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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】給紙装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/02 20060101AFI20221019BHJP
   B65H 1/26 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
B65H7/02
B65H1/26 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018160655
(22)【出願日】2018-08-29
(65)【公開番号】P2020033141
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴山 豪
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-083234(JP,A)
【文献】特開2011-057432(JP,A)
【文献】特開2008-114949(JP,A)
【文献】特開平07-112844(JP,A)
【文献】実開昭58-192843(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に設けられる給紙カセット装着部に対して装着される装着状態と、前記給紙カセット装着部から引き出された引出状態と、を切り換え可能である給紙カセットを備えた給紙装置であって、
前記給紙カセットに収容された用紙に接触して用紙量を検知する検知部を備え、
前記検知部は、
前記給紙カセットに収容された用紙の上面に接触する第1部材と、
前記給紙カセット装着部に対して回動可能に支持されているとともに、前記第1部材を姿勢変化可能に支持しており、前記給紙カセットに収容された用紙の上面に合わせて前記第1部材を上下方向に移動可能に支持する第2部材と、
を有し、
前記第1部材は、
前記装着状態と前記引出状態との切り替えのために移動される前記給紙カセットおよび/または該給紙カセットに収容された用紙に接触する案内部、
を有し、
前記装着状態と前記引出状態との切り替えのために移動される前記給紙カセットおよび/または該給紙カセットに収容された用紙に前記案内部が接触することにより、前記第1部材は、前記第2部材に対して姿勢変化し、
前記第2部材は、前記装着状態から前記引出状態への切り替え、および前記引出状態から前記装着状態への切り替えのいずれの場合にも、前記給紙カセットおよび/または該給紙カセットに収容された用紙と前記案内部との接触によって、前記給紙カセット装着部に対して回動して、前記第1部材を上下方向に移動させることを特徴とする、
給紙装置。
【請求項2】
前記案内部は、
前記給紙カセットを前記引出状態から前記装着状態に移動させる方向を装着方向として、
前記給紙カセットにおける上面と前記装着方向の前方側の面とが交差する部分、および/または、前記給紙カセットに収容された用紙における上面と前記装着方向の前方側の面とが交差する部分に接触するように配置されている、
請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記第1部材は、
前記案内部が前記給紙カセットおよび/または該給紙カセットに収容された用紙に接触することにより、前記案内部と、前記給紙カセットの上面、および/または該給紙カセットに収容された用紙の上面とがなす角度が減少するように、前記第2部材に対して姿勢変化する、
請求項1または請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記第1部材は、
前記第2部材に対して回動可能に設けられている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記案内部が前記給紙カセットおよび/または該給紙カセットに収容された用紙に接触していない状態における、前記第2部材に対する前記第1部材の姿勢を検知姿勢として、
前記第1部材が前記検知姿勢をとるように、前記第2部材に対して前記第1部材を付勢する付勢部材を有する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項6】
前記付勢部材は、
前記第1部材が、前記給紙カセットおよび/または該給紙カセットに収容された用紙の上面に位置した状態では、前記第1部材が前記検知姿勢をとるように、付勢力が設定されている、
請求項5に記載の給紙装置。
【請求項7】
前記案内部が前記給紙カセットおよび/または該給紙カセットに収容された用紙に接触した状態における、前記第2部材に対する前記第1部材の姿勢変化を所定範囲に制限する制限部を有する、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載された給紙装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙カセットを備えた給紙装置、および給紙装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置に設けられる給紙装置として、給紙カセットを備えた給紙装置が知られている。給紙カセットは、画像形成装置本体の給紙カセット装着部に対して装着される装着状態と、給紙カセット装着部から引き出された引出状態とを切り換えることが可能である。装着状態では給紙カセットから画像形成装置本体への給紙が可能であり、引出状態では用紙の補充や交換が可能である。
【0003】
給紙装置には、給紙カセットに収容された用紙の量や用紙の有無を検知する検知部が設けられている。検知部は、給紙カセットに収容された用紙に接触し、検知信号が画像形成装置の制御部に出力される。制御部は検知信号に基づいて給紙カセットに収容された用紙の量や用紙の有無を判定する。
【0004】
図15は、従来の給紙カセット310および検知部350の動作を示す側面簡略図である。図15に示すように、給紙カセット310は、装着状態と引出状態の切り替えのために給紙カセット装着部に対して移動される。給紙カセット310を装着状態から引出状態に移動させる方向を引出方向D1とし、給紙カセット310を引出状態から装着状態に移動させる方向を装着方向D2とする。図15Aでは、給紙カセット310は引出状態であり、給紙カセット310が装着方向D2に移動されている状態を示している。
【0005】
検知部350は、給紙カセット装着部側に設けられている。給紙カセット310が装着状態と引出状態とに切り替えられるのに伴って、検知部350は給紙カセット310に対して接離して、給紙カセット310の用紙Pを検知する状態と用紙Pを検知しない状態とに切り換えられる。検知部350は、検知部主体351および案内部352を有している。
【0006】
検知部主体351は、支持部360に対してR11方向に回動可能に支持されている。案内部352は、給紙カセット310の角部311、および給紙カセット310に収容された用紙Pの角部P11に接触することにより、検知部350をR11方向に回動させるように案内する。
【0007】
図15Aでは、給紙カセット310の角部311が案内部352に接触している。給紙カセット310の角部311が案内部352に接触すると、案内部352は、検知部350をR11方向に回動させるように案内する。
【0008】
図15Bでは、検知部350がR11方向に回動し、案内部352が給紙カセット310に乗り上げた状態を示している。図15Bの状態から、給紙カセット310が装着方向D2にさらに移動されて、用紙Pの角部P11が案内部352に接触すると、案内部352は、給紙カセット310の角部311が接触した場合と同様に、検知部350をR11方向に回動させるように案内し、検知部350は用紙Pの上面に乗り上がる。検知部350が用紙Pの上面に乗り上げた状態で、検知部350は、給紙カセット310の用紙Pを検知する状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2005-29377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図15Cに示すように、給紙カセット310が装着方向D2に移動されて、給紙カセット310の角部311が案内部352に接触した場合、案内部352が給紙カセット310から受ける力Fの方向と、検知部350が回動するR11方向とが互いに逆方向となる。このため、案内部352がR11方向に回動できずに給紙カセット310の角部311に引っ掛かり、検知部350が給紙カセット310の上面に円滑に乗り上がらない場合がある。また、用紙Pの角部P11が案内部352に接触した場合も同様であり、案内部352が用紙Pの角部P11に引っ掛かり、検知部350が用紙Pの上面に円滑に乗り上がらない場合もある。案内部352が給紙カセット310や用紙Pに引っ掛かると、給紙カセット310を引出状態から装着状態に円滑に移動させにくくなる。
【0011】
また、使用者は、給紙カセット310を装着方向D2に強く移動させたり、無理に移動させる場合がある。このような場合に給紙カセット310の角部311や用紙Pの角部P11が案内部352に衝突して引っ掛かると、案内部352に強い衝撃が加わり、検知部350が破損するおそれがある。
【0012】
特許文献1は、用紙の検出器の先端部に転動可能な可動部材を設ける技術を開示している。しかしながら、特許文献1に開示された技術では、検出器の側方から給紙カセットや用紙が衝突する際の衝撃を緩和することについては考慮されていない。
【0013】
本発明の目的は、装着状態と引出状態との切り替えのために移動される給紙カセットおよび/または給紙カセットに収容される用紙が検知部に接触する際に、検知部が受ける衝撃を緩和することができる給紙装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の給紙装置は、
画像形成装置本体に設けられる給紙カセット装着部に対して装着される装着状態と、前記給紙カセット装着部から引き出された引出状態と、を切り換え可能である給紙カセットを備えた給紙装置であって、
前記給紙カセットに収容された用紙に接触して用紙量を検知する検知部を備え、
前記検知部は、
前記給紙カセットに収容された用紙の上面に接触する第1部材と、
前記第1部材を姿勢変化可能に支持するとともに、前記給紙カセットに収容された用紙の上面に合わせて前記第1部材を上下方向に移動可能に支持する第2部材と、
を有し、
前記第1部材は、
前記装着状態と前記引出状態との切り替えのために移動される前記給紙カセットおよび/または該給紙カセットに収容された用紙に接触する案内部、
を有し、
前記装着状態と前記引出状態との切り替えのために移動される前記給紙カセットおよび/または該給紙カセットに収容された用紙に前記案内部が接触することにより、前記第1部材は、前記第2部材に対して姿勢変化することを特徴とする(第1の構成)。
【0015】
上記構成によれば、第1部材は、案内部が給紙カセットおよび/または給紙カセットに収容された用紙に接触することにより、第2部材に対して姿勢変化する。このため、装着状態と引出状態との切り替えのために移動される給紙カセットおよび/または給紙カセットに収容される用紙が検知部に接触した際に、検知部が受ける衝撃を緩和することができる。
【0016】
上記第1の構成において、
前記案内部は、
前記給紙カセットを前記引出状態から前記装着状態に移動させる方向を装着方向として、
前記給紙カセットにおける上面と前記装着方向の前方側の面とが交差する部分、および/または、前記給紙カセットに収容された用紙における上面と前記装着方向の前方側の面とが交差する部分に接触するように配置されていてもよい(第2の構成)。
【0017】
上記構成によれば、案内部は、給紙カセットにおける上面と装着方向の前方側の面とが交差する部分、および/または、給紙カセットに収容された用紙における上面と装着方向の前方側の面とが交差する部分に接触するように配置されている。このため、案内部が給紙カセット、および/または、給紙カセットに収容された用紙に円滑に乗り上がることができる。
【0018】
上記第1または第2の構成において、
前記第1部材は、
前記案内部が前記給紙カセットおよび/または該給紙カセットに収容された用紙に接触することにより、前記案内部と、前記給紙カセットの上面、および/または該給紙カセットに収容された用紙の上面とがなす角度が減少するように、前記第2部材に対して姿勢変化するようにしてもよい(第3の構成)。
【0019】
上記構成によれば、案内部が給紙カセットおよび/または給紙カセットに収容された用紙に接触することにより、案内部と、給紙カセットの上面、および/または給紙カセットに収容された用紙の上面とがなす角度が減少するように、第2部材に対して姿勢変化する。このため、第1部材が給紙カセット、および/または、給紙カセットに収容された用紙に円滑に乗り上がり、検知部が受ける衝撃を緩和することができる。
【0020】
上記第1から第3のいずれかの構成において、
前記第1部材は、
前記第2部材に対して回動可能に設けられていてもよい(第4の構成)。
【0021】
上記構成によれば、第1部材は、第2部材に対して回動可能に設けられている。このため、第1部材が第2部材に対して回動することにより姿勢変化することができる。
【0022】
上記第1から第4のいずれかの構成において、
前記案内部が前記給紙カセットおよび/または該給紙カセットに収容された用紙に接触していない状態における、前記第2部材に対する前記第1部材の姿勢を検知姿勢として、
前記第1部材が前記検知姿勢をとるように、前記第2部材に対して前記第1部材を付勢する付勢部材を有してもよい(第5の構成)。
【0023】
上記構成によれば、付勢部材は、第1部材が検知姿勢をとるように、第2部材に対して第1部材を付勢する。このため、案内部が給紙カセットおよび/または給紙カセットに収容された用紙に接触する際には、第1部材が検知姿勢とされ、検知部が受ける衝撃を緩和することができる。
【0024】
上記第5の構成において、
前記付勢部材は、
前記第1部材が、前記給紙カセットおよび/または該給紙カセットに収容された用紙の上面に位置した状態では、前記第1部材が前記検知姿勢をとるように、付勢力が設定されていてもよい(第6の構成)。
【0025】
上記構成によれば、第1部材が、給紙カセットおよび/または給紙カセットに収容された用紙の上面に位置した状態では、第1部材が検知姿勢をとる。このため、第2部材に対する第1部材の姿勢が一定となり、給紙カセットに収容された用紙の検知を正確に行うことができる。
【0026】
上記第1から第6のいずれかの構成において、
前記案内部が前記給紙カセットおよび/または該給紙カセットに収容された用紙に接触した状態における、前記第2部材に対する前記第1部材の姿勢変化を所定範囲に制限する制限部を有してもよい(第7の構成)。
【0027】
上記構成によれば、制限部は、第2部材に対する第1部材の姿勢変化を所定範囲に制限する。このため、第1部材が給紙カセット、および/または、給紙カセットに収容された用紙に乗り上がりやすくなる。
【0028】
本発明の画像形成装置は、上記第1から第7のいずれかの構成の給紙装置を備える(第8の構成)。
【0029】
上記構成によれば、第1部材は、案内部が前記給紙カセットおよび/または該給紙カセットに収容された用紙に接触することにより、第2部材に対して姿勢変化する。このため、装着状態と前記引出状態との切り替えのために移動される給紙カセットおよび/または給紙カセットに収容される用紙が検知部に接触した際に、検知部が受ける衝撃を緩和することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の給紙装置および画像形成装置によれば、装着状態と引出状態との切り替えのために移動される給紙カセットおよび/または給紙カセットに収容される用紙が検知部に接触する際に、検知部が受ける衝撃を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施形態1に係る給紙装置を適用した画像形成装置の全体構成を示す斜視図である。
図2図1のA―A線の位置において切断した断面図であって、給紙カセット装着部に給紙カセットが装着された装着状態を模式的に示す平面図である。
図3図1のA―A線の位置において切断した断面図であって、給紙カセット装着部から給紙カセットが引き出された引出状態を模式的に示す平面図である。
図4図2の矢印A方向から見た、検知部の側面図である。
図5図2のB-B線における、検知部の側面断面図である。
図6】検知部の動作を示す側面図である。
図7】検知部の動作を示す側面図である。
図8】検知部の動作を示す側面図である。
図9】検知部の動作を示す側面図である。
図10】装着方向に移動する給紙カセットおよび給紙カセットに収容された用紙に検知部が接触した状態における検知部の動作を示す側面簡略図である。
図11】装着方向に移動する給紙カセットおよび給紙カセットに収容された用紙に検知部が接触した状態における検知部の動作を示す側面簡略図である。
図12】装着方向に移動する給紙カセットおよび給紙カセットに収容された用紙に検知部が接触した状態における検知部の動作を示す側面簡略図である。
図13】装着方向に移動する給紙カセットおよび給紙カセットに収容された用紙に検知部が接触した状態における検知部の動作を示す側面簡略図である。
図14】引出方向に移動する給紙カセットおよび給紙カセットに収容された用紙に検知部が接触した状態における検知部の動作を示す側面簡略図である。
図15】従来の給紙カセットおよび検知部の動作を示す側面簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る給紙装置100を適用した画像形成装置200の全体構成を示す斜視図である。画像形成装置200は、画像形成装置本体201、原稿台202、スキャナ部203、排紙トレイ205、給紙カセット装着部206、および給紙装置100を備えている。
【0033】
画像形成装置本体201は、画像形成装置200の本体部分である。原稿台202は、画像形成装置本体201の上面に設置されたガラス体である。スキャナ部203は、原稿台202の下方に設けられており、原稿台202上に置かれた原稿の画像を読み取る。画像形成装置本体201の内部には、画像形成部が設けられている。スキャナ部203で読み取られた画像データは画像形成部に入力され、画像データに基づく画像が電子写真画像形成法によって用紙の表面に形成される。排紙トレイ205は、画像形成装置本体201の上部中央(スキャナ部203の下方位置)に設置されており、画像が形成された用紙が排出される。
【0034】
本実施形態の給紙装置100は排紙トレイ205の下方に設けられている。給紙装置100には上下2段の給紙カセット装着部206が設けられている。各給紙カセット装着部206には、給紙カセット10が装着されている。
【0035】
給紙カセット10は、装着状態PA1(図2参照)と引出状態PA2(図3参照)とを切り換え可能である。装着状態PA1(図2参照)は、給紙カセット10が給紙カセット装着部206に対して装着された状態である。引出状態PA2は、給紙カセット10が給紙カセット装着部206から引き出された状態である。図1に示した給紙カセット10は、引出状態PA2であり、給紙カセット装着部206に対して図示手前側から奥側に向けて押し込むことによって装着状態PA1に切り換えることができる。給紙カセット10を装着状態PA1から引出状態PA2に移動させる方向を引出方向D1とし、給紙カセット10を引出状態PA2から装着状態PA1に移動させる方向を装着方向D2とする。
【0036】
〔給紙装置〕
次に、給紙装置100について詳細に説明する。図2は、図1のA―A線の位置において切断した断面図であって、給紙カセット装着部206に給紙カセット10が装着された装着状態PA1を模式的に示す平面図である。図3は、図1のA―A線の位置において切断した断面図であって、給紙カセット装着部206から給紙カセット10が引き出された引出状態PA2を模式的に示す平面図である。図2および図3に示すように、給紙カセット10は、給紙カセット本体11、収容部20、および可動載置板21を備えている。
【0037】
給紙カセット本体11は、給紙カセット10の基体をなす部分である。
【0038】
収容部20は、給紙カセット本体11の内側に形成されている。収容部20には、用紙Pが収容される。収容部20には、用紙ガイドが設けられている(図示せず)。用紙ガイドは、収容部20に各種サイズ(例えばA4、A3、B5、B4など)の用紙Pを収容できるように位置を調整することができる。装着状態PA1において、収容部20に収容された用紙Pは画像形成装置本体201に設けられたピックアップローラ211によって引き出され、給紙ローラ212によってシート搬送路(図示せず)に搬送される。シート搬送路に搬送された用紙Pの表面には、画像形成部において画像が形成される。装着状態PA1において給紙カセット10に収容された用紙Pが給紙される方向を給紙方向D3とする。
【0039】
可動載置板21は、収容部20に収容された用紙Pの端部を上方に押し上げて、画像形成装置本体201に設けられたピックアップローラ211に用紙Pを接触させる部材である。
【0040】
給紙装置100は、検知部30を備えている。検知部30は、給紙カセット装着部206に設けられている。検知部30は、装着状態PA1の給紙カセット10に収容された用紙Pに接触して、用紙量(用紙Pの量あるいは用紙Pの有無)を検知する。検知部30には検知部30の変位量を検知するセンサ(図示せず)が設けられており、センサからの検知信号は、画像形成装置本体201の内部に設けられた制御部(図示せず)に入力され、用紙量を判定する。
【0041】
〔検知部〕
図4は、図2の矢印A方向から見た、検知部30の側面図である。図5は、図2のB-B線における、検知部30の側面断面図である。図4には、検知部30に対して装着方向D2に移動する仮想の給紙カセット10、および、検知部30に対して引出方向D1に移動する仮想の給紙カセット10をそれぞれ二点鎖線で示している。
【0042】
図4に示すように、検知部30は、第1部材40、および第2部材50を備えている。第1部材40は、給紙カセット10に収容された用紙Pの上面に接触する部材である。第2部材50は、給紙カセット装着部206に設けられた支持部90に回動可能に支持されているとともに、第1部材40を姿勢変化可能に支持する部材である。第2部材50が支持部90に対して回動することにより、第1部材40は上下方向に移動する。以下、検知部30について詳細に説明する。
【0043】
図4および図5に示すように、第2部材50は、アーム部51を有している。アーム部51の一端部は、支持軸91によって支持部90に対して回動可能に支持されている。支持部90に対してアーム部51が回動する方向をR1方向およびR2方向とする。支持部90には、回動規制部93が形成されている。回動規制部93は、アーム部51がR2方向に回動した位置で当接し、アーム部51の回動範囲を制限する。アーム部51は自重によって回動規制部93に当接する位置までR2方向に回動して停止している。アーム部51が回動規制部93に当接し、支持部90から引出方向D1に向けて斜め下方に延びている姿勢を初期姿勢PB1とする。アーム部51は、回動規制部93に当接した初期姿勢PB1からR1方向に回動可能である。アーム部51が、初期姿勢PB1からR1方向に回動した姿勢を回動姿勢PB2とする(図7から図9参照)。第2部材50は、初期姿勢PB1と回動姿勢PB2との間で姿勢変化可能である。
【0044】
アーム部51の他端部には、第1部材40が設けられている。第1部材40は、支持軸43により、第2部材50に対して回動可能に支持されている。第2部材50に対して第1部材40が回動する方向をR3方向およびR4方向とする。
【0045】
第1部材40は、第1部材主体41、保持部42、支持軸43、および付勢部材45(図5参照)を有している。
【0046】
第1部材主体41は、引出方向D1および装着方向D2に移動する給紙カセット10および/または給紙カセット10に収容された用紙Pに接触する部分である。第1部材主体41は、第1当接部411、第2当接部412、第1案内部413、第2案内部414、および接触部416が設けられている。
【0047】
第1当接部411は、第1部材主体41の一方の端部に設けられている。第1当接部411は、第1部材40がR3方向に回動した場合に第2部材50に当接する。第2部材50には、第1当接部411に当接して第1部材40のR3方向への回動を制限する第1制限部511が設けられている。
【0048】
第2当接部412は、第1部材主体41の他方の端部に設けられている。第2当接部412は、第1部材40がR4方向に回動した場合に第2部材50に当接する。第2部材50には、第2当接部412に当接して第1部材40のR4方向への回動範囲を制限する第2制限部512が設けられている。第2制限部512は、本発明の制限部に相当する。
【0049】
第1案内部413は、装着状態PA1と引出状態PA2との切り替えのために装着方向D2に移動する給紙カセット10および給紙カセット10に収容された用紙Pに接触する部分である。第1案内部413は、装着方向D2に移動される給紙カセット10および給紙カセット10に収容された用紙Pに接触する位置に配置されている。具体的には、第1案内部413は、装着方向D2に移動される給紙カセット10における上面101と装着方向D2の前方側の面102とが交差する角部103、および、装着方向D2に移動される給紙カセット10に収容された用紙Pにおける上面P1と装着方向D2の前方側の面P2とが交差する角部P3(図10参照)に接触するように位置が設定されている。第1案内部413は、本発明の案内部に相当する。
【0050】
第2案内部414は、装着状態PA1と引出状態PA2との切り替えのために引出方向D1に移動する給紙カセット10に接触する部分である。第2案内部414は、引出方向D1に移動する給紙カセット10に接触する位置に配置されている。具体的には、第2案内部414は、引出方向D1に移動される給紙カセット10における上面101と引出方向D1の前方側の面104とが交差する角部105に接触するように位置が設定されている。
【0051】
接触部416は、装着状態PA1の給紙カセット10に収容された用紙Pの用紙量(用紙Pの量あるいは用紙Pの有無)を検知する際に、用紙Pの上面P1に接触する部分である。
【0052】
保持部42は、第2部材50に連結される部分である。図4および図5に示すように、保持部42は、第1部材主体41の両側に設けられている。保持部42の間には、第2部材50を間に挟むことが可能な間隙が形成されている。保持部42によって形成される間隙に第2部材50が挿通される。
【0053】
支持軸43は、第1部材40および第2部材50を回動可能に接続する部材である。支持軸43は、保持部42によって形成される間隙に第2部材50が挿通された状態で、保持部42および第2部材50を貫通するように設けられる。
【0054】
図5に示すように、付勢部材45は、第1部材40および第2部材50の間に設けられている。付勢部材45は、第2部材50に対して第1部材40をR3方向に向けて付勢し、第1当接部411が第1制限部511に当接するように回動させている。第1当接部411が第1制限部511に当接した第1部材40の姿勢を検知姿勢PC1とする。言い換えると、付勢部材45は、第1部材40が検知姿勢PC1となるように、第2部材50に対して第1部材40を付勢している。
【0055】
第1部材40が付勢部材45の付勢力に抗してR4方向に向けて回動した姿勢を案内姿勢PC2とする(図6および図7参照)。第1部材40は、第2当接部412が第2制限部512に当接する位置までR4方向に向けて回動可能である。
【0056】
〔検知部の第1部材および第2部材の動作の説明〕
次に、装着方向D2または引出方向D1に移動する給紙カセット10が検知部30に接触した場合における検知部30の動作について説明する。図6から図9は、検知部30の動作を示す側面図である。
【0057】
まず、装着方向D2に移動する給紙カセット10が第1部材40の第1案内部413に接触した場合における、第1部材40および第2部材50の動作について説明する。
【0058】
図4および図6に示すように、装着方向D2に移動する給紙カセット10が第1部材40の第1案内部413に接触すると、第1部材40は、給紙カセット10から押圧力を受けて第2部材50に対してR4方向に回動する。第1部材40がR4方向に回動して検知姿勢PC1から案内姿勢PC2に姿勢が変化することにより、給紙カセット10から検知部30が受ける衝撃が緩和される。図6に示すように、第1部材40は、第2当接部412と第2制限部512が当接する位置まで回動した位置で、それ以上の回動は制限される。
【0059】
図4および図6に示すように、第1部材40の姿勢が検知姿勢PC1から案内姿勢PC2に変化することで、第1案内部413と給紙カセット10の上面101とがなす角度が減少する。具体的には、図4において、第1案内部413と給紙カセット10の上面101とがなす角度を角度α1とし、図6において、第1案内部413と給紙カセット10の上面101とがなす角度を角度α2とすると、角度α2は角度α1よりも小さくなる。このため、第1案内部413は、給紙カセット10の上面101に乗り上がりやすくなる。
【0060】
図6および図7に示すように、給紙カセット10が装着方向D2にさらに移動すると、第2部材50に対する第1部材40の回動は制限されているため、第2部材50がR1方向に回動し、初期姿勢PB1から回動姿勢PB2に姿勢変化する。これにより、第1部材40の第1案内部413は、給紙カセット10の上面101に乗り上がる。
【0061】
図8に示すように、給紙カセット10が第1案内部413から離れると、第1部材40は、給紙カセット10から押圧力を受けなくなる。このため、第1部材40は、付勢部材45の付勢力によって第2部材50に対してR3方向に回動して、案内姿勢PC2から検知姿勢PC1に姿勢が変化する。
【0062】
なお、付勢部材45の付勢力は、第1部材40が給紙カセット10の上面P1に位置して、給紙カセット10から押圧力を受けなくなった状態では、第1部材40を検知姿勢PC1とすることができる強度に設定されている。
【0063】
次に、引出方向D1に移動する給紙カセット10が第1部材40の第2案内部414に接触した場合における、第1部材40および第2部材50の動作について説明する。
【0064】
図9に示すように、第2部材50に対する第1部材40の姿勢は、付勢部材45の付勢力によって検知姿勢PC1となっている。このため、引出方向D1に移動する給紙カセット10が第1部材40の第2案内部414に接触しても、第1部材40は第2部材50に対してR3方向には回動しない。一方、第2部材50は、第1部材40が受けた給紙カセット10からの押圧力によってR1方向に回動して、初期姿勢PB1から回動姿勢PB2に姿勢が変化する。第2部材50が初期姿勢PB1から回動姿勢PB2に姿勢を変化させることにより、給紙カセット10から検知部30が受ける衝撃が緩和される。
【0065】
〔検知部の動作の説明〕
次に、給紙カセット10および給紙カセット10に収容された用紙Pに検知部30が接触した状態における検知部30の動作について説明する。図10から図13は、装着方向D2に移動する給紙カセット10および給紙カセット10に収容された用紙Pに検知部30が接触した状態における検知部30の動作を示す側面簡略図である。図14は、引出方向D1に移動する給紙カセット10および給紙カセット10に収容された用紙Pに検知部30が接触した状態における検知部30の動作を示す側面簡略図である。
【0066】
図10および図11では、装着方向D2に移動する給紙カセット10の角部103が第1部材40の第1案内部413に接触した状態を示している。図10に示すように、給紙カセット10の角部103が第1部材40の第1案内部413に接触すると、図11に示すように、第1部材40の姿勢が検知姿勢PC1から案内姿勢PC2に変化し、給紙カセット10から検知部30が受ける衝撃が緩和される。
【0067】
また、第1部材40の姿勢が検知姿勢PC1から案内姿勢PC2に変化することにより、第1案内部413と給紙カセット10の上面101とがなす角度が減少する。このため、第1案内部413は、給紙カセット10の上面101に乗り上がりやすくなる。
【0068】
図12は、装着方向D2に移動する給紙カセット10の上面101に第1部材40が乗り上がった状態を示している。図12に示すように、第2部材50に対する第1部材40の回動は制限されているため、第2部材50がR1方向に回動し、初期姿勢PB1から回動姿勢PB2に姿勢変化する。これにより、第1部材40の第1案内部413は、給紙カセット10の上面101に乗り上がる。
【0069】
図13は、装着状態PA1となった給紙カセット10に収容された用紙Pの上面P1に第1部材40が乗り上がった状態を示している。第1部材40が用紙Pの上面P1に乗り上がる前に用紙Pの角部P3に接触した状態では、給紙カセット10の角部103に接触した状態と同様に(図10から図12参照)、第1部材40の姿勢が検知姿勢PC1から案内姿勢PC2に変化し、用紙Pの角部P3から検知部30が受ける衝撃が緩和される。
【0070】
図13の状態では、第1部材40は、検知姿勢PC1に姿勢が変化しており、接触部416は、用紙Pの上面P1に接触する。接触部416が用紙Pの上面P1に接触することにより、装着状態PA1の給紙カセット10に収容された用紙Pの用紙量(用紙Pの量あるいは用紙Pの有無)を検知する。
【0071】
図14では、引出方向D1に移動する給紙カセット10の角部105が第1部材40の第2案内部414に接触した状態を示している。給紙カセット10の角部105が第1部材40の第2案内部414に接触すると、第2部材50は、第1部材40が受けた給紙カセット10からの押圧力によってR1方向に回動して、初期姿勢PB1から回動姿勢PB2に姿勢が変化する。第2部材50が初期姿勢PB1から回動姿勢PB2に姿勢を変化させることにより、給紙カセット10の角部105から検知部30が受ける衝撃が緩和される。
【0072】
以上説明した給紙装置100によれば、第1部材40は、第1案内部413が給紙カセット10および給紙カセット10に収容された用紙Pに接触することにより、第2部材50に対して姿勢変化する。このため、装着状態PA1と引出状態PA2との切り替えのために移動される給紙カセット10および給紙カセット10に収容される用紙Pが検知部30に接触した際に、検知部30が受ける衝撃を緩和することができる。
【0073】
〔実施形態2〕
次に本発明の実施形態2に係る給紙装置100Aについて説明する。実施形態1に係る給紙装置100では、検知部30の第1部材40は第2部材50に対して回動することによって姿勢変化する構成とした。実施形態2に係る給紙装置100Aでは、第1部材40Aを第2部材50Aに対して摺動可能に設けることで姿勢変化させる構成とする。この場合、第1部材40Aを様々な姿勢に姿勢変化させることができる。
【0074】
〔実施形態3〕
次に本発明の実施形態3に係る給紙装置100Bについて説明する。実施形態3に係る給紙装置100Bでは、検知部30Bの第1部材40Bは、第2部材50Bに対して給紙方向D3に向けて姿勢変化可能な構成とする。この場合、用紙Pが給紙される際に用紙Pと第1部材40Bの摩擦を低減させることができ、異音の発生を抑制することができる。
【0075】
〔他の実施形態〕
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0076】
例えば、検知部を構成する第1部材および第2部材の形状は、上記実施形態に限定されない。また、上記実施形態では、給紙カセット10が装着方向D2に移動する際に、第1部材40が第2部材50に対して姿勢変化する構成としたが、給紙カセット10が引出方向D1に移動する際に、第1部材40が第2部材50に対して姿勢変化する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、給紙カセットを備えた給紙装置、および給紙装置を備えた画像形成装置に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
100 給紙装置
200 画像形成装置
206 給紙カセット装着部
10 給紙カセット
20 収容部
30 検知部
40 第1部材
50 第2部材
413 第1案内部(案内部)
PA1 装着状態
PA2 引出状態
P 用紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15