(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】タッチパッドモジュール
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0354 20130101AFI20221019BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
G06F3/0354 453
G06F3/01 560
(21)【出願番号】P 2017229276
(22)【出願日】2017-11-29
【審査請求日】2020-11-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】金井 直樹
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/173386(WO,A1)
【文献】特開2012-181771(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0285848(US,A1)
【文献】特開2013-254522(JP,A)
【文献】国際公開第2012/114754(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0354
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパッドを振動させるタッチパッドモジュールであって、
外枠部と、
前記外枠部の内側に配置される支持部と、
前記外枠部と前記支持部とを連結するばね部と、
前記支持部に固定されて支持される基板と、
前記基板に実装される振動モータと、
を備え、
前記振動モータの振動方向と、前記ばね部による付勢方向とは、横方向で一致し、
前記ばね部は、屈曲形状を有し、
前記外枠部、前記支持部、および前記ばね部は、一つの板からの打ち抜きにより作製する一つの板状部材として形成さ
れ、
前記外枠部は、前記タッチパッドを備える機器の筐体にダンパを介して固定される、
タッチパッドモジュール。
【請求項2】
前記振動モータの振動周波数は、前記支持部、前記基板、および前記ばね部からなる振動系の共振周波数と一致する、請求項1に記載のタッチパッドモジュール。
【請求項3】
前記支持部は、前記振動モータ、および前記基板に実装される電子部品が内側に配置される貫通孔を有する、請求項1および請求項2のいずれか1項に記載のタッチパッドモジュール。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記振動モータが内側に配置される振動モータ回避孔と、前記電子部品が内側に配置される電子部品回避孔と、を含み、
前記振動モータ回避孔と前記電子部品回避孔は、別個である、請求項3に記載のタッチパッドモジュール。
【請求項5】
前記基板は、前記支持部に粘着テープにより固定される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のタッチパッドモジュール。
【請求項6】
前記振動モータは、前記支持部の中心に位置する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のタッチパッドモジュール。
【請求項7】
前記基板に実装される電子部品は、前記振動モータの横方向両側に配置される、請求項6に記載のタッチパッドモジュール。
【請求項8】
前記外枠部は、前記筐体にねじ止めされるホルダに前記ダンパを介して固定される、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のタッチパッドモジュール。
【請求項9】
前記ダンパは、前記外枠部の外側側面部と前記ホルダの内側側面との間に配置され、
前記外枠部の上面と前記筐体との間で、前記ダンパとは別のダンパが上下方向に挟まれる、
請求項8に記載のタッチパッドモジュール。
【請求項10】
前記振動モータは、基板部と、前記基板部に対して平行な方向に振動する振動体と、を有する横リニア型振動モータである、請求項1から
請求項9のいずれか1項に記載のタッチパッドモジュール。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のタッチパッドモジュールと、タッチパッドと、を備える機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパッドモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパッドと呼ばれるセンサ装置がノート型PC、タブレットコンピュータ、スマートフォン等の各種機器に備えられる。タッチパッドは、平面状のセンサをなぞる操作者の指の位置を検出する装置である。タッチパッドを用いた入力デバイスの一例は、特許文献1に開示される。
【0003】
特許文献1の入力デバイスでは、トラックパッド(タッチパッド)の底部には、機械スイッチが設けられる。トラックパッドは、可撓ヒンジによりフレームに接続される。可撓ヒンジは、力を加えられると屈曲するがトラックパッドをニュートラル位置に戻すように復元力を発生させる弾性部材である。操作者がトラックパッドのトラック表面を押した場合、トラックパッドは下向きに回動し、機械スイッチが動作する。機械スイッチの動作により、ボタン信号が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-504275号公報(第5図、第6図等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の入力デバイスでは、トラックパッドを押し下げることにより操作者は機械スイッチによりクリック感を得ることができる。しかしながら、近年では、タッチパッドに振動を与える振動デバイスを用いることにより、あかたも物理的なボタンを押したようなクリック感の触覚フィードバックを操作者に与える技術も開発されている。但し、従来の振動デバイスでは、組み立てが容易であるとは言えず、コストダウンが望まれる現状である。
【0006】
上記状況に鑑み、本発明は、組立て性を向上しつつ、振動出力を大きくすることができるタッチパッドモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的なタッチパッドモジュールは、タッチパッドを振動させるタッチパッドモジュールであって、外枠部と、前記外枠部の内側に配置される支持部と、前記外枠部と前記支持部とを連結するばね部と、前記支持部に固定されて支持される基板と、前記基板に実装される振動モータと、を備え、前記振動モータの振動方向と、前記ばね部による付勢方向とは、横方向で一致し、前記ばね部は、屈曲形状を有し、前記外枠部、前記支持部、および前記ばね部は、一つの板からの打ち抜きにより作製する一つの板状部材として形成され、前記外枠部は、前記タッチパッドを備える機器の筐体にダンパを介して固定される。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本発明のタッチパッドモジュールによれば、組立て性を向上しつつ、振動出力を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態に係るノート型PCの外観を模式的に示す全体斜視図である。
【
図2】
図2は、タッチパッドモジュールおよびホルダの構成を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、タッチパッドモジュールに対してタッチパッドを設置した状態と、ノート型PCの筐体上部の構成を示す一部分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、図面において、横方向をX方向、横方向に直交する縦方向をY方向、横方向および縦方向に直交する上下方向をZ方向として示す。より具体的には、横方向一方側をX1、横方向他方側をX2、縦方向一方側をY1、縦方向他方側をY2、上側をZ1、下側をZ2とする。なお、後述するタッチパッドモジュールについて定義する上記各方向は、実際の機器に組み込まれたときの位置関係および方向を示すものではない。
【0011】
<1.ノート側PCの構成>
まず、後述する本実施形態に係るタッチパッドモジュールを搭載される機器の一例として、ノート型PCについて説明する。
図1は、例示的な実施形態に係るノート型PC100の外観を模式的に示す全体斜視図である。
図1に示すノート型PC100は、筐体101と、キーボード102と、タッチパッド103と、表示部104と、を有する。
【0012】
筐体101は、キーボード102を格納し、机上に設置される。表示画面1041を含む表示部104は、筐体101に対して回動可能に一端部を接続され、キーボードを上方から覆う状態である閉状態と、表示画面1041を視認可能な開状態と、をとることができる。
【0013】
筐体101は、上部に筐体上部1011を含む。筐体上部1011は、縦横方向に拡がるキーボード102が上方に露出する上面部を有し、当該上面部におけるキーボード102の縦方向一方側に開口部1011Aを有する。開口部1011Aは、上下方向に貫通する孔である。
【0014】
タッチパッド103は、開口部1011Aの下側に配置され、開口部1011Aを介して上方へ露出する。すなわち、ノート型PC100を利用するユーザは、キーボード102より自己側へ位置するタッチパッド103に指を接触させることができる。タッチパッド103は、縦横方向に拡がる平面状のセンサを有し、当該センサに接触された指の平面上の位置を検出する。位置検出には、例えば静電容量方式が用いられる。
【0015】
ノート型PC100は、タッチパッドモジュール1を備える。タッチパッドモジュール
1は、タッチパッド103を横方向に振動させる装置である。タッチパッドモジュール1は、ホルダ50により保持される。ホルダ50は、筐体上部1011に固定される。なお、タッチパッドモジュール1の保持方法、およびホルダ50の固定方法については、後述する。
【0016】
タッチパッドモジュール1は、タッチパッド103に横方向の振動を与えることで、タッチパッド103に指を接触させたユーザに対して触覚フィードバックを与えることができる。例えば、タッチパッド103が備える不図示の感圧センサにより指による押圧が検知されると、タッチパッドモジュール1によりタッチパッド103が振動し、あたかもタッチパッド103を押し込んだクリック感をユーザは得ることができる。
【0017】
すなわち、ノート型PC100においては、タッチパッド103を指でなぞることにより、指の位置検出に応じて表示画面1041においてカーソル移動を行ったり、タッチパッド103を指で押圧することにより、クリックに応じた各種操作を行うことができる。
【0018】
なお、クリック感の他にも、タッチパッド103の振動により、例えば、物体表面のスベスベ感、ザラザラ感などの触覚フィードバックをユーザに与えることもできる。
【0019】
<2.タッチパッドモジュールの構成>
次に、タッチパッドモジュール1の構成について、具体的に説明する。
図2は、タッチパッドモジュール1およびホルダ50の構成を示す斜視図である。タッチパッドモジュール1は、基板2と、板部3と、を有する。
【0020】
図3は、板部3を上方から視た平面図である。
図3を用いて板部3の構成について説明
すると、板部3は、外枠部31と、ばね部32A~32Dと、支持部33と、を有する。
【0021】
外枠部31、ばね部32A~32D、および支持部33は、一つの板状部材として形成される。すなわち、板部3は、一つの板からの打ち抜きにより形成することができ、生産性を向上できる。また、板部3により、タッチパッドモジュール1の薄型化を図ることができる。板部3は、例えば、SUS材から形成される。
【0022】
外枠部31(外枠プレート)は、支持部33の外側を支持部33から隙間S1~S4を介して囲む。ばね部32A~32Dは、外枠部31と支持部33とを連結する。支持部33(内側プレート)は、横方向に延びる部分と縦方向に延びる部分とを含む略十字形状を有する。
【0023】
ばね部32A~32Dは、屈曲形状を有する。ばね部32Aの構成について述べると、ばね部32Aは、縦方向に延びる直線部321と、縦方向に延びる直線部322と、直線部321、322を連結する屈曲部323と、を有する。直線部321,322は、横方向に対向する。直線部321の縦方向他方側端部と直線部322の縦方向他方側端部は、屈曲部323により横方向に連結される。直線部321の縦方向一方側端部は、外枠部31の横方向一方側且つ縦方向一方側の隅部に連結される。直線部322の縦方向一方側端部は、支持部33における縦方向に延びる部分の横方向一方側且つ縦方向一方側の隅部に連結される。
【0024】
ばね部32A以外のばね部32B~32Dの構成は、
図3に示すように、上述したばね部32Aの構成と類似するので、詳述は省く。ばね部32Bは、板部3における横方向他方側且つ縦方向一方側の隅において、外枠部31と支持部33とを連結する。ばね部32Cは、板部3における横方向一方側且つ縦方向他方側の隅において、外枠部31と支持部33とを連結する。ばね部32Dは、板部3における横方向他方側且つ縦方向他方側の隅において、外枠部31と支持部33とを連結する。
【0025】
支持部33は、外枠部31に対してばね部32A~32Dにより横方向に振動可能に支持される。ばね部32A~32Dによる付勢方向は、横方向である。
【0026】
図2に示すように、基板2は、支持部33に固定されて支持される。基板2は、支持部33の上側に配置される。基板2は、粘着テープ4A~4Dにより支持部33に固定される。すなわち、粘着テープ4A~4Dは、基板2と支持部33とに上下方向に挟まれる。
【0027】
粘着テープ4Aは、支持部33における横方向一方側且つ縦方向一方側の切欠き部に沿って支持部33に貼られる略L字状のテープである。同様に、粘着テープ4B~4Dは、支持部33における残りの切欠き部に沿って貼られる。粘着テープ4A~4Dの厚みにより、粘着テープ4A~4Dは基板2を支持部33から上側に離間させるスペーサとして機能するので、後述するように基板2が振動する際に基板2が外枠部31と擦ることが回避される。また、粘着テープ4A~4Dにより、基板2の固定が容易となる。なお、基板2をスペーサを介して支持部33に対してねじ止めにより固定してもよい。これにより、固定強度を向上できる。
【0028】
基板2には、振動モータ5および電子部品6,7が実装される。振動モータ5は、基板部と、当該基板部に対して平行な方向に振動する振動体(いずれも不図示)と、を有する横リニア型振動モータである。例えば、基板部を介して供給される電流によりコイルに発生する電磁力と磁石との相互作用により、振動体が振動する。
図2において、振動体は、横方向に振動する。なお、振動モータとしては、上記に限らず、縦方向リニア型振動モータ、偏心型振動モータ等により構成してもよい。
【0029】
振動モータ5は、基板2の下面側に下方に突出して実装される。ここで、
図3にも示すように、支持部33には、振動モータ回避孔331が形成される。振動モータ回避孔331は、略十字形状を有して上下方向に貫通する貫通孔であり、支持部33の中心に位置する。振動モータ5は、振動モータ回避孔331の内側に配置される。
【0030】
また、電子部品6,7は、基板2の下面側に下方に突出して実装される。なお、
図2において、電子部品6,7は模式的に示しており、電子部品は例えば、ICパッケージ、コンデンサ、トランス、抵抗器等、各種部品が想定される。
【0031】
ここで、
図3にも示すように、支持部33には、電子部品回避孔332,333が形成される。電子部品回避孔332,333は、振動モータ回避孔331を横方向両側から挟んで配置され、上下方向に貫通する貫通孔である。電子部品6,7は、それぞれ電子部品回避孔332,333の内側に配置される。
【0032】
振動モータ、および電子部品は、基板2の上面に実装してもよいが、本実施形態のように、基板2の下面に実装させて、各部品を回避孔により支持部33と干渉しないようにすることで、タッチパッドモジュール1の上下方向の厚みを薄型化することができる。
【0033】
また、振動モータ回避孔331と電子部品回避孔332,333とは別個であるので、支持部33に不要な大きさの貫通孔を形成する必要が無く、支持部33の強度を向上できる。また、振動モータ回避孔331と電子部品回避孔332,333は、板部3を形成する打ち抜きによって形成することができるので、生産効率を向上できる。
【0034】
なお、振動モータ5、および電子部品6,7の下方への突出が後述するホルダ50の底部まで及ぶ場合は、振動モータ5、電子部品6,7を回避する貫通孔が上記底部に形成される。
【0035】
このような本実施形態のタッチパッドモジュール1では、振動モータ5の振動方向と、ばね部32A~32Dによる付勢方向とは、横方向で一致する。これにより、振動モータ5を駆動により振動させることで、タッチパッドモジュール1全体が振動モジュールとして横方向の振動を出力する。このときの振動出力は大きくなる。さらに、タッチパッドモジュール1の組立て性は良好であり、コストダウンが可能となる。
【0036】
後述するように、タッチパッドモジュール1にタッチパッド103(
図1)を設置するので、タッチパッド103に大きな横方向の振動を与えることができ、タッチパッド103に指を接触させるユーザに対して適切な触覚フィードバックを与えることができる。
【0037】
特に、振動モータ5の振動周波数は、支持部33、基板2、およびばね部32A~32Dからなる振動系の共振周波数と一致させることが望ましい。これにより、タッチパッドモジュール1の振動出力をより大きくすることができる。
【0038】
また、振動モータ5は、支持部33の中心に配置されるので、支持部33の傾きを抑制し、タッチパッドモジュール1の振動出力を大きくすることができる。また、電子部品6,7は、振動モータ5の横方向両側に配置されるので、支持部33の傾きを抑制し、タッチパッドモジュール1の振動出力を大きくすることができる。
【0039】
また、振動モータ5は、タッチパッドモジュール1の振動出力を大きくするには、横リニア型振動モータにより構成することが好適となる。
【0040】
<3.タッチパッドモジュールの機器への搭載>
次に、タッチパッドモジュール1のノート型PC100への搭載について述べる。
図4は、
図2における一部拡大斜視図である。
図4においては、第1ダンパD1と第2ダンパD2が示される。
【0041】
板部3は、ホルダ50の内部に格納される。第1ダンパD1は、外枠部31の外側側面部とホルダ50の内側側面部との間に配置され、外枠部31の外側側面部とホルダ50の内側側面部の両方に固定される。第1ダンパD1の固定は、例えば粘着テープを用いる。第1ダンパD1は、ホルダ50の縦方向に対向する各辺部の横方向両側箇所とともに、ホルダ50の横方向に対向する各辺部の縦方向両側箇所に配置される。すなわち、第1ダンパD1は、合計8個用いられる。
【0042】
このように、外枠部31は、第1ダンパD1を介してホルダ50に固定されることで、ホルダ50に保持される。
【0043】
また、
図5は、タッチパッドモジュール1に対してタッチパッド103を設置した状態と、ノート型PC100の筐体上部1011の構成を示す一部分解斜視図である。なお、
図5では、筐体上部1011は、要部のみを示す。
【0044】
図5に示すように、タッチパッド103は、基板2に対して固定される。タッチパッド103の固定は、例えば粘着テープ等により行われる。これにより、タッチパッドモジュール1の振動出力がタッチパッド103に伝播される。タッチパッド103は、開口部1011Aを介して上方に露出する。
【0045】
タッチパッドモジュール1およびホルダ50は、筐体上部1011の下側に配置される。ホルダ50は、筐体上部1011に対して複数のねじSCによりねじ止めされる。ねじSCは、ホルダ50の縦方向に対向する各辺部の横方向両側箇所とともに、ホルダ50の横方向に対向する各辺部の縦方向両側箇所に配置される。
【0046】
これにより、タッチパッドモジュール1を保持したホルダ50をねじ止めにより筐体上部1011に固定するので、タッチパッドモジュール1のノート型PC100への組み込みが容易となる。また、外枠部31は、第1ダンパD1およびホルダ50を介して筐体上部1011に固定されるので、タッチパッドモジュール1の振動出力を大きくしても、ノート型PC100への振動の伝播を抑制できる。これにより、ノート型PC100を利用するユーザの不快感を抑制できる。
【0047】
また、
図4および
図5に示すように、複数の第2ダンパD2は、外枠部31の上面に配置される。第2ダンパD2は、外枠部31の四隅付近に配置される。第2ダンパD2は、筐体上部1011と外枠部31により上下方向に挟み込まれる。第2ダンパD2は、筐体上部1011および外枠部31ともに対して接触するが、固定はされない。すなわち、第2ダンパD2に接着剤等は使用されない。
【0048】
第2ダンパD2を用いることにより、タッチパッドモジュール1の振動出力時に外枠部31が横方向に振動することを抑制することができる。
【0049】
また、第2ダンパD2に対して外枠部31を挟んで上下反対側にも不図示のダンパが設置される。すなわち、当該ダンパは、外枠部31とホルダ50とによって上下方向に挟まれる。更に言い換えると、外枠部31は、第2ダンパD2と上記不図示のダンパとによって上下方向に挟まれる。これにより、外枠部31(タッチパッドモジュール1)は、ダンパを介してのみ筐体上部1011およびホルダ50に接触することになるので、振動が直接、筐体に伝播することを抑制することができる。
【0050】
<4.本実施形態による作用効果>
以上のように本実施形態に係るタッチパッドモジュール(1)は、タッチパッド(103)を振動させるタッチパッドモジュールであって、外枠部(31)と、前記外枠部の内側に配置される支持部(33)と、前記外枠部と前記支持部とを連結するばね部(32A~32D)と、前記支持部に固定されて支持される基板(2)と、前記基板に実装される振動モータ(5)と、を備え、前記振動モータの振動方向と、前記ばね部による付勢方向とは、横方向で一致する。
【0051】
このような構成によれば、振動モータが横方向に振動することにより、タッチパッドモジュール全体が振動モジュールとして横方向の振動を出力する。振動出力は大きくなり、組立て性も良好である。
【0052】
また、前記振動モータの振動周波数は、前記支持部、前記基板、および前記ばね部からなる振動系の共振周波数と一致する。これにより、タッチパッドモジュールの振動出力をより大きくすることができる。
【0053】
また、前記ばね部は、屈曲形状を有し、
前記外枠部、前記支持部、および前記ばね部は、一つの板状部材(3)として形成される。これにより、外枠部、支持部、およびばね部の連結された構成を一つの板からの打ち抜きにより作製することが可能となり、生産性を向上できる。また、タッチパッドモジュールの薄型化が可能となる。
【0054】
また、前記支持部は、前記振動モータ、および前記基板に実装される電子部品(6,7)が内側に配置される貫通孔(331,332,333)を有する。これにより、タッチパッドモジュールの薄型化が可能となる。また、外枠部、支持部、およびばね部が一つの板状部材である場合は、打ち抜きにより貫通孔を効率的に形成できる。
【0055】
また、前記貫通孔は、前記振動モータが内側に配置される振動モータ回避孔(331)と、前記電子部品が内側に配置される電子部品回避孔(332,333)と、を含み、前記振動モータ回避孔と前記電子部品回避孔は、別個である。これにより、支持部に不要な大きさの貫通孔を形成する必要が無くなり、支持部の強度が向上する。
【0056】
また、前記基板は、前記支持部に粘着テープ(4A~4D)により固定される。これにより、基板の固定が容易となる。また、粘着テープがスペーサとして機能し、基板が振動する際に基板と外枠部が干渉することを回避できる。
【0057】
また、前記振動モータは、前記支持部の中心に位置する。これにより、支持部の傾きを抑制し、タッチパッドモジュールの振動出力がより大きくなる。
【0058】
また、前記基板に実装される電子部品は、前記振動モータの横方向両側に配置される。これにより、支持部の傾きを抑制し、タッチパッドモジュールの振動出力がより大きくなる。
【0059】
また、前記外枠部は、前記タッチパッドを備える機器(100)の筐体(101)に、ダンパ(D1)を介して固定される。これにより、振動出力を大きくしても、機器への振動の伝播を抑制できる。これにより、機器を利用するユーザの不快感を抑制できる。
【0060】
前記外枠部は、前記筐体にねじ止めされるホルダ(50)に前記ダンパを介して固定される。これにより、ホルダにタッチパッドモジュールを保持させた構成単位を筐体にねじ止めするので、タッチパッドモジュールの機器への組み込みが容易となる。
【0061】
また、前記ダンパは、前記外枠部の外側側面部と前記ホルダの内側側面との間に配置され、前記外枠部の上面と前記筐体との間で、前記ダンパとは別のダンパ(D2)が上下方向に挟まれる。これにより、振動モータが横方向に振動した際に、外枠部が横方向に振動することを抑制することができる。
【0062】
また、前記振動モータは、基板部と、前記基板部に対して平行な方向に振動する振動体と、を有する横リニア型振動モータである。これにより、タッチパッドモジュールの振動出力をより大きくすることができる。
【0063】
また、本実施形態に係る機器は、上記いずれかの構成のタッチパッドモジュールと、タッチパッドと、を備える。これにより、タッチパッドモジュールによりタッチパッドを充分に振動させて、タッチパッドを操作するユーザに触覚フィードバックを適切に与えることができる。
【0064】
<5.その他>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変形が可能である。
【0065】
例えば、タッチパッドは筐体上部に固定させ、タッチパッドモジュールによる振動出力を筐体上部を経由してタッチパッドに伝えることで、タッチパッドを振動させてもよい。
【0066】
また、先述では板部3を用いて、外枠部31、支持部33、およびばね部32A~32Dは同一部材であるとしたが、これらの部品は別個の部材であってもよい。この場合、ばね部の最適化が可能となり、振動出力を大きくすることができる。
【0067】
また、本発明に係るタッチパッドモジュールは、ノート型PCに限らず、タブレットコンピュータ、スマートフォン等の各種機器に搭載することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、例えばノート型PCのタッチパッドを振動させる用途に利用することができる。
【符号の説明】
【0069】
100・・・ノート型PC、101・・・筐体、1011・・・筐体上部、102・・・キーボード、103・・・タッチパッド、104・・・表示部、50・・・ホルダ、1・・・タッチパッドモジュール、2・・・基板、3・・・板部、31・・・外枠部、32A~32D・・・ばね部、33・・・支持部、331・・・振動モータ回避孔、332,333・・・電子部品回避孔、4A~4D・・・粘着テープ、5・・・振動モータ、6,7・・・電子部品、D1・・・第1ダンパ、D2・・・第2ダンパ、SC・・・ねじ