(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】分岐装置用スライドシュー構造
(51)【国際特許分類】
B65G 47/82 20060101AFI20221019BHJP
B65G 17/06 20060101ALI20221019BHJP
B65G 47/46 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
B65G47/82 C
B65G17/06 C
B65G47/46 B
(21)【出願番号】P 2017042489
(22)【出願日】2017-03-07
【審査請求日】2020-02-28
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 賢二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 嘉峰
【合議体】
【審判長】平瀬 知明
【審判官】尾崎 和寛
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0023108(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G47/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の搬送方向と直角方向に延伸した複数のスラットを前記物品の搬送方向に連結し、物品を積載して搬送するスラットコンベア上を
物品の搬送方向と直角方向にスライド可能なスライドシューを用いたスライドシュー式仕分けコンベアにおけるスライドシューにおいて、
前記スライドシューは前記スラット部の外径部を摺動ガイドとすると同時に、複数のスラットが搬送方向に移動する際に、必要な分岐箇所においては前記スライドシューが搬送方向と直角方向に一定速度で移動する手段を有する構造と、
前記スライドシューが前記搬送方向と直角方向に移動する際に前記物品の側面に当接しながら横方向への押出し力を前記物品の側面に直接与えるためのスライドシュー押出し面と、
前記スライドシュー押出し面の下方に
スライドシューの進行方向に凸状に設けられる傾斜部であって、前記スライドシュー押出し面が前記物品の側面に当接する前に
、前記物品に当接する
前記スライドシューの傾斜部と、を備え、
前記傾斜部により前記物品が与振を付与された後に前記物品の側面が前記スライドシュー押出し面に当接する順列で構成されることで、前記スライドシュー押出し面に前記物品の側面が当接して生じる衝撃力に
起因する前記物品の重心を回転中心とする第1のモーメント
が、前記傾斜部により前記物品が与振を付与されることで生じる上向きの力に起因する前記物品の重心を回転中心とするモーメントであって前記第1のモーメントとは逆方向のモーメントである第2のモーメントにより緩和
されることを特徴とした分岐装置用スライドシュー構造。
【請求項2】
前記傾斜部は、一定角度の勾配に沿った形状、もしくは上下のいずれかに凸状の曲線を有することを特徴とした前記請求項1に記載の分岐装置用スライドシュー構造。
【請求項3】
前記スライドシュー押出し面は、前記スライドシューの垂直面より前記傾斜部の傾斜角とほぼ同程度の角度で前記傾斜部側に傾斜した面を有することを特徴とした前記請求項1または請求項2に記載の分岐装置用スライドシュー構造。
【請求項4】
前記傾斜部の全領域もしくは一部に前記
スライドシューの進行方向に傾斜した突起傾斜部を有したことを特徴とした前記請求項1または請求項2に記載の分岐装置用スライドシュー構造。
【請求項5】
前記傾斜部の上方部に弾性体傾斜部を有したことを特徴とした前記請求項1または請求項2に記載の分岐装置用スライドシュー構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置において物品を搬送方向とは別方向に仕分ける分岐装置に用いられるスライドシュー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
分岐装置におけるスライドシューに関しては、例えば特許文献1に記載される構造が一般的に知られる構造である。特許文献1においては、スラットに跨る形でスライドする押圧シューの進行方向の正面部とやや傾斜を有した方向に押圧するための直交用押圧面と斜交用押圧面が描かれている。何れの面もスラット面に対して垂直方向に立ち上がった側面に物品を当接しながら移動させるものである。
【0003】
更に、特許文献2においては簡素化した可動シューの構造として、スラットに跨るようにスライドする可動シューの進行方向の正面部とやや傾斜を有した側面に第1押し面と第2押し面として描かれている。ここにおいても、何れの面はスラット面に対して垂直方向に立ち上がった側面に物品を当接しながら移動させる構造となっている。
【0004】
更に、特許文献3においては静音化を実現するスライドシューとして記載される押出し体が描かれている。ここにおいても押出し面の形状は、スラットとして記載される搬送体の表面に対して垂直方向に立ち上がった側面に物品を当接しながら移動させる構造となっている。
【0005】
上記の如く、分岐装置におけるスライドシューが物品に当接する面はスラット面に対して垂直方向に立ち上がった面を有しているものが一般的な構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-157643号公報
【文献】特開2000-118699号公報
【文献】特開2002-274638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここに、特許文献1乃至特許文献3にも記載される分岐装置におけるスライドシューは、分岐動作の領域で迅速に物品を所定の位置にシフトさせるために、小型且つ軽量であることが必要となるので、搬送される物品の高さに対し低位置部に当接することになる。
【0008】
一方、搬送される物品は均一ケースなどを使用する場合もあるが、大きさ、形状、重量とも様々な形態を想定する必要がある。また、均一ケースを用いる場合でも収納される物品によっては、重量および重心の位置などは多様な状態が想定される。
【0009】
特に、スライドシューが背の高い物品の低位置部に当接する場合に、物品が傾斜したり揺れたりすることで、不安定な状態のまま移動することになり、場合によっては転倒する可能性もある。物品が不安定な状態で移動すると、搬送方向の前後に位置する別の物品に対する影響が考えられ、場合によっては不安定状態を予測して物品間の間隔を大きく取るか、もしくはスライドシューの速度を低減するなどが必要となるなど、全体の稼働効率低下につながり兼ねない。また、物品が転倒した場合は人による操作が伴うなどで、更に全体効率を悪化される要因にもなる。自動化を前提とした搬送装置において、正確で高速な搬送が望まれる中で、従来以上にそれらの課題解決が望まれている。
【0010】
本願発明は上記の課題点を解決し、スムーズな物品の移動を行うことで、搬送装置の稼働における不安定要素を低減し、効率的な搬送を行うことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の通り、物品の搬送方向と直角方向に延伸した複数のスラットを物品の搬送方向に連結し、物品を積載して搬送するスラットコンベア上をスラットの搬送方向と直角方向にスライド可能なスライドシューを用いたスライドシュー式仕分けコンベアにおけるスライドシューにおいて、前記スライドシューは前記スラット部の外径部を摺動ガイドとすると同時に、複数のスラットが搬送方向に移動する際に、必要な分岐箇所においては前記スライドシューが搬送方向と直角方向に一定速度で移動する手段を有する構造と、前記スライドシューの押出し面が前記物品に当接する前に、前記スライドシューの前記物品に当接する1箇所もしくは複数個所のスライドシュー側面の前記押出し面の低位置部に構成する傾斜部の少なくとも先端底面部が前記スラット表面に接するかほぼ接する状態で構成される傾斜部と、前記傾斜部により前記物品が与振を付与された後に前記押出し面に当接する順列で構成されることで、事前に付与された与振により相殺されることになり、押出し面に当接して生じる衝撃による傾斜量を緩和することを可能としている。
【0012】
また、請求項2に記載の通り、前記傾斜部は、一定角度の勾配に沿った形状、もしくは上下のいずれかに凸状の曲線を有することで、前記与振量を大きくした分だけ衝撃力の緩和量を大きくすることを可能としている。
【0013】
更に請求項3に記載の通り、前記傾斜部の前記押出し面は、前記スライドシューの垂直面より前記傾斜部の傾斜角とほぼ同程度の角度で前記傾斜部側に傾斜した面を有することで、前記スライドシューの上方部の傾斜面が前記物品の表面に食い込む状態で当接する力が抵抗力になり、前記物品の振れ幅を低減することを可能としている。
【0014】
更に請求項4に記載の通り、前記傾斜部の全領域もしくは一部に前記物品の進行方向に傾斜した突起傾斜部を有することで、前記傾斜部の前記物品の進行方向と逆方向に対する摩擦抵抗力が異なることで、前記物品が押出し面に当接する際に、物品が挟み込まれる力が加わることで、前記物品の振れ幅を低減することを可能としている。
【0015】
更に請求項5に記載の通り、前記傾斜部の上方部に弾性体傾斜部を有することで、前記物品が前記傾斜部に当接し更に移動する際に、前記弾性体傾斜部の領域において前記物品と前記傾斜部間の接触面に生じる接触摩擦力が大きくなることで前記物品の移動速度が減速され、前記押出し面に当接する瞬間の衝撃力を緩和することを可能としている。
【0016】
なお、ここに記載した衝撃緩和のための各種構造は、個別に実施するのみでなく、複数の手法を組み合せることで、効果を上げることも可能である。
【0017】
上記の構造により、スライドシュー式仕分けコンベアにおいて、前記物品が前記スライドシューに当接する際に生じていた前記物品の傾斜や揺れ量が低減されることで、不安定な状態のまま移動したり転倒したりする可能性が大幅に低減されるので、搬送効率の悪化を防ぐことが可能となり、搬送物品が多様化する中で、傾斜、転倒しやすい物品でも安心して仕分が可能となり、システム全体の搬送効率を高め、将来の搬送装置の高速化にも対応し得ることになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】スライドシュー式仕分けコンベアの仕分部を示す斜視図。
【
図2】スライドシューが物品に当接する状態を示す概念図。
【
図4】複数の押出し面を有するスライドシューの基本構造例を示す図。
【
図5A】スライドシューが物品に当接する前の状態図。
【
図5B】スライドシューと物品の当接時に発生する力を示す図。
【
図7】
図3のスライドシューに傾斜部を設けた構造概念図。
【
図8】
図4のスライドシューに傾斜部を設けた構造概念図。
【
図9A】本案のスライドシューが物品に当接する前の状態図。
【
図9B】本案のスライドシューの傾斜部が物品に当接する時に発生する力を示す図。
【
図9C】本案のスライドシューの垂直面が物品に当接状する時に発生する力を示す図。
【
図10A】従来構造における物品に掛かる力の推移を示すグラフ。
【
図10B】本案構造における物品に掛かる力の推移を示すグラフ。
【
図11B】本案のその他の例を示す傾斜部の概念図。
【
図11C】本案のその他の例を示す傾斜部の概念図。
【
図12B】本案のその他の例を示す傾斜部表面の概念図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、スライドシュー式仕分けコンベアにおいて物品が分岐される状態を示す斜視図であり、搬送装置1における搬送方向Aに対し、仕分けコンベア11側に搬送する際に、前記搬送方向Aに向かって一定速度で移動するスラット3の連続体に対し、スラット3の軸方向、即ち前記搬送方向Aに直角方向に向いた仕分方向Bに沿って移動するスライドシュー2が物品4の側面低部に当接しながら移動することで、前記仕分けコンベア11側に分岐する状態を示している。
【0020】
図2は、前記スライドシュー2が前記物品4に当接する状態を示す概念図であり、一般的に前記物品4の高さHに比較し、前記スライドシュー2の高さhは充分に小さく、前記物品4の重心Gの位置に対しても低い位置で当接することになる。
【0021】
図3は、前記スライドシュー2の基本構造例を示し、押出し面21がスライド方向の正面に位置する一つの面にある場合を示している。因みにこの形状
の場合は、
図1に示す如く前記物品4が傾斜しながら仕分方向に移動するのではなく、複数の連続した前記スライドシュー2が同位置で移動することで前記物品4は傾斜せずに前記仕分方向に移動することになる。なお、ここではスライドシューが搬送方向と直角方向に移動する手段を有する構造の図示は省略している。
【0022】
図4は、
図3の形状の他に傾斜面を有する前記スライドシュー2の基本構造例で、
図1で示す如く前記物品4が傾斜した状態で仕分方向に移動する場合に有効であり、
図1に示す如く前記物品4が斜め押出し面22に当接しながら仕分方向に移動し、複数の連続した前記スライドシュー2が前記傾斜角度に見合う間隔を保って移動することで前記物品4は傾斜しながら前記仕分方向に移動することになる。
【0023】
図5Aは、前記スラット3に跨る前記スライドシュー2が矢印方向に移動し、前記物品4に当接する前の状態を示している。
【0024】
図5Bは、前記スライドシュー2と前記物品4が当接する際に発生する力関係を示し、前記物品4は前記スライドシュー2による押出し力Fを受け、重心Gの位置が前記スライドシュー2と前記物品4と当接する位置より高い位置にある場合は、前記重心Gに対して前記押出し力Fと逆方向の力が作用する。即ち、前記重心Gを回転中心とするモーメントM
1の回転力が物品4に掛かることになる。ここで、前記物品4の高さHが大きい場合や、水平奥行き方向の幅Lが小さい場合、および軽量の場合には一点鎖線で示す如くに回転する可能性があり、最悪は転倒することにも成り兼ねない。
【0025】
図6は、本案構造の原理図であり、前記スライドシュー2の前記押出し面23が前記物品4に当接する前に、前記スライドシュー2の前面低位置に構成する傾斜部23によって予め前記物品4の当接する側において上方に変位する上向きの力Pを示す。ここに前記の力Pは、
図5Bで記した前記モーメントM
1を発生させる力と逆方向のモーメントM
3を予め与える状態を示している。
【0026】
図7は、
図3で示す前記スライドシュー2に傾斜部23を設けた構造概念図であり、
図3での前記押出し面21の上方部のみを残し、その下方には前記スライドシュー2の進行方向に凸状に傾斜部23を設けている。因みに、前記傾斜部23の底面部は前記スラット3の表面にほぼ接する状態で構成している。なお、ここではスライドシューが搬送方向と直角方向に移動する手段を有する構造の図示は省略している。
【0027】
図8は、
図4で示す前記スライドシュー2に傾斜部23を設けた構造概念図であり、
図4での前記押出し面21並びに前記斜め押出し面22の上方部を残し、その下方には前記スライドシュー2の進行方向および斜め進行方向に凸状に傾斜部23を設けている。因みに、前記傾斜部23の底面部は前記スラット3の表面にほぼ接する状態で構成している。なお、ここではスライドシューが搬送方向と直角方向に移動する手段を有する構造の図示は省略している。
【0028】
図9Aは、本案における前記スラット3に跨る前記スライドシュー2が矢印方向に移動し、前記物品4に当接する前の状態を示している。
【0029】
図9Bは、本案における前記スライドシュー2と前記物品が当接する際に発生する力関係を示し、前記物品4は前記スライドシュー2による押出し力Fを直接受ける前に、前記傾斜部23が物品に当接しつつ上方に変位する上向きの力Pを生じることで、前記重心Gを回転中心とするモーメントM
3の回転力が物品4に掛かることを示している。即ち
図5Bで記した前記モーメントM
1とは逆方向のモーメントM
3が予め生じることになる。
【0030】
図9Cは、
図9Bから更に前記スライドシュー2が矢印方向に移動し、前記スライドシュー2の垂直方向に構成する押出し面21が前記物品4に当接する状態を示している。ここに、前記
図5Bで示した前記重心Gを回転中心に生じるモーメントM
1の回転力が発生するが、前記傾斜部23が物品に当接する際に生じた上向きの力Pに起因する前記重心Gを回転中心とするモーメントM
3の回転力が予め物品4に掛かっていたことを示している。即ち、予め付与されるモーメントM
3と、後から付与されるモーメントM
1は、それぞれ逆方向の回転力であるために合成される力はその差で示されることになるので、前記物品4に与えられる外力は軽減されることになる。
【0031】
図10Aは、
図5A、
図5Bで示した状態において生じるモーメントMを縦軸に、時間Tを横軸に描いたものである。ここに、前記スライドシュー2が前記物品4に当接するまでの時間t
2においては、前記物品4に掛かる外力は発生しないが、前記スライドシュー2が前記物品4に当接した瞬間にM
1のモーメントが生じることになる。M
1のモーメントが外力として維持する時間t
3は殆ど瞬間的であり、動き始まると前記スラット3の表面と前記物品4の当接する表面間の動摩擦係数に依存する一定の力M
2の負荷が掛かりながら移動する状態を示している。
【0032】
図10Bは、
図9A、
図9B、
図9Cで示した状態において生じるモーメントMを縦軸に、時間Tを横軸に描いたものである。ここに、前記スライドシュー2が前記物品4に当接するまでの時間t
1においては、前記物品4に掛かる外力は発生しないが、前記スライドシュー2の傾斜部23が前記物品4に当接し、前記物品4を上方向に向いた力が掛かることによってモーメントM
3が発生し、その後に前記スライドシュー2の押出し面21もしくは斜め押出し面22に当接した瞬間に、逆向きのモーメントM
1が生じることになる。ここに、M
1のモーメントが外力として維持する時間t
3は殆ど瞬間的であり、動き始めると前記スラット3の表面と前記物品4の当接する表面間の動摩擦係数に依存する一定のモーメント力M
2の負荷が掛かりながら移動することになる。また、各モーメントM
1、M
3、M
4の関係は、M
4=M
1+(-M
3)=M
1-M
3の関係にある。換言すれば、
図10Aに示したモーメントM
1の大きさに対して、予め傾斜面23を通過することによって生じるモーメントM
3の力を減じたモーメントM
4が前記物品4に掛かることを意味している。
【0033】
図11Aは、前記スライドシュー2の前記傾斜部23において、前記押出し面21に前記物品が当接するまでの領域においてなだらかな窪みを有した傾斜構造例である。本形状によれば、前記スライドシュー2が一定速度で前記物品4に当接する際に、当接時の衝撃を極力抑えることが前記物品4に対する安定した仕分けになる。即ち、前記傾斜部23の傾斜面を、前記物品4が当接する位置では浅い角度から始まり、前記押出し面21に当接する位置に至るまで徐々に角度を大きくすることで衝撃力を抑えつつ、
図9Cに示す前記上向きの力Pを所望の大きさで得るものである。
【0034】
図11Bは、前記スライドシュー2の前記傾斜部23において、前記傾斜部23が押出し面21からL
1の長さだけ離れた位置に最大凸部を有した構造例である。本形状によれば、前記スラッド3に搭載された前記物品4の先端底面部がL
1の位置に到達した後は、前記スライドシュー2の移動速度が一定であれば、前記物4の高さ方向への変位は急峻になる。即ち、最後の段階で前記上向きの力Pを大きくする効果が得られる。
【0035】
図11Cは、前記スライドシュー2の前記押出し面21において、前記押出し面21の上方部が垂直面より前記傾斜部23の傾斜角(α)程度に前記傾斜部23側に寄った傾斜角(β)を有した傾斜面を持つ構造例である。本形状によれば、前記物品4が前記押出し面21に当接した瞬間に、その上方部の傾斜面が物品4の表面に食い込む状態に当接するので、
図9Cに示す前記モーメントM
1に対する抵抗力になり、前記物品4の振れ幅を低減する効果が得られる。
【0036】
図12Aは、前記スライドシュー2の前記傾斜部23において、前記傾斜部23の表面に突起傾斜部24を有した構造例である。本構造によれば、ここでは図示しない前記物品4が前記傾斜部23に当接し前記スライドシュー2の移動に従って前記傾斜部23の上方に移行する際に、前記物品4と前記傾斜部23との接触面に生じる摩擦力抵抗が低く、移行する方向と逆方向に対しては摩擦抵抗力が大きくなるようにしている。本図においては、前記物品4の進行方向に傾斜した鋭角的突起部を前記傾斜部23の領域全体もしくは一部に有することで前記効果を得るための一例を示している。
【0037】
図12Bは、前記スライドシュー2の前記傾斜部23の上方部を弾性体傾斜部25で構成した構造例である。本構造によれば、ここでは図示しない前記物品4が前記傾斜部23に当接し前記スライドシュー2の移動に従って前記傾斜部23の上方に移行する際に、前記弾性体傾斜部25の領域において前記物品4と前記傾斜部23との接触面に生じる接触摩擦力が大きくなることで前記物品4の移動速度が減速され、押出し面21に当接する瞬間の衝撃力を緩和する効果を得るための一例を示している。
【0038】
ここに、前記傾斜部23における傾斜量の緩和と衝撃力低減のための具体的形状を
図11A乃至
図11Eに示したが、それらは単独で構成せずに複数の構造を組み合せてもそれらの効果が得られる。
【符号の説明】
【0039】
1 立体搬送装置
11 仕分けコンベア
2 スライドシュー
21 押出し面
22 斜め押出し面
23 傾斜部
24 突起傾斜部
25 弾性体傾斜部
3 スラット
4 物品
F スライドシューの押出し力
G 重心
H 高さ方向寸法
L 水平方向寸法
M モーメント
P すくい上げによる力
t 時間
α、β 傾斜角