりと混ぜる。そして、完全に混ざったら、図3(a)に示すように、総重量が510gであるスープのうち例えば300gをフィギュア14の型に流し込む。粗熱が取れたら冷蔵庫に入れて例えば8時間以上冷やし固める。しっかりと固まったのを確認してから型から出しておく。図4(a)、図4(b)及び図4(c)に示すように、型から出されたフィギュア14は、光沢があり、且つ、プルンとしていてやわらかく弾力があった。
【0059】
また、図3(b)に示すように、鍋料理用の鍋11に残りの210gのスープを入れて冷やし固めておき、固まったら型抜きで6~8箇所くり抜き、図1に示すように、第1ゲル化体12に孔部15を形成する。また、完成したフィギュア(クマちゃん)を鍋に盛り付ける。その後、鍋用の肉及び野菜を、別皿に盛り付けて提供する。
【0060】
一方、比較例1の鍋料理セットにおいては、スープの重量を500gとしたとき、寒天の重量は3gであり、アガーの重量は11gであり、第1ゲル化体12の総重量は514gであった。比較例2の鍋料理セットにおいては、スープの重量を500gとしたとき、寒天の重量は2gであり、アガーの重量は12gであり、第1ゲル化体12の総重量は514gであった。比較例3の鍋料理セットにおいては、スープの重量を500gとしたとき、寒天の重量は7gであり、アガーの重量は7gであり、第1ゲル化体12の総重量は514gであった。比較例4の鍋料理セットにおいては、スープの重量を500gとしたとき、寒天の重量は1gであり、アガーの重量は13gであり、第1ゲル化体12の総重量は514gであった。また、第1ゲル化体12及びフィギュア14の製造工程を含めた比較例1乃至比較例4の鍋料理セットの提供方法は、寒天及びアガーの重量を除いて、第1ゲル化体12及びフィギュア14の製造工程を含めた実施例1の鍋料理セットの提供方法と同様であった。
【0061】
このようにして製造された第1ゲル化体12及びフィギュア14を鍋11に入れて火をかけた。具体的には、IH加熱器の中火で加熱し、フィギュア14が完全に溶けるまでの時間を計測した。計測した時間の結果を、表1に示す。なお、表1では、第1ゲル化体12を土台と表記し、フィギュア14を本体と表記している。また、表1では、フィギュア14が溶ける時間が10分以上20分以下であり、光沢があり、且つ、プルンとしていてやわらかく弾力があるか否かの観点で、〇×評価即ち適否の評価を記載している。
【0062】
【表1】
【0063】
スープが沸騰し始めてもすぐに溶けてしまうことを防止又は抑制するためには、フィギュア14が完全に溶けるまでの時間が10分以上であることが望ましい。また、客が鍋料理を食する間にフィギュア14が溶けるのを見て楽しむためには、フィギュア14が完全に溶けるまでの時間が20分以下であることが望ましい。また、フィギュア14が光沢があり、且つ、プルンとしていてやわらかく弾力があることが望ましい。
【0064】
表1に示すように、比較例1、比較例2及び比較例4では、フィギュア14が完全に溶けるまでの時間は10分未満であった。特に、比較例4では、アガーの含有量が13gであって多いため、フィギュア14が固まらずに自立できなかったので、図5(a)、図5(b)及び図5(c)に示すように、フィギュア14は横に寝た状態になっていた。一方、比較例3では、フィギュア14が完全に溶けるまでの時間は10分以上ではあるものの、ほぼ10分に近く、フィギュア14が光沢がなく、プルンとしておらずやわらかくなく弾力がなかった。そのため、表1に示すように、比較例1乃至比較例4については、適否の評価において×の評価であった。
【0065】
更に同様にして、500gのスープに対して、寒天及びアガーの重量を変更しながら、第1ゲル化体12及びフィギュア14の製造工程を含めた各実施例及び各比較例の鍋料理セットの提供方法を行い、適否の評価を行った結果を、表2に示す。表2においても、表1と同様に、フィギュア14が溶ける時間が10分以上20分以下であり、光沢があり、且つ、プルンとしていてやわらかく弾力があるか否かの観点で、〇×評価即ち適否の評価を記載している。
【0066】
【表2】
【0067】
表2に示すように、スープ(第1調味料及び第2調味料)の重量を500gとしたとき、アガー(第1アガー及び第2アガー)の重量の好適な範囲は、3~7gであり、寒天(第1寒天及び第2寒天)の重量の好適な範囲は、4.5~6gであった。
【0068】
アガーの重量が3gであり、寒天の重量が6gであるとき(実施例2)、フィギュア14(又は第1ゲル化体12)の総重量に対する、第2アガー(又は第1アガー)の重量の比率である重量比は、3/(500+3+6)=0.0059であった。また、アガーの重量が7gであり、寒天の重量が4.5gであるとき(実施例3)、フィギュア14(又は第1ゲル化体12)の総重量に対する、第2アガー(又は第1アガー)の重量の比率である重量比は、7/(500+7+4.5)=0.0137であった。
【0069】
アガーの重量が7gであり、寒天の重量が4.5gであるとき(実施例3)、フィギュア14(又は第1ゲル化体12)の総重量に対する、第2寒天(又は第1寒天)の重量の比率である重量比は、4.5/(500+7+4.5)=0.0088であった。また、アガーの重量が3gであり、寒天の重量が6gであるとき(実施例2)、フィギュア14(又は第1ゲル化体12)の総重量に対する、第2寒天(又は第1寒天)の重量の比率である重量比は、6/(500+3+6)=0.0118であった。
【0070】
そのため、第1ゲル化体12の総重量に対する、第1アガーの重量の比率である第1重量比の好適な範囲は、0.0059~0.0137であり、第1ゲル化体12の総重量に対する、第1寒天の重量の比率である第2重量比の好適な範囲は、0.0088~0.0118である。また、フィギュア14の総重量に対する、第2アガーの重量の比率である第3重量比の好適な範囲は、0.0059~0.0137であり、フィギュア14の総重量に対する、第2寒天の重量の比率である第4重量比の好適な範囲は、0.0088~0.0118である。
【0071】
言い換えれば、好適には、第1ゲル化体12中の第1アガーの第1含有率が0.59~1.37重量%であり、第1ゲル化体12中の第1寒天の第2含有率が0.88~1.18重量%である。また、フィギュア14中の第2アガーの第3含有率が0.59~1.37重量%であり、フィギュア14中の第2寒天の第4含有率が0.88~1.18重量%である。
【0072】
フィギュア14に含有されるアガーについては、第3重量比が0.0059以上の場合(第3含有率が0.59重量%以上の場合)、第3重量比が0.0059未満の場合(第3含有率が0.59重量%未満の場合)に比べて、アガーの重量が少なくなりすぎないので、フィギュア14が溶ける時間が20分以下であり、フィギュア14に光沢があり、且つ、フィギュア14がプルンとしていてやわらかく弾力がある。また、第3重量比が0.0137以下の場合(第3含有率が1.37重量%以下の場合)、第3重量比が0.0137を超える場合(第3含有率が1.37重量%を超える場合)に比べて、アガーの重量が多くなりすぎないので、フィギュア14が溶ける時間が10分以上であり、フィギュア14が固まり自立することができる。
【0073】
また、フィギュア14に含有される寒天については、第4重量比が0.0088以上の場合(第4含有率が0.88重量%以上の場合)、第4重量比が0.0088未満の場合(第4含有率が0.88重量%未満の場合)に比べて、寒天の重量が少なくなりすぎないので、フィギュア14が溶ける時間が10分以上であり、フィギュア14が固まり自立することができる。また、第4重量比が0.0118以下の場合(第4含有率が1.18重量%以下の場合)、第4重量比が0.0118を超える場合(第4含有率が1.18重量%を超える場合)に比べて、寒天の重量が多くなりすぎないので、フィギュア14が溶ける時間が20分以下であり、フィギュア14に光沢があり、且つ、フィギュア14がプルンとしていてやわらかく弾力がある。
【0074】
一方、第1ゲル化体12についても、第1重量比の好適な範囲が0.0059~0.0137(第1含有率が0.59~1.37重量%)であり、第2重量比の好適な範囲が、0.0088~0.0118(第2含有率が0.88~1.18重量%)であることにより、フィギュア14を製造する際に第1ゲル化体12と同一のスープがゲル化されることにより、フィギュア14と第1ゲル化体12とを同一の工程により製造することができる。
【0075】
<各種の鍋料理に適用した場合>
次に、実施例1の鍋料理セットを各種の鍋料理に適用した場合について説明する。本実施の形態の鍋料理セットを用いて提供される鍋料理は、ごま豆乳鍋料理、みそとんこつ鍋料理、ゆず塩鍋料理、鶏醤油寄せ鍋料理又は鶏白湯鍋料理に適用可能である。
【0076】
図6及び図7は、実施例1の鍋料理セットを各種の鍋料理に適用した場合の第1ゲル化体及びフィギュアを説明するための写真である。図6(a)、図6(b)は、それぞれごま豆乳鍋料理、みそとんこつ鍋料理に適用した場合を示し、図7(a)、図7(b)は、それぞれゆず塩鍋料理、鶏醤油寄せ鍋料理に適用した場合を示している。また、鶏白湯鍋料理に適用した場合を、図2(a)に示している。
【0077】
[1.ごま豆乳鍋]
鍋料理がごま豆乳鍋料理であるとき、第1調味料及び第2調味料のいずれも、豆乳、鶏だし、昆布だし、すりごま、練りごま及び米みそを含有するごま豆乳スープの素、並びに、水分を含有する。
【0078】
また、鍋料理がごま豆乳鍋料理であるときの分量表は、以下の通りである。
ごま豆乳スープの素:100g(100cc)
水:400g(400cc)
アガー(イナアガー):5g
寒天(寒天クック):5g
【0079】
また、ごま豆乳スープの素の特徴は、以下の通りである。
ごま豆乳スープの素の特徴:豆乳に鶏だし昆布だしを合わせ、すりごまと練りごま、米みそを加えて仕上げた、まろやかでコクのあるスープである。
【0080】
また、鍋料理がごま豆乳鍋料理であるときの鍋料理の提供の手順は、以下の通りである。
(1-1)ごま豆乳スープの素100gと水400gとを鍋に入れて火にかける。
(1-2)スープが沸騰する前にアガー5gを少しづつ入れてしっかりと混ぜる。
(1-3)アガー5gが溶けたら、寒天5gを少しづつ入れてしっかりと混ぜる。
(1-4)完全に混ざったら型に流し込む(300g)。型には予め型取りをしておいた紅白の蒲鉾を4切入れて置く。
(1-5)粗熱が取れたら冷蔵庫に入れて冷やし固める(8時間以上)。
(1-6)しっかりと固まったのを確認してから型から出しておく。
(1-7)鍋に残りのスープ210gを入れて冷やし固めておき、固まったら型抜きで6箇所~8箇所くり抜く。
(1-8)完成したフィギュアを鍋に盛り付ける。
(1-9)鍋用の肉や野菜は別皿に盛り付けて提供をする。また、鍋料理がごま豆乳鍋料理であるとき、肉や野菜を食した後の最後の食材として、パスタ及びチーズを用いることが好ましい。
【0081】
上記した(1-1)乃至(1-8)の手順を行ってフィギュア14が第1ゲル化体12上に配置された状態を、図6(a)に示す。図6(a)に示すように、光沢があるフィギュア14が第1ゲル化体12上に配置され、鍋11の中に第1ゲル化体12が入れられた状態で鍋11を配膳する際に、スープ又は水がこぼれるおそれがないことが分かる。
【0082】
[2.みそとんこつ鍋料理]
鍋料理がみそとんこつ鍋料理であるとき、第1調味料及び第2調味料のいずれも、豚又は鶏を含有する白湯スープ、米みそ、豆みそ、ごま油及び鶏脂で炒めたにんにく、並びに、水分を含有する。
【0083】
また、鍋料理がみそとんこつ鍋料理であるときの分量表は、以下の通りである。
みそとんこつスープの素:125g(125cc)
水:375g(375cc)
アガー(イナアガー):5g
寒天(寒天クック):5g
【0084】
また、みそとんこつスープの素の特徴は、以下の通りである。
みそとんこつスープの素の特徴:豚と鶏の白湯スープに米みそと豆みその2種類のみそを合わせ、ごま油と鶏脂で炒めたにんにくを加えた風味の良いスープである。
【0085】
また、鍋料理がみそとんこつ鍋料理であるときの鍋料理の提供の手順は、以下の通りである。
(2-1)みそとんこつスープの素125gと水375gとを鍋に入れて火にかける。
(2-2)スープが沸騰する前にアガー5gを少しづつ入れてしっかりと混ぜる。
(2-3)アガー5gが溶けたら、寒天5gを少しづつ入れてしっかりと混ぜる。
(2-4)完全に混ざったら型に流し込む(300g)。型には予め型取りをしておいた紅白の蒲鉾を4切入れて置く。
(2-5)粗熱が取れたら冷蔵庫に入れて冷やし固める(8時間以上)。
(2-6)しっかりと固まったのを確認してから型から出しておく。
(2-7)鍋に残りのスープ210gを入れて冷やし固めておき、固まったら型抜きで6箇所~8箇所くり抜く。
(2-8)完成したフィギュアを鍋に盛り付ける。
(2-9)鍋用の肉や野菜は別皿に盛り付けて提供をする。また、鍋料理がみそとんこつ鍋料理であるとき、肉や野菜を食した後の最後の食材として、細めの中華麺を用いることが好ましい。
【0086】
上記した(2-1)乃至(2-8)の手順を行ってフィギュア14が第1ゲル化体12上に配置された状態を、図6(b)に示す。図6(b)に示すように、光沢があるフィギュア14が第1ゲル化体12上に配置され、鍋11の中に第1ゲル化体12が入れられた状態で鍋11を配膳する際に、スープ又は水がこぼれるおそれがないことが分かる。また、フィギュア14の頭部に蒲鉾が入っていることが分かる。
【0087】
[3.ゆず塩鍋料理]
鍋料理がゆず塩鍋料理であるとき、第1調味料及び第2調味料のいずれも、鶏ガラスープ、昆布だし、柚子及び塩、並びに、水分を含有する。
【0088】
また、鍋料理がゆず塩鍋料理であるときの分量表は、以下の通りである。
ゆず塩スープの素:50g(50cc)
水:450g(450cc)
アガー(イナアガー):5g
寒天(寒天クック):5g
【0089】
また、ゆず塩スープの素の特徴は、以下の通りである。
ゆず塩スープの素の特徴:鶏ガラスープと昆布だしを使用し、柚子の香りをほんのり効かせた、さっぱりとした味わいの塩味ベースのスープである。
【0090】
また、鍋料理がゆず塩鍋料理であるときの鍋料理の提供の手順は、以下の通りである。
(3-1)ゆず塩スープの素50gと水450gとを鍋に入れて火にかける。
(3-2)スープが沸騰する前にアガー5gを少しづつ入れてしっかりと混ぜる。
(3-3)アガー5gが溶けたら、寒天5gを少しづつ入れてしっかりと混ぜる。
(3-4)完全に混ざったら型に流し込む(300g)。型には予め型取りをしておいた紅白の蒲鉾を4切入れて置く。
(3-5)粗熱が取れたら冷蔵庫に入れて冷やし固める(8時間以上)。
(3-6)しっかりと固まったのを確認してから型から出しておく。
(3-7)鍋に残りのスープ210gを入れて冷やし固めておき、固まったら型抜きで6箇所~8箇所くり抜く。
(3-8)完成したフィギュアを鍋に盛り付ける。
(3-9)鍋用の肉や野菜は別皿に盛り付けて提供をする。また、鍋料理がゆず塩鍋料理であるとき、肉や野菜を食した後の最後の食材として、きしめんを用いることが好ましい。
【0091】
上記した(3-1)乃至(3-8)の手順を行ってフィギュア14が第1ゲル化体12上に配置された状態を、図7(a)に示す。図7(a)に示すように、光沢があるフィギュア14が第1ゲル化体12上に配置され、鍋11の中に第1ゲル化体12が入れられた状態で鍋11を配膳する際に、スープ又は水がこぼれるおそれがないことが分かる。また、フィギュア14の頭部に蒲鉾が入っていることが分かる。
【0092】
[4.鶏醤油寄せ鍋料理]
鍋料理が鶏醤油寄せ鍋料理であるとき、第1調味料及び第2調味料のいずれも、醤油、魚醤、鶏ガラだし、鰹、昆布及び帆立、並びに、水分を含有する。
【0093】
また、鍋料理が鶏醤油寄せ鍋料理であるときの分量表は、以下の通りである。
鶏醤油寄せ鍋スープの素:50g(50cc)
水:450g(450cc)
アガー(イナアガー):5g
寒天(寒天クック):5g
【0094】
また、鶏醤油寄せ鍋スープの素の特徴は、以下の通りである。
鶏醤油寄せ鍋スープの素の特徴:本醸造醤油ベースに魚醤、鶏ガラだし、鰹、昆布、帆立を加えた風味豊かなスープである。
【0095】
また、鍋料理が鶏醤油寄せ鍋料理であるときの鍋料理の提供の手順は、以下の通りである。
(4-1)鶏醤油寄せ鍋スープの素50gと水450gとを鍋に入れて火にかける。
(4-2)スープが沸騰する前にアガー5gを少しづつ入れてしっかりと混ぜる。
(4-3)アガー5gが溶けたら、寒天5gを少しづつ入れてしっかりと混ぜる。
(4-4)完全に混ざったら型に流し込む(300g)。型には予め型取りをしておいた紅白の蒲鉾を4切入れて置く。
(4-5)粗熱が取れたら冷蔵庫に入れて冷やし固める(8時間以上)。
(4-6)しっかりと固まったのを確認してから型から出しておく。
(4-7)鍋に残りのスープ210gを入れて冷やし固めておき、固まったら型抜きで6箇所~8箇所くり抜く。
(4-8)完成したフィギュアを鍋に盛り付ける。
(4-9)鍋用の肉や野菜は別皿に盛り付けて提供をする。また、鍋料理が鶏醤油寄せ鍋料理であるとき、肉や野菜を食した後の最後の食材として、焼きおにぎりを用いることが好ましい。
【0096】
上記した(4-1)乃至(4-8)の手順を行ってフィギュア14が第1ゲル化体12上に配置された状態を、図7(b)に示す。図7(b)に示すように、光沢があるフィギュア14が第1ゲル化体12上に配置され、鍋11の中に第1ゲル化体12が入れられた状態で鍋11を配膳する際に、スープ又は水がこぼれるおそれがないことが分かる。また、フィギュア14の頭部に蒲鉾が入っていることが分かる。
【0097】
[5.鶏白湯鍋料理]
鍋料理が鶏白湯鍋料理であるとき、第1調味料及び第2調味料のいずれも、鶏ガラを煮込んだ白湯スープ及び鶏脂、並びに、水分を含有する。
【0098】
また、鍋料理が鶏白湯鍋料理であるときの分量表は、以下の通りである。
鶏白湯スープの素:50g(50cc)
水:450g(450cc)
アガー(イナアガー):5g
寒天(寒天クック):5g
【0099】
また、鶏白湯スープの素の特徴は、以下の通りである。
鶏白湯スープの素の特徴:鶏ガラをじっくり煮込んだ濃厚な旨味の白湯スープに鶏脂を加え更に鶏の旨味と風味を豊かにしたスープである。
【0100】
また、鍋料理が鶏白湯鍋料理であるときの鍋料理の提供の手順は、以下の通りである。
(5-1)鶏白湯スープの素50gと水450gとを鍋に入れて火にかける。
(5-2)スープが沸騰する前にアガー5gを少しづつ入れてしっかりと混ぜる。
(5-3)アガー5gが溶けたら、寒天5gを少しづつ入れてしっかりと混ぜる。
(5-4)完全に混ざったら型に流し込む(300g)。型には予め型取りをしておいた紅白の蒲鉾を4切入れて置く。
(5-5)粗熱が取れたら冷蔵庫に入れて冷やし固める(8時間以上)。
(5-6)しっかりと固まったのを確認してから型から出しておく。
(5-7)鍋に残りのスープ210gを入れて冷やし固めておき、固まったら型抜きで6箇所~8箇所くり抜く。
(5-8)完成したフィギュアを鍋に盛り付ける。
(5-9)鍋用の肉や野菜は別皿に盛り付けて提供をする。また、鍋料理が鶏白湯鍋料理であるとき、肉や野菜を食した後の最後の食材として、うどん(讃岐うどん)を用いることが好ましい。
【0101】
上記した(5-1)乃至(5-8)の手順を行ってフィギュア14が第1ゲル化体12上に配置された状態を、前述した図2(a)に示す。図2(a)に示すように、光沢があるフィギュア14が第1ゲル化体12上に配置され、鍋11の中に第1ゲル化体12が入れられた状態で鍋11を配膳する際に、スープ又は水がこぼれるおそれがないことが分かる。
【0102】
なお、実施例1の鍋料理セットを、上記した1.乃至5.の鍋料理を含めた各種の鍋料理に適用する際に、紅白の蒲鉾を型に入れて置く方法を説明したように、フィギュア14は、例えば蒲鉾等よりなる第2食材を含有してもよい。また、第1ゲル化体12が溶解した後、第1食材が鍋に入れられた状態で、第1調味液、フィギュア14及び第1食材が第1温度で加熱されたとき、第1調味液中で加熱されたフィギュア14が溶解することにより、第2食材が第2調味液中に出現するようにしてもよい。これにより、娯楽性をより高めることができる。また、第2食材を例えばフィギュア14の装飾部品として用いることができる。
【0103】
<鍋料理セットの変形例>
本実施の形態の鍋料理セットの変形例として、以下の各種の変形例が挙げられる。
【0104】
実施の形態の鍋料理セットの第1変形例として、フィギュア14に含有される第2寒天の第4重量比(第4含有率)は、第1ゲル化体12に含有される第1寒天の第2重量比(第2含有率)よりも大きくてもよい(高くてもよい)。或いは、フィギュア14に含有される第2アガーの第3重量比(第3含有率)は、第1ゲル化体12に含有される第1アガーの第1重量比(第1含有率)よりも小さくてもよい(低くてもよい)。これにより、フィギュア14が第1ゲル化体12よりも溶解しにくくなるので、第1ゲル化体12が溶解した後、フィギュア14が溶解する、という溶解の順番を確実に実現することができる。
【0105】
実施の形態の鍋料理セットの第2変形例として、フィギュア14に含有される第2寒天の第4重量比(第4含有率)は、フィギュア14が第1ゲル化体12上に配置された時の状態で、鍋11に入れられたフィギュア14の下端から上端に向かって徐々に減少していてもよい。或いは、フィギュア14に含有される第2アガーの第3重量比(第3含有率)は、フィギュア14が第1ゲル化体12上に配置された時の状態で、鍋11に入れられたフィギュア14の下端から上端に向かって徐々に増加していてもよい。このような場合、フィギュア14の下層部が上層部よりも溶解しにくくなる。また、フィギュア14の上層部はプルンとしていてやわらかく弾力があるが、下層部は上層部よりも溶けにくいので、全体として溶けにくくなる。
【0106】
実施の形態の鍋料理セットの第3変形例として、フィギュア14中に、他の食材又は寒天よりなる芯部が包含されており、スープを加熱している途中で芯部が出現して形状が変化してもよい。これにより、娯楽性をより高めることができる。本第3変形例は、アガーと寒天とを組み合わせることにより、ゼラチンと寒天とを組み合わせる場合に比べて溶けやすい組成を調整しやすいために実現することができる。
【0107】
実施の形態の鍋料理セットの第4変形例として、1つの大きな鍋にアガーと寒天との比が異なる2つ又は人数分のフィギュア14を入れて提供し、加熱調理の際にどのフィギュア14が最後まで残るか予想しながら食する。このような場合も、娯楽性をより高めることができる。本第4変形例は、アガーと寒天とを組み合わせることにより、ゼラチンと寒天とを組み合わせる場合に比べて溶けやすい組成を調整しやすいために実現することができる。
【0108】
実施の形態の鍋料理セットの第5変形例として、フィギュア14を製造するための型をアガーで形成することにより、加熱調理の際に、鍋の中で型が溶けてフィギュア14が出現するようにしてもよい。このような場合も、娯楽性をより高めることができる。本第5変形例は、アガーと寒天とを組み合わせることにより、ゼラチンと寒天とを組み合わせる場合に比べて溶けやすい組成を調整しやすいために実現することができる。
【0109】
実施の形態の鍋料理セットの第6変形例として、第1ゲル化体12をフィギュア14よりも溶けやすい組成でフィギュア14と一体でゲル化し、第1ゲル化体12の上面に凹凸形状を形成する等、第1ゲル化体12をその上にフィギュア14が配置されるジオラマとして形成してもよい。このような場合も、娯楽性をより高めることができる。本第6変形例は、アガーと寒天とを組み合わせることにより、ゼラチンと寒天とを組み合わせる場合に比べて溶けやすい組成を調整しやすいために実現することができる。
【0110】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0111】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0112】
例えば、前述の各実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0113】
11 鍋
12 第1ゲル化体
13 第2ゲル化体
14 フィギュア
15 孔部
【要約】
【課題】フィギュアがプルンとしており、スープが沸騰し始めてもフィギュアがすぐに溶けてしまうことを防止できる鍋料理セットを提供する。
【解決手段】鍋料理セットは、第1調味料、第1アガー及び第1寒天を含有し、且つ、鍋11の底面上に配置された状態で常温でゲル化された第1ゲル化体12と、第2調味料、第2アガー及び第2寒天を含有し、常温でゲル化され、且つ、第1ゲル化体12上に配置されるフィギュア14と、鍋11に入れられる第1食材と、を有する。第1ゲル化体12及びフィギュア14が加熱されたとき、第1ゲル化体12が溶解することにより、第1調味液が形成され、第1ゲル化体12が溶解した後、フィギュア14が溶解する。
【選択図】図1
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