(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】改善されたマルチスペクトル検出のための装置
(51)【国際特許分類】
G01J 1/04 20060101AFI20221019BHJP
G01J 1/44 20060101ALI20221019BHJP
G01J 3/36 20060101ALI20221019BHJP
G01J 3/51 20060101ALI20221019BHJP
H01L 31/02 20060101ALI20221019BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20221019BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20221019BHJP
H04N 9/04 20060101ALI20221019BHJP
G01J 1/02 20060101ALN20221019BHJP
【FI】
G01J1/04 B
G01J1/44 N
G01J3/36
G01J3/51
H01L31/02 B
H01L31/02 D
H01L27/144 K
H04N9/04 A
G01J1/02 H
(21)【出願番号】P 2019530415
(86)(22)【出願日】2017-12-05
(86)【国際出願番号】 FR2017053405
(87)【国際公開番号】W WO2018104655
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-09-17
(32)【優先日】2016-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520342828
【氏名又は名称】リンレッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ、ペル、ラペルネ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、ジェヌブリエ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、レーベル
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/088644(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0128423(US,A1)
【文献】特表平05-508911(JP,A)
【文献】実開平05-081667(JP,U)
【文献】実開平04-016330(JP,U)
【文献】実開昭61-114336(JP,U)
【文献】特開2001-147161(JP,A)
【文献】特開2009-075132(JP,A)
【文献】特開昭57-204995(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016105579(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00 - G01J 11/00
G08B 17/02 - G08B 17/12
H01L 27/14 - H01L 27/148
H01L 27/30
H01L 27/76
H01L 31/00 - H01L 31/02
H01L 31/08 - H01L 31/10
H01L 31/18
H04N 5/30 - H04N 5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチスペクトル検出装置であって、
- 第1の波長範囲および前記第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲を、それぞれが検知する、第1の光検出器(1a)および第2の光検出器(1b)であって、前記第1の光検出器は、受信された放射を表す第1の信号を送出し、前記第2の光検出器は、受信された放射を表す第2の信号を送出
し、前記第1の波長範囲および前記第2の波長範囲は赤外線放射範囲であり、前記第1の光検出器(1a)および前記第2の光検出器(1b)は半導体材料で構成される、第1の光検出器(1a)および第2の光検出器(1b)と、
- 前記第1の波長範囲を通過させ、前記第2の波長範囲を遮断するように構成された
第1のフィルタ(4a)であって、前記第1のフィルタは、前記第1の光検出器(1a)の光路上に沿って前記第1の光検出器(1a)を覆い、前記第2の光検出器(1b)は覆わないままにし
、前記第1のフィルタ(4a)は、前記第1の光検出器(1a)内の前記第2の波長範囲の通過を遮断する
ために前記第1の光検出器(1a)を覆い、前記第1のフィルタ(4a)は、前記第1の光検出器(1a)および前記第2の光検出器(1b)に熱機械的応力を導入する、第1のフィルタ(4a)と、
を備える検出装置において、
- 前記第1および第2の光検出器(1a,1b)から離れ、かつ、前記第1のフィルタ(4a)から離れて配置され
た第2のフィルタ(4b)であって、前記第2のフィルタ(4b)は、前記第1の波長範囲および前記第2の波長範囲を通過させるように構成されており、
前記第2のフィルタ(4b)は、前記第1および第2の波長範囲内の波長のうち、最も長い波長よりも高い波長を遮断し、および/または、前記第1および第2の波長範囲内の波長のうち、最も短い波長よりも低い波長を遮断するように構成さ
れ、前記第2のフィルタ(4b)は、ガスの層または空隙によって前記第1の光検出器(1a)および前記第2の光検出器(1b)から分離される、第2のフィルタ(4b)と、
- 前記第1の光検出器(1a)および前記第2の光検出器(1b)を一体的に覆うパッシベーション層であって、前記パッシベーション層は、前記第1の光検出器(1a)と前記第1のフィルタ(4a)との間に配置され、熱機械的応力を平滑にするために10nm~2000nmの間に含まれる厚さを有する、パッシベーション層と、
を備え、
前記第1のフィルタ(4a)および前記第2のフィルタ(4b)は、前記第1の光検出器(1a)の光路上に連続的に配置される、
ことを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記第2の光検出器(1b)は、前記第1の波長範囲を遮断するように構成されたフィルタが無く、前記第1の波長範囲および前記第2の波長範囲を受信し、
前記検出装置は、前記第1および第2の光検出器(1a,1b)から来る電気信号を受信し、前記第1の信号を、前記第2の信号と比較することにより、前記第2の波長範囲の放射に関するデータを供給するように構成された処理回路(5)を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記第2の光検出器(1b)は、前記第1の波長範囲を遮断し、前記第2の波長範囲を通過させるように構成された第3のフィルタ(4c)によって覆われている、ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第2のフィルタ(4b)は、低域通過、高域通過、帯域通過および二重帯域フィルタから選択される、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の検出装置。
【請求項5】
前記第1のフィルタ(4a)は、前記第2の波長範囲をカットする、低域通過、高域通過または帯域通過フィルタである、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の検出装置。
【請求項6】
前記第2のフィルタ(4b)は、ガスの層または空隙により分離されて、前記第1のフィルタ(4a)および前記第2の光検出器(1b)から離れて配置されている、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の検出装置。
【請求項7】
放射の通過のためのアパーチャによって
、入射放射を集中させるように構成されたコールドシールド(8)を備え、
前記第2のフィルタ(4b)は、前記アパーチャに配置される、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の検出装置。
【請求項8】
前記コールドシールド(8)は、前記第1および第2の光検出器を含む密閉筐体を画定し、
前記第2のフィルタ(4b)は、前記密閉筐体内に配置される、ことを特徴とする請求項7に記載の検出装置。
【請求項9】
前記コールドシールド(8)は、前記第1および第2の光検出器を含む密閉筐体を画定し、
前記第2のフィルタ(4b)は、前記密閉筐体の外部に配置される、ことを特徴とする請求項7に記載の検出装置。
【請求項10】
マルチスペクトル検出装置の製造方法であって、
- 第1の波長範囲および前記第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲を、それぞれが検知する、第1および第2の光検出器(1aおよび1b)を備えた
半導体基板を提供するステップであって、前記第1の光検出器(1a)は、受信された放射を表す第1の信号を送出し、前記第2の光検出器(1b)は、受信された放射を表す第2の信号を送出するものであ
り、
前記第1の波長範囲および前記第2の波長範囲は赤外線放射範囲であり、前記第1の光検出器(1a)および前記第2の光検出器(1b)は半導体材料で構成されるステップと、
-前記第1の光検出器(1a)および前記第2の光検出器(1b)を一体的に覆うパッシベーション層を形成するステップであって、前記パッシベーション層は10nm~2000nmの間の厚さを有するステップと、
- 前記第1の波長範囲を通過させ、前記第2の波長範囲を遮断するように構成されており、前記第1の光検出器(1a)を覆い、前記第2の光検出器(1b)は覆わないままにし、前記第1の光検出器(1a)と接触して、前記第1の光検出器(1a)内の前記第2の波長範囲の通過を遮断する、第1のフィルタ(4a)を形成するステップ
であって、前記第1のフィルタ(4a)は前記第1の光検出器(1a)および前記第2の光検出器(1b)に熱機械的応力を導入し、前記パッシベーション層が前記第1の光検出器(1a)と前記第1のフィルタ(4a)との間に熱機械的応力を平滑にするために配置されるステップと、
- 前記第1および第2の光検出器(1a,1b)から離れ、かつ、前記第1のフィルタ(4a)から離れて配置され、前記第1の波長範囲および前記第2の波長範囲を通過させるように構成されており、前記第1および第2の波長範囲内の波長のうち、最も長い波長よりも高い波長を遮断し、および/または、前記第1および第2の波長範囲内の波長のうち、最も短い波長よりも低い波長を遮断するように構成されている、第2のフィルタ(4b)を形成するステップ
であって、前記第1のフィルタ(4a)および前記第2のフィルタ(4b)は前記第1の光検出器(1a)の光路上に連続的に配置されるステップと、
を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項11】
前記第2のフィルタ(4b)が形成される前に、
- 前記第2の波長範囲を通過させ、前記第1の波長範囲を遮断するように構成されており、前記第2の光検出器(1b)を覆い、前記第1の光検出器(1a)は覆わないままにし、前記第2の光検出器(1b)と接触して、前記第2の光検出器(1b)内の前記第1の波長範囲の通過を遮断する第3のフィルタ(4c)を形成するステップ、
を含む、ことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチスペクトル検出装置に関する。
【0002】
本発明は、また、マルチスペクトル検出装置を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
検出装置の分野において、観察されるシーンの最大量のデータを捕捉するために、いくつかの異なるスペクトル波長帯を用いることが好適である。
【0004】
いくつかの検出器が、使用され、異なるスペクトル波長帯に割り当てられる。このように、各検出器は、観察されるシーンの特定のデータ項目を捕捉し、このデータ項目は、異なるデータをクロスチェックすることにより、分析を容易にする。
【0005】
検出装置を製造する簡単な方法は、いくつかの異なる光検出器を関連付けて、特定のスペクトル波長帯を検出するように構成することである。各光検出器は、受信データを表す電荷を保存する読み出し回路に関連付けられている。
【0006】
生成された電気情報は、次いで、異なるデータを分析する処理回路に送られ、ユーザが使用可能な情報を提供する。
【0007】
従来のやり方では、検出装置は、第1のアーキテクチャと第1の半導体材料とを有して製造され、第1のスペクトル波長帯内の放射を検出する、第1の光検出器を備える。検出装置は、また、第1のアーキテクチャとは異なることができる第2のアーキテクチャを呈する、第2の光検出器を備える。第2の光検出器は、第1の半導体材料とは異なる、第2の半導体材料で作製され、第2のスペクトル波長帯内の放射を検出する。
【0008】
このような実施形態は、2つの異なる種類の光検出器を形成する、異なる半導体材料を有する2つの異なる積層体の製造を必要とするため、実施が複雑である。
【0009】
代替案として、第1のスペクトル波長帯と第2のスペクトル波長帯とを両方が検知する、第1および第2の光検出器を製造することが提案されている。
【0010】
第1のスペクトル波長帯または第2のスペクトル波長帯に対して、光検出器を専用化するために、フィルタが、光検出器のそれぞれに関連付けられている。第1のフィルタは、第1の光検出器の上方にのみ配置され、第1のスペクトル波長帯のみを通過させる。第2のフィルタは、第2の光検出器の上方にのみ配置され、第2のスペクトル波長帯のみを通過させる。そのような教示は、中国特許第CN203883014号に記載されている。
【0011】
しかし、そのような実施形態もまた、第1の光検出器の上方に第1のフィルタを設け、第2の光検出器の上方に第2のフィルタを設ける必要があるので、実施が非常に複雑であることが明らかである。したがって、2つのフィルタを、光検出器アレイ上に形成する必要がある。
【0012】
実質的に同等の教示が、米国特許出願第2014/0034603号に記載されている。この文献では、マルチスペクトルフィルタが、光検出器の上方に配置されている。このマルチスペクトルフィルタは、異なる波長を通過させ、これにより入射放射を分離する、いくつかの異なるフィルタを備える。
【0013】
代替実施形態が、米国特許第7,109,488号に記載され、赤外線範囲の多色検出装置を述べている。第1および第2の画素が、光検出器アレイ内に画定されている。第1および第2の画素は、異なる光検出器に関連付けられた、異なる第1および第2のフィルタによって画定される。
【0014】
第1のフィルタは、赤外線放射を、9ミクロンの波長まで通過させる。光検出器は、7から9ミクロンの間に含まれる放射を検出するように構成される。したがって、画素は、7から9ミクロンの間に含まれる放射を表す信号を送出する。
【0015】
第2のフィルタは、赤外線放射を、10ミクロンの波長まで通過させる。関連する光検出器は、7から9ミクロンの間に含まれる放射と、9から10ミクロンの間に含まれる放射とを検出するように構成される。したがって、第2の画素は、7から10ミクロンの間に含まれる放射を表す信号を送出する。
【0016】
他の代替実施形態が、バイスペクトルマトッリクスセンサに関する国際公開第2015/189423号に記載されている。この文献は、同一の光検出器を製造して、モノタイプのマトリックスセンサを形成することを提案している。ここで再び、複雑なフィルタリングシステムが、光検出器の一部が第1のスペクトル波長帯を観察し、光検出器の別の一部が別のスペクトル波長帯を観察するように、光検出器を専用化することを可能にする。
【0017】
すべての検出器は、第1のスペクトル波長帯および第2のスペクトル波長帯の放射を通過させるように構成された、二重帯域干渉フィルタによって覆われる。
【0018】
これらの光検出器の一部は、第1のスペクトル波長帯の放射のみを受信するように、低域通過フィルタによって覆われている。これらの光検出器の他の部分は、第2のスペクトル波長帯の放射のみを受信するように、高域通過フィルタによって覆われている。
【0019】
この解決策は、実施が特に複雑で、費用がかかることが明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の1つの目的は、より容易に製造することができ、かつ、よりコンパクトな、マルチスペクトル検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
マルチスペクトル検出装置は、
- 第1の波長範囲および第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲を、それぞれが検知する、第1の光検出器および第2の光検出器であって、第1の光検出器は、受信された放射を表す第1の信号を送出し、第2の光検出器は、受信された放射を表す第2の信号を送出する、第1の光検出器および第2の光検出器と、
- 第1の波長範囲を通過させ、第2の波長範囲を遮断するように構成されており、第1の光検出器を覆い、第2の光検出器は覆わないままにし、第1の光検出器と接触して、第1の光検出器内の第2の波長範囲の通過を遮断する、第1のフィルタと、
- 第1および第2の光検出器から離れ、かつ、第1のフィルタから離れて配置され、第1の波長範囲および第2の波長範囲を通過させるように構成されており、第1および第2の波長範囲の波長のうち、最も長い波長よりも高い波長を遮断し、および/または、第1および第2の波長範囲の波長のうち、最も短い波長よりも低い波長を遮断するように構成されている、第2のフィルタと、
を備える。
【0022】
1つの展開において、第2の光検出器は、第1の波長範囲を遮断するように構成されたフィルタが無く、第1の波長範囲および第2の波長範囲を受信し、検出装置は、第1および第2の光検出器から来る電気信号を受信し、第1の信号を、第2の信号と比較することにより、第2の波長範囲の放射に関するデータを供給するように構成された処理回路を備える。
【0023】
代替案として、第2の光検出器は、第1の波長範囲を遮断し、第2の波長範囲を通過させるように構成された第3のフィルタによって覆われている。
【0024】
好適な実施形態において、第2のフィルタは、低域通過、高域通過、帯域通過および二重帯域フィルタから選択される。
【0025】
優先的には、第1のフィルタは、第2の波長範囲をカットする、低域通過、高域通過または帯域通過フィルタである。
【0026】
第2のフィルタは、ガスの層または空隙により分離されて、第1のフィルタおよび第2の光検出器から離れて配置されるものとすることが好適である。
【0027】
一実施形態において、検出装置は、放射の通過のためのアパーチャによって、入射放射を集中させるように構成されたコールドシールドを備え、第2のフィルタは、前記アパーチャに配置される。
【0028】
優先的には、コールドシールドは、第1および第2の光検出器を含む密閉筐体を画定し、第2のフィルタは、密閉筐体内に配置される。
【0029】
代替案として、コールドシールドは、第1および第2の光検出器を含む密閉筐体を画定し、第2のフィルタは、密閉筐体の外部に配置される。
【0030】
本発明のさらなる目的は、実施が容易なマルチスペクトル検出装置を製造する方法を提供することである。
【0031】
マルチスペクトル検出装置を製造する方法は、
- 第1の波長範囲および第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲を、それぞれが検知する、第1および第2の光検出器を備えた基板を提供するステップであって、第1の光検出器は、受信された放射を表す第1の信号を送出し、第2の光検出器は、受信された放射を表す第2の信号を送出するものである、ステップと、
- 第1の波長範囲を通過させ、第2の波長範囲を遮断するように構成されており、第1の光検出器を覆い、第2の光検出器は覆わないままにし、第1の光検出器と接触して、第1の光検出器内の第2の波長範囲の通過を防止する、第1のフィルタを形成するステップと、
- 第1および第2の光検出器から離れ、かつ、第1のフィルタから離れて配置され、第1の波長範囲および第2の波長範囲を通過させるように構成されており、第1および第2の波長範囲の波長のうち、最も長い波長よりも高い波長を遮断し、および/または、第1および第2の波長範囲の波長のうち、最も短い波長よりも低い波長を遮断するように構成されている、第2のフィルタを形成するステップと、
を含む。
【0032】
特定の展開において、方法は、第2のフィルタが形成される前に、
- 第2の波長範囲を通過させ、第1の波長範囲を遮断するように構成されており、第2の光検出器を覆い、第1の光検出器は覆わないままにし、第2の光検出器と接触して、第2の光検出器内の第1の波長範囲の通過を防止する第3のフィルタを形成するステップ、
を含む、
他の利点および特徴は、単に非限定の例を目的として与えられ、添付の図面に表される、以下の本発明の特定の実施形態の説明から、より明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】2つの光検出器と、コールドシールド上のフィルタと、を備えた検出装置の代替実施形態を模式的に表す図。
【
図2】2つの光検出器と、コールドシールド上のフィルタと、を備えた検出装置の代替実施形態を模式的に表す図。
【
図3a】第1の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図3b】第1の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図3c】第1の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図3d】第1の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図3e】第1の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図3f】第1の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図4a】第2の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図4b】第2の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図4c】第2の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図4d】第2の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図4e】第2の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図4f】第2の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図5a】第3の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図5b】第3の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図5c】第3の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図5d】第3の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図5e】第3の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図5f】第3の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図6a】第4の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図6b】第4の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図6c】第4の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図6d】第4の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図6e】第4の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図6f】第4の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図7a】第5の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図7b】第5の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図7c】第5の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図7d】第5の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図7e】第5の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図7f】第5の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図8a】第6の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性のプロットを模式的に表す図。
【
図8b】第6の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性のプロットを模式的に表す図。
【
図8c】第6の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性のプロットを模式的に表す図。
【
図8d】第6の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性のプロットを模式的に表す図。
【
図8e】第6の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性のプロットを模式的に表す図。
【
図8f】第6の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性のプロットを模式的に表す図。
【
図9a】第7の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図9b】第7の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図9c】第7の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図9d】第7の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図9e】第7の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図9f】第7の実施形態に係る検出装置を構成する異なる構成要素の、強度、透過性および吸収性プロットを模式的に表す図。
【
図10】2つの光検出器と、コールドシールド上のフィルタと、を備えた検出装置の別の実施形態を模式的に表す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1および
図2は、第1のスペクトル波長帯とも呼ばれる、第1の波長範囲を検知する第1の光検出器1aと、第2のスペクトル波長帯とも呼ばれる、第2の波長範囲を検知する第2の光検出器1bと、を少なくとも備えるマルチスペクトル検出装置を示す。
【0035】
特定の実施形態では、第1の光検出器1aおよび第2の光検出器1bは、第1の波長範囲および第2の波長範囲を吸収するように構成されている、単一の半導体膜を備える。この実施形態は、非常にコンパクトであるため、特に好適である。
【0036】
代替実施形態では、第1の光検出器1aおよび第2の光検出器1bは、第1の波長範囲および第2の波長範囲を捕捉するようにそれぞれ構成された別個の第1および第2の半導体膜を、それぞれが備える。
【0037】
これら2つの実施形態は、2つの光検出器を同時に製造することができるため、好適であり、これは、製造方法および集積密度をより容易にする。
【0038】
好適な実施形態では、マルチスペクトル検出装置は、複数の第1の光検出器と、複数の第2の光検出器とを備える。好適なやり方で、第1の光検出器および第2の光検出器は、アレイを形成する。第1の光検出器および第2の光検出器を、検出面にわたって均一に分配するものとすることが、特に好適である。
【0039】
好適な実施形態では、複数の第1の光検出器および複数の第2の光検出器は、焦点面アレイを形成し、すなわちすべての光検出器は、同じ平面に配置される。
【0040】
優先的なやり方では、検出装置は、第2の光検出器と同数の第1の光検出器を備える。代替案として、検出装置が、第2の光検出器の数とは異なる、複数の第1の光検出器を備えるものとすることも可能である。
【0041】
特定の実施形態では、第2の波長範囲は、第1の波長範囲とは異なる。好適なやり方では、第2の波長範囲は、第1の波長範囲から分離され、すなわち、波長範囲は重ならない。実施形態に応じて、第1および第2の波長範囲は、共通の境界を有するか、または中間の波長範囲によって分離されている。
【0042】
第1の光検出器1aおよび第2の光検出器1bは、両方とも、第1の波長範囲および第2の波長範囲を検知する。換言すると、第1の光検出器1aおよび第2の光検出器1bは、第1の波長範囲で発せられた放射を捕捉し、この放射を表す電気信号を、供給することができる。第1の光検出器1aおよび第2の光検出器1bは、また、第2の波長範囲で発せられた放射を捕捉し、この放射を表す電気信号を、供給することができる。
【0043】
第1の光検出器1aおよび第2の光検出器1bが、第1および第2の波長範囲とは異なる第3の波長範囲で発せられた放射を、捕捉できるようにすることも可能である。この第3の波長範囲は、どのような関連データも含まないが、使用がより簡単な半導体材料を選択することによって、光検出器の製造を容易にする。
【0044】
好適なやり方で、第1および第2の波長範囲は、赤外線放射範囲である。特定の実施形態では、第1の波長範囲および第2の波長範囲は、以下の範囲から選択される。
【0045】
近赤外線(NIR):0.8μm~1.4μm
短波長赤外線(SWIR):1.4μm~3μm
中波長赤外線(MWIR):3μm~8μm
長波長赤外線(LWIR):8μm~15μm
したがって、検出装置が、異なる対の波長範囲、例えばMWIR/LWIR、MWIR/SWIR、LWIR/SWIR、NIR/SWIR、NIR/LWIRまたはNIR/MWIRを検出できるように、検出装置を構成することが可能である。
【0046】
さらに、上に提示された異なる範囲を、2つの異なるサブ範囲に分割することも可能である。特定の実施形態では、例えば、第1および第2の波長範囲は、MWIR放射を、2つの別個のサブ範囲に分割する。同じことが、LWIR、SWIRまたはNIR放射についても当てはまる場合がある。
【0047】
第1および第2の光検出器1aおよび1bは、例えばフォトダイオード、量子井戸検出器または多重量子井戸検出器などの、任意の適切な種類の検出器によって形成することができる。他の種類の光検出器も可能である。第1および第2の光検出器1aおよび1bは、同一または異なるアーキテクチャを備えることができる。好適なやり方では、第1の光検出器1aは、第2の光検出器1bと同一であり、すなわち、材料およびその製造アーキテクチャに関する限りは、同一である。次いで、光検出器を、コンパクトなやり方で製造することが、はるかに容易である。
【0048】
光検出器1aおよび1bの供給条件は、異なってもよい。好適には、供給条件は、全ての光検出器に対して同一である。供給条件は、第1の光検出器1a用の第1の読み出し回路2aおよび第2の光検出器1b用の第2の読み出し回路2bによって提供される。
【0049】
光検出器1aおよび1b、ならびに読み出し回路2aおよび2bは、好適には、支持体3上に配置される。
【0050】
第1および第2の光検出器1aおよび1bを専用化するために、光検出器は、入射放射のフィルタリングシステム4に関連付けられる。フィルタリングシステム4は、第1の光検出器1aが、第2の光検出器1bとは異なる放射を受信するように構成される。このようにして、2つの光検出器1aおよび1bは、観察されるシーン上で、2つの異なるデータ項目を提供することができる。
【0051】
前述のように、同一の光検出器を使用することは、コンパクトな装置の達成を、より容易にする。しかし、小型であることにより、第1の光検出器1aの上方および第2の光検出器1bの上方に、異なる高性能フィルタを設けることが困難となる。
【0052】
効率的な検出装置の達成を容易にするために、フィルタリングシステム4は、分離フィルタリングシステムであり、すなわち、フィルタリングシステム4は、少なくとも第1のフィルタ4aと、第2のフィルタ4bとを備え、これらフィルタは、異なる光学特性を呈し、第1の光検出器1aの光路上に連続的に配置される。第1のフィルタ4aおよび第2のフィルタ4bは、互いに接触しておらず、これはフィルタリングシステム4を達成することを、より容易にする。第1のフィルタ4aは、第2のフィルタ4bとは異なる、光学的および優先的には機械的な特性を呈する。
【0053】
光路内に2つの分離かつ連続したフィルタを使用することにより、光検出器と接触して配置されるフィルタの厚さを、光検出器と接触している同等のフィルタと比べて、減少させることができる。
【0054】
典型的には、フィルタの厚さは、実質的にカットオフ周波数波長に等しい。したがって、3~5μmの範囲の放射を吸収するように構成された光検出器に関し、等価フィルタは、実質的に3μm~5μmの間に含まれる厚さを呈する。
【0055】
そのような厚さが、30μm未満の繰り返しピッチを有する光検出器アレイに対して、製造上の問題を引き起こすことは明らかである。一体化の問題は、20μm未満の繰り返しピッチを有する光検出器アレイにとって、さらに重大である。15μm未満の繰り返しピッチを有する光検出器アレイに関して、かつ特に、フィルタが5μmに等しい厚さを有する場合、顕著な製造上の問題が生じる。
【0056】
フィルタの性能を高めるため、特に入射放射の一部を効率的に遮断するその能力を高めるためには、フィルタを形成する層の数を増やすことにより、フィルタの厚さを増やす必要がある。例えば、フィルタの阻止能力、すなわち入射放射を遮断する能力を、基準フィルタと比較して10%増加させるためには、厚さの増加は、約2μmである。
【0057】
また、低温、典型的には0℃未満で動作する検出装置のためには、フィルタが光検出器に大きな熱機械的応力を導入し、それによって検出装置の性能を損なうことも明らかである。熱機械的応力は、厚さが増すにつれて増加する。
【0058】
フィルタリングシステム4は、第1の波長範囲を通過させ、第2の波長範囲を遮断するように構成された、第1のフィルタ4aを備える。第1のフィルタ4aは、干渉フィルタまたは吸収フィルタとすることができる。
【0059】
実施形態に応じて、第1の波長範囲は、第2の波長範囲よりも長いか、または短い波長を呈することができる。したがって、第1のフィルタ4aは、そのカットオフ波長が第1の波長範囲と第2の波長範囲との間に位置する、低域通過フィルタまたは高域通過フィルタとすることができる。この実施形態は、低域通過フィルタおよび高域通過フィルタの製造が容易であり、それによって光検出器の表面で、それらの一体化を容易にするため、特に好適である。低域通過フィルタおよび高域通過フィルタは、一般に、他のフィルタより厚さが薄い。
【0060】
代替案として、第1のフィルタ4aを、第1の波長範囲を通過させ、かつ第2の波長範囲を遮断する帯域通過フィルタとすることも可能である。この実施形態は、帯域通過フィルタが一般に低域通過フィルタまたは高域通過フィルタより厚いため、先の実施形態よりもわずかに不利である。
【0061】
第1のフィルタ4aは、第1の光検出器1a上、すなわち焦点面アレイの一部上に直接配置されるフィルタである。第1のフィルタ4aは、第2の光検出器1b上に配置されておらず、よって、第1のフィルタ4aは、第1の光検出器1aを覆い、第2の光検出器1bは、覆わないままにする。第1のフィルタ4aは、第1の光検出器1aと物理的に接触している。第1のフィルタ4aは、第1の光検出器1aと、隣接する第2の光検出器1bとの間のクロストークを制限する。
【0062】
この特定の構成によって、第1の光検出器1aは、入射放射の一部のみを受信する。第1の光検出器1aは、第1の波長範囲を受信し、第2の波長範囲を受信しない。
【0063】
寄生放射を効率的に除去するために、フィルタリングシステム4は、また、第2のフィルタ4bを備える。第2のフィルタ4bを用いて、第1および第2の光検出器1aおよび1bによって捕捉される前に、入射放射の一部が遮断される。より正確には、第2のフィルタ4bを用いて、焦点面、特に入射放射の別の一部を遮断する第1のフィルタ4aに当たる前に、入射放射の一部が遮断される。
【0064】
第2のフィルタ4bは、第1の光検出器1aおよび第2の光検出器1bから離れて配置され、すなわち第2のフィルタ4bは、第1の光検出器1aまたは第2の光検出器1bと直接接触しない。
【0065】
第2のフィルタ4bは、第1および第2の光検出器を支持する、または、第1および第2の光検出器が形成される第1の基板とは異なる、第2の基板に配置される。
【0066】
実施形態に応じて、第2のフィルタ4bは、干渉フィルタまたは吸収フィルタとすることができる。
【0067】
第1のフィルタ4aおよび第2のフィルタ4bは、第1の光検出器1aによって受信される放射を、連携してフィルタリングする。
【0068】
第1のフィルタ4aと第2のフィルタ4bとを、分離することによって、関連する放射を、第1の光検出器の方向にのみ通過させることが可能であり、同時に、第1の光検出器上に直接形成される第1のフィルタ4aの厚さを制限することができる、全体的なフィルタを得ることが可能である。このようにして、よりコンパクトな第1のフィルタを、形成することが可能である。
【0069】
第2のフィルタ4bは、ガスの層または空隙によって、光検出器1aおよび1bから、および第1のフィルタ4aから分離されている。このようにして、第2のフィルタ4bに関連する熱機械的応力が、大幅に低減されるか、さらには除去される。そして、第1のフィルタ4aおよび第2のフィルタ4bを形成することが、より容易である。第1のフィルタの厚さを薄くすることができ、これにより熱機械的応力を減少させる。
【0070】
特定の実施形態では、第2のフィルタ4bは、第1の光検出器1aおよび第2の光検出器1bを含む基板に、好適に再配置される。次いで、第2のフィルタ4bは、第1のフィルタ4aとは別に形成することができ、第2のフィルタ4bの製造方法は、第1のフィルタ4a、または光検出器1aおよび1bと干渉しない。
【0071】
代替実施形態では、第2のフィルタ4bは、第1の光検出器1aおよび第2の光検出器1bを含む基板を支持するように構成された支持体3に、好適に再配置される。再び、第2のフィルタ4bは、第1のフィルタ4aとは別に形成することができ、第2のフィルタ4bの製造方法は、第1のフィルタ4aまたは光検出器1aおよび1bと干渉しない。
【0072】
第2のフィルタ4bは、フィルタ4aならびに光検出器1aおよび1bから離れて配置されているため、第2のフィルタ4bを、第1の光検出器1aおよび第2の光検出器1bに共通のフィルタとすることが、好適である。このようにして、第2のフィルタ4bは、第1のフィルタ4aまたは第2の光検出器1bに対する位置合わせの制約に縛られない。第2のフィルタ4bは、放射源と第1のフィルタ4aとの間、および放射源と第2の光検出器1bとの間に配置されている。第2のフィルタ4bが、第1のフィルタ4aおよび光検出器から、離れて配置されているため、製造および集積の制約は、従来技術の装置と比べて減少する。
【0073】
好適には、第2のフィルタ4bは、第1の波長範囲および第2の波長範囲を通過させるように構成されている。第2のフィルタ4bは、好適には、第1および第2の波長範囲とは異なる、第3の波長範囲を遮断するように構成されている。
【0074】
好適なやり方では、第2のフィルタ4bは、帯域阻止フィルタである。また、低域通過または高域通過または二重ローブフィルタを設けることも可能である。
【0075】
実施形態に応じて、包括的でないやり方で、第2のフィルタ4bは、以下の範囲の外の波長を、遮断するように構成することができる。
【0076】
NIRおよびSWIR放射を捕捉するための、0.8μm~3μm
SWIRおよびMWIR放射を捕捉するための、1.4μm~8μm
MWIRおよびLWIR放射を捕捉するための、3μm~15μm
NIR放射を捕捉するための、0.8μm~1.4μm
SWIR放射を捕捉するための、1.4μm~3μm
MWIR放射を捕捉するための、3μm~8μm
LWIR放射を捕捉するための、8μm~15μm
このようにして、フィルタリングシステム4は、特定の波長が、第1および第2の光検出器1a/1bに到達すること、および、受信された有用な信号を汚染することを防止する。
【0077】
特定の実施形態では、第2の光検出器1bは、その表面と直接接触するように配置されたフィルタが無い。この構成では、第2の光検出器1bは、第1のフィルタ4aと関連付けられていないため、第1の波長および第2の波長を受信する。この実施形態は、第1の光検出器1aのみが第1のフィルタ4aによって覆われ、これにより、小さな寸法の光検出器を備えた検出装置の製造を容易にするため、特に好適である。
【0078】
第1の光検出器1aは、受信した放射を表す電気信号を発する。第1の光検出器1aから来る電気信号は、第1の波長範囲内の放射のみを表す。
【0079】
第2の光検出器1bも、受信した放射を表す電気信号を発する。第2の光検出器1bから来る電気信号は、第1の波長範囲および第2の波長範囲の放射を表す。
【0080】
第2の波長範囲の放射を表す信号を得るために、第1の光検出器1aから来る電気信号を、第2の光検出器1bから来る電気信号と比較することが好適である。
【0081】
2つの信号間のデータの差は、第2の波長範囲の放射を表している。
【0082】
好適には、第1の光検出器1aは、第1の電気信号を受信する読み出し/処理回路5に接続されている。第2の光検出器1bも、第2の電気信号を受信する読み出し/処理回路5に接続されている。読み出し/処理回路5は、第2の電気信号に対して第1の電気信号を比較し、第2の波長範囲において第2の光検出器1bによって受信された放射を表す、第3の信号を供給するように構成される。一実施形態では、読み出し/処理回路は、基板3内に形成することができる。さらに、読み出しおよび処理機能を分離し、支持体3内で読み出し機能を実行することも可能である。処理機能は、次いで、他の場所で行われる。
【0083】
高域通過フィルタまたは低域通過フィルタである第2のフィルタ4bを、使用することが好適である。次いで、第2のフィルタ4bは、第1の波長範囲および第2の波長範囲を通過させ、第1および第2の波長範囲内の波長のうち、最も長い波長よりも高い波長を遮断するか、または、第1および第2の波長範囲内の波長のうち、最も小さい波長よりも低い波長を遮断するように構成される。
【0084】
第1および第2の波長範囲によって形成されるセットの端部の一方に対応する、カットオフ波長を有する第2のフィルタ4bを使用することも、好適である。これにより、光検出器の製造上の危険の一部が除去される。
【0085】
第1および第2の波長範囲によって画定される間隔の端部に対応する、下側カットオフ波長および上側カットオフ波長を有する帯域通過フィルタである、第2のフィルタ4bを用いるものとすることが特に好適である。これにより、光検出器の製造上の危険性の一部が除去される。
【0086】
変形例として、第2のフィルタ4bは、製造がより複雑であり、かつより厚い、二重帯域フィルタとも呼ばれる、二重ローブフィルタとすることができる。二重帯域フィルタは、第1の波長範囲および第2の波長範囲を通過させるように構成される。このフィルタは、有用な波長のより良い選択を可能にする。フィルタが、光検出器から離れて配置されるため、製造の複雑さおよびそのより大きな厚さは、もはや問題ではなくなる。
【0087】
第2のフィルタ4bは、第1の波長範囲および第2の波長範囲を通過させ、かつ、必要とされない波長範囲内の放射を、少なくとも部分的に、または全体的にも除去する。
【0088】
本発明者らは、この実施形態が、従来技術の実施形態と比較して、特に好適であることを認識した。従来技術の文献では、実際には、第1の光検出器上に、第1のフィルタを配置し、第2の光検出器上に、異なる第2のフィルタを配置することが、提案される。
【0089】
使用される2つのフィルタは、光検出器の横方向寸法と同じ大きさとなり得る、かなりの厚さを有する。したがって、光検出器間のピッチが小さい検出マトリックスの製造を、完全にマスターすることは困難である。
【0090】
第2の光検出器に対して、第1の光検出器を専用化するために、単一のフィルタ、ここでは第1のフィルタ4aを使用することによって、小さな繰り返しピッチを有する検出マトリックスを製造することが、より容易になる。位置合わせの制約は、製造方法において、第1のフィルタ4aに限定される。
【0091】
第1の波長範囲を通過させ、第2の波長範囲を遮断するように構成された単一の第1のフィルタ4aの使用は、達成が容易であるという利点を有する。後続の堆積およびエッチングステップに関する制約、または光検出器を含む基板に別のフィルタを形成するための上昇による制約は、もはや存在しない。第1のフィルタ4aは、スリムなフィルタとすることができ、この第1のフィルタを形成するための技術的ステップが減少し、これにより、第1および/または第2の光検出器の損傷の危険性が、同程度に減少する。
【0092】
入射放射の一部を遮断し、これにより、第2の光検出器1bに対して、第1の光検出器1aを専用化するように、製造することが最も容易であり、および/または最も薄い低域通過、高域通過または帯域通過フィルタを選択することが、特に好適である。
【0093】
特定の実施形態では、反射防止層(図示せず)が用いられる。実施形態に応じて、反射防止層を、第2のフィルタ4b上に配置することができ、すなわち、第2のフィルタ4bが、反射防止層と光検出器1aおよび1bとを分離する。変形例として、反射防止層は、第2の光検出器1b上および第1のフィルタ4a上に堆積される。反射防止層は、第2のフィルタ4bと第1のフィルタ4aとを分離する。好適なやり方では、第1の反射防止層が、光検出器1aおよび1b上に堆積され、第2の反射防止層が、第2のフィルタ4b上に、または第2のフィルタ4bと接触して堆積される。実施形態に応じて、反射防止層は、第1のフィルタ上に、または第1の光検出器1aと第1のフィルタ4aとの間に堆積することができる。反射防止層は、好適には、赤外線放射を通過させるように構成される。
【0094】
別の特定の実施形態において、パッシベーション層を用いて、第1および/または第2の光検出器1aおよび1bが覆われる。好適なやり方では、パッシベーション層は、第1の光検出器1aと第1のフィルタ4aとの間に配置される。パッシベーション層は、好適には、10nm~2000nmの間に含まれる厚さを呈する。パッシベーション層の使用は、フィルタリングされていない帯域の汚染を制限するために、特に好適である。例えば、フィルタリングされていない帯域の汚染は、装置の外部の要素による汚染または汚染物質の拡散による汚染をもたらす可能性がある。パッシベーション層は、光学的および/または電気的性能を変更しないように、汚染物質を光検出器および/またはフィルタから逸らすことを可能にする。汚染物質は、例えば、金または銅である。
【0095】
第1および第2の光検出器1aおよび1bを一体的に覆う、連続的なパッシベーション層を使用することが、好適である。連続的なパッシベーション層は、第1および第2の光検出器上の応力を平滑にすることによって、熱機械的応力のより良好な制御に役立つ。パッシベーション層を形成するために使用される材料は、低い汚染種の拡散係数を呈する材料とすることが、特に好適である。
【0096】
特定の実施形態において、光検出器および/またはフィルタと、パッシベーション層との間に、接着促進剤が配置される。
【0097】
特定の実施形態では、パッシベーション層は、パッシベーション層と反射防止層とを同時に形成するように、Ge、ZnS、CdTe、SiOX、SiNxから選択された材料から作製される。反射防止層は、単一の材料から作製された単一の層によって、または異なる材料から作製されたいくつかの層の積層体によって、構成することができる。
【0098】
本発明者らは、また、第1の波長範囲および第2の波長範囲を検知し、かつ、これら2つの波長範囲の間では検知しない、第1および第2の光検出器を使用することが好適であることを認識した。第2の光検出器1bに対する第1の光検出器1aの専用化は、これにより、第1のフィルタ4aのカットオフ周波数に関する制約が減少するため、達成することがより容易になる。
【0099】
この実施形態は、また、第2のフィルタ4bに対する制約も低減されるため、好適である。
【0100】
しかし、多くの場合、光検出器は、第1および第2の波長範囲の間に位置する、少なくとも第3の波長範囲を検知する。その場合、二重帯域フィルタを使用することが、好適である。
【0101】
第1の波長範囲および第2の波長範囲を超えて延びる感度を有する、光検出器を使用することは、光検出器の製造方法および/または使用される材料に関連する、特定の技術的制約を緩和することを可能にするということが明らかである。
【0102】
しかし、第1の波長範囲の外および第2の波長範囲の外で検知する光検出器を使用することは、望ましくない放射範囲から生じる寄生信号が加えられることをもたらす。
【0103】
フィルタリングシステム4は、この第3の波長範囲を遮断するように構成されている。より具体的には、第3の波長範囲は、第2のフィルタ4bによって遮断される。
【0104】
図3bおよび
図4bの透過曲線プロットによって示される、特に好適な実施形態において、第2のフィルタ4bは、第1および第2の波長範囲によって画定される間隔の、下端よりも下の波長をカットオフするように構成される、高域通過フィルタである。このようなフィルタは、カットオフ波長よりも低い波長に対応し、かつ、光検出器1aおよび1bによって吸収され得る寄生放射を、遮断することを可能にする。
【0105】
この特定の場合では、第1のフィルタ4aは、高域通過フィルタ、低域通過フィルタまたは通過帯域フィルタとすることができる。
【0106】
第1のフィルタ4aが、
図3cにその透過曲線のプロットが示されている低域通過フィルタである場合、第1の波長範囲は、第2の波長範囲よりも短い波長を呈する。第1の光検出器1aは、
図3eの強度曲線プロットによって示されるように、最も短い波長に割り当てられた波長範囲のみを受信する。第2の光検出器1bは、
図3fの強度曲線プロットによって示されるように、両方の波長範囲を受信する。
図3dは、第1および第2の光検出器1aおよび1bの吸収波長範囲を表す。
【0107】
第1のフィルタ4aが、
図4cにその透過曲線プロットが示されている高域通過フィルタである場合、第1の波長範囲は、第2の波長範囲よりも長い波長を表す。第1の光検出器1aは、
図4eの強度曲線プロットによって示されるように、最も長い波長に関連付けられた波長範囲のみを受信する。第2の光検出器1bは、
図4fの強度曲線プロットによって示されるように、両方の波長範囲を受信する。
図4dは、第1および第2の光検出器1aおよび1bの吸収波長範囲を表す。
【0108】
第1のフィルタ4aが、通過帯域フィルタ(図示せず)である場合、第1の波長範囲は、第1のフィルタ4aの特性に応じて、第2の波長範囲よりも短いか、または長い波長を呈することができる。第1のフィルタ4aが、最も短い波長を通過させるように構成されている場合、動作は、低域通過フィルタと同等である。第1のフィルタ4aが、最も長い波長を通過させるように構成されている場合、動作は、高域通過フィルタと同等である。
【0109】
図5bおよび
図6bの透過曲線プロットによって示される、別の実施形態において、第2のフィルタ4bは、第1および第2の波長範囲によって画定される間隔の、上端よりも上の波長を、カットオフするように構成される、低域通過フィルタである。そのようなフィルタは、カットオフ波長よりも高い波長に対応し、かつ、光検出器1aおよび1bによって吸収され得る寄生放射を遮断する(
図5d)。
【0110】
この特定の場合において、第1のフィルタ4aは、高域通過フィルタ、低域通過フィルタまたは帯域通過フィルタとすることができる。
【0111】
第1のフィルタ4aが、
図5cにその透過曲線のプロットが示されている低域通過フィルタである場合、第1の波長範囲は、第2の波長範囲よりも短い波長を呈する。第1の光検出器1aは、
図5eの強度曲線プロットによって示されるように、最も短い波長に関連付けられた波長範囲のみを受信する。第2の光検出器1bは、
図5fの強度曲線プロットによって示されるように、両方の波長範囲を受信する。
図5dは、第1および第2の光検出器1aおよび1bの吸収波長範囲を表す。
【0112】
第1のフィルタ4aが、
図6cにその透過曲線のプロットが示されている高域通過フィルタである場合、第1の波長範囲は、第2の波長範囲よりも長い波長を呈する。第1の光検出器1aは、
図6eの強度曲線プロットによって示されるように、最も長い波長に関連付けられた波長範囲のみを受信する。第2の光検出器1bは、
図6fの強度曲線プロットによって示されるように、両方の波長範囲を受信する。
図6dは、第1および第2の光検出器1aおよび1bの吸収波長範囲を表す。
【0113】
第1のフィルタ4aが、帯域通過フィルタ(図示せず)である場合、第1の波長範囲は、第1のフィルタ4aの特性に応じて、第2の波長範囲よりも短いか、または長い波長を呈することができる。第1のフィルタ4aが、最も短い波長を通過させるように構成されている場合、動作は、低域通過フィルタと同等である。第1のフィルタ4aが、最も長い波長を通過させるように構成されている場合、動作は、高域通過フィルタと同等である。
【0114】
図7bの透過率曲線プロットによって示される、特に好適な実施形態では、第2のフィルタ4bは、第1および第2の波長範囲によって画定される間隔の、下端よりも下の波長をカットオフし、かつ、第1および第2の波長範囲によって画定される間隔の、上端よりも上の波長をカットオフするように構成される帯域通過フィルタである。そのようなフィルタは、2つのカットオフ波長よりも低い波長および高い波長に対応し、光検出器1aおよび1bによって吸収され得る寄生放射を遮断する(
図7d)。
【0115】
この特定の場合において、第1のフィルタ4aは、高域通過フィルタ、低域通過フィルタまたは帯域通過フィルタとすることができる。
【0116】
第1のフィルタ4aが、
図7cにその透過曲線プロットが示されている高域通過フィルタである場合、第1の波長範囲は、第2の波長範囲よりも長い波長を呈する。第1の光検出器1aは、
図7eの強度曲線プロットによって示されるように、最も長い波長に関連付けられた波長範囲のみを受信する。第2の光検出器1bは、
図7fの強度曲線プロットによって示されるように、両方の波長範囲を受信する。
図7dは、第1および第2の光検出器1aおよび1bの吸収波長範囲を表す。
【0117】
第1のフィルタ4aが低域通過フィルタ(図示せず)である場合、第1の波長範囲は、第2の波長範囲よりも短い波長を呈する。第1の光検出器1aは、最も短い波長に関連付けられた波長範囲のみを受信する。第2の光検出器1bは、両方の波長範囲を受信する。
【0118】
第1のフィルタ4aが、帯域通過フィルタ(図示せず)である場合、第1の波長範囲は、第1のフィルタ4aの特性に応じて、第2の波長範囲よりも短いか、または長い波長を呈することができる。第1のフィルタ4aが、最も短い波長を通過させるように構成されている場合、動作は、低域通過フィルタと同等である。第1のフィルタ4aが、最も長い波長を通過させるように構成されている場合、動作は、高域通過フィルタと同等である。
【0119】
図8aから
図8fに示す実施形態では、第2のフィルタ4bは、
図8bにその透過曲線プロットが示されている二重帯域フィルタである。二重帯域フィルタは、
図8cにその透過曲線プロットが示されている、高域通過タイプの第1のフィルタ4aと関連付けられている。第1の光検出器1aは、
図8eの強度曲線プロットによって示されるように、最も長い波長に関連付けられた波長範囲のみを受信する。第2の光検出器1bは、
図8fの強度曲線プロットによって示されるように、両方の波長範囲を受信する。
図8dは、第1および第2の光検出器1aおよび1bの吸収波長範囲を表す。
【0120】
別の実施形態に関して、第1のフィルタ4aは、帯域通過フィルタか、または
図9a~9fによって示される低域通過フィルタと、交換することができる。
【0121】
【0122】
低域通過フィルタの透過曲線プロットを、
図9cに示す。第1の光検出器1aは、
図9eの強度曲線プロットによって示されるように、最も短い波長に関連付けられた波長範囲のみを受信する。第2の光検出器1bは、
図9fの強度曲線プロットによって示されるように、両方の波長範囲を受信する。
図9dは、第1および第2の光検出器1aおよび1bによって吸収される波長範囲を表す。
【0123】
図10に示す代替実施形態では、第2の光検出器1bは、第3のフィルタ4cによって覆われている。第3のフィルタ4cは、第2の波長範囲を通過させ、第1の波長範囲を遮断するように構成される。第3のフィルタ4cは、干渉フィルタまたは吸収フィルタとすることができる。
【0124】
第3のフィルタ4cは、そのカットオフ波長が第1の波長範囲と第2の波長範囲との間に位置する、低域通過フィルタまたは高域通過フィルタとすることができる。第1のフィルタが、低域通過フィルタの場合、第2のフィルタは高域通過フィルタであり、その逆の場合も同様である。
【0125】
代替案として、第3のフィルタ4cを、第2の波長範囲を通過させ、第1の波長範囲を遮断する帯域通過フィルタとすることも可能である。この実施形態は、帯域通過フィルタが、低域通過フィルタまたは高域通過フィルタより厚いため、先の実施形態よりも不利である。
【0126】
第3のフィルタ4cは、第2の光検出器1b上、すなわち焦点面アレイの一部上に直接配置されたフィルタである。第3のフィルタ4cは、第1の光検出器1a上に堆積されておらず、これは、第3のフィルタ4cが、第2の光検出器1bのみを覆うこと、および、第3のフィルタ4cが、第1の光検出器1aは覆わないままとすることを意味する。第3のフィルタ4cは、第2の光検出器1bと物理的に接触している。第3のフィルタ4cは、第1の光検出器1aと、隣接する第2の光検出器1bとの間のクロストークを制限する。
【0127】
この特定の構成により、第2の光検出器1bは、入射放射の一部のみを受信する。第2の光検出器1bは、第2の波長範囲を受信し、第1の波長範囲を受信しない。各光検出器は、観察された波長範囲を表すデータを提供する。2つの光検出器から来る信号を比較する必要が、もはやないため、処理回路を単純化することができる。
【0128】
図3a、
図4a、
図5a、
図6a、
図7a、
図8aおよび
図9aを示す異なる例では、観察されたシーンの発光曲線は、第1および第2の波長範囲を超えて延びている。
【0129】
検出装置は、次のようにして簡単に製造することができる。第1の光検出器1aおよび第2の光検出器1bが、半導体基板上に形成される。2つの光検出器1aおよび1bは、同じ波長範囲を検知するため、2つの光検出器を同時に、かつ同じ半導体材料で製造することが好適である。優先的な実施形態では、光検出器1aおよび1bは同一である。
【0130】
2つの光検出器は、基板の表面の平面に平行な軸に沿って、オフセットされており、かつ、基板の表面の平面に平行な1つの同じ平面内にある。
【0131】
第1の光検出器1aを覆い、第2の光検出器1bは覆わないままとするように、第1の光検出器1a上に、第1のフィルタ4aが形成される。
【0132】
第1の代替実施形態では、第1のフィルタ4aは、第1の光検出器1a上および第2の光検出器1b上に形成される。次いで、第2の光検出器1bの上方で、第1のフィルタ4aが除去される。
【0133】
第2の代替実施形態では、第2の光検出器1bは、犠牲層によって保護される。第1のフィルタ4aは、第1の光検出器1a上および犠牲層上に形成される。犠牲層を除去して、第1のフィルタのない第2の光検出器1bが解放される。
【0134】
次に、第2のフィルタ4bが、第1の光検出器1aと第2の光検出器1bとを含む基板と関連付けられ、例えば接触して配置される。第2のフィルタ4bは、基板への堆積によっては形成されず、独立して形成され、後の段階で追加される。
【0135】
第3のフィルタ4cを使用する代替実施形態では、第3のフィルタ4cの前または後に第1のフィルタ4aを形成することができる。また、第1のフィルタ4aと第3のフィルタ4cとを、同時に複数の層を共有して、部分的に形成するものとすることも可能である。好適なやり方では、第3のフィルタ4cは、第2のフィルタ4bが設置される前に設けられる。第3のフィルタ4cは、第2のフィルタ4bから離れて配置される。
【0136】
例示目的のために、第1および第2の光検出器1aおよび1bを、好適に密封されている密閉筐体内に配置することが好適である。この密閉筐体は、放射源から第1および第2の光検出器1aおよび1bに、放射を通過させるように構成された開口部を備える。第1および第2の波長範囲を通過させ、かつ有用ではない放射の一部を遮断するように、この開口部に第2のフィルタ4bを配置することが、特に好適である。開口部は、好適には、第2のフィルタ4bによって覆われた、透明材料で作製された窓6である。第2のフィルタ4bは、密閉筐体の内部(
図1)または密閉筐体の外部(
図2)に配置することができる。窓の全表面は、好適には、窓の全領域において有用な信号のみを残すように、第2のフィルタ4bによって覆われている。
【0137】
好適なやり方では、検出装置は、冷却式検出装置であり、すなわち300K未満の、好ましくは40K~300Kの間に含まれる、好ましくは200K未満の温度で動作するように構成された装置である。検出装置は、無冷却とすることもできる。
【0138】
検出装置は、その動作温度を冷却するために冷却システム7と有利に結合される。
【0139】
検出装置の光検出器は、II-VI材料、例えばHgCdTe、またはIII-V材料、例えばInGaAs、InSbまたはInAsSbから製造することができる。
【0140】
光検出器1aおよび1bは、好適には、入射放射を通過させる窓6を除いて、入射放射を遮断するように構成されたコールドシールド8によって、好適に囲まれる。入射放射を通過させるために、この窓6上に、第2のフィルタ4bを配置することが、特に好適であると考えられ.る。
【0141】
第1のフィルタ4aによって覆われた領域と、第1のフィルタ4aによって覆わないままにした領域とは、好適には、第1の光検出器1aと、第2の光検出器1bとが、交互に位置することを画定する。
【0142】
この、第1および第2の光検出器が交互に位置することは、市松模様のパターンまたは光検出器の行または列によって表される、ストリップの交代配置の形状で表すことができる。
【0143】
優先的な実施形態では、コールドシールド8の内部の圧力は、コールドシールド8の外部の圧力以下である。コールドシールド8の内部の圧力を、大気圧より低く、例えば1013hPa未満とすることが好適である。
【0144】
特定の実施形態では、コールドシールド内の圧力は、10-4Pa未満である。