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特許7161332抽選システム、抽選方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】抽選システム、抽選方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20221019BHJP
   G06Q 50/34 20120101ALI20221019BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q50/34
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018142408
(22)【出願日】2018-07-30
(65)【公開番号】P2020021136
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】500377631
【氏名又は名称】神代 和明
(74)【代理人】
【識別番号】100167184
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】神代 和明
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-163408(JP,A)
【文献】特開2002-324148(JP,A)
【文献】特開平09-274663(JP,A)
【文献】特開2001-239061(JP,A)
【文献】特開2002-056143(JP,A)
【文献】特開2002-083089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して複数のユーザ端末に接続された抽選システムであって、
前記ユーザ端末から送信された応募データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記応募データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に全部でT個(Tは2以上の整数)の有効な前記応募データ(以下、単に「T個の応募データ」と呼ぶ)が記憶された場合に、2n-1<T≦2を満たす2の末端の枝(以下、単に「枝」と呼ぶ)をもつ完全二分木構造のトーナメントツリーを作成するツリー作成手段と、
前記ツリー作成手段により作成された前記完全二分木構造のトーナメントツリーの全枝に、並び順で2進数による通し番号を0から連番で振り、該通し番号毎に、その全ての桁につき下m桁目(1≦m≦n)の数値が1ならば2n-mの値を数えて、該値の和を算出し、該和がT未満となる前記通し番号の振られたTの枝に、枝の並び順に前記T個の応募データを所定の規則に従って配したトーナメント戦の組合せを作成する組合せ作成手段と、
前記組合せ作成手段により作成された前記組合せに従い、前記T個の応募データを所定のルールによりトーナメント方式で対比してトーナメント戦を行う対戦手段と、
前記対戦手段により行われた前記トーナメント戦における全ての前記対比の内容を、当該組合せ上に反映させた抽選結果表を作成する結果表作成手段と、
を備えることを特徴とする抽選システム。
【請求項2】
前記記憶手段に記憶された前記T個の応募データのうちの一部の応募データが、該応募データのトーナメント戦への参戦がX回戦からのシードであることを示すシード情報X(Xは2以上の整数)を持
前記シード情報Xの内訳が、シード情報を持たない応募データがa個、2回戦から参戦のシード情報を持つ応募データがb個、3回戦から参戦のシード情報を持つ応募データがc個・・・Y回戦から参戦のシード情報を持つ応募データがz個のとき、
前記ツリー作成手段は、 n-1 <a+2 2-1 ×b+2 3-1 ×c+・・・2 Y-1 ×z≦2 を満たす2のn乗の枝をもつ完全二分木構造のトーナメントツリーの全枝に、並び順で2進数による通し番号を0から連番で振り、該通し番号毎に、その全ての桁につき下m桁目(1≦m≦n)の数値が1ならば2 n-m の値を数えて、該値の和を枝番号として振った後に、
該完全二分木構造のトーナメントツリーから、2回戦未満の(2 2-1 -1)枝をb箇所と、3回戦未満の(2 3-1 -1)枝をc箇所と、・・・Y回戦未満の(2 Y-1 -1)枝をz箇所と、を枝数の多いものより順番に、若い前記枝番号の枝を含んだ箇所から順に、該若い枝番号の枝を残して削除することで出来る、シードの有るトーナメントツリーを作成し、
前記組合せ作成手段は、前記シードの有るトーナメントツリーの、前記各X回戦が初回戦となるシードの枝に前記当該X値のシード情報を持つ応募データを、又、1回戦が初回戦となる枝に前記シード情報を持たない応募データを、所定の規則に従って配したシードの有るトーナメント戦の組合せを作成する
ことを特徴とする請求項1に記載の抽選システム。
【請求項3】
通信ネットワークを介して複数のユーザ端末に接続された抽選システムにおいて実行される抽選方法であって、
前記抽選システムが備える受信手段が、前記ユーザ端末から送信された応募データを受信する受信ステップと、
前記抽選システムが備える記憶手段が、前記受信ステップで受信された前記応募データを記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップで全部でT個(Tは2以上の整数)の有効な前記応募データ(以下、単に「T個の応募データ」と呼ぶ)が記憶された場合に、前記抽選システムが備えるツリー作成手段が、2 n-1 <T≦2 を満たす2 の末端の枝(以下、単に「枝」と呼ぶ)をもつ完全二分木構造のトーナメントツリーを作成するツリー作成ステップと、
前記抽選システムが備える組合せ作成手段が、前記ツリー作成ステップで作成された前記完全二分木構造のトーナメントツリーの全枝に、並び順で2進数による通し番号を0から連番で振り、該通し番号毎に、その全ての桁につき下m桁目(1≦m≦n)の数値が1ならば2 n-m の値を数えて、該値の和を算出し、該和がT未満となる前記通し番号の振られたTの枝に、枝の並び順に前記T個の応募データを所定の規則に従って配したトーナメント戦の組合せを作成する組合せ作成ステップと、
前記抽選システムが備える対戦手段が、前記組合せ作成ステップで作成された前記組合せに従い、前記T個の応募データを所定のルールによりトーナメント方式で対比してトーナメント戦を行う対戦ステップと、
前記抽選システムが備える結果表作成手段が、前記対戦ステップで行われた前記トーナメント戦における全ての前記対比の内容を、当該組合せ上に反映させた抽選結果表を作成する結果表作成ステップと、
を実行することを特徴とする抽選方法。
【請求項4】
前記記憶ステップで記憶された前記T個の応募データのうちの一部の応募データが、該応募データのトーナメント戦への参戦がX回戦からのシードであることを示すシード情報X(Xは2以上の整数)を持ち、
前記シード情報Xの内訳が、シード情報を持たない応募データがa個、2回戦から参戦のシード情報を持つ応募データがb個、3回戦から参戦のシード情報を持つ応募データがc個・・・Y回戦から参戦のシード情報を持つ応募データがz個のとき、
前記ツリー作成ステップで、前記ツリー作成手段は、2 n-1 <a+2 2-1 ×b+2 3-1 ×c+・・・2 Y-1 ×z≦2 を満たす2のn乗の枝をもつ完全二分木構造のトーナメントツリーの全枝に、並び順で2進数による通し番号を0から連番で振り、該通し番号毎に、その全ての桁につき下m桁目(1≦m≦n)の数値が1ならば2 n-m の値を数えて、該値の和を枝番号として振った後に、
該完全二分木構造のトーナメントツリーから、2回戦未満の(2 2-1 -1)枝をb箇所と、3回戦未満の(2 3-1 -1)枝をc箇所と、・・・Y回戦未満の(2 Y-1 -1)枝をz箇所と、を枝数の多いものより順番に、若い前記枝番号の枝を含んだ箇所から順に、該若い枝番号の枝を残して削除することで出来る、シードの有るトーナメントツリーを作成し、
前記組合せ作成ステップで、前記組合せ作成手段は、前記シードの有るトーナメントツリーの、前記各X回戦が初回戦となるシードの枝に前記当該X値のシード情報を持つ応募データを、又、1回戦が初回戦となる枝に前記シード情報を持たない応募データを、所定の規則に従って配したシードの有るトーナメント戦の組合せを作成する、
ことを特徴とする請求項3に記載の抽選方法。
【請求項5】
コンピュータに読み込ませ実行させることによって、該コンピュータに請求項3または4に記載の抽選方法を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抽選システム、抽選方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通信手段を介して行う抽選の多くは、不透明かつ面白味のない方法で、応募者の中から当選者を選んでおり、その透明性(信頼性)と娯楽性の低さは、人々の応募を躊躇させる要因ともなっている。そこで、当選者を決定する過程が目で見られるので透明性があり、さらに応募行為の内容が当落に影響するので面白味のある、たとえば、ジャンケンのグー、チョキ、パーといった応募者ごとのデータを、トーナメント方式で対比(比較)して当選者を決定するという、本出願人が発明した技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-163408号公報(特許5219012号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明を用いた場合でも、通信手段を介した抽選の透明性及び娯楽性は、未だ不十分なものであった。たとえば、応募締切後に、まずトーナメント方式の組合せを決め、その後に対比をする上記ジャンケン等のデータを応募者に再度送信させるやり方は、応募者が二度手間となるので現実的ではなく、通常は応募時にそれらのデータも送信してもらい、締切後にその組合せを決めることとなる。しかし、その場合トーナメント戦の勝敗は、後から決められる組合せ次第で決まることになるため、抽選の透明性を担保するには、組合せの決め方を事前(受付前)に示す必要がある。
【0005】
その際、当選確率が全員平等になるトーナメントツリー(トーナメント方式の組合せにおけるツリー状の枝)の形状は、完全二分木構造であるが、応募数がちょうど2の累乗の数でない限りは、その末端の枝(以下、単に「枝」と呼ぶ)のうちに、対比をするデータの割り振られない枝が1以上発生する。そして、このデータの割り振られない各枝の位置は、それが一箇所でも違えば、抽選経過及び結果に影響が及ぶため、抽選の透明性を担保するには、事前にその位置を全て明示することが必要となる。
【0006】
しかし、完全二分木構造のトーナメントツリーの一部分(たとえば「後部」)に、データの割り振られない枝を集める方法だと、特定の(後部なら「遅い順番の」)応募者ばかりが(複数回戦を)不戦勝になるので不公平であり、公平を期すために、1回戦のみ不戦勝になる枝を全体に均一に作ろうとすれば、応募数が不明の段階で、あらゆる応募数の場合について、その全ての位置を目に見える形で示すのは困難であるという問題があった。
【0007】
また、一般に抽選を伴うものは、応募者の関心が応募後に低下しがちであり、たとえば宣伝を目的とする懸賞であれば、その効果は一時的なもので終わることが多い。そこで、特許文献1の発明の特長を生かし、抽選後、応募者には当落の結果通知をせずに、トーナメント表形式の結果表を目で確認することで、楽しみながら当落を自己確認させ、当選者は要申告とする方式の抽選にした場合、応募数が多いと結果表のサイズが大きくなるため、確認行為が面倒なものとなり、娯楽性が低下してしまうという問題があった。
【0008】
また、たとえば「メルマガ登録で当選確率が2倍に」といった、何らかの条件で当選者に選ばれる確率が上がることを謳う抽選が近年あるが、本当に確率がアップしているのか、何倍になったのか、応募者には確認の術がなく、信頼ができないという問題があった。
【0009】
また、通信手段を介して応募者の中から当選者を選ぶ抽選においては、娯楽性の要素が通常はないため、それを他人に伝達する動機も弱く、又、情報が拡がれば競争率が上がることもあり、人から人への情報の拡散では応募者が増えにくいという問題があった。
【0010】
本発明は、以上の事情を考慮してなされたものであり、通信手段を介して送られてきた応募者ごとのデータを、トーナメント方式で対比して当選者を決定する(透明性及び娯楽性を有した)抽選において、透明性あるいは娯楽性をより向上させることで、応募者の増加が図れる抽選システム、抽選方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、通信ネットワークを介して複数のユーザ端末に接続された抽選システムであって、ユーザ端末から送信された応募データを受信する受信手段と、受信手段により受信された応募データを記憶する記憶手段と、記憶手段に全部でT個(Tは2以上の整数)の有効な応募データ(以下、単に「T個の応募データ」と呼ぶ)が記憶された場合に、2n-1<T≦2を満たす2の枝をもつ完全二分木構造のトーナメントツリーを作成するツリー作成手段と、ツリー作成手段により作成された完全二分木構造のトーナメントツリーの全枝に、並び順で2進数による通し番号を0から連番で振り、通し番号毎に、その全ての桁につき下m桁目(1≦m≦n)の数値が1ならば2n-mの値を数えて、その値の和を算出し、その和がT未満となる通し番号の振られたTの枝に、上記T個の応募データを所定の規則に従って配したトーナメント戦の組合せを作成する組合せ作成手段と、組合せ作成手段により作成された組合せに従い、上記T個の応募データを所定のルールによりトーナメント方式で対比してトーナメント戦を行う対戦手段と、対戦手段により行われたトーナメント戦における全ての対比の内容を、当該組合せ上に反映させた抽選結果表を作成する結果表作成手段と、を備えることを特徴とする抽選システムである。
【0012】
この構成によれば、通信手段を介して送られてきた応募者ごとのデータを、トーナメント方式で対比して当選者を決定する抽選において、1回戦が不戦勝になる枝の配置の仕方の普遍的法則を示すことで、完全二分木構造のトーナメントツリー全体に均一に配された、1回戦が不戦勝になる枝の全ての位置を、あらゆる応募数の場合について、一意に定めて示すことができるため、抽選の透明性がさらに向上して、応募者の増加が図れる。なお、この構成で行われるのは「シードの無いトーナメント戦」である。
【0013】
請求項2の発明は、記憶手段に記憶された上記T個の応募データのうちの一部の応募データが、その応募データのトーナメント戦への参戦がX回戦からのシードであることを示すシード情報X(Xは2以上の整数)を持つ場合、ツリー作成手段は、上記T個の応募データに係る情報に基づいて、各X回戦が初回戦となるシードの枝を、そのX値のシード情報を持つ応募データの個数分有したシードの有るトーナメントツリーを作成し、組合せ作成手段は、シードの有るトーナメントツリーの、各X回戦が初回戦となるシードの枝にそのX値のシード情報を持つ応募データを、又、1回戦が初回戦となる枝にシード情報を持たない応募データを、所定の規則に従って配したシードの有るトーナメント戦の組合せを作成することを特徴とする請求項1に記載の抽選システムである。
【0014】
この構成によれば、「シードの有るトーナメント戦」により当選者を決定することで、当選確率が何倍になるかの確認ができる抽選を提供することができるため、抽選の透明性がさらに向上して、応募者の増加が図れる。
【0015】
請求項3の発明は、通信ネットワークを介して複数のユーザ端末に接続された抽選システムであって、請求項1に記載の受信手段、記憶手段、対戦手段及び結果表作成手段と、記憶手段に記憶された上記T個の応募データに係る情報に基づいて、トーナメント戦の組合せの基となるトーナメントツリーを作成するツリー作成手段と、ツリー作成手段により作成されたトーナメントツリーの枝に、上記T個の応募データを所定の規則に従って配したトーナメント戦の組合せを作成する組合せ作成手段と、ユーザ端末からの、そのユーザ端末を利用するユーザに係る応募データの抽選結果の照会に応じて、その応募データとトーナメント戦の中で対比された相手方の応募データを、対比された順にそのユーザ端末に再生させる再生手段と、を備えることを特徴とする抽選システムである。
【0016】
この構成によれば、当該ユーザに係る応募データとトーナメント戦の中で対比された相手方の応募データを、対比された順に、当該ユーザの利用する端末に再生させることで、応募数がたとえどんなに多くても、ユーザは、自己の当落に係る透明性のある抽選経過及び結果を、興奮を伴いつつ、素早く直感的に楽しみながら、面倒と感じることなく確認ができるため、抽選の娯楽性がさらに向上して、応募者の増加が図れる。
【0017】
請求項4の発明は、通信ネットワークを介して複数のユーザ端末に接続された抽選システムであって、請求項1に記載の受信手段、記憶手段及び結果表作成手段と、記憶手段に記憶された応募データにそれぞれ含まれるチームIDを参照して、複数の応募データを所定の規則に従って合成することで一つのチームデータを生成するチームデータ生成手段と、チームデータ生成手段により全部でT個(Tは2以上の整数)のチームデータが生成された場合に、そのT個のチームデータに係る情報に基づいて、トーナメントツリーを作成するツリー作成手段と、ツリー作成手段により作成されたトーナメントツリーの枝に、上記T個のチームデータを所定の規則に従って配したトーナメント戦の組合せを作成する組合せ作成手段と、組合せ作成手段により作成された組合せに従い、上記T個のチームデータを所定のルールによりトーナメント方式で対比してトーナメント戦を行う対戦手段と、を備えることを特徴とする抽選システムである。
【0018】
この構成によれば、複数のユーザでチームを作って応募を行う方式(以下、「チーム応募方式」と呼ぶ)の抽選とし、団体戦により当選者を決定することで、チームの仲間と抽選を共有できるため、娯楽性がさらに向上し、又、知人等をチームに勧誘する目的で、抽選に関する情報が拡散され、応募者の増加が図れる抽選を提供することができる。
【0019】
請求項5の発明は、通信ネットワークを介して複数のユーザ端末に接続された抽選システムにおいて実行される抽選方法であって、抽選システムが備える受信手段が、ユーザ端末から送信された応募データを受信する受信ステップと、抽選システムが備える記憶手段が、受信ステップで受信された応募データを記憶する記憶ステップと、記憶ステップで全部でT個(Tは2以上の整数)の応募データが記憶された場合に、抽選システムが備えるツリー作成手段が、2n-1<T≦2を満たす2の枝をもつ完全二分木構造のトーナメントツリーを作成するツリー作成ステップと、抽選システムが備える組合せ作成手段が、ツリー作成ステップで作成された完全二分木構造のトーナメントツリーの全枝に、並び順で2進数による通し番号を0から連番で振り、通し番号毎に、その全ての桁につき下m桁目(1≦m≦n)の数値が1ならば2n-mの値を数えて、その値の和を算出し、その和がT未満となる通し番号の振られたTの枝に、上記T個の応募データを所定の規則に従って配したトーナメント戦の組合せを作成する組合せ作成ステップと、抽選システムが備える対戦手段が、組合せ作成ステップで作成された組合せに従い、上記T個の応募データを所定のルールによりトーナメント方式で対比してトーナメント戦を行う対戦ステップと、抽選システムが備える結果表作成手段が、対戦ステップで行われたトーナメント戦における全ての対比の内容を、当該組合せ上に反映させた抽選結果表を作成する結果表作成ステップと、を実行することを特徴とする抽選方法である。
【0020】
この構成によれば、請求項1に記載の抽選システムと同様の効果を奏する。
【0021】
請求項6の発明は、記憶ステップで記憶された上記T個の応募データのうちの一部の応募データが、その応募データのトーナメント戦への参戦がX回戦からのシードであることを示すシード情報X(Xは2以上の整数)を持つ場合、ツリー作成ステップで、ツリー作成手段は、上記T個の応募データに係る情報に基づいて、各X回戦が初回戦となるシードの枝を、そのX値のシード情報を持つ応募データの個数分有したシードの有るトーナメントツリーを作成し、組合せ作成ステップで、組合せ作成手段は、シードの有るトーナメントツリーの、各X回戦が初回戦となるシードの枝にそのX値のシード情報を持つ応募データを、又、1回戦が初回戦となる枝にシード情報を持たない応募データを、所定の規則に従って配したシードの有るトーナメント戦の組合せを作成することを特徴とする請求項5に記載の抽選方法である。
【0022】
この構成によれば、請求項2に記載の抽選システムと同様の効果を奏する。
【0023】
請求項7の発明は、通信ネットワークを介して複数のユーザ端末に接続された抽選システムにおいて実行される抽選方法であって、請求項5に記載の受信ステップ及び記憶ステップと、抽選システムが備えるツリー作成手段が、記憶ステップで記憶された上記T個の応募データに係る情報に基づいて、トーナメント戦の組合せの基となるトーナメントツリーを作成するツリー作成ステップと、抽選システムが備える組合せ作成手段が、ツリー作成ステップで作成されたトーナメントツリーの枝に、上記T個の応募データを所定の規則に従って配したトーナメント戦の組合せを作成する組合せ作成ステップと、請求項5に記載の対戦ステップ及び結果表作成ステップと、抽選システムが備える再生手段が、ユーザ端末からの、そのユーザ端末を利用するユーザに係る応募データの抽選結果の照会に応じて、その応募データとトーナメント戦の中で対比された相手方の応募データを、対比された順にそのユーザ端末に再生させる再生ステップと、を実行することを特徴とする抽選方法である。
【0024】
この構成によれば、請求項3に記載の抽選システムと同様の効果を奏する。
【0025】
請求項8の発明は、通信ネットワークを介して複数のユーザ端末に接続された抽選システムにおいて実行される抽選方法であって、請求項5に記載の受信ステップ及び記憶ステップと、抽選システムが備えるチームデータ生成手段が、記憶ステップで記憶された応募データにそれぞれ含まれるチームIDを参照して、複数の応募データを所定の規則に従って合成することで一つのチームデータを生成するチームデータ生成ステップと、チームデータ生成ステップで全部でT個(Tは2以上の整数)のチームデータが生成された場合に、抽選システムが備えるツリー作成手段が、上記T個のチームデータに係る情報に基づいて、トーナメントツリーを作成するツリー作成ステップと、抽選システムが備える組合せ作成手段が、ツリー作成ステップで作成されたトーナメントツリーの枝に、上記T個のチームデータを所定の規則に従って配したトーナメント戦の組合せを作成する組合せ作成ステップと、抽選システムが備える対戦手段が、組合せ作成ステップで作成された組合せに従い、上記T個のチームデータを所定のルールによりトーナメント方式で対比してトーナメント戦を行う対戦ステップと、請求項5に記載の結果表作成ステップと、を実行することを特徴とする抽選方法である。
【0026】
この構成によれば、請求項4に記載の抽選システムと同様の効果を奏する。
【0027】
請求項9に記載のプログラムは、コンピュータに読み込ませ実行させることによって、コンピュータに請求項5~8のいずれかに記載の抽選方法を実行させることを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、請求項1~4のいずれか1項に記載の抽選システムと同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、通信ネットワークを介して送られてきた応募データをトーナメント方式で対比して当選者を決定する抽選において、1回戦が不戦勝になる枝の配置法則を示すことで、トーナメント方式の組合せ全体に均一に配された1回戦が不戦勝になる枝の全ての位置を、あらゆる応募数の場合について一意に定めて示すことができ、又、トーナメント戦の中で対比された相手方の応募データを、対比された順に端末に再生させることで、応募者が自己の当落に係る抽選経過及び結果を、興奮を伴いつつ、素早く直感的に楽しみながら確認できるようになる。さらに、本発明によれば、シードの有るトーナメント戦で当選者を決めることで、当選確率が何倍にアップしているかの確認ができる抽選を提供することができ、又、チームで楽しめる団体戦による抽選とすることで、チームに誘うために抽選に関する情報が拡散され、応募者の増加が図れる抽選を提供することができる。このように、本発明によれば、抽選における透明性あるいは娯楽性をより向上させることで、応募者の増加が図れる抽選システム、抽選方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の抽選システムの一実施形態の構成を示す機能ブロック図。
図2】本発明の抽選方法の一実施形態の全体処理の一例のフローチャート。
図3】シードの無い抽選の組合せの作成方法の一例を示した第1の説明図。
図4】シードの無い抽選の組合せの作成方法の一例を示した第2の説明図。
図5】シードの有るトーナメントツリーの作成方法の一例を示した説明図。
図6】作成されたシードの有るトーナメントツリーの一例を示した説明図。
図7】作成されたシードの有る抽選の組合せの一例を示した説明図。
図8】作成された抽選結果表の一例を示した説明図。
図9】対比された順に端末に再生される相手方の応募データの一例を示した説明図。
図10】チーム応募方式の抽選における応募データの一例を示した説明図。
図11】チームデータによるトーナメント戦の一例を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を利用して、インターネットを介して抽選を行う場合の例に沿って、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0032】
初めに、図1を参照して、本発明の抽選システム10の構成について説明する。抽選システム10は、送受信部20と、制御部30と、記憶部40と、を含んで構成され、これらは回線によって接続されている。
【0033】
送受信部20は、インターネット50を介して、パソコンやスマートフォンといった、各ユーザが利用する複数のユーザ端末60と、データの授受や認証を行うものであり、各ユーザ端末60から送信された応募データを受信し、記憶部40に記憶させる。また、送受信部20は、複数のユーザ端末60のうちの一つであるユーザ端末61からの、それを利用するユーザに係る応募データの抽選結果の照会を受信、認証して、再生手段36に伝達し、その照会に対する再生手段36からの返答を、ユーザ端末61に返信する。なお、懸賞をはじめ、通常の抽選では、複数のユーザ端末60は不特定多数であることが多い。
【0034】
制御部30は、トーナメントツリーの作成、組合せの作成、トーナメント戦の実行、抽選結果表の作成、チームデータの生成、対比相手の応募データの再生、シード情報の付加等、抽選システム10全体の制御を行うものであり、ツリー作成手段31と、組合せ作成手段32と、対戦手段33と、結果表作成手段34と、チームデータ生成手段35と、再生手段36と、を含んで構成される。
【0035】
シード情報とは、それを持つデータが、X回戦からのトーナメント戦参戦となるシード権を有することを示す、2以上の整数Xのことであり、シード情報を持つデータが1つでも有れば「シードの有る抽選」、無ければ「シードの無い抽選」となる。なお、シード情報は、たとえばそれを内包したシリアル番号を入力して応募を行うときのように、受信時から応募データに含まれている場合と、たとえばメルマガ会員になるといった、何らかの条件を満たしたときに、受信後に制御部30によって付加される場合と、がある。
【0036】
ツリー作成手段31は、トーナメント戦の組合せの基となるトーナメントツリーを作成するものである。作成されたトーナメントツリー(のデータ)は記憶部40に記憶される。
【0037】
シードの無い抽選では、ツリー作成手段31は、記憶部40に全部でT個(Tは2以上の整数)の応募データ(又はチームデータ)が記憶された場合に、2n-1<T≦2を満たす2の枝をもつ「完全二分木構造のトーナメントツリー」を作成する。
【0038】
なお、前述のとおり、本発明において「T個の応募データ」とは、T個の有効な応募データのことである。つまり、このT個とは、トーナメント戦による抽選の対象として有効な応募データの個数を指し、申込要綱を満たさない、重複応募、規則による足切り等の理由で、トーナメント戦に参戦できない無効な応募データは、これに含まれない。
【0039】
シードの有る抽選では、記憶部40に記憶された全部でT個(Tは2以上の整数)の応募データ(又はチームデータ)のうちの一部が、シード情報Xを抽選時に持っており、ツリー作成手段31は、上記T個の応募データ(又はチームデータ)に係る情報に基づいて、各X回戦が初回戦となるシードの枝を、そのX値のシード情報を持つ応募データ(又はチームデータ)の個数分有した「シードの有るトーナメントツリー」を作成する。
【0040】
組合せ作成手段32は、作成されたトーナメントツリーを基にして、トーナメント戦の組合せを作成するものである。作成された組合せ(のデータ)は記憶部40に記憶される。
【0041】
シードの無い抽選では、組合せ作成手段32は、ツリー作成手段31により作成され記憶部40に記憶された完全二分木構造のトーナメントツリーの全枝に、並び順で2進数による通し番号を0から連番で振り、通し番号毎に、その全ての桁につき下m桁目(1≦m≦n)の数値が1ならば2n-mの値を数えて、その数えた値の和を算出し、その和がT未満となる通し番号の振られたTの枝に、記憶部40に記憶されているT個の応募データ(又はチームデータ)を、あらかじめ決められ公表された、所定の規則に従って配したトーナメント戦の組合せを作成する。
【0042】
シードの有る抽選では、組合せ作成手段32は、ツリー作成手段31により作成され記憶部40に記憶されたシードの有るトーナメントツリーの、各X回戦(Xは2以上の整数)が初回戦となるシードの枝に、そのX値のシード情報を持つ応募データ(又はチームデータ)を、又、(同じく、上記シードの有るトーナメントツリーの)1回戦が初回戦となる枝に、シード情報を持たない応募データ(又はチームデータ)を、所定の規則に従って配したシードの有るトーナメント戦の組合せを作成する。
【0043】
対戦手段33は、組合せ作成手段32により作成され記憶部40に記憶された組合せに従い、記憶部40に記憶されているT個の応募データ(又はチームデータ)の値を、2つずつペアにして、あらかじめ決められ公表された、所定のルールによりトーナメント方式で対比して、1回戦から決勝戦までのトーナメント戦を行うものである。行われたトーナメント戦における全ての対比(対戦)の結果データは記憶部40に記憶される。
【0044】
結果表作成手段34は、上記で記憶部40にそれぞれ記憶された、ツリー作成手段31により作成されたトーナメントツリーのデータ、組合せ作成手段32により作成された組合せのデータ、及び対戦手段33により行われたトーナメント戦の全対比の結果データを参照して、トーナメント戦における全ての対比の内容を、当該(トーナメント戦の)組合せ上に反映させた、抽選結果表を作成するものである。作成された抽選結果表(のデータ)は記憶部40に記憶される。
【0045】
チームデータ生成手段35は、チーム応募方式の抽選において、送受信部20により受信され記憶部40に記憶された応募データに各々含まれているチームID(チームを識別する為のID)を参照して、複数の上記応募データを、あらかじめ決められ公表された、所定の規則に従って合成することで一つのチームデータを生成するものである。生成されたチームデータは記憶部40に記憶される。
【0046】
再生手段36は、送受信部20を介して受け取った、ユーザ端末61からの、そのユーザ端末61を利用するユーザに係る応募データの抽選結果の照会に応じて、その照会対象の応募データとトーナメント戦の中で対比された相手方の応募データを、対比された順に、送受信部20を介してユーザ端末61に再生させるものである。
【0047】
記憶部40は、各種データを記憶するものであり、応募データ、トーナメントツリーのデータ、組合せのデータ、トーナメント戦の全対比の結果データ、抽選結果表のデータ、チームデータ、再生データ等を記憶する。記憶部40に記憶されたこれらのデータは、必要に応じて制御部30又は送受信部20に読み出されて処理される。
【0048】
以上説明した抽選システム10のハードウェアは、CPU、ROM、RAM、記憶装置等がバスラインを介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成されている。
【0049】
続いて、図2図11を参照して、本発明の抽選システム10の動作の一実施形態について説明する。なお、図2は抽選システム10の動作の流れ、即ち、本発明の抽選方法の一実施形態の全体処理のフローチャートである。
【0050】
最初に、図2図9を参照して、通常の(個人)応募方式の場合について説明する。
【0051】
まず、送受信部20が、複数のユーザ端末60からインターネット50を介して送信されてきた、抽選(の募集)への応募データを受信する(ステップ1)。
【0052】
各応募データには、個人データと対戦データとがそれぞれ含まれている。個人データとは、たとえば氏名、住所等の情報であり、対戦データとは、トーナメント戦で対比をされるデータで、本実施形態ではジャンケンのグー、チョキ、パーのいずれかである。
【0053】
次に、記憶部40が、ステップ1で受信された応募データを記憶する(ステップ2)。
【0054】
次に、受信後にシード情報が付加される抽選の場合は、制御部30が、条件を満たした(ユーザの)応募データに、シード情報を付加する(ステップ2A)。
【0055】
応募の締切日時になったら、送受信部20は応募データの受信をやめ、抽選システム10は応募の受付を終了する(ステップ3)。
【0056】
次に、ツリー作成手段31が、トーナメント戦の組合せの基となるトーナメントツリーを作成して、記憶部40に記憶し(ステップ4)、組合せ作成手段32が、それを基にしてトーナメント戦の組合せを作成し、記憶部40に記憶する(ステップ5)。
【0057】
具体的には、シードの無い抽選の場合は、ツリー作成手段31が、ステップ2で記憶部40に全部でT個(Tは2以上の整数)の有効な上記抽選(の募集)への応募データが記憶されたとき、2n-1<T≦2を満たす2の枝をもつ完全二分木構造のトーナメントツリーを、まず作成する。
【0058】
そして、組合せ作成手段32が、記憶部40に記憶されている、ステップ4で作成された2の枝をもつ完全二分木構造のトーナメントツリーの全枝に、並び順で2進数による通し番号を0から連番で振り、通し番号毎に、その通し番号の全ての桁につき下m桁目(1≦m≦n)の数値が1ならば2n-mの値を数えて、その値の和を算出し、その和の数値(0~2-1)がT未満となる通し番号の振られたTの枝に、記憶部40に記憶されているT個の応募データを、たとえば、応募順、五十音順、シリアル番号順といった順番や、ユーザ自身に希望の枝を選ばせる等の、所定の規則に従って配したトーナメント戦の組合せを作成する。
【0059】
これを、図3図4を参照して、具体例に即して説明する。仮に、記憶された有効な応募データの総数が11なら、24-1<11≦2を満たす、2(=16)の枝をもつ完全二分木構造のトーナメントツリーを作成し、その全ての枝に一番端の枝から間を空けずに並び順で2進数による通し番号を0から連番で振り、次に、振られた通し番号毎に、その全ての桁の数値について、下m(1≦m≦4)桁目のその数値が1ならば24-mの値を数えて、その値の和を算出し(図3)、その和(0~15)が11未満となる通し番号の振られた11の枝に、上記11個の応募データを所定の規則(図4の例では、上から応募者名のアルファベット順)に従って配したトーナメント戦の組合せを作成する。
【0060】
このように、上記の和がT以上となる枝と1回戦で対になる枝が、1回戦不戦勝の枝となる。そして、上記の枝の配置法則を開示することにより(たとえばインターネット上で開示する場合は、文書で記憶部40に記憶させ、各ユーザ端末60から閲覧可能にする)、完全二分木構造のトーナメントツリー全体に均一に配された、1回戦が不戦勝になる枝の全ての位置を、あらゆる応募数の場合について、一意に定めて示すことができる。
【0061】
シードの有る抽選の場合は、ステップ2で記憶部40に記憶された有効な応募データのうちの一部の応募データが、シード情報X(Xは2以上の整数)を抽選時に持っており、ツリー作成手段31は、全ての有効な応募データに係る情報(有効な応募データの個数、及びそれらが持っているシード情報のX値毎の個数)に基づいて、各X(ただし、X値は一種類の場合もある)回戦が初回戦となるシードの枝を、そのXの値のシード情報を持つ応募データの個数分有した、シードの有るトーナメントツリーを作成する。
【0062】
この作成方法の一例をあげれば、シード情報を持たない応募データがa個、2回戦から参戦のシード情報を持つ応募データがb個、3回戦から参戦のシード情報を持つ応募データがc個・・・Y回戦から参戦のシード情報を持つ応募データがz個のとき、2N-1<a+22-1×b+23-1×c+・・・2Y-1×z≦2を満たす2のN乗の枝をもつ完全二分木構造のトーナメントツリーの全枝に、シードの無いトーナメントツリーの際と同じ方法で0から2-1までの枝番号(図3の「和」)を振り、この完全二分木構造のトーナメントツリーから、2回戦未満の(22-1-1)枝をb箇所と、3回戦未満の(23-1-1)枝をc箇所と、・・・Y回戦未満の(2Y-1-1)枝をz箇所と、を枝数の多いものより順番に、若い枝番号の枝を含んだ箇所から順に、その若い枝番号の枝は残して削除することで出来る、シードの有るトーナメントツリーを作成する。
【0063】
この例を、図5図6を参照して、具体例に即して説明する。たとえば、シード情報を持たない応募データが10個(Aさん~Jさん)、2回戦から参戦のシード情報(X=2)を持つ応募データが3個(Kさん~Mさん)、3回戦から参戦のシード情報(X=3)を持つ応募データが1個(Nさん)、4回戦から参戦のシード情報(X=4)を持つ応募データが1個(Oさん)であるとき、25-1<10+22-1×3+23-1×1+24-1×1≦2を満たす、2の5乗の枝をもつ完全二分木構造のトーナメントツリーの全枝に、上記の方法で枝番号を0から2-1(=31)まで振り、この完全二分木構造のトーナメントツリーから、2回戦未満の(22-1-1)枝を3箇所と、3回戦未満の(23-1-1)枝を1箇所と、4回戦未満の(24-1-1)枝を1箇所と、を枝数の多いものより順番に、若い枝番号の枝を含んだ箇所から順に、その若い枝番号の枝を残して削除することで出来る(図5)、2回戦が初回戦となるシードの枝が3枝、3回戦が初回戦となるシードの枝が1枝、4回戦が初回戦となるシードの枝が1枝、計5枝のシードの枝を有したシードの有るトーナメントツリー(図6)を作成する。
【0064】
これにより、たとえば4回戦(X回戦)から参戦のシードなら、本来ジャンケンで1~3回戦を勝ち抜き4回戦へ進める確率は8分の1なので、当選確率は8倍(2X-1倍)という具合に、当選確率のアップ率が誰にでもわかる抽選を提供することができる。
【0065】
続いて、組合せ作成手段32が、ステップ4で作成され記憶部40に記憶されている、シードの有るトーナメントツリーの各X回戦が初回戦となるシードの枝に、そのX値のシード情報を持つ応募データを、また1回戦が初回戦となる枝に、シード情報を持たない応募データを、所定の規則に従って配したシードの有るトーナメント戦の組合せを作成する。図7は、図6のトーナメントツリーを基にして作成された、シードの有るトーナメント戦の組合せの一例を示す説明図である。
【0066】
ただし、図5図7の実施例の方法では、シード情報を持たない応募データの個数以上に、1回戦が初回戦となる枝が作成されるため、多めに作成されたそれらの枝に、所定の規則に従って(一部の枝をとばして)応募データを配するものとしている(図7の実施例では、枝番号の大きな枝をとばして、アルファベット順に応募データを配している)。また、上記の実施例では、各X回戦が初回戦となるシードの枝を、そのX値のシード情報を持つ応募データの個数分「だけ」作成しているが、上記個数分より多い数のシードの枝を作成して、たとえば、ユーザ自身に枝を選ばせるようにしてもよい。なお、上記の実施例では、枝番号を使った方法で、各X回戦が初回戦となるシードの枝の配置の仕方を定めており、その透明性を担保している。
【0067】
ところで、上記のトーナメントツリー及び組合せの作成方法は、あくまでその一例にすぎない。他には、たとえば、シードの無い抽選であれば、T個の応募データを所定の規則に従って順番に一列に並べ、単純に端から2つずつペアにして1回戦の対戦を行い(Tが奇数の場合は、不戦勝が一件発生する)、2回戦以降も、最初の順番を崩さずに勝ち残った応募データを同様に端からペアにして対戦を行い、それを決勝戦まで繰り返す方法がある(ただしこの方法では、たとえば応募数が33なら、33番目の応募データの初戦は決勝戦となる)。また、シードの有る抽選なら、1回戦から決勝戦までの組合せを最初に全て決めず、各回戦の終了後に、その時点で勝ち残っている応募データに次回戦から参戦の応募データを加え、所定の規則に従って再度並べ替え、次回戦の組合せをその都度作成する方法がある(上記いずれの方法の場合も、応募データに係る情報に基づいて、トーナメントツリーの形状は事前に決めることができる)。なお、最初に述べた、まず組合せを決めてそれを開示し、その後に対戦データを送信させるやり方であれば、どのような作成方法でも透明性が問題になることはない。また、上記の説明は、チーム応募方式の抽選の場合も同様で、上記の「応募データ」を「チームデータ」と読み換えて処理すればよい。
【0068】
次に、対戦手段33が、ステップ5で作成され記憶部40に記憶された組合せに従い、記憶部40に記憶されているT個の応募データを、所定のルールによりトーナメント方式で対比して、1回戦から決勝戦までのトーナメント戦を行い、記憶部40が、行われたトーナメント戦の全対比の結果データを記憶する(ステップ6)。
【0069】
次に、結果表作成手段34が、上記各ステップで記憶部40に記憶された、ステップ4で作成されたトーナメントツリーのデータ、ステップ5で作成された組合せのデータ、及びステップ6で行われたトーナメント戦の全対比の結果データを参照して、トーナメント戦における全ての対比の内容を当該組合せ上に反映させた、上記抽選(の募集)に係る抽選結果表を作成し、記憶部40が、作成された抽選結果表を記憶する(ステップ7)。図8は、作成された抽選結果表の一例を示す説明図である。
【0070】
ではここで、図8の抽選結果表が示す具体例に即して、抽選の実施方法の一例について説明する。まず、図8の例は、「シードの無い抽選」であり、応募データの内容及び組合せは図4で示したものと同一で、ステップ5で作成された組合せ(図4)に従い、11個の応募データを所定のルールによりトーナメント方式で対比してトーナメント戦を行い当選者を決めている。なお、所定のルールとは「ジャンケン」の勝ち残りであり、各応募データに含まれる対戦データの値を対比しているが、あいこのときは、各応募データに含まれる個人データの値を対比し、「奇数(1,3)回戦は応募者名のアルファベット順の早い方の勝ち、偶数(2,4)回戦は遅い方の勝ち」と判定している。
【0071】
ただし、図8は一例の図に過ぎず、全対比の内容が組合せ上に反映されさえすれば、どのように作成してもよい。たとえば、図8では勝ち残りの結果を太線で表示しているが、これを省略して、図4のようにして作成した組合せ表を、そのまま抽選結果表として公表し、ユーザ自身が対比を行って結果を確認するようにしてもよい(もちろんこの場合、確認行為がとても面倒なので娯楽性は低下するが、別の意味で娯楽性が向上する)。
【0072】
このステップ7で作成され記憶部40に記憶された、抽選結果表を公表することにより、抽選過程が可視化され、抽選の透明性が担保される。公表の手段は、たとえば、インターネットや新聞雑誌等で公開する、印刷して店頭に張り出す、ユーザに郵送や電子メールで送付する等で、インターネットでの公開や電子メールでの送付の場合は、送受信部20から、インターネット50を介して、各ユーザ端末60へ送信される。
【0073】
次に、当落を自己確認する方式の抽選の場合には、再生手段36が、送受信部20によって受信され認証を受けた、ユーザ端末61からの、そのユーザ端末61を利用するユーザに係る応募データの上記抽選(の募集)についての抽選結果の照会に応じて、記憶部40に記憶されているトーナメント戦の全対比の結果データを参照し、照会対象の応募データとトーナメント戦の中で対比された相手方の応募データの値を、対比された順に(ただし、初回戦敗退等で、再生させる応募データが一つの場合もある)、送受信部20を介してユーザ端末61に再生させる(ステップ8)。図9は、図8のユーザ「Fujio」の端末に順に再生される、対比された相手方の応募データの一例を示す説明図である。
【0074】
なお、ステップ8で再生させるデータの種類は、テキストデータや画像データに限られず、動画データ、音声データ等でもよい。たとえば音声データであれば、図9の例なら「パー」「グー」「グー」「チョキ」と順に音声で再生し、抽選経過及び結果を音で知らせることができる。また、「順に」再生させる方法としては、ユーザ端末61が操作(パソコンならクリック)されるごとに、次のデータを再生してもよいし、決められた時間間隔で自動的に次々と再生してもよい。そして、再生させるこれら各種のデータ(再生データ)は、記憶部40に記憶されているものを、ユーザ端末61にその都度送信してもよいし、事前にアプリケーションとしてユーザ端末61に記憶されているものを、再生してもよい。
【0075】
そして、仮に対比相手の応募データを全て再生したとして、たとえば十万件の応募の中で決勝戦まで進んだ場合でも、再生数は17に過ぎず、ユーザは自己の当落に係る抽選の経過及び結果を、興奮を伴いつつ、素早く直感的に楽しみながら、面倒と感じることなく確認することができる。ただし、その際必ずしもユーザ全員に全ての対比分を再生する必要はなく、たとえば、ある回戦未満で敗退したユーザの端末には単に「ハズレ」とだけ表示し、そこまで勝ち進んだユーザの端末にのみ、その回戦以降の対比分を再生してもよい。
【0076】
なお、抽選結果表の公表、及び、対比相手の応募データの再生の際、上記の例のように、個人データの内容が抽選結果に影響を与える場合は、抽選の透明性を担保するには、対戦データだけでなく、それら個人データの内容の公表、再生が必要である。
【0077】
次に、チーム応募方式の抽選の場合について、図2を参照して、これまでに説明した個人応募方式の抽選の場合と異なる点について説明する。
【0078】
まず、ステップ1で受信される各応募データには、個人データと対戦データとに加え、チームIDがそれぞれ含まれている。
【0079】
受付終了(ステップ3)後、チームデータ生成手段35が、ステップ1で受信されステップ2で記憶部40に記憶された応募データにそれぞれ含まれるチームIDを参照して、複数の上記応募データを所定の規則に従って合成することで一つのチームデータを生成することを複数回行い、記憶部40が生成されたチームデータを記憶する(ステップ3A)。
【0080】
次に、ステップ3Aで、T個(Tは2以上の整数)のチームデータが生成され、記憶部40に記憶された場合に、ツリー作成手段31が、上記T個のチームデータに係る情報(Tの値、及びシードの有る抽選の場合は、それらT個のチームデータが持っているシード情報のX値毎の個数)に基づいたトーナメントツリーを作成する(ステップ4)。
【0081】
次に、組合せ作成手段32が、ステップ4で作成されたトーナメントツリーに、記憶部40に記憶されているT個のチームデータを所定の規則に従って配したトーナメント戦の組合せを作成する(ステップ5)。
【0082】
次に、対戦手段33が、ステップ5で作成された組合せに従い、記憶部40に記憶されているT個のチームデータを、所定のルールによりトーナメント方式で対比してトーナメント戦を行う(ステップ6)。
【0083】
では、チーム応募方式の抽選方法を、図10図11を参照して、具体例に即して説明する。まず、図10は、複数のユーザ端末60から送信され記憶部40に記憶された、締め切り時における全応募データの一例を示す説明図であり、図11は、それをもとに生成されたチームデータによるトーナメント戦の一例を示す説明図である。この例においては、「同じチームIDの応募データどうしを応募者名の五十音順に並べて一つに結合する」ことを4回行い、4つのチームデータを生成している。また、組合せは生成された4つのチームデータを「チームID名のアルファベット順に」配している。そして、対比のルールは星取り戦形式による団体戦で、1対1の個人戦を5戦行い多く勝った方の勝ちとし、引き分けなら最後に勝った方の勝ちとしている。
【0084】
このように、チームの仲間といっしょに楽しむことのできる、団体戦による抽選とすることで、娯楽性がさらに向上し、又、知人等をチームに誘うことで、抽選に関する情報が拡散され、応募者の増加が図れる抽選を提供することができる。
【0085】
なお、上記具体例におけるチームデータの合成の規則は一例にすぎず、たとえば、所定の規則に従って、元の応募データとは全く異なるデータを新たに付加して合成してもよい。また、対比のルールも、応募データを1対1で対比する方法に限られず、たとえば麻雀やポーカーの役のように、複数の応募データを一つのまとまりとしてチームデータの値としてもよい。さらに、同一のチームIDから生成するチームデータは一つに限られず、たとえばチームID「G」を持つ複数の応募データから、「G1」と「G2」というように複数のチームデータを生成してもよい。
【0086】
また、上記具体例では、同じチームIDの応募データどうしを合成しているが、異なるチームIDの応募データを所定の規則に従って合成してもよい。たとえば、応募者の住所の郵便番号をチームIDとする抽選の場合に、同じチームIDだけではチームデータが生成できないときに、周辺地域のチームIDの応募データと合成してチームデータを生成する、といったような場合である。
【0087】
上記一実施形態においては、対比のルールをジャンケンにしたが、ジャンケンに限られないことも言うまでもない。また、通信ネットワークも、インターネットに限られない。
【符号の説明】
【0088】
10 抽選システム
20 送受信部
30 制御部
31 ツリー作成手段
32 組合せ作成手段
33 対戦手段
34 結果表作成手段
35 チームデータ生成手段
36 再生手段
40 記憶部
50 インターネット
60(61、62、63・・・) ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11