(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】ウロリチン化合物を含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/37 20060101AFI20221019BHJP
A61K 38/00 20060101ALI20221019BHJP
A61K 38/01 20060101ALI20221019BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20221019BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20221019BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20221019BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221019BHJP
A61K 35/20 20060101ALI20221019BHJP
A61K 36/48 20060101ALI20221019BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20221019BHJP
A23L 33/17 20160101ALI20221019BHJP
A23L 33/18 20160101ALI20221019BHJP
A23L 33/185 20160101ALI20221019BHJP
A23L 33/19 20160101ALI20221019BHJP
A23C 9/13 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
A61K31/37
A61K38/00
A61K38/01
A61K38/17
A61P21/00
A61P21/04
A61P43/00 121
A61K35/20
A61K36/48
A23L33/10
A23L33/17
A23L33/18
A23L33/185
A23L33/19
A23C9/13
(21)【出願番号】P 2018529733
(86)(22)【出願日】2016-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2016070257
(87)【国際公開番号】W WO2017036993
(87)【国際公開日】2017-03-09
【審査請求日】2019-08-26
(32)【優先日】2015-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512018265
【氏名又は名称】アマゼンティス エスアー
【氏名又は名称原語表記】AMAZENTIS SA
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー,ペネロペ
(72)【発明者】
【氏名】リンシュ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ブランコ-ボーズ,ウィリアム
【審査官】金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-503456(JP,A)
【文献】国際公開第2008/016554(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/111580(WO,A1)
【文献】特表2013-544829(JP,A)
【文献】特表2013-525337(JP,A)
【文献】特表2013-522028(JP,A)
【文献】特表2014-501764(JP,A)
【文献】特開2015-098489(JP,A)
【文献】特開2013-166797(JP,A)
【文献】国際公開第2014/011580(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/37
A61K 38/00
A61K 38/01
A61K 38/17
A61P 21/00
A61P 21/04
A61P 43/00
A61K 35/20
A61K 36/48
A23L 33/10
A23L 33/17
A23L 33/18
A23L 33/185
A23L 33/19
A23C 9/13
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)タンパク質成分(タンパク質および/またはその源)と、
b)ウロリチンAまたはその塩と、
を含む組成物であって、
前記a)タンパク質成分と前記b)ウロリチンA成分との間の重量比が、2:1~5000:1の範囲内である、組成物。
【請求項2】
前記b)ウロリチンA成分が組成物の0.05~10重量/重量%を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記b)ウロリチンA成分が組成物の0.2~5重量/重量%を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記b)ウロリチンA成分が組成物の
0.5~2重量/重量%を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記a)タンパク質成分と前記b)ウロリチンA成分との間の重量比が、5:1~200:1の範囲内である、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記a)タンパク質成分が、組成物の少なくとも15重量/重量%を構成する、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記a)タンパク質成分が、前記組成物の20~99重量/重量%を構成する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記a)タンパク質成分が、前記組成物の30~80重量/重量%を構成する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記a)タンパク質成分が、粉末組成物の40~80重量/重量%を構成する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記a)タンパク質成分が、単位用量組成物の10~30gを構成する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が5~80gの前記a)タンパク質成分および10mg~5gのウロリチンAを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記a)タンパク質成分が、加水分解、部分加水分解、または非加水分解タンパク質である、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記a)タンパク質成分が、乳、動物、穀物、または植物源から選択される源に由来する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記a)タンパク質成分が、インタクトなエンドウ豆タンパク質、インタクトなエンドウ豆タンパク質単離物(isolates)、インタクトなエンドウ豆タンパク質濃縮物、乳タンパク質単離物、乳タンパク質濃縮物、カゼインタンパク質単離物、カゼインタンパク質濃縮物、乳清タンパク質濃縮物、乳清タンパク質単離物、カゼイン酸ナトリウムまたはカルシウム、全牛乳、部分または完全脱脂乳、大豆タンパク質単離物及び大豆タンパク質濃縮物、ならびにこれらの組み合わせから選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、ヨーグルトの形態である、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物がヨーグルトの形態であって、100gあたり2~15gの前記a)タンパク質成分を含む、請求項1~5および12~14のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物がヨーグルトの形態であって、100g当たり8~15gの前記a)タンパク質成分を含む、請求項1~5および12~14のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、固体、半固体、粉末、または液体の形態である、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物がソフトゲルの形態である、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
薬剤、栄養補助食品、機能性食品、機能性飲料、または医療食品としての使用のための、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
筋関連病態の治療において使用される薬剤としての使用のための、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記筋関連病態が、筋骨格疾患または障害、筋消耗、ミオパチー、神経筋疾患、サルコペニア、および筋萎縮及び/または悪液質から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記筋関連病態が、デュシェンヌ型筋ジストロフィーおよび他のジストロフィーから選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記サルコペニアが急性サルコペニアである、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
前記筋萎縮及び/または悪液質が、火傷、床上安静、四肢固定、または胸部、腹部、及び/もしくは整形外科の大手術に関連した筋萎縮及び/または悪液質から選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
対象における、筋性能の向上、筋持久力の向上、または筋機能を向上、維持またはその低下を低減するための請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記対象が、加齢性筋機能低下、加齢性サルコペニア、加齢性筋消耗、身体疲労、筋疲労を患っており、かつ/または虚弱もしくは前虚弱である、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記対象が身体疲労または筋疲労を患う、筋性能の向上のための請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
身体的パフォーマンスを向上させるための非医療的に使用される請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記身体的パフォーマンスの向上が健康な個人または高齢者におけるものである請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
筋力を増加、筋肉量の増加もしくは維持、筋回復の向上のために非医療的に使用される請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
身体的持久力の向上のために非医療的に使用される請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
身体的疲労の防止または遅延、作業能力及び持久力の向上、および筋疲労の低減のために非医療的に使用される請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
スポーツパフォーマンスの向上のために非医療的に使用される請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
有効量のウロリチンAが、有効量の前記a)タンパク質成分と同時であるか、またはある時間間隔により隔てられて用いられる、対象における筋関連病態の治療または筋機能の向上のための請求項1に記載の組成物。
【請求項36】
前記組成物がキットの形態である、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記ウロリチンAが、0.5~50μmの範囲内にあるD
50のサイズ、および5~100μmの範囲内にあるD
90のサイズを有する、請求項1~35のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウロリチン及びタンパク質、具体的には、ウロリチンA及びタンパク質の栄養及び医療製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
低筋肉量または低筋性能は、多くの疾患及び状態の特徴である。
【0003】
筋関連病態としては、ミオパチー、デュシェンヌ型筋ジストロフィーのような神経筋疾患、急性サルコペニア、例えば、筋萎縮及び/または悪液質、例えば、火傷、床上安静、四肢固定、または胸部、腹部、及び/もしくは整形外科の大手術に関連したものが挙げられる。加齢性筋力低下は、特に一般的な状態である。長期固定または他の疾患、例えば、癌による悪液質は、低筋性能を特徴とすることが多い他の状態である。
【0004】
良好な筋性能は、健康な個人、ならびに疾患を患っている個人、特に高齢者における人生のすべての段階での有効な生活のために重要である。筋性能の向上は、特にアスリートにとって興味深い。例えば、筋収縮強度の増加、筋収縮の振幅の増加、または刺激と収縮との間の筋反応時間の短縮はすべて、個人、特にアスリートへの利益である。
【0005】
筋萎縮の重度の症例では、治療プロセスを助けるために、メタンドロステノロンのようなアナボリックステロイドが患者に投与される。こうした薬剤は、多数の副作用を有し得るため、それらの長期使用は、好ましくは回避される。
【0006】
筋肉を構築するアミノ酸の不在が筋消耗の一因となり得るため、アミノ酸療法は、損傷または萎縮した筋組織の再生、及び筋肉量の構築に有益である。分岐鎖アミノ酸またはBCAA(ロイシン、イソロイシン、及びバリン)は、リジン及び他のアミノ酸に加えて、このプロセスにとって重要である。
【0007】
高齢または入院中の個人における筋肉量の増加、筋性能の向上、及び/または筋消耗の低減のために特に製剤化されているタンパク質含有栄養製品が入手可能である。一般に、望ましい向上を達成するためには、定期的に運動することが必要である。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、
a)タンパク質源と、
b)式(I)の化合物またはその塩と、を含む組成物であって、
【0009】
【0010】
式中、
A、B、C、及びDが各々独立して、H及びOHから選択され、
W、X、及びYが各々独立して、H及びOHから選択され、
Zが、H及びOHから選択される、組成物を提供する。
【0011】
式(I)の化合物は、ウロリチンファミリーのメンバーであり、具体的には、式(I)の化合物は、ウロリチンAである。タンパク質及びウロリチンAの組成物の投与は、タンパク質単独の投与と比較して、驚くほど有益で向上した効果を有することが見出された。したがって、本発明の組成物は、低筋肉量または低筋性能を特徴とする疾患及び状態の治療、ならびに筋成長及び/または筋性能の向上に有用である。これは筋機能の維持にも有用である。
【0012】
一般に、アミノ酸/タンパク質治療が最適な効果をもたらすためには、対象が運動することが必要である。本発明の組成物は、運動なしで、または必要な運動よりも少ない運動で、筋機能の向上に有効であることが証明されている。
【0013】
本発明は、筋関連病態の治療における使用のための本発明の組成物をさらに提供する。本発明はまた、対象における筋関連病態の治療方法であって、その対象に有効量の本発明の組成物を投与することを含む、方法を提供する。本発明は、筋性能の向上における使用のための本発明の組成物を提供する。本発明はまた、対象に有効量の本発明の組成物を投与することによる、筋性能の向上方法を提供する。
【0014】
本発明の治療において、ウロリチン及びタンパク質が単一の組成物の一部として同時に投与されることは必須ではない。本発明はまた、対象における筋関連病態の治療、または対象における筋機能の向上方法であって、その対象に有効量のウロリチン(例えば、ウロリチンA)及び有効量のタンパク質を投与することを含む、方法を提供する。ウロリチン及びタンパク質は、同時に、またはある時間間隔を隔てて投与することができる。本発明は、こうした方法における使用のための、ウロリチン及びタンパク質を含むキットをさらに提供する。ウロリチン及びタンパク質の各々の投与量は、本明細書において下で本発明の組成物の単位用量について記載されているとおりである。
【0015】
本発明は、0.5~50μmの範囲内のD50サイズ、及び5~100μmの範囲内のD90サイズを有する式(I)の化合物またはその塩をさらに提供する。好ましくは、化合物または塩は、8.2~16.0μmの範囲内のD90サイズ、2.8~5.5μmの範囲内のD50サイズ、及び0.5~1.0μmの範囲内のD10サイズを有する。それらの粒子サイズを有する本発明の化合物は、良好な分散及び溶解特性、ならびに向上したバイオアベイラビリティを有することが見出された。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】マウスに高タンパク質飼料単独またはウロリチンAを含有する高タンパク質飼料のいずれかを与えた筋持久力実験の結果を示す。
【
図2】ラットに様々な異なる粒子サイズのウロリチンAを含む製剤を与え、血液中のウロリチンAのレベルを評価した実験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上述のように、本発明は、タンパク質源及びウロリチンを含む組成物を提供する。
【0018】
本発明の組成物中のタンパク質は、好ましくは精製タンパク質であり、すなわち、これが作製された天然食品成分から単離されている。本発明の組成物中の重量%により評価されるタンパク質含有量は、好ましくは、ほとんどの未加工食品成分中より高い。タンパク質は、典型的には、本発明の組成物の少なくとも15重量/重量%を構成する。タンパク質は、好ましくは、組成物の20重量/重量%以上、例えば、25重量/重量%以上、例えば、30重量/重量%以上、例えば、組成物の40重量/重量%以上、例えば、組成物の50重量/重量%以上、例えば、組成物の55重量/重量%以上、例えば、組成物の60重量/重量%以上を構成する。例えば、タンパク質は、組成物の20~99重量/重量%、例えば、組成物の20~90重量/重量%、例えば、組成物の30~80/重量%、例えば、組成物の40~80/重量%、例えば、組成物の50~80/重量%、例えば、組成物の40~70/重量%を構成してもよい。
【0019】
タンパク質成分とウロリチンとの間の重量比は、一般的には、3:1~5000:1、例えば、3:1~1000:1、例えば、5:1~1000:1、例えば、3:1~500:1、例えば、3:1~250:1、例えば、5:1~500:1、例えば、5:1~200:1、例えば、5:1~100:1、例えば、5:1~50:1、例えば、5:1~20:1、例えば、6:1~15:1の範囲内である。あるいは、比は、例えば、10:1~500:1の範囲内、例えば、10:1~100:1、例えば、20:1~50:1、例えば、30:1~40:1の範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、比は、50:1~5000:1、例えば、70:1~2000:1、例えば、100:1~500:1の範囲内であり得る。本発明の組成物は、対象の一般食に対する1回分のサプリメントとして(例えば、バーまたは飲料として)提供することができ、あるいは、毎食の一部または全部として提供することができる。タンパク質成分とウロリチンとの間の重量比は、一般的には、組成物が毎食の一部または全部として提供される場合に、対象の一般食に対する1回分のサプリメントとして提供される場合より高くなる。
【0020】
ウロリチンは、典型的には、本発明の組成物の0.05~10重量/重量%、例えば、0.1~10重量/重量%を構成する。例えば、ウロリチンは、組成物の0.2~8重量/重量%、例えば、組成物の0.2~5重量/重量%、例えば、組成物の0.3~3/重量%、例えば、組成物の0.5~2重量/重量%を構成してもよい。いくつかの実施形態では、ウロリチンは、組成物の0.05~5重量/重量%、例えば、組成物の0.1~2重量/重量%、例えば、組成物の0.2~1/重量%を構成してもよい。いくつかの実施形態では、ウロリチンは、組成物の0.05~80重量/重量%、例えば、組成物の0.1~75重量/重量%を構成してもよい。
【0021】
タンパク質源:
組成物中での使用に適したタンパク質またはその源の非限定的な例としては、加水分解、部分加水分解、または非加水分解タンパク質またはタンパク質源が挙げられる。それらは、乳(例えば、カゼイン、乳清)、動物(例えば、肉、魚)、穀物(例えば、米、トウモロコシ)、または植物(例えば、大豆、エンドウ豆)源のような、いずれかの既知の、またはその他の適切な源に由来していてもよい。タンパク質源またはタイプの組み合わせを使用してもよい。タンパク質またはその源の非限定的な例としては、インタクトなエンドウ豆タンパク質、インタクトなエンドウ豆タンパク質単離物、インタクトなエンドウ豆タンパク質濃縮物、乳タンパク質単離物、乳タンパク質濃縮物、カゼインタンパク質単離物、カゼインタンパク質濃縮物、乳清タンパク質濃縮物、乳清タンパク質単離物、カゼイン酸ナトリウムまたはカルシウム、成分無調整牛乳、部分または完全脱脂乳、ヨーグルト、大豆タンパク質単離物及び大豆タンパク質濃縮物、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。タンパク質源またはタイプの組み合わせを使用してもよい。
【0022】
好ましいタンパク質としては、エンドウ豆タンパク質、大豆タンパク質、及びカゼインが挙げられる。カゼインタンパク質は、例えば、カゼイン酸ナトリウム及びカゼイン酸カルシウムであり、またはこれらを含み得る。
【0023】
タンパク質源の混合物は、特定の利点を有し得る。例えば、エンドウ豆タンパク質、乳清タンパク質、大豆タンパク質、及びカゼインのうちの2つ以上が存在し得る。例えば、カゼイン酸ナトリウム、乳タンパク質濃縮物、及び大豆タンパク質単離物がすべて存在し得る。例えば、60~90重量/重量%の乳清タンパク質及び10~40重量/重量%のカゼインタンパク質、例えば、65~80重量/重量%の乳清タンパク質及び20~35重量/重量%のカゼインタンパク質、例えば、70重量/重量%の乳清タンパク質及び30重量/重量%のカゼインタンパク質を含有する、カゼインタンパク質及び乳清タンパク質の組み合わせが特に好ましい。
【0024】
タンパク質源は、個別のアミノ酸もしくは多数のアミノ酸で構成されるポリペプチド、またはそれらの混合物により提供してもよい。
【0025】
多くの筋成長、筋維持、及び/または筋向上治療にとって、いくつかの特定のアミノ酸が提供されることは有益である。例えば、L-アルギニン、L-グルタミン、リジン、及び分岐鎖アミノ酸(すなわちロイシン、イソロイシン、及びバリン、特にロイシン及びイソロイシン)が重要であると考えられている。いくつかの実施形態では、タンパク質源は、高い割合のそれらのアミノ酸を含有する。
【0026】
これらの特定のアミノ酸は、タンパク質源として提供してもよく、または主タンパク質源に追加してもよい。よって、本発明の組成物中のタンパク質源は、1つ以上の分岐鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、及びバリン)を含んでもよい。本発明の組成物中のタンパク質源は、L-アルギニン及びL-グルタミンの一方または両方を含んでもよい。本発明の組成物中のタンパク質源は、リジンを含んでもよい。
【0027】
好ましい組成物中、タンパク質成分は、乳清タンパク質及び/またはカゼインタンパク質を、1つ以上の個別のアミノ酸、例えば、ロイシン、イソロイシン、及びL-アルギニンのうちの1つ以上(またはすべて)と共に含む。
【0028】
ウロリチン:
ウロリチンは、ヒトを含む、哺乳類の、腸内ミクロビオータのエラジタンニン及びエラグ酸に対する作用により産生される代謝物である。エラジタンニン及びエラグ酸は、ザクロ、堅果類、及び液果類のような、食品中に一般的に見られる化合物である。エラジタンニンは、単独では消化管中で最小限に吸収される。ウロリチンは、上に示されている代表的な構造(I)を有する化合物のクラスである。いくつかの特に一般的なウロリチンの構造を、構造(I)を参照しながら、下の表1に記載する。
【0029】
【0030】
実際には、商業規模製品の場合、ウロリチンの合成が便利である。合成の経路については、例えば、国際公開第2014/004902号に記載されている。
【0031】
本発明の組成物中での使用に特に適した化合物は、自然発生ウロリチンである。よって、Zは、好ましくはOHであり、W、X、及びYは、好ましくはすべてHである。W、X、及びYがすべてHであり、A及びBの両方がHであり、C、D、及びZがすべてOHである場合、化合物はウロリチンCである。W、X、及びYがすべてHであり、A、B、及びCがすべてHであり、D及びZの両方がOHである場合、化合物はウロリチンAである。好ましくは、本発明の製剤中に使用されるウロリチンは、ウロリチンAまたはウロリチンCである。最も好ましくは、本発明の製剤中に使用されるウロリチンは、ウロリチンAである。
【0032】
【0033】
好ましくは、本発明の組成物中での使用のためのウロリチンは、微粒化される。本発明者らにより、微粒化ウロリチンは、非微粒化ウロリチンより急速かつ効果的に溶解または懸濁することができることが見出された。
【0034】
本発明は、微粒化ウロリチンをさらに提供する。本発明は、微粒化ウロリチン含有組成物をさらに提供する。微粒化ウロリチンは、好ましくは、100μm未満のD50サイズを有し、すなわち、ウロリチンの50質量%は、100μm未満の粒子サイズを有する。より好ましくは、ウロリチンは、75μm未満、例えば、50μm未満、例えば、25μm未満、例えば、20μm未満、例えば、10μm未満のD50サイズを有する。より好ましくは、ウロリチンは、0.5~50μm、例えば、0.5~20μm、例えば、0.5~10μm、例えば、1~10μm、例えば、2.8~5.5μmの範囲内のD50を有する。好ましくは、ウロリチンは、100μm未満のD90サイズを有し、すなわち、ウロリチンの90質量%は、100μm未満の粒子サイズを有する。より好ましくは、ウロリチンは、75μm未満、例えば、50μm未満、例えば、25μm未満、例えば、20μm未満、例えば、15μm未満のD90サイズを有する。ウロリチンは、好ましくは、5~100μm、例えば、5~50μm、例えば、5~20μm、例えば、8.2~16.0μmの範囲内のD90を有する。好ましくは、ウロリチンは、0.5~1.0μmの範囲内のD10を有する。好ましくは、ウロリチンは、8.2~16.0μmの範囲内のD90を、2.8~5.5μmの範囲内のD50、及び0.5~1.0μmの範囲内のD10を有する。微粒化は、当該技術分野において構築されている方法により達成することができ、例えば圧縮力粉砕、ハンマー粉砕、ユニバーサルもしくはピン粉砕、またはジェット粉砕(例えばスパイラルジェット粉砕または流動床ジェット粉砕)を使用してもよい。ジェット粉砕が特に適している。
【0035】
組成物の形態:
本発明の組成物は、いずれかの適切な物理形態をとることができる。それらは、固体(例えば、錠剤もしくはバー)、半固体(例えば、ソフトゲル、カプセル(例えば、硬質カプセル)、もしくはドラジェ)、粉末、または液体(エマルジョンを含む)の形態であってもよい。本発明の組成物は、薬学的組成物であってもよい。本発明の組成物は、栄養組成物であってもよい。
【0036】
錠剤形態の組成物は、いずれかの適切なタイプであってもよく、それらは、当該技術分野における従来の賦形剤を含有してもよい。賦形剤は、例えば、組成物が許容できる味、魅力的な外観、及び良好な保存安定性を有するように、所望の硬度、貯蔵期限、及びフレーバーを提供することができる。バーは、いずれかの適切なタイプであってもよく、これは、スナックバーの調製のために従来使用されている成分を含有してもよい。
【0037】
半固体形態は、同様に、当該技術分野における従来の賦形剤を含有してもよい。賦形剤は、例えば、組成物が許容できる味、魅力的な外観、及び良好な保存安定性を有するように、所望の硬度、貯蔵期限、及びフレーバーを提供することができる。
【0038】
栄養及び医療組成物の供給には、粉末が一般的に使用される。粉末は、複数用量を簡易容器中で提供することができ、同じ供給容器から様々なサイズの用量を使用することができるという利点を有する。粉末は、通常は良好な保存特性を有する。粉末組成物はまた、当該技術分野における従来の賦形剤を含有してもよい。賦形剤は、例えば、組成物が許容できる味、魅力的な外観、及び良好な保存安定性を有するように、貯蔵期限、フレーバー、及び耐湿性を提供することができる。タンパク質粉末は、市場で広く入手可能である。本発明は、タンパク質粉末組成物を、ウロリチンを含有する別々の固体または液体組成物と共に含む、キットの形態をとってもよい。ウロリチンを含有する固体または液体組成物(例えば、錠剤もしくは飲料、または本明細書において記載されている他の形態)は、タンパク質粉末と共に使用するための説明書を備えてもよい。本発明は、ウロリチンと混合されたタンパク質粉末の形態をとってもよい。
【0039】
液体組成物は、薬剤の形態、飲料の形態であってもよい。液体製剤は、溶液、エマルジョン、スラリー、または他の半液体であってよい。液体組成物中の賦形剤は、例えば、組成物が許容できる味、魅力的な外観、及び良好な保存安定性を有するように、貯蔵期限、外観、フレーバー、及び食感を提供することができる。
【0040】
組成物は、ヨーグルトの形態をとってもよい。例えば、ギリシャ及びアイスランドスタイルのヨーグルトは、一般的に特に高いタンパク質含有量を有することが知られ、本発明の製剤中での使用に特に適したものとなる。本発明の組成物中での使用のためのヨーグルトは、例えば、100g当たり2~15gのタンパク質を含有してもよい。特に好ましいものは、高いタンパク質含有量、例えば、100g当たり6~15g、100g当たり7~15g、例えば、100g当たり8~15gを有するヨーグルトである。本発明の組成物中での使用のためのヨーグルトは、スプーンで食べるまたは飲む形式のいずれかであってもよい。任意で、補足のタンパク質もヨーグルト製剤に添加し、製剤のタンパク質含有量を増加してもよい。本発明のヨーグルトは、S.thermophilus、L.bulgaricus、及び/またはL.acidophilus、L.lactisのような、生きた培養菌を含有してもよい。
【0041】
本発明の組成物中の追加の成分:
本発明による組成物は、ウロリチン及びタンパク質を超える追加の成分を含有してもよい。追加の成分は、例えば、ビタミン、ミネラル、多価不飽和脂肪酸、機能性アミノ酸、及び他の化合物から選択される、健康上の利益を提供する化合物であってもよい。
【0042】
ビタミンの中でも、具体的には、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンB12、及びビタミンK2が挙げられ得る。本明細書において使用される場合、「ビタミンD」とは、ビタミンDの既知の形態のいずれかを指し、具体的には、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)、ビタミンD3(コレカルシフェロール)、ビタミンD前駆体、代謝物、及び別の類似体、ならびにこれらの組み合わせ、またビタミンDの様々な活性及び不活性形態を含む。例えば、ビタミンD3は、コレカルシフェロールとしてその非加水分解不活性形態で提供してもよく、またはカルシトリオールとしてその加水分解活性形態で提供してもよい。
【0043】
クレアチンは、筋障害の治療において有益な効果を有するものとして記載されている。これは、本発明の組成物中に含めることができる。β-ヒドロキシル-β-メチルブチレート(HMB)は、筋障害の治療において有益な効果を有するものとして記載されている。これは、本発明の組成物中に含めることができる。
【0044】
ミネラルの中でも、具体的には、カルシウム塩(例えば、リン酸カルシウム)、セレニウム、及び鉄塩が挙げられ得る。
【0045】
多価不飽和脂肪酸は、骨格中に2つ以上の二重結合を含有する脂肪酸である。このクラスは、必須脂肪酸、例えば、オメガ-3及びオメガ-6脂肪酸のような、多くの重要な化合物を含む。長鎖多価不飽和脂肪酸、及び好ましくは分子中に少なくとも20個の炭素原子を有するものが適している。こうした長鎖オメガ-3脂肪酸としては、シス-11,14,17-エイコサトリエン酸(ETE)C20:3、シス-8,11,14,17-エイコサテトラエン酸(ETA)C20:4、シス-5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸(EPA)C20:5、シス-7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸(DPA、クルパノドン酸)C22:5、シス-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(DHA)C22:6、シス-9,12,15,18,21-テトラコサペンタエン酸C24:5、シス-6,9,12,15,18,21-テトラコサヘキサエン酸(ニシン酸)C24:6が挙げられる。少なくとも20個の炭素原子を有する長鎖オメガ-6脂肪酸としては、シス-11,14-エイコサジエン酸C20:2、シス-8,11,14-エイコサトリエン酸(ジホモ-γ-リノレン酸)(DGLA)C20:3、シス-5,8,11,14-エイコサテトラエン酸(アラキドン酸)(AA)C20:4、シス-13,16-ドコサジエン酸C22:2、シス-7,10,13,16-ドコサテトラエン酸(アドレン酸)C22:4、シス-4,7,10,13,16-ドコサペンタエン酸(オズボンド酸)C22:5が挙げられる。本発明による組成物は、好ましくはEPA、DHA、またはこれらの組み合わせを、例えば、10~1,000mgの量で、例えば、25~250mgの量で含有する。
【0046】
多くの筋成長及び/または筋向上治療にとって、いくつかの特定のアミノ酸が提供されることは有益である。例えば、L-アルギニン、L-グルタミン、リジン、及び分岐鎖アミノ酸が重要であると考えられている。これらのアミノ酸は時に「機能性アミノ酸」として知られている。本発明の組成物は、1つ以上の分岐鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、及びバリン)を含んでもよい。本発明の組成物は、L-アルギニン及びL-グルタミンの一方または両方を含んでもよい。本発明の組成物は、リジンを含んでもよい。
【0047】
本発明の薬学的組成物は、追加の薬学的に活性な化合物を含んでもよい。
【0048】
本発明の組成物は、ミトコンドリア生物発生またはミトコンドリア障害の治療に有用な1つ以上の薬剤を含んでもよい。こうした化合物としては、限定なしに、レスベラトロール、ピロロキノリンキノン、ゲニステイン、ヒドロキシルチロソール、ケルセチン、L-カルニチン、α-リポ酸、及びフォリン酸(例えば、ロイコボリン)が挙げられる。
【0049】
例えば、トマチジン、ウルソール酸、クルクミン、カプサイシン、メントール、サリチル酸トロラミン、及びサリチル酸メチルを含む、追加の化合物を、本発明の組成物中にさらに(または代替的に)含めてもよい。
【0050】
いくつかの例となる実施形態では、本開示の組成物は、タンパク質及びウロリチンに加えて、1つ以上の追加の主要栄養剤、典型的には脂質もしくは炭水化物、または脂質及び炭水化物の両方を含んでもよい。
【0051】
食品及び医薬品の調製において一般的に使用されているタイプの脂質または油のいずれかの適切な源を、本発明の組成物に使用してもよい。本明細書において記載されている組成物中での使用に適した脂質源の非限定的な例は、ドコサヘキサエン酸(DHA)、アラキドン酸(ARA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、及びこれらの組み合わせのような、多価不飽和脂肪酸も含む。
【0052】
本明細書において記載されている組成物中での使用に適した炭水化物またはその源の非限定的な例は、マルトデキストリン、加水分解または変性デンプンまたはトウモロコシデンプン、グルコースポリマー、コーンシロップ、コーンシロップ固体、米由来の炭水化物、グルコース、フルクトース、ラクトース、高フルクトースコーンシロップ、タピオカデキストリン、イソマルツロース、スクロマルト、マルチトール粉末、グリセリン、フラクトオリゴ糖、大豆繊維、トウモロコシ繊維、グアーガム、コンニャク粉、ポリデキストロース、蜂蜜、糖アルコール(例えば、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール)、及びこれらの組み合わせを含み得る。マルトデキストリン、スクロース、及びフルクトースが特に好ましい。
【0053】
タンパク質、脂質、炭水化物、及び他の成分の総濃度または量は、対象とする使用者の栄養必要量に応じて異なる。
【0054】
本発明の組成物中の追加の成分は、対象に健康上の利益を提供しないが、代わりに組成物を他の方法で、例えば、上述されているようなその味、食感、または貯蔵期限を向上させる化合物であってもよい。本発明の組成物は、よって、乳化剤、着色剤、防腐剤、ガム、硬化剤、増粘剤、甘味料、及び香料から選択される1つ以上の化合物をさらに含有してもよい。
【0055】
適切な乳化剤、着色剤、防腐剤、ガム、硬化剤、及び増粘剤は、エマルジョン及び他の半液体製造の技術分野において周知である。例えば、安息香酸、ソルビン酸、リン酸、乳酸、酢酸、塩酸、及びそれらの可溶塩のような、防腐剤を使用してもよい。
【0056】
甘味料は、本発明の組成物において特に有益であり得る。例えば、アスパルテーム、スクロース、アセスルファムカリウム、サッカリン、サイクラメート、ステビア、ソーマチン、及びこれらの混合物から選択される、強力な非栄養性の炭水化物甘味料を使用してもよい。アスパルテームは特に適している。
【0057】
香料は、本発明の組成物において特に有益であり得る。液体または半液体組成物において、フルーツソースまたはピューレを含めることにより、フルーツフレーバーを提供することができる。典型的な香料としては、ストロベリー、ラズベリー、ブルーベリー、アプリコット、ザクロ、ピーチ、パイナップル、レモン、オレンジ、及びアップルが挙げられる。一般に、フルーツ香料は、フルーツエキス、フルーツジャム、またはフルーツピューレを、甘味料、デンプン、安定化剤、天然及び/または人工フレーバー、着色剤、防腐剤、水、ならびにクエン酸またはpHを制御するのに適した他の酸のいずれかの組み合わせと共に含む。
【0058】
投薬
摂取される組成物の有効量は、投与方法、年齢、体重、及び対象の健康状態に応じて異なるだろう。対象の病状、年齢、及び体重のような因子が重要となり得、投薬計画は、最適な応答を提供するように調節され得る。
【0059】
従来のタンパク質組成物は、通常は1食分当たり5~30gのレベルで摂取され、対象は、通常は1日当たり1、2、または3食分を摂取する。組成物からのタンパク質の1日の用量は、よって通常は5~90g、例えば、5~80g、例えば、5~70g、例えば、5~60g、例えば、5~50g、例えば、10~40g、例えば、20~40gの範囲内である。
【0060】
高齢の対象について、最適な筋機能のための推奨タンパク質摂取量及び運動は、例えば、‘Recommendations from the ESPEN Expert Group’:Clinical Nutrition,33(2014)929e936に記載されている。(a)健康な高齢者には、食事は少なくとも1.0~1.2gのタンパク質/体重kg/日を提供すべきであり、(b)急性または慢性疾患によって栄養失調の、または栄養失調のリスクがある高齢者には、食事は1.2~1.5gのタンパク質/体重kg/日、重度な疾患または傷害を有する個人には、さらにより高い摂取量を提供すべきであることが推奨されている。
【0061】
本発明の単位用量組成物は、好ましくは、5~90g、例えば、5~80g、例えば、5~70g、例えば、5~60gのタンパク質、例えば、5~40gのタンパク質、例えば、10~40gのタンパク質、例えば、10~30gのタンパク質を含有する。単位用量は、スナックバーの形態であってもよく、重量25~150g、例えば、40~100gのスナックバーは、(10~40gのタンパク質、または上述されている別の量のような)必要量のタンパク質を含有してもよい。単位用量組成物は、あるいは飲料の形態であって、例えば、単一用量(例えば、50~500ml、例えば、100~300ml)に適した容積の容器(例えば、パウチまたはボトル)中で提供してもよい。100~300mlの飲料は、必要量のタンパク質を含有してもよい。単位用量組成物は、あるいは飲料に再構成される粉末、例えば、単一用量に適した量の粉末(例えば、10gr~40grのタンパク質を含有する、20gr~60grの粉末)の形態であってもよい。100~500mlの再構成飲料は、必要量のタンパク質を含んでもよい。
【0062】
ウロリチン(例えば、ウロリチンA)成分の1日の摂取量は、典型的には、1日当たり10mg~5g、例えば、1日当たり20mg~2500mg、例えば、1日当たり20mg~500mg、例えば、1日当たり10mg~100mg、例えば、1日当たり50mg~1500mg、例えば、1日当たり250mg~1500mg、例えば、1日当たり50mg~1000mg、例えば、1日当たり20mg~250mg、例えば、1日当たり250mg~1000mg、例えば、1日当たり500mg~1000mg、例えば、1日当たり750mg~1000mgの範囲内である。1つの実施形態では、組成物は、約0.2mg/kg/日~約100mg/kg/日超の範囲内のウロリチンの投与量を提供する量で摂取される。例えば、ウロリチンの投与量は、0.2~100、0.2~50、0.2~25、0.2~10、0.2~7.5、0.2~5、0.25~100、0.25~25、0.25~25、0.25~10、0.25~7.5、0.25~5、0.5~50、0.5~25、0.5~20、0.5~15、0.5~10、0.5~7.5、0.5~5、0.75~50、0.75~25、0.75~20、0.75~15、0.75~10、0.75~7.5、0.75~5、1.0~50、1~25、1~20、1~15、1~10、1~7.5、1~5、2~50、2~25、2~20、2~15、2~10、2~7.5、または2~5mg/kg/日であってもよい。
【0063】
本発明の単位用量組成物は、好ましくは、10mg~5g、例えば、20mg~2500mg、例えば、50mg~1500mg、例えば、250mg~1500mg、例えば、50mg~1000mg、例えば、50mg~250mg、例えば、250mg~1000mgのウロリチンを含有する。単位用量は、スナックバーの形態であってもよく、重量25~150g(例えば、40~100g)のスナックバーは、必要量のウロリチンを含有してもよい。単位用量組成物は、あるいは飲料の形態であって、例えば、単一用量(例えば、100~300ml)に適した容積の容器(例えば、パウチ)中で提供してもよい。50~500ml(例えば、100~300ml)の飲料は、必要量のウロリチンを含有してもよい。本発明の組成物を提供する飲料は、1ml当たり0.1~50mg、例えば、1ml当たり0.5~10mg、例えば、1ml当たり1~5mgの濃度のウロリチンを含有してもよい。
【0064】
タンパク質成分とウロリチンとの間の重量比は、通常は、1:10~5000:1、例えば、1:10~1:1、例えば、1:2.5~5000:1、例えば、1:2.5~1200:1、例えば、1:1~1200:1、例えば、1:1~600:1、例えば、2:1~5000:1、例えば、2:1~12000:1、例えば、3:1~5000:1、例えば、3:1~1200:1、例えば、3:1~1000:1、例えば、3:1~500:1、例えば、3:1~250:1、例えば、5:1~1200:1、例えば、5:1~600:1、例えば、5:1~500:1、例えば、5:1~400:1、例えば、5:1~200:1、例えば、5:1~100:1、例えば、5:1~80:1、例えば、5:1~50:1、例えば、5:1~20:1、例えば、6:1~15:1の範囲内である。あるいは、比は、例えば、10:1~500:1、例えば、10:1~100:1、例えば、20:1~50:1、例えば、30:1~40:1であり得る。いくつかの実施形態では、比は、50:1~5000:1、例えば、70:1~2000:1、例えば、100:1~500:1の範囲内であり得る。
【0065】
ウロリチンは、典型的には、本発明の組成物の0.05~10重量/重量%、本発明の組成物の0.1~10重量/重量%を構成する。例えば、ウロリチンは、組成物の0.2~8重量/重量%、例えば、組成物の0.2~5重量/重量%、例えば、組成物の0.3~3/重量%、例えば、組成物の0.5~2/重量%を構成する。いくつかの実施形態では、ウロリチンは、組成物の0.05~5重量/重量%、例えば、組成物の0.1~2重量/重量%、例えば、組成物の0.2~1/重量%を構成する。
【0066】
本発明の組成物は、よって、5~80gのタンパク質及び10mg~5gのウロリチン、例えば、5~60gのタンパク質及び10mg~5gのウロリチン、例えば、5~40gのタンパク質及び20mg~2500mg、例えば、5~40gのタンパク質及び50mg~1000mgのウロリチン、例えば、10~30gのタンパク質及び50mg~1000mgのウロリチン、例えば、10~30gのタンパク質及び50mg~500mgのウロリチン、例えば、10~30gのタンパク質及び100mg~500mgのウロリチンを含有してもよい。組成物は、好ましくは、炭水化物、ビタミン、及びミネラルをさらに含有する。代表的な組成物を表1、2、及び3に示す。
【0067】
【0068】
バルク粉末中、タンパク質は、好ましくは粉末の20重量%以上、例えば、20重量%以上、例えば、30重量%以上、例えば、粉末の40重量%以上を構成する。例えば、タンパク質は、粉末の20~90重量%、例えば、粉末の30~80重量%、例えば、粉末の40~80重量%、例えば、40~70%、例えば、60~80重量%、例えば、粉末の60~70重量%を構成する。
【0069】
バルク粉末は、通常は、1食分にどれぐらいの粉末を使用するかを対象に知らせる説明書と共に提供される。例えば、バルク粉末は、正しい量の粉末を計り分けるのを可能にする必要なサイズの計量スプーンが付属した容器中で供給してもよい。粉末は、そのまま摂取しても、食品と混合しても、水に添加して飲料を作製してもよい。
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
本発明の組成物は、単一の処置または、より一般的には、一連の処置として摂取することができる。1つの例では、対象は、運動前または後に用量を摂取する。運動することができない対象について、組成物の用量は、例えば、1日に1回、2回、もしくは3回、または1週間に1回、2回、3回、4回、5回、もしくは6回摂取してもよい。化合物の有効な投与量は、特定の処置にわたって、増加または減少し得ることも理解されるだろう。
【0074】
処置:
本発明の組成物は、筋性能の向上、筋機能の向上、筋機能の低下の予防、筋肉量の増加、及び/または筋消耗の低減に使用される。筋性能の向上、筋機能の向上または維持、筋肉量の増加、及び/または筋消耗の低減は、医療処置の一部であり得、または個人的な嗜好(「ライフスタイル」)もしくは美容上の理由であり得る。本発明の組成物は、薬剤として使用することができる。組成物は、栄養補助食品として、機能性食品、機能性飲料、または医療食品として使用することができる。
【0075】
ほとんどの筋肉増強レジームは、筋肉増強組成物の摂取と共に、対象が運動することを必要とする。本発明のタンパク質及びウロリチンの組み合わせは、運動なしで、または必要な少ない運動で、筋成長、筋力、筋持久力、及び筋機能の向上に有効であることが証明されている。
【0076】
組成物は、疾患及び病状の両方の治療に使用される。組成物は、低い身体的パフォーマンス、持久力低下、及び筋機能障害を特徴とする状態の健康な個人において、正常な生理機能の維持に使用される。本発明の組成物は、若齢及び高齢の個人を含む、疾患を有する個人において、身体的パフォーマンスを向上させ得る。本発明の組成物は、アスリート、アスリートではない個人、座りがちな個人、及び高齢者を含む、健康な個人において、身体的パフォーマンス、例えば、短期的パフォーマンスまたは長期的パフォーマンスを向上させ得る。このパフォーマンスの向上は、特定の距離を歩くまたは走るのにかかった時間(例えば、6分間歩行テスト(MWT)でのパフォーマンスの向上)、特定の距離を走る時間の向上、国際標準化身体活動質問票でのIPAQスコアの向上、特定の時間内での椅子立ち上がり回数の増加、または身体的パフォーマンスを測定するように設計された別のテストにより測定され得る。
【0077】
本発明の組成物は、持久力の向上をさらに提供する。持久力とは、一定の作業負荷で、通常は<80%VO2maxの強度で運動する場合の疲労までの時間を指す。本発明の組成物は、若齢及び高齢の個人を含む、疾患を有する個人において、持久力を向上させ得る。本発明の組成物は、アスリート、アスリートではない個人、座りがちな個人、及び高齢者を含む、健康な個人において、持久力を向上させ得る。本発明は、特定の活動、例えば、フィットネストレーニング、ウォーキング、ランニング、スイミング、またはサイクリングを行う際の疲労までの時間の増加方法を提供する。この持久力の向上は、客観的測定(例えば、スピード、酸素消費、または心拍数)で評価してもよく、または自己報告測定(例えば、有効な質問票の使用)であり得る。
【0078】
本発明は、筋機能を向上、維持、またはその低下を低減するための組成物をさらに提供する。本発明の組成物は、若齢及び高齢の個人を含む、疾患を有する個人において、筋機能を向上、維持、またはその低下を低減し得る。本発明の組成物は、アスリート、アスリートではない個人、座りがちな個人、及び高齢者を含む、健康な個人において、筋機能を向上、維持、またはその低下を低減し得る。例えば、本発明の組成物は、虚弱または前虚弱な個人において、筋機能を向上、維持、またはその低下を低減し得る。例えば、本発明の組成物は、運動のような身体活動のパフォーマンスの向上、例えば、ウエイトを持ち上げる能力の増加または握力の増加により証明されるように、筋力を増加させ得る。また、本発明の組成物は、例えば、正常な筋機能、低下する筋機能、または筋機能障害の状態において、筋肉量を増加または維持することにより、筋構造を向上させ得る。
【0079】
本発明は、個人により知覚される身体的パフォーマンスまたは持久力の向上のための組成物をさらに提供する。例えば、自己報告質問票を使用して決定される運動または活動の自覚的強度の低減による。
【0080】
医療処置:
本発明の組成物は、薬剤として使用することができる。本発明の組成物は、筋関連病態の治療に使用される。したがって、本発明は、筋関連病態の治療における使用のための本発明の組成物を提供する。本発明はまた、対象における筋関連病態の治療方法であって、その対象に有効量の本発明の組成物を投与することを含む、方法を提供する。筋関連病態は、全般的に健康な個人に影響を及ぼす状態と、病態との両方を含む。健康な人々または疾患による影響を受ける人々において見られるこうした筋状態としては、筋骨格疾患または障害、悪液質、筋消耗、ミオパチー、加齢性筋機能低下、前虚弱、虚弱、デュシェンヌ型筋ジストロフィー及び他のジストロフィーのような神経筋疾患、サルコペニア、例えば、急性サルコペニア、筋萎縮及び/または悪液質、例えば、火傷、床上安静、四肢固定、または胸部、腹部、及び/もしくは整形外科の大手術に関連した筋萎縮及び/または悪液質、ならびに筋変性疾患が挙げられる。
【0081】
本発明の組成物で治療され得る加齢性の病状の例としては、サルコペニア及び筋消耗が挙げられる。
【0082】
国際公開第2014/111580号では、(ウロリチンAではなく)ウロリチンBが、インビトロで筋管の平均直径を増加させたことが報告されている。その効果はウロリチンAでは見られなかった。
【0083】
筋性能:
本発明の組成物は、筋性能の向上において有用である。本発明は、よって、筋性能の向上における使用のための本発明の組成物を提供する。本発明はまた、対象に有効量の本発明の組成物を投与することによる、筋性能の向上方法を提供する。投与は、自己投与であり得る。
【0084】
筋性能の向上は、筋機能の向上、筋機能低下の低減、筋力の向上、筋持久力の向上、及び筋回復の向上の1つ以上であり得る。
【0085】
本発明の組成物は、よって、身体的持久力(例えば、運動、肉体労働、スポーツ活動のような肉体作業を行う能力)の向上、身体的疲労の防止または遅延、作業能力及び持久力の向上、ならびに筋疲労の低減方法において使用することができる。
【0086】
筋機能の向上は、加齢性状態の結果として筋機能が低減した高齢の対象において特に有益であり得る。例えば、筋機能の向上から恩恵を受け得る対象は、前虚弱及び虚弱につながる筋機能低下を経験し得る。こうした対象は、その筋機能低下に加えて筋消耗を必ずしも経験しない場合もあり得る。対象によって、例えば、サルコペニアを有する対象は、筋消耗及び筋機能低下の両方を経験する。本発明の組成物は、本発明の組成物を虚弱または前虚弱である対象に投与することにより、筋性能の向上に使用してもよい。
【0087】
筋性能は、スポーツパフォーマンスであり得、すなわち、スポーツ活動に参加するアスリートの筋肉のパフォーマンス能力である。スポーツパフォーマンス、パワー、スピード、及び持久力の向上は、筋収縮力の増加、筋収縮の振幅の増加、または刺激と収縮との間の筋反応時間の短縮により測定される。アスリートとは、例えば、ボディビルダー、競輪選手、長距離走者、及び短距離走者のような、いずれかのレベルでスポーツに参加し、そのパフォーマンスにおいてパワー、スピード、または持久力のレベルの向上を達成しようとする個人を指す。スポーツパフォーマンスの向上は、筋疲労を克服する能力、より長時間活動を維持し、より効果的なトレーニングを行う能力により示される。
【実施例】
【0088】
下記の実施例は、本発明を説明する。
【0089】
化合物
ウロリチンAを、下記のとおり調製した:
ウロリチンA(4)を、臭化物1及びレゾルシノール2から出発する2つのステップで調製した。純粋な化合物を淡黄色の粉末として得た。
【0090】
【0091】
ステップ1:
水(120mL)中の2-ブロモ-5-メトキシ安息香酸1(27.6g、119mmol、1.0当量)、レゾルシノール2(26.3g、239mmol、2.0当量)、及び水酸化ナトリウム(10.5g、263mmol、2.2当量)の混合物を1時間還流加熱した。硫酸銅の5%水溶液(50mLの水中の3.88gのCuSO4・5H2O、15.5mmol、0.1当量)を次に添加し、混合物をさらに30分間還流した。混合物を室温まで冷却させ、固体をブフナーフィルタ上で濾過した。残留物を冷水で洗浄して淡赤色の固体を得て、これを熱いMeOH中で粉砕した。懸濁液を一晩4℃で放置した。得られた沈殿物を濾過し、冷たいMeOHで洗浄し、表題化合物3を淡褐色の固体として得た。
【0092】
ステップ2:
乾燥ジクロロメタン(100mL)中の3(10.0g、41mmol、1.0当量)の懸濁液に、0℃で乾燥ジクロロメタン中の三臭化ホウ素の1M溶液(110mLの無水ジクロロメタン中の11.93mLの純粋BBr3、124mmol、3.0当量)を滴加した。混合物を0℃で1時間放置した後、室温まで温めた。溶液をその温度で17時間撹拌した。次に氷を混合物に十分に添加した。黄色の沈殿物を濾過し、冷水で洗浄して黄色の固体を得て、これを酢酸中で3時間還流加熱した。熱い溶液を迅速に濾過し、沈殿物を酢酸で、次にジエチルエーテルで洗浄し、表題化合物4を黄色の固体として得た。1H-及び13C-NMRは、4の構造と一致した。
【0093】
実施例1:最適タンパク質と、ウロリチンA補足ありまたはなしでの、筋機能の実験
a)ウロリチンAを含有する最適タンパク質飼料
ヒトにおける加齢性筋力低下を模倣するため、老齢マウスにおいて実験動物モデルを設定した。実験研究に使用するように設計された対照飼料は、筋力低下のリスクのある高齢のヒトにおいて臨床的に推奨されている高タンパク質食に類似した高タンパク質飼料であった。飼料は、これを消費する老齢動物のパフォーマンスを向上するように配合された。高タンパク質飼料は、必須栄養素(アミノ酸、ビタミン、及びミネラル)のより良好なバランスを有し、通常の維持飼料中の140grのカゼインの代わりに、飼料1kg当たり200grのカゼインが補足されている(Reeves PG,J.Nutr.1997,127(5)838S-841S)。カゼインタンパク質は、すべてのアミノ酸を、すべての体タンパク質の維持をサポートするのに十分な量で含有し、アミノスコアの高い、栄養的に完全な消化の良いタンパク質である。実験用高タンパク質飼料の組成を下の表5に示す。ウロリチンAは、高タンパク質飼料に、飼料1kg当たり0.57gのレベルで混合した。両飼料は等カロリーとした。
【0094】
【0095】
b)ウロリチンAと組み合わせたタンパク質の飼料はタンパク質単独と比較して良好である
65歳~75歳の高齢のヒトに相当する22月齢C57BL/6J老齢マウスに、高タンパク質飼料単独またはウロリチンAを含有する高タンパク質飼料のいずれかを与えた。両飼料は、カゼインタンパク質に加えて、L-システインならびにビタミン及びミネラル混合物のような、最適な筋機能のための必須栄養素を含有した。飼料中のウロリチンAのレベルは、50mg/kg/日の用量がマウスに送達されるものである。
【0096】
ウロリチンA及びタンパク質の組み合わせでの処置前及びその6週間後、マウスをその持久力についてトレッドミル上でテストした。持久力テストは日中に行った。マウスは運動前及び後に飼料及び水を摂取することができた。テストは、モチベーショナルグリッド(Panlab、バルセロナ、スペイン)前に配置されたトレッドミルを使用して行った。マウスを0.3mAに設定したトレッドミルに5分間慣れさせた。運動は、15cm/秒の速度での12分走行で開始した。次に速度を12分毎に3cm/秒ずつ増加させた。連続した2分間で1分間に5回以上バックグリッドに接触した場合、動物をトレッドミルから降ろした。処置の6週間後の合計距離及び走行時間を基底値で正規化した。いずれのマウス群にも、持久力テスト前には運動レジメンを行っていない。マウスは、試験期間にわたって、標準的な動物小屋中に維持した。
【0097】
テストの結果を
図1に示す。高タンパク質飼料に加えてウロリチンAが与えられたマウスは、タンパク質飼料のみが与えられたマウスと比較して、走行距離において42%及び走行時間において28%の増加を示したことが目立って観察された。この走行持久力の向上は、運動レジメンなしで発生している。統計的有意性は、フィッシャーt検定を用いて決定した。***:p<0.001。
【0098】
これらの結果は、最適タンパク質飼料と組み合わされたウロリチンAの、老齢動物において筋機能を向上させる能力を示す。今日の標準治療として、最適タンパク質食のみが推奨されている高齢のヒトにおいても、ウロリチンAで同様の向上が観察されることが予想される。
【0099】
実施例2:高タンパク質及びウロリチンAを含有する、健康的な老化及び加齢性筋力低下を対象とする粉ミルク組成物
【0100】
【0101】
表6に示されている栄養プロファイルを有する組成物は、加齢性筋力低下に対抗するために、対象に与えられる。
【0102】
実施例3:タンパク質及びウロリチンAを含有する、集中治療または入院中の寝たきりの対象向けの経腸栄養液体組成物
【0103】
【0104】
表7に示されている栄養プロファイルを有する飲料組成物は、集中治療または入院中の寝たきりの対象に与えられる。
【0105】
実施例4:タンパク質及びウロリチンAを含有する、持久力トレーニング中の最適な筋機能のための、活動的なアスリートを対象とするシリアルバー組成物
【0106】
【0107】
表8に示されている栄養プロファイルを有するバー組成物は、持久力中の最適な筋機能のために、活動的なアスリートに与えられる。
【0108】
実施例5:ヨーグルト組成物
【0109】
【0110】
実施例6:実施例3:粒子サイズのウロリチンAバイオアベイラビリティに対する効果
ウロリチンAの粒子サイズを、MC50スパイラルジェットミル、濾過窒素、240g/時間の送り速度、12バールのベンチュリ圧力、及び12バールのミル圧力を使用して、制御下で低減した。ウロリチンAの異なる粒子サイズ分布は、Malvernパーティクルサイズアナライザ(Malvern Instruments、英国)上で決定した。3つの試料を徹底的に評価した。ウロリチンAの試料番号1は、1.03μmのD10、53.4μmのD50、及び365μmのD90の粒子サイズ分布を有した。ウロリチンAの試料番号2は、0.272μmのD10、2.17μmのD50、及び6.84μmのD90の粒子サイズを有した。ウロリチンAの試料番号3は、0.597μmのD10、5.67μmのD50、及び40.1μmのD90の粒子サイズを有した。
【0111】
【0112】
特定の粒子サイズ分布のバイオアベイラビリティに対する影響を説明するために、雄Sprague-Dawleyラットを一晩絶食させた後、15%DMSO、85%(水中0.5%メチルセルロース、0.25%Tween80)中に懸濁させたウロリチンAの試料番号1、試料番号2、または試料番号3のいずれかを、経口胃管栄養法により、25mg/kg/日に対応する用量で投与した。
【0113】
【0114】
胃管栄養法の溶液は、次のとおり調製した。35mgのウロリチンA粉末を7mlの15%DMSO、水中0.5%メチルセルロース/0.25%Tween80に希釈し、5mg/mlの微細懸濁液を得た。DMSOはBDHから入手し、メチルセルロースはSigmaから入手し、Tween80はSigma-Aldrichから入手した。
【0115】
ラットから、頸静脈カニューレ挿入により、異なる時点で血液を採取し、ウロリチンAを血漿中で定量化し、試料番号1、試料番号2、及び試料番号3の経口胃管栄養法後のその薬物動態プロファイルを決定した。各試料について3匹のラットで試験を繰り返した。
図3は、得られたウロリチン試料番号1及び試料番号2の薬物動態プロファイルを示す。回収されたデータを下の表12に要約する。
【0116】
【0117】
ウロリチンAは、粒子サイズが50μmのD90未満に低減された場合、バイオアベイラビリティの増加を示した。試料番号2について、試料番号1と比較して、116%のCmaxにおける相対的な増加(2.16倍の増加)及び28%のAUCにおける増加があった。試料番号3について、26%のAUCにおける相対的な増加があった。
【0118】
これらの結果は、D90<50μmの粒子サイズを有するウロリチンA調製物が、D90>300μmの粒子サイズを有するウロリチンA調製物と比較した場合、一貫してより高いバイオアベイラビリティを示すことを証明する。また、D90<20μmの粒子サイズを有するウロリチンA調製物が特に有利であり、2倍超のCmaxが達成されたように、劇的に高いピークのウロリチンA血中レベルの達成を可能にしたことが観察された。