(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】カーテン用機能付加シート
(51)【国際特許分類】
A47H 23/08 20060101AFI20221019BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20221019BHJP
A61L 9/013 20060101ALI20221019BHJP
A61L 9/014 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
A47H23/08
A61L9/01 B
A61L9/01 J
A61L9/01 V
A61L9/013
A61L9/014
(21)【出願番号】P 2018182745
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷澤 敦子
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-165870(JP,A)
【文献】特開2000-167033(JP,A)
【文献】実開昭49-124217(JP,U)
【文献】特開2011-36841(JP,A)
【文献】特開2013-212345(JP,A)
【文献】特開2018-146746(JP,A)
【文献】特開2014-65182(JP,A)
【文献】特開2015-100685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47H 23/08
A61L 9/00-9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテンに対して縦方向及び横方向を合わせて貼り付けることにより、カーテンに機能を付加するシートであって、
縦方向及び横方向に延びるシート材と、このシート材のカーテン側となる面に設けられた粘着剤層とを有し、
前記シート材は、前記カーテンに機能を付加する薬剤を含有しており、
前記シート材の縦方向の全体にわたり直線的に連続する、前記粘着剤層を有しない第1領域と、前記粘着剤層を有する第2領域とが、前記横方向に交互に繰り返し設けられて
おり、
各第1領域の横方向の中央部にのみ、前記縦方向に沿って連続するミシン目が設けられ、このミシン目を切り離すことにより横方向に複数のシートに分割可能となっている、
ことを特徴とする、カーテン用機能付加シート。
【請求項2】
前記第2領域における前記粘着剤層は、前記縦方向に間欠的に設けられている、
請求項1記載のカーテン用機能付加シート。
【請求項3】
前記カーテン用機能付加シートの縦方向の寸法が0.2~0.6mであり、前記カーテン用機能付加シートの横方向の寸法が前記縦方向の寸法の0.5倍以上であり、前記第1領域の横方向の寸法が0.01~0.05mであり、前記第2領域の横方向の寸法が0.03~0.08mである、
請求項1
又は2に記載のカーテン用機能付加シート。
【請求項4】
前記シート材は、構成繊維の繊度が0.5~10.0dtex、目付けが
20~
30g/m
2、かつ厚みが0.1~2.0mmの不織布であ
り、
前記粘着剤層は、透明粘着剤からなるものである、
請求項1~5のいずれか1項に記載のカーテン用機能付加シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消臭剤や芳香剤、防虫剤、殺虫剤等の薬剤による機能を付加するためのカーテン用機能付加シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消臭剤や芳香剤、防虫剤、殺虫剤等の薬剤を室内に用いる方法としては、スプレーを用いて室内物品に薬剤を噴霧したり、薬剤を蒸散する小型の置物や、臭気を吸着する小型の置物を設置したりすることが知られている。
【0003】
例えば、一般家庭や介護現場では、室内カーテンに生活臭(食物臭、体臭、排泄臭、ペット臭、たばこ臭等)がしみつくことがあるため、これを防止又は軽減するために、カーテンに消臭剤又は芳香剤を噴霧したり、カーテンの近くに消臭用や芳香用の置物を設置したりすることが行われている。
【0004】
しかし、これらの方法をカーテンに用いることは好ましくない。例えば、カーテンに薬剤を噴霧する方法では、カーテンにシミや変色を発生させるおそれがある。
【0005】
また、消臭用や芳香用の置物をカーテンの近くに設置する方法では、カーテンの広範囲に十分な効果を及ぼすことが困難である。また、認知機能に問題を有する人が置物の中の薬剤を食べ物と間違えて口に入れるおそれもある。
【0006】
他方で、対象物品に粘着させて使用する粘着消臭・抗菌シート(特許文献1参照)や、芳香・消臭シート(特許文献2参照)も提案されている。しかし、これらは小片での使用を想定しているため、カーテン全体に効果を及ぼすためには非現実的な数のシートをカーテンに貼り付ける必要がある。また、これらのシートを大きく形成したとしても、粘着剤層が連続しているため、カーテンにキレイに貼り付けにくいだけでなく、カーテンの襞の変形が阻害されるため、カーテンの外観が悪化したり、カーテンの開閉動作等により粘着剤層がカーテンから剥がれやすくなったりするおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実登3181534号明細書
【文献】特開2007-244714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の主たる課題は、カーテンの襞の変形を阻害しにくいカーテン用機能付加シートを提供すること等にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決したカーテン用機能付加シートは以下のとおりである。
<第1の態様>
縦方向及び横方向に延びるシート材と、このシート材のカーテン側となる面に設けられた粘着剤層とを有し、
前記シート材は、前記カーテンに機能を付加する薬剤を含有しており、
前記シート材の縦方向の全体にわたり直線的に連続する、前記粘着剤層を有しない第1領域と、前記粘着剤層を有する第2領域とが、前記横方向に交互に繰り返し設けられている、
ことを特徴とする、カーテン用機能付加シート。
【0010】
(作用効果)
本カーテン用機能付加シートは、カーテンに貼り付けることにより、カーテンに消臭剤等の薬剤の機能を付加するものである。したがって、カーテンに薬剤を噴霧する方法と異なり、カーテンにシミや変色を発生させるおそれがなく、消臭用や芳香用の置物と異なり、カーテンの広範囲に十分な機能を付加することが可能である。もちろん、認知機能に問題を有する人であっても食べ物と誤認しにくいものでもある。そして、本カーテン用機能付加シートをカーテンに貼り付けた状態では、本カーテン用機能付加シートの各第1領域と対向する部分でカーテンがある程度自由に変形できるため、全体としてカーテンの襞の変形が阻害されにくくなる。この結果、カーテンの外観が悪化したり、カーテンの開閉動作等により粘着剤層がカーテンから剥がれやすくなったりするおそれが少ないものとなる。
【0011】
<第2の態様>
前記第1領域に、前記縦方向に沿って連続するミシン目が設けられており、このミシン目を切り離すことにより横方向に複数のシートに分割可能となっている、
第1の態様のカーテン用機能付加シート。
【0012】
(作用効果)
このように第1領域に形成されたミシン目で横方向に複数のシートに分割可能であると、貼り付け対象のカーテンの寸法や、目的とする効果の程度に応じて、シートの寸法を適宜調整することができるため好ましい。
【0013】
<第3の態様>
前記シート材には、前記横方向に間欠的に、前記縦方向に沿って延びる易折り曲げ部が設けられている、
第1又は2の態様のカーテン用機能付加シート。
【0014】
(作用効果)
シート材に、このような易折り曲げ部(例えば、ミシン目やエンボス加工による凹部等)が設けられていると、本カーテン用機能付加シートが変形しやすくなり、カーテンの変形がより阻害されにくくなるため好ましい。
【0015】
<第4の態様>
前記第2領域における前記粘着剤層は、前記縦方向に間欠的に設けられている、
第1~3のいずれか1つの態様のカーテン用機能付加シート。
【0016】
(作用効果)
粘着剤層は、縦方向にも間欠的に設けられると、カーテンの変形がより阻害されにくくなるため好ましい。
【0017】
<第5の態様>
前記カーテン用機能付加シートの縦方向の寸法が0.2~0.6mであり、前記カーテン用機能付加シートの横方向の寸法が前記縦方向の寸法の0.5倍以上であり、前記第1領域の横方向の寸法が0.01~0.05mであり、前記第2領域の横方向の寸法が0.03~0.08mである、
第1~4のいずれか1つの態様のカーテン用機能付加シート。
【0018】
(作用効果)
通常の場合、カーテン用機能付加シートの寸法及びその各部の寸法は本態様の範囲内であると、様々なカーテンに対して十分に広範囲に貼り付けできるため好ましい。
【0019】
<第6の態様>
前記シート材は、構成繊維の繊度が0.5~10.0dtex、目付けが13~100g/m2、かつ厚みが0.1~2.0mmの不織布である、
第1~5のいずれか1つの態様のカーテン用機能付加シート。
【0020】
(作用効果)
シート材としては柔軟性や、カーテン素材との親和性の加点から不織布が好ましい。そして、特に本態様の範囲内の不織布であると、通気性に優れるため、薬剤が空気との接触により効果を発揮する消臭剤や芳香剤、殺虫剤等においては、その効果を発揮する上で特に好ましいものとなる。
【0021】
<第7の態様>
前記粘着剤層は、透明粘着剤からなるものである、
第6の態様のカーテン用機能付加シート。
【0022】
(作用効果)
前述の範囲内の低密度な不織布であると、可視光線の透過性にも優れるため、粘着剤層が透明粘着剤からなるものであると、カーテンに貼り付けたときにカーテンの模様や色が透けて見えやすくなる。よって、カーテンに対して本カーテン用機能付加シートを貼り付けたときに、カーテン本来の外観を生かすことができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のカーテン用機能付加シートによれば、使用時にカーテンの襞の変形を阻害しにくくなる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】展開状態のカーテン用機能付加シートの平面図である。
【
図3】カーテン用機能付加シートをカーテンに取り付けた状態を概略的に示す斜視図である。
【
図4】展開状態のカーテン用機能付加シートの平面図である。
【
図5】展開状態のカーテン用機能付加シートの平面図である。
【
図6】展開状態のカーテン用機能付加シートの平面図である。
【
図7】展開状態のカーテン用機能付加シートの平面図である。
【
図8】カーテン用機能付加シートのロール製品を概略的に示す斜視図である。
【
図9】各種のカーテン用機能付加シートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1及び
図2は、縦方向LD及び横方向WDに延びるシート材1と、このシート材1のカーテン20側となる面に設けられた粘着剤層2とを有する、カーテン用機能付加シート10を示している。特徴的には、このカーテン用機能付加シート10では、シート材1は、カーテン20に機能を付加する薬剤を含有している。また、シート材1の縦方向LDの全体にわたり直線的に連続する、粘着剤層2を有しない第1領域11と、粘着剤層2を有する第2領域12とが、横方向WDに交互に繰り返し設けられている。
【0026】
本カーテン用機能付加シート10は、
図3に示すようにカーテン20に貼り付けることにより、カーテン20に消臭剤等の薬剤の機能を付加するものである。したがって、カーテン20に薬剤を噴霧する方法と異なり、カーテン20にシミや変色を発生させるおそれがなく、消臭用や芳香用の置物と異なり、カーテン20の広範囲に十分な機能を付加することが可能である。もちろん、認知機能に問題を有する人であっても食べ物と誤認しにくいものでもある。そして、本カーテン用機能付加シート10をカーテン20に貼り付けた状態では、本カーテン用機能付加シート10の各第1領域11と対向する部分でカーテン20がある程度自由に変形できるため、全体としてカーテン20の襞の変形が阻害されにくくなる。この結果、カーテン20の外観が悪化したり、カーテン20の開閉動作等により粘着剤層2がカーテン20から剥がれやすくなったりするおそれが少ないものとなる。
【0027】
(シート材)
シート材1としては、不織布、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルム、紙、織布等のシート状の素材であれば、特に限定なく使用できる。シート材1としては柔軟性や、カーテン素材との親和性の加点から不織布が好ましい。シート材1に用いる不織布としては、公知の不織布を適宜使用することができる。不織布の構成繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維(単成分繊維の他、芯鞘等の複合繊維も含む)の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等、特に限定なく選択することができ、これらを混合して用いることもできる。不織布の柔軟性を高めるために、構成繊維を捲縮繊維とするのは好ましい。また、不織布の構成繊維は、親水性繊維(親水化剤により親水性となった疎水性繊維を含む)であっても、疎水性繊維若しくは撥水性繊維(撥水剤により撥水性となった撥水性繊維を含む)であってもよい。また、不織布は一般に繊維の長さや、シート形成方法、繊維結合方法、積層構造により、短繊維不織布、長繊維不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド(エアスルー)不織布、ニードルパンチ不織布、ポイントボンド不織布、積層不織布(スパンボンド層間にメルトブローン層を挟んだSMS不織布、SMMS不織布等)等に分類されるが、これらのどの不織布も用いることができる。
【0028】
シート材1に用いる不織布は特に限定されるものではないが、構成繊維の繊度が0.5~10.0dtex、目付けが13~100g/m2、かつ厚みが0.1~2.0mmの不織布であると好ましい。このような密度の不織布であると、通気性に優れるため、薬剤が空気との接触により効果を発揮する消臭剤や芳香剤、殺虫剤等においては、その効果を発揮しやすいものものとなる。
【0029】
(粘着剤層)
粘着剤層2を構成する粘着剤は特に限定されるものではないが、例えばスチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤のいずれかが主成分であるものを公的に使用することができる。スチレン系ポリマーとしては、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソブチレン-スチレン共重合体等が挙げられるが、これらのうち1種のみを使用しても、二種以上のポリマーブレンドであってもよい。この中でも熱安定性が良好であるという点で、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体が好ましい。また、粘着付与剤及び可塑剤としては、常温で固体のものを好ましく用いることができる。粘着付与剤としては、例えばC5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等を例示することができる。可塑剤としては、例えば、リン酸トリフレシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のモノマー可塑剤の他、ビニル重合体やポリエステルのようなポリマー可塑剤を例示することができる。
【0030】
特に、粘着剤層2が透明粘着剤からなるものであると好ましい。すなわち、前述の範囲内の密度の不織布であると、可視光線の透過性にも優れるため、粘着剤層2が透明粘着剤からなるものであると、カーテン20に貼り付けたときにカーテン20の模様や色が透けて見えやすくなる。よって、カーテン20に対して本カーテン用機能付加シート10を貼り付けたときに、カーテン20の本来の外観を生かすことができる。なお、このように、カーテン用機能付加シート10の透明性を重視する場合、不織布の構成繊維の繊度は0.5~10.0dtex、目付けは13~100g/m2(特に20~30g/m2)、厚みは0.1~2.0mmであるとより好ましい。
【0031】
シート材1における粘着剤層2の配置は、シート材1の縦方向LDの全体にわたり直線的に連続する、粘着剤層2を有しない第1領域11と、粘着剤層2を有する第2領域12とが、横方向WDに交互に繰り返し設けられる限り特に限定されない。例えば、
図1に示すように、長辺がシート材1の縦方向LDに沿う長方形状の粘着剤層2が、シート材1の横方向WDに間隔を空けて繰り返し設けられているのは、一つの好ましい例である。
図4に示すように、第2領域12における粘着剤層2は、縦方向LDに間欠的に設けると、カーテン20の変形がより阻害されにくくなるため好ましい。
図4に示す例では、長方形状の粘着剤層2が行列状に配列されている。
【0032】
粘着剤層2の形状は、
図1及び
図4に示すように長方形状とすることが簡素で好ましいが、三角形状や、五角形状、円形状、楕円形状、直線状、波線状(
図7参照)等、適宜の形状とすることができる。
【0033】
粘着剤層2の面積が大きいと、剥離に力を要するだけでなく、カーテン20が織布である場合に生地を傷めるおそれがある。また、これを防止するために、単に粘着剤層2を設ける範囲を小さくすると、粘着力が弱くなる。よって、第2領域12の粘着剤層2は、
図5に示すように網状(図示例は斜め格子状となっているが、他の格子状でもよい)に形成したり、
図6に示すようにドットパターンで形成したり、
図7に示すように縦縞状(横縞状でもよい)に形成したりするのは好ましい。具体的にカーテン用機能付加シート10全体に占める粘着剤層2の割合は70~90%であると好ましい。また、粘着剤の塗布量は適宜定めることができるが、通常の場合20~60g/m
2程度とすることが好ましい。
【0034】
なお、第1領域11は、粘着剤層2を有しない部分がシート材1の縦方向LD全体にわたり直線的に連続する領域であるため、例えば、
図7に示す第2領域12のように、粘着剤層2を有しない部分が縦方向LDに連続するものの、直線的に連続する部分を有しない場合には、その粘着剤層2を有しない部分は第1領域11ではない。
【0035】
第1領域11の横方向WDの寸法(第2領域12の横方向WDの間隔)は適宜定めることができるが、通常の場合、10~30mm程度とすることができる。また、第2領域12の横方向WDの寸法(第1領域11の横方向WDの間隔)も適宜定めることができるが、通常の場合、20~40mm程度とすることができる。
【0036】
(薬剤)
薬剤としては、公知の消臭剤や芳香剤、防虫剤、及び殺虫剤等の中から、一種又は複数種を適宜選択して用いることができる。
【0037】
芳香剤としては、天然香料及び合成香料のいずれを用いてもよいが、排泄物等の臭気に対するマスキング効果(臭気と拮抗し又は競り勝って、その臭気を感じにくくさせる効果)や、特にハーモナージュ効果(臭気と調和し、不快とは感じさせなくする効果)を狙って調香されたものを使用するのが好ましい。香料の具体例としては、リュウゼン香、安息香、海狸香、霊猫香、丁字油、ガルバナム、ジャスミンアブソリュート、ラブタナム、マテ茶、メリロット、ミモザ、ムスクトンキン、ミルラ、オークモス又はモスドシェーヌ、乳香、ビャクシ香、オリス、バチュリ、ローズマリー油、白檀油、ベチバー油、バイオレットリーフアブソリュートなどの天然抽出香料、高級アルコール、アルデヒド、ベンズアルデヒド、安息香酸、ケイ皮酸、ケイ皮アルデヒド、ケイ皮アルコール、クマリン、エステル、インドール、ケトン、サリチル酸と関連化合物、テルペノイド、バニリンなどの各種の合成香料、あるいはこれらの2種以上の混合物を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。香料として市販品のものを広く使用することができる。
【0038】
消臭剤としては、物理吸着タイプ及び化学吸着タイプのいずれを用いても良く、両者を組み合わせても良い。物理吸着タイプの消臭剤としては、活性炭、シリカゲル、ゼオライト(三次元骨格構造をもつアルミノシリケート)、ジルコニウムリン酸塩からなる層状構造粒子、ケイ酸塩からなる立体構造粒子、酸化亜鉛等、公知の消臭剤から、一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。また、化学吸着タイプの消臭剤としては、臭気分子を化学的に吸着する金属イオンを含有するもの、例えば、物質中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銀イオン、銅イオン、亜鉛イオン等で置換してなるものを挙げることができ、より具体的にはゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銀イオンで置換してなる粒子(市販品としては(株)シナネンゼオミック社のゼオミック(登録商標))や、ジルコニウムリン酸塩中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銅イオンで置換してなる粒子(Zr3(PO4・Cu2+))、ケイ酸塩中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銅イオンで置換してなる粒子、酸化亜鉛粒子、ケイ酸塩中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を亜鉛イオンで置換してなる粒子等を例示することができる。一例として、銅イオンによる消臭(化学吸着)反応式を挙げると、次のとおりである。この場合、臭気分子と金属イオンとが配位結合し、錯イオンを形成する。
Cu2+ + H2S → H2S:Cu2+
【0039】
薬剤は、マイクロカプセルに封入し、その効果発現のタイミングや持続性を制御することができる。
【0040】
薬剤は、粉粒体等の個体であっても、液体であっても良い。薬剤が固体の場合には、適宜の溶媒に溶解した溶液をシート材1に付与するか、又は適宜の分散媒に分散した分散液をシート材1に付与し、乾燥させることにより、シート材1に薬剤を含有させることができる。
【0041】
薬剤は、シート材1の表面、裏面及び内部のどこに保持されていてもよい。例えば、樹脂フィルム等のように、薬剤を内部に保持できないシート材1では、薬剤はシート材1の表面及び裏面の少なくとも一方に層状又は膜状に保持させることができる。不織布のように、薬剤を内部に保持できるシート材1では、シート材1の厚み方向の一部又は全部に薬剤を保持させることができ、これとともに又はこれに代えて、シート材1の表面及び裏面の少なくとも一方に薬剤を保持させることができる。
【0042】
薬剤が単独でシート材1に対する付着性を有しない場合、薬剤は公知のバインダーを介してシート材1に付着させることができる。薬剤は、粘着剤層2にも含有させることができる。
【0043】
(ミシン目)
図1、及び
図4~
図7に示すように、第1領域11に、縦方向LDに沿って連続するミシン目3が設けられており、このミシン目3を切り離すことにより横方向WDに複数のシートに分割可能となっていると、貼り付け対象のカーテン20の寸法や、目的とする効果の程度に応じて、カーテン用機能付加シート10の寸法を適宜調整することができるため好ましい。ミシン目3は、すべての第1領域11に設けてもよいし、
図3に示すように、1つの第1領域以上おきにミシン目3を繰り返し設けてもよい
【0044】
また、この場合、ミシン目3に沿ってシート材1が折れ曲がりやすくなり、本カーテン用機能付加シート10が変形しやすくなり、カーテン20の変形がより阻害されにくくなるため好ましい。このような易折り曲げ部は、ミシン目3以外にも、エンボス加工による凹部(いわゆる罫線加工含む)により形成することができる。したがって、第1領域11にミシン目3を設けずに、エンボス加工による凹部を設けたり、第1領域11にミシン目3を設けつつ、ミシン目3以外の部位、例えば第2領域12にエンボス加工による凹部を形成することもできる。ミシン目3を設ける場合、カット部(切り込み)の形状、カット部とタイ部(カット部の間の連結部)との長さの比等は適宜定めることができる。例えば、ミシン目3は、
図9(a)(b)に示すように、長さの異なるカット部が縦方向LDに沿って直線的に繰り返すもの(一点鎖線状、二点鎖線状)設けられたものでもよいし、
図9(c)(d)に示すように、カット部が波線状(又はジグザグ状)に配置されたものでもよいし、
図9(c)(d)に示すように楕円や四角形の打ち抜きにより形成されたカット部を有するものであってもよい。このうち、カーテン20の皺形状に対するフィット性を考慮すると、ミシン目3は、
図1、
図4、
図5、
図6、
図7、及び
図9(a)(b)(e)(f)に示すような直線状のパターンが好ましい。
【0045】
(製品状態)
カーテン用機能付加シート10は、製品状態で
図1に示すように平坦な一枚のシートであってもよいし、
図8に示すように管芯等の芯材13に巻き付けられたロールであってもよい。カーテン用機能付加シート10の寸法は特に限定されないが、カーテン20より縦方向LDの寸法が短いことが望ましい。具体的には、カーテン用機能付加シート10は、縦方向LDの寸法が0.2~0.6mであり、カーテン用機能付加シート10の横方向WDの寸法が縦方向LDの寸法の0.5倍以上であると、様々なカーテン20に対して十分に広範囲に貼り付けできるため好ましい。
【0046】
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
【0047】
・「カーテン」は、いうまでもないがブラインドやロールスクリーンを含まない意味である。
【0048】
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
【0049】
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES-G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
【0050】
・「展開状態」とは、収縮や弛み(弾性部材によるものも、そうでないものも含む)無く平坦に展開した状態を意味する。
【0051】
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、展開状態における寸法を意味する。
【0052】
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、消臭剤や芳香剤、防虫剤、殺虫剤等の薬剤による機能を付加するためのカーテン用機能付加シートとして利用できるものである。
【符号の説明】
【0054】
1…シート材、2…粘着剤層、10…カーテン用機能付加シート、11…第1領域、12…第2領域、LD…縦方向、WD…横方向、20…カーテン、3…ミシン目。