(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】電力制御装置
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20221019BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20221019BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20221019BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20221019BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20221019BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20221019BHJP
H01M 10/44 20060101ALN20221019BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J3/46
H02J7/34 D
H02J7/35 K
H02J13/00 311R
H01M10/44 P
(21)【出願番号】P 2018139242
(22)【出願日】2018-07-25
【審査請求日】2021-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000144393
【氏名又は名称】株式会社三社電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野山 太郎
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-258176(JP,A)
【文献】特開2012-249458(JP,A)
【文献】特開2013-31283(JP,A)
【文献】特開2015-204698(JP,A)
【文献】特開2017-229137(JP,A)
【文献】特開2018-33273(JP,A)
【文献】国際公開第2015/037307(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/146200(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/44
H02J 3/00
H02J 7/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電力系統から電力が入力する受電点と、
前記受電点に入力する受電点電力の電力指令値を、期間T1毎に上位サーバーから受信する通信端子と、
期間T1毎に予測した受電点電力カーブを設定する手段を備え、前記受電点電力が前記期間T1経過時に前記電力指令値となるように蓄電池に対する充放電制御を行う、パワーコントローラーとを備え、
前記パワーコントローラーは、前記受電点の電力指令値が前記受電点電力カーブの値よりも大きい場合は充電制御、前記受電点の電力指令値が前記受電点電力カーブの値よりも小さい場合は放電制御を、前記期間T1よりも短い期間T2単位で行い、
前記通信端子に前記電力指令値を受信したときに、前記期間T1において前記受電点電力カーブと前記電力指令値との差の積算値を求め、
前記受電点電力が前記期間T1経過時に前記電力指令値となるように、前記積算値に基づいて放電制御または充電制御のいずれか一方のみ設定し、さらに充電制御の場合は、前記蓄電池への充電量と充電開始時間と充電期間を設定して前記充電制御を前記期間T1内で前記期間T2毎に行い、放電制御の場合は、前記蓄電池からの放電量と放電開始時間と放電期間を設定して放電制御を前記期間T1内で前記期間T2毎に行う、電力制御装置。
【請求項2】
前記パワーコントローラーは、前記期間T2毎に前記受電点電力を実測し、前記期間T2毎に前記放電量または前記充電量を補正する、請求項
1記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記受電点電力カーブは、過去の電力需要量に基づいて設定される、請求項1
~2のいずれかに記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記受電点電力カーブは前記上位サーバーから前記通信端子に入力する、請求項1
~3のいずれかに記載する電力制御装置。
【請求項5】
前記受電点電力カーブは前記パワーコントローラーで設定される、請求項1
~4のいずれかに記載する電力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ネットワーク上に点在する電力需要部と電力発電部を統合して、電力を効率的に需要家に供給する電力マネージメントを行う電力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、蓄電池、燃料電池などの蓄電設備を持つ電力需要家に設置され、負荷に応じて系統から受電する電力量と蓄電設備から供給可能な電力とを調整する電力制御装置が提案されている(特許文献1、2)。
【0003】
これらの電力制御装置は、センターからの電力指令値に応じて、系統からの電力を負荷に供給しつつ一部電力を蓄電設備に充電したり、系統からの電力を負荷に供給しつつ蓄電設備からも負荷に対して電力の一部を供給(放電)する。
【0004】
また、上記電力マネージメントを行うためのアグリゲータを配置し、このアグリゲータにおいて、電力需要家7、8の電力需要を束ねるとともに、電力需要家7、8が発電または保有するエネルギーリソースを束ねて一つの仮想発電所として構築し、上流側(集中電源部)から供給される電力と、下流側(エネルギーリソース部)で発電、保有する電力とをマッチングさせて、各需要家に対する電力の配電が効率的となる制御を行うアグリゲータシステムが提案されている(特許文献3等)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-258176号公報
【文献】特開2012-249458号公報
【文献】特開2018-033273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の装置では、センターからの電力指令値が送られたときの充放電制御のタイミングについては明確でない。このため、一般には、上位のサーバーやアグリゲータ等から電力指令値が送られてくると、その後は、装置内部の制御タイミングに応じて充電制御や放電制御が行われる。
【0007】
この場合、電力需要量の傾きが急激に変化する時間帯、例えば朝方であれば、当初は電力需要量(負荷電力)が電力指令値未満であるため余剰電力が蓄電池へ充電され、電力需要量が電力指令値を超えたタイミングから不足分が蓄電池からの放電で賄われる。
【0008】
【0009】
同図は、外部電力系統から電力が入力される受電点の電力指令値Cと、受電点電力の予測値を示す受電点電力カーブDと、蓄電池に対する充放電制御内容を示す。縦軸は受電点電力を示し、横軸は電力指令値Cを受けてからの経過時間を示す。
図1では受電点電力の実測値を省略している。電力指令値Cは、受電点電力の実測値がこれに一致するよう指令する値であり、期間T1後の時刻t3で受電点電力の実測値が指令値Cに一致しているか判定される。また、電力指令値Cは、期間T1(30分間)毎にアグリゲータ等から受信する。電力制御装置は、この期間T1(30分間)よりも短い計測周期(例えば1分間)毎に、実際の受電点電力を計測し、充放電制御を行う。
【0010】
受電点電力カーブDは、過去の受電点電力から予測した今回の受電点電力の変化を示す。受電点電力カーブDは、上位のサーバー(アグリゲータ等)から送られてくる。
【0011】
朝10時30分の時刻t1で上位のサーバー(アグリゲータ等)から、ネットワーク等を介して電力指令値Cと受電点電力カーブDが送られてくると、電力制御回路は、実際の受電点電力が電力指令値Cとなるように蓄電池への充放電制御を行う。具体的には、時刻t1~時刻t3までの間、受電点電力カーブDと電力指令値Cから、充電或いは放電の何れを行うかを決定してに蓄電池への充放電制御を行い、計測周期(1分間)毎に計測する受電点電力の実測値に基づき、実際の受電点電力が電力指令値Cに一致するように充放電量を制御する。上位サーバー(アグリゲータ等)は、期間T1(30分間)経過後の時刻t3で実際の受電点電力が電力指令値Cと一致しているか判定する。
【0012】
時刻t1では、予測した今回の受電点電力である受電点電力カーブDの値は電力指令値Cよりも小さいため、その差である余剰電力は蓄電池への充電として使用される。時刻t2以降になると、予測した今回の受電点電力である受電点電力カーブDの値が電力指令値C以上となるため、電力指令値Cだけでは電力が不足する。そこで、時刻t2からは蓄電池が放電し、不足分が蓄電池からの電力で賄われる。この間、計測周期毎に計測する受電点電力の実測値により充放電量が制御される。朝11時00分の時刻t3になると、上位サーバーから、次の電力指令値が来るタイミングとなる。時刻t3で新たに受信した電力指令値Cがそれまでの電力指令値Cと同じ場合や、それよりも大きい値に変更された場合は、引き続き放電が継続される。
【0013】
このように、
図1に示す電力制御では、朝の30分間で蓄電池に対する充電または放電が常に行われ、且つ、充電期間(t1~t2)と放電期間(t2~t3)がそれぞれ生じることになる。反対に、夕方から夜にかけての電力需要量は減少となるから、30分間で放電または放電が常に行われ、且つ、放電期間(t1~t2)と充電期間(t2~t3)がそれぞれ生じることになる。
【0014】
そして、このような制御では、充電期間及び放電期間の何れにおいても、受電点電力の実測値と指令値Cが一致するよう、逐次充放電を繰り返すこととなり、スイッチング素子の損失発生や蓄電池の劣化を早める問題がある。
【0015】
この発明は、電力指令値を受信して次の電力指令値を受信するまでの期間において、充電期間又は放電期間がいずれか1回ですむ、電力制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明は、外部電力系統から電力が入力する受電点と、
前記受電点に入力する受電点電力の電力指令値を、期間T1毎に上位サーバーから受信する通信端子と、
前記受電点電力が前記期間T1経過時に前記電力指令値となるように蓄電池に対する充放電制御を行うパワーコントローラーを備える。
【0017】
通信端子に上位サーバーから受電点の電力指令値が入力されると、パワーコントローラーにおいて蓄電池への充放電制御が行われる。
【0018】
すなわち、パワーコントローラーは、前記通信端子に前記電力指令値を受信したときに、前記期間T1の受電点電力カーブを設定し、前記期間T1において前記受電点電力カーブと前記電力指令値との差の積算値を求め、該積算値に基づいて前記蓄電池の充電量又は放電量のいずれかを設定し、前記期間T1内で充電制御または放電制御のいずれか一方の制御を行う。
【0019】
前記積算値は、前記期間T1において、期間T2(T2<T1)毎の前記差を積算した値であり、この積算値が正のとき前記放電量を、前記積算値が負のとき前記充電量を設定する。
【0020】
T2<T1の関係は、例えば、T1が30分間、T2が1分とされる。
【0021】
パワーコントローラーは、期間T1間の受電点電力カーブと電力指令値との差の積算値を求め、この積算値が正か負かに応じて期間T1間内に充電期間または放電期間を1回だけ設定し、この期間に充電または放電を一度だけ行う。また、積算値の大きさに基づいて充電量(充電時間)又は放電量(放電時間)を決める。
【発明の効果】
【0022】
この発明では、朝方や夕方以降など、電力需要量が大きく変化する時間帯において、期間T1で充電と放電を逐次行う必要がなく、どちらか一方の制御を短時間行うだけで良い。このため、蓄電池の充放電サイクル数が小さくなって寿命が長くなる。また、充電又は放電を行わない時間帯では充放電動作(スイッチング制御による動作)が不要であるため、その分、電力制御装置内での電力損失を減らすことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】従来の電力制御装置の充放電制御動作を示す図である。
【
図2】この発明の実施形態である電力統合システムの概略図である。
【
図4】この発明の実施形態である電力制御装置において、蓄電池へ放電のみ行う場合の動作を説明する図である。
【
図5】この発明の実施形態である電力制御装置において、蓄電池へ充電のみ行う場合の動作を説明する図である。
【
図6】この発明の実施形態である電力制御装置の充放電制御動作を示すフローチャートである。
【
図7】蓄電池へ放電のみ行う場合の他の実施例を示す。
【
図8】蓄電池へ充電のみ行う場合の他の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図2は、この発明の実施形態である電力制御装置を含むバーチャルパワープラント1と、バーチャルパワープラント1に接続される電力事業者2とを備える電力統合システムの概略図である。この電力統合システムは、電力会社や発電事業者で発電する電力と、各需要家等で必要な電力及び発電・保有する電力とが、アグリゲータにより統合され、電力の配分等がマネージメントされるシステムである。
【0025】
電力統合システムでは、電力事業者2と、バーチャルパワープラント1がそれぞれ複数であっても良い。
【0026】
電力事業者2は、一つ以上の電力会社3と、各電力会社3にネットワーク網や専用の回線等で接続される、電力会社以外の発電事業者等4、5を含んでいる。発電事業者等4、5は、ソーラーパネル、風力発電施設等を用いて得られた再生エネルギーによる発電事業者、その他のエネルギーによる発電事業者等を含んでいる。電力事業者2は、図外の送配電線により、電力を工場や家庭の電力需要家に供給する。
【0027】
バーチャルパワープラント1は、電力会社3にネットワーク網や専用の回線等で接続されるアグリゲータ6と、アグリゲータ6にネットワーク網や専用の回線等で接続される複数の電力需要家7、8を含む。電力需要家7、8は、基本的に図外の送配電線により電力事業者2から電力を受け取るが、自家発電施設、蓄電池、蓄熱施設などの小規模な電力の発電・保有施設を電力リソースとして備えている。このことから、バーチャルパワープラント1は、各電力需要家7、8が発電・保有する電力を束ねた一つの仮想発電所として概念される。
【0028】
それにより、
図1において全体の電力の供給源をみた場合、電力事業者2は、上流側に位置する集中電源部となり、電力需要家7、8が発電・保有する電力は下流側に位置するエネルギーリソース部となる。
【0029】
アグリゲータ6は、電力需要家7、8の電力需要を束ねるとともに、電力需要家7、8が発電または保有するエネルギーリソースを束ねて一つの仮想発電所として構築し、上流側(集中電源部)から供給される電力と、下流側(エネルギーリソース部)で発電、保有する電力とをマッチングさせて、各需要家に対する電力の配電が効率的となるようにエネルギーマネージメントを行う。
【0030】
アグリゲータ6のエネルギーマネージメントとしては様々な形態があるが、本実施形態では、電力指令値と受電点電力カーブの設定によるエネルギーマネージメントを示す。
【0031】
電力指令値とは、電力需要家7、8の受電点電力を指令する値である。この電力指令値は、本実施形態では30分毎に設定され、電力需要家7、8では、30分経過時の受電点電力の実測値が、設定された電力指令値になることが要請される。
【0032】
例えば、アグリゲータ6は、再生エネルギー(太陽光エネルギー等)発電事業者での発電が増大し上流側の電気が余るときには、電力需要家7、8に対して設定する電力指令値をより大きい値に設定する。また、アグリゲータ6は、電力需要がひっ迫するときは、電力需要家7、8に対して設定する電力指令値をより小さな値に設定する。
【0033】
受電点電力カーブとは、電力需要家7、8の受電点で過去に受電した実績を示すカーブである。過去に受電した実績を示す受電点電力カーブは、例えば、一日前の同時間帯の受電点電力カーブ、一年前の同日同時間帯の受電点電力カーブ、統計処理した同日同時間帯の受電点電力カーブ等である。
【0034】
本実施形態の電力需要家7、8では、アグリゲータ6から電力指令値と受電点電力カーブを受信すると、それらを参照して、30分後に、受電点電力の実測値がその電力指令値になるように、エネルギーリソースを調整する。すなわち、電力指令値が受電点電力カーブ以上の時は、その差を余剰電力とみなして電力保有手段に保存する。また、電力指令値が受電点電力カーブ未満の時は、その差を不足電力とみなして電力保有手段から放出することで、30分後に、受電点電力の実測値がその電力指令値になるように制御を行う。
【0035】
本実施形態では、アグリゲータ6において、各電力需要家7、8のエネルギーリソースとなる電力保有手段が充放電可能な蓄電池とする。
【0036】
したがって、アグリゲータ6が、例えば、電力需要家7、8に対して設定する電力指令値をより大きい値に設定したときは、電力需要家7、8は、設定された電力指令値と受電点電力カーブとの差(余剰電力)に基づいて蓄電池に充電する。また、アグリゲータ6が、電力需要家7、8に対して設定する電力指令値をより小さな値に設定したときは、電力需要家7、8は、設定された電力指令値と受電点電力カーブとの差(不足電力)に基づいて蓄電池の放電を行う。
【0037】
電力指令値は所定期間である30分毎に作成されて、各電力需要家7、8に送信される。各電力需要家7、8では、30分後に受電点電力の実測値が電力指令値となるように蓄電池の充放電制御を行う。
【0038】
以上のように、各電力需要家7、8では、受電点電力カーブで予測される受電点電力がその時に設定されている電力指令値よりも小さいと、余剰電力が蓄電池に充電され、負受電点電力カーブで予測される受電点の電力が電力指令値よりも大きいと、その差分電力が蓄電池からの放電によって賄われる。
【0039】
なお、本実施形態では、時刻t1~t3の期間T1の30分間において、
図1のように、逐次充電と放電をそれぞれ行うものではなく、期間T1内で充電または放電のいずれかを1回のみ行って、期間T1経過後の時刻t3で受電点電力の実測値がアグリゲータ6が指示した電力指令値に一致するように制御する。
【0040】
【0041】
電力需要家7、8の電力設備11は、外部電力系統(系統)10に接続される受電点12、変圧設備13、負荷14、蓄電池15、電力制御装置16を備えている。
【0042】
電力制御装置16は、受電点12での電力(受電点電力)を検出する電力検出器161、EMS(Energy Management System)と称されるパワーコントローラー162、PLC(シーケンサ)163、PCS(Power Conditional Subsystem)164を備えている。受電点12は、系統10からの電力を受電する。電力検出器161は、受電点電力を検出する。パワーコントローラー162は、アグリゲータ6内に設けられている上位サーバー100にネットワーク接続される通信端子162aを備えている。パワーコントローラー162は、上位サーバー100から電力指令値Cと受電点電力カーブDを受信すると、それらを設定し、後述の手順に従って、蓄電池15の充電制御または放電制御を行う。
【0043】
PLC(シーケンサ)163は、パワーコントローラー162に接続され、パワーコントローラー162の制御内容に従って、通信回線によりPCS164の制御を行う。PCS164は、蓄電池15への充電制御や、蓄電池15から負荷14への放電制御を行い、スイッチング素子を含むコンバータ回路を備えている。PLC(シーケンサ)163は、蓄電池15の充電状態(電圧など)をSOV信号により把握し、これをパワーコントローラー162に送る。
【0044】
次に、パワーコントローラー162の具体的な動作について説明する。
【0045】
本実施形態では、期間T1の30分間において充電と放電をそれぞれ行うことはなく、期間T1の30分間において、充電または放電を一回のみ行う。
【0046】
図4は、蓄電池へ放電のみ行う場合の動作を説明する図である。
【0047】
同図は、電力指令値Cと、受電点電力カーブDと、蓄電池15に対する放電制御内容を示す。縦軸は受電点電力を示し、横軸は電力指令値Cが設定されてからの経過時間を示す。電力指令値Cは、系統から受電点12に供給される電力の指令値であり、受電点電力カーブDは、受電点の過去の電力の実績で予測されたものである。例えば、一日前の同時間帯の受電点電力カーブ、一年前の同日同時間帯の受電点電力カーブ、統計処理した同日同時間帯の受電点電力カーブ等である。
【0048】
電力指令値Cと、受電点電力カーブDは、いずれも30分毎に上位サーバー100から受信し、パワーコントローラー162に設定される。
【0049】
朝10時30分の時刻t1でアグリゲータ6内の上位サーバー100から、ネットワークを介して電力指令値Cと受電点電力カーブDが送られてくると、パワーコントローラー162は、30分間である期間T1の経過時に、受電点電力の実測値が電力指令値Cとなるように蓄電池15への充放電制御を以下のように行う。
【0050】
時刻t1では、30分間である期間T1間の受電点電力カーブDを設定し、受電点電力カーブDの傾きを算出する。P1は、受電点電力カーブDを設定した時刻t1での受電点電力P1である。
【0051】
時刻t1で受電点電力カーブDを設定すると、受電点電力の実測値を電力指令値Cに一致させるために、30分後となる午前11時00分の時刻t3までに必要とされる充電量及び放電量の全積算値K(all)を計算する。全積算値K(all)は、受電点電力カーブDと電力指令値Cとの差を、時刻t1~時刻t3まで充放電制御周期である期間T2(1分間)毎に積算した値であり、以下のようにして求める。なお、
図4において、時刻t2は、受電点電力カーブDと電力指令値Cとが交わる時刻、即ち計算上の充電期間から計算上の放電期間に変化する時刻である。
【0052】
時刻t1~時刻t2までは、(受電点電力カーブD-電力指令値C)を充放電制御周期である期間T2(1分間)毎に積算する。この充放電制御周期は、受電点電力を計測し、充放電制御を行う、計測周期である。この積算値を第1の積算値K1とする。時刻t2~時刻t3までは、(受電点電力カーブD-電力指令値C)を期間T2(1分間)毎に積算する。この積算値を第2の積算値K2とする。
【0053】
すると、全積算値K(all)=積算値K1(マイナス値)+積算値K2(プラス値)で求められる。
図4は、全積算値K(all)がプラスとなる場合を示している。
【0054】
全積算値K(all)がプラスとなる場合、時刻t3で受電点電力の実測値が電力指令値Cに一致するためには、時刻t3になる前に放電を行えばよい。そこで、時刻t2~時刻t3までの間で、積算値K1(マイナス値)+積算値K2´(プラス値)=0となる積算値K2´の時刻t4を求め、この時刻t4までは、蓄電池15への充放電制御を行わず、時刻(t4+T2)である時刻t5から時刻t3まで、期間T2(1分間)毎に放電制御を行う。したがって、図の斜線で示す区間が放電制御区間となる。 以上の制御によれば、期間T1(30分間)において、時刻t3前の一定の期間に放電のみ行われることになる。なお、このような制御を行っている間に、放電量を受電点電力の実測値で補正することも可能である。例えば、負荷の急変等があれば放電制御区間の放電量を受電点電力の実測値で補正する。すなわち、期間T2(1分間)毎に受電点電力(受電点12の電力)を計測し、受電点電力カーブDと電力指令値Cから計算される放電量を、受電点電力の実測値で逐次補正する制御を行う。このような制御を行うことで、電力指令値Cを指示した時刻t1から、期間T1経過後の時刻t3において、受電点電力を電力指令値Cに一致させる、というアグリゲータ6の要求を満たすことができる。また、期間T2(1分間)毎に受電点電力を実測し、期間T2毎に計算上の充放電量を補正することで、時刻t3において受電点電力を電力指令値Cに一致させる精度を高めることもできる。
【0055】
一方、充電のみ行われる制御は以下の通りである。
【0056】
図5は、蓄電池へ充電のみ行う場合の動作を説明する図である。
【0057】
図5は、
図4に比較して、設定される受電点電力カーブDの傾きが緩やかである。
【0058】
この場合、全積算値K(all)=積算値K1(マイナス値)+積算値K2(プラス値)はマイナスとなる。
【0059】
そこで、時刻t1~時刻t2までの間で、積算値K1´(マイナス値)+積算値K2(プラス値)=0となる積算値K1´の時刻t6を求め、時刻t1~時刻t6、時刻t2~時刻t3までは、蓄電池15への充放電制御を行わず、時刻(t6+T2)である時刻t7から時刻t2まで、期間T2(1分間)毎に充電制御を行う。したがって、図のドットで示す区間が充電制御区間となる。なお、
図5においても、期間T2(1分間)毎に受電点電力を実測し、期間T2毎に計算上の充放電量を補正することで、時刻t3において受電点電力を電力指令値Cに一致させる精度を高めることもできる。
【0060】
以上の制御によれば、期間T1(30分間)において、時刻t2前の一定の期間に充電のみ行われることになる。
【0061】
このように、受電点電力カーブDの傾きが大きければ、期間T1(30分間)において1回の放電(
図4)のみ行われ、受電点電力カーブDの傾きが小さければ、期間T1(30分間)において1回の充電(
図5)のみ行われる。いずれの場合も、
図1に示すように受電と放電が各1回行われることはない。したがって、蓄電池の充放電サイクル数が少なくなり、寿命がより長くなる。
【0062】
また、充電制御又は放電制御されない区間ではPCS164でのコンバータ動作が行われない。このため、スイッチング損失を減少させることが出来、装置全体の消費電力を小さく出来る。
【0063】
なお、受電点電力カーブDが、電力指令値Cと交差しないような時間帯や受電点電力カーブDから算出される傾きが小さい時間帯、すなわち、電力需要が大きく変化しない日中や夜間の時間帯では、受電点電力カーブDが電力指令値C未満の場合は充電のみが行われ、受電点電力カーブDが電力指令値C以上の場合は放電のみが行われる。
【0064】
図6は、パワーコントローラー162で実行される上記の動作を示すフローチャートである。
【0065】
ST1において、時刻t1で電力指令値Cと受電点電力カーブDを上位サーバー100から受信すると、受電点電力カーブDの傾きを算出し内部に設定する。また、電力指令値Cも内部に設定する。電力指令値Cと受電点電力カーブDは上位サーバー100において設定される。電力指令値Cは、例えば、上流側の発電量の増減や下流側のエネルギーリソースの増減などにより設定される。受電点電力カーブDは、過去の受電点電力の実績に基づいて設定されるもので、現在の受電点電力カーブを予測するものである。
【0066】
ST2において、電力指令値Cと受電点電力カーブDとから、時刻t1~時刻t3の期間T1(30分間)に必要とされる、計算上の充放電量の全積算値K(all)を算出する。ST3で、全積算値K(all)がプラス(「0」以上)であればST4以下の放電制御(
図4)、マイナス(「0」未満)であればST10以下の充電制御(
図5)に移行する。
【0067】
放電制御では、ST4において、時刻ST2~時刻ST4の区間で、積算値K1(マイナス値)+積算値K2´(プラス値)=0となる積算値K2´の時刻t4を求める。ST5に進んで時刻(t4+T2)の時刻t5から時刻t3まで、期間T2(1分間)毎に放電制御を行う。時刻t4までは、蓄電池15への充放電制御を行わず、時刻t5から時刻t3まで、期間T2(1分間)毎に放電制御を行う。
【0068】
充電制御では、ST10において、時刻t1~時刻t2の区間で、積算値K1´(マイナス値)+積算値K2(プラス値)=0となる積算値K1´の時刻t6を求める。ST5に進んで時刻(t6+T2)の時刻t7から時刻t2まで、期間T2(1分間)毎に充電制御を行う。時刻t1~時刻t6、時刻t2~時刻t3までは、蓄電池15への充放電制御を行わず、時刻t7(t6+T2)から時刻t2まで、期間T2(1分間)毎に充電制御を行う。
【0069】
なお、
図6は、
図4、
図5のように受電点電力カーブDと電力指令値Cが交差する時間帯での制御を示しているが、これらが交差しない日中や夜間では、放電または充電のみが行われる。例えば、期間T1(30分間)において、受電点電力カーブDが電力指令値C未満の時間帯では、充電のみが連続で行われ、受電点電力カーブDが電力指令値C以上の時間帯では、放電のみが連続で行われる。
【0070】
また、
図4では、時刻t5~時刻t3までの区間で放電制御するようにしているが、時刻t2~時刻t3の区間のどの範囲で放電制御しても良い。例えば、
図7のような区間での放電制御も可能である。また、同様に、
図5の充電制御においても、
図8の様な区間での充電制御が可能である。
【0071】
また、受電点電力カーブDと電力指令値Cが、期間T1(30分間)において2回以上交差する場合は、
図4又は
図5と同様に、全積算値K(all)を積算した後、その積算値がプラスの場合はそのプラス分だけ放電する区間を求めて放電制御する。また、その積算値がマイナスの場合はそのマイナス分だけ充電する区間を求めて充電制御する。
【0072】
本実施形態では、上位サーバー100が受電点電力カーブDを設定するとしたが、パワーコントローラー162自身が設定することも可能である。この場合、パワーコントローラー162が、受電点で過去に受電した実績を記憶しておき、この値から受電点電力カーブDを予測して設定する。
【0073】
また、PLC163は、蓄電池15からのSOV信号により蓄電池15の充電状態を監視しているため、上記充放電制御は過充電や過放電とならないように制限される。
【符号の説明】
【0074】
12-受電点
15-蓄電池
16-電力制御装置
162-パワーコントローラー