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特許7161325MEMS共振センサアレイのための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】MEMS共振センサアレイのための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/02 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
G01J1/02 C
G01J1/02 Q
【請求項の数】 3
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018128089
(22)【出願日】2018-07-05
(65)【公開番号】P2019035739
(43)【公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-06-29
(31)【優先権主張番号】15/673,553
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ティン
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0286161(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0217399(US,A1)
【文献】特開2012-257246(JP,A)
【文献】特開2005-043148(JP,A)
【文献】特表2009-533680(JP,A)
【文献】特表2014-524579(JP,A)
【文献】特表2001-516441(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0264325(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00 - G01J 1/60
G01J 5/00 - G01J 5/90
G01J 11/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的チャープ信号を発生させるように構成された信号発生器システム(312)と、
検出器システム(316)と、
前記信号発生器システム及び前記検出器システムに結合された少なくとも2つの微小電気機械システム(MEMS共振センサを備えたMEMS共振センサアレイ(300)であって、各MEMS共振センサは共振器(202)上に吸収体(204)を備え、前記共振器は圧電材料を含み、前記吸収体は、入射赤外線放射を吸収し、吸収された入射赤外線放射を熱に変換し、前記共振器(202)の共振周波数を変更するように構成され、前記少なくとも2つのMEMS共振センサの各々は前記周期的チャープ信号を受信するように構成される、MEMS共振センサアレイ(300)と、
前記検出器システムに結合された処理システム(318)と
前記処理システムに結合されたシャッタシステムであって、作動されると、前記MEMS共振センサアレイを前記入射赤外線放射から絶縁するように構成される、シャッタシステムと
を備える、装置であって、
前記装置が、前記MEMS共振センサアレイ(300)における各画素の共振周波数を決定するように構成され、
前記装置が、前記シャッタシステムが作動されたときに、前記少なくとも2つのMEMS共振センサの各々に対する基準共振周波数を決定するように構成され、
前記処理システム(318)は、前記決定された共振周波数と決定された基準共振周波数との間の差に基づいて、各画素に入射する赤外線放射パワーを決定するように構成される、装置。
【請求項2】
前記吸収体は誘電体である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記周期的チャープ信号は、対応する周期中に周波数が線形的に増加する、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、MEMS共振センサアレイのための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0001]非冷却赤外線(IR)センサアレイは、環境赤外線放射を測定し、暗視ゴーグルなどの画像センサに使用される。非冷却赤外線センサアレイは、非冷却IRセンサから形成される。マイクロボロメータは、従来の非冷却IRセンサである。マイクロボロメータは、ジョンソン、フリッカ、及び熱揺らぎ雑音のため相対的に高い雑音レベルを有する。そのような高い雑音レベルは、マイクロボロメータを限定し、したがって、IRセンサアレイ、感度を限定する。結果として、マイクロボロメータ及びIRセンサアレイのダイナミックレンジも限定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、増加された感度を有するIRセンサを使用する赤外線センサアレイが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
方法が提供される。方法は、周期的チャープをMEMSセンサアレイの少なくとも2つの画素に伝送するステップと、周期的チャープを受け取る各MEMS共振センサの共振周波数を決定するステップと、周期的チャープを受け取る各MEMS共振センサの共振周波数の変化を決定するステップと、周期的チャープを受け取る各画素に入射するパワー(power)レベルを決定するステップとを含む。一実施形態において、方法は、MEMSセンサアレイを較正するステップをさらに含む。別の実施形態において、較正するステップは、各MEMS共振センサに対する基準共振周波数を発生させるステップを含む。他の実施形態において、パワーレベルを決定するステップは、決定された共振周波数と基準共振周波数との間の差を決定するステップを含む。
【0005】
[0002]図面は例示的な実施形態だけを示し、したがって、範囲を限定するとみなしてはならないことを理解し、例示的な実施形態を、添付の図面の使用により、さらに具体的及び詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】[0003]MEMS赤外線共振センサのアレイの一実施形態を示す平面図である。
図2】[0004]MEMS赤外線共振センサの一実施形態を示す断面図である。
図3A】[0005]MEMS赤外線共振センサアレイシステムの一実施形態を示す図である。
図3B】[0006]画素の共振周波数の一実施形態を示すグラフである。
図4】[0007]検出器の一実施形態を示す図である。
図5】[0008]センサアレイの上のシャッタシステムを示す図である。
図6】[0009]MEMS赤外線センサアレイの動作の方法の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0010]一般的なやり方に従って、様々な説明される特徴は縮尺どおりではなく、例示的な実施形態に関連した特定の特徴を強調するようによう描かれている。参照文字は図及び本文全体にわたって同じ要素を表す
[0011]以下の詳細な説明において、本明細書の一部を形成し、例示により特定の例示的な実施形態が示される添付の図面を参照する。しかし、他の実施形態を利用することができ、構造的、機械的、及び電気的変更を加えることができることを理解されたい。さらに、図面の図及び明細書に提示される方法は、個々のステップを実施することができる順序を限定すると解釈してはならない。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で理解してはならない。
【0008】
[0012]微小電気機械システム(MEMS:micro-electro-mechanical system)赤外線(IR:infrared)共振センサは、上記の問題を克服するのに使用することができる。MEMS IRセンサの実施形態は、より低い雑音という少なくとも1つの利点を有する。MEMS IR共振センサは、熱揺らぎ雑音だけに制限されるので、より低い雑音を有する。MEMS IR共振センサは、教育上の目的で例示されるが、本明細書に説明する実施形態は、MEMS共振センサ(及びMEMS共振センサのアレイ)に適用可能である。MEMS共振センサは、共振周波数が、対象の入射信号の量に基づいて変動するセンサであり、赤外線センサ、質量センサ、ガスセンサ、温度センサ、慣性センサ、及び磁気センサを含むが、それらに限定されない。
【0009】
[0013]図1は、MEMS赤外線共振センサのアレイ(センサアレイ)100の一実施形態の平面図を示す。例示される実施形態において、アレイ100は、M行及びN列を有し、合計が、画素Pl,1からPM,Nまでとして示すN画素のM倍である。各MEMS赤外線共振センサは、本明細書では画素Pと表すことができる。別の実施形態において、M及びNのそれぞれは、1よりも大きい。
【0010】
[0014]図2は、MEMS赤外線共振センサ200の一実施形態の断面図を示す。MEMS赤外線共振センサ200は、共振器202と吸収体204とを備える。別の実施形態において、共振器202は、バルクモード圧電体(例えば、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、Yカット水晶、及びニオブ酸リチウム)など、機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する(逆も同様である)材料を含む。MEMS赤外線共振センサ200は、共振器202の寸法及び温度に依存する共振周波数で共振する。
【0011】
[0015]一実施形態において、吸収体204は、例えば、IR波長、エネルギーを吸収し、熱を発生し、したがって、共振器202の温度を上昇させる誘電体(例えば、ポリマー)である。その温度の変化により、MEMS赤外線共振センサ200の共振周波数が変化する。別の実施形態において、吸収体204は、従来の半導体製造技法を使用して共振器202上に堆積される。
【0012】
[0016]図3Aは、MEMS赤外線共振センサアレイシステム(センサシステム)330の一実施形態を示す。センサシステム330は、信号発生器システム312及び検出システム314に結合されたMEMS赤外線共振センサのアレイ(センサアレイ)300を含む。別の実施形態において、センサアレイ300は、図1に対して上記に説明したように実施される。
【0013】
[0017]一実施形態において、信号発生器システム312は、時間とともに周波数が増加し(例えば、800MHzから1000MHzまで)、又は時間とともに周波数が減少する、センサアレイ300におけるMEMS赤外線センサ200の動作周波数範囲で周期的周波数チャープ信号(又は周期的チャープ)を発生させる。別の実施形態において、周期的チャープは、時間とともに線形的に増加又は減少する周波数を有する。あるいは、周期的チャープは、時間とともに非線形的に増加又は減少する周波数を有する。他の実施形態において、信号発生器システム312は、センサアレイ300のすべての画素に結合された1つの信号発生器を含む。さらに別の実施形態において、信号発生器システム312は、2つ以上の信号発生器を含む。例えば、1つの信号発生器は、センサアレイ300の画素に一意的に結合することができる。
【0014】
[0018]周期的チャープを発生させる信号発生器などの信号発生器は、CMOS技術によりIR検出器と同じ基板上に製作することができる。一実施形態において、信号発生器は、555タイマ回路及び/又は演算増幅器を用いて構築される。
【0015】
[0019]周期的チャープは、センサアレイ300に伝搬される。1つ又は複数の画素Pの共振周波数は、1つ又は複数の画素Pに入射する赤外線放射によりシフトすることがある。結果として生じる、センサアレイ300からの信号出力は、シフトされた共振周波数を反映する。このセンサアレイ300からの信号出力は、例えば、信号の電圧又はパワーのピーク振幅の時間又は周波数を決定する検出器システム316に伝搬される。時間が決定された場合、それは、周期的チャープの各周波数がチャープ中の固有の時間に対応するので、周波数に変換される。
【0016】
[0020]画素Pの共振周波数のシフトをここで示す。図3Bは、画素P331の共振周波数の一実施形態を示す。第1の温度T1、例えば、室温において、MEMS赤外線センサ200の共振周波数は、fRESONANCE@T1である。IRがMEMS赤外線センサ200に入射したとき、MEMS赤外線センサ200の温度は、第2の温度T2まで上昇する。温度T2は温度T1よりも大きい。共振器202を製作するのに使用することができる材料は、共振周波数の負の温度係数を有し、第2の温度T2における共振周波数(fRESONANCE@T2)は、fRESONANCE@Tlよりも小さい。別の実施形態において、共振周波数の正の温度係数を有する材料を使用することができる。
【0017】
[0021]図3Aに戻ると、一実施形態において、検出システム314は、処理システム318に結合された検出器システム316を含む。別の実施形態において、図3Aに示すように、検出器システム316は、検出器l,l316aから検出器R,S316nまでを備えるR×S検出器のアレイを含む。センサアレイ300における各画素Pは、固有の検出器に結合される。
【0018】
[0022]図4は、検出器416xの一実施形態を示す。検出器システム316の1つ又は複数の検出器のそれぞれは、それぞれ、そのような検出器回路に入射する電圧又はパワーに関連した、例えば比例した、アナログ(電圧又は電流)信号を発生させる検出器回路416x-1を含む。別の実施形態において、アナログ/デジタル変換器(ADC)416x-2が、1つ又は複数の検出器回路の出力に結合される。他の実施形態において、マルチプレクサが、2つ以上の検出器回路の出力をADC416x-2の入力に結合することができる。各検出器回路は、連続してADC416x-2に結合される。各アナログ/デジタル変換器は、検出器回路416x-1によって発生されたアナログ信号を、デジタルシステムによって容易に処理することができるデジタル信号に変換する。
【0019】
[0023]図3Aに戻ると、代替実施形態において、検出システム316は、2つ以上の画素に結合された少なくとも1つのマルチプレクサを備える。例えば、単一のマルチプレクサを、センサアレイ300における各画素及び単一の検出器に結合することができる。マルチプレクサを使用して、検出システム316は、時間とともにすべての画素からの信号を処理することができる。
【0020】
[0024]図4に戻ると、一実施形態において、検出器416xは、積分器回路などの平均化回路416x-3を含む。平均化回路426x-3は、2つ以上の周期的チャープにわたる画素の共振周波数を平均化する。例示される実施形態において、平均化回路416は、センサアレイ300と検出器回路416x-1との間に結合される。あるいは、別の実施形態において、平均化回路416x-3は、検出器回路416x-1とADC416x-2との間に結合することができる。
【0021】
[0025]図3に戻ると、一実施形態において、例示された処理システム318は、メモリに結合されたプロセッサなどの状態機械を用いて実施される。別の実施形態において、フィールドプログラマブルゲートアレイ及び/又は特定用途向け集積回路をプロセッサ及びメモリの全部又は一部の代わりに使用することができる。他の実施形態において、メモリは、ランダムアクセスメモリ、読出し専用メモリ、フラッシュメモリ、及び/又は磁気メモリを用いて実施することができる。
【0022】
[0026]一実施形態において、処理システム318は、ピーク検出器システム318Aと、画像検出システム318Bと、計数システム318Cとを含む。別の実施形態において、ピーク検出器システム318A、画像検出システム318B、及び計数システム318Cは、処理システム318によって備えられ、実行される。他の実施形態において、計数システム318Cは、信号発生器システム312に結合される。他の実施形態において、計数システム318Cは、計数回路である。あるいは、計数システム318Cは、信号発生器システム312又は他の場所に配置することができる。計数周波数は、所望の周波数分解能、例えば、1Hz以下を提供して、MEMS赤外線共振センサの共振周波数のシフトを正確に決定するのに十分に高い。
【0023】
[0027]信号発生器システム312は、信号発生器システム312によって発生された各周期的チャープの開始から、信号を計数システム318Cに送って、カウントを、例えば、ゼロから開始するように構成される。周期的チャープが完了した後、計数システム318Cは、後続の周期的チャープの開始と同時にリセットし、カウントを例えばゼロから再開する。各カウントは、周期的チャープ内の周波数瓶、又は範囲に対応する。
【0024】
[0028]ピーク検出器システム318Aは、センサアレイ300における各画素Pの共振周波数を識別するように構成される。一実施形態において、センサアレイ300における各画素Pに対して、ピーク検出器システム318Aは、最大又はピーク、測定振幅に対応する計数システム318Cのカウントを識別し、記憶する。ピーク検出システム318Aは、公式、及び/又はピーク検出システム318Aにおけるルックアップテーブルデータベースを使用し、各画素に対する記憶されたカウントを使用して、実質的にMEMS赤外線共振センサの共振周波数である周期的チャープの対応する周波数を決定する。周期的チャープが線形である場合、共振周波数は、定数で乗算された測定カウントによって画定される。例えば、定数は、周期的チャープの周波数範囲をカウント範囲で除算されたものであるはずである。ピーク検出器システム318Aは、各画素Pに対する共振周波数を画像検出システム318Bに連絡する。
【0025】
[0029]本明細書では、データベースとは、データファイル及び/又はレジスタの使用を含む、従来のデータベース又は任意の他のデータ記憶技法を意味する。本明細書で説明する2つ以上のデータベースは、単一のデータベースに組み合わせることができる。
【0026】
[0030]代替実施形態において、ピーク検出器システム318Aは、少なくとも1つの高速フーリエ変換(FFT:fast Fourier transform)を含む(例えば、ピーク検出器システム318Aに記憶され、処理システム318によって実行される)。例えば、各チャープ周期を用いて、FFTが、各画素に対する検出器システム316の出力により実施され、データのR瓶を発生させる。各瓶は、周期的チャープの周波数範囲における周波数の範囲に対応する。別の実施形態において、各瓶の帯域幅は、Rで除算された周期的チャープの周波数範囲に等しい。Rはシステム設計者によって選択することができる。各サイクルに対して、ピーク検出器システム318Aは、最大振幅を有する瓶を決定する。さらに他の実施形態において、各周期的チャープに対して、最大振幅を有する瓶の中心周波数は、対応する画素Pの共振周波数として識別される。ピーク検出器システム318Aは、各画素Pに対する共振周波数を画像検出システム318Bに連絡する。
【0027】
[0031]画像検出システム318Bは、共振周波数シフトに基づいて各画素Pへの入射赤外線放射の振幅(例えば、パワー)を決定するように構成される。より具体的には、後で説明するように、画像検出システム318Bは、決定された共振周波数と、対応する基準共振周波数との間の差に基づいて、各画素Pに入射する赤外線放射パワーを決定するように構成される。
【0028】
[0032]一実施形態において、画像検出システム318Bは、赤外線放射が画素に何も入射しないとき、センサアレイ300の各画素Pの共振周波数を記憶する参照データベースを含む。そのような共振周波数は、基準共振周波数と呼ばれる。しかし、参照データベースは、処理システム318の他の場所に配置することができる。基準共振周波数を得る1つの方法を後で説明する。
【0029】
[0033]画像検出システム318Bは、各画素Pに対する測定された共振周波数と基準共振周波数との間の差を決定する。例えば、差は、測定された共振周波数から基準共振周波数を減算したものである。差は共振周波数シフトである。公式、及び/又は画像検出システム318Bにおけるルックアップテーブルデータベースを使用して、画像検出システム318Bは、各画素Pへの入射赤外線パワーを決定する。
【0030】
[0034]変動する環境条件(変動する温度など)又は画素Pの性能における時間変動変化(センサアレイ300の経年変化及び/又は劣化による長期画素共振周波数ドリフトなど)を補償するために、各画素Pに対する基準共振周波数は、連続的に又は周期的に再測定されなければならない。これを達成するために、一実施形態において、センサシステム330は、センサアレイ300を入射赤外線放射から絶縁するシャッタシステム530を含む。図5は、センサアレイ300の上のシャッタシステム530を示す。シャッタシステム530は、シャッタを備える。シャッタは、カメラに使用されるものと同様の電気機械式シャッタでよい。あるいは、シャッタは、例えば、液体金属、液晶、及び/又は電気的に作動させて、赤外線放射を遮断することができる他の材料から製作された電気光学シャッタでよい。別の実施形態において、シャッタシステム530は、例えば、画像検出システム318Bを用いてシャッタの開閉を制御する処理システム318に結合される。シャッタは、例えば、基準共振周波数の決定のために較正を実施するとき、閉じられる。他の実施形態において、シャッタシステム530は、処理システム318からのデジタル制御信号を、シャッタを開閉するアナログ信号に変換するために処理システム318に結合されるように構成される駆動回路を含む。
【0031】
[0035]シャッタが作動されたとき、赤外線放射は、センサアレイ300の画素Pに入射することから遮断される。各画素Pの基準共振周波数(赤外線放射がない場合)は、上記に説明した技法のうちの1つを使用して測定され、参照データベースに記憶される。一実施形態において、基準共振周波数は、環境赤外線放射の各測定の前に特徴付けられる。しかし、基準共振周波数は、それほど頻繁に特徴付けなくてよく、例えば、処理システムによって制御され、及び/又はシステム設計者によって決定されるように、必要に応じた頻度で周期的に測定することができる。
【0032】
[0036]任意選択で、一実施形態において、各画素に対する倍率を測定することができる。倍率は、各画素Pに、同一の、一定のパワーレベルの赤外線放射を入射させることによって決定される。画素が、異なる共振周波数を発生させる場合、倍率は、各画素に対して計算することができる。各画素Pに対する倍率は、例えば、検出された電圧もしくはパワーレベル又はそれぞれの画素に対応する初期に決定された共振周波数で乗算されて、同一の、一定の赤外線パワーレベルが画素Pに入射したとき、各画素に対して同じ共振周波数が確実に決定されるものとする。今後の測定のために、各画素に対する検出された電圧もしくはパワーレベル又は決定された共振周波数は、少なくとも一次まで、各画素Pが入射赤外線放射に対して同じ応答を有するように倍率で乗算される。倍率は、例えば、倍率データベースに、処理システム318に、例えば、画像検出システム318Bに記憶することができる。
【0033】
[0037]一実施形態において、倍率較正が、検出器システム316又は処理システム318のいずれか、例えば、画像検出システム318Bにおいて実施される。倍率較正は、所与の適用例への必要に応じた頻度で実施することができる。
【0034】
[0038]図3Aに戻ると、一実施形態において、少なくとも1つの入力/出力デバイス(I/O)313が処理システム318に結合される。I/O313は、それぞれ、センサシステム330によって、及びセンサシステム330のために外部的に発生されたデータ及びコマンドを送受信することができる。I/O313は、モデム、ディスプレイ(タッチ画面など)、キーボード、カーソル制御デバイス(マウスなど)、スピーカ、及び/又はマイクロホン及び音声認識システムを含む。例えば、データは、別のシステム及び/又は人間でよいユーザと送受信することができる。別の実施形態において、I/O313は、例えば、暗視ゴーグルに使用されたとき、センサアレイ300に入射する赤外線放射パワーレベルを出力、例えば、表示するのに使用することができる。
【0035】
[0039]図6は、MEMS IRセンサアレイの動作の方法600の一実施形態を示す。図6に示す方法600の実施形態を、図1Aから2Dに示すシステムにおいて実施されるものとして本明細書で説明する限りにおいて、他の実施形態を他のやり方で実施することができることを理解されたい。流れ図のブロックは、説明を容易にするために、全体的に逐次的方式で配列されている。しかし、この配列は、単に例示的に過ぎないことを理解し、方法(及び図に示すブロック)に関連した処理は、異なる順序で発生することができる(例えば、ブロックに関連した処理の少なくともいくつかが並列に、及び/又は事象駆動方式で実施される場合)ことを認識されたい。赤外線は教育的理由で図6に対して参照されるが、例示される方法は、他のMEMS共振センサに適用可能である。
【0036】
[0040]一実施形態において、ブロック640では、MEMS赤外線センサアレイを較正する。別の実施形態において、MEMS赤外線センサアレイの各画素に対する基準共振周波数を発生させることによって、例えば、シャッタを閉じ、各画素の共振周波数を決定することによって(上記にさらに説明したように)較正する。他の実施形態において、シャッタが閉じられたとき、以下のブロック644及び646を実施することによって較正を実施する。さらに別の実施形態において、例えば、上記に説明したように、MEMS赤外線センサアレイの各画素に対する倍率を発生させることによって較正する。
【0037】
[0041]ブロック644では、周期的チャープを少なくとも2つの画素、例えば、センサアレイにおけるいくつか又はすべての画素に伝送する。ブロック646では、例えば、上記に説明したように、周期的チャープを受け取る各画素の共振周波数を決定する。ブロック648では、例えば、上記に説明したように、周期的チャープを受け取る各画素の共振周波数の変化を決定する。ブロック650では、例えば、上記に説明したように、例えば、周期的チャープを受け取る各画素に入射する赤外線放射のパワーレベルを決定する。一実施形態において、ブロック652では、例えば、周期的チャープに対して、各画素に入射するパワーレベルを出力する。
【実施例1】
【0038】
[0042]実施例1は、周期的チャープを発生させるように構成された信号発生器システムと、検出器システムと、信号発生器システム及び検出器システムに結合された少なくとも2つのMEMS共振センサを備えたMEMS共振センサアレイと、検出器システムに結合された処理システムとを備える装置を含む。
【実施例2】
【0039】
[0043]実施例2は、実施例1の装置を含み、検出器システムが、少なくとも1つの検出器を備える。
【実施例3】
【0040】
[0044]実施例3は、実施例2の装置を含み、各検出器が、検出器回路と、検出器回路に結合されたアナログ/デジタル変換器とを備える。
【実施例4】
【0041】
[0045]実施例4は、実施例1~3のうちのいずれかの装置を含み、処理システムが、MEMS共振センサアレイにおける各画素の共振周波数を決定するように構成されたピーク検出器システムと、決定された共振周波数と、対応する基準共振周波数との間の差に基づいて、各画素Pに入射する赤外線放射パワーを決定するように構成された画像検出システムとを備え、画像検出システムが、参照データベース及び倍率データベースのうちの少なくとも一方を備える。
【実施例5】
【0042】
[0046]実施例5は、実施例4の装置を含み、装置が、信号発生器に結合された計数システムをさらに備える。
【実施例6】
【0043】
[0047]実施例6は、実施例1~5のうちのいずれかの装置を含み、シャッタシステムをさらに備える。
【実施例7】
【0044】
[0048]実施例7は、実施例6の装置を含み、シャッタシステムが、電気光学シャッタを備える。
【実施例8】
【0045】
[0049]実施例8は、実施例1~7のうちのいずれかの装置を含み、周期的チャープの周波数が、各周期中に線形的に増加する。
【実施例9】
【0046】
[0050]実施例9は、実施例1~8のうちのいずれかの装置を含み、各MEMS共振センサが、共振器と、共振器上の吸収体とを備える。
【実施例10】
【0047】
[0051]実施例10は、実施例9の装置を含み、吸収体が赤外線吸収体である。
【実施例11】
【0048】
[0052]実施例11は、周期的チャープを発生させるように構成された信号発生器システムと、少なくとも1つの検出器を備えた検出器システムであって、少なくとも1つの検出器のそれぞれが、アナログ/デジタル変換器に結合された検出器回路を備える、検出器システムと、信号発生器システム及び検出器システムに結合されたMEMS赤外線共振センサのM行及びN列を備えた赤外線MEMS共振センサアレイと、MEMS共振センサアレイにおける各画素の共振周波数を決定するように構成されたピーク検出器システム、決定された共振周波数と、対応する基準共振周波数との間の差に基づいて、各画素Pに入射する赤外線放射パワーを決定するように構成された画像検出システムを備えた、検出器システムに結合された処理システムとを備える装置を含み、処理システムが、参照データベース及び倍率データベースのうちの少なくとも一方を備える。
【実施例12】
【0049】
[0053]実施例12は、実施例11の装置を含み、装置が、処理システムに結合されたシャッタシステムをさらに備える。
【実施例13】
【0050】
[0054]実施例13は、実施例12の装置を含み、シャッタシステムが、電気光学シャッタを備える。
【実施例14】
【0051】
[0055]実施例14は、実施例11~13のうちのいずれかの装置を含み、装置が、信号発生器に結合された計数器をさらに備える。
【実施例15】
【0052】
[0056]実施例15は、周期的チャープをMEMSセンサアレイの少なくとも2つの画素に伝送するステップと、周期的チャープを受け取る各MEMS共振センサの共振周波数を決定するステップと、周期的チャープを受け取る各MEMS共振センサの共振周波数の変化を決定するステップと、周期的チャープを受け取る各画素に入射するパワーレベルを決定するステップとを含む方法である。
【実施例16】
【0053】
[0057]実施例16は、実施例15の方法を含み、MEMSセンサアレイを較正するステップをさらに含む。
【実施例17】
【0054】
[0058]実施例17は、実施例16の方法を含み、較正するステップは、各MEMS共振センサに対する基準共振周波数を発生させるステップを含む。
【実施例18】
【0055】
[0059]実施例18は、実施例15~17のうちのいずれかの方法を含み、パワーレベルを決定するステップが、決定された共振周波数と基準共振周波数との間の差を決定するステップを含む。
【実施例19】
【0056】
[0060]実施例19は、実施例15~18のうちのいずれかの方法を含み、周期的チャープを発生させるステップが、周期中に線形的に増加する周波数を有する周期的チャープを発生させるステップを含む。
【実施例20】
【0057】
[0061]実施例20は、実施例15~19のうちのいずれかの方法を含み、共振周波数を決定するステップが、MEMS共振センサから検出された最大測定振幅に対応するカウントを識別するステップと、カウントをそのMEMS共振センサの共振周波数に変換するステップとを含む。
【0058】
[0062]本出願では、相対位置の用語は、向きにかかわらず、層、ウェーハ、又は基板の従来の平面又は作業面と平行の平面、又は同一平面上の用語の場合、同じ平面に基づいて定義される。本出願では、「水平の(horizontal)」又は「横の(lateral)」という用語は、向きにかかわらず、層、ウェーハ、又は基板の従来の平面又は作業面に平行の平面と定義される。「垂直の(vertical)」という用語は、水平に対して直角の方向を表す。「の上(on)」、「側(side)」(「側壁」と同様)、「より高い(higher)」、「より低い(lower)」、「の上(over)」、「上(top)」及び「の下(under)」などの用語は、向きにかかわらず、層、ウェーハ、又は基板の上面上にある従来の平面又は作業面に対して定義される。本出願では、「同一平面上の(coplanar)」という用語は、向きにかかわらず、層、ウェーハ、又は基板の従来の平面又は作業面と同じ平面における平面と定義される。
【0059】
[0063]特定の実施形態を例示し、本明細書で説明してきたが、同じ目的を達成するように計算される任意の配列は、図示する特定の実施形態と置き換えることができることが当業者に理解されよう。したがって、本発明は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されることが明白に意図されている。
【符号の説明】
【0060】
100 MEMS赤外線共振センサのアレイ(センサアレイ)
200 MEMS赤外線共振センサ
202 共振器
204 吸収体
300 MEMS赤外線共振センサのアレイ(センサアレイ)
312 信号発生器システム
313 入力/出力デバイス
314 検出システム
316 検出器システム
318 処理システム
318A ピーク検出器システム
318B 画像検出システム
318C 計数システム
330 MEMS赤外線共振センサアレイシステム(センサシステム)
331 画素P
416x 検出器
416x-1 検出器回路
416x-2 アナログ/デジタル変換器
416x-3 平均化回路
530 シャッタシステム
600 MEMS IRセンサアレイの動作の方法
640 ブロック
644 ブロック
646 ブロック
648 ブロック
650 ブロック
652 ブロック
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6