(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】抗O2抗体およびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20221019BHJP
C07K 16/12 20060101ALI20221019BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20221019BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221019BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20221019BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20221019BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20221019BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221019BHJP
C12N 5/12 20060101ALI20221019BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20221019BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/12
C12P21/08
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N5/12
A61P31/04
A61K39/395 R
(21)【出願番号】P 2019505373
(86)(22)【出願日】2017-08-04
(86)【国際出願番号】 US2017045480
(87)【国際公開番号】W WO2018027124
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-07-29
(32)【優先日】2016-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504333972
【氏名又は名称】メディミューン,エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】516097907
【氏名又は名称】ヒューマブス バイオメド エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チュン
(72)【発明者】
【氏名】ストーバー,チャールズ,ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ペニーニ,メーガン
(72)【発明者】
【氏名】シアオ,シアオドン
(72)【発明者】
【氏名】コルティ,ダヴィデ
(72)【発明者】
【氏名】キャメローニ,エリザベッタ
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラメッロ,マルティナ
(72)【発明者】
【氏名】カプラン,ジラード
(72)【発明者】
【氏名】デマルコ,アンナ
【審査官】小倉 梢
(56)【参考文献】
【文献】Infect. Immun.,2000年,Vol. 68,p. 2402-2409
【文献】Clin. Diagn. Lab. Immunol.,1997年,Vol. 4,p. 550-555
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00 - 15/90
C07K 16/00 - 16/46
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合し、且つ、
相補性決定領域(CDR):HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3のセットを含み、前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3が、
それぞれ配列番号109、110、111、112、113または114、および115;
それぞれ配列番号109、110、199、200、113または114、および201;
それぞれ配列番号109、110、111、200、113または114、および201;
それぞれ配列番号109、110、199、112、113または114、および201;
それぞれ配列番号109、110、199、200、113または114、および115;
それぞれ配列番号109、215、216、218、113または114、および230;
それぞれ配列番号109、215、216、228、113または114、および230;
それぞれ配列番号109、215、216、238、113または114、および230;
それぞれ配列番号1、2、3、4、
5または6、および7;
それぞれ配列番号10、11、12、13、14または15、および16;
それぞれ配列番号19、20、21、22、23または24、および25;
それぞれ配列番号46、47、48、49、50または51、および52;
それぞれ配列番号166、167、168、175、176または177、および178;または
それぞれ配列番号169、170、171、179、180または181、および182
のアミノ酸配列を含む、
単離抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含み、前記VHおよびVLが、
配列番号116のアミノ酸配列を含むVHおよび/または配列番号117のアミノ酸配列を含むVL;
配列番号202のアミノ酸配列を含むVHおよび/または配列番号203のアミノ酸配列を含むVL;
配列番号116のアミノ酸配列を含むVHおよび/または配列番号203のアミノ酸配列を含むVL;
配列番号202のアミノ酸配列を含むVHおよび/または配列番号204のアミノ酸配列を含むVL;
配列番号202のアミノ酸配列を含むVHおよび/または配列番号205のアミノ酸配列を含むVL;
配列番号213のアミノ酸配列を含むVHおよび/または配列番号217のアミノ酸配列を含むVL;
配列番号223のアミノ酸配列を含むVHおよび/または配列番号227のアミノ酸配列を含むVL;
配列番号233のアミノ酸配列を含むVHおよび/または配列番号237のアミノ酸配列を含むVL;
配列番号273のアミノ酸配列を含むVHおよび/または配列番号237のアミノ酸配列を含むVL;
配列番号274のアミノ酸配列を含むVHおよび/または配列番号237のアミノ酸配列を含むVL;
配列番号243のアミノ酸配列を含むVHおよび/または配列番号247のアミノ酸配列を含むVL;
配列番号253のアミノ酸配列を含むVHおよび/または配列番号257のアミノ酸配列を含むVL;
配列番号263のアミノ酸配列を含むVHおよび/または配列番号267のアミノ酸配列を含むVL;
配列番号8のアミノ酸配列を含むVHおよび/または配列番号9のアミノ酸配列を含むVL;
配列番号17のアミノ酸配列を含むVHおよび/または配列番号18のアミノ酸配列を含むVL;
配列番号26のアミノ酸配列を含むVHおよび/または配列番号27のアミノ酸配列を含むVL;
配列番号53のアミノ酸配列を含むVHおよび/または配列番号54のアミノ酸配列を含むVL;
配列番号187のアミノ酸配列を含むVHおよび/または配列番号190のアミノ酸配列を含むVL;または
配列番号188のアミノ酸配列を含むVHおよび/または配列番号191のアミノ酸配列を含むVL
を含む、請求項1に記載の単離抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3が、それぞれ配列番号109、110、111、112、113または114、および115のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
前記VHおよびVLが、それぞれ配列番号116、および配列番号117のアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の単離抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3が、それぞれ配列番号46、47、48、49、50または51、および52のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
前記VHおよびVLが、それぞれ配列番号53、および配列番号54のアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の単離抗体またはその抗原結合断片。
【請求項7】
前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3が、それぞれ配列番号1、2、3、4、5または6、および7のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離抗体またはその抗原結合断片。
【請求項8】
前記VHおよびVLが、それぞれ配列番号8、および配列番号9のアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の単離抗体またはその抗原結合断片。
【請求項9】
前記抗体またはその抗原結合断片が、O2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のオプソニン作用による死滅(OPK)を誘導する、
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項10】
前記抗体またはその抗原結合断片が、O2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導するが、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導しない、
請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項11】
前記抗体またはその抗原結合断片が、マウスを致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃から防御する、
請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項12】
前記抗体またはその抗原結合断片がリポ多糖(LPS)を中和する、
請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項13】
前記抗体またはその抗原結合断片が、LPSによって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防する、
請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項14】
前記抗体またはその抗原結合断片が、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2 LPSによって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防するが、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O1 LPSによって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防しない、
請求項13に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項15】
前記抗体またはその抗原結合断片が、O2血清型肺炎桿菌(K.pneumoniae)のOPKを誘導する、
請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項16】
前記抗体またはその抗原結合断片がa)多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)においてOPKを誘導するか、b)致死的な多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御するか、またはc)多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導し、致死的な多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する、
請求項1~15のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項17】
前記多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)が、Kp961842株またはKp977778株である、
請求項16に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項18】
前記多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)が、表8の行1~226の1つに列挙された株である、
請求項16に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項19】
前記抗体またはその抗原結合断片が、多剤耐性肺炎桿菌(K.pneumoniae)株を少なくとも1つの抗生物質に感受性とする、
請求項1~18のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項20】
前記抗体またはその抗原結合断片が、a)抗生物質に感受性のクレブシエラ(Klebsiella)においてOPKを誘導するか、b)抗生物質に感受性の致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御するか、またはc)抗生物質に感受性のクレブシエラ(Klebsiella)においてOPKを誘導し、抗生物質に感受性の致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する、
請求項1~19のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項21】
前記クレブシエラ(Klebsiella)が、表8の行227~254の1つに列挙された株である、
請求項20に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項22】
前記抗体またはその抗原結合断片がgml-クレブシエラ(Klebsiella)に結合する、
請求項1~21のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項23】
前記抗体またはその抗原結合断片がgml+クレブシエラ(Klebsiella)に結合する、
請求項1~22のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項24】
前記抗体またはその抗原結合断片が、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原のD-ガラクタンIドメインに結合する、
請求項1~23のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項25】
前記抗体またはその抗原結合断片が、マウス、ヒト化、キメラ、再表面化、またはヒトである、
請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項26】
前記抗体またはその抗原結合断片が抗体である、
請求項1~25のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項27】
前記抗体またはその抗原結合断片が抗体の抗原結合断片である、
請求項1~25のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項28】
モノクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、またはその抗原結合断片である、
請求項1~27のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項29】
前記抗体またはその抗原結合断片が、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、単鎖FvもしくはscFv、ジスルフィド連結Fv、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGΔCH2、ミニボディ、F(ab’)3、テトラボディ、トリアボディ、ダイアボディ、シングルドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb2、(scFv)2、またはscFv-Fcを含む、
請求項1~28のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項30】
約4.5E-09または約7.8E-09Mの親和性定数でクレブシエラ(Klebsiella)O2抗原に結合する、
請求項1~29のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項31】
オクテット結合、フローサイトメトリー、Biacore、KinExa、またはラジオイムノアッセイによって結合親和性が測定される、
請求項30に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項32】
前記抗体またはその抗原結合断片がLPSを中和する、
請求項1~31のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項33】
前記抗体またはその抗原結合断片が、O1 LPSを中和せず、O2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導するが、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導しない、
請求項1~32のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項34】
前記抗体またはその抗原結合断片が、
(a)IgA定常ドメイン、
(b)IgD定常ドメイン、
(c)IgE定常ドメイン、
(d)IgG1定常ドメイン、
(e)IgG2定常ドメイン、
(f)IgG3定常ドメイン、
(g)IgG4定常ドメイン、および
(h)IgM定常ドメイン
からなる群から選択される重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む、
請求項1~33のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項35】
前記抗体またはその抗原結合断片が、
(a)Igκ定常ドメイン、および
(b)Igλ定常ドメイン
からなる群から選択される軽鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む、
請求項1~34のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項36】
前記抗体またはその抗原結合断片がヒトIgG1定常ドメインおよびヒトλ定常ドメインを含む、
請求項1~35のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項37】
請求項1~36のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードする単離核酸分子。
【請求項38】
前記核酸分子が制御配列に作動可能に連結される、
請求項37に記載の核酸分子。
【請求項39】
請求項37または38に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項40】
請求項37または38に記載の核酸分子または
請求項39に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項41】
前記宿主細胞が哺乳類宿主細胞である、
請求項40に記載の宿主細胞。
【請求項42】
前記宿主細胞が、HEK293細胞、CHO細胞、COS-7細胞、HeLa細胞、NS0マウス骨髄腫細胞、またはPER.C6(登録商標)ヒト細胞である、
請求項41に記載の哺乳類宿主細胞。
【請求項43】
請求項1~36のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片を産生するハイブリドーマ。
【請求項44】
請求項1~36のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片を産生する単離宿主細胞。
【請求項45】
請求項1~36のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片を作製する方法であって、(a)前記抗体またはその抗原結合断片を発現する宿主細胞を培養するステップ、または請求項
40~42もしくは44のいずれか一項に記載の宿主細胞または
請求項43に記載のハイブリドーマを培養するステップ、および(b)前記培養宿主細胞またはハイブリドーマから前記抗体またはその抗原結合断片を単離するステップを含む方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法を使用して産生される抗体またはその抗原結合断片。
【請求項47】
請求項1~36または46のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片および薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項48】
前記薬学的に許容可能な賦形剤が保存剤、安定剤、または酸化防止剤である、
請求項47に記載の医薬組成物。
【請求項49】
医薬として使用される、
請求項47または48に記載の医薬組成物。
【請求項50】
標識基またはエフェクター基をさらに含む、
請求項1~36もしくは46のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片または
請求項47~49のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記標識基が、同位体標識、磁気標識、レドックス活性成分、光学色素、ビオチン化基、ビオチンシグナル伝達ペプチド、緑色蛍光タンパク質(GFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)などの蛍光成分、ヒスチジンペプチド(his)、ヘマグルチニン(HA)、金結合ペプチド、およびFlagなどの二次レポーターによって認識されるポリペプチドエピトープからなる群から選択される、
請求項50に記載の抗体またはその抗原結合断片または医薬組成物。
【請求項52】
前記エフェクター基が、放射性同位体、放射性核種、毒素、治療薬、および化学療法剤からなる群から選択される、
請求項51に記載の抗体またはその抗原結合断片または医薬組成物。
【請求項53】
それを必要としている対象におけるクレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連する状態の治療、予防、または回復のための、
請求項1~36または46のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片または
請求項47~49のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項54】
クレブシエラ(Klebsiella)に感染した対象においてクレブシエラ(Klebsiella)の増殖を阻害する、またはクレブシエラ(Klebsiella)の数を低下させるための、
請求項1~36または46のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片または
請求項47~49のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項55】
クレブシエラ(Klebsiella)が抗生物質耐性である、
請求項1~36または46のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片または
請求項47~49のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項56】
前記クレブシエラ(Klebsiella)が、セファロスポリン、キノロン、カルバペネム、メロプレム(meroprem)、フルオロキノロン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、トリメトプリム、スルホンアミドおよび/またはコリスチンに対して耐性である、
請求項55に記載の抗体またはその抗原結合断片または医薬組成物。
【請求項57】
抗生物質耐性クレブシエラ(Klebsiella)株を、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片と接触させるステップを含む、抗生物質耐性クレブシエラ(Klebsiella)株を抗生物質に対して感作させるための、
請求項1~36または46のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片または
請求項47~49のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項58】
前記抗体またはその抗原結合断片または医薬組成物が、抗生物質と共に投与するためのものである、
請求項53~57のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片または医薬組成物。
【請求項59】
前記抗体またはその抗原結合断片または医薬組成物および前記抗生物質が相乗的な治療効果を提供する、
請求項58に記載の抗体またはその抗原結合断片または医薬組成物。
【請求項60】
抗生物質および肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を対象に共投与するステップを含む、抗生物質耐性クレブシエラ(Klebsiella)株に感染した対象におけるクレブシエラ(Klebsiella)感染に関連する状態を治療するための
、請求項58または59に記載の単離抗体またはその抗原結合断片であって、前記
抗生物質との共投与が、等モル量の前記抗体またはその抗原結合断片または前記抗生物質の投与の個々の効果の合計よりも大きい治療効果をもたらす、前記
単離抗体またはその抗原結合断片。
【請求項61】
前記治療効果が、(i)前記抗体またはその抗原結合断片または(ii)前記抗生物質のうちの1つのみを投与した対象の相加生存パーセントよりも大きい生存パーセントをもたらす、
請求項60に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項62】
前記抗生物質が、メロペネム、カルバペネム、フルオロキノロン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、トリメトプリム、スルホンアミドおよび/またはコリスチンである、
請求項58~61のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片または医薬組成物。
【請求項63】
クレブシエラ(Klebsiella)が、肺炎桿菌(K.pneumoniae)である、
請求項1~36または46のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片または
請求項47~49のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項64】
前記状態が、肺炎、尿路感染症、敗血症/セプシス、新生児敗血症/セプシス、下痢、軟部組織感染症、臓器移植後の感染症、外科手術による感染症、創傷感染症、肺感染症、化膿性肝膿瘍(PLA)、眼内炎、髄膜炎、壊死性髄膜炎、強直性脊椎炎、および脊椎関節症からなる群から選択される、
請求項53および60~62のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片または
医薬組成物。
【請求項65】
前記状態が院内感染症である、
請求項53および60~62のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片または
医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子的に提出された配列表に対する参照
本出願と共に提出され、ASCIIテキストファイルKLEB-100-WO-PCT_SL.txt(サイズ:138,288バイト;および作成日:2017年8月4日)で電子的に提出された配列表の内容は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
本発明の分野は、一般に、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質(例えば、抗体およびその抗原結合断片)およびクレブシエラ(Klebsiella)感染の予防または治療のためのそれらの結合タンパク質の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
クレブシエラ(Klebsiella)は、肺炎、尿路感染症、新生児敗血症、および外科手術による創傷感染症を含む、日和見感染および院内感染の原因病原体として臨床上の重要性が急速に増しているグラム陰性菌である。そのうえ、化膿性肝膿瘍(PLA)、眼内炎、髄膜炎、および壊死性髄膜炎などのクレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連する、出現しつつある症候群がある。(Iredell et al.BMJ 351:h6420 (2015)を参照されたい。)
【0004】
抗生物質抵抗性が、細菌感染への対処における重大な課題の1つとして出現してきた。薬剤抵抗性の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対していくらかの進歩が得られたが、グラム陰性日和見感染症は、非常に問題である。これらの中で、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)は、多薬剤抵抗性株が広範にわたって広まっており、特に厄介なものとなってきた。広域スペクトル・βラクタマーゼ(ESBL)、肺炎桿菌(K.pneumoniae)カルバペネマーゼ(KPC)、およびニューデリーメタロβラクタマーゼ1(NDM-1)などの抗生物質耐性は、世界中に拡散し、現在の抗生物質の分類は主として不適切なものになった。このような現実は、抗生物質流通ルートの縮小と合わさって、わずかな治療の選択肢のみを残す。最近、いくつかの注目を集める感染が発生しており、これは肺炎桿菌(K.pneumoniae)抗生物質抵抗性に関する緊急性を強調する。したがって、抗生物質療法を補完する戦略を開発することが重要である。
【0005】
莢膜多糖(CPS)およびリポ多糖(LPS)を含む、複数の毒性因子が肺炎桿菌(K.pneumoniae)の病原に関係してきた。LPSおよびCPSに向けられるポリクローナル抗体は、致命的な肺炎桿菌(K.pneumoniae)感染症の前臨床モデルにおいて防御的である。しかしながら、抗体によりこれらの2つの抗原を標的にすることにより、株の対象範囲に関して重大な課題が生じる。77を超える既知の莢膜血清型および8つのO抗原血清型があり、いずれが最も一般的であるか、または病原に最も関連しているかは明らかでない。さらに、LPS内の保存されたエピトープを標的とする限られた数のモノクローナル抗体は、報告された防御効果を有しない(Brade et al.2001,J Endotoxin Res,7(2):119-24)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))、特に抗生物質耐性クレブシエラ(Klebsiella)感染に対する防御効果を有する抗体を同定し、開発する必要が大いにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2結合タンパク質、例えば、抗体またはその抗原結合断片、および肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2結合タンパク質を用いたクレブシエラ(Klebsiella)感染症の治療方法を提供する。
【0008】
1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質が本明細書において提供され、この抗原結合タンパク質は、クレブシエラ(Klebsiella)のオプソニン作用による死滅(OPK)を誘導する。1つの実例では、抗原結合タンパク質は、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)およびO2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導する。1つの実例では、抗原結合タンパク質は、O2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導するが、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導しない。
【0009】
1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、マウスを致命的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃から防御する。
【0010】
1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、リポ多糖(LPS)を中和する。1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、LPSによって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防する。1つの実例では、抗原結合タンパク質は、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O1 LPSおよび肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2 LPSの両方によって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防する。1つの実例では、抗原結合タンパク質は、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2 LPSによって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減、または予防するが、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O1 LPSによって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防しない。
【0011】
1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、(i)O1および/またはO2 LPSを中和し、O2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導するが、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導しない;(ii)O1および/またはO2 LPSを中和し、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)およびO2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導する;または(iii)O1 LPSを中和せず、O2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導するが、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導しない。
【0012】
1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)、K.オキシトカ(K.oxytoca)、K.グラニュロマティス(K.granulomatis)、臭鼻菌(K.ozaenae)、鼻硬腫菌(K.rhinosclermoatis)および/またはK.プランチコラ(K.planticola)のOPKを誘導する。1つの実例では、抗原結合タンパク質は肺炎桿菌(K.pneumoniae)のOPKを誘導する。
【0013】
1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O1抗原にも結合する。
【0014】
1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、a)多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)においてOPKを誘導するか、b)致死的な多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御するか、またはc)多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導し、致死的な多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する。1つの実例では、多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)は、Kp961842株またはKp977778株(いずれもST258株)である。1つの実例では、多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)は、表8の行1~226の1つに列挙された株である。
【0015】
1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、多剤耐性肺炎桿菌(K.pneumoniae)株を少なくとも1つの抗生物質に感受性とする。
【0016】
1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、a)抗生物質に感受性のクレブシエラ(Klebsiella)においてOPKを誘導するか、b)抗生物質に感受性の致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御するか、またはc)抗生物質に感受性のクレブシエラ(Klebsiella)においてOPKを誘導し、抗生物質に感受性の致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する。1つの実例では、クレブシエラ(Klebsiella)は、表8の行227~254の1つに列挙された株である。
【0017】
1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、gml-クレブシエラ(Klebsiella)に結合する。1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、gml+クレブシエラ(Klebsiella)に結合する。
【0018】
1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原のD-ガラクタンIドメインに結合する。
【0019】
1つの実例では、相補性決定領域(CDR):HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3のセットを含む、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質が本明細書において提供され、HCDR1が配列番号1のアミノ酸配列を有し、HCDR2が配列番号2のアミノ酸配列を有し、HCDR3が配列番号3のアミノ酸配列を有し、LCDR1が配列番号4のアミノ酸配列を有し、LCDR2が配列番号5または6のアミノ酸配列を有し、LCDR3が配列番号7のアミノ酸配列を有する。
【0020】
1つの実例では、相補性決定領域(CDR):HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3のセットを含む、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質が本明細書において提供され、HCDR1が配列番号109のアミノ酸配列を有し、HCDR2が配列番号110のアミノ酸配列を有し、HCDR3が配列番号199のアミノ酸配列を有し、LCDR1が配列番号200のアミノ酸配列を有し、LCDR2が配列番号113または114のアミノ酸配列を有し、LCDR3が配列番号201のアミノ酸配列を有する。
【0021】
1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質が本明細書において提供され、抗原結合タンパク質が、配列番号8と少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一な重鎖可変領域(VH)および/または配列番号9と少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一な軽鎖可変領域(VL)を含む。1つの実例では、その抗原結合タンパク質が、配列番号8を含むVHおよび配列番号9を含むVLを含む。
【0022】
1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質が本明細書において提供され、抗原結合タンパク質が、配列番号202と少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一な重鎖可変領域(VH)および/または配列番号203と少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一な軽鎖可変領域(VL)を含む。1つの実例では、その抗原結合タンパク質が、配列番号202を含むVHおよび配列番号203を含むVLを含む。
【0023】
1つの実例では、配列番号8を含むVHを含む、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質が本明細書において提供される。
【0024】
1つの実例では、配列番号202を含むVHを含む、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質が本明細書において提供される。
【0025】
1つの実例では、配列番号9を含むVLを含む、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質が本明細書において提供される。
【0026】
1つの実例では、配列番号203を含むVLを含む、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質が本明細書において提供される。
【0027】
1つの実例では、配列番号8を含むVHおよび配列番号9を含むVLを含む、抗体と同じ肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原中のエピトープに特異的に結合する単離抗原結合タンパク質が本明細書において提供される。
【0028】
1つの実例では、配列番号202を含むVHおよび配列番号203を含むVLを含む、抗体と同じ肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原中のエピトープに特異的に結合する単離抗原結合タンパク質が本明細書において提供される。
【0029】
1つの実例では、配列番号8を含むVHおよび配列番号9を含むVLを含む、抗体の肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原への結合を競合的に阻害する単離抗原結合タンパク質が本明細書において提供される。
【0030】
1つの実例では、配列番号202を含むVHおよび配列番号203を含むVLを含む、抗体の肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原への結合を競合的に阻害する単離抗原結合タンパク質が本明細書において提供される。
【0031】
1つの実例では、相補性決定領域(CDR):HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3のセットを含む、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質が本明細書において提供され、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3は、以下のアミノ酸配列を含む:それぞれ配列番号10~13、14または15、および16、それぞれ配列番号19~22、23または24、および25、それぞれ配列番号28~31、32または33、および34、それぞれ配列番号37~40、41または42、および43、それぞれ配列番号46~49、50または51、および52、それぞれ配列番号166~168、175、176または177、および178、それぞれ配列番号169~171、179、180または181、および182、それぞれ配列番号55~58、59または60、および61、それぞれ配列番号64~67、68または69、および70、それぞれ配列番号73~78、それぞれ配列番号82~85、86または87、および88、それぞれ配列番号91~94、95または96、および97、それぞれ配列番号100~103、104または105、および106、それぞれ配列番号109~112、113または114、および115、それぞれ配列番号118~121、122または123、および124、それぞれ配列番号127~130、131または132、および133、それぞれ配列番号172~174、183、184または185、および186、または配列番号109~111、199、112~115、200および201。
【0032】
1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質が本明細書において提供され、この抗原結合タンパク質は、それぞれ配列番号17および配列番号18、それぞれ配列番号26および配列番号27、それぞれ配列番号35および配列番号36、それぞれ配列番号44および配列番号45、それぞれ配列番号53および配列番号54、それぞれ配列番号187および配列番号190、それぞれ配列番号188および配列番号191、それぞれ配列番号62および配列番号63、それぞれ配列番号71および配列番号72、それぞれ配列番号80および配列番号81、それぞれ配列番号89および配列番号90、それぞれ配列番号98および配列番号99、それぞれ配列番号107および配列番号108、それぞれ配列番号116および配列番号117、それぞれ配列番号125および配列番号126、それぞれ配列番号134および配列番号135、それぞれ配列番号189および配列番号192、または配列番号116および配列番号202~205、と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHおよびVLを含む。
【0033】
1つの実例では、抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号17および配列番号18、それぞれ配列番号26および配列番号27、それぞれ配列番号35および配列番号36、それぞれ配列番号44および配列番号45、それぞれ配列番号53および配列番号54、それぞれ配列番号187および配列番号190、それぞれ配列番号188および配列番号191、それぞれ配列番号62および配列番号63、それぞれ配列番号71および配列番号72、それぞれ配列番号80および配列番号81、それぞれ配列番号89および配列番号90、それぞれ配列番号98および配列番号99、それぞれ配列番号107および配列番号108、それぞれ配列番号116および配列番号117、それぞれ配列番号125および配列番号126、それぞれ配列番号134および配列番号135、それぞれ配列番号189および配列番号192、配列番号116および配列番号202~205、それぞれ配列番号273および配列番号247、それぞれ配列番号273および配列番号257、それぞれ配列番号273および配列番号217、それぞれ配列番号273および配列番号227、それぞれ配列番号274および配列番号247、それぞれ配列番号274および配列番号257、それぞれ配列番号274および配列番号217、およびそれぞれ配列番号274および配列番号227を含むVHおよびVLを含む。
【0034】
1つの実例では、配列番号17、配列番号26、配列番号35、配列番号44、配列番号53、配列番号187、配列番号188、配列番号62、配列番号71、配列番号80、配列番号89、配列番号98、配列番号107、配列番号116、配列番号125、配列番号134、配列番号189;または配列番号116;配列番号202;配列番号213;配列番号223;配列番号233;配列番号243;配列番号253;配列番号263;配列番号273;または配列番号274を含むVHを含む、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質が本明細書において提供される。
【0035】
1つの実例では、配列番号18、配列番号27、配列番号36、配列番号45、配列番号54、配列番号190、配列番号191、配列番号63、配列番号72、配列番号81、配列番号90、配列番号99、配列番号108、配列番号117、配列番号126、配列番号135、配列番号192;配列番号203;配列番号204;配列番号205;配列番号217;配列番号227;配列番号237;配列番号247;配列番号257;または配列番号267を含むVLを含む、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質が本明細書において提供される。
【0036】
1つの実例では、それぞれ配列番号17および配列番号18、それぞれ配列番号26および配列番号27、それぞれ配列番号35および配列番号36、それぞれ配列番号44および配列番号45、それぞれ配列番号53および配列番号54、それぞれ配列番号187および配列番号190、それぞれ配列番号188および配列番号191、それぞれ配列番号62および配列番号63、それぞれ配列番号71および配列番号72、それぞれ配列番号80および配列番号81、それぞれ配列番号89および配列番号90、それぞれ配列番号98および配列番号99、それぞれ配列番号107および配列番号108、それぞれ配列番号116および配列番号117、それぞれ配列番号125および配列番号126、それぞれ配列番号134および配列番号135、配列番号189および配列番号192、または配列番号116および配列番号202~205、を含むVHおよびVLを含む、抗体と同じ肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原中のエピトープに特異的に結合する単離抗原結合タンパク質が本明細書において提供される。
【0037】
1つの実例では、それぞれ配列番号17および配列番号18、それぞれ配列番号26および配列番号27、それぞれ配列番号35および配列番号36、それぞれ配列番号44および配列番号45、それぞれ配列番号53および配列番号54、それぞれ配列番号187および配列番号190、それぞれ配列番号188および配列番号191、それぞれ配列番号62および配列番号63、それぞれ配列番号71および配列番号72、それぞれ配列番号80および配列番号81、それぞれ配列番号89および配列番号90、それぞれ配列番号98および配列番号99、それぞれ配列番号107および配列番号108、それぞれ配列番号116および配列番号117、それぞれ配列番号125および配列番号126、それぞれ配列番号134および配列番号135、配列番号189および配列番号192、または配列番号116および配列番号202~205、を含むVHおよびVLを含む、抗体の肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原への結合を競合的に阻害する単離抗原結合タンパク質が本明細書において提供される。
【0038】
1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、マウス、非ヒト、ヒト化、キメラ、再表面化、またはヒトである。
【0039】
1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、抗体である。1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、抗体の抗原結合断片である。1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、モノクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、またはその抗原結合断片である。1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、単鎖FvまたはscFv、ジスルフィド結合Fv、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGΔCH2、ミニボディ、F(ab’)3、シングルドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb2、(scFv)2、またはscFv-Fcを含む。
【0040】
1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、約4.5E-09または約7.8E-09Mの親和性定数でクレブシエラ(Klebsiella)O2抗原に結合する。1つの実例では、結合親和性は、オクテット結合、フローサイトメトリー、Biacore、KinExa、またはラジオイムノアッセイによって測定される。1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導する。1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)およびO2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導する。1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、O2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導するが、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導しない。1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する。
【0041】
1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、LPSを中和する。1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、LPSによって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防する。1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O1 LPSおよび肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2 LPSの両方によって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防する。1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2 LPSによって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防するが、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O1 LPSによって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防しない。1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、O1 LPSを中和せず、O2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導するが、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導しない。
【0042】
1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は:(i)O1および/またはO2 LPSを中和し、O2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導するが、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導しない;(ii)O1および/またはO2 LPSを中和し、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)およびO2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導する;または(iii)O1 LPSを中和せず、O2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導するが、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導しない。
【0043】
1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)、K.オキシトカ(K.oxytoca)、K.グラニュロマティス(K.granulomatis)、臭鼻菌(K.ozaenae)、鼻硬腫菌(K.rhinosclermoatis)および/またはK.プランチコラ(K.planticola)のOPKを誘導する。1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)のOPKを誘導する。
【0044】
1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O1抗原に結合する。1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は:a)多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)においてOPKを誘導するか、b)致死的な多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御するか、またはc)多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導し、致死的な多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する。1つの実例では、多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)は、Kp961842株またはKp977778株である。1つの実例では、多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)は、表8の行1~226の1つに列挙された株である。1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、多剤耐性肺炎桿菌(K.pneumoniae)株を少なくとも1つの抗生物質に感受性とする。
【0045】
1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は:a)抗生物質に感受性のクレブシエラ(Klebsiella)においてOPKを誘導するか、b)抗生物質に感受性の致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御するか、またはc)抗生物質に感受性のクレブシエラ(Klebsiella)においてOPKを誘導し、抗生物質に感受性の致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する。1つの実例では、クレブシエラ(Klebsiella)は、表8の行227~254の1つに列挙された株である。
【0046】
1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、gml-クレブシエラ(Klebsiella)に結合する。1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、gml+クレブシエラ(Klebsiella)に結合する。1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原のD-ガラクタンIドメインに結合する。
【0047】
1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、(a)IgA定常ドメイン、(b)IgD定常ドメイン、(c)IgE定常ドメイン、(d)IgG1定常ドメイン、(e)IgG2定常ドメイン、(f)IgG3定常ドメイン、(g)IgG4定常ドメイン、および(h)IgM定常ドメインからなる群から選択される重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む。
【0048】
1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、(a)Igκ定常ドメイン、および(b)Igλ定常ドメインからなる群から選択される軽鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む。
【0049】
1つの実例では、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、ヒトIgG1定常ドメインおよびヒトλ定常ドメインを含む。
【0050】
1つの実例では、本明細書において提供される抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む)をコードする単離核酸分子が本明細書において提供される。1つの実例では、核酸分子が制御配列に作動可能に連結される。
【0051】
1つの実例では、本明細書において提供される核酸分子を含むベクターが本明細書において提供される。
【0052】
1つの実例では、本明細書において提供される核酸分子または本明細書において提供されるベクターで形質転換された宿主細胞が本明細書において提供される。1つの実例では、宿主細胞が哺乳類宿主細胞である。1つの実例では、宿主細胞は、HEK293細胞、CHO細胞、COS-7細胞、HeLa細胞、NS0マウス骨髄腫細胞、またはPER.C6(登録商標)ヒト細胞である。
【0053】
1つの実例では、本明細書において提供される抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む)を産生するハイブリドーマが本明細書において提供される。1つの実例では、本明細書において提供される抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む)を産生する単離宿主細胞が本明細書において提供される。1つの実例では、本明細書において提供される抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)を作製する方法であって、(a)抗原結合タンパク質を発現する宿主細胞を培養するステップ、または本明細書において提供される宿主細胞もしくは本明細書に記載のハイブリドーマを培養するステップ、および(b)培養宿主細胞またはハイブリドーマからその抗原結合タンパク質を単離するステップを含む方法が本明細書において提供される。1つの実例では、本明細書において提供される方法を用いて産生される抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)が、本明細書において提供される。
【0054】
1つの実例では、本明細書において提供される抗原結合(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)を含む医薬組成物および薬学的に許容可能な賦形剤が、本明細書において提供される。1つの実例では、薬学的に許容可能な賦形剤が保存剤、安定剤、または酸化防止剤である。1つの実例では、医薬組成物が医薬として使用するためのものである。
【0055】
1つの実例では、本明細書において提供される抗原結合タンパク質または本明細書において提供される医薬組成物(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)は、標識基またはエフェクター基をさらに含む。1つの実例では、標識基が、同位体標識、磁気標識、レドックス活性成分、光学色素、ビオチン化基、ビオチンシグナル伝達ペプチド、緑色蛍光タンパク質(GFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)などの蛍光成分、ヒスチジンペプチド(his)、ヘマグルチニン(HA)、金結合ペプチド、およびFlagなどの二次レポーターによって認識されるポリペプチドエピトープからなる群から選択される。1つの実例では、エフェクター基が、放射性同位体、放射性核種、毒素、治療薬、および化学療法剤からなる群から選択される。
【0056】
1つの実例では、クレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連する状態を治療するための、本明細書において提供される抗原結合タンパク質または医薬組成物(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)の使用が本明細書において提供される。
【0057】
1つの実例では、クレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連する状態の治療、予防、または回復を、それを必要としている対象において行う方法であって、有効量の本明細書において提供される抗原結合タンパク質または本明細書において提供される医薬組成物(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)を対象に投与するステップを含む方法が本明細書において提供される。
【0058】
1つの実例では、対象におけるクレブシエラ(Klebsiella)の増殖を阻害する、またはクレブシエラ(Klebsiella)に感染した対象におけるクレブシエラ(Klebsiella)の数を低下させる方法であって、本明細書において提供される抗原結合タンパク質または医薬組成物を、それを必要としている対象に投与するステップを含む方法が本明細書において提供される。
【0059】
1つの実例では、クレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連する状態の治療、予防、または回復を、それを必要としている対象において行う方法であって、有効量の、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質を対象に投与するステップを含む方法が本明細書において提供される。
【0060】
1つの実例では、対象におけるクレブシエラ(Klebsiella)の増殖を阻害する、またはクレブシエラ(Klebsiella)に感染した対象におけるクレブシエラ(Klebsiella)の数を低下させる方法であって、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質の有効量を対象に投与するステップを含む方法が本明細書において提供される。
【0061】
1つの実例では、クレブシエラ(Klebsiella)は抗生物質耐性である。1つの実例では、クレブシエラ(Klebsiella)は、セファロスポリン、キノロン、カルバペネム、メロプレム(meroprem)、フルオロキノロン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、トリメトプリム、スルホンアミドおよび/またはコリスチンに対して耐性である。
【0062】
1つの実例では、抗体耐性クレブシエラ(Klebsiella)株を、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質と接触させるステップを含む、抗生物質耐性クレブシエラ(Klebsiella)株を抗生物質に対して感作させる方法が本明細書において提供される。
【0063】
1つの実例では、方法が抗生物質を投与するステップをさらに含む。1つの実例では、抗原結合タンパク質および抗生物質は、相乗的な治療効果を提供する。
【0064】
1つの実例では、抗生物質耐性クレブシエラ(Klebsiella)株に感染した対象におけるクレブシエラ(Klebsiella)感染に関連する状態を予防または治療する方法であって、抗生物質および肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質を対象に共投与するステップを含み、共投与が、等モル量の抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合断片)または抗生物質の投与の個々の効果の合計よりも大きい治療効果をもたらす方法が本明細書において提供される。1つの実例では、治療効果は、抗原結合タンパク質(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)または抗生物質のうちの1つのみを投与した対象の相加生存パーセントよりも大きい生存パーセントをもたらす。1つの実例では、抗生物質は、メロペネム、カルバペネム、フルオロキノロン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、トリメトプリム、スルホンアミドおよび/またはコリスチンである。1つの実例では、抗原結合タンパク質はまた、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O1抗原に特異的に結合する。
【0065】
1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、抗体またはその抗原結合断片である。1つの実例では、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、本明細書において提供される抗原結合タンパク質または本明細書において提供される医薬組成物である。
【0066】
1つの実例では、クレブシエラ(Klebsiella)は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)、K.オキシトカ(K.oxytoca)、K.プランチコラ(K.planticola)、臭鼻菌(K.ozaenae)、鼻硬腫菌(K.rhinosclermoatis)および/またはK.グラニュロマティス(K.granulomatis)である。1つの実例では、クレブシエラ(Klebsiella)が肺炎桿菌(K.pneumoniae)である。
【0067】
1つの実例では、状態が、肺炎、尿路感染症、敗血症/セプシス、新生児敗血症/セプシス、下痢、軟部組織感染症、臓器移植後の感染症、外科手術による感染症、創傷感染症、肺感染症、化膿性肝膿瘍(PLA)、眼内炎、髄膜炎、壊死性髄膜炎、強直性脊椎炎、および脊椎関節症からなる群から選択される。1つの実例では、状態が院内感染症である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1A】肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)の多剤耐性(MDR)株におけるO2 LPS血清型の増殖を示す。
図1Aは、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O1/O2 LPSのO血清型決定抗原、および単離抗O2モノクローナル抗体(mAb)でプローブされた7つの精製クレブシエラ(Klebsiella)LPS血清型のウエスタンブロット分析を示す。
図1Bは、最近の肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)臨床分離株におけるO1およびO2血清型の有病率を示す。
【
図2A-C】酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)による抗O2 LPSモノクローナル抗体(mAb)の特徴付けを示す。
図2Aは、各抗体クラスからの代表的なmAbのO1 LPSへの結合を示す。
図2Bは、各クラスからの代表的なmAbのO2 LPSへの結合を示す。
図2Cは、LPS-O1またはLPS-O2に結合する各mAbの半最大有効濃度(EC
50)を示す。
【
図3-1】抗O2モノクローナル抗体(mAb)を用いたオクテット結合アッセイの結果を示す。
図3Aは、O1 LPSと相互作用する抗O2 mAbのセンサーグラムトレースを示す。
図3Bは、O2 LPSと相互作用する抗O2 mAbのセンサーグラムトレースを示す。
図3Cは、クラスIII mAb KPN42およびKPN179の親和性測定を示す。
【
図4-1】選択されたモノクローナル抗体(mAb)で行われたLPS中和アッセイを示す。LPS-O1に対するmAbの中和%をグラフの上のパネルに示し、LPS-O2に対するmAbの中和%をグラフの下のパネルに示す。
【
図5】選択された抗O2モノクローナル抗体(mAb)のオプソニン作用による死滅(OPK)活性を示す。肺炎桿菌(K.pneumoniae)のO1株に対するこれらのmAbのOPKを左側のグラフに示し、肺炎桿菌(K.pneumoniae)のO2株に対するこれらのmAbのOPKを右側のグラフに示す。
【
図6】致死的な肺炎モデルにおけるクラスIIIモノクローナル抗体(mAb)によって与えられる防御を示す。肺炎桿菌(K.pneumoniae)カルバンペネマーゼ(Carbanpenemase)(KPC)株Kp961842_O2で攻撃されたマウスの生存%を左側のグラフに示し、KPC株Kp977778_O2で攻撃されたマウスの生存%を右側のグラフに示す。
【
図7】抗O2 LPSモノクローナル抗体(mAb)KPN42およびKPN179が、攻撃後の様々な時点でのマウスの生存%によって測定される、致死的な肺炎モデルにおけるメロペネムとの強力な相乗効果を有することを示す。
【
図8】選択抗O2モノクローナル抗体(mAb)が、メロペネムと共に、感染後6時間までマウスを防御することを示す。メロペネムと共にKPN42で処置したマウスについて、攻撃後の様々な時点での生存%を左側のグラフに示す。メロペネムと共にKPN179で処置したマウスについて、攻撃後の様々な時点での生存%を右側のグラフに示す。
【
図9】KPN42およびKPN179の配列最適化を示す。KPN42およびKPN179の最適化バージョンのO2 LPSへの結合は、下のパネルのグラフに示される。
【
図10A】肺炎桿菌(K.pneumoniae)のO2株に対するオプソニン作用による死滅(OPK)アッセイ(
図10B)およびKPS ST258 O2株961842に対する致死的な肺炎モデル(
図10Aおよび10C)における、クラスIIIモノクローナル抗体KPS44およびKPS44v2017によって与えられる防御を示す。
【
図11A-B】
図11Aは、抗O2モノクローナル抗体(mAb)を用いたオクテット結合アッセイからの結合親和性を示す。
図11Bは、肺炎桿菌(K.pneumoniae)のO2株に対するオプソニン作用による死滅(OPK)アッセイにおける、クラスIIIモノクローナル抗体KPS44、KPS44v2017、KPS44-G2、およびKPS44-G3によって与えられる防御を示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本明細書において提供されるデータは、多剤耐性肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)株の高い有病率がO2血清型のものであることを示す(実施例1を参照されたい)。したがって、O2血清型のクレブシエラ(Klebsiella)に対する防御効果を有する抗体を同定し、開発する必要性が特に高い。したがって、本開示は、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む、単離結合タンパク質を提供する。関連するポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、および抗体またはその抗原結合断片を含む肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2結合タンパク質を含む医薬組成物も提供される。本明細書において開示される、抗体または抗原結合断片を含むO2結合タンパク質を作製および使用する方法も提供される。本開示はまた、本明細書において開示される、抗体または抗原結合断片を含むO2結合タンパク質を投与することにより、クレブシエラ(Klebsiella)感染症(例えば、O2血清型肺炎桿菌(K.pneumoniae)などの肺炎桿菌(K.pneumoniae))に関連する状態を予防および/または治療する方法も提供する。
【0070】
本開示がより容易に理解されるために、ある用語について最初に定義する。さらなる定義は詳細な説明の全体にわたって示される。
【0071】
I.定義
用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明確に示さない限り、複数の指示物を含む。例えば、「抗原結合タンパク質」は、1つ以上の抗原結合タンパク質を示すことが理解される。用語「1つの(a)」(または「1つの(an)」)ならびに用語「1つ以上」および「少なくとも1つ」は、本明細書では同義的に使用することができる。さらに、「および/または」は、本明細書で使用される場合、2つの指定される特徴または構成要素の各々の、他方を伴うまたは伴わない具体的な開示と解釈されるべきである。したがって、用語「および/または」は、本明細書で「Aおよび/またはB」などの語句で用いられるとき、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、用語「および/または」は、「A、B、および/またはC」などの語句で用いられるとき、以下の態様の各々を包含することが意図される:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
【0072】
用語「含む」は、全般的に、包含するという意味で使用される、すなわち、1つ以上の特徴または構成要素の存在を許可する。本明細書において態様が用語「含む」を用いて記載される場合は常に、「からなる」および/または「から本質的になる」の用語で記載される他の点で類似の態様も提供される。
【0073】
本明細書および請求項の全体にわたって数値に関連して使用される用語「約」は、当業者によく知られており、許容され得る精度の幅を意味する。一般に、そのような精度の幅は±10%である。
【0074】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての科学技術用語は、本開示が関係する技術分野の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;およびOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressが、本開示で使用される用語の多くの一般的な辞書を当業者に提供する。
【0075】
単位、接頭辞、および記号は、それらの国際単位系(SI)で認められている形式で示される。数値範囲は、その範囲を定義する数を含む。特に指示されない限り、アミノ酸配列は左から右にアミノからカルボキシ方向に記載する。本明細書に提供される見出しは、本明細書を全体として参照することによって有され得る種々の態様または本開示の態様の限定ではない。従って、この直後に定義する用語は、本明細書を全体として参照することによってさらに十全に定義される。
【0076】
用語「抗原結合タンパク質」は、抗O2抗体またはその抗原結合断片など、標的、例えば肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原を認識し、特異的に結合する1つ以上のポリペプチドから構成される分子を指す。
【0077】
用語「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を介してタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、または前述の組み合わせなどの標的を認識し、それに特異的に結合する免疫グロブリン分子を意味する。本明細書で使用されるとき、用語「抗体」は、その抗体が所望の生物学的活性を呈する限りにおいて、インタクトなポリクローナル抗体、インタクトなモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体を含む融合タンパク質、および任意の他の修飾免疫グロブリン分子を包含する。抗体は、それぞれα、δ、ε、γ、およびμと称されるその重鎖定常ドメインのアイデンティティに基づき、5つの主要な免疫グロブリンクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、またはそのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)のいずれかのものであり得る。異なる免疫グロブリンクラスは異なる周知のサブユニット構造および三次元配置を有する。抗体は、ネイキッドであってもよく、または毒素、放射性同位体等の他の分子にコンジュゲートしてもよい。
【0078】
用語「抗体断片」または「その抗体断片」は、インタクトな抗体の一部分を指す。「抗原結合断片」または「その抗原結合断片」は、抗原に結合するインタクトな抗体の一部分を指す。抗原結合断片は、インタクトな抗体の抗原決定可変領域を含有することができる。抗体断片の例としては、限定はされないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片、線状抗体、scFv、ならびに一本鎖抗体が挙げられる。
【0079】
元の抗体または断片の特異性を保持する他の抗体またはキメラ分子またはその断片を産生するために、モノクローナル抗体および他の抗体またはその断片を得て、組換えDNA技術の技術を使用することが可能である。そのような技術は、異なる免疫グロブリンの定常領域または定常領域およびフレームワーク領域に抗体の免疫グロブリン可変領域または相補性決定領域(CDR)をコードするDNAを導入することを含むことができる。例えば、欧州特許出願公開第A-184187号明細書、英国特許第2188638A号明細書、または欧州特許出願公開第A-239400号明細書および多くのそれに続く文献を参照されたい。抗体を産生するハイブリドーマまたは他の細胞は、遺伝子突然変異または他の変化を受けることがあり、これにより、産生される抗体またはその断片の結合特異性が改変されてもまたは改変されなくてもよい。
【0080】
抗体工学の技術において利用可能なさらなる技術は、ヒト抗体およびヒト化抗体またはその断片を単離することを可能にした。例えば、ヒトハイブリドーマは、Kontermann and Sefan.Antibody Engineering,Springer Laboratory Manuals(2001)によって記載されるように作製することができる。抗原結合タンパク質を生成するための別の確立された技術、ファージディスプレイは、Kontermann and Sefan.Antibody Engineering,Springer Laboratory Manuals(2001)および国際公開第92/01047号パンフレットなどの多くの刊行物に詳細に記載された。マウス抗体遺伝子が不活性化され、かつヒト抗体遺伝子と機能的に置き換えられているが、マウス免疫系のインタクトな他の構成要素が残っているトランスジェニックマウスは、ヒト抗原に対するヒト抗体を単離するために使用することができる。
【0081】
合成抗体またはその断片は、例えばKnappik et al.J.Mol.Biol.(2000)296,57-86またはKrebs et al.Journal of Immunological Methods 254 2001 67-84によって記載されるように、適した発現ベクター内で合成され、アセンブルされるオリゴヌクレオチドによって生成される遺伝子からの発現によって作り出すことができる。
【0082】
全抗体の断片が抗原に結合する機能を実行し得ることが示された。結合断片の例は、(i)VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなるFab断片;(ii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iii)単一抗体のVLおよびVHドメインからなるFv断片;(iv)VHドメインからなるdAb断片(Ward,E.S.et al.,Nature 341,544-546(1989),McCafferty et al(1990)Nature,348,552-554);(v)単離CDR領域;(vi)2つの連結されたFab断片を含む二価の断片であるF(ab’)2断片;ならびに(vii)単鎖Fv分子(scFv)、VHドメインおよびVLドメインは、2つのドメインが結び付いて、抗原結合部位を形成するのを可能にするペプチドリンカーによって連結されている(Bird et al,Science,242,423-426,1988;Huston et al,PNAS USA,85,5879-5883,1988);FvまたはscFv分子は、VHおよびVLドメインを連結するジスルフィド架橋の組み込みによって安定化されてもよい(Y.Reiter et al,Nature Biotech,14,1239-1245,1996)。CH3ドメインにつながれたscFvを含むミニボディも作製されてもよい(S.Hu et al,Cancer Res.,56,3055-3061,1996)。
【0083】
語句「エフェクター機能」は、Fc受容体または補体成分との抗体のFc構成要素の相互作用から結果として生じる抗体の活性を指す。これらの活性は、例えば抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、および抗体依存性細胞食作用(ADCP)を含む。したがって、エフェクター機能が改変された抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、少なくとも1つのエフェクター機能(例えば、ADCC、CDC、および/またはADCP)の活性を変えるFc領域における改変(例えば、アミノ酸置換、欠失、追加、またはオリゴ糖の変化)を含有する抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合断片)を指す。エフェクター機能が改善された抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、少なくとも1つのエフェクター機能(例えば、ADCC、CDC、および/またはADCP)の活性を増加させるFc領域における改変(例えば、アミノ酸置換、欠失、追加、またはオリゴ糖の変化)を含有する抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合断片)を指す。
【0084】
用語「特異的な」は、特異的な結合ペアのあるメンバーがその特異的結合パートナー以外の分子にいかなる有意な結合も示さないであろう状態を指すために使用することができる。用語はまた、例えば、抗原結合ドメインが、多くの抗原が有する特定のエピトープに対して特異的である場合にも適用可能であり、この場合、抗原結合ドメインを有する抗原結合タンパク質は、そのエピトープを有する様々な抗原に結合することができるであろう。
【0085】
「特異的に結合する」により、抗体またはその抗原結合断片を含む抗原結合タンパク質がその抗原結合ドメインを介してエピトープに結合することならびに結合が抗原結合ドメインおよびエピトープ間のいくらかの相補性を必要とすることを一般に意味する。この定義に従って、抗体が偶然の関係がないエピトープに結合するよりも容易にその抗原結合ドメインを介してエピトープに結合する場合、抗体は、そのエピトープに「特異的に結合する」と言われる。本明細書において使用されるように、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に「特異的に結合する」抗原結合タンパク質は、例えば肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O1抗原を含む、他の肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O抗原に結合してもしなくてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書において開示される抗原結合タンパク質は、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原および肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O1抗原の両方に特異的に結合し、他の実施形態では、本明細書において開示される抗原結合タンパク質は、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合するが、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O1抗原には特異的に結合しない。
【0086】
「親和性」は、リガンド結合反応の本質的な結合強度の尺度である。例えば、抗体(Ab)-抗原(Ag)相互作用の強度の尺度は、結合親和性を通して測定され、これは、解離定数k
dによって定量化されてもよい。解離定数は、結合親和性定数であり、
【数1】
によって与えられる。親和性は、例えば、BIAcore(登録商標)、KinExA親和性アッセイ、フローサイトメトリー、および/またはラジオイムノアッセイを使用して測定されてもよい。
【0087】
「効力」は、定められた強度の効果をもたらすために必要とされる化合物の量で表現される化合物の薬理活性についての尺度である。それは、明確な生物学的効果を実現するために必要とされる化合物の量を指し、必要とされる用量が少ないほど、その薬剤は強力である。O2に結合する抗原結合タンパク質の効力は、例えば、本明細書において記載されるようにOPKアッセイを使用して決定することができる。
【0088】
「オプソニン作用による死滅」または「OPK」は、免疫細胞による食作用の結果として生じる、細胞、例えばクレブシエラ(Klebsiella)の死を指す。OPK活性を実証するために使用することができるアッセイは、実施例において使用される生物発光OPK活性または寒天プレート上の細菌コロニーを数えることによるものを含む。OPK活性は、実施例8で使用される生物発光アッセイに従って測定される。抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、死滅のパーセンテージが40%以上であるOPKを誘導することができる。抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、死滅のパーセンテージが80%以上であるOPKを強力に誘導することができる。
【0089】
抗体またはその抗原結合断片を含む抗原結合タンパク質は、抗原結合タンパク質がエピトープへの参照抗体または抗原結合断片の結合をある程度ブロックする場合、定められたエピトープへの参照抗体もしくはその抗原結合断片の結合を競合的に阻害するか、または参照抗体もしくは抗原結合断片と「競合する」と言われる。競合的阻害は、当技術分野において知られている任意の方法、例えば競合ELISAアッセイによって決定することができる。結合分子は、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%、定められたエピトープへの参照抗体もしくは抗原結合断片の結合を競合的に阻害するか、または参照抗体もしくはその抗原結合断片と競合すると言うことができる。
【0090】
用語「競合する」は、抗原結合タンパク質(例えば、中和抗原結合タンパク質または中和抗体)に関して使用される場合、試験下の抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその免疫学的機能的断片)が、共通抗原(例えば、O2多糖またはその断片)への参照抗原結合タンパク質(例えば、リガンドまたは参照抗体)の特異的な結合を妨げるかまたは阻害するアッセイによって決定されるように、抗原結合タンパク質の競合を意味する。多数のタイプの競合的結合アッセイ、例えば、固相直接的または間接的ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接的または間接的酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al.,1983,Methods in Enzymology 92:242-253を参照されたい);固相直接的ビオチン-アビジンEIA(例えば、Kirkland et al.,1986,J.Immunol.137:3614-3619を参照されたい)、固相直接的標識アッセイ、固相直接的標識サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow and Lane,1988,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Pressを参照されたい);1-125標識を使用する固相直接的標識RIA(例えば、Morel et al.,1988,Molec.Immunol.25:7-15を参照されたい);固相直接的ビオチン-アビジンEIA(例えば、Cheung,et al.,1990,Virology 176:546-552を参照されたい);および直接的標識RIA(Moldenhauer et al.,1990,Scand.J.Immunol.32:77-82)を使用することができる。典型的に、そのようなアッセイは、これら非標識試験抗原結合タンパク質および標識参照抗原結合タンパク質のいずれかを有する固体表面またはセルに結合した精製抗原の使用を伴う。
【0091】
競合的阻害は、試験抗原結合タンパク質の存在下において固体表面またはセルに結合した標識の量を決定することによって測定することができる。通常、試験抗原結合タンパク質は、過剰に存在する。競合アッセイによって同定される抗原結合タンパク質(競合抗原結合タンパク質)は、参照抗原結合タンパク質と同じエピトープに結合する抗原結合タンパク質および立体障害が生じるほど、参照抗原結合タンパク質が結合するエピトープに限りなく近い隣接するエピトープに結合する抗原結合タンパク質を含む。通常、競合抗原結合タンパク質が過剰に存在する場合、競合抗原結合タンパク質は、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%、共通抗原への参照抗原結合タンパク質の特異的な結合を阻害するであろう。一部の実例では、結合が、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超えて阻害される。
【0092】
本明細書において開示される抗原結合タンパク質、抗体、またはその抗原結合断片は、抗原、例えばそれらが認識するかまたは特異的に結合する標的ポリペプチドのエピトープまたは一部分に関して説明するかまたは特徴付けることができる。例えば、本明細書において開示される抗原結合ポリペプチドまたはその断片の抗原結合ドメインと特異的に相互作用するO2の一部分は、「エピトープ」である。エピトープは、連続するアミノ酸またはタンパク質の三次フォールディングによって並ぶようになる連続していないアミノ酸の両方から形成することができる。連続するアミノ酸から形成されるエピトープは、変性溶媒への接触に際して典型的に保持されるのに対して、三次フォールディングによって形成されるエピトープは、変性溶媒による処置に際して典型的に失われる。立体エピトープは、抗原のアミノ酸配列の不連続なセクションで構成され得る。線状エピトープは抗原の連続したアミノ酸配列によって形成される。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基、またはスルホニル基などの分子の化学的に活性な表面基を含んでいてもよく、特定の三次元構造特性および/または特定の電荷特性を有し得る。エピトープは、ユニークな空間的コンホメーションに少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35のアミノ酸を典型的に含む。エピトープは、当技術分野において知られている方法を使用して決定することができる。
【0093】
アミノ酸は、本明細書において、その一般に知られている三文字記号によるか、あるいはIUPAC-IUB生化学命名委員会(Biochemical Nomenclature Commission)が推奨する一文字記号により参照される。ヌクレオチドも同様に、その一般に認められている一文字コードによって参照される。
【0094】
本明細書において使用されるように、用語「ポリペプチド」は、アミド結合(ペプチド結合としても知られている)によって直線的に連結される単量体(アミノ酸)から構成される分子を指す。用語「ポリペプチド」は、2つ以上のアミノ酸の任意の鎖を指し、特定の長さの産物を指すものではない。本明細書において使用されるように、用語「タンパク質」は、いくつかの実例ではアミド結合以外の結合によって結び付けることができる1つ以上のポリペプチドから構成される分子を包含することが意図される。他方では、タンパク質はまた、単一ポリペプチド鎖とすることができる。この後者の実例では、単一ポリペプチド鎖は、いくつかの実例では、タンパク質を形成するために互いに融合された2つ以上のポリペプチドサブユニットを含むことができる。用語「ポリペプチド」および「タンパク質」はまた、限定を伴うことなくグリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、知られている保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質切断、または天然に存在しないアミノ酸による修飾を含む発現後修飾の産物も指す。ポリペプチドまたはタンパク質は、天然の生物学的な供給源に由来するかまたは組換え技術によって産生することができるが、示される核酸配列から必ずしも翻訳されるわけではない。ポリペプチドまたはタンパク質は、化学合成によるものを含む任意の方法で生成することができる。
【0095】
用語「単離」は、本開示の抗原結合タンパク質またはそのような結合タンパク質をコードする核酸が全般的に本開示に従うであろう状態を指す。単離タンパク質および単離核酸は、それらが自然環境またはそのような調製物がインビトロにおいてもしくはインビボにおいて実施される組換えDNA技術によるものである場合にそれらが調製される環境(例えば、細胞培養)において見つけられる、他のポリペプチドまたは核酸など、それらが自然に関連している物質がないかまたは本質的にないであろう。タンパク質および核酸は、希釈剤またはアジュバントと共に製剤されてもよく、なお実際的な目的のために単離されてもよく、例えば、タンパク質は、イムノアッセイで使用されるマイクロタイタープレートをコーティングするために使用される場合、ゼラチンまたは他の担体と通常混合されるか、または診断もしくは療法において使用される場合、薬学的に許容可能な担体もしくは希釈剤と混合されるであろう。抗原結合タンパク質は、天然にまたは異種真核細胞(例えば、CHOもしくはNS0(ECACC 85110503)細胞)の系によってグリコシル化されてもよく、またはそれらは非グリコシル化であってもよい(例えば、原核細胞における発現によって産生される場合)。
【0096】
「単離される」ポリペプチド、抗原結合タンパク質、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、自然界で見つけられない形態のポリペプチド、抗原結合タンパク質、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物である。単離ポリペプチド、抗原結合タンパク質、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、それらがもはや自然界で見つけられる形態でない程度まで精製されたものを含む。いくつかの実施形態では、単離される抗原結合タンパク質、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物が本質的に純粋である。
【0097】
「組換え」ポリペプチド、タンパク質、または抗体は、組換えDNA技術によって産生されるポリペプチドまたはタンパク質または抗体を指す。宿主細胞で発現する組換えポリペプチド、タンパク質、および抗体は、任意の好適な技術によって分離され、分画され、または部分的もしくは実質的に精製されている天然または組換えポリペプチドと同様に、本開示の目的のために単離されていると見なされる。
【0098】
ポリペプチドの断片、変異体、または誘導体およびその任意の組み合わせも本開示に含まれる。用語「断片」は、本開示のポリペプチドおよびタンパク質を指す場合、参照ポリペプチドまたはタンパク質の特性の少なくともいくつかを保持する任意のポリペプチドまたはタンパク質を含む。ポリペプチドの断片は、タンパク分解断片および欠失断片を含む。
【0099】
用語「変異体」は、本明細書において使用されるように、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって親の抗体またはポリペプチド配列と異なる抗体またはポリペプチド配列を指す。本開示の抗体またはポリペプチドの変異体は、アミノ酸置換、欠失、または挿入によりアミノ酸配列が改変された断片およびさらに抗体またはポリペプチドを含む。変異体は、天然に存在し得るかまたは天然に存在し得ない。天然に存在しない変異体は、当技術分野において知られている突然変異誘発技術を使用して産生することができる。変異ポリペプチドは、保存的または非保存的アミノ酸置換、欠失、または追加を含むことができる。
【0100】
抗体またはポリペプチドに適用される用語「誘導体」は、天然のポリペプチドまたはタンパク質上に見つけられないさらなる特徴を示すように改変された抗体またはポリペプチドを指す。「誘導体」抗体の1つの例は、第2のポリペプチドもしくは他の分子(例えば、PEGなどのポリマー、発色団、もしくはフルオロフォア)または原子(例えば、放射性同位体)との融合物またはコンジュゲートである。
【0101】
用語「ポリヌクレオチド」または「ヌクレオチド」は、本明細書において使用されるように、単数の核酸および複数の核酸を包含することが意図され、単離核酸分子または構築物、例えばメッセンジャーRNA(mRNA)、相補的DNA(cDNA)、またはプラスミドDNA(pDNA)を指す。ある種の態様では、ポリヌクレオチドが、従来のホスホジエステル結合または従来のものではない結合(ペプチド核酸(PNA)で見つけられるものなどのアミド結合)を含む。
【0102】
用語「核酸」は、ポリヌクレオチド中に存在する任意の1つ以上の核酸セグメント、例えばDNA、cDNA、またはRNA断片を指す。核酸またはポリヌクレオチドに適用される場合、用語「単離」は、その天然の環境から取り出された核酸分子、DNA、またはRNAを指し、例えば、ベクターに含有される抗原結合タンパク質をコードする組換えポリヌクレオチドは、本開示のために単離されていると見なされる。単離ポリヌクレオチドのさらなる例は、異種宿主細胞中に維持されるかまたは溶液中の他のポリヌクレオチドから精製された(部分的にもしくは実質的に)組換えポリヌクレオチドを含む。単離RNA分子は、本開示のポリヌクレオチドのインビボまたはインビトロRNA転写物を含む。本開示による単離ポリヌクレオチドまたは核酸は、合成して産生されたそのような分子をさらに含む。加えて、ポリヌクレオチドまたは核酸は、プロモーター、エンハンサー、リボソーム結合部位、または転写終結シグナルなどの調節エレメントを含むことができる。
【0103】
本明細書において使用されるように、用語「宿主細胞」は、組換え核酸を有するかまたは有することができる細胞または細胞の集団を指す。宿主細胞は、原核細胞(例えば、大腸菌(E. coli))またはその代わりに、宿主細胞は、真核生物、例えば真菌細胞(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerivisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、もしくは分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)などの酵母細胞)および昆虫細胞(例えば、Sf-9)または哺乳類細胞(例えば、HEK293F、CHO、COS-7、NIH-3T3、NS0マウス骨髄腫細胞、PER.C6(登録商標)ヒト細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、もしくはハイブリドーマ)などの様々な動物細胞とすることができる。
【0104】
用語「アミノ酸置換」は、親配列に存在するアミノ酸残基を別のアミノ酸残基に置き換えることを指す。アミノ酸は、親配列において、例えば化学的ペプチド合成を用いるか、または当技術分野において公知の組換え方法で置換することができる。したがって、「X位での置換」または「X位での置換」と言う場合、X位に存在するアミノ酸を代替的なアミノ酸残基で置換することを指す。一部の実施形態において、置換パターンは、スキーマAXYに従い記述することができ、ここでAは、天然でX位に存在するアミノ酸に対応する一文字コードであり、Yは置換するアミノ酸残基である。他の態様において、置換パターンはスキーマXYに従い記述することができ、ここでYは、天然でX位に存在するアミノ酸を置換するアミノ酸残基に対応する一文字コードである。
【0105】
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、同様の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられるものである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基ファミリーは当技術分野において定義されており、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。したがって、ポリペプチドのアミノ酸が同じ側鎖ファミリーの別のアミノ酸に置き換えられる場合、この置換は保存的であると見なされる。別の態様では、一続きのアミノ酸を、側鎖ファミリーメンバーの順番および/または組成が異なる構造的には同様の一続きによって保存的に置き換えることができる。
【0106】
非保存的置換は、(i)電気陽性側鎖を有する残基(例えば、Arg、HisまたはLys)が電気陰性残基(例えば、GluまたはAsp)に代えて、またはそれによって置換されているか、(ii)親水性残基(例えば、SerまたはThr)が疎水性残基(例えば、Ala、Leu、Ile、PheまたはVal)に代えて、またはそれによって置換されているか、(iii)システインまたはプロリンが任意の他の残基に代えて、またはそれによって置換されているか、または(iv)かさ高い疎水性または芳香族側鎖を有する残基(例えば、Val、His、IleまたはTrp)がより小さい側鎖を有するもの(例えば、Ala、Ser)または側鎖を有しないもの(例えば、Gly)に代えて、またはそれによって置換されているものを含む。
【0107】
当業者は他の置換を容易に特定することができる。例えば、アミノ酸アラニンについて、置換は、D-アラニン、グリシン、β-アラニン、L-システインおよびD-システインのいずれか1つから選択することができる。リジンについて、置換は、D-リジン、アルギニン、D-アルギニン、ホモアルギニン、メチオニン、D-メチオニン、オルニチン、またはD-オルニチンのいずれか1つであってもよい。概して、単離ポリペプチドの特性の変化を引き起こすと予想し得る機能的に重要な領域の置換は、(i)極性残基、例えば、セリンまたはスレオニンが疎水性残基、例えば、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、またはアラニンに代えて(またはそれによって)置換されるか、(ii)システイン残基が任意の他の残基に代えて(またはそれによって)置換されるか、(iii)電気陽性側鎖を有する残基、例えば、リジン、アルギニンまたはヒスチジンが電気陰性側鎖を有する残基、例えば、グルタミン酸またはアスパラギン酸に代えて(またはそれによって)置換されるか、または(iv)かさ高い側鎖を有する残基、例えば、フェニルアラニンが、かかる側鎖を有しないもの、例えばグリシンに代えて(またはそれによって)置換されるものである。前述の非保存的置換の1つがタンパク質の機能特性を変化させ得る可能性はまた、タンパク質の機能的に重要な領域に対する置換の位置にも相関する。したがって一部の非保存的置換は、生物学的特性に対する効果をほとんどまたは全く有しない。
【0108】
用語「アミノ酸挿入」は、親配列に存在する2つのアミノ酸残基間に新規アミノ酸残基を導入することを指す。アミノ酸は、例えば、化学的ペプチド合成を用いるか、または当技術分野において公知の組換え方法で親配列に挿入することができる。したがって本明細書で使用されるとき、語句「X位とY位との間への挿入」、「IMGT X位とY位との間への挿入」または「Kabat X位とY位との間への挿入」(ここでXおよびYはアミノ酸位置に対応する)は(例えば、239位と240位との間へのシステインアミノ酸挿入)、X位とY位との間へのアミノ酸の挿入を指し、また、核酸配列における、X位およびY位のアミノ酸をコードするコドン間への、あるアミノ酸をコードするコドンの挿入も指す。挿入パターンは、スキーマAXinsに従い記述することができ、ここでAは、挿入されるアミノ酸に対応する一文字コードであり、およびXは挿入前の位置である。
【0109】
2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列間の「パーセント配列同一性」または「パーセント同一性」という用語は、2つの配列の最適アラインメントのため導入しなければならない付加または欠失(即ちギャップ)を考慮した、比較ウィンドウにわたって配列が共有される同一のマッチ位置の数を指す。マッチ位置は、標的配列と参照配列との両方で同一のヌクレオチドまたはアミノ酸が提供される任意の位置である。ギャップはヌクレオチドまたはアミノ酸ではないため、標的配列に提供されるギャップはカウントしない。同様に、カウントするのは標的配列のヌクレオチドまたはアミノ酸であり、参照配列のヌクレオチドまたはアミノ酸ではないため、参照配列に提供されるギャップもカウントしない。配列同一性のパーセンテージは、両方の配列に同一のアミノ酸残基または核酸塩基が存在する位置の数を決定してマッチ位置の数を求め、そのマッチ位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で除し、その結果に100を乗じて配列同一性パーセンテージを求めることにより計算される。2つの配列間の配列の比較およびパーセント配列同一性の決定は、容易に利用可能なソフトウェアプログラムを用いて達成することができる。好適なソフトウェアプログラムは、様々な供給元から、タンパク質配列およびヌクレオチド配列の両方のアラインメントについて利用可能である。パーセント配列同一性を決定するための1つの好適なプログラムは、米国政府の国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)のBLASTウェブサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能なBLASTプログラムスイートの一部であるbl2seqである。bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPのいずれかのアルゴリズムを使用して2つの配列間の比較を行う。BLASTNは核酸配列の比較に用いられ、一方、BLASTPはアミノ酸配列の比較に用いられる。他の好適なプログラムは、例えば、EMBOSSバイオインフォマティクスプログラムスイートの一部であって、かつ欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute:EBI)、www.ebi.ac.uk/Tools/psaからも入手可能なニードル(Needle)、ストレッチャー(Stretcher)、ウォーター(Water)、またはマッチャー(Matcher)である。
【0110】
「特異的な結合メンバー」は、互いに結合特異性を有する分子のペアのメンバーを示す。特異的な結合ペアのメンバーは、天然に由来してもよく、または全体的もしくは部分的に合成して産生されてもよい。分子のペアの一方のメンバーは、その表面上に、あるエリアまたはくぼみを有し、これは、分子のペアの他方のメンバーに特異的に結合し、そのため、その特定の空間的な正反対の構造に対して相補的である。したがって、ペアのメンバーは、互いに特異的に結合する特性を有する。特異的な結合ペアのタイプについての例は、抗原-抗体、ビオチン-アビジン、ホルモン-ホルモン受容体、受容体-リガンド、酵素-基質である。本開示は、抗原-抗体タイプの反応に関する。
【0111】
本明細書において使用される用語「IgG」は、認められている免疫グロブリンガンマ遺伝子によって実質的にコードされる抗体のクラスに属するポリペプチドを指す。ヒトでは、このクラスは、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む。マウスでは、このクラスは、IgG1、IgG2a、IgG2b、およびIgG3を含む。
【0112】
用語「抗原結合ドメイン」は、抗原の一部またはすべてに特異的に結合し、相補的であるエリアを含む、抗体の一部を示す。抗原が大きい場合、抗体は、抗原の特定の一部にのみ結合してもよく、この一部は、エピトープと呼ばれる。抗原結合ドメインは、1つ以上の抗体可変ドメインによってもたらされてもよい(例えば、VHドメインからなる、いわゆるFd抗体断片)。抗原結合ドメインは、抗体軽鎖可変領域(VL)および抗体重鎖可変領域(VH)を含んでいてもよい。
【0113】
用語「抗原結合タンパク質断片」または「抗体断片」は、インタクトな抗原結合タンパク質または抗体の一部分を指し、インタクトな抗原結合タンパク質または抗体の抗原決定可変領域を指す。当技術分野において、抗体の抗原結合機能が完全長抗体の断片によって果たされ得ることは公知である。抗体断片の例としては、限定はされないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片、線状抗体、一本鎖抗体、および抗体断片で形成される多重特異性抗体が挙げられる。
【0114】
用語「モノクローナル抗体」は、単一の抗原決定基またはエピトープの高度に特異的な認識および結合に関与する均質な抗体集団を指す。これは、典型的には異なる抗原決定基に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体と対照的である。用語「モノクローナル抗体」は、インタクトなモノクローナル抗体および完全長モノクローナル抗体の両方、ならびに抗体断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvなど)、単鎖(scFv)突然変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む任意の他の修飾免疫グロブリン分子を包含する。さらに、「モノクローナル抗体」は、限定はされないが、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、およびトランスジェニック動物によることを含めた、任意の方法で作製されたかかる抗体を指す。
【0115】
用語「ヒト抗体」は、ヒトによって産生される抗体、または当技術分野において公知の任意の技法を用いて作製されるヒトによって産生される抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体を指す。ヒト抗体のこの定義には、インタクトなまたは完全長の抗体、その断片、および/または少なくとも1つのヒト重鎖および/または軽鎖ポリペプチドを含む抗体、例えば、マウス軽鎖およびヒト重鎖ポリペプチドを含む抗体などが含まれる。用語「ヒト化抗体」は、最小限の非ヒト(例えば、マウス)配列を含むように改変された非ヒト(例えば、マウス)免疫グロブリンに由来する抗体を指す。
【0116】
用語「キメラ抗体」は、免疫グロブリン分子のアミノ酸配列が2つ以上の種に由来する抗体を指す。典型的には、軽鎖および重鎖の両方の可変領域が、所望の特異性、親和性、および能力を有する哺乳動物の1つの種(例えば、マウス、ラット、ウサギ等)に由来する抗体の可変領域に対応し、一方、定常領域が、別の種(通常はヒト)に由来する抗体の配列と同種であり、その種における免疫応答の誘発が回避される。
【0117】
用語「抗体結合部位」は、相補的な抗体が特異的に結合する連続または不連続な部位(すなわちエピトープ)を含む抗原(例えば、O2)内の領域を指す。したがって、抗体結合部位は、抗原内に、エピトープを越えた、結合親和性および/または安定性などの特性を決定し得るかまたは抗原酵素活性または二量化などの特性に影響を与え得る追加的な範囲を含み得る。したがって、2つの抗体が抗原内の同じエピトープに結合する場合であっても、抗体がエピトープ外のアミノ酸との個別的な分子間接触を確立する場合、かかる抗体は個別的な抗体結合部位に結合すると見なされる。
【0118】
IMGT付番方式は、概して、可変ドメインの残基(およそ軽鎖の残基1~107および重鎖の残基1~113)を参照するときに用いられる(例えば、(Lefranc,M.-P.et al.Dev.Comp.Immunol.27:55-77(2003))。
【0119】
語句「Kabatにある通りのアミノ酸位置付番」、「Kabat位置」、およびその文法上の変化形は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)における抗体の編成の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに用いられる付番方式を指す。この付番方式を用いると、実際の線状アミノ酸配列は、可変ドメインのFWまたはCDRの短縮、またはそれへの挿入に対応するより少ないかまたは追加的なアミノ酸を含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入(Kabatによる残基52a)を含み、および重鎖FW残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b、および82c等)を含み得る。
【0120】
残基のKabat付番は、所与の抗体について、相同性領域において抗体の配列を「標準」Kabat付番配列とアラインメントすることにより決定し得る。Chothiaは、その代わりに構造ループの位置を参照する(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。Kabat付番規則を用いて付番したときのChothia CDR-H1ループの末端は、ループの長さに応じてH32~H34で異なる(これは、Kabat付番スキームがH35AおよびH35Bに挿入を置くためであり、35Aも35Bも存在しない場合、ループは32で終わり、35Aのみが存在する場合、ループは33で終わり、35Aおよび35Bの両方が存在する場合、ループは34で終わる)。AbM超可変領域は、Kabat CDRとChothia 構造ループとの妥協案に相当し、Oxford Molecular’s AbM抗体モデリングソフトウェアによって用いられている。CDRのIMGT(Lefranc,M.-P.et al.Dev.Comp.Immunol.27:55-77(2003))分類も使用することができる。
【0121】
用語「Kabat中のEUインデックス」は、Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)において記載されるヒトIgG1 EU抗体の付番方式を指す。本出願で参照されるすべてのアミノ酸の位置は、他に示されない限り、IMGT固有の付番を指す。例えば、C105はIMGT固有の付番に従って定義される。例えば、KPN42-C105およびKPN179-C105は、Kabat位置89に対応する。
【0122】
本明細書において使用される用語「Fcドメイン」、「Fc領域」、および「IgG Fcドメイン」は、IgG分子のパパイン消化によって得られる結晶化可能断片に対応する、免疫グロブリン、例えばIgG分子の一部分を指す。Fc領域は、ジスルフィド結合によって連結される、IgG分子の2つの重鎖のC末端半分を含む。それは、抗原結合活性を有していないが、炭水化物成分ならびに補体およびFcRn受容体を含むFc受容体に対する結合部位を含有する。例えば、Fcドメインは、第2の定常ドメインCH2(ヒトIgG1のEU231~340位の残基)および第3の定常ドメインCH3(ヒトIgG1のEU341~447位の残基)全体を含有する。
【0123】
Fcとは、独立してこの領域を指し得るか、または抗体、抗体断片、もしくはFc融合タンパク質に関連してこの領域を指し得る。多型は、EU270、272、312、315、356、および358位を含むが、これらに限定されない、Fcドメイン中の多くの位置に観察される。したがって、「野生型IgG Fcドメイン」または「WT IgG Fcドメイン」は、任意の天然に存在するIgG Fc領域(すなわち任意の対立遺伝子)を指す。数限りないFc突然変異体、Fc断片、Fc変異体、およびFc誘導体が、例えば米国特許第5,624,821号明細書;米国特許第5,885,573号明細書;米国特許第5,677,425号明細書;米国特許第6,165,745号明細書;米国特許第6,277,375号明細書;米国特許第5,869,046号明細書;米国特許第6,121,022号明細書;米国特許第5,624,821号明細書;米国特許第5,648,260号明細書;米国特許第6,528,624号明細書;米国特許第6,194,551号明細書;米国特許第6,737,056号明細書;米国特許第7,122,637号明細書;米国特許第7,183,387号明細書;米国特許第7,332,581号明細書;米国特許第7,335,742号明細書;米国特許第7,371,826号明細書;米国特許第6,821,505号明細書;米国特許第6,180,377号明細書;米国特許第7,317,091号明細書;米国特許第7,355,008号明細書;米国特許出願公開第2004/0002587号明細書;ならびに国際公開第99/058572号パンフレット、国際公開第2011/069164号パンフレット、および国際公開第2012/006635号パンフレットにおいて記載される。
【0124】
ヒトIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4の重鎖の配列は、多くの配列データベースにおいて、例えばUniprotデータベース(www.uniprot.org)でそれぞれ受託番号P01857(IGHG1_HUMAN)、P01859(IGHG2_HUMAN)、P01860(IGHG3_HUMAN)、およびP01861(IGHG1_HUMAN)の下で見つけることができる。
【0125】
用語「YTE」または「YTE突然変異体」は、ヒトFcRnへの結合の増加をもたらし、かつ突然変異を有する抗体の血清半減期を改善するIgG1 Fcドメイン中の突然変異のセットを指す。YTE突然変異体は、IgGの重鎖中に導入される3つの「YTE突然変異」の組み合わせ:M252Y、S254T、およびT256Eを含み、付番は、KabatのEUインデックスに従う。参照により本明細書に援用される米国特許第7,658,921号明細書を参照されたい。YTE突然変異体は、同じ抗体の野生型バージョンと比較して、抗体の血清半減期を増加させることが示された。例えば、それらの全体が参照により本明細書に援用されるDall’Acqua et al.,J.Biol.Chem.281:23514-24(2006)および米国特許第7,083,784号明細書を参照されたい。「Y」突然変異体は、M256Y突然変異のみを含み、同様に、「YT」突然変異は、M252YおよびS254Tのみを含み、「YE」突然変異は、M252YおよびT256Eのみを含む。他の突然変異がEU252位および/または256位に存在してもよいことが明確に企図される。特定の態様では、EU252位の突然変異が、M252F、M252S、M252W、もしくはM252Tであってもよく、および/またはEU256位の突然変異が、T256S、T256R、T256Q、もしくはT256Dであってもよい。
【0126】
用語「N3」または「N3突然変異体」は、FcRnへの結合の増加をもたらし、かつ突然変異を有する抗体の血清半減期を改善するIgG1 Fcドメイン中の突然変異のセットを指す。N3突然変異体は、野生型IgG1定常ドメイン塩基構造に組み込まれた432~437位(437位と438位の間の挿入なし)の配列Cys-Ser-Trp-His-Leu-Cysを含む。参照により本明細書に援用される国際公開第2015175874号パンフレットを参照されたい。
【0127】
用語「天然に存在するO2」は、一般に、O2多糖またはその断片が存在し得る状態を指す。天然に存在するO2は、組換え技術を使用するコード核酸の事前導入なしで、細胞によって天然に産生されるO2多糖を意味する。したがって、天然に存在するO2は、天然に、例えば肺炎桿菌(K.pneumoniae)によって産生されるものであり得、および/またはクレブシエラ(Klebsiella)属の様々なメンバーから単離されるものであり得る。
【0128】
用語「組換えO2」は、O2多糖またはその断片が存在し得る状態を指す。組換えO2は、組換えDNAにより、例えば異種宿主において産生されるO2多糖またはその断片を意味する。
【0129】
原核生物の細菌発現系において発現される組換えタンパク質は、グリコシル化されないが、哺乳類細胞または昆虫細胞などの真核生物の系において発現されるものは、グリコシル化される。昆虫細胞において発現されるタンパク質は、しかしながら、哺乳類細胞において発現されるタンパク質とグリコシル化において異なる。
【0130】
本明細書において使用される用語「半減期」または「インビボにおける半減期」は、所与の動物の血液循環中の本開示の特定のタイプの抗体、抗原結合タンパク質、またはポリペプチドの生物学的半減期を指し、動物に投与された量の半分が動物の血液循環および/または他の組織から取り除かれるのに必要とされる時間によって示される。
【0131】
本明細書において使用される用語「対象」は、限定はされないが、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、雌ウシ、クマ、ニワトリ、両生類、爬虫類などを含めた、特定の治療のレシピエントとなる任意の動物(例えば、哺乳動物)を指す。本明細書において使用される用語「対象」および「患者」は、クレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連する状態の診断、予後診断、または療法のための任意の対象、特に哺乳類対象を指す。本明細書において使用されるように、「クレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連する状態を有する患者」などの語句は、クレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連するその状態のための療法の投与、画像処理手順もしくは他の診断手順、および/または予防的治療から利益を得るであろう哺乳類対象などの対象を含む。
【0132】
「クレブシエラ(Klebsiella)」は、腸内細菌科のグラム陰性条件的嫌気性桿菌の属を指す。クレブシエラ(Klebsiella)は、例えば肺炎桿菌(K.pneumoniae)、K.オキシトカ(K.oxytoca)、K.プランチコラ(K.planticola)、K.グラニュロマティス(K.granulomatis)、臭鼻菌(K.ozaenae)、および鼻硬腫菌(K.rhinosclermoatis)を含む。
【0133】
クレブシエラ(Klebsiella)属のメンバーは、典型的に、それらの細胞表面上に2つのタイプの抗原:O抗原およびK抗原を発現する。O抗原はリポ多糖であり、K抗原は莢膜多糖である。これらの抗原の構造のばらつきは、抗原をクレブシエラ(Klebsiella)「血清型」に分類するための基準となる。したがって、O2結合タンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合断片)が、複数の血清型に結合する能力は、様々なO抗原および/またはK抗原を有するクレブシエラ(Klebsiella)に結合するその能力を指す。本明細書において提供されるいくつかの実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)はO2血清型のものである。本明細書において提供されるいくつかの実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)はO1血清型のものである。
【0134】
本明細書において使用される用語「医薬組成物」は、活性成分の生物学的活性が有効となるのを可能にするような形態の調製物であって、その組成物を投与しようとする対象にとって許容できない毒性がある追加的な構成成分を含有しない調製物を指す。そのような組成物は無菌とすることができる。
【0135】
本明細書において開示される抗原結合タンパク質(抗体もしくはその抗原結合断片を含む)の「有効量」は、特に記載される目的を実行するのに十分な量である。「有効量」は、記載される目的に関して実験的に常法で決定することができる。本明細書において使用される用語「治療有効量」は、対象または哺乳類における疾患または状態を「治療する」のに有効である、ポリペプチド、例えば抗体を含む抗原結合タンパク質または他の薬剤の量を指し、クレブシエラ(Klebsiella)媒介性の疾患または状態を有する対象に対していくらかの改善または有益性をもたらす。したがって、「治療有効」量は、クレブシエラ(Klebsiella)媒介性の疾患または状態の、少なくとも1つの臨床症状におけるいくらかの軽減、緩和、および/または減少をもたらす量である。本開示の方法および系によって治療することができる、クレブシエラ(Klebsiella)媒介性の疾患または状態に関連する臨床症状は、当業者によく知られている。さらに、当業者は、いくらかの有益性が対象に対してもたらされる限り、治療効果が完全であるかまたは根治的である必要がないことを十分に理解するであろう。いくつかの実施形態では、用語「治療有効」は、それを必要としている患者においてクレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))またはクレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))活性を低下させることができる治療剤の量を指す。投与される実際の量ならびに投与の速度および時間的経過は、治療されているものの性質および重症度に依存するであろう。治療についての処方せん、例えば投薬量に関する決定などは、開業医および他の医師の責任の範囲内にある。抗体およびその抗原結合断片の適切な用量は、当技術分野においてよく知られている。Ledermann J.A.et al.(1991)Int.J.Cancer 47:659-664;Bagshawe K.D.et al.(1991)Antibody,Immunoconjugates and Radiopharmaceuticals 4:915-922を参照されたい。
【0136】
本明細書において使用されるように、「十分な量」またはクレブシエラ(Klebsiella)媒介性の疾患または状態を有する患者において特定の結果を実現する「のに十分な量」は、任意選択で治療効果である、所望の効果をもたらすのに有効である、治療剤(例えば、本明細書において開示される抗体を含む抗原結合タンパク質)の量を指す(すなわち治療有効量の投与によるもの)。いくつかの実施形態では、そのような特定の結果が、それを必要としている患者におけるクレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))またはクレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))活性の低下である。
【0137】
本明細書において使用される用語「標識」は、「標識」ポリペプチドまたは抗体を生成するために、ポリペプチド、例えば抗体を含む抗原結合タンパク質に直接または間接的にコンジュゲートされる検出可能な化合物または組成物を指す。標識は、それ自体が検出可能であってもよく(例えば、放射性同位体標識または蛍光標識)、または酵素標識の場合、検出可能な基質化合物または組成物の化学的改変を触媒することができる。
【0138】
「治療する」または「治療」または「治療すること」または「軽減する」または「軽減すること」または「回復させること」または「回復させる」などの用語は、診断された病的状態または障害を治癒し、減速させ、その症状を和らげ、および/またはその進行を止める治療手段を指す。「予防する」などの用語は、標的にされる病的状態または障害の発症を予防しかつ/または遅らせる予防または防止手段を指す。したがって、治療を必要としている人は、疾患または状態をすでに有している人を含む。予防を必要としている人は、疾患または状態を起こしやすい人および疾患または状態を予防すべき人を含む。例えば、語句「クレブシエラ(Klebsiella)媒介性の疾患または状態を有する患者を治療する」は、好ましくは、対象がもはやそれによって不快感および/または機能異常を被らない程度まで、クレブシエラ(Klebsiella)媒介性の疾患または状態の重症度を低下させることを指す(例えば、未治療患者と比較した場合の喘息増悪における相対的な低下)。語句「クレブシエラ(Klebsiella)媒介性の疾患または状態を予防する」は、クレブシエラ(Klebsiella)媒介性の疾患もしくは状態の可能性を低下させることおよび/またはクレブシエラ(Klebsiella)媒介性の疾患もしくは状態の発生を低下させることを指す。
【0139】
本明細書において使用されるように、用語「クレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連する状態」は、疾患または状態を有する対象における、クレブシエラ(Klebsiella)感染症(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae)、K.オキシトカ(K. oxytoca)、K.プランチコラ(K. planticola)、臭鼻菌(K.ozaenae)、鼻硬腫菌(K.rhinosclermoatis)および/またはK.グラニュロマティス(K. granulomatis)による感染症)によって引き起こされる(単独でもしくは他の媒介物質と共同して)、それによって悪化するか、それに関連するか、またはそれによって長引く任意の病態を指す。クレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連する状態の非限定的な例は、肺炎、尿路感染症、敗血症/セプシス、新生児敗血症、下痢、軟部組織感染症、臓器移植後の感染症、外科手術による感染症、創傷感染症、肺感染症、化膿性肝膿瘍、眼内炎、髄膜炎、壊死性髄膜炎、強直性脊椎炎、および脊椎関節症を含む。いくつかの実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)感染症が、院内感染症である。いくつかの実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)感染症が、日和見感染症である。いくつかの実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)感染症が、臓器移植の結果として生じる。いくつかの実施形態では、対象が、例えば人工呼吸器、カテーテル、または静脈内カテーテルを含む、クレブシエラ(Klebsiella)に汚染された医療デバイスに暴露される。
【0140】
CDRまたはCDRのセットを有する構造は、一般に、CDRまたはCDRのセットは、再編成された免疫グロブリン遺伝子によってコードされる天然に存在するVHおよびVL抗体可変ドメインのCDRまたはCDRのセットに対応する位置に位置する抗体の重鎖配列もしくは軽鎖配列またはその実質的な一部分でできているであろう。免疫グロブリン可変ドメインの構造および位置は、(参照により本明細書において援用されるKabat,E.A.et al,Sequences of Proteins of Immunological Interest.4th Edition.US Department of Health and Human Services.1987およびその最新版、現在はインターネットで入手可能(http://immuno.bme.nwu.eduまたは任意の検索エンジンを使用して「Kabat」を検索)を参照することによって決定されてもよい。CDRはまた、フィブロネクチンまたはシトクロムBなどの他の足場によって運ぶこともできる。
【0141】
CDRアミノ酸配列は、実質的に本明細書において説明されるように、ヒト可変ドメインまたは実質的なその一部分中にCDRとして有することができる。HCDR3配列は、実質的に本明細書において説明されるように、本開示の実施形態を示し、これらのそれぞれは、ヒト重鎖可変ドメインまたは実質的なその一部分中にHCDR3として担持され得る。
【0142】
本開示において用いられる可変ドメインは、任意の生殖系もしくは再編成されたヒト可変ドメインから得ることができるか、または知られているヒト可変ドメインのコンセンサス配列に基づいた合成可変ドメインとすることができる。CDR配列(例えば、CDR3)は、組換えDNA技術を使用して、CDR(例えば、CDR3)を欠く可変ドメインのレパートリーに導入することができる。
【0143】
例えば、Marks et al.(Bio/Technology,1992,10:779-783;参照により本明細書に援用される)は、可変ドメインエリアの5’末端に向けられるかまたはそれに近接するコンセンサスプライマーが、CDR3を欠くVH可変ドメインのレパートリーをもたらすために、ヒトVH遺伝子の第3のフレームワーク領域に対するコンセンサスプライマーと共に使用される、抗体可変ドメインのレパートリーを産生する方法を提供する。Marks et al.は、このレパートリーを特定の抗体のCDR3と組み合わせることができる方法をさらに記載する。類似した技術を使用して、本開示のCDR3由来の配列を、CDR3を欠くVHまたはVLドメインのレパートリーとシャッフルすることができ、シャッフルして完成したVHまたはVLドメインを、抗原結合タンパク質をもたらすために、同種のVLまたはVHドメインと組み合わせることができる。次いで、レパートリーは、適した抗原結合タンパク質が選択されるために、国際公開第92/01047号パンフレットのファージディスプレイ系またはKay,B.K.,Winter,J.,and McCafferty,J.(1996)Phage Display of Peptides and Proteins:A Laboratory Manual,San Diego:Academic Pressを含む、それに続く多くの文献のいずれかなどの適した宿主系においてディスプレイすることができる。レパートリーは、104以上のいずれの個々のメンバーからも、例えば106~108または1010のいずれのメンバーからもなることができる。他の適した宿主系は、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、T7ディスプレイ、リボソームディスプレイなどを含む。リボソームディスプレイの概説については、本明細書において参照により援用されるLowe D and Jermutus L,2004,Curr.Pharm,Biotech,517-27、さらに国際公開第92/01047号パンフレットを参照されたい。
【0144】
類似したシャッフリング技術またはコンビナトリアル技術はまた、Stemmer(本明細書において参照により援用されるNature,1994,370:389-391)よっても開示され、Stemmerは、β-ラクタマーゼ遺伝子に関しての技術を記載しているが、このアプローチが抗体の生成に使用されてもよいことを述べている。
【0145】
さらなる代案は、可変ドメイン全体において突然変異を生成するために、1つ以上の選択されたVHおよび/またはVL遺伝子のランダム突然変異誘発を使用して、本開示のCDR由来の配列を有する新規なVHまたはVL領域を生成することである。そのような技術は、エラープローンPCRを使用したGram et al(1992,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,89:3576-3580)によって記載される。いくつかの実施形態では、1つまたは2つのアミノ酸置換が、HCDRおよび/またはLCDRのセット内でなされる。
【0146】
使用されてもよい他の方法は、VHまたはVL遺伝子のCDR領域に対して突然変異誘発を誘導することである。そのような技術は、Barbas et al,(1994,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,91:3809-3813)およびSchier et al(1996,J.Mol.Biol.263:551-567)によって開示される。
【0147】
本開示の方法および技術は、別段の指示がない限り、当技術分野においてよく知られており、本明細書の全体にわたって引用され、考察される様々な全般的なおよびより詳細な参考文献において記載される従来の方法に従って全般的に実行される。例えば、すべて本明細書において参照により援用されるSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001)およびAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1992),and Harlow and Lane Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990)を参照されたい。
【0148】
当業者は、当技術分野におけるルーチン的な手法を用いて、本開示の抗原結合タンパク質を提供するために上記に記載されるそのような技術を使用することができるであろう。
【0149】
II.O2抗原結合分子
本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合するO2抗原結合分子、例えば抗原結合タンパク質、抗体、およびその抗原結合断片を提供する。総称して、これらの剤は、本明細書において「O2結合分子」または「O2結合剤」と称される。いくつかの例では、O2結合剤(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原への結合に加え、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O1抗原に結合する。いくつかの例では、O2結合剤(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は肺炎桿菌(K.pneumoniae)O1抗原に結合するが、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に優先的に結合する。いくつかの例では、O2結合剤(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に結合するが、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O1抗原には結合しない。
【0150】
クレブシエラ(Klebsiella)リポ多糖(LPS)のO2抗原は、主要な構造成分として、反復D-ガラクタンI(D-Gal I)単位を含有する。O2抗原において、D-Gal Iポリマーは、コアオリゴ糖に直接結合し、構造→3)-β-D-Galf-(1→3)-α-D-Galp-(1→の反復単位から構成される。対照的に、クレブシエラ(Klebsiella)リポ多糖(LPS)のO1抗原は、反復単位D-ガラクタンIおよびD-ガラクタンIIから構成される2つの構造ドメインを含有する。クレブシエラ(Klebsiella)のO1抗原およびO2抗原の両方について、O-抗原生合成は、6つの遺伝子(wzm、wzt、glf、wbbM、wbbNおよびwbbO)から構成されるwb(rfb)遺伝子クラスターの産物によって実行される(Whitfield,C.et al.1991.Expression of two structurally distinct D-Galactan O antigens in the lipopolysaccharide of Klebsiella pneumoniae serotype O2.J.Bacteriology.1420-1431;Clarke,B.R.and Whitfield C.1992.Molecular cloning of the rfb region of Klebsiella pneumoniae serotype O2:K20.J.Bacteriology.174:4614-4621)。D-Gal Iドメインは、クレブシエラ(Klebsiella)O2 LPSの主要なO抗原成分でもある。
図1Aを参照されたい。
【0151】
いくつかのO2サブ血清型が文献で議論されてきた。(Kelly,R.F.,et al.1996.Clonally diverse rfb gene clusters are involved in expression of a family of related D-Galactan O antigens in Klebsiella species.J. Bacteriology.5205-5214。)構造分析により、サブ血清型O2(2a)がD-Gal I部分のみを発現し、O2(2a、2c)、O2(2a、2e)、O2(2a、2e、2h)などの他のサブ血清型は、D-Gal I骨格上にさらなる修飾を含有することが示された。最近、サブ血清型O2(2a、2f、2g)の→3)-β-D-Galf-(1→3)-[α-D-Galp-(1→4)]-α-D-Galp-(1→三糖反復単位は、高耐性CRE株(クローン複合体258)のサブセットで発現したD-ガラクタンIIIドメインとして定義された。ガラクタンI修飾遺伝子座(gml)遺伝子は、D-Gal I反復単位上のD-ガラクトピラノースに結合したさらなるガラクトースを有するガラクタンIIIドメインの原因であった。(Szijarto,V.et.al.Int J Med Microbiol.306(2):89-98(2016))。
【0152】
本明細書において使用されるように、「O2抗原」という語句は、gml+およびgml-O2 LPSの両方を含み、D-ガラクタンIII(D-Gal III)単位のD-ガラクトース側鎖を含まない。したがって、本明細書において定義される「O2結合剤」(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、D-Gal IIIに特異的に結合しない。したがって、いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、D-Gal III発現に関係なくO2抗原に結合することができる(表8)。いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、例えば、すべてのO2株において発現される共通の炭水化物部分に結合することによって、D-Gal IおよびD-Gal IIIの両方を含有するO2抗原に結合することができる。
【0153】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体またはポリペプチドである単離抗原結合タンパク質を提供する。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質が、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗体の抗原結合断片である。
【0154】
ある実施形態では、O2結合分子が抗体またはポリペプチドである。いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合するマウス、非ヒト、ヒト化、キメラ、再表面化、またはヒト抗原結合タンパク質である単離抗原結合タンパク質を提供する。いくつかの実施形態では、O2結合分子がヒト化抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、O2結合分子がヒト抗体またはその抗原結合断片である。
【0155】
本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、a)クレブシエラ(Klebsiella)のオプソニン作用による死滅(OPK)を誘導するか、b)致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御するか、またはc)クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導し、致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する。ある実施形態では、単離抗原結合タンパク質(抗体またはその抗原結合断片を含む)は、LPS中和活性を有しない(例えば、実施例7に記載のアッセイを用いて決定される)。ある実施形態では、単離抗原結合タンパク質(抗体またはその抗原結合断片を含む)は、O2 LPSに対するLPS中和活性を有する(例えば、実施例7に記載のアッセイを用いて決定される)。ある実施形態では、単離抗原結合タンパク質(抗体またはその抗原結合断片を含む)は、O1およびO2 LPSの両方に対するLPS中和活性を有する(例えば、実施例7に記載のアッセイを用いて決定される)。ある実施形態では、単離抗原結合タンパク質(抗体またはその抗原結合断片を含む)は、LPSによって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防しない。ある実施形態では、単離抗原結合タンパク質(抗体またはその抗原結合断片を含む)は、O2 LPSによって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防する。ある実施形態では、単離抗原結合タンパク質(抗体またはその抗原結合断片を含む)は、O1およびO2 LPSの両方によって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防する。
【0156】
O2結合剤は、抗O2抗原抗体KPN42、KPN42-FR-1-2-4-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL(KPN42-v2016)、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-v2017)、KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-G1)、KPS44-W108F-VH/KPS44-W107F-VL(KPS44-G2)、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-VL(KPS44-G3)、KPS30、KPD1、およびそれらの抗原結合断片を含む。O2結合剤はまた、KPN42、KPN42-FR-1-2-4-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-v2017)、KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-G1)、KPS44-W108F-VH/KPS44-W107F-VL(KPS44-G2)、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-VL(KPS44-G3)、KPS30、またはKPD1と同じ肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2エピトープに特異的に結合するO2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において開示されるO2結合剤は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原のD-ガラクタンIドメインに結合する抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片が含まれる。
【0157】
O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)はまた、KPN42、KPN42-v2016、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-v2017)、KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-G1)、KPS44-W108F-VH/KPS44-W107F-VL(KPS44-G2)、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-VL(KPS44-G3)、KPS30、またはKPD1の肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原への結合を競合的に阻害するO2結合剤を含む。いくつかの実施形態では、抗O2抗体またはその抗原結合断片が競合ELISAアッセイにおいて肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原へのKPN42、KPN42-v2016、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-v2017)、KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-G1)、KPS44-W108F-VH/KPS44-W107F-VL(KPS44-G2)、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-VL(KPS44-G3)、KPS30、またはKPD1の結合を競合的に阻害する。いくつかの実施形態では、抗O2抗体またはその抗原結合断片が競合ELISAアッセイにおいて肺炎桿菌(K.pneumoniae)へのKPN42、KPN42-v2016、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-v2017)、KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-G1)、KPS44-W108F-VH/KPS44-W107F-VL(KPS44-G2)、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-VL(KPS44-G3)、KPS30、またはKPD1の結合を競合的に阻害する。
【0158】
O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)はまた、gml遺伝子発現とは無関係に、O2血清型のクレブシエラ(Klebsiella)に結合するO2結合剤を含む。gml遺伝子発現の効果は、例えば、その全体が参照により本明細書に援用される、Szijarto et al.,International Journal of Medical Microbiology 306:89-98(2016)に提供される方法を用いて、評価され得る。いくつかの実施形態では、本明細書において開示されるO2結合剤は、gml遺伝子を発現しないO2血清型のクレブシエラ(Klebsiella)(すなわち、gml-クレブシエラ(Klebsiella))に結合する抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において開示されるO2結合剤は、gml遺伝子を発現するO2血清型のクレブシエラ(Klebsiella)(すなわち、gml+クレブシエラ(Klebsiella))に結合する抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0159】
O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)はまた、KPN42、KPN42-v2016、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-v2017)、KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-G1)、KPS44-W108F-VH/KPS44-W107F-VL(KPS44-G2)、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-VL(KPS44-G3)、KPS30、またはKPD1の重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含むO2結合剤も含む。KPN42、KPN42-v2016、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS30、およびKPD1のCDR配列は、下記の表1および2に示される。
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】
本明細書において記載される抗原結合タンパク質(抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)は、本明細書において記載される個々の可変軽鎖または可変重鎖の1つを含むことができる。本明細書において記載される抗原結合タンパク質(抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)はまた、可変軽鎖および可変重鎖の両方を含むこともできる。抗O2抗原KPN42、KPN42-v2016、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-v2017)、KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-G1)、KPS44-W108F-VH/KPS44-W107F-VL(KPS44-G2)、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-VL(KPS44-G3)、KPS30、およびKPD1抗体の可変軽鎖配列および可変重鎖配列は、以下の表3および4に提供される。
【0166】
【0167】
【0168】
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、配列番号8、17、26、35、44、53、187、188、62、71、80、89、98、107、116、125、134、または189と少なくとも95、96、97、98、または99%同一な重鎖可変領域(VH)および配列番号9、18、27、36、45、54、190、191、63、72、81、90、99、108、117、126、135、または192と少なくとも95、96、97、98、または99%同一な軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)は、配列番号8、17、26、35、44、53、187、188、62、71、80、89、98、107、116、125、134、または189の配列を含む重鎖可変領域、および配列番号9、18、27、36、45、54、190、191、63、72、81、90、99、108、117、126、135、または192の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、配列番号8、9、17、18、26、27、35、36、44、45、53、54、187、190、188、191、62、63、71、72、80、81、89、90、98、99、107、108、116、117、125、126、134、135、189、または192に対して少なくとも95、96、97、98、または99%の配列同一性を有する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)が、保存的アミノ酸置換によってのみ配列番号8、9、17、18、26、27、35、36、44、45、53、54、187、190、188、191、62、63、71、72、80、81、89、90、98、99、107、108、116、117、125、126、134、135、189、または192と異なる。
【0173】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、または189および192と少なくとも95%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))のOPKを誘導する。
【0174】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、または189および192と少なくとも95%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する。
【0175】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、または189および192と少なくとも95%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))のOPKを誘導し、致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する。
【0176】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、または189および192と少なくとも95%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、抗生物質(例えば、メロペネム、カルバペネム、またはコリスチン)と相乗的に作用する。
【0177】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、または189および192と少なくとも96%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))のOPKを誘導する。
【0178】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、または189および192と少なくとも96%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する。
【0179】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、または189および192と少なくとも96%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))のOPKを誘導し、致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する。
【0180】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、または189および192と少なくとも96%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、抗生物質(例えば、メロペネム、カルバペネム、またはコリスチン)と相乗的に作用する。
【0181】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、または189および192と少なくとも97%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))のOPKを誘導する。
【0182】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、または189および192と少なくとも97%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する。
【0183】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、または189および192と少なくとも97%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))のOPKを誘導し、致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する。
【0184】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、189および192と少なくとも97%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、抗生物質(例えば、メロペネム、カルバペネム、またはコリスチン)と相乗的に作用する。
【0185】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、189または192と少なくとも98%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))のOPKを誘導する。
【0186】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、または189および192と少なくとも98%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する。
【0187】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、または189および192と少なくとも98%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))のOPKを誘導し、致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する。
【0188】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、または189および192と少なくとも98%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、抗生物質(例えば、メロペネム、カルバペネム、またはコリスチン)と相乗的に作用する。
【0189】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、または189および192と少なくとも99%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))のOPKを誘導する。
【0190】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、または189および192と少なくとも99%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する。
【0191】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、または189および192と少なくとも99%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))のOPKを誘導し、致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する。
【0192】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)を提供し、前記抗原結合タンパク質が、それぞれ配列番号8および9、17および18、26および27、35および36、44および45、53および54、187および190、188および191、62および63、71および72、80および81、89および90、98および99、107および108、116および117、125および126、134および135、または189および192と少なくとも99%同一であるVHおよびVLを含み、抗原結合タンパク質は、抗生物質(例えば、メロペネム、カルバペネム、またはコリスチン)と相乗的に作用する。
【0193】
モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein(1975)Nature 256:495によって記載されるものなどのハイブリドーマ法を用いて調製することができる。ハイブリドーマ法の使用では、マウス、ハムスター、または他の適切な宿主動物を上記に記載した通り免疫し、免疫抗原に特異的に結合し得る抗体のリンパ球による産生を誘発する。リンパ球はまた、インビトロで免疫することもできる。免疫後、リンパ球を単離し、例えばポリエチレングリコールを使用して好適な骨髄腫細胞株と融合することによりハイブリドーマ細胞を形成し、次にそこから未融合のリンパ球および骨髄腫細胞を選択によって除くことができる。次に、免疫沈降、免疫ブロット法によるか、またはインビトロ結合アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA);酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA))によって決定するとき選択の抗原を特異的に対象とするモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを、標準方法を用いたインビトロ培養か(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press,1986)、あるいは動物においてインビボで増殖させることができる。次に、上記にポリクローナル抗体について記載したように、モノクローナル抗体を培養培地または腹水から精製することができる。
【0194】
あるいは、モノクローナル抗体はまた、米国特許第4,816,567号明細書に記載される通り組換えDNA方法を用いて作製することもできる。成熟B細胞またはハイブリドーマ細胞から、その抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子を特異的に増幅するオリゴヌクレオチドプライマーを使用したRT-PCRによるなどして、モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドを単離し、従来の手順を用いてその配列を決定する。次に、重鎖および軽鎖をコードする単離ポリヌクレオチドを好適な発現ベクターにクローニングし、本来免疫グロブリンタンパク質を産生しない大腸菌(E. coli)細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などの宿主細胞にその発現ベクターをトランスフェクトすると、宿主細胞によってモノクローナル抗体が生成される。また、記載される通り、所望の種のCDRを発現するファージディスプレイライブラリから、所望の種の組換えモノクローナル抗体またはその断片を単離することもできる(McCafferty et al.,1990,Nature,348:552-554;Clackson et al.,1991,Nature,352:624-628;およびMarks et al.,1991,J.Mol.Biol.,222:581-597)。
【0195】
モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドは、組換えDNA技術を用いた何らかの種々の方法でさらに修飾することができ、それにより代替的な抗体を作成し得る。一部の実施形態では、例えばマウスモノクローナル抗体の軽鎖および重鎖の定常ドメインが、1)例えばヒト抗体のそれらの領域に置換されてキメラ抗体が作成されるか、または2)非免疫グロブリンポリペプチドに置換されて融合抗体が作成され得る。一部の実施形態では、定常領域がトランケートされるか、または除去されて、モノクローナル抗体の所望の抗体断片が作成される。可変領域の部位特異的または高密度突然変異誘発を用いてモノクローナル抗体の特異性、親和性等を最適化することができる。
【0196】
いくつかの実施形態では、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に対するモノクローナル抗体がヒト化抗体である。ある実施形態では、そのような抗体が、ヒト対象に投与された場合に抗原性およびHAMA(ヒト抗マウス抗体)応答を低下させるために治療上使用される。ヒト化抗体は、当技術分野において知られている様々な技術を使用して産生することができる。ある代替の実施形態では、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に対する抗体がヒト抗体である。
【0197】
ヒト抗体は、当技術分野において公知の様々な技法を用いて直接調製することができる。インビトロで免疫されるか、または標的抗原に対する抗体を産生する免疫された個体から単離された固定化ヒトBリンパ球を作成することができる(例えば、Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985);Boemer et al.,1991,J.Immunol.,147(1):86-95;および米国特許第5,750,373号明細書を参照されたい)。また、例えば、Vaughan et al.,1996,Nat.Biotech.,14:309-314、Sheets et al.,1998,Proc.Nat’l.Acad.Sci.,95:6157-6162、Hoogenboom and Winter,1991,J.Mol.Biol.,227:381、およびMarks et al.,1991,J.Mol.Biol.,222:581に記載される通り、ヒト抗体はファージライブラリから選択することもでき、ここで、そのファージライブラリはヒト抗体を発現する)。抗体ファージライブラリを作成および使用する技術は、米国特許第5,969,108号明細書、同第6,172,197号明細書、同第5,885,793号明細書、同第6,521,404号明細書;同第6,544,731号明細書;同第6,555,313号明細書;同第6,582,915号明細書;同第6,593,081号明細書;同第6,300,064号明細書;同第6,653,068号明細書;同第6,706,484号明細書;および同第7,264,963号明細書;およびRothe et al.,2008,J.Mol.Bio.,367:1182-200(これらの各々は、全体として参照により援用される)にも記載されている。親和性成熟戦略およびチェインシャッフリング戦略(Marks et al.,1992,Bio/Technology 10:779-783、全体として参照により援用される)が当技術分野において公知であり、高親和性ヒト抗体の作成に用いることができる。
【0198】
ヒト化抗体はまた、免疫時に内因性免疫グロブリンを産生することなくヒト抗体の完全レパートリーを産生する能力を有するヒト免疫グロブリン遺伝子座を含有するトランスジェニックマウスでも作製することができる。この手法は、米国特許第5,545,807号明細書;同第5,545,806号明細書;同第5,569,825号明細書;同第5,625,126号明細書;同第5,633,425号明細書;および同第5,661,016号明細書に記載されている。
【0199】
本開示によれば、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原に特異的な一本鎖抗体の作製技法を適合させることができる(米国特許第4,946,778号明細書を参照されたい)。加えて、O2抗原に対して所望の特異性を有するモノクローナルFab断片またはその断片の迅速かつ有効な同定を可能にするFab発現ライブラリの構築方法を適合させることができる(Huse et al.,Science 246:1275-1281(1989))。抗体断片は、限定はされないが:(a)抗体のペプシン消化によって作製されるF(ab’)2断片、(b)F(ab’)2断片のジスルフィド架橋の還元によって生成されるFab断片、(c)抗体をパパインおよび還元剤で処理することによって生成されるFab断片、および(d)Fv断片を含め、当技術分野における技法によって作製することができる。
【0200】
その血清半減期を増加させるために抗体を修飾することは、とりわけ抗体断片の場合にさらに望ましいものとなり得る。これは、例えば、抗体断片の適切な領域の突然変異によって抗体断片にサルベージ受容体結合エピトープを組み込むことによるか、または後に抗体断片にいずれかの末端もしくは中央で(例えば、DNAまたはペプチド合成によって)融合するペプチドタグにそのエピトープを組み込むことによって達成し得る。
【0201】
本開示の抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)は、抗体定常領域またはその一部をさらに含むことができる。例えば、VLドメインは、そのC-末端部で、ヒトCκまたはCγ鎖を含む抗体軽鎖定常ドメインに付けることができる。同様に、VHドメインをベースとする抗原結合タンパク質は、そのC-末端部で、任意の抗体アイソタイプ、例えばIgG、IgA、IgE、およびIgMならびにアイソタイプサブクラス、特にIgG1およびIgG4のいずれかに由来する免疫グロブリン重鎖のすべてまたは一部(例えばCH1ドメイン)に結合することができる。例えば、免疫グロブリン重鎖は、抗体アイソタイプサブクラス、IgG1に由来することができる。これらの特性を有し、可変領域を安定化する任意の合成または他の定常領域変異体も本開示の実施形態で使用することが企図される。抗体定常領域は、YTE突然変異を有するFc領域とすることができ、Fc領域は、下記のアミノ酸置換を含む:M252Y/S254T/T256E。この残基の付番は、Kabatの付番に基づく。Fc領域中のYTE突然変異は、抗原結合タンパク質の血清中での持続性を増加させる(Dall’Acqua,W.F.et al.(2006)The Journal of Biological Chemistry,281,23514-23524を参照されたい)。
【0202】
本明細書におけるいくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質、例えば抗体またはその抗原結合断片が、エフェクター機能を改善するために、例えば、抗原依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)および/または補体依存性細胞障害作用(CDC)を増強するために修飾される。これは、1つ以上のアミノ酸置換をなすことによってまたはFc領域中にシステインを導入することによって実現することができる。抗体のエフェクター機能を増強するかもしくは衰えさせ、かつ/または抗体の薬物動態学的特性(例えば、半減期)を改変することができるFc領域の変異体(例えば、アミノ酸置換および/または追加および/または欠失)は、例えば米国特許第6,737,056B1号明細書、米国特許出願公開第2004/0132101A1号明細書、米国特許第6,194,551号明細書、ならびに米国特許第5,624,821号明細書および米国特許第5,648,260号明細書において開示される。置換のある特定のセット、3重突然変異L234F/L235E/P331S(「TM」)は、ヒトC1q、CD64、CD32A、およびCD16に対するヒトIgG1分子の結合活性における大幅な減少を引き起こす。例えば、Oganesyan et al.,Acta Crystallogr D Biol Crystallogr.64:700-704(2008)を参照されたい。他の場合、定常領域修飾が血清半減期を増加させることができる。Fc領域を含むタンパク質の血清半減期は、FcRnに対するFc領域の結合親和性を増加させることによって増加させることができる。
【0203】
抗原結合タンパク質が抗体またはその抗原結合断片である場合、それは、(a)IgA定常ドメイン、(b)IgD定常ドメイン、(c)IgE定常ドメイン、(d)IgG1定常ドメイン、(e)IgG2定常ドメイン、(f)IgG3定常ドメイン、(g)IgG4定常ドメイン、および(h)IgM定常ドメインからなる群から選択される重鎖免疫グロブリン定常ドメインをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質が、IgG1重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質が、IgG1/IgG3キメラ重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む抗体またはその抗原結合断片である。
【0204】
本開示の抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)は、(a)Igκ定常ドメイン、および(b)Igλ定常ドメインからなる群から選択される軽鎖免疫グロブリン定常ドメインをさらに含むことができる。
【0205】
本開示の抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)は、ヒトIgG1定常ドメイン、およびヒトλ定常ドメインをさらに含むことができる。本開示の抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む)は、ヒトIgG2定常ドメイン、およびヒトλ定常ドメインをさらに含むことができる。
【0206】
本開示の抗原結合タンパク質は、252、254、および256位に突然変異を含有するIgG1 Fcドメインを含むことができ、位置付番は、KabatのEUインデックスに従う。例えば、IgG1 Fcドメインは、M252Y、S254T、およびT256Eの突然変異を含有することができ、位置付番は、KabatのEUインデックスに従う。
【0207】
本開示はまた、本開示の抗原結合タンパク質の単離VHドメインおよび/または本開示の抗原結合タンパク質の単離VLドメインにも関する。
【0208】
本開示の抗原結合タンパク質(抗体またはその抗原結合断片を含む)は、検出可能なまたは機能的な標識により標識することができる。検出可能な標識は、131Iまたは99Tcなどの放射能標識を含み、これらは、抗体画像処理について当技術分野において知られている従来の化学を使用して本開示の抗体に付けられてもよい。標識はまた、ホースラディッシュペルオキシダーゼなどの酵素標識を含む。標識は、特定の関連する検出可能な成分、例えば標識アビジンへの結合を介して検出されてもよいビオチンなどの化学成分をさらに含む。本開示の抗原結合タンパク質(抗体またはその抗原結合断片を含む)に付けられてもよい他の検出可能なまたは機能的な標識の非限定的な例は、同位体標識、磁気標識、レドックス活性成分、光学色素、ビオチン化基、ビオチンシグナル伝達ペプチド、緑色蛍光タンパク質(GFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、および黄色蛍光タンパク質(YFP)などの蛍光成分、ならびにヒスチジンペプチド(his)、ヘマグルチニン(HA)、金結合ペプチド、Flagなどの二次レポーターによって認識されるポリペプチドエピトープ、放射性同位体、放射性核種、毒素、治療剤および化学療法剤を含む。
【0209】
III.医薬組成物
本開示はまた、本明細書において記載される1つ以上のO2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体もしくは抗原結合断片を含む)をコードするポリヌクレオチドを含む医薬組成物を提供する。ある実施形態では、医薬組成物が薬学的に許容可能なビヒクルまたは薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む。ある実施形態では、これらの医薬組成物がヒト患者においてクレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))感染症に関連する状態を治療するか、予防するか、または回復させる際に使用を見出す。ある実施形態では、これらの医薬組成物がクレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))の増殖を阻害する際に使用を見出す。
いくつかの実施形態において、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))は、O2血清型のものである。いくつかの実施形態において、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))は、O1血清型のものである。いくつかの実施形態では、O2結合剤を含む医薬組成物は、KPN42、KPN42-v2016、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS30、またはKPD1の重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む。表1および2に示されるKPN42、KPN42-v2016、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-v2017)、KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-G1)、KPS44-W108F-VH/KPS44-W107F-VL(KPS44-G2)、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-VL(KPS44-G3)、KPS30、またはKPD1抗体のCDR配列、または表3および4に示される抗O2抗原KPN42、KPN42-v2016、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-v2017)、KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-G1)、KPS44-W108F-VH/KPS44-W107F-VL(KPS44-G2)、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-VL(KPS44-G3)、KPS30、またはKPD1抗体の可変軽鎖配列および可変重鎖配列を含む。
【0210】
ある実施形態では、製剤は、本明細書において記載される抗体または抗O2結合剤を薬学的に許容可能なビヒクル(例えば、担体、賦形剤)と組み合わせることにより、保存および使用のために調製される(例えば、参照により本明細書に援用されるRemington,The Science and Practice of Pharmacy 20th Edition Mack Publishing,2000を参照されたい)。いくつかの実施形態では、製剤が保存剤を含む。
【0211】
本開示の医薬組成物は、局所的なおよび全身性の治療のために任意の数の方法で投与することができる。
【0212】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される1つ以上のO2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体または抗原結合断片)を含む医薬組成物が、肺炎、尿路感染症、敗血症/セプシス、新生児敗血症/セプシス、下痢、軟部組織感染症、臓器移植後の感染症、外科手術による感染症、創傷感染症、肺感染症、化膿性肝膿瘍(PLA)、眼内炎、髄膜炎、壊死性髄膜炎、強直性脊椎炎、または脊椎関節症を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書において記載される1つ以上のO2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体または抗原結合断片)を含む医薬組成物が、院内感染症、日和見感染症、臓器移植後の感染症、ならびにクレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連する他の状態(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae)、K.オキシトカ(K.oxytoca)、K.プランチコラ(K.planticola)、臭鼻菌(K.ozaenae)、鼻硬腫菌(K.rhinosclermoatis)、および/またはK.グラニュロマティス(K.granulomatis)による感染症)において有用である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載される1つ以上のO2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体または抗原結合断片を含む)を含む医薬組成物が、例えば人工呼吸器、カテーテル、または静脈内カテーテルを含む、クレブシエラ(Klebsiella)に汚染されたデバイスに暴露される対象において有用である。
【0213】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象におけるクレブシエラ(Klebsiella)の増殖を阻害するのに有効な量のO2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を含む。いくつかの実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)、K.オキシトカ(K.oxytoca)、K.プランチコラ(K.planticola)、臭鼻菌(K.ozaenae)、鼻硬腫菌(K.rhinosclermoatis)および/またはK.グラニュロマティス(K.granulomatis)である。いくつかの実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)が肺炎桿菌(K.pneumoniae)、K.オキシトカ(K.oxytoca)、および/またはK.グラニュロマティス(K.granulomatis)である。いくつかの実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)が肺炎桿菌(K.pneumoniae)である。いくつかの実施形態において、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))は、O2血清型のものである。いくつかの実施形態において、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))は、O1血清型のものである。
【0214】
いくつかの実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連する状態を治療し、予防し、かつ/または回復させる方法は、クレブシエラ(Klebsiella)に感染した対象を、インビボにおいて、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体もしくはその抗原結合断片)を含む医薬組成物と接触させるステップを含む。いくつかの実施形態では、O2結合剤を含む医薬組成物が、感染症を予防するために、対象が細菌に暴露されたのと同時にまたはその直後に投与される。いくつかの実施形態では、O2結合剤を含む医薬組成物が感染後に治療薬として投与される。
【0215】
ある実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)感染症を治療し、予防し、かつ/または回復させる方法は、対象に、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体もしくはその抗原結合断片)を含む医薬組成物を投与するステップを含む。ある実施形態では、対象がヒトである。いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を含む医薬組成物は、対象がクレブシエラ(Klebsiella)に感染する前に投与される。いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を含む医薬組成物は、対象がクレブシエラ(Klebsiella)に感染した後に投与される。
【0216】
いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を含む医薬組成物は、人工呼吸器をした対象に投与される。ある実施形態では、対象がカテーテル(例えば、尿道カテーテルまたは静脈内カテーテル)を有する。ある実施形態では、対象が抗生物質(例えば、メロペネム、カルバペネム、フルオロキノロン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、トリメトプリム、スルホンアミドおよび/またはコリスチン)を受けている。
【0217】
いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を含む医薬組成物は、院内クレブシエラ(Klebsiella)感染症の治療または予防のためのものである。いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を含む医薬組成物は、日和見クレブシエラ(Klebsiella)感染症の治療または予防のためのものである。いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を含む医薬組成物は、臓器移植後のクレブシエラ(Klebsiella)感染症の治療または予防用である。
【0218】
いくつかの実施形態では、O2結合9剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を含む医薬組成物は、クレブシエラ(Klebsiella)感染症の治療または予防のためのものであり、クレブシエラ(Klebsiella)は、クレブシエラ(Klebsiella)を産生する広域スペクトル・β-ラクタマーゼ(ESBL)である。いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を含む医薬組成物は、クレブシエラ(Klebsiella)感染症の治療または予防のためのものであり、クレブシエラ(Klebsiella)は、クレブシエラ(Klebsiella)を産生する非広域スペクトル・β-ラクタマーゼ(ESBL)である。いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を含む医薬組成物は、クレブシエラ(Klebsiella)感染症の治療または予防のためのものであり、クレブシエラ(Klebsiella)は、クレブシエラ(Klebsiella)を産生する肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)カルバペネマーゼ(KPC)である。
【0219】
いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を含む医薬組成物は、セファロスポリン耐性クレブシエラ(Klebsiella)感染症の治療または予防のためのものである。いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗O2抗体またはその抗原結合断片)を含む医薬組成物は、アミノグリコシド耐性クレブシエラ(Klebsiella)感染症の治療または予防のためのものである。いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を含む医薬組成物は、キノロン耐性クレブシエラ(Klebsiella)感染症の治療または予防のためのものである。いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を含む医薬組成物は、カルバペネム耐性クレブシエラ(Klebsiella)感染症の治療または予防のためのものである。いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を含む医薬組成物は、コリスチン耐性クレブシエラ(Klebsiella)感染症の治療または予防のためのものである。いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を含む医薬組成物は、セファロスポリン、アミノグリコシド、キノロン、フルオロキノロン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、トリメトプリム、スルホンアミド、カルバペネム、およびコリスチン耐性クレブシエラ(Klebsiella)感染症の治療または予防のためのものである。いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を含む医薬組成物は、抗生物質に感受性のクレブシエラ(Klebsiella)感染の治療または予防のためのものである。
【0220】
クレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連する状態の治療、予防、および/または回復のために、本明細書において記載される医薬組成物、抗体、または抗O2結合剤の適切な投薬量は、状態のタイプ、状態の重症度および経過、状態の応答性、医薬組成物、抗体、または抗O2結合剤が治療目的に投与されるかまたは予防目的に投与されるか、以前の療法、患者の病歴など、治療している医者の判断によるあらゆることに依存する。本明細書において記載される医薬組成物、抗体、または抗O2結合剤は、1回または数日~数か月まで続く一連の治療中またはある治療法が実行されるか、もしくは状態の縮小が実現されるまで投与することができる。最適な投薬スケジュールは、患者の体内の薬剤蓄積についての測定値から計算することができ、個々の抗体または作用物質の相対的な効力に依存して変動するであろう。投与している医者は、最適な投薬量、投薬の手法、および反復率を容易に決定することができる。クレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連する状態の治療、予防および/または改善に有用なO2結合剤および/または医薬組成物には、KPN42、KPN42-v2016、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS30、またはKPD1の重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片が含まれる。表1および2に示されるKPN42、KPN42-v2016、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-v2017)、KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-G1)、KPS44-W108F-VH/KPS44-W107F-VL(KPS44-G2)、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-VL(KPS44-G3)、KPS30、またはKPD1抗体のCDR配列、または表3および4に示されるKPN42、KPN42-v2016、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-v2017)、KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-G1)、KPS44-W108F-VH/KPS44-W107F-VL(KPS44-G2)、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-VL(KPS44-G3)、KPS30、またはKPD1抗体の可変軽鎖配列および可変重鎖配列を含む。
【0221】
IV.使用の方法
本明細書において記載されるO2結合剤(抗O2抗原抗体およびその抗原結合断片を含む)は、肺炎、尿路感染症、敗血症/セプシス、新生児敗血症/セプシス、下痢、軟部組織感染症、臓器移植後の感染症、外科手術による感染症、創傷感染症、肺感染症、化膿性肝膿瘍(PLA)、眼内炎、髄膜炎、壊死性髄膜炎、強直性脊椎炎、および脊椎関節症を含むが、これらに限定されない多様な適用に有用である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載されるO2結合剤(抗O2抗原抗体およびその抗原結合断片を含む)は、院内感染症、日和見感染症、臓器移植後の感染症、ならびにクレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連する他の状態(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae)、K.オキシトカ(K.oxytoca)、K.プランチコラ(K.planticola)、臭鼻菌(K.ozaenae)、鼻硬腫菌(K.rhinosclermoatis)、および/またはK.グラニュロマティス(K.granulomatis)による感染症)において有用である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載されるO2結合剤(抗O2抗原抗体およびその抗原結合断片を含む)は、例えば人工呼吸器、カテーテル、または静脈内カテーテルを含む、クレブシエラ(Klebsiella)に汚染されたデバイスに暴露される対象において有用である。
【0222】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象に、有効量のO2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体もしくはその抗原結合断片)を投与するステップを含む、クレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連する状態を治療し、予防し、かつ/または回復させる方法を提供する。いくつかの実施形態では、その量は、対象におけるクレブシエラ(Klebsiella)の増殖を阻害するのに有効である。いくつかの実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)、K.オキシトカ(K.oxytoca)、K.プランチコラ(K.planticola)、臭鼻菌(K.ozaenae)、鼻硬腫菌(K.rhinosclermoatis)および/またはK.グラニュロマティス(K.granulomatis)である。いくつかの実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)が肺炎桿菌(K.pneumoniae)、K.オキシトカ(K.oxytoca)、および/またはK.グラニュロマティス(K.granulomatis)である。いくつかの実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)が肺炎桿菌(K.pneumoniae)である。いくつかの実施形態において、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))は、O2血清型のものである。いくつかの実施形態において、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))は、O1血清型のものである。いくつかの実施形態では、対象がクレブシエラ(Klebsiella)に暴露された。いくつかの実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)が対象において検出された。いくつかの実施形態では、対象が、例えば症状に基づいてクレブシエラ(Klebsiella)に感染していることが疑われる。
【0223】
いくつかの実施形態では、本開示はさらに、対象に、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体もしくはその抗原結合断片)を投与するステップを含む、クレブシエラ(Klebsiella)の増殖を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)は、肺炎桿菌(K.pneumoniae)、K.オキシトカ(K.oxytoca)、K.プランチコラ(K.planticola)、臭鼻菌(K.ozaenae)、鼻硬腫菌(K.rhinosclermoatis)および/またはK.グラニュロマティス(K.granulomatis)である。いくつかの実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)が肺炎桿菌(K.pneumoniae)、K.オキシトカ(K.oxytoca)、および/またはK.グラニュロマティス(K.granulomatis)である。いくつかの実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)が肺炎桿菌(K.pneumoniae)である。いくつかの実施形態において、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))は、O2血清型のものである。いくつかの実施形態において、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae))は、O1血清型のものである。いくつかの実施形態では、対象がクレブシエラ(Klebsiella)に暴露された。いくつかの実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)が対象において検出された。いくつかの実施形態では、対象が、例えば症状に基づいてクレブシエラ(Klebsiella)に感染していることが疑われる。
【0224】
いくつかの実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連する状態を治療し、予防し、かつ/または回復させる方法は、クレブシエラ(Klebsiella)に感染した対象を、インビボにおいて、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体もしくはその抗原結合断片)と接触させるステップを含む。ある実施形態では、細胞をO2結合剤と接触させるステップが動物モデルにおいて行われる。例えば、細菌の負担を低下させるために、マウスクレブシエラ(Klebsiella)感染症モデルにO2結合剤を投与することができる。いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)は、感染を予防するため、細菌を動物に導入する前に投与される。いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)は、感染を予防するため、動物が細菌に暴露されたのと同時またはその直後に投与される。いくつかの実施形態では、O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)は、感染後に治療剤として投与される。
【0225】
ある実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)感染症を治療し、予防し、かつ/または回復させる方法は、対象に、有効量のO2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体もしくはその抗原結合断片)を投与するステップを含む。ある実施形態では、対象がヒトである。いくつかの実施形態では、有効量のO2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)は、対象がクレブシエラ(Klebsiella)に感染する前に投与される。いくつかの実施形態では、有効量のO2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)は、対象がクレブシエラ(Klebsiella)に感染した後に投与される。
【0226】
ある実施形態では、対象が人工呼吸器をしている。ある実施形態では、対象がカテーテル(例えば、尿道カテーテルまたは静脈内カテーテル)を有する。ある実施形態では、対象が抗生物質(例えば、メロペネム、カルバペネム、またはコリスチン)を受けている。
【0227】
ある実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)感染症が院内感染症である。ある実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)感染症が日和見感染症である。ある実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)感染症が臓器移植の結果として生じる。
【0228】
ある実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)は、クレブシエラ(Klebsiella)を産生する広域スペクトル・β-ラクタマーゼ(ESBL)である。ある実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)は、クレブシエラ(Klebsiella)を産生する非ESBLである。ある実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)は、クレブシエラ(Klebsiella)を産生する肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)カルバペネマーゼ(KPC)である。
【0229】
ある実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)がセファロスポリン抵抗性である。ある実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)がアミノグリコシド抵抗性である。ある実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)がキノロン抵抗性である。ある実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)がカルバペネム抵抗性である。ある実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)がセファロスポリン、アミノグリコシド、キノロン、およびカルバペネム抵抗性である。ある実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)がセファロスポリン、アミノグリコシド、およびキノロン抵抗性である。ある実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)は抗生物質に対して感受性である。
【0230】
ある実施形態では、クレブシエラ(Klebsiella)感染症を治療し、予防し、かつ/または回復させる方法は、対象に、有効量のO2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体もしくはその抗原結合断片)および抗生物質を投与するステップを含む。O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)および抗生物質は、同時にまたは逐次的に投与することができる。O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)および抗生物質は、同じ医薬組成物において投与することができる。O2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)および抗生物質は、別々の医薬組成物において同時にまたは逐次的に投与することができる。ある実施形態では、抗生物質は、クレブシエラ(Klebsiella)感染を治療するのに適した抗生物質である。ある実施形態では、抗生物質はメロペネムである。ある実施形態では、抗生物質は、カルバパネム(carbapanem)またはコリスチンである。ある実施形態では、抗生物質は、セファロスポリン、アミノグリコシド、キノロン、フルオロキノロン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、トリメトプリム、スルホンアミド、カルバペネム、および/またはコリスチンである。
【0231】
本開示はまた、O2リポ多糖またはO2抗原を含有するクレブシエラ(Klebsiella)を検出する方法を提供する。いくつかの実施形態では、O2またはO2抗原を含有するクレブシエラ(Klebsiella)を検出する方法は、試料を本明細書において提供されるO2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)と接触させるステップ、および結合剤(例えば、抗体またはその抗原結合断片)の試料への結合についてアッセイするステップを含む。結合を評価する方法は、当技術分野においてよく知られている。いくつかの実施形態では、本方法は、O1リポ多糖またはO1抗原を含有するクレブシエラ(Klebsiella)、およびO2リポ多糖またはO2抗原を含有するクレブシエラ(Klebsiella)を検出するステップを含む。いくつかの実施形態では、O1およびO2、またはO1もしくはO2抗原を含有するクレブシエラ(Klebsiella)を検出する方法は、試料を本明細書において提供されるO2結合剤(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)と接触させるステップ、および結合剤(例えば、抗体またはその抗原結合断片)の試料への結合についてアッセイするステップを含む。結合を評価する方法は、当技術分野においてよく知られている。
【0232】
V.キット
本開示の任意の態様または実施形態による単離抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を含むキットもまた、本開示の一態様として提供される。キットにおいて、抗原結合タンパク質、抗体、またはその抗原結合断片は、例えば下記にさらに記載されるように、試料中のその反応性を決定することができるように標識することができる。キットの構成要素は、一般に無菌であり、密封バイアルまたは他の容器中にある。キットは、抗体が有用な診断分析または他の方法において用いることができる。キットは、方法、例えば本開示に従う方法における構成要素の使用のための説明書を含有することができる。そのような方法の実行を支援するかまたは可能にする付随的な材料が本開示のキットに含まれてもよい。キットでの使用に適したO2結合剤は、KPN42、KPN42-v2016、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-v2017)、KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-G1)、KPS44-W108F-VH/KPS44-W107F-VL(KPS44-G2)、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-VL(KPS44-G3)、KPS30、またはKPD1の重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む。表1および2に示されるKPN42、KPN42-v2016、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS30、およびKPD1抗体のCDR配列、または表3および4に示されるKPN42、KPN42-v2016、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-v2017)、KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-G1)、KPS44-W108F-VH/KPS44-W107F-VL(KPS44-G2)、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-VL(KPS44-G3)、KPS30、およびKPD1抗体の可変軽鎖配列および可変重鎖配列を含む。
【0233】
試料中の抗体またはその抗原結合断片の反応性は、任意の適切な手段によって決定することができる。ラジオイムノアッセイ(RIA)は、可能性として考えられる1つの手段である。放射性標識抗原を非標識抗原(試験サンプル)と混合し、抗体に結合させる。結合した抗原を結合していない抗原から物理的に分離し、抗体に結合した放射性抗原の量を決定する。試験サンプル中に抗原が多くあるほど、抗体に結合する放射性抗原は少ないであろう。競合的結合アッセイはまた、レポーター分子に連結された抗原または類似体を使用して、非放射性抗原と共に使用することもできる。レポーター分子は、スペクトルで特定される吸収特性または放射特性を有する蛍光色素、蛍光体、またはレーザー色素とすることができる。適した蛍光色素は、フルオレセイン、ローダミン、フィコエリトリン、およびTexas Redを含む。適した発色性色素は、ジアミノベンジジンを含む。
【0234】
他のレポーターは、有色、磁気、または常磁性のラテックスビーズなどの高分子コロイド粒子または微粒子物質および検出可能なシグナルを直接または間接的に、視覚的に観察するか、電子的に検出するか、または他に記録することができるようにする生物学的または化学的活性剤を含む。これらの分子は、例えば、色を生じるかもしくは変化させるか、または電気的な特性における変化を引き起こす反応を触媒する酵素とすることができる。それらは、分子が反応性であり、あるエネルギー状態間の電子遷移が特徴的なスペクトルの吸収または放射をもたらす。それらは、バイオセンサーと共に使用される化学物質を含むことができる。ビオチン/アビジンまたはビオチン/ストレプトアビジンおよびアルカリホスファターゼ検出系を用いることができる。
【0235】
個々の抗体-レポーターコンジュゲートによって生成されるシグナルは、試料(標準および試験)中の適切な抗体結合の定量化可能な絶対的または相対的データを得るために使用することができる。
【0236】
本開示はまた、競合アッセイにおいて抗原レベルを測定するための、上記に記載される抗原結合タンパク質の使用も提供し、競合アッセイにおいて本開示によって提供される抗原結合タンパク質を用いることにより、試料中O2抗原またはO2抗原を含有するクレブシエラ(Klebsiella)のMrkAのレベルを測定する方法を含む。いくつかの実施形態では、結合していない抗原からの結合している抗原の物理的な分離が必要とされない。いくつかの実施形態では、物理的なまたは光学的な変化が結合に際して起こるように、レポーター分子が抗原結合タンパク質に連結される。レポーター分子は、検出可能であり、好ましくは測定可能なシグナルを直接または間接的に生成することができる。いくつかの実施形態では、レポーター分子の連結が直接的もしくは間接的であるかまたは共有結合性であり、例えば、ペプチド結合または非共有結合性の相互作用を介したものである。ペプチド結合を介した連結は、抗体およびレポーター分子をコード遺伝子融合物の組換え発現の結果としてのものとすることができる。
【0237】
本開示はまた、本開示による抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を用いることにより、O2抗原のレベルを直接測定する方法も提供する。いくつかの実施形態では、これらの方法が、バイオセンサー系を利用する。いくつかの実施形態では、本方法は、本開示による抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を用いることにより、O1およびO2抗原を検出するステップを含む。いくつかの実施形態では、これらの方法が、バイオセンサー系を利用する。
VI.ポリヌクレオチドおよび宿主細胞
【0238】
さらなる態様では、本開示は、本開示による抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)、VHドメインおよび/またはVLドメインをコードする核酸配列を含む単離核酸を提供する。いくつかの態様では、本開示は、本明細書において記載される抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)、VHドメインおよび/またはVLドメインを作製または調製する方法であって、前記抗原結合タンパク質、VHドメインおよび/またはVLドメインの産生をもたらす条件下で前記核酸を発現させるステップ、ならびに抗原結合タンパク質、VHドメインおよび/またはVLドメインを任意選択で回収するステップを含む方法を提供する。
【0239】
本開示によって提供される核酸がDNAおよび/またはRNAを含む。一態様では、核酸がcDNAである。一態様では、本開示は、上記に記載されるCDRもしくはCDRのセットまたはVHドメインもしくはVLドメインまたは抗体抗原結合部位または抗体、例えばscFv、IgG1、もしくはIgG2をコードする核酸を提供する(例えば、表1~4を参照されたい)。
【0240】
本開示の一態様は、本明細書において記載されるVH CDRまたはVL CDR配列をコードする核酸、一般に単離核酸、任意選択でcDNAを提供する。いくつかの実施形態では、VH CDR配列は、表1に提供される配列番号から選択される。いくつかの実施形態では、VL CDR配列は、表2に提供される配列番号から選択される。HCDRのKPN42、KPN42-v2016、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-v2017)、KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-G1)、KPS44-W108F-VH/KPS44-W107F-VL(KPS44-G2)、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-VL(KPS44-G3)、KPS30、またはKPD1のセットをコードする核酸、およびLCDRのKPN42、KPN42-v2016、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-v2017)、KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-G1)、KPS44-W108F-VH/KPS44-W107F-VL(KPS44-G2)、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-VL(KPS44-G3)、KPS30、またはKPD1のセットをコードする核酸も、表1および2に記載される個々のCDR、HCDR、LCDR、およびCDR、HCDR、LCDRのセットをコードする核酸のように提供される。いくつかの実施形態では、本開示の核酸は、表3および4に示されるKPN42、KPN42-v2016、KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL、KPS3、KPN70、KPN179、KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN179-FR-GL N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL、KPN44、KPN17、6F6、KPL26、KPS18、KPS24、KPS44、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-v2017)、KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-G1)、KPS44-W108F-VH/KPS44-W107F-VL(KPS44-G2)、KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-VL(KPS44-G3)、KPS30、またはKPD1のVHおよび/またはVLドメインをコードする。
【0241】
本発明はさらに、下記の表5および6に示される配列から選択される配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0242】
【0243】
【0244】
【0245】
【0246】
【0247】
【0248】
【0249】
【0250】
【0251】
【0252】
また、表5または6に提供される配列番号のいずれか1つに対して少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリヌクレオチドが提供される。したがって、ある実施形態では、ポリヌクレオチドは、(a)表5に提供される配列番号のいずれか1つに対して少なくとも約95%の配列同一性を有するポリヌクレオチド、および/または(b)表6に提供される配列番号のいずれか1つに対して少なくとも約95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む。ある実施形態では、ポリヌクレオチドは、(a)表5に提供される配列番号の配列を有するポリヌクレオチド、および/または(b)表6に提供される配列番号の配列を有するポリヌクレオチドを含む。
【0253】
本開示は、本明細書において開示される核酸分子またはその相補体(complement)の断片である、ハイブリダイゼーションプローブ、PCRプライマー、またはシークエンシングプライマーとしての使用に十分な単離ポリヌクレオチドまたはcDNA分子を提供する。核酸分子は、例えば、制御配列に作動可能に連結することができる。
【0254】
本開示はまた、上記に記載される少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むプラスミド、ベクター、転写または発現カセットの形態の構築物も提供する(例えば、表5および6を参照されたい)。
【0255】
本開示はまた、1つ以上の核酸、プラスミド、ベクターを含むかまたは上記に記載される組換え宿主細胞も提供する(例えば、表5および6を参照されたい)。提供される任意のCDRまたはCDRのセットまたはVHドメインもしくはVLドメインまたは抗体抗原結合部位、抗体、例えばscFv、IgG1、またはIgG2(例えば、表1~4を参照されたい)をコードする核酸は、それ自体、コード産物の産生の方法のように、本開示の一態様を形成し、この方法は、産物(例えば、本明細書において開示される抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片を含む))をコードする核酸からの発現を含む。発現は、適切な条件下で、本明細書において記載される核酸を含有する組換え宿主細胞を培養することによって好都合に実現することができる。発現による産生後、CDR、CDRのセット、VHもしくはVLドメイン、抗原結合タンパク質は、任意の適した技術を使用して単離および/または精製することができる。
【0256】
いくつかの実例では、宿主細胞が、HEK293細胞、HeLa細胞、NS0マウス骨髄腫細胞、PER.C6(登録商標)ヒト細胞、またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳類宿主細胞である。
【0257】
抗原結合タンパク質、VHおよび/またはVLドメイン、ならびにコード核酸分子およびベクターは、例えば、それらの自然環境から、実質的に純粋なもしくは均質の形態で単離および/もしくは精製することができるか、または核酸の場合、必要とされる機能を有するポリペプチドをコードする配列以外のもともとの核酸もしくは遺伝子がないかもしくは実質的にないものとすることができる。本開示による核酸は、DNAまたはRNAを含み、全体的にまたは部分的に合成することができる。本明細書において説明されるヌクレオチド配列への言及は、特定の配列を有するDNA分子を包含し、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、UがTと置換される、特定の配列を有するRNA分子を包含する。
【0258】
様々な異なる宿主細胞におけるポリペプチドのクローニングおよび発現のための系が、よく知られている。適した宿主細胞は、細菌、哺乳類細胞、植物細胞、酵母およびバキュロウイルス系、ならびにトランスジェニック植物および動物を含む。異種ポリペプチドの発現のための当技術分野において利用可能な哺乳類細胞系は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓細胞、NS0マウスメラノーマ細胞、YB2/0ラット骨髄腫細胞、ヒト胎児由来腎臓細胞、ヒト胎児由来網膜細胞、およびその他多くの細胞を含む。一般的な細菌宿主は、大腸菌(E. coli)である。
【0259】
大腸菌(E. coli)などの原核細胞における抗体および抗体断片の発現は、当技術分野において十分に確立されている。概説については、例えばPlueckthun,A.Bio/Technology 9:545-551(1991)を参照されたい。培養中の真核細胞における発現も抗原結合タンパク質の産生のための選択肢として当業者に利用可能である。例えば、Chadd HE and Chamow SM(2001)110 Current Opinion in Biotechnology 12:188-194、Andersen DC and Krummen L(2002)Current Opinion in Biotechnology 13:117、Larrick JW and Thomas DW(2001)Current opinion in Biotechnology 12:411-418。
【0260】
プロモーター配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子、および必要に応じて他の配列を含む適切な調節配列を含有する適したベクターを選択または構築することができる。ベクターは、必要に応じてプラスミド、ウイルス、例えば「ファージまたはファージミドであってもよい。より詳細については、例えばMolecular Cloning:a Laboratory Manual:3rd edition,Sambrook and Russell,2001,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。例えば、核酸構築物の調製、突然変異誘発、シークエンシング、細胞中へのDNAの導入および遺伝子発現、ならびにタンパク質の分析における、核酸の操作のための多くの知られている技術およびプロトコールは、Current Protocols in Molecular Biology,Second Edition,Ausubel et al.eds.,John Wiley&Sons,1988,Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel et al.eds.,John Wiley&Sons,4th edition 1999において詳細に記載される。Sambrook et al.およびAusubel et al.(両方)の開示は、参照により本明細書に援用される。
【0261】
したがって、本開示のさらなる態様は、本明細書において開示される核酸を含有する宿主細胞を提供する。例えば、本開示は、本開示の抗原結合タンパク質または抗体CDR、CDRのセット、または本開示の抗原結合タンパク質のVHおよび/もしくはVLドメイン(表1~4を参照されたい)をコードするヌクレオチド配列(表5および6を参照されたい)を含む核酸で形質転換された宿主細胞を提供する。いくつかの実施形態では、宿主細胞が、本開示の発現抗原結合タンパク質または抗体CDR、CDRのセット、または本開示の抗原結合タンパク質のVHおよび/もしくはVLドメイン(表1~4を参照されたい)、を含む。
【0262】
そのような宿主細胞は、インビトロにおけるものとすることができ、培養中のものとすることができる。そのような宿主細胞は、単離宿主細胞とすることができる。そのような宿主細胞は、インビボにおけるものとすることができる。
【0263】
本明細書において提供されるさらなる態様は、宿主細胞中にそのような核酸を導入するステップを含む方法である。導入は、任意の利用可能な技術を用いることができる。真核細胞について、適した技術は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン、エレクトロポレーション、リポソーム媒介性のトランスフェクション、およびレトロウイルスもしくは他のウイルス、例えばワクシニアウイルスまたは昆虫細胞についてバキュロウイルスを使用する形質導入を含んでいてもよい。宿主細胞、特に真核細胞中への核酸の導入は、ウイルスまたはプラスミドベースの系を使用することができる。プラスミド系は、エピソームで維持されてもよく、または宿主細胞中にもしくは人工染色体中に組み込まれてもよい。組み込みは、単一の遺伝子座または複数の遺伝子座での1つ以上のコピーのランダムまたは標的統合によるものとすることができる。細菌細胞について、適した技術は、塩化カルシウム形質転換、エレクトロポレーション、およびバクテリオファージを使用するトランスフェクションを含んでいてもよい。
【0264】
導入後、核酸からの発現を引き起こすまたは可能にする、例えば、遺伝子の発現のための条件下で宿主細胞を培養することができる。
【0265】
一実施形態では、本開示の核酸が、宿主細胞のゲノム(例えば、染色体)中に統合される。統合は、標準的な技術に従って、ゲノムとの組換えを促進する配列の組み入れによって促進することができる。
【0266】
本開示はまた、上記に記載される抗原結合タンパク質またはポリペプチドを発現するために発現系において構築物(例えば、上記に記載されるプラスミド、ベクターなど)を使用するステップを含む方法を提供する。
【0267】
別の態様では、本開示は、本開示の抗原結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)を産生するハイブリドーマを提供する。
【0268】
本開示のさらなる態様は、本開示の抗体結合タンパク質(例えば、抗O2抗原抗体またはその抗原結合断片)の産生の方法であって、コード核酸からの発現を引き起こすステップを含む方法を提供する。そのような方法は、前記抗原結合タンパク質の産生に適した条件下で宿主細胞を培養するステップを含むことができる。
【0269】
いくつかの実施形態では、産生の方法が、宿主細胞またはハイブリドーマから産生される抗原結合タンパク質(抗O2抗原抗体もしくはその抗原結合断片を含む)を単離および/または精製するステップをさらに含む。
以下、本発明の実施形態を示す。
(1)肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質が、クレブシエラ(Klebsiella)のオプソニン作用による死滅(OPK)を誘導する、抗原結合タンパク質。
(2)前記抗原結合タンパク質が、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)およびO2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導する、(1)に記載の抗原結合タンパク質。
(3)前記抗原結合タンパク質が、O2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導するが、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導しない、(1)に記載の抗原結合タンパク質。
(4)前記抗原結合タンパク質が、マウスを致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃から防御する、(1)~(3)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(5)前記抗原結合タンパク質がリポ多糖(LPS)を中和する、(1)~(4)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(6)前記抗原結合タンパク質が、LPSによって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防する、(1)~(5)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(7)前記抗原結合タンパク質が、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O1 LPSおよび肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2 LPSの両方によって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防する、(6)に記載の抗原結合タンパク質。
(8)前記抗原結合タンパク質が、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2 LPSによって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防するが、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O1 LPSによって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防しない、(6)に記載の抗原結合タンパク質。
(9)前記抗原結合タンパク質が、
(i)O1および/またはO2 LPSを中和し、O2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導するが、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導しない;
(ii)O1および/またはO2 LPSを中和し、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)およびO2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導する;または
(iii)O1 LPSを中和せず、O2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導するが、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導しない、
(1)または(4)に記載の抗原結合タンパク質。
(10)前記抗原結合タンパク質が、肺炎桿菌(K.pneumoniae)、K.オキシトカ(K.oxytoca)、K.グラニュロマティス(K.granulomatis)、臭鼻菌(K.ozaenae)、鼻硬腫菌(K.rhinosclermoatis)および/またはK.プランチコラ(K.planticola)のOPKを誘導する、(1)~(9)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(11)前記抗原結合タンパク質が、肺炎桿菌(K.pneumoniae)のOPKを誘導する、(10)に記載の抗原結合タンパク質。
(12)前記抗原結合タンパク質が肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O1抗原に結合する、(1)~(11)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(13)前記抗原結合タンパク質がa)多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)においてOPKを誘導するか、b)致死的な多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御するか、またはc)多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導し、致死的な多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する、(1)~(12)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(14)前記多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)が、Kp961842株またはKp977778株である、(13)に記載の抗原結合タンパク質。
(15)前記多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)が、表8の行1~226の1つに列挙された株である、(13)に記載の抗原結合タンパク質。
(16)前記抗原結合タンパク質が、多剤耐性肺炎桿菌(K.pneumoniae)株を少なくとも1つの抗生物質に感受性とする、(1)~(15)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(17)前記抗原結合タンパク質が、a)抗生物質に感受性のクレブシエラ(Klebsiella)においてOPKを誘導するか、b)抗生物質に感受性の致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御するか、またはc)抗生物質に感受性のクレブシエラ(Klebsiella)においてOPKを誘導し、抗生物質に感受性の致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する、(1)~(16)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(18)前記クレブシエラ(Klebsiella)が、表8の行227~254の1つに列挙された株である、(17)に記載の抗原結合タンパク質。
(19)前記抗原結合タンパク質がgml-クレブシエラ(Klebsiella)に結合する、(1)~(18)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(20)前記抗原結合タンパク質がgml+クレブシエラ(Klebsiella)に結合する、(1)~(19)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(21)前記抗原結合タンパク質が、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原のD-ガラクタンIドメインに結合する、(1)~(20)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(22)相補性決定領域(CDR): HCDR1、HDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3のセットを含む、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質であって、
HCDR1が配列番号1または配列番号109のアミノ酸配列を有し、
HCDR2が配列番号2または配列番号110のアミノ酸配列を有し、
HCDR3が配列番号3または配列番号199のアミノ酸配列を有し、
LCDR1が配列番号4または配列番号200のアミノ酸配列を有し、
LCDR2が配列番号5もしくは6または配列番号113もしくは114のアミノ酸配列を有し、
LCDR3が配列番号7または配列番号201のアミノ酸配列を有する、
抗原結合タンパク質。
(23)配列番号8と少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一な重鎖可変領域(VH)および/または配列番号9と少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一な軽鎖可変領域(VL)を含む、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質。
(24)前記抗原結合タンパク質が、配列番号8または配列番号202を含むVHおよび配列番号9または配列番号203を含むVLを含む、(23)に記載の抗原結合タンパク質。
(25)配列番号8または配列番号202を含むVHを含む、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質。
(26)配列番号9または配列番号203を含むVLを含む、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質。
(27)配列番号8または配列番号202を含むVHおよび配列番号9または配列番号203を含むVLを含む、抗体と同じ肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原中のエピトープに特異的に結合する単離抗原結合タンパク質。
(28)配列番号8または配列番号202を含むVH、および配列番号9または配列番号203を含むVLを含む、抗体の肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原への結合を競合的に阻害する単離抗原結合タンパク質。
(29)相補性決定領域(CDR):HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3のセットを含む、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質であって、前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3が、
それぞれ配列番号10~13、14または15、および16、
それぞれ配列番号19~22、23または24、および25、
それぞれ配列番号28~31、32または33、および34、
それぞれ配列番号37~40、41または42、および43、
それぞれ配列番号46~49、50または51、および52、
それぞれ配列番号166~168、175、176または177、および178、
それぞれ配列番号169~171、179、180または181、および182、
それぞれ配列番号55~58、59または60、および61、
それぞれ配列番号64~67、68または69、および70、
それぞれ配列番号73~78、
それぞれ配列番号82~85、86または87、および88、
それぞれ配列番号91~94、95または96、および97、
それぞれ配列番号100~103、104または105、および106、
それぞれ配列番号109~112、113または114、および115、
それぞれ配列番号118~121、122または123、および124、
それぞれ配列番号127~130、131または132、および133、または
それぞれ配列番号172~174、183、184または185、および186、
のアミノ酸配列を含む、抗原結合タンパク質。
(30)肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質が、
それぞれ配列番号17および配列番号18、
それぞれ配列番号26および配列番号27、
それぞれ配列番号35および配列番号36、
それぞれ配列番号44および配列番号45、
それぞれ配列番号53および配列番号54、
それぞれ配列番号187および配列番号190、
それぞれ配列番号188および配列番号191、
それぞれ配列番号62および配列番号63、
それぞれ配列番号71および配列番号72、
それぞれ配列番号80および配列番号81、
それぞれ配列番号89および配列番号90、
それぞれ配列番号98および配列番号99、
それぞれ配列番号107および配列番号108、
それぞれ配列番号116および配列番号117、
それぞれ配列番号125および配列番号126、
それぞれ配列番号134および配列番号135、または
それぞれ配列番号189および配列番号192、
と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるVHおよびVLを含む、抗原結合タンパク質。
(31)前記抗原結合タンパク質が、
それぞれ配列番号17および配列番号18、
それぞれ配列番号26および配列番号27、
それぞれ配列番号35および配列番号36、
それぞれ配列番号44および配列番号45、
それぞれ配列番号53および配列番号54、
それぞれ配列番号187および配列番号190、
それぞれ配列番号188および配列番号191、
それぞれ配列番号62および配列番号63、
それぞれ配列番号71および配列番号72、
それぞれ配列番号80および配列番号81、
それぞれ配列番号89および配列番号90、
それぞれ配列番号98および配列番号99、
それぞれ配列番号107および配列番号108、
それぞれ配列番号116および配列番号117、
それぞれ配列番号125および配列番号126、
それぞれ配列番号134および配列番号135、または
それぞれ配列番号189および配列番号192、
を含む、VHおよびVLを含む、(30)に記載の抗原結合タンパク質。
(32)配列番号17、配列番号26、配列番号35、配列番号44、配列番号53、配列番号187、配列番号188、配列番号62、配列番号71、配列番号80、配列番号89、配列番号98、配列番号107、配列番号116、配列番号125、配列番号134、または配列番号189を含むVHを含む、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質。
(33)配列番号18、配列番号27、配列番号36、配列番号45、配列番号54、配列番号190、配列番号191、配列番号63、配列番号72、配列番号81、配列番号90、配列番号99、配列番号108、配列番号117、配列番号126、配列番号135、または配列番号192を含む、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する単離抗原結合タンパク質。
(34)それぞれ配列番号17および配列番号18、
それぞれ配列番号26および配列番号27、
それぞれ配列番号35および配列番号36、
それぞれ配列番号44および配列番号45、
それぞれ配列番号53および配列番号54、
それぞれ配列番号187および配列番号190、
それぞれ配列番号188および配列番号191、
それぞれ配列番号62および配列番号63、
それぞれ配列番号71および配列番号72、
それぞれ配列番号80および配列番号81、
それぞれ配列番号89および配列番号90、
それぞれ配列番号98および配列番号99、
それぞれ配列番号107および配列番号108、
それぞれ配列番号116および配列番号117、
それぞれ配列番号125および配列番号126、
それぞれ配列番号134および配列番号135、または
配列番号189および配列番号192、
を含むVHおよびVLを含む、抗体と同じ肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原中のエピトープに特異的に結合する単離抗原結合タンパク質。
(35)それぞれ配列番号17および配列番号18、
それぞれ配列番号26および配列番号27、
それぞれ配列番号35および配列番号36、
それぞれ配列番号44および配列番号45、
それぞれ配列番号53および配列番号54、
それぞれ配列番号187および配列番号190、
それぞれ配列番号188および配列番号191、
それぞれ配列番号62および配列番号63、
それぞれ配列番号71および配列番号72、
それぞれ配列番号80および配列番号81、
それぞれ配列番号89および配列番号90、
それぞれ配列番号98および配列番号99、
それぞれ配列番号107および配列番号108、
それぞれ配列番号116および配列番号117、
それぞれ配列番号125および配列番号126、
それぞれ配列番号134および配列番号135、または
配列番号189および配列番号192、
を含むVHおよびVLを含む、抗体の肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原への結合を競合的に阻害する単離抗原結合タンパク質。
(36)前記抗原結合タンパク質が、マウス、非ヒト、ヒト化、キメラ、再表面化、またはヒトである、(1)~(35)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(37)前記抗原結合タンパク質が抗体である、(1)~(36)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(38)前記抗原結合タンパク質が抗体の抗原結合断片である、(1)~(37)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(39)モノクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、またはその抗原結合断片である、(1)~(36)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(40)前記抗原結合タンパク質が、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、単鎖FvもしくはscFv、ジスルフィド連結Fv、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGΔCH2、ミニボディ、F(ab’)3、テトラボディ、トリアボディ、ダイアボディ、シングルドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb2、(scFv)2、またはscFv-Fcを含む、(1)~(39)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(41)約4.5E-09または約7.8E-09Mの親和性定数でクレブシエラ(Klebsiella)O2抗原に結合する、(1)~(40)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(42)オクテット結合、フローサイトメトリー、Biacore、KinExa、またはラジオイムノアッセイによって結合親和性が測定される、(41)に記載の抗原結合タンパク質。
(43)前記抗原結合タンパク質がクレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導する、(22)~(42)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(44)前記抗原結合タンパク質が、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)およびO2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導する、(29)~(43)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(45)前記抗原結合タンパク質が、O2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導するが、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導しない、(22)~(43)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(46)前記抗原結合タンパク質が、マウスを致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃から防御する、(22)~(45)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(47)前記抗原結合タンパク質がLPSを中和する、(29)~(46)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(48)前記抗原結合タンパク質が、LPSによって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防する、(29)~(47)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(49)前記抗原結合タンパク質が、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O1 LPSおよび肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2 LPSの両方によって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防する、(48)に記載の抗原結合タンパク質。
(50)前記抗原結合タンパク質が、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2 LPSによって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防するが、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O1 LPSによって誘導されるNF-kB活性化を阻害、低減または予防しない、(48)に記載の抗原結合タンパク質。
(51)前記抗原結合タンパク質が、O1 LPSを中和せず、O2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導するが、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導しない、(22)~(28)、(36)~(43)、(45)、または(46)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(52)前記抗原結合タンパク質が
(iv)O1および/またはO2 LPSを中和し、O2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導するが、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導しない;
(v)O1および/またはO2 LPSを中和し、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)およびO2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導する;または
(vi)O1 LPSを中和せず、O2血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導するが、O1血清型クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導しない、
(22)~(50)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(53)前記抗原結合タンパク質が、肺炎桿菌(K.pneumoniae)、K.オキシトカ(K.oxytoca)、K.グラニュロマティス(K.granulomatis)、臭鼻菌(K.ozaenae)、鼻硬腫菌(K.rhinosclermoatis)および/またはK.プランチコラ(K.planticola)のOPKを誘導する、(22)~(52)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(54)前記抗原結合タンパク質が、肺炎桿菌(K.pneumoniae)のOPKを誘導する、(53)に記載の抗原結合タンパク質。
(55)前記抗原結合タンパク質が肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O1抗原に結合する、(22)~(54)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(56)前記抗原結合タンパク質がa)多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)においてOPKを誘導するか、b)致死的な多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御するか、またはc)多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)のOPKを誘導し、致死的な多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する、(22)~(55)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(57)前記多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)が、Kp961842株またはKp977778株である、(56)に記載の抗原結合タンパク質。
(58)前記多剤耐性クレブシエラ(Klebsiella)が、表8の行1~226の1つに列挙された株である、(56)に記載の抗原結合タンパク質。
(59)前記抗原結合タンパク質が、多剤耐性肺炎桿菌(K.pneumoniae)株を少なくとも1つの抗生物質に感受性とする、(22)~(58)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(60)前記抗原結合タンパク質が、a)抗生物質に感受性のクレブシエラ(Klebsiella)においてOPKを誘導するか、b)抗生物質に感受性の致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御するか、またはc)抗生物質に感受性のクレブシエラ(Klebsiella)においてOPKを誘導し、抗生物質に感受性の致死的なクレブシエラ(Klebsiella)による攻撃からマウスを防御する、(22)~(59)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(61)前記クレブシエラ(Klebsiella)が、表8の行227~254の1つに列挙された株である、(60)に記載の抗原結合タンパク質。
(62)前記抗原結合タンパク質がgml-クレブシエラ(Klebsiella)に結合する、(22)~(61)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(63)前記抗原結合タンパク質がgml+クレブシエラ(Klebsiella)に結合する、(22)~(62)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(64)前記抗原結合タンパク質が、肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2抗原のD-ガラクタンIドメインに結合する、(22)~(63)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(65)前記抗原結合タンパク質が、
(a)IgA定常ドメイン、
(b)IgD定常ドメイン、
(c)IgE定常ドメイン、
(d)IgG1定常ドメイン、
(e)IgG2定常ドメイン、
(f)IgG3定常ドメイン、
(g)IgG4定常ドメイン、および
(h)IgM定常ドメイン
からなる群から選択される重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む、(1)~(64)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(66)前記抗原結合タンパク質が、
(a)Igκ定常ドメイン、および
(b)Igλ定常ドメイン
からなる群から選択される軽鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む、(1)~(65)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(67)前記抗原結合タンパク質がヒトIgG1定常ドメインおよびヒトλ定常ドメインを含む、(1)~(64)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質。
(68)(1)~(67)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質をコードする単離核酸分子。
(69)前記核酸分子が制御配列に作動可能に連結される、(68)に記載の核酸分子。
(70)(68)または(69)に記載の核酸分子を含むベクター。
(71)(68)または(69)に記載の核酸分子または(70)に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
(72)前記宿主細胞が哺乳類宿主細胞である、(71)に記載の宿主細胞。
(73)前記宿主細胞が、HEK293細胞、CHO細胞、COS-7細胞、HeLa細胞、NS0マウス骨髄腫細胞、またはPER.C6(登録商標)ヒト細胞である、(71)に記載の哺乳類宿主細胞。
(74)(1)~(67)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質を産生するハイブリドーマ。
(75)(1)~(67)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質を産生する単離宿主細胞。
(76)(1)~(67)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質を作製する方法であって、(a)前記抗原結合タンパク質を発現する宿主細胞を培養するステップ、または(71)~(73)もしくは(75)のいずれか一に記載の宿主細胞または(74)に記載のハイブリドーマを培養するステップ、および(b)前記培養宿主細胞またはハイブリドーマからその前記抗原結合タンパク質を単離するステップを含む方法。
(77)(76)に記載の方法を使用して産生される抗原結合タンパク質。
(78)(1)~(67)または(77)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質および薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物。
(79)前記薬学的に許容可能な賦形剤が保存剤、安定剤、または酸化防止剤である、(78)に記載の医薬組成物。
(80)医薬として使用される、(78)または(79)に記載の医薬組成物。
(81)標識基またはエフェクター基をさらに含む、(1)~(67)もしくは(77)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質または(78)~(80)のいずれか一に記載の医薬組成物。
(82)前記標識基が、同位体標識、磁気標識、レドックス活性成分、光学色素、ビオチン化基、ビオチンシグナル伝達ペプチド、緑色蛍光タンパク質(GFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)などの蛍光成分、ヒスチジンペプチド(his)、ヘマグルチニン(HA)、金結合ペプチド、およびFlagなどの二次レポーターによって認識されるポリペプチドエピトープからなる群から選択される、(81)に記載の抗原結合タンパク質または医薬組成物。
(83)前記エフェクター基が、放射性同位体、放射性核種、毒素、治療薬、および化学療法剤からなる群から選択される、(82)に記載の抗原結合タンパク質または医薬組成物。
(84)クレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連する状態を治療または予防するための、(1)~(67)または(77)~(82)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質または医薬組成物の使用。
(85)クレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連する状態の治療、予防、または回復を、それを必要としている対象において行う方法であって、有効量の(1)~(67)または(77)~(82)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質または医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
(86)対象におけるクレブシエラ(Klebsiella)の増殖を阻害する、またはクレブシエラ(Klebsiella)に感染した対象におけるクレブシエラ(Klebsiella)の数を低下させる方法であって、(1)~(67)または(77)~(82)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質または医薬組成物を、それを必要としている対象に投与するステップを含む方法。
(87)クレブシエラ(Klebsiella)感染症に関連する状態の治療、予防、または回復を、それを必要としている対象において行う方法であって、有効量の、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質を前記対象に投与するステップを含む方法。
(88)対象におけるクレブシエラ(Klebsiella)の増殖を阻害する、またはクレブシエラ(Klebsiella)に感染した対象におけるクレブシエラ(Klebsiella)の数を低下させる方法であって、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質の有効量を対象に投与するステップを含む方法。
(89)前記クレブシエラ(Klebsiella)が抗生物質耐性である、(85)~(88)のいずれか一に記載の方法。
(90)前記クレブシエラ(Klebsiella)が、セファロスポリン、キノロン、カルバペネム、メロプレム(meroprem)、フルオロキノロン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、トリメトプリム、スルホンアミドおよび/またはコリスチンに対して耐性である、(89)に記載の方法。
(91)抗体耐性クレブシエラ(Klebsiella)株を、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質と接触させるステップを含む、抗生物質耐性クレブシエラ(Klebsiella)株を抗生物質に対して感作させる方法。
(92)抗生物質を投与するステップをさらに含む、(85)~(91)のいずれか一に記載の方法。
(93)前記抗原結合タンパク質および前記抗生物質が相乗的な治療効果を提供する、(92)に記載の方法。
(94)抗生物質耐性クレブシエラ(Klebsiella)株に感染した対象におけるクレブシエラ(Klebsiella)感染に関連する状態を予防または治療する方法であって、抗生物質および肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質を対象に共投与するステップを含み、前記共投与が、等モル量の前記抗原結合タンパク質または前記抗生物質の投与の個々の効果の合計よりも大きい治療効果をもたらす方法。
(95)前記治療効果が、前記抗原結合タンパク質または前記抗生物質のうちの1つのみを投与した対象の相加生存パーセントよりも大きい生存パーセントをもたらす、(94)に記載の方法。
(96)前記抗生物質が、メロペネム、カルバペネム、フルオロキノロン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、トリメトプリム、スルホンアミドおよび/またはコリスチンである、(92)~(95)のいずれか一に記載の方法。
(97)抗原結合タンパク質が、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O1抗原にも特異的に結合する、(87)~(96)のいずれか一に記載の方法。
(98)肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する前記抗原結合タンパク質が、抗体またはその抗原結合断片である、(87)~(97)のいずれか一に記載の方法。
(99)肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)O2抗原に特異的に結合する前記抗原結合タンパク質が、(1)~(67)または(77)~(82)のいずれか一に記載の抗原結合タンパク質または医薬組成物である、(87)~(98)のいずれか一に記載の方法。
(100)前記クレブシエラ(Klebsiella)が、肺炎桿菌(K.pneumoniae)、K.オキシトカ(K.oxytoca)、K.プランチコラ(K.planticola)、臭鼻菌(K.ozaenae)、鼻硬腫菌(K.rhinosclermoatis)および/またはK.グラニュロマティス(K.granulomatis)である、(85)または(89)~(99)のいずれか一に記載の方法。
(101)前記クレブシエラ(Klebsiella)が肺炎桿菌(K.pneumoniae)である、(100)に記載の方法。
(102)前記状態が、肺炎、尿路感染症、敗血症/セプシス、新生児敗血症/セプシス、下痢、軟部組織感染症、臓器移植後の感染症、外科手術による感染症、創傷感染症、肺感染症、化膿性肝膿瘍(PLA)、眼内炎、髄膜炎、壊死性髄膜炎、強直性脊椎炎、および脊椎関節症からなる群から選択される、(84)、(85)、(87)、(89)、(90)、(92)、または(93)~(101)のいずれか一に記載の使用または方法。
(103)前記状態が院内感染症である、(84)、(85)、(87)、(89)、(90)、(92)、または(93)~(102)のいずれか一に記載の使用または方法。
【実施例】
【0270】
材料および方法
特に記載のない限り、すべての肺炎桿菌(K.pneumoniae)分離株は、America Type Culture Collection、Eurofin collection、またはIHMA collectionから購入し、適切な場合に抗生物質を補足した、37℃の2xYT培地中で培養物を維持した。
【0271】
統計分析は、すべてGraphPad Prismバージョン6で実行した。細菌負担を比較するために、抗O2抗原抗体治療動物は、対応のないt検定によってヒトアイソタイプコントロール抗体治療動物と比較した。生存結果は、カプランマイヤー曲線としてプロットし、ロングランク(マンテル・コックス)検定で分析した。
【0272】
他に特定しない限り、実施例で使用されるすべての抗体はヒトIgG1フォーマットであった。
【0273】
実施例1:多剤耐性(MDR)株におけるO2血清型の増殖
高度に精製されたLPSは、莢膜多糖を発現しない肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)LPS血清型参照株(Staten Serum Institute)から生成された。SDS-PAGE分析に続き、Silver StainでLPSの純度を確認した。次いで、O2血清型に対するヒト抗体を、それぞれの精製LPSに対するヒトB細胞の反応性に基づいて同定した。抗O2 LPS抗体(KPD1など)は、おそらくO1 LPSとO2 LPSとの間で共有される共通のD-ガラクタンIサブユニットに起因して、O1 LPSとの交差反応性を示した。(
図1A)。
【0274】
六大陸にまたがる様々な地理的位置および様々な感染部位から、2012年から2014年の間に採取したクレブシエラ(Klebsiella)臨床分離株709株についてウエスタンブロットを行った。KPD1抗体を用いてO2分離株の傾向を評価した。O1分離株の傾向を示す歴史的文献(Trautmann,M,et.al.2004.O antigen seroepidemiology of Klebsiella clinical isolates and implications for immunoprophylaxis of Klebsiella infections.Vaccine.22:818-821.)に反して、O2が最も一般的なLPS血清型であった(35.8%、
図1B)。分離株をさらに3つの異なる薬剤感受性グループに分類して、O2の増加した発生率が多剤耐性(MDR)分離株の全体的な増加に起因し得るかどうかを決定した。感受性群は、IHMAによって提供される最小阻害濃度(MIC)情報に基づいていた。広域スペクトル・β-ラクタマーゼ産生(ESBL)株は、セフタジジムに対して耐性であるが、カルバンペネム(carbanpenem)に対して感受性である。カルバペネム耐性腸内細菌科(CRE)株は、カルバンペネム(carbanpenem)に対して耐性である。興味深いことに、多剤耐性分離株におけるO2有病率において安定した増加が観察された。O2血清型の増加は、CRE株においてさらに顕著であり、O2 MDR株のユニークな増殖を示唆した(
図1Bを参照されたい)。
【0275】
実施例2:肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2特異的ハイブリドーマの単離
BALB/cマウスを、4週間、皮下経路を介してO2リポ多糖(LPS)により毎週免疫化した。免疫化の終了時に、リンパ節および脾臓B細胞を回収し、P3X骨髄腫と融合させた。次いで、得られたハイブリドーマからの上清を、全細菌酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)43816DMへの結合についてスクリーニングした。陽性ハイブリドーマを、抗生物質を含まない培地で継代培養し、その上清を肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2 LPSに対する防御ハイブリドーマの可能性のあるハイブリドーマを選択するためのELISA結合およびオプソニン作用による死滅(OPK)アッセイに供した。この方法により6F6抗体を得た。
【0276】
実施例3:扁桃および患者B細胞からの肺炎桿菌(K.pneumoniae)O2特異的抗体の単離
末梢血単核球(PBMC)および血清は、Beltramello M.et al.,Cell Host Microbe.8,271-283(2010)に記載されるように、健常献血者または肺炎桿菌(K.pneumoniae)感染後の回復期患者の軟膜から分離した。PMBCは液体窒素中に保存され、一方、血漿は4℃で保存された。あるいは、リンパ球は、DNAaseIおよびコラゲナーゼの存在下での組織均質化後の扁桃またはアデノイドから得た。記憶B細胞は、凍結保存されたPMBCから、または扁桃またはアデノイドから単離されたリンパ球からCD19マイクロビーズを用いて単離され、続いて細胞選別によってIgM、IgD、およびIgAを有する細胞を枯渇させた。記憶B細胞は、Traggiai,E.et al.,Nature Medicine 10:871-875(2004)に記載されているように不死化された。
【0277】
PBMCドナー選択のために、対応する血漿をPBSで希釈し、ELISAにより細菌株の異なるプールまたは精製細菌抗原(例えば、LPSまたは他の多糖類、細菌タンパク質)に結合する抗体の存在を決定するために使用した。
【0278】
扁桃およびアデノイドのドナー選択については、Pinna,D.,et al.,European Journal of Immunology 39:1260-1270(2009)に記載されているように、扁桃リンパ球をポリクローナル刺激した。ポリクローナル抗体混合物を含有する上清を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって細菌株の異なるプールまたは精製細菌抗原(例えば、LPSまたは他の多糖類、細菌タンパク質)に結合する抗体の存在を決定するために使用した。
【0279】
抗体KPD1は、異なる肺炎桿菌(K.pneumoniae)株でコーティングされたプレートを用いて、ELISAで健常ドナーの末梢血単核細胞(PBMC)からのB細胞をスクリーニングすることによって単離された。二次スクリーニングでは、KPD1はLPS-O1およびO2への結合、LPS-O1およびO2の中和を示し、O2莢膜突然変異体に対するOPK活性を示した。KPD1をヒトIgG2抗体として単離した。
【0280】
抗体KPS3、KPS24、KPS18、KPS30、およびKPS44は、LPS-O2でコーティングしたプレートを用いてELISAで回復期のドナーのB細胞をスクリーニングすることによって得られた。二次スクリーニングでは、KPS30はLPS-O1および-O2に結合し、KPS3、KPS18およびKPS24はLPS-O2に特異的に結合した。KPS3,18,24,30および44は、O2莢膜突然変異株に対して強力なOPK活性を示したが、O1莢膜突然変異株に対しては示さなかった。KPS3、KPS24、KPS18はLPSO2を中和し、KPS30はLPS-O1とLPS-O2の両方を中和した。ヒトIgG2抗体として、KPS3、KPS18、KPS24、KPS30およびKPS44を単離した。
【0281】
抗体KPN17、KPN42、KPN44、KPN70、およびKPN179は、LPS-O2を用いたELISAにおいて扁桃21由来の選別されたIgG2 B細胞を調べることによって単離された。KPN17、KPN42、KPN44およびKPN179は、ELISAによる二次スクリーニングにおいてLPS-O1および-O2に結合することが示された。KPN17およびKPN42はLPS-O2を中和し、KPN44およびKPN70はLPS-O2およびLPS-O1の両方を中和する。KPN179はLPS中和活性を示さなかった。KPN17、KPN42およびKPN44は、O2莢膜突然変異体に対してOPK活性を示した。
【0282】
抗体KPL26およびKPL36は、O2株への結合について高含量フローサイトメトリーで扁桃14由来の選別されたIgG2 B細胞を調べることによって単離された。二次スクリーニングでは、それらは、ELISAにおいてLPS-O1およびLPS-O2に結合することが確認され、KPL26はLPS-O1およびLPS-O2を中和し、KPL36はLPS-O2を中和することが確認された。KPL26は、O1およびO2莢膜突然変異体に対するOPK活性を示した。
【0283】
実施例4:O2 LPS mAbの3つのクラスの概要
以下にさらに詳細に記載するように、抗O2 LPS mAbを、1)O1およびO2 LPSへの結合(実施例5を参照されたい)、2)O1およびO2 LPSに対するLPS中和(LPS-Neut)(実施例7を参照されたい)、3)莢膜変異株43816ΔcpsB lux(O1)および8570ΔcpsB lux(O2)に対するOPK(実施例8を参照されたい)、および4)肺炎モデルにおける防御活性(実施例9を参照されたい)につき試験した。O2 LPS mAbはその後、それらのインビトロ活性に基づいて3つのクラスに分けられた。クラスI mAbは、結合(O1+O2+)/OPK(O1-O2+)として特徴付けられ、クラス2 mAbは、結合(O1+O2+)/OPK(O1+O2+)として特徴付けられ、クラスIII mAbは、結合(O1±O2+)/OPK(O1-O2+)として特徴付けられた。表7は、3つのクラスの抗O2 LPS mAbの結合特性を概括したものである。
【0284】
【0285】
とりわけ、高レベルのインビボ防御には、有意なLPS中和活性は必要とされない。
【0286】
実施例5:酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)
ELISAによるスクリーニングのため、高タンパク質結合処理(Perkin Elmer、CUSG83093からカスタム化)したスペクトルプレート-384を、4℃で一晩、pH7.2のリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中の5μg/mlのO1またはO2 LPSでコーティングし、プレートをPBS-B、すなわち1%のエンドトキシンを含まないBSA(Sigma、#A9430)を補足したPBSでブロックした。コーティングされたプレートを、ポリクローナル刺激されたリンパ球(AMBRA)、もしくは完全ヒト抗体を含有するモノクローナル不死化B細胞(ドナー照合)、からの細胞培養上清、または希釈血漿試料(PBMCドナー選択)と共に、室温で1時間インキュベートした。次いで、プレートを、0.1%Tween-20を含有するPBS(PBS-T)で洗浄した。二次抗体を加えた。アルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ヒトIgG-AP(Southern Biotech、2040-04、PBS-B中1:1000)またはペルオキシダーゼAffiniPure F(ab’)2断片ヤギ抗ヒトIgG、Fcγ断片特異的(Jackson ImmunoResearch #309 036 098、PBS-B中1:5000)を使用した。二次抗体を典型的には1時間インキュベートした。プレートをPBS-Tで3回洗浄し、P-ニトロフェニルホスフェート(pNPP、Sigma-Aldrich、カタログ番号N2765-100TAB)またはSureblue(KPL、53-00-03)基質を加え、10分間または比色反応が展開するまで、インキュベートした。HRP基質Sureblueの場合、等量の0.2N HClを加えることによって反応を停止させた。405nm(pNPP)または450nm(Sureblue)の吸光度をマイクロプレート読み取り装置(Biotek、Elx808)によって測定した。
【0287】
結合EC50値を決定するために、4℃で一晩、pH7.2のリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中の5μg/mlのO1またはO2 LPSでコーティングした96ウェルプレート(Maxi sorp、Nunc#442404)中で、ELISAを行い、プレートをPBS-B、すなわち1%のエンドトキシンを含まないBSA(Sigma、#A9430)を補足したPBSでブロックした。コーティングされたプレートを、室温で1時間、モノクローナル抗体の段階希釈物と共にインキュベートした。次いで、プレートを、0.1%Tween-20を含有するPBS(PBS-T)で洗浄した。アルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ヒトIgG(Southern Biotech、2040-04、PBS-B中1:1000)を加えた。二次抗体反応物を1時間インキュベートした。プレートをPBS-Tで3回洗浄し、P-ニトロフェニルホスフェート(pNPP、Sigma-Aldrich、カタログ番号N2765-100TAB)基質を加え、30分間または比色反応が展開するまで、インキュベートした。405nmでの吸光度をマイクロプレート読み取り装置(Biotek、Elx808)によって測定した。データをGraphpad Prismソフトウェアによりプロットした。各クラスからの代表的なmAbを、O1 LPS(
図2A)およびO2 LPS(
図2B)への結合について試験し、EC50値を得た(
図2C)。抗O2 LPS mAbの大部分は、ELISAによってO1およびO2 LPSの両方に結合した。これらの中で、KPN42は、O2よりO1に対しより低い親和性を示した。これらのLPS mAbはいずれも、O3、O4、O5、O7、またはO12 LPS血清型に結合しなかった(例えば、
図1Aを参照されたい)。
【0288】
実施例6:抗O2 mAbを用いたオクテット結合アッセイ
抗O2 LPS mAbとO1およびO2 LPSとの相互作用を、溶相でオクテットプラットフォームによってさらに試験した。このプラットフォームは、より生物学的に意味のある設定で、生体分子複合体形成の速度および複合体の安定性を測定するための強力なツールを提供する。簡潔には、プロテインAでコーティングされたセンサーを、Kineticsバッファー(ForteBio、PBSで10倍~1倍に希釈)中に2μg/mLのO1またはO2 LPSを含む溶液に浸漬する前に、0.2μg/mLの抗O2 LPS mAbで10分間コーティングした。バイオセンサーに結合した分子の数の変化は、リアルタイムで記録された干渉パターンのシフトを引き起こした。
図3Aおよび3Bに示すように、クラスIおよびクラスIIのmAbは、O1およびO2 LPSの両方に結合し、一方、クラスIIIのmAb(KPN42)はO1 LPSへの結合を示さなかった。O2 LPSに対するクラスIII mAbの親和性定数(K
D)を、オクテットセンサーグラムからのオン速度およびオフ速度に基づいて計算した。KPN42およびKPN179の両方は、それぞれ平均4.8E-09および7.98E-09Mで同等の親和性定数を示した(
図3C)。
【0289】
実施例7:LPS中和アッセイ
細菌LPSによるTLR4受容体の活性化は、NF-κB転写調節因子の下流の活性化を導く。NF-κB応答性ルシフェラーゼ活性の誘導の減少を用いて、LPS mAbsによるLPS中和活性を定量した。マウスRAW264.7マクロファージ細胞株を、NF-κB応答性プロモーター(RAW264.7-lux)の制御下で、ホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子を保持するように操作した。段階希釈した抗体ストックを1:1の比でLPSと混合し、4℃で1時間インキュベートした。次いで、抗体/LPS混合物を、予め播種したRAW264.7-lux細胞(4e5細胞/ウェル)を含有するアッセイプレートに1:10に希釈し、次いで37℃、5%CO2で2.5時間置いた。インキュベーション後、Steady Glo溶液(Promega)を各ウェルに加え、光から防御してさらに20分間インキュベートした。マルチモードマイクロプレート読み取り装置(Synergy 2、Biotekまたは複数標識プレート読み取り装置、Perkin Elmer)を用いて相対発光単位(RLU)を測定した。阻害のパーセンテージは、抗肺炎桿菌(K.pneumoniae)mAbによるアッセイおよびネガティブコントロールmAbによるアッセイから得られたRLUと抗体なしのアッセイから得られたRLUを比較することによって決定した。これらの中和アッセイの結果を
図4に示す。KPD1、KPN44、KPN70、およびKPL26はNF-κBのO1およびO2 LPS活性化を遮断し、一方で、KPN42、KPN17、KPL36、KPS3、KPS18、KPS24、およびKPS44はO2 LPSに対して中程度の中和活性を示したが、O1 LPSに対しては活性を示さなかった。すべてのmAbをヒトIgG1フォーマットで試験した。
【0290】
実施例8:選択されたO2 mAbのOPK活性
抗O2 LPS mAbのOPK活性をO1およびO2株に対して試験した。簡潔には、発光性肺炎桿菌(K.pneumoniae)株8570ΔcpsBLux(O2)および43816ΔcpsBLux(O1)の対数期培養物を約2x10
6細胞/mlまで希釈した。肺炎桿菌(K.pneumoniae)細胞、5e5/ウェルのジメチルホルムアミド(DMF)分化HL-60細胞、透明仔ウサギ血清(1:10 Cedarlane)、および抗体の段階希釈物(2ng~2.5μg/mL)を96ウェルプレート中で混合し、振盪させながら(250rpm)37℃で2時間インキュベートした。次いで、マルチモードマイクロプレート読み取り装置(Synergy 2、Biotekまたは複数標識プレート読み取り装置、Perkin Elmer)を用いて相対発光単位(RLU)を測定した。死滅のパーセンテージは、抗肺炎桿菌(K.pneumoniae)mAbによるアッセイおよびネガティブコントロールmAbによるアッセイから得られたRLUと抗体なしのアッセイから得られたRLUを比較することによって決定した。死滅のパーセンテージが40%を超える場合、陽性死滅が決定された。試験したすべての抗O2 IgG1 mAbは、O2莢膜突然変異株に対して強力なOPK活性(80~100%死滅)を示した(
図5および
図10)。KPL26はO1およびO2株の両方にOPK活性を誘導した(
図5)。
【0291】
実施例9:クラスIII mAbは致死的な肺炎モデルにおいて防御する
C57/BL6マウスは、Jackson Laboratoriesから得て、特別な病原体なしの設備で維持した。動物実験は、すべてInstitutional Animal Care and Use Committee(IACUC)のプロトコールおよびガイダンスに従って行った。肺炎桿菌株は、一晩、寒天プレート上で成長させ、適切な濃度で、食塩水中で希釈した。接種材料の力価は、攻撃前および後に、寒天プレート上に段階希釈した細菌を平板培養することによって決定した。急性肺炎モデルでは、C57/BL6マウスに、50μl生理食塩水中の肺炎桿菌(K.pneumoniae)臨床分離株1e4~2e8コロニー形成単位(CFU)を鼻腔内接種した。抗肺炎桿菌(K.pneumoniae)モノクローナル抗体(mAb)およびヒトIgG1コントロール抗体を、細菌による攻撃の1~24時間後に投与した(治療的投与)。マウスの生存は、8日目まで毎日モニターした。代表的な実験の生存データをGraphpad Prismソフトウェアによりプロットした。
【0292】
マウスを、2e8 CFUの肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)カルバンペネマーゼ(Carbanpenemase)(KPC)株Kp961842_O2または3e8 CFUのKPC株Kp977778_O2で攻撃し、続いて抗O2 mAbを投与した。細菌感染の1時間後に2mg/kgの濃度で投与した場合、クラスIII抗O2 LPS mAb KPN42、KPN179-IgG1、およびKPS44v2017は、多剤耐性KPC株Kp961842_O2(
図6、左のパネル、および
図10)およびKp977778_O2(
図6B、右のパネル)による致命的な細菌による攻撃からマウスを防御した。KPN179-IgG3もまた防御を与えたが、クラスI mAb KPN70-hIgG1またはKPD1-IgG1は、これら2つのモデルでは防御しなかった。クラスII mAb KPL26は、致命的なO1肺炎モデルにおいて中程度の防御を与えたが、Kp961842_O2肺炎モデルでは防御を示さなかった。
【0293】
実施例10:抗O2 LPS mAb KPN42およびKPN179は、致命的な肺炎モデルにおいて抗生物質メロペネムとの強力な相乗効果を示す
抗生物質と組み合わせた抗O2 LPS抗体の活性を評価するために、実施例9に記載の致命的な肺炎モデルを使用した。細菌感染の1時間後に抗生物質および抗体の両方を投与した。メロペネムヒト等価用量(50mpk)とKPN42またはKPN179の治療量以下の用量(0.2mpk)との組み合わせは、抗体または抗生物質単独療法と比較して、有意に改善された防御を示した(
図7)。これらの結果は、KPN42またはKPN179を含む抗O2抗体の投与が、抗生物質耐性肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)株を抗生物質療法に対して感作させ、抗O2抗体KPN42またはKPN179の治療量以下の用量が抗生物質耐性肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)株における抗生物質との強力な相乗効果を示すことを示す。
【0294】
実施例11:KPN42は、メロペネムと共に感染後6時間まで防御する
実施例9および10で抗体および抗生物質の組み合わせ研究について記載したように、細菌感染後1、2、4、6および24時間で、50mg/kgのメロペネムおよび2mg/kgの抗体を投与した。メロペネムとKPN42の組み合わせは、感染後6時間まで、コントロールmAbとメロペネムの組み合わせより有意により優れた防御を示した(
図8)。KPN179とメロペネムの組み合わせは、感染後4時間まで、コントロールmAbとメロペネムの組み合わせより優れた防御を与えた(
図8)。実施例10と合わせて、これらの結果は、細菌感染後の、KPN42またはKPN179を含む抗O2抗体の投与(すなわち、治療的投与)の有効性を示す。
【0295】
実施例12:KPN42およびKPN179配列最適化
mAb発生に関する配列負担および潜在的な抗薬物抗体を減少させるために、KPN42の軽鎖CDR3中の不対システインをアラニンに交換し(
図9、抗体A(KPN42-FR-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL)および抗体B(KPN42-FR-1-2-4-GL-VH/KPN42-FR-GL-C105A-VL)を参照されたい)、KPN42のフレームワーク(
図9、抗体Aを参照されたい)またはKPN42のフレームワーク1、2、および4(
図9、抗体Bを参照されたい)中の体細胞突然変異を、生殖系列残基で置換した。同様に、KPN179の軽鎖CDR3中の不対システインをアラニンと交換し、KPN179重鎖CDR1中の脱アミド化モチーフを形成するアスパラギン残基を生殖系列残基セリンで置換し(
図9、抗体C(KPN179-FR-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL)および抗体D(KPN179-FR-1-2-4-GL-N35S-VH/KPN179-FR-GL-C105A-VL)を参照されたい)、KPN179のフレームワーク(
図9、抗体Cを参照されたい)またはKPN179のフレームワーク1、2、および4中の体細胞突然変異を、生殖系列残基で置換した(
図9、抗体Dを参照されたい)。生殖系列残基(
図9、抗体Cを参照されたい)とのKPN179 VHおよびVLフレームワークにおけるすべての体細胞突然変異の置換は、O2 LPSへの結合を有意に減少させた。残りの突然変異は、親抗体と同等の結合を示した(例えば、
図9の抗体A、BおよびDを参照されたい)。
【0296】
実施例13:抗O2抗原抗体は、臨床的関連性のあるクレブシエラ(Klebsiella)に結合する
抗O2抗原抗体が臨床的関連性のあるクレブシエラ(Klebsiella)株に結合するかどうかを決定するために、臨床分離株に対する抗O2 mAbの結合をウエスタンブロットアッセイによって決定した。簡潔には、精製LPSまたは細菌溶解物を、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)に供した。分離したタンパク質およびLPSを、製造業者の推奨に基づいて、iBlot装置を用いてゲルからニトロセルロース膜に移した。(Life Technology)。次いで、膜をカゼインブロッキング緩衝液でブロックした後、O2(KPD1)モノクローナル抗体または他のLPS血清型に特異的な抗体でプローブした。PBS緩衝液(PBS-T)中0.05%Tweenで3回洗浄した後、ブロットをIRDye680または800蛍光二次抗体(Licor)と共にインキュベートした。ブロットはOdyssey Image Stationで可視化した。LPSブロットでは、個別的なラダーパターンが観察された。アッセイは少なくとも2回繰り返した。場合によって、ウエスタンブロット分析の前に、細菌溶解物をプロテアーゼKで処理してタンパク質成分を除去した。KPD1に結合するが他のLPS血清型特異的mAbに結合しない株は、O2株として特徴付けられた。抗O2 mAb KPD1およびKPN42が結合する、臨床的関連性のあるクレブシエラ(Klebsiella)株の概要を表8に示す。
【0297】
【0298】
【0299】
【0300】
【0301】
【0302】
【0303】
【0304】
【0305】
【0306】
【0307】
【0308】
【0309】
【0310】
【0311】
表8の列1~140の分離株は、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)カルバペナマーゼ(carbapenamase)(KPC)株である。表8の列141~226の分離株は、拡張スペクトル・βラクタマーゼ(ESBL)株であり、表8の行227~254の分離株は抗生物質感受性株である。
【0312】
これらの結果は、抗O2 mAbが、臨床株の大規模で多様な群だけでなく、抗生物質耐性の臨床的関連性株にも結合することを示す。これらの結果は、抗O2 mAbが、例えば表8に開示されているクレブシエラ(Klebsiella)株の1つ以上について、本明細書において記載される治療および/または診断として有用であり得ることを示唆する。
【0313】
実施例14:抗O2抗原抗体は、gml遺伝子発現に関係なく、O2クレブシエラ(Klebsiella)株に結合する
Gal III構造を認識するモノクローナル抗体は、gml+クレブシエラ(Klebsiella)ST258株に結合することが報告されている。本発明者らは、多数のO2クレブシエラ(Klebsiella)臨床分離株から全ゲノム配列を得、蛍光活性化細胞選別(FACS)またはウエスタンブロット分析によって、(i)これらの株がgml遺伝子を発現するか否か、および(ii)抗O2 mAbがこれらの株に結合するか否かにつき実験を行った。さらに、本発明者らは、全ゲノム配列に基づいて多遺伝子座配列型(MLST)およびgml遺伝子座を解析した。表9は、31のO2クレブシエラ(Klebsiella)臨床分離株のFACS結合、MLST、およびgml発現データを列挙する。
【0314】
【0315】
表9に示すように、ST258を含む複数のSTタイプがこのコレクションに存在した。12の非ST258株はgml遺伝子を発現しなかった。KPN42は92%(11/12)gml-および100%(19/19)gml+クレブシエラ(Klebsiella)株に結合した。これらのデータは、KPN42などの抗O2抗体が、O2抗原に結合するが、Gal IIIエピトープには結合しないことを示唆している。したがって、そのようなO2抗体は、Gal III結合抗体よりもO2株に対してより広い範囲を与える。
【0316】
実施例15:KPS44配列最適化
mAb発生につき配列負担を減少させるために、KPS44の重鎖CDR3中のトリプトファンをフェニルアラニンに交換した(KPS44-v2017-W108F-VHとしても知られるKPS44-v2017の重鎖、配列番号202を参照されたい)。さらに、KPS44の軽鎖CDR1中のトリプトファンをフェニルアラニンと交換し、KPS44の軽鎖CDR3中のアスパラギン酸およびセリンを、それぞれアスパラギンおよびチロシンに置換した(KPS44-v2017-D37N-S38Y-W107F-VLとしても知られるKPS44v-2017の軽鎖、配列番号203を参照されたい)。まとめると、これはKPS44-v2017(KPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-W107F-VLとしても知られる)をもたらした。
【0317】
親KPS44およびKPS44-v2017の重鎖CDRおよび軽鎖CDRの組み合わせを作製し、KPS44-D37N-S38Y-W107F-VL(KPS44-G1)、KPS44-W108F-VH/KPS44-W107F-VL(KPS44-G2)、およびKPS44-W108F-VH/KPS44-D37N-S38Y-VL(KPS44-G3)を生じた。
【0318】
具体的な実施形態の前出の説明は、本開示の一般的性質を十分に完全に明らかにするものであり、したがって第三者が、当技術分野の範囲内の知識を適用することにより、本開示の一般的概念から逸脱することなく、過度の実験を行うことなしにかかる具体的な実施形態を容易に改良しおよび/またはそれを様々な適用に適合させることができる。したがって、かかる適合形態および改良形態は、本明細書に提供される教示および指針に基づけば、開示される実施形態の均等物の意味および範囲内にあることが意図される。本明細書における用語法または表現法は、限定ではなく、説明を目的とするものであり、したがって本明細書の用語法または表現法は当業者によって教示および指針を踏まえて解釈されるべきであることが理解されなければならない。
【0319】
本開示の広さおよび範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されないが、下記の請求項およびそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。
【0320】
本出願において引用されるすべての刊行物、特許、特許出願、および/または他の文献は、それぞれの個々の刊行物、特許、特許出願、および/または他の文献が事実上、参照により組み込まれるように個々に示されるのと同じように、事実上、それらの全体が参照により組み込まれる。
【配列表】