(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】雨水等貯留浸透施設用仕切板及び側板、雨水等貯留浸透施設用構造体並びに雨水等貯留浸透施設
(51)【国際特許分類】
E03B 11/14 20060101AFI20221019BHJP
E03F 1/00 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
E03B11/14
E03F1/00 A
(21)【出願番号】P 2018217918
(22)【出願日】2018-11-21
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】591084654
【氏名又は名称】エバタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】鳥越 将希
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/059993(WO,A1)
【文献】特開2005-054403(JP,A)
【文献】特開2009-024453(JP,A)
【文献】特開2004-019206(JP,A)
【文献】特開2013-108231(JP,A)
【文献】国際公開第2010/041297(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0265209(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 11/14
E03F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の面板と、
該面板を囲う4辺を有するフレームと、
前記面板の中央部に存在する丸みを帯びた八角形状の
第1の開
口と、
前記フレームの各々の角部に対向する前記開口の各々の縁部と、前記角部を挟む一対の辺の各々との間に介在する
第1のリ
ブと、
前記フレームの各々の角部と、前記第1のリブとの間に介在する第2のリブと、
該第2のリブと、前記フレームと、前記第1のリブで囲繞された前記面板の各々に、前記第1の開口より小さい第2の開口と、
前記フレームと、前記開口の縁部と、前記第1のリブで囲繞された前記面板の各々に、前記第2の開口より小さい第3の開口とを備えることを特徴とする雨水等貯留浸透施設用仕切板。
【請求項2】
第1の面板と、
該第1の面板の両側部に設けられる第2及び第3の面板と、
該第2及び第3の面板の各々を囲う4辺を有する2つのフレームと、
該2つのフレームの各々の前記第1の面板とは反対側に設けられる第4及び第5の面板と、
前記第2及び第3の面板の上部に存在する複数の
第1の開
口とを備え、
前記第1、第4及び第5の面板に、各々独立した雨水等貯留浸透施設用仕切板のフレームの一辺が対向
し、
前記第1、第4及び第5の面板に、前記第1の開口より小さい複数の第2の開口を備え、 前記2つのフレームの各々の鉛直方向に延びる2辺の間に介在すると共に、前記第1の開口の上方に位置するリブと、
前記第2及び第3の面板において、前記リブの上方に設けられ、前記第2の開口より小さい複数の第3の開口とを備えることを特徴とする雨水等貯留浸透施設用側板。
【請求項3】
請求項
1に記載の雨水等貯留浸透施設用仕切板と、
該仕切板の前記フレームの高さ方向の辺に直交するように取り付けられる、請求項
2に記載の雨水等貯留浸透施設用側板と、
前記仕切板の前記フレームの上辺に直交するように取り付けられる天板と、
前記仕切板の前記フレームの下辺に直交するように取り付けられる底板と、
前記仕切板のうち、最前列の仕切板の前方及び最後列の仕切板の後方に対向して取り付けられる遮蔽板とを備えることを特徴とする雨水等貯留浸透施設用構造体。
【請求項4】
請求項
3に記載された雨水等貯留浸透施設用構造体を有し、地中に埋設されていることを特徴とする雨水等貯留浸透施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水等貯留浸透施設用仕切板及び側板、並びにこれらを用いた雨水等貯留浸透施設用構造体及び雨水等貯留浸透施設に関する。
【背景技術】
【0002】
雨水等貯留浸透施設は、集水した雨水等の貯留空間として地中に構築される雨水等貯留施設と、集水した雨水等を地中で一時的に貯留した後、地中に緩やかに排出して分散浸透させる雨水等浸透施設とを含む。この雨水等貯留浸透施設は、雨水等の有効利用を図ったり、雨水が河川や地下雨水管路網へ急激に流入することにより発生する都市型浸水災害を防止したり、地下水を涵養して地盤沈下を抑止するためなどの目的で地中に埋設される。
【0003】
上記雨水等貯留浸透施設として、例えば、特許文献1には、扁平状の仕切部材及び側板部材と、これらと凹凸嵌合する面板部材とを備え、貯留浸透能力が高く、機械的強度と軽量性とを兼ね備えた構造体、及び、それらを用いた雨水等貯留浸透施設が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の発明も有効であるが、雨水等貯留浸透施設等をさらに軽量化し、耐震性及び施工性も向上させ、製造及び設置コストを削減することが望まれていた。本発明は、このような雨水等貯留浸透施設等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は雨水等貯留浸透施設用仕切板であって、矩形状の面板と、該面板を囲う4辺を有するフレームと、前記面板の中央部に存在する丸みを帯びた八角形状の第1の開口と、前記フレームの各々の角部に対向する前記開口の各々の縁部と、前記角部を挟む一対の辺の各々との間に介在する第1のリブと、前記フレームの各々の角部と、前記第1のリブとの間に介在する第2のリブと、該第2のリブと、前記フレームと、前記第1のリブで囲繞された前記面板の各々に、前記第1の開口より小さい第2の開口と、前記フレームと、前記開口の縁部と、前記第1のリブで囲繞された前記面板の各々に、前記第2の開口より小さい第3の開口とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、第1のリブによって仕切板の強度を確保し、耐震性を向上させながら、第1の開口を従来よりも大きくすることができる。これにより、仕切板の軽量化を図り、通水性を高めることができると共に、作業員が仕切板を通り抜け易くなる。また、第2のリブによって仕切板の強度を高めながら、第2の開口により仕切板をさらに軽量にすることができると共に、仕切板の通水性を高めることができる。さらに、第3の開口により仕切板をより一層軽量にすることができると共に、仕切板の通水性をより一層高めることができる。
【0010】
また、本発明は雨水等貯留浸透施設用側板であって、第1の面板と、該第1の面板の両側部に設けられる第2及び第3の面板と、該第2及び第3の面板の各々を囲う4辺を有する2つのフレームと、該2つのフレームの各々の前記第1の面板とは反対側に設けられる第4及び第5の面板と、前記第2及び第3の面板の上部に存在する複数の第1の開口とを備え、前記第1、第4及び第5の面板に、各々独立した雨水等貯留浸透施設用仕切板のフレームの一辺が対向し、前記第1、第4及び第5の面板に、前記第1の開口より小さい複数の第2の開口を備え、前記2つのフレームの各々の鉛直方向に延びる2辺の間に介在すると共に、前記第1の開口の上方に位置するリブと、前記第2及び第3の面板において、前記リブの上方に設けられ、前記第2の開口より小さい複数の第3の開口とを備えることを特徴とする。
【0011】
従来は、側板1枚に対して5枚の仕切板を取り付けていたが、本発明によれば、側板1枚に対して3枚の仕切板を取り付けるようにしたため、側板が取り扱い易くなり、施工性が向上する。また、従来の窓をなくし、複数の開口のみとしたことで強度を確保し、耐震性を向上させながら軽量化を図ることができる。さらに、上記側板が前記第1、第4及び第5の面板に、前記第1の開口より小さい複数の第2の開口を備えることで、側板の軽量化と、通水性の向上を図ることができる。また、前記第2の開口より小さい複数の第3の開口とを備えることで、2つのリブによって側板の強度を高めながら、第3の開口により側板をさらに軽量にすることができると共に、側板の通水性をさらに向上させることができる。
【0014】
さらに、本発明は雨水等貯留浸透施設用構造体であって、上記雨水等貯留浸透施設用仕切板と、該仕切板の前記フレームの高さ方向の辺に直交するように取り付けられる上記雨水等貯留浸透施設用側板と、前記仕切板の前記フレームの上辺に直交するように取り付けられる天板と、前記仕切板の前記フレームの下辺に直交するように取り付けられる底板と、前記仕切板のうち、最前列の仕切板の前方及び最後列の仕切板の後方に対向して取り付けられる遮蔽板とを備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、雨水等貯留浸透施設であって、上記雨水等貯留浸透施設用構造体を有し、地中に埋設されていることを特徴とする。
【0016】
上記雨水等貯留浸透施設用構造体及び雨水等貯留浸透施設によれば、上記特徴を有する仕切板及び側板を用いることで、軽量化並びに耐震性及び施工性の向上が図られ、製造及び設置コストを削減することもできる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、雨水等貯留浸透施設等をさらに軽量化し、耐震性及び施工性を向上させ、製造及び設置コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る雨水等貯留浸透施設用構造体を示す分解斜視図である。
【
図2】
図1に示す仕切板を示す図であって、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は平面図、(d)は斜視図である。
【
図3】
図1に示す側板を示す図であって、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は平面図、(d)は斜視図である。
【
図4】
図1に示す雨水等貯留浸透施設用構造体を組み立てた状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る雨水等貯留浸透施設を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る雨水等貯留浸透施設用構造体を分解した状態を示し、この構造体1は、(雨水等貯留浸透施設用)仕切板2と、仕切板2のフレーム2bの高さ方向の辺に直交するように取り付けられる(雨水等貯留浸透施設用)側板3と、仕切板2のフレーム2bの上辺に直交するように取り付けられる天板4(4A、4B)と、仕切板2のフレーム2bの下辺に直交するように取り付けられる底板5と、最前列の仕切板2の前方に対向して取り付けられる遮蔽板6とで構成される。尚、天板4としては、1段の構造体を構成する場合は4Aを、複数段の構造体を構成する場合は4Bを各々用いる。また、最後列の仕切板2の後方に対向して取り付けられる遮蔽板は図示を省略する。上記各部材の材料は樹脂であり、各部材は隣接する部材に係合又は嵌合により互いに結合される。
により
【0021】
図2に示すように、本発明に係る仕切板2は、矩形状の面板2aと、面板2aを囲う4辺を有するフレーム2bと、面板2aの中央部に存在する丸みを帯びた八角形状の開口(第1の開口)2cと、フレーム2bの各々の角部2dに対向する開口2cの各々の縁部2eと、角部2dを挟む一対の辺2fの各々との間に介在するリブ(第1のリブ)2gとを備える。
【0022】
また、仕切板2は、フレーム2bの各々の角部2dと、第1のリブ2gとの間に介在するリブ(第2のリブ)2hと、リブ2g、2h及びフレーム2bで囲繞された面板2aの各々に、開口2cより小さい開口(第2の開口)2iとを備える。
【0023】
さらに、仕切板2は、フレーム2bと、開口2cの縁部2eと、リブ2gで囲繞された面板2aの各々に、開口2iより小さい開口(第3の開口)2jを備える。
【0024】
上記構成を有する仕切板2は、紙面上において90°回転(1/4回転)させても元の図形に重なる、いわゆる4回対称となるように形成される。
【0025】
この仕切板2は、第1のリブ2gによって強度を確保し、耐震性を向上させながら、従来よりも大きな丸みを帯びた八角形状の第1の開口2cを備え、軽量化等を図っている。また、第2のリブ2hでさらに強度を高め、第2の開口2i、第3の開口2jによってさらに軽量化等を図っている。
【0026】
図3に示すように、本発明に係る側板3は、縦長の矩形状の面板(第1の面板)3aと、面板3aの両側部に設けられる、縦長の矩形状の面板(第2及び第3の面板)3b、3cと、面板3b、3cの各々を囲う4辺を有する2つのフレーム3dと、2つのフレーム3dの各々の面板3aとは反対側に設けられる、縦長の矩形状の面板(第4及び第5の面板)3e、3fと、面板3b、3cの上部に存在する複数の長穴状の開口(第1の開口)3gとを備える。
【0027】
また、側板3は、面板3a、3e、3fに、全面にわたって開口3gより小さい複数の円形の開口(第2の開口)3hを備える。
【0028】
さらに、側板3は、2つのフレーム3dの各々の鉛直方向に延びる2辺の間に介在すると共に、開口3gの上方に位置するリブ3iと、面板3b、3cにおいて、リブ3iの上方に設けられ、開口3hより小さい複数の円形の開口(第3の開口)3jとを備える。
【0029】
後述するように、構造体1を構成する際には、側板3の面板3a、3e、3fに、各々独立した仕切板2のフレーム2bの一辺が対向するように配置される。
【0030】
従来は、側板1枚に対して5枚の仕切板を取り付けていたが、側板3の1枚に対して3枚の仕切板を取り付けるようにすると共に、1種類の側板3で賄うことができるため、側板3が取り扱い易くなり、施工性が向上する。また、側板3には、従来の窓が存在しないため、強度を確保し、耐震性を向上させながら軽量化等を図ることができ、複数の第2の開口3h、第3の開口3jとを備えることでさらに軽量化等を実現している。
【0031】
図1に示すように、天板4Aは、通水用の複数の開口4aと、下面に仕切板2及び側板3と係合する複数の係合部4bと、両側部に他の天板4と凹凸嵌合するための嵌合部4c、4dと、リブ等で構成される。1枚の天板4Aに対して2枚(左右1枚ずつ)の側板3が対応する。
【0032】
天板4Bは、天板4Aの構成に加え、上面側にも係合部4eを備え、1枚の天板4Bに対して4枚(左右1枚ずつ、上下2段)の側板3が対応する。
【0033】
底板5は、通水用の複数の開口5aと、天板4Aとは逆に上面に仕切板2及び側板3と係合する複数の係合部5bと、両側部に他の底板5と凹凸嵌合するための嵌合部5c、5dと、リブ等で構成される。1枚の底板5に対して2枚(左右1枚ずつ)の側板3が対応する。
【0034】
遮蔽板6は、矩形状の面板6aと、面板6aを囲う4辺を有するフレーム6bと、フレーム6bの上辺と下辺の間、及び右辺と左辺の間に介在する複数のリブ6cと、通水用の複数の開口6dとを備える。
【0035】
上記構成を有する構造体1を組み立てた状態を
図4に示す。同図は、仕切板2を3枚、側板3を2枚(左右1枚ずつ)、天板4Aを1枚、底板5を1枚とし、最少数の板で構造体1を構成した場合を示す。仕切板2のうち、最前列の仕切板2の前方及び最後列の仕切板2の後方に対向して取り付けられる遮蔽板の図示を省略している。
【0036】
上記構造体1で構成した雨水等貯留浸透施設を
図5に示す。同図に示す雨水等貯留浸透施設11は、仕切板3(
図1参照)等が上下2段にわたって配置され、上段と下段の間には天板4B(
図1参照)が用いられる。また、図示は省略するが、この施設11には従来の施設と同様に全体を覆う遮水シート(又は浸透シート)や、作業員が施設11に入るための人孔等が設けられる。
【0037】
上記構成を有する雨水等貯留浸透施設11は、地中に埋設され、遮水シートを備える場合には雨水等貯留施設として、浸透シートを備える場合には雨水等浸透施設として各々機能する。
【0038】
尚、上記実施の形態において、仕切板2の構成について詳しく説明したが、面板2a、フレーム2b、開口2c及びリブ2g以外の構成要素については必ずしも設ける必要はなく、その他の各構成要素の形状や配置は適宜変更可能である。また、側板3についても、面板3a、3b、3c、3e、3f、フレーム3d及び開口3g以外の構成要素については必ずしも設ける必要はなく、その他の各構成要素の形状や配置は適宜変更可能である。さらに、天板4、底板5及び遮蔽板6の構成はあくまで一例であって、適宜設計変更可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 雨水等貯留浸透施設用構造体
2 仕切板
2a 面板
2b フレーム
2c 開口
2d 角部
2e 縁部
2f 角部2dを挟む一対の辺
2g、2h リブ
2i、2j 開口
3 側板
3a、3b、3c 面板
3d フレーム
3e、3f 面板
3g、3h 開口
3i リブ
3j 開口
4(4A、4B) 天板
4a 開口
4b 係合部
4c、4d 嵌合部
4e 係合部
5 底板
5a 開口
5b 係合部
5c、5d 嵌合部
6 遮蔽板
6a 面板
6b フレーム
6c リブ
6d 開口
11 雨水等貯留浸透施設