(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】分析器の固体廃棄物用の補助固体廃棄物容器
(51)【国際特許分類】
B65F 1/00 20060101AFI20221019BHJP
B65F 1/14 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
B65F1/00 A
B65F1/14 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018051440
(22)【出願日】2018-03-19
【審査請求日】2021-02-22
(32)【優先日】2017-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド フーバー
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ コッホ
(72)【発明者】
【氏名】フランツ リンデガー
(72)【発明者】
【氏名】マルコ サンジェルマーノ
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-083986(JP,A)
【文献】特開平10-109704(JP,A)
【文献】特開平09-150905(JP,A)
【文献】特表2010-517897(JP,A)
【文献】実開平07-040602(JP,U)
【文献】特開2014-162501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 1/00,1/14
G01N 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析器(120)であって、消耗品を用いるように構成された分析装置(122)と、前記分析器(120)の固体廃棄物(124)用の、主たる固体廃棄物容器(126)および補助固体廃棄物容器(100)とを備え、
前記補助固体廃棄物容器(100)は、前記主たる固体廃棄物容器(126)よりも下に置かれ、
前記補助固体廃棄物容器(100)は
、側壁(102)と、固体廃棄物(124)が跳ね返って前記補助固体廃棄物容器(100)から飛び出すことを防止するための変形可能な衝撃吸収部材(116)とを備え、
前記側壁(102)は、上端(104)と
、下端(106)
、前記上端(104)と前記下端(106)との間において、前記側壁(102)の高さの上半分内の位置に設けられるリム(112)とを有し、
前記衝撃吸収部材(116)は、前記側壁(102)の間に拡が
るプレート(118)に形成され、前記下端(106)から前記上端(104)へ向かう方向に対して
、前記下端(106)から離間するように
、前
記リム(112)
の上に置かれ、前記衝撃吸収部材(116)より下に、エアクッションが形成され、
前記衝撃吸収部材(116)は、前記分析器(120)の固体廃棄物(124)からの衝撃を吸収するように構成されている、分析器(120)。
【請求項2】
前記衝撃吸収部材(116)は、前記側壁(102)の高さの上半分(114)内の位置で前記側壁(102)と接続されている、請求項1に記載の分析器(120)。
【請求項3】
前記衝撃吸収部材(116)は減衰特性を有する、請求項1または2に記載の分析器(120)。
【請求項4】
前記減衰特性は、固体廃棄物(124)の種類、固体廃棄物(124)の重さ、および、前記分析器(120)内での落下高さに基づいて調整される、請求項3に記載の分析器(120)。
【請求項5】
前記衝撃吸収部材(116)は、前記分析器(120)の固体廃棄物(124)からの衝撃を吸収するために変形可能である、請求項1~4のいずれか1項に記載の分析器(120)。
【請求項6】
前記衝撃吸収部材(116)は、除菌可能、および/または、オートクレーブ可能な材料からなる、請求項1~5のいずれか1項に記載の分析器(120)。
【請求項7】
前記衝撃吸収部材(116)は、少なくとも一部が、樹脂または金属からなる、請求項1~6のいずれか1項に記載の分析器(120)。
【請求項8】
前記衝撃吸収部材(116)は、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレートおよびアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1つからなる、請求項1~7のいずれか1項に記載の分析器(120)。
【請求項9】
前記衝撃吸収部材(116)は、0.25mm~3.0mmの範囲の厚さを備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の分析器(120)。
【請求項10】
前記補助固体廃棄物容器(100)は、前記分析器(120)内で、前記分析器(120)の主たる固体廃棄物容器(126)を受容するための区画(136)より重力方向に対して下の位置に配置されている、請求項1~
9のいずれか1項に記載の分析器(120)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析器の固体廃棄物用の補助固体廃棄物容器、分析器、および分析器の固体廃棄物の除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の分析器は、自動試料処理システムを基礎としている。このようなシステムにより、試料処理量は大きく増加し、手作業の必要が減少し、試料処理中のオペレータの「非拘束時間(walk-away time)」の有効利用が見込まれる。
【0003】
このような分析器では、作業中にピペットの先端や反応容器等の多くの消耗品が用いられる。消耗品は、一度使用されると、1つまたは2つ以上の固体廃棄物容器に廃棄され得る。
【0004】
一杯になった固体廃棄物容器を交換する際の、操作の妨げを防ぐことにより、分析器が連続的に操作されれば有利である。この問題を解決する一つの方法は、一方の固体廃棄物容器が一杯になる際に、消耗品の廃棄物を一方の固体廃棄物容器から他方の廃棄物容器へと送るために、2つの固体廃棄物容器を用いることである。これにより、作業の妨げとなることなく、一杯になった固体廃棄物容器を置き換えることができる。しかしながら、この配置では、同じサイズの2つの固体廃棄物容器を受容するためのより大きな空間が必要とされ、分析器の設置面積とサイズを増加させることなく利用することはほぼできない。
【発明の概要】
【0005】
高さを減らし、主たる固体廃棄物容器より固体廃棄物を受容する容量が小さい補助固体廃棄物容器が本明細書で紹介される。補助固体廃棄物容器は、例えば、主たる固体廃棄物容器よりも下に置かれてもよい。この配置により、固体廃棄物は主たる固体廃棄物容器内に主に収集され、一杯になった主たる固体廃棄物容器が交換される時間の間だけ、補助固体廃棄物容器に収集される。主たる固体廃棄物容器が排出されて分析器内に再び挿入されると直ぐに、固体廃棄物は、補助固体廃棄物容器ではなく、主たる固体廃棄物容器に再び収集される。このように、固体廃棄物のために要求される空間が最小化される。固体廃棄物が感染性の物質を含む可能性があり、固体廃棄物が補助廃棄物容器内に残留しなければ分析器の汚染の危険があるが、補助固体廃棄物容器のデザインにより、補助固体廃棄物容器に落下した固体廃棄物が跳ね返って補助廃棄物容器から飛び出すこと、および、分析器の内部の無作為な位置のまま残留することもまた防止される。
【0006】
特に、本開示は、分析器の固体廃棄物用の補助固体廃棄物容器、分析器、分析器の固体廃棄物を除去する方法であって、分析器内で一度廃棄された固体廃棄物が補助固体廃棄物容器内に残留し、そこから跳ね返らないことを保証する構成を提供するものである。
【0007】
分析器の固体廃棄物用の補助固体廃棄物容器、分析器、分析器の固体廃棄物を除去する方法の実施形態は、独立クレームの特徴を有する。さらに、本発明の実施形態であって、単独の形式、または、いかなる任意の組み合わせでも実現されてよいものは、従属クレームに挙げられる。
【0008】
以下で用いられるように、「有する」、「備える」、または、「含む」という用語、または、いかなる任意の文法的な変形も、非限定的な方法で用いられる。従って、これらの用語は、これらの用語により導入される特徴はさておき、その前後に記載される全体に更なる特徴がない状況か、1以上の更なる特徴がある状況の両方を意味してもよい。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、および、「AはBを含む」という表現は、Bの他に、他の要素がAに存在しない(即ち、Aは単独かつ限定的にBからなるという状況)という状況と、Bの他に、要素C、要素CとD、または、更なる要素といった1以上の更なる要素がA全体にあるという状況の両方を意味してもよい。
【0009】
更に、「少なくとも1つ」、「1つまたは2つ以上」という用語、または、ある特徴または要素が典型的に一度または二度以上あってもよいことを示す同様の表現は、それぞれの特徴または要素を導入する際に一度だけ用いられることに留意すべきである。以下では、多くの場合、それぞれの特徴または要素に言及する場合、それぞれの特徴または要素が一度または二度以上あってもよいという事実とは無関係に、「少なくとも1つ」、「1つ以上」という用語は繰り返されない。
【0010】
更に、以下で用いられるように、「好ましくは」、「より好ましくは」、「具体的には」、「より具体的には」、「厳密には」、「より厳密には」または同様の用語は、代替の可能性を限定せずに選択的な特徴とともに用いられる。従って、これらの用語により導入される特徴は、選択的な特徴であって、クレームの範囲を限定することを何ら意図していない。この発明は、当業者が認識するように、代替的な特徴を用いることにより実施されてもよい。同様に、「本発明の実施形態において」、または、同様の表現によって導入される特徴は選択的な特徴であることを意図しており、本発明の選択的な特徴に関して限定するものではなく、本発明の範囲に関して限定するものではなく、本発明の他の選択的なまたは非選択的な特徴による方法で導入された特徴の組合せの可能性に関して限定するものではない。
【0011】
開示された補助固体廃棄物容器は、側壁と衝撃吸収部材とを備えている。側壁は上端と下端とを有している。衝撃吸収部材は、側壁の間に拡がり、下端から上端へ向かう方向に対して下端から離間するように側壁と接続されている。衝撃吸収部材は、分析器の固体廃棄物からの衝撃を吸収するように構成されている。
【0012】
本明細書で用いられる「補助固体廃棄物容器」という用語は、補助的または一時的に固体廃棄物を収集するためだけに用いられ、固体廃棄物を主に収集するために用いられない固体廃棄物容器を意味している。換言すれば、補助固体廃棄物容器は、固体廃棄物を主に収集する主たる固体廃棄物容器の交換中に固体廃棄物を収集するために限定的に用いられる固体廃棄物容器である。
【0013】
ここで用いられる「固体廃棄物」という用語は、ピペットの先端、例えばキュベットなどの反応容器、サンプル容器、および、使い捨てで一回限り使用する製品のような、分析器の消耗品を消耗することにより生じる固体状態のいかなる種類の廃棄物をも意味している。
【0014】
本明細書で用いられる「側壁」という用語は、補助固体廃棄物容器の収容容量を側方で画定するように構成された、いかなる構造的部材をも意味している。従って、側壁は、相互に遷移するように連続的に形成された複数の側壁であってもよいし、所定容積を取り囲むロッドのようなフレームとして形成されてもよい。
【0015】
本明細書で用いられる「上端」および「下端」という用語は、重力方向に対する側壁の方向の定義を意味している。換言すれば、意図したまたは目標とする側壁の方向は、重量方向で見れば、上端が下端より上に配置されるようになっている。
【0016】
ここで用いられる「接続された」という用語は、衝撃吸収部材および側壁のような2つの構造的部材の、半永久的な、固定された、取り外し可能な、または、緩い接続を意味している。従って、衝撃吸収部材は、側壁に半永久的に装着されてもよいし、側壁に取り外し可能に装着されてもよいし、側壁に対して置かれるように緩く装着されてもよい。
【0017】
衝撃吸収部材は、側壁の下端に平行な平面から所定距離に配置されているので、衝撃吸収部材は、少なくとも一部が、側壁の下端と平行な平面の方へ撓んだり変形することによって、固体廃棄物からの衝撃を吸収し得る。従って、衝撃吸収部材は、ジャンピングシートや救助用ネットと同様の特性を有する。これにより、固体廃棄物が、補助固体廃棄物容器から離れるように跳ね返ることを防止する。
【0018】
補助固体廃棄物容器は、更に、側壁がその下端と接続される底部を備えてもよい。従って、補助固体廃棄物容器はごみ箱やごみ皿と同様に形成されてもよい。
【0019】
側壁の上端は、開口を定め、この開口を通して固体廃棄物が補助固体廃棄物容器に廃棄されてもよい。従って、固体廃棄物は、補助固体廃棄物容器に落下し、衝撃吸収部材に受容され得る。
【0020】
衝撃吸収部材は、下端と反対側の、側壁の高さの上半分または上部の3分の1の間の位置で側壁と接続されてもよい。従って、衝撃吸収部材は、下端よりも上端近傍に配置されてもよく、これは、衝撃吸収特性を向上させる。
【0021】
衝撃吸収部材は、底部と対向する側壁のリムと接続されてもよい。従って、衝撃吸収部材は、その外縁で確実に支持され得る。
【0022】
衝撃吸収部材は、減衰特性を有してもよい。従って、衝撃吸収部材は、固体廃棄物が補助固体廃棄物容器から跳ね返ることを確実に防止するように、固体廃棄物からの衝撃を減衰してもよい。
【0023】
減衰特性は、固体廃棄物の種類、固体廃棄物の重さおよび分析器内での落下高さに基づいて調整されてもよい。従って、衝撃吸収部材は、意図した適用目的に応じて個別に構成されてもよい。
【0024】
衝撃吸収部材は、分析器の固体廃棄物からの衝撃を吸収するように変形可能であってもよい。例えば、衝撃吸収部材は、弾性的に変形可能であってもよい。従って、これは、衝撃波の消散が可能な衝撃吸収部材の下での材料、形状およびエアクッションを組み合わせた効果である。
【0025】
衝撃吸収部材は、除菌可能、および/または、オートクレーブ可能な材料からなってもよい。従って、衝撃吸収部材は、適切にクリーニングされるだけでなく、除菌可能、および/または、オートクレーブ可能であってもよい。これにより、固体廃棄物から排出されるいかなる感染性の物質に起因するいかなる汚染をも防止されるであろう。
【0026】
衝撃吸収部材は、少なくとも一部が、好ましくは全体が、樹脂または金属からなってもよい。従って、衝撃吸収部材は、費用効率が良い方法で製造されてもよい。
【0027】
衝撃吸収部材は、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレートおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも1つからなってもよい。この一覧は、網羅的なものではない。従って、衝撃吸収部材は、複数の材料から選択された材料からなってもよい。
【0028】
衝撃吸収部材は、側壁に取り外し可能に装着されてもよい。従って、衝撃吸収部材は、材料に応じて、クリーニング、除菌、オートクレーブ、および/または、メンテナンスの目的のために側壁から取り外されてもよい。クリーニング、除菌、オートクレーブの代わりに、衝撃吸収部材を使い捨てて新品に置き換えてもよい。
【0029】
衝撃吸収部材は、0.25mm~3.0mmの範囲の厚さを備えてもよい。実施形態によれば、厚さは、0.5mm~2.5mmの範囲である。実施形態によれば、厚さは0.75mm~2.0mmの範囲である。従って、衝撃吸収部材は、むしろ薄く形成され得る。
【0030】
衝撃吸収部材は、プレート、シート、箔または網であってもよい。従って、様々な異なる種類の衝撃吸収部材が補助固体廃棄物容器に用いられてもよい。
【0031】
補助固体廃棄物容器は、分析器内で分析器の主たる固体廃棄物容器を受容するための区画より重力方向に対して下の位置に配置されるように構成されてもよい。従って、補助固体廃棄物容器は、コンパクトに配置され得る。
【0032】
更に、分析器が開示される。分析器は、消耗品を用いるように構成された分析装置、主たる固体廃棄物容器、および、上述した補助固体廃棄物容器を備えている。従って、分析器は、連続的に操作され得る。また、補助固体廃棄物容器は、固体廃棄物が補助固体廃棄物容器から跳ね返るおそれがないように、主たる固体廃棄物容器の交換の間に用いられてもよい。
【0033】
本明細書で用いられる「分析器」という用語は、測定値を得るように構成された、任意の装置、または、装置の構成要素をも意味する。分析器は、様々な化学的、生物学的、物理的、光学的、または、他の技術的方法によりサンプルやその成分のパラメータ値を判定するために操作可能である。分析器は、サンプル、または、少なくとも1つの分析物のパラメータを測定し、その得られた測定値を戻すように操作可能であってもよい。この目的のために、分析器は、分析装置を備えている。分析器により戻される、可能性のある分析結果としては、サンプル中の分析物の濃度、サンプル中の分析物の存在を示すデジタル(イエス、または、ノー)結果(検出レベルを超えた濃度に対応)、光学的パラメータ、DNAまたはRNA配列、タンパク質または代謝物質の質量分析から得られたデータ、および、様々な種類の物理的または化学的パラメータが挙げられる。分析器は、サンプルおよび/または試薬のピペット操作、投与および混合ユニットを備えてもよい。分析器は、試薬を保持して分析試験を実行するための試薬保持ユニットを備えてもよい。試薬は、保管区画またはコンベヤ内の適切な受容部または位置に置かれて、例えば、個別または群の試薬を含んだ容器またはカセットの形態で配置されてもよい。分析器は、消耗品供給ユニットを備えてもよい。分析器は、ワークフローがある種類の分析に対して効率的となる工程および検出システムを備えてもよい。そのような分析器の例としては、化学的または生物学的な反応の結果を検出し、または、化学的または生物学的な反応の進行をモニターする、臨床化学分析器、凝固化学分析器、免疫化学分析器、尿分析器、核酸分析器である。
【0034】
補助固体廃棄物容器は、分析器内で分析器の主たる固体廃棄物容器を受容するための区画より重力方向に対して下の位置に配置されてもよい。従って、補助固体廃棄物容器は、分析器内で、コンパクトに配置され得る。
【0035】
更に、分析器の固体廃棄物を除去する方法が開示される。この方法は、分析器の主たる固体廃棄物容器を受容するための区画内に主たる固体廃棄物容器を配置すること、分析器内で、主たる固体廃棄物容器を受容するための区画より下方の位置に、上述の補助固体廃棄物容器を配置すること、主たる固体廃棄物容器内に、所定量まで固体廃棄物を収集すること、主たる固体廃棄物容器内に、所定量まで固体廃棄物が収集されると、主たる固体廃棄物容器を区画から取り除くこと、主たる固体廃棄物容器を区画から取り除く間に、補助固体廃棄物容器内に固体廃棄物を収集することを備える。
【0036】
固体廃棄物は、衝撃吸収部材上に落下することにより、補助固体廃棄物容器内に収集されてもよい。従って、固体廃棄物が衝撃吸収部材により補助固体廃棄物容器から跳ね出ないので、固体廃棄物は、衝撃吸収部材上に落下した時に衝撃吸収材上にそのまま残留する。
【0037】
この方法は、更に、主たる固体廃棄物容器の中に収集された固体廃棄物を排出すること、および、固体廃棄物が主たる固体廃棄物から排出された後に、区画に主たる固体廃棄物容器を配置することを備えてもよい。従って、主たる固体廃棄物容器は、交換されてもよく、その間に、固体廃棄物を補助固体廃棄物容器内に収集することができる。
【0038】
この方法は、更に、排出済みの主たる固体廃棄物容器を区画に配置した後に、固体廃棄物を主たる固体廃棄物容器内に収集することを備えてもよい。従って、主たる固体廃棄物容器は、固体廃棄物が排出された後、再度使用され得る。
【0039】
固体廃棄物は、主たる固体廃棄物容器が区画から取り除かれる間に限って、補助固体廃棄物容器内に収集されてもよい。従って、補助固体廃棄物容器は、短時間だけ使用されるので、幾分小さいサイズとされてもよい。
【0040】
この方法は、更に、排出済みの主たる固体廃棄物容器を区画に配置した後に、補助固体廃棄物容器内に収集された固体廃棄物を排出することを備えてもよい。
【0041】
この方法は、更に、補助固体廃棄物容器内に収集された固体廃棄物を排出した後に、衝撃吸収部材を除菌、および/または、オートクレーブすることを備えてもよい。
【0042】
本開示の知見を要約すると、以下の実施形態が開示されている。
【0043】
実施形態1:分析器の固体廃棄物用の補助固体廃棄物容器であって、前記補助固体廃棄物容器が、側壁と、衝撃吸収部材とを備え、前記側壁は、上端と下端とを有し、前記衝撃吸収部材は、前記側壁の間に拡がり、前記下端から前記上端へ向かう方向に対して前記下端から離間するように前記側壁と接続され、前記衝撃吸収部材は、前記分析器の固体廃棄物からの衝撃を吸収するように構成されている、補助固体廃棄物容器。
【0044】
実施形態2:前記衝撃吸収部材は、更に、前記側壁が前記側壁の前記下端で接続される底部を備える、実施形態1に記載の補助固体廃棄物容器。
【0045】
実施形態3:前記側壁の前記上端は開口を画定し、前記開口を通して前記固体廃棄物が前記補助固体廃棄物容器に廃棄可能である、実施形態1または2に記載の補助固体廃棄物容器。
【0046】
実施形態4:前記衝撃吸収部材は、前記側壁の高さの上半分内であって前記底部と対向する位置で前記側壁と接続されている、実施形態1~3のいずれか1つに記載の補助固体廃棄物容器。
【0047】
実施形態5:前記衝撃吸収部材は、前記底部に対向する、前記側壁のリムと接続されている、実施形態1~4のいずれか1つに記載の補助固体廃棄物容器。
【0048】
実施形態6:前記衝撃吸収部材は、減衰特性を有する、実施形態1~5に記載のいずれか1つの補助固体廃棄物容器。
【0049】
実施形態7:前記減衰特性は、前記固体廃棄物の種類、前記固体廃棄物の重さ、および、前記分析器内での落下高さに基づいて調整される、実施形態6に記載の補助固体廃棄物容器。
【0050】
実施形態8:前記衝撃吸収部材は、前記分析器の前記固体廃棄物からの衝撃を吸収するために変形可能である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の補助固体廃棄物容器。
【0051】
実施形態9:前記衝撃吸収部材は、弾性的に変形可能である、実施形態8に記載の補助固体廃棄物容器。
【0052】
実施形態10:前記衝撃吸収部材は、除菌可能、および/または、オートクレーブ可能な材料からなる、実施形態1~9のいずれか1つに記載の補助固体廃棄物容器。
【0053】
実施形態11:前記衝撃吸収部材は、少なくとも一部が、好ましくは全体が、樹脂または金属からなる、実施形態1~10のいずれか1つに記載の補助固体廃棄物容器。
【0054】
実施形態12:前記衝撃吸収部材は、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレートおよびアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1つからなる、実施形態1~10のいずれか1つに記載の補助固体廃棄物容器。
【0055】
実施形態13:前記衝撃吸収部材は、前記側壁に取り外し可能に接続されている、実施形態1~12のいずれか1つに記載の補助固体廃棄物容器。
【0056】
実施形態14:前記衝撃吸収部材は、0.25mm~3.0mm、好ましくは0.5mm~2.5mm、より好ましくは0.75mm~2.0mmの範囲の厚さを備える、実施形態1~13のいずれか1項に記載の補助固体廃棄物容器。
【0057】
実施形態15:前記衝撃吸収部材は、プレート、シート、箔または網である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の補助固体廃棄物容器。
【0058】
実施形態16:前記補助固体廃棄物容器は、前記分析器内で、前記分析器の主たる固体廃棄物容器を受容するための区画より重力方向に対して下の位置に配置されるように構成されている、実施形態1~15のいずれか1つの補助固体廃棄物容器。
【0059】
実施形態17: 消耗品を用いるように構成された分析装置と、主たる固体廃棄物容器と、実施形態1~16のいずれか1つに記載の補助固体廃棄物容器とを備えた、分析器。
【0060】
実施形態18:前記補助固体廃棄物容器は、前記分析器内で前記分析器の主たる固体廃棄物容器の受容するための区画より重力方向に対して下の位置に配置される、実施形態17に記載の分析器。
【0061】
実施形態19:分析器の固体廃棄物を除去する方法であって、前記方法が、分析器の主たる固体廃棄物容器を受容するための区画内に主たる固体廃棄物容器を配置すること、前記分析器内で、前記主たる固体廃棄物容器を受容するための区画より下方の位置に、実施形態1~16のいずれか1つに記載の補助固体廃棄物容器を配置すること、前記主たる固体廃棄物容器内に、所定量まで固体廃棄物を収集すること、前記主たる固体廃棄物容器内に、所定量まで固体廃棄物が収集されると、前記主たる固体廃棄物容器を前記区画から取り除くこと、前記主たる固体廃棄物容器を前記区画から取り除く間に、前記補助固体廃棄物容器内に固体廃棄物を収集することを備える方法。
【0062】
実施形態20:前記固体廃棄物は、前記衝撃吸収部材上に落下することにより、前記補助固体廃棄物容器内に収集される、実施形態19に記載の方法。
【0063】
実施形態21:更に、前記主たる固体廃棄物容器の中に収集された前記固体廃棄物を排出すること、および、前記固体廃棄物を主たる固定廃棄物容器から廃棄した後、前記主たる固体廃棄物容器を前記区画に配置することを備える、実施形態19または20に記載の方法。
【0064】
実施形態22:更に、排出済みの前記主たる固体廃棄物容器を前記区画に配置した後に、前記固体廃棄物を前記主たる固体廃棄物容器内に収集することを備える、実施形態21に記載の方法。
【0065】
実施形態23:前記固体廃棄物は、前記主たる固体廃棄物容器が前記区画から取り除かれる間に限って、前記補助固体廃棄物容器内に収集される、実施形態19~22のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
実施形態24:更に、排出済みの前記主たる固体廃棄物容器を前記区画に配置した後に、前記補助固体廃棄物容器内に収集された前記固体廃棄物を排出することを備える、実施形態19~23のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
実施形態25:更に、前記補助固体廃棄物容器内に収集された前記固体廃棄物を排出した後に、前記衝撃吸収部材を除菌、および/または、オートクレーブすることを備える、実施形態19~24のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
本発明の更なる特徴および実施形態が、これより後の明細書において、特に、従属実施形態と共に、より詳細に開示される。この中において、対応する特徴は、当業者に理解されるように、単独の形式、または、いかなる任意で可能な組み合わせでも実現されてもよい。実施形態は、図中で模式的に描かれている。この中で、図中で同じ符号は、同じ要素または機能的に同じ要素であることを意味している。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】
図1は、補助固体廃棄物容器の斜視図を示している。
【
図2】
図2は、第1の操作状態の分析器を示している。
【
図3】
図3は、第2の操作状態の分析器を示している。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1は、補助固体廃棄物容器100の斜視図を示している。補助固体廃棄物容器100は、側壁102を備えている。側壁102は、上端104および下端106を有している。補助固体廃棄物容器100は、側壁102がその下端106で接続する底部108を更に備えている。側壁102の上端104は、開口110を画定する。
図1に示される典型的な実施形態では、補助固体廃棄物容器100は、平面視で、略矩形の配列で配置された4つの連続した側壁102を備えている。具体的には、4つの側壁102は互いへと遷移している。更に、側壁102は、底部108へと遷移している。従って、側壁102および底部108は、統合的または一体に形成されてもよい。側壁102は、更に、リム112を備えている。リム112は、側壁102の高さ114の上半分内であって底部108と対向する位置に位置付けられている。例えば、リム112は、側壁102の高さ114の上部の3分の1の位置に形成されている。
【0071】
補助固体廃棄物容器100は、更に、衝撃吸収部材116を備えている。衝撃吸収部材116は、0.25mm~3.0mm、好ましくは0.5mm~2.5mm、より好ましくは1.0mm等の0.75mm~2.0mmの範囲の厚さを備えている。
図1に示される典型的な実施形態では、衝撃吸収部材116は、プレート118である。平面図で見れば、プレート118は、略矩形の形状を備えている。或いは、衝撃吸収部材116は、シート、箔、または網であってもよい。衝撃吸収部材116は、除菌可能、および/または、オートクレーブ可能な材料からなる。具体的には、衝撃吸収部材116は、少なくとも一部が、好ましくは全体が、樹脂または金属からなる。より具体的には、衝撃吸収部材116は、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリテトラフルオロエチレン(Teflon)、ポリエチレンテレフタレート(PET)および例えば、アルミニウム箔のような金属箔からなる群より選ばれる少なくとも1つからなる。この一覧は網羅的なものではない。
図1に示される典型的な実施形態では、衝撃吸収部材116は、ポリプロピレンからなる。衝撃吸収部材116は、減衰特性を有している。衝撃吸収部材116は、弾性的に変形可能である。
【0072】
衝撃吸収部材116は、側壁102の間に拡がり、下端106から上端104へ向かう方向に対して、下端106から離間するように側壁102と接続されている。衝撃吸収部材116は、側壁102の高さ114の上半分内であって底部108と対向する位置で側壁102に接続されている。具体的には、衝撃吸収部材116は、側壁102に取り外し可能に接続されている。衝撃吸収部材116は、側壁102のリム112に接続されている。例えば、衝撃吸収部材116はリム112上に置かれる。
【0073】
図2は、第1の操作状態の分析器120を示している。分析器120は、キュベットのような消耗品を使用するように構成された分析装置112を備えている。分析器120は、上述のように、更に、主たる固体廃棄物容器126および補助固体廃棄物容器100を備えている。使用後には、消耗品は、分析器120の固体廃棄物124となる。主たる固体廃棄物容器126は、略直方体の形状を有している。例えば、主たる固体廃棄物容器126は、ごみ箱またはごみバケツと同様に形成されている。具体的には、主たる固体廃棄物容器126は、補助固体廃棄物容器100よりも大きな固体廃棄物124の容量を備えている。主たる固体廃棄物容器126は、その上端130に蓋またはカバー128を備えている。カバー128は、開口132を備えており、開口132を通して、固体廃棄物124が、主たる固体廃棄物容器126に廃棄される。具体的には、固体廃棄物124は、排出管134から主たる固体廃棄物容器126に落下されてもよい。
【0074】
補助固体廃棄物容器100は、分析器120内で主たる固体廃棄物容器126を受容するための区画136よりも重力方向に対して下の位置に配置されるように構成されている。このような理由で、補助固体廃棄物容器100の側壁102の高さ114は幾分低く、具体的には、主たる固体廃棄物容器126の高さ138よりも著しく低くなっている。第1の操作状態では、主たる固体廃棄物容器126は、区画136内に受容される。固体廃棄物124は、主たる固体廃棄物容器126に収集される。具体的には、固体廃棄物124は、開口132を通して主たる固体廃棄物容器126に廃棄可能である。
【0075】
図3は、第2の操作状態の分析器120を示している。第2の操作状態では、主たる固体廃棄物容器126は区画136から取り外されている。例えば、主たる固体廃棄物容器126は、引き出し状の機構によって区画136から引き出されてもよく、一方、補助固体廃棄物容器100はそのままの場所に留まっている。固体廃棄物124は、排出管134から落下し続けてもよく、補助固体廃棄物容器100内に収集され得る。具体的には、固体廃棄物124は、開口110を通して補助固体廃棄物容器100内に廃棄可能である。衝撃吸収部材116は、分析器120の固体廃棄物124からの衝撃を吸収するように構成されている。上述したように、衝撃吸収部材116は、減衰特性を有している。固体廃棄物124の種類、固体廃棄物124の重さおよび分析器120内での落下高さに基づいて、減衰特性を調整することができる。例えば、固体廃棄物124の重さが大きく、落下高さが大きければ、衝撃吸収部材116の変形能および衝撃吸収部材116と側壁102の下端106との間の距離をより大きくする。
【0076】
以下、
図2および3を参照し、分析器120の固体廃棄物124の除去方法を説明する。主たる固体廃棄物容器126は、分析器120の主たる固体廃棄物容器126を受容するための区画136の範囲内に配置されている。補助固体廃棄物容器100は、分析器120内で主たる固体廃棄物容器126を受容するための区画136よりも下方の位置に配置されている。従って、分析器120は、
図2に示す第1の操作状態である。分析器120および分析装置122の操作中、消耗品124は使用され、その後、固体廃棄物124となる。固体廃棄物124は、所定量まで主たる固体廃棄物容器126内に収集される。具体的には、固体廃棄物124は、排出管134から落下され、主たる固体廃棄物容器126のカバー128の開口132を通して主たる固体廃棄物容器126に廃棄される。例えば、固体廃棄物124は、主たる固体廃棄物容器126が一杯になるまで主たる固体廃棄物容器126内に収集される。
【0077】
固体廃棄物124が所定量まで収集されると、主たる固体廃棄物容器126は区画から取り外される。従って、分析器120は、
図3に示す第2の操作状態となる。分析器120が連続的に操作されると、固体廃棄物124も同様に連続的に生成される。主たる固体廃棄物容器126が区画136から取り外されると、固体廃棄物124は、補助固体廃棄物容器100内に収集される。具体的には、固体廃棄物124は、排出管134から衝撃吸収部材116上に落下することにより、補助固体廃棄物容器100内に収集される。衝撃吸収部材116は、減衰特性を有しているので、衝撃吸収部材116上に一度落下した固体廃棄物124は、その上にそのまま残留し、補助固体廃棄物100から外へと跳ね返らない。これは、薄さと柔軟性といったような材料および形状と、衝撃波の消散が可能な衝撃吸収部材の下でのエアクッションとを組み合わせた効果である。
【0078】
主たる固体廃棄物容器126内に収集された固体廃棄物124が排出され、固体廃棄物124が主たる固体廃棄物容器126から排出された後、主たる固体廃棄物容器126は、区画136に配置または再挿入される。排出済みの主たる固体廃棄物容器126が、区画136内に配置された後、固体廃棄物124は、再び主たる固体廃棄物容器126内に収集される。従って、固体廃棄物124は、主たる固体廃棄物容器126が区画136から取り外されている間、補助固体廃棄物容器100に収集される。
【0079】
更に、補助固体廃棄物容器100内に収集された固体廃棄物124は、排出済みの主たる固体廃棄物容器126が区画136に配置された後に、排出されてもよい。補助固体廃棄物容器100内に収集された固体廃棄物124を排出した後に、衝撃吸収部材116は、クリーニングされてもよい。更に、補助固体廃棄物容器100内に収集された固体廃棄物124を排出した後に、衝撃吸収部材116は、除菌、および/または、オートクレーブされてもよい。
【符号の説明】
【0080】
100 補助固体廃棄物容器
102 側壁
104 上端
106 下端
108 底部
110 開口
112 リム
114 高さ
116 衝撃吸収部材
118 プレート
120 分析器
122 分析装置
124 固体廃棄物
126 主たる固体廃棄物容器
128 カバー
130 上端
132 開口
134 排出管
136 区画
138 高さ